説明

テスト瓶及びラベルの貼付装置

【課題】 瓶検査機のテストという機能を果たしつつ、容易に検出可能なテスト瓶、及び、そのようなテスト瓶を確実にかつ容易に検出するラベル貼付装置を提供する。
【解決手段】 本発明のテスト瓶1は、瓶検査装置3,5のテストのために使用されるものであって、紫外線が照射されたときに蛍光を発する蛍光物質を瓶の外表面に有する。本発明の液体が充填された瓶にラベルを貼付する貼付装置6は、瓶を自転かつ公転させながら搬送経路に沿って搬送する瓶搬送機構63と、瓶搬送機構63により搬送される瓶にラベルを押し付けて該ラベルを貼付するラベル貼付機構62,62’とを含む。本発明の貼付装置6は、搬送経路を搬送されているテスト瓶1に付されている蛍光物質を検出するセンサ61をさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瓶検査装置のテストのために使用されるテスト瓶及びラベルの貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール瓶等の瓶に飲料が充填された飲料製品の製造において、飲料が充填される前の空瓶、飲料が充填された後の実瓶のキズの有無、熱収縮性フィルムによる包装状態、飲料の充填量(入味)等が検査機によって検査される。これらの検査機が正常に機能していることを確認するために、予め欠陥状態が形成されたテスト瓶を飲料製品の製造ラインに流し、検査機がテスト瓶の欠陥を検出し得るか否かが検査される。このようなテスト瓶は、特許文献1に開示されている。
【0003】
例えば、瓶の上面、側面に存在するひびを検査機で検出する場合、瓶の上面、側面を撮像し、撮像した画像を画像処理することによってひびを検出するため、テスト瓶の形状、色彩を通常の瓶とあまり異ならせることができない。したがって、通常の瓶と外見上の差異があまりないテスト瓶が通常の瓶に混入した場合、作業者がテスト瓶の存在を見落とすことがあった。この場合、テスト瓶が誤って出荷されることになる。
【0004】
テスト瓶は当然に飲料製品として市場に流出してはならないものであるため、製造ラインにおいてテスト瓶をすべて検出し、回収する必要がある。
【特許文献1】特開2002−202267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
商品を識別するために使用されているICタグやバーコードをテスト瓶に取り付けると、検出器を用いてテスト瓶を通常の瓶から区別可能とすることはできる。しかし、ICタグ、バーコードが大きく瓶の外観形状を変化させるため、検査機が瓶の品質を検査する上で支障があった。
【0006】
本発明は、瓶検査機のテストという機能を果たしつつ、容易に検出可能なテスト瓶、及び、そのようなテスト瓶を確実にかつ容易に検出するラベル貼付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面は、瓶検査装置のテストのために使用されるテスト瓶であって、紫外線が照射されたときに蛍光を発する蛍光物質を前記テスト瓶の外表面に有することを特徴とする。蛍光物質はテスト瓶の口部の外表面に配置されていることが好ましい。
【0008】
本発明の第2の側面は、液体が充填された瓶にラベルを貼付する貼付装置であって、瓶を自転かつ公転させながら搬送経路に沿って搬送する瓶搬送機構と、瓶搬送機構により搬送される瓶にラベルを押し付けて該ラベルを貼付するラベル貼付機構と、搬送経路を搬送されているテスト瓶に付されている蛍光物質を検出するセンサと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、瓶検査機のテストという機能を果たしつつ、容易に検出可能なテスト瓶、及び、そのようなテスト瓶を確実にかつ容易に検出するラベル貼付装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る瓶検査機のテストのために使用されるテスト瓶及びそのテスト瓶を検出するラベルの貼付装置の一例を示す実施形態を以下説明する。この実施形態では、検査される瓶はビールが充填された瓶(実瓶)である。本発明は、ビールに限らず、ワイン、日本酒、酢等他の液体を瓶に充填する場合にも適用可能である。また、本発明のテスト瓶は、ビール等の液体が充填されていない瓶の品質を検査する検査機の機能を確認する場合においても使用可能である。
【0011】
図1に瓶ビールの製造のフローを示す。洗瓶機2によって瓶1の内部及び外面が洗浄される。洗浄された瓶は乾燥された後、空瓶検査機3によってキズ等欠陥の有無が検査される。空瓶検査機3の検査に合格した空瓶は充填機4に送られビールが充填される。ビールが充填された瓶は、検査員による目視検査及び実瓶検査機5による検査を受ける。実瓶検査機5では、充填工程等で発生したキズ、ビール充填後に包装され熱収縮された熱収縮性フィルムの包装状態、ビールの充填量(入味)等が検査される。検査に合格した実瓶は、ラベルを貼付する貼付装置(ラベラー)6に送られ、実瓶の表面及び裏面にラベルが貼付される。ラベルが貼付された瓶は函詰機7によって函詰めされ、出荷される。
【0012】
空瓶の品質を検査する空瓶検査機3、実瓶の品質を検査する検査機5の機能を確認する場合、通常の瓶と外観、形状がほぼ同一のテスト瓶1が空瓶検査機3、実瓶検査機5を含む製造ラインに投入される。テスト瓶1は、図2に示すように、口部の外表面に紫外線を照射したときに蛍光を発する蛍光物質を有している。蛍光物質が配置される部位は、口部の外表面に限らないが、検査機5の検査部位に属さない部位とすることが望ましい。テスト瓶1に蛍光塗料又は蛍光インクを塗布することによって蛍光物質をテスト瓶の外表面に配置することができる。
【0013】
空瓶検査機3がテスト瓶1に予め設けられているキズ等を発見できるか否かをみることによって、空瓶検査機3が機能を発揮しているか否かを確認することができる。同様に、実瓶検査機5がビールの充填されたテスト瓶1の欠陥を発見できるか否かをみることによって、実瓶検査機5が機能を発揮しているか否かを確認することができる。この実施形態では、テスト瓶1の検出及び回収は、実瓶検査機5の機能確認を行った後、瓶にラベルを貼付する貼付装置(ラベラー)で行うこととしている。しかし、空瓶検査機3による検査終了の段階でテスト瓶1を検出し、回収するようにすることもできる。
【0014】
図3に本実施形態のラベル貼付装置6を示す。ラベル貼付装置6は、瓶を自転かつ公転させながら搬送経路に沿って搬送する瓶搬送機構63と、瓶搬送機構63により搬送される瓶にラベルを押し付けて貼付するラベル貼付機構62,62’を備えている。ラベル貼付機構62は、瓶胴部の表面にラベルを貼付し、ラベル貼付機構62’は、瓶胴部の裏面に別のラベルを貼付する。搬送経路に沿って搬送されるテスト瓶1に付されている蛍光物質を検出するセンサ61が設置されている。
【0015】
ラベル貼付装置6は、瓶胴部の表面と裏面との双方にラベルを貼付するので、ラベル貼付装置6において、瓶は瓶搬送機構63によって自転されながら搬送される。したがって、蛍光物質を検出するセンサ61をラベル貼付装置6の一部として設置すると、テスト瓶1の外表面の一部にしか蛍光物質が付されていなくても、センサ61はテスト瓶1の蛍光物質を検出することができる。
【0016】
テスト瓶1が瓶搬送機構63によって自転しながら搬送経路に沿って搬送されると、テスト瓶1はセンサ61により紫外線を照射される。そうすると、テスト瓶1の口部外表面に配置されている蛍光物質は蛍光を発する。センサ61はこの蛍光物質から発せられた蛍光を検出することによって、テスト瓶1の存在を検出する。センサ61が蛍光を検出すると、例えば図示しないランプによってテスト瓶1の存在が表示される。したがって、作業者は確実にテスト瓶1を瓶の搬送経路から排斥し、回収することができる。蛍光物質を例えばテスト瓶1の口部外表面の周囲約180度以上に亙って配置しておけば、テスト瓶1は自転しながらセンサ61の前を搬送されるのでテスト瓶1を確実に検出することができる。
【0017】
センサ61がテスト瓶1を検出したとき、瓶搬送機構63を停止させるように設けてもよい。また、センサ61がテスト瓶1を検出すると、図示しない制御器に信号が送られ、制御器がプッシャ等の排斥器を作動させてテスト瓶1を搬送経路から排斥し、回収するようにすることもできる。
【0018】
本実施形態ではセンサ61をラベル貼付装置6の一部として設けたが、センサは、例えば、実瓶検査機5とラベル貼付装置6との間のコンベア搬送経路、また、ラベル貼付装置6と函詰機7との間のコンベア搬送経路に設けることもできる。その場合、テスト瓶1の外表面に配置した蛍光物質に対してセンサが確実に紫外線を照射し、蛍光を検出できるように、コンベア上を搬送される瓶を回転させたり、コンベアの両側にセンサを設置したりすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】瓶ビール製造のフロー。
【図2】テスト瓶検出の原理図。
【図3】センサを設けたラベラー部を示す図。
【符号の説明】
【0020】
1:瓶、2:洗瓶機、3:空瓶検査機、4:充填機、5:実瓶検査機、6:ラベル貼付装置、7:函詰機、8:出荷、9:テスト瓶の排斥、回収部、11:蛍光物質配置部位、61:センサ、62,62’:ラベル貼付機構、63:瓶搬送機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
瓶検査装置のテストのために使用されるテスト瓶であって、
紫外線が照射されたときに蛍光を発する蛍光物質を前記テスト瓶の外表面に有することを特徴とするテスト瓶。
【請求項2】
前記蛍光物質が前記テスト瓶の口部の外表面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のテスト瓶。
【請求項3】
液体が充填された瓶にラベルを貼付する貼付装置であって、
瓶を自転かつ公転させながら搬送経路に沿って搬送する瓶搬送機構と、
前記瓶搬送機構により搬送される瓶にラベルを押し付けて該ラベルを貼付するラベル貼付機構と、
前記搬送経路を搬送されているテスト瓶に付されている蛍光物質を検出するセンサと、
を含むことを特徴とする貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−29435(P2009−29435A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192632(P2007−192632)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】