説明

テレビジョンカメラ

【課題】
テレビジョンカメラにおいて、使用目的に応じてCCD等の撮像デバイスを交換すると、手動または自動で色調補正や輪郭強調等の映像関係の再調整が必要であった。
本発明の目的は、上記のような再調整等の手間を省くことにある。
【解決手段】
本発明は、少なくとも撮像部と映像処理部を備えたテレビジョンカメラにおいて、撮像部と映像処理部を電気的に結合する手段を有し、撮像部は撮像手段と撮像手段の情報を記憶する記憶手段を有し、映像処理部は映像処理手段と映像処理手段を制御する制御手段と撮像手段を制御する制御手段と撮像部の記憶手段に記憶されている情報を記憶する記憶手段を有し、映像処理手段と撮像手段の制御は撮像部の記憶手段に記憶されている情報で行うことを特徴とするテレビジョンカメラである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像部を交換した際に再調整を行わずに最適映像を得るための制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、使用目的に応じてCCD(Charge Coupled Device)等の撮像デバイスを交換すると、手動または自動で色調補正や輪郭強調等の映像関係の再調整を行っていた(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平06−038221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述の従来技術には、使用目的に応じてCCD等の撮像デバイスを交換すると、手動または自動で色調補正や輪郭強調等の映像関係の再調整が必要であった。
本発明の目的は、上記のような再調整等の手間を省くことにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、少なくとも撮像部と映像処理部を備えたテレビジョンカメラにおいて、撮像部と映像処理部を電気的に結合する手段を有し、撮像部は撮像手段と撮像手段の情報を記憶する記憶手段を有し、映像処理部は映像処理手段と映像処理手段を制御する制御手段と撮像手段を制御する制御手段と撮像部の記憶手段に記憶されている情報を記憶する記憶手段を有し、映像処理手段と撮像手段の制御は撮像部の記憶手段に記憶されている情報で行うことを特徴とするテレビジョンカメラである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、CCD等の撮像デバイスを含む撮像部を交換した際に再調整を行わずに最適映像を得ることができる。
また、電源投入から短時間でテレビジョンカメラの運用ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明によるテレビジョンカメラの実施例について図1を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例の撮像部にCCDを用いた場合のテレビジョンカメラの構成を示すブロック図である。
【0007】
図1において、1は入射光を結像するためのレンズ部であり、2はレンズ部1からの入射光を光電変換するデバイスとしてCCDを使用した撮像部であり、4は撮像部2から出力される映像信号に各種の処理を施して映像信号を出力する映像処理部である。
【0008】
撮像部2の内部構成において、11はレンズ部1からの入射光を例えば赤色光と緑色光および青色光の3原色に分解するプリズムであり、12はプリズム11で分解された赤色光を撮像するためのR−CCDであり、13はプリズム11で分解された緑色光を撮像するためのG−CCDであり、14はプリズム11で分解された青色光を撮像するためのB−CCDである。15はR−CCD12から出力される映像信号から雑音を低減するCDS(Correlated Double Sampling)回路であり、16はG−CCD13から出力される映像信号から雑音を低減するCDS回路であり、17はB−CCD14から出力される映像信号から雑音を低減するCDS回路である。18はCDS回路15から出力される映像信号を所定のレベルに増幅するための増幅器(AMP,Amplifier)であり、19はCDS回路16から出力される映像信号を所定のレベルに増幅するための増幅器(AMP)であり、20はCDS回路17から出力される映像信号を所定のレベルに増幅するための増幅器(AMP)である。21はAMP18から出力される映像信号をデジタル信号に変換するA/D変換器(Analog Digital converter)であり、22はAMP19から出力される映像信号をデジタル信号に変換するA/D変換器であり、23はAMP20から出力される映像信号をデジタル信号に変換するA/D変換器である。24はR−CCD12とG−CCD13およびB−CCD14を駆動させるためのCCD駆動回路である。25は撮像部2の各回路を制御するためのCPU(Central Processing Unit)である。26は撮像部2の情報を記憶するメモリである。27と51は撮像部2と映像処理部4を電気的に結合するための、例えば、接栓やケーブル等を含むI/F(Interface unit)である。
【0009】
映像処理部4の内部構成において、52は撮像部2から入力されたR(Red),G(Green),B(Blue)の各デジタル映像信号に色調補正や輪郭強調等の処理を施す映像処理回路である。53は映像処理部4から出力される信号を所定の規格に変換して出力する映像出力回路であり、55は映像出力回路53から所定の映像信号を出力する接栓である。59は図示していない外部機器と接続するための接栓であり、54は外部機器との送受信をするためのI/F(Interface unit)である。56は映像処理部4の各回路を制御するためのCPUである。57は映像処理部4の情報と各回路の調整値および撮像部2のメモリ26の情報を記憶するメモリである。58は各種の同期信号を発生するSSG(Synchronize Signal Generator)である。
【0010】
次に本発明のテレビジョンカメラの動作について図1、図3、図5および図6を用いて説明する。図3は撮像部2の情報を記憶しているメモリ26のメモリテーブルであり、図5は撮像部2を含む各撮像部の情報を記憶しているメモリ57のメモリテーブルであり、図6はCPU56の動作手順とその内容を示すフローチャートである。
【0011】
図6において、CPU56はステップS1aで、図1に図示していないテレビジョンカメラ全体の電源スイッチがONまたは電源スイッチがONの状態で撮像部が撮像部2に交換されたことを検知すると、ステップS1bでCPU25と通信してメモリ26に記憶されている識別番号を読み出す。撮像部2のメモリ26に記憶されている識別番号は図3に示すように“01”であるためステップS1bでは識別番号“01”が読み出される。ステップS1cは読み出された撮像部2の識別番号“01”が映像処理部4のメモリ57にあるかを判定する。ステップS1cの判定結果で識別番号“01”がある場合はステップS1dでメモリ57に記憶されている図5に示す識別番号“01”の記憶情報で映像処理回路52を制御する。
【0012】
次のステップS1eで撮像部2のメモリ26に記憶している図3に示す識別番号“01”の情報と映像処理部4のメモリ57に記憶している図5に示す識別番号“01”の情報を比較する。ステップS1eの比較結果で同一の場合は処理を終了する。
【0013】
ステップS1cの判定結果で識別番号“01”がない場合、またはステップS1eの比較結果で同一でない場合はステップS1fでメモリ26の記憶情報をメモリ57に新規保存または上書き保存する。そしてステップS1gでメモリ57の記憶情報で映像処理回路52を制御する。
【0014】
CPU25は、CPU56との通信で識別番号を送信後、メモリ26に記憶されている撮像部2の情報を読み出し、CCD駆動回路24の制御とAMP18,19,20の利得値の設定等を行う。メモリ26に記憶されている撮像部2の情報とは、例えば図3に示すように、撮像デバイスはCCD、撮像サイズは2/3型、画素数は1920X1035(撮像デバイスがCCDの場合)、アスペクト比は16:9、テレビジョン(TV)方式はHDTV、増幅器の増幅率はAMP18が+3dB、AMP19が+6dB、AMP20が+12dB、等である。
【0015】
また、CPU25は必要に応じて、レンズ部1から例えばレンズファイルと呼ばれるレンズに関係するズーム倍率や倍率色収差等の情報を読み出し、この情報を映像処理部4のCPU56に送信する。CPU56は倍率色収差等のレンズに関係する補正を行うため、映像処理回路52を制御する。
【0016】
CPU25およびCPU56が上記の設定完了後に最適な画質となり、テレビジョンカメラの運用が開始できる。
次に、本発明で撮像部を交換した場合の一実施例について図2と図4および図5を用いて説明する。図2において、図1と同じ部分は説明を省略する。
【0017】
図2において、レンズ部1は入射光を結像するためのレンズ部であり、3はレンズ部1からの入射光を光電変換するデバイスとして撮像管を使用した撮像部である。
撮像部3の内部構成において、31はレンズ部1からの入射光を例えば赤色光と緑色光および青色光の3原色に分解するプリズムであり、32はプリズム31で分解された赤色光を撮像するためのR撮像管であり、33はプリズム31で分解された緑色光を撮像するためのG撮像管であり、34はプリズム31で分解された青色光を撮像するためのB撮像管である。35はR撮像管32から出力される映像信号電流を増幅するプリアンプであり、36はG撮像管33から出力される映像信号電流を増幅するプリアンプであり、37はB撮像管34から出力される映像信号電流を増幅するプリアンプである。38はプリアンプ35から出力される映像信号を所定のレベルに増幅するための増幅器(AMP)であり、39はプリアンプ36から出力される映像信号を所定のレベルに増幅するための増幅器(AMP)であり、40はプリアンプ37から出力される映像信号を所定のレベルに増幅するための増幅器(AMP)である。41はAMP38から出力される映像信号をデジタル信号に変換するA/D変換器であり、42はAMP39から出力される映像信号をデジタル信号に変換するA/D変換器であり、43はAMP40から出力される映像信号をデジタル信号に変換するA/D変換器である。44はR撮像管32とG撮像管33およびB撮像管34を駆動させるための撮像管駆動回路である。45は撮像部3の各回路を制御するためのCPUである。46は撮像部3の情報を記憶するメモリである。47と51は撮像部3と映像処理部4を電気的に結合するための、例えば、接栓やケーブル等を含むI/F(Interface unit)である。
【0018】
次に図2の動作について図2、図4、図5および図6を用いて説明する。図4は撮像部3の情報を記憶しているメモリ46のメモリテーブルであり、図5は撮像部3を含む各撮像部の情報を記憶しているメモリ57のメモリテーブルであり、図6はCPU56の動作手順とその内容を示すフローチャートである。
【0019】
図6において、CPU56はステップS1aで、図2に図示していないテレビジョンカメラ全体の電源スイッチがONまたは電源スイッチがONの状態で撮像部が撮像部3に交換されたことを検知すると、ステップS1bでCPU45と通信してメモリ46に記憶されている識別番号を読み出す。撮像部3のメモリ46に記憶されている識別番号は図4に示すように“02”であるためステップS1bでは識別番号 “02”が読み出される。ステップS1cは読み出された撮像部3の識別番号“02”が映像処理部4のメモリ57にあるかを判定する。ステップS1cの判定結果で識別番号“02”がある場合はステップS1dでメモリ57に記憶されている図5に示す識別番号“02”の記憶情報で映像処理回路52を制御する。
【0020】
次のステップS1eで撮像部3のメモリ46に記憶している図4に示す識別番号“02”の情報と映像処理部4のメモリ57に記憶している図5に示す識別番号“02”の情報を比較する。ステップS1eの比較結果で同一の場合は処理を終了する。
【0021】
ステップS1cの判定結果で識別番号“02”がない場合、またはステップS1eの比較結果で同一でない場合はステップS1fでメモリ46の記憶情報をメモリ57に新規保存または上書き保存する。そしてステップS1gでメモリ57の記憶情報で映像処理回路52を制御して終了する。
【0022】
CPU45は、CPU56との通信で識別番号を送信後、メモリ46に記憶されている撮像部3の情報と各回路の調整値を読み出し、撮像管駆動回路44の制御とAMP38,39,40の利得値の設定等を行う。メモリ46に記憶されている撮像部3の情報とは、例えば図4に示すように、撮像デバイスは撮像管、撮像サイズは2/3型、アスペクト比は16:9、TV方式はHDTV、増幅器の増幅率はAMP38が0dB、AMP39が+3dB、AMP40が+6dB、等である。
【0023】
また、CPU45は必要に応じて、レンズ部1から例えばレンズファイルと呼ばれるレンズに関係するズーム倍率や倍率色収差等の情報を読み出し、この情報を映像処理部4のCPU56に送信すると共に撮像管駆動回路44を制御して撮像管のセンタリング補正を行う。CPU56は倍率色収差等のレンズに関係する補正を行うため、映像処理回路52を制御する。
【0024】
CPU45およびCPU56が上記の設定完了後に最適な画質となり、テレビジョンカメラの運用が開始できる。
また、図5の映像処理部4のメモリ57に記憶している識別番号“03”の情報は、撮像部1と異なるCCDを使用した撮像部の情報を記憶している一実施例である。メモリ57に記憶している撮像部の情報とは、図5に示すように、撮像デバイスはCCD、撮像サイズは1/2型、画素数は720X480、アスペクト比は4:3、テレビジョン(TV)方式はNTSC、増幅器の増幅率はRchが+9dB、Gchが+12dB、Bchが+18dB、等である。
【0025】
このように映像処理部4のメモリ57には、複数の撮像部の情報を記憶することができるので、映像処理部4と1度結合して動作させた撮像部は、2度目以降の結合から電源投入後、短時間で運用即ち撮像を開始することができる。
【0026】
本発明は上述の構成としたことにより、容易に撮像部と映像処理部を再調整せずに交換することができる。このため、撮像目的に応じて撮像部を容易に交換でき、交換後、短時間で運用を開始できる。
【0027】
本発明の実施例では、A/D変換器を撮像部に配置して混信や干渉を受けにくい構成としたが、撮像部から映像処理部への伝送線数を減らすためA/D変換器を映像処理部に配置しても良い。
【0028】
また、本発明の実施例では、撮像部と映像処理部にCPUを配置したが、映像処理部のCPUで撮像部の制御を行っても良い。
以上本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載されたテレビジョンカメラに限定されるものではなく、上記以外のテレビジョンカメラに広く適用することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の撮像部にCCDを用いた場合のテレビジョンカメラの構成を示すブロック図。
【図2】本発明の撮像部に撮像管を用いた場合のテレビジョンカメラの構成を示すブロック図。
【図3】本発明の撮像部にCCDを用いた場合の動作を説明するためのメモリテーブル。
【図4】本発明の撮像部に撮像管を用いた場合の動作を説明するためのメモリテーブル。
【図5】本発明の映像処理部の動作を説明するためのメモリテーブル。
【図6】CPU56の動作手順とその内容を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0030】
1:レンズ部、2,3:撮像部、4:映像処理部、11,31:プリズム、12:R−CCD、13:G−CCD、14:B−CCD、18,19,20,38,39,40:AMP、15,16,17:CDS、21,22,23,41,42,43:A/D、24:CCD駆動回路、25,45,56:CPU、26,46,57:メモリ、27,47,51:I/F、32:R撮像管、33:G撮像管、34:B撮像管、35,36,37:プリアンプ、44:撮像管駆動回路、52:映像処理回路、53:映像出力回路、54:I/F、55,59:接栓、58:SSG。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも撮像部と映像処理部を備えたテレビジョンカメラにおいて、
前記撮像部と前記映像処理部を電気的に結合する手段を有し、前記撮像部は撮像手段と該撮像手段の情報を記憶する記憶手段を有し、
前記映像処理部は映像処理手段と該映像処理手段を制御する制御手段と前記撮像手段を制御する制御手段と前記撮像部の前記記憶手段に記憶されている前記情報を記憶する記憶手段を有し、
前記映像処理手段と前記撮像手段の制御は前記撮像部の前記記憶手段に記憶されている情報で行うことを特徴とするテレビジョンカメラ。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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