ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法
【課題】薬液を塗布した積層連続シートの層間で剥離やズレが生じることを防止可能であるティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法を提供する。
【解決手段】複数の一次原反ロールJRから繰り出される一次連続シートを積層する積層連続シートS2とする積層工程51と、積層連続シートS2に対して層間の剥離及びズレを防止するコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス工程54と、コンタクトエンボス工程54の後に、積層連続シートS2に対して薬液を塗布する薬液塗布工程53と、積層連続シートS2をティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット工程55と、スリットされた各積層連続シートS2を同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールRを形成する巻取り工程56と、を有するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法とする。
【解決手段】複数の一次原反ロールJRから繰り出される一次連続シートを積層する積層連続シートS2とする積層工程51と、積層連続シートS2に対して層間の剥離及びズレを防止するコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス工程54と、コンタクトエンボス工程54の後に、積層連続シートS2に対して薬液を塗布する薬液塗布工程53と、積層連続シートS2をティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット工程55と、スリットされた各積層連続シートS2を同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールRを形成する巻取り工程56と、を有するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチスタンド式インターフォルダに供するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ティシュペーパーの箱詰め製品は、一般的に、インターフォルダ(折り畳み設備)によって複数の連続するティシュペーパーを折り畳みながら積み重ね、所定の長さに切断するなどしてティシュペーパー束を得、このティシュペーパー束を収納箱(ティシュカートン)内に収納することによって製造される。
【0003】
このようなインターフォルダの例として、下記特許文献1、2に開示されるようなマルチスタンド式インターフォルダや、下記特許文献3、4に開示されるようなロータリー式インターフォルダなどが知られている。
【0004】
マルチスタンド式インターフォルダを用いた製造方法の従来例としては、次のようなものがある。すなわち、抄紙設備において薄葉紙を抄造して巻き取ることで一次原反ロール(一般にジャンボロールともいわれている)を製造し、次いで、この一次原反ロールをプライマシンにセットし、複数の一次原反ロールから繰り出した一次連続シートを重ね合わせて巻き取ると共にスリット(幅方向にティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅に分割)し、複数のプライからなる二次原反ロールを製造する。
プライマシンで製造された二次原反ロールは、プライマシンから取り出された後、必要な数だけマルチスタンド式インターフォルダにセットされる。次いで、二次原反ロールから二次連続シートを繰り出して、折畳機構部へ送り込み、ここで折り畳みながら積み重ね、その後、所定の長さに切断されてティシュペーパー束とし、収納箱内に収納する。
このようなマルチスタンド式インターフォルダを用いた製造方法は、他の折り畳み設備を用いた製造方法に比べて、多数(通常80〜100基)の折畳み機構を有しているため生産性が高いという利点を有している。
【0005】
ところで、近年では、ティシュペーパー製品に保湿剤や香料などの薬液を塗布されたものの需要が拡大しており、例えば下記特許文献5〜7に開示されるような製造方法や設備が種々提案されている。このようなティシュペーパー製品は、主にロータリー式インターフォルダで製造されるのが一般的であった(例えば下記特許文献5)。しかし、ロータリー式インターフォルダは、加工方向と垂直方向に折畳みと裁断を同時に行なうため、生産性が低いという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許4052048号公報(特公昭55−1215号公報)
【特許文献2】特開2006−240750号公報
【特許文献3】特開昭61−37668号公報
【特許文献4】特開平5−124770号公報
【特許文献5】特開2004−322034号公報
【特許文献6】特表2008−525103号公報
【特許文献7】特開2008−264564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、薬液が塗布されたティシュペーパー製品を、ロータリー式インターフォルダに比して加工速度の速いマルチスタンド式インターフォルダを用いた製造方法で製造することが考えられるものの、この場合、プライマシン(ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備)やマルチスタンド式インターフォルダとは別に薬液塗布工程を設けると、多大な設備コストがかかってしまうという問題があった。また、薬液塗布工程を別途設けてしまうと、薬液が塗布されないティシュペーパー製品を同じラインで製造する場合、薬液塗布工程を避けるようなラインを別途設ける必要があり、薬液塗布の有無を容易に切り替えられないという問題があった。このような問題に対して、本発明者等は鋭意研究した結果、プライマシンで薬液を塗布することを知見した。プライマシンに薬液塗布工程を設けると、設備コストを抑え、且つ、薬液塗布の有無を容易に切り替えることができるようになる。
【0008】
しかしながら、実際にプライマシンで薬液を塗布してみると、薬液が塗布された積層連続シートの層間で剥離やズレが生じてしまうという問題が新たに知見された。
そこで、本発明の主たる課題は、薬液塗布工程を有するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法であって、薬液を塗布した積層連続シートの層間で剥離やズレが生じることを防止可能であるティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段及びそれらの作用効果は次記のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
一次原反ロールから連続的にティシュペーパー製品用の複数の二次原反ロールを製造するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法であって、
複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層工程と、
積層連続シートに対して層間の剥離及びズレを防止するライン状のコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス工程と、
前記コンタクトエンボス工程の後に、積層連続シートに対して薬液を塗布する薬液塗布工程と、
積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット工程と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを形成する巻取り工程と、を有することを特徴とするティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0010】
〔請求項2記載の発明〕
前記コンタクトエンボス工程の前に、積層連続シートにカレンダーによって平滑化処理する平滑化工程を有する、請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0011】
〔請求項3記載の発明〕
前記薬液の塗布をグラビア印刷方式によって行う、請求項1又は請求項2に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0012】
〔請求項4記載の発明〕
前記薬液の塗布をフレキソ印刷方式によって行う、請求項1又は請求項2に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る製造方法におけるスリット工程でティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるよう製造されたティシュペーパー製品用二次原反ロールは、この後段でマルチスタンド式インターフォルダに多数セットされる。次いで、マルチスタンド式インターフォルダにセットされた二次原反ロールから二次連続シートを繰り出して、折畳機構部へ送り込み、ここで折り畳みながら積み重ね、その後、所定の長さに切断されてティシュペーパー束とし、収納箱内に収納する。
本発明では、ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法における積層連続シートに対して薬液を塗布するようになっている。このため、プライマシンやマルチスタンド式インターフォルダとは別に薬液塗布工程を設ける場合と比較して、設備コストを低く抑えることができる。また、薬液を塗布しないティシュペーパー製品を製造する場合は、ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造工程から薬液塗布工程を省略するだけで良いため、設備の切り替えが容易にできる。
【0014】
本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法においては、薬液塗布工程は、積層工程の後であって、且つ、スリット工程の前に行われることが好ましい。というのは、薬液塗布工程が積層工程の前であると、それぞれの一次連続シートに対して薬液を塗布するための設備を設けなければならず、他方、スリット工程の後であると、スリット工程によって複数に分割された積層連続シートに対して薬液を塗布するため、スリットから薬液が漏れてしまい、ロール汚れや断紙の原因となる。薬液塗布工程が積層工程とスリット工程との間で行われるようになっていると、スリット工程によって分割されていない積層連続シートのみに薬液を塗布するための設備を用意すれば良く、薬液のロスが少なく、断紙が少なく操業が安定する。
【0015】
そして、本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法によれば、薬液塗布工程がコンタクトエンボス工程の後段であるため、薬液の塗布によって積層連続シートの層間で剥離やズレが生じることを防止することができる。
【0016】
本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法においては、カレンダーにて平滑化処理する平滑化工程を有することが好ましい。平滑化工程を有することによって、表面が滑らかなティシュペーパー製品用二次原反ロールを製造することができると共に、この二次原反ロールを用いて製造されたティシュペーパー製品のプライ剥がれ防止することができる。
なお、平滑化工程は、積層工程とコンタクトエンボス工程との間で行われることが好ましい。平滑化工程が積層工程の前であると、ティシュペーパー製品のプライ剥がれを防止する効果を得ることができない。
【0017】
本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法においては、薬液塗布の方法は、浸漬、スプレー塗布、フレキソ印刷方式、グラビア印刷方式によるなど公知の塗布方法をいずれも使用することができるが、その中でも、薬液の塗布はグラビア印刷方式又はフレキソ印刷方式によって行うことが好ましい。グラビア印刷方式やフレキソ印刷方式は、加工速度が高速であっても塗布量を安定させることができる。また、特にフレキソ印刷方式は、一つのロールで幅広い薬液の粘度を安定的に塗布することができるという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一次原反ロールの製造設備、製造方法を示す概略図である。
【図2】マルチスタンド式インターフォルダの一例を示す概略図であり、正面から見た状態を示している。
【図3】マルチスタンド式インターフォルダの一例を示す概略図であり、側面から見た状態を示している。
【図4】マルチスタンド式インターフォルダの一例を示す概略図であり、正面から見た状態を示している。
【図5】折り畳まれたティシュペーパーの縦断面図である。
【図6】(a)ティシュペーパー束を収納箱に収納している様子を示す図である。(b)収納箱に収納されたティシュペーパーの取出す様子を示す一部破断図である。
【図7】折り板に関する部位の要部拡大斜視図である。
【図8】二次連続シート(ティシュペーパー)の折り畳み方を示す要部拡大斜視図である。
【図9】二次連続シート(ティシュペーパー)の折り畳み方を示す要部拡大斜視図である。
【図10】二次連続シート(ティシュペーパー)の折り畳み方を示す要部拡大斜視図である。
【図11】二次原反ロールの製造設備、製造方法を示す概略図である。
【図12】図11で示す薬液塗布手段周辺の要部拡大図である。
【図13】コンタクトエンボス手段によって積層連続シートにコンタクトエンボスを付与している様子を示す図である。
【図14】薬液供給装置の一例を示す概略構成図である。
【図15】図14における薬液供給装置の導出部を説明するための模式図である。
【図16】薬液供給装置のその他の導出部を説明するための模式図である。
【図17】薬液供給装置のその他の導出部を説明するための模式図である。
【図18】図14に示される実施形態の薬液供給装置で用いられるドクターチャンバーの構造を説明する図であって、(A)は2つの導入部と1つの導出部を有する構造を示し、(B)は3つの導入部と2つの導出部を有する構造を示し、(C)は導入部及び導出部がそれぞれ同数存在する構造を示している。
【図19】図12で示される薬液塗布手段を他のものに置換した状態を示す図である。
【図20】積層連続シート(ティシュペーパー)の構造を示す模式図である。(A)薬液塗布前のMD方向断面図、(B)薬液浸透工程前の上面図、(C)I−I矢視図。
【図21】積層連続シート(ティシュペーパー)の表面凹凸構造を示す模式図である。(A)薬液塗布前、(B)薬液塗布後。
【図22】薬液浸透工程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態を説明する。なお、図中の矢印HDは水平方向を、矢印LDは上下方向を示している。
〔一次原反ロールの製造方法〕
一次原反ロールの製造方法の一例を、図1を参照しつつ説明する。
図1に示すように、ワイヤーパートを経た湿紙Wがボトムフェルト111に載せられて移送され、その後、トップフェルト110及びボトムフェルト111に挟持されたまま、トップロール112とボトムロール113の間を通過し搾水される。その後、搾水された湿紙Wは、トップフェルト110に載せられた状態で、タッチロール116を介してヤンキードライヤー115の表面に付着させられる。そして、湿紙Wは、ヤンキードライヤー115によって乾燥され、ドクターブレード117により引き剥がされた後、巻き取られることで一次原反ロールJRとされる。
この抄紙に際しては、例えば、分散剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、柔軟剤、剥離剤、接着剤、苛性ソーダ等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、スライムコントロール剤、染料、などの適宜の薬品を添加することができる。
なお、本一次原反ロールの製造方法においては、ドクターブレード117により引き剥がされた後でカレンダー手段118によって平滑化処理を施すこともできる。
【0020】
〔ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備〕
図11に示すように、本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X3(プライマシンX3)は、上述の製造方法などで製造された一次原反ロールJRを、少なくとも2つ以上セット可能とされており、これらの一次原反ロールJRから繰り出した一次連続シート(図示例ではS11、S12)を、その連続方向に沿って積層して積層連続シートS2とするプライ手段51を有している。
【0021】
プライ手段51の後段には、プライ手段51から流れてくる積層連続シートS2に対してコンタクトエンボスを付与するコンタクトエンボス手段54が設けられており、この後段には、薬液を塗布する一対の薬液塗布手段53が設けられている。そして、これらの薬液塗布手段53の後段には、並設された複数のカッターから成り、薬液塗布手段53から移送されてきた積層連続シートS2をティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット手段55が配置されており、スリット手段55の後段には、スリット手段55によってスリットされた積層連続シートS2を同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールRを形成する巻取り手段56が設けられている。ここで、この巻取り手段56は、スリットされた各積層連続シートS2を二次原反ロールRに案内するための2つのワインディングドラム56Aを有していて、これら2つのワインディングドラム56Aが二次原反ロールRの外周面に接して積層連続シートS2を案内している。
【0022】
(カレンダー手段)
ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X3には、積層連続シートS2をカレンダー処理するカレンダー手段52を一つ以上設けることもできる。
カレンダー手段52におけるカレンダーの種別は、特に限定されないが、表面の平滑性向上と紙厚の調整の理由からソフトカレンダー又はチルドカレンダーとすることが好ましい。ソフトカレンダーとは、ウレタンゴム等の弾性材を被覆したロールを用いたカレンダーであり、チルドカレンダーとは金属ロールからなるカレンダーの事である。
カレンダー手段52の数は、適宜変更することができる。複数設置すれば加工速度が速くとも十分に平滑化できるという利点を有する一方、一つであるとスペースが狭くとも設置可能であるという利点を有する。
二つ以上のカレンダー手段52を設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設することができ、また、これらの設置方向を組み合わせて配置しても良い。水平方向に並設すると、抱き角度を小さくなるため加工速度が高速とすることができ、上下方向に並設すると設置スペースを小さくすることができる。なお、ここで言う抱き角度とはロールの軸中心から見てシートが接している間(軸と直行する断面の円弧の一部)の角度を意味している(以下同じ)。
カレンダー処理条件におけるカレンダー種別、ニップ線圧、ニップ数なども制御要因として抄紙を行うようにし、これらの制御要因は、求めるティシュペーパーの品質すなわち紙厚や表面性によって適宜変更することが好ましい。
また、カレンダー手段52の設置位置は特に限定されないが、プライ手段51の後段であって且つコンタクトエンボス手段54の前段や、薬液塗布手段53の後段であって且つスリット手段55の前段とすることができる。
【0023】
(薬液塗布手段)
本実施形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備又は製造方法においては、薬液を積層連続シートS2の両面に塗布する場合、両面の合計の薬液塗布量は、1.5〜5.0g/m2とされ、好ましくは2.0〜4.5g/m2とされ、より好ましくは2.5〜4.0g/m2とされる。5.0g/m2超過であると、紙力低下や伸びなどにより断紙したり、ワインディングドラムで巻き取りの際に巻きズレを起こしたり、また品質的にべたつき感が過ぎる場合も出てくる。1.5g/m2未満であると滑らかさやしっとり感など未塗布品との品質差を感じられなくなってしまう。
なお、両塗布面への塗布量に差がある場合、塗布後にプライ原反で保管されてから折り加工されるまでの時間(8時間以上)に、両塗布面は接していることから、次第に両者の薬液量は均等化していき表裏差は小さくなる。
【0024】
薬液を積層連続シートS2の片面のみに塗布する場合、薬液の塗布面は、積層連続シートS2における二次原反ロールRの内側に位置する方の面(一次連続シートS11側の面)への塗布がよい。こうすると製品での表裏差はあるものの、巻きずれを起こしにくい。この場合、塗布量は1.5〜5.0g/m2とされ、好ましくは2.0〜4.5g/m2とされ、より好ましくは2.5〜4.0g/m2とされる。
【0025】
また、積層連続シートS2を構成する各一次連続シートのクレープ率に差異を設ける場合、クレープ率の高い方の一次連続シート側(図示例では一次連続シートS11側)により多くの薬液を塗布することも提案される。例えば、図11及び図20に示される例においては、2つの薬液塗布手段53のうち、一次連続シートS11に直接薬液を塗布する薬液塗布手段53Bの方が、他方の薬液塗布手段53Aよりも多くの薬液を塗布するものとする。この場合、両面の薬液塗布量の比は、100:0〜60:40、好ましくは75:25〜60:40とする。
【0026】
図20(A)は薬液塗布前の2プライに積層された積層連続シートS2の断面図である(MD方向に平行に切断した断面図)。2プライに積層された積層連続シートS2の両面に薬液を塗布するにあたり、両面の薬液量に差異を設け、図中においては一次連続シートS11の側に薬液を多く塗布する。また、積層連続シートS2が伸長しきる前に、コンタクトエンボスCEにより積層を一体化し、スリット手段55により製品幅にカットする(図20(B))。その後、積層連続シートS2を巻取り手段56で巻き取り、薬液を浸透させるため静置される。薬液塗布手段53で薬液を塗布された積層連続シートS2を構成する一次連続シートS11、S12は主にMD方向に伸長する。その際、より多くの薬液が塗布された一次連続シートS11が他方の一次連続シートS12より伸長率が大きくなるが、一次連続シートS11、S12はコンタクトエンボスCEで相互に固定されているため、より伸長した一次連続シートS11の表面にシワが生じる(24(C))。積層する積層連続シートS2のクレープ率にも差異を設け、一次連続シートS11にクレープ率の高い原紙を使用すると、より一次連続シートS11と一次連続シートS12との伸長率に差異を生じさせることができる。
【0027】
クレープはヤンキードライヤー115にて原紙を乾燥後、ドクターブレード117によりヤンキードライヤー115から剥がした後、ドライヤースピードと巻取りスピードの差異によって形成される。このクレープはヤンキードライヤー115への紙の貼り付きにより形状を調整するが、この貼り付きに若干のばらつきがあることや、繊維原料が均等に分布していないことから、ミクロ的な視野で見ると立体的にクレープ形状には若干のバラツキが存在する。このバラツキはクレープ率が大きくなるほど顕著になる。
【0028】
このクレープのバラツキに伴い、薬液を塗布した際の伸びにもバラツキが生じ、これが3次元的に細かな波打ちとして形成される。この波うちは原反シーズニング時には張力が働くため顕在化しないが、製品に加工し断裁した後に復元し顕在化する。シートへの薬液の塗布量が多いほど、クレープが大きいほどクレープ形状の変化、シートの波打ちは大きく、逆にシートへの薬液の塗布量が少ないほど、クレープが小さいほどクレープ形状の変化、シートの波打ちは小さい。このため、塗布量だけでなく、クレープ率を変えることによって、嵩高効果を相乗させることができる。
【0029】
また品質について、クレープ率の異なる一次連続シートS11、S12を積層して製品化した場合、薬液塗布を行わなければ、製品であるティシュペーパーは、両面でバルク感の異なるものとなる(図21(A))。しかし、より表面の凹凸の大きな(クレープ率の高い)一次連続シートS11により多くの薬液を塗布することにより、一次連続シートS11は一次連続シートS12よりも高い伸び率で伸長するが、コンタクトエンボスによりMD方向と平行に固定されているため(図示せず)、一次連続シートS11は波打ち、積層シートの嵩が増加する。(図21(B))。
【0030】
薬液塗布量に差異を設けることにより、製品の両面で肌触り、使用感が異なることが懸念されるが、二次原反ロールRを次の工程(折り加工等)へ供する前にロールの状態で静置することにより、薬液塗布量の異なる一次連続シートS11、S12の表面が互いに相対した状態で保たれるため(薬液浸透工程、図22)、連続シート間の薬液成分が少しずつ転移し(図中グレー矢印)、その差異はシーズニング中に次第に軽減される。なお、図22中の白抜き矢印は薬液成分の浸透方向を示す。
【0031】
他方、薬液塗布手段53の種類は特に限定されないが、グラビア印刷方式、或いはフレキソ印刷方式などの印刷方式を用いることができる。
本ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備又は製造方法において、薬液塗布手段53としてグラビア印刷方式を用いる場合、加工速度は100〜1000m/分とし、好ましくは350〜950m/分、特に好ましくは450〜950m/分とする。100m/分未満であると生産性が低く、1000m/分超過であると、塗布ムラが生じ、薬液が飛散し易くなる。また、グラビアロールの線数は、40〜160線とし、好ましくは60〜140線、特に好ましくは80〜120線とする。線数が40線未満であると薬液飛散量が多くなってしまい、他方、線数が160線超過であると紙粉が詰まり易くなる。
【0032】
本ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備又は製造方法において、薬液塗布手段53としてフレキソ印刷方式を用いる場合、加工速度は100〜1100m/分とし、好ましくは350〜1050m/分、特に好ましくは450〜1000m/分とする。100m/分未満であると生産性が低く、他方、1100m/分以上であると、塗布ムラが多く生じ、薬液の飛散量が多くなってしまう。フレキソ刷版ロールの線数は、10〜60線とし、好ましくは15〜40線、特に好ましくは20〜35線とする。線数が10線未満であると塗布ムラが多く生じてしまい、他方、線数が60線超過であると紙粉が詰まり易くなる。アニロックスロールの線数は、10〜300線とし、好ましくは25〜200線、特に好ましくは50〜100線とする。線数が10線未満であると塗布ムラが多く生じてしまい、他方、線数が300線超過であると紙粉が詰まり易くなる。アニロックスロールのセル容量は、10〜100ccとし、好ましくは15〜70cc、特に好ましくは30〜60ccとする。セル容量が10cc未満であると所望の塗布量が得られず、他方、セル容量が100cc超過であると薬液の飛散量が多くなってしまう。
フレキソ印刷方式は、加工速度が高速であっても塗布量を安定させることができ、また、一つのロールで幅広い薬液の粘度を安定的に塗布することができる。
【0033】
薬液塗布手段53にグラビア印刷方式を用いる場合、ダイレクトグラビアコーター又はオフセットグラビアコーターなどを用いることができ、フキレソ印刷方式を用いる場合にはドクターチャンバー形式(以下、単にドクターチャンバー形式と言う)や1又は2ロール転写形式のものなどを用いることができる。
【0034】
グラビア印刷方式、或いはフレキソ印刷方式などの印刷方式を用いた薬液塗布手段53は、単数或いは複数設置することができ、複数設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設しても良く、水平方向を含めたこれらの設置方向を組み合わせて配置しても良い。水平方向に並設すると抱き角度を小さくすることができるため、加工速度を高速とすることができ、上下方向に並設すると水平方向における設置スペースを小さくすることができる。
【0035】
薬液塗布手段53の前後に配置される手段(図11の例ではコンタクトエンボス手段54及びスリット手段55)は、相互に近接して配置することが好ましい。そうすることによって、薬液が塗布されないティシュペーパー製品を製造する場合には、積層連続シートS2を薬液塗布手段53の前段から後段に直接移送し、薬液塗布手段53を通さずに積層連続シートS2を通すだけでよくなるため、薬液塗布の有無を容易に切り替えることが可能となる。例えば、図11に示すティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X3では、薬液が塗布されないティシュペーパー製品を製造する場合、図11において二点鎖線で示すように、積層連続シートS2をカレンダー手段52からコンタクトエンボス手段54に直接移送し、薬液塗布手段53を通さずに積層連続シートS2を流すだけで良い。
【0036】
<ドクターチャンバー形式の実施形態1>
ここでは、フキレソ印刷方式におけるドクターチャンバー形式の一例を説明する。
図12に示すように一方のドクターチャンバー形式とされる薬液塗布部53Aは、薬液の入っているドクターチャンバー61Aが、回転可能なアニロックスロール63Aと対向して配置されていて、ドクターチャンバー61Aからアニロックスロール63Aに薬液を受け渡すようになっている。また、このアニロックスロール63Aと接し且つ積層連続シートS2の一面とも接する刷版ロール64Aが回転可能に設置されていて、このアニロックスロール63Aから刷版ロール64Aに薬液を受け渡すようになっている。さらに、積層連続シートS2を挟んでこの刷版ロール64Aと対向している弾性ロール65Aとで積層連続シートS2に圧力を付与しつつ、刷版ロール64Aから積層連続シートS2に薬液を塗布するようになっている。
【0037】
そして、本形態では、この薬液塗布部53Aが後述するコンタクトエンボス手段54のコロ54Aと対向し且つ、前述のワインディングドラム56Aとも対向する積層連続シートS2の面側に位置している。尚、前述のドクターチャンバー61Aに対して薬液を塗布する供給ポンプ(図示しない)及び、このドクターチャンバー61Aから薬液を戻すための排出供給ポンプ(図示しない)が、ドクターチャンバー61Aに設置されている。
【0038】
他方、図12に示すように他方のドクターチャンバー形式とされる薬液塗布部53Bは、薬液の入っているドクターチャンバー61Bが、回転可能なアニロックスロール63Bと対向して配置されていて、ドクターチャンバー61Bからアニロックスロール63Bに薬液を受け渡すようになっている。また、このアニロックスロール63Bと接し且つ積層連続シートS2の他の面とも接する刷版ロール64Bが回転可能に設置されていて、このアニロックスロール63Bから刷版ロール64Bに薬液を受け渡すようになっている。さらに、積層連続シートS2を挟んでこの刷版ロール64Bと対向している弾性ロール65Bとで積層連続シートS2に圧力を付与しつつ、刷版ロール64Bから積層連続シートS2に薬液を塗布するようになっている。
【0039】
そして、本実施の形態では、この薬液塗布部53Bがコロ54Aと非対向とされ且つ、前述のワインディングドラム56Aとも非対向となる積層連続シートS2の他の面側に位置している。尚、前述のドクターチャンバー61Bに対して薬液を塗布する供給ポンプ(図示しない)及び、このドクターチャンバー61Bから薬液を戻すための排出供給ポンプ(図示しない)が、ドクターチャンバー61Bにも設置されている。
【0040】
従って、積層連続シートS2の両面に薬液塗布部53A及び薬液塗布部53Bから薬液がそれぞれ塗布されるが、この際、薬液塗布部53Aによるコロ54Aと対向する積層連続シートS2の面側の塗布量を薬液塗布部53Bによる他の面側の塗布量に対して少なくしつつ、積層連続シートS2の両面からそれぞれ積層連続シートS2に対して薬液を塗布することができる。
【0041】
ここで、前述のように、両面の合計塗布量を1.5〜5g/m2とし、さらに、プライ原反ロールである二次原反ロールRの外周面の塗布量を、二次原反ロールRの内周面の塗布量より少なくする場合、紙の両面に対するローション剤の合計塗布量の内、二次原反ロールRの外周面への塗布量は、全体の20%以上で50%未満が良いが、具体的な値は、二次原反ロールRの滑りと品質のバランス、シートの厚みやローション剤の浸透性、転移性により最適条件が異なるので、上記の範囲で変化する。
具体的には、片面毎の塗布量を変えるだけでなく、フレキソ版の線数を15〜40線程度、頂点面積率を20〜40%程度の薬液が飛散しない程度に粗くすることが考えられ、このようにすることで、塗布直後はドット柄が残り、瞬間的に塗布部分と未塗布部分ができるようになる。
【0042】
従って、本形態によれば、フレキソ印刷方式を用いることで版が樹脂であり弾力性があるため衛生用薄葉紙に多少の凹凸があっても印圧で調整可となるので、積層連続シートS2にシワが入り難くなる。他方、フレキソ印刷方式を用いることにより、加工速度が高速であっても塗布量を安定させることができ、また、一つのロールで幅広い薬液の粘度を安定的に塗布することができるようになる。具体的には、積層連続シートS2を700m/分以上とし、好ましくは900m/分以上の速度で搬送しつつ、薬液とされるローション剤を後述の範囲の塗布量で塗布する際にも、塗布が均一で蛇行無く積層連続シートS2を巻き取れるようになる。
【0043】
また、本形態に付随する薬液塗布手段53の要件としては、以下のものが考えられる。
2ロールフレキソ形式の薬液塗布手段では、薬液タンク等の塗布装置内で循環する薬液に含まれる紙粉やエアーのろ過装置を設置する必要があるが、本実施の形態のようなドクターチャンバー形式の薬液塗布手段53とした場合、紙粉等が少なくなるので、ろ過装置の負荷が軽減されることも考えられる。さらに、ドクターチャンバー61A、61B等の塗布装置内で薬液の温度をコントロールし、薬液粘度を安定させる必要が考えられるが、ドクターチャンバー61A、61Bに繋がる中間タンク及び配管にヒーターを設置することにできる。他方、操業中に積層連続シートS2の幅方向の水分率で塗布量を管理する必要が考えられるが、例えば赤外線の検査機等を用いて常に幅方向の水分量とバラツキをチェックするようにできる。
【0044】
<ドクターチャンバー形式の実施形態2>
次に、ドクターチャンバー形式の実施形態2について、具体的な構造を以下に詳細に説明する。
なお、前述の薬液塗布手段53を構成するドクターチャンバー形式のフレキソ印刷方式による2つの薬液塗布部53A、53Bの一方のみを抜き出した構造の薬液供給装置100を以下に詳細に説明するが、薬液塗布部53A、53Bの他方も同様な構造になっていることは言うまでもない。尚、図14に示す薬液供給装置100の左右方向をX軸方向、上下方向をY軸方向とする。
【0045】
つまり、図14及び図15に示すように、薬液供給装置100は、薬液Lを貯留する貯留タンク110と、貯留タンク110内の薬液Lを押出す押出部120と、押出部120より押出された薬液Lを貯留するドクターチャンバー130と、ドクターチャンバー130に貯留される薬液Lの一部をタンク110へ引き込む引込部140と、ドクターチャンバー130より供給される薬液Lを積層連続シートS2の表面に転写させる薬液転写部150と、積層連続シートS2を周面に巻き付けて回動させる回動部160と、等を含んで構成される。
従って、前述のドクターチャンバー61A、61Bが、本実施形態ではドクターチャンバー130とされ、前述の弾性ロール65A、65Bが、本実施形態では回動部160とされることになる。
【0046】
貯留タンク110は、内部に薬液Lを貯留するタンクであり、後述の押出部120の押出ホース121と、引込部140の引込ホース141と、が液層内に挿入されている。
【0047】
押出部120は、例えば、貯留タンク110内に挿入された押出ホース121と、貯留タンク110に貯留された薬液Lを押出してドクターチャンバー130に供給する供給ポンプ122と、供給ポンプ122による薬液Lの押出量(流量)を調整するための調整弁123と、を含んで構成される。
押出ホース121は、一端が貯留タンク110内に挿入され、他端がドクターチャンバー130の導入部132と接続されたホースであり、貯留タンク110内の薬液Lを搬送する流路として機能する。供給ポンプ122は、押出ホース121に取り付けられ、図示しない駆動モータにより駆動されて、貯留タンク110内の薬液Lをドクターチャンバー130へ加圧送給する。調整弁123は、供給ポンプ122により押出される薬液Lの流量を弁の開閉により調整する。
【0048】
引込部140は、例えば、貯留タンク110内に挿入された引込ホース141と、貯留タンク110に薬液Lを引込む吸引ポンプ142と、を含んで構成される。
引込ホース141は、一端が貯留タンク110内に挿入され、他端が後述のドクターチャンバー130の導出部133と接続されたホースであり、導出部133より導出される薬液Lを貯留タンク110に搬送する流路として機能する。
吸引ポンプ142は、引込ホース141に取り付けられ、図示しない駆動モータにより駆動されて、導出部133より導出される薬液Lを吸引させて貯留タンク110(外部)へ排出させる。
【0049】
従って、前述のドクターチャンバー61A、61Bに対して薬液を塗布する供給ポンプが、本実施形態では貯留タンク110に貯留された薬液Lを押出してドクターチャンバー130に供給する供給ポンプ122とされ、また、前述のドクターチャンバー61A、61Bから薬液を戻すための排出供給ポンプが、本実施形態では貯留タンク110に薬液Lを引込む吸引ポンプ142とされることになる。
【0050】
ドクターチャンバー130は、後述のアニロックスロール151に隣接して配設され、薬液Lを貯留する本体部131と、押出部120と本体部131を連結する導入部132と、引込部140と本体部131を連結する導出部133と、を含んで構成される。
【0051】
本体部131は、ドクターチャンバー130の本体部分であり、貯留部131aと、ブレード131b,131cと、を含んで構成される。
貯留部131aは、アニロックスロール151側の端部が開口し、導入部132及び導出部133と連結され、内部に貯留される薬液Lをアニロックスロール151に供給する。そして、アニロックスロール151への供給量が一定となるように、導入部132より貯留部131aに導入される薬液Lの一部が導出部133を介して導出されることで、循環されるよう構成されている。
従って、前述のアニロックスロール63A、63Bが、本実施形態ではアニロックスロール151とされることになる。
ブレード131b,131cは、アニロックスロール151と当接するように設けられ、アニロックスロール151に押しつけた状態で薬液Lの絞りを行う。
【0052】
導入部132は、一端が本体部131に接続され、他端が押出部120の押出ホース121に接続され、押出部120と本体部131とを連結する管状の継手であり、供給ポンプ122により供給された薬液Lを本体部131の貯留部131aに導入することができる。
【0053】
導出部133は、図14及び図15に示すように、継手133aと、孔部133bと、チューブ133cと、を含んで構成される。
継手133aは、一端が本体部131に接続され、他端が引込部140の引込ホース141に接続され、引込部140と本体部131とを連結する管状の継手である。
【0054】
孔部133bは、継手133aの上面に形成され、所定の径からなる開口部分である。
つまり、継手133aに孔部133bが設けられているため、継手133a内の薬液Lは外気接触することとなる。そのため、導入部132より導入した薬液Lの一部を排出(導出部133から導出)して薬液Lを循環させる際に、吸引ポンプ142で薬液Lの吸引を行っても、上記孔部133bによって薬液Lが外気接触して、内圧を外気圧に近づけることができるので、ドクターチャンバー130内の内圧変動を抑えることができる。
なお、当該孔部133bは、ドクターチャンバー130内の内圧変動が抑えられればよいため、例えば、本体部131の上面に貯留部131aに連通するように形成してもよい。
【0055】
チューブ133cは、孔部133bに下端が連結され、上方に延伸した透明又は半透明のチューブ状の部材である。そのため、導入部132より導入した薬液Lの一部を排出して薬液Lを循環させる際に、薬液Lが孔部133bを介して当該チューブ133c内に流入するか否かを目視により確認することができる。
つまり、上記チューブ133c内への流入が確認された場合は、貯留部131aに貯留される薬液Lの量が過多になっている(アニロックスロール151に対して薬液Lが過供給状態となっている)ことが把握できる。したがって、上記過多の状態を目視で確認した使用者は、例えば、調整弁123を操作して薬液Lの押出量(流量)を調整することにより、当該過多の状態を解消することが可能となる。
なお、チューブ133cは、内部が空洞で上端側が外気に接触しているため、上記孔部133bの作用を相殺してしまうことはない。
【0056】
薬液転写部150は、例えば、ドクターチャンバー130より薬液Lを供給されるアニロックスロール151と、アニロックスロール151及び後述の回動部160の間に設けられた刷版ロール152と、を含んで構成される。
つまり、前述の刷版ロール64A、64Bが、本実施形態では刷版ロール152とされることになる。
【0057】
アニロックスロール151は、ドクターチャンバー130のブレード131b,131cと当接するように設けられ、ドクターチャンバー130の貯留部131aの開口より供給される薬液Lが周面に吸着されるように構成されている。
さらに、アニロックスロール151は、円柱状をなし、XY平面に直交する軸回りに回動可能に構成されているため、上記のように周面に吸着された薬液Lは、回動によって刷版ロール152に転写することが出来る。
【0058】
刷版ロール152は、周面がゴム材からなる円柱状をなし、左右端部の周面(図14に示す点P1,点P2)がアニロックスロール151及び回動部160(に巻きつけられる積層連続シートS2)の周面に当接するように設けられ、XY平面に直交する軸回りに回動可能に構成されている。
そのため、刷版ロール152は、左端で当接する回動部160がr1方向に回動することでr2方向に回動するとともに、右端で当接するアニロックスロール151をr1方向に回動させる。つまり、刷版ロール152は、アニロックスロール151の周面に吸着された薬液Lを点P2にて取得し、r2方向への回動により点P1まで搬送して積層連続シートS2に転写することができる。
そのため、アニロックスロール151により吸着された薬液Lがアニロックスロール151の周面上に層状に不均一に残ってしまう場合でも、刷版ロール152の周面に移送させることで、積層連続シートS2に薬液Lを均一に転写することができる。
【0059】
回動部160は、刷版ロール152に隣接して設けられ、図示しないモータ等より駆動力が付与されることで、XY平面に直交する軸回り(例えば、図14のr1方向)に回動する円柱状の部材であり、周面で積層連続シートS2を把持できるように構成されている。そのため、回動部160は、r1方向に回動することにより、供給される積層連続シートS2を周面に巻き付けるとともに、刷版ロール152及びアニロックスロール151を回動させ、点P1位置まで搬送した時点で刷版ロール152より薬液Lを転写させることができる。
なお、回動部160の回動の向きは、図14においてr1方向としたが、r2方向に回動するように構成しても勿論良い。この場合、アニロックスロール151及び刷版ロール152は図14とは逆方向(つまり、アニロックスロール151:r2方向、刷版ロール152:r1方向)に回動する。
【0060】
次に、本実施形態に係る薬液供給装置100による薬液Lの循環動作について説明する。
まず、供給ポンプ122を駆動させ、貯留タンク110より薬液Lを押出し、押出ホース121及びドクターチャンバー130の導入部132を介して本体部131の貯留部131aへ供給する。
次いで、回動部160を回動させてアニロックスロール151に貯留部131aの薬液Lを供給し、刷版ロール152を介して薬液Lを積層連続シートS2上に転写させる。
加えて、吸引ポンプ142を駆動させ、導出部133を介して貯留部131aの薬液Lの一部を貯留タンク110へ向けて排出して循環させる。この際、導出部133の継手133a内で、孔部133bを介した外気接触によりドクターチャンバー130内の内圧変動が抑えられる。
また、上記循環の際に、薬液Lのチューブ133c内への流入が確認された場合、調整弁123を操作して薬液Lの流量の調整を行う。
【0061】
以上説明したように、本実施形態に係る薬液供給装置100によると、薬液Lを貯留する貯留タンク110と、貯留タンク110に貯留された薬液Lをドクターチャンバー130の本体部131に押出ホース121を介して供給する供給ポンプ122と、ドクターチャンバー130の本体部131に貯留された薬液Lを吸引させて貯留タンク110(外部)に引込ホース141を介して排出させる吸引ポンプ142と、を備え、ドクターチャンバー130は、押出ホース121と本体部131を連結し、供給ポンプ122により供給された薬液Lを本体部131に導入する導入部132と、引込ホース141と本体部131を連結し、導入部132より本体部131に導入された薬液Lの一部を導出するための管状の継手133aを備えた導出部133と、を有し、導出部133の継手133aの上面に孔部133bを備えて構成される。
【0062】
つまり、薬液供給装置100では、導出部133の継手133aの上面に孔部133bが備えられる。そのため、吸引ポンプ142を用いて本体部131内の薬液Lの一部を排出する際に、上記孔部133bによって薬液Lが外気接触するので、吸引ポンプ142の動作に起因したドクターチャンバー130内の内圧変動が抑えられる。また、本発明では、上記薬液Lの一部を排出する際に吸引ポンプ142を用いているため、薬液Lを自然落下させるための流路は必要なく、タンク110の設置位置も特段ドクターチャンバー130の上方等に限定されることもない。
したがって、薬液供給装置100は、ドクターチャンバー130から薬液Lを吸い出す際の、ドクターチャンバー130内の内圧変動を抑えるとともに、極力省スペースで設置できる薬液供給装置100であるといえる。
また、ドクターチャンバー130は、孔部133bに下端が連結され、上方に延伸した透明又は半透明のチューブ133cを備える。
【0063】
つまり、導入部132より導入した薬液Lの一部を排出して薬液Lを循環させる際に、薬液Lが孔部133bを介して当該チューブ133c内に流入するか否かを目視により確認することができる。そのため、上記チューブ133c内への流入が確認された場合は、貯留部131aに貯留される薬液Lの量が過多になっている(アニロックスロール151に対して薬液Lが過供給状態となっている)ことが把握できる。したがって、上記過多の状態を目視で確認した使用者は、例えば、調整弁123を操作して薬液Lの流量を調整することにより、当該過多の状態を解消することが可能となる。
また、チューブ133cの上端(自由端)を下向きにして設けることで、孔部133bへの紙粉等の異物の混入を防止することができる。
【0064】
<ドクターチャンバー形式の実施形態3>
次に、ドクターチャンバー形式の実施形態3の薬液供給装置200について、図16を用いて説明する。
ドクターチャンバー形式の実施形態2の薬液供給装置100では、孔部133bに連結されたチューブ133c内への薬液Lの流入を目視により確認することで、アニロックスロール151に対して薬液Lが過供給状態となっていることを把握できるように構成したが、本実施形態の薬液供給装置200では、上記状態に至ったか否かを自動的に判別し、使用者に判別結果を報知するように構成する。
以下の薬液供給装置200の説明においては、ドクターチャンバー形式の実施形態2の薬液供給装置100との相違点を中心に説明し、一致する構成には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0065】
本実施形態の導出部233は、図16に示すように、継手133aと、孔部133bと、孔部133bの上方に設けられた円筒状部133dと、円筒状部133dに取り付けられたセンサ部133eと、を含んで構成される。
【0066】
円筒状部133dは、孔部133bの周面に下端が溶接等により固着接続され、上方に延伸した円筒状の部材である。
【0067】
センサ部133eは、円筒状部133dに設けられたセンサ133fと、センサ133fに取り付けられ、センサ133fの検知に連動して報知を行う報知部133gと、を含んで構成される。
センサ133fは、例えば、被検知体に向けて発光する発光素子(図示省略)と、被検知体からの反射光を受光する受光素子(図示省略)と、を含み、受光素子からの反射光の受光量に基づいて、円筒状部133dに流入する薬液Lの高さが、当該センサ133fの設けられた高さ位置(図16に示すy1)に達したか否かを検知するセンサである。
報知部133gは、例えば、スピーカ等であり、センサ133fにより、円筒状部133dに流入する薬液Lの高さが、上記センサ133fの設けられた高さ位置に達したと検知された場合に、音声により使用者への報知を行うように構成されている。
【0068】
つまり、導入部132より導入した薬液Lの一部を排出して薬液Lを循環させる際に、センサ133fにより、円筒状部133dに流入する薬液Lが上記高さ位置に達したか否かを検知することで、貯留部131aに貯留される薬液Lの量が過多になっている(アニロックスロール151に対して薬液Lが過供給状態となっている)か否かを判別することが出来る。そして、上記過多の状態に至った場合、使用者は報知部133gによりその旨を知ることができるので、例えば、調整弁123を操作して薬液Lの押出量(流量)を調整することにより、当該過多の状態を解消することが可能となる。
なお、円筒状部133dは、内部が空洞で上端側が外気に接触しているため、孔部133bの作用を相殺してしまうことはない。
【0069】
次に、本実施形態に係る薬液供給装置200による、薬液Lの循環動作について説明する。
【0070】
まず、供給ポンプ122を駆動させ、貯留タンク110より薬液Lを押出し、押出ホース121及びドクターチャンバー130の導入部132を介して本体部131の貯留部131aへ供給する。
次いで、回動部160を回動させてアニロックスロール151に貯留部131aの薬液Lを供給し、刷版ロール152を介して薬液Lを積層連続シートS2上に転写させる。
加えて、吸引ポンプ142を駆動させ、導出部233を介して貯留部131aの薬液Lの一部を貯留タンク110へ向けて排出して循環させる。この際、導出部233の継手133a内で、孔部133bでの外気接触を介してドクターチャンバー130内の内圧変動が抑えられる。
また、上記循環の際に、センサ133fにより、円筒状部133dに流入する薬液Lの高さが、センサ133fの設けられた高さ位置に達したと検知され、報知部133gにより使用者へその旨が報知された場合、調整弁123を操作して薬液Lの流量の調整を行う。
【0071】
以上説明したように、本実施形態に係る薬液供給装置200によると、ドクターチャンバー130は、孔部133bの周面に下端が接続され、上方に延伸した円筒状の円筒状部133dと、円筒状部133dに設けられ、円筒状部133dに流入する薬液Lの高さが所定の高さ位置(センサ133fの設けられた高さ位置)に達したか否かを検知するセンサ133fと、センサ133fにより、円筒状部133dに流入する薬液Lの高さが上記所定の高さ位置に達したと検知された場合に報知する報知部133gと、を備えて構成される。
【0072】
つまり、薬液供給装置200によると、薬液供給装置100と同様の効果を発揮するのは勿論のこと、薬液Lを循環させる際に、センサ133f及び報知部133gにより、アニロックスロール151に対して薬液Lが過供給状態に至ったか否かを自動的に判別し、使用者に判別結果を報知することができるので、上記状態判別を使用者自身が行う負担が軽減される。
【0073】
<ドクターチャンバー形式の実施形態4>
次に、ドクターチャンバー形式の実施形態4の薬液供給装置300について、図17を用いて説明する。
ドクターチャンバー形式の実施形態2の薬液供給装置100及び実施形態3の薬液供給装置200では、孔部133bの開口量は固定値となるように構成したが、本実施形態の薬液供給装置300では、当該開口量を調整できるように構成する。
以下の薬液供給装置300の説明においては、ドクターチャンバー形式の実施形態2の薬液供給装置100及び実施形態3の薬液供給装置200との相違点を中心に説明し、一致する構成には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0074】
本実施形態の導出部333は、図17に示すように、継手133aと、円筒状部133dと、センサ部133eと、円筒状部133dに取り付けられた調整部133hと、を含んで構成される。調整部133hは、例えば、ニードルバルブであり、継手133aの上面に形成される開口としての孔部133jと、孔部133jの開口量を調整するバルブ本体133iと、を含んで構成される。
【0075】
孔部133jは、所定径からなる開口の周囲がオリフィスで囲まれた形状からなる。
バルブ本体133iは、上記孔部133jの開口の上方に配設され、先端がテーパ状で上下動可能なニードル軸(図示省略)を備え、当該ニードル軸を上下動させて、孔部133jのオリフィスと接触する際の開度に応じて孔部133jの開口量を調整できるように構成されている。
【0076】
つまり、上記調整部133hにより、孔部133jの開口量を調整することが可能となるので、薬液Lを循環させる際に、ドクターチャンバー131内の内圧変動量に応じて、孔部133jの開口量を適宜に調整することができる。そのため、例えば、センサ部133eにより、円筒状部133dに流入する薬液Lの高さが、センサ133fの設けられた高さ位置に達したと検知された場合、調整弁123を操作して薬液Lの押出量を調整することで対処するばかりでなく、調整部133hによる孔部133jの開口量の調整により、孔部133jによるエアー抜きの能力を高めて(外気との接触面積を拡張して)、ドクターチャンバー130内の内圧変動を抑えるという対処をとることも可能となる。
つまり、内圧変動を抑えることで、内圧変動によりもたらされるドクターチャンバー130内からの薬液Lの噴出や、アニロックスロール151上の薬液Lのドクターチャンバー130側への吸込み等が好適に防止されるので、薬液Lの循環が促進される。
【0077】
次に、本実施形態に係る薬液供給装置300による、薬液Lの循環動作について説明する。
【0078】
まず、供給ポンプ122を駆動させ、貯留タンク110より薬液Lを押出し、押出ホース121及びドクターチャンバー130の導入部132を介して本体部131の貯留部131aへ供給する。
次いで、回動部160を回動させてアニロックスロール151に貯留部131aの薬液Lを供給し、刷版ロール152を介して薬液Lを積層連続シートS2上に転写させる。
加えて、吸引ポンプ142を駆動させ、導出部333を介して貯留部131aの薬液Lの一部を貯留タンク110へ向けて排出して循環させる。上記循環の際、センサ133fにより、円筒状部133dに流入する薬液Lの高さが、センサ133fの設けられた高さ位置に達したと検知され、報知部133gにより使用者へその旨が報知された場合、調整弁123の操作又は調整部133hによる孔部133jの開口量の調整により対処することが出来る。
【0079】
以上説明したように、本実施形態に係る薬液供給装置300によると、ドクターチャンバー130は、孔部133jの開口量を調整する調整部133hを備える。
【0080】
つまり、薬液供給装置300によると、薬液供給装置100と同様の効果を発揮するのは勿論のこと、上記調整部133hにより、孔部133jの開口量を調整することが可能となるので、薬液Lを循環させる際に、ドクターチャンバー131内の内圧変動量に応じて、孔部133jの開口量を適宜に調整することで、ドクターチャンバー130内の内圧変動を一層好適に抑えることができる。
【0081】
他方、上記各実施形態の薬液供給装置においては、押出ホース121に繋がる導入部132及び押出ホース121に繋がる導入部132を各一つのみドクターチャンバー130が有する構造とされているが、例えば図18に示す各例のような構造としても良い。
【0082】
例えば、図18(A)では、幅広に形成されて回転軸R0廻りに回転するアニロックスロール151に沿って幅広の長方形状に外枠が形成されたドクターチャンバー130の幅方向Dの左右端付近の箇所に、それぞれ押出ホース121に繋がる導入部132を有した構造とされている。そして、このドクターチャンバー130の中央部に引込ホース141に繋がる一つの導出部133が存在する構造ともされている。
【0083】
つまり、図18(A)に示す例では、2本の押出ホース121がそれぞれ2つの導入部132に繋がって薬液Lをドクターチャンバー130の左右端付近から供給することで、貯留タンク110内からの新鮮な薬液Lをドクターチャンバー130内に平均的に供給でき、更に中央部の導出部133から余った薬液Lがドクターチャンバー130から導出されるようになる。
【0084】
また、図18(B)では、幅広に形成されて回転軸R0廻りに回転するアニロックスロール151に沿って幅広の長方形状に外枠が形成されたドクターチャンバー130の幅方向Dの左右端付近の箇所及び中央部の箇所に、それぞれ押出ホース121に繋がる導入部132を有した構造とされている。そして、このドクターチャンバー130の幅方向Dの左右寄りの箇所にそれぞれ引込ホース141に繋がる2つの導出部133が存在する構造ともされている。
【0085】
つまり、図18(B)に示す例では、3つの導入部132の各間に2つの導出部133がそれぞれ配置された構造とされていて、3本の押出ホース121がそれぞれ3つの導入部132に繋がって薬液Lをドクターチャンバー130の左右端付近及び中央部から供給することで、貯留タンク110内からの新鮮な薬液Lをドクターチャンバー130内に平均的に供給でき、更に2つの導出部133から余った薬液Lがドクターチャンバー130から導出されるようになる。
【0086】
他方、図18(C)では、幅広に形成されて回転軸R0廻りに回転するアニロックスロール151に沿って幅広の長方形状に外枠が形成されたドクターチャンバー130の幅方向Dに沿った等間隔且つ図の上側寄りの複数箇所に、それぞれ押出ホース121に繋がる導入部132を有した構造とされている。そして、各導入部132に隣り合ったドクターチャンバー130の図の下側寄りの箇所に、それぞれ引込ホース141に繋がる複数の導出部133が存在する構造ともされている。
【0087】
つまり、図18(C)に示す例では、ドクターチャンバー130の幅方向Dに沿って配置された複数の導入部132に押出ホース121からそれぞれ薬液Lが供給されると共に、これら導入部132にそれぞれ隣り合っている複数の導出部133から余った薬液Lがドクターチャンバー130から導出されるようになる。従って、本例でも、貯留タンク110内からの新鮮な薬液Lをドクターチャンバー130内に平均的に供給でき、更に導出部133から余った薬液Lがドクターチャンバー130から導出されるようになる。
【0088】
なお、本発明の範囲は上記実施形態に限られることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、薬液供給装置100において、チューブ133cを設けない場合は、孔部133bの上部にエアーフィルタを設置し、孔部133bへの紙粉等の異物の混入を防止するように構成してもよい。また、孔部133bは、貯留部131aの薬液Lの液面より上方であれば、本体部131の側面に設けてもよい。
【0089】
<フレキソ2ロール転写形式の実施形態>
ここでは、フキレソ印刷方式における2ロール転写形式の一例を説明する。
図11及び図19に示すように一方のフキレソ印刷方式とされる薬液塗布部53Aは、薬液の入っている薬液タンク66Aにディップロールである絞りロール62Aが浸されつつ回転可能に設置されている。さらに、薬液タンク66A外において絞りロール62Aと接しつつアニロックスロール63Aが、回転可能に設置されており、また、このアニロックスロール63Aと接し且つ積層連続シートS2の一面とも接する刷版ロール64Aが回転可能に設置されていて、積層連続シートS2を挟んで対向している弾性ロール65Aとで積層連続シートS2に圧力を付与している。
そして、本実施の形態では、この薬液塗布部53Aが後述するコンタクトエンボス手段54のコロ54Aと対向し且つ、前述のワインディングドラム56Aとも対向する積層連続シートS2の面側に位置している。
【0090】
また、図11及び図19に示すように他方のフレキソ印刷形式とされる薬液塗布部53Bは、薬液の入っている薬液タンク66Bにディップロールである絞りロール62Bが浸されつつ回転可能に設置されている。さらに、薬液タンク66B外において絞りロール62Bと接しつつアニロックスロール63Bが、回転可能に設置されており、また、このアニロックスロール63Bと接し且つ積層連続シートS2の他の面とも接する刷版ロール64Bが回転可能に設置されていて、積層連続シートS2を挟んで対向している弾性ロール65Bとで積層連続シートS2に圧力を付与している。
そして、本実施の形態では、この薬液塗布部53Bがコロ54Aと非対向とされ且つ、前述のワインディングドラム56Aとも非対向となる積層連続シートS2の他の面側に位置している。
【0091】
従って、積層連続シートS2の両面に薬液塗布部53A及び薬液塗布部53Bから薬液がそれぞれ塗布されるが、この際、薬液塗布部53Aによるコロ54Aと対向する積層連続シートS2の面側の塗布量を薬液塗布部53Bによる他の面側の塗布量に対して少なくしつつ、積層連続シートS2の両面からそれぞれ積層連続シートS2に対して薬液を塗布することができる。
【0092】
ここで、両面の合計塗布量を、前述のように1.5〜5g/m2とし、プライ原反ロールである二次原反ロールRの外周面の塗布量を、二次原反ロールRの内周面の塗布量より少なくする場合、紙の両面に対するローション剤の合計塗布量の内、二次原反ロールRの外周面への塗布量は、全体の20%以上で50%未満が良いが、具体的な値は、二次原反ロールRの滑りと品質のバランス、シートの厚みやローション剤の浸透性、転移性により最適条件が異なるので、上記の範囲で変化する。
具体的には、片面毎の塗布量を変えるだけでなく、フレキソ版の線数を15〜40線程度、頂点面積率を20〜40%程度の薬液が飛散しない程度に粗くすることが考えられ、このようにすることで、塗布直後はドット柄が残り、瞬間的に塗布部分と未塗布部分ができるようになる。
【0093】
従って、本実施の形態によれば、フレキソ形式を用いて版が樹脂であり弾力性があるため積層連続シートS2に多少の凹凸があっても印圧で調整可となるので、グラビア印刷のような金属ロールで塗布するよりも積層連続シートS2にシワが入り難くなる。他方、フレキソ印刷を応用したフレキソ印刷方式を用いることにより、加工速度が高速であっても塗布量を安定させることができ、また、一つのロールで幅広い薬液の粘度を安定的に塗布することができるようになる。具体的には、積層連続シートS2を700m/分以上の速度で搬送しつつ、薬液とされるローション剤を1.5g〜5g/m2の塗布量で塗布する際にも、塗布が均一で蛇行無く積層連続シートS2を巻き取れるようになる。
【0094】
また、付随する薬液塗布手段53の要件としては、以下のものが考えられる。
薬液タンク66A、66B等の塗布装置内で循環する薬液に含まれる紙粉やエアーのろ過装置を設置する必要があるが、ろ過装置としてはフィルターで紙粉等を除去することが考えられる。さらに、薬液タンク66A、66B等の塗布装置内で薬液の温度をコントロールし、薬液粘度を安定させる必要が考えられるが、薬液タンク66A、66Bに繋がる中間タンク及び配管にヒーターを設置することが考えられる。他方、操業中に積層連続シートS2の幅方向の水分率で塗布量を管理する必要が考えられるが、例えば赤外線の検査機等を用いて常に幅方向の水分量とバラツキをチェックするようにできる。
【0095】
なお、この本実施形態においては、アニロックスロール63A、63Bに対してドクターブレード(図示せず)を設けても良く、この場合、薬液を均一に塗布できる、アニロックスロール63A、63Bから薬液が飛散してしまうことを防止できるなどのメリットを享受できるが、この反面、ドクターブレードを手入れしたり交換したりしなければならないというデメリットが有る。
【0096】
<フレキソ1ロール転写形式の実施形態>
フキレソ印刷方式における1ロール転写形式とは、前述のフレキソ2ロール転写形式から絞りロール62A、62Bを省略したものである。この場合、アニロックスロール63A、63Bが、それぞれ薬液タンク66A、66Bに浸されつつ回転可能に設置される。また、これらのアニロックスロール63A、63Bに対しては、アニロックスロール63A、63B表面の薬液を掻き取るドクターブレード(図示せず)を設置しても良い。このようなフレキソ1ロール転写形式は、メンテナンスが比較的容易であるという利点や、ブレードの摩耗や薬液中の紙粉等の異物の混入状態を容易に目視できるという利点を有している。
【0097】
(薬液)
塗布する薬液について、粘度は高速加工を行う観点から40℃で1〜700mPa・sとする。より好ましくは50〜400mPa・s(40℃)とする。1mPa・sより小さいとアニロックスロール、刷版ロール、グラビアロール等のロール上で薬液が飛散しやすくなり、逆に700mPa・sより大きいと各ロールや連続シートへの塗布量をコントロールしにくくなる。成分はポリオールを70〜90%、水分を1〜15%、機能性薬品を0.01〜22%含むものとする。
ポリオールはグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその誘導体等の多価アルコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロース等の糖類を含む。
機能性薬剤としては、柔軟剤、界面活性剤、無機および有機の微粒子粉体、油性成分などがある。柔軟剤、界面活性剤はティシューに柔軟性を与えたり表面を滑らかにする効果があり、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤を適用する。無機および有機の微粒子粉体は表面を滑らかな肌触りとする。油性成分は滑性を高める働きがあり、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールを用いることができる。
また機能性薬剤としてポリオールの保湿性を助けたり、維持させる薬剤として親水性高分子ゲル化剤、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸若しくはその塩、セラミド等の1種以上を任意の組合せ等の保湿剤を加えることができる。
また機能性薬剤として香料、各種天然エキス等のエモリエント剤、ビタミン類、配合成分を安定させる乳化剤、薬液の発泡を抑え塗布を安定させるための消泡剤、防黴剤、有機酸などの消臭剤を適宜配合することができる。さらには、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化剤を含有させてもよい。
上記成分のうち、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールを主成分とすることが、薬液の粘度、塗布量を安定させる上で好ましい。
薬液塗布時の温度は30℃〜60℃、好ましくは35℃〜55℃とすることが好ましい。
【0098】
(コンタクトエンボス手段)
ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X3には、積層連続シートS2に対してコンタクトエンボスを付与するコンタクトエンボス手段54を設けることができる。
ここで、コンタクトエンボス手段54は、図13に示すように、金属ロール又は弾性ロールである受けロール54Bと表面に細かい凸部54Cを有する金属製で硬質のコロ54Aとが所定の圧力を有して相互に外周面同士を当接しつつ、それぞれ回転可能に設置されている。そして、積層連続シートS2におけるティシュペーパー製品の幅方向中央に該当する部分に対して、左右各2つずつ存在する凸部54Cと、受けロール54Bとの間で積層連続シートS2を挟みつつ搬送することで、積層連続シートS2に対して、積層連続シートS2の連続方向に沿って層間剥離を防止するライン状のコンタクトエンボスCEを施すようになっている。
尚、このコンタクトエンボスCEを施すコロ54Aと対向した側の面を外周側として前述の巻取り手段56が、積層連続シートS2を巻取ることになる。
【0099】
このようにコンタクトエンボスCEを付与することによって、複数の一次連続シート(図示例ではS11、S12)を積層して成る積層連続シートS2の層間剥離を防止する。なお、コンタクトエンボスCEは、ティシュペーパー製品の端部が層間剥離し難くなるように、ティシュペーパー製品の幅方向両側部に位置するよう、形成されることが好ましい。
【0100】
また、この接合工程において、本実施形態ではコロとして表面に細かい凸部54Cを有した金属製で硬質のコロ54Aを用いたが、積層連続シートS2に対して層間剥離を防止するライン状の接合部分が形成できればよく、例えばコロ54Aの替りに、表面に細かい針状の部材を有したローラをコロとすることもできる。
さらに、接合する為の手段としては上記例に限定されず、凸部の先端形状が、点状、正方形、長方形、円形、楕円形等の形状のものをコロとして用いても良く、凸部の先端形状が、細長い線状、細く斜めに伸びる線状等のものをコロとして用いても良い。
他方、凸部の配列としては等間隔が考えられるが、千鳥状としたり、等間隔としなくとも良く、また、凸部を1列に配置してコンタクトエンボスを連続して付与する他に、凸部を2列以上の複数列配置することも考えられる。そして、コンタクトエンボスを緊密に複数列付与するように凸部が配置された群を複数並べて、複数のコンタクトエンボス群を付与するようにしても良い。尚、接合工程としては、上記のように機械的に圧力を加えて接合する他に、超音波等の他の手段により接合しても良い。
【0101】
(一次連続シート)
一次連続シートS11、S12の原料パルプは、特に限定されず、ティシュペーパー製品の用途に応じて適宜の原料パルプを選択して使用することができる。原料パルプとしては、例えば、木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプなどから、より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
【0102】
特に、原料パルプは、NBKPとLBKPとを配合したものが好ましい。適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、風合いなどの点で、NBKPとLBKPのみから構成されているのがよく、その場合の配合割合(JIS P 8120)としては、NBKP:LBKP=20:80〜80:20がよく、特に、NBKP:LBKP=30:70〜60:40が望ましい。
【0103】
一次連続シートS11、S12は、JIS P 8124による坪量が、10〜25g/m2とされ、好ましくは12〜20g/m2とされ、より好ましくは13〜16g/m2とされる。坪量が10g/m2未満であると、柔らかさの点においては好ましいが、適正な強度を確保することができなくなる。他方、坪量が25g/m2を超えると、硬くなりすぎて、肌触りが悪化する。
また、紙厚(尾崎製作所製ピーコックにより測定)は1プライで80〜250μm、好ましくは100〜200μm、より好ましくは130〜180μmとされる。
【0104】
一次連続シートS11、S12は、クレープ率が10〜30%であるのが好ましく、12〜25%であるのがより好ましく、13〜20%であるのが特に好ましい。クレープ率が10%未満であると、加工時に断紙しやすいとともに伸びの少ないコシのないティシュペーパー製品となる。他方、クレープ率が30%超過であると、加工時のシートの張力コントロールが難しく断紙しがちとなり、また、製造後にはシワが発生して見栄えの悪いティシュペーパー製品となる。
【0105】
一次連続シートS11、S12は、JIS P 8113に規定される乾燥引張強度(以下、乾燥紙力ともいう)の縦方向が、2プライで200〜700cN/25mm、好ましくは250〜600cN/25mm、特に好ましくは300〜600cN/25mmとされ、他方、横方向が、2プライで100〜300cN/25mm、好ましくは130〜270cN/25mm、特に好ましくは150〜250cN/25mmとされる。原紙の乾燥引張強度が低すぎると、製造時及び使用時の断紙や伸び等のトラブルが発生し易くなり、高過ぎると使用時にごわごわした肌触りとなる。
【0106】
これらの紙力は公知の方法により調整でき、例えば、乾燥紙力増強剤を内添(ドライヤーパートよりも前の段階、例えばパルプスラリーに添加)する、パルプのフリーネスを低下(例えば30〜40ml程度低下)させる、NBKP配合率を増加(例えば50%以上に)する等の手法を適宜組み合わせることができる。
【0107】
乾燥紙力剤としては、澱粉、ポリアクリルアミド、CMC(カルボキシメチルセルロース)若しくはその塩であるカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース亜鉛等を用いることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、尿素樹脂、酸コロイド・メラミン樹脂、熱架橋性付与PAM等を用いることができる。湿潤紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で5〜20kg/t程度とすることができる。また、乾燥紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で0.5〜1.0kg/t程度とすることができる。
【0108】
〔ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法〕
次に、本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法の一例を説明する。本形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法は、例えば、上述したティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X3を用いて行うことができる。
図11に示すように、本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法においては、プライ手段51で複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートS1をその連続方向に沿って積層して積層連続シートS2とし(積層工程)、この積層連続シートS2に対して、コンタクトエンボス手段54で層間に剥離やズレが生じることを防止するライン状のコンタクトエンボスを施し(コンタクトエンボス工程)、次に、積層連続シートS2に対して一対の薬液塗布手段53で薬液を塗布し(薬液塗布工程)、スリット手段55によって積層連続シートS2をティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットし(スリット工程)、次に、スリット工程でスリットされた積層連続シートS2を同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールRを、巻き取り手段56によって形成する。
【0109】
なお、本形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法では、上述したティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X3と同様に、積層工程の後段であって且つコンタクトエンボス工程の前段に、積層連続シートS2に対して一対のカレンダー手段52で平滑化処理する平滑化工程を設けることもできる。
【0110】
本実施形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備又は製造方法においては、加工速度は100〜1100m/分とされ、好ましくは350〜1050m/分とされ、より好ましくは450〜1000m/分とされる。100m/分未満だと生産性が低く、他方、1100m/分超過であると、積層連続シートS2の断紙する頻度が高くなり、薬液塗布工程は刷版ロールやアニロックスロールの薬液の転移が不安定になりがちとなるため、塗布ムラが生じる可能性がある。
【0111】
〔マルチスタンド式インターフォルダ〕
上述のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備、製造方法で製造された二次原反ロールRは、マルチスタンド式インターフォルダに多数セットされ、セットされた二次原反ロールRから二次連続シートを繰り出して折り畳むと共に積層することによってティシュペーパー束が製造される。以下では、そのマルチスタンド式インターフォルダの一例について説明する。
【0112】
図2及び図3に、マルチスタンド式インターフォルダの一例を示した。図中の符号2は、マルチスタンド式インターフォルダ1の図示しない二次原反ロール支持部にセットされた二次原反ロールR,R…を示している。この二次原反ロールR,R…は、必要数が図示平面と直交する方向(図2における水平方向、図3における紙面前後方向)に横並びにセットされている。各二次原反ロールRは、上述のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備、製造方法でティシュペーパー製品幅にスリットが入れられており、ティシュペーパー製品の複数倍幅、図示例では2倍幅で巻き取られ、セットされている。
【0113】
二次原反ロールRから巻き出された連続する帯状の二次連続シート3A及び3Bは、ガイドローラG1、G1等のガイド手段に案内されて折畳機構部20へ送り込まれる。また、折畳機構部20には、図4に示すように、折板P,P…が必要数並設されてなる折板群21が備えられている。各折板Pに対しては、一対の連続する二次連続シート3A又は3Bを案内するガイドローラG2,G2やガイド丸棒部材G3,G3が、それぞれ適所に備えられている。さらに、折板P,P…の下方には、折り畳みながら積み重ねられた積層帯30を受けて搬送するコンベア22が備えられている。
【0114】
この種の折板P,P…を用いた折畳機構は、例えば、米国特許4052048号特許明細書等によって公知の機構である。この種の折畳機構は、図5に示すように、各連続する二次連続シート3A,3B…を、Z字状に折り畳みながら、かつ隣接する連続する二次連続シート3A,3B…の側端部相互を掛け合わせながら積み重ねる。
【0115】
図7〜図10に、折畳機構部20の特に折板Pに関する部位を、詳しく示した。本折畳機構部20においては、各折板Pに対して、一対の連続する二次連続シート3A及び3Bが案内される。この際、連続する二次連続シート3A及び3Bは、ガイド丸棒部材G3,G3によって、側端部相互が重ならないように位置をずらされながら案内される。
【0116】
折板Pに案内された時点で下側に重なっている連続する二次連続シートを第1の連続する二次連続シート3Aとし、上側に重なっている連続する二次連続シートを第2の連続する二次連続シート3Bとすると、これら連続する二次連続シート3A及び3Bは、図5及び図8に示すように、第1の連続する二次連続シート3Aの第2の連続する二次連続シート3Bと重なっていない側端部e1が、折板Pの側板P1によって、第2の連続する二次連続シート3Bの上側に折り返されるとともに、図5及び図9に示すように、第2の連続する二次連続シート3Bの第1の連続する二次連続シート3Aと重なっていない側端部e2が、折板PのスリットP2から折板P下に引き込まれるようにして下側に折り返される。この際、図5及び図10に示すように、上流の折板Pにおいて折り畳みながら積み重ねられた連続する二次連続シート3Aの側端部e3(e1)が、折板PのスリットP2から第2の連続する二次連続シート3Bの折り返し部分間に案内される。このようにして、各連続する二次連続シート3A,3B…は、Z字状に折り畳まれるとともに、隣接する連続する二次連続シート3A及び3Bの側端部相互が掛け合わされ、したがって、製品使用時において、最上位のティシュペーパーを引き出すと、次のティシュペーパーの側端部が引き出されることになる。
【0117】
以上のようにしてマルチスタンド式インターフォルダ1で得られた積層帯30は、図2に示すように、後段の切断手段41において流れ方向FLに所定の間隔をおいて裁断(切断)されてティシュペーパー束30aとされ、図6(a)に示すように、このティシュペーパー束30aは、更に後段設備において収納箱Bに収納される。なお、以上のようなマルチスタンド式インターフォルダ1では、積層帯30の紙の方向は、流れ方向FLに沿って縦方向(MD方向)となっており、流れ方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となっている。このため、積層帯30を所定の長さに切断して得られたティシュペーパー束30aを構成するティシュペーパーの紙の方向は、図6(a)に示すように、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向に沿って縦方向(MD方向)となり、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となる。
【0118】
図6(b)に、収納箱Bにティシュペーパー束30aを収納して成る製品の一例を示した。収納箱Bの上面にはミシン目Mが設けられており、このミシン目Mで収納箱B上面の一部を破断することにより収納箱Bの上面が開口するようになっている。この開口は中央にスリットを有するフィルムFによって覆われており、このフィルムFに設けられたスリットを介してティシュペーパーTを取出すことができるようになっている。
ところで、前述したように、ティシュペーパー束30aを構成するティシュペーパーの紙の方向は、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となるため、図6(b)に示すように、ティシュペーパーTを収納箱Bから引き出す際には、その引き出し方向は、ティシュペーパーTの横方向(CD方向)と沿うようになっている。
【0119】
〔その他〕
本発明には、以下の発明も含まれる。
(発明A1)
一次原反ロールから連続的にティシュペーパー製品用の複数の二次原反ロールを製造するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備であって、
複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層手段と、
積層連続シートに対して層間の剥離及びズレを防止するライン状のコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス手段と、
前記コンタクトエンボス手段の後段に設置された、積層連続シートに対して薬液を塗布する薬液塗布手段と、
積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット手段と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを形成する巻取り手段と、を有することを特徴とするティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備。
【0120】
(発明A2)
前記コンタクトエンボス手段の前段に、積層連続シートにカレンダーによって平滑化処理する平滑化手段を有する、発明A1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備。
【0121】
(発明A3)
前記薬液塗布手段がグラビア印刷方式である、発明A1又は発明A2に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備。
【0122】
(発明A4)
前記薬液塗布手段がフレキソ印刷方式である、発明A1又は発明A2に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備。
【0123】
(発明B1)
複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層工程と、
積層連続シートに対して層間の剥離及びズレを防止するライン状のコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス工程と、
前記コンタクトエンボス工程の後に、積層連続シートに対して薬液を塗布する薬液塗布工程と、
積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット工程と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを形成する巻取り工程と、
複数の前記二次原反ロールから繰り出される複数の二次連続シートをその連続方向に沿って移送すると共に、折畳みながら積み重ねる工程と、を有することを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【0124】
(発明B2)
前記コンタクトエンボス工程の前に、積層連続シートにカレンダーによって平滑化処理する平滑化工程を有する、発明B1に記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【0125】
(発明B3)
前記薬液の塗布をグラビア印刷方式によって行う、発明B1又は発明B2に記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【0126】
(発明B4)
前記薬液の塗布をフレキソ印刷方式によって行う、発明B1又は発明B2に記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【0127】
(発明C1)
複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層手段と、
積層連続シートに対して層間の剥離及びズレを防止するライン状のコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス手段と、
前記コンタクトエンボス手段の後段に設置された、積層連続シートに対して薬液を塗布する薬液塗布手段と、
積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット手段と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを形成する巻取り手段と、
複数の前記二次原反ロールから繰り出される複数の二次連続シートをその連続方向に沿って移送すると共に、折畳みながら積み重ねる手段と、を有することを特徴とするティシュペーパー製品の製造設備。
【0128】
(発明C2)
前記コンタクトエンボス手段の前段に、積層連続シートにカレンダーによって平滑化処理する平滑化手段を有する、発明C1に記載のティシュペーパー製品の製造設備。
【0129】
(発明C3)
前記薬液塗布手段がグラビア印刷方式である、発明C1又は発明C2に記載のティシュペーパー製品の製造設備。
【0130】
(発明C4)
前記薬液塗布手段がフレキソ印刷方式である、発明C1又は発明C2に記載のティシュペーパー製品の製造設備。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、マルチスタンド式インターフォルダで用いられるティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造に適用できるものである。
【符号の説明】
【0132】
51・・・プライ手段(積層工程)
52・・・カレンダー手段(平滑化工程)
53・・・薬液塗布手段(薬液塗布工程)
54・・・コンタクトエンボス手段(コンタクトエンボス工程)
55・・・スリット手段(スリット工程)
56・・・巻き取り手段(巻き取り工程)
S11、S12・・・一次連続シート
S2・・・積層連続シート
JR・・・一次原反ロール
R・・・二次原反ロール
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチスタンド式インターフォルダに供するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ティシュペーパーの箱詰め製品は、一般的に、インターフォルダ(折り畳み設備)によって複数の連続するティシュペーパーを折り畳みながら積み重ね、所定の長さに切断するなどしてティシュペーパー束を得、このティシュペーパー束を収納箱(ティシュカートン)内に収納することによって製造される。
【0003】
このようなインターフォルダの例として、下記特許文献1、2に開示されるようなマルチスタンド式インターフォルダや、下記特許文献3、4に開示されるようなロータリー式インターフォルダなどが知られている。
【0004】
マルチスタンド式インターフォルダを用いた製造方法の従来例としては、次のようなものがある。すなわち、抄紙設備において薄葉紙を抄造して巻き取ることで一次原反ロール(一般にジャンボロールともいわれている)を製造し、次いで、この一次原反ロールをプライマシンにセットし、複数の一次原反ロールから繰り出した一次連続シートを重ね合わせて巻き取ると共にスリット(幅方向にティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅に分割)し、複数のプライからなる二次原反ロールを製造する。
プライマシンで製造された二次原反ロールは、プライマシンから取り出された後、必要な数だけマルチスタンド式インターフォルダにセットされる。次いで、二次原反ロールから二次連続シートを繰り出して、折畳機構部へ送り込み、ここで折り畳みながら積み重ね、その後、所定の長さに切断されてティシュペーパー束とし、収納箱内に収納する。
このようなマルチスタンド式インターフォルダを用いた製造方法は、他の折り畳み設備を用いた製造方法に比べて、多数(通常80〜100基)の折畳み機構を有しているため生産性が高いという利点を有している。
【0005】
ところで、近年では、ティシュペーパー製品に保湿剤や香料などの薬液を塗布されたものの需要が拡大しており、例えば下記特許文献5〜7に開示されるような製造方法や設備が種々提案されている。このようなティシュペーパー製品は、主にロータリー式インターフォルダで製造されるのが一般的であった(例えば下記特許文献5)。しかし、ロータリー式インターフォルダは、加工方向と垂直方向に折畳みと裁断を同時に行なうため、生産性が低いという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許4052048号公報(特公昭55−1215号公報)
【特許文献2】特開2006−240750号公報
【特許文献3】特開昭61−37668号公報
【特許文献4】特開平5−124770号公報
【特許文献5】特開2004−322034号公報
【特許文献6】特表2008−525103号公報
【特許文献7】特開2008−264564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、薬液が塗布されたティシュペーパー製品を、ロータリー式インターフォルダに比して加工速度の速いマルチスタンド式インターフォルダを用いた製造方法で製造することが考えられるものの、この場合、プライマシン(ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備)やマルチスタンド式インターフォルダとは別に薬液塗布工程を設けると、多大な設備コストがかかってしまうという問題があった。また、薬液塗布工程を別途設けてしまうと、薬液が塗布されないティシュペーパー製品を同じラインで製造する場合、薬液塗布工程を避けるようなラインを別途設ける必要があり、薬液塗布の有無を容易に切り替えられないという問題があった。このような問題に対して、本発明者等は鋭意研究した結果、プライマシンで薬液を塗布することを知見した。プライマシンに薬液塗布工程を設けると、設備コストを抑え、且つ、薬液塗布の有無を容易に切り替えることができるようになる。
【0008】
しかしながら、実際にプライマシンで薬液を塗布してみると、薬液が塗布された積層連続シートの層間で剥離やズレが生じてしまうという問題が新たに知見された。
そこで、本発明の主たる課題は、薬液塗布工程を有するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法であって、薬液を塗布した積層連続シートの層間で剥離やズレが生じることを防止可能であるティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段及びそれらの作用効果は次記のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
一次原反ロールから連続的にティシュペーパー製品用の複数の二次原反ロールを製造するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法であって、
複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層工程と、
積層連続シートに対して層間の剥離及びズレを防止するライン状のコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス工程と、
前記コンタクトエンボス工程の後に、積層連続シートに対して薬液を塗布する薬液塗布工程と、
積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット工程と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを形成する巻取り工程と、を有することを特徴とするティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0010】
〔請求項2記載の発明〕
前記コンタクトエンボス工程の前に、積層連続シートにカレンダーによって平滑化処理する平滑化工程を有する、請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0011】
〔請求項3記載の発明〕
前記薬液の塗布をグラビア印刷方式によって行う、請求項1又は請求項2に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0012】
〔請求項4記載の発明〕
前記薬液の塗布をフレキソ印刷方式によって行う、請求項1又は請求項2に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る製造方法におけるスリット工程でティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるよう製造されたティシュペーパー製品用二次原反ロールは、この後段でマルチスタンド式インターフォルダに多数セットされる。次いで、マルチスタンド式インターフォルダにセットされた二次原反ロールから二次連続シートを繰り出して、折畳機構部へ送り込み、ここで折り畳みながら積み重ね、その後、所定の長さに切断されてティシュペーパー束とし、収納箱内に収納する。
本発明では、ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法における積層連続シートに対して薬液を塗布するようになっている。このため、プライマシンやマルチスタンド式インターフォルダとは別に薬液塗布工程を設ける場合と比較して、設備コストを低く抑えることができる。また、薬液を塗布しないティシュペーパー製品を製造する場合は、ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造工程から薬液塗布工程を省略するだけで良いため、設備の切り替えが容易にできる。
【0014】
本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法においては、薬液塗布工程は、積層工程の後であって、且つ、スリット工程の前に行われることが好ましい。というのは、薬液塗布工程が積層工程の前であると、それぞれの一次連続シートに対して薬液を塗布するための設備を設けなければならず、他方、スリット工程の後であると、スリット工程によって複数に分割された積層連続シートに対して薬液を塗布するため、スリットから薬液が漏れてしまい、ロール汚れや断紙の原因となる。薬液塗布工程が積層工程とスリット工程との間で行われるようになっていると、スリット工程によって分割されていない積層連続シートのみに薬液を塗布するための設備を用意すれば良く、薬液のロスが少なく、断紙が少なく操業が安定する。
【0015】
そして、本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法によれば、薬液塗布工程がコンタクトエンボス工程の後段であるため、薬液の塗布によって積層連続シートの層間で剥離やズレが生じることを防止することができる。
【0016】
本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法においては、カレンダーにて平滑化処理する平滑化工程を有することが好ましい。平滑化工程を有することによって、表面が滑らかなティシュペーパー製品用二次原反ロールを製造することができると共に、この二次原反ロールを用いて製造されたティシュペーパー製品のプライ剥がれ防止することができる。
なお、平滑化工程は、積層工程とコンタクトエンボス工程との間で行われることが好ましい。平滑化工程が積層工程の前であると、ティシュペーパー製品のプライ剥がれを防止する効果を得ることができない。
【0017】
本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法においては、薬液塗布の方法は、浸漬、スプレー塗布、フレキソ印刷方式、グラビア印刷方式によるなど公知の塗布方法をいずれも使用することができるが、その中でも、薬液の塗布はグラビア印刷方式又はフレキソ印刷方式によって行うことが好ましい。グラビア印刷方式やフレキソ印刷方式は、加工速度が高速であっても塗布量を安定させることができる。また、特にフレキソ印刷方式は、一つのロールで幅広い薬液の粘度を安定的に塗布することができるという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一次原反ロールの製造設備、製造方法を示す概略図である。
【図2】マルチスタンド式インターフォルダの一例を示す概略図であり、正面から見た状態を示している。
【図3】マルチスタンド式インターフォルダの一例を示す概略図であり、側面から見た状態を示している。
【図4】マルチスタンド式インターフォルダの一例を示す概略図であり、正面から見た状態を示している。
【図5】折り畳まれたティシュペーパーの縦断面図である。
【図6】(a)ティシュペーパー束を収納箱に収納している様子を示す図である。(b)収納箱に収納されたティシュペーパーの取出す様子を示す一部破断図である。
【図7】折り板に関する部位の要部拡大斜視図である。
【図8】二次連続シート(ティシュペーパー)の折り畳み方を示す要部拡大斜視図である。
【図9】二次連続シート(ティシュペーパー)の折り畳み方を示す要部拡大斜視図である。
【図10】二次連続シート(ティシュペーパー)の折り畳み方を示す要部拡大斜視図である。
【図11】二次原反ロールの製造設備、製造方法を示す概略図である。
【図12】図11で示す薬液塗布手段周辺の要部拡大図である。
【図13】コンタクトエンボス手段によって積層連続シートにコンタクトエンボスを付与している様子を示す図である。
【図14】薬液供給装置の一例を示す概略構成図である。
【図15】図14における薬液供給装置の導出部を説明するための模式図である。
【図16】薬液供給装置のその他の導出部を説明するための模式図である。
【図17】薬液供給装置のその他の導出部を説明するための模式図である。
【図18】図14に示される実施形態の薬液供給装置で用いられるドクターチャンバーの構造を説明する図であって、(A)は2つの導入部と1つの導出部を有する構造を示し、(B)は3つの導入部と2つの導出部を有する構造を示し、(C)は導入部及び導出部がそれぞれ同数存在する構造を示している。
【図19】図12で示される薬液塗布手段を他のものに置換した状態を示す図である。
【図20】積層連続シート(ティシュペーパー)の構造を示す模式図である。(A)薬液塗布前のMD方向断面図、(B)薬液浸透工程前の上面図、(C)I−I矢視図。
【図21】積層連続シート(ティシュペーパー)の表面凹凸構造を示す模式図である。(A)薬液塗布前、(B)薬液塗布後。
【図22】薬液浸透工程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態を説明する。なお、図中の矢印HDは水平方向を、矢印LDは上下方向を示している。
〔一次原反ロールの製造方法〕
一次原反ロールの製造方法の一例を、図1を参照しつつ説明する。
図1に示すように、ワイヤーパートを経た湿紙Wがボトムフェルト111に載せられて移送され、その後、トップフェルト110及びボトムフェルト111に挟持されたまま、トップロール112とボトムロール113の間を通過し搾水される。その後、搾水された湿紙Wは、トップフェルト110に載せられた状態で、タッチロール116を介してヤンキードライヤー115の表面に付着させられる。そして、湿紙Wは、ヤンキードライヤー115によって乾燥され、ドクターブレード117により引き剥がされた後、巻き取られることで一次原反ロールJRとされる。
この抄紙に際しては、例えば、分散剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、柔軟剤、剥離剤、接着剤、苛性ソーダ等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、スライムコントロール剤、染料、などの適宜の薬品を添加することができる。
なお、本一次原反ロールの製造方法においては、ドクターブレード117により引き剥がされた後でカレンダー手段118によって平滑化処理を施すこともできる。
【0020】
〔ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備〕
図11に示すように、本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X3(プライマシンX3)は、上述の製造方法などで製造された一次原反ロールJRを、少なくとも2つ以上セット可能とされており、これらの一次原反ロールJRから繰り出した一次連続シート(図示例ではS11、S12)を、その連続方向に沿って積層して積層連続シートS2とするプライ手段51を有している。
【0021】
プライ手段51の後段には、プライ手段51から流れてくる積層連続シートS2に対してコンタクトエンボスを付与するコンタクトエンボス手段54が設けられており、この後段には、薬液を塗布する一対の薬液塗布手段53が設けられている。そして、これらの薬液塗布手段53の後段には、並設された複数のカッターから成り、薬液塗布手段53から移送されてきた積層連続シートS2をティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット手段55が配置されており、スリット手段55の後段には、スリット手段55によってスリットされた積層連続シートS2を同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールRを形成する巻取り手段56が設けられている。ここで、この巻取り手段56は、スリットされた各積層連続シートS2を二次原反ロールRに案内するための2つのワインディングドラム56Aを有していて、これら2つのワインディングドラム56Aが二次原反ロールRの外周面に接して積層連続シートS2を案内している。
【0022】
(カレンダー手段)
ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X3には、積層連続シートS2をカレンダー処理するカレンダー手段52を一つ以上設けることもできる。
カレンダー手段52におけるカレンダーの種別は、特に限定されないが、表面の平滑性向上と紙厚の調整の理由からソフトカレンダー又はチルドカレンダーとすることが好ましい。ソフトカレンダーとは、ウレタンゴム等の弾性材を被覆したロールを用いたカレンダーであり、チルドカレンダーとは金属ロールからなるカレンダーの事である。
カレンダー手段52の数は、適宜変更することができる。複数設置すれば加工速度が速くとも十分に平滑化できるという利点を有する一方、一つであるとスペースが狭くとも設置可能であるという利点を有する。
二つ以上のカレンダー手段52を設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設することができ、また、これらの設置方向を組み合わせて配置しても良い。水平方向に並設すると、抱き角度を小さくなるため加工速度が高速とすることができ、上下方向に並設すると設置スペースを小さくすることができる。なお、ここで言う抱き角度とはロールの軸中心から見てシートが接している間(軸と直行する断面の円弧の一部)の角度を意味している(以下同じ)。
カレンダー処理条件におけるカレンダー種別、ニップ線圧、ニップ数なども制御要因として抄紙を行うようにし、これらの制御要因は、求めるティシュペーパーの品質すなわち紙厚や表面性によって適宜変更することが好ましい。
また、カレンダー手段52の設置位置は特に限定されないが、プライ手段51の後段であって且つコンタクトエンボス手段54の前段や、薬液塗布手段53の後段であって且つスリット手段55の前段とすることができる。
【0023】
(薬液塗布手段)
本実施形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備又は製造方法においては、薬液を積層連続シートS2の両面に塗布する場合、両面の合計の薬液塗布量は、1.5〜5.0g/m2とされ、好ましくは2.0〜4.5g/m2とされ、より好ましくは2.5〜4.0g/m2とされる。5.0g/m2超過であると、紙力低下や伸びなどにより断紙したり、ワインディングドラムで巻き取りの際に巻きズレを起こしたり、また品質的にべたつき感が過ぎる場合も出てくる。1.5g/m2未満であると滑らかさやしっとり感など未塗布品との品質差を感じられなくなってしまう。
なお、両塗布面への塗布量に差がある場合、塗布後にプライ原反で保管されてから折り加工されるまでの時間(8時間以上)に、両塗布面は接していることから、次第に両者の薬液量は均等化していき表裏差は小さくなる。
【0024】
薬液を積層連続シートS2の片面のみに塗布する場合、薬液の塗布面は、積層連続シートS2における二次原反ロールRの内側に位置する方の面(一次連続シートS11側の面)への塗布がよい。こうすると製品での表裏差はあるものの、巻きずれを起こしにくい。この場合、塗布量は1.5〜5.0g/m2とされ、好ましくは2.0〜4.5g/m2とされ、より好ましくは2.5〜4.0g/m2とされる。
【0025】
また、積層連続シートS2を構成する各一次連続シートのクレープ率に差異を設ける場合、クレープ率の高い方の一次連続シート側(図示例では一次連続シートS11側)により多くの薬液を塗布することも提案される。例えば、図11及び図20に示される例においては、2つの薬液塗布手段53のうち、一次連続シートS11に直接薬液を塗布する薬液塗布手段53Bの方が、他方の薬液塗布手段53Aよりも多くの薬液を塗布するものとする。この場合、両面の薬液塗布量の比は、100:0〜60:40、好ましくは75:25〜60:40とする。
【0026】
図20(A)は薬液塗布前の2プライに積層された積層連続シートS2の断面図である(MD方向に平行に切断した断面図)。2プライに積層された積層連続シートS2の両面に薬液を塗布するにあたり、両面の薬液量に差異を設け、図中においては一次連続シートS11の側に薬液を多く塗布する。また、積層連続シートS2が伸長しきる前に、コンタクトエンボスCEにより積層を一体化し、スリット手段55により製品幅にカットする(図20(B))。その後、積層連続シートS2を巻取り手段56で巻き取り、薬液を浸透させるため静置される。薬液塗布手段53で薬液を塗布された積層連続シートS2を構成する一次連続シートS11、S12は主にMD方向に伸長する。その際、より多くの薬液が塗布された一次連続シートS11が他方の一次連続シートS12より伸長率が大きくなるが、一次連続シートS11、S12はコンタクトエンボスCEで相互に固定されているため、より伸長した一次連続シートS11の表面にシワが生じる(24(C))。積層する積層連続シートS2のクレープ率にも差異を設け、一次連続シートS11にクレープ率の高い原紙を使用すると、より一次連続シートS11と一次連続シートS12との伸長率に差異を生じさせることができる。
【0027】
クレープはヤンキードライヤー115にて原紙を乾燥後、ドクターブレード117によりヤンキードライヤー115から剥がした後、ドライヤースピードと巻取りスピードの差異によって形成される。このクレープはヤンキードライヤー115への紙の貼り付きにより形状を調整するが、この貼り付きに若干のばらつきがあることや、繊維原料が均等に分布していないことから、ミクロ的な視野で見ると立体的にクレープ形状には若干のバラツキが存在する。このバラツキはクレープ率が大きくなるほど顕著になる。
【0028】
このクレープのバラツキに伴い、薬液を塗布した際の伸びにもバラツキが生じ、これが3次元的に細かな波打ちとして形成される。この波うちは原反シーズニング時には張力が働くため顕在化しないが、製品に加工し断裁した後に復元し顕在化する。シートへの薬液の塗布量が多いほど、クレープが大きいほどクレープ形状の変化、シートの波打ちは大きく、逆にシートへの薬液の塗布量が少ないほど、クレープが小さいほどクレープ形状の変化、シートの波打ちは小さい。このため、塗布量だけでなく、クレープ率を変えることによって、嵩高効果を相乗させることができる。
【0029】
また品質について、クレープ率の異なる一次連続シートS11、S12を積層して製品化した場合、薬液塗布を行わなければ、製品であるティシュペーパーは、両面でバルク感の異なるものとなる(図21(A))。しかし、より表面の凹凸の大きな(クレープ率の高い)一次連続シートS11により多くの薬液を塗布することにより、一次連続シートS11は一次連続シートS12よりも高い伸び率で伸長するが、コンタクトエンボスによりMD方向と平行に固定されているため(図示せず)、一次連続シートS11は波打ち、積層シートの嵩が増加する。(図21(B))。
【0030】
薬液塗布量に差異を設けることにより、製品の両面で肌触り、使用感が異なることが懸念されるが、二次原反ロールRを次の工程(折り加工等)へ供する前にロールの状態で静置することにより、薬液塗布量の異なる一次連続シートS11、S12の表面が互いに相対した状態で保たれるため(薬液浸透工程、図22)、連続シート間の薬液成分が少しずつ転移し(図中グレー矢印)、その差異はシーズニング中に次第に軽減される。なお、図22中の白抜き矢印は薬液成分の浸透方向を示す。
【0031】
他方、薬液塗布手段53の種類は特に限定されないが、グラビア印刷方式、或いはフレキソ印刷方式などの印刷方式を用いることができる。
本ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備又は製造方法において、薬液塗布手段53としてグラビア印刷方式を用いる場合、加工速度は100〜1000m/分とし、好ましくは350〜950m/分、特に好ましくは450〜950m/分とする。100m/分未満であると生産性が低く、1000m/分超過であると、塗布ムラが生じ、薬液が飛散し易くなる。また、グラビアロールの線数は、40〜160線とし、好ましくは60〜140線、特に好ましくは80〜120線とする。線数が40線未満であると薬液飛散量が多くなってしまい、他方、線数が160線超過であると紙粉が詰まり易くなる。
【0032】
本ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備又は製造方法において、薬液塗布手段53としてフレキソ印刷方式を用いる場合、加工速度は100〜1100m/分とし、好ましくは350〜1050m/分、特に好ましくは450〜1000m/分とする。100m/分未満であると生産性が低く、他方、1100m/分以上であると、塗布ムラが多く生じ、薬液の飛散量が多くなってしまう。フレキソ刷版ロールの線数は、10〜60線とし、好ましくは15〜40線、特に好ましくは20〜35線とする。線数が10線未満であると塗布ムラが多く生じてしまい、他方、線数が60線超過であると紙粉が詰まり易くなる。アニロックスロールの線数は、10〜300線とし、好ましくは25〜200線、特に好ましくは50〜100線とする。線数が10線未満であると塗布ムラが多く生じてしまい、他方、線数が300線超過であると紙粉が詰まり易くなる。アニロックスロールのセル容量は、10〜100ccとし、好ましくは15〜70cc、特に好ましくは30〜60ccとする。セル容量が10cc未満であると所望の塗布量が得られず、他方、セル容量が100cc超過であると薬液の飛散量が多くなってしまう。
フレキソ印刷方式は、加工速度が高速であっても塗布量を安定させることができ、また、一つのロールで幅広い薬液の粘度を安定的に塗布することができる。
【0033】
薬液塗布手段53にグラビア印刷方式を用いる場合、ダイレクトグラビアコーター又はオフセットグラビアコーターなどを用いることができ、フキレソ印刷方式を用いる場合にはドクターチャンバー形式(以下、単にドクターチャンバー形式と言う)や1又は2ロール転写形式のものなどを用いることができる。
【0034】
グラビア印刷方式、或いはフレキソ印刷方式などの印刷方式を用いた薬液塗布手段53は、単数或いは複数設置することができ、複数設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設しても良く、水平方向を含めたこれらの設置方向を組み合わせて配置しても良い。水平方向に並設すると抱き角度を小さくすることができるため、加工速度を高速とすることができ、上下方向に並設すると水平方向における設置スペースを小さくすることができる。
【0035】
薬液塗布手段53の前後に配置される手段(図11の例ではコンタクトエンボス手段54及びスリット手段55)は、相互に近接して配置することが好ましい。そうすることによって、薬液が塗布されないティシュペーパー製品を製造する場合には、積層連続シートS2を薬液塗布手段53の前段から後段に直接移送し、薬液塗布手段53を通さずに積層連続シートS2を通すだけでよくなるため、薬液塗布の有無を容易に切り替えることが可能となる。例えば、図11に示すティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X3では、薬液が塗布されないティシュペーパー製品を製造する場合、図11において二点鎖線で示すように、積層連続シートS2をカレンダー手段52からコンタクトエンボス手段54に直接移送し、薬液塗布手段53を通さずに積層連続シートS2を流すだけで良い。
【0036】
<ドクターチャンバー形式の実施形態1>
ここでは、フキレソ印刷方式におけるドクターチャンバー形式の一例を説明する。
図12に示すように一方のドクターチャンバー形式とされる薬液塗布部53Aは、薬液の入っているドクターチャンバー61Aが、回転可能なアニロックスロール63Aと対向して配置されていて、ドクターチャンバー61Aからアニロックスロール63Aに薬液を受け渡すようになっている。また、このアニロックスロール63Aと接し且つ積層連続シートS2の一面とも接する刷版ロール64Aが回転可能に設置されていて、このアニロックスロール63Aから刷版ロール64Aに薬液を受け渡すようになっている。さらに、積層連続シートS2を挟んでこの刷版ロール64Aと対向している弾性ロール65Aとで積層連続シートS2に圧力を付与しつつ、刷版ロール64Aから積層連続シートS2に薬液を塗布するようになっている。
【0037】
そして、本形態では、この薬液塗布部53Aが後述するコンタクトエンボス手段54のコロ54Aと対向し且つ、前述のワインディングドラム56Aとも対向する積層連続シートS2の面側に位置している。尚、前述のドクターチャンバー61Aに対して薬液を塗布する供給ポンプ(図示しない)及び、このドクターチャンバー61Aから薬液を戻すための排出供給ポンプ(図示しない)が、ドクターチャンバー61Aに設置されている。
【0038】
他方、図12に示すように他方のドクターチャンバー形式とされる薬液塗布部53Bは、薬液の入っているドクターチャンバー61Bが、回転可能なアニロックスロール63Bと対向して配置されていて、ドクターチャンバー61Bからアニロックスロール63Bに薬液を受け渡すようになっている。また、このアニロックスロール63Bと接し且つ積層連続シートS2の他の面とも接する刷版ロール64Bが回転可能に設置されていて、このアニロックスロール63Bから刷版ロール64Bに薬液を受け渡すようになっている。さらに、積層連続シートS2を挟んでこの刷版ロール64Bと対向している弾性ロール65Bとで積層連続シートS2に圧力を付与しつつ、刷版ロール64Bから積層連続シートS2に薬液を塗布するようになっている。
【0039】
そして、本実施の形態では、この薬液塗布部53Bがコロ54Aと非対向とされ且つ、前述のワインディングドラム56Aとも非対向となる積層連続シートS2の他の面側に位置している。尚、前述のドクターチャンバー61Bに対して薬液を塗布する供給ポンプ(図示しない)及び、このドクターチャンバー61Bから薬液を戻すための排出供給ポンプ(図示しない)が、ドクターチャンバー61Bにも設置されている。
【0040】
従って、積層連続シートS2の両面に薬液塗布部53A及び薬液塗布部53Bから薬液がそれぞれ塗布されるが、この際、薬液塗布部53Aによるコロ54Aと対向する積層連続シートS2の面側の塗布量を薬液塗布部53Bによる他の面側の塗布量に対して少なくしつつ、積層連続シートS2の両面からそれぞれ積層連続シートS2に対して薬液を塗布することができる。
【0041】
ここで、前述のように、両面の合計塗布量を1.5〜5g/m2とし、さらに、プライ原反ロールである二次原反ロールRの外周面の塗布量を、二次原反ロールRの内周面の塗布量より少なくする場合、紙の両面に対するローション剤の合計塗布量の内、二次原反ロールRの外周面への塗布量は、全体の20%以上で50%未満が良いが、具体的な値は、二次原反ロールRの滑りと品質のバランス、シートの厚みやローション剤の浸透性、転移性により最適条件が異なるので、上記の範囲で変化する。
具体的には、片面毎の塗布量を変えるだけでなく、フレキソ版の線数を15〜40線程度、頂点面積率を20〜40%程度の薬液が飛散しない程度に粗くすることが考えられ、このようにすることで、塗布直後はドット柄が残り、瞬間的に塗布部分と未塗布部分ができるようになる。
【0042】
従って、本形態によれば、フレキソ印刷方式を用いることで版が樹脂であり弾力性があるため衛生用薄葉紙に多少の凹凸があっても印圧で調整可となるので、積層連続シートS2にシワが入り難くなる。他方、フレキソ印刷方式を用いることにより、加工速度が高速であっても塗布量を安定させることができ、また、一つのロールで幅広い薬液の粘度を安定的に塗布することができるようになる。具体的には、積層連続シートS2を700m/分以上とし、好ましくは900m/分以上の速度で搬送しつつ、薬液とされるローション剤を後述の範囲の塗布量で塗布する際にも、塗布が均一で蛇行無く積層連続シートS2を巻き取れるようになる。
【0043】
また、本形態に付随する薬液塗布手段53の要件としては、以下のものが考えられる。
2ロールフレキソ形式の薬液塗布手段では、薬液タンク等の塗布装置内で循環する薬液に含まれる紙粉やエアーのろ過装置を設置する必要があるが、本実施の形態のようなドクターチャンバー形式の薬液塗布手段53とした場合、紙粉等が少なくなるので、ろ過装置の負荷が軽減されることも考えられる。さらに、ドクターチャンバー61A、61B等の塗布装置内で薬液の温度をコントロールし、薬液粘度を安定させる必要が考えられるが、ドクターチャンバー61A、61Bに繋がる中間タンク及び配管にヒーターを設置することにできる。他方、操業中に積層連続シートS2の幅方向の水分率で塗布量を管理する必要が考えられるが、例えば赤外線の検査機等を用いて常に幅方向の水分量とバラツキをチェックするようにできる。
【0044】
<ドクターチャンバー形式の実施形態2>
次に、ドクターチャンバー形式の実施形態2について、具体的な構造を以下に詳細に説明する。
なお、前述の薬液塗布手段53を構成するドクターチャンバー形式のフレキソ印刷方式による2つの薬液塗布部53A、53Bの一方のみを抜き出した構造の薬液供給装置100を以下に詳細に説明するが、薬液塗布部53A、53Bの他方も同様な構造になっていることは言うまでもない。尚、図14に示す薬液供給装置100の左右方向をX軸方向、上下方向をY軸方向とする。
【0045】
つまり、図14及び図15に示すように、薬液供給装置100は、薬液Lを貯留する貯留タンク110と、貯留タンク110内の薬液Lを押出す押出部120と、押出部120より押出された薬液Lを貯留するドクターチャンバー130と、ドクターチャンバー130に貯留される薬液Lの一部をタンク110へ引き込む引込部140と、ドクターチャンバー130より供給される薬液Lを積層連続シートS2の表面に転写させる薬液転写部150と、積層連続シートS2を周面に巻き付けて回動させる回動部160と、等を含んで構成される。
従って、前述のドクターチャンバー61A、61Bが、本実施形態ではドクターチャンバー130とされ、前述の弾性ロール65A、65Bが、本実施形態では回動部160とされることになる。
【0046】
貯留タンク110は、内部に薬液Lを貯留するタンクであり、後述の押出部120の押出ホース121と、引込部140の引込ホース141と、が液層内に挿入されている。
【0047】
押出部120は、例えば、貯留タンク110内に挿入された押出ホース121と、貯留タンク110に貯留された薬液Lを押出してドクターチャンバー130に供給する供給ポンプ122と、供給ポンプ122による薬液Lの押出量(流量)を調整するための調整弁123と、を含んで構成される。
押出ホース121は、一端が貯留タンク110内に挿入され、他端がドクターチャンバー130の導入部132と接続されたホースであり、貯留タンク110内の薬液Lを搬送する流路として機能する。供給ポンプ122は、押出ホース121に取り付けられ、図示しない駆動モータにより駆動されて、貯留タンク110内の薬液Lをドクターチャンバー130へ加圧送給する。調整弁123は、供給ポンプ122により押出される薬液Lの流量を弁の開閉により調整する。
【0048】
引込部140は、例えば、貯留タンク110内に挿入された引込ホース141と、貯留タンク110に薬液Lを引込む吸引ポンプ142と、を含んで構成される。
引込ホース141は、一端が貯留タンク110内に挿入され、他端が後述のドクターチャンバー130の導出部133と接続されたホースであり、導出部133より導出される薬液Lを貯留タンク110に搬送する流路として機能する。
吸引ポンプ142は、引込ホース141に取り付けられ、図示しない駆動モータにより駆動されて、導出部133より導出される薬液Lを吸引させて貯留タンク110(外部)へ排出させる。
【0049】
従って、前述のドクターチャンバー61A、61Bに対して薬液を塗布する供給ポンプが、本実施形態では貯留タンク110に貯留された薬液Lを押出してドクターチャンバー130に供給する供給ポンプ122とされ、また、前述のドクターチャンバー61A、61Bから薬液を戻すための排出供給ポンプが、本実施形態では貯留タンク110に薬液Lを引込む吸引ポンプ142とされることになる。
【0050】
ドクターチャンバー130は、後述のアニロックスロール151に隣接して配設され、薬液Lを貯留する本体部131と、押出部120と本体部131を連結する導入部132と、引込部140と本体部131を連結する導出部133と、を含んで構成される。
【0051】
本体部131は、ドクターチャンバー130の本体部分であり、貯留部131aと、ブレード131b,131cと、を含んで構成される。
貯留部131aは、アニロックスロール151側の端部が開口し、導入部132及び導出部133と連結され、内部に貯留される薬液Lをアニロックスロール151に供給する。そして、アニロックスロール151への供給量が一定となるように、導入部132より貯留部131aに導入される薬液Lの一部が導出部133を介して導出されることで、循環されるよう構成されている。
従って、前述のアニロックスロール63A、63Bが、本実施形態ではアニロックスロール151とされることになる。
ブレード131b,131cは、アニロックスロール151と当接するように設けられ、アニロックスロール151に押しつけた状態で薬液Lの絞りを行う。
【0052】
導入部132は、一端が本体部131に接続され、他端が押出部120の押出ホース121に接続され、押出部120と本体部131とを連結する管状の継手であり、供給ポンプ122により供給された薬液Lを本体部131の貯留部131aに導入することができる。
【0053】
導出部133は、図14及び図15に示すように、継手133aと、孔部133bと、チューブ133cと、を含んで構成される。
継手133aは、一端が本体部131に接続され、他端が引込部140の引込ホース141に接続され、引込部140と本体部131とを連結する管状の継手である。
【0054】
孔部133bは、継手133aの上面に形成され、所定の径からなる開口部分である。
つまり、継手133aに孔部133bが設けられているため、継手133a内の薬液Lは外気接触することとなる。そのため、導入部132より導入した薬液Lの一部を排出(導出部133から導出)して薬液Lを循環させる際に、吸引ポンプ142で薬液Lの吸引を行っても、上記孔部133bによって薬液Lが外気接触して、内圧を外気圧に近づけることができるので、ドクターチャンバー130内の内圧変動を抑えることができる。
なお、当該孔部133bは、ドクターチャンバー130内の内圧変動が抑えられればよいため、例えば、本体部131の上面に貯留部131aに連通するように形成してもよい。
【0055】
チューブ133cは、孔部133bに下端が連結され、上方に延伸した透明又は半透明のチューブ状の部材である。そのため、導入部132より導入した薬液Lの一部を排出して薬液Lを循環させる際に、薬液Lが孔部133bを介して当該チューブ133c内に流入するか否かを目視により確認することができる。
つまり、上記チューブ133c内への流入が確認された場合は、貯留部131aに貯留される薬液Lの量が過多になっている(アニロックスロール151に対して薬液Lが過供給状態となっている)ことが把握できる。したがって、上記過多の状態を目視で確認した使用者は、例えば、調整弁123を操作して薬液Lの押出量(流量)を調整することにより、当該過多の状態を解消することが可能となる。
なお、チューブ133cは、内部が空洞で上端側が外気に接触しているため、上記孔部133bの作用を相殺してしまうことはない。
【0056】
薬液転写部150は、例えば、ドクターチャンバー130より薬液Lを供給されるアニロックスロール151と、アニロックスロール151及び後述の回動部160の間に設けられた刷版ロール152と、を含んで構成される。
つまり、前述の刷版ロール64A、64Bが、本実施形態では刷版ロール152とされることになる。
【0057】
アニロックスロール151は、ドクターチャンバー130のブレード131b,131cと当接するように設けられ、ドクターチャンバー130の貯留部131aの開口より供給される薬液Lが周面に吸着されるように構成されている。
さらに、アニロックスロール151は、円柱状をなし、XY平面に直交する軸回りに回動可能に構成されているため、上記のように周面に吸着された薬液Lは、回動によって刷版ロール152に転写することが出来る。
【0058】
刷版ロール152は、周面がゴム材からなる円柱状をなし、左右端部の周面(図14に示す点P1,点P2)がアニロックスロール151及び回動部160(に巻きつけられる積層連続シートS2)の周面に当接するように設けられ、XY平面に直交する軸回りに回動可能に構成されている。
そのため、刷版ロール152は、左端で当接する回動部160がr1方向に回動することでr2方向に回動するとともに、右端で当接するアニロックスロール151をr1方向に回動させる。つまり、刷版ロール152は、アニロックスロール151の周面に吸着された薬液Lを点P2にて取得し、r2方向への回動により点P1まで搬送して積層連続シートS2に転写することができる。
そのため、アニロックスロール151により吸着された薬液Lがアニロックスロール151の周面上に層状に不均一に残ってしまう場合でも、刷版ロール152の周面に移送させることで、積層連続シートS2に薬液Lを均一に転写することができる。
【0059】
回動部160は、刷版ロール152に隣接して設けられ、図示しないモータ等より駆動力が付与されることで、XY平面に直交する軸回り(例えば、図14のr1方向)に回動する円柱状の部材であり、周面で積層連続シートS2を把持できるように構成されている。そのため、回動部160は、r1方向に回動することにより、供給される積層連続シートS2を周面に巻き付けるとともに、刷版ロール152及びアニロックスロール151を回動させ、点P1位置まで搬送した時点で刷版ロール152より薬液Lを転写させることができる。
なお、回動部160の回動の向きは、図14においてr1方向としたが、r2方向に回動するように構成しても勿論良い。この場合、アニロックスロール151及び刷版ロール152は図14とは逆方向(つまり、アニロックスロール151:r2方向、刷版ロール152:r1方向)に回動する。
【0060】
次に、本実施形態に係る薬液供給装置100による薬液Lの循環動作について説明する。
まず、供給ポンプ122を駆動させ、貯留タンク110より薬液Lを押出し、押出ホース121及びドクターチャンバー130の導入部132を介して本体部131の貯留部131aへ供給する。
次いで、回動部160を回動させてアニロックスロール151に貯留部131aの薬液Lを供給し、刷版ロール152を介して薬液Lを積層連続シートS2上に転写させる。
加えて、吸引ポンプ142を駆動させ、導出部133を介して貯留部131aの薬液Lの一部を貯留タンク110へ向けて排出して循環させる。この際、導出部133の継手133a内で、孔部133bを介した外気接触によりドクターチャンバー130内の内圧変動が抑えられる。
また、上記循環の際に、薬液Lのチューブ133c内への流入が確認された場合、調整弁123を操作して薬液Lの流量の調整を行う。
【0061】
以上説明したように、本実施形態に係る薬液供給装置100によると、薬液Lを貯留する貯留タンク110と、貯留タンク110に貯留された薬液Lをドクターチャンバー130の本体部131に押出ホース121を介して供給する供給ポンプ122と、ドクターチャンバー130の本体部131に貯留された薬液Lを吸引させて貯留タンク110(外部)に引込ホース141を介して排出させる吸引ポンプ142と、を備え、ドクターチャンバー130は、押出ホース121と本体部131を連結し、供給ポンプ122により供給された薬液Lを本体部131に導入する導入部132と、引込ホース141と本体部131を連結し、導入部132より本体部131に導入された薬液Lの一部を導出するための管状の継手133aを備えた導出部133と、を有し、導出部133の継手133aの上面に孔部133bを備えて構成される。
【0062】
つまり、薬液供給装置100では、導出部133の継手133aの上面に孔部133bが備えられる。そのため、吸引ポンプ142を用いて本体部131内の薬液Lの一部を排出する際に、上記孔部133bによって薬液Lが外気接触するので、吸引ポンプ142の動作に起因したドクターチャンバー130内の内圧変動が抑えられる。また、本発明では、上記薬液Lの一部を排出する際に吸引ポンプ142を用いているため、薬液Lを自然落下させるための流路は必要なく、タンク110の設置位置も特段ドクターチャンバー130の上方等に限定されることもない。
したがって、薬液供給装置100は、ドクターチャンバー130から薬液Lを吸い出す際の、ドクターチャンバー130内の内圧変動を抑えるとともに、極力省スペースで設置できる薬液供給装置100であるといえる。
また、ドクターチャンバー130は、孔部133bに下端が連結され、上方に延伸した透明又は半透明のチューブ133cを備える。
【0063】
つまり、導入部132より導入した薬液Lの一部を排出して薬液Lを循環させる際に、薬液Lが孔部133bを介して当該チューブ133c内に流入するか否かを目視により確認することができる。そのため、上記チューブ133c内への流入が確認された場合は、貯留部131aに貯留される薬液Lの量が過多になっている(アニロックスロール151に対して薬液Lが過供給状態となっている)ことが把握できる。したがって、上記過多の状態を目視で確認した使用者は、例えば、調整弁123を操作して薬液Lの流量を調整することにより、当該過多の状態を解消することが可能となる。
また、チューブ133cの上端(自由端)を下向きにして設けることで、孔部133bへの紙粉等の異物の混入を防止することができる。
【0064】
<ドクターチャンバー形式の実施形態3>
次に、ドクターチャンバー形式の実施形態3の薬液供給装置200について、図16を用いて説明する。
ドクターチャンバー形式の実施形態2の薬液供給装置100では、孔部133bに連結されたチューブ133c内への薬液Lの流入を目視により確認することで、アニロックスロール151に対して薬液Lが過供給状態となっていることを把握できるように構成したが、本実施形態の薬液供給装置200では、上記状態に至ったか否かを自動的に判別し、使用者に判別結果を報知するように構成する。
以下の薬液供給装置200の説明においては、ドクターチャンバー形式の実施形態2の薬液供給装置100との相違点を中心に説明し、一致する構成には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0065】
本実施形態の導出部233は、図16に示すように、継手133aと、孔部133bと、孔部133bの上方に設けられた円筒状部133dと、円筒状部133dに取り付けられたセンサ部133eと、を含んで構成される。
【0066】
円筒状部133dは、孔部133bの周面に下端が溶接等により固着接続され、上方に延伸した円筒状の部材である。
【0067】
センサ部133eは、円筒状部133dに設けられたセンサ133fと、センサ133fに取り付けられ、センサ133fの検知に連動して報知を行う報知部133gと、を含んで構成される。
センサ133fは、例えば、被検知体に向けて発光する発光素子(図示省略)と、被検知体からの反射光を受光する受光素子(図示省略)と、を含み、受光素子からの反射光の受光量に基づいて、円筒状部133dに流入する薬液Lの高さが、当該センサ133fの設けられた高さ位置(図16に示すy1)に達したか否かを検知するセンサである。
報知部133gは、例えば、スピーカ等であり、センサ133fにより、円筒状部133dに流入する薬液Lの高さが、上記センサ133fの設けられた高さ位置に達したと検知された場合に、音声により使用者への報知を行うように構成されている。
【0068】
つまり、導入部132より導入した薬液Lの一部を排出して薬液Lを循環させる際に、センサ133fにより、円筒状部133dに流入する薬液Lが上記高さ位置に達したか否かを検知することで、貯留部131aに貯留される薬液Lの量が過多になっている(アニロックスロール151に対して薬液Lが過供給状態となっている)か否かを判別することが出来る。そして、上記過多の状態に至った場合、使用者は報知部133gによりその旨を知ることができるので、例えば、調整弁123を操作して薬液Lの押出量(流量)を調整することにより、当該過多の状態を解消することが可能となる。
なお、円筒状部133dは、内部が空洞で上端側が外気に接触しているため、孔部133bの作用を相殺してしまうことはない。
【0069】
次に、本実施形態に係る薬液供給装置200による、薬液Lの循環動作について説明する。
【0070】
まず、供給ポンプ122を駆動させ、貯留タンク110より薬液Lを押出し、押出ホース121及びドクターチャンバー130の導入部132を介して本体部131の貯留部131aへ供給する。
次いで、回動部160を回動させてアニロックスロール151に貯留部131aの薬液Lを供給し、刷版ロール152を介して薬液Lを積層連続シートS2上に転写させる。
加えて、吸引ポンプ142を駆動させ、導出部233を介して貯留部131aの薬液Lの一部を貯留タンク110へ向けて排出して循環させる。この際、導出部233の継手133a内で、孔部133bでの外気接触を介してドクターチャンバー130内の内圧変動が抑えられる。
また、上記循環の際に、センサ133fにより、円筒状部133dに流入する薬液Lの高さが、センサ133fの設けられた高さ位置に達したと検知され、報知部133gにより使用者へその旨が報知された場合、調整弁123を操作して薬液Lの流量の調整を行う。
【0071】
以上説明したように、本実施形態に係る薬液供給装置200によると、ドクターチャンバー130は、孔部133bの周面に下端が接続され、上方に延伸した円筒状の円筒状部133dと、円筒状部133dに設けられ、円筒状部133dに流入する薬液Lの高さが所定の高さ位置(センサ133fの設けられた高さ位置)に達したか否かを検知するセンサ133fと、センサ133fにより、円筒状部133dに流入する薬液Lの高さが上記所定の高さ位置に達したと検知された場合に報知する報知部133gと、を備えて構成される。
【0072】
つまり、薬液供給装置200によると、薬液供給装置100と同様の効果を発揮するのは勿論のこと、薬液Lを循環させる際に、センサ133f及び報知部133gにより、アニロックスロール151に対して薬液Lが過供給状態に至ったか否かを自動的に判別し、使用者に判別結果を報知することができるので、上記状態判別を使用者自身が行う負担が軽減される。
【0073】
<ドクターチャンバー形式の実施形態4>
次に、ドクターチャンバー形式の実施形態4の薬液供給装置300について、図17を用いて説明する。
ドクターチャンバー形式の実施形態2の薬液供給装置100及び実施形態3の薬液供給装置200では、孔部133bの開口量は固定値となるように構成したが、本実施形態の薬液供給装置300では、当該開口量を調整できるように構成する。
以下の薬液供給装置300の説明においては、ドクターチャンバー形式の実施形態2の薬液供給装置100及び実施形態3の薬液供給装置200との相違点を中心に説明し、一致する構成には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0074】
本実施形態の導出部333は、図17に示すように、継手133aと、円筒状部133dと、センサ部133eと、円筒状部133dに取り付けられた調整部133hと、を含んで構成される。調整部133hは、例えば、ニードルバルブであり、継手133aの上面に形成される開口としての孔部133jと、孔部133jの開口量を調整するバルブ本体133iと、を含んで構成される。
【0075】
孔部133jは、所定径からなる開口の周囲がオリフィスで囲まれた形状からなる。
バルブ本体133iは、上記孔部133jの開口の上方に配設され、先端がテーパ状で上下動可能なニードル軸(図示省略)を備え、当該ニードル軸を上下動させて、孔部133jのオリフィスと接触する際の開度に応じて孔部133jの開口量を調整できるように構成されている。
【0076】
つまり、上記調整部133hにより、孔部133jの開口量を調整することが可能となるので、薬液Lを循環させる際に、ドクターチャンバー131内の内圧変動量に応じて、孔部133jの開口量を適宜に調整することができる。そのため、例えば、センサ部133eにより、円筒状部133dに流入する薬液Lの高さが、センサ133fの設けられた高さ位置に達したと検知された場合、調整弁123を操作して薬液Lの押出量を調整することで対処するばかりでなく、調整部133hによる孔部133jの開口量の調整により、孔部133jによるエアー抜きの能力を高めて(外気との接触面積を拡張して)、ドクターチャンバー130内の内圧変動を抑えるという対処をとることも可能となる。
つまり、内圧変動を抑えることで、内圧変動によりもたらされるドクターチャンバー130内からの薬液Lの噴出や、アニロックスロール151上の薬液Lのドクターチャンバー130側への吸込み等が好適に防止されるので、薬液Lの循環が促進される。
【0077】
次に、本実施形態に係る薬液供給装置300による、薬液Lの循環動作について説明する。
【0078】
まず、供給ポンプ122を駆動させ、貯留タンク110より薬液Lを押出し、押出ホース121及びドクターチャンバー130の導入部132を介して本体部131の貯留部131aへ供給する。
次いで、回動部160を回動させてアニロックスロール151に貯留部131aの薬液Lを供給し、刷版ロール152を介して薬液Lを積層連続シートS2上に転写させる。
加えて、吸引ポンプ142を駆動させ、導出部333を介して貯留部131aの薬液Lの一部を貯留タンク110へ向けて排出して循環させる。上記循環の際、センサ133fにより、円筒状部133dに流入する薬液Lの高さが、センサ133fの設けられた高さ位置に達したと検知され、報知部133gにより使用者へその旨が報知された場合、調整弁123の操作又は調整部133hによる孔部133jの開口量の調整により対処することが出来る。
【0079】
以上説明したように、本実施形態に係る薬液供給装置300によると、ドクターチャンバー130は、孔部133jの開口量を調整する調整部133hを備える。
【0080】
つまり、薬液供給装置300によると、薬液供給装置100と同様の効果を発揮するのは勿論のこと、上記調整部133hにより、孔部133jの開口量を調整することが可能となるので、薬液Lを循環させる際に、ドクターチャンバー131内の内圧変動量に応じて、孔部133jの開口量を適宜に調整することで、ドクターチャンバー130内の内圧変動を一層好適に抑えることができる。
【0081】
他方、上記各実施形態の薬液供給装置においては、押出ホース121に繋がる導入部132及び押出ホース121に繋がる導入部132を各一つのみドクターチャンバー130が有する構造とされているが、例えば図18に示す各例のような構造としても良い。
【0082】
例えば、図18(A)では、幅広に形成されて回転軸R0廻りに回転するアニロックスロール151に沿って幅広の長方形状に外枠が形成されたドクターチャンバー130の幅方向Dの左右端付近の箇所に、それぞれ押出ホース121に繋がる導入部132を有した構造とされている。そして、このドクターチャンバー130の中央部に引込ホース141に繋がる一つの導出部133が存在する構造ともされている。
【0083】
つまり、図18(A)に示す例では、2本の押出ホース121がそれぞれ2つの導入部132に繋がって薬液Lをドクターチャンバー130の左右端付近から供給することで、貯留タンク110内からの新鮮な薬液Lをドクターチャンバー130内に平均的に供給でき、更に中央部の導出部133から余った薬液Lがドクターチャンバー130から導出されるようになる。
【0084】
また、図18(B)では、幅広に形成されて回転軸R0廻りに回転するアニロックスロール151に沿って幅広の長方形状に外枠が形成されたドクターチャンバー130の幅方向Dの左右端付近の箇所及び中央部の箇所に、それぞれ押出ホース121に繋がる導入部132を有した構造とされている。そして、このドクターチャンバー130の幅方向Dの左右寄りの箇所にそれぞれ引込ホース141に繋がる2つの導出部133が存在する構造ともされている。
【0085】
つまり、図18(B)に示す例では、3つの導入部132の各間に2つの導出部133がそれぞれ配置された構造とされていて、3本の押出ホース121がそれぞれ3つの導入部132に繋がって薬液Lをドクターチャンバー130の左右端付近及び中央部から供給することで、貯留タンク110内からの新鮮な薬液Lをドクターチャンバー130内に平均的に供給でき、更に2つの導出部133から余った薬液Lがドクターチャンバー130から導出されるようになる。
【0086】
他方、図18(C)では、幅広に形成されて回転軸R0廻りに回転するアニロックスロール151に沿って幅広の長方形状に外枠が形成されたドクターチャンバー130の幅方向Dに沿った等間隔且つ図の上側寄りの複数箇所に、それぞれ押出ホース121に繋がる導入部132を有した構造とされている。そして、各導入部132に隣り合ったドクターチャンバー130の図の下側寄りの箇所に、それぞれ引込ホース141に繋がる複数の導出部133が存在する構造ともされている。
【0087】
つまり、図18(C)に示す例では、ドクターチャンバー130の幅方向Dに沿って配置された複数の導入部132に押出ホース121からそれぞれ薬液Lが供給されると共に、これら導入部132にそれぞれ隣り合っている複数の導出部133から余った薬液Lがドクターチャンバー130から導出されるようになる。従って、本例でも、貯留タンク110内からの新鮮な薬液Lをドクターチャンバー130内に平均的に供給でき、更に導出部133から余った薬液Lがドクターチャンバー130から導出されるようになる。
【0088】
なお、本発明の範囲は上記実施形態に限られることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、薬液供給装置100において、チューブ133cを設けない場合は、孔部133bの上部にエアーフィルタを設置し、孔部133bへの紙粉等の異物の混入を防止するように構成してもよい。また、孔部133bは、貯留部131aの薬液Lの液面より上方であれば、本体部131の側面に設けてもよい。
【0089】
<フレキソ2ロール転写形式の実施形態>
ここでは、フキレソ印刷方式における2ロール転写形式の一例を説明する。
図11及び図19に示すように一方のフキレソ印刷方式とされる薬液塗布部53Aは、薬液の入っている薬液タンク66Aにディップロールである絞りロール62Aが浸されつつ回転可能に設置されている。さらに、薬液タンク66A外において絞りロール62Aと接しつつアニロックスロール63Aが、回転可能に設置されており、また、このアニロックスロール63Aと接し且つ積層連続シートS2の一面とも接する刷版ロール64Aが回転可能に設置されていて、積層連続シートS2を挟んで対向している弾性ロール65Aとで積層連続シートS2に圧力を付与している。
そして、本実施の形態では、この薬液塗布部53Aが後述するコンタクトエンボス手段54のコロ54Aと対向し且つ、前述のワインディングドラム56Aとも対向する積層連続シートS2の面側に位置している。
【0090】
また、図11及び図19に示すように他方のフレキソ印刷形式とされる薬液塗布部53Bは、薬液の入っている薬液タンク66Bにディップロールである絞りロール62Bが浸されつつ回転可能に設置されている。さらに、薬液タンク66B外において絞りロール62Bと接しつつアニロックスロール63Bが、回転可能に設置されており、また、このアニロックスロール63Bと接し且つ積層連続シートS2の他の面とも接する刷版ロール64Bが回転可能に設置されていて、積層連続シートS2を挟んで対向している弾性ロール65Bとで積層連続シートS2に圧力を付与している。
そして、本実施の形態では、この薬液塗布部53Bがコロ54Aと非対向とされ且つ、前述のワインディングドラム56Aとも非対向となる積層連続シートS2の他の面側に位置している。
【0091】
従って、積層連続シートS2の両面に薬液塗布部53A及び薬液塗布部53Bから薬液がそれぞれ塗布されるが、この際、薬液塗布部53Aによるコロ54Aと対向する積層連続シートS2の面側の塗布量を薬液塗布部53Bによる他の面側の塗布量に対して少なくしつつ、積層連続シートS2の両面からそれぞれ積層連続シートS2に対して薬液を塗布することができる。
【0092】
ここで、両面の合計塗布量を、前述のように1.5〜5g/m2とし、プライ原反ロールである二次原反ロールRの外周面の塗布量を、二次原反ロールRの内周面の塗布量より少なくする場合、紙の両面に対するローション剤の合計塗布量の内、二次原反ロールRの外周面への塗布量は、全体の20%以上で50%未満が良いが、具体的な値は、二次原反ロールRの滑りと品質のバランス、シートの厚みやローション剤の浸透性、転移性により最適条件が異なるので、上記の範囲で変化する。
具体的には、片面毎の塗布量を変えるだけでなく、フレキソ版の線数を15〜40線程度、頂点面積率を20〜40%程度の薬液が飛散しない程度に粗くすることが考えられ、このようにすることで、塗布直後はドット柄が残り、瞬間的に塗布部分と未塗布部分ができるようになる。
【0093】
従って、本実施の形態によれば、フレキソ形式を用いて版が樹脂であり弾力性があるため積層連続シートS2に多少の凹凸があっても印圧で調整可となるので、グラビア印刷のような金属ロールで塗布するよりも積層連続シートS2にシワが入り難くなる。他方、フレキソ印刷を応用したフレキソ印刷方式を用いることにより、加工速度が高速であっても塗布量を安定させることができ、また、一つのロールで幅広い薬液の粘度を安定的に塗布することができるようになる。具体的には、積層連続シートS2を700m/分以上の速度で搬送しつつ、薬液とされるローション剤を1.5g〜5g/m2の塗布量で塗布する際にも、塗布が均一で蛇行無く積層連続シートS2を巻き取れるようになる。
【0094】
また、付随する薬液塗布手段53の要件としては、以下のものが考えられる。
薬液タンク66A、66B等の塗布装置内で循環する薬液に含まれる紙粉やエアーのろ過装置を設置する必要があるが、ろ過装置としてはフィルターで紙粉等を除去することが考えられる。さらに、薬液タンク66A、66B等の塗布装置内で薬液の温度をコントロールし、薬液粘度を安定させる必要が考えられるが、薬液タンク66A、66Bに繋がる中間タンク及び配管にヒーターを設置することが考えられる。他方、操業中に積層連続シートS2の幅方向の水分率で塗布量を管理する必要が考えられるが、例えば赤外線の検査機等を用いて常に幅方向の水分量とバラツキをチェックするようにできる。
【0095】
なお、この本実施形態においては、アニロックスロール63A、63Bに対してドクターブレード(図示せず)を設けても良く、この場合、薬液を均一に塗布できる、アニロックスロール63A、63Bから薬液が飛散してしまうことを防止できるなどのメリットを享受できるが、この反面、ドクターブレードを手入れしたり交換したりしなければならないというデメリットが有る。
【0096】
<フレキソ1ロール転写形式の実施形態>
フキレソ印刷方式における1ロール転写形式とは、前述のフレキソ2ロール転写形式から絞りロール62A、62Bを省略したものである。この場合、アニロックスロール63A、63Bが、それぞれ薬液タンク66A、66Bに浸されつつ回転可能に設置される。また、これらのアニロックスロール63A、63Bに対しては、アニロックスロール63A、63B表面の薬液を掻き取るドクターブレード(図示せず)を設置しても良い。このようなフレキソ1ロール転写形式は、メンテナンスが比較的容易であるという利点や、ブレードの摩耗や薬液中の紙粉等の異物の混入状態を容易に目視できるという利点を有している。
【0097】
(薬液)
塗布する薬液について、粘度は高速加工を行う観点から40℃で1〜700mPa・sとする。より好ましくは50〜400mPa・s(40℃)とする。1mPa・sより小さいとアニロックスロール、刷版ロール、グラビアロール等のロール上で薬液が飛散しやすくなり、逆に700mPa・sより大きいと各ロールや連続シートへの塗布量をコントロールしにくくなる。成分はポリオールを70〜90%、水分を1〜15%、機能性薬品を0.01〜22%含むものとする。
ポリオールはグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその誘導体等の多価アルコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロース等の糖類を含む。
機能性薬剤としては、柔軟剤、界面活性剤、無機および有機の微粒子粉体、油性成分などがある。柔軟剤、界面活性剤はティシューに柔軟性を与えたり表面を滑らかにする効果があり、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤を適用する。無機および有機の微粒子粉体は表面を滑らかな肌触りとする。油性成分は滑性を高める働きがあり、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールを用いることができる。
また機能性薬剤としてポリオールの保湿性を助けたり、維持させる薬剤として親水性高分子ゲル化剤、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸若しくはその塩、セラミド等の1種以上を任意の組合せ等の保湿剤を加えることができる。
また機能性薬剤として香料、各種天然エキス等のエモリエント剤、ビタミン類、配合成分を安定させる乳化剤、薬液の発泡を抑え塗布を安定させるための消泡剤、防黴剤、有機酸などの消臭剤を適宜配合することができる。さらには、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化剤を含有させてもよい。
上記成分のうち、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールを主成分とすることが、薬液の粘度、塗布量を安定させる上で好ましい。
薬液塗布時の温度は30℃〜60℃、好ましくは35℃〜55℃とすることが好ましい。
【0098】
(コンタクトエンボス手段)
ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X3には、積層連続シートS2に対してコンタクトエンボスを付与するコンタクトエンボス手段54を設けることができる。
ここで、コンタクトエンボス手段54は、図13に示すように、金属ロール又は弾性ロールである受けロール54Bと表面に細かい凸部54Cを有する金属製で硬質のコロ54Aとが所定の圧力を有して相互に外周面同士を当接しつつ、それぞれ回転可能に設置されている。そして、積層連続シートS2におけるティシュペーパー製品の幅方向中央に該当する部分に対して、左右各2つずつ存在する凸部54Cと、受けロール54Bとの間で積層連続シートS2を挟みつつ搬送することで、積層連続シートS2に対して、積層連続シートS2の連続方向に沿って層間剥離を防止するライン状のコンタクトエンボスCEを施すようになっている。
尚、このコンタクトエンボスCEを施すコロ54Aと対向した側の面を外周側として前述の巻取り手段56が、積層連続シートS2を巻取ることになる。
【0099】
このようにコンタクトエンボスCEを付与することによって、複数の一次連続シート(図示例ではS11、S12)を積層して成る積層連続シートS2の層間剥離を防止する。なお、コンタクトエンボスCEは、ティシュペーパー製品の端部が層間剥離し難くなるように、ティシュペーパー製品の幅方向両側部に位置するよう、形成されることが好ましい。
【0100】
また、この接合工程において、本実施形態ではコロとして表面に細かい凸部54Cを有した金属製で硬質のコロ54Aを用いたが、積層連続シートS2に対して層間剥離を防止するライン状の接合部分が形成できればよく、例えばコロ54Aの替りに、表面に細かい針状の部材を有したローラをコロとすることもできる。
さらに、接合する為の手段としては上記例に限定されず、凸部の先端形状が、点状、正方形、長方形、円形、楕円形等の形状のものをコロとして用いても良く、凸部の先端形状が、細長い線状、細く斜めに伸びる線状等のものをコロとして用いても良い。
他方、凸部の配列としては等間隔が考えられるが、千鳥状としたり、等間隔としなくとも良く、また、凸部を1列に配置してコンタクトエンボスを連続して付与する他に、凸部を2列以上の複数列配置することも考えられる。そして、コンタクトエンボスを緊密に複数列付与するように凸部が配置された群を複数並べて、複数のコンタクトエンボス群を付与するようにしても良い。尚、接合工程としては、上記のように機械的に圧力を加えて接合する他に、超音波等の他の手段により接合しても良い。
【0101】
(一次連続シート)
一次連続シートS11、S12の原料パルプは、特に限定されず、ティシュペーパー製品の用途に応じて適宜の原料パルプを選択して使用することができる。原料パルプとしては、例えば、木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプなどから、より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
【0102】
特に、原料パルプは、NBKPとLBKPとを配合したものが好ましい。適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、風合いなどの点で、NBKPとLBKPのみから構成されているのがよく、その場合の配合割合(JIS P 8120)としては、NBKP:LBKP=20:80〜80:20がよく、特に、NBKP:LBKP=30:70〜60:40が望ましい。
【0103】
一次連続シートS11、S12は、JIS P 8124による坪量が、10〜25g/m2とされ、好ましくは12〜20g/m2とされ、より好ましくは13〜16g/m2とされる。坪量が10g/m2未満であると、柔らかさの点においては好ましいが、適正な強度を確保することができなくなる。他方、坪量が25g/m2を超えると、硬くなりすぎて、肌触りが悪化する。
また、紙厚(尾崎製作所製ピーコックにより測定)は1プライで80〜250μm、好ましくは100〜200μm、より好ましくは130〜180μmとされる。
【0104】
一次連続シートS11、S12は、クレープ率が10〜30%であるのが好ましく、12〜25%であるのがより好ましく、13〜20%であるのが特に好ましい。クレープ率が10%未満であると、加工時に断紙しやすいとともに伸びの少ないコシのないティシュペーパー製品となる。他方、クレープ率が30%超過であると、加工時のシートの張力コントロールが難しく断紙しがちとなり、また、製造後にはシワが発生して見栄えの悪いティシュペーパー製品となる。
【0105】
一次連続シートS11、S12は、JIS P 8113に規定される乾燥引張強度(以下、乾燥紙力ともいう)の縦方向が、2プライで200〜700cN/25mm、好ましくは250〜600cN/25mm、特に好ましくは300〜600cN/25mmとされ、他方、横方向が、2プライで100〜300cN/25mm、好ましくは130〜270cN/25mm、特に好ましくは150〜250cN/25mmとされる。原紙の乾燥引張強度が低すぎると、製造時及び使用時の断紙や伸び等のトラブルが発生し易くなり、高過ぎると使用時にごわごわした肌触りとなる。
【0106】
これらの紙力は公知の方法により調整でき、例えば、乾燥紙力増強剤を内添(ドライヤーパートよりも前の段階、例えばパルプスラリーに添加)する、パルプのフリーネスを低下(例えば30〜40ml程度低下)させる、NBKP配合率を増加(例えば50%以上に)する等の手法を適宜組み合わせることができる。
【0107】
乾燥紙力剤としては、澱粉、ポリアクリルアミド、CMC(カルボキシメチルセルロース)若しくはその塩であるカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース亜鉛等を用いることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、尿素樹脂、酸コロイド・メラミン樹脂、熱架橋性付与PAM等を用いることができる。湿潤紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で5〜20kg/t程度とすることができる。また、乾燥紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で0.5〜1.0kg/t程度とすることができる。
【0108】
〔ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法〕
次に、本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法の一例を説明する。本形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法は、例えば、上述したティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X3を用いて行うことができる。
図11に示すように、本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法においては、プライ手段51で複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートS1をその連続方向に沿って積層して積層連続シートS2とし(積層工程)、この積層連続シートS2に対して、コンタクトエンボス手段54で層間に剥離やズレが生じることを防止するライン状のコンタクトエンボスを施し(コンタクトエンボス工程)、次に、積層連続シートS2に対して一対の薬液塗布手段53で薬液を塗布し(薬液塗布工程)、スリット手段55によって積層連続シートS2をティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットし(スリット工程)、次に、スリット工程でスリットされた積層連続シートS2を同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールRを、巻き取り手段56によって形成する。
【0109】
なお、本形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法では、上述したティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X3と同様に、積層工程の後段であって且つコンタクトエンボス工程の前段に、積層連続シートS2に対して一対のカレンダー手段52で平滑化処理する平滑化工程を設けることもできる。
【0110】
本実施形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備又は製造方法においては、加工速度は100〜1100m/分とされ、好ましくは350〜1050m/分とされ、より好ましくは450〜1000m/分とされる。100m/分未満だと生産性が低く、他方、1100m/分超過であると、積層連続シートS2の断紙する頻度が高くなり、薬液塗布工程は刷版ロールやアニロックスロールの薬液の転移が不安定になりがちとなるため、塗布ムラが生じる可能性がある。
【0111】
〔マルチスタンド式インターフォルダ〕
上述のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備、製造方法で製造された二次原反ロールRは、マルチスタンド式インターフォルダに多数セットされ、セットされた二次原反ロールRから二次連続シートを繰り出して折り畳むと共に積層することによってティシュペーパー束が製造される。以下では、そのマルチスタンド式インターフォルダの一例について説明する。
【0112】
図2及び図3に、マルチスタンド式インターフォルダの一例を示した。図中の符号2は、マルチスタンド式インターフォルダ1の図示しない二次原反ロール支持部にセットされた二次原反ロールR,R…を示している。この二次原反ロールR,R…は、必要数が図示平面と直交する方向(図2における水平方向、図3における紙面前後方向)に横並びにセットされている。各二次原反ロールRは、上述のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備、製造方法でティシュペーパー製品幅にスリットが入れられており、ティシュペーパー製品の複数倍幅、図示例では2倍幅で巻き取られ、セットされている。
【0113】
二次原反ロールRから巻き出された連続する帯状の二次連続シート3A及び3Bは、ガイドローラG1、G1等のガイド手段に案内されて折畳機構部20へ送り込まれる。また、折畳機構部20には、図4に示すように、折板P,P…が必要数並設されてなる折板群21が備えられている。各折板Pに対しては、一対の連続する二次連続シート3A又は3Bを案内するガイドローラG2,G2やガイド丸棒部材G3,G3が、それぞれ適所に備えられている。さらに、折板P,P…の下方には、折り畳みながら積み重ねられた積層帯30を受けて搬送するコンベア22が備えられている。
【0114】
この種の折板P,P…を用いた折畳機構は、例えば、米国特許4052048号特許明細書等によって公知の機構である。この種の折畳機構は、図5に示すように、各連続する二次連続シート3A,3B…を、Z字状に折り畳みながら、かつ隣接する連続する二次連続シート3A,3B…の側端部相互を掛け合わせながら積み重ねる。
【0115】
図7〜図10に、折畳機構部20の特に折板Pに関する部位を、詳しく示した。本折畳機構部20においては、各折板Pに対して、一対の連続する二次連続シート3A及び3Bが案内される。この際、連続する二次連続シート3A及び3Bは、ガイド丸棒部材G3,G3によって、側端部相互が重ならないように位置をずらされながら案内される。
【0116】
折板Pに案内された時点で下側に重なっている連続する二次連続シートを第1の連続する二次連続シート3Aとし、上側に重なっている連続する二次連続シートを第2の連続する二次連続シート3Bとすると、これら連続する二次連続シート3A及び3Bは、図5及び図8に示すように、第1の連続する二次連続シート3Aの第2の連続する二次連続シート3Bと重なっていない側端部e1が、折板Pの側板P1によって、第2の連続する二次連続シート3Bの上側に折り返されるとともに、図5及び図9に示すように、第2の連続する二次連続シート3Bの第1の連続する二次連続シート3Aと重なっていない側端部e2が、折板PのスリットP2から折板P下に引き込まれるようにして下側に折り返される。この際、図5及び図10に示すように、上流の折板Pにおいて折り畳みながら積み重ねられた連続する二次連続シート3Aの側端部e3(e1)が、折板PのスリットP2から第2の連続する二次連続シート3Bの折り返し部分間に案内される。このようにして、各連続する二次連続シート3A,3B…は、Z字状に折り畳まれるとともに、隣接する連続する二次連続シート3A及び3Bの側端部相互が掛け合わされ、したがって、製品使用時において、最上位のティシュペーパーを引き出すと、次のティシュペーパーの側端部が引き出されることになる。
【0117】
以上のようにしてマルチスタンド式インターフォルダ1で得られた積層帯30は、図2に示すように、後段の切断手段41において流れ方向FLに所定の間隔をおいて裁断(切断)されてティシュペーパー束30aとされ、図6(a)に示すように、このティシュペーパー束30aは、更に後段設備において収納箱Bに収納される。なお、以上のようなマルチスタンド式インターフォルダ1では、積層帯30の紙の方向は、流れ方向FLに沿って縦方向(MD方向)となっており、流れ方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となっている。このため、積層帯30を所定の長さに切断して得られたティシュペーパー束30aを構成するティシュペーパーの紙の方向は、図6(a)に示すように、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向に沿って縦方向(MD方向)となり、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となる。
【0118】
図6(b)に、収納箱Bにティシュペーパー束30aを収納して成る製品の一例を示した。収納箱Bの上面にはミシン目Mが設けられており、このミシン目Mで収納箱B上面の一部を破断することにより収納箱Bの上面が開口するようになっている。この開口は中央にスリットを有するフィルムFによって覆われており、このフィルムFに設けられたスリットを介してティシュペーパーTを取出すことができるようになっている。
ところで、前述したように、ティシュペーパー束30aを構成するティシュペーパーの紙の方向は、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となるため、図6(b)に示すように、ティシュペーパーTを収納箱Bから引き出す際には、その引き出し方向は、ティシュペーパーTの横方向(CD方向)と沿うようになっている。
【0119】
〔その他〕
本発明には、以下の発明も含まれる。
(発明A1)
一次原反ロールから連続的にティシュペーパー製品用の複数の二次原反ロールを製造するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備であって、
複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層手段と、
積層連続シートに対して層間の剥離及びズレを防止するライン状のコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス手段と、
前記コンタクトエンボス手段の後段に設置された、積層連続シートに対して薬液を塗布する薬液塗布手段と、
積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット手段と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを形成する巻取り手段と、を有することを特徴とするティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備。
【0120】
(発明A2)
前記コンタクトエンボス手段の前段に、積層連続シートにカレンダーによって平滑化処理する平滑化手段を有する、発明A1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備。
【0121】
(発明A3)
前記薬液塗布手段がグラビア印刷方式である、発明A1又は発明A2に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備。
【0122】
(発明A4)
前記薬液塗布手段がフレキソ印刷方式である、発明A1又は発明A2に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備。
【0123】
(発明B1)
複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層工程と、
積層連続シートに対して層間の剥離及びズレを防止するライン状のコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス工程と、
前記コンタクトエンボス工程の後に、積層連続シートに対して薬液を塗布する薬液塗布工程と、
積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット工程と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを形成する巻取り工程と、
複数の前記二次原反ロールから繰り出される複数の二次連続シートをその連続方向に沿って移送すると共に、折畳みながら積み重ねる工程と、を有することを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【0124】
(発明B2)
前記コンタクトエンボス工程の前に、積層連続シートにカレンダーによって平滑化処理する平滑化工程を有する、発明B1に記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【0125】
(発明B3)
前記薬液の塗布をグラビア印刷方式によって行う、発明B1又は発明B2に記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【0126】
(発明B4)
前記薬液の塗布をフレキソ印刷方式によって行う、発明B1又は発明B2に記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【0127】
(発明C1)
複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層手段と、
積層連続シートに対して層間の剥離及びズレを防止するライン状のコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス手段と、
前記コンタクトエンボス手段の後段に設置された、積層連続シートに対して薬液を塗布する薬液塗布手段と、
積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット手段と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを形成する巻取り手段と、
複数の前記二次原反ロールから繰り出される複数の二次連続シートをその連続方向に沿って移送すると共に、折畳みながら積み重ねる手段と、を有することを特徴とするティシュペーパー製品の製造設備。
【0128】
(発明C2)
前記コンタクトエンボス手段の前段に、積層連続シートにカレンダーによって平滑化処理する平滑化手段を有する、発明C1に記載のティシュペーパー製品の製造設備。
【0129】
(発明C3)
前記薬液塗布手段がグラビア印刷方式である、発明C1又は発明C2に記載のティシュペーパー製品の製造設備。
【0130】
(発明C4)
前記薬液塗布手段がフレキソ印刷方式である、発明C1又は発明C2に記載のティシュペーパー製品の製造設備。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、マルチスタンド式インターフォルダで用いられるティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造に適用できるものである。
【符号の説明】
【0132】
51・・・プライ手段(積層工程)
52・・・カレンダー手段(平滑化工程)
53・・・薬液塗布手段(薬液塗布工程)
54・・・コンタクトエンボス手段(コンタクトエンボス工程)
55・・・スリット手段(スリット工程)
56・・・巻き取り手段(巻き取り工程)
S11、S12・・・一次連続シート
S2・・・積層連続シート
JR・・・一次原反ロール
R・・・二次原反ロール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次原反ロールから連続的にティシュペーパー製品用の複数の二次原反ロールを製造するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法であって、
複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層工程と、
積層連続シートに対して層間の剥離及びズレを防止するライン状のコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス工程と、
前記コンタクトエンボス工程の後に、積層連続シートに対して薬液を塗布する薬液塗布工程と、
積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット工程と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを形成する巻取り工程と、を有することを特徴とするティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項2】
前記コンタクトエンボス工程の前に、積層連続シートにカレンダーによって平滑化処理する平滑化工程を有する、請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項3】
前記薬液の塗布をグラビア印刷方式によって行う、請求項1又は請求項2に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項4】
前記薬液の塗布をフレキソ印刷方式によって行う、請求項1又は請求項2に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項1】
一次原反ロールから連続的にティシュペーパー製品用の複数の二次原反ロールを製造するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法であって、
複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層工程と、
積層連続シートに対して層間の剥離及びズレを防止するライン状のコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス工程と、
前記コンタクトエンボス工程の後に、積層連続シートに対して薬液を塗布する薬液塗布工程と、
積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット工程と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを形成する巻取り工程と、を有することを特徴とするティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項2】
前記コンタクトエンボス工程の前に、積層連続シートにカレンダーによって平滑化処理する平滑化工程を有する、請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項3】
前記薬液の塗布をグラビア印刷方式によって行う、請求項1又は請求項2に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項4】
前記薬液の塗布をフレキソ印刷方式によって行う、請求項1又は請求項2に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−136157(P2011−136157A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261652(P2010−261652)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【分割の表示】特願2009−298278(P2009−298278)の分割
【原出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【分割の表示】特願2009−298278(P2009−298278)の分割
【原出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
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