チューブ接合装置
【課題】第1及び第2チューブの接合端部を溶融して接合する場合に、煩雑な作業を必要とせずに接合不良を確実に回避できるようにする。
【解決手段】チューブ接合装置1は、クランプ駆動モータ13,14を制御する制御部15を備えている。制御部15は、クランプ駆動モータ13,14によってクランプ機構10,11を互いに離れる方向に移動させた離間位置と、接合端部同士が当接する当接位置とに切り替え、離間位置にあるときの両クランプ機構10,11の離間距離から当接位置にあるときの両クランプ機構10,11の離間距離を差し引いてチューブ100,102の接合端部の突出度合いを得て、得られた突出度合いと、接合不良の回避が可能な予め設定された突出度合いの適正範囲とを比較し、得られた突出量が適正範囲外である場合に報知するように構成されている。
【解決手段】チューブ接合装置1は、クランプ駆動モータ13,14を制御する制御部15を備えている。制御部15は、クランプ駆動モータ13,14によってクランプ機構10,11を互いに離れる方向に移動させた離間位置と、接合端部同士が当接する当接位置とに切り替え、離間位置にあるときの両クランプ機構10,11の離間距離から当接位置にあるときの両クランプ機構10,11の離間距離を差し引いてチューブ100,102の接合端部の突出度合いを得て、得られた突出度合いと、接合不良の回避が可能な予め設定された突出度合いの適正範囲とを比較し、得られた突出量が適正範囲外である場合に報知するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば樹脂製のチューブを接合する際に用いられるチューブ接合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、腎不全患者でCAPD(持続携帯式腹膜透析)を行っている場合には、透析液が収容されたバッグを自分で交換するのが一般的である。CAPDでは、腹部に埋め込まれた腹部側チューブ(カテーテル)と、透析液が収容されたバッグから延びるバッグ側チューブとを繋ぐ必要がある。透析液の交換時には、既に接合されているチューブを切断してバッグを新しいものと交換した後、新しいバッグ側チューブと腹部側チューブとを接合する必要がある。
【0003】
チューブを接合する場合や切断する場合には、例えば、特許文献1に開示されているような装置を用いて雑菌等がチューブに侵入するのを防止している。特許文献1の装置は、腹部側チューブ及びバッグ側チューブをそれぞれクランプする第1及び第2クランプ部と、チューブの溶融温度以上に加熱されるウエハとを備えている。
【0004】
特許文献1の装置を用いてチューブを接合する場合には次のようにする。すなわち、腹部側チューブ及びバッグ側チューブを、両チューブの接合端部が対向するように、それぞれ第1及び第2クランプ部でクランプしておく。そして、両チューブの接合端部の間に、加熱状態のウエハを挿入した後、両チューブをクランプしたまま軸線方向に移動させ、該チューブの接合端部をウエハに接触させて溶融させる。その後、ウエハを両チューブの接合端部の間から抜き、今度は接合端部同士を押し合わせて溶着する。以上の動作が上記装置によって自動で行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3179566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1では腹部側チューブ及びバッグ側チューブを第1及び第2クランプ部でクランプする必要がある。チューブは柔軟性があるものなので、クランプ部に対し位置決めする際に、人によっては取扱い時に力を入れ過ぎて変形させてしまい、軸線方向について所定位置からずれてしまうことが考えられる。また、チューブをクランプする際に、誤った操作によってチューブが軸線方向についてクランプ部の所定位置からずれてしまうことも考えられる。
【0007】
チューブが所定位置からずれた状態でクランプされると、チューブを溶融する際にウエハに接近させても、ウエハへの接触が十分でなくチューブの接合端部が溶融不足となる場合や、ウエハに強く接触して溶融過多となる場合がある。チューブの接合端部が溶融不足や溶融過多になると、接合不良が起こる恐れがある。
【0008】
このことを回避するために、チューブをクランプした後に、チューブが所定位置にあるか否かを何らかの方法で測定することが考えられるが、このようにした場合には作業が煩雑になるとともに、測定する者によって測定結果が異なることもあり、接合不良を確実に回避できるとは限らない。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、第1及び第2チューブの接合端部を溶融して接合する場合に、使用者間の取扱いの差によらず接合不良を確実に回避できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の発明は、加熱によって溶融する樹脂材からなる第1及び第2チューブの端部同士を溶着することにより接合するように構成されたチューブ接合装置において、上記第1チューブを、該第1チューブの接合端部が突出した状態でクランプする第1クランプ部と、上記第2チューブを、上記第1チューブの接合端部と対向するように突出させた状態でクランプする第2クランプ部と、上記第1及び第2クランプ部を、上記第1及び第2チューブの接合端部が互いに接離する方向に駆動するクランプ駆動部と、上記第1及び第2チューブの接合端部を溶融する温度まで加熱され、該接合端部を溶融するための加熱部材と、上記クランプ駆動部を制御する制御部とを備え、上記制御部は、上記クランプ駆動部によって上記第1及び第2クランプ部を互いに離れる方向に移動させた離間位置と、接合端部同士が当接する当接位置とに切り替え、離間位置にあるときの両クランプ部の離間距離から当接位置にあるときの両クランプ部の離間距離を差し引いて上記第1及び第2チューブの接合端部の突出度合いを得て、得られた突出度合いと、接合不良の回避が可能な予め設定された突出度合いの適正範囲とを比較し、得られた突出度合いが適正範囲外である場合に報知するように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
この構成によれば、第1及び第2クランプ部を離間位置と当接位置とに切り替え、両クランプ部の離間距離に基づいて第1及び第2チューブの接合端部の突出度合いが得られる。そして、得られた突出度合いが適正範囲外である場合に報知されるので、チューブが所定位置からずれたまま接合されてしまうのが回避される。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、制御部は、第1及び第2クランプ部を離間位置から当接位置まで移動させる際に、離間位置と当接位置との間の中間位置まで第1の速度で移動させ、中間位置から当接位置まで第1の速度よりも遅い第2の速度で移動させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
この構成によれば、第1及び第2クランプ部を離間位置から当接位置まで移動させる際に、第1及び第2クランプ部の移動速度を遅くした状態で第1及び第2チューブの接合端部同士を当接させることが可能になる。これにより、第1及び第2チューブの接合端部同士が当接した際に接合端部の変形が殆ど無くなるので、接合端部の変形によって生じる両クランプ部の離間距離の誤差が小さくなる。
【0014】
また、離間位置から中間位置までは第1及び第2クランプ部が速く移動するので、離間位置から当接位置に切り替えるのに要する時間が長時間化することはない。
【0015】
第3の発明は、第1の発明において、クランプ駆動部は、第1及び第2クランプ部を駆動するためのモータを備え、制御部は、上記モータを台形制御するものであり、台形制御における減速開始位置を予め予測された当接位置よりも離間位置に近い位置に設定することを特徴とするものである。
【0016】
この構成によれば、モータの減速開始位置が当接位置よりも離間位置に近いことで、第1及び第2チューブの接合端部同士が当接するまでに第1及び第2クランプ部の移動速度を低下させることが可能になる。これにより、第1及び第2チューブの接合端部同士が当接した際に接合端部の変形が殆ど無くなるので、接合端部の変形によって生じる両クランプ部の離間距離の誤差が小さくなる。
【0017】
第4の発明は、第1の発明において、クランプ駆動部は、第1及び第2クランプ部を駆動するためのモータを備え、制御部は、上記モータを台形制御するものであり、離間位置から当接位置まで上記モータの起動及び停止を複数回繰り返すように構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
この構成によれば、第1及び第2クランプ部を駆動するためのモータの起動及び停止を複数回繰り返すようにしたので、第1及び第2クランプ部の移動時の最高速度を低下させることが可能になる。これにより、第1及び第2チューブの接合端部同士が当接した際に接合端部の変形が殆ど無くなるので、接合端部の変形によって生じる両クランプ部の離間距離の誤差が小さくなる。
【0019】
第5の発明は、第1の発明において、クランプ駆動部は、第1及び第2クランプ部を駆動するためのモータを備え、制御部は、第1及び第2クランプ部を当接位置にする第1当接制御を行ってから上記クランプ駆動部による駆動力を除去し、その後、上記第1及び第2クランプ部を上記第1当接制御よりも遅い速度で当接位置まで移動させる第2当接制御を行うことを特徴とするものである。
【0020】
この構成によれば、第1当接制御により第1及び第2クランプ部を当接位置にした後、クランプ駆動部の駆動力を除去することで、第1及び第2チューブの接合端部同士が無理な力で押し付けられたままになるのが回避される。そして、第1及び第2チューブの接合端部の弾性力によって第1及び第2クランプ部が互いに離間する方向に押し戻されることになる。その後、第2当接制御により第1及び第2クランプ部を再度当接位置にするときには、移動速度が遅くなるので、第1及び第2チューブの接合端部同士を当接させたときに接合端部の変形量が小さくなり、接合端部の変形によって生じる両クランプ部の離間距離の誤差が小さくなる。
【0021】
第6の発明は、第1から5のいずれか1つの発明において、制御部は、離間位置にあるときの両クランプ部の離間距離と、当接位置にあるときの両クランプ部の離間距離とを複数回測定し、測定結果の平均値を用いて第1及び第2チューブの接合端部の突出度合いを得ることを特徴とするものである。
【0022】
この構成によれば、誤差がより一層小さくなる。
【0023】
第7の発明は、加熱によって溶融する樹脂材からなる第1及び第2チューブの端部同士を溶着することにより接合するように構成されたチューブ接合装置において、上記第1チューブを、該第1チューブの接合端部が突出した状態でクランプする第1クランプ部と、上記第2チューブを、上記第1チューブの接合端部と対向するように突出させた状態でクランプする第2クランプ部と、上記第1及び第2クランプ部を、上記第1及び第2チューブの接合端部が互いに接離する方向に駆動するクランプ駆動部と、上記第1及び第2チューブの接合端部を溶融する温度まで加熱されて該端部を溶融するための加熱部材と、上記クランプ駆動部を制御する制御部とを備え、上記制御部は、上記第1及び第2チューブの接合端部が上記加熱部材に接触するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させる第1溶融制御と、第1溶融制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部の溶融した部分を除去する除去制御と、除去制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部が上記加熱部材に接触するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させる第2溶融制御と、上記第2溶融制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部同士が当接するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させて接合するチューブ接触制御とを行うとともに、上記第1溶融制御、上記除去制御、上記第2溶融制御の少なくとも1つの制御において上記第1及び第2クランプ部の離間距離を得て、得られた離間距離と、当該制御における予め設定された適正範囲とを比較し、得られた離間距離が適正範囲外である場合に報知するように構成されていることを特徴とするものである。
【0024】
この構成によれば、第1溶融制御や、除去制御、第2溶融制御において第1クランプ部と第2クランプ部との離間距離が適正範囲外である場合には報知されることになる。これにより、第1及び第2チューブを接合する前に、第1クランプ部と第2クランプ部との離間距離が適正範囲外であることが分かるので、チューブが所定位置からずれたまま接合されてしまうのが回避される。
【0025】
第8の発明は、加熱によって溶融する樹脂材からなる第1及び第2チューブの端部同士を溶着することにより接合するように構成されたチューブ接合装置において、上記第1チューブを、該第1チューブの接合端部が突出した状態でクランプする第1クランプ部と、上記第2チューブを、上記第1チューブの接合端部と対向するように突出させた状態でクランプする第2クランプ部と、上記第1及び第2クランプ部を、上記第1及び第2チューブの接合端部が互いに接離する方向に駆動するクランプ駆動部と、上記第1及び第2チューブの接合端部を溶融する温度まで加熱されて該端部を溶融するための加熱部材と、
上記クランプ駆動部を制御する制御部とを備え、上記制御部は、上記第1及び第2チューブの接合端部が上記加熱部材に接触するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させる第1溶融制御と、第1溶融制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部の溶融した部分を除去する除去制御と、除去制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部が上記加熱部材に接触するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させる第2溶融制御と、上記第2溶融制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部同士が当接するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させて接合するチューブ接触制御とを行うとともに、上記第1溶融制御、上記除去制御、上記第2溶融制御の少なくとも1つの制御において上記第1及び第2クランプ部の離間距離を得て、得られた離間距離と、当該制御における予め設定された適正範囲とを比較し、得られた離間距離が適正範囲外である場合に、得られた離間距離の適正範囲との差を求め、当該制御の後に行う制御において上記差に基づいて上記第1及び第2クランプ部の離間距離を補正するように構成されていることを特徴とするものである。
【0026】
この構成によれば、第1溶融制御や、除去制御、第2溶融制御において第1及び第2クランプ部の離間距離が適正範囲外である場合に、その差が得られる。そして、その差に基づいて、その後の制御で第1及び第2クランプ部の離間距離が補正されるので、チューブが所定位置からずれたまま接合されてしまうのが回避される。
【発明の効果】
【0027】
第1の発明によれば、第1及び第2クランプ部が離間位置にあるときの両クランプ部の離間距離と、第1及び第2チューブの接合端部同士が当接する当接位置にあるときの両クランプ部の離間距離とに基づいて第1及び第2チューブの接合端部の突出度合いを得て、得られた突出度合いが適正範囲外である場合に報知するようにしているので、使用者間の取扱いの差によらず接合不良を確実に回避できる。
【0028】
第2の発明によれば、第1及び第2クランプ部を離間位置から当接位置まで移動させる際に、中間位置まで第1の速度で移動させ、中間位置から当接位置まで第1の速度よりも遅い第2の速度で移動させるようにしたので、当接位置に切り替えるのに要する時間が長時間とならないようにしながら、誤差を小さくして正確な報知を行うことができる。
【0029】
第3の発明によれば、第1及び第2クランプ部を駆動するためのモータを台形制御し、減速開始位置を、予め予測された当接位置よりも離間位置に近い位置に設定したので、誤差を小さくして正確な報知を行うことができる。
【0030】
第4の発明によれば、第1及び第2クランプ部を駆動するためのモータを台形制御し、モータの起動及び停止を複数回繰り返すようにしたので、接合端部同士を当接させた際に該接合端部の変形を抑制でき、誤差を小さくして正確な報知を行うことができる。
【0031】
第5の発明によれば、第1及び第2クランプ部を当接位置にする第1当接制御を行ってからクランプ駆動部の駆動力を除去し、その後、第1及び第2クランプ部を第1当接制御よりも遅い速度で当接位置まで駆動するようにしたので、誤差を小さくして正確な報知を行うことができる。
【0032】
第6の発明によれば、離間位置にあるときの両クランプ部の離間距離と、当接位置にあるときの両クランプ部の離間距離とを複数回測定して平均値を用いて第1及び第2チューブの接合端部の突出度合いを得るようにしたので、誤差を小さくして正確な報知を行うことができる。
【0033】
第7の発明によれば、第1溶融制御、除去制御、第2溶融制御の少なくとも1つの制御において第1及び第2クランプ部の離間距離が適正範囲外である場合には報知するようにしているので、煩雑な作業を必要とせずに接合不良を確実に回避できる。
【0034】
第8の発明によれば、第1溶融制御、除去制御、第2溶融制御の少なくとも1つの制御において第1及び第2クランプ部の離間距離が適正範囲外である場合にその差を求め、当該制御の後に行う制御で第1及び第2クランプ部の離間距離を補正するので、煩雑な作業を必要とせずに接合不良を確実に回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施形態にかかるチューブ接合装置の使用状態を説明する図である。
【図2】カバーを閉じた状態のチューブ接合装置の平面図である。
【図3】カバーを開けた状態の図2相当図である。
【図4】クランプ機構を示す平面図である。
【図5】操作パネル部の拡大図である。
【図6】チューブ接合装置のクランプ機構の近傍を拡大して示す平面図である。
【図7】チューブがセットされた状態の図6相当図である。
【図8】チューブをクランプした状態の図6相当図である。
【図9】ウエハの側面図である。
【図10】ウエハの平面図である。
【図11】ウエハの斜視図である。
【図12】ホルダが装着されたウエハの側面図である。
【図13】チューブ接合装置のブロック図である。
【図14】クランプ機構が当接位置にある状態の図6相当図である。
【図15】接合制御におけるウエハとクランプ機構のタイムチャートである。
【図16】ウエハのウイング部をチューブの接合端部に対向させた状態の図6相当図である。
【図17】チューブの接合端部をウイング部で溶融している状態の図6相当図である。
【図18】チューブの接合端部の一部を除去している状態の図6相当図である。
【図19】チューブの接合端部を溶融部で溶融している状態の図6相当図である。
【図20】切断制御におけるウエハとクランプ機構のタイムチャートである。
【図21】接合前のチューブとウエハとの位置関係を示す図である。
【図22】チューブの接合端部の一部を除去している状態の図21相当図である。
【図23】切断制御を行う場合の図6相当図である。
【図24】切断制御を行う場合の図7相当図である。
【図25】切断制御を行う場合の図8相当図である。
【図26】切断制御を行う場合の図21相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0037】
図1は、本発明の実施形態にかかるチューブ接合装置1の使用状態を示す図である。チューブ接合装置1は、CAPD患者の腹部に埋め込まれた腹部側チューブ(第1チューブ)100と、透析液を収容するバッグ101a,101bから延びるバッグ側チューブ(第2チューブ)102とを接合する際に用いられるものである。
【0038】
腹部側チューブ100には、ストッパ103と、ローラークランプ104とが設けられている。バッグ側チューブ102の基端側は2つのチューブ102a,102bに分岐されており、チューブ102aは排液用バッグ101aに接続され、チューブ102bは透析液バッグ101bに接続されている。チューブ102aには、排液側クランプ106が設けられている。チューブ102bには、ストッパ107及び注液側クランプ108が設けられている。腹部側チューブ100及びバッグ側チューブ102は、加熱により溶融する周知の樹脂材で構成されている。
【0039】
図3に示すように、チューブ接合装置1は、左側クランプ機構(第1クランプ部)10と、右側クランプ機構(第2クランプ部)11と、クランプ機構駆動モータ(クランプ駆動部)13と、チューブ100,102を加熱するためのウエハ(加熱部材)16(図9〜図12に示す)と、ウエハ16を保持して搬送するキャリッジ14と、キャリッジ14を駆動するキャリッジ駆動機構17と、ウエハ16を加熱するためのウエハ加熱ヒータ40と、クランプ機構駆動モータ13とキャリッジ駆動機構17とウエハ加熱ヒータ40とを制御する制御部15と、これらを収容するケース19とを備えている。
【0040】
ケース19は、箱状部材19aと、箱状部材19aの上方を覆うカバー19b(図2にも示す)とを備えている。
【0041】
尚、各図に示すように、チューブ接合装置1の右側とは、使用時にチューブ100,102をセットする際に使用者から見て右となる側をいい、また、チューブ接合装置1の左側とは、使用時にチューブ100,102をセットする際に使用者から見て左となる側をいうものとする。また、チューブ接合装置1の手前側とは、使用時にチューブ100,102をセットする際に使用者から見て手前となる側をいい、また、チューブ接合装置1の奥側とは、使用時にチューブ100,102をセットする際に使用者から見て奥となる側をいうものとする。
【0042】
左側クランプ機構10は、箱状部材19aの左側に配置され、右側クランプ機構11は右側に配置されている。
【0043】
左側クランプ機構10は、腹部側チューブ100とバッグ側チューブ102の一方をクランプし、右側クランプ機構11は他方をクランプする。この実施形態の説明では、左側クランプ機構10で腹部側チューブ100をクランプし、右側クランプ機構11でバッグ側チューブ102をクランプする場合について説明するが、その反対であってもよい。
【0044】
左側クランプ機構10は、ベース部20と、押さえカバー21と、ストッパ22とを備えている。ベース部20は、箱状部材19aに対して左右方向にのみ移動可能にスライドレール等を介して取り付けられている。ベース部20の上面には、腹部側チューブ100又はバッグ側チューブ102が嵌る溝部20aが形成されている。溝部20aは、ベース部20の左右方向に真っ直ぐに延びており、ベース部20の左右両側面に開放されている。
【0045】
溝部20aの右端部の幅は、他の部分に比べて広くなっている。これは、腹部側チューブ100及びバッグ側チューブ102を接合する際に、溝部20aの右端部にチューブ100,102の閉塞部分を嵌めるためである。すなわち、接合前のチューブ100,102の端部は、径方向に押し潰されたまま溶着されて閉塞されているので、端部のみが幅広な形状となっており、この端部の形状に対応するように溝部20aを形成している。
【0046】
押さえカバー21は、ベース部20上面の全体を覆う形状とされている。押さえカバー21の奥側部分がベース部20の奥側部分に対して左右方向に延びる支軸21aを介して回動可能に取り付けられている。押さえカバー21は、支軸21a周りに回動してベース部20の上面を開放した状態(図4、図6、図7に示す開状態)と、上面を覆った状態(図8に示す閉状態)とに切り替えられる。押さえカバー21は、ベース部20の上面を覆った状態でロック機構(図示せず)によりロックされて開放方向に回動しないようになっている。このロック機構は、使用者が容易に解除できるようになっている。
【0047】
押さえカバー21の右側には、チューブ100,102を上方から押さえるための押さえ部材21bが設けられている。押さえ部材21bは、押さえカバー21が閉状態にあるときにチューブ100,102を溝部20aの底面と共に押し潰して閉塞状態にするためのものである。
【0048】
図7に示すように、ストッパ22は、チューブ100,102の軸線方向についての位置決めを行うためのものである。ストッパ22は、左側に開放する略コ字状に形成されており、ベース部20の右側面から右側へ突出するように取り付けられている。ストッパ22の内側の面には、腹部側チューブ100の接合端部が接触する平坦な接触面22aが形成されている。チューブ100は、接合端部が接触面22aに接触することにより軸線方向の位置決めがなされ、この状態で、接合端部がベース部20の右側面から右側へ突出した状態となる。
【0049】
ストッパ22の左端部は、箱状部材19aの奥行き方向に延びる支軸(図示せず)を介してベース部20に回動可能に支持されている。そして、ストッパ22はその支軸周りに回動することにより、チューブ100,102を位置決めするストッパ位置(図6及び図7に示す)と、ストッパ位置から下方へ退避した退避位置(図8に示す)とに切り替えられるようになっている。図8に示すように、退避位置にあるときには、チューブ100の接合端部がストッパ22よりも右側へ突出することになる。
【0050】
右側クランプ機構11は、左側クランプ機構10と左右対称構造とされており、ベース部23と、押さえカバー24と、ストッパ25とを備え、ベース部23には溝部23aが形成され、押さえカバー24には支軸24a及び押さえ部材24bが設けられ、ストッパ25には接触面25aが形成されている。右側クランプ機構11の溝部23aの延長線と、左側クランプ機構10の溝部20aの延長線とは、高さ方向及び奥行き方向の両方向で略一致するようになっている。
【0051】
クランプ機構駆動モータ13は、左側クランプ機構10を左右方向に移動させるためのものであり、周知のサーボモータで構成されている。図13に示すように、クランプ機構駆動モータ13は、制御部15に接続されており、制御部15から出力される制御信号に基づいて作動するようになっている。
【0052】
クランプ機構駆動モータ13の回転は周知の動力変換機構(例えばラックアンドピニオン機構)によって直線運動に変換されて左側クランプ機構10及び右側クランプ機構11に伝達されるようになっている。左側クランプ機構10及び右側クランプ機構11は、クランプ機構駆動モータ13が回転すると、同時に同じ量だけ左右方向に移動する。このとき、左側クランプ機構10が左側へ移動すれば、右側クランプ機構11は右側へ移動し、一方、左側クランプ機構10が右側へ移動すれば、右側クランプ機構11は左側へ移動するようになっている。つまり、左側クランプ機構10及び右側クランプ機構11は、共通のクランプ機構駆動モータ13により駆動されて互いに接離する方向に移動する。これにより、腹部側チューブ100及びバッグ側チューブ102の接合端部を互いに接離する方向に移動させることが可能になる。
【0053】
左側クランプ機構10及び右側クランプ機構11の移動距離は、クランプ機構駆動モータ13から出力されるエンコーダパルスに基づいて間接的に得られるようになっている。
【0054】
ウエハ16は、無酸素銅の板材で構成されており、図9に示す側面視で左右方向に長い略矩形状とされている。ウエハ16の板厚は、約0.5mmに設定されている。
【0055】
ウエハ16は、略鉛直に延びる姿勢でホルダ200(図12に示す)を介して装置1に着脱可能に取り付けられる。図10及び図11に示すように、ウエハ16の上部の長手方向中間部には、板厚方向両側へそれぞれ延出するウイング部30,30が形成されている。ウイング部30,30の延出長さB(図10に示す)は、ウエハ16の本体部分の表面から1mm程度に設定されている。また、ウイング部30,30の幅W(図10に示す)は、チューブ100,102の閉塞状態にある端部の幅C(図8に示す)よりも若干狭く設定されている。
【0056】
図9に示すように、ウエハ16の上部におけるウイング部30,30よりも長手方向一側の仮想線31で囲んだ部分は、チューブ100,102を切断するための切断部とされている。切断部31は、鉛直方向に略平坦に延びている。
【0057】
図10及び図11に示すように、ウエハ16の上部におけるウイング部30,30よりも長手方向他側の部分には、板厚方向両側へそれぞれ膨出する膨出部32,32が形成されている。膨出部32,32とウイング部30,30とは、ウエハ16の長手方向に間隔をあけて配置されている。
【0058】
膨出部32,32の膨出寸法D(図10に示す)は、ウエハ16の本体部分の表面から1mm〜2mm程度に設定されている。膨出部32,32におけるウエハ16の長手方向一側は開放されている。膨出部32,32は、詳細は後述するが、接合前のチューブ100,102の端部の溶融部分における一部をすくい取って除去するためものである。
【0059】
図9に示すように、ウエハ16の上部における膨出部32,32よりも長手方向他側の仮想線33で囲んだ部分は、チューブ100,102を溶融するための溶融部とされている。溶融部33は、ウエハ16の両面にそれぞれ設けられており、鉛直方向に略平坦に延びている。
【0060】
上記ウイング部30,30、切断部31、膨出部32,32及び溶融部33,33は、同一高さに配置されている。
【0061】
ウエハ16における切断部31の下方には、貫通孔34が形成されている。貫通孔34には、キャリッジ14が有している係合部(図示せず)が係合するようになっている。キャリッジ14の係合部は、ウエハ16に係脱自在となっており、キャリッジ14の係合部をウエハ16に係合させてウエハ16をキャリッジ14でキャッチできるようになっている。
【0062】
また、図12に示すように、ウエハ16には樹脂製のホルダ200が取り付けられている。ウエハ16は、ホルダ200と一緒に装置1に取り付けられる。尚、ウエハ16をホルダ200に対しスライドさせることでウエハ16をホルダ200から容易に外すことができるようになっている。
【0063】
図3に示すように、キャリッジ駆動機構17は、キャリッジ14を箱状部材19aの内部で保持して奥行き方向に移動させるように構成されている。つまり、ウエハ16をキャリッジ14でキャッチすることで、ウエハ16をキャリッジ駆動機構17により箱状部材19aの内部で奥行き方向に移動できる。
【0064】
キャリッジ駆動モータ41は、周知のサーボモータで構成されている。キャリッジ駆動モータ41の回転は周知の動力変換機構(例えばネジ送り機構)によって直線運動に変換されてキャリッジ14に伝達される。キャリッジ駆動モータ41は、制御部15に接続されており、制御部15から出力される制御信号に基づいて作動するようになっている。
【0065】
ウエハ加熱ヒータ40は、箱状部材19aの内部において手前側に位置している。ウエハ加熱ヒータ40の発熱部位よりも手前側には、ウエハ16を挿入可能な挿入孔40aが形成されている。この挿入孔40aにウエハ16を挿入することでウエハ16が装置1にセットされた状態となる。このウエハ16のセット時には、ホルダ200も一緒である。
【0066】
ウエハ加熱ヒータ40は、例えば電熱線等のように電流を流すことによって発熱する発熱体で構成されている。ウエハ加熱ヒータ40は、ウエハ16の温度をチューブ100,102の溶融温度以上(例えば300℃程度)に加熱できる能力を有している。図13に示すように、ウエハ加熱ヒータ40は制御部15に接続されており、制御部15から出力される制御信号に基づいて作動するようになっている。
【0067】
図3に示すように、ケース19の箱状部材19aには、ウエハ16が挿入されて案内されるウエハ挿入溝43が形成されている。ウエハ挿入溝43は、箱状部材19aの奥行き方向に延びている。ウエハ16は、ウエハ挿入溝43に挿入された状態で奥行き方向に案内されるようになっている。
【0068】
また、箱状部材19aの内部には、電池45(図13に示す)が収容されるようになっている。各モータ13,41及びヒータ40には、電池45から電流が供給されるようになっている。尚、電源は電池45に限られるものではなく、例えば、家庭用AC電源から供給するように構成してもよい。
【0069】
図2及び図3に示すように、ケース19の上面には、操作パネル部19cが設けられている。操作パネル部19cには、図5に拡大して示すように操作ボタン46及びランプ47が設けられている。図13に示すように、操作ボタン46及びランプ47は制御部15に接続されている。操作ボタン46は本チューブ接合装置1の動作を開始する際に操作するためのものである。ランプ47は、加熱状態のときに点灯するようになっている。
【0070】
図3に示すように、ケース19には、チューブ100,102のセットが異常である場合に周囲の者に報知するためのブザー48が設けられている。図13に示すように、ブザー48は制御部15に接続されている。
【0071】
制御部15は、クランプ機構駆動モータ13、ウエハ加熱ヒータ40、キャリッジ駆動モータ41及びブザー48を制御するように構成されている。制御部15は、周知のマイクロコンピュータで構成することができる。また、制御部15は、クランプ機構駆動モータ13を作動させる際、作動開始時には回転速度を徐々に上昇させて目標回転速度にし、作動を停止させるときには回転速度を徐々に低下させて停止させる、いわゆる台形制御を行うように構成されている。
【0072】
制御部15は、腹部側チューブ100及びバッグ側チューブ102を接合する接合制御と、腹部側チューブ100又はバッグ側チューブ102を切断する切断制御との両方を行うことができるように構成されている。接合制御と切断制御とは、操作ボタン46の操作により、使用者が任意に切り替え選択できるようになっている。
【0073】
接合制御では、準備制御と、第1溶融制御と、除去制御と、第2溶融制御と、チューブ接触制御とを行う。準備制御は、チューブ100,102がクランプ機構10,11の所定位置にクランプされているか否かを検査するとともに、ウエハ16を所定位置にして加熱する制御である。準備制御では、クランプ機構駆動モータ13を作動させて、左側及び右側クランプ機構10,11を次のように移動させる。まず、図8に示すように、左側及び右側クランプ機構10,11を、互いが離間する方向の限界位置(離間位置)まで移動させる。その後、左側及び右側クランプ機構10,11を、互いが接近する方向に移動させていく。図14に示すように、チューブ100,102の接合端部が当接した位置(当接位置)で左側及び右側クランプ機構10,11を停止させる。チューブ100,102の接合端部が接したタイミングは、クランプ機構駆動モータ13に負荷がかかって電流値が増加したことを制御部15が検出することによって判断する。図15の右側に、左側及び右側クランプ機構10,11の動きを示す。
【0074】
そして、制御部15は、離間位置にあるときの左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離X1(図8に示す)から当接位置にあるときの左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離X2(図14に示す)を差し引く。得られた値は、チューブ100,102の突出量を表す値であり、これに基づいてチューブ100,102の接合端部の左側及び右側クランプ機構10,11からの突出度合いを得ることができる。
【0075】
制御部15には、チューブ100,102の接合端部の突出度合いの適正範囲が記憶されている。適正範囲とは、チューブ100,102の接合端部の突出度合いが、第1溶融制御、除去制御、第2溶融制御、チューブ接触制御を適切に行うことができる範囲である。適正範囲は、チューブ100,102の接合端部の突出度合いを様々に変えて各制御を行った場合に、最終的に正常に接合できるか否かに基づいて予め設定されている。
【0076】
また、制御部15には、左側及び右側クランプ機構10,11を目標位置とするための値である目標値も記憶されている。目標値は、第1溶融制御、除去制御、第2溶融制御、チューブ接触制御の各制御において、左側及び右側クランプ機構10,11を目標位置とするための値であり、左側及び右側クランプ機構10,11は、この目標値に基づいて駆動される。
【0077】
制御部15は、チューブ100,102の接合端部の突出度合いが適正範囲に無いと判断した場合には、接合が確実に行えない可能性が高いので、ブザー48を鳴らして異常である旨を周囲の者に報知する。適正範囲にある場合には、次の第1溶融制御を行う。
【0078】
異常である旨の報知が行われることで、作業者はチューブ100,102の位置を確認して正しい位置にクランプし直すことが可能になる。
【0079】
また、準備工程では、初めにキャリッジ14は箱状部材19aの奥側(待機位置)に位置している。この待機位置にあるキャリッジ14を手前側に移動させて、ウエハ加熱ヒータ40の挿入孔40aにセットしてあるウエハ16をキャッチする。
【0080】
その後、ウエハ16を箱状部材19a内の奥側へ向けて移動させてウエハ加熱ヒータ40の内部においてヒータに対応する部分に配置する。尚、ホルダ200は挿入孔40a内に残ったままとなる。そして、キャリッジ14を停止する。図15に示すタイミングでウエハ加熱ヒータ40を作動させてウエハ16を加熱する。制御部15は、このとき、同図に示すように、左側及び右側クランプ機構10,11はチューブ100,102の接合端部が互いに離れるように位置付けておく。
【0081】
第1溶融制御は、チューブ100,102の接合端部を溶融させるための制御である。第1溶融制御では、キャリッジ駆動モータ41を作動させてウエハ16を箱状部材19aの奥側へ移動させて(図15のaで示す領域)、図16に示すようにウイング部30,30をチューブ100,102の接合端部と対向させる。
【0082】
その後、クランプ機構駆動モータ13を作動させて、左側及び右側クランプ機構10,11を互いに接近する方向に移動させ(図15のbで示す領域)、図17に示すようにチューブ100,102の接合端部をウイング部30,30に押し付ける。ウイング部30,30が加熱されているので、ウイング部30,30がチューブ100,102の接合端部を溶融させ、チューブ100,102内に入り込む。
【0083】
除去制御は、第1溶融制御の後に行う。除去制御では、左側及び右側クランプ機構10,11を第1溶融制御時の位置から移動させずに、ウエハ16を箱状部材19aの奥側に移動させる(図15にcで示す領域)。ウエハ16を奥側に移動させていくと、膨出部32,32の開放部分がチューブ100,102の接合端部に接触する。この接合端部は溶融しているので、膨出部32,32の開放部分によって溶融部分の一部が掻き取られて除去される。
【0084】
第2溶融制御は、除去制御の後に行われる。第2溶融制御では、ウエハ16を箱状部材19aの奥側に移動させていき、ウエハ16の溶融部33,33をチューブ100,102の接合端部に対向させる。そして、図19に示すように、左側及び右側クランプ機構10,11を互いに接近する方向に移動させ、チューブ100,102の接合端部をウエハ16の溶融部33,33に接触させ、そのまま所定時間保持する。この所定時間は、チューブ100,102の接合端部が十分に溶融する程度の時間である。
【0085】
チューブ接触制御は、第2溶融制御の後に行われる。チューブ接触制御は、ウエハ16を箱状部材19aの奥側に移動させていき、ウエハ16をチューブ100,102の接合端部の間から抜く。そして、左側及び右側クランプ機構10,11を互いに接近する方向に移動させ、チューブ100,102の接合端部同士を接触させ、そのまま所定時間保持する。この所定時間は、チューブ100,102の接合端部が冷却されて固化するのに要する時間である。以上が接合制御である。
【0086】
一方、切断制御では、準備制御と、溶断制御と、溶融制御と、除去制御とを行う。準備制御は、まず、図20に示すように、左側及び右側クランプ機構10,11を、互いが離間する方向の限界位置(離間位置)まで移動させるように制御する。しかし、このとき、チューブ100又は102がクランプされているので、左側及び右側クランプ機構10,11はチューブの弾性による伸び分しか移動しない(破線で示す)。その後、左側及び右側クランプ機構10,11を元の位置に戻すように制御する。
【0087】
また、上述した接合制御の場合と同様にしてウエハ16をキャリッジ14でキャッチし、ウエハ16を箱状部材19a内の奥側へ移動させてウエハ加熱ヒータ40の内部に収容し、ウエハ加熱ヒータ40を作動させてウエハ16を加熱する。
【0088】
溶断制御は、準備制御の後に行われる。溶断制御では、左側及び右側クランプ機構10,11を互いに離れる方向に移動させながら、ウエハ16を箱状部材19aの奥側に移動させて切断部31をチューブ100に押し付ける。切断部31は加熱されているので、チューブ100が溶断される。
【0089】
溶融制御は、溶断制御の後に行われる。溶融制御では、キャリッジ駆動モータ41を作動させてウエハ16を箱状部材19aの奥側へ移動させて、ウイング部30,30をチューブ100,102の接合端部と対向させる。
【0090】
その後、クランプ機構駆動モータ13を作動させて、左側及び右側クランプ機構10,11を互いに接近する方向に移動させ、チューブ100,102の接合端部をウイング部30,30に押し付ける。ウイング部30,30が加熱されているので、ウイング部30,30がチューブ100,102の接合端部を溶融させ、チューブ100,102内に入り込む。
【0091】
除去制御は、溶融制御の後に行う。除去制御では、ウエハ16を箱状部材19aの奥側に移動させる。ウエハ16を手間側に移動させていくと、膨出部32,32の開放部分がチューブ100,102の接合端部に接触する。この接合端部は溶融しているので、その溶融部分に一部が膨出部32,32の開放部分によって掻き取られて除去される。残った溶融部分は冷却して固化し、これにより、チューブ100が閉塞状態でシールされる。
【0092】
次に、上記のように構成されたチューブ接合装置1を用いて腹部側チューブ100及びバッグ側チューブ102を接合する場合について説明する。チューブ接合装置1の制御モードは操作ボタン46の操作によって接合制御を選択しておく。
【0093】
初めに、腹部側チューブ100及びバッグ側チューブ102を左側クランプ機構10及び右側クランプ機構11にクランプする。まず、図6に示すように、左側クランプ機構10の押さえカバー21を開状態にするとともに、右側クランプ機構11の押さえカバー24を開状態にする。ストッパ22,25はストッパ位置となる。
【0094】
図7に示すように、腹部側チューブ100の接合端部をストッパ22の接触面22aに当てて位置決めした後、チューブ100をベース部20の溝部20aに押し込む。そして、図8に示すように押さえカバー21を閉状態にする。押さえカバー21を閉状態にすると、押さえ部材21bと溝部20aの底面とによってチューブ100が径方向に押し潰される。これにより、腹部側チューブ100が左側クランプ機構10にクランプされた状態になり、腹部側チューブ100の接合端部は左側クランプ機構10から右側へ突出する。
【0095】
バッグ側チューブ102も同様にして右側クランプ機構11にクランプする。バッグ側チューブ102の接合端部は右側クランプ機構11から左側へ突出する。腹部側チューブ100,バッグ側チューブ102及びウエハ16の位置関係は図21に示すようになる。
【0096】
チューブ100,102をクランプした後に、カバー19bをセットして操作ボタン46を操作する。
【0097】
制御部15は、接合制御における準備制御を行う。すなわち、左側及び右側クランプ機構10,11を図8に示す離間位置まで移動させた後、図14に示す当接位置まで移動させる。そして、離間位置にあるときの左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離X1から当接位置にあるときの左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離X2を差し引いて、チューブ100,102の突出度合いを得る。
【0098】
制御部15は、チューブ100,102の接合端部の突出度合いが適正範囲に無いと判断した場合には、ブザー48を鳴らして異常である旨を周囲の者に報知する。適正範囲に無い原因としては、チューブ100をクランプする際に、チューブ100の接合端部をストッパ22に強く当ててしまい、チューブ100の接合端部が変形したままクランプされた場合や、チューブ100の接合端部がストッパ22に当たらない状態でクランプされた場合がある。
【0099】
つまり、チューブ100,102が軸線方向にずれた状態でクランプされた場合には、そのことを使用者が把握してクランプし直すことができるので、チューブ100,102がずれたまま、後の制御が行われることはなく、接合不良を回避できる。
【0100】
その後、第1溶融制御を行い、図17に示すようにウイング部30,30によってチューブ100,102の接合端部を溶融させる。
【0101】
しかる後、除去制御を行い、図18に示すようにチューブ100,102の接合端部の一部を掻き取って除去する。腹部側チューブ100,バッグ側チューブ102及びウエハ16の位置関係は図22に示すようになる。
【0102】
次いで、第2溶融制御を行い、図19に示すようにチューブ100,102の接合端部をウエハ16の溶融部33,33に接触させ溶融させる。
【0103】
そして、チューブ接触制御を行い、チューブ100,102の接合端部同士を接触させて固化させる。以上で腹部側チューブ100及びバッグ側チューブ102が接合される。
【0104】
尚、ウエハ16及びホルダ200は、1回の使用で装置1から取り外して廃棄する。
【0105】
次に、上記チューブ接合装置1を用いて腹部側チューブ100を切断する場合について説明する。チューブ接合装置1の制御モードは切断制御としておく。このとき、図23に示すように左側クランプ機構10と右側クランプ機構11とは接近しており、ストッパ22,25は、退避位置となる。
【0106】
図24に示すように、腹部側チューブ100を左側クランプ機構10の溝部20a及び右側クランプ機構11の溝部23aに押し込む。そして、図25に示すように、押さえカバー21,24を閉状態にする。押さえカバー21,24を閉状態にすると、押さえ部材21b,24bと溝部20a,23aの底面とによってチューブ100が径方向に押し潰される。これにより、腹部側チューブ100が左側クランプ機構10及び右側クランプ機構11にクランプされた状態となる。腹部側チューブ100,バッグ側チューブ102及びウエハ16の位置関係は図26に示すようになる。
【0107】
チューブ100をクランプした後に、カバー19bをセットして操作ボタン46を操作する。
【0108】
すると、準備制御の後、溶断制御を行い、チューブ100が溶断される。
【0109】
その後、溶融制御を行い、ウイング部30,30によってチューブ100,102の接合端部を溶融させる。
【0110】
次いで、除去制御を行い、チューブ100,102の接合端部の一部を掻き取って除去する。その後、残った溶融部分は冷却して固化し、これにより、チューブ100が閉塞状態でシールされる。
【0111】
以上説明したように、この実施形態にかかるチューブ接合装置1によれば、左側及び右側クランプ機構10,11が離間位置にあるときの両クランプ機構10,11の離間距離X1と、チューブ100.102の接合端部同士が当接する当接位置にあるときの両クランプ機構10,11の離間距離X2とに基づいてチューブ100,102の接合端部の突出度合いを得て、得られた突出量が適正範囲外である場合に報知するようにしているので、チューブ100,102の接合端部が軸方向について所定位置からずれたままで接合されることはなく、接合不良を確実に回避できる。
【0112】
尚、制御部15は、接合制御時、左側及び右側クランプ機構10,11を離間位置から当接位置まで移動させる際に、離間位置と当接位置との間の中間位置まで第1の速度で移動させ、中間位置から当接位置まで第1の速度よりも遅い第2の速度で移動させるように構成してもよい。
【0113】
これにより、左側及び右側クランプ機構10,11が離間位置から中間位置まで移動する際の速度を低下させることなく、中間位置から当接位置まで移動させる際の速度を低下させてチューブ100,102の接合端部同士を当接させる際にゆっくりと当接させることが可能になる。その結果、チューブ100,102の接合端部同士が当接した際に接合端部の変形が殆ど無くなるので、接合端部の変形によって生じる両クランプ機構10,11の離間距離の誤差を小さくして正確な報知を行うことができる。
【0114】
また、接合制御時には、チューブ100,102の接合端部が当接すると予測されるクランプ機構10,11の位置を予め設定しておき、この予め予測された当接位置よりも離間位置に近い位置を、台形制御における減速開始位置としてもよい。これにより、クランプ機構駆動モータ13の減速開始位置が離間位置に近くなるので、チューブ100,102の接合端部同士が実際に当接するまでにクランプ機構10,11の移動速度を低下させることが可能になる。従って、チューブ100,102の接合端部同士が当接した際に接合端部の変形が殆ど無くなるので、接合端部の変形によって生じる両クランプ機構10,11の離間距離の誤差を小さくして正確な報知を行うことができる。
【0115】
また、制御部15は、左側及び右側クランプ機構10,11を離間位置から当接位置まで移動させる際、クランプ機構駆動モータ13の起動及び停止を複数回繰り返すように構成してもよい。これにより、左側及び右側クランプ機構10,11の最高速度を低下させることが可能になる。従って、チューブ100,102の接合端部同士が当接した際に接合端部の変形が殆ど無くなるので、接合端部の変形によって生じる両クランプ機構10,11の離間距離の誤差を小さくして正確な報知を行うことができる。
【0116】
また、制御部15は、左側及び右側クランプ機構10,11を当接位置にする第1当接制御を行ってからクランプ機構駆動モータ13の駆動力を除去し、その後、左側及び右側クランプ機構10,11を第1当接制御よりも遅い速度で当接位置まで駆動する第2当接制御を行うように構成してもよい。
【0117】
この場合、第1当接制御により左側及び右側クランプ機構10,11を当接位置にした後、クランプ機構駆動モータ13の駆動力を除去することで、チューブ100,102の接合端部同士が無理な力で押し付けられたままになるのが回避される。そして、チューブ100,102の接合端部の弾性力によって左側及び右側クランプ機構10,11が互いに離間する方向に押し戻されることになる。その後、第2当接制御により左側及び右側クランプ機構10,11を再度当接位置にするときには、移動速度が遅くなるので、チューブ100,102の接合端部同士を当接のさせたときの接合端部の変形量が少なくなり、接合端部の変形によって生じる左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離の誤差が小さくなる。
【0118】
また、制御部15は、離間位置にあるときの左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離X1と、当接位置にあるときの左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離X2とを複数回測定し、測定結果の平均値を用いてチューブ100,102の接合端部の突出度合いを得るように構成してもよい。これにより、チューブ100,102の接合端部の突出度合いの誤差をより一層小さくできる。
【0119】
また、上記実施形態では、準備制御のみにおいて、左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離X1,X2を得て、得られた離間距離X1,X2と、準備制御における予め設定された適正範囲とに基づいて、チューブ100,102の突出度合いが適正範囲外である場合に報知するようにしているが、これに限らず、接合制御における第1溶融制御と、除去制御と、第2溶融制御と、チューブ接触制御との少なくとも1つの制御において左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離を得て、得られた離間距離と、当該制御における予め設定された適正範囲と比較し、得られた離間距離が適正範囲外である場合に報知するように構成してもよい。
【0120】
すなわち、制御部15には、第1溶融制御を行う際のチューブ100,102の接合端部の突出度合いの適正範囲を記憶させておく。この適正範囲とは、チューブ100,102の接合端部の突出度合いが、第1溶融制御により狙い通りに溶融できる範囲である。この適正範囲は、チューブ100,102の接合端部の突出度合いを様々に変えて第1溶融制御を行った結果に基づいて設定されている。
【0121】
また、制御部15には、除去制御を行う際のチューブ100,102の接合端部の突出度合いの適正範囲を記憶させておく。この適正範囲とは、チューブ100,102の接合端部の突出度合いが、除去制御によって溶融部分を狙い通りに除去できる範囲である。この適正範囲は、チューブ100,102の接合端部の突出度合いを様々に変えて除去制御を行った結果に基づいて設定されている。
【0122】
また、制御部15には、第2溶融制御を行う際のチューブ100,102の接合端部の突出度合いの適正範囲を記憶させておく。この適正範囲とは、チューブ100,102の接合端部の突出度合いが、第2溶融制御によって狙い通りに溶融できる範囲である。この適正範囲は、チューブ100,102の接合端部の突出度合いを様々に変えて第2溶融制御を行った結果に基づいて設定されている。
【0123】
この場合、第1溶融制御や、除去制御、第2溶融制御において左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離が適正範囲外である場合には報知されることになる。これにより、チューブ100,102を接合する前に、左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離が適正範囲外であることが分かるので、左側及び右側クランプ機構10,11にクランプされたチューブ100,102の接合端部が軸線方向について所定位置からずれたままで接合されることはなく、煩雑な作業を必要とせずに接合不良を確実に回避できる。
【0124】
また、制御部15は、第1溶融制御と、除去制御と、第2溶融制御との少なくとも1つの制御において左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離を得て、得られた離間距離と、当該制御における予め設定された適正範囲とを比較し、得られた離間距離が適正範囲外である場合に、得られた離間距離と適正範囲との差を求め、当該制御の後に行う制御においてその差に基づいて左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離を補正を行うように構成してもよい。例えば、第1溶融制御における左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離が適正範囲よりも1mm長かった場合には、次の除去制御では左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離を1mm狭くするように制御する。これにより、左側及び右側クランプ機構10,11にクランプされたチューブ100,102の接合端部が軸線方向について所定位置からずれたままで接合されることはなく、煩雑な作業を必要とせずに接合不良を確実に回避できる。
【0125】
また、この実施形態では、チューブ接合装置1の左側及び右側クランプ機構10,11の位置をエンコーダパルスに基づいて得るようにしているが、これには誤差が生じる恐れがある。従って、定期的に誤差の補正を行うようにしてもよい。すなわち、左側及び右側クランプ機構10,11を互いに離間する方向の限界位置(アウターリミット)まで移動させた後、接近する方向の限界位置(インナーリミット)まで移動させる。そして、左側及び右側クランプ機構10,11をアウターリミットからインナーリミットまで移動させた間に発生したエンコーダパルスから算出した移動距離と、実際のアウターリミットとインナーリミット間の距離とを比較して補正係数を算出する。左側及び右側クランプ機構10,11を制御する際に補正係数を用いて補正を行う。
【0126】
また、本発明は、CAPD患者の腹部側チューブ100とバッグ側チューブ102とを接合する場合以外にも、加熱により溶融する各種チューブを接合する場合に用いることができる。
【0127】
また、上記実施形態では、ブザー48を用いて報知するようにしているが、これに限らず、例えば、警告灯等や警告表示パネル等の報知手段を用いて報知するようにしてもよい。
【0128】
また、各制御において、左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離と、制御部15に記憶されている目標値とを比較し、両者に差異がある場合に、次に行われる制御で設定される適正範囲を、該差異に応じて変更するようにしてもよい。これにより、後の制御が的確に行われることになる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
以上説明したように、本発明にかかるチューブ接合装置は、例えば、CAPD患者のバッグ側チューブと腹部側チューブとを接合する場合に用いることができる。
【符号の説明】
【0130】
1 チューブ接合装置
10 左側クランプ機構(第1クランプ部)
11 右側クランプ機構(第2クランプ部)
13 クランプ機構駆動モータ(クランプ駆動部)
14 キャリッジ
15 制御部
16 ウエハ(加熱部材)
100 腹部側チューブ(第1チューブ)
102 バッグ側チューブ(第2チューブ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば樹脂製のチューブを接合する際に用いられるチューブ接合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、腎不全患者でCAPD(持続携帯式腹膜透析)を行っている場合には、透析液が収容されたバッグを自分で交換するのが一般的である。CAPDでは、腹部に埋め込まれた腹部側チューブ(カテーテル)と、透析液が収容されたバッグから延びるバッグ側チューブとを繋ぐ必要がある。透析液の交換時には、既に接合されているチューブを切断してバッグを新しいものと交換した後、新しいバッグ側チューブと腹部側チューブとを接合する必要がある。
【0003】
チューブを接合する場合や切断する場合には、例えば、特許文献1に開示されているような装置を用いて雑菌等がチューブに侵入するのを防止している。特許文献1の装置は、腹部側チューブ及びバッグ側チューブをそれぞれクランプする第1及び第2クランプ部と、チューブの溶融温度以上に加熱されるウエハとを備えている。
【0004】
特許文献1の装置を用いてチューブを接合する場合には次のようにする。すなわち、腹部側チューブ及びバッグ側チューブを、両チューブの接合端部が対向するように、それぞれ第1及び第2クランプ部でクランプしておく。そして、両チューブの接合端部の間に、加熱状態のウエハを挿入した後、両チューブをクランプしたまま軸線方向に移動させ、該チューブの接合端部をウエハに接触させて溶融させる。その後、ウエハを両チューブの接合端部の間から抜き、今度は接合端部同士を押し合わせて溶着する。以上の動作が上記装置によって自動で行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3179566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1では腹部側チューブ及びバッグ側チューブを第1及び第2クランプ部でクランプする必要がある。チューブは柔軟性があるものなので、クランプ部に対し位置決めする際に、人によっては取扱い時に力を入れ過ぎて変形させてしまい、軸線方向について所定位置からずれてしまうことが考えられる。また、チューブをクランプする際に、誤った操作によってチューブが軸線方向についてクランプ部の所定位置からずれてしまうことも考えられる。
【0007】
チューブが所定位置からずれた状態でクランプされると、チューブを溶融する際にウエハに接近させても、ウエハへの接触が十分でなくチューブの接合端部が溶融不足となる場合や、ウエハに強く接触して溶融過多となる場合がある。チューブの接合端部が溶融不足や溶融過多になると、接合不良が起こる恐れがある。
【0008】
このことを回避するために、チューブをクランプした後に、チューブが所定位置にあるか否かを何らかの方法で測定することが考えられるが、このようにした場合には作業が煩雑になるとともに、測定する者によって測定結果が異なることもあり、接合不良を確実に回避できるとは限らない。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、第1及び第2チューブの接合端部を溶融して接合する場合に、使用者間の取扱いの差によらず接合不良を確実に回避できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の発明は、加熱によって溶融する樹脂材からなる第1及び第2チューブの端部同士を溶着することにより接合するように構成されたチューブ接合装置において、上記第1チューブを、該第1チューブの接合端部が突出した状態でクランプする第1クランプ部と、上記第2チューブを、上記第1チューブの接合端部と対向するように突出させた状態でクランプする第2クランプ部と、上記第1及び第2クランプ部を、上記第1及び第2チューブの接合端部が互いに接離する方向に駆動するクランプ駆動部と、上記第1及び第2チューブの接合端部を溶融する温度まで加熱され、該接合端部を溶融するための加熱部材と、上記クランプ駆動部を制御する制御部とを備え、上記制御部は、上記クランプ駆動部によって上記第1及び第2クランプ部を互いに離れる方向に移動させた離間位置と、接合端部同士が当接する当接位置とに切り替え、離間位置にあるときの両クランプ部の離間距離から当接位置にあるときの両クランプ部の離間距離を差し引いて上記第1及び第2チューブの接合端部の突出度合いを得て、得られた突出度合いと、接合不良の回避が可能な予め設定された突出度合いの適正範囲とを比較し、得られた突出度合いが適正範囲外である場合に報知するように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
この構成によれば、第1及び第2クランプ部を離間位置と当接位置とに切り替え、両クランプ部の離間距離に基づいて第1及び第2チューブの接合端部の突出度合いが得られる。そして、得られた突出度合いが適正範囲外である場合に報知されるので、チューブが所定位置からずれたまま接合されてしまうのが回避される。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、制御部は、第1及び第2クランプ部を離間位置から当接位置まで移動させる際に、離間位置と当接位置との間の中間位置まで第1の速度で移動させ、中間位置から当接位置まで第1の速度よりも遅い第2の速度で移動させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
この構成によれば、第1及び第2クランプ部を離間位置から当接位置まで移動させる際に、第1及び第2クランプ部の移動速度を遅くした状態で第1及び第2チューブの接合端部同士を当接させることが可能になる。これにより、第1及び第2チューブの接合端部同士が当接した際に接合端部の変形が殆ど無くなるので、接合端部の変形によって生じる両クランプ部の離間距離の誤差が小さくなる。
【0014】
また、離間位置から中間位置までは第1及び第2クランプ部が速く移動するので、離間位置から当接位置に切り替えるのに要する時間が長時間化することはない。
【0015】
第3の発明は、第1の発明において、クランプ駆動部は、第1及び第2クランプ部を駆動するためのモータを備え、制御部は、上記モータを台形制御するものであり、台形制御における減速開始位置を予め予測された当接位置よりも離間位置に近い位置に設定することを特徴とするものである。
【0016】
この構成によれば、モータの減速開始位置が当接位置よりも離間位置に近いことで、第1及び第2チューブの接合端部同士が当接するまでに第1及び第2クランプ部の移動速度を低下させることが可能になる。これにより、第1及び第2チューブの接合端部同士が当接した際に接合端部の変形が殆ど無くなるので、接合端部の変形によって生じる両クランプ部の離間距離の誤差が小さくなる。
【0017】
第4の発明は、第1の発明において、クランプ駆動部は、第1及び第2クランプ部を駆動するためのモータを備え、制御部は、上記モータを台形制御するものであり、離間位置から当接位置まで上記モータの起動及び停止を複数回繰り返すように構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
この構成によれば、第1及び第2クランプ部を駆動するためのモータの起動及び停止を複数回繰り返すようにしたので、第1及び第2クランプ部の移動時の最高速度を低下させることが可能になる。これにより、第1及び第2チューブの接合端部同士が当接した際に接合端部の変形が殆ど無くなるので、接合端部の変形によって生じる両クランプ部の離間距離の誤差が小さくなる。
【0019】
第5の発明は、第1の発明において、クランプ駆動部は、第1及び第2クランプ部を駆動するためのモータを備え、制御部は、第1及び第2クランプ部を当接位置にする第1当接制御を行ってから上記クランプ駆動部による駆動力を除去し、その後、上記第1及び第2クランプ部を上記第1当接制御よりも遅い速度で当接位置まで移動させる第2当接制御を行うことを特徴とするものである。
【0020】
この構成によれば、第1当接制御により第1及び第2クランプ部を当接位置にした後、クランプ駆動部の駆動力を除去することで、第1及び第2チューブの接合端部同士が無理な力で押し付けられたままになるのが回避される。そして、第1及び第2チューブの接合端部の弾性力によって第1及び第2クランプ部が互いに離間する方向に押し戻されることになる。その後、第2当接制御により第1及び第2クランプ部を再度当接位置にするときには、移動速度が遅くなるので、第1及び第2チューブの接合端部同士を当接させたときに接合端部の変形量が小さくなり、接合端部の変形によって生じる両クランプ部の離間距離の誤差が小さくなる。
【0021】
第6の発明は、第1から5のいずれか1つの発明において、制御部は、離間位置にあるときの両クランプ部の離間距離と、当接位置にあるときの両クランプ部の離間距離とを複数回測定し、測定結果の平均値を用いて第1及び第2チューブの接合端部の突出度合いを得ることを特徴とするものである。
【0022】
この構成によれば、誤差がより一層小さくなる。
【0023】
第7の発明は、加熱によって溶融する樹脂材からなる第1及び第2チューブの端部同士を溶着することにより接合するように構成されたチューブ接合装置において、上記第1チューブを、該第1チューブの接合端部が突出した状態でクランプする第1クランプ部と、上記第2チューブを、上記第1チューブの接合端部と対向するように突出させた状態でクランプする第2クランプ部と、上記第1及び第2クランプ部を、上記第1及び第2チューブの接合端部が互いに接離する方向に駆動するクランプ駆動部と、上記第1及び第2チューブの接合端部を溶融する温度まで加熱されて該端部を溶融するための加熱部材と、上記クランプ駆動部を制御する制御部とを備え、上記制御部は、上記第1及び第2チューブの接合端部が上記加熱部材に接触するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させる第1溶融制御と、第1溶融制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部の溶融した部分を除去する除去制御と、除去制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部が上記加熱部材に接触するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させる第2溶融制御と、上記第2溶融制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部同士が当接するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させて接合するチューブ接触制御とを行うとともに、上記第1溶融制御、上記除去制御、上記第2溶融制御の少なくとも1つの制御において上記第1及び第2クランプ部の離間距離を得て、得られた離間距離と、当該制御における予め設定された適正範囲とを比較し、得られた離間距離が適正範囲外である場合に報知するように構成されていることを特徴とするものである。
【0024】
この構成によれば、第1溶融制御や、除去制御、第2溶融制御において第1クランプ部と第2クランプ部との離間距離が適正範囲外である場合には報知されることになる。これにより、第1及び第2チューブを接合する前に、第1クランプ部と第2クランプ部との離間距離が適正範囲外であることが分かるので、チューブが所定位置からずれたまま接合されてしまうのが回避される。
【0025】
第8の発明は、加熱によって溶融する樹脂材からなる第1及び第2チューブの端部同士を溶着することにより接合するように構成されたチューブ接合装置において、上記第1チューブを、該第1チューブの接合端部が突出した状態でクランプする第1クランプ部と、上記第2チューブを、上記第1チューブの接合端部と対向するように突出させた状態でクランプする第2クランプ部と、上記第1及び第2クランプ部を、上記第1及び第2チューブの接合端部が互いに接離する方向に駆動するクランプ駆動部と、上記第1及び第2チューブの接合端部を溶融する温度まで加熱されて該端部を溶融するための加熱部材と、
上記クランプ駆動部を制御する制御部とを備え、上記制御部は、上記第1及び第2チューブの接合端部が上記加熱部材に接触するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させる第1溶融制御と、第1溶融制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部の溶融した部分を除去する除去制御と、除去制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部が上記加熱部材に接触するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させる第2溶融制御と、上記第2溶融制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部同士が当接するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させて接合するチューブ接触制御とを行うとともに、上記第1溶融制御、上記除去制御、上記第2溶融制御の少なくとも1つの制御において上記第1及び第2クランプ部の離間距離を得て、得られた離間距離と、当該制御における予め設定された適正範囲とを比較し、得られた離間距離が適正範囲外である場合に、得られた離間距離の適正範囲との差を求め、当該制御の後に行う制御において上記差に基づいて上記第1及び第2クランプ部の離間距離を補正するように構成されていることを特徴とするものである。
【0026】
この構成によれば、第1溶融制御や、除去制御、第2溶融制御において第1及び第2クランプ部の離間距離が適正範囲外である場合に、その差が得られる。そして、その差に基づいて、その後の制御で第1及び第2クランプ部の離間距離が補正されるので、チューブが所定位置からずれたまま接合されてしまうのが回避される。
【発明の効果】
【0027】
第1の発明によれば、第1及び第2クランプ部が離間位置にあるときの両クランプ部の離間距離と、第1及び第2チューブの接合端部同士が当接する当接位置にあるときの両クランプ部の離間距離とに基づいて第1及び第2チューブの接合端部の突出度合いを得て、得られた突出度合いが適正範囲外である場合に報知するようにしているので、使用者間の取扱いの差によらず接合不良を確実に回避できる。
【0028】
第2の発明によれば、第1及び第2クランプ部を離間位置から当接位置まで移動させる際に、中間位置まで第1の速度で移動させ、中間位置から当接位置まで第1の速度よりも遅い第2の速度で移動させるようにしたので、当接位置に切り替えるのに要する時間が長時間とならないようにしながら、誤差を小さくして正確な報知を行うことができる。
【0029】
第3の発明によれば、第1及び第2クランプ部を駆動するためのモータを台形制御し、減速開始位置を、予め予測された当接位置よりも離間位置に近い位置に設定したので、誤差を小さくして正確な報知を行うことができる。
【0030】
第4の発明によれば、第1及び第2クランプ部を駆動するためのモータを台形制御し、モータの起動及び停止を複数回繰り返すようにしたので、接合端部同士を当接させた際に該接合端部の変形を抑制でき、誤差を小さくして正確な報知を行うことができる。
【0031】
第5の発明によれば、第1及び第2クランプ部を当接位置にする第1当接制御を行ってからクランプ駆動部の駆動力を除去し、その後、第1及び第2クランプ部を第1当接制御よりも遅い速度で当接位置まで駆動するようにしたので、誤差を小さくして正確な報知を行うことができる。
【0032】
第6の発明によれば、離間位置にあるときの両クランプ部の離間距離と、当接位置にあるときの両クランプ部の離間距離とを複数回測定して平均値を用いて第1及び第2チューブの接合端部の突出度合いを得るようにしたので、誤差を小さくして正確な報知を行うことができる。
【0033】
第7の発明によれば、第1溶融制御、除去制御、第2溶融制御の少なくとも1つの制御において第1及び第2クランプ部の離間距離が適正範囲外である場合には報知するようにしているので、煩雑な作業を必要とせずに接合不良を確実に回避できる。
【0034】
第8の発明によれば、第1溶融制御、除去制御、第2溶融制御の少なくとも1つの制御において第1及び第2クランプ部の離間距離が適正範囲外である場合にその差を求め、当該制御の後に行う制御で第1及び第2クランプ部の離間距離を補正するので、煩雑な作業を必要とせずに接合不良を確実に回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施形態にかかるチューブ接合装置の使用状態を説明する図である。
【図2】カバーを閉じた状態のチューブ接合装置の平面図である。
【図3】カバーを開けた状態の図2相当図である。
【図4】クランプ機構を示す平面図である。
【図5】操作パネル部の拡大図である。
【図6】チューブ接合装置のクランプ機構の近傍を拡大して示す平面図である。
【図7】チューブがセットされた状態の図6相当図である。
【図8】チューブをクランプした状態の図6相当図である。
【図9】ウエハの側面図である。
【図10】ウエハの平面図である。
【図11】ウエハの斜視図である。
【図12】ホルダが装着されたウエハの側面図である。
【図13】チューブ接合装置のブロック図である。
【図14】クランプ機構が当接位置にある状態の図6相当図である。
【図15】接合制御におけるウエハとクランプ機構のタイムチャートである。
【図16】ウエハのウイング部をチューブの接合端部に対向させた状態の図6相当図である。
【図17】チューブの接合端部をウイング部で溶融している状態の図6相当図である。
【図18】チューブの接合端部の一部を除去している状態の図6相当図である。
【図19】チューブの接合端部を溶融部で溶融している状態の図6相当図である。
【図20】切断制御におけるウエハとクランプ機構のタイムチャートである。
【図21】接合前のチューブとウエハとの位置関係を示す図である。
【図22】チューブの接合端部の一部を除去している状態の図21相当図である。
【図23】切断制御を行う場合の図6相当図である。
【図24】切断制御を行う場合の図7相当図である。
【図25】切断制御を行う場合の図8相当図である。
【図26】切断制御を行う場合の図21相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0037】
図1は、本発明の実施形態にかかるチューブ接合装置1の使用状態を示す図である。チューブ接合装置1は、CAPD患者の腹部に埋め込まれた腹部側チューブ(第1チューブ)100と、透析液を収容するバッグ101a,101bから延びるバッグ側チューブ(第2チューブ)102とを接合する際に用いられるものである。
【0038】
腹部側チューブ100には、ストッパ103と、ローラークランプ104とが設けられている。バッグ側チューブ102の基端側は2つのチューブ102a,102bに分岐されており、チューブ102aは排液用バッグ101aに接続され、チューブ102bは透析液バッグ101bに接続されている。チューブ102aには、排液側クランプ106が設けられている。チューブ102bには、ストッパ107及び注液側クランプ108が設けられている。腹部側チューブ100及びバッグ側チューブ102は、加熱により溶融する周知の樹脂材で構成されている。
【0039】
図3に示すように、チューブ接合装置1は、左側クランプ機構(第1クランプ部)10と、右側クランプ機構(第2クランプ部)11と、クランプ機構駆動モータ(クランプ駆動部)13と、チューブ100,102を加熱するためのウエハ(加熱部材)16(図9〜図12に示す)と、ウエハ16を保持して搬送するキャリッジ14と、キャリッジ14を駆動するキャリッジ駆動機構17と、ウエハ16を加熱するためのウエハ加熱ヒータ40と、クランプ機構駆動モータ13とキャリッジ駆動機構17とウエハ加熱ヒータ40とを制御する制御部15と、これらを収容するケース19とを備えている。
【0040】
ケース19は、箱状部材19aと、箱状部材19aの上方を覆うカバー19b(図2にも示す)とを備えている。
【0041】
尚、各図に示すように、チューブ接合装置1の右側とは、使用時にチューブ100,102をセットする際に使用者から見て右となる側をいい、また、チューブ接合装置1の左側とは、使用時にチューブ100,102をセットする際に使用者から見て左となる側をいうものとする。また、チューブ接合装置1の手前側とは、使用時にチューブ100,102をセットする際に使用者から見て手前となる側をいい、また、チューブ接合装置1の奥側とは、使用時にチューブ100,102をセットする際に使用者から見て奥となる側をいうものとする。
【0042】
左側クランプ機構10は、箱状部材19aの左側に配置され、右側クランプ機構11は右側に配置されている。
【0043】
左側クランプ機構10は、腹部側チューブ100とバッグ側チューブ102の一方をクランプし、右側クランプ機構11は他方をクランプする。この実施形態の説明では、左側クランプ機構10で腹部側チューブ100をクランプし、右側クランプ機構11でバッグ側チューブ102をクランプする場合について説明するが、その反対であってもよい。
【0044】
左側クランプ機構10は、ベース部20と、押さえカバー21と、ストッパ22とを備えている。ベース部20は、箱状部材19aに対して左右方向にのみ移動可能にスライドレール等を介して取り付けられている。ベース部20の上面には、腹部側チューブ100又はバッグ側チューブ102が嵌る溝部20aが形成されている。溝部20aは、ベース部20の左右方向に真っ直ぐに延びており、ベース部20の左右両側面に開放されている。
【0045】
溝部20aの右端部の幅は、他の部分に比べて広くなっている。これは、腹部側チューブ100及びバッグ側チューブ102を接合する際に、溝部20aの右端部にチューブ100,102の閉塞部分を嵌めるためである。すなわち、接合前のチューブ100,102の端部は、径方向に押し潰されたまま溶着されて閉塞されているので、端部のみが幅広な形状となっており、この端部の形状に対応するように溝部20aを形成している。
【0046】
押さえカバー21は、ベース部20上面の全体を覆う形状とされている。押さえカバー21の奥側部分がベース部20の奥側部分に対して左右方向に延びる支軸21aを介して回動可能に取り付けられている。押さえカバー21は、支軸21a周りに回動してベース部20の上面を開放した状態(図4、図6、図7に示す開状態)と、上面を覆った状態(図8に示す閉状態)とに切り替えられる。押さえカバー21は、ベース部20の上面を覆った状態でロック機構(図示せず)によりロックされて開放方向に回動しないようになっている。このロック機構は、使用者が容易に解除できるようになっている。
【0047】
押さえカバー21の右側には、チューブ100,102を上方から押さえるための押さえ部材21bが設けられている。押さえ部材21bは、押さえカバー21が閉状態にあるときにチューブ100,102を溝部20aの底面と共に押し潰して閉塞状態にするためのものである。
【0048】
図7に示すように、ストッパ22は、チューブ100,102の軸線方向についての位置決めを行うためのものである。ストッパ22は、左側に開放する略コ字状に形成されており、ベース部20の右側面から右側へ突出するように取り付けられている。ストッパ22の内側の面には、腹部側チューブ100の接合端部が接触する平坦な接触面22aが形成されている。チューブ100は、接合端部が接触面22aに接触することにより軸線方向の位置決めがなされ、この状態で、接合端部がベース部20の右側面から右側へ突出した状態となる。
【0049】
ストッパ22の左端部は、箱状部材19aの奥行き方向に延びる支軸(図示せず)を介してベース部20に回動可能に支持されている。そして、ストッパ22はその支軸周りに回動することにより、チューブ100,102を位置決めするストッパ位置(図6及び図7に示す)と、ストッパ位置から下方へ退避した退避位置(図8に示す)とに切り替えられるようになっている。図8に示すように、退避位置にあるときには、チューブ100の接合端部がストッパ22よりも右側へ突出することになる。
【0050】
右側クランプ機構11は、左側クランプ機構10と左右対称構造とされており、ベース部23と、押さえカバー24と、ストッパ25とを備え、ベース部23には溝部23aが形成され、押さえカバー24には支軸24a及び押さえ部材24bが設けられ、ストッパ25には接触面25aが形成されている。右側クランプ機構11の溝部23aの延長線と、左側クランプ機構10の溝部20aの延長線とは、高さ方向及び奥行き方向の両方向で略一致するようになっている。
【0051】
クランプ機構駆動モータ13は、左側クランプ機構10を左右方向に移動させるためのものであり、周知のサーボモータで構成されている。図13に示すように、クランプ機構駆動モータ13は、制御部15に接続されており、制御部15から出力される制御信号に基づいて作動するようになっている。
【0052】
クランプ機構駆動モータ13の回転は周知の動力変換機構(例えばラックアンドピニオン機構)によって直線運動に変換されて左側クランプ機構10及び右側クランプ機構11に伝達されるようになっている。左側クランプ機構10及び右側クランプ機構11は、クランプ機構駆動モータ13が回転すると、同時に同じ量だけ左右方向に移動する。このとき、左側クランプ機構10が左側へ移動すれば、右側クランプ機構11は右側へ移動し、一方、左側クランプ機構10が右側へ移動すれば、右側クランプ機構11は左側へ移動するようになっている。つまり、左側クランプ機構10及び右側クランプ機構11は、共通のクランプ機構駆動モータ13により駆動されて互いに接離する方向に移動する。これにより、腹部側チューブ100及びバッグ側チューブ102の接合端部を互いに接離する方向に移動させることが可能になる。
【0053】
左側クランプ機構10及び右側クランプ機構11の移動距離は、クランプ機構駆動モータ13から出力されるエンコーダパルスに基づいて間接的に得られるようになっている。
【0054】
ウエハ16は、無酸素銅の板材で構成されており、図9に示す側面視で左右方向に長い略矩形状とされている。ウエハ16の板厚は、約0.5mmに設定されている。
【0055】
ウエハ16は、略鉛直に延びる姿勢でホルダ200(図12に示す)を介して装置1に着脱可能に取り付けられる。図10及び図11に示すように、ウエハ16の上部の長手方向中間部には、板厚方向両側へそれぞれ延出するウイング部30,30が形成されている。ウイング部30,30の延出長さB(図10に示す)は、ウエハ16の本体部分の表面から1mm程度に設定されている。また、ウイング部30,30の幅W(図10に示す)は、チューブ100,102の閉塞状態にある端部の幅C(図8に示す)よりも若干狭く設定されている。
【0056】
図9に示すように、ウエハ16の上部におけるウイング部30,30よりも長手方向一側の仮想線31で囲んだ部分は、チューブ100,102を切断するための切断部とされている。切断部31は、鉛直方向に略平坦に延びている。
【0057】
図10及び図11に示すように、ウエハ16の上部におけるウイング部30,30よりも長手方向他側の部分には、板厚方向両側へそれぞれ膨出する膨出部32,32が形成されている。膨出部32,32とウイング部30,30とは、ウエハ16の長手方向に間隔をあけて配置されている。
【0058】
膨出部32,32の膨出寸法D(図10に示す)は、ウエハ16の本体部分の表面から1mm〜2mm程度に設定されている。膨出部32,32におけるウエハ16の長手方向一側は開放されている。膨出部32,32は、詳細は後述するが、接合前のチューブ100,102の端部の溶融部分における一部をすくい取って除去するためものである。
【0059】
図9に示すように、ウエハ16の上部における膨出部32,32よりも長手方向他側の仮想線33で囲んだ部分は、チューブ100,102を溶融するための溶融部とされている。溶融部33は、ウエハ16の両面にそれぞれ設けられており、鉛直方向に略平坦に延びている。
【0060】
上記ウイング部30,30、切断部31、膨出部32,32及び溶融部33,33は、同一高さに配置されている。
【0061】
ウエハ16における切断部31の下方には、貫通孔34が形成されている。貫通孔34には、キャリッジ14が有している係合部(図示せず)が係合するようになっている。キャリッジ14の係合部は、ウエハ16に係脱自在となっており、キャリッジ14の係合部をウエハ16に係合させてウエハ16をキャリッジ14でキャッチできるようになっている。
【0062】
また、図12に示すように、ウエハ16には樹脂製のホルダ200が取り付けられている。ウエハ16は、ホルダ200と一緒に装置1に取り付けられる。尚、ウエハ16をホルダ200に対しスライドさせることでウエハ16をホルダ200から容易に外すことができるようになっている。
【0063】
図3に示すように、キャリッジ駆動機構17は、キャリッジ14を箱状部材19aの内部で保持して奥行き方向に移動させるように構成されている。つまり、ウエハ16をキャリッジ14でキャッチすることで、ウエハ16をキャリッジ駆動機構17により箱状部材19aの内部で奥行き方向に移動できる。
【0064】
キャリッジ駆動モータ41は、周知のサーボモータで構成されている。キャリッジ駆動モータ41の回転は周知の動力変換機構(例えばネジ送り機構)によって直線運動に変換されてキャリッジ14に伝達される。キャリッジ駆動モータ41は、制御部15に接続されており、制御部15から出力される制御信号に基づいて作動するようになっている。
【0065】
ウエハ加熱ヒータ40は、箱状部材19aの内部において手前側に位置している。ウエハ加熱ヒータ40の発熱部位よりも手前側には、ウエハ16を挿入可能な挿入孔40aが形成されている。この挿入孔40aにウエハ16を挿入することでウエハ16が装置1にセットされた状態となる。このウエハ16のセット時には、ホルダ200も一緒である。
【0066】
ウエハ加熱ヒータ40は、例えば電熱線等のように電流を流すことによって発熱する発熱体で構成されている。ウエハ加熱ヒータ40は、ウエハ16の温度をチューブ100,102の溶融温度以上(例えば300℃程度)に加熱できる能力を有している。図13に示すように、ウエハ加熱ヒータ40は制御部15に接続されており、制御部15から出力される制御信号に基づいて作動するようになっている。
【0067】
図3に示すように、ケース19の箱状部材19aには、ウエハ16が挿入されて案内されるウエハ挿入溝43が形成されている。ウエハ挿入溝43は、箱状部材19aの奥行き方向に延びている。ウエハ16は、ウエハ挿入溝43に挿入された状態で奥行き方向に案内されるようになっている。
【0068】
また、箱状部材19aの内部には、電池45(図13に示す)が収容されるようになっている。各モータ13,41及びヒータ40には、電池45から電流が供給されるようになっている。尚、電源は電池45に限られるものではなく、例えば、家庭用AC電源から供給するように構成してもよい。
【0069】
図2及び図3に示すように、ケース19の上面には、操作パネル部19cが設けられている。操作パネル部19cには、図5に拡大して示すように操作ボタン46及びランプ47が設けられている。図13に示すように、操作ボタン46及びランプ47は制御部15に接続されている。操作ボタン46は本チューブ接合装置1の動作を開始する際に操作するためのものである。ランプ47は、加熱状態のときに点灯するようになっている。
【0070】
図3に示すように、ケース19には、チューブ100,102のセットが異常である場合に周囲の者に報知するためのブザー48が設けられている。図13に示すように、ブザー48は制御部15に接続されている。
【0071】
制御部15は、クランプ機構駆動モータ13、ウエハ加熱ヒータ40、キャリッジ駆動モータ41及びブザー48を制御するように構成されている。制御部15は、周知のマイクロコンピュータで構成することができる。また、制御部15は、クランプ機構駆動モータ13を作動させる際、作動開始時には回転速度を徐々に上昇させて目標回転速度にし、作動を停止させるときには回転速度を徐々に低下させて停止させる、いわゆる台形制御を行うように構成されている。
【0072】
制御部15は、腹部側チューブ100及びバッグ側チューブ102を接合する接合制御と、腹部側チューブ100又はバッグ側チューブ102を切断する切断制御との両方を行うことができるように構成されている。接合制御と切断制御とは、操作ボタン46の操作により、使用者が任意に切り替え選択できるようになっている。
【0073】
接合制御では、準備制御と、第1溶融制御と、除去制御と、第2溶融制御と、チューブ接触制御とを行う。準備制御は、チューブ100,102がクランプ機構10,11の所定位置にクランプされているか否かを検査するとともに、ウエハ16を所定位置にして加熱する制御である。準備制御では、クランプ機構駆動モータ13を作動させて、左側及び右側クランプ機構10,11を次のように移動させる。まず、図8に示すように、左側及び右側クランプ機構10,11を、互いが離間する方向の限界位置(離間位置)まで移動させる。その後、左側及び右側クランプ機構10,11を、互いが接近する方向に移動させていく。図14に示すように、チューブ100,102の接合端部が当接した位置(当接位置)で左側及び右側クランプ機構10,11を停止させる。チューブ100,102の接合端部が接したタイミングは、クランプ機構駆動モータ13に負荷がかかって電流値が増加したことを制御部15が検出することによって判断する。図15の右側に、左側及び右側クランプ機構10,11の動きを示す。
【0074】
そして、制御部15は、離間位置にあるときの左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離X1(図8に示す)から当接位置にあるときの左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離X2(図14に示す)を差し引く。得られた値は、チューブ100,102の突出量を表す値であり、これに基づいてチューブ100,102の接合端部の左側及び右側クランプ機構10,11からの突出度合いを得ることができる。
【0075】
制御部15には、チューブ100,102の接合端部の突出度合いの適正範囲が記憶されている。適正範囲とは、チューブ100,102の接合端部の突出度合いが、第1溶融制御、除去制御、第2溶融制御、チューブ接触制御を適切に行うことができる範囲である。適正範囲は、チューブ100,102の接合端部の突出度合いを様々に変えて各制御を行った場合に、最終的に正常に接合できるか否かに基づいて予め設定されている。
【0076】
また、制御部15には、左側及び右側クランプ機構10,11を目標位置とするための値である目標値も記憶されている。目標値は、第1溶融制御、除去制御、第2溶融制御、チューブ接触制御の各制御において、左側及び右側クランプ機構10,11を目標位置とするための値であり、左側及び右側クランプ機構10,11は、この目標値に基づいて駆動される。
【0077】
制御部15は、チューブ100,102の接合端部の突出度合いが適正範囲に無いと判断した場合には、接合が確実に行えない可能性が高いので、ブザー48を鳴らして異常である旨を周囲の者に報知する。適正範囲にある場合には、次の第1溶融制御を行う。
【0078】
異常である旨の報知が行われることで、作業者はチューブ100,102の位置を確認して正しい位置にクランプし直すことが可能になる。
【0079】
また、準備工程では、初めにキャリッジ14は箱状部材19aの奥側(待機位置)に位置している。この待機位置にあるキャリッジ14を手前側に移動させて、ウエハ加熱ヒータ40の挿入孔40aにセットしてあるウエハ16をキャッチする。
【0080】
その後、ウエハ16を箱状部材19a内の奥側へ向けて移動させてウエハ加熱ヒータ40の内部においてヒータに対応する部分に配置する。尚、ホルダ200は挿入孔40a内に残ったままとなる。そして、キャリッジ14を停止する。図15に示すタイミングでウエハ加熱ヒータ40を作動させてウエハ16を加熱する。制御部15は、このとき、同図に示すように、左側及び右側クランプ機構10,11はチューブ100,102の接合端部が互いに離れるように位置付けておく。
【0081】
第1溶融制御は、チューブ100,102の接合端部を溶融させるための制御である。第1溶融制御では、キャリッジ駆動モータ41を作動させてウエハ16を箱状部材19aの奥側へ移動させて(図15のaで示す領域)、図16に示すようにウイング部30,30をチューブ100,102の接合端部と対向させる。
【0082】
その後、クランプ機構駆動モータ13を作動させて、左側及び右側クランプ機構10,11を互いに接近する方向に移動させ(図15のbで示す領域)、図17に示すようにチューブ100,102の接合端部をウイング部30,30に押し付ける。ウイング部30,30が加熱されているので、ウイング部30,30がチューブ100,102の接合端部を溶融させ、チューブ100,102内に入り込む。
【0083】
除去制御は、第1溶融制御の後に行う。除去制御では、左側及び右側クランプ機構10,11を第1溶融制御時の位置から移動させずに、ウエハ16を箱状部材19aの奥側に移動させる(図15にcで示す領域)。ウエハ16を奥側に移動させていくと、膨出部32,32の開放部分がチューブ100,102の接合端部に接触する。この接合端部は溶融しているので、膨出部32,32の開放部分によって溶融部分の一部が掻き取られて除去される。
【0084】
第2溶融制御は、除去制御の後に行われる。第2溶融制御では、ウエハ16を箱状部材19aの奥側に移動させていき、ウエハ16の溶融部33,33をチューブ100,102の接合端部に対向させる。そして、図19に示すように、左側及び右側クランプ機構10,11を互いに接近する方向に移動させ、チューブ100,102の接合端部をウエハ16の溶融部33,33に接触させ、そのまま所定時間保持する。この所定時間は、チューブ100,102の接合端部が十分に溶融する程度の時間である。
【0085】
チューブ接触制御は、第2溶融制御の後に行われる。チューブ接触制御は、ウエハ16を箱状部材19aの奥側に移動させていき、ウエハ16をチューブ100,102の接合端部の間から抜く。そして、左側及び右側クランプ機構10,11を互いに接近する方向に移動させ、チューブ100,102の接合端部同士を接触させ、そのまま所定時間保持する。この所定時間は、チューブ100,102の接合端部が冷却されて固化するのに要する時間である。以上が接合制御である。
【0086】
一方、切断制御では、準備制御と、溶断制御と、溶融制御と、除去制御とを行う。準備制御は、まず、図20に示すように、左側及び右側クランプ機構10,11を、互いが離間する方向の限界位置(離間位置)まで移動させるように制御する。しかし、このとき、チューブ100又は102がクランプされているので、左側及び右側クランプ機構10,11はチューブの弾性による伸び分しか移動しない(破線で示す)。その後、左側及び右側クランプ機構10,11を元の位置に戻すように制御する。
【0087】
また、上述した接合制御の場合と同様にしてウエハ16をキャリッジ14でキャッチし、ウエハ16を箱状部材19a内の奥側へ移動させてウエハ加熱ヒータ40の内部に収容し、ウエハ加熱ヒータ40を作動させてウエハ16を加熱する。
【0088】
溶断制御は、準備制御の後に行われる。溶断制御では、左側及び右側クランプ機構10,11を互いに離れる方向に移動させながら、ウエハ16を箱状部材19aの奥側に移動させて切断部31をチューブ100に押し付ける。切断部31は加熱されているので、チューブ100が溶断される。
【0089】
溶融制御は、溶断制御の後に行われる。溶融制御では、キャリッジ駆動モータ41を作動させてウエハ16を箱状部材19aの奥側へ移動させて、ウイング部30,30をチューブ100,102の接合端部と対向させる。
【0090】
その後、クランプ機構駆動モータ13を作動させて、左側及び右側クランプ機構10,11を互いに接近する方向に移動させ、チューブ100,102の接合端部をウイング部30,30に押し付ける。ウイング部30,30が加熱されているので、ウイング部30,30がチューブ100,102の接合端部を溶融させ、チューブ100,102内に入り込む。
【0091】
除去制御は、溶融制御の後に行う。除去制御では、ウエハ16を箱状部材19aの奥側に移動させる。ウエハ16を手間側に移動させていくと、膨出部32,32の開放部分がチューブ100,102の接合端部に接触する。この接合端部は溶融しているので、その溶融部分に一部が膨出部32,32の開放部分によって掻き取られて除去される。残った溶融部分は冷却して固化し、これにより、チューブ100が閉塞状態でシールされる。
【0092】
次に、上記のように構成されたチューブ接合装置1を用いて腹部側チューブ100及びバッグ側チューブ102を接合する場合について説明する。チューブ接合装置1の制御モードは操作ボタン46の操作によって接合制御を選択しておく。
【0093】
初めに、腹部側チューブ100及びバッグ側チューブ102を左側クランプ機構10及び右側クランプ機構11にクランプする。まず、図6に示すように、左側クランプ機構10の押さえカバー21を開状態にするとともに、右側クランプ機構11の押さえカバー24を開状態にする。ストッパ22,25はストッパ位置となる。
【0094】
図7に示すように、腹部側チューブ100の接合端部をストッパ22の接触面22aに当てて位置決めした後、チューブ100をベース部20の溝部20aに押し込む。そして、図8に示すように押さえカバー21を閉状態にする。押さえカバー21を閉状態にすると、押さえ部材21bと溝部20aの底面とによってチューブ100が径方向に押し潰される。これにより、腹部側チューブ100が左側クランプ機構10にクランプされた状態になり、腹部側チューブ100の接合端部は左側クランプ機構10から右側へ突出する。
【0095】
バッグ側チューブ102も同様にして右側クランプ機構11にクランプする。バッグ側チューブ102の接合端部は右側クランプ機構11から左側へ突出する。腹部側チューブ100,バッグ側チューブ102及びウエハ16の位置関係は図21に示すようになる。
【0096】
チューブ100,102をクランプした後に、カバー19bをセットして操作ボタン46を操作する。
【0097】
制御部15は、接合制御における準備制御を行う。すなわち、左側及び右側クランプ機構10,11を図8に示す離間位置まで移動させた後、図14に示す当接位置まで移動させる。そして、離間位置にあるときの左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離X1から当接位置にあるときの左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離X2を差し引いて、チューブ100,102の突出度合いを得る。
【0098】
制御部15は、チューブ100,102の接合端部の突出度合いが適正範囲に無いと判断した場合には、ブザー48を鳴らして異常である旨を周囲の者に報知する。適正範囲に無い原因としては、チューブ100をクランプする際に、チューブ100の接合端部をストッパ22に強く当ててしまい、チューブ100の接合端部が変形したままクランプされた場合や、チューブ100の接合端部がストッパ22に当たらない状態でクランプされた場合がある。
【0099】
つまり、チューブ100,102が軸線方向にずれた状態でクランプされた場合には、そのことを使用者が把握してクランプし直すことができるので、チューブ100,102がずれたまま、後の制御が行われることはなく、接合不良を回避できる。
【0100】
その後、第1溶融制御を行い、図17に示すようにウイング部30,30によってチューブ100,102の接合端部を溶融させる。
【0101】
しかる後、除去制御を行い、図18に示すようにチューブ100,102の接合端部の一部を掻き取って除去する。腹部側チューブ100,バッグ側チューブ102及びウエハ16の位置関係は図22に示すようになる。
【0102】
次いで、第2溶融制御を行い、図19に示すようにチューブ100,102の接合端部をウエハ16の溶融部33,33に接触させ溶融させる。
【0103】
そして、チューブ接触制御を行い、チューブ100,102の接合端部同士を接触させて固化させる。以上で腹部側チューブ100及びバッグ側チューブ102が接合される。
【0104】
尚、ウエハ16及びホルダ200は、1回の使用で装置1から取り外して廃棄する。
【0105】
次に、上記チューブ接合装置1を用いて腹部側チューブ100を切断する場合について説明する。チューブ接合装置1の制御モードは切断制御としておく。このとき、図23に示すように左側クランプ機構10と右側クランプ機構11とは接近しており、ストッパ22,25は、退避位置となる。
【0106】
図24に示すように、腹部側チューブ100を左側クランプ機構10の溝部20a及び右側クランプ機構11の溝部23aに押し込む。そして、図25に示すように、押さえカバー21,24を閉状態にする。押さえカバー21,24を閉状態にすると、押さえ部材21b,24bと溝部20a,23aの底面とによってチューブ100が径方向に押し潰される。これにより、腹部側チューブ100が左側クランプ機構10及び右側クランプ機構11にクランプされた状態となる。腹部側チューブ100,バッグ側チューブ102及びウエハ16の位置関係は図26に示すようになる。
【0107】
チューブ100をクランプした後に、カバー19bをセットして操作ボタン46を操作する。
【0108】
すると、準備制御の後、溶断制御を行い、チューブ100が溶断される。
【0109】
その後、溶融制御を行い、ウイング部30,30によってチューブ100,102の接合端部を溶融させる。
【0110】
次いで、除去制御を行い、チューブ100,102の接合端部の一部を掻き取って除去する。その後、残った溶融部分は冷却して固化し、これにより、チューブ100が閉塞状態でシールされる。
【0111】
以上説明したように、この実施形態にかかるチューブ接合装置1によれば、左側及び右側クランプ機構10,11が離間位置にあるときの両クランプ機構10,11の離間距離X1と、チューブ100.102の接合端部同士が当接する当接位置にあるときの両クランプ機構10,11の離間距離X2とに基づいてチューブ100,102の接合端部の突出度合いを得て、得られた突出量が適正範囲外である場合に報知するようにしているので、チューブ100,102の接合端部が軸方向について所定位置からずれたままで接合されることはなく、接合不良を確実に回避できる。
【0112】
尚、制御部15は、接合制御時、左側及び右側クランプ機構10,11を離間位置から当接位置まで移動させる際に、離間位置と当接位置との間の中間位置まで第1の速度で移動させ、中間位置から当接位置まで第1の速度よりも遅い第2の速度で移動させるように構成してもよい。
【0113】
これにより、左側及び右側クランプ機構10,11が離間位置から中間位置まで移動する際の速度を低下させることなく、中間位置から当接位置まで移動させる際の速度を低下させてチューブ100,102の接合端部同士を当接させる際にゆっくりと当接させることが可能になる。その結果、チューブ100,102の接合端部同士が当接した際に接合端部の変形が殆ど無くなるので、接合端部の変形によって生じる両クランプ機構10,11の離間距離の誤差を小さくして正確な報知を行うことができる。
【0114】
また、接合制御時には、チューブ100,102の接合端部が当接すると予測されるクランプ機構10,11の位置を予め設定しておき、この予め予測された当接位置よりも離間位置に近い位置を、台形制御における減速開始位置としてもよい。これにより、クランプ機構駆動モータ13の減速開始位置が離間位置に近くなるので、チューブ100,102の接合端部同士が実際に当接するまでにクランプ機構10,11の移動速度を低下させることが可能になる。従って、チューブ100,102の接合端部同士が当接した際に接合端部の変形が殆ど無くなるので、接合端部の変形によって生じる両クランプ機構10,11の離間距離の誤差を小さくして正確な報知を行うことができる。
【0115】
また、制御部15は、左側及び右側クランプ機構10,11を離間位置から当接位置まで移動させる際、クランプ機構駆動モータ13の起動及び停止を複数回繰り返すように構成してもよい。これにより、左側及び右側クランプ機構10,11の最高速度を低下させることが可能になる。従って、チューブ100,102の接合端部同士が当接した際に接合端部の変形が殆ど無くなるので、接合端部の変形によって生じる両クランプ機構10,11の離間距離の誤差を小さくして正確な報知を行うことができる。
【0116】
また、制御部15は、左側及び右側クランプ機構10,11を当接位置にする第1当接制御を行ってからクランプ機構駆動モータ13の駆動力を除去し、その後、左側及び右側クランプ機構10,11を第1当接制御よりも遅い速度で当接位置まで駆動する第2当接制御を行うように構成してもよい。
【0117】
この場合、第1当接制御により左側及び右側クランプ機構10,11を当接位置にした後、クランプ機構駆動モータ13の駆動力を除去することで、チューブ100,102の接合端部同士が無理な力で押し付けられたままになるのが回避される。そして、チューブ100,102の接合端部の弾性力によって左側及び右側クランプ機構10,11が互いに離間する方向に押し戻されることになる。その後、第2当接制御により左側及び右側クランプ機構10,11を再度当接位置にするときには、移動速度が遅くなるので、チューブ100,102の接合端部同士を当接のさせたときの接合端部の変形量が少なくなり、接合端部の変形によって生じる左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離の誤差が小さくなる。
【0118】
また、制御部15は、離間位置にあるときの左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離X1と、当接位置にあるときの左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離X2とを複数回測定し、測定結果の平均値を用いてチューブ100,102の接合端部の突出度合いを得るように構成してもよい。これにより、チューブ100,102の接合端部の突出度合いの誤差をより一層小さくできる。
【0119】
また、上記実施形態では、準備制御のみにおいて、左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離X1,X2を得て、得られた離間距離X1,X2と、準備制御における予め設定された適正範囲とに基づいて、チューブ100,102の突出度合いが適正範囲外である場合に報知するようにしているが、これに限らず、接合制御における第1溶融制御と、除去制御と、第2溶融制御と、チューブ接触制御との少なくとも1つの制御において左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離を得て、得られた離間距離と、当該制御における予め設定された適正範囲と比較し、得られた離間距離が適正範囲外である場合に報知するように構成してもよい。
【0120】
すなわち、制御部15には、第1溶融制御を行う際のチューブ100,102の接合端部の突出度合いの適正範囲を記憶させておく。この適正範囲とは、チューブ100,102の接合端部の突出度合いが、第1溶融制御により狙い通りに溶融できる範囲である。この適正範囲は、チューブ100,102の接合端部の突出度合いを様々に変えて第1溶融制御を行った結果に基づいて設定されている。
【0121】
また、制御部15には、除去制御を行う際のチューブ100,102の接合端部の突出度合いの適正範囲を記憶させておく。この適正範囲とは、チューブ100,102の接合端部の突出度合いが、除去制御によって溶融部分を狙い通りに除去できる範囲である。この適正範囲は、チューブ100,102の接合端部の突出度合いを様々に変えて除去制御を行った結果に基づいて設定されている。
【0122】
また、制御部15には、第2溶融制御を行う際のチューブ100,102の接合端部の突出度合いの適正範囲を記憶させておく。この適正範囲とは、チューブ100,102の接合端部の突出度合いが、第2溶融制御によって狙い通りに溶融できる範囲である。この適正範囲は、チューブ100,102の接合端部の突出度合いを様々に変えて第2溶融制御を行った結果に基づいて設定されている。
【0123】
この場合、第1溶融制御や、除去制御、第2溶融制御において左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離が適正範囲外である場合には報知されることになる。これにより、チューブ100,102を接合する前に、左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離が適正範囲外であることが分かるので、左側及び右側クランプ機構10,11にクランプされたチューブ100,102の接合端部が軸線方向について所定位置からずれたままで接合されることはなく、煩雑な作業を必要とせずに接合不良を確実に回避できる。
【0124】
また、制御部15は、第1溶融制御と、除去制御と、第2溶融制御との少なくとも1つの制御において左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離を得て、得られた離間距離と、当該制御における予め設定された適正範囲とを比較し、得られた離間距離が適正範囲外である場合に、得られた離間距離と適正範囲との差を求め、当該制御の後に行う制御においてその差に基づいて左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離を補正を行うように構成してもよい。例えば、第1溶融制御における左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離が適正範囲よりも1mm長かった場合には、次の除去制御では左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離を1mm狭くするように制御する。これにより、左側及び右側クランプ機構10,11にクランプされたチューブ100,102の接合端部が軸線方向について所定位置からずれたままで接合されることはなく、煩雑な作業を必要とせずに接合不良を確実に回避できる。
【0125】
また、この実施形態では、チューブ接合装置1の左側及び右側クランプ機構10,11の位置をエンコーダパルスに基づいて得るようにしているが、これには誤差が生じる恐れがある。従って、定期的に誤差の補正を行うようにしてもよい。すなわち、左側及び右側クランプ機構10,11を互いに離間する方向の限界位置(アウターリミット)まで移動させた後、接近する方向の限界位置(インナーリミット)まで移動させる。そして、左側及び右側クランプ機構10,11をアウターリミットからインナーリミットまで移動させた間に発生したエンコーダパルスから算出した移動距離と、実際のアウターリミットとインナーリミット間の距離とを比較して補正係数を算出する。左側及び右側クランプ機構10,11を制御する際に補正係数を用いて補正を行う。
【0126】
また、本発明は、CAPD患者の腹部側チューブ100とバッグ側チューブ102とを接合する場合以外にも、加熱により溶融する各種チューブを接合する場合に用いることができる。
【0127】
また、上記実施形態では、ブザー48を用いて報知するようにしているが、これに限らず、例えば、警告灯等や警告表示パネル等の報知手段を用いて報知するようにしてもよい。
【0128】
また、各制御において、左側及び右側クランプ機構10,11の離間距離と、制御部15に記憶されている目標値とを比較し、両者に差異がある場合に、次に行われる制御で設定される適正範囲を、該差異に応じて変更するようにしてもよい。これにより、後の制御が的確に行われることになる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
以上説明したように、本発明にかかるチューブ接合装置は、例えば、CAPD患者のバッグ側チューブと腹部側チューブとを接合する場合に用いることができる。
【符号の説明】
【0130】
1 チューブ接合装置
10 左側クランプ機構(第1クランプ部)
11 右側クランプ機構(第2クランプ部)
13 クランプ機構駆動モータ(クランプ駆動部)
14 キャリッジ
15 制御部
16 ウエハ(加熱部材)
100 腹部側チューブ(第1チューブ)
102 バッグ側チューブ(第2チューブ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱によって溶融する樹脂材からなる第1及び第2チューブの端部同士を溶着することにより接合するように構成されたチューブ接合装置において、
上記第1チューブを、該第1チューブの接合端部が突出した状態でクランプする第1クランプ部と、
上記第2チューブを、上記第1チューブの接合端部と対向するように突出させた状態でクランプする第2クランプ部と、
上記第1及び第2クランプ部を、上記第1及び第2チューブの接合端部が互いに接離する方向に駆動するクランプ駆動部と、
上記第1及び第2チューブの接合端部を溶融する温度まで加熱され、該接合端部を溶融するための加熱部材と、
上記クランプ駆動部を制御する制御部とを備え、
上記制御部は、上記クランプ駆動部によって上記第1及び第2クランプ部を互いに離れる方向に移動させた離間位置と、接合端部同士が当接する当接位置とに切り替え、離間位置にあるときの両クランプ部の離間距離から当接位置にあるときの両クランプ部の離間距離を差し引いて上記第1及び第2チューブの接合端部の突出度合いを得て、得られた突出度合いと、接合不良の回避が可能な予め設定された突出度合いの適正範囲とを比較し、得られた突出度合いが適正範囲外である場合に報知するように構成されていることを特徴とするチューブ接合装置。
【請求項2】
請求項1に記載のチューブ接合装置において、
制御部は、第1及び第2クランプ部を離間位置から当接位置まで移動させる際に、離間位置と当接位置との間の中間位置まで第1の速度で移動させ、中間位置から当接位置まで第1の速度よりも遅い第2の速度で移動させるように構成されていることを特徴とするチューブ接合装置。
【請求項3】
請求項1に記載のチューブ接合装置において、
クランプ駆動部は、第1及び第2クランプ部を駆動するためのモータを備え、
制御部は、上記モータを台形制御するものであり、台形制御における減速開始位置を予め予測された当接位置よりも離間位置に近い位置に設定することを特徴とするチューブ接合装置。
【請求項4】
請求項1に記載のチューブ接合装置において、
クランプ駆動部は、第1及び第2クランプ部を駆動するためのモータを備え、
制御部は、上記モータを台形制御するものであり、離間位置から当接位置まで上記モータの起動及び停止を複数回繰り返すように構成されていることを特徴とするチューブ接合装置。
【請求項5】
請求項1に記載のチューブ接合装置において、
クランプ駆動部は、第1及び第2クランプ部を駆動するためのモータを備え、
制御部は、第1及び第2クランプ部を当接位置にする第1当接制御を行ってから上記クランプ駆動部による駆動力を除去し、その後、上記第1及び第2クランプ部を上記第1当接制御よりも遅い速度で当接位置まで移動させる第2当接制御を行うことを特徴とするチューブ接合装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載のチューブ接合装置において、
制御部は、離間位置にあるときの両クランプ部の離間距離と、当接位置にあるときの両クランプ部の離間距離とを複数回測定し、測定結果の平均値を用いて第1及び第2チューブの接合端部の突出度合いを得ることを特徴とするチューブ接合装置。
【請求項7】
加熱によって溶融する樹脂材からなる第1及び第2チューブの端部同士を溶着することにより接合するように構成されたチューブ接合装置において、
上記第1チューブを、該第1チューブの接合端部が突出した状態でクランプする第1クランプ部と、
上記第2チューブを、上記第1チューブの接合端部と対向するように突出させた状態でクランプする第2クランプ部と、
上記第1及び第2クランプ部を、上記第1及び第2チューブの接合端部が互いに接離する方向に駆動するクランプ駆動部と、
上記第1及び第2チューブの接合端部を溶融する温度まで加熱されて該端部を溶融するための加熱部材と、
上記クランプ駆動部を制御する制御部とを備え、
上記制御部は、上記第1及び第2チューブの接合端部が上記加熱部材に接触するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させる第1溶融制御と、第1溶融制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部の溶融した部分を除去する除去制御と、除去制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部が上記加熱部材に接触するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させる第2溶融制御と、上記第2溶融制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部同士が当接するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させて接合するチューブ接触制御とを行うとともに、上記第1溶融制御、上記除去制御、上記第2溶融制御の少なくとも1つの制御において上記第1及び第2クランプ部の離間距離を得て、得られた離間距離と、当該制御における予め設定された適正範囲とを比較し、得られた離間距離が適正範囲外である場合に報知するように構成されていることを特徴とするチューブ接合装置。
【請求項8】
加熱によって溶融する樹脂材からなる第1及び第2チューブの端部同士を溶着することにより接合するように構成されたチューブ接合装置において、
上記第1チューブを、該第1チューブの接合端部が突出した状態でクランプする第1クランプ部と、
上記第2チューブを、上記第1チューブの接合端部と対向するように突出させた状態でクランプする第2クランプ部と、
上記第1及び第2クランプ部を、上記第1及び第2チューブの接合端部が互いに接離する方向に駆動するクランプ駆動部と、
上記第1及び第2チューブの接合端部を溶融する温度まで加熱されて該端部を溶融するための加熱部材と、
上記クランプ駆動部を制御する制御部とを備え、
上記制御部は、上記第1及び第2チューブの接合端部が上記加熱部材に接触するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させる第1溶融制御と、第1溶融制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部の溶融した部分を除去する除去制御と、除去制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部が上記加熱部材に接触するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させる第2溶融制御と、上記第2溶融制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部同士が当接するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させて接合するチューブ接触制御とを行うとともに、上記第1溶融制御、上記除去制御、上記第2溶融制御の少なくとも1つの制御において上記第1及び第2クランプ部の離間距離を得て、得られた離間距離と、当該制御における予め設定された適正範囲とを比較し、得られた離間距離が適正範囲外である場合に、得られた離間距離の適正範囲との差を求め、当該制御の後に行う制御において上記差に基づいて上記第1及び第2クランプ部の離間距離を補正するように構成されていることを特徴とするチューブ接合装置。
【請求項1】
加熱によって溶融する樹脂材からなる第1及び第2チューブの端部同士を溶着することにより接合するように構成されたチューブ接合装置において、
上記第1チューブを、該第1チューブの接合端部が突出した状態でクランプする第1クランプ部と、
上記第2チューブを、上記第1チューブの接合端部と対向するように突出させた状態でクランプする第2クランプ部と、
上記第1及び第2クランプ部を、上記第1及び第2チューブの接合端部が互いに接離する方向に駆動するクランプ駆動部と、
上記第1及び第2チューブの接合端部を溶融する温度まで加熱され、該接合端部を溶融するための加熱部材と、
上記クランプ駆動部を制御する制御部とを備え、
上記制御部は、上記クランプ駆動部によって上記第1及び第2クランプ部を互いに離れる方向に移動させた離間位置と、接合端部同士が当接する当接位置とに切り替え、離間位置にあるときの両クランプ部の離間距離から当接位置にあるときの両クランプ部の離間距離を差し引いて上記第1及び第2チューブの接合端部の突出度合いを得て、得られた突出度合いと、接合不良の回避が可能な予め設定された突出度合いの適正範囲とを比較し、得られた突出度合いが適正範囲外である場合に報知するように構成されていることを特徴とするチューブ接合装置。
【請求項2】
請求項1に記載のチューブ接合装置において、
制御部は、第1及び第2クランプ部を離間位置から当接位置まで移動させる際に、離間位置と当接位置との間の中間位置まで第1の速度で移動させ、中間位置から当接位置まで第1の速度よりも遅い第2の速度で移動させるように構成されていることを特徴とするチューブ接合装置。
【請求項3】
請求項1に記載のチューブ接合装置において、
クランプ駆動部は、第1及び第2クランプ部を駆動するためのモータを備え、
制御部は、上記モータを台形制御するものであり、台形制御における減速開始位置を予め予測された当接位置よりも離間位置に近い位置に設定することを特徴とするチューブ接合装置。
【請求項4】
請求項1に記載のチューブ接合装置において、
クランプ駆動部は、第1及び第2クランプ部を駆動するためのモータを備え、
制御部は、上記モータを台形制御するものであり、離間位置から当接位置まで上記モータの起動及び停止を複数回繰り返すように構成されていることを特徴とするチューブ接合装置。
【請求項5】
請求項1に記載のチューブ接合装置において、
クランプ駆動部は、第1及び第2クランプ部を駆動するためのモータを備え、
制御部は、第1及び第2クランプ部を当接位置にする第1当接制御を行ってから上記クランプ駆動部による駆動力を除去し、その後、上記第1及び第2クランプ部を上記第1当接制御よりも遅い速度で当接位置まで移動させる第2当接制御を行うことを特徴とするチューブ接合装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載のチューブ接合装置において、
制御部は、離間位置にあるときの両クランプ部の離間距離と、当接位置にあるときの両クランプ部の離間距離とを複数回測定し、測定結果の平均値を用いて第1及び第2チューブの接合端部の突出度合いを得ることを特徴とするチューブ接合装置。
【請求項7】
加熱によって溶融する樹脂材からなる第1及び第2チューブの端部同士を溶着することにより接合するように構成されたチューブ接合装置において、
上記第1チューブを、該第1チューブの接合端部が突出した状態でクランプする第1クランプ部と、
上記第2チューブを、上記第1チューブの接合端部と対向するように突出させた状態でクランプする第2クランプ部と、
上記第1及び第2クランプ部を、上記第1及び第2チューブの接合端部が互いに接離する方向に駆動するクランプ駆動部と、
上記第1及び第2チューブの接合端部を溶融する温度まで加熱されて該端部を溶融するための加熱部材と、
上記クランプ駆動部を制御する制御部とを備え、
上記制御部は、上記第1及び第2チューブの接合端部が上記加熱部材に接触するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させる第1溶融制御と、第1溶融制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部の溶融した部分を除去する除去制御と、除去制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部が上記加熱部材に接触するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させる第2溶融制御と、上記第2溶融制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部同士が当接するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させて接合するチューブ接触制御とを行うとともに、上記第1溶融制御、上記除去制御、上記第2溶融制御の少なくとも1つの制御において上記第1及び第2クランプ部の離間距離を得て、得られた離間距離と、当該制御における予め設定された適正範囲とを比較し、得られた離間距離が適正範囲外である場合に報知するように構成されていることを特徴とするチューブ接合装置。
【請求項8】
加熱によって溶融する樹脂材からなる第1及び第2チューブの端部同士を溶着することにより接合するように構成されたチューブ接合装置において、
上記第1チューブを、該第1チューブの接合端部が突出した状態でクランプする第1クランプ部と、
上記第2チューブを、上記第1チューブの接合端部と対向するように突出させた状態でクランプする第2クランプ部と、
上記第1及び第2クランプ部を、上記第1及び第2チューブの接合端部が互いに接離する方向に駆動するクランプ駆動部と、
上記第1及び第2チューブの接合端部を溶融する温度まで加熱されて該端部を溶融するための加熱部材と、
上記クランプ駆動部を制御する制御部とを備え、
上記制御部は、上記第1及び第2チューブの接合端部が上記加熱部材に接触するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させる第1溶融制御と、第1溶融制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部の溶融した部分を除去する除去制御と、除去制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部が上記加熱部材に接触するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させる第2溶融制御と、上記第2溶融制御の後、上記第1及び第2チューブの接合端部同士が当接するまで上記第1及び第2クランプ部を移動させて接合するチューブ接触制御とを行うとともに、上記第1溶融制御、上記除去制御、上記第2溶融制御の少なくとも1つの制御において上記第1及び第2クランプ部の離間距離を得て、得られた離間距離と、当該制御における予め設定された適正範囲とを比較し、得られた離間距離が適正範囲外である場合に、得られた離間距離の適正範囲との差を求め、当該制御の後に行う制御において上記差に基づいて上記第1及び第2クランプ部の離間距離を補正するように構成されていることを特徴とするチューブ接合装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2012−148035(P2012−148035A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10998(P2011−10998)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】
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