説明

テレビジョンカメラの感度調整方法および感度調整装置

【課題】従来の技術において、レンズの絞りを開いた状態(全開)での自動感度調整は、レンズの特性により被写体のピントがぼける場合があるため、必ずしも高画質を保てない。
本発明の目的は、最適な画質優先の自動感度調整を行うことにある。
【解決手段】本発明のテレビジョンカメラの感度調整方法は、絞り制御可能なレンズ部とレンズ部からの入射光を電子増倍型撮像素子で撮像し、映像信号を出力するテレビジョンカメラにおいて、レンズ部の絞りの所定範囲は開閉制御し、レンズ部の絞りの所定範囲外はレンズ部の絞りを所定の開閉範囲内に維持すると共に電子増倍型撮像素子の電子増倍率を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョンカメラに関し、特に絞り制御可能なレンズと電子増倍型固体撮像素子を組み合わせたときの自動感度調整に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、絞り制御可能なレンズと感度調整可能な撮像管を組み合わせたテレビジョンカメラにおいて、高画質を保つため、まずNDフィルタの透過率を変え、次に映像信号処理系の利得で自動感度調整を行い、追従しきれなくなった場合はレンズの絞りを開いた状態に切替えて、自動感度調整を行う例が特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2004−289348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術において、レンズの絞りを開いた状態(全開)での自動感度調整は、レンズの特性により被写体のピントがぼける場合があるため、必ずしも高画質を保てない。
本発明の目的は、最適な画質優先の自動感度調整を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するため本発明のテレビジョンカメラの感度調整方法は、絞り制御可能なレンズ部とレンズ部からの入射光を電子増倍型撮像素子で撮像し、映像信号を出力するテレビジョンカメラにおいて、レンズ部の絞りの所定範囲は開閉制御し、レンズ部の絞りの所定範囲外はレンズ部の絞りを所定の開閉範囲内に維持すると共に電子増倍型撮像素子の電子増倍率を制御する。
【0005】
また、本発明のテレビジョンカメラの感度調整装置は、絞り制御可能なレンズ部とレンズ部からの入射光を電子増倍型撮像素子で撮像し、映像信号を出力するテレビジョンカメラにおいて、レンズ部の絞りの開閉制御手段と、電子増倍型撮像素子の電子増倍率制御手段と、開閉制御手段と電子増倍率制御手段を適応的に制御する制御手段とを具備した。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、絞り制御可能なレンズと電子増倍型固体撮像素子を組み合わせたときの自動感度調整において、最適な画質優先の自動感度調整を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明によるテレビジョンカメラの一実施例について図1と図2を用いて説明する。
図1は本発明の一実施例の構成を示すブロック図である。なお、図1は本発明テレビジョンカメラの説明に必要な部分のみを記載している。
【0008】
図1において、1は絞り制御可能なレンズ部、2はレンズ部1の絞り機構を制御する絞り制御部、3はレンズ部1からの入射光を光電変換して映像信号を出力する撮像部である。4はレンズ部1から入射した光を電気信号に変換するEM−CCD(Electron Multiplying - Charge Coupled Device、電子増倍型固体撮像素子)、5はEM−CCD4から出力された信号の利得を適応的に調整するAGC(Automatic Gain Control)、6はAGC5から出力された信号に種々の画像処理を施す映像処理部、7はNTSC(National Television System Committee)方式やPAL(Phase Alternating by Line)方式等に映像信号を変換するENC(Encoder)、8はENC7から出力された信号と文字信号発生部14(後述)から出力された信号を合成する合成部、30は合成部8から出力された信号を表示するモニタ、9はEM−CCD4の駆動および電子増倍の利得制御を行うための駆動部、13は入力された信号に応じて予め定められたプログラムに従って映像処理部6と文字信号発生部14(後述)等の撮像部3内の各部を制御するCPU(Central Processing Unit)、14はCPU13から出力された信号に従ってモニタ30に文字表示させるための文字信号を発生する文字信号発生部である。12は映像処理部6から入力された信号aをCPU13から入力された信号に従ってレンズ部1の絞りを制御する信号bおよび信号cの生成と、レンズ開口率の信号fを出力するレンズ絞り制御部である。11はレンズ絞り制御部12から入力された信号cを増幅するアンプ部、10はレンズ部1の増幅部の有無(以下、増幅部を内蔵しているレンズ部1をVIDEOレンズと称し、増幅部を内蔵していないレンズ部1をDCレンズと称する)により絞り制御信号を切替える切替部、15はオペレータが設定するための設定ボタンである。設定ボタン15の18は上ボタン、19は下ボタン、20は左ボタン、21は右ボタン、22は中央ボタンである。16は撮像部3の外部から自動感度調整の設定を行うためにリモート制御信号を入力するためのリモート端子、17はリモート端子から入力されたリモート制御信号である。
【0009】
図2は、本発明のテレビジョンカメラの一実施例の表示画面を示す図である。
図2の表示画面はモニタ30に表示される。40はオペレータが自動感度調整(SENSITIVITY CONTROL)の設定時に表示画面上で設定項目を選択するためのカーソルである。41は設定するレンズ(LENS)を選択する選択バーで、選択するレンズがVIDEOレンズの場合は“VIDEO”を選択し、選択するレンズがDCレンズの場合は“DC”を選択する。42は合成部8から出力される映像信号レベル(VIDEO LEVEL)の設定値を表示画面上に設定するための設定バーである。43はレンズ部1の絞り機構の最大開口率(MAX IRIS)を設定するための設定バーである。なお、本実施例では“VIDEO LEVEL”と“MAX IRIS”の設定を設定バーによる設定方式としたが数値による設定方式でも良い。“AGC1”と“AGC2”と“AGC3”は、図1のAGC5の利得制御範囲を3分割した場合の設定を行う一実施例である。“CCD GAIN1”と“CCD GAIN2”は、図1のEM−CCD4の電子増幅制御範囲を2分割した場合の設定を行う一実施例である。表示の上から“AGC1”、“CCD GAIN1”、“AGC2”、“CCD GAIN2”、“AGC3”の並び順は制御の順番(後述)を示した一実施例である。
【0010】
次に、本発明の動作の一実施例について図1を用いて説明する。
図1において、図示していない被写体からの光はレンズ部1に入射される。レンズ部1は、入射された光をレンズ絞りで光量調整して撮像部3のEM−CCD4に結像する。EM−CCD4は結像された光を光電変換してAGC5に出力する。AGC5は入力された信号に対し適応的な利得調整して映像処理部6に出力する。映像処理部6は入力された信号に輪郭強調やホワイトバランス調整等の種々の画像処理をCPU13から出力された信号に従って実行し、ENC7とレンズ絞り制御部12に出力する。ENC7は入力された信号をNTSC方式やPAL方式等の映像信号に変換して合成部8に出力する。合成部8は入力された映像信号に文字信号発生部14から出力された文字信号を合成してモニタ30に出力する。モニタ30は入力された信号を画像表示する。レンズ絞り制御部12は、CPU13から入力された映像信号レベル設定値と映像処理部6から入力された信号aとを比較し、映像処理部6から入力された信号aがCPU13から入力された映像信号レベル設定範囲値の範囲内になるまで出力レベルを増減させ、信号cをアンプ部11に出力し、信号bを切替部10に出力する。アンプ部11は入力された信号cを増幅して切替部10に信号dを出力する。切替部10はCPU13の指示に従い、レンズ部1がVIDEOレンズの場合はレンズ絞り制御部12から入力された信号bを選択し、レンズ部1がDCレンズの場合はアンプ部11から入力された信号dを選択してレンズ部1の絞り制御部2に出力する。絞り制御部2は入力された信号eに従いレンズ部1のレンズ絞り機構を制御して入射光の光量調整を行う。
【0011】
なお、切替部10の切替えは、図示していない切替スイッチの設定をCPU13が認識して切替える。または図示していないレンズ識別手段で絞り制御部2のインピーダンスを測定し、この測定結果からCPU13がレンズを自動判別して切替える。どちらの切替え手段でも良い。
【0012】
次に図1と図2を用いて本発明の自動感度調整の一実施例について説明する。この説明では、レンズ部1をDCレンズとする。
図1においてオペレータは、例えば5つのボタンで構成された設定ボタン15の中央ボタン22を押すことによりモニタ30に表示されている被写体画像に図2の表示画面を合成表示させることができる。
【0013】
そしてオペレータは、モニタ30に合成表示されている図2の表示画面を見ながら設定ボタン15の上ボタン18または下ボタン19を押してカーソル40を“LENS” の項目に移動させ、次に設定ボタン15の左ボタン20または右ボタン21を押して選択バー41を“DC”の位置に移動させる。
【0014】
次にオペレータは、設定ボタン15の下ボタン19を押してカーソル40を“VIDEO LEVEL”の項目に移動させる。次に設定ボタン15の左ボタン20または右ボタン21を押して設定バー42を所望の位置に移動させる。設定バー42は左に移動させると被写体画像が暗くなり、右に移動させると被写体画像が明るくなる。この動作は、CPU13がオペレータの押した設定ボタン15のボタンを認識して文字信号発生部14から表示画面の設定バー42の位置を表示させている。また、設定バー42の位置からCPU13は映像信号レベル設定値を生成してレンズ絞り制御部12に出力する。レンズ絞り制御部12は、CPU13から入力された映像信号レベル設定値と映像処理部6から入力された信号aとを比較し、映像処理部6から入力された信号aがCPU13から入力された映像信号レベル設定値の所定範囲内になるまで信号aのレベルを所定量増減させ、信号cをアンプ部11に、信号bを切替部10に出力する。アンプ部11は入力された信号cを増幅して切替部10に信号dを出力する。切替部10は信号dを選択してレンズ部1の絞り制御部2に信号eを出力する。絞り制御部2は入力された信号eに従いレンズ部1のレンズ絞り機構を制御して入射光の光量調整を行う。上述のレンズ絞り制御部12から出力される信号bおよび信号cのレベルを所定量増減とは、1回の所定量のレベル増減に対してレンズ絞り機構を所定量開閉する。
【0015】
また次にオペレータは、設定ボタン15の下ボタン19を押してカーソル40を“MAX IRIS”の項目に移動させる。次に設定ボタン15の左ボタン20または右ボタン21を押して設定バー43を所望の位置に移動させる。設定バー43は左に移動させるとレンズ絞り機構の最大開口率が閉方向に設定され、右に移動させるとレンズ絞り機構の最大開口率が開方向に設定され、“OPEN”の位置に設定されるとレンズ絞り機構の最大開口率は全開となる。この動作は、CPU13がオペレータの押した設定ボタン15のボタンを認識して文字信号発生部14から表示画面の設定バー43の位置を表示させている。また、設定バー43の位置からCPU13はレンズ絞り制御部12から出力する信号bと信号eの最大レベルを制限する。信号bと信号eの最大レベルを制限することにより、レンズ絞り機構の最大開口率を設定バー43の位置にすることができる。レンズ部1のレンズ絞り機構の開口率と設定バー43の位置との関係は、予め実測による補正値をCPU13に記憶しておくことにより、レンズ絞り機構の全閉と設定バー43の“CLOSE”の位置およびレンズ絞り機構の全開と設定バー43の“OPEN”の位置を合わせることができる。なお、図2の“VIDEO LEVEL”と“MAX IRIS”の項目は、VIDEOレンズとDCレンズ毎に設定することもできる。
【0016】
更にオペレータは、最適な画質優先の自動感度調整の設定を行う。
図1のAGC5の利得制御範囲(本実施例では0〜40dBとする)の分割と、図1のEM−CCD4の電子増倍制御範囲(本実施例では0〜66dBとする)の分割と、制御の順番は、予め信号対雑音比(S/N)等の計算または実測等により決定する。本発明の一実施例では、図2に示すようにAGC5の利得制御範囲は3分割し、分割後の制御名を“AGC1”、“AGC2”、“AGC3”とする。EM−CCD4の電子増倍制御範囲は2分割し、分割後の制御名を“CCD GAIN1”と“CCD GAIN2”とする。制御の順番は“AGC1”、“CCD GAIN1”、“AGC2”、“CCD GAIN2”、“AGC3”とする。
【0017】
オペレータは、設定ボタン15の下ボタン19を押してカーソル40を“AGC1”の項目に移動させ、左ボタン20または右ボタン21を押して設定値を“MAX 10dB”(0〜10dBの範囲で制御)にする。次にオペレータは、設定ボタン15の下ボタン19を押してカーソル40を“CCD GAIN1”の項目に移動させ、左ボタン20または右ボタン21を押して設定値を“MAX 40dB”(0〜40dBの範囲で制御)にする。次にオペレータは、設定ボタン15の下ボタン19を押してカーソル40を“AGC2”の項目に移動させ、左ボタン20または右ボタン21を押して設定値を“MAX 20dB”(10〜20dBの範囲で制御)にする。次にオペレータは、設定ボタン15の下ボタン19を押してカーソル40を“CCD GAIN2”の項目に移動させ、左ボタン20または右ボタン21を押して設定値を“MAX 66dB”(40〜66dBの範囲で制御)にする。次にオペレータは、設定ボタン15の下ボタン19を押してカーソル40を“AGC3”の項目に移動させ、左ボタン20または右ボタン21を押して設定値を“MAX 40dB”(20〜40dBの範囲で制御)にする。
【0018】
次に図1から図5を用いて本発明の自動感度調整の一実施例の動作について説明する。
本説明では、レンズ部1をDCレンズとする。レンズ部1がVIDEOレンズの場合は上述の切替えによりレンズ絞り機構の制御が可能となる。
【0019】
図3は、図2の自動感度調整の設定を行った場合の被写体照度と感度制御の関係を示した図であり、“星明かり”から“真昼の日向”までの被写体照度に対して、感度制御の動作を示した一実施例である。
【0020】
図4と図5は、図3の感度制御を説明するためのフローチャートである。図4と図5のフローチャートの接続は、接続記号“A”と“B”で行う。
CPU13は、図4の“開始”から制御を開始し、ステップS1でEM−CCD4の電子増倍の利得制御する駆動部9に0dBの利得制御値を初期設定し、AGC5の利得制御値に0dBを初期設定する。ステップS2でレンズ絞り制御部12は、CPU13から入力された映像信号レベル設定値と映像処理部6から入力された信号aとを比較し、映像処理部6から入力された信号aがCPU13から入力された映像信号レベル設定値(図2の“VIDEO LEVEL”で例えば550mV)の所定範囲内(例えば±20mV)になるまで出力レベルを増減させ、信号cをアンプ部11に出力し、信号bを切替部10に出力する。アンプ部11は入力された信号cを増幅して切替部10に信号dを出力する。切替部10はCPU13の指示に従い、アンプ部11から入力された信号dを選択してレンズ部1の絞り制御部2に出力する。絞り制御部2は入力された信号eに従いレンズ部1のレンズ絞り機構を制御して入射光の光量調整を行う。この制御は、図3の被写体照度が“レンズ絞り制御範囲”の場合である。ステップS3でCPU13は、レンズ開口率の信号fからレンズ部1のレンズ絞り機構の絞り値が図2の“MAX IRIS”で設定された最大開口率(例えば99.0%)の所定範囲以内(例えば±0.2%)かを判定し、判定結果が設定した最大開口率より小さい場合はステップS2の処理に戻り、判定結果が設定した最大開口率以上の場合はステップS4の処理に進める。ステップS4でCPU13は、レンズ絞り制御部12に対し、レンズ部1のレンズ絞り機構の絞り値が図2の“MAX IRIS”で設定された最大開口率の所定範囲以内(例えば99.0±0.2%)に維持する信号を出力するよう制御する。すなわち、レンズ絞り制御部12はCPU13の制御に従い、レンズ部1のレンズ絞り機構の絞り値が設定された最大開口率の所定範囲以内に維持する信号cをアンプ部11に、信号bを切替部10に出力し、アンプ部11は入力された信号cを増幅して切替部10に信号dを出力し、切替部10はCPU13の指示に従い、アンプ部11から入力された信号dを選択してレンズ部1の絞り制御部2に出力し、絞り制御部2は入力された信号eに従いレンズ部1のレンズ絞り機構を制御して、レンズ絞り機構の絞り値を最大開口率の所定範囲以内にする。ステップS5でCPU13は、信号aが映像信号レベル設定値の所定範囲内(例えば550±20mV)になるまでAGC5を“AGC1”の設定値範囲(0〜10dB)で利得を制御する。この制御は、図3の被写体照度が“AGC制御範囲1”の場合である。ステップS6でCPU13は、AGC5の利得制御値が所定以下(例えば“AGC1”設定下限値の0dB以下)であればステップS7に進み、所定以下(例えば0dB以下)でなければステップS8に進める。ステップS7でCPU13は、AGC5の利得制御値を“AGC1”設定下限値の0dBに設定し、ステップS2の処理に戻る。ステップS8でCPU13は、AGC5の利得制御値が所定以上(例えば“AGC1”設定上限値の10dB以上)であればステップS9に進み、所定以上(例えば10dB以上)でなければステップS5の処理に戻る。ステップS9でCPU13は、AGC5の利得制御値を“AGC1”設定上限値の10dBに設定し、ステップS10の処理に進める。ステップS10でCPU13は、信号aが映像信号レベル設定値の所定範囲内(例えば550±20mV)になるまで、EM−CCD4の電子増倍の利得制御を行うための駆動部9に対し、“CCD GAIN1”の設定値範囲(0〜40dB)で利得を制御する。この制御は、図3の被写体照度が“CCD増倍制御範囲1”の場合である。ステップS11でCPU13は、EM−CCD4の電子増倍の利得制御を行う駆動部9の利得制御値が所定以下(例えば“CCD GAIN1”設定下限値の0dB以下)であればステップS12に進み、所定以下(例えば0dB以下)でなければステップS13に進める。ステップS12でCPU13は、EM−CCD4の電子増倍の利得制御を行う駆動部9の利得制御値を“CCD GAIN1”設定下限値の0dBに設定し、ステップS5の処理に戻る。ステップS13でCPU13は、EM−CCD4の電子増倍の利得制御を行う駆動部9の利得制御値が所定以上(例えば“CCD GAIN1”設定上限値の40dB以上)であればステップS14に進み、所定以上(例えば40dB以上)でなければステップS10の処理に戻る。ステップS14でCPU13は、EM−CCD4の電子増倍の利得制御を行う駆動部9の利得制御値を“CCD GAIN1”設定上限値の40dBに設定し、図5のステップS15の処理に進める。ステップS15でCPU13は、信号aが映像信号レベル設定値の所定範囲内(例えば550±20mV)になるまでAGC5を“AGC2”の設定値範囲(10〜20dB)で利得を制御する。この制御は、図3の被写体照度が“AGC制御範囲2”の場合である。ステップS16でCPU13は、AGC5の利得制御値が所定以下(例えば“AGC2”設定下限値の10dB以下)であればステップS17に進み、所定以下(例えば10dB以下)でなければステップS8に進める。ステップS17でCPU13は、AGC5の利得制御値を“AGC1”設定上限値の10dBに設定し、図4のステップS10の処理に戻る。ステップS18でCPU13は、AGC5の利得制御値が所定以上(例えば“AGC2”設定上限値の20dB以上)であればステップS19に進み、所定以上(例えば20dB以上)でなければステップS15の処理に戻る。ステップS19でCPU13は、AGC5の利得制御値を“AGC2”設定上限値の20dBに設定し、ステップS20の処理に進める。ステップS20でCPU13は、信号aが映像信号レベル設定値の所定範囲内(例えば550±20mV)になるまで、EM−CCD4の電子増倍の利得制御を行うための駆動部9に対し、“CCD GAIN2”の設定値範囲(40〜66dB)で利得を制御する。この制御は、図3の被写体照度が“CCD増倍制御範囲2”の場合である。ステップS21でCPU13は、EM−CCD4の電子増倍の利得制御を行う駆動部9の利得制御値が所定以下(例えば“CCD GAIN2”設定下限値の40dB以下)であればステップS22に進み、所定以下(例えば40dB以下)でなければステップS23に進める。ステップS22でCPU13は、EM−CCD4の電子増倍の利得制御を行う駆動部9の利得制御値を“CCD GAIN1”設定上限値の40dBに設定し、ステップS15の処理に戻る。ステップS23でCPU13は、EM−CCD4の電子増倍の利得制御を行う駆動部9の利得制御値が所定以上(例えば“CCD GAIN2”設定上限値の66dB以上)であればステップS24に進み、所定以上(例えば66dB以上)でなければステップS20の処理に戻る。ステップS24でCPU13は、EM−CCD4の電子増倍の利得制御を行う駆動部9の利得制御値を“CCD GAIN2”設定上限値の66dBに設定し、ステップS25の処理に進める。ステップS25でCPU13は、信号aが映像信号レベル設定値の所定範囲内(例えば550±20mV)になるまでAGC5を“AGC3”の設定値範囲(20〜40dB)で利得を制御する。この制御は、図3の被写体照度が“AGC制御範囲3”の場合である。ステップS26でCPU13は、AGC5の利得制御値が所定以下(例えば“AGC2”設定上限値の20dB以下)であればステップS27に進み、所定以下(例えば20dB以下)でなければステップS25に戻る。ステップS27でCPU13は、AGC5の利得制御値を“AGC2”設定上限値の20dBに設定し、ステップS20の処理に戻る。
【0021】
次に、本発明の他の一実施例について図1を用いて説明する。
オペレータが遠隔操作により自動感度調整の設定を行いたい場合は、リモート端子16に例えばインターネットを介してパソコンや操作器等からリモート制御信号17を入力する。入力されたリモート制御信号17はCPU13に入力される。
【0022】
上記の遠隔操作による自動感度調整の設定値は、CPU13が図2の表示画面の表示に反映させている。
また、図2の表示画面を表示するモニタ30は、テレビジョンカメラに装着するビューファインダでも良い。なお、上記の一実施例では、映像信号に図2に示す文字信号を合成しているが、文字信号のみをモニタ30に表示しても良い。
【0023】
レンズ絞り制御、AGC5利得制御、EM−CCD4利得制御の自動感度調整による制御の切替えは、頻繁な切替え動作(ハンチング現象)防止のため、所定時間経過後に行っても良い。
【0024】
上記の撮像部3の説明では、レンズ部1をDCレンズとVIDEOレンズの両方を使用可能としたが、撮像部3をDCレンズまたはVIDEOレンズ専用機としても良い。
上述で説明したように、本発明の絞り制御可能なレンズであるレンズ部1と電子増倍型固体撮像素子であるEM−CCD4を組み合わせたときの自動感度調整により、最適な画質優先の自動感度調整を行うことができる。
【0025】
以上本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載されたテレビジョンカメラに限定されるものではなく、上記以外のテレビジョンカメラに広く適用することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のテレビジョンカメラの一実施例の構成を示すブロック図。
【図2】本発明のテレビジョンカメラの一実施例の表示画面を示す図。
【図3】本発明のテレビジョンカメラの一実施例の感度制御を説明するための図。
【図4】本発明のテレビジョンカメラの一実施例の動作を説明するためのフローチャート。
【図5】図4の続きの動作を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0027】
1:レンズ部、2:絞り制御部、3:撮像部、4:EM−CCD、5:AGC、6:映像処理部、7:ENC、8:合成部、9:駆動部、10:切替部、11:アンプ部、12:レンズ絞り制御部、13:CPU、14:文字信号発生部、15:設定ボタン、16:リモート端子、17:リモート制御信号、30:モニタ、40:カーソル、41:選択バー、42,43:設定バー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絞り制御可能なレンズ部と該レンズ部からの入射光を電子増倍型撮像素子で撮像し、映像信号を出力するテレビジョンカメラにおいて、
前記レンズ部の絞りの所定範囲は開閉制御し、前記レンズ部の絞りの所定範囲外は前記レンズ部の絞りを所定の開閉範囲内に維持すると共に前記電子増倍型撮像素子の電子増倍率を制御することを特徴とするテレビジョンカメラの感度調整方法。
【請求項2】
絞り制御可能なレンズ部と該レンズ部からの入射光を電子増倍型撮像素子で撮像し、映像信号を出力するテレビジョンカメラにおいて、
前記レンズ部の絞りの開閉制御手段と、前記電子増倍型撮像素子の電子増倍率制御手段と、前記開閉制御手段と前記電子増倍率制御手段を適応的に制御する制御手段とを具備したことを特徴とするテレビジョンカメラの感度調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−104510(P2007−104510A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−294260(P2005−294260)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】