説明

ティシュペーパーの紙箱

【課題】 狭い机やテーブル等の上においても場所をとらず、置きやすく、使い勝手のよいティシュペーパーの紙箱を提供する。更に、従来の紙箱よりも高さの高い紙箱を形成して、より収容枚数の多い紙箱を提供する。
【解決手段】 従来の横長形状の家庭用のティシュペーパーの紙箱に比べ、内部に収容されているティシュペーパーの折り方を2分の1から4分の1にすることで、従来の紙箱の横幅を約半分にし、紙箱の高さを内部に収容したティシュペーパーの一辺の長さの60〜90パーセントの長さとした直方体の紙箱を形成するとともに、紙箱の上面中央部にミシン目で切り込み9を入れてほぼ長方形に形成した取り出し口10を設け、その取り出し口の長手方向の向きは収容されたティシュペーパーの折り目に対して直角に形成するとともに、取り出し口には両端部付近を分岐状としたスリット13を入れた樹脂フィルムを貼る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、従来から家庭用として使用されている横長で高さを抑えたコンパクトタイプのティシュペーパーの紙箱を、狭い机やテーブル等の上においても場所をとらないで置きやすく、また使いやすくするために、その紙箱の上面および底面の広さを従来の約半分のほぼ正方形の形状にして、かつ1箱あたりのティシュペーパーの収容枚数をできるだけ多くするために、従来よりも高さを可能な限り高くしたティシュペーパーの紙箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から家庭用として使用されているティシュペーパーの紙箱の形状は、近年のコンパクト化の流れの中で、一般的な外形寸法は、概ね長手方向240ミリ、短手方向120ミリ、高さ50ミリ程度の大きさで、かつ一箱当りのティシュペーパーの枚数も300〜400枚、2枚一組で150〜200組程度のものを収容した横長形状のものが多く販売され、今日ではそれが主流になっている。しかし、これらの紙箱はいずれも一般的形状は、ほとんどの製品において、長手方向対短手方向の割合がほぼ2:1の長方形をしており、これらを狭い机やテーブル等の上において使用する場合には、意外に広く場所をとるため、置きずらく不便な面が多々あった。
【0003】
そこで、できるだけ場所をとらないような長手方向を縮めた形状にして、その分高さを高くすることで、従来のティシュペーパーの収容枚数をできるだけ多く収容するような使い勝手のよい紙箱が望まれていたが、今日までこのような紙箱がほとんど製品化されてきていなかったのは、通常のティシュペーパーの紙箱は上面に取り出し口が設けられており、上から順にいわゆるポップアップ方式(上のペーパーが取り出し口から引き出されると、その下のペーパーが引きずられて、その上部が取り出し口から突出した状態となる方式)でティシュペーパーを引き上げる方式になっていることから、紙箱の高さがある一定以上の高さになると、内部に収容されているティシュペーパーの重みによって紙どうしの摩擦力(くっつきあう力)が弱まり、途中で上に引き上げられなくなって、紙箱の中に落ち込んでしまう欠点があったためである。そのためできるだけ場所をとらないで。高さを高くした家庭用の紙箱が望まれていたが、これまでほとんど提供されてきていなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、請求項1記載の発明(以下第1の発明という。)の課題は、従来の横長形状の紙箱を約半分にして、紙箱の上面および底面の広さをほぼ正方形の形状に変更するとともに、従来の紙箱の収容枚数をできるだけ減らさないようにするために、紙箱の高さを可能な限り高くすること、そのために紙箱の上面に設ける取り出し口の位置や長さや幅等を、可能な限り紙箱の高さを高くしたときでもティシュペーパーが中に落ち込みにくいような構造にすること、その取り出し口で、できるだけティシュペーパーを強く保持できるような構造や形状にすること、ティシュペーパーが満杯状態のときでも、取り出しやすいような形状にすることなどを課題とする。
【0005】
また、請求項2記載の発明(以下第2の発明という。)の課題は、前記第1の発明の紙箱を、前述のようにして可能な限り高さを高くしたとしても、収容枚数を従来の紙箱と同ようにするとすれば、2倍程度の高さにまでしなければならず、製造面等で大幅なコスト増が予想されることから難しため、この発明においては、前記第1の発明により形成された紙箱を複数個同一の向きで重ね合わせて、全体を一体的構造にして、タワーのような形状の紙箱を形成することで、従来のものよりも収容枚数において大幅に上回り、しかも置き場所もとらず、使い勝手のよい紙箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の課題解決手段は、直方体の紙箱に交互に折り重ねた複数枚のティシュペーパーを収容し、上面にミシン目で切り込みを設けた取り出し口から、内部に収容したティシュペーパーを引き出すようにし、かつその取り出し口の内側にはスリットを有する樹脂フィルムを貼着した、外形寸法が概ね長手方向240ミリ、短手方向120ミリ、高さ50ミリ程度の家庭用のティシュペーパーの紙箱において、
紙箱の上面および底面をほぼ正方形とし、高さを内部にほぼ正方形に折りたたまれて収容されたティシュペーパーの一辺の長さの60〜90パーセントの長さとした直方体の紙箱を形成するとともに、紙箱の上面中央部には、ミシン目で切りこみを入れてほぼ長方形に形成した取り出し口とそれを覆う同一形状のふた部を設けるが、その取り出し口の長手方向の向きは、内部に収容されたティシュペーパーの折り目に対して直角とし、また取り出し口の長手方向の長さは紙箱の上面の一辺の長さの60〜90パーセントとし、同じく取り出し口の短手方向の長さは上面の一辺の長さの20〜40パーセントとするとともに、取り出し口の内側に貼着された軟質の樹脂フィルムに設けられたスリットは、樹脂フィルムの長手方向中央部にほぼ直線状に形成し、かつスリットの両端部付近を分岐状に形成してなることを特徴とする。
【0007】
また、第2の発明の課題解決手段は、第1の発明の紙箱を、複数個同一の向きで重ね合わせ、重ね合わせた上側の紙箱の底面の一部と、下側の紙箱のミシン目で切りこみを設けた取り出し口を覆うふた部とを貼着して、一体化した紙箱を形成してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1の発明の効果は、前述のような構成であるから、紙箱内部のティシュペーパーが少なくなって、最上部にあるティシュペーパーと取り出し口との距離が開いてきた場合でも、取り出し口とティシュペーパーとの向きが直交していることから、最上部のティシュペーパーは紙箱の中で90度の角度でねじれながら上に引き出されるため、紙どうしの摩擦力(くっつきあう力)がより大きくなるとともに、その取り出し口の長さも、紙箱の一辺の長さより短く形成してあるため、ティシュペーパーの左右が同時に絞られながら引き出されることから、摩擦力が増して落下しにくくなり、なおかつ、取り出し口の内側に軟質の樹脂フィルムが貼られ、保持力を持たせたスリットも設けられているため、内部から引き出されるときに樹脂フィルムの締め付ける力も働くことと合わさって、取り出し口の保持力が一層増すこととなり、内部から引き上げられるティシュペーパーは途中でより一層落下しにくくなる。
【0009】
これによって、この紙箱の高さを従来の50ミリ程度から、60ミリ以上の高さに高くすることが可能となり、紙箱が約半分になったにもかかわらず、ティシュペーパーの収容枚数では従来の紙箱で150〜200組程度のものが、この発明では140〜150組程度にまで収容枚数を近づけることが可能となる。
【0010】
また、この紙箱の使い始めのときに、ティシュペーパーが満杯状態であっても、取り出し口の構造や形状や位置が、引き出しやすい広さや形状に形成されていることから、ティシュペーパーは破れたりすることなく、スムーズに引き出せることとなる。
【0011】
その結果、この紙箱は狭い机やテーブル等の上においても場所をとらず、コンパクトで、しかも使い勝手が良く、持ち運びも手軽である等の効果が極めて大きく、また、サイコロのような形状をしたキュートな感じのこの紙箱は、見た目も楽しく、ファッション性もあり、今日のコンパクト化の流れにも沿った時機を得た発明といえる。
【0012】
また、この紙箱の製造コストは、従来とほとんど同じ工程で製造できるため、製造コストは従来とほとんど変わらないことが予想されることも効果の一つである。
【0013】
第2の発明の効果は、第1の発明による紙箱が複数個同一の向きで重ね合わせられて一体化されているため、最上部の紙箱が使用済みとなれば、その空になった上側の紙箱をそっくり箱ごと剥がすならば、下側の紙箱とは、ミシン目で切り込みがつけられた下箱の取り出し口を覆うふた部とだけが上箱の底面に貼着しているだけであるから、上下の箱は簡単に剥がされて分離することとなり、しかも、その結果として、自動的に下箱のふた部のみが剥がされて、取り出し口が現れることとなる。
【0014】
このように、この発明によって複数個の紙箱が一体化され、タワー状の紙箱が形成されるため、高さを自由自在に高くすることが可能となり、たとえば2個重ね、3個重ね、4個重ね等のように重ねる箱数を自由に変えることができ、収容枚数を大幅に増やすことができる。
【0015】
その結果、この発明によって高さと収容枚数が自由に変えられるフレキシブル性を持った新規格の紙箱を提供することが可能となり、これによって、第1の発明の収容枚数が、従来のものと比べて横幅が半分になる分だけ少なくなってしまうという弱点もこれで解決されることとなる。
【0016】
もちろん、この発明が狭い机やテーブル等の上にも置きやすく、使い勝手が良いという効果は、前記第1の発明と全く同様である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を図1から図8に基づいて説明するが、これらの実施例だけに限定されるものではない。
【実施例1】
【0018】
第1の発明の実施例1を説明すると、図8に示すように、直方体の紙箱1に交互に折り重ねた複数枚のティシュペーパー2を収容し、上面3にミシン目で切り込み9を設けた取り出し口10から、内部に収容したティシュペーパー2を引き出すようにし、かつその取り出し口10の内側にはスリット13を有する樹脂フィルム12を貼着した横長形状の家庭用のティシュペーパーの紙箱1において、
図1,2に示すように、紙箱1の上面3および底面4をほぼ正方形とし、紙箱1の高さ25を、内部にほぼ正方形に折りたたまれて収容されたティシュペーパー2の一辺5の長さの約70パーセントの長さとした直方体の紙箱1を形成するとともに、紙箱1の上面3中央部の両端部6,7より少し内側に、ミシン目で切りこみ9を入れてほぼ長方形に形成した取り出し口10とそれを覆う同一形状のふた部23を設けるが、その取り出し口10の長手方向の向きは、内部に収容されたティシュペーパー2の折り目11に対して直角とし、取り出し口10の長手方向の長さは紙箱1の上面3の一辺8の長さの約3分の2とし、同じく取り出し口の短手方向の長さは上面3の一辺8の長さの約3分の1とするとともに、取り出し口10の内側に貼着された軟質の樹脂フィルム12に設けられたスリット13は、樹脂フィルム12の長手方向中央部にほぼ直線状に形成し、かつスリット13の両端部付近を十字形状16に形成する。
【0019】
このような構成であるから、紙箱内部のティシュペーパー2が少なくなって、最上部にあるティシュペーパーと取り出し口との距離が開いてきた場合でも、上面3に設けた取り出し口10の向きと内部に収容されたティシュペーパー2の折り目11の向きとが直角の向きになっているため、内部のティシュペーパー2が引き上げられるときには90度の角度でねじれながら引き上げられ、紙どうしの摩擦力(くっつきあう力)がより大きくなるとともに、その取り出し口10の長さは紙箱1の上面3の一辺8の長さより少し短いため、ティシュペーパー2の左右が同時に絞られながら引き出されることから、摩擦力が増して落下しにくくなり、なおかつ、取り出し口10の内側に軟質の樹脂フィルム12が貼られ、取り出し口10の長さよりより少し短めにスリット13が設けられているため、内部から引き出されるときに樹脂フィルム12の締め付ける力がより強く働くことと合わさって、取り出し口での保持力が一層増すこととなり、内部から引き上げられるティシュペーパー2は途中で落下しにくくなる。
【0020】
そのため従来の紙箱(図8)の高さ26は、一般的には50ミリ程度のものが多いのに比べ、この実施例1における紙箱1の高さ25は、80ミリ程度にまで高くするこが可能となり、これにより、紙箱1の上面3および底面4を約半分に縮小しても、140〜150組程度のティシュペーパー2を収容することが可能となる。
【0021】
また、使い始めの時の紙箱1において、満杯状態でティシュペーパー2を引き出す場合でも、取り出し口10および樹脂フィルム12が取り出し易い構造や形状や位置になっているため、スムーズに引き出されることとなる。
【実施例2】
【0022】
第1の発明の実施例2について説明すると、図3に示すように、このスリット13の両端部14,15付近の形状をT字形状27にすることもできる。
【実施例3】
【0023】
第2の発明の実施例3について説明すると、図4,5、6に示すように、第1の発明の紙箱1と同様の紙箱18を、1箱だけ同一の向きで重ね合わせるとともに、その重ね合わせた上側の紙箱18の底面19の一部と、下側の紙箱1のミシン目で切りこみ9を設けた取り出し口10を覆うふた部23とに、それぞれ貼着部材28を塗布して両者を貼着して、一体化した2個重ね紙箱17を形成する。
【0024】
このような構成であるから、第1の発明による紙箱1が、1箱だけ重ね合わせられて一体化されるため、上側の紙箱18が使用済みとなれば、下側の紙箱1とは、ミシン目で切り込み9がつけられた下箱の取り出し口10を覆うふた部23とだけが、上箱18の底面19に接着しているだけであるから、その空になった上側の紙箱18をそっくり箱ごと剥がすならば、上下の箱は簡単に剥がされて分離することとなり、しかも、その結果として、自動的に下箱1の取り出し口10が現れることとなる。
【実施例4】
【0025】
また、第2の発明の実施例4について説明すると、実施例3以外にも、図7に示すように、第1の発明の紙箱1と同様の紙箱21,22を、紙箱1に重ね合わせて3個重ねとし、実施例3と同様に、それぞれ上側の紙箱21,22の底面の一部と、下側の紙箱の取り出し口を覆うふた部23,24とを貼着して、一体化した3個重ね紙箱20を形成することもできる。もちろん、同様にして、4個以上の紙箱を重ねて形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】 この発明の実施形態を示す実施例1の斜視図
【図2】 この発明の実施形態を示す実施例1の部分斜視図
【図3】 この発明の実施形態を示す実施例1のスリットの形状を示す平面図
【図4】 この発明の実施形態を示す実施例2の2個重ね紙箱の斜視図
【図5】 この発明の実施形態を示す実施例2の2個重ね紙箱の概略断面図
【図6】 この発明の実施形態を示す実施例2の2個重ね紙箱の貼着部分の概略部分断面図
【図7】 この発明の実施形態を示す実施例3の3個重ね紙箱の斜視図
【図8】 従来の家庭用のティシュペーパーの紙箱の斜視図
【符号の説明】
【0027】
1 紙箱
2 ティシュペーパー
3 上面
4 底面
5 一辺
6 端部
7 端部
8 一辺
9 切込み
10 取り出し口
11 折り目
12 樹脂フィルム
13 スリット
14 端部
15 端部
16 十字形状スリット
17 2個重ね紙箱
18 紙箱
19 底面
20 3個重ね紙箱
21 紙箱
22 紙箱
23 ふた部
24 ふた部
25 高さ
26 高さ
27 T字形状スリット
28 貼着部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体の紙箱に交互に折り重ねた複数枚のティシュペーパーを収容し、上面にミシン目で切り込みを設けた取り出し口から、内部に収容したティシュペーパーを引き出すようにし、かつその取り出し口の内側にはスリットを有する樹脂フィルムを貼着した、外形寸法が概ね長手方向240ミリ、短手方向120ミリ、高さ50ミリ程度の家庭用のティシュペーパーの紙箱において、
紙箱の上面および底面をほぼ正方形とし、高さを内部にほぼ正方形に折りたたまれて収容されたティシュペーパーの一辺の長さの60〜90パーセントの長さとした直方体の紙箱を形成するとともに、紙箱の上面中央部には、ミシン目で切りこみを入れてほぼ長方形に形成した取り出し口とそれを覆う同一形状のふた部を設けるが、その取り出し口の長手方向の向きは、内部に収容されたティシュペーパーの折り目に対して直角とし、また取り出し口の長手方向の長さは紙箱の上面の一辺の長さの60〜90パーセントとし、同じく取り出し口の短手方向の長さは上面の一辺の長さの20〜40パーセントとするとともに、取り出し口の内側に貼着された軟質の樹脂フィルムに設けられたスリットは、樹脂フィルムの長手方向中央部にほぼ直線状に形成し、かつスリットの両端部付近を分岐状に形成してなることを特徴とするティシュペーパーの紙箱。
【請求項2】
請求項1記載の紙箱を、複数個同一の向きで重ね合わせ、重ね合わせた上側の紙箱の底面の一部と、下側の紙箱のミシン目で切りこみを設けた取り出し口を覆うふた部とを貼着して、一体化した紙箱を形成してなることを特徴とするティシュペーパーの紙箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−213398(P2006−213398A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−56573(P2005−56573)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【出願人】(593218901)
【Fターム(参考)】