説明

テトラ−アザポルフィリンを含む有機感光性光電子デバイス

本発明の実施形態によれば、本明細書中に示される式(I)で表される少なくとも一つのテトラ−アザポルフィリン化合物を含む有機感光性光電子デバイスが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願のクロスリファレンス)
この出願は、「テトラ−アザポルフィリンを含む有機感光性光電子デバイス」の名称で2007年10月12日に出願された、米国仮特許出願第60/960,769号に基づき、その優先権を主張するものであり、その全体の内容が参照により本明細書に引用される。
【0002】
(共同研究合意)
クレームした発明の一部は、以下の一以上の団体に代わっておよび/または連携して、南カリフォルニア大学、ミシガン大学およびグローバルフォトニックエネルギーコーポレーションの大学−企業間協力研究の合意によってなされた。この合意はクレームした発明の各部分のなされる前およびなされた日に有効であり、クレームした発明はこの合意の範囲の活動の結果なされたものである。
【0003】
(発明の技術分野)
本発明は全般に少なくとも一つのテトラ−アザポルフィリン化合物を含む有機感光性光電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
(背景技術)
光電子デバイスは、物質の光学的および電子的性質によっており、電子的に電磁波放射を発生するか検出する、または、周囲の電磁波放射から電力を発生させるものである。
【0005】
感光性光電子デバイスは電磁波放射を電気信号または電力に変換する。太陽電池は、光電(Photovoltaic「PV」)デバイスとも称され、電力を発生させるために特に使用される感光性光電子デバイスの一種である。光電導セルは、光吸収による変化を検出するために素子の抵抗をモニターする信号検出回路と連結して使用される感光性光電子デバイスの一種である。光検出器は、印加されたバイアス電圧を受け、電磁波放射が照射したときに発生する電流を測定する電流検出回路と連結して使用される感光性光電子デバイスの一種である。
【0006】
これら三種類の感光性光電子デバイスは、整流接合が存在するかどうかによって、また、デバイスがバイアスまたはバイアス電圧として知られる外部からの印加電圧で動作するかによっても区別することができる。光電導セルは整流接合を有しておらず、通常はバイアスによって動作する。PVデバイスは、少なくとも1の整流接合を有し、バイアスでは動作しない。光検出器は、少なくとも1の整流接合を有し、必ずしもそうではないが通常はバイアスによって動作する。
【0007】
本明細書において、「整流」の語は、とりわけ接合部分が非対称な導電特性を有する、すなわち接合部分は一方向の電荷輸送を優先して支持することを意味する。「半導体」の語は、電荷キャリアが熱的または電磁的励起によって誘起されたときに電流が流れる物質を意味する。「光導電性」の語は、キャリアが物質中の電荷を通す(すなわち輸送する)ために、電磁放射エネルギーが吸収され、それが電荷キャリアの励起エネルギーに転換されるプロセスに一般的に関連する。「光導電性物質」の語は、電磁波放射を吸収し電荷キャリアを生じるその性質のために使用される半導体材料を参照する。
【0008】
適当なエネルギーの電磁波放射が有機半導体材料に入射すると、光子が分子の励起状態を生成するために吸収され得る。有機光導電性物質では、生成した分子状態は一般的に「励起子」すなわち、準粒子として輸送される束縛状態の電子−正孔対となると信じられている。励起子は、(電子または正孔が異なる対として再結合することとは対照的に)元の電子と正孔とが互いに再結合する双性再結合(geminate recombination)(「クエンチング」)の前に、かなりの寿命を有し得る。光電流を発生するために、励起子を生成する電子−正孔は、典型的には整流接合で分離される。
【0009】
感光性デバイスの場合は、整流接合は光電ヘテロ接合として参照される。有機光電ヘテロ接合の種類としては、ドナー物質とアクセプタ物質との界面で生成されるドナー−アクセプタヘテロ接合および光導電性物質と金属との界面で生成されるショットキー障壁ヘテロ接合が含まれる。
【0010】
図1は、ドナー−アクセプタヘテロ接合の例を示すエネルギー準位図である。有機物という観点からは、「ドナー」および「アクセプタ」の語は、接触している異なる二つの有機物の最高被占分子軌道(Highest Occupied Molecular Orbital「HOMO」)および最低空分子軌道(Lowest Unoccupied Molecular Orbital 「LUMO」)のエネルギー準位の相対的な位置を指す。仮に別の物質に接触しているある物質のLUMOエネルギー準位がより低ければ、その物質はアクセプタとなる。そうでなければ、ドナーとなる。アクセプタ物質中に移動するドナー−アクセプタ接合における電子には、「外部の」バイアスはない方がエネルギー的に望ましい。
【0011】
本明細書においては、もし第1エネルギー準位が真空エネルギー準位10に近ければ、第1HOMOまたはLUMOエネルギー準位は第2HOMOまたはLUMOエネルギー準位よりも「大きい」か「高い」。高い方のHOMOエネルギー準位は、真空準位に対してより小さい絶対エネルギーを有するイオン化ポテンシャル(「IP」)に対応する。同様に、高い方のLUMOエネルギー準位は、真空準位に対してより小さい絶対エネルギーを有する電子親和力(「EA」)に対応する。通常のエネルギー準位図では、真空準位を最上部に置き、物質のLUMOエネルギー準位は、同じ物質のHOMOエネルギー準位よりも高くなっている。
【0012】
ドナー152またはアクセプタ154における光子6の吸収が励起子8を生じた後、励起子8は整流界面で分離する。ドナー152は正孔(白丸)を輸送し、アクセプタ154は電子(黒丸)を輸送する。
【0013】
有機半導体の重要な性質はキャリア移動度である。移動度は電荷キャリアが電場に応答して導電性物質中を動くときの動きやすさを示す。有機感光性デバイスとしての観点からは、高い電子移動度により優先的に電子によって導電性を示す物質は、電子輸送物質と称される。高い正孔移動度により優先的に正孔によって導電性を示す物質は、正孔輸送物質と称される。デバイス中の移動度および/または位置により、優先的に電子によって導電性を示す層は、電子輸送層(「ETL」)と称される。デバイス中の移動度および/または位置により、優先的に正孔によって導電性を示す層は、正孔輸送層(「HTL」)と称される。好ましくは、しかし必ずしもそうでなくてもよいが、アクセプタ物質は電子輸送物質であり、ドナー物質は正孔輸送質であることがよい。
【0014】
キャリア移動度および相対的なHOMOおよびLUMO準位に基づき、光電ヘテロ接合でドナーおよびアクセプタとして機能する二つの有機光導電性物質を対にする方法は、従来よく知られており、ここでは説明しない。
【0015】
バルク半導体(bulk semiconductor)および絶縁体に共通する一つの特徴は「バンドギャップ」である。バンドギャップは、電子で埋まっている最高エネルギー準位と空の最低エネルギー準位とのエネルギー差である。無機半導体または無機絶縁体の場合は、このエネルギーの差は、価電子バンド端(価電子バンドの最上部)と伝導バンド端(伝導バンドの最下部)との差である。有機半導体または有機絶縁体の場合は、このエネルギーの差は、HOMOとLUMOとの差である。純物質のバンドギャップは、電子および正孔が存在し得るエネルギー状態が欠けている。導電性のために利用可能なキャリアは、バンドギャップを超えて励起され得るに十分なエネルギーを有する電子および正孔だけである。一般的には、半導体は絶縁体に比較して相対的に小さいバンドギャップを有している。
【0016】
有機半導体のエネルギーバンドモデルの観点から、バンドギャップのLUMO側においては電子が電荷キャリアとなり、バンドギャップのHOMO側においては正孔が電荷キャリアとなる。
【0017】
有機感光性デバイスの技術水準のさらなる背景説明および記述のために、それらの一般的な構造、性質、材料および特徴を含む、Forrestらの米国特許第6,657,378号明細書、Forrestらの米国特許第6,580,027号明細書およびBulovicらの米国特許第6,352,777号明細書を参照によりここに組み入れる。
【0018】
低分子太陽電池の性能は、明暗条件下におけるIV応答特性を検討することにより決定した。電力変換効率(η)は、式(1):
【0019】
【数1】

【0020】
(式中、Pは入射光量(incident optical power)である)を用いて、開放端電圧(open circuit voltage、「Voc」)、短絡回路電流密度(short−circuit current density、「Jsc」)、および曲線因子(fill factor、「FF」)に依存する。ここで、FFは直列抵抗に依存し、一般的には、高性能の低分子有機太陽光発電では0.5から0.65の間である。最大Jscは、有機物の吸収と太陽スペクトルの間の重なりおよび減衰係数と吸収する層の厚みと他の因子などによって決定される。しかしながら、電荷流量の抵抗性が電池性能の重要な課題を示すため、光電流は物質の電荷輸送特性に高く依存している。電池性能を参照した場合、他の重要なパラメーターは、励起子拡散長さだと考えられる。物質の励起子拡散長さは、励起子が再結合の前に動くことができる距離を表す。したがって、吸収した光子によって作られる励起子の数に比較して、電荷キャリアのパーセントを高めるためには、励起子をヘテロ接合のLD内で、形成することが好ましい。励起子拡散長さ(L)は、励起子拡散係数(D)および励起子寿命(τ)に関係し、L=√Dτで表される。有機半導体の励起子拡散長さは、一般的に、光吸収長さLと比較して短い。したがって、励起子は、電荷分離のためにドナー−アクセプタ界面に達する能力が相対的に低いため、用いられる有機層の厚みを制限する。この効果は、吸収する物質の量を制限するだけでなく、効率的な光変換のためには望ましくない分離した電荷の抵抗経路を作る。
【0021】
有機太陽電池におけるVocの発生は、まだよく知られていない。二層電池(bilayer cell)(界面ギャップIgを参照)のヘテロ界面におけるアクセプタ様物質の最低空分子軌道(LUMO)とドナー様物質の最高被占分子軌道(HOMO)間のエネルギーの違いに主に依存すると提案している人もいる。しかしながら、このIgと観測されたVoc間の関係の証拠がないことを述べ、この電圧は、電荷移動度に依存する化学ポテンシャル勾配によって制御されていると提案する人もいる。それにもかかわらず、Vocが吸収した光子のトータルエネルギーを反映しておらず、エネルギーが電力変換工程間で損失されることは明らかである。これらの損失は、これまで説明されておらず、開放端電圧の基盤を評価するときは十分注意を払われるべきである。
【発明の概要】
【0022】
(発明の概要)
本発明は、テトラ−アザポルフィリンコアの中心に結合した3価または4価の金属原子Mを有する式Iで表されるテトラ−アザポルフィリン化合物を少なくとも一つ含む有機感光性光電子デバイスを提供する:
この際、Mは、(a)式IIに示すように1価のアニオン性リガンドXを有する3価の金属原子、(b)式IIIに示すように2つの1価のアニオン性リガンドX’およびX”を有する4価の金属原子、または、(c)式IVに示すように二つの1価のアニオン性リガンドX’およびX”を有する4価の金属原子である:
【0023】
【化1】

【0024】
【化2】

【0025】
式中、
Xは1価のアニオン性リガンドであり;
X’およびX”はそれぞれ独立して、同一であるかまたは異なる二つの1価のアニオン性リガンドであり;並びに
、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、Cl原子、Br原子、I原子、At原子および前記テトラ−アザポルフィリンコアのピロール環またはジヒドロピロール環のβ炭素原子に結合した結合価原子を含む化学基からなる群より選択され、この際、前記結合価原子は、B、C、N、O、Si、P、S、Ge、As、Se、In、Sn、Sb、Te、Tl、Pb、BiおよびPoからなる群より選択され、または同一のピロール環またはジヒドロピロール環の二つのβ炭素原子と結合した二つの隣接したR−R基が、前記2つのβ炭素原子とともに炭素環基またはヘテロ環基を形成し、この際、前記炭素環基または前記ヘテロ環基は単環または多環である(ただし、式Iのテトラ−アザポルフィリン化合物はクロロアルミニウムフタロシアニン(AICIPc)ではない)。
【0026】
式IIおよびIVにおいて、1価のアニオン性リガンドX、X’およびX”はテトラ−アザポルフィリンコアの上部に記載されているが、当業者であれば、1価のアニオン性リガンドX、X’およびX”はテトラ−アザポルフィリンコアの下部に記載されうることを容易に理解しうる。
【0027】
さらに、本発明は、式Iで表される少なくとも一つのテトラ−アザポルフィリン化合物を含む感光性光電子デバイスを提供し、この際、少なくとも一つのテトラ−アザポルフィリン化合物が、上記の式Iで定義したMを有する、式Vのフタロシアニン化合物の少なくとも一つである。
【0028】
【化3】

【0029】
また、本発明は上記の式Iで表されるテトラ−アザポルフィリン化合物を少なくとも一つ含む感光性光電子デバイスを提供し、この際、有機感光性光電子デバイスは、
(i)少なくとも一方が透明である第1電極および第2電極と、
(ii)前記第1電極と前記第2電極との間に配置され、
(a)第1の有機半導体物質、および
(b)第2の有機半導体物質
を含み、この際、前記第1の有機半導体物質が前記第2の有機半導体物質に対する少なくとも一つのドナー物質を含み、前記第2の有機半導体物質が少なくとも一つのアクセプタ物質を含むか、または、前記第1の有機半導体物質が前記第2の有機半導体物質に対する少なくとも一つのアクセプタ物質を含み、前記第2の有機半導体物質が少なくとも一つのドナー物質を含み、この際、前記ドナー物質は式Iで表されるテトラ−アザポルフィリン化合物の少なくとも一つを含み、前記第1の有機半導体物質が前記第2の有機半導体物質と直接接触している、有機光活性物質と、
(iii)二つの電極間に位置し、二つの電極の少なくとも一方に隣接している、少なくとも一つの励起子遮蔽層と、を含む。
【0030】
本発明は、さらに、本発明の感光性光電子デバイスを製造する方法を提供し、当該方法は、
ドナー物質およびアクセプタ物質を準備し、この際、前記ドナー物質は少なくとも一つの式(I)で表されるテトラ−アザポルフィリン化合物を含み、
前記ドナー物質を前記アクセプタ物質と接触させて有機感光性光電子デバイスを製造する、ことを含み、
この際、ドナー物質およびアクセプタ物質の双方が、式(I)で表されるテトラ−アザポルフィリン化合物を少なくとも一つ含む場合、前記ドナー物質における少なくとも一つのテトラ−アザポルフィリン化合物は、前記アクセプタ物質における少なくとも一つのテトラ−アザポルフィリン化合物とは相違する。
【0031】
また、本発明は、本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかまたは全てにおける少なくとも一つの構成要素として有用な、式(I)で表される少なくとも一つのテトラ−アザポルフィリン化合物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1はドナー−アクセプタヘテロ接合を示すエネルギー準位図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(詳細な説明)
本明細書中で述べられたテトラ−アザポルフィリン化合物は、有機太陽電池のほかに光電子デバイスにおいても適用できる。たとえば、有機光検出器、有機光センサー、および有機光導電セルのような他の光電子デバイスにも、テトラ−アザポルフィリン化合物を適用しうる。
【0034】
本明細書中において用いられる場合、感光性光電子デバイスは、太陽電池でありうる。
【0035】
本明細書中において用いられる場合、感光性光電子デバイスは、光検出器でありうる。
【0036】
本明細書中において用いられる場合、感光性光電子デバイスは、光センサーでありうる。
【0037】
本明細書中において用いられる場合、感光性光電子デバイスは、光導電セルでありうる。
【0038】
本明細書においては、「有機」の語は、有機光電子デバイスの製造に用いられる低分子有機物と同様にポリマー材料をも含む。「低分子」はポリマーではないあらゆる有機物を意味し、「低分子」は実際にはかなり大きい分子でもあり得る。低分子は、場合によっては、繰り返し単位も含み得る。例えば、長鎖のアルキル基を置換基として使用しても、分子は「低分子」の分類から除かれない。低分子はポリマーに組み込まれていてもよく、例えばポリマー骨格にペンダント基としてまたは骨格の一部分としてである。低分子は、コアの上に構築された一連の化学的シェル構造からなるデンドリマーのコアとして存在していてもよい。デンドリマーのコアは、蛍光または燐光の低分子発光体であり得る。デンドリマーは「低分子」でもあり得る。一般的に、低分子は分子に共通の分子量と共に定義された化学式を有し、一方ポリマーは分子によって変わり得る分子量と共に定義された化学式を有する。本明細書においては、「有機」は、ヒドロカルビルおよびヘテロ原子で置換されたヒドロカルビルリガンドの金属錯体を含む。
【0039】
「1価のアニオン性リガンド」(monoanionic ligand)の例としては、ハロゲン化物、シュードハロゲン化物、アルキル、アリール、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アラルキルオキシ、アラルケニルオキシ、アラルキニルオキシ、シクロアルキルアルコキシ、シクロアルキルアルケニルオキシ、シクロアルキルアルキニルオキシ、アミド、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロアリールオキシ、シクロアルケニルオキシ、シクロアルキニルオキシ、アラルキルオキシ、アラルケニルオキシ、アラルキニルオキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、ヒドロキシカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、モノアリールアミノ、ジアリールアミノ、N−アルキル−N’−アリールアミノ、アシル、アシルオキシ、ニトロ、ヒドロキシ、チオール、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アラルキルチオ、アラルケニルチオ、アラルキニルチオ、シクロアルキルアルキルチオ、シクロアルケニルアルキルチオ、シクロアルキニルアルキルチオ、シクロアルキルチオ、シクロアルケニルチオ、シクロアルキニルチオおよびアリールチオが挙げられる。
【0040】
本明細書において、「炭素環基」(cabocyclic group)とは、環のすべての原子が炭素である環状の化学基を意味する。「炭素環基」は単環でも多環であってもよい。「炭素環基」は、シクロアルキル基、環状アルケニル基、環状アルキニル基およびアリール基も含みうる。
【0041】
本明細書において、「ヘテロ環基」とは、少なくとも一つのN、OまたはSの環原子と、残りの環原子としてC原子を有する化学基を意味する。「ヘテロ環基」は単環でも多環であってもよい。「ヘテロ環基」が芳香族と称される場合、「ヘテロアリール基」と称する。ヘテロ環基は、4−、5−、6−、7−または8−員環を含む環状基、この際、N、OおよびSからなる群より選択される少なくとも一つの環原子と残りの環原子としてC原子とを含む。ヘテロ環基の例としては、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルフォリノ基、チオモルフォリノ基、ホモピペリジニル基、クロマニル基、イソクロマニル基、クロメニル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、フラザニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピラニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリニル基、インドリジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キナゾリニル基、プテリジニル基、キノリジニル基、ベンズオキサジニル基、カルバゾリル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基およびフェナントリジニル基などが挙げられる。
【0042】
本明細書において、「単環」の語が「炭素環基」または「ヘテロ環基」を修飾して用いられたとき、炭素環基またはヘテロ環基は、一つの環のみを含む。
【0043】
本明細書において、「多環」の語が「炭素環基」または「ヘテロ環基」を修飾して用いられたとき、炭素環基またはヘテロ環基は、少なくとも2つの環を含む。「多環」の例としては、2環、3環および4環が挙げられる。「多環」基のいくつかまたは全ての環は、ペリ縮合、オルト縮合および/または架橋しうる。「多環」基は、スピロ基であってもよい。
【0044】
本明細書においては、化学基の結合価原子は、他の化学基または原子に結合する化学基の原子を意味する。
【0045】
本明細書においては、「ヒドロカルビル基」の語は、炭素および水素原子を有する化学基を意味する。
【0046】
本明細書においては、「アルキル基」の語は、直鎖または分岐の飽和ヒドロカルビル基を意味する。好ましくは、「アルキル基」はC〜Cである。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルが挙げられる。
【0047】
本明細書においては、「アルケニル基」の語は、少なくとも一つのC=C二重結合を含むヒドロカルビル基を意味する。好ましくは、「アルケニル基」はC〜Cである。アルケニル基の例としては、ビニル基が挙げられる。
【0048】
本明細書においては、「アルキニル基」の語は、少なくとも一つの炭素−炭素の三重結合を含むヒドロカルビル基を意味する。「アルキニル基」は、少なくとも一つの炭素−炭素の三重結合と少なくとも一つのC=C二重結合を有する化学基を含む。好ましくは、「アルキニル基」はC〜Cでありうる。
【0049】
本明細書においては、「シクロアルキル基」の語は、飽和環状ヒドロカルビル基を意味する。「シクロアルキル基」は単環または多環である。「シクロアルキル基」はC〜Cでありうる。「シクロアルキル基」の例としては、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルおよびシクロノニルが挙げられる。
【0050】
本明細書においては、「シクロアルケニル基」の語は、少なくとも一つのC=C二重結合を有する不飽和環状ヒドロカルビル基を意味する。「シクロアルケニル基」は単環または多環である。「シクロアルケニル基」はC〜Cでありうる。
【0051】
本明細書においては、「シクロアルキニル基」の語は、少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を含む不飽和環状ヒドロカルビル基を意味する。「シクロアルキニル基」は単環または多環である。「シクロアルキニル基」はC〜Cでありうる。
【0052】
本明細書中においては、「アリール基」の語は、芳香族ヒドロカルビル基を意味する。「アリール基」は単環または多環である。「アリール基」はC〜C10でありうる。「アリール基」の例としては、フェニル基およびナフチル基が挙げられる。
【0053】
本明細書中においては、「アラルキル基」の語は、少なくとも一つのアリール基が置換したアルキル基を参照する。「アラルキル基」のアリール部分はC〜C10でありうる。「アラルキル基」のアルキル部分はC〜Cでありうる。「アラルキル基」の例としては、フェニルメチル基や2−フェニルエチル基などのベンジル基が挙げられる。
【0054】
本明細書中においては、化学基は「置換された」と修飾されている場合、化学基は、少なくとも一つの置換基によって置き換わられた水素原子を有することを意味する。置換基としては、たとえば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルコキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ホルミル基、アシル基、カルバモイル基、アミノ基、少なくとも一つのアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基に置換されたアミノ基、アシルアミノ基、N−アシル−N−アルキルアミノ基、N−アシル−N−アルケニルアミノ基、N−アシル−N−アルキニルアミノ基、N−アシル−N−シクロアルキルアミノ基、N−アシル−N−シクロアルケニルアミノ基、N−アシル−N−アリールアミノ基、ニトロ基、ヘテロ環基およびハロゲン原子からなる群より選択されるラジカルを含む。
【0055】
置換されたアルキル基の例としては、アラルキル基、シクロアルキルに置換されたアルキル基、シクロアルケニルに置換されたアルキル基、ヒドロキシに置換されたアルキル基、アルコキシに置換されたアルキル基、シクロアルコキシに置換されたアルキル基、アリールオキシに置換されたアルキル基、アルキルカルボニルオキシに置換されたアルキル基、シクロアルキルカルボニルオキシに置換されたアルキル基、シクロアルケニルカルボニルオキシに置換されたアルキル基、シクロアルキニルカルボニルオキシに置換されたアルキル基、アリールカルボニルオキシに置換されたアルキル基、チオールに置換されたアルキル基、アルキルチオに置換されたアルキル基、シクロアルキルチオに置換されたアルキル基、ホルミルに置換されたアルキル基、アシル化アルキル基、カルバモイルに置換されたアルキル基、アミノに置換されたアルキル基、アシルアミノに置換されたアルキル基、ニトロに置換されたアルキル基、ハロゲンに置換されたアルキル基およびヘテロ環に置換されたアルキル基が挙げられる。
【0056】
置換されたアルケニル基の例としては、アラルケニル基、シクロアルケニルに置換されたアルケニル基、シクロアルケニルに置換されたアルケニル基、ヒドロキシに置換されたアルケニル基、アルコキシに置換されたアルケニル基、シクロアルコキシに置換されたアルケニル基、アリールオキシに置換されたアルケニル基、アルキルカルボニルオキシに置換されたアルケニル基、シクロアルキルカルボニルオキシに置換されたアルケニル基、シクロアルケニルカルボニルオキシに置換されたアルケニル基、シクロアルキニルカルボニルオキシに置換されたアルケニル基、アリールカルボニルオキシに置換されたアルケニル基、チオールに置換されたアルケニル基、アルキルチオに置換されたアルケニル基、シクロアルキルチオに置換されたアルケニル基、ホルミルに置換されたアルケニル基、アシル化アルケニル基、カルバモイルに置換されたアルケニル基、アミノに置換されたアルケニル基、アシルアミノに置換されたアルケニル基、ニトロに置換されたアルケニル基、ハロゲンに置換されたアルケニル基およびヘテロ環に置換されたアルケニル基が挙げられる。
【0057】
置換されたアルキニル基の例としては、アラルキニル基、シクロアルキルに置換されたアルキニル基、シクロアルケニルに置換されたアルキニル基、ヒドロキシに置換されたアルキニル基、アルコキシに置換されたアルキニル基、シクロアルコキシに置換されたアルキニル基、アリールオキシに置換されたアルキニル基、アルキルカルボニルオキシに置換されたアルキニル基、シクロアルキルカルボニルオキシに置換されたアルキニル基、シクロアルケニルカルボニルオキシに置換されたアルキニル基、シクロアルキニルカルボニルオキシに置換されたアルキニル基、アリールカルボニルオキシに置換されたアルキニル基、チオールに置換されたアルキニル基、アルキルチオに置換されたアルキニル基、シクロアルキルチオに置換されたアルキニル基、ホルミルに置換されたアルキニル基、アシル化アルキニル基、カルバモイルに置換されたアルキニル基、アミノに置換されたアルキニル基、アシルアミノに置換されたアルキニル基、ニトロに置換されたアルキニル基、ハロゲンに置換されたアルキニル基およびヘテロ環に置換されたアルキニル基が挙げられる。
【0058】
置換されたシクロアルキル基の例としては、アルキルに置換されたシクロアルキル基、アリールに置換されたシクロアルキル基、シクロアルキルに置換されたシクロアルキル基、シクロアルケニルに置換されたシクロアルキル基、シクロアルキニルに置換されたシクロアルキル基、ヒドロキシに置換されたシクロアルキル基、アルコキシに置換されたシクロアルキル基、シクロアルコキシに置換されたシクロアルキル基、アリールオキシに置換されたシクロアルキル基、アルキルカルボニルオキシに置換されたシクロアルキル基、シクロアルキルカルボニルオキシに置換されたシクロアルキル基、シクロアルケニルカルボニルオキシに置換されたシクロアルキル基、シクロアルキニルカルボニルオキシに置換されたシクロアルキル基、アリールカルボニルオキシに置換されたシクロアルキル基、チオールに置換されたシクロアルキル基、アルキルチオに置換されたシクロアルキル基、シクロアルキルチオに置換されたシクロアルキル基、ホルミルに置換されたシクロアルキル基、アシル化シクロアルキル基、カルバモイルに置換されたシクロアルキル基、アミノに置換されたシクロアルキル基、アシルアミノに置換されたシクロアルキル基、ニトロに置換されたシクロアルキル基、ハロゲンに置換されたシクロアルキル基およびヘテロ環に置換されたシクロアルキル基が挙げられる。
【0059】
置換されたシクロアルケニル基の例としては、アルキルに置換されたシクロアルケニル基、アリールに置換されたシクロアルケニル基、シクロアルキルに置換されたシクロアルケニル基、シクロアルケニルに置換されたシクロアルケニル基、シクロアルキニルに置換されたシクロアルケニル基、ヒドロキシに置換されたシクロアルケニル基、アルコキシに置換されたシクロアルケニル基、シクロアルコキシに置換されたシクロアルケニル基、アリールオキシに置換されたシクロアルケニル基、アルキルカルボニルオキシに置換されたシクロアルケニル基、シクロアルキルカルボニルオキシに置換されたシクロアルケニル基、シクロアルケニルカルボニルオキシに置換されたシクロアルケニル基、シクロアルキニルカルボニルオキシに置換されたシクロアルケニル基、アリールカルボニルオキシに置換されたシクロアルケニル基、チオールに置換されたシクロアルケニル基、アルキルチオに置換されたシクロアルケニル基、シクロアルキルチオに置換されたシクロアルケニル基、ホルミルに置換されたシクロアルケニル基、アシル化シクロアルケニル基、カルバモイルに置換されたシクロアルケニル基、アミノに置換されたシクロアルケニル基、アシルアミノに置換されたシクロアルケニル基、ニトロに置換されたシクロアルケニル基、ハロゲンに置換されたシクロアルケニル基およびヘテロ環に置換されたシクロアルケニル基が挙げられる。
【0060】
置換されたシクロアルキニル基の例としては、アルキルに置換されたシクロアルキニル基、アリールに置換されたシクロアルキニル基、シクロアルキルに置換されたシクロアルキニル基、シクロアルケニルに置換されたシクロアルキニル基、シクロアルキニルに置換されたシクロアルキニル基、ヒドロキシに置換されたシクロアルキニル基、アルコキシに置換されたシクロアルキニル基、シクロアルコキシに置換されたシクロアルキニル基、アリールオキシに置換されたシクロアルキニル基、アルキルカルボニルオキシに置換されたシクロアルキニル基、シクロアルキルカルボニルオキシに置換されたシクロアルキニル基、シクロアルケニルカルボニルオキシに置換されたシクロアルキニル基、シクロアルキニルカルボニルオキシに置換されたシクロアルキニル基、アリールカルボニルオキシに置換されたシクロアルキニル基、チオールに置換されたシクロアルキニル基、アルキルチオに置換されたシクロアルキニル基、シクロアルキルチオに置換されたシクロアルキニル基、ホルミルに置換されたシクロアルキニル基、アシル化シクロアルキニル基、カルバモイルに置換されたシクロアルキニル基、アミノに置換されたシクロアルキニル基、アシルアミノに置換されたシクロアルキニル基、ニトロに置換されたシクロアルキニル基、ハロゲンに置換されたシクロアルキニル基およびヘテロ環に置換されたシクロアルキニル基が挙げられる。
【0061】
置換されたアリール基の例としては、アルキルに置換されたアリール基、アリールに置換されたアリール基、シクロアルキルに置換されたアリール基、シクロアルケニルに置換されたアリール基、シクロアルキニルに置換されたアリール基、ヒドロキシに置換されたアリール基、アルコキシに置換されたアリール基、シクロアルコキシに置換されたアリール基、アリールオキシに置換されたアリール基、アルキルカルボニルオキシに置換されたアリール基、シクロアルキルカルボニルオキシに置換されたアリール基、シクロアルケニルカルボニルオキシに置換されたアリール基、シクロアルキニルカルボニルオキシに置換されたアリール基、アリールカルボニルオキシに置換されたアリール基、チオールに置換されたアリール基、アルキルチオに置換されたアリール基、シクロアルキルチオに置換されたアリール基、ホルミルに置換されたアリール基、アシル化アリール基、カルバモイルに置換されたアリール基、アミノに置換されたアリール基、アシルアミノに置換されたアリール基、ニトロに置換されたアリール基、ハロゲンに置換されたアリール基およびヘテロ環に置換されたアリール基が挙げられる。
【0062】
置換されたヘテロ環基の例としては、アルキルに置換されたヘテロ環基、アリールに置換されたヘテロ環基、シクロアルキルに置換されたヘテロ環基、シクロアルケニルに置換されたヘテロ環基、シクロアルキニルに置換されたヘテロ環基、ヒドロキシに置換されたヘテロ環基、アルコキシに置換されたヘテロ環基、シクロアルコキシに置換されたヘテロ環基、アリールオキシに置換されたヘテロ環基、アルキルカルボニルオキシに置換されたヘテロ環基、シクロアルキルカルボニルオキシに置換されたヘテロ環基、シクロアルケニルカルボニルオキシに置換されたヘテロ環基、シクロアルキニルカルボニルオキシに置換されたヘテロ環基、アリールカルボニルオキシに置換されたヘテロ環基、チオールに置換されたヘテロ環基、アルキルチオに置換されたヘテロ環基、シクロアルキルチオに置換されたヘテロ環基、ホルミルに置換されたヘテロ環基、アシル化ヘテロ環基、カルバモイルに置換されたヘテロ環基、アミノに置換されたヘテロ環基、アシルアミノに置換されたヘテロ環基、ニトロに置換されたヘテロ環基、ハロゲンに置換されたヘテロ環基およびヘテロ環に置換されたヘテロ環基が挙げられる。
【0063】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも一つのR−R基における結合価原子は炭素原子である。
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも一つのR−R基における結合価原子は炭素原子であり、この際、少なくとも一つのR−R基は、独立して、アルキル基、置換されたアルキル基、アルケニル基、置換されたアルケニル基、アルキニル基、置換されたアルキニル基、シクロアルキル基、置換されたシクロアルキル基、シクロアルケニル基、置換されたシクロアルケニル基、シクロアルキニル基、置換されたシクロアルキニル基、アリール基、置換されたアリール基、ヘテロ環基および置換されたヘテロ環基からなる群より選択される。
【0064】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも一つのR−R基における結合価原子は炭素原子であり、この際、少なくとも一つのR−R基は、独立して、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基およびヘテロ環基からなる群より選択される。
【0065】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも一つのR−R基における結合価原子は炭素原子であり、この際、少なくとも一つのR−R基は、独立して、アルキル基、置換されたアルキル基、アリール基および置換されたアリール基からなる群より選択される。
【0066】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも一つのR−R基における結合価原子は炭素原子であり、この際、少なくとも一つのR−R基は、独立して、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基およびイソプロピル基からなる群より選択される。
【0067】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも一つのピロール環の二つの隣接するR−R基の結合価原子は炭素原子であり、この際、少なくとも一つのピロール環の二つの隣接するR−R基は、少なくとも一つのピロール環の二つのβ位の炭素原子といっしょになって、炭素環基または置換された炭素環基を形成する。
【0068】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも一つのピロール環の二つの隣接するR−R基の結合価原子は炭素原子であり、この際、少なくとも一つのピロール環の二つの隣接するR−R基は、少なくとも一つのピロール環の二つのβ位の炭素原子といっしょになって、ヘテロ環基または置換されたヘテロ環基を形成する。
【0069】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも一つのピロール環の二つの隣接するR−R基の結合価原子は、炭素原子であり、この際、少なくとも一つのピロール環の二つの隣接するR−R基は、少なくとも一つのピロール環の二つのβ位の炭素原子といっしょになって、炭素環基または置換された炭素環基を形成し、炭素環基または置換された炭素環基は、大員環または芳香族π系(benzanulated π−system)である。
【0070】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも一つのピロール環の二つの隣接するR−R基の結合価原子は炭素原子であり、この際、少なくとも一つのピロール環の二つの隣接するR−R基は、少なくとも一つのピロール環の二つのβ位の炭素原子といっしょになって、炭素環基または置換された炭素環基を形成し、炭素環基または置換された炭素環基は芳香族である。
【0071】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも一つのピロール環の二つの隣接するR−R基は、少なくとも一つのピロール環の二つのβ位の炭素原子といっしょになって、ヘテロ環基または置換されたヘテロ環基を形成する。
【0072】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも一つのR−R基における結合価原子は酸素原子である。
【0073】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも一つのR−R基における結合価原子は酸素原子であり、この際、少なくとも一つの結合価原子としてOを有するR−R基は、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルコキシ、シクロアルケニルオキシ、シクロアルキニルオキシ、アラルキルオキシ、アラルケニルオキシ、アラルキニルオキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、ヒロドキシカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシである。
【0074】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも一つのR−R基における結合価原子は酸素原子であり、この際、少なくとも一つの結合価原子としてOを有するR−R基は、ヒドロキシまたはアルコキシである。
【0075】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも一つのR−R基における結合価原子は酸素原子であり、この際、少なくとも一つの結合価原子としてOを有するR−R基は、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシまたはイソプロポキシである。
【0076】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも一つのR−R基は、Cl原子、Br原子、I原子またはAt原子である。
【0077】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも一つのR−R基における結合価原子は窒素原子である。
【0078】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも一つのR−R基における結合価原子は窒素原子であり、この際、少なくとも一つの結合価原子としてNを有するR−R基は、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルケニルアミノ基、ジアルケニルアミノ基、アルキニルアミノ基、ジアルキニルアミノ基、N−アルキル−N−アルケニルアミノ基、N−アルキル−N−アルキニルアミノ基、N−アルケニル−N−アルキニルアミノ基、アシルアミノ基、N−アシル−N−アルキルアミノ基、N−アシル−N−アルケニルアミノ基、N−アシル−N−アルキニルアミノ基、N−アシル−N−シクロアルキルアミノ基、N−アシル−N−シクロアルケニルアミノ基、N−アシル−N−アリールアミノ基、ニトロ基、窒素結合価原子を含むヘテロ環基および窒素結合価原子を含む置換されたヘテロ環基からなる群より選択される。
【0079】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも一つのR−R基における結合価原子は硫黄原子である。
【0080】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも一つのR−R基における結合価原子は硫黄原子であり、この際、少なくとも一つのR−R基は、チオール基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アルキニルチオ基、アラルキルチオ基、アラルケニルチオ基、アラルキニルチオ基、シクロアルキルアルキルチオ基、シクロアルケニルアルキルチオ基、シクロアルキニルアルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、およびアリールチオ基からなる群より選択される。
【0081】
Mの例としては、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀および金が挙げられる。
【0082】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、MはAlではない。
【0083】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、MはPt、PdまたはIrである。好ましくは、Mは、PtまたはPdである。より好ましくは、MはPtである。
【0084】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、デバイスは有機太陽電池(organic photovoltaic cell)である。
【0085】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、デバイスは光導電セル電池である。
【0086】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、デバイスは光センサーである。
【0087】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、デバイスは光検出器である。
【0088】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、デバイスはドナー物質およびアクセプタ物質を含み、この際、ドナー物質またはアクセプタ物質は、式(I)で表される少なくとも一つのテトラ−アザポルフィリン化合物を含む。好ましくは、ドナー物質が式(I)で表される少なくとも一つのテトラ−アザポルフィリン化合物を含む。
【0089】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、デバイスはドナー物質およびアクセプタ物質を含み、この際、ドナー物質およびアクセプタ物質の両方が、式(I)で表される少なくとも一つのテトラ−アザポルフィリン化合物を含む場合、ドナー物質における少なくとも一つのテトラ−アザポルフィリン化合物は、アクセプタ物質における少なくとも一つのテトラ−アザポルフィリン化合物とは相違する。
【0090】
本発明の感光性光電子デバイスの実施形態のいくつかにおいて、デバイスはドナー物質およびアクセプタ物質を含み、この際、ドナー物質は式(I)で表される少なくとも一つのテトラ−アザポルフィリン化合物を含み、アクセプタ物質はC60化合物を含む。
【0091】
本発明の有機感光性光電子デバイスは励起子遮蔽層(「EBL」)を含みうる。ある物質の励起子遮蔽性は、固有の特性ではない(US6,451,415を参照)。ある物質が励起子遮断剤として作用することができるかどうかは、隣接する有機感光性物質の相対的なHOMOおよびLUMOレベルに依存する。したがって、励起子遮断剤としての化合物群だけを個別に、それが使用されうるデバイスの状況を考慮することなく同定することは不可能である。しかしながら、ある物質が有機感光性光電子デバイスを構成する目的で所定の物質とともに用いられたときに励起子遮断剤として機能することができるかどうかは、当業者であれば判断することができる。EBLの例としては、EBLに関連した開示について、参照により本明細書に引用される、Forrestらによる米国特許出願第11/150,143号および米国特許第6,451,415号が挙げられる。例えば、励起子遮蔽層は、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)、4,4’,4”−トリス{N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ}トリフェニルアミン(m−MTDATA)またはポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)を含みうる。また、EBLのさらなる背景の説明として、Peumansらが、Applied Physics Letters 76,2650−52(2000)に報告した「超薄有機二重ヘテロ構造光起電ダイオードにおける高光学強度での効率的光子回収法」が挙げられる。EBLは、ドナー物質および/またはアクセプタ物質の外への励起子の移動を妨害することによりクエンチングを弱める。
【0092】
本発明は、本発明の感光性光電子デバイスを製造する方法を提供するものであり、その方法としては:
ドナー物質およびアクセプタ物質を準備し、この際、ドナー物質および/またはアクセプタ物質は、本発明の式(I)で表される少なくとも一つのテトラ−アザポルフィリン化合物を含み;および
ドナー物質がアクセプタ物質を接触させて感光性光電子デバイスを製造し、
この際、ドナー物質およびアクセプタ物質の両方が、式(I)で表される少なくとも一つのテトラ−アザポルフィリン化合物を含む場合、ドナー物質における少なくとも一つのテトラ−アザポルフィリン化合物は、アクセプタ物質における少なくとも一つの非平面状ポルフィリンとは相違する、
ことを含む。
【0093】
本発明の様態の一つは、本発明の感光性光電子デバイスを製造する方法に関するものであり、この際、感光性光電子デバイスは、感光性光電子デバイスを製造するあらゆる公知の方法で製造され、その改良点としては:
ドナー物質およびアクセプタ物質を準備し、この際、ドナー物質および/またはアクセプタ物質は、本発明の式(I)で表される少なくとも一つのテトラ−アザポルフィリン化合物を含み;および
ドナー物質がアクセプタ物質と接触させて感光性光電子デバイスを製造し、
この際、ドナー物質およびアクセプタ物質の両方が、式(I)で表される少なくとも一つのテトラ−アザポルフィリン化合物を含む場合、ドナー物質における少なくとも一つのテトラ−アザポルフィリン化合物は、アクセプタ物質における少なくとも一つの非平面状ポルフィリンとは相違する、
ことを含む。
【0094】
本発明の感光性光電子デバイスを製造するいずれの方法においても、ドナー物質および/またはアクセプタ物質において用いられる少なくとも一つのテトラ−アザポルフィリン化合物は、本明細書中に開示された式(I)で表されるテトラ−アザポルフィリン化合物でありうる。
【0095】
本発明の感光性光電子デバイスを製造する方法の実施形態のいくつかにおいて、感光性光電子デバイスとは太陽電池である。
【0096】
本発明の感光性光電子デバイスを製造する方法の実施形態のいくつかにおいて、感光性光電子デバイスとは光検出器である。
【0097】
本発明の感光性光電子デバイスを製造する方法の実施形態のいくつかにおいて、感光性光電子デバイスとは光センサーである。
【0098】
本発明の感光性光電子デバイスを製造する方法の実施形態のいくつかにおいて、感光性光電子デバイスとは光導電セルである。
【0099】
式(I)で表されるテトラ−アザポルフィリン化合物は、公知の化学合成方法によって製造されうる。例えば、テトラ−アザポルフィリン化合物は以下に示す反応スキームにより合成されうる。この際、R−R基はR基によって一般的に示されている。
【0100】
【化4】

【0101】
テトラ−アザポルフィリンの合成は、R基および金属塩に依存して、無溶媒反応としてまたはブタノール中で、フマロニトリル(E)誘導体またはマレオニトリル(Z)誘導体(種々のR基)のいずれかとの金属塩(上記に記載)の反応を含む。次いで、沈殿物を酢酸中で温浸および洗浄するか、または単に溶媒を用いて洗浄する。フタロシアニン化合物は、ジシアノベンゼン誘導体を出発原料として同一条件下で合成される。例えば、Mashenkov, V. A. et al. Zhurnal Prikladnoi Spektroskopii, 1974, 21(1), 73−81; Fitzgerald, Jeffery et al. Synthesis, 1991, 9, 686−688; Chizhova, N. V.; Khelevina, O. G.; Berezin, B. D. Russian Journal of General Chemistry 2003, 73(10), 1645−1647を参照。
【0102】
(参考文献)
1. Peumans, P., A. Yakimov, and S.R. Forrest, Small molecular weIght organic thin−film photodetectors and solar cells. Journal of Applied Physics, 2003. 93(7): p. 3693−3723.
2. Singh, V.P., R.S. Singh, B. Parthasarathy, A. Aguilera, J. Anthony, and M. Payne, Copperphthalocyanine−based organic solar cells with high open−circuit voltage. Applied Physics Letters, 2005. 86(8): p. 082106.
3. Brabec, C.J., A. Cravino, D. Meissner, N.S. Sariciftci, T. Fromherz, M.T. Rispens, L. Sanchez, and J.C. Hummelen, Origin of the open circuit voltage of plastic solar cells. Advanced Functional Materials, 2001. 11(5): p. 374−380.
4. Gledhill, S.E., B. Scott, and B.A. Gregg, Organic and nano−structured composite photovoltaics: An overview. Journal of Materials Research, 2005. 20(12): p. 3167−3179.
5. Mutolo, K.L., E.I. Mayo, B.P. Rand, S.R. Forrest, and M.E. Thompson, Enhanced open−circuit voltage in subphthalocyanine/C−60 organic photovoltaic cells. Journal of the American Chemical Society, 2006. 128(25): p. 8108−8109.
Terao, Y., H. Sasabe, and C. Adachi, Correlation of hole mobility, exciton diffusion length, and solar cell characteristics in phthalocyanine/fullerene organic solar cells. Applied Physics Letters, 2007. 90(10): p. 103515.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラ−アザポルフィリンコアの中心に結合した3価または4価の金属原子Mを有する式Iで表されるテトラ−アザポルフィリン化合物を少なくとも一つ含む有機感光性光電子デバイス:
この際、Mは、(a)式IIに示すように1価のアニオン性リガンドXを有する3価の金属原子、(b)式IIIに示すように2つの1価のアニオン性リガンドX’およびX”を有する4価の金属原子、または、(c)式IVに示すように二つの1価のアニオン性リガンドX’およびX”を有する4価の金属原子である:
【化1】

【化2】

式中、
Xは1価のアニオン性リガンドであり;
X’およびX”はそれぞれ独立して、同一であるかまたは異なる二つの1価のアニオン性リガンドであり;並びに
、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、Cl原子、Br原子、I原子、At原子および前記テトラ−アザポルフィリンコアのピロール環またはジヒドロピロール環のβ炭素原子に結合した結合価原子を含む化学基からなる群より選択され、この際、前記結合価原子は、B、C、N、O、Si、P、S、Ge、As、Se、In、Sn、Sb、Te、Tl、Pb、BiおよびPoからなる群より選択され、または同一のピロール環またはジヒドロピロール環の二つのβ炭素原子と結合した二つの隣接したR−R基が、前記2つのβ炭素原子とともに炭素環基またはヘテロ環基を形成し、この際、前記炭素環基または前記ヘテロ環基は単環または多環である(ただし、式Iのテトラ−アザポルフィリン化合物はクロロアルミニウムフタロシアニン(AICIPc)ではない)。
【請求項2】
少なくとも一つのR−R基における結合価原子はCである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
少なくとも一つのR−R基は、それぞれ独立して、アルキル基、置換されたアルキル基、アルケニル基、置換されたアルケニル基、アルキニル基、置換されたアルキニル基、シクロアルキル基、置換されたシクロアルキル基、シクロアルケニル基、置換されたシクロアルケニル基、シクロアルキニル基、置換されたシクロアルキニル基、アリール基、置換されたアリール基、ヘテロ環基および置換されたヘテロ環基からなる群より選択される、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
置換されたアルキル基が、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルコキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ホルミル基、アシル基、カルバモイル基、アミノ基、少なくとも一つのアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、N−アシル−N−アルキルアミノ基、N−アシル−N−アルケニルアミノ基、N−アシル−N−アルキニルアミノ基、N−アシル−N−シクロアルキルアミノ基、N−アシル−N−シクロアルケニルアミノ基、N−アシル−N−アリールアミノ基、ニトロ基、ヘテロ環基およびハロゲン原子からなる群より独立して選択される少なくとも一つのラジカルを有する置換されたアルキル基であり;
置換されたアルケニル基が、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルコキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ホルミル基、アシル基、カルバモイル基、アミノ基、少なくとも一つのアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、N−アシル−N−アルキルアミノ基、N−アシル−N−アルケニルアミノ基、N−アシル−N−アルキニルアミノ基、N−アシル−N−シクロアルキルアミノ基、N−アシル−N−シクロアルケニルアミノ基、N−アシル−N−アリールアミノ基、ニトロ基、ヘテロ環基およびハロゲン原子からなる群より独立して選択される少なくとも一つのラジカルを有する置換されたアルケニル基であり;
置換されたアルキニル基が、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルコキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ホルミル基、アシル基、カルバモイル基、アミノ基、少なくとも一つのアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、N−アシル−N−アルキルアミノ基、N−アシル−N−アルケニルアミノ基、N−アシル−N−アルキニルアミノ基、N−アシル−N−シクロアルキルアミノ基、N−アシル−N−シクロアルケニルアミノ基、N−アシル−N−アリールアミノ基、ニトロ基、ヘテロ環基およびハロゲン原子からなる群より独立して選択される少なくとも一つのラジカルを有する置換されたアルキニル基であり;
置換されたシクロアルキル基が、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルコキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ホルミル基、アシル基、カルバモイル基、アミノ基、少なくとも一つのアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、N−アシル−N−アルキルアミノ基、N−アシル−N−アルケニルアミノ基、N−アシル−N−アルキニルアミノ基、N−アシル−N−シクロアルキルアミノ基、N−アシル−N−シクロアルケニルアミノ基、N−アシル−N−アリールアミノ基、ニトロ基、ヘテロ環基およびハロゲン原子からなる群より独立して選択される少なくとも一つのラジカルを有する置換されたシクロアルキル基であり;
置換されたシクロアルケニル基が、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルコキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ホルミル基、アシル基、カルバモイル基、アミノ基、少なくとも一つのアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、N−アシル−N−アルキルアミノ基、N−アシル−N−アルケニルアミノ基、N−アシル−N−アルキニルアミノ基、N−アシル−N−シクロアルキルアミノ基、N−アシル−N−シクロアルケニルアミノ基、N−アシル−N−アリールアミノ基、ニトロ基、ヘテロ環基およびハロゲン原子からなる群より独立して選択される少なくとも一つのラジカルを有する置換されたシクロアルケニル基であり;
置換されたシクロアルキニル基が、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルコキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ホルミル基、アシル基、カルバモイル基、アミノ基、少なくとも一つのアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、N−アシル−N−アルキルアミノ基、N−アシル−N−アルケニルアミノ基、N−アシル−N−アルキニルアミノ基、N−アシル−N−シクロアルキルアミノ基、N−アシル−N−シクロアルケニルアミノ基、N−アシル−N−アリールアミノ基、ニトロ基、ヘテロ環基およびハロゲン原子からなる群より独立して選択される少なくとも一つのラジカルを有する置換されたシクロアルキニル基であり;
置換されたアリール基が、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルコキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ホルミル基、アシル基、カルバモイル基、アミノ基、少なくとも一つのアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、N−アシル−N−アルキルアミノ基、N−アシル−N−アルケニルアミノ基、N−アシル−N−アルキニルアミノ基、N−アシル−N−シクロアルキルアミノ基、N−アシル−N−シクロアルケニルアミノ基、N−アシル−N−アリールアミノ基、ニトロ基、ヘテロ環基およびハロゲン原子からなる群より独立して選択される少なくとも一つのラジカルを有する置換されたアリール基であり;並びに
置換されたヘテロ環基が、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルコキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ホルミル基、アシル基、カルバモイル基、アミノ基、少なくとも一つのアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、N−アシル−N−アルキルアミノ基、N−アシル−N−アルケニルアミノ基、N−アシル−N−アルキニルアミノ基、N−アシル−N−シクロアルキルアミノ基、N−アシル−N−シクロアルケニルアミノ基、N−アシル−N−アリールアミノ基、ニトロ基、ヘテロ環基およびハロゲン原子からなる群より独立して選択される少なくとも一つのラジカルを有する置換されたヘテロ環基である、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
同一のピロール環またはジヒドロピロール環に結合した少なくとも二つの隣接したR−R基が、同一のピロール環またはジヒドロピロール環の二つのβ炭素原子とともに、置換されていてもよい炭素環基またはヘテロ環基を形成する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
同一のピロール環またはジヒドロピロール環に結合した少なくとも二つの隣接したR−R基が、同一のピロール環またはジヒドロピロール環の二つのβ炭素原子とともに、置換されていてもよい炭素環基を形成する、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
置換されていてもよい炭素環基が、置換されていてもよいアリール基である、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
置換されていてもよいアリール基が、フェニル基または置換されたフェニル基である、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
少なくとも一つのテトラ−アザポルフィリン化合物が、テトラ−アザポルフィリンコアの中心に結合したMを有する、式Vのフタロシアニン化合物の少なくとも一つである、請求項8に記載のデバイス。
【化3】

【請求項10】
同一のピロール環またはジヒドロピロール環に結合した少なくとも二つの隣接したR−R基が、同一のピロール環またはジヒドロピロール環の二つのβ炭素原子とともに、ヘテロ環基を形成する、請求項5に記載のデバイス。
【請求項11】
置換されていてもよい炭素環基が、置換されていてもよい大員環または芳香族π系である、請求項6に記載のデバイス。
【請求項12】
−R基の少なくとも一つが、アルキル基、置換されたアルキル基、アリール基または置換されたアリール基である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項13】
−R基の少なくとも一つにおける結合価原子がOである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
結合価原子としてOを有するR−R基の少なくとも一つが、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルコキシ、シクロアルケニルオキシ、シクロアルキニルオキシ、アラルキルオキシ、アラルケニルオキシ、アラルキニルオキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、ヒロドキシカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシである、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
結合価原子としてOを有するR−R基の少なくとも一つが、ヒドロキシまたはアルコキシである、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
−R基の少なくとも一つが、それぞれ独立して、Cl原子、Br原子、I原子およびAt原子からなる群より選択される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
−R基の少なくとも一つが、結合価原子としてNを有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
−R基の少なくとも一つが、結合価原子としてSを有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項19】
X、X’またはX”が、それぞれ独立して、ハロゲン化物、シュードハロゲン化物、アルキル、アリール、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アラルキルオキシ、アラルケニルオキシ、アラルキニルオキシ、シクロアルキルアルコキシ、シクロアルキルアルケニルオキシ、シクロアルキルアルキニルオキシ、アミド、シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロ環オキシ、ヘテロアリールオキシ、シクロアルケニルオキシ、シクロアルキニルオキシ、アラルキルオキシ、アラルケニルオキシ、アラルキニルオキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、ヒドロキシカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、モノアリールアミノ、ジアリールアミノ、N−アルキル−N’−アリールアミノ、アシル、アシルオキシ、ニトロ、ヒドロキシ、チオール、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アラルキルチオ、アラルケニルチオ、アラルキニルチオ、シクロアルキルアルキルチオ、シクロアルケニルアルキルチオ、シクロアルキニルアルキルチオ、シクロアルキルチオ、シクロアルケニルチオ、シクロアルキニルチオおよびアリールチオより選択される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
X、X’またはX”が、それぞれ独立して、ハロゲン化物、シュードハロゲン化物、アルキル、アリール、アルコキシおよびアミドより選択される、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
Mが、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀および金からなる群より選択される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項22】
Mが、ガリウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀および金からなる群より選択される、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
MがPt、PdまたはIrである、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
Mが3価の金属原子である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項25】
Mが4価の金属原子である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項26】
(i)少なくとも一方が透明である第1電極および第2電極と、
(ii)前記第1電極と前記第2電極との間に配置され、
(a)第1の有機半導体物質、および
(b)第2の有機半導体物質
を含み、この際、前記第1の有機半導体物質が前記第2の有機半導体物質に対する少なくとも一つのドナー物質を含み、前記第2の有機半導体物質が少なくとも一つのアクセプタ物質を含むか、または、前記第1の有機半導体物質が前記第2の有機半導体物質に対する少なくとも一つのアクセプタ物質を含み、前記第2の有機半導体物質が少なくとも一つのドナー物質を含み、この際、前記ドナー物質は式Iで表されるテトラ−アザポルフィリン化合物の少なくとも一つを含み、前記第1の有機半導体物質が前記第2の有機半導体物質と直接接触している、有機光活性物質と、
(iii)二つの電極間に位置し、二つの電極の少なくとも一方に隣接している、少なくとも一つの励起子遮蔽層と、
を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項27】
ドナー物質およびアクセプタ物質を含み、前記ドナー物質が、少なくとも一つの式Iで表されるテトラ−アザポルフィリン化合物を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項28】
前記アクセプタ物質がC60を含む、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
ドナー物質およびアクセプタ物質を含み、前記ドナー物質が式(I)で表されるテトラ−アザポルフィリン化合物を含み、前記アクセプタ物質が式(I)で表される他のテトラ−アザポルフィリン化合物を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項30】
有機太陽電池である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項31】
光導電セルである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項32】
光検出器である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項33】
光センサーである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項34】
ドナー物質およびアクセプタ物質を準備し、この際、前記ドナー物質は少なくとも一つの式(I)で表されるテトラ−アザポルフィリン化合物を含み、
前記ドナー物質を前記アクセプタ物質と接触させて有機感光性光電子デバイスを製造する、
ことを含む、請求項27に記載の有機感光性デバイスの製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−507217(P2011−507217A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529131(P2010−529131)
【出願日】平成20年10月11日(2008.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/079666
【国際公開番号】WO2009/049273
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(508230226)ユニバーシティ オブ サザン カリフォルニア (8)
【出願人】(509009692)
【Fターム(参考)】