説明

ティシュペーパー収納容器

【課題】ティシュペーパーへの異物の付着を防止すると共に、該ティシュペーパーに含まれたローションなどの水分の蒸発を防止する。
【解決手段】ティシュペーパー2を収納する容器本体1の上面部13にティシュペーパー取り出し口3が開穿されていると共に、ティシュペーパー取り出し口3に左右方向のスリット5を有するフィルム4が張設されたティシュペーパー収納容器10において、容器本体の上側に箱状のカバー体6を設けると共に、カバー体6の前面部から天面部に及んでコ字状の切り込み線を形成することにより、切り込み線に沿って切離されたコ字状部分を前後方向に開閉可能な上蓋部8として機能させ、該上蓋部8を閉じた状態で該上蓋部8とカバー体6の前面部との間の隙間からティシュペーパー2を引き出せるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はティシュペーパー収納容器に関するものであり、特に、化粧落とし等において使用される保湿性のティシュペーパーを収納するのに適したティシュペーパー収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のティシュペーパー収納容器は一般に直方体の箱形状に形成され、該ティシュペーパー収納容器内にティシュペーパーが積層状態で収納されている。そして、ティシュペーパー収納容器の上面部にはティシュペーパー取り出し口が開穿され、該ティシュペーパー取り出し口には透明なフィルムが張設されていると共に、該フィルムにスリットが左右方向に延びて形成されている。
【0003】
上記の構成により、ティシュペーパー収納容器内のティシュペーパーは、前記フィルムに形成したスリットから引き出すことによって、ティシュペーパーを連続的に使用することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−29580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ティシュペーパー収納容器は、ティシュペーパー取り出し口に張設したフィルムのスリットから最上位のティシュペーパーを引き出すように構成されているが、このとき、次に使用するティシュペーパーの一部も引き出され、該ティシュペーパーの引き出された部分は、ティシュペーパー収納容器の上面に露出状態に載置される。
【0006】
そのため、ティシュペーパー収納容器の周囲に塵埃等の異物が存在している場合には、該ティシュペーパーの露出部分に塵埃等の異物が付着する。又、ティシュペーパーにローション等が塗布されている場合には、該ローション等の水分が前記ティシュペーパーの露出部分から蒸発乾燥して、ティシュペーパーの商品価値が低下するという問題があった。
【0007】
そこで、ティシュペーパーへの異物の付着を防止すると共に、該ティシュペーパーに含まれたローションなどの水分の蒸発を防止するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、ティシュペーパーを収容する容器本体の上面部にティシュペーパー取り出し口が開穿されていると共に、該ティシュペーパー取り出し口に左右方向のスリットを有するフィルムが張設されたティシュペーパー収納容器において、 前記容器本体の上側には、前後方向に開閉可能な上蓋部を有する箱状のカバー体が配設され、該上蓋部は該カバー体の前面部から天面部に及んで略コ字状に切り離して形成され、該上蓋部を閉じた状態で、該上蓋部と前記前面部との間の隙間から前記ティシュペーパーを連続的に引き出せるように構成したことを特徴とするティシュペーパー収納容器を提供する。
【0009】
この構成によれば、容器本体に収納されたティシュペーパーを使用する際は、先ず、カバー体に設けた上蓋部を開放して、ティシュペーパー取り出し口に張設したフィルムのスリットからティシュペーパーを引き出す。このとき、次に使用されるティシュペーパーの引き出し部分は、フィルム面に沿って容器本体の前側に移動する。
【0010】
この後、上蓋部を閉じると、該上蓋部とカバー体の前面部との間の隙間にティシュペーパーの引き出し部が取り出し可能に係止される。従って、次に使用されるティシュペーパーは、上蓋部を閉じた状態のまま引き出すことができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、上記フィルムが張設された上記ティシュペーパー取り出し口は、上記容器本体の前後方向中央よりも前方に偏倚して設けられ、且つ、前記フィルムに形成した上記スリットは、前記容器本体の前後方向中央部に配設されていることを特徴とする請求項1記載のティシュペーパー収納容器を提供する。
【0012】
この構成によれば、ティシュペーパー取り出し口に張設されたフィルムは、容器本体の上面部にて前方側に偏倚して配設されている。依って、該フィルムに形成したスリットからティシュペーパーを引き出してフィルムの表面に沿って移動させる際、該ティシュペーパーがフィルムの表面に摺接する部分の長さは、フィルムの偏倚量相当分だけ長くなる。
【0013】
請求項3記載の発明は、上記上蓋部は上記カバー体の前面部における左右方向中央部に把持片を有し、且つ、該上蓋部はコ字状の切り込み線に沿って切り離して形成され、該切り込み線は、前記カバー体の天面部から前面部に亘って互いに平行に延びる左右一対の直線部と、該直線部の下端から前記把持片に向かって下方に傾斜する傾斜線部と、該傾斜線部の下端と前記把持片の左右両端とを結ぶ曲線部とから成り、前記切り込み線の破断強度は、前記直線部、前記曲線部及び前記傾斜線部の順に小さくなるように設定されていることを特徴とする請求項1記載のティシュペーパー収納容器を提供する。
【0014】
この構成によれば、上蓋部を形成するためのコ字状の切り込み線の破断強度は、カバー体の天面部から前面部に亘って互いに平行に延びる直線部の方が、該直線部の下端から把持片に向かって下方に傾斜する傾斜線部、及び、該傾斜線部の下端と把持片の左右両端とを結ぶ曲線部よりも大きく、且つ、該曲線部の破断強度は前記傾斜線部の破断強度よりも大きくなるように設定されている。
【0015】
従って、前記切り込み線を形成する直線部、傾斜線部及び曲線部のうち、把持片の両側に設けた傾斜線部が最も破断強度が小さいので、カバー体から上蓋部を切り離すべく、該カバー体の前面部から把持片を引き上げると、前記カバー体の前面部において傾斜線部から容易に破断を開始し、その後、直線部に沿って破断してコ字状の上蓋部が切り離される。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明は、上蓋部を閉じても該上蓋部とカバー体の前面部との間の隙間にティシュペーパーの引き出し部が取り出し可能に移動しているので、上蓋部を閉じたままティシュペーパーを片手で容易に取り出すことができる。
【0017】
又、次に使用するティシュペーパーは、カバー体と容器本体との間の閉鎖空間内に収納されるので、該ティシュペーパーに塵埃等が付着することを防止できるとともに、ティシュペーパーに塗布したローションなどの水分が蒸発することを防止することができる。
【0018】
請求項2記載の発明は、スリットから引き出されるティシュペーパーは、フィルムが容器本体の前方側に偏倚している分だけ、フィルムの表面に摺接する部分の長さが長くなるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、ティシュペーパーをよりスムーズに引き出すことができる。
【0019】
請求項3記載の発明は、把持片の両側に設けた傾斜線部が最も破断し易く、且つ、カバー体の天面部から前面部に亘って延びる直線部が最も破断し難いので、請求項1記載の発明の効果に加えて、コ字状の上蓋部を容易に切り離すことができると共に、店頭等における陳列時に天面部の支持強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】一実施例に係る上蓋部の閉鎖時におけるティシュペーパー収納容器の斜視図。
【図2】本発明の一実施例を示し、上蓋部の開放時におけるティシュペーパー収納容器の斜視図。
【図3】一実施例に係るティシュペーパー収納容器の横断面図。
【図4】一実施例に係るティシュペーパー収納容器の展開図。
【図5】一実施例に係るティシュペーパー収納容器の前面部からティシュペーパーを取り出すときの状態を示す斜視図。
【図6】一実施例に係るティシュペーパー収納容器の切り込み線の形状部分を説明する要部拡大展開図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、ティシュペーパーへの異物の付着を防止すると共に、該ティシュペーパーに含まれたローションなどの水分の蒸発を防止するという目的を達成するために、ティシュペーパーを収容する容器本体の上面部にティシュペーパー取り出し口が開穿されていると共に、該ティシュペーパー取り出し口に左右方向のスリットを有するフィルムが張設されたティシュペーパー収納容器において、 前記容器本体の上側には、前後方向に開閉可能な上蓋部を有する箱状のカバー体が配設され、該上蓋部は該カバー体の前面部から天面部に及んで略コ字状に切り離して形成され、該上蓋部を閉じた状態で、該上蓋部と前記前面部との間の隙間から前記ティシュペーパーを連続的に引き出せるように構成したことによって実現した。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の好適な実施例を図1乃至図6に従って説明する。尚、ティシュペーパー収納容器に収納されるティシュペーパーの種類としては、例えば、通常タイプよりもコンパクトな化粧落とし用などのティシュペーパー、特に、ローションなどの液体が塗布された保湿系のティシュペーパーに適用することが好ましいが、本発明はこれに限定されない。
【0023】
図1は本実施例に係る上蓋部の閉鎖時における紙製のティシュペーパー収納容器10を示す斜視図であり、また、図2は上蓋部の開放時におけるティシュペーパー収納容器10を示す斜視図である。両図において、1はティシュペーパー2を積層状態で収納する容器本体であり、該容器本体1は、左右方向を長手方向とする直方体に形成されている。
【0024】
本実施例の容器本体1の面積は、160組乃至200組のティシュペーパー2が収納された通常タイプのものに比べて小型に形成され、例えば、容器本体1の長手方向の寸法は、通常タイプのものの寸法の60%乃至80%に設定されている。但し、本発明は之に限定されない。
【0025】
図2に示すように、容器本体1の上面部(中蓋部)13にはティシュペーパー取り出し口3が開穿され、該ティシュペーパー取り出し口3には透明なフィルム4が張設されている。さらに、該フィルム4には左右方向に延びるティシュペーパー引出し用のスリット5が形成されている。
【0026】
依って、容器本体1内に収納された最上位のティシュペーパー2は、スリット5から引き出して使用される。この場合、最上位のティシュペーパー2を引き出した際に、その直下に位置するティシュペーパー2、即ち、次に使用されるティシュペーパー2の一部分もスリット5の外側に移動するように構成されている。
【0027】
尚、ティシュペーパー取り出し口3の面積は、容器本体1の上面部13の面積の30%乃至60%に設定されている。又、ティシュペーパー取り出し口3の前後方向の幅寸法は、容器本体1の上面部の幅寸法の40%乃至60%に設定されている。
【0028】
本実施例では、ティシュペーパー取り出し口3は、容器本体1の上面部13における前後方向中央よりも前方に偏倚して設けられている。このティシュペーパー取り出し口3の容器本体1に対する偏倚量は、容器本体1の上面部13の所要強度を確保できる範囲で可能な限り大きい方が好ましい。また、該フィルム4に形成したスリット5は、容器本体1の上面部13における前後方向略中央部に形成されている。
【0029】
図3に示すように、容器本体1の上面側には、内側に凹所を有する箱状のカバー体6が一体に連設され、カバー体6は、天面部16に対して下方に折曲する左右の側面部(図4の符号16L,16R参照)及び前面部17を有している。
【0030】
更に、カバー体6の前面部17から天面部16に及んで平面視コ字状の切り込み線(破断用ミシン目線)7が形成され(図4参照)、該切り込み線7に沿って切離された部分は上蓋部8として機能する。又、上蓋部8の前後方向における横断面形状は略L字状(略コ字状も可能)に形成されている。このため、上蓋部8は、容器本体1の上面部13の上側において前後方向に開閉可能に構成されている。
【0031】
この場合、上蓋部8の開閉端はカバー体6の前面部17に位置しているので、上蓋部8を閉じた状態で、カバー体6の前面部17にてティシュペーパー2の引き出し操作を行うことができる。
【0032】
本実施例では、上蓋部8の開閉動作の中心は、カバー体6の背面部の上端に設定されている。そして、上蓋部8を閉じたときは、図3に示すように、カバー体6と容器本体1の上面部13との間に箱型の閉鎖空間Sが形成される。依って、スリット5から容器本体1の上面部13に引き出されたティシュペーパー2は閉鎖空間S内に収納されるため、従来例のように外部に露出状態で晒されないように構成されている。
【0033】
次に、上記ティシュペーパー収納容器10の製造方法について説明する。図4はティシュペーパー収納容器10の展開図である。同図において、11は容器本体1の底面部であり、該底面部11は左右方向を長手方向とする長方形に形成されている。そして、底面部11の左右両側には側面部11L,11Rが折り曲げ可能に連接されている。
【0034】
又、底面部11の短手方向一側(同図の下側)には、容器本体1の前面部12を介して、容器本体1の上面部13が折り曲げ可能に連接されている。更に、該上面部13の中央部には前記ティシュペーパー取り出し口3が開穿されていると共に、上面部13の下端部には糊代部14が形成されている。
【0035】
一方、底面部11の短手方向一側(同図の上側)における左右両側には、背面部15を介してカバー体6が折り曲げ可能に連接され、前記背面部15の左右両側には側面部15L,15Rが折り曲げ可能に連接されている。
【0036】
前記カバー体6は、左右両側に側面部16L,16Rが連接された長方形の天面部16と、該天面部16の短手方向一側(同図の上側)に連接された前面部17とから成り、該前面部17の左右両側には側面部17L,17Rが折り曲げ可能に連接されている。
【0037】
さらに、カバー体6の前面部17から天面部16に及んでミシン目状の切り込み線7がコ字状に設けられている。そして、該切り込み線7に沿って分断することでコ字状部分が形成され、このコ字状部分は、前後方向に開閉可能な上蓋部8として機能する。
【0038】
尚、図4における符号18は、容器本体1の前面部12に形成した円弧状の切り込み線であり、又、符号19は前面部17における中央部(図1では上蓋部8の前端側の左右方向中央部)に設けた円弧状の把持片であり、この把持片19は前記切り込み線18に止着することができる。
【0039】
次に、ティシュペーパー収納容器10の組み立て順序の一例を説明する。尚、図4では図示していないが、ティシュペーパー取り出し口3には上記スリット5付きのフィルム4が予め張設されているものとする。
【0040】
先ず、側面部15L,15Rを背面部15側に直角に折り曲げた後に、該背面部15を底面部11側に直角に折り曲げると共に、前面部12を底面部11側に直角に折り曲げる。更に、上面部13を底面部11側に直角に折り曲げた後に、該上面部13の糊代部14を折り曲げて背面部15に重合させる。
【0041】
次に、側面部17L,17Rを前面部17側に直角に折り曲げた後に、該前面部17を天面部16側に直角に折り曲げると共に、側面部16L,16Rを天面部16側に直角に折り曲げる。更に、該天面部16を底面部11側に直角に折り曲げて、天面部16の側面部16L,16Rを底面部11の側面部11L,11Rに重合させる。
【0042】
そして、上記重合部分の必要箇所、例えば、天面部16の側面部16L,16Rと底面部11の側面部11L,11Rとの重合部分同士、及び、上面部13の糊代部14と前記背面部15との重合部分同士を接着剤で固着することにより、ティシュペーパー収納容器10の組み立てが完了する。
【0043】
叙上の如く本発明によると、容器本体1に収納されたティシュペーパー2を使用する際は、先ず、カバー体6に設けた上蓋部8を開放して、ティシュペーパー取り出し口3に張設したフィルム4のスリット5からティシュペーパー2を前方に引き出す。このとき、次に使用されるティシュペーパー2の引き出し部は容器本体1の前面側に移動する。
【0044】
そのため、上蓋部8を閉じると、図5に示すように、該上蓋部8の前端側の把持部19とカバー体6の前面部17との間の隙間にてティシュペーパー2の引き出し部が取り出し可能に係止される。従って、上蓋部8を閉じた状態であっても、前記ティシュペーパー2をカバー体6の前面部17から片手で容易に取り出すことができる。
【0045】
更に、本発明に係るティシュペーパー収納容器10は、容器本体1の上面部が中蓋部として機能し、且つ、その上側に開閉可能な上蓋部8付きのカバー体6を設けたことにより、閉鎖タイプの収納空間を有する二重蓋構造を実現している。依って、次に使用するティシュペーパー2は、図3に示すように、カバー体6と容器本体1の上面部13との間に形成した閉鎖空間S内に収納される。
【0046】
その結果、ティシュペーパー収納容器10の周囲に塵埃等の異物が存在している場合でも、ティシュペーパー2に塵埃等の異物が付着することが防止される。又、ティシュペーパー収納容器10の周囲環境が乾燥状態であっても、ティシュペーパー2に塗布した化粧水、消毒液又は芳香液を含むローションの水分(揮発性物質)が蒸発して乾燥することを防止でき、以て、ティシュペーパー2の商品としての付加価値を高めることができる。
【0047】
本実施例では、ティシュペーパー取り出し口3に張設したフィルム4は、容器本体1の上面部における前後方向中心よりも前方側に偏倚して設けられている。そのため、スリット5から引き出されるティシュペーパー2は、フィルム4が偏倚している距離の分だけ、該フィルム4の表面と摺接する部分の長さが長くなる。従って、上蓋部8を閉じた状態でティシュペーパー2を引き出しても、ティシュペーパー2を一層円滑に引き出すことができる。
【0048】
又、ティシュペーパー2の不使用時には、上蓋部8を閉じた状態にすることにより、容器本体1の上面部に存在するティシュペーパー2が外部から見えないので、ティシュペーパー2の不使用時における体裁が向上し、加えて、カバー体6の上面には小物類を載置することもできる。
【0049】
また、本実施例に係る切り込み線7は、図6に示すように、カバー体6の天面部16から前面部17に亘って互いに平行に延びる左右一対の直線部A,Aと、該直線部A,Aの下端から把持片19に向かって下方に傾斜する傾斜線部B,Bと、該傾斜線部B,Bの下端と把持片19の左右両端とを結ぶ曲線部C,Cとの3つの部分から構成されている。
【0050】
そして、切り込み線7の3つ部分のうち直線部A,Aの破断強度は、傾斜線部B,B及び曲線部C,Cの破断強度よりも大きく、且つ、該曲線部C,Cの破断強度は傾斜線部B,Bの破断強度よりも大きくなるように設定されている。
【0051】
この場合、切り込み線7はカット部とボンド部(結合部)を交互に繰り返して設けられるが、直線部A,Aのボンド部割合(破断強度に対応する値)、即ち、カット部の長さL1とボンド部の長さL2の合計に対するボンド部の長さL2の寸法の比率L2/(L1+L2)は20〜25%、傾斜線部B,Bのボンド部割合は10〜14%、曲線部C,Cのボンド部割合は15〜18%に設定することが好ましい。
【0052】
又、図6に記載されているミシン目は、シングルミシン目であり、ダブルミシン目の場合も考えられるので、ダブルミシン目の場合も同様の強度差を備えることにより、良好な切込み線が設定できる。
【0053】
実際に、表1に示すように、上記ボンド部割合を満たす実施例1のテストピース、及び上記ボンド部割合を満たさない比較例1,2,3のテストピースを作製した。
【0054】
【表1】

【0055】
そして、各ピストピースについて直線部A,A、傾斜線部B,B及び曲線部C,Cに要求された破断強度について評価した。その結果、実施例1のテストピースは、前記直線部A,A、傾斜線部B,B及び曲線部C,Cに要求されたそれぞれの破断強度を全て満足したが、比較例1,2,3のテストピースは、前記直線部A,A、傾斜線部B,B及び曲線部C,Cに要求されたそれぞれの破断強度を満足しなかった。
【0056】
例えば、比較例2,3は、直線部A,Aのボンド部割合が20%未満でであったので、直線部A,Aの破断強度が弱くなり、また、比較例2は、傾斜線部B,Bのボンド部割合が14%を超えていたので、傾斜線部B,Bの破断強度が強すぎるという欠点を有していた。
【0057】
これに対して、実施例1は上記ボンド部割合を満たすことにより、傾斜線部B,Bが最も破断し易いので、カバー体6から上蓋部8を切り離すべく、該カバー体6の前面部17から把持片8を引き上げると、該前面部17において曲線部C,Cから容易に破断した後に直線部A,Aに沿って破断した。コ字状の上蓋部8を容易に切り離すことができると共に、カバー体6の上に小物類を置いた際の支持強度を向上させることができた。
【0058】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、ティシュペーパー収納容器の形状、ティシュペーパー取り出し口の形状又はティシュペーパーの種類等については上記実施例に限定されるものではなく、容器本体の上面部にティシュペーパー取り出し口を形成した構造のティシュペーパー収納容器であれば、全て適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 容器本体
2 ティシュペーパー
3 ティシュペーパー取り出し口
4 フィルム
5 スリット
6 カバー体
7 切り込み線(ミシン目線)
8 上蓋部
10 ティシュペーパー収納容器
13 上面部(中蓋部)
16 天面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ティシュペーパーを収容する容器本体の上面部にティシュペーパー取り出し口が開穿されていると共に、該ティシュペーパー取り出し口に左右方向のスリットを有するフィルムが張設されたティシュペーパー収納容器において、
前記容器本体の上側には、前後方向に開閉可能な上蓋部を有する箱状のカバー体が配設され、該上蓋部は該カバー体の前面部から天面部に及んで略コ字状に切り離して形成され、該上蓋部を閉じた状態で、該上蓋部と前記前面部との間の隙間から前記ティシュペーパーを連続的に引き出せるように構成したことを特徴とするティシュペーパー収納容器。
【請求項2】
上記フィルムが張設された上記ティシュペーパー取り出し口は、上記容器本体の前後方向中央よりも前方に偏倚して設けられ、且つ、前記フィルムに形成した上記スリットは、前記容器本体の前後方向中央部に配設されていることを特徴とする請求項1記載のティシュペーパー収納容器。
【請求項3】
上記上蓋部は上記カバー体の前面部における左右方向中央部に把持片を有し、且つ、該上蓋部はコ字状の切り込み線に沿って切り離して形成され、該切り込み線は、前記カバー体の天面部から前面部に亘って互いに平行に延びる左右一対の直線部と、該直線部の下端から前記把持片に向かって下方に傾斜する傾斜線部と、該傾斜線部の下端と前記把持片の左右両端とを結ぶ曲線部とから成り、前記切り込み線の破断強度は、前記直線部、前記曲線部及び前記傾斜線部の順に小さくなるように設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載のティシュペーパー収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−228789(P2010−228789A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79612(P2009−79612)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000183462)日本製紙クレシア株式会社 (112)
【出願人】(594162973)株式会社トッパンプロスプリント (4)
【Fターム(参考)】