説明

テルペン化合物を含む組成物及び神経伝達の抑制方法

本発明は、治療に有効な組成物及び神経細胞の伝達を抑制する方法を提供する。本発明の好ましい実施形態では、植物精油から単離された又は合成的に製造された芳香族テルペン化合物を利用する神経障害性疼痛の治療を詳述する。組み合わせて又は個々に使用されるゲラニオール及びシトロネロールなどのこれらの化合物並びにその化学的類似体を、単独で又は組成物中に薬学的に許容される担体と一緒に好適な剤形で使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、同時係属中の米国仮特許出願第60/899,642号明細書(2007年2月6日出願)の利益を主張するものであり、その内容の全体を本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、1つ以上の芳香族テルペン化合物を含む組成物の分野に関する。より具体的には、本発明は、芳香族テルペン化合物を含む非天然の組成物、及び神経細胞伝達を抑制するこのような組成物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
理想的な生理学的機能は、神経細胞の興奮と抑制の適切なバランスを必要とする。従って、このバランスを変える化合物の同定及びこれらの化合物の利用方法は、非常に重要であり、価値がある。
【0004】
侵害受容性疼痛及び神経障害性疼痛は異なる機構によって起こるため、異なる治療モダリティーに応答することが周知である。侵害受容性疼痛は、皮膚、骨、結合組織、筋肉及び内蔵にある受容体によって媒介される。典型的にはこれらの受容体は、激しい痛み、うずく痛み、拍動痛、又はさしこみ痛と記述される疼痛を生じさせる有害な化学物質、熱的及び機械的刺激に応答する。対照的に、神経障害性疼痛は、典型的には、本質的に「灼熱痛」、「電撃痛」、「刺痛」及び「ずきずきする痛み(shooting pain)」と記述される疼痛を生じさせる、末梢神経系又は中枢神経系の損傷又は病理学的変化によって生じる。実際、神経障害痛は、徴候に基づいて診断されることが最も多く、そのため、灼熱感及び/又はずきずきする痛み及び/又はしびれ及び/又は刺痛及び/又は異痛を特徴とするどのような疼痛も典型的には神経障害性と考えられる。神経障害性疼痛の他の特徴としては、痛覚過敏(刺激に対する痛覚が非常に強調されている)、知覚過敏(通常の刺激に対する感度が増大している)、異常感覚(損傷を受けていないのに損傷を受けているような不快な異常な感覚)、及び錯感覚(自発的にせよ誘発的にせよ、「チクチクする感じ」などの異常な感覚)が挙げられる。
【0005】
侵害受容性疼痛は、通常、オピオイド及び非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)に応答するが、これらを用いた神経障害性疼痛の治療の成功は限られている。逆に、ガバペンチンなどの神経障害性疼痛の治療に使用される薬剤は、侵害受容性疼痛にほとんど又は全く効果がない。
【0006】
神経障害性疼痛を治療するための現行の従来の薬理学的方法には、下記に概要を記載するような多数の異なるアプローチがある。
【0007】
抗不整脈薬:ある種の抗不整脈薬は、ナトリウム遮断作用を有する。低用量IVリドカインは、糖尿病性神経障害及びヘルペス後神経痛などの末梢神経系損傷の一時的な鎮痛に使用されることがある。しかし、IVリドカイン療法では、発作や不整脈のリスクを減少させるため、患者のECG及び血圧を常時監視する必要がある(非特許文献1)。
【0008】
抗うつ薬:神経障害性疼痛を治療するために三環系抗うつ薬及びセロトニン再取り込み阻害薬が使用されている。多数の臨床試験によって、糖尿病性神経障害又はヘルペス後神経痛の治療に使用されるときのTCAの安全性と効力が証明されているが、応答率は約33%と低い。アミトリプチリンは神経障害の治療に使用された最初の三環系抗うつ薬であり、依然として広く処方されている。アミトリプチリンは、高齢の患者のせん妄を含む、抗コリン作用性副作用の発生率が高い。TCAはまた催不整脈作用があり、そのため、異常EKGを有する人では使用が制限される。セロトニン特異性再取り込み阻害薬(SSRIs)は、神経障害性疼痛に対する効果に一貫性が少なく、7人の患者のうち1人しか神経障害性疼痛を緩解しないことがわかっている。セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬は成績が僅かに良く、神経障害性疼痛を有する患者4〜5人に1人の応答率であった(非特許文献2)。
【0009】
抗痙攣薬:カルバマゼピン、フェニトイン、ガバペンチン及びラモトリジンは全て神経障害性疼痛の治療に使用されてきた。カルバマゼピン、フェニトイン及びラモトリジンなどの薬剤によるナトリウムチャネル遮断作用の阻害が、疼痛治療機序として提唱されている。研究によって、抗痙攣薬であるガバペンチンは、疼痛性糖尿病性神経障害、混合性神経障害、及びヘルペス後神経痛に有効であることが分かった。抗痙攣薬で最もよく起こる副作用は、一般に、鎮静及び小脳性徴候(眼振、振せん、及び協調運動不能)である。ガバペンチンに伴う最もよく起こる副作用は、無力症、頭痛、めまい、及び傾眠であり、場合によっては多発性神経障害である。ラモトリジンは、三叉神経痛以外の神経障害性疼痛の治療ではプラセボと同等であった(非特許文献3)。
【0010】
NSAIDS:NSAIDSは、神経障害性疼痛を治療するための一般に推奨される第一線の薬剤ではない。非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)を用いた神経障害性疼痛の緩解は一定していない(非特許文献4)。
【0011】
オピオイド:オピオイドを用いた神経障害性疼痛の治療は議論の余地がある。オピオイドは、神経障害性疼痛の治療に効果がないと考えられていたが、他の治療法でうまくいかなかった患者では幾分有効な場合がある。短期研究では、神経障害性疼痛の強さの低減におけるオピオイドの効力に関して不確かな証拠しか得られていないが、中期研究では、オピオイドがプラセボより優れた顕著な効力を有することが証明されている。報告されたオピオイドの副作用はよく起こり、長期の効力、安全性(耽溺の可能性を含む)、及び生活の質に及ぼす影響を更に評価しなければならない。全体的に、神経障害性疼痛は、他の種類の疼痛よりもオピオイドに対する応答が少ない場合がある(非特許文献5)。
【0012】
他の薬剤:シナプス前GABA B受容体とシナプス後GABA B受容体の両方を遮断するバクロフェンは、三叉神経痛を治療するための第一線の薬剤として使用される。最もよく起こる副作用は嗜眠状態であり、耽溺効果の可能性についての懸念がある(非特許文献6)。
【0013】
神経障害性疼痛の治療に関して、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニストであるケタミンに高い関心が寄せられている。ケタミンは、ヘルペス後神経痛の徴候を緩解することが分かっている。しかし、ケタミンは、長期間使用すると、鎮静、反応時間の遅延、及び幻覚を引き起こす。このため、現在は、非悪性慢性疼痛に使用することは推奨されていない(非特許文献7)。
【0014】
デキストロメトルファンもNMDAアンタゴニストである。これは糖尿病性神経障害を患う患者の疼痛の低減に使用され、ある程度成果があったが、ヘルペス後神経痛、卒中後疼痛、又は、糖尿病性以外の末梢神経障害を患う患者には効果がなかった(非特許文献8)。
【0015】
局所薬剤:局所薬剤には、全身毒性がなく局部緩解するという利点がある。糖尿病性神経障害を治療するために経皮クロニジンが使用されてきたが、結果は様々であった。トウガラシの抽出物を含有するカプサイシンクリームが、神経障害性疼痛の治療に使用されることがある。それは、P物質を枯渇させることによって無髄一次求心性神経に作用し得る。枯渇にはカプサイシンを繰り返し一貫して使用することが必要であるが、激しい焼灼感(一貫した使用に伴って低減する)という副作用がよく起こるため、患者のコンプライアンスが問題となり得る。全体的に、神経障害性疼痛の臨床試験におけるカプサイシンクリームを用いた緩解は一貫性がなかった(非特許文献4)。ケタミンは、麻酔用量以下で鎮痛作用を提供する非経口麻酔剤である。それは、オピオイド受容体活性を有するN−メチル−D−アスパルテート(NMDA)受容体アンタゴニストである。経皮ケタミンについての管理下試験及び症例報告によって、神経障害性疼痛における効力が証明されている(非特許文献9)。香味料や芳香剤に使用されるゼラニウム植物(ペラルゴニウム(Pelargonium spp))の水蒸気蒸留物であるゼラニウム油は、米国食品医薬品局(FDA)によって一般に安全であると見なされている。ゼラニウム油の局所適用は、2/3の被験者でヘルペス後神経痛の疼痛を緩解し、被験者の1/4で劇的な臨床応答があることが分かった(非特許文献10)。
【0016】
全般的に、上記薬理学的治療の効果は、痛覚消失に必要な用量で副作用があること;場合によっては痛覚消失の開始前に長い遅延があること;かなりの割合で治療に対する応答がないこと;耽溺の可能性があることなどにより、限られていることが多い。結論として、現在、神経障害性疼痛には理想的な治療がない又は非常に優れた治療もない。従って、神経障害性疼痛を治療する新しい新規な無毒の局所又は経口製剤は非常に重要であり、広範囲の慢性疼痛患者に有益な可能性がある。
【0017】
天然物質の化学構造は非常に多様であり、多くの天然物質が治療剤としての有効性を示している。神経機能の抑制に関して、様々な種類の天然化合物が、神経細胞受容体及び関連するイオンチャネルに対する作用等の様々な方法でニューロン発火を抑制できることを示している。例えば、フラボノイド、テルペン、テルペノイド、ジンセノサイド及び他の様々な食物及び環境化合物は神経伝達速度に影響を及ぼすことが分かった(非特許文献17)。
【0018】
例えば、ボルネオールは、多数の薬用植物の精油中に存在する二環式モノテルペンであり、神経細胞受容体に対して「効果の高い」調節作用を有することが分かっている(非特許文献18)。興味深いことに、バレリアン・オフィシナリス(valerian officinalis)、マトリカリア・カモミラ(matricaria chamomilla)、及びラバンデュラ・オフィシナリス(lavandula officinalis)などのボルネオールを含有する伝統的なハーブは、不安、不穏状態、不眠症を緩解するための鎮静薬として、及び鎮痛薬として使用されてきた。これまで、神経細胞伝達に効果があるテルペンは他に見出されていない。
【0019】
実際、多くの植物由来の精油は、侵害受容性疼痛の治療に有益な鎮痛特性及び抗炎症特性を有することが報告されている。例えば、多くの種類のショウガ(ジンギベル(Zingiber spp.))は、抗侵害受容特性を有することが分かった。生姜油は、モノテルペン(フェランドレン、カンフェン、シネオール、シトラール、及びボルネオール)、セスキテルペン(ジンギベレン、ジンギベロール、ジンギベレノール、β−ビサボレン、及びセスキフェランドレン等)、アルデヒド及びアルコールからなる成分の複雑な混合物である(非特許文献11)。メントールは、ハッカ属(Mentha genus)の植物中に見出される植物起源の一般的な天然の化合物であり、侵害受容性疼痛に関して鎮痛特性を有することも分かっている(非特許文献12)。しかし、神経障害性疼痛を治療するための植物抽出物の研究はほとんど行われてこなかった。しかし、口腔粘膜スプレー(Sativex(登録商標))として与えられたカンナビス(Cannabis)ベースの抽出物の管理下試験の1つによって、64人の多発性硬化症患者で中枢神経性の(centrally mediated)神経障害性疼痛に効果があることが分かった(非特許文献13)。
【0020】
ゼラニウム油は、香料に、防虫剤として、及び関連する他の目的に広範に使用されてきた。例えば、特許文献1は、ゼラニウム油を動物忌避組成物中の成分として使用することを記載している。特許文献2は、ゼラニウム油を洗口剤組成物の一部として使用することを記載している。特許文献3は、ゼラニウム油を漂白組成物中の着香剤(scenting agent)として使用することを記載している。特許文献4は、香料組成物中にゼラニウム油を使用することを記載している。「Diagnosis and treatment of various neuralgias」と題された特許文献5は、ペラルゴニウム・グラベオレンス(Pelargonium graveolens Ait.)油が主な治療剤である組成物を用いた神経障害性疼痛症候群の診断及び治療方法に関する。この精油蒸留物は、或いはまたゼラニウム油ブルボン(geranium oil bourbon)、オイルゼラニウムレユニオン(oil geranium reunion)、及びオイルローズゼラニウム(oil rose−geranium)とも称される。
【0021】
しかし、Fromeによって教示されるように、精油蒸留物であるゼラニウム油は天然化合物の複雑な混合物であり、神経障害性疼痛の緩解に有効なものもあれば、効果がなかったり、刺激性や毒性があるものもあり得る。例えば、天然のゼラニウム油中に見出される多数の成分は既知の刺激源であり、それによって、局所適用されたときに皮膚発疹を引き起こす可能性がある又は更には疼痛を悪化させる可能性もある。例えば、天然ゼラニウム油の成分であるピネンは、皮膚に刺激があると考えられ、暴露によって発疹、灼熱痛、頭痛、嘔吐、及び更には腎臓障害も起こる可能性がある(非特許文献15)。B−フェランドレンは、既知の過敏化作用があり、それによって接触性皮膚炎が起こる可能性がある(非特許文献16)。天然ゼラニウム油の別の成分であるP−シメンもまた「一次皮膚刺激源」であると考えられ、接触により紅斑が生じ、暴露が経口又は吸入の場合、頭痛、吐気及び嘔吐が起こる可能性がある(非特許文献17)。
【0022】
精油蒸留物を含む既存の薬剤に伴う欠点がない、神経細胞の伝達を抑制する代替の治療法がまだ必要とされている。
【0023】
この背景技術の情報は、本出願人が信じる既知の情報を本発明と関係付ける目的で記載されている。前述の情報のいずれも本発明に対する従来技術であるということを必ずしも認めるものではなく、そのように解釈されるべきではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】米国特許第4,940,583号明細書(Thompson)
【特許文献2】米国特許第4,923,685号明細書(Forgら)
【特許文献3】米国特許第4,579,677号明細書(Hooperら)
【特許文献4】米国特許第4,311,617号明細書(Ansariら)
【特許文献5】米国特許第5,260,313号明細書(Frome)
【特許文献6】米国特許第4,599,677号明細書(Lawless)
【特許文献7】米国特許出願公開第2003/0224072号公報(Frome)
【非特許文献】
【0025】
【非特許文献1】Kalso, E Sodium Channel Blockers in Neuropathic Pain, Current Pharmaceutical Design, Volume 11, Number 23, September 2005, pp.3005-3011(7)
【非特許文献2】Sindrup, Sφren H.;Otto, Marit; Finnerup, Nanna B.Jensen, Troels S.Antidepressants in the Treatment of Neuropathic Pain Basic & Clinical Pharmacology & Toxicology, Volume 96, Number 6, June 2005,pp.399-409(11)
【非特許文献3】Jensen TS. Anticonvulsants in neuropathic pain: rationale and clinical evidence. Eur J Pain. 2002;6 Suppl A:61-8
【非特許文献4】Kingery WS. A critical review of controlled clinical trials for peripheral neuropathic pain and complex regional pain syndromes. Pain 1997;73:123-139
【非特許文献5】Elon Eisenberg, MD; Ewan D. McNicol, RPh; Daniel B. Carr, MD Efficacy and Safety of Opioid Agonists in the Treatment of Neuropathic Pain of Nonmalignant Origin JAMA. 2005;293:3043-3052
【非特許文献6】Fromm GH. Baclofen as an adjuvant analgesic. J Pain Symptom Management 1994;9(8):500-509
【非特許文献7】Eide K, StubhaugA, Oye I, Breivik H. Continuous subcutaneous administration of the N-methyl-D-aspartic acid(NMDA) receptor antagonist ketamine in the treatment of postherpetic neuralgia. Pain 1995;61(2):221-8
【非特許文献8】Sindrup SH, Jensen TS. Efficacy of pharmacological treatments of neuropathic pain: an update and effect related to mechanism of drug action. Pain 1999;83(3):389-400
【非特許文献9】Kronenberg RH. Ketamineas an analgesic: parenteral, oral, rectal, subcutaneous, transdermal and intranasal administration. J Pain Palliat Care Pharmacother. 2002;16(3):27-35
【非特許文献10】Greenway FL, Frome BM, Engels TM 3rd, McLellanA. Temporary relief of postherpetic neuralgia pain with topical geranium oil. Am J Med 2003 Nov;115(7):586-7
【非特許文献11】Vendruscolo A, TakakiI, Bersani-Amado LE, Dantas JA, Bersani-Amado CA, Cuman R K.N Antiinflammatory and antinociceptive activities of zingiber officinaleroscoe essential oil in experimental animal models. Ind J Pharm Vol 38 No 1 Pg 58-59 2006
【非特許文献12】Nicoletta Galeotti, Lorenzo Di Cesare Mannelli, Gabriela Mazzanti, Alessandro Bartolini, Carla Ghelardini Menthol: a natural analgesic compound Neuroscience Letters 322(2002)145-148 NEUROLOGY 2005;65:812-819
【非特許文献13】David J. Rog, BMBS, Turo J. Nurmikko, PhD, Tim Friede, PhD and Carolyn A. Young, MD Randomized controlled trial of cannabis-based medicine in central pain in multiple sclerosis Neurology 2005;65:812-819
【非特許文献14】Alan D. Wickenden, K+ Channels as therapeutic drug targets Pharmacology & Therapeutics 94(2002)157-182
【非特許文献15】New Jersey Dept of Health Hazardous Substance Fact Sheet July 1999 #0052
【非特許文献16】http://Toxnet.nlm.nih.gov CASRN:555-10-2
【非特許文献17】Johnston, G.A.R. GABA Receptor Channel Pharmacology. Current Pharmaceutical Design 2005,11,1867-1885
【非特許文献18】Granger et al.(+) and (-)-borneol:efficacious positive modulators of GABA action. Biochemical Pharmacology 69(2005)1101-1111
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明の目的は、神経伝達を抑制する組成物及び方法を提供することである。本発明は、神経細胞の伝達を抑制する組成物及び方法に関する。本発明の組成物及び方法は、鎮痛特性、鎮静特性、抗不安特性、抗痙攣特性、催眠特性、筋弛緩特性、降圧特性、抗うつ特性、及び抗精神病特性を有する治療剤の開発などの広範な用途があるが、これらに限定されない。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つのテルペン化合物又は複数のテルペン化合物の組み合わせ、及び、任意で1つ以上の薬学的に許容される希釈剤又は賦形剤を含む、神経伝達を抑制する組成物が提供されるが、前記テルペン化合物はボルネオールではない。
【0028】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つのテルペン化合物又は複数のテルペン化合物の組み合わせ、及び、任意で1つ以上の薬学的に許容される希釈剤又は賦形剤を含む、神経障害性疼痛を治療する組成物が提供される。
【0029】
本発明の別の態様によれば、下記式I又は式IIで表される1つ以上の化合物、又はこれらの薬学的に許容される異性体、塩、エステル若しくは水和物、及び、任意で、1つ以上の薬学的に許容される希釈剤又は賦形剤を含む、神経伝達を抑制する組成物が提供される。
【化1】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13及びR14は、独立して、H、OH、COOH、COOCH、CHOH、OCOH、C〜C20非分岐アルキル基、C〜C20分岐アルキル基、C〜C20非分岐アルコキシ基、C〜C20分岐アルコキシ基、C〜C20非分岐アシルオキシ基、及びC〜C20分岐アシルオキシ基、C〜C20非分岐アリル基、及びC〜C20分岐アリル基から選択されるか、又は、RとR、RとR、RとR、又はR10とR11の1つ以上は、一緒に=Oを形成し、
アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、及びアリル基は、任意に、アリール、アミン、アミド、ハライド、ホスフェート、又はチオールで置換されている)
【0030】
本発明の別の態様によれば、本明細書に記載の組成物を、治療に有効な量哺乳類被験体に投与することを含む、神経の興奮と抑制の不均衡を特徴とする疾患の治療方法が提供されるが、前記治療に有効な量とは、神経細胞間の伝達を抑制する量である。哺乳類被験体は好ましくはヒトである。好ましくは、本発明の方法は、例えば、糖尿病性末梢神経障害、帯状疱疹、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、反射性交感神経ジストロフィ、幻肢症候群、慢性疾患(多発性硬化症、HIVなど)、外傷(灼熱痛)、インピンジメント(例えば、坐骨神経痛、手根管など)、薬物暴露、有毒化学物質暴露、現在の感染、過去の感染、器官機能障害、血管疾患、代謝性疾患、癌、癌治療、自己免疫疾患、線維筋痛症によって起こる可能性があるか又は特発性である神経障害性疼痛の治療方法である。
【0031】
本発明の1つの好ましい実施形態では、ゲラニオール、シトロネロール及び関連する化合物などの1つ以上のテルペン分子を投与することによる、神経障害性疼痛の治療方法が提供される。特に、本発明は、ゲラニオール、シトロネロール又は関連する化合物などの1つ以上のテルペン分子を単独で又は組み合わせて含む組成物を哺乳類に投与することによる、通常は局所又は経口投与することによって、以前は利用不可能であった、一般に神経伝達を抑制する方法、特に、ある範囲の神経障害を治療する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】膜電流の低減(ゲラニオール vs 対照)を示す、サンプル#4(ゲラニオール)及び対照を使用したマウス海馬スライスのパッチクランプ電気生理学的試験から得られた電流−電圧プロットを示す図である。
【図2】皮質ニューロンにおける典型的な電流電圧関係(A=対照:B=ゲラニオール:C=ウォッシュアウト後)、及び脱分極電流パルスの後に生じた皮質ニューロンの典型的な応答(D=対照条件:E=ゲラニオールの存在下:F=回復後)を示す図である。
【図3】パッチクランプ試験中における、様々な治療剤の存在下での正味電流低減を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、精油蒸留物の従来の使用に伴う制限及び欠点の多くを克服する。神経伝達の抑制を担う単離及び/又は精製された化合物、及びこれらの組成物を使用することによって、同じ化合物が天然油蒸留物中に精製されていない形態で存在するときよりも良好に所望の効果を制御し、向上させることができる。従って、治療剤をより良好に設計し、既知の有効成分に標準化することによってこれらの薬剤の品質を管理することができる。このような合成の組成物から、効果がない、刺激性又は毒性がある化合物を排除することができる。更に、これらの合成された化合物はより安価に得ることができ、供給が、気候条件や薬用植物の生産に頻繁に影響を及ぼす荒天に影響されない。
【0034】
本発明は、神経伝達を抑制する化合物又は化合物の混合物を含む組成物を投与することによって神経の興奮と抑制のバランスを回復する、以前は利用できなかった新規な手段を提供する。本発明の組成物は、少なくとも1つのテルペン化合物、又はこれらの薬学的に許容される塩、エステル若しくは溶媒和化合物、及び、任意で、薬学的に許容される希釈剤若しくは担体を含む。
【0035】
本明細書において、「テルペン化合物」の用語は、テルペン、テルペノイド、又は、これらの薬学的に許容される塩、エステル、又は溶媒和化合物を指すものとする。「テルペノイド」は、化学的に変性されたテルペンである。テルペノイドの例としては、テルペノイドアルデヒド、テルペノイド酸(terpenoid acid)、テルペノイドエステル、及びテルペノイドオキサイドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
本発明の具体的な実施形態によれば、組成物中のテルペン化合物は、ゲラニオール、シトロネロール、ゲラニアール、シトロネラール、リナロール、メントン、ローズオキサイド、α−テルピネオール、これらの薬学的に許容される塩、エステル若しくは溶媒和化合物、又はこれらの任意の混合物である。
【0037】
好ましくは、テルペン化合物は下記式I又はIIで表される構造を有する。
【化2】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13及びR14は、独立して、H、OH、COOH、COOCH、CHOH、OCOH、C〜C20非分岐アルキル基、C〜C20分岐アルキル基、C〜C20非分岐アルコキシ基、C〜C20分岐アルコキシ基、C〜C20非分岐アシルオキシ基、及びC〜C20分岐アシルオキシ基、C〜C20非分岐アリル基、及びC〜C20分岐アリル基から選択されるか、又は、RとR、RとR、RとR、及びR10とR11の1つ以上は=Oであり、
アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、及びアリル基は、任意に、1つ以上のアリール基、アミン基、アミド基、ハライド、ホスフェート基、又はチオールで置換されている)
【0038】
別の実施形態によれば、組成物は、式I又はIIで表される化合物(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13及びR14は、独立して、H、OH、COOH、COOCH、CHOH、OCOH、C〜C10非分岐アルキル基、C〜C10分岐アルキル基、C〜C10非分岐アルコキシ基、C〜C10分岐アルコキシ基、C〜C10非分岐アシルオキシ基、及びC〜C10分岐アシルオキシ基、C〜C10非分岐アリル基、及びC〜C10分岐アリル基から選択されるか、又は、RとR、RとR、RとR、及びR10とR11の1つ以上は、=Oである)を含む。
【0039】
別の実施形態によれば、組成物は、式I又はIIで表される化合物(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13及びR14は、独立して、H、OH、COOH、COOCH、CHOH、OCOH、C〜C非分岐アルキル基、C〜C分岐アルキル基、C〜C非分岐アルコキシ基、C〜C分岐アルコキシ基、C〜C非分岐アシルオキシ基、及びC〜C分岐アシルオキシ基、C〜C非分岐アリル基、及びC〜C分岐アリル基から選択されるか、又は、RとR、RとR、RとR、及びR10とR11の1つ以上は、=Oである)を含む。
【0040】
別の実施形態によれば、組成物は、式Iで表される化合物(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、及びR12はHであり、R10及び/又はR11はH、OH、COOH、COOCH、CHOH、OCOH、C〜C20非分岐アルキル基、C〜C20分岐アルキル基、C〜C20非分岐アルコキシ基、C〜C20分岐アルコキシ基、C〜C20非分岐アシルオキシ基、及びC〜C20分岐アシルオキシ基、C〜C20非分岐アリル基、及びC〜C20分岐アリル基から選択されるか、又は、R10とR11は一緒に=Oである)を含む。
【0041】
関連する実施形態によれば、組成物は、
ゲラニアール(3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナール)、
ネラール(cis3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナール)、
ゲラニオール(2,6−オクタジエン−1−オール 3,7−ジメチル−(2E)−)、
ネロール(cis−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オール)、
ギ酸ゲラニル(2,6−オクタジエン−1−オール 3,7−ジメチル− ホルメート、(2E)−)
酪酸ゲラニル(酪酸 (2E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニルエステル)、
チグリン酸ゲラニル(2−ブテン酸 2−メチル− (2E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニルエステル (2E)−)、
である式Iで表される化合物1つ以上の化合物、又はこれらの薬学的に許容される異性体、塩、エステル若しくは溶媒和化合物を含む。
【0042】
一実施形態によれば、組成物は、式II(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R12、R13及びR14はHであり、R10及び/又はR11は、H、OH、COOH、COOCH、CHOH、OCOH、C〜C20非分岐アルキル基、C〜C20分岐アルキル基、C〜C20非分岐アルコキシ基、C〜C20分岐アルコキシ基、C〜C20非分岐アシルオキシ基、及びC〜C20分岐アシルオキシ基、C〜C20非分岐アリル基、及びC〜C20分岐アリル基から選択されるか、又は、R10とR11は一緒に=Oである)の化合物を含む。
【0043】
関連する実施形態によれば、組成物は、
シトロネラール(3,7−ジメチル−6−オクテン−1−アール)、
シトロネロール(3,7−ジメチルオクタ−6−エン−1−オール)、
ギ酸シトロネリル(6−オクテン−1−オール 3,7−ジメチル− ホルメート)
酪酸シトロネリル(酪酸 3,7−ジメチル−6−オクテニルエステル)、
チグリン酸シトロネリル(2−ブテン酸 2−メチル−3,7−ジメチル−6−オクテニルエステル (2E)−)、
である式IIの1つ以上の化合物、又はこれらの薬学的に許容される異性体、塩、エステル若しくは溶媒和化合物を含む。
【0044】
本発明の組成物に単独で又は組み合わせて組み込むことができるテルペン化合物の具体例は、ゲラニオール(2,6−オクタジエン−1−オール、3,7−ジメチル−、(2E)−)、シトロネロール(6−オクテン−1−オール、3,7−ジメチル−、(2E)−)、及びそれらの誘導体である。現在、これらの化合物は、動物皮質神経細胞と後根神経節細胞の両方で神経伝達を有効に抑制することが分かっている。
【0045】
式I及び式IIのテルペン化合物は、神経組織の損傷による異常な神経伝達によって起こると考えられている神経障害性疼痛として知られる、我慢できない且つ治療できないことが多い疼痛の治療に有用であることが分かった。本発明は、芳香族テルペン化合物の1種いずれかを使用して神経障害性疼痛を治療する方法を記載するが、芳香族テルペン化合物の幾つかは、天然のペラルゴニウム・グラベオレンス(Pelargonium graveolens Ait.)精油又は他の植物源中に見出され得るか又は合成製造することができる。特に、本発明は、神経障害性疼痛の治療に使用できるテルペン化合物の種類と構造を開示する。それによって、本発明は、ペラルゴニウム・グラベオレンス(Pelargonium graveolens Ait.)油、他の可能な関連する植物種中に見出される有効成分、並びに、合成の市販の精油ブレンド、及び当業者によって化学的に合成され得る関連する化合物中に見出され得る有効成分に関する、以前は利用できなかった情報を提供する。これらの精製化合物の同定工程は、特許文献5及び他の関連文献に対して進歩性を有し、当業者は容易に想到できない。
【0046】
精油は、二重結合を有するか又は有していない、且つ、ある範囲の側鎖官能基を有する炭素環又は炭素鎖を含む広範囲の分子構造を含む芳香族化合物の複雑な混合物であることが周知である。典型的な植物精油クロマトグラムは、約200以上の別個のピークを含有する場合がある。植物精油は、テルペン、セスキテルペン、エステル、アルコール、フェノール、アルデヒド、ケトン、有機酸、及び様々な種々雑多な分子構造の複雑な混合物である。更に、上記の化合物のクラスにはそれぞれ多くのサブクラスがある。例えば、テルペンの分類としては、ヘミテルペン、モノテルペン、ジテルペン、セスキテルペン、トリテルペン、テトラテルペン、及び、炭素骨格の変性又は酸化によって形成される関連するテルペノイドが挙げられる。更に、これらの化合物いずれかは、哺乳類で広範囲の生理活性を有する可能性があり、場合によっては、局所適用又は経口投与されたとき副作用又は毒性を示す可能性がある。この広い多様性のため、化合物の幾つかは、神経伝達抑制作用を抑制する可能性もある、又は神経伝達の興奮を引き起こす可能性がある。広範囲の化合物が存在し、受容体チャネルの薬理学が極めて複雑であるため、どの化合物が神経伝達に望ましい又は望ましくない作用を有するか当業者に自明ではない。
【0047】
従って、鎮痛に関して、従前の精油蒸留物の使用を考慮する当業者には、例えば、以前の精油蒸留物中のどの化合物が疼痛を抑制するのか、疼痛に効果がないのか、又は更には疼痛を悪化させるのか明らかではなかった。どの化合物が有効であるのかを決定するためには、生きている哺乳類被験体と神経組織の生細胞培養の両方についての広範な研究が必要である。
【0048】
更に、神経障害性疼痛の発現機構と神経障害性疼痛の緩解機構は十分に理解されていないため、どの化合物が神経障害性疼痛の緩解に最も効果があるのか、どの化合物が神経障害性疼痛の緩解を抑制し得るのか、又はどの化合物が有毒な可能性があるのかに関して当業者には自明ではない。従って、精油中に見出される特定の化合物の同定、精製及び試験で神経障害性疼痛の緩解を担う化合物を解明することが可能であるが、それは自明ではない。また、多くの詳細に記録された事例では、薬用植物から有効な薬物化合物を解明することは可能ではない。このような試みの失敗の一般的な理由の1つは、天然由来の植物抽出物又は植物全体に見出される化合物の不均質な混合物の生理学的作用は、化合物同士の相乗効果により、その効果を達成するからである。従って、複雑な混合物の相乗効果が失われるため、不均質な混合物を分画し、1つ以上の別個の有効成分を解明しようとする連続的試みは失敗する。この現象はまた、本発明の非自明性を裏付ける。
【0049】
本発明の組成物及び方法の開発において、ゼラニウム油及び/又は他の天然及び合成の芳香油源中に見出され、神経伝達に有益な効果を有する有効成分を決定することを目標として、in vitro法とin vivo法の両方を使用して広範な研究を行った。ゼラニウム油は多くの化学物質(chemical entities)から構成されており、その多くは既知であるが、その幾つかはまだ解明されていない(表1)。ゼラニウム油中の1つ又は複数の有効成分を決定するために、天然由来のゼラニウム油中に存在する化合物を既知量(表1)含有する合成ブレンドを調製し、パッチクランプ検査で試験した(実施例1を参照)。次いで、この合成ゼラニウム油を天然由来のゼラニウム油と比較した。天然由来のゼラニウム油が電流を40%抑制したのに対して、合成ゼラニウム油は電流を50%抑制した。従って、ゼラニウム油の合成ブレンドは天然由来のゼラニウム油より作用が大きく、合成由来のテルペンの方が優れていることを示した。
【0050】
次いで、ゼラニウム油中に含有される精製された個々の化合物をin vivoとin vitroの両方で試験した。特に、全細胞パッチクランプ試験によって、ゼラニウム中に見出される特定の化合物が10ppmの濃度で遅延整流カリウムチャネルを抑制することが分かった。結果は、カルボン、リナロール、テルピネオール、ローズオキサイド、メントン、ゲラニオール、及びシトロネロールの化合物では陽性(positive)であり、精製ゲラニオール及び精製シトロネロールで抑制量が最も高かった。
【0051】
また、ゼラニウム油の合成ブレンド(表1)も、天然由来のゼラニウム油に応答することが知られているヒト神経障害性疼痛患者のパネルで試験した。ゼラニウム油を治療に有効な量、神経障害性疼痛の徴候がある人体の領域に局所適用した。用量は患者の罹患している領域のサイズに依存した。典型的には1〜10滴を使用し、小さい罹患領域には1滴、大きい罹患領域又は激しい疼痛徴候を示す領域には10滴使用した。投与後、典型的な陽性反応は疼痛の顕著な低減であり、数分で起こることが多い。神経障害性疼痛患者のパネルのうち相当数の患者がゼラニウムの合成ブレンドの鎮痛効果を好み、精製された既知の成分は天然のゼラニウムより優れていた。これは、本発明の合成ゼラニウム油ブレンドが天然ゼラニウム油より優れた改善された効力を提供することを示す。
【0052】
合成ゼラニウム油ブレンドの有効性を更に調べるため、あらゆる原因による神経障害性疼痛のある64人の被験者でヒト二重盲検プラセボ管理臨床試験を実施した。2つの有効薬剤及び1つのプラセボを6週間試験した。有効薬剤はそれぞれゼラニウム精油を約28体積%含有した。これらの有効薬剤の1つは、ペラルゴニウム(pelargonium spp))の天然由来の精油を含有し、他方は、表1に詳細に示す合成ゼラニウム油ブレンドを同じ割合含有した。実施例3に記載する(及び表2に示す)ように、合成油ブレンドを含有する有効薬剤では患者の95%で統計的に有意な疼痛低減が得られ、それに対して、天然由来の精油を使用する患者の85%で統計的に有意な疼痛低減が得られた。更に、この試験から、合成ブレンドと天然由来の有効薬剤を治療に適用した後、非常に長い持続時間(7.5時間と6.5時間)、疼痛が低減することが証明された。
【0053】
【表1】

【0054】
ゲラニオール(2,6−オクタジエン−1−オール、3,7−ジメチル−、(2E)−)を使用し、ヒト神経障害性疼痛患者について更なる試験を実施した。結果から、純粋な合成製造されたゲラニオールがほぼ即時の鎮痛をもたらすことが分かった。ゲラニオールのこの作用によって証明されるように、この種類の化合物は、神経障害性疼痛の緩解に有益な作用を有する。この種類の個々の化学物質としては、ゲラニオール(2,6−オクタジエン−1−オール 3,7−ジメチル− (2E)−)、ゲラニアール(3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナール)、ギ酸ゲラニル(2,6−オクタジエン−1−オール 3,7−ジメチル− ホルメート (2E)−)、チグリン酸ゲラニル(2−ブテン酸 2−メチル−(2E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニルエステル (2E)−)、酪酸ゲラニル(酪酸 (2E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニルエステル)、シトロネロール(3,7−ジメチルオクタ−6−エン−1−オール)、ギ酸シトロネリル(6−オクテン−1−オール 3,7−ジメチル− ホルメート)、シトロネラール(3,7−ジメチル−6−オクテン−1−アール)、酪酸シトロネリル(酪酸 3,7−ジメチル−6−オクテニルエステル)、及びチグリン酸シトロネリル(2−ブテン酸 2−メチル− 3,7−ジメチル−6−オクテニルエステル (2E)−)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
また、分離したラット後根神経節(DRG)ニューロン及びマウス海馬脳スライス標本でも試験を行った(実施例5)。6つの皮質ニューロンについての平均電流−電圧プロットを図1に示す。純粋なゲラニオールの存在下での膜電流の低減は、神経伝達の抑制を表すことに留意されたい。
【0056】
前述し、実施例で詳述するin vitro試験及びヒト臨床試験の結果から、ゲラニオール及びシトロネロール、及び式I又はIIの関連するテルペンを含む合成組成物は、神経伝達の抑制に顕著な効果があることが証明される。例えば、本発明の合成組成物は、神経障害性疼痛の治療に有用であることが分かった。好ましくは、組成物はゲラニオール及び/又はシトロネロールを含有する。個々のテルペン化合物を含む合成組成物は、全精油蒸留物より効果が大きい。これは、in vitro及びin vivoの研究例から明らかである。従って、式I又はIIの精製されたテルペンの新規な組成物、例えば、単独で又は組み合わせて使用されるゲラニオール及びシトロネロール及び/又はそれらの誘導体は、神経伝達の阻害剤として有効であり、本発明の1つの好ましい実施形態では、神経障害性疼痛の治療に有効である。
【0057】
生理学的に望ましくない様々な状態及び明らかな医学的病状は、哺乳類被験体における神経の興奮と抑制の不均衡の結果であると一般に認められてきた。例えば、不眠、不安、不穏状態、うつ、認知障害、統合失調症、耽溺、外傷後ストレス疾患(PTSD)、並びに、学習及び記憶障害などの気分と睡眠の障害は、ニューロン発火の過剰な発現と関連付けられてきた。また、この過剰な発火は様々な神経症状とも関連付けられてきたが、幾つか例を挙げると、不穏下肢症候群、発作、てんかん、振戦、ハンチントン病、注意欠陥障害、自閉症、及びトゥーレット症候群がある。
【0058】
神経の興奮と抑制の不均衡はまた、筋痙攣、炎症及び疼痛などの様々な筋骨格疾患に関与していることも知られている。
【0059】
従って、神経細胞伝達の抑制を示す本発明の組成物は、広範囲にわたる用途を有する。これらの用途としては、鎮痛薬、麻酔薬、抗痙攣薬、抗不安薬、鎮静薬、催眠薬、筋弛緩薬、降圧薬、抗うつ薬、抗精神病薬などとしての使用が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
本発明の一態様は、例えば、ゲラニオール及び/又はシトロネロールなどの式I又はIIのテルペン化合物を含む組成物を治療に有効な量、投与することによって、哺乳類被験体の神経障害性疼痛を治療する方法を提供する。神経障害性疼痛は、様々なタイプの神経損傷によって起こる疼痛である。本発明の方法で治療できる神経障害性疼痛の症状の幾つかの例としては、糖尿病性末梢神経障害、帯状疱疹、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、反射性交感神経ジストロフィ、片頭痛、幻肢症候群、慢性疾患(多発性硬化症、HIVなど)による神経障害性疼痛、外傷(灼熱痛)による神経障害性疼痛、インピンジメント(例えば、坐骨神経痛、手根管など)による神経障害性疼痛、薬物暴露又は有毒化学物質暴露による神経障害性疼痛、感染による又は感染後の神経障害性疼痛、器官機能障害による神経障害性疼痛、血管疾患による神経障害性疼痛、代謝性疾患による神経障害性疼痛、癌又は癌治療による神経障害性疼痛、自己免疫疾患による神経障害性疼痛、線維筋痛症による神経障害性疼痛、及び、原因不明の(特発性)神経障害性疼痛が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
本発明の薬学的組成物は、標準的な周知の方法を使用して調製することができる。本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容される希釈剤又は賦形剤を含むことを必ずしも必要としない。しかし、組成物の所望の特性に応じて、このような希釈剤又は賦形剤を必要に応じて組成物に組み込むことができる。本明細書で使用する時、「組成物」の用語は、テルペン化合物を単独で含有する薬学的製剤を指しうる。
【0062】
本発明の組成物は、単離又は精製されたテルペン化合物、例えば、式I又はIIの1つ以上の化合物、又はこれらの対応する薬学的に許容される塩、エステル又は溶媒和化合物を有効成分として使用して、調製される。「溶媒和化合物」の用語は「水和物」を含むものとする。本発明の組成物は、植物材料の蒸留物として得られた天然油ではないが、本発明の合成組成物の調製に使用されるテルペン化合物は、植物材料から単離された1つ以上の化合物を含むことができる。
【0063】
本発明の組成物は、様々な剤形で調製され、投与され得る。本発明の組成物は、懸濁液、丸剤、ゲル、オイル、クリーム、パッチ、スプレー又はエアゾールの形態であってもよい。経口投与、局所投与、鼻腔内投与、経皮投与に好適となるように組成物を配合することができる。下記の剤形は有効成分として式I又はIIの化合物、これらの対応する薬学的に許容される塩、エステル若しくは溶媒和化合物、又はこれらの任意の組み合わせを含み得ることは当業者に自明である。
【0064】
本発明の化合物から薬学的組成物を調製するために、薬学的に許容される担体は固体であっても又は液体であってもよい。固体の形態の製剤としては、粉末、錠剤、丸剤、カプセル、カシェ剤、坐剤、及び分散性顆粒が挙げられる。固体の担体は、希釈剤、香味剤、結合剤、保存料、錠剤崩壊剤、又はカプセル化材料の役割もし得る1つ以上の物質であってもよい。
【0065】
粉末では、担体は、微細な有効成分と混合されている微細な固体である。
【0066】
錠剤では、有効成分は、必要な結合特性を有する担体と好適な割合で混合され、所望の形状とサイズに圧密化されている。好適な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、及びカカオ脂等である。同様に、カシェ剤、及びロゼンジが含まれる。錠剤、粉末、カプセル、丸剤、カシェ剤、及びロゼンジを経口投与に好適な固体の剤形として使用することができる。
【0067】
坐剤を調製するために、脂肪酸グリセリドの混合物又はカカオ脂などの低融点ワックスをまず溶融し、例えば攪拌することによってその中に有効成分を均質に分散させる。次いで、溶融した均質な混合物を好都合なサイズの金型の中に注入し、冷却させ、それによって凝固させる。
【0068】
液体の形態の製剤としては、溶液、懸濁液、及び乳濁液、例えば、水溶液又は水プロピレングリコール溶液などが挙げられる。非経口注射液では、製剤をポリエチレングリコール水溶液に配合して溶液にする。
【0069】
経口用途に好適な水溶液は、有効成分を水に溶解させ、好適な着色料、香味料、安定剤、及び増粘剤を必要に応じて添加することによって調製することができる。
【0070】
経口用途に好適な水性懸濁液は、微細な有効成分を天然又は合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び他の周知の懸濁剤などの粘性材料と一緒に水に分散させることによって製造できる。
【0071】
また、経口投与するために使用直前に液体の形態の製剤に転化されることが意図されている固体の形態の製剤も含まれる。このような液体の形態としては、溶液、懸濁液、及び乳濁液が挙げられる。これらの製剤は、有効成分の他に、着色料、香味料、安定剤、緩衝剤、人工及び天然甘味料、分散剤、増粘剤、及び可溶化剤等を含有してもよい。
【0072】
本発明の組成物を投与する特に好ましい方法は、局所経路で皮膚表面に投与することである。このような組成物は、ローション、溶液、クリーム、軟膏又は粉末の形態で局所適用される。例えば、組成物をポリエチレングリコールの水性エマルション又は液体パラフィンからなるクリームに配合してもよく、又は、必要に応じて、このような安定剤及び保存料と一緒に白ロウ又は白色ワセリンベースからなる軟膏に1〜10%の濃度で配合してもよい。局所組成物は、結合剤、賦形剤、酸化防止剤、及び色素などの追加の成分を含有してもよい。
【0073】
薬学的製剤は、好ましくは単位剤形である。このような形態では、製剤は、適切な量の有効成分を含有する単位用量に細分される。単位剤形は、包装された製剤であってもよく、包装は、小包にされたクリーム、ローション、軟膏、錠剤、カプセル、又は粉末をチューブ、バイアル瓶又はアンプルに入れたものなどの、個別の量の製剤を含有する。また、単位剤形は、カプセル、錠剤、カシェ剤、又はロゼンジ自体であってもよく、又は、それはこれらのいずれかが適切な数包装されている形態であってもよい。
【0074】
特定の用途及び有効成分の効力に応じて、単位用量の製剤中の有効成分の量を変えても、又は調整してもよい。しかし、患者の要求、治療対象の症状の重篤度、及び使用される化合物に応じて用量を変えてもよい。特定の状況に応じて適切な用量を決定することは、当該分野の技術範囲内である。一般に、治療は、化合物の最適な用量より少ない低用量で開始される。その後、その状況で最適な効果が達成されるまで、用量を少しづつ増加させる。便宜上、必要に応じて、1日当たりの総用量を分割し、1日の中で幾つかに分けて投与してもよい。
【0075】
本明細書に記載されている本発明を更によく理解するために、次の実施例を記載する。これらの実施例は、説明を目的とするに過ぎないことを理解すべきである。従って、それらは本発明の範囲を決して制限すべきではない。
【実施例】
【0076】
実施例1:パッチクランプ電気生理学的記録(K+チャネル)
カリウムチャネルは、心拍数、筋肉収縮、神経伝達物質の放出、及びニューロンの興奮性の調節を含む多数の重要な細胞機能と関連付けられてきた(非特許文献14)。このようなものとして、K+チャネルは、薬物の標的となり得るものとして認識され、疼痛の治療薬となり得るものを含む、治療分子となり得るもののスクリーニング手段として利用されてきた。K+チャネルは、細胞膜電位及び神経細胞の興奮性を制御するため役割を果たすため、神経障害性疼痛を含むニューロンの過剰興奮状態を鎮める(modulate)のに重要である。
【0077】
電流キャリヤとして塩化カリウムを利用する細胞内溶液を有する抵抗3〜8MΩのホウケイ酸パッチピペットを使用して、全細胞パッチクランプ記録(Axopatch 200B)を行った。細胞の発火特性を調べるため、膜電位を−60mVに維持して電流固定記録を行った。遅延整流電流(Ikv)、特にIkv 1.5サブタイプを調べるため、電位固定を行った。ANOVAによる分散分析の後、Duncanの多重検定(multiple−range test)を使用して統計学的有意性を評価し、P<0.05であれば有意性を示すものとした。ゼラニウム油は、10mcmol又は10ppmで遅延整流カリウムチャネルを抑制することが分かり、ゼラニウム油のEC50は5.4ppmであった。以下のゼラニウム油成分では、遅延整流カリウム電流を40%抑制したゼラニウム油の濃度で、以下の対応する抑制率が得られた:カルボン22%、リナロール18%、テルピネオール14%、ローズオキサイド14%、メントン22%、ゲラニオール26%、及びシトロネオール27%。天然のゼラニウム油に類似した割合のゲラニオールとシトロネロールを含有するが他の成分が除去されているゼラニウム油の合成ブレンドを、次の割合、即ち、2:8、3:7、4:6のゲラニオール:シトロネロール、及びゼラニウム油と比較した。天然のゼラニウム油が40%抑制したのに対して、ゼラニウム油の合成ブレンドは遅延整流カリウムチャネル電流を50%抑制した。また、試験した全ての割合のゲラニオール:シトロネロールも、これらのチャネルを著しく抑制した。
【0078】
ゼラニウム油の合成ブレンドが植物起源のゼラニウム油より優れていたという知見は、非常に重要である。天然源から得られたゼラニウム油は、約50の単一ガスクロマトグラフィーピークを示し、化合物の少なくとも6%は同定が困難である。植物起源のゼラニウム中に見出される成分の数及び未同定の成分の数を考慮すると、この混合物から有効成分を単離することは非常に困難である。比較により、ゼラニウムの合成ブレンドを使用することができるが、この場合、19の成分しか含有せず、その全てが既知の化学物質である。また、試験した全ての個々の化合物のうち、ゲラニオールとシトロネロールがパッチクランプ試験で最も高い作用を示したという結果も重要である。更に、様々な割合の精製ゲラニオールと精製シトロネロールもまた、これらの試験で高い効力を示した。
【0079】
実施例2:神経障害性疼痛(ヘルペス後神経痛)に合成ゼラニウムを使用したヒトでのスクリーニング
天然ゼラニウム油は神経障害性疼痛を緩解し、遅延整流カリウムチャネルを抑制するため、また、合成ゼラニウム油、ゲラニオール及びシトロネロールは全て遅延整流カリウムチャネルを抑制するため、ヘルペス後神経痛を有する患者で合成ゼラニウム油及びゲラニオールを試験した。天然ゼラニウム油に対する陽性応答者であるヘルペス後神経痛を有する患者で、ゼラニウム油の合成ブレンドを試験した。ゼラニウム油の合成ブレンド(合成ブレンド中の成分、その相対量については表1を参照)を用いた鎮痛は、天然ゼラニウム油を用いた鎮痛と同程度であるか又はそれより優れていると自己報告された。次いで、これらの被験者で純粋なゲラニオールを試験した。結果から、ゲラニオールは神経障害性疼痛の緩解に最も効果があることが分かった。
【0080】
実施例3:あらゆる原因による神経障害を有する64人の患者のヒト臨床試験
少なくとも3ヶ月の持続期間の末梢神経障害と診断され、日常的な足底皮膚足部疼痛がある人合計64人を採用し、適性をスクリーニングした。これらの人のうち18人は足部疼痛の所定の包含基準(VAS=3〜8)を満たさなかったため、除外された。残りの参加者は、後述の3週間の鎮痛介入を完了した。1人の参加者は介入を完了しなかったが理由は不明である。全ての試験手順を完了した参加者(n=45)のうち、5人の参加者は、試験期間全体を通して少なくとも1回、所定の基準外(VAS<3又は>8)の試験前足部疼痛レベルを報告した。これらの参加者から得られたデータは全て、後の分析から排除した。試験期間中、報告すべき有害事象はなかった。
【0081】
11点(0〜10)の数値スケールで治療前と治療してから8時間の疼痛を記録した。3つの治療剤(合成ゼラニウム油(表1を参照)、プラセボ、及び天然由来のゼラニウム油)の1つを所定の適用指示に従って反復可能な方法で全ての被験者にランダムに適用した。各適用の間に1週間のウォッシュアウト期間を維持した。局所クリームでは、各有効薬剤はゼラニウム精油を約28体積%含有した。これらの有効薬剤の1つは、ペラルゴニウム(pelargonium spp))の天然由来の精油を含有し、他方は、表1に詳細に示した合成ゼラニウム油ブレンドを同じ割合含有した。
【0082】
40人の参加者が全ての疼痛低減試験を完了した(男性=16人、女性=24人、年齢=71.5±1.5歳、身長=171.0±1.8cm、体重=80.6±21.0kg、診断後の非経口栄養摂取(PN)期間=6.63±0.70年)。非経口栄養摂取である原因は、糖尿病(n=16)、化学療法(n=4)、及び原因不明(n=20)であった。インプットした疼痛スケールデータをコンピュータにダウンロードし、後で解析した。データ解析のため、反復測定を用いた2因子(時間及び治療剤)分散分析(ANOVA)を使用した。必要な時は常に、チューキー事後解析(Tukey post−hoc analysis)を採用した。有意水準をα=0.05に設定した。治療に適用する30分前(即ち、Pre)と後(即ち、Post)の疼痛レベル(VAS)を比較することによって、即時の疼痛低減効果を評価した。治療に適用する前は疼痛レベルに統計学的な差はなかった。各治療剤は異なる鎮痛効果を有した(表2を参照)。表2に示されるように、天然由来の精油を使用する患者の85%で統計学的に有意な疼痛低減が得られたのに対して、合成油ブレンドを含有する有効薬剤では患者の95%で統計学的に有意な疼痛低減が得られた。更に、この試験によって、合成ブレンドと天然由来の有効薬剤を治療に適用した後、著しく長い持続時間(7.5時間と6.5時間)、疼痛が低減することが証明された。
【0083】
【表2】

【0084】
実施例4.症例研究
77歳の白色人種男性、身長68インチ、体重162ポンド、体格指数(BMI)24.7。残留疼痛(ヘルペス後神経痛)に関する試験の4年前に帯状疱疹の病歴がある。Neurontin(商標)を1週間試用したが、さほど効果がなく、この試験の3〜4年前に中止した。
【0085】
彼は、疼痛以外のことに集中することを困難にする中程度の疼痛を有した。彼は、衣類を着用したがらず、ほとんどの時間、不快感があった。眠ることはできたが、眠るために姿勢を変え続けなければならなかった。彼は、ヘルペス後神経痛を自分に起こった最悪の事だと述べた。標準的な視覚アナログスケール(standard visual analog scale)で測定した時、被験者の疼痛は、純粋なゲラニオールを用いた場合、局所適用後30分の間に78%低減した。
【0086】
実施例5:マウス海馬スライスのパッチクランプ電気生理学的試験
マウス海馬脳スライス標本で試験を行った。スライス標本に関して、12時間明環境(ZT 0〜12):12時間暗環境(ZT 12〜24)に収容された動物から200〜400μMの冠状脳(coronal brain)スライスを調製した。イソフルランで動物に麻酔をかけ、断頭し、脳を素早く取り出し、氷冷し、酸素添加した(95%O:5%CO)重炭酸緩衝人工脳脊髄液(ACSF)に入れた。海馬を含有する脳組織の1cmブロックを切断用表面に接着し、Leica VT1000Sミクロトーム(Leica Microsystems)を使用して冠状スライスを調製した。記録室に移す前に約1時間、スライスを全て平衡させた。記録室に移した後、スライスを30℃において、3ml/分の速度で酸素添加ACSFで連続的に灌流し、次の6〜12時間記録を行った。パッチ微小電極(5〜8MΩ)は、ホウケイ酸ガラス(Garner Glass Co.)製であり、120mM 酢酸カリウム、40mM HEPES、10mM EGTA、6mM MgCl、ナイスタチン(450μg/ml)又はグラミシジンB(5μg/ml)、及びプルロン酸(pluronic acid)F127を含むKベースの内部パッチ溶液を充填した。
【0087】
穿孔パッチ記録法を使用し(Korn及びHorn、1989年)、Leica DM LFSA顕微鏡を使用する赤外微分干渉コントラスト(IR−DIC)顕微鏡法を使用して、viableな海馬ニューロンに視覚的に照準を合わせた。穿孔パッチ構成では、従来の全細胞記録に匹敵する細胞へのアクセス抵抗が得られ、このようなアクセスは、一般に、ギガオームのシールが形成されてから2〜15分後に得られる。Digidata 1322Aを介してPCコンピュータにインターフェースされたAxopatch 700Bパッチクランプ増幅器を装備した3つの異なるパッチ装置から、又は、分離したDRGニューロンで実施される試験に関しては、Pclamp 9.0及びAxoscope 9ソフトウェアを使用するAxopatch 200B/Digidata 1322Aを装備したZeiss Axoscop 200倒立顕微鏡で記録を行った。
【0088】
興奮性の変化及び/又はイオンチャネルの減衰及びシナプス誘発応答に対する化合物の効果を調べるため、試験化合物を灌流により浴塗布した。スライス内に、DH及び海馬への通路の周知の繊維路の経路に従って、刺激電極(同心又は双極)を配置した。
【0089】
皮質ニューロン中の典型的な電流−電圧(I−V)関係を図2A、2B、及び2Cに示す。(A)対照(control)条件、(B)ゲラニオールの存在下、及び(C)薬物のウォッシュアウト後の、−110〜−20mVの範囲の一連の10mVステップ(250ms)に対する重畳応答を示す。膜電流振幅の低減及びゲラニオールの存在下での活動電位の抑制に注意されたい。
【0090】
(D)対照状態、(E)ゲラニオールの存在下、及び(F)回復後の、0.4nAの脱分極電流パルスの後に生じた皮質ニューロンの典型的な応答を図2D、2E及び2Fに示す。試験する化合物の存在下での活動電位の抑制に注意されたい。
【0091】
6つの皮質ニューロンの平均電流−電圧プロットを図1にプロットした。ゲラニオールの存在下での膜電流の低減に注意されたい(試験化合物#4)。
【0092】
図3は、様々な天然由来のゲラニウム精油及び純粋な化合物が存在する場合それぞれについての、電圧が最も負である(−110mV)ステップ後の正味の電流低減を示す。サンプル1、2及び6は、天然由来のゼラニウム油の実施例であり、サンプル3は、表1に記載の合成組成物であり、サンプル4は純粋なゲラニオールであり、サンプル5は純粋なシトロネロールであり、サンプル4+5は、ゲラニオールとシトロネロールの50:50(体積比)の組み合わせである。正味電流は、同じ電圧ステップに応答した、対照条件で測定した電流と試験された化合物の存在下で測定した電流との差を表す。試験された化合物のうち、サンプル#4(ゲラニオール)で最も大きい抑制(対照と試験化合物との電流差)が得られた。
【0093】
上記の説明は、所与の濃度で使用される化合物の具体例を含むが、ある範囲の濃度で使用されるとき、及び、前述の追加の化合物の1つ以上と前述と異なる割合で混合されるとき、化合物が安全で有効であることが期待される。従って、前述の追加の化合物のいずれか1つ又はそれらの組み合わせの任意の濃度での使用は、有効となるように決定され、本発明の範囲に入る。
【0094】
上記の実施例は多くの具体的内容を含むが、これらは、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、本発明の現在好ましい実施形態の幾つかを説明するに過ぎないものと解釈すべきである。他の様々な実施形態及び派生物は本発明の範囲で可能である。
【0095】
本明細書に記載の全ての出版物、特許及び特許出願は、本発明が関係する技術分野の当業者の技術レベルを示し、各個々の出版物、特許、又は特許出願が参照により援用されることが具体的に且つ個々に示されるのと同程度に、参照により本明細書に援用される。
【0096】
本発明の範囲は、in vitro試験若しくはin vivo試験で示されるものによって又は所与の実施例によって決定されるのではなく、添付の特許請求の範囲及びその法的均等物によって決定されなければならない。本発明をこのように説明してきたが、同じものが多くの点で変わり得ることが明らかである。このような変化は、本発明の趣旨及び範囲からの逸脱と見なされるべきではなく、当業者には自明であるように、このような変更は全て、次の特許請求の範囲内に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのテルペン化合物又は複数のテルペン化合物の組み合わせ、及び、任意で1つ以上の薬学的に許容される希釈剤又は賦形剤を含む、神経伝達を抑制するための組成物であって、
前記テルペン化合物がボルネオールではない組成物。
【請求項2】
前記テルペン化合物がテルペン、テルペノイド、又はこれらの薬学的に許容される塩、エステル若しくは溶媒和化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記テルペノイドが、テルペノイドアルデヒド、テルペノイド酸、テルペノイドエステル、テルペノイドオキサイドである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記テルペン化合物が、ゲラニオール、シトロネロール、ゲラニアール、シトロネラール、リナロール、メントン、ローズオキサイド、α−テルピネオール、又はこれらの薬学的に許容される塩、エステル若しくは溶媒和化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記テルペン化合物が、下記式I又は式IIで表される化合物、又はこれらの薬学的に許容される塩、エステル若しくは水和物、及び、任意で、1つ以上の薬学的に許容される希釈剤又は賦形剤である、請求項1に記載の組成物。
【化1】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13及びR14は、独立して、H、OH、COOH、COOCH、CHOH、OCOH、C〜C20非分岐アルキル基、C〜C20分岐アルキル基、C〜C20非分岐アルコキシ基、C〜C20分岐アルコキシ基、C〜C20非分岐アシルオキシ基、及びC〜C20分岐アシルオキシ基、C〜C20非分岐アリル基、及びC〜C20分岐アリル基から選択されるか、又は、RとR、RとR、RとR、又はR10とR11の1つ以上は、一緒に=Oを形成し、
アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、及びアリル基は、任意で、アリール、アミン、アミド、ハライド、ホスフェート、又はチオールで置換されている)
【請求項6】
式Iで表される化合物(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、及びR12はHであり、R10及び/又はR11はH、OH、COOH、COOCH、CHOH、OCOH、C〜C20非分岐アルキル基、C〜C20分岐アルキル基、C〜C20非分岐アルコキシ基、C〜C20分岐アルコキシ基、C〜C20非分岐アシルオキシ基、及びC〜C20分岐アシルオキシ基、C〜C20非分岐アリル基、及びC〜C20分岐アリル基から選択されるか、又は、R10とR11は一緒に=Oである)を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
ゲラニアール(3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナール)、
ネラール(cis3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナール)、
ゲラニオール(2,6−オクタジエン−1−オール 3,7−ジメチル− (2E)−)、
ネロール(cis−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オール)、
ギ酸ゲラニル(2,6−オクタジエン−1−オール 3,7−ジメチル− ホルメート、(2E)−)
酪酸ゲラニル(酪酸 (2E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニルエステル)、
チグリン酸ゲラニル(2−ブテン酸 2−メチル−(2E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニルエステル (2E)−)、
である式Iで表される1つ以上の化合物、又はこれらの薬学的に許容される異性体、塩、エステル若しくは溶媒和化合物を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
式IIの化合物(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R12、R13及びR14はHであり、R10及び/又はR11はH、OH、COOH、COOCH、CHOH、OCOH、C〜C20非分岐アルキル基、C〜C20分岐アルキル基、C〜C20非分岐アルコキシ基、C〜C20分岐アルコキシ基、C〜C20非分岐アシルオキシ基、及びC〜C20分岐アシルオキシ基、C〜C20非分岐アリル基、及びC〜C20分岐アリル基から選択されるか、又は、R10とR11は一緒に=Oである)を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
シトロネラール(3,7−ジメチル−6−オクテン−1−アール)、
シトロネロール(3,7−ジメチルオクタ−6−エン−1−オール)、
ギ酸シトロネリル(6−オクテン−1−オール 3,7−ジメチル− ホルメート)
酪酸シトロネリル(酪酸 3,7−ジメチル−6−オクテニルエステル)、
チグリン酸シトロネリル(2−ブテン酸 2−メチル−3,7−ジメチル−6−オクテニルエステル (2E)−)、
である式IIで表される1つ以上の化合物、又はこれらの薬学的に許容される異性体、塩、エステル若しくは溶媒和化合物を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
哺乳類被験体に、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物を治療に有効な量投与することを含む、神経の興奮と抑制の不均衡を特徴とする疾患の治療方法であって、前記治療に有効な量が神経細胞の伝達を抑制する方法。
【請求項11】
前記哺乳類被験体がヒトである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が懸濁液、丸剤、ゲル、オイル、クリーム、パッチ、スプレー又はエアゾールの形態である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が経口投与に好適である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が局所投与に好適である、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物が鼻腔内投与に好適である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記組成物が経皮投与に好適である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記疾患が神経障害性疼痛である、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記神経障害性疼痛が、糖尿病性末梢神経障害、帯状疱疹、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、反射性交感神経ジストロフィ、幻肢症候群、慢性疾患(多発性硬化症、HIVなど)、外傷(灼熱痛)、インピンジメント(例えば、坐骨神経痛、手根管など)、薬物暴露、有毒化学物質暴露、現在の感染、過去の感染、器官機能障害、血管疾患、代謝性疾患、癌、癌治療、自己免疫疾患、線維筋痛症によって起こるか、又は特発性である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記疾患が、灼熱感及び/又はずきずきする痛み及び/又はしびれ及び/又は刺痛及び/又は異痛を特徴とする疼痛である、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つのテルペン化合物又は複数のテルペン化合物の組み合わせ、及び、任意で1つ以上の薬学的に許容される希釈剤又は賦形剤を含む、神経障害性疼痛を治療するための組成物。
【請求項21】
前記テルペン化合物が、テルペン、テルペノイド、又はこれらの薬学的に許容される塩、エステル若しくは溶媒和化合物である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記テルペノイドが、テルペノイドアルデヒド、テルペノイド酸、テルペノイドエステル、テルペノイドオキサイドである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記テルペン化合物がゲラニオール、シトロネロール、ゲラニアール、シトロネラール、リナロール、メントン、ローズオキサイド、α−テルピネオール、又はこれらの薬学的に許容される塩、エステル若しくは溶媒和化合物である、請求項20に記載の組成物。
【請求項24】
前記テルペン化合物が、下記式I又は式IIで表される化合物、又はこれらの薬学的に許容される塩、エステル若しくは水和物、及び、任意で、1つ以上の薬学的に許容される希釈剤又は賦形剤である、請求項20に記載の組成物。
【化2】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13及びR14は、独立して、H、OH、COOH、COOCH、CHOH、OCOH、C〜C20非分岐アルキル基、C〜C20分岐アルキル基、C〜C20非分岐アルコキシ基、C〜C20分岐アルコキシ基、C〜C20非分岐アシルオキシ基、及びC〜C20分岐アシルオキシ基、C〜C20非分岐アリル基、及びC〜C20分岐アリル基から選択されるか、又は、RとR、RとR、RとR、又はR10とR11の1つ以上は、一緒に=Oを形成し、
アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、及びアリル基は、任意で、アリール、アミン、アミド、ハライド、ホスフェート、又はチオールで置換されている)
【請求項25】
式Iで表される化合物(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、及びR12はHであり、R10及び/又はR11はH、OH、COOH、COOCH、CHOH、OCOH、C〜C20非分岐アルキル基、C〜C20分岐アルキル基、C〜C20非分岐アルコキシ基、C〜C20分岐アルコキシ基、C〜C20非分岐アシルオキシ基、及びC〜C20分岐アシルオキシ基、C〜C20非分岐アリル基、及びC〜C20分岐アリル基から選択されるか、又は、R10とR11は一緒に=Oである)を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
ゲラニアール(3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナール)、
ネラール(cis3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナール)、
ゲラニオール(2,6−オクタジエン−1−オール 3,7−ジメチル− (2E)−)、
ネロール(cis−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オール)、
ギ酸ゲラニル(2,6−オクタジエン−1−オール 3,7−ジメチル− ホルメート (2E)−)
酪酸ゲラニル(酪酸 (2E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニルエステル)、
チグリン酸ゲラニル(2−ブテン酸 2−メチル−(2E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニルエステル (2E)−)、
である式Iで表される1つ以上の化合物、又はこれらの薬学的に許容される異性体、塩、エステル若しくは溶媒和化合物を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
式IIで表される化合物(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R12、R13及びR14はHであり、R10及び/又はR11はH、OH、COOH、COOCH、CHOH、OCOH、C〜C20非分岐アルキル基、C〜C20分岐アルキル基、C〜C20非分岐アルコキシ基、C〜C20分岐アルコキシ基、C〜C20非分岐アシルオキシ基、及びC〜C20分岐アシルオキシ基、C〜C20非分岐アリル基、及びC〜C20分岐アリル基から選択されるか、又は、R10とR11は一緒に=Oである)を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項28】
シトロネラール(3,7−ジメチル−6−オクテン−1−アール)、
シトロネロール(3,7−ジメチルオクタ−6−エン−1−オール)、
ギ酸シトロネリル(6−オクテン−1−オール 3,7−ジメチル− ホルメート)
酪酸シトロネリル(酪酸 3,7−ジメチル−6−オクテニルエステル)、
チグリン酸シトロネリル(2−ブテン酸 2−メチル−3,7−ジメチル−6−オクテニルエステル (2E)−)、
である式IIで表される1つ以上の化合物、又はこれらの薬学的に許容される異性体、塩、エステル若しくは溶媒和化合物を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項29】
哺乳類被験体に、請求項20〜28のいずれか一項に記載の組成物を治療に有効な量投与することを含む、神経障害性疼痛の治療方法であって、前記治療に有効な量が神経障害性疼痛を低減する方法。
【請求項30】
前記哺乳類被験体がヒトである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が懸濁液、丸剤、ゲル、オイル、クリーム、パッチ、スプレー又はエアゾールの形態である、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物が経口投与に好適である、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記組成物が局所投与に好適である、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記組成物が鼻腔内投与に好適である、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記組成物が経皮投与に好適である、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記神経障害性疼痛が、糖尿病性末梢神経障害、帯状疱疹、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群、反射性交感神経ジストロフィ、幻肢症候群、慢性疾患(多発性硬化症、HIVなど)、外傷(灼熱痛)、インピンジメント(例えば、坐骨神経痛、手根管など)、薬物暴露、有毒化学物質暴露、現在の感染、過去の感染、器官機能障害、血管疾患、代謝性疾患、癌、癌治療、自己免疫疾患、線維筋痛症によって起こるか、又は特発性である、請求項29に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−518030(P2010−518030A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548553(P2009−548553)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【国際出願番号】PCT/CA2008/000236
【国際公開番号】WO2008/095297
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(506067707)オリジン バイオメッド インク (2)
【出願人】(508013434)ボード オブ スーパーバイザーズ オブ ルイジアナ ステイト ユニバーシティ アンド アグリカルチュラル アンド メカニカル カレッジ (2)
【Fターム(参考)】