説明

チーズのブロックを製造するための方法および装置

カードからチーズのブロックを製造するための方法であって、カード塊が、フォロアを備える少なくとも1つのチーズ型に堆積され、少なくとも1つのチーズ型において、真空処理およびプレス処理を施され、少なくとも1つのチーズ型が、真空を発生させているホルダに配置される間に、上記プレス処理が行われ、真空処理が少なくとも第1および第2のステップを含み、第1のステップで真空ポンプ手段を使用して、ホルダに、第1の真空圧を有する真空を形成して、カード塊から空気とそれに随伴するホエーとを抜き、第2のステップにおいて、ホルダ内の真空圧をさらに減少させて第2の真空圧にし、この第2の真空圧は、カード塊に存在するホエーが沸騰し始め、残りの空気および遊離ホエーがカード塊から押し出される値を有する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードからチーズのブロックを製造するための方法であって、カード塊が、フォロアを備える少なくとも1つのチーズ型に堆積され、少なくとも1つのチーズ型において、真空処理およびプレス処理を施され、少なくとも1つのチーズ型が、真空を発生させているホルダに配置される間に、上記プレス処理が行われる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チーズ製造工程において、通常、プレス処理は、カード塊からホエー(Whey)および空気を除去するために用いられる。カード塊は、例えば、新鮮なまたは既に予め酸化されているが、未だコヒーレントではない粒状のカード粒子、あるいは例えば、小さな塊形状、細片形状または他の形状のカード粒子アセンブリ、あるいは例えば、予備成形されたカードブロックからなり得る。プレス処理により、カード粒子が互いに接着することによって、安定されたブロックが得られる。これによって、コヒーレントなカード塊、すなわち、チーズブロックが形成され、ブロックの外面にリンドが形成される。
【0003】
プレス処理中、カード塊が、移動可能な1つ以上の側部を有するチーズ型に収容される。すなわち、通常、移動可能な底部または側壁を有する構造のカバーも可能である。分かりやすくするために、以下において、チーズ型が、移動可能なカバーを有することが最も一般的な構造であることを基本とする。空気圧シリンダ等によって、移動可能なカバーには機械的外力が加えられる。
【0004】
通常、プレス処理は、連続する複数のプレスステップで行われ、これによって、最初、カード塊に捕捉されている余分なホエーおよび空気が除去され、カード塊が、チーズ型およびそのカバーによって規定された最終的なブロック形状になる。これにより、カード粒子が互いに圧接して、コヒーレントな塊を形成し、最終的には、カードブロックの表面におけるカード塊の圧縮によって、リンドが形成される。
【0005】
このようなプレス処理は多くの時間がかかり、多くのエネルギーを必要とする。過去において、最終的なチーズブロックの優れた品質を維持しつつ、真空処理を用いるプレス処理を加速させるために、および/またはその処理に必要なエネルギーを抑えるために、多くの試みがなされてきた。
【0006】
例えば、特許文献1には、チェダーチーズのブロックを製造するための方法が記載されており、この方法では、ブロックフォーマーから得られたカードブロックが、高い真空状態になり、次に、一時的に機械でプレスされ、一方、短時間でブロックのリンドを得るために、ガス圧が気圧まで増加する。
【0007】
さらに、特許文献2から、新鮮な粒状カードから半硬質のチーズのブロックを製造するための方法が知られており、この方法では、気圧下で最終的なプレス処理を行う前に、95%以上の高い真空下における一時的な予備プレス処理を適用して、チーズブロックの内部構造を改善することを実現する。
【0008】
特許文献3から、チーズのブロックを製造するための上記種類の方法が知られており、この方法では、2つ以上のサイクル数の間に真空下でカードがプレスされる。各プレスサイクルにおいて、20〜25分の第1の段階中、チーズ型が真空空間に配置される間に、プレス圧力が、チーズ型に配置されたカードに加えられる。その後、それぞれのプレスサイクルの第2の段階において、プレス圧力が除去され、真空空間には、気圧以上の圧力が発生する。第2の段階は、30秒〜2分のオーダーである持続時間を有する。プレス圧力は、機械で加えられたプレス圧力であり得るが、雰囲気圧力と真空空間内の真空圧との差によって発生させることも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US−A−5082681
【特許文献2】EP−B−1108362
【特許文献3】欧州特許出願公開第0742998A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、公知の技術よりも迅速におよび/または公知の技術よりも少ないエネルギー消費量で、優れた内部構造および外部構造を有するチーズのブロックを製造することができる改善された方法および装置を提供することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このため、本発明によれば、上記種類の方法は、真空処理が少なくとも第1および第2のステップを含み、第1のステップで真空ポンプ手段を使用して、ホルダに、第1の真空圧を有する真空を形成して、カード塊から空気とそれに随伴するホエーとを抜き、第2のステップにおいて、ホルダ内の真空圧を減少させて第2の真空圧にし、この第2の真空圧は、カード塊に存在するホエーが沸騰し始め、残りの空気および遊離ホエーがカード塊から押し出される値を有することによって特徴付けられる。
【0012】
この場合、本明細書および特許請求の範囲でチーズ型について説明し、このチーズ型が、複数のフォロアを使用して複数のカード塊を同時にプレスすることができるいわゆる複数のチーズ型を含むと理解されることに留意されたい。
【0013】
添付図面を参照して、本発明についてさらに以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】チーズのブロックを製造するための本発明による装置の一例の縦断面図を概略的に示している。
【図2】図1による同様の装置の分解斜視図を概略的に示している。
【図3】図1の装置の変形例の一例の概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、チーズのブロックを製造するための本発明による装置1の一例の縦断面図を概略的に示している。本明細書および特許請求の範囲では、チーズのブロックを説明することに留意されたい。これらのブロックが長方形のブロックである必要はない。「ブロック」という用語はチーズの全ての可能な形状を指すと理解される。図示した装置は、この実施例において硬質材料の下部および上部を備える箱型のケース2を備える。ホルダは、金属、例えばステンレス鋼、または空気不透過性の適切なプラスチックから製造することが可能である。下部3は、カバーとして機能する上部4によって閉鎖することができる開口ホルダを形成する。下部および上部は、適切に成形された結合縁部5と6を有し、これらの縁部の間には、気密閉鎖部を形成するためのシール材料7が存在する。カバーには、閉鎖空気室9をカバーの上部に形成するこの実施例では柔軟な膜状のガス密可撓性壁8が配置される。代わりに、空気室には、移動可能な剛性隔壁または剛性スタンプを設けてもよい。本明細書および特許請求の範囲の内容において、この実施形態は「可撓性壁」という用語内に含まれると理解される。さらに、カバーには管10が設けられ、この管は、空気室9に終端し、動作可能な適切なガス弁11を有する。
【0016】
同様に、下部には、その壁部にわたって延びる管12が設けられ、この管は、ホルダの内部空間13に終端し、動作可能な適切なガス弁14を備える。
【0017】
図示したように、ホルダにはチーズ型20を配置することができる。このため、所望ならば、適切な支持体21を使用することができる。動作時、チーズ型20にはカード塊22が充填される。カード塊22は、例えばTetra Tebel Casomatic(登録商標)またはTetra Tebel Pressvatic(登録商標)タイプのいわゆるカードドレイナーおよびカードフォーマーによって、あるいは例えばTetra Tebel Blockformer(登録商標)タイプのいわゆるブロックフォーマーによって例えば製造されるような予備成形カードブロックからなることができる。カード塊は、例えば、新鮮な粒状カードから、あるいは例えば、カードチップとも呼ばれるいわゆるカード片等の粉砕形状の予め水切りされるかまたは酸化された複合カード塊からなることも可能であり、この複合カード塊は、Tetra Tebel Alfomatic(登録商標)タイプの酸化機からチーズ型に入れられる。チーズ型20およびそれに関連するカバー24は、従来、穿孔壁を有し、ホエーおよび空気が穿孔壁の開口部を介してカード塊から逃げることを可能にする。このことは矢印23で概略的に示されている。
【0018】
カード塊22の上には、通常通り、チーズ型の移動可能なカバー24が動作可能に載置される。このようなカバーは多くの場合「フォロア(Follower)」と呼ばれる。
【0019】
動作時、チーズ型のカバーの頂部は、ホルダカバー4の空気室9にくっついている膜8に当接する。
【0020】
本発明によれば、以下のように、上記装置を使用して、チーズブロックを製造することができる。
【0021】
カードが充填されたチーズバット20がホルダ2に配置されて、ホルダが閉鎖された後に、第1のステップにおいて、ホルダ2は、真空ポンプ手段15により、管12とそのとき開放している弁14とを介して真空にされ、第1の真空圧になる。さらに、所望ならば、それと同時に、チーズの種類に応じて、管10とそのとき開放している弁11とを介して、または弁を有する別個の管を介して空気室9を一時的に真空にして、この空気室内に存在する残留空気により膜8が下方に移動し、下方のカバー24を介して圧力をカード塊22に加えることを防止することが可能である。この目的のために必要な管10と真空ポンプ手段15と弁との接続は図1には示されていない。チーズ型の周囲の圧力が減少することにより、さらに、空気流がカード塊の内部から発生し、矢印23で示したように、チーズバットの壁部の開口部を介して外部に流出する。さらに、この空気流はカード塊からのホエーを随伴する。したがって、第1のステップ中に、空気およびホエーがカード塊から抜かれる。
【0022】
このステップ中、空気室9に接続された管10の弁11を開放または閉鎖することが可能である。いくつかの種類のチーズでは、弁11を開放することが有用である。このことは、第1のステップが開始してすぐにまたはそのステップの直後に行うことができる。その場合、雰囲気圧力が発生している空気室9の内部とホルダの内部との大きな圧力差の影響下で、柔軟な膜8が延伸されることによって、空気室が膨張する。これによって、膜8がフォロア24の頂部に圧接するので、チーズ型内のカード塊が圧縮される。このようにして、空気およびホエーを加速させながらカード塊から搾り出すことができる。
【0023】
次に、完全またはほぼ完全に閉鎖された組織を有する種類のチーズ(中身の見えないチーズ)、すなわち、含有空気または含有ホエーが存在しないチーズを得るために、有利には、第2のステップ中に、ホルダ内の圧力をさらに減少させて、より低い第2の真空圧にすることが可能であり、その結果、真空状態になることにより沸騰温度がホエー温度まで下がっている場合に、依然として存在するホエーが沸騰し始める。したがって、このために必要な真空強度は、ホエーの温度に依存し、ホエーの温度またはカード塊に応じて制御することができる。例えば、第2の真空圧は数十mbarのオーダー、例えば50mbarのオーダーであることができる。コアを含むカード塊の全体にわたって、ホエーが沸騰し始めるときに、ホエーに含まれている水の一部が蒸発する。結果として、水の体積が非常に強く増加するので、全ての空気および遊離ホエーがカード塊から押し出される。増加した体積は、真空圧に応じて35,000の係数のオーダーであり得る。
【0024】
第1のステップ中、弁11が開放しなかった場合、所望ならば、第2のステップの終了後または終了近くに弁11をさらに開放することが可能である。既に上述したように、次に、膜8がフォロア24に圧力を加えて、チーズ型内のカード塊が圧縮される。ここで、弁11は、以下に説明する第3のステップ中にも開放したままである。
【0025】
以下のステップでは、チーズの種類と、製造すべきチーズブロックのサイズとに依存する特定の時間にわたって、真空が維持される。弁11が第2のステップ中に開放しなかった場合、ここで弁11を開放する必要がある。既に上述したように、次に、膜8がフォロア24に圧力を加え、チーズ型内のカード塊が圧縮される。通常、上記ステップで最も長く続くこの第3のステップでは、カード粒子を互いに接着して融着することができ、安定したリンドを形成することができる。弁を介して気圧を受け入れることは、1つのステップで行うことができるが、チーズの種類に応じて、複数のステップで行ってもよい。第1の例では、最大プレス圧力を直接利用可能である。第2の例では、プレス圧力が段階的に形成される。このため、気圧よりも低い圧力を有する空気が空間9に収容され得る。このようにして、例えば、それほど硬くないまたはそれほど深くないリンドの形成を実現することが可能である。所望ならば、気圧よりも高い圧力を有する空気を受け入れることによって、端部圧力を増加させることも可能である。所望ならば、カバーおよび/またはカード塊の表面に接する膜表面を減少させることによって、気圧における最大プレス力を減少させることも可能である。
【0026】
ホエーの沸点に達した後、弁14を閉鎖して、真空ポンプを停止することができる。ここで、真空強度はもはやそれほど変化しない。しかし、第2のステップの残りの部分、所望ならば上記時間の少なくとも一部にわたって、真空ポンプの動作を保持することも可能である。次に、真空ポンプは、沸騰によって形成された水蒸気を能動的に排出し続ける。このことは、水のさらなる蒸発を促進し、なおさらに蒸気を除去することを可能にする。このようにして、チーズの水分を制御することができる。
【0027】
第3のステップにおいて、ある範囲のリンド形成が行われた後、第4のステップでは、真空強度が、沸騰限界よりも高い値まで減少される。ここで、カード塊の残りの水蒸気が凝縮して、それらの体積が著しく減少される。減少係数は、第2のステップについて示された膨張係数と同じオーダーである。水蒸気の突然の体積減少はカード塊の内破現象を生じさせ、カード塊が内部収縮を起こし、その結果、カード塊がさらに圧縮される。
【0028】
その後、さらにある時間にわたって真空強度を維持するか、または真空強度を徐々に減少させることによって、プレス処理を継続することが可能であり、このことは、複数のステップで行っても行わなくてもよい。プレス処理は、真空を除去することによって終了する。真空の減少または除去は、例えば、管12と弁14とを介して気圧下の空気(周囲空気)を受け入れることによって行うことが可能である。
【0029】
次に、チーズ型自体がホルダから取り外された後に、このようにして得られたチーズブロックをチーズ型から取り出すことができる。チーズ型の壁部の開口部を介して気圧がチーズブロックの表面に既に加えられており、一方、チーズブロックの内部に依然として減圧が発生しており、捕捉された蒸気の凝縮工程が依然として進行中であり、元の蒸気体積がチーズ塊によって吸収されている場合、チーズブロックはやや収縮し、チーズ型から引き離されて解放される。結果として、チーズブロックは、チーズ型の壁部から離れ、真空吸引カップまたは圧縮空気等の従来の補助なしにチーズ型から取り出すことができる。
【0030】
上記方法を自動化することが可能である。このため、弁11と14および真空ポンプ15は、例えば電気的に制御可能であるように構成することが可能であり、制御デバイス25、例えばマイクロプロセッサに接続することが可能であり、この制御デバイスは、所定のタイムスケジュールおよび所定の制御設定に従って弁および真空ポンプを制御する。さらに、ここで圧力計26、27を設けることが可能であり、これらの圧力計は、例えば、ホルダの空間13内のおよび空気室9内の圧力を測定し、さらにマイクロプロセッサ25に結合される。
【0031】
上記方法の重要な利点は、別個の機械的プレスが不要であることである。プレス処理のために、有利には、いずれにしても真空処理によって既に生じている周囲とホルダの内部との著しい圧力差を利用することができる。それにもかかわらず、所望ならば、必要なプレス力を完全または部分的に機械で加えることが可能である。
【0032】
他の重要な利点は、上記プレス処理が比較的短時間で行われることである。
【0033】
試験によれば、ゴーダチーズおよび同様の種類のチーズについて、上記工程を、非常に短時間で、例えば約15分で済ませることが予想される。第1のステップ中に真空を形成し、水蒸気の推進力によって遊離ホエーを除去することは、当該時間内でほんの数秒続ければ済ませられる。さらに、チーズ型をもはや別個の機械的プレスステーションに搬送する必要がない。
【0034】
その上、サイクル時間が短いため、完成品の品質をより容易に監視し、必要に応じて調整することができる。このようにして、例えば、ゴーダチーズの場合、チーズブロックの最終的な重量は既に約15分後に認識されているので、どのくらいのカードをチーズ型に堆積させるかを規定する添加ユニットの設定を、必要に応じて比較的迅速に変更することができる。この時間は、空気および蒸気と共に外部に出るホエーが、管12と開放している弁14とを介してホルダから放出され、真空デバイス15の前方で分離される場合に、最小化して数十秒にすることができる。分離されたホエーの重量を決定して、チーズ型に堆積されたカードの充填重量と比較することができる。ホエーの分離された量に基づいて、チーズブロックの最終的な重量の非常に正確な予測が可能である。このことは、チーズ型に堆積させるべきカード塊の添加を制御して、所定の所望の重量を有するチーズブロックを得ることを可能にする。ホエーセパレーターは図1の28で概略的に示されている。
【0035】
さらに、必要に応じて、真空ポンプが第3のステップ中に動作し続ける時間を調整することにより、水分を簡単かつ迅速に制御することが可能である。
【0036】
その上、本発明による方法を用いた際に、製造すべきチーズに含有空気または含有ホエーが発生する可能性が、既存の方法におけるよりもかなり低下することが確認された。また、本発明による方法は、例えば、外乱時間またはカード部分の膠着がさらに生じることによる、公知の製造工程における一般的なチーズの欠陥の影響をそれほど受けないことが明らかになった。
【0037】
最終的に、解放されたホエーの品質は比較的高いが、その理由は、ホルダに直接収集され、そこに一時的にしか存在しないからである。したがって、ホエーをより早く処理することができ、機械的プレス装置の部分に接触しないようにすることができる。
【0038】
図2は、完全を期すために、本発明による方法を用いるためのホルダの実際の構造の一例の分解斜視図を概略的に示している。図2で用いられる参照番号は、図1の対応する部分の参照番号に一致する。
【0039】
図2に示した例示的な実施形態では、ホルダ3およびカバー4の各々に外周補強リブ30と31がそれぞれ設けられる。さらに、外側に曲がった縁部5と6が補強効果を有する。その上、この実施例において、カバー4の上壁32には十字形状の補強リブ33、34が設けられる。
【0040】
ガス弁11を有する管10が設けられたこの実施例のカバーには、さらに、動作可能な弁36を有する第2の管35が設けられ、所望ならば、この第2の管を介して、空気室9を迅速に真空にすることができる。
【0041】
図示した実施例の可撓性膜8には、それをカバー4に取り付けるための取付縁部37が設けられる。所望ならば、取付縁部は、制限された距離にわたってカバーで上下に摺動することができるように構成することができる。フォロア24は、従来、チーズ型の外側に配置されたプレート38を有し、このプレートは、隔壁39によって、穿孔40が設けられたプレスプラットフォーム41に接続される。
【0042】
周囲空気または所望ならば圧縮空気をホルダの内部空間13に迅速に供給することを可能にするために、ガス弁14を含む真空管12が設けられたホルダ3には、さらに、動作可能なガス弁43を含む第2の管42が設けられる。
【0043】
ホルダ3には、従来の方法で開口部44が設けられた穿孔壁を有するチーズ型20が配置される。この実施例のチーズ型には、ホルダ内におけるチーズ型の変位を防止するスペーサとして機能するリブ45が設けられる。
【0044】
上記のことから、上記装置の多くの変形例または修正例が当業者に容易に想起されるであろうことに留意されたい。したがって、カバーの可撓性膜は、例えば、バルーンの開口部に単に隣接するカバーに取り付けられた膨張可能なバルーンの形状を有することができる。ここで、管10と35は当該開口部内に終端すべきである。
【0045】
さらに、ホルダ自体は、完全にまたは大部分、可撓性、延伸性または非延伸性の気密材料からなることができる。このようなホルダの一例が図3の概略図に示されている。さらに、図3は、フォロア24を有するチーズ型20と、その中のカード塊22とを示している。チーズ型は例えばプラスチックホイルとして可撓性気密材料のバルーン状のホルダ50に配置される。
【0046】
バルーン50には、真空ポンプ用の接続部51と空気供給用の接続部52とが設けられる。真空接続部51には適切な弁53が設けられ、空気接続部52には弁54が設けられる。弁54が閉鎖され、弁53が開放された状態で、バルーン50が真空にされる場合、バルーン50の可撓性材料は、チーズ型に当接して、フォロアに圧力を加える。結果として、カード塊22が圧縮される。空気接続部の弁を開放するか、さらには圧縮空気を供給することによって、真空を迅速に除去することができる。チーズ型をバルーン内に配置するかまたはそこから取り外すことを可能にするために、バルーンには、十分に大きなアクセス開口部を設ける必要がある。アクセス開口部は、例えば、開閉させることができるフラップによって形成され得る。さらに、チーズ型は、可撓性材料が壁部の穿孔44を塞いでしまうことを防止するために、少なくとも部分的に二重壁であるべきであり、これにより、ホエーおよび空気がカードから外部に出ることが防止される。このような二重壁は図3の55で示されている。代わりに、空気およびホエー内部流路を有する壁部を使用してもよい。
【0047】
図面に示した本発明による装置の例示的な実施形態は、単一のチーズ型、または単一の複数のチーズ型を収容するように構成されるが、ホルダは、単に、そこで複数のチーズ型を同時に処理することができるように構成され得ることが明らかである。
【0048】
さらに、既述したように、移動可能な底部あるいは1つまたは複数の側壁を有するチーズ型を使用することが可能である。ここで、硬質材料のホルダは、ガス密に閉鎖可能な1つ以上の側壁、あるいはガス密に閉鎖可能な底部、あるいは側壁または底部の部分を有する適合形状を有するべきであり、この適合形状を介して、チーズ型をホルダに配置し、そしてホルダから取り出すことができる。
【0049】
これらおよび同様の修正例は本発明の枠内に含まれると理解される。
【符号の説明】
【0050】
1 チーズのブロックを製造するための本発明による装置
2 箱型のケース
2 ホルダ
3 下部
3 ホルダ
4 上部
4 カバー
5 結合縁部
6 結合縁部
7 シール材料
8 気密可撓性壁
8 柔軟な膜
9 閉鎖空気室
9 空間
10 管
11 ガス弁
12 真空管
13 ホルダの内部空間
14 ガス弁
15 真空ポンプ手段
15 真空デバイス
20 チーズ型
20 チーズバット
21 支持体
22 カード塊
23 矢印
24 チーズ型に関連するカバー
24 フォロア
25 制御デバイス
25 マイクロプロセッサ
26 圧力計
27 圧力計
28 ホエーセパレーター
30 外周補強リブ
31 外周補強リブ
32 カバー4の上壁
33 補強リブ
34 補強リブ
35 第2の管
36 動作可能な弁
37 取付縁部
38 プレート
39 隔壁
40 穿孔
41 プレスプラットフォーム
42 第2の管
43 動作可能なガス弁
44 開口部
45 リブ
50 可撓性気密材料のバルーン状のホルダ
50 バルーン
51 真空ポンプ用の接続部
51 真空接続部
52 空気供給用の接続部
52 空気接続部
53 適切な弁
54 弁
55 二重壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードからチーズのブロックを製造するための方法であって、カード塊が、フォロアを備える少なくとも1つのチーズ型に堆積され、前記少なくとも1つのチーズ型において、真空処理およびプレス処理を施され、前記少なくとも1つのチーズ型が、真空を発生させているホルダに配置される間に、前記プレス処理が行われる方法において、
前記真空処理が少なくとも第1および第2のステップを含み、前記第1のステップで真空ポンプ手段を使用して、前記ホルダに、第1の真空圧を有する真空を形成して、前記カード塊から空気とそれに随伴するホエーとを抜き、前記第2のステップ中に、前記ホルダ内の真空圧をさらに減少させて第2の真空圧にし、前記第2の真空圧は、前記カード塊に存在する前記ホエーが沸騰し始め、残りの空気および遊離ホエーが前記カード塊から押し出される値を少なくとも有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ホエーが沸騰し始める前記真空圧が、前記ホエーまたはカード塊の温度に応じて制御されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第3のステップにおいて、前記第2のステップで得られた前記真空圧を、設定可能な時間にわたって維持して、リンドを形成することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記真空ポンプが、沸点に達した後に続いている前記第2のステップの一部、所望ならば前記第3のステップの少なくとも一部にわたって動作し続け、製造すべき前記チーズの水分を制御することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
可撓性壁の外面が気圧に段階的にさらされ、これにより、前記ホルダ内にある前記チーズ型の前記フォロアと、前記チーズ型に収容された前記カード塊とに対する発生プレス力を生じさせることによって、少なくとも前記第3のステップ中に、プレス力が前記ホルダの前記可撓性壁を介して前記フォロアに加えられることを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記可撓性壁によって付与された前記プレス力が前記第1のステップ中にまたはその後に既に加えられていることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第3のステップにおいて、ある範囲のリンド形成が行われているときに、第4のステップでは、前記ホルダの前記真空が、沸騰限界よりも高い値に減少され、これによって、前記カード塊に存在する前記蒸気が凝縮し、前記蒸気の体積が著しく減少され、その結果、前記カード塊が前記凝縮蒸気の位置をとるときに、前記カード塊が収縮することを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第4のステップの後に、前記プレス処理が所望の時間にわたって継続され、前記プレス処理の終了時に、前記真空が除去されて、前記チーズブロックが前記型から取り出されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記プレス処理の継続中に、前記真空が徐々におよび/または段階的に減少されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記分離されたホエーの重量が、チーズ型に堆積された前記カード塊の重量と比較されること、および前記比較に基づいて、最終的なチーズブロックの重量を決定し、次のチーズ型の充填重量を制御して、所定の所望の重量を有するチーズブロックを得ることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記チーズブロックの内部にある前記真空を除去した後に、減圧が依然として発生しており、蒸気泡の凝縮工程が進行中であり、その結果、前記チーズブロック自体が前記チーズ型から分離するときに、形成されたチーズブロックが前記チーズ型から取り出されることを特徴とする請求項8または9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−507279(P2012−507279A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534415(P2011−534415)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【国際出願番号】PCT/NL2009/050655
【国際公開番号】WO2010/050812
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(510013976)テトラ・ラバル・ホールディングス・アンド・ファイナンス・エス.アー (1)
【氏名又は名称原語表記】Tetra Laval Holdings & Finance S.A
【住所又は居所原語表記】Av. General−Guisan 70, CH−1009 Pully, Switzerland
【Fターム(参考)】