説明

ティッシュ繰り出し容器

【課題】開口から露出するウェットティッシュの部分を蓋のヒンジの側に倒伏させておくことができるティッシュ繰り出し容器を提供する。
【解決手段】ティッシュ繰り出し容器10は、開口38から露出するウェットティッシュ19の部分19Aを蓋17のヒンジ34へ向かって倒伏させる弾性的に撓み可能なフラップ40を有する。フラップ40は、開口38を覆う被覆部と、開口38を越えてヒンジ34の側に位置する開口周縁部41上に位置する先端部とを有する。ティッシュ19の部分19Aはフラップ40に押さえ込まれるとともに開口周縁部41とフラップ40の先端部とに挟まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに重なり合う複数枚のウェットティッシュを収容し、ティッシュの一枚ずつを順に引っ張り出すことができるティッシュ繰り出し容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに重なり合う複数枚のウェットティッシュを包装したティッシュ包装物を収容し、頂壁にティッシュの一枚ずつを引っ張り出すことが可能な開口が形成され、開口を含む頂壁を覆うことが可能な蓋を有するウェットティッシュ詰め替え容器が知られている。かかる容器の一つは、下記特許文献1に開示されている。この容器では、頂壁は、その周縁部が側壁の頂縁部に着脱可能に嵌め込まれている。蓋は、頂壁の周縁部に連接されたヒンジを介して前後方向へ揺動する。容器では、頂壁と側壁との嵌合を解除し、容器から頂壁を取り外すことでティッシュ包装物を詰め替えることができる。ティッシュ包装物を詰め替えた後は、再び頂壁を側壁に嵌合させる。
【0003】
ウェットティッシュは、その複数枚がティッシュ包装物の内部で垂直方向に積み重なっている。包装物の内部では、個々のウェットティッシュが2つに折り畳まれ、一方のティッシュの折り畳まれた半分が他方のティッシュの折り畳まれた半分どうしの間に介在するように、それらティッシュが互いに重なり合っている。容器からティッシュを取り出すには、蓋を開け、開口から露出するティッシュの部分を指で摘持し、開口を囲繞する開口周縁部の縁とそこに接するティッシュとの間の摩擦抵抗に抗ってティッシュを縦方向上方へ引っ張る。ティッシュの一枚が容器から引っ張り出されると、その下方に位置するティッシュが取り出されたティッシュに引き連れられて開口から露出するので、ティッシュの一枚ずつを容器から順に取り出すことができる。ティッシュを容器から引っ張り出した後は、容器内のティッシュの乾燥を防ぐため、蓋を閉めて開口を塞ぐ。
【特許文献1】特開平8−72949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公報に開示の容器では、開口から露出するウェットティッシュの部分が蓋のヒンジの反対側に倒れると、ティッシュの部分が蓋の周縁を越えて蓋の周縁の外側にはみ出す場合がある。ティッシュの部分が蓋の周縁の外側にはみ出すと、ティッシュの部分が蓋を閉めるときの邪魔になり、蓋を閉めることができなかったり、ティッシュの部分が頂壁と蓋の周縁とに挟まれた状態で蓋が閉められてしまう場合がある。
【0005】
本発明の目的は、ウェットティッシュが蓋を閉めるときの邪魔にならないように、開口から露出するティッシュの部分を蓋のヒンジの側に倒伏させておくことができるティッシュ繰り出し容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明は、互いに重なり合う複数枚のウェットティッシュを収容し、前記ティッシュの一枚ずつを引っ張り出すことが可能な開口が形成された頂壁を有する容器本体と、前記頂壁にヒンジを介して連なり、前記ヒンジを中心に前記容器本体の前後方向へ揺動可能であって前記開口と該開口を囲繞する開口周縁部とを覆うことが可能な蓋とを含むティッシュ繰り出し容器の改良に係る。
【0007】
本発明の特徴は、前記容器本体が、前記頂壁と前記蓋との間に位置する弾性的に撓み可能なフラップを含み、前記フラップは、前記開口を挟んで前記ヒンジの反対側に位置する付根部から前記開口上へ延び、前記ティッシュを引っ張り出すときに前記フラップに対する前記ティッシュの押し上げで前記付根部を支点として上方へ弾性的に反り可能であり、かつ、前記開口から露出する前記ティッシュの部分を前記フラップの弾力によって前記ヒンジへ向かって倒伏させることが可能であることにある。
【0008】
本発明は、以下の実施態様を含む。
前記フラップは、前記開口上に位置する被覆部と、前記被覆部に連なって前記開口を越える先端部とを有する。前記先端部は、前記ヒンジの側における前記開口周縁部上に位置する。
前記開口は、前記ヒンジの側へ向かって凹む第1湾曲部を有する。
前記フラップの前記被覆部及び前記先端部は、第1及び第2部分に分割され、前記第1及び第2部分の間に前記付根部へ向かって凹むように第2湾曲部が形成される。前記第1及び第2湾曲部によって中央開口が画成される。
前記容器本体は、前記頂壁を含む前記容器本体よりも剛性の、前記開口を囲繞する補強枠を含む。前記補強枠は、前記頂壁に一体に形成される。前記蓋は、前記頂壁を含む前記容器本体よりも剛性であって前記ヒンジを介して前記補強枠に連接される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るティッシュ繰り出し容器によれば、弾性的に撓み可能なフラップが開口から露出するウェットティッシュの部分を蓋のヒンジへ向かって倒伏させるので、ティッシュの部分がヒンジ反対側に倒伏することはない。容器は、ウェットティッシュが開口から大きく露出したとしても、ティッシュの部分が蓋のヒンジへ向かって倒伏し、該部分がヒンジの側に位置するので、ティッシュの部分が蓋の周縁の外側にはみ出すことはない。この容器は、ティッシュの部分が蓋を閉めるときの邪魔にならず、蓋を確実に閉めることができるとともに、ティッシュの部分が頂壁と蓋の周縁とに挟まれた状態で蓋が閉められてしまうことがない。
【0010】
フラップの先端部がヒンジの側における開口周縁部上に位置している態様では、開口から露出するウェットティッシュが開口周縁部とフラップの先端部とに挟まれるので、ティッシュの部分がヒンジの反対側へ向かって倒伏することはなく、フラップを介してティッシュの部分を蓋のヒンジへ向かって確実に倒伏させることができる。
【0011】
開口がヒンジの側へ向かって凹む第1湾曲部を有し、さらに、フラップの被覆部及び先端部が第1及び第2部分に分割され、第1及び第2部分の間にフラップの付根部へ向かって凹むように第2湾曲部が形成され、第1及び第2湾曲部によって中央開口が画成される態様では、容器の使用に際して、中央開口へ指を差し込んで、容器の内部に収容されたウェットティッシュを容易に摘持することができる。
【0012】
容器本体が、頂壁を含む容器本体よりも剛性の、開口を囲繞する補強枠を含み、補強枠が頂壁に一体に形成され、蓋が頂壁を含む容器本体よりも剛性であってヒンジを介して補強枠に連接される態様では、容器本体を可撓性材料から形成する場合でも、補強枠及び蓋による容器本体の形態保持及び蓋の開閉操作が確実な容器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
添付の図面を参照し、本発明に係るティッシュ繰り出し容器の詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0014】
図1は蓋17を開けた状態の一例として示すティッシュ繰り出し容器10の斜視図、図2は図1の2−2線矢視断面図、図3はティッシュ包装物20とプレート24,25とを取り外した状態の容器10の斜視図、図4は容器10から取り外したプレート24,25の平面図である。図1,2では、垂直方向を矢印L、横方向を矢印M(図1のみ)で示し、前後方向を矢印Nで示す。図1,2には、ウェットティッシュ19の部分19Aが開口38から容器10の外側に露出した状態が示されている。
【0015】
容器10は、垂直縦方向へ対向する矩形の頂底壁11,12と、前後方向へ対向して垂直方向へ延びる矩形の前後側壁13,14と、横方向へ対向して垂直方向へ延びる矩形の左右側壁15,16とから形成される容器本体10Aと、頂壁11に取り付けられた蓋17とから構成されている。容器本体10Aは、可撓性のそれら壁11,12,13,14,15,16が実質的に直交する六面体である。容器本体10Aには、それら壁11,12,13,14,15,16に囲繞されたティッシュ収納部18が画成されている。収納部18には、複数枚のウェットティッシュ19を包装したティッシュ包装物20が収容されている。
【0016】
頂壁11は、その周縁部21が可撓性プラスチックシートから形成され、その下面に2枚の第1および第2プレート24,25が位置している。頂壁11の中央域には矩形の貫通孔26が形成され、貫通孔26にそれらプレート24,25の一部が臨んでいる。頂壁11には、貫通孔26を囲繞する補強枠27が取り付けられている。補強枠27は、頂壁11よりも高い曲げ剛性を有するプラスチック材料から作られ、頂壁11の周縁部21の上面に固定されている。蓋17は、その内面に突縁部35と、その前側中央部に突起35aと、先端に指掛け部17Aとを有する。蓋17が閉じられたとき、突起35aと係合する突起28aが補強枠27の突縁部28に形成されている。底壁12は、その全体が可撓性プラスチックシートから形成されている。前後側壁13,14と左右側壁15,16とは、繊維不織布から形成されている。頂底壁11,12とそれら側壁13,14,15,16とは、縫製によって連結されている。
【0017】
前後側壁13,14と左右側壁15,16との縦方向中央には、容器本体10Aの周り方向へ延びるジッパー30が取り付けられている。ジッパー30は、それら側壁13,14,15,16に縫製によって連結されたジッパーテープ31,32と、それらに取り付けられたスライダー33とから構成されている。スライダー33を容器本体10Aの周り方向へ移動させることで、ジッパーテープ31,32どうしを係合させたり、それらどうしの係合を解除することができる。
【0018】
蓋17は、頂壁11よりも高い曲げ剛性を有するプラスチック材料から作られ、横方向へ長い矩形を呈する。蓋17は、ヒンジ34を介して容器本体10Aの前後方向へ揺動可能である。ヒンジ34は、補強枠27に連接されて頂壁11につながっている。図1の状態から蓋17を前方向へ揺動させると、蓋17の突起35aが補強枠27の突起28aの下方にスナップ係合し、蓋17を閉じた状態が維持される。閉じた状態にある蓋17を後方向へ揺動させると、突起28a,35aの互いの係合が解かれ、蓋17を開けることができる。
【0019】
第1および第2プレート24,25は、頂壁11よりも高い曲げ剛性を有するプラスチック材料から作られ、同形同大の横方向へ長い矩形を有する。第1プレート24は、第2プレート25の下方に位置している。それらプレート24,25は、上下に互いに重なり合った状態で当接する面どうしが固定されている(後記するフラップ40を除く)。第2プレート25は、その周縁部37が頂壁11の周縁部21の内面に固定されている。第1及び第2プレート24,25の中央部には、ティッシュ19の一枚ずつを引っ張り出すことが可能な開口38,39が形成されている。開口38は、横方向へ長く、その後側中央部においてヒンジ34の側へ向かって凹む湾曲部46を有し、開口39はほぼ楕円形で開口38と重なっている。
【0020】
容器本体10Aは、開口38から露出するウェットティッシュ19の部分19Aをヒンジ34へ向かって倒伏させる弾性的に撓み可能なフラップ40を含む。フラップ40は、第2プレート25の中央域に形成されて頂壁11と蓋17との間に位置し、開口38,39の前側中央部における周縁部の近傍に付根部42を有し、付根部42からヒンジ34へ向かって開口38,39上にほぼ水平に延びている。フラップ40は、開口38を跨ぎ、付根部42を介して上方へ弾性的に反り可能である。フラップ40は、開口38上に位置して開口38を覆う一対の被覆部44と、被覆部44に連なって開口38を越える先端部45とを有する。付根部42は、開口38を挟んでヒンジ34の反対側に位置し、ヒンジ34と対向している。フラップ40の上下への曲げ剛性は、先端部45が最も高く、付根部42が最も低い。フラップ40には、一対の被覆部44の間に、付根部42の側へ向かって凹み、開口38の湾曲部46と対向して中央開口50を画成する湾曲部47が形成されている。先端部45は、ヒンジ34の側に位置する開口周縁部41上に位置しこれと重なっている。
【0021】
ウェットティッシュ19は、平面形状が矩形を有し、その複数枚がティッシュ包装物20の内部で縦方向に積み重なっている。包装物20の内部では、個々のウェットティッシュ19が2つに折り畳まれ、一方のティッシュ19の折り畳まれた半分が他方のティッシュ19の折り畳まれた半分どうしの間に介在するように、それらティッシュ19が互いに重なり合っている。包装物20は、柔らかいフィルムから作られている。包装物20の頂部には、ティッシュを取り出すための横方向へ長い取出口52が形成されている。使用前の包装物20は、頂部に剥離可能に貼付された剥離シート(図示せず)によって取出口52が塞がれている。頂部から剥離シートを剥がすと、頂部において取出口52が露出し、包装物20内からティッシュ19の1枚ずつを順に取り出すことができる。
【0022】
図5は、ウェットティッシュ19を引っ張り出す途中の状態の容器10の斜視図である。以下、この容器10を使用する手順を説明する。容器本体10Aにティッシュ包装物20をセットするには、最初にスライダー33を移動させてジッパーテープ31,32どうしの係合を解除する。ジッパーテープ31,32どうしの係合を解くと、容器本体10Aの前後壁13,14と左右側壁15,16とが縦方向に分断され、頂底壁11,12を互いに離間させるように容器本体10Aを上方へ開くことができ、ティッシュ収納部18の口を開けることができる。収納部18の口を開けて取出口52を露出させた包装物20を収納部18に入れ、再びスライダー33を移動させてジッパーテープ31,32どうしを係合させる。次に、蓋17を開け、中央開口50から収納部18に指を入れ、収納部18に位置するティッシュ19を指で摘持し、開口38から容器本体10Aの外側にティッシュ19の部分19Aを露出させた後、蓋17を閉める。開口38からティッシュ19の部分19Aを露出させるときには、フラップ40が付根部42を支点としてフラップ40に対するティッシュ19の押し上げで上方へ弾性的に反るが、部分19Aを露出させた後にティッシュ19から指を離すと、フラップ40がその弾力でヒンジ34へ向かって開口38上に復元する。開口38から露出するティッシュ19の部分19Aは、フラップ40に押さえ込まれるとともに、ヒンジ34の側における開口周縁部41とフラップ40の先端部45とに挟まれ、ヒンジ34へ向かって倒伏する。
【0023】
容器10からウェットティッシュ19を取り出すには、蓋17を開け、開口38から露出するティッシュ19の部分19Aを指で摘持し、開口周縁部41の縁とそこに接するティッシュ19との間の摩擦抵抗に抗ってティッシュ19を上方へ引っ張る。図4に示すように、ティッシュ19を上方へ引っ張ると、フラップ40が付根部42を支点としてフラップ40に対するティッシュ19の押し上げで上方へ弾性的に反り、ティッシュ19が開口38から除々に露出する。ティッシュ19の一枚が容器10から引っ張り出されると、その下方に位置するティッシュ19が取り出されたティッシュ19に引き連れられて開口38から露出するので、ティッシュ19の一枚ずつを容器10から順に取り出すことができる。ティッシュ19の一枚を容器10から取り出すと、フラップ40がヒンジ34の側へ向かって開口38上に復元する。開口38から露出したティッシュ19の部分19Aは、フラップ40に押さえ込まれるとともに、開口周縁部41とフラップ40の先端部45とに挟まれ、ヒンジ34の側へ向かって倒伏する。ティッシュ19を容器10から引っ張り出した後は、収納部18内のティッシュ19の乾燥を防ぐため、蓋17を閉めて開口38と開口周縁部41とを覆う。なお、包装物20内のティッシュ19を使い切った後は、スライダー33を移動させてジッパーテープ31,32どうしの係合を解き、収納部18の口を開いて新しい包装物20を収納部18に入れる。
【0024】
容器10は、フラップ40が開口38から露出するウェットティッシュ19の部分19Aを蓋17のヒンジ34の側へ向かって倒伏させるので、部分19Aがヒンジ34の反対側(付根部42の側)に倒伏することはない。容器10は、開口38から露出するティッシュ19の部分19Aが開口周縁部41とフラップ40の先端部45とに挟まれるので、フラップ40を介して部分19Aをヒンジ34の側へ向かって確実に倒伏させることができる。容器10は、ティッシュ19が開口38から大きく露出したとしても、ティッシュ19の部分19Aがヒンジ34の側へ向かって倒伏し、部分19Aがヒンジ34に当接するので、部分19Aが蓋17の周縁の外側にはみ出すことはない。容器10は、開口38から露出するティッシュ19の部分19Aが蓋17を閉めるときの邪魔にならず、蓋17を確実に閉めることができるとともに、部分19Aが補強枠27(頂壁11)と蓋17の周縁とに挟まれた状態で蓋17が閉められてしまうことがない。
【0025】
容器10は、中央開口50に指を入れて収納部18内に位置するウェットティッシュ19を摘持することができるので、フラップ40の先端部45が収納部18内のティッシュ19を摘持するときの邪魔にならず、フラップ40を上方へ反らせることなくティッシュ19を摘持することができる。容器10は、収納部18から最初のティッシュ19を簡単に引っ張り出すことができるのみならず、容器10の使用中にティッシュ19が収納部18内に引っ込んでしまった場合でも、引っ込んだティッシュ19を中央開口50から容器10の外側に簡単に引っ張り出すことができる。
【0026】
容器10は、フラップ40の付根部42における曲げ剛性が低く、容器10からウェットティッシュ19を引っ張り出すときに、フラップ40が付根部42を介して上方へ容易に反るので、フラップ40が容器10からティッシュ19を引っ張り出すときの抵抗となることはなく、容器10からティッシュ19を円滑に取り出すことができる。容器10は、包装物20内のティッシュ19を使い切った後でも、新しい包装物20を補充すればよいから、繰り返して使用することができる。
【0027】
図6は、蓋17を開けた状態の他の一例として示すティッシュ繰り出し容器10の斜視図、図7は図6の7−7線矢視断面図である。図6,7では、垂直方向を矢印L、横方向を矢印M(図6のみ)で示し、前後方向を矢印Nで示す。図6,7には、ウェットティッシュ19の部分19Aが開口38から容器10の外側に露出した状態が示されている。
【0028】
容器10は、垂直方向へ対向する矩形の頂底壁11,12と、前後方向へ対向して垂直方向へ延びる矩形の前後側壁13,14と、横方向へ対向して垂直方向へ延びる矩形の左右側壁15,16とから形成される容器本体10Bと、頂壁11に取り付けられた蓋17とから構成されている。容器本体10Bは、それら壁11,12,13,14,15,16が実質的に直交する六面体である。容器本体10Bには、それら壁11,12,13,14,15,16に囲繞されたティッシュ収納部18が画成されている。収納部18には、既述の実施形態と同様の複数枚のウェットティッシュ19を包装したティッシュ包装物20が収容されている。容器本体10Bと蓋17とは、比較的剛性なプラスチック材料から作られている。
【0029】
頂壁11は、その周縁部21が側壁13,14,15,16の頂縁部53に着脱可能に嵌め込まれている。頂壁11の中央部54には、ウェットティッシュ19の一枚ずつを引っ張り出すことが可能な横方向へ長い開口38が形成されている。蓋17は、その内面へ屈曲する突縁55と、その前側中央部に位置する凹部55aと、前端上面に指掛け部17Aとを有する。蓋17が閉じられたとき、凹部55aと係合する突起56aが頂壁11の周縁部56の内側に形成されている。頂壁11には、開口38から露出するティッシュ19の部分19Aを蓋17のヒンジ34の側へ向かって倒伏させる弾性的に撓み可能なフラップ40が取り付けられている。
【0030】
蓋17は、頂壁11の周縁部21に連接されたヒンジ34を介して前後方向へ揺動可能である。図6の状態から蓋17を前方へ揺動させると、突起56aが凹部55aに係合し、蓋17を閉じた状態が維持される。閉じた状態にある蓋17を後方へ揺動させると、突起56aと凹部55aとの係合が解かれ、蓋17を開けることができる。蓋17は、開口38と開口38を囲繞する開口周縁部41とを覆うことが可能である。
【0031】
フラップ40は、横方向へ長い矩形を有し、頂壁11と蓋17との間に位置している。フラップ40は、開口の前側周縁部41に固定された付根部42を有し、付根部42からヒンジ34の側へ向かって開口38上に延びる。フラップ40は、付根部42を支点としてフラップ40に対するウェットティッシュ19の押し上げで上方へ弾性的に反り可能である。フラップ40は、開口38上に位置して開口38を覆う被覆部44と、被覆部44に連なって開口38を越える先端部45とを有する。先端部45は、ヒンジ34の側に位置する開口周縁部41上に位置している。
【0032】
以下、この容器10を使用する手順を説明する。容器本体10Bにティッシュ包装物20をセットするには、頂壁11と側壁13,14,15,16との嵌合を解き、容器本体10Bから頂壁11を取り外し、取出口52を露出させた包装物20を収納部18に入れ、再び頂壁11と側壁13,14,15,16とを嵌合させる。次に、蓋17を開け、フラップ40を指で摘持し、フラップ40を上方へ反らせて開口38を露出させ、開口38から容器10の外側にウェットティッシュ19の部分19Aを露出させた後、蓋17を閉める。部分19Aを露出させた後にフラップ40から指を離すと、フラップ40が弾力でヒンジ34の側へ向かって開口38上に復元する。開口38から露出するティッシュ19の部分19Aは、フラップ40に押さえ込まれるとともに、開口周縁部41とフラップ40の先端部45とに挟まれ、ヒンジ34の側へ向かって倒伏する。
【0033】
容器10からウェットティッシュ19を取り出すには、蓋17を開け、開口38から露出するティッシュ19の部分19Aを指で摘持し、開口周縁部41の縁とそこに接するティッシュ19との間の摩擦抵抗に抗ってティッシュ19を上方へ引っ張る。ティッシュ19を上方へ引っ張ると、フラップ40が付根部42を支点としてフラップ40に対する押し上げで上方へ弾性的に反り、ティッシュ19が開口38から除々に露出する。ティッシュ19の一枚が容器10から引っ張り出されると、その下方に位置するティッシュ19が取り出されたティッシュ19に引き連れられて開口38から露出するので、ティッシュ19の一枚ずつを容器10から順に取り出すことができる。ティッシュ19の一枚を容器10から取り出すと、フラップ40がその弾力でヒンジ34の側へ向かって開口38上に復元する。開口38から露出したティッシュ19の部分19Aは、フラップ40に押さえ込まれるとともに、開口周縁部41とフラップ40の先端部45とに挟まれ、ヒンジ34の側へ向かって倒伏する。ティッシュ19を容器10から引っ張り出した後は、収納部18内のティッシュ19の乾燥を防ぐため、蓋17を閉めて開口38と開口周縁部41とを覆う。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】一例として示すティッシュ繰り出し容器の斜視図。
【図2】図1の2−2線矢視断面図。
【図3】プレートとティッシュ包装物とを取り外した状態の容器の斜視図。
【図4】容器から取り外したプレートの平面図。
【図5】ウェットティッシュを引っ張り出す途中の状態の容器の斜視図。
【図6】他の一例として示すティッシュ繰り出し容器の斜視図。
【図7】図6の7−7線矢視断面図。
【符号の説明】
【0035】
10 容器
10A,10B 容器本体
11 頂壁
17 蓋
18 ティッシュ収納部
19 ウェットティッシュ
19A 部分
27 補強枠
34 ヒンジ
38 開口
40 フラップ
41 開口周縁部
42 付根部
44 被覆部
45 先端部
46,47 湾曲部
50 中央開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに重なり合う複数枚のウェットティッシュを収容し、前記ティッシュの一枚ずつを引っ張り出すことが可能な開口が形成された頂壁を有する容器本体と、前記頂壁にヒンジを介して連なり、前記ヒンジを中心に前記容器本体の前後方向へ揺動可能であって前記開口と該開口を囲繞する開口周縁部とを覆うことが可能な蓋とを含むティッシュ繰り出し容器において、
前記容器本体が、前記頂壁と前記蓋との間に位置する弾性的に撓み可能なフラップを含み、前記フラップは、前記開口を挟んで前記ヒンジの反対側に位置する付根部から前記開口上へ延び、前記ティッシュを引っ張り出すときに前記フラップに対する前記ティッシュの押し上げで前記付根部を支点として上方へ弾性的に反り可能であり、かつ、前記開口から露出する前記ティッシュの部分を前記フラップの弾力によって前記ヒンジへ向かって倒伏させることが可能であることを特徴とする前記容器。
【請求項2】
前記フラップが、前記開口上に位置する被覆部と、前記被覆部に連なって前記開口を越える先端部とを有し、前記先端部が、前記ヒンジの側における前記開口周縁部上に位置する請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記開口が前記ヒンジの側へ向かって凹む第1湾曲部を有する請求項1又は2記載の容器。
【請求項4】
前記フラップの前記被覆部及び前記先端部は第1及び第2部分に分割され、前記第1及び第2部分の間に前記付根部へ向かって凹むように第2湾曲部が形成され、前記第1及び第2湾曲部によって中央開口が画成される請求項2又は3に記載の容器。
【請求項5】
前記容器本体が、前記頂壁を含む前記容器本体よりも剛性の、前記開口を囲繞する補強枠を含み、前記補強枠が前記頂壁に一体に形成され、前記蓋が前記頂壁を含む前記容器本体よりも剛性であって前記ヒンジを介して前記補強枠に連接される請求項1ないし請求項4いずれかに記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−117320(P2006−117320A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259914(P2005−259914)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】