説明

ティシュペーパー収納汎用製品

【課題】製函過程におけるティシュペーパー束の側面へのホットメルト接着剤が付着によるポップアップ取り出し不良の原因を解消する。しかも、鼻かみ性能が高める。
【解決手段】(1)収納されるティシュペーパーの枚数に対する箱の内側高さ寸法の比が40/400〜70/400 mm/枚、(2)収納箱長さ239〜250mm、(3)ティシュペーパー1枚当りのJIS P 8124で規定する坪量が9.5〜13.5g/m2、(4)2枚重ねティシュペーパーのシート寸法が、横204〜212mm、縦190〜210mm、(5)2枚1組としてポップアップ方式で折り畳んだティシュペーパー束を収納箱内に収納する際における抵抗力試験における抵抗力が、220〜270gf、なる条件で、2枚1組のシートがポップアップ方式で折り畳まれ、ほぼ直方体の収納箱に収納されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数枚のティシュペーパーが2枚1組としてポップアップ方式で折り畳まれ、ほぼ直方体の収納箱に収納されているティシュペーパー収納汎用製品に係り、すなわちボックスティシュなどと呼ばれ、家庭、オフィス、自動車内などのさまざまな生活空間において使用されている製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のほとんどは、ティシュペーパーが200組400枚で収納箱(ボックス)に収納されていたが、近年では、好みの多様化などが影響され、160組や180組などの製品も市販されている。そのために、収納箱に高さも変化している。
収納枚数や収納箱の高さの変化に伴って、ティシュペーパーのいわゆるポップアップ性も左右されるので、取り出し口のサイズなどについても工夫がなされている。
これらの観点から、代表的には特許文献1〜4が知られている。
【0003】
他方、この種の製品は、図1に示すように、複数枚の帯状のティシュペーパーが、インターフォルダと呼ばれる折畳機によって、折り畳まれ、積層された後、所定の長さに裁断されるなどしてなるティシュペーパー束20を、側面15が開口する収納箱10内に、この開口15からプッシャー30により押し込み、挿入し、開口15を閉じることによって、製造されている。
【0004】
ティシュペーパー束20は、通常、図1中に拡大して示すように、各ティシュペーパーTがそれぞれ半分に折り畳まれ、かつこの折り畳みによって形成された各ティシュペーパーTの上側片Taが、その上のティシュペーパーTの上側片Taと下側片Tbとの間に、各ティシュペーパーTの下側片Tbが、その下のティシュペーペーTの上側片Taと下側片Tbとの間に、それぞれ挟み込まれた状態になっている。また、このような折り畳み及び積層により、ティシュペーパー束20は、上面21が最上層のティシュペーパーTの上側片Taによって、下面22が最下層のティシュペーパーTの下側片Tbによって、前後面23,24がティシュペーパーT,T…の折畳縁Tc,Tc…によって、両側面25,26がティシュペーパーT,T…の端縁によって、それぞれ形成された六面体状になっている。
【0005】
この六面体状のティシュペーパー束20は、上下面21,22、前後面23,24、両側面25,26が、それぞれ収納箱10の天底面11,12、前後面13,14、両側面15,16に対応するように、収納箱10内に挿入される(一般に、このように挿入されることを「横詰め」という。)。このように挿入(横詰め)されることによって、使用にあたっては、ミシン目11Aを裂開するなどして収納箱10の天面11に取出口を形成し、この開口からティシュペーパーT,T…を1枚ずつ取り出すことができるようになる。また、各ティシュペーパーTは、上側片Ta及び下側片Tbが、それぞれその上又は下のティシュペーパーTの上側片Taと下側片Tbとの間に、挟み込まれた状態で積層されているため、横詰めされることによって、各ティシュペーパーTを取り出すと、次(下)のティッシュペーパーTの上側片Taが開口から露出し、次のティシュペーパーTを容易に取り出すことができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3588448号公報
【特許文献2】特許第4067320公報
【特許文献3】特開2003−159193号公報
【特許文献4】特開2004−89492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに、製函段階において、収納箱10内にティシュペーパー束20をプッシャー30により押し込み、挿入する過程で、箱の組立用のホットメルト接着剤が、側面26に付着する可能性があることが判った。ティシュペーパー束20の側面26にホットメルト接着剤が付着すると、ポップアップ取り出し不良の原因ともなる。
したがって本発明の課題の一つは、ティシュペーパー束の側面へのホットメルト接着剤が付着によるポップアップ取り出し不良の原因を解消することにある。
一方、この種のボックスティシュペーパーの用途として、大略30%程度が鼻かみ用である。従来から、鼻汁の吸収性、肌触りなどの検討はなされてきたが、この鼻かみ時のサイズの面からの検討は積極的になされていないのが現状であった。
したがって、本発明の他の一つの大きな課題は、鼻かみ性能が高まるティシュペーパー収納汎用製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
次の条件をもって、多数枚のティシュペーパーが2枚1組としてポップアップ方式で折り畳まれ、ほぼ直方体の収納箱に収納されていることを特徴とするティシュペーパー収納汎用製品。
(1)収納されるティシュペーパーの枚数に対する箱の内側高さ寸法の比が40/400〜70/400 mm/枚、
(2)収納箱長さ239〜250mm、
(3)ティシュペーパー1枚当りのJIS P 8124で規定する坪量が9.5〜13.5g/m2
(4)2枚重ねティシュペーパーのシート寸法が、横204〜212mm、縦190〜210mm、
(5)2枚1組としてポップアップ方式で折り畳んだティシュペーパー束を収納箱内に収納する際における抵抗力試験における抵抗力が、220〜270gf。
【0009】
(作用効果)
本発明においては、2枚重ねティシュペーパーのシート寸法が、横204〜212mm、縦190〜210mmである。ここで市販品との対比で特徴点は、ティシュペーパーのシートの横寸法を204〜212mmと短くしていることである。歴史的に、ボックスティシュは欧米での使用例をアレンジしたことが原因となっているものと推測されるが、シートサイズとして日本人にはやや大きめである。
【0010】
本発明者らが鼻かみ時の使用者の挙動を詳しく研究したところ、多くの場合、シートの端部が手幅からはみ出してしまう。また、使用者によっては、シートの端部をくるめるあるいは畳んだ後に鼻かみを開始することが知見された。これは無意識に、鼻かみ時にシートを平坦にした状態で肌に当てたいと感じているものと推測できるものである。
【0011】
これらを下に科学的な調査を進めると、図2に示す日本人の「手幅」W1の統計的な最大値は86.3mmである(出典:産業技術総合研究所「人体寸法データベース1997−98」)ことを確認した。そして、ティシュペーパーで鼻をかむときは、通常、図3にように、手先を平らにしながらティシュペーパーを鼻に押し当てることが多いことも知見された。
【0012】
その際に、(1)手幅W1に対する鼻かみ時に鼻を覆う指寸法W1の比率は、ほぼ1:1である、(2)鼻の当る部分に相当する両手先の間隔N(図3参照)は20mm以上、(3)シート端部と摘み部との間隔Eは12mm以上である。したがって、ティシュペーパーのシート横幅寸法は、204mm以上(86mm×2+32mm)が必要であることが判った。
【0013】
他方、シート端部と摘み部との間隔Eが過度に長いと、シートの端部が指と顔面の間で押さえきれない部分が大きくなり、前述のように、使用者によっては、シートの端部をくるめるあるいは畳んだ後に鼻かみを行うことを要する。したがって、そのようなことを避けるためには、シート横幅W寸法が212mmを超えないことが必要なのである。なお、シート縦D寸法については、従来例と同様の190〜210mmが望ましいものであり、仮に、これらの範囲を外れると、図3に示した鼻へのティシュペーパーの押し当て形態から外れることになる。
【0014】
他方、本発明のティシュペーパー束の側面へのホットメルト接着剤の付着の問題は、次の事項に関連して発生することが知見された。すなわち(ア)収納箱長さとシート横寸法長さとの差が所定の長さ必要であること、(イ)収納箱10内にティシュペーパー束20をプッシャー30により押し込み、挿入するときにおいて、収納箱10の内面とティシュペーパー束20の天底面11,12及び前後面13,14との間の摩擦力が所定の範囲内にあることが影響していることを知見した。
【0015】
これを図5及び図6によって説明すると、1分あたり500個の包装を行う場合の例において、左右側面が開口した状態の収納箱10内に、その一方からティシュペーパー束20がプッシャー30により押し込まれる。プッシャー30自体は途中で停止するにもかかわらず、ティシュペーパー束20はその運動慣性力によりさらに滑り、最終的に右端の内フラップFiに当接した時点でティシュペーパー束20が停止する。その後に、左右側面の外フラップFoの内側面にホットメルト接着剤Hが塗布された後、これらの外フラップFoは、内フラップFo上に折り畳まれ、固定される。このとき、図8が参照されるように、塗布した箱の組立用のホットメルト接着剤H、殊には中央ホットメルト接着剤Hcが、ティシュペーパー束の側面の右側面に付着し、ポップアップ取り出し不良の原因となるのである。このトラブルは、常時生じるのではなく、きわめて希な頻度であるものの、商品の印象に大きく影響するので、確実に解決すべき問題なのである。
【0016】
この問題を解決する手法として、ティシュペーパー束20の運動慣性力に対抗する摩擦抵抗を高める、具体的には、所定の組数に対し収納箱に高さを低くする、シートの紙厚が厚いものを使用するなどにより、ウエブ高さ密度を高めて摩擦抵抗を高めることが考えられる。しかし、過度のウエブ高さ密度はポップアップ取り出し不良の原因となる。
【0017】
そこで、本発明では、2枚1組としてポップアップ方式で折り畳んだティシュペーパー束を収納箱内に収納する際における、後に詳しく説明する抵抗力試験における抵抗力が、220〜270gfとし、良好なポップアップ性を確保する条件の下で、収納箱長さ239〜250mmに対してティシュペーパーのシート横幅寸法を204〜212mmとした。すなわち、従来例に比較して、収納箱の左右に長い空間を確保した。
【0018】
これによって、ティシュペーパー束20がその運動慣性力によりさらに滑るとしても、長い空間があるので、最終的に右端の内フラップFiに当接することがない。図7には図6図の従来例との対比で、本発明に従う場合の形態を図示した。
【0019】
前記の空間長さとしては、具体的には、片側当たり15〜22mmが望ましい。過度の空間長さとすると収納箱内でティシュペーパー束20が左右に移動して安定性に欠ける、あるいは取出窓から端縁が露出し体裁が悪いものとなるなどの問題がある。
【0020】
<請求項2記載の発明>
組数が180〜220組であり、かつウエブ高さ密度(JIS P 8118による1枚当りの紙厚×2×組数×2/収納箱の高さ)が0.600〜0.650mm/mmである請求項1記載のティシュペーパー収納汎用製品。
【0021】
(作用効果)
ウエブ高さ密度が上記数値範囲内であると、良好なポップアップ性及び摩擦抵抗を示すものとなる。なお、紙厚測定のJIS P 8111の条件は、23±1℃、50±2%r.h.である。
【0022】
<請求項3記載の発明>
JIS P 8118による1枚当りの紙厚が41〜45μmである請求項2記載のティシュペーパー収納汎用製品。
【0023】
<請求項4記載の発明>
収納箱の上面に内側に、ティシュペーパー取出用スリットを有するフィルムを貼り付けるとともに、上面の一部を切除してあらわれる箱の取出口の中央部において、前記スリットが長手方向に沿うようにした収納箱であって、前記取出口長さが165〜182mmである請求項1〜3のいずれか1項に記載のティシュペーパー収納汎用製品。
【0024】
(作用効果)
シート横幅寸法が短い関係で、取出口長さは165〜182mmと短めとするのが良好なポップアップ性を確保するうえで有効である。
【0025】
<請求項5記載の発明>
前記スリット長さが、前記取出口長さと同一または短く、150〜182mmである請求項4記載のティシュペーパー収納汎用製品。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、製函過程におけるティシュペーパー束の側面へのホットメルト接着剤が付着によるポップアップ取り出し不良の原因を解消することができる。しかも、鼻かみ性能が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ティシュペーパー束の押し込み挿入形態の斜視図である。
【図2】手の説明図である。
【図3】鼻かみ時のティシュペーパーと手の関係の説明図である。
【図4】ティシュペーパーの寸法の説明図である。
【図5】従来例に係るティシュペーパー束の押し込み挿入形態の経時的第1説明図である。
【図6】従来例に係るティシュペーパー束の押し込み挿入形態の経時的第2説明図である。
【図7】本発明に係るティシュペーパー束の押し込み挿入形態の経時的説明図である
【図8】ホットメルト接着剤の付着要因の説明図である。
【図9】ティシュペーパーの収納箱の例の斜視図である。
【図10】抵抗力試験方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を、添付図面を参照しつつさらに詳説する。
(ティシュペーパー)
本発明のティシュペーパーは、2枚重ねで一組(2プライ)のものに関する。
【0029】
本発明に係るティシュペーパーは、二枚重ね一組としたものの一枚のJIS P 8124に基づいて測定された米坪が9.5〜13.5g/m2、好適には10.2〜10.9g/m2である。米坪が、低いと、抄造が困難となる、過度に高いとコンパクト性が失われる。
【0030】
2枚重ねティシュペーパーのシート寸法が、横(W)204〜212mm、縦(D)190〜210mmが好ましい。この理由は既述のとおりである。
【0031】
また、二枚重ね一組での紙厚は90〜120μm、好適には94〜112μmとするのが望ましい。紙厚が薄いと、使用者が感じる紙薄感が顕著になり、また、吸水性に劣りティシュペーパーとしての機能も低下する。さらに、コスト的および技術的な観点から製造も困難である。過度の紙厚とすると所定枚数を収納箱に収めて製品としたときの引き出し性に劣るようになる。前記紙厚の測定は、JIS P 8118の規定に準じ、JIS P 8111の条件下で、シチズン時計株式会社製の紙厚測定機「MEI−10B」を用いて測定する。なお、測定は10回の平均値とする。
【0032】
上記ティシュペーパーは、各種製造条件を選定することで得ることができる。ちなみに、たとえば圧縮特性は、原料のLBKPとNBKPの配合比率とパルプの種類(繊維粗度、あるいは原料となる樹木の種類や樹齢)、叩解度、抄紙水分、カレンダー間隙・圧力・材質、界面活性剤の添加及びその量などにより調整することが可能である。パルプは、古紙パルプを配合しないものが望ましい。
【0033】
柔らかさ曲げ特性は、引張強度、縦横比、クレープ形状(クレープ率、クレープの高低差等)、水分率、密度、紙力剤の添加、界面活性剤の添加及びその量等により調整することが可能である。引張強度は縦が250〜330CN、横が90〜125CNが望ましい。
【0034】
表面特性は、パルプ配合、カレンダー条件、抄紙水分、ドクターの刃先角度、ブレード角度、接着・剥離強度のバランス、クレープ率、界面活性剤の添加及びその量などにより調整することが可能である。
【0035】
(ティシュペーパーを収納した製品)
次いで、本発明にかかるティシュペーパーを収納した製品について説明する。
図9には収納箱10の形態例を示し、この形態は基本的に従来例と同様である。収納箱10の天面11にミシン目11Aを裂開することにより取出口が形成され、この取出口の裏面側にはプラスチックフィルムからなる窓シート2が貼付されており、スリット2Aを介してティシュペーパーSをポップアップ方式で引き出すようにしてある。図面にはシートの繋がりながら引き出される形態を図示してある。
【0036】
本発明に係るティシュペーパーは、収納箱10の高さの外寸Hが50〜58mmであるのが望ましい。ただし、収納枚数に対して適当なティシュペーパー束の厚みとなるように収納でき、この観点から、収納されるティシュペーパーの枚数に対する箱の内側高さ寸法の比が40/400〜70/400 mm/枚とするものである。
【0037】
二枚重ねでの箱容積密度が0.11〜0.13g/cm3とするのが望ましい。箱容積密度とは、(米坪×ティシュペーパー面積×組数×2)/収納箱内容積として定義されるものである。
【0038】
また、組数が180〜220組であり、かつウエブ高さ密度(JIS P 8118による1枚当りの紙厚×2×組数×2/収納箱の高さ)が0.600〜0.650であるであるのが望ましい。
【0039】
本発明にかかるティシュペーパーを収納した製品においては、取出口長さが165〜182mmであり、スリット長さが、前記取出口長さと同一または短く、150〜182mmであるのが望ましい。
【0040】
前記窓シート2は、取出口のサイズより大きく、例えば図示のように方形とし、収納箱10の上面に内側より接着剤により接着する一般的な方法で形成すればよい。また、窓シート2として、一般的な収納箱と同様にポリエチレンフィルムシートを用いることができ、コスト的にはこれを用いるのが望ましい。ただし、これに代えて、坪量が10〜13.5g/m2であり、合成繊維または化学繊維を混抄した合成紙、あるいは不織布からなるシートを用いることもできる。合成繊維または化学繊維としては、レーヨン、アセテート、ビニルアセテートが好適であり、さらにリサイクル化をある程度無視すれば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなども使用可能である。他方、不織布としては、形態の面からはエアースルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布などを用いることができる。材質的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、パルプなどを例示できる。坪量は、10g/m2未満では、強度的に不足し、ティシュペーパー3の取り出し時において裂けあるいは破断の確率が高くなる。逆に、35g/m2を超えると、強度の問題はないものの、コスト高となるばかりでなく、取り出し時のノイズが大きくなる傾向にある。
【0041】
(ティシュペーパーおよびティシュペーパーを収納した製品の製造方法)
本実施の形態に係るティシュペーパーおよびティシュペーパー製品は既知の設備および常法により製造することができる。すなわち、原料パルプを抄紙機で抄紙するとともにクレープ処理し、カレンダー処理を施し、インターホルダーにてポップアップ方式に折り畳み、所定の大きさに裁断して収納箱に収納して製造することができる。
【0042】
各処理について詳述すれば、抄紙工程では本発明の米坪の範囲となるように原料パルプおよび抄紙条件を調整する。このとき原料パルプの叩解幅を狭めて高密度化する。このように米坪を規定して高密度化すると、紙力は高まるが紙厚および柔らかさの低下の原因となる。
【0043】
そこで、クレープ処理工程では、柔らかさおよび肉厚感の指標となる厚みの変位差が本発明の範囲となるように、クレープ率、クレープの刃先角度を調整することで達成できる。
【0044】
また、カレンダー処理工程では、紙厚が過度に低下して本発明の紙厚の範囲から外れないようにオンラインマシンカレンダーおよびプライマシンカレンダーの各カレンダー処理における圧力を調整してカレンダー処理する。プライマシンカレンダー処理により、抄紙原紙は二枚重ね一組にされる。
【0045】
このようにしてティシュペーパー原紙を製造する。そしてこのティシュペーパー原紙をインターホルダーにて後にポップアップ方式となるように交互に折り重ねる。このとき、収納箱の大きさ特に高さおよび裁断後のティシュペーパーの大きさを考慮してインターホルダーのプルコンベア圧力を調整する。その後、所定の大きさに裁断して、収納箱に収納して本発明のティシュペーパー製品が製造される。また、製品におけるティシュペーパー取り出し時の上方向への最大抵抗値は90cNである。
【0046】
なお、前記原料パルプとしては、好ましくは100%木材パルプからなるものである。この場合、NBKP:LBKPの割合としては、10:90〜70:30、好適には50:50〜93:7、特に好適には、65:35〜69:31である。NBKPの割合が高いほど、柔軟性を得ることができるので好ましい。
【0047】
得られたティシュペーパー束20は、前述の形態でカートンに収納され封かんされる。
本発明によれば、図7に示したように(図7は図6と同じ経時であり、対比的に参照されたい。)、ティシュペーパー束20が収納箱内に必要な抵抗力と余裕のある端部空間をもって収納されているので、従来問題とされていたティシュペーパー束の側面へのホットメルト接着剤が付着によるポップアップ取り出し不良を防止できる。
【実施例】
【0048】
現時点での代表的市販品を従来例A〜従来例Hとして(従来例A、従来例B及び従来例Cは出願人の製品である。)として挙げた。また、本発明の実施例及び比較例を示し、本発明の効果を明らかにした。
【0049】
ここで、2枚1組としてポップアップ方式で折り畳んだティシュペーパー束を収納箱内に収納する際における抵抗力試験における抵抗力の測定方法は、図10を参照して説明すると、次のとおりである。
(1)同一ロット(製造日が同じ)の10パック(5カートン入り×10パック)から任意の10カートンを取り出す。
(2)左右両側面、内フラップ、外フラップの全てを切り取り、水平面に固定する。
(3)プッシュプルゲージ(デジタルプッシュプルゲージ。株式会社シロ産業製造製、「品番:DPS−5」、最大重量 5kgf、最小単位 1gf)をカートン側面に平行して水平に移動させて、カートン内部のウエブを移動させ、その時の最大荷重(gf)を測定する。このときの荷重はウエブ側面の中心部を重心としてかかるようにし、荷重面積がウエブ側面の50%以上を占めるように直径3.5cmの円盤状の金属製治具を取り付けて測定した。
(4)10カートンで測定した10点のデータのうち、最大値及び最小値、及び残り8点で測定したデータがその標準偏差の平均値±2σを超えるものを除いた平均値を、そのロットの平均値とする。
ただし、その標準偏差の平均値±2σを超えるものが2点以上ある場合には再測定とする。
【0050】
ここで、空間率とはカートン内容積中に占める空間容積の比率であり、次式で表される。(空間率)=((カートン内容積)−(ウエブ容積))÷(カートン内容積)×100
空間率の測定に際しては、抵抗力の測定と同様の頻度で行い、同様の数値処理を行なった測定値とした。
【0051】
他方、(A)取り出し易さ、(B)鼻かみ時の肌触りの良さ、(C)ふんわりした厚み感、(D)鼻かみ時の丈夫さ、の4項目に関しては、成人男女30名による実使用評価を行ない平均値を表記した。評価◎を4、○を3、△を2、×を1、として点数化した後、上記30名の点数の平均値が3.5以上であれば◎、2.5〜3.4が○、1.5〜2.4が△、1.0〜1.4を×と表記した。
(A)取り出し易さの評価基準は、◎取り出しに全く問題がない、○やや取り出しに抵抗を感じる、△取り出しの抵抗が大きい、×取り出しに破れるなどの使用上の問題がある。
(B)鼻かみ時の肌触りの良さの評価基準は、◎肌触りが非常になめらか、○肌触りがなめらか、△肌触りがやや抵抗がある、×肌触りががさがさして使用上の問題がある。
(C)ふんわりした厚み感の評価基準は、◎使用上に十分な厚み感がある、○厚み感がある、△使用上やや厚み感がもの足りない、×使用上で厚み感が不足している。
(D)鼻かみ時の丈夫さ評価基準は、◎使用上に十分な丈夫さがある、○使用上問題のない丈夫さがある、△使用上やや丈夫さがもの足りない、×使用上で強度が不足し問題がある。
結果を表1〜表6に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
【表3】

【0055】
【表4】

【0056】
【表5】

【0057】
【表6】

【0058】
<考察>
本発明の実施例に係る製品は、市販品(従来例)及び比較例との比較において、いずれにおいても十分な評価がなされていることからして、本発明の実施例に係る製品の有位性は明確である。
【符号の説明】
【0059】
2…窓シート、2A…スリット、10…収納箱、S…ティシュペーパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の条件をもって、多数枚のティシュペーパーが2枚1組としてポップアップ方式で折り畳まれ、ほぼ直方体の収納箱に収納されていることを特徴とするティシュペーパー収納汎用製品。
(1)収納されるティシュペーパーの枚数に対する箱の内側高さ寸法の比が40/400〜70/400 mm/枚、
(2)収納箱長さ239〜250mm、
(3)ティシュペーパー1枚当りのJIS P 8124で規定する坪量が9.5〜13.50g/m2
(4)2枚重ねティシュペーパーのシート寸法が、横204〜212mm、縦190〜210mm、
(5)2枚1組としてポップアップ方式で折り畳んだティシュペーパー束を収納箱内に収納する際における抵抗力試験における抵抗力が、220〜270gf。
【請求項2】
組数が180〜220組であり、かつウエブ高さ密度(JIS P 8118による1枚当りの紙厚×2×組数×2/収納箱の高さ)が0.600〜0.650mm/mmである請求項1記載のティシュペーパー収納汎用製品。
【請求項3】
JIS P 8118による1枚当りの紙厚が41〜45μmである請求項2記載のティシュペーパー収納汎用製品。
【請求項4】
収納箱の上面に内側に、ティシュペーパー取出用スリットを有するフィルムを貼り付けるとともに、上面の一部を切除してあらわれる箱の取出口の中央部において、前記スリットが長手方向に沿うようにした収納箱であって、前記取出口長さが165〜182mmである請求項1〜3のいずれか1項に記載のティシュペーパー収納汎用製品。
【請求項5】
前記スリット長さが、前記取出口長さと同一または短く、150〜182mmである請求項4記載のティシュペーパー収納汎用製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−233973(P2010−233973A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87977(P2009−87977)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】