説明

テトラヒドロピラン−3−オン類からテトラヒドロピラン類を調製する方法

【課題】テトラヒドロピラン−3−オン類からテトラヒドロピラン類を調製する方法。
【解決手段】本発明はテトラヒドロピラン−3−オン類より2,5−2置換テトラヒドロピラン類を調製する方法に関し、これらの合成からの新規な中間体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテトラヒドロピラン−3−オン類から2,5−2置換テトラヒドロピラン類を調製する方法、およびこれらの合成からの新規な中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
化学構造の構成要素として、テトラヒドロピラン環は、化合物の一連の種類全体において重要な主要物である。例えばEP967261A1(山田ら、チッソ社、1999年;特許文献1)に記載されるように、テトラヒドロピラン類は、液晶に分類される物質において重要な役割を既に演じてきた。この分野で特に興味深いものは、従来の1,4−置換シクロヘキサン誘導体類に構造的に類似しているテトラヒドロピラン類の2,5−置換誘導体類である。
【0003】
そのような化合物を入手することは、例えば、DE3306960A1(特許文献2)に記載されている。そこに記載されている方法は、目的化合物を得るために、5−置換3,4−ジヒドロ−2H−ピラン類を水素化することを基礎としている。3,4−ジヒドロ−2H−ピランから出発し、2−無置換化合物の合成のみが記載されている。ここで、不具合なことに、本発明の化合物の合成に必要な2−置換3,4−ジヒドロピラン類は困難な方法によってのみ入手できる。
【0004】
2−メチル−5−フェニルテトラヒドロピランの合成のために、有毒な水銀化合物類がS.H.Kangらにより使用されている(Tetr.Lett.、1998年、第39巻、第59〜62頁;非特許文献1)。
【特許文献1】EP967261A1
【特許文献2】DE3306960A1
【非特許文献1】S.H.Kangら、Tetr.Lett.、1998年、第39巻、第59〜62頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、2−および5−置換テトラヒドロピラン類の一般的な入手方法を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明に従い、式Iのテトラヒドロピラン誘導体類の調製方法により達成される。
【0007】
【化1】

その方法は、式IIの化合物をケト官能基で求核性炭素原子を有する試薬類(「C求核試薬類」)と反応させることで特徴付けられる。
【0008】
【化2】

ただし、式IおよびII中、互いに独立に、同一または異なって、
およびRは、H、ハロゲン、CN、NCS、SF、1〜15個の炭素原子を有するアラルキル、−O−アラルキルまたはアルキル基を表し、該基は無置換であるか、同一か異なってハロゲンまたはCNにより1置換または多置換されており、ただし加えて、この基中の1個以上のCH基は、ヘテロ原子(O、S)が互いに直接結合しないように、−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−S−、−C(O)−O−および/または−O−C(O)−で置き換えられていてもよく、
、A、A、A、A、Aは、1,4−フェニレン(該1,4−フェニレンは、互いに独立に、ハロゲン、CH、CF、CHF、CHF、OCH、OCHF、OCFで、0〜4回置換されていてもよく、ただし、環のCHはNで0〜2回置換されていてもよく)、シクロヘキサン−1,4−ジイル(CHは、互いに独立に、OまたはSで0〜2回、および/またはFで0〜10回置換されていてもよく)、シクロブタン−1,4−ジイル、ビシクロ[1.1.1]ペンタン−1,3−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイルを表し
、Z、Z、Z、Z、Zは、互いに独立に、同一か異なって、単結合、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CHO−、−OCH−、−CFO−または−OCF−を表し、および
a、b、c、d、e、fは、0または1を表す。
【0009】
本発明の方法は、式IIのジヒドロピラン−3−オン中間体類の調製および使用に基づいている。
【0010】
【化3】

式IIの化合物の調製は文献に僅かに例が記載されているのみで、高度な合成上の複雑さを伴う。M.M.CookおよびC.Djerassi(J.Am.Chem.Soc.(1973年)、第11巻、第3678〜86頁)に記載される5−メチルテトラヒドロフルフリルアルコールの環拡張による合成の場合、6−メチルテトラヒドロピラン−3−の収率は必ず低いものとなる。S.Zhangらは、有毒な水銀化合物類を使用するビニル化により単に式IIの類似体の入手を達成している(Bioorg.Med.Chem.Lett.(2003年)、第13巻、第1591〜5頁)。式IIのケトン類に対応するアルコール化合物である2−tert−ブチルテトラヒドロピラン−5−オールがC.Anselmiにより複雑な方法で調製されており、限定された生成物の範囲でのみ使用できる(Tetrahedron(1977年)、第33巻、第2271〜5頁)。対照的に、本発明方法の実施形態によれば出発材料としてラクトン類を使用でき(スキーム3参照)、ラクトン類はしばしば商業的に入手可能であるか、文献より公知の方法を経て複雑ではない方法により入手できる。よって、有利な方法で、材料としてこれまで知られていなかった式IIの新規なジヒドロピラノン類の形で、多様な興味ある中間体類の入手手段が開かれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態において、式Iの化合物は、スキーム1による反応工程を含む方法により調製される。
【0012】
【化4】


本発明の方法の式Iの特に好ましい生成物は、以下のように特徴付けられる。
【0013】
a+b+cは、0、1または2であるか、
d+e+fは、0、1または2であるか、
a+b+c+d+e+fは、0、1または2であるか、
、AおよびAは、存在するのであれば、互いに独立に、シクロヘキサン−1,4−ジイルまたはテトラヒドロピラン−2,5−ジイルであるか、または
、AおよびAは、存在するのであれば、互いに独立に、フッ素化されていてもよい1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたは1,4−シクロヘキサンジイルである。
【0014】
式Iの化合物の調製方法は、式IIのケト化合物および式IIIの金属含有化合物を反応させ、式IVの化合物を得ることを特徴とする工程を含む。
【0015】
【化5】

【0016】
【化6】

【0017】
【化7】

ただし、式IIIおよびIV中、互いに独立に、同一または異なって、
nは、1または2であり、
Mは、金属、ハロゲン化金属、更なる有機基を有する金属または陰イオンとしての(-)[(Z−A−(Z−A−(Z−A−R]とのイオン対の任意の所望の陽イオンを表し、および
、R、A、A、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、Z、Z、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれの場合で独立に、式Iの上の意味を有する。
【0018】
式IIIの金属含有化合物は、好ましくは、グリニャール化合物、アルキルリチウム化合物または任意の所望の対イオン、通常、使用される塩基の対イオンとのカルバニオンの型の金属化化合物を表す。
【0019】
反応は、カルボニル基上への金属アルキルまたはカルバニオンの付加反応のための従来の方法で行われる。金属化または脱プロトン化された化合物が商業的に入手できない場合は、「その場」でプロトンまたはハロゲンを金属種に交換して金属化を実行する。従来の変法(例えば、グリニャール反応、ブチルリチウムを使用する金属化、P.Knochelらの方法によるハロゲン化物のアルキルMgBr/LiClによる交換、強力な非求核性塩基による反応)は、文献より公知であり、複数の反応相手の調製に非常に適している。
【0020】
更に、式Iの化合物の調製方法は、脱水により、式IVの反応生成物を式Vaおよび/またはVbの化合物に転化ことを特徴とする反応工程を含む。
【0021】
【化8】

【0022】
【化9】

ただし、式VaおよびVb中のR、R、A、A、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、Z、Z、a、b、c、d、e、fは、式Iの上の意味を有する。
【0023】
方法は、更に、1つの反応工程において、水素化により、式VaまたはVbの化合物を式Iの化合物に転化することで特徴付けられる。
【0024】
記載される式IIから式Iへの反応工程は、示される順序によってか、または同時に行われる。中間体は単離することができるか、引く続く反応によって即時に使用または反応させる。更に、例えば精製、エピマー化、所望の異性体のラセミ変換または濃縮のような中間工程も、反応の間で行うことができる。
【0025】
式Iの化合物の調製のための好ましい工程は式IIIの有機金属化合物を使用し、nが1に等しい場合、MはLi、NaまたはHalMgを表し、ただしHalはI、BrまたはClを意味し、nが2に等しい場合、MはMgを表すことを特徴とする。
【0026】
本発明の第2の実施形態においては、本質的に式IIのテトラヒドロピラノンをα−アルコキシリンイリド(α−アルコキシホスホラン)と反応させ、ウィッティッヒ反応と引く続く加水分解によりホルミルテトラヒドロピランを得る(スキーム2)工程で式Iの化合物を調製する。
【0027】
【化10】

使用されるウィッティッヒ試薬はハロゲン化(アルコキシメチル)トリフェニルホスホニウムのようなエノールエーテルシントン、特に、例えば臭化または塩化(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムのような商業的に入手できる試薬である。反応条件は、ウィッティッヒ反応のための従来工程と類似している。
【0028】
従って、式Iの化合物を調製するための方法は、式IIのケト化合物および式VIのリンイリド化合物を反応させてエノールエーテル化合物VIIを得て、これを加水分解して式VIIIのアルデヒドを得て、該アルデヒドを引き続き式IXの1,3−ジオール化合物と反応させて式Iの化合物を得ることを特徴とする。
【0029】
P=CHOR VI
ただし、Rはアリール基を意味し、Rは有機基を意味する。
【0030】
【化11】

ただし、式I中の−[Z−A−は、以下の式のジオキサン基を意味し、
【0031】
【化12】

および、式IX中のR、A、A、Z、Z、eおよびfは、式Iで定義される通りである。
【0032】
は、好ましくは、単結合、直鎖状または分岐状で1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、特には、メチルまたはエチル基である。
【0033】
式VIIIのアルデヒド中間体は、式Iのテトラヒドロピラン誘導体に最終的に転化できる更なる生成物の調製に非常に適している。アルデヒド誘導体の反応は、例えば、1,3−プロパンジオールを縮合してジオキサン環を得る形式の単純な方法、またはEP1482020A1に記載されるような更なるテトラヒドロピラン環の前駆体を得るためのハロゲン化アリルマグネシウムとの反応により行う。WO2004/048357A1に従ってアクリレートと縮合することにより、液晶のためのテトラヒドロピランの合成のためにアルデヒドを更に使用することが可能である。加えて、ウィッティッヒ反応を経る単純な方法によりアルデヒド官能基をアルケニル鎖に転化でき、それから水素化によって末端アルキル鎖とできる。これによって、環(5位において)上でアルキル置換されているテトラヒドロピラン誘導体を単純に入手できるようになる。酸素原子の方向のために、分子内の更なる極性基との巧みな組み合わせにおいて分子の縦軸方向の双極子モーメントが増加され、これらの化合物は0より大きい誘電異方性を有する極性化合物にとって特に興味深い。これらの多様な反応の可能性のため、式Iのテトラヒドロピラン化合物の多様な改変体の合成にとって、テトラヒドロピランアルデヒドの合成が特に有益となる。
【0034】
従って、第1工程で式IIの化合物をウィッティッヒ試薬と反応させて式VIIの化合物を得て、および引き続き加水分解して式VIIIのアルデヒド化合物を得ることで特徴付けられる式Iの化合物の調製方法が好ましい。
【0035】
【化13】

【0036】
【化14】

ただし、
は、任意の所望の方法、特にはメチル基で置換されたアルキル基を表し、
式VIIおよびVIII中のa、b、c、R、Z、Z、Z、A、AおよびAは、式Iと同じ意味を有する。
【0037】
式VIIIのアルデヒドも、リンイリドのような単純なウィッティッヒ試薬との反応によるアルケニル鎖の形成に適している。適当なウィッティッヒ試薬を使用し、置換されていてもよいアルケニル基もテトラヒドロピラン環へ結合できる。アルケニル基は、鎖形式の末端基としてまたはメソゲン性分子中の環系間の結合成分として適当である。テトラヒドロピラン環の近傍に生成された二重結合も引き続き水素化でき1,2−エチレン橋架けを得ることができ、今度は広い範囲のメソゲン性物質が入手可能となる。形成されるエチレン基は、メソゲン性分子の環間の結合成分として、または末端アルキル基の一部として使用できる。従って、リンイリドと共にウィッティッヒ反応を経て(置換されていてもよい)アルケニル基を構築するか、アルケニル基を引き続き水素化して(置換されていてもよい)アルキル基を構築するためにアルデヒドVIIIを使用することで特長付けられる、式VIIIのアルデヒド類または式VIIのアルデヒド前駆体類を中間体類として使用する式Iの化合物の調製方法も好ましい。
【0038】
式VIIIのアルデヒドは、極めて有用な中間体である。従って、同様に、本発明の態様の一部分は、上記の通り、テトラヒドロピラン−3−オンを式RP=CHORのウィッティッヒ試薬と反応させて式VIIの化合物を得て、引き続き加水分解して式VIIIの化合物を得ることで特徴付けられるアルデヒド基を含むテトラヒドロピランの調製方法である。式IIのケト化合物から式VIIIのアルデヒドを調製する方法が好ましい。
【0039】
更に、本発明は、中間体としてとして働く、ケト基に対してパラ位である6位に少なくとも1つ置換を有する新規な3−ケトテトラヒドロピランに関する。現在までに知られている誘導体は、単純なアルキル誘導体を代表するものとして6−メチルおよび6−tert−ブチル誘導体のみであり、メソゲンとしてまたは液晶化合物として使用する価値がない僅かな特定の誘導体である。
【0040】
中間体として適当な新規の化合物は、式IIの化合物である。
【0041】
【化15】

ただし、Rがメチルに等しい場合a+b+cは0に等しくなく、他の場合、a、b、c、R、Z、Z、Z、A、AおよびAは、式IIに関して上で示される意味を有する。
【0042】
a+b+cが0または1の値を有し、Rは1〜15個の炭素原子、特には2〜8個の炭素原子を有するアルキル基であり、無置換であるか、同一か異なってハロゲンまたはCNにより1置換または多置換されており、ただし加えて、この基中の1個以上のCH基は、ヘテロ原子(O、S)が互いに直接結合しないように、−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−S−、−C(O)−O−および/または−O−C(O)−で置き換えられていてもよいことで特徴付けられる式IIの化合物が好ましい。aが1に等しい場合、ここで環Aは、好ましくは、1,4−フェニレン、シクロヘキサン−1,4−ジイルまたはテトラヒドロピラン−2,5−ジイルを表し、それぞれFにより1置換または多置換されていてもよい。
【0043】
同様に、a+b+cが1〜3の値を有し、RはF、Cl、Br、CN、CF、OCFまたは1〜15個の炭素原子を有するアルキル基であり、無置換であるか、同一か異なってハロゲンまたはCNにより1置換または多置換されており、ただし加えて、この基中の1個以上のCH基は、ヘテロ原子(O、S)が互いに直接結合しないように、−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−S−、−C(O)−O−および/または−O−C(O)−で置き換えられていてもよいことで特徴付けられる式IIの化合物が好ましい。この関係から、A、A、Aが1,4−フェニレンを表し、Fによって1置換または多置換されている式IIの化合物が特に好ましい。この関係から、ZまたはZがそれぞれ単結合または−OCF−を表す式IIの化合物も特に好ましい。加えて、A、AおよびAが、互いに独立に、以下の構造要素の1つを表すことで特徴付けられる式IIの化合物が特に好ましい。
【0044】
【化16】

本発明によれば、式IIの化合物は、2,5−置換ピラン誘導体を調製するための中間体として使用される。
【0045】
式IIの化合物をウィッティッヒ試薬と反応させて式VIIの化合物を得て、および引き続き加水分解して式VIIIのアルデヒド化合物を得ることで特徴付けられるアルデヒド化合物の調製のために、式IIの化合物を使用することが好ましい。
【0046】
【化17】

【0047】
【化18】

ただし、式VIIおよびVIII中のa、b、c、R、Z、Z、Z、A、AおよびAは、式Iに関するものと同じ意味を有する。
【0048】
本発明の更なる態様は、更なる調製方法のための出発材料として式IIのテトラヒドロピラン−3−オンを調製することである。その合成は、スキーム3中に一般的に示されているように達成される。ここでおよび下では、MESは有機部分構造を表し、特に、メソゲン性部分構造およびその部分、即ち例えば、単純なアルキル鎖も表し、また式IIに類似して、基R−[A−Z−[A−Z−[A−Z−も表す。ある種の状況では、反応系列中の複数の工程を1つの反応容器中での反応として合わせることもできる。
【0049】
【化19】


ラクトンから出発して、例えば水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)を使用して還元することによりラクトンを得て、これより、脱水および引き続くヒドロホウ素化によりヒドロキシル化合物を調製できる。更に酸化すれば、所望のケト化合物を得る。
【0050】
出発材料であるラクトンは商業的に入手可能であるか、例えばスキーム4に示されるようにラクトンおよびジヒドロピランをアルデヒドより調製できる。アルデヒド(MES−CHO)をグリニャール化合物と反応させてアルコールを得て、これよりヘミアセタールを得て、アセタール基を加水分解後にアルデヒドを得る。
【0051】
【化20】

式IIのテトラヒドロピラノンの調製の好ましい実施形態において、示される式中の成分MESは、式Xで下に定義されるように式−[Z−A−[Z−A−[Z−A−Rの基を表す。従って、式IIのテトラヒドロピラノン類の好ましい調製方法は、式Xの化合物を酸化することで特徴付けられる。
【0052】
【化21】

ただし、式X中のa、b、c、R、Z、Z、Z、A、AおよびAは、式Iと同じ意味を有する。
【0053】
同様に、式XIの2−置換3,4−ジヒドロ−2H−ピランを、ヒドロホウ素化によりXに転化することを特徴とする式IIの化合物の調製方法が好ましい。
【0054】
【化22】

ただし、式XI中のa、b、c、R、Z、Z、Z、A、AおよびAは、式Iと同じ意味を有する。
【0055】
最後に、第1の工程において、ケト基を還元し脱離することで、ラクトンXIIを式XIの中間体に転化することを特徴とする、式XIIのラクトン類から式IIの化合物を調製する方法も追加的に好ましい。
【0056】
【化23】

ただし、式XII中のa、b、c、R、Z、Z、Z、A、AおよびAは、式Iと同じ意味を有する。
【0057】
変法で記載される方法の利点は、単純に行うことができ、加えてかなりの量の重金属試薬を使わないと言う事実から生じる。その合成方策によれば容易に入手できる出発材料を多数使用でき、それより広い範囲の生成物を得ることができ、公知で工業的に入手可能な化合物の範囲が広がる。
【0058】
上および下において、以下の略称を使用する。
【0059】
RT 室温
THF テトラヒドロフラン
MTBエーテル メチルtert−ブチルエーテル
i.v. 真空下で
DCM ジクロロメタン
PCC クロロクロム酸ピリジニウム
【実施例】
【0060】
本発明は以下の例により、発明を制限する目的なく、更に説明される。
【0061】
<例1>6−ペンチルジヒドロピラン−3−オン
1.1.6−ペンチルテトラヒドロピラン−2−オール
【0062】
【化24】



119g(0.7mol)のδ−デカノラクトンを1.2lのジクロロメタンに溶解し、800mlのトルエン中の水素化ジイソブチルアルミニウムの1M溶液を−78℃で滴下により加える。4時間後、1lの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、冷却を止め、反応物を濾過する。水相を分離し、ジクロロメタンで3回抽出する。混合された有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を真空下で除去し、120gの6−ペンチルテトラヒドロピラン−2−オールを無色の液体として得て、更に精製することなく反応させる。
【0063】
1.2.2−ペンチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン
【0064】
【化25】


120gの1.1からの粗生成物を1lのジクロロメタンに溶解し、225ml(1.6mol)のトリエチルアミンおよび1.65g(13.5mmol)のN,N−ジメチルアミノピリジンを加え、62.0ml(0.800mol)の塩化メシルを10℃で滴下により加える。反応物を4時間還流させ、水で3回洗浄し、蒸発させる。残渣をペンタン/ジクロロメタン(8:1)でシリカゲルを通して濾過し、49.8g(46%、2段階)の2−ペンチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランを無色の液体として得る。
【0065】
1.3.6−ペンチルテトラヒドロピラン−3−オール
【0066】
【化26】


8.41g(54.5mmol)の2−ペンチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランを100mlのTHF中に溶解し、70ml(70mmol)のTHF中の1Mボラン溶液を−17℃で滴下により加える。1時間後、冷却を止め、反応物を室温で1時間攪拌する。16mlのエタノール、23mlのペルヒドロールおよび100mlの1M水酸化ナトリウム溶液を引き続き連続して加え、混合物を2時間還流する。反応混合物を水に加え、エーテルで3回抽出する。混合された有機相を飽和食塩溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させる。粗生成物をジクロロメタン/MTBエーテル(9:1)でシリカゲルを通して濾過し、4.70g(49%)の6−ペンチルテトラヒドロピラン−3−オールを無色の液体として得る。
【0067】
1.4.6−ペンチルジヒドロピラン−3−オン
【0068】
【化27】

4mlのジメチルスルホキシドおよび80mlのジクロロメタンを最初に窒素下で導入し、−70℃まで冷却し、5.6ml(40.1mmol)のトリフルオロ酢酸無水物を滴下により加える。10分後、8mlのジメチルスルホキシド中の4.56g(26.7mmol)の6−ペンチルテトラヒドロピラン−3−オールの溶液および20mlのジクロロメタンを加え、混合物を−70℃で1時間攪拌する。13ml(93.5mmol)のトリエチルアミンを反応物に引き続き加え、30分攪拌し、温め、20mlの2N塩酸を使用して加水分解し、エーテルで3回抽出する。混合された有機相を水で3回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で蒸発させる。粗生成物をジクロロメタンでシリカゲルを通して濾過し、4.3gの6−ペンチルジヒドロピラン−3−オンを黄色の液体として得る。
【0069】
<例2>5−(4−エトキシ−2,3−ジフルオロフェニル)−2−ペンチルテトラヒドロピラン
2.1.3−(4−エトキシ−2,3−ジフルオロフェニル)−6−ペンチルテトラヒドロピラン−3−オール
【0070】
【化28】


24.0g(152mmol)の2,3−ジフルオロエトキシベンゼンを250mlのTHFに溶解し、92ml(152mmol)のヘキサン中15パーセントのn−ブチルリチウム溶液を−70℃で滴下により加える。1時間後、250mlのTHF中の25.9g(152mmol)の6−ペンチルジヒドロピラン−3−オンを滴下により加え、混合物を更に2時間攪拌する。反応物を温め、100mlの水を使用して加水分解し、2Mの塩酸を使用して酸性とする。水相を分離し、MTBエーテルで3回抽出する。混合された有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を真空下で除去し、ヘプタン/MTBエーテル(7:3)によりシリカゲル上で残渣のクロマトグラフィーを行い、17.1g(32%)の3−(4−エトキシ−2,3−ジフルオロフェニル)−6−ペンチルテトラヒドロピラン−3−オールを無色の個体として得る。
【0071】
2.2.5−(4−エトキシ−2,3−ジフルオロフェニル)−2−ペンチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、および5−(4−エトキシ−2,3−ジフルオロフェニル)−2−ペンチル−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン
【0072】
【化29】


9.30g(28.3mmol)の3−(4−エトキシ−2,3−ジフルオロフェニル)−6−ペンチルテトラヒドロピラン−3−オールを50mlのピリジンに溶解し、4.2ml(57.9mmol)の塩化チオニルを氷冷しながら滴下により加える。反応物を引き続き放置して室温で一晩攪拌し、溶液を氷水に加える。水相を分離し、MTBエーテルに3回抽出する。混合された有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を真空下で除去する。ヘプタン/MTBエーテル(17:3)によりシリカゲル上で残渣のクロマトグラフィーを行い、5.8g(54%)の2種類の異性体ジヒドロピランを無色の個体として得る。
【0073】
2.3.5−(4−エトキシ−2,3−ジフルオロフェニル)−2−トランスペンチルテトラヒドロピラン
【0074】
【化30】

5.8gの5−(4−エトキシ−2,3−ジフルオロフェニル)−2−ペンチルジヒドロ−2H−ピラン異性体をTHFに溶解し、5barおよび50℃でパラジウム/活性炭素触媒(5%)存在下で水素化を完了する。触媒を除去し、シスおよびトランス生成物の混合物をクロマトグラフィーで分離し、2.0g(34%)の5−(4−エトキシ−2,3−ジフルオロフェニル)−2−トランスペンチルテトラヒドロピランを融点52℃の無色の個体として得る。
【0075】
<例3>5−(4−エトキシ−2,3−ジフルオロフェニル)−2−(6−ペンチルテトラヒドロピラン−3−イル)−1,3−ジオキサン
3.1.5−メトキシメチレン−2−ペンチルテトラヒドロピラン
【0076】
【化31】


47.2g(138mmol)の臭化メトキシメチルトリフェニルホスホニウムを150mlのTHF中に最初に導入し、13.8g(120mmol)のカリウムtert−ブトキシドを氷冷しながら加える。1時間後、18.8g(110mmol)の75mlのTHF中の6−ペンチルジヒドロピラン−3−オンを加える。冷却を止め、反応物を室温で一晩攪拌する。水を加えたのち、水相を除去し、MTBエーテルで3回抽出する。混合された有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を真空下で除去し、ヘプタン/MTBエーテル(20:1)によりシリカゲル上で残渣のクロマトグラフィーを行い、19.9g(91%)の5−メトキシメチレン−2−ペンチルテトラヒドロピランを無色の油分として得る。
【0077】
3.2.トランス−6−ペンチルテトラヒドロピラン−3−カルバルデヒド
【0078】
【化32】

19.9g(100mmol)の5−メトキシメチレン−2−ペンチルテトラヒドロピランを100mlのTHFに溶解し、6mlの濃塩酸を加えた後、出発物質が薄層クロマトグラフィー上で見出せなくなるまで室温で攪拌する。100mlの飽和食塩溶液を加えた後、反応物をMTBエーテルで3回抽出する。混合された有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させる。粗生成物を250mlのメタノールに溶解し、5mlの15パーセント水酸化ナトリウム溶液を加え、混合物を室温で3.5時間激しく攪拌する。反応物を2M塩酸を使用して中和し、MTBエーテルで抽出する。混合された有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させる。ヘキサン/MTBエーテル(5:1)で粗生成物のクロマトグラフィーを行い、13.0g(71%)の6−ペンチルテトラヒドロピラン−3−カルバルデヒドを無色の油分として得る(トランス/シス=2:1)。
【0079】
3.3.2−(4−エトキシ−2,3−ジフルオロフェニル)プロパン−1,3−ジオール
【0080】
【化33】


6.1g(19.3mmol)のマロン酸ジエチル2−(4−エトキシ−2,3−ジフルオロフェニル)(E.J.Hennessyら、Org.Lett.(2002年)、第4巻、第269〜72頁の方法により2,3−ジフルオロ−4−エトキシヨードベンゼンより調製される)を100mlのTHFに溶解し、50mlのTHF中の2.30g(60.6mmol)の水素化アルミニウムリチウムの懸濁液に氷冷しながら滴下により加える。冷却を止め、反応物を室温で一晩攪拌する。20mlの水を冷却しながら加えた後、反応混合物を2Nの硫酸を使用して酸性とし、MTBエーテルにより3回抽出する。混合された有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を真空下で除去し、MTBエーテルによりシリカゲル上で残渣のクロマトグラフィーを行い、2−(4−エトキシ−2,3−ジフルオロフェニル)プロパン−1,3−ジオールを無色の油分として得る
3.4.1−エトキシ−2,3−ジフルオロ−4−(2−トリメチルシラニルオキシ−1−トリメチルシラニルオキシメチルエチル)ベンゼン
【0081】
【化34】


5.70g(24.1mmol)の2−(4−エトキシ−2,3−ジフルオロフェニル)プロパン−1,3−ジオールおよび17.3ml(124mmol)のトリエチルアミンを140mlのDMF中に溶解し、7.7ml(61mmol)のクロロトリメチルシランを加え、混合物を80℃で2時間温める。反応物を放冷し、100mlのペンタンを加え、混合物を氷水中に投入する。水相を分離し、ペンタンで3回抽出する。混合された有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を真空下で除去し、8.7gの1−エトキシ−2,3−ジフルオロ−4−(2−トリメチルシラニルオキシ−1−トリメチルシラニルオキシメチルエチル)ベンゼンを黄色の油分として得て、更に精製することなく反応させる。
【0082】
3.5.5−(4−エトキシ−2,3−ジフルオロフェニル)−2−(6−ペンチルテトラヒドロピラン−3−イル)−1,3−ジオキサン
【0083】
【化35】


7.70g(20.4mmol)の1−エトキシ−2,3−ジフルオロ−4−(2−トリメチルシラニルオキシ−1−トリメチルシラニルオキシメチルエチル)ベンゼンおよび0.46ml(2.3mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルを90mlのジクロロメタン中に−78℃で最初に導入し、20mlのジクロロメタン中の13.9g(17%)の6−ペンチルテトラヒドロピラン−3−カルバルデヒドを滴下により加える。2時間後、2.4ml(29.4mmol)のピリジンを加え、反応物を温める。100mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えた後、水相を分離し、ジクロロメタンで抽出する。混合された有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で蒸発させる。エタノールから結晶化し、6.0g(74%)の5−(4−エトキシ−2,3−ジフルオロフェニル)−2−(6−ペンチルテトラヒドロピラン−3−イル)−1,3−ジオキサンを、融点58℃の無色の個体として得る。
【0084】
<例4>2−(4−プロピルシクロヘキシル)−5−ビニルテトラヒドロピラン
4.1.6−(4−プロピルシクロヘキシル)テトラヒドロピラン−3−カルバルデヒド
【0085】
【化36】


例1および例3に記載される合成に類似の方法により、6−(4−プロピルシクロヘキシル)テトラヒドロピラン−2−オンより出発して、6−(4−プロピルシクロヘキシル)テトラヒドロピラン−3−カルバルデヒドを得る。
【0086】
4.2.2−(4−プロピルシクロヘキシル)−5−ビニルテトラヒドロピラン
【0087】
【化37】


19.6g(0.055mol)の臭化メチルトリフェニルホスホニウムを100mlのTHFに最初に導入し、6.17g(0.055mol)のカリウムtert−ブトキシドを氷冷しながら加える。1時間後、50mlのTHF中の11.9g(0.055mol)の6−(4−プロピルシクロヘキシル)テトラヒドロピラン−3−カルバルデヒドを加える。冷却を止め、反応物を室温で一晩攪拌する。3.1のように操作を行い、2−(4−プロピルシクロヘキシル)−5−ビニルテトラヒドロピランを得る。
【0088】
<例5>
5.1
【0089】
【化38】


窒素下で、81ml(80mmol)のTHF中のボラン/THF錯体の10%溶液を、90mlのTHF中の22.9g(60mmol)のエノールエーテル1の溶液に、−25℃〜−15℃で加える。−20℃および室温でそれぞれ1時間攪拌後、18.5mlのエタノールおよび引き続いて25mlの水中に溶解している4.4g(110mmol)の水酸化ナトリウムを反応物に加える。そして、反応温度が45℃を超えない速度で、21.5ml(250mol)の25%過酸化水素水溶液を反応混合物に加える。反応物を45℃で2時間、引き続いて室温で一晩攪拌する。沸騰するまで短時間加熱した後、反応物を冷却し、水に加える。水相をMTBエーテルで抽出し、有機相を飽和食塩溶液で洗浄し、乾燥し、蒸発させる。残渣をシリカゲル上で精製する(MTB/DCM、1:6)。
【0090】
5.2
【0091】
【化39】


窒素下で、50mlのジクロロメタン中の12.6g(31mmol)のアルコール2の溶液を、150mlのジクロロメタン中の15gのセライト(登録商標)および7.3g(34mmol)のPCCの懸濁液に加え、混合物を一晩攪拌する。個体を引く続き分離し、ジクロロメタンで洗浄する。濾液を蒸発させ、残渣をシリカゲル(トルエン/MTBエーテル、9:1;1:1)で精製する。
【0092】
5.3
【0093】
【化40】


窒素下で、3.5ml(3.5mmol)のTHF中のビス(トリメチルシリル)リチウムアミドの1M溶液を、5mlのTHF中の1.4g(4mmol)の塩化メトキシメチルトリフェニルホスホニウムの懸濁液に−20℃で加える。30分後、反応物を室温まで温め、5mlのTHF中の1.5g(3.6mmol)のケトン3の溶液を加え、混合物を一晩攪拌する。反応混合物を引き続き氷水に加え、16%硫酸を使用して酸性(pH5)とする。MTBエーテルで抽出後、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、引き続き乾燥および蒸発させる。残渣をシリカゲル上(トルエン/n−ヘプタン、4:1)で精製する。
【0094】
5.4
【0095】
【化41】


窒素下で、0.3mlの16%硫酸を10mlのTHF中の200mg(0.5mmol)のエノールエーテル4を加え、混合物を最初に室温で攪拌し、そして転化を完結するために沸騰させながら1時間加熱する。反応物を引き続き水およびMTBエーテルで希釈する。有機相を乾燥し、蒸発させる。残渣をシリカゲル(トルエン;トルエン/MTBエーテル9:1)上で精製し、アルデヒド5のシス/トランス混合物を得る。H−NMR中のアルデヒドプロトンのシグナルは、δ=9.9ppmおよびδ=9.7ppmである。
【0096】
式Iの各種の化合物を得るために、アルデヒドを誘導できる。
【0097】
例えば、アルデヒドを引き続きウィッティッヒ反応によりアルケニル鎖に転化し、更に水素化してアルキル鎖を得ることができる。
【0098】
他方、環化による縮合を1,3−プロパンジオールにより行い、ジオキサン環を含む化合物を得る。
【0099】
<例6>
【0100】
【化42】


アルデヒド5を引き続き2−エチル−1,3−プロパンジオールと反応させ、ジオキサン6を得る。このために、44.5g(110mmol)のアルデヒド5および12.0g(115mmol)のジオール6を250mlのトルエンに溶解し、400mgのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、アルデヒドの転化が完了するまで(TLC)、混合物を水分離器上で還流する。反応物を冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で3回洗浄し、蒸発させ、シリカゲル(トルエン/ヘプタン7:3;トルエン;トルエン/酢酸エチル95:5)を通す。生成物を含む画分を蒸発させ、残渣をエタノールより−20℃で再結晶する。融点:88℃。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの反応工程において、式IIの化合物をケト官能基で求核性炭素原子を有する試薬類(「C求核試薬類」)と反応させることを特徴とする、式Iのテトラヒドロピラン誘導体類の調製方法。
【化1】

【化2】

(式IおよびII中、互いに独立に、同一または異なって、
およびRは、H、ハロゲン、CN、NCS、SF、1〜15個の炭素原子を有するアラルキル、−O−アラルキルまたはアルキル基を表し、該基は無置換であるか、同一か異なってハロゲンまたはCNにより1置換または多置換されており、ただし加えて、この基中の1個以上のCH基は、ヘテロ原子(O、S)が互いに直接結合しないように、−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−S−、−C(O)−O−および/または−O−C(O)−で置き換えられていてもよく、
、A、A、A、A、Aは、1,4−フェニレン(該1,4−フェニレンは、互いに独立に、ハロゲン、CH、CF、CHF、CHF、OCH、OCHF、OCFで、0〜4回置換されていてもよく、ただし、環のCHはNで0〜2回置換されていてもよく)、シクロヘキサン−1,4−ジイル(CHは、互いに独立に、OまたはSで0〜2回、および/またはFで0〜10回置換されていてもよく)、シクロブタン−1,4−ジイル、ビシクロ[1.1.1]ペンタン−1,3−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイルまたはスピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイルを表し
、Z、Z、Z、Z、Zは、互いに独立に、同一か異なって、単結合、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CHO−、−OCH−、−CFO−または−OCF−を表し、および
a、b、c、d、e、fは、0または1を表し、
ただし、式IおよびII中のR、R、A1〜6、Z1〜6およびa〜cは、それぞれの場合で、同一か異なる意味を採用する。)
【請求項2】
1つの反応工程において、式IIのケト化合物および式IIIの金属含有化合物を反応させ、式IVの化合物を得ることを特徴とする請求項1記載の方法。
【化3】

【化4】

【化5】

(ただし、式IIIおよびIV中、互いに独立に、同一または異なって、
Mは、金属、ハロゲン化金属、更なる有機基を有する金属または陰イオンとしての(-)[(Z−A−(Z−A−(Z−A−R]とのイオン対の任意の所望の陽イオンであり、および
nは、1または2に等しく、
、R、A、A、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、Z、Z、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれの場合で独立に、請求項1で定義される通りである。)
【請求項3】
脱水により、式IVの反応生成物を式VaまたはVbの化合物に転化ことを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【化6】

【化7】


(ただし、式VaおよびVb中のa、b、c、d、e、f、R、R、Z、Z、Z、Z、Z、Z、A、A、A、A、AおよびAは、独立に、式Iに請求項1中で定義される通りである。)
【請求項4】
少なくとも1回の水素化により、式Vaおよび/またはVbの化合物を式Iの化合物に転化することを特徴とする前記請求項の一項以上に記載の方法。
【請求項5】
式IIIの化合物は有機金属化合物を表し、ただしnが1に等しい場合、MはLi、NaまたはHalMgを表し、ただしHalはI、BrまたはClを意味し、nが2に等しい場合、MはMgを表すことを特徴とする前記請求項の一項以上に記載の方法。
【請求項6】
式IIのケト化合物および式VIのリンイリド化合物を反応させてエノールエーテル化合物を得て、これを加水分解してアルデヒドを得て、該アルデヒドを引き続き式IXの1,3−ジオール化合物と反応させて式Iの化合物を得ることを特徴とする前記請求項の一項以上に記載の方法。
P=CHOR VI
(ただし、Rはアリール基を意味し、Rは有機基を意味する。)
【化8】

(ただし、式I中の−[Z−A−は、以下の式のジオキサン基を意味し、
【化9】

および、式IX中のR、A、A、Z、Z、eおよびfは、式Iに請求項1で定義される通りである。)
【請求項7】
請求項1記載の式IIの化合物を適当なウィッティッヒ試薬と反応させて式VIIの化合物を得て、および引き続き加水分解して式VIIIのアルデヒド化合物を得ることを特徴とする式VIIIのアルデヒド類の調製方法。
【化10】

【化11】

【化12】

(ただし、式VIIおよびVIII中のa、b、c、R、Z、Z、Z、A、AおよびAは、請求項1で式Iと同じ意味を有する。)
【請求項8】
リンイリドと共にウィッティッヒ反応を経て(置換されていてもよい)アルケニル基を構築するか、該アルケニル基を引き続き水素化して(置換されていてもよい)アルキル基を構築するためにアルデヒドVIIIを使用することを特徴とする、式VIIIのアルデヒド類または式VIIのアルデヒド前駆体類を中間体類として使用する前記請求項の一項以上に記載の方法。
【請求項9】
1つの反応工程において、式Xの化合物を酸化することを特徴とする請求項1で定義される式IIのテトラヒドロピラノン類の調製方法。
【化13】

(ただし、式X中のa、b、c、R、Z、Z、Z、A、AおよびAは、請求項1で定義される通りである。)
【請求項10】
1つの反応工程において、式XIの2−置換3,4−ジヒドロ−2H−ピランを、ヒドロホウ素化により請求項9記載の式Xの化合物に転化することを特徴とする前記請求項の一項以上に記載の方法。
【化14】

(ただし、式XI中のa、b、c、R、Z、Z、Z、A、AおよびAは、請求項1で定義される通りである。)
【請求項11】
1つの反応工程において、ケト基をOH基に還元し脱離することで、ラクトンXIIを式XIのジヒドロピラン中間体に転化することを特徴とする、式XIIのラクトン類から前記請求項の一項以上に記載の式IまたはIIの化合物の調製方法。
【化15】

(ただし、式XII中のa、b、c、R、Z、Z、Z、A、AおよびAは、請求項1で定義される通りである。)
【請求項12】
式IIの化合物類。
【化16】

(ただし、
がメチルに等しい場合、a+b+cは1、2または3に等しく、
式II中のa、b、c、R、Z、Z、Z、A、AおよびAは、請求項1で定義される通りである。)
【請求項13】
2,5−2置換ピラン誘導体類を調製するための請求項12記載の式IIの化合物の使用。

【公表番号】特表2008−545671(P2008−545671A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512732(P2008−512732)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004607
【国際公開番号】WO2006/125550
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】