説明

チューブ状容器

【課題】チューブ状容器の胴体とヘッドとが別構成であることで、胴体とヘッドとの相互間にバリア性の無い領域が形成されることによる不都合を解消し、バリア性の改善を図る。
【解決手段】チューブ状容器100は、酸素吸収層b、ガスバリア層c及び合成樹脂からなる基材層aを有する積層構造の胴体110と、胴体110の開放端110eに連結され肩部120a及び注出部120bの外観形状を形作るヘッド本体121と、酸素吸収層b、ガスバリア層c及び基材層a1,a2を有しヘッド本体121の内面側に装着される積層構造のバリア部材122とを備え、バリア部材122の外周表面部122fに開放端110eを重ね合わせに連結し、この連結部に、胴体110の酸素吸収層b及びガスバリア層cと、バリア部材122の酸素吸収層b及びガスバリア層cとの重ね合わせ部分を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともガスバリア層、酸素吸収層及び合成樹脂からなる基材層を有する積層構造の胴体と、前記ガスバリア層、前記酸素吸収層及び前記基材層を有し前記胴体の開放端に連結され当該胴体と共に内容物の充填空間を形成するヘッドとを備えるチューブ状容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チューブ状容器は、染髪剤、染色剤、医薬品、化粧料、歯磨き剤、食品、その他の様々な成分の内容物を充填するため、例えば、遮光性やガスバリア性等のバリア性が要求される場合がある。
【0003】
これに対して従来のチューブ状容器は、ガスバリア層と合成樹脂製の基材層とを同心円状に配置した積層構造の胴体と、この胴体と共に内容物の充填空間を形成するヘッドとを備えるチューブ状容器であって、このヘッドを、胴体の開放端に連結され肩部及び注出部の外観形状を形作るヘッド本体と、ヘッド本体の内面側に装着された中空円錐形状をしてなるバリア部材とから構成されたものがある(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−198950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記チューブ状容器は、その胴体とヘッドが別構成であるため、胴体のバリア性に関しては、胴体を構成するガスバリア層で確保する一方、ヘッドに関しては、ヘッドに設けたバリア部材のガスバリア性能で確保している。即ち、従来のチューブ状容器は、胴体のガスバリア層の端部とヘッドのバリア部材の端部が分離しているため、胴体とヘッドとの相互間にガスバリア層の存在しない領域が形成され、容器全体としてのバリア性の確保が充分ではなかった。
【0005】
本発明は、こうした事実に着目してなされたものであり、その解決すべき課題は、チューブ状容器の胴体とヘッドとが別構成であることで、胴体とヘッドとの相互間にガスバリア性の無い領域が形成されることによる不都合を解消し、バリア性の改善を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明であるチューブ状容器は、少なくともガスバリア層、酸素吸収層及び合成樹脂からなる基材層を有する積層構造の胴体と、前記ガスバリア層、前記酸素吸収層及び前記基材層を有し前記胴体の開放端に連結され当該胴体と共に内容物の充填空間を形成するヘッドとを備えるチューブ状容器であって、前記ヘッドの外周表面部に前記胴体の開放端を重ね合わせに連結し、この連結部に、前記胴体のガスバリア層及び前記酸素吸収層と、前記ヘッドのガスバリア層及び前記酸素吸収層との重ね合わせ部分を設けたことを特徴とするものである。
【0007】
本発明容器において、ガスバリア層が酸素吸収層よりも外面側に位置していることが好ましい。
【0008】
また、本発明容器に係るヘッドは、胴体の開放端に連結され肩部及び注出部の外観形状を形作るヘッド本体と、前記ガスバリア層、前記酸素吸収層及び前記基材層を有し前記ヘッド本体の内面側に装着される積層構造のバリア部材とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明容器によれば、チューブ状容器の胴体とヘッドとを別構成としても、胴体とヘッドとの相互間は、胴体のガスバリア層及び酸素吸収層で覆われるため、胴体とヘッドとの相互間にガスバリア性の無い領域が形成されることによる不都合が解消され、ガスバリア性の改善を図ることができる。
【0010】
特に、本発明容器において、ガスバリア層が酸素吸収層よりも外面側に位置すれば、外界からのガス(酸素)の侵入を抑制しつつ、容器の内側に残留した酸素も除去できるため、ガスバリア性の改善を効率的に図ることができる。
【0011】
更に、本発明容器において、前記ヘッドを、胴体の開放端に連結され肩部及び注出部の外観形状を形作るヘッド本体と、ガスバリア層、酸素吸収層及び基材層を有しヘッド本体の内面側に装着される積層構造のバリア部材とすれば、上述のような効果を奏する本発明容器の製造を容易なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一形態を、添付図面に基づき詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一形態である、チューブ状容器100を一部断面で示す平面図であり、図2は、図1の領域Xを示す拡大図である。
【0014】
図1において、符号110は、一方の開放端がヒートシールされることにより封止され、チューブ状容器100の末端部100eをなす筒状の胴体である。この胴体110は、図2に示すように、軸線Oの周りに同心配置された4層構造である。各層は、軸線O側(胴体内側)から、ポリエチレンからなる基材層a、酸素を吸収する機能を有し、例えば、ポリアミドにコバルト等の金属触媒を加えてなる酸素吸収層b、光やガスの透過を防止するアルミニウム箔からなる遮光層c、ポリエチレンからなる基材層c及び、着色ポリエチレンからなる表面層dで構成されている。
【0015】
次に、図1において、符号120は、胴体110の開放端に連結され当該胴体110と共に内容物の充填空間Rを形成するヘッドである。ヘッド120は、胴体110の開放端に連結される肩部120aと、この肩部120aに繋がる注出部120bとが一体に形作られたヘッド本体121と、このヘッド本体121の内面側に装着され、胴体110及びヘッド本体121と共に内容物の充填空間Rを形成するバリア部材122とを備える。
【0016】
図3は、バリア部材122を示す斜視図である。バリア部材122は、図3に示すように、筒状部122aと、円錐台状に繋がる末広がり部122bとが一体に形作られている中空の部材である。また、バリア部材122は、軸線Oの周りに同心配置された4層構造である。各層は、軸線O(バリア部材122内側)からバリア部材122の内面形状を形作るポリエチレンからなる基材層a1、酸素を吸収する機能を有する酸素吸収層b、光の透過を防止するアルミニウム箔からなる遮光層c及びバリア部材122の外面形状を形作るポリエチレンからなる基材層a2で構成されている。
【0017】
更に本発明に従うチューブ状容器100は、図2に示すように、ヘッド本体121の外周表面部121fに、胴体110の開放端110eを重ね合わせに連結して、胴体110の開放端110eとバリア部材122の外周端122eとの相互間に形成される領域Yを連結部とし、この連結部に、ヘッド本体121が介在する、胴体110の酸素吸収層b及び遮光層cと、バリア部材122の酸素吸収層b及び遮光層cとの重ね合わせ部分が設けられている。なお、符号130は、チューブ状容器100の注出部120bに装着されるキャップである。
【0018】
チューブ状容器100によれば、従来のように、胴体110とヘッド120とを別構成としても、胴体110とヘッド120との相互間は、胴体110のガスバリア層c及び酸素吸収層bで覆われるため、胴体110とヘッド120との相互間にガスバリア性の無い領域が形成されることによる不都合が解消され、バリア性の改善を図ることができる。
【0019】
特に、チューブ状容器100において、ガスバリア層cが酸素吸収層bよりも外面側に位置すれば、外界からのガス(酸素)の侵入を抑制しつつ、容器100の内側に残留した酸素も除去できるため、ガスバリア性の改善を効率的に図ることができる。
【0020】
また、本チューブ状容器100のように、ガスバリア層c及び酸素吸収層bを備えれば、内容物の品質に特に影響を与え易い日光に含まれる紫外線を遮断しつつ、内容物の酸化を抑制できるため、上記効果に加え、様々な内容物の品質を長期に亘って良好な状態に維持することができる。
【0021】
ここで、図面を参照して本チューブ状容器100の製造方法の一例を説明する。
【0022】
図4は、胴体110を形成するにあたり用いられる中間体を示す斜視図である。胴体110の形成に用いる中間体は、筒状をなし、例えば、図2に示す積層構造を有する4層構造の積層シートSを巻き付けたのち、その両端Seを接着又は溶着して形成される。
【0023】
バリア部材122は、積層シートの熱成形などによって成形される。バリア部材122を成形したのちは、このバリア部材122を図5に示すように可動側金型M1に位置決めする。
【0024】
次いで、可動側金型M1を図4に示す胴体110の中間体と共に、図6に示すように、固定側金型M2内に、胴体110の開放端110eがバリア部材122の外周表面部122fに重ね合わせになるように配置したのち、可動側金型M1と固定側金型M2との間に形成されたキャビティCにポリエチレンを供給する。
【0025】
これにより、胴体110とバリア部材122との相互間に、肩部120a及び注出部120bの外観形状を形作るヘッド本体121が一体に成形されて、本チューブ状容器100が完成する。こうした製造方法によれば、上述のような効果を奏する本容器100を迅速かつ大量に提供することができる。なお、ヘッド本体121を成形する場合も、上述のような射出成形に限らず、圧縮成形でもよい。
【0026】
上述したところは本発明の形態を例示したに過ぎず、様々な変更が可能である。例えば、ガスバリア層は、アルミ層のように、遮光性とガスバリア性との両者を兼ね備えるものが好ましいが、少なくともガスバリア性を有する層であればよい。また、ガスバリア性についての具体的な機能も、酸素バリア性に限定されることなく、二酸化炭素等のガス全般に対してのバリア性であればよい。更に、酸素吸収層は、酸素吸収機能を発揮すればその構成は限定されず、例えば鉄系の酸素吸収剤や、このような酸素吸収剤を含有させた合成樹脂を採用することもできる。
【0027】
また、胴体110又はバリア部材122の層構成は、ガスバリア層c及び酸素吸収層bを中間層として有していればよく、層の数、およびその積層順序は適宜選択できる。また、胴体110の外表面にコーティング層を設けても良い。さらに、ガスバリア層と酸素吸収層との間にポリエチレンなどの基材層を設けても良い。ガスバリア層としては、記述のアルミ箔に変えて、金属蒸着層やガスバリア性に優れたエチレン・ビニルアルコール共重合体などの合成樹脂、これらの層を複数設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明容器の一形態である、チューブ状容器を一部断面で示す平面図である。
【図2】図1の領域Xを示す拡大図である。
【図3】同形態に係るバリア部材を示す斜視図である。
【図4】同形態に係る胴体を形成するにあたり用いられる中間体を示す斜視図である
【図5】本発明方法の一形態を説明するにあたり、図3のバリア部材を可動側金型にセットした状態を示す模式断面図である。
【図6】同発明方法を説明するにあたり、図5に示す可動側金型を固定側金型にセットした状態を示す模式断面図である。
【符号の説明】
【0029】
100 チューブ状容器
110 胴体
110e 胴体の開放端
120 ヘッド
120a 肩部
120b 注出部
121 ヘッド本体
122 バリア部材
122e バリア部材の外周端(ヘッドの外周端)
130 キャップ
a 基材層
b 酸素吸収層
c ガスバリア層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともガスバリア層、酸素吸収層及び合成樹脂からなる基材層を有する積層構造の胴体と、前記ガスバリア層、前記酸素吸収層及び前記基材層を有し前記胴体の開放端に連結され当該胴体と共に内容物の充填空間を形成するヘッドとを備えるチューブ状容器であって、
前記ヘッドの外周表面部に前記胴体の開放端を重ね合わせに連結し、この連結部に、前記胴体のガスバリア層及び前記酸素吸収層と、前記ヘッドのガスバリア層及び前記酸素吸収層との重ね合わせ部分を設けたことを特徴とするチューブ状容器。
【請求項2】
前記ガスバリア層が前記酸素吸収層よりも外面側に位置していることを特徴とする請求項1に記載のチューブ状容器。
【請求項3】
前記ヘッドは、前記胴体の開放端に連結され肩部及び注出部の外観形状を形作るヘッド本体と、前記ガスバリア層、前記酸素吸収層及び前記基材層を有し前記ヘッド本体の内面側に装着される積層構造のバリア部材とを備える請求項1又は2に記載のチューブ状容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−162627(P2008−162627A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352921(P2006−352921)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】