説明

ツイストボール型電子ペーパー

【課題】本発明は、良好な画像表示を行うことができ、配線の取り出しが容易なツイストボール型電子ペーパーを提供することを主目的とする。また、本発明は、再利用可能なツイストボール型電子ペーパーを提供することを主目的とする。
【解決手段】透明性を有するフィルムからなる第1基材、および上記第1基材の一方の表面に形成された透明電極を有する透明電極側基材と、絶縁性を有するフィルムからなる第2基材、および上記第2基材の一方の表面に形成された対向電極を有する対向電極側基材と、ツイストボールおよび低極性溶媒を含む低極性溶媒層からなるツイストボール層とを有し、上記ツイストボール層は、上記第1基材および上記第2基材により密封され、上記対向電極側基材は、上記対向電極が上記ツイストボール層とは反対側となるように配置されていることを特徴とするツイストボール型電子ペーパーを提供することにより、上記目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツイストボールを表示媒体とするツイストボール型電子ペーパーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ペーパーと呼ばれる情報媒体が注目を浴びつつある。この情報媒体は低消費電力性、曲げ可能なフレキシブル性、薄く軽いなどの優れた特性を有し、しかも書き換え可能という際立った特長を有し、実用化段階に入りつつある。具体的には電車の車内広告や、時計や電子ブックなどの表示部に製品化され始めている。
この情報媒体の構成にはいくつか種類があり、その中に、例えば2色相球状粒子(ツイストボール)を用いた構成がある(例えば、特許文献1〜特許文献2)。
【0003】
上述したツイストボールを用いた電子ペーパーのなかでも、ポスター、電車の車内広告等の限定された画像、パターンを表示する用途(以下、セグメント用途と称する場合がある。)に用いられる電子ペーパーとしては、従来から次のような構成が提案されている。図8はこのような電子ペーパーの一例を示す概略断面図である。図8に示すように、電子ペーパー100は、第1基材101aおよび第1基材101a上に形成された共通電極101bを有する共通電極側基材101と、共通電極側基材101の共通電極101b側とは反対側の第1基材101a上に配置され、ツイストボール103および低極性溶媒を含むツイストボール層102と、上記ツイストボール層102上に配置され、第2基材111aおよび第2基材上にパターン状に形成された表示電極111bとを有する表示電極側基材111を有するものである。また、表示電極側基材111は表示電極111bがツイストボール層102側と対向するように配置され、電子ペーパー100の端部はシール剤105によって封止されている。
【0004】
図8に示すような電子ペーパー100においては、表示電極111bから配線300を取り出す際に、表示電極111bの形成位置に合わせて第2基材111aに貫通孔を設けて配線300の取り出しを行う必要があり、表示電極111bのパターンが精細になるにつれて、表示電極111bと第2基材111aの貫通孔との位置合わせを行うのが困難であるといった問題があった。また、低極性溶媒を液漏れなく封入するため貫通孔を完全に塞ぐ工程が必要であり、工程が煩雑となっている。さらに、表示電極111bおよびツイストボール層102が直接接触することから、表示電極材料がツイストボール層102の低極性溶媒中に溶出することにより、電子ペーパーの画像表示が劣化する可能性があるといった問題があった。
【0005】
そこで、図9および図10に示される構成の電子ペーパーが提案されている。
図9に示す電子ペーパー100は、固定基板200上に表示電極111bを形成し、これを第2基材111a上にシール剤105や粘着剤106等を介して配置する構成としている。
また、図10に示した電子ペーパー100は、低極性溶媒とツイストボール103とから成るツイストボール層102をフィルム状の第1基材101aとフィルム状の第2基材111aで密閉し、固定基板200上に形成された表示電極111bが粘着剤106を介して配置される構成としている。なお、図9および図10において説明しない符号については図8と同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
上記構成によって、低極性溶媒とツイストボール103とから成るツイストボール層102は第1基材101aと第2基材111aとによって完全に封止されているため、図8で示したような表示電極111bと配線300との接続に用いる貫通孔を完全に塞ぐ工程を必要としない。また、上記構成によって、ツイストボール層102および表示電極111bが直接接触することがなくなるため、ツイストボール層102の低極性溶媒中に表示電極材料が溶出するのを防止することが可能となる。
【0006】
しかしながら、図9および図10に示した電子ペーパーにおいては、図8に示した電子ペーパー100と同様に、表示電極111bから配線300を取り出す際に、表示電極111bの形成位置に合わせて固定基板200に貫通孔を設けて配線300の取り出しを行う必要があり、表示電極111bのパターンが精細になるにつれて、表示電極111bと固体基板200の貫通孔との位置合わせを行うのが困難であるといった問題があった。さらに第2基材111aが可撓性を有するフィルム基材である場合に、固定基板200上に形成した表示電極111bと第2基材111aが粘着剤106を介して配置された際、表示電極111bの凹凸による固定基板200と第2基材111aとの貼り合わせの歩留まりの低下や電子ペーパーの画像表示が劣化する可能性があるといった問題があった。
【0007】
また、上述した電子ペーパーは製造コストが高いため、再利用が望まれている。
【0008】
一方、図示しないが、パッシブ駆動型の電子ペーパーにおいても、固定基板上にストライプ状に形成された対向電極と、第1基材および第1基材上に形成された透明電極を有する透明電極側基材、上記透明電極側基材の透明電極側とは反対側の第1基材上に配置され、ツイストボールおよび低極性溶媒を含むツイストボール層、および上記ツイストボール層上に配置された第2基材とを有する表示部材とを有し、対向電極と第2基材とが粘着剤等を介して配置される構成が提案されているが、この構成においても、対向電極の凹凸による固定基板および第2基材との貼り合わせの歩留まりの低下や、電子ペーパーの画像表示が劣化する可能性があるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−47614号公報
【特許文献2】特開2007−206365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、良好な画像表示を行うことができ、配線の取り出しが容易なツイストボール型電子ペーパーを提供することを主目的とする。また、本発明は、再利用可能なツイストボール型電子ペーパーを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために、透明性を有するフィルムからなる第1基材、および上記第1基材の一方の表面に形成された透明電極を有する透明電極側基材と、絶縁性を有するフィルムからなる第2基材、および上記第2基材の一方の表面に形成された対向電極を有する対向電極側基材と、ツイストボールおよび低極性溶媒を含む低極性溶媒層からなるツイストボール層とを有し、上記ツイストボール層は、上記第1基材および上記第2基材により密封され、上記対向電極側基材は、上記対向電極が上記ツイストボール層とは反対側となるように配置されていることを特徴とするツイストボール型電子ペーパーを提供する。
【0012】
本発明によれば、上記対向電極が上記ツイストボール層と直接接触しないため、対向電極の材料が低極性溶媒に溶出することによる画像表示の劣化を防止することができる。また、対向電極の凹凸による貼り合せ時の歩留まりの低下やツイストボール型電子ペーパーの画像表示の劣化を防止することができる。
さらに、本発明のツイストボール型電子ペーパーがセグメント用途に用いられる電子ペーパー(以下、セグメント用電子ペーパーと称する場合がある。)である場合は、上記対向電極側基材が、上記対向電極が上記ツイストボール層とは反対側となるように配置されていることにより、配線の取り出しを容易に行うことができる。
【0013】
また、本発明においては、上記第1基材および上記第2基材がラミネート加工可能な材料からなり、上記第1基材および上記第2基材をラミネート加工することによって上記ツイストボール層が密封されていることが好ましい。上記第1基材および第2基材をラミネート加工することによって上記ツイストボール層が密封されていることにより、例えばシール剤等を用いる場合に比べて、本発明のツイストボール型電子ペーパーの表示領域を広範囲なものとすることが可能となる。また、シール剤をツイストボール層の外周に配置しないツイストボール層の密封方法であるため、複数の表示パネルを並べてタイリングする場合に、パネル間の繋ぎ目による表示への影響を軽減することが可能である。ラミネート加工によるフィルム両基材の熱融着部分はフィルムの可塑性を利用して表示面の側面あるいは裏面に配置することが可能だからである。
【0014】
また本発明は、透明性を有するフィルムからなる第1基材および上記第1基材の一方の表面に形成された透明電極を有する透明電極側基材、絶縁性を有するフィルム状の保持基材、および、ツイストボールおよび低極性溶媒を含む低極性溶媒層からなるツイストボール層を有し、上記第1基材および上記保持基材により上記ツイストボール層が密封されてなるツイストボール部材と、絶縁性を有するフィルムからなる第2基材、および上記第2基材の一方の表面に形成された対向電極を有する対向電極側基材と、を有し、上記対向電極側基材は、上記ツイストボール部材の保持基材の外側に、上記対向電極が上記ツイストボール部材とは反対側となるように配置されていることを特徴とするツイストボール型電子ペーパーを提供する。
【0015】
本発明によれば、上記対向電極がツイストボール層と直接接触しないため、対向電極材料が低極性溶媒に溶出することによる画像表示の劣化を抑制することができる。また、対向電極の凹凸による張り合わせ時の歩留まりの低下や電子ペーパーの画像表示の劣化を防止することができる。
また、本発明のツイストボール型電子ペーパーがセグメント用電子ペーパーである場合には、上記対向電極側基材は、上記ツイストボール部材の保持基材の外側に、上記対向電極が上記ツイストボール部材とは反対側となるように配置されていることにより、配線の取り出しを容易に行うことができる。
さらに、本発明によれば、上記対向電極側基材が上記ツイストボール部材の保持基材の外側に配置されていることから、上記ツイストボール部材に配置されている対向電極側基材を取り換えるのみで、ツイストボール型電子ペーパーを容易に再利用することが可能となる。
【0016】
本発明においては、上記対向電極側基材が、再剥離可能な接着剤を介して上記保持基材の上記ツイストボール部材とは反対側の表面上に配置されていることが好ましい。再剥離可能な接着剤を用いることにより、容易に上記対向電極側基材を取り換えることが可能となるからである。
【0017】
また、本発明においては、上記第1基材および上記保持基材がラミネート加工可能な材料からなり、上記第1基材および上記保持基材をラミネート加工することによって上記ツイストボール層が密封されていることが好ましい。上記第1基材および上記保持基材をラミネート加工することによって上記ツイストボール層が密封されていることにより、例えばシール剤等を用いて上記ツイストボール層の封止を行う場合に比べて、本発明のツイストボール型電子ペーパーの表示領域を広範囲なものとすることが可能となる。また、シール剤をツイストボール層の外周に配置しないツイストボール層の密封方法であるため、複数の表示パネルを並べてタイリングする場合に、パネル間の繋ぎ目による表示への影響を軽減することが可能である。ラミネート加工によるフィルム両基材の熱融着部分はフィルムの可塑性を利用して表示面の側面あるいは裏面に配置することが可能だからである。
【発明の効果】
【0018】
本発明のツイストボール型電子ペーパーは、上記のような構成を有することにより、ツイストボール層と対向電極とが直接接触しないため、ツイストボール層の低極性溶媒中に対向電極材料が溶出することによる画像表示の劣化を防止することが可能となる。また、対向電極の凹凸による張り合わせ時の歩留まりの低下や電子ペーパーの画像表示の劣化を防止することができる。
また、本発明のツイストボール型電子ペーパーがセグメント用電子ペーパーである場合には、上記対向電極側基材が、上記対向電極が上記ツイストボール層とは反対側となるように配置されていることから、対向電極の配線の取り出しを容易に行うことが可能となる。
さらに、本発明のツイストボール型電子ペーパーは、上記対向電極側基材が上記ツイストボール部材の保持基材の外側に配置されているという構成を有することから、上記対向電極側基材を取り換えるのみで、容易に再利用を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のツイストボール型電子ペーパーの一例を示す模式図である。
【図2】本発明ツイストボール型電子ペーパーの他の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明ツイストボール型電子ペーパーの他の一例を示す模式図である。
【図4】ツイストボール型電子ペーパーの一例を示す概略断面図である。
【図5】本発明のツイストボール型電子ペーパーの他の一例を示す概略断面図である。
【図6】本発明のツイストボール型電子ペーパーの他の一例を示す概略断面図である。
【図7】本発明のツイストボール型電子ペーパーの他の一例を示す概略断面図である。
【図8】ツイストボール型電子ペーパーの一例を示す概略断面図である。
【図9】ツイストボール型電子ペーパーの他の一例を示す概略断面図である。
【図10】ツイストボール型電子ペーパーの他の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のツイストボール型電子ペーパー(以下、単に電子ペーパーと称する場合がある。)について説明する。
本発明の電子ペーパーは、対向電極の配置の位置により2つの態様に大別される。以下、各態様の電子ペーパーについてそれぞれ説明する。
【0021】
1.第1態様の電子ペーパー
本態様の電子ペーパーは、透明性を有するフィルムからなる第1基材、および上記第1基材の一方の表面に形成された透明電極を有する透明電極側基材と、絶縁性を有するフィルムからなる第2基材、および上記第2基材の一方の表面に形成された対向電極を有する対向電極側基材と、ツイストボールおよび低極性溶媒を含む低極性溶媒層からなるツイストボール層とを有し、上記ツイストボール層は、上記第1基材および上記第2基材により密封され、上記対向電極側基材は、上記対向電極が上記ツイストボール層とは反対側となるように配置されていることを特徴とするものである。
【0022】
本態様の電子ペーパーについて図を用いて説明する。図1(a)は本態様の電子ペーパーの一例を示す模式図であり、図1(b)は図1(a)のA−A断面の概略断面図である。ここで、図1においては、本態様の電子ペーパーがセグメント用電子ペーパーである場合を示している。図1(b)に示すように、本態様の電子ペーパー10は、透明性を有するフィルムからなる第1基材11、および第1基材の一方の表面に形成された透明電極12を有する透明電極側基材1と、絶縁性を有するフィルムからなる第2基材21、および第2基材21の一方の表面に形成された対向電極22を有する対向電極側基材2と、ツイストボール3aおよび低極性溶媒を含む低極性溶媒層3bからなるツイストボール層3とを有し、ツイストボール層3は、第1基材11および第2基材21により密封され、対向電極側基材2は、対向電極22がツイストボール層3とは反対側となるように配置されているものである。なお、図1に示すように、電子ペーパー10がセグメント用電子ペーパーである場合は、対向電極22および対向電極側基材2は、表示電極および表示電極側基材として用いられるものである。また、透明電極12および透明電極側基材1は、共通電極および共通電極側基材として用いられるものである。
また、図1においては、第1基材11および第2基材21をラミネート加工することにより、上記ツイストボール層3が密封されている例について示しているが、図2に示すように、第1基材11および第2基材21の間にシール剤4を配置させることにより、上記ツイストボール層3が密封されていてもよい。なお、図2において説明しない符号については図1と同様とすることができるのでここでの記載は省略する。
【0023】
また、図3は、本態様の電子ペーパーの他の例を示す模式図である。図3においては、本態様の電子ペーパーがパッシブ駆動型の電子ペーパーである場合を示している。図3に示すように、本態様の電子ペーパー10が、パッシブ駆動型の電子ペーパーである場合は、透明電極12および対向電極22が互いに交差するようにストライプ状にそれぞれの基材上に形成される。なお、図3に示すように、電子ペーパー10がパッシブ駆動型の電子ペーパーである場合は、上記ストライプ状に形成された透明電極12および対向電極22は、いずれか一方が走査(行)電極、他方が信号(列)電極として用いられるものである。
なお、図3において説明しない符号については、図1と同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
【0024】
ここで、ツイストボールを用いた電子ペーパーを用いて画像表示を行う方法について、一例を挙げて説明する。図4は電子ペーパーの一例を示す概略断面図である。図4において、ツイストボール3aは、黒色相部分に正電荷が帯電し、白色相部分に負電荷が帯電することによって永久双極子が形成されているものとする。また、上記第1基材11は絶縁性を有するものとする。図4に示すように、透明電極12と対向電極22と間に所定の電界Eを印加させることにより、透明電極12および対向電極22で挟まれたツイストボール3aが電界下に置かれることになる。上述したように、ツイストボール3aは黒色相が正電荷に帯電し、白色相が負電荷に帯電しているものであることから、上記印加状態においては、個々のツイストボール3a(図4(a))は、ツイストボール3aの黒色相が第2基材21側を向き、ツイストボール3aの白色相が第1基材11側を向くようになる(図4(b))。
また、図示しないが、透明電極12と対向電極22間に上述した電界と逆方向の電界を印加すると、ツイストボールの黒色相は第1基材側を向き、ツイストボールの白色相は第2基材側を向くようになる。
このようにツイストボールを用いた電子ペーパーにおいては、ツイストボールの向きを制御することによって画像表示を行うことが可能となる。
なお、図4においては、第1基材11および第2基材21をラミネート加工することにより、ツイストボール層3が密封されていることを簡略化して示している。また、図4において説明しない符号については図1と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
【0025】
上述したように、ツイストボールは電荷を有するものであるため、例えば図8に示すように、電子ペーパーをツイストボール層102と表示電極111bとが直接接触している構成とした場合、ツイストボール層102の低極性溶媒中に溶出した導電性を有する表示電極材料がツイストボール103に影響を与えることが考えられ、電子ペーパーの表示品質が低下する可能性があるといった問題があった。また、表示電極111bから配線300を取り出す際に、表示電極111bの形成位置に合わせて第2基材111aに貫通孔を設けて配線300の取り出しを行う必要があり、表示電極111bのパターンが精細になるにつれて、表示電極111bと第2基材111aの貫通孔との位置合わせを行うのが困難であるといった問題があった。さらに、低極性溶媒を液漏れなく封入するため貫通孔を完全に塞ぐ工程が必要であり、工程が煩雑となっている。
なお、図8はセグメント用電子ペーパーの一例を示しているが、図示はしないがパッシブ駆動型の電子ペーパーにおいても、対向電極とツイストボール層とが直接接触している構成とした場合は、電子ペーパーの表示品質が劣化する可能性があるといった問題があった。
【0026】
一方、本態様によれば、上記対向電極が上記ツイストボール層に直接接触しないため、上記ツイストボール層に含まれる低極性溶媒中に上記対向電極材料が溶出しないことから、電子ペーパーの画像表示の劣化を抑制することが可能となる。
【0027】
また、ツイストボール層と表示電極とが直接接しない構成としては、図9および図10に示すように、固定基板200に表示電極111bを形成し、これを第2基材111a上に配置する構成も考えられたが、この場合も図8と同様に、表示電極111bから配線300を取り出すために、固定基板200と表示電極111bとの位置合わせを行い、固定基板200に貫通孔を設ける必要があったため、電子ペーパーの製造工程が煩雑になるといった問題があった。さらに第2基材111aが可塑性を有するフィルム基材である場合に、固定基板200上に形成した表示電極111bと第2基材111aが粘着剤106を介して配置された際、表示電極111bの凹凸による固定基板200と第2基材111aとの貼り合わせの歩留まりの低下や電子ペーパーの画像表示が劣化する可能性があるといった問題があった。
なお、図9および図10はセグメント用電子ペーパーの一例を示しているが、図示はしないが、パッシブ駆動型の電子ペーパーにおいても、対向電極の凹凸による電子ペーパーの製造時の歩留まりの低下や、電子パーパーの画像表示の劣化については問題とされている。
【0028】
一方、本態様によれば、上記対向電極が上記ツイストボール層とは反対側となるように配置されていることにより、対向電極の凹凸による張り合わせ時の歩留まりの低下や電子ペーパーの画像表示の劣化を防止することができる。
さらに、本態様の電子ペーパーがセグメント用電子ペーパーである場合、上記対向電極が上記ツイストボール層とは反対側となるように配置されていることにより、対向電極の配線を容易に取り出すことが可能である。
以下、本態様の電子ペーパーの各構成について説明する。
【0029】
(1)対向電極側基材
本態様に用いられる対向電極側基材は、絶縁性を有するフィルムからなる第2基材、および上記第2基材の一方の表面に形成された対向電極を有するものである。このような対向電極側基材は、上記対向電極が後述するツイストボール層とは反対側になるように配置されて用いられる。
【0030】
なお、本態様においては、本態様の電子ペーパーがセグメント用電子ペーパーである場合は、上記対向電極側基材を表示電極側基材として用いるものとする。
【0031】
以下、このような対向電極側基材に用いられる対向電極、および第2基材についてそれぞれ説明する。
【0032】
(a)対向電極
本態様に用いられる対向電極は、後述する第2基材上に形成されるものである。
【0033】
ここで、本態様の電子ペーパーがセグメント用電子ペーパーである場合は、上記対向電極を表示電極として用いるものとする。また、本態様の電子ペーパーがパッシブ駆動型の電子ペーパーである場合は、上記対向電極および後述する透明電極のいずれか一方を走査(行)電極、他方を信号(列)電極として用いるものとする。
【0034】
上記対向電極としては、導電性を有する材料からなり、対向電極に電圧を印加することにより、後述するツイストボール層を用いて画像表示を行うことができるものであれば特に限定されるものではない。このような対向電極としては、例えば、上記第2基材上に対向電極が直接形成されていてもよいし、また例えば、上記第2基材および対向電極の間に接着剤層等を介して形成されていてもよいし、また例えば、上記対向電極を第2基材とは別のフィルム上に形成し、上記対向電極が形成されたフィルムを上記第2基材上に配置することによって形成されていてもよい。本態様においては、工程の簡略化のため、上記第2基材上に対向電極が直接形成されているものであることがより好ましい。
【0035】
また、本態様に用いられる対向電極の形状としては、本態様の電子ペーパーがセグメント用電子ペーパーである場合は、表示される図柄に合わせた形状を有しているのであれば特に限定されるものではない。具体的な図柄としては、例えば文字や絵柄等を挙げることができる。
【0036】
また、本態様の電子ペーパーがパッシブ駆動型の電子ペーパーである場合は、通常、上記対向電極は、図3に示すように、後述する透明電極が有するパターンに対応したパターンを有する。このような対向電極のパターンとしては、一般的なパッシブ駆動型の表示装置に用いられる対向電極が有するパターンと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
【0037】
このような対向電極に用いられる材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、例えばAu、Al、Ag、Ni、Cu等の金属、ITO、SnO、ZnO:Al等の透明導電体、導電剤を溶媒あるいは合成樹脂バインダに混合したもの等を挙げることができる。上記導電剤としてはポリメチルベンジルトリメチルクロライド、ポリアリルポリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性高分子電解質、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩等のアニオン性高分子電解質や電子伝導性の酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、カーボン微粉末、Ag微粉末等が用いられる。
本態様においては、上記対向電極に用いられる材料としては、なかでも、導電性とフィルム基材上に形成することを考慮して基材の伸縮に耐えうる柔軟性のある導電性材料、特にAu、Cu、Al、Ag等の金属、カーボンやAg微粉末等を合成樹脂バインダに混合した導電性ペースト等が好ましい。
【0038】
また、上記対向電極の形成方法としては、後述する第2基材上に対向電極を直接形成する場合は、上述した金属、および透明導電体等を金属マスク等を用いてスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、塗布法等で第2基材上に薄膜をパターン状に形成する方法、上記導電剤を溶媒あるいは合成樹脂バインダに混合して第2基材上にパターン状に塗布する方法等を挙げることができる。
一方、後述する第2基材上に接着剤等を介して対向電極を形成する場合は、上記金属からなる金属箔を所定の形状に切り取り、これを第2基材上に接着剤等によって貼りつける方法等が挙げられる。
また、上記対向電極を第2基材とは別のフィルムを介して上記第2基材上に配置する場合は、上記フィルムに対向電極をパターン状に形成し、これを接着剤等を介して第2基材上に配置する方法、上述した金属および透明導電体等が全面に蒸着されたフィルムを所定の形状に切り取り、これを第2基材上に接着剤等によって貼りつける方法が挙げられる。なお、上記対向電極が形成されるフィルムとしては、第2基材と同様の材料からなるものとすることができる。また、上記接着剤等については、一般的な電極部材において樹脂基材上に電極を貼りつける際に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
【0039】
上記対向電極の膜厚としては、後述する第2基材のツイストボール層側とは反対側表面に均一な膜厚で形成することができ、本態様の電子ペーパーにより画像表示を行うことができる程度の膜厚を有しているのであれば特に限定されるものではないが、具体的には、50nm〜500μmの範囲内、なかでも100nm〜100μmの範囲内、特に300nm〜50μmの範囲内であることが好ましい。上記対向電極の膜厚が上記範囲に満たない場合は、均一な膜厚の対向電極を形成することが困難になるからであり、上記範囲を超える場合は、対向電極を形成するのに時間がかかり、また、対向電極の材料も多く必要となるため、製造コストが高くなるからである。
【0040】
(b)第2基材
本態様に用いられる第2基材は、絶縁性を有するフィルムからなり、第2基材の一方の表面上に上記対向電極が形成されているものである。また、後述する透明電極側基材に用いられる第1基材とともに、後述するツイストボール層を密封するものである。
【0041】
本態様に用いられる第2基材は、上記第2基材上に対向電極を形成することができる程度の自己支持性を有するものであれば特に限定されるものではない。また、上記第2基材としては透明性を有していてもよいし、透明性を有していなくてもよいが、透明性を有していないものがより好ましい。本態様の電子ペーパーは、透明電極側から画像表示が観察されるものである。よって本態様において、透明電極側から電子ペーパーを観察した場合、第2基材は、画像表示を行うツイストボール層の下層側に配置されるものであることから、第2基材が透明性を有する場合は、光漏れ等の問題が発生することが考えられるからである。
また、本態様においては、必要に応じて第2基材を、画像表示に用いられるツイストボールの一方の色と同色に着色してもよい。
【0042】
このような第2基材の材料としては、一般的なプラスチック材料であれば特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂等を挙げることができる。
【0043】
また、本態様においては、後述する第1基材および第2基材をラミネート加工することによって後述するツイストボール層を密封することが好ましい。ラミネート加工を用いる場合は、ラミネート加工可能なベースフィルム材料と後述するシーラントフィルム材料が積層された基材を第2基材として用いることがより好ましい。
上述した第2基材の材料のうち、ラミネート加工可能なベースフィルム材料としては、ラミネート加工時の加熱圧着による耐熱性の観点からポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
また、シーラントフィルム材料としては無延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。また、ポリウレタン、ポリアクリル、エポキシ樹脂、シリコーン等の熱シール性のある材料からなる塗膜等を用いることも可能である。
ここで、ラミネート加工時には、当然のことながら、第1基材および第2基材は積層したベースフィルム材料とシーラントフィルム材料とのうち、シーラントフィルム材料側が対向するように配置されて接着される。
また、ラミネート加工可能なベースフィルム材料とシーラントフィルム材料が積層された上記第2基材および後述する第1基材を用いてラミネート加工する場合、上記第2基材および後述する第1基材の材料が同一のベースフィルム材料及びシーラントフィルム材料であることがさらに好ましい。上記第2基材および後述する第1基材の材料が同一のベースフィルム材料及びシーラントフィルム材料であることにより、ラミネート加工を行う際の第2基材および第1基材の密着性を向上させることが可能となるからである。
【0044】
また、上記第2基材の膜厚としては、上記対向電極を形成することができる程度の膜厚であれば、特に限定されるものではないが、10μm〜300μmの範囲内、なかでも15μm〜100μmの範囲内、特に25μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。上記第2基材の膜厚が上記範囲に満たない場合は、上記対向電極を第2基材上に形成することが困難であるからであり、上記第2基材の膜厚が上記範囲を超える場合は、本態様の電子ペーパーを用いて表示を行った際に、第2基材が厚いことにより、ツイストボールを用いて画像表示を行うことができない可能性があるからである。また、第2基材が厚いことから、本態様の電子ペーパーのフレキシブル性が低下する可能性があるからである。
【0045】
(2)透明電極側基材
本態様に用いられる透明電極側基材は、透明性を有するフィルムからなる第1基材、および上記第1基材の一方の表面に形成された透明電極を有するものである。
なお、本態様においては、本態様の電子ペーパーがセグメント用電子ペーパーである場合は、透明電極側基材を共通電極側基材として用いるものとする。
【0046】
以下、上記透明電極側基材に用いられる上記第1基材および透明電極について説明する。
【0047】
(a)第1基材
本態様に用いられる第1基材は、透明性を有するフィルムからなり、第1基材の一方の表面に後述する透明電極が形成されているものである。また、上述した対向電極側基材に用いられる第2基材とともに、後述するツイストボール層を密封するものである。
【0048】
本態様に用いられる第1基材としては、透明性を有するフィルムであり、第1基材の表面上に後述する透明電極を形成することができるものであれば特に限定されるものではなく、絶縁性を有していてもよいし、絶縁性を有していなくてもよいが、絶縁性を有しているものが好ましい。
上記第1基材が絶縁性を有していることにより、本態様の電子ペーパーにおいては、ツイストボール層中のツイストボールによる画像表示を好適に行うことが可能である。
【0049】
また、上記第1基材の材料としては、透明性を有するプラスチック材料であれば特に限定されるものではないが、具体的には、上述した第2基材の材料と同様の材料を用いることができるため、ここでの記載は省略する。
【0050】
本態様においては、第1基材および第2基材をラミネート加工することによってツイストボール層を密封することが好ましいことから、第1基材の材料としては、ラミネート加工可能な材料を用いることがより好ましい。ラミネート加工可能な材料としても、上述した第2基材に用いられるラミネート加工可能な材料と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
【0051】
このような第1基材の膜厚としては、後述する透明電極を形成することができる程度の自己支持性を有するものであれば特に限定されるものではない。このような第1基材の膜厚としては、10μm〜300μmの範囲内、なかでも15μm〜100μmの範囲内、特に25μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。上記第1基材の膜厚が上記範囲に満たない場合は、後述する透明電極を第1基材表面上に形成することが困難になるからであり、上記第1基材の膜厚が上記範囲を超える場合は、第1基材が厚いため、画像表示を行うことができず、本態様の電子ペーパーのフレキシブル性が低下する可能性があるからである。
【0052】
(b)透明電極
本態様に用いられる透明電極は、上記第1基材上に形成されるものである。ここで、本態様の電子ペーパーがセグメント用電子ペーパーである場合、上記透明電極は共通電極として用いられるものとする。また、本態様の電子ペーパーがパッシブ駆動型の電子ペーパーである場合は、上述した対向電極および透明電極のいずれか一方を走査(行)電極、他方を信号(列)電極として用いるものとする。
【0053】
このような透明電極としては、上記第1基材上に形成されているのであれば特に限定されず、例えば上記第1基材上に透明電極が直接形成されていてもよいし、また例えば上記透明電極を透明性を有するフィルム上に形成し、上記透明電極が形成された透明性を有するフィルムを上記第1基材上に配置することによって形成されていてもよい。
【0054】
このような透明電極の材料としては、ITO、SnO、ZnO:Al等の透明導電体を挙げることができる。
【0055】
また、上記透明電極は、上記透明電極が共通電極である場合は、通常、上述した第1基材全面に形成されるものである。
一方、上記透明電極が、パッシブ駆動型の電子ペーパーに用いられる電極である場合は、上述した対向電極が有するパターンに対応したパターンを有するように形成されるものである。このような透明電極のパターンとしては、一般的なパッシブ駆動型の表示装置に用いられる透明電極が有するパターンと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
【0056】
また、上記透明電極の形成方法は、所望する膜厚で第1基材上に透明電極を形成することができるのであれば特に限定されるものではない。
このような透明電極の形成方法としては、上記透明電極を上記第1基材上に直接形成する場合は、上述した透明導電体を用いてスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、塗布法等により上記第1基材上に薄膜を形成する方法を挙げることができる。
また、上記透明電極を透明性を有するフィルム上に形成し、上記透明電極が形成された透明性を有するフィルムを上記第1基材上に配置する場合は、上記透明電極を上記第1基材上に直接形成する場合と同様の方法で、透明性を有するフィルム上に透明電極を形成し、これを接着剤等を用いて第1基材上に貼りつける方法、上記透明電極が形成された透明性を有するフィルムおよび上記第1基材をラミネート加工する方法等が挙げられる。なお、上記透明性を有するフィルムとしては、具体的には、上述した第1基材と同様の材料からなるものを用いることができる。また、透明性を有する接着剤等についても、一般的な樹脂基材どうしを貼り合わせる際に用いられるものと同様とすることができるのでここでの記載は省略する。
【0057】
本態様に用いられる透明電極の膜厚としては、上記第1基材表面上に形成することができるのであれば特に限定されるものではない。このような透明電極の膜厚としては、50nm〜10μmの範囲内、なかでも100nm〜5μmの範囲内、特に200nm〜1μmの範囲内であることが好ましい。上記透明電極の膜厚が上記範囲に満たない場合は、第1基材表面上に透明電極を均一な膜厚で形成することが困難であるからである。また、上記透明電極の膜厚が上記範囲を超える場合は、透明電極の製膜に用いられる時間や材料が多くなるため、製造コストが高くなるからである。
【0058】
(c)透明電極側基材
本態様に用いられる透明電極側基材の配置としては、本態様の電子ペーパーを用いて所望する表示を行うことができるのであれば特に限定されるものではない。例えば、本態様の電子ペーパーにおいて、透明電極が後述するツイストボール層側になるように上記透明電極側基材を配置してもよいし、また例えば、上記透明電極が上記ツイストボール層とは反対側になるように上記透明電極側基材を配置してもよい。本態様の電子ペーパーにおいては、上記透明電極が上記ツイストボール層とは反対側になるように上記透明電極側基材が配置されていることがより好ましい。このような配置とすることにより、透明電極がツイストボール層と直接接触しないため、透明電極の材料がツイストボール層の低極性溶媒中に溶出しないことから、本態様の電子ペーパーの表示品質の低下を防止することが可能となる。
また上記透明電極の材料として、低極性溶媒に溶出しにくい材料が用いられている場合は、上記透明電極が後述するツイストボール層側になるように上記透明電極側基材を配置してもよい。
【0059】
なお、本態様の電子ペーパーがパッシブ駆動型の電子ペーパーである場合は、上記透明電極が上記ツイストボール層とは反対側になるように上記透明電極側基材を配置する方が好ましい。パッシブ駆動型の電子ペーパーにおいては、透明電極はストライプ状等のパターン状に形成されることから、透明電極がツイストボール層とは反対側となるように配置した場合は、上記透明電極の凹凸による電子ペーパーの画像表示劣化を防止することができ、さらには、上記透明電極側基材に貫通孔を設置することなく容易に配線を繋ぐことができるからである。
【0060】
(3)ツイストボール層
本態様に用いられるツイストボール層は、ツイストボールおよび低極性溶媒を含む低極性溶媒層からなるものであり、上記透明電極側基材に用いられる第1基材および対向電極側基材に用いられる第2基材により密封されるものである。
【0061】
本態様に用いられるツイストボール層は、上記第1基材および第2基材により密封することができるのであれば、その密封方法としては特に限定されるものではなく、例えば、上記第1基材および第2基材の間に封止のためのシール剤を配置させることにより、上記ツイストボール層を密封する方法であってもよいし、また例えば、上記透明電極側基材の第1基材および対向電極側基材の第2基材にラミネート加工可能な材料を用い、上記第1基材および第2基材をラミネート加工することにより、上記ツイストボール層を密封する方法であってもよい。本態様においては、ラミネート加工により上記ツイストボール層を密封する方法であることがより好ましい。
【0062】
上記ラミネート加工により上記ツイストボール層を密封する方法は、シール剤を用いる方法に比べ、電子ペーパーの表示領域を広範囲なものにすることが可能であり、複数の表示パネルを並べてタイリングする場合に、パネル間の繋ぎ目による表示への影響を軽減することが可能である。これは、ラミネート加工によるフィルム両基材の熱融着部分はフィルムの可塑性を利用して表示面の側面あるいは裏面に配置することが可能だからである。
【0063】
また、上記ツイストボール層をシール剤を用いて密封した場合は、上記透明電極側基材および対向電極側基材がフレキシブル性を有するものであることから、シール剤の一部が剥がれる等によりツイストボール層中の低極性溶媒の液漏れが発生する可能性があるといった問題がある。
一方、上記ツイストボール層をラミネート加工により密封した場合は、上記第1基材および第2基材によってラミネートされたツイストボール層の扱いが容易になる。
【0064】
上記ツイストボール層をラミネート加工により密封する方法については、一般的なラミネート加工と同様とすることができるのでここでの説明は省略する。
また、シール剤を用いた密封方法についても、一般的な基材どうしを貼り合わせることによる密封方法と同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
【0065】
本態様に用いられるツイストボール層としては、ツイストボールおよび低極性溶媒を含む低極性溶媒層からなり、上述した第1基材および第2基材により密封することが可能であり、本態様の電子ペーパーにおいて、所望の画像表示を行うことができるものであれば特に限定されるものではない。
以下、このようなツイストボール層に用いられるツイストボール、および低極性溶媒層についてそれぞれ説明する。
【0066】
(a)ツイストボール
本態様に用いられるツイストボールは、ツイストボール層に含まれるものであり、本態様の電子ペーパーにおいて表示媒体として働くものである。
【0067】
本態様に用いられるツイストボールとしては、球状であり、有色彩相/白色相あるいは有色彩相/有色彩層の異なる2色相を有し、異なる2色相が互いに異なる双極子を有するものであれば特に限定されるものではない。
【0068】
このようなツイストボールとしては、特開2004−197083号公報で提案されているマイクロチャンネル製造方法で製造されるツイストボールと同様とすることができる。
【0069】
ここで、マイクロチャンネル製造方法は、着色連続相と球状粒子化相とが互いにO/W型又はW/O型の関係にあるものを用い、着色連続相が移送される第1マイクロチャンネルから、第2マイクロチャンネルに流れる流動媒体の球状粒子化相内に、2色の着色連続相を順次吐出させることにより、2色相球状ポリマー粒子で、かつ、電荷的に(±)の極性を有する双極性球状粒子であるツイストボールを製造する製造方法である。
【0070】
上記マイクロチャンネル製造方法においては、重合性樹脂成分を含有する油性又は水性の流動性媒体中に、この媒体に不溶性の着色染顔料を含有する2色に分相させた着色連続相中の重合性樹脂成分を、互いに異なる正負に帯電する重合性モノマーで形成させて、第1マイクロチャンネルに移送させ、次いで、この着色連続相を、第2マイクロチャンネル内を流れる水性又は油性の球状粒子化相中に、連続又は間欠的に順次吐出させる。次いで、球状粒子化相中に吐出させた吐出物は、マイクロチャンネル内での一連の吐出・分散・移送中に球状粒子化されながら、球状粒子化相中に順次球状物化されるので、この球状化粒子中の重合性樹脂成分をUV照射下及び/又は加熱下に重合硬化させることによりツイストボールが適宜調製される。
【0071】
上記着色連続相は、2色相に分相されている連続色相であって、例えば、黒色/白色、赤色/白色、黄色/白色、青色/白色、緑色/白色、紫色/白色等の何れかの「有彩色相/白色相」から選ばれる何れかの2色の分相色相、あるいは有色彩相/有色彩層の異なる2色の分相色相を挙げることができる。このような色相を形成させる着色剤としては、後述する重合性樹脂成分を含有する流動性分散媒体に不溶性又は均一に分散されるのであれば特に限定することなく、適宜選んで用いられる。上記着色剤としては、染料および顔料を用いることができる。
【0072】
このような染料および顔料としては、特開2004−197083号公報に記載されたものを用いることができるので、ここでの記載は省略する。
【0073】
これら着色剤としての染顔料の添加量は、特に限定されるものではなく、また、その着色粒子の用途等によっても所望される色調が異なり、また、上述する着色連続相中での分散性等から、本態様においては、着色連続相中の重合硬化成分である全重合性樹脂成分100重量部当たり、0.1重量部〜80重量部で、好ましくは2重量部〜10重量部の範囲で適宜好適に添加することができる。
【0074】
上記ツイストボールに用いられる重合性樹脂成分(又は重合性モノマー)としては、ツイストボールに用いられる重合性モノマーの官能基又は置換基の種類によって、上記ツイストボールの帯電性が、それぞれ(−)帯電性と(+)帯電性を示す傾向にあるモノマー種を挙げることができる。従って、少なくとも2種以上の複数種のモノマーを本態様における重合性樹脂成分として使用する場合には、その(+)及び(−)帯電性を示す傾向を周知のうえで、好ましくは、同種帯電性の傾向にあるモノマー同士を複数組み合わせて適宜好適に使用することもできる。
【0075】
一方、少なくとも1種の官能基及び/又は置換基を分子内に有する重合性樹脂成分(又は重合性モノマー)において、その官能基又は置換基としては、例えば、カルボニル基,ビニル基,フェニル基,アミノ基,アミド基,イミド基,ヒドロキシル基,ハロゲン基,スルホン酸基,エポキシ基及びウレタン結合等を挙げることができる。本態様においては、このような重合性モノマーにおける官能基又は置換基を有するモノマー種の単独又は2種以上の複数種を組み合わせて適宜好適に使用することができる。
【0076】
(−)帯電性の傾向にある重合性モノマーおよび(+)帯電性の傾向にある重合性モノマーとしては、特開2004−197083号公報に記載されたものを用いることができるので、ここでの記載は省略する。
【0077】
本態様において、既に上述した第2マイクロチャネルに着色連続相として吐出された後の重合性樹脂成分の重合時におけるこのような重合性モノマーを他の共重合モノマーに組み合わせて使用する場合には、着色樹脂微粒子に託される所望する帯電性(又は電気泳動性)にもよるが、重量基準で表して、帯電性の傾向にあるモノマーが、好ましくは全モノマー中1%〜100%の範囲で、更に好ましくは5%〜100%で、特に好ましくは10%〜100%の範囲にある重合性モノマーとの共重合体粒子であれば適宜好適に使用されて、所望するツイストボールを提供することができる。
【0078】
また、上記ツイストボールは、球状の単分散粒子で、その平均粒子径が体積基準で表して1.0μm〜400μmの範囲内で、好ましくは、20μm〜200μmの範囲内で、更に好ましくは50μm〜120μmの範囲内に適宜調製することができる。また、その平均粒子径のバラツキが著しく低い均斉な粒子を適宜調製される。本態様においては、その均斉度をCv値で表して、20%以下、好ましくは、5%以下、更に好ましくは3%以下の単分散粒子のツイストボールとして適宜好適に用いられる。
【0079】
(b)低極性溶媒層
本態様に用いられる低極性溶媒層は、低極性溶媒を含むものであれば特に限定されるものではない。上記低極性溶媒層としては、通常、低極性溶媒と、上記低極性溶媒を膨潤させる、エラストマー材料からなるエラストマーシートとから構成されるものである。
以下、上記低極性溶媒層に用いられる低極性溶媒、およびエラストマーシートについてそれぞれ説明する。
【0080】
(i)低極性溶媒
本態様に用いられる低極性溶媒は、上述したツイストボールの回転が円滑となるようにするために用いられるものである。また、通常は後述するエラストマーシートに膨潤させて用いられるものである。
【0081】
このような低極性溶媒としては、上記ツイストボールの回転を妨げることなく、円滑に回転させることができるものであれば特に限定されるものではない。このような低極性溶媒としては、ジメチルシリコーンオイル、イソパラフィン系溶媒、および直鎖パラフィン系溶媒、ドデカン、トリデカン等の直鎖アルカンを挙げることができる。
【0082】
(ii)エラストマーシート
本態様に用いられるエラストマーシートは、上記低極性溶媒を膨潤させることができるエラストマー材料からなるものである。また、上記エラストマーシートは、上記ツイストボールが分散されたシート状部材であり、これに上記低極性溶媒を膨潤させることによって用いられるものである。
【0083】
このようなエラストマーシートに用いられる材料としては、上記ツイストボールを分散可能であり、かつ、上記低極性溶媒を膨潤することが可能であれば特に限定されるものではない。
このようなエラストマーシートの材料としては、シリコーン樹脂、(微架橋した)アクリル樹脂、(微架橋した)スチレン樹脂、およびポリオレフィン樹脂等を挙げることができる。
【0084】
また、上記エラストマーシートの膜厚としては、本態様の電子ペーパーがエラストマーシート中に分散されたツイストボールによって画像表示を行うことが可能であれば特に限定されるものではないが、50μm〜1000μmの範囲内、なかでも100μm〜700μmの範囲内、特に200μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。上記エラストマーシートの膜厚が上記範囲に満たない場合は、上記ツイストボールが均一に分散されたエラストマーシートとすることが困難であるからであり、上記エラストマーシートの膜厚が上記範囲を超える場合は、ツイストボールの回転を妨げるおそれがあるからである。
【0085】
(c)ツイストボール層
本態様に用いられるツイストボール層の膜厚としては、本態様の電子ペーパーにおいてツイストボールを回転させることにより画像表示を行うことが可能であれば特に限定されるものではないが、50μm〜1000μmの範囲内、なかでも100μm〜700μmの範囲内、特に200μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。上記ツイストボール層の膜厚が上記範囲に満たない場合は、上記ツイストボールおよび各基材間の距離が小さいことから、ツイストボールが所望する方向へ回転するのが困難である可能性があるからであり、上記ツイストボール層の膜厚が上記範囲を超える場合は、上記透明電極および対向電極間に電界を印加したとしても、上記ツイストボールおよび各基材間の距離が大きすぎることにより、本態様の電子ペーパーにおいて、ツイストボールを用いて画像表示を行うことが困難であるからである。
【0086】
(4)その他の部材
本態様の電子ペーパーは、上述した対向電極側基材、ツイストボール層、および透明電極側基材を有するものであれば特に限定されるものではなく、必要な部材を適宜追加することが可能である。
【0087】
このような部材としては、ツイストボール層を密封するために用いられるシール剤が挙げられる。このようなシール剤としては、一般的な基材どうしを貼り合わせて密封する際に用いられるシール剤と同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
【0088】
(5)用途
本態様の電子ペーパーの用途としては、デジタル機器のディスプレイ、電子ブック、デジタル・サイネージ(電子看板)等に用いられる。
【0089】
2.第2態様の電子ペーパー
本態様の電子ペーパーは、透明性を有するフィルムからなる第1基材および上記第1基材の一方の表面に形成された透明電極を有する透明電極側基材、絶縁性を有するフィルム状の保持基材、および、ツイストボールおよび低極性溶媒を含む低極性溶媒層からなるツイストボール層を有し、上記第1基材および上記保持基材により上記ツイストボール層が密封されてなるツイストボール部材と、絶縁性を有するフィルムからなる第2基材、および上記第2基材の一方の表面に形成された対向電極を有する対向電極側基材と、を有し、上記対向電極側基材は、上記ツイストボール部材の保持基材の外側に、上記対向電極が上記ツイストボール部材とは反対側となるように配置されていることを特徴とするものである。
【0090】
本態様の電子ペーパーについて図を用いて説明する。図5は本態様の電子ペーパーの一例を示す概略断面図である。図5に示すように、本態様の電子ペーパー10は、透明性を有するフィルムからなる第1基材11および第1基材11の一方の表面に形成された透明電極12を有する透明電極側基材1、絶縁性を有するフィルム状の保持基材20、および、ツイストボール3aおよび低極性溶媒を含む低極性溶媒層3bからなるツイストボール層3を有し、第1基材11および保持基材20によりツイストボール層3が密封されてなるツイストボール部材30と、絶縁性を有するフィルムからなる第2基材21、および第2基材21の一方の表面に形成された対向電極22を有する対向電極側基材2と、を有し、対向電極側基材2は、ツイストボール部材30の保持基材20の外側に、対向電極22がツイストボール部材30とは反対側となるように配置されていることを特徴とするものである。なお、図5においては、第1基材11と保持基材20とがラミネート加工されることによりツイストボール部材30が密封されている例について簡略化して示しているが、図6に示すように、第1基材11および保持基材20の間にシール剤4を配置することによって、ツイストボール部材30が密封されていてもよい。なお、図6において説明しない符号については図5で説明したものと同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
【0091】
また、図示しないが、本態様の電子ペーパーは、パッシブ駆動型の電子ペーパーである場合もある。この場合は、対向電極側基材上に形成される対向電極および透明電極側基材上に形成される透明電極が対応するパターンを有するものとなる。
【0092】
本態様においても、「1.第1態様の電子ペーパー」の項で説明したように、対向電極がツイストボール層と直接接触しない構成であるため、対向電極の材料がツイストボール層の低極性溶媒中に溶出して、電子ペーパーの画像表示が劣化するのを防ぐことが可能である。また、対向電極の凹凸による貼り合わせ時の歩留まりの低下や電子ペーパーの画像表示の劣化を防止することができる。
さらに、本態様の電子ペーパーがセグメント用電子ペーパーである場合は、上記対向電極側基材は、上記ツイストボール部材の保持基材の外側に、上記対向電極が上記ツイストボール部材とは反対側となるように配置されていることから、対向電極から容易に配線を取り出すことが可能である。また、本態様においては、上記対向電極側基材が保持基材上に配置されている構成を有することから、上記対向電極側基材を取り換えるのみで新たな画像表示を行うことが可能であり、電子ペーパーの再利用を容易に行うことが可能である。
【0093】
ここで、本態様の電子ペーパーを用いて画像表示を行う方法としては、例えば、「1.第1態様の電子ペーパー」の項で説明したものと同様に、透明電極と対向電極間に所定の電界Eを印加させ、透明電極および対向電極で挟まれたツイストボールを電界下に置き、ツイストボール部材が有するツイストボール層中のツイストボールを回転させることによって行うことができる。ここで、本態様においては、保持基材を介して第2基材とツイストボール層とが配置されているが、この場合も、透明電極と対向電極間に発生させた所定の電界Eによりツイストボールを回転させて所望の画像表示を行うことが可能となる。
【0094】
以下、本態様の電子ペーパーに用いられる各構成について説明する。
【0095】
(1)ツイストボール部材
本態様に用いられるツイストボール部材は、透明性を有するフィルムからなる第1基材および上記第1基材の一方の表面に形成された透明電極を有する透明電極側基材、絶縁性を有するフィルム状の保持基材、および、ツイストボールおよび低極性溶媒を含む低極性溶媒層からなるツイストボール層を有するものであり、上記第1基材および保持基材により上記ツイストボール層が密封されてなるものである。
ここで、上記透明電極側基材については、「1.第1態様の電子ペーパー」の項で記載したものと同様とすることができるのでここでの記載は省略する。
【0096】
(a)保持基材
本態様に用いられる保持基材は、絶縁性を有するフィルム状の部材であり、上記透明電極側基材に用いられる第1基材とともに上記ツイストボール層を密封し、ツイストボール部材とするために用いられるものである。また、上記保持基材は、ツイストボール層とは反対側に上記対向電極側基材が配置されるものである。
【0097】
このような保持基材としては、上記透明電極側基材に用いられる第1基材とともに上記ツイストボール層を密封し、ツイストボール部材とすることができ、かつ、上記保持基材のツイストボール層とは反対側表面に上記対向電極側基材を配置することができるのであれば特に限定されるものではなく、透明性を有していてもよいし、透明性を有していなくてもよい。
【0098】
このような保持基材の材料としては、「1.第1態様の電子ペーパー」の項で記載した第1基材および第2基材の材料と同様の材料を適宜選択して用いることができる。また、このような保持基材の材料としては、ラミネート加工可能な材料であることが好ましい。上記第1基材および保持基材の材料としてラミネート加工可能な材料を用いることにより、ツイストボール層をラミネート加工によって密封することが可能であるからである。また、上記第1基材および保持基材の材料としてラミネート加工可能な材料が用いられる場合は、上記第1基材および保持基材の材料が同一の材料であることが好ましい。上記第1基材および保持基材の材料が同一の材料であることにより、上記第1基材および保持基材をラミネート加工する際の密着性を高いものとすることができるからである。
【0099】
このような保持基材の膜厚としては、上記第1基材とともに上記ツイストボール層を密封して、ツイストボール部材とすることができ、かつ、上記保持基材のツイストボール層とは反対側表面に上記対向電極側基材を配置することができるのであれば特に限定されるものではないが、具体的には、10μm〜300μmの範囲内、なかでも15μm〜100μmの範囲内、特に25μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。上記保持基材の膜厚が上記範囲に満たない場合は、上記保持基材上に上記対向電極側基材を配置することが困難であるからであり、上記保持基材の膜厚が上記範囲を超える場合は、本態様の電子ペーパーにおいて良好な画像表示を行うことが困難になるからである。
【0100】
(b)ツイストボール層
本態様に用いられるツイストボール層は、ツイストボールおよび低極性溶媒を含み、上記透明電極側基材の第1基材および保持基材により密封されているものである。
【0101】
上記ツイストボール層としては、ツイストボールおよび低極性溶媒を含む低極性溶媒層からなり、上記第1基材および保持基材により密封することができるものであれば、その密封方法としては特に限定されるものではなく、例えば、上記透明電極側基材に用いられる第1基材および保持基材の間に封止のためのシール剤を配置させることにより、上記ツイストボール層を密封する方法であってもよいし、また例えば、上記透明電極側基材に用いられる第1基材および保持基材にラミネート加工可能な材料を用いて、上記第1基材および保持基材をラミネート加工することにより、上記ツイストボール層を密封する方法であってもよい。本態様においては、ラミネート加工により上記ツイストボール層を密封する方法であることがより好ましい。ラミネート加工による方法が好ましい理由については、「1.第1態様の電子ペーパー」の項で記載したものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
【0102】
また、ツイストボール層の構成については、「1.第1態様の電子ペーパー」の項で記載したものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
【0103】
(2)対向電極側基材
本態様に用いられる対向電極側基材は、第2基材と対向電極とを有し、上記ツイストボール部材の保持基材の外側に、上記対向電極が上記ツイストボール部材とは反対側となるように配置されているものである。
【0104】
本態様における対向電極側基材に用いられる第2基材としては、第2基材上に対向電極を形成することが可能であり、かつ、上記ツイストボール部材の保持基材の外側に、上記対向電極が上記ツイストボール部材とは反対側となるように対向電極側基材を配置することができるものであれば特に限定されず、例えば図5に示すように、保持基材20の全面を覆うことができるような基材であってもよいし、例えば図7に示すように、第2基材21上に形成された対向電極22に合わせたパターンを有する基材であってもよい。なお、図7において説明していない符号については図5と同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
【0105】
上記対向電極側基材に用いられる第2基材としては、上記の点以外は「1.第1態様の電子ペーパー」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。また、上記対向電極についても「1.第1態様の電子ペーパー」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
【0106】
本態様に用いられる対向電極側基材は、上記ツイストボール部材の保持基材の外側に、上記対向電極が上記ツイストボール部材とは反対側となるように配置されているのであれば、その配置方法については特に限定されるものではなく、上記対向電極側基材および保持基材を接着剤等を介して完全に固定する方法によって配置されていてもよいし、上記対向電極側基材および保持基材が容易に着脱可能な方法によって配置されていてもよい。本態様においては、上記対向電極側基材および保持基材が容易に着脱可能な方法によって配置されていることが好ましい。上記対向電極側基材の配置方法として、具体的には、上記保持基材上に上記対向電極側基材を固定するための固定部を設けて上記固定部に対向電極側基材を固定することによって配置する方法、対向電極側基材および保持基材を再剥離可能な接着剤を介して設置する方法等を挙げることができる。
本工程においては、特に対向電極側基材および保持基材を再剥離可能な接着剤を介して設置する方法を用いることが好ましい。本態様の電子ペーパーは、対向電極側基材を取り換えることにより、電子ペーパーの再利用を可能としたものであり、上記対向電極側基材および保持基材が再剥離可能な接着剤を介して配置されていることにより、上記対向電極側基材を容易に取り換えることが可能となるからである。
ここで、「再剥離可能」とは、保持基材と第2基材とを接着した後、剥離した場合に、保持基材および第2基材が破損することなく剥離することができるものであることを指す。このような接着剤としては、アクリル系の粘着剤または接着剤、シリコーン系の粘着剤または接着剤、天然ゴム系の粘着剤または接着剤、エチレン-酢酸ビニル(EVA)系の粘着剤または接着剤、ウレタン系の粘着剤または接着剤等を挙げることができる。また、上記再剥離可能な接着剤は対向電極側基材上に塗布されていることが好ましい。保持基材表面上に上記再剥離可能な接着剤が残存しないことにより、上記ツイストボール部材を再利用しやすいものとすることができるからである。
【0107】
本態様に用いられる対向電極側基材を保持基材上に配置させる際の上記保持基材および対向電極側基材の間隙としては、本態様の電子ペーパーを用いて画像表示を行った際に、ツイストボールを回転させて所望の画像表示を行うことができる程度の間隙とすることができるのであれば特に限定されるものではなく、50μm以下、なかでも30μm以下、特に20μm以下であることが好ましい。上記範囲を超える場合は、ツイストボールを回転させるのに必要な電界Eを得るために透明電極と対向電極に印加する電圧の供給が事実上困難となるためである。
【0108】
(3)その他の部材
本態様の電子ペーパーは、上記ツイストボール部材、および対向電極側基材を有するものであれば、特に限定されるものではなく、必要な部材を適宜追加することができる。このような部材としては、上記ツイストボール部材を密封するために用いられるシール剤を挙げることができる。このようなシール剤については、一般的な基材どうしを貼り合わせて密封させる際に用いられるシール剤と同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
【0109】
(4)用途
本態様の電子ペーパーの用途としては「1.第1態様の電子ペーパー」の項で記載したものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
本態様においては、ポスター、車内広告等のセグメント用途に用いることがより好ましい。
【0110】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0111】
[実施例1]
黒色でプラスに帯電した黒色相と、白色でマイナスに帯電した白色相とを有する平均粒子径が約100μmのツイストボールを準備した。これを熱硬化型シリコーン樹脂中に分散し、コーターによりガラス上に塗布し、熱処理することで、膜厚300μmのツイストボールが分散されたシートを作製した。次いで、上記シートをシリコーンオイル中に24時間浸漬し、膨潤させてツイストボール層を得た。
【0112】
次に、ITO膜がPET面に形成されたラミネートフィルム(CPP/PET)(透明電極側基材)を準備した。
次に、アルミニウム膜(対向電極)がPET面に表示絵柄に応じて形成されたラミネートフィルム(CPP/PET)(対向電極側基材)を準備した。
【0113】
次に、透明電極側基材のCPP面と、対向電極側基材のCPP面が対向するようにしてツイストボール層を挟みこみラミネートを行った。その後、表示絵柄に応じて導電テープおよびリード線を用いて配線した。
【0114】
[実施例2]
青色着色剤と黒色着色剤を混合してプラスに帯電した有色彩相と、白色でマイナスに帯電した白色相とを有する平均粒子径が約100μmのツイストボールを準備した。これを熱硬化型シリコーン樹脂中に分散し、コーターによりガラス上に塗布し、熱処理することで、膜厚300μmのツイストボールが分散されたシートを作製した。次いで、上記シートをシリコーンオイル中に24時間浸漬し、膨潤させてツイストボール層を得た。
【0115】
次に、ラミネートフィルム(CPP/PET)を2枚準備し、CPP面がツイストボール層側になるように配置してラミネートを行った。
【0116】
次に、ITO膜が形成されたPETフィルム(透明電極側基材)を準備した。また、アルミニウム膜が表示絵柄に応じて形成されたPETフィルム(対向電極側基材)を準備した。
次に、透明電極側基材のITO膜が製膜されていない側、および対向電極側基材のアルミニウム膜が製膜されていない側の表面に粘着剤を塗布し、ツイストボール層のラミネートフィルムに貼り合わせた。その後、対向電極側基材の表示絵柄に応じて導電テープおよびリード線を用いて配線を行った。
【0117】
実施例1および実施例2の電子ペーパーを用いることにより、良好な画像表示を行うことができた。
【符号の説明】
【0118】
1 … 透明電極側基材
11 … 第1基材
12 … 透明電極
2 … 対向電極側基材
21 … 第2基材
22 … 対向電極
3 … ツイストボール層
3a … ツイストボール
3b … 低極性溶媒層
4 … シール剤
10 … 電子ペーパー
20 … 保持基材
30 … ツイストボール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明性を有するフィルムからなる第1基材、および前記第1基材の一方の表面に形成された透明電極を有する透明電極側基材と、
絶縁性を有するフィルムからなる第2基材、および前記第2基材の一方の表面に形成された対向電極を有する対向電極側基材と、
ツイストボールおよび低極性溶媒を含む低極性溶媒層からなるツイストボール層とを有し、
前記ツイストボール層は、前記第1基材および前記第2基材により密封され、
前記対向電極側基材は、前記対向電極が前記ツイストボール層とは反対側となるように配置されていることを特徴とするツイストボール型電子ペーパー。
【請求項2】
前記第1基材および前記第2基材がラミネート加工可能な材料からなり、前記第1基材および前記第2基材をラミネート加工することによって前記ツイストボール層が密封されていることを特徴とする請求項1に記載のツイストボール型電子ペーパー。
【請求項3】
透明性を有するフィルムからなる第1基材および前記第1基材の一方の表面に形成された透明電極を有する透明電極側基材、絶縁性を有するフィルム状の保持基材、および、ツイストボールおよび低極性溶媒を含む低極性溶媒層からなるツイストボール層を有し、前記第1基材および前記保持基材により前記ツイストボール層が密封されてなるツイストボール部材と、
絶縁性を有するフィルムからなる第2基材、および前記第2基材の一方の表面に形成された対向電極を有する対向電極側基材と、を有し、
前記対向電極側基材は、前記ツイストボール部材の保持基材の外側に、前記対向電極が前記ツイストボール部材とは反対側となるように配置されていることを特徴とするツイストボール型電子ペーパー。
【請求項4】
前記対向電極側基材が、再剥離可能な接着剤を介して前記保持基材の前記ツイストボール部材とは反対側の表面上に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のツイストボール型電子ペーパー。
【請求項5】
前記第1基材および前記保持基材がラミネート加工可能な材料からなり、前記第1基材および前記保持基材をラミネート加工することによって前記ツイストボール層が密封されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のツイストボール型電子ペーパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−112792(P2011−112792A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267930(P2009−267930)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(000202350)綜研化学株式会社 (135)
【Fターム(参考)】