説明

テンションメータ

【課題】複数箇所のテンションメータの張力データと校正値データ、設定値データをテンションメータ1台で集中管理し、且つテンションメータの張力検出器入力手段又は本体の故障時の張力校正の再実施を簡略化できるテンションメータを得る。
【解決手段】多チャンネル入力機能を有するテンションメータを、張力検出器入力手段120と、演算機能等を有する本体110とに分割し、1台の本体110に対して複数台の張力検出器入力手段120を接続することが可能なユニットとし、且つ張力検出器入力手段120にも記憶手段を持たせるとともに、張力検出器入力手段120、本体110ともに張力校正や設定が実施されたことを判別する手段を設け、これらの判別結果を照合することにより、いずれかが未調整であることを警告し、かつ両者のデータを一致出来るようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は紙、フィルム、糸、ワイヤなどの長尺材の巻出し又は巻取り、中間の、材料の張力による荷重を検出するセンサ(以下、張力検出器と称す)と併用して、材料の張力を表示し、材料の張力に比例した張力信号を出力するテンションメータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
テンションメータは長尺材の張力を制御するための機械に使用されており、テンションメータ1台に対して左右1台ずつの計2台又は1台の張力検出器が使用される。
張力検出器による張力の検出方法を図10に示す。張力検出を行う箇所に張力検出器51を設置してその張力検出器51の上部と両側に1本の検出ローラ52と2本のガイドローラ53を配置してその間に材料50を通すことで、材料50に張力をかけると張力検出器51に荷重がかかり、張力検出器51はこの荷重を電気信号として出力する。テンションメータはこの張力検出器51からの荷重信号を取り込んで荷重を張力に変換して張力の表示及び出力を行う。紙やフィルムのような幅広材料の場合には一般的に図10の様に検出ローラ52の左右両端位置に1台ずつの計2台の張力検出器51を配置する。また、糸やワイヤのような非幅広材料の場合には1台の張力検出器51を設置するが張力の検出方法は同じである。
【0003】
テンションメータには、前面に4桁の7セグメント表示とモニタランプ表示があり、この7セグメント表示とモニタランプ表示で張力モニタや設定画面の表示を行い、設定変更の操作は前面の6個のキースイッチを使用して行う。また、背面にある外部接続用端子で張力信号出力、電源入力、張力検出器への電源供給、張力検出器からの出力信号の入力などの配線を接続するよう構成されている。
【0004】
次に、従来のテンションメータについて、機能ブロックを示す図11にて説明する。張力検出器51からの出力信号は非常に小さな信号であり、そのままでは扱いづらいので、テンションメータ60に取り込んで、最初に増幅回路61で張力検出器51からの出力信号を増幅させる。張力検出器51の信号を取り込んで増幅させる機能を張力検出器入力機能と称す。張力検出器51からの出力信号を増幅した後は演算処理部63で張力校正演算と張力表示及び出力演算を行う。張力校正とは張力検出器51の風袋荷重をキャンセルするゼロ調整と最大張力を予め定めるスパン調整とがあり、張力検出器51の取付け角度および材料の通し角度などの条件が張力検出を行う箇所それぞれで異なるため、ゼロ調整とスパン調整は各箇所で行う必要がある。
【0005】
図12の(a)はゼロ調整を示す図であり、検出ローラ52と軸受けA54および軸受けB55が風袋荷重であり、このときの張力検出器51の出力信号をゼロ調整値とする。12図(b)はスパン調整を示す図で、検出ローラ52の中央に紐56を通し、その先にスパン目標値となる錘57をつるし、この時の張力検出器51からの出力信号にフルスケール張力までのスパンを加えた信号をスパン調整値とする。ゼロ調整値とスパン調整値を校正値データと呼び、この校正値データはテンションメータの記憶手段62に保存される(詳細は特許文献1による)。
【0006】
張力表示及び出力演算は、張力表示及び出力演算用設定を元に演算処理部63が張力表示の応答性や小数点位置の演算、張力出力の応答性やフルスケール出力値の演算などを行う。張力表示演算用設定は張力単位設定、張力小数点設定、張力表示フィルタ設定などの設定があり、張力出力演算用設定には出力モード設定、出力フィルタ設定、張力上限/下限検出値設定などがある。これらの設定値データを張力表示及び出力演算用設定値と呼び、校正値データと同じ様にテンションメータの記憶手段62に保存される。
【0007】
張力表示及び出力演算を加えた値を7セグメント表示器に表示し、外部接続用端子台から出力する。張力出力としては制御用とモニタ用のアナログ信号、所定外張力を検出する接点出力があり、これらの信号を使用すれば外部メータで張力モニタを行ったり、外部プログラマブルコントローラで張力制御演算を行ったり、所定外張力になった際の警告を行うことが出来る。
【0008】
この発明の対象であるテンションメータが使用される機械装置では、張力検出が必要な箇所が1箇所だけで無く複数箇所の場合もあり、複数箇所の張力検出を行う際にはテンションメータが複数台必要となる。従来のテンションメータを使用した場合の複数箇所のテンションコントロールシステムでは各箇所に設置された張力検出器からの出力信号をテンションメータに入力して、各テンションメータから出力される張力信号をアナログ/デジタル変換を通してプログラマブルコントローラに取り込んでいる。各箇所の張力データはプログラマブルコントローラで集中管理され大形プログラマブル表示器で各箇所の張力値の一括モニタを行い、この張力データを使用してプログラマブルコントローラで張力制御演算を行い、送りローラを駆動する各モータに制御指令信号を出力している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−333298号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のテンションメータでは1台1台の機能が完全に独立しているため、複数台のテンションメータの張力校正演算の校正値データや張力表示及び出力演算の設定値データを集中管理することが出来ず、各テンションメータの張力データを集中管理するにはテンションメータから出力される張力信号をアナログ/デジタル変換を通してプログラマブルコントローラなどに取込む必要がある。
【0011】
この課題の解決案として容易に考え付くのが1つのテンションメータに多チャンネルの張力検出器入力機能を持たせることである。このテンションメータの機能ブロック図を図13に示す。図11のテンションメータ60と異なる点は、多チャンネルの張力検出器入力機能71を有しており、各箇所の張力検出器51の出力信号に対して演算処理部73で張力校正演算を行い、各箇所の校正値データを記憶手段72に保存することで、テンションメータ70の1台で全ての箇所の張力データと校正値データを集中管理することが出来る点である。
【0012】
但し、この解決案で問題となるのが一つのテンションメータ70に多チャンネルの張力検出器入力機能71を内蔵するため、テンションメータのどこかが故障した場合にはテンションメータ70の全てを交換せざるを得ないことになる。テンションメータ70を交換すると記憶手段72に記憶された各箇所の校正値データは失われてしまうため、交換する際には全ての箇所に対して張力校正を再実施する必要がある。背景技術で述べた様に、ゼロ調整は図12(a)の様に材料を取除き風袋荷重のみの状態にする必要があり、スパン調整は図12(b)の様に張力検出箇所に紐56を通して紐56の先にスパン目標値となる錘57を吊るす必要があるため、張力校正の再実施を行うと非常に時間と労力が掛かってしまう。例えば、テンションメータ70の故障した箇所が多チャンネルの張力検出器入力機能71の内の1チャンネルだけであった場合であっても、交換の際には全ての箇所の張力校正を行う必要があり多大な時間と労力を無駄にしてしまう事となる。
【0013】
この問題点を解決する方法として、多チャンネル入力機能を有するテンションメータを張力検出器入力機能を有する張力検出器入力手段とその他の機能を有する本体に分割し、1台の本体に対して複数台の張力検出器入力手段を接続することが可能なユニットにするという解決案が考えられる。各箇所の張力検出器からの出力信号を張力検出器入力手段に取り込んで増幅回路で増幅させる。増幅された出力信号は本体に取り込まれて張力校正演算を行い各箇所の校正値データを記憶手段に記憶することで、全ての箇所の校正値データを本体にて集中管理することが出来る。
更に、張力検出器入力手段と本体を分割することで、張力検出器入力手段の部分が故障したとしてもその部分のみ交換するだけで使用可能となるため、記憶手段を持つ本体が故障しない限りは張力校正の再実施を行う必要は無い。しかし、本体の故障時は本体の記憶手段に記憶されている各箇所の校正値データが失われるため、本体の交換の際は全ての箇所に対して張力校正の再実施を行う必要がある。
【0014】
また、従来のテンションメータでは全ての表示をテンションメータの7セグメント表示とモニタランプ表示で行っており、設定変更の操作時の表示が非常に分かりづらく操作前に取扱説明書などで設定変更画面の説明を確認する必要がある。また、全ての操作が前面のキースイッチでしか出来ないため、テンションメータから離れた場所から操作することが出来ず、調整の際に張力検出を行う箇所とテンションメータが離れている場合は張力検出を行う箇所を確認しながら調整することが出来ず、スパン調整の際には検出ローラに紐を通してその先に錘を吊るす必要があるため、一人で張力校正を行うときには張力検出を行う箇所とテンションメータの間を何度も移動する必要がある。
【0015】
また、従来のテンションメータでは張力信号出力以外の出力機能が無いため、テンションメータ内部のデータを出力することが出来ず、テンションメータ内部のデータをプログラマブルコントローラやパソコンで管理することが出来ない。張力データの出力もアナログ出力しかないためプログラマブルコントローラやパソコンで管理する場合はアナログ/デジタル変換を通す必要がある。
【0016】
また、従来のテンションメータではモニタや設定項目に関して制限が無かったため、機械が運転状態であっても張力校正や張力出力などの設定変更が可能である。テンションメータの張力信号出力を使用してプログラマブルコントローラやパソコンで張力制御演算を行っている場合にテンションメータの張力校正や張力出力などの設定を変更してしまうと、テンションメータから出力されている張力信号が急に変化してしまうため、プログラマブルコントローラやパソコンがそれを材料張力の変化と判断し、それに追従する様にモータなどへの指令を急激に変化させてしまい、材料の破断や機械の故障などにつながる可能性もあり非常に危険である。
【0017】
この発明は、上記のような点に鑑み、複数箇所のテンションメータの張力データと校正値データ、設定値データをテンションメータ1台で集中管理することが可能で、且つテンションメータの張力検出器入力手段又は本体の故障時の張力校正の再実施を簡略化することができ、また、外部から表示と設定を行うことが可能で、ユーザが自由にデザインした設定画面を用いて表示と設定が行え、プログラマブルコントローラやパソコンから記憶手段の記憶値や演算値をモニタ可能で、記憶手段に設定を書込むことが可能で、機械の運転又は停止の判断信号を備えたテンションメータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明のテンションメータは、張力検出器からの信号により長尺材の張力を表示して、長尺材の張力に比例した張力信号を出力するテンションメータにおいて、張力演算データ処理が行われる本体と分離可能な張力検出器の張力校正処理を行う複数の張力検出器入力手段を設け、上記張力検出器入力手段にはそれぞれの入力手段に接続される張力検出器の校正値を記憶する記憶手段を備えるとともに、張力演算データ処理が行われる本体にも接続されるすべての張力検出器入力手段の張力検出器の校正値を同時に記憶する記憶手段を備え、かつ、上記張力検出器入力手段と上記本体それぞれには張力校正や設定が実施されたことを判別する調整実施判別手段を備え、それぞれの調整実施判別手段の判別結果はそれぞれの記憶手段に記憶され、上記張力検出器入力手段に記憶された調整実施判別結果と上記本体に記憶された調整実施判別結果を照合する事により、それぞれの張力検出器入力手段または本体が未調整であることを警告するとともに、その警告によって上記張力検出器入力手段または上記本体のいずれかの調整実施後の記憶データを上記張力検出器入力手段と上記本体のいずれかの方向に選択して転送し、上記張力検出器入力手段と上記本体の記憶手段に記憶されたデータを一致させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0019】
この発明のテンションメータによれば、複数箇所の張力データと校正値データと設定値データを1台のテンションメータで集中管理することが可能で、本体又は張力検出器入力手段の故障時の交換の際に行う張力校正の再実施を簡略して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明に係るテンションメータの外形を示す正面図。
【図2】この発明のテンションメータの本体の外部構成図で、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図を示す。
【図3】この発明のテンションメータの張力検出器入力手段の外部構成図で、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図を示す。
【図4】この発明のテンションメータの機能ブロック図。
【図5】この発明のテンションメータの内部構成図。
【図6】この発明のテンションメータの張力校正値データ転送判断を示すフローチャート。
【図7−A】この発明のテンションメータにおけるプログラマブル表示器通信のモニタ設定項目一覧表(データデバイス)。
【図7−B】この発明のテンションメータにおけるプログラマブル表示器通信のモニタ設定項目一覧表(内部接点デバイス)。
【図8−A】この発明のテンションメータにおけるネットワーク通信の要求コマンド、接点指令一覧表。
【図8−B】この発明のテンションメータにおけるネットワーク通信の要求コード一覧表。
【図8−C】この発明のテンションメータにおけるネットワーク通信のアラームコード一覧表。
【図9】この発明のテンションメータを用いた複数箇所のテンションコントロールシステム例を示す図。
【図10】張力検出器の張力検出方法を説明した図。
【図11】従来のテンションメータの機能ブロック図。
【図12】ゼロ調整、スパン調整を説明した図。
【図13】他チャンネル入力機能を有するテンションメータの機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図面に基づいて説明する。まず、実施の形態1のテンションメータ単体について説明する。
図1は実施の形態1に係るこの発明のテンションメータ100の外形を示す正面図である。テンションメータ100の本体110と張力検出器入力手段120は分離可能で、図2は本体110の外形図で、それぞれ(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図となり、図3は張力検出器入力手段120の外形図で、それぞれ(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図となる。なお、図1では、テンションメータ100は張力検出器入力手段120の接続チャンネル数を4台としているが、この発明のテンションメータの接続可能なチャンネル数はこの限りではない。
【0022】
本体110の7セグメント表示1は各軸の張力値の表示又は張力校正、張力表示及び出力設定などの設定操作時の設定画面などを表示するための手段である。また、未調整警告機能の表示もこの7セグメント表示器1で行うことが出来る。確認用ランプ2は電源入力の確認、運転又は停止中を判断する接点入力のオン又はオフ状態の確認などを行うためのモニタランプである。キースイッチ3は7セグメント表示器1の表示切替えや設定変更の操作を行うための手段である。外部接続用端子4は各チャンネルの張力信号出力、各接点指令の入力及び出力、電源入力などの配線を接続するための端子であり、張力検出器入力手段120の外部接続用端子10は張力検出器51への電源供給、張力検出器51からの出力信号の入力、上下限張力検出用接点出力などの配線を接続するための端子である。この外部接続用端子4の中に運転又は停止状態を判断する接点入力端子がある。
【0023】
ネットワーク通信接続用端子台5はテンションメータ100のデータ通信用ケーブル接続用端子である。この端子に接続する機器の信号はそれぞれのネットワーク方式で定められたものであることが必要である。通信確認用ランプ6はネットワーク通信接続用端子台5に入力された通信信号のH/Lレベルが入替わるたびに点滅して通信信号が動作していることを確認するためのモニタランプである。また、通信動作中や通信設定にエラーがある時にもランプが点灯する。
【0024】
本体110の左側面には外部コネクタ7が設けられている。また、張力検出器入力手段120の左側面には第1の外部コネクタ11が、右側面には第2の外部コネクタ12が設けられている。本体110の外部コネクタ7と張力検出器入力手段の第2の外部コネクタ12とで、本体110と張力検出器入力手段120を接続することが出来る。張力検出器入力手段120の第1の外部コネクタ11は第2の外部コネクタ12と接続可能で、張力検出器入力手段120同士を接続することができるようになっている。これらのコネクタ7、11、12には、本体110と張力検出器入力手段120のデータ受渡しを行うためのバス信号、本体と張力検出器入力手段のマイクロコンピュータへのプログラムの書込みを行うための信号が入出力される。また、これらコネクタを通して本体110から張力検出器入力手段120へ電源が供給されており、外部接続用端子10から電源入力を行うことがなくても張力検出器入力手段120を動作させることが出来る。
【0025】
プログラマブル表示器接続用コネクタ8はプログラマブル表示器用通信ケーブルを接続するためのコネクタである。このコネクタ8にはプログラマブル表示器との通信を行うための信号、プログラマブル表示器が接続された事を検出するための信号が接続されている。また小形プログラマブル表示器接続のための電源も接続されているために、この電源方式に対応したプログラマブル表示器が接続される場合にはこのコネクタ8を接続するだけでプログラマブル表示器への電源供給が行える。また、この電源に対応していない中大形プログラマブル表示器を接続する場合には、通信ラインのみ表示器へ接続し、プログラマブル表示器への電源供給は別電源から行うことも出来る。このコネクタに接続できるプログラマブル表示器は通信信号がRS−422に準拠していることが必要である。
【0026】
メモリカセット9は取外し可能な外部メモリで、本体110の内部メモリに保存されている各箇所の張力校正値データと張力表示及び出力設定値データが記憶出来る。本体110の内部メモリとこのメモリカセット9間の設定の交互コピーが行える様になっており、別の本体110への設定コピーや故障した時のためにメモリカセット9にも設定をバックアップしメンテナンス性を高めるために用いることが出来る。また内部メモリと外部メモリカセット9で各種設定の記憶先の優先を設定出来るために一時的な設定変更や設定の復帰にも使用出来る。
【0027】
次に、この発明のテンションメータの機能について、機能ブロック図を示す図4にて説明する。
多チャンネル入力機能を有するテンションメータを、張力検出器入力機能と張力校正演算機能を有する張力検出器入力手段120と、張力演算処理等その他の機能を有する本体110とに分割し、1台の本体110に対して複数台の張力検出器入力手段120を接続することが可能なユニットとし、且つ本体110の記憶手段112だけでなく、張力検出器入力手段120に記憶手段122を持たせ、さらに外部に取外し可能な記憶手段114を接続できるようにしている。各箇所の張力検出器入力手段120の記憶手段122に記憶された校正値データを本体110の記憶手段112にバックアップすることが可能で、本体110はこの校正値データと設定値データを記憶する。また、取外し可能な外部の記憶手段114には本体の記憶手段112に保存されている校正値データと設定値データを転送することが出来る。
更に、張力検出器入力手段120と本体110はそれぞれに調整又は設定を実施したことを判別することが可能で、この調整実施判別結果をそれぞれの記憶手段112、122に記憶する。この調整実施判別結果を用いて照合を行い、照合結果が未調整の場合には未調整ということを警告する警告機能を有する。
【0028】
次に、実施の形態1に係るテンションメータの内部構成について図5を用いて説明する。
図5において、張力検出器入力手段120のマイクロコンピュータ13は張力検出器51からの出力信号のアナログ/デジタル変換の制御、張力校正の演算、メモリ管理などのプログラムを実行し、本体110のマイクロコンピュータ17は張力信号出力のデジタル/アナログ変換の制御、張力表示及び張力出力の演算、張力検出器入力手段120とのバス制御、プログラマブル表示器通信やネットワーク通信などの通信制御、7セグメント表示器への張力表示やキースイッチによる設定変更の操作の制御、メモリ管理などのプログラムを実行する。
【0029】
張力検出器入力手段120のEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)15は電源が切れても記憶を保持できるメモリで、張力校正値データ、調整実施判別データなどを記憶する。また、張力検出器入力手段の回路が固有に持つハードウェア特性のバラツキを補正するためのハードウェア固有値も記憶している。このハードウェア固有値は出荷試験などで特性を測定し、その値を記憶したものである。このEPROM15に記憶されたデータは電源オン時にRAM(Random Access Memory)14に読出され、設定変更のタイミングや電源オフ時に再び記憶保持される。本体のEPROM19とRAM18は上述した張力検出器入力手段のEPROM15とRAM14と同様な動作をする。メモリカセット9のメモリもEPROMが採用されており、マイクロコンピュータ17によりデータを本体のEPROM18とメモリカセット9内のEPROMを切替えてデータの書込み又は読出しが行える。
【0030】
張力検出器入力手段120のアナログ/デジタル変換器16は増幅された張力検出器51の出力信号を取り込んでデジタル信号に変換する。その信号に張力検出器入力手段120のマイクロコンピュータ13、本体110のマイクロコンピュータ17にて校正値演算、張力出力演算を加えて、デジタル/アナログ変換器20にて演算した張力出力信号をデジタルからアナログに変換し出力する。
【0031】
次に、本体110と張力検出器入力手段120の故障箇所判断について説明する。張力検出器入力手段120にはそれぞれの張力校正値データが記憶されており、本体110には各箇所の張力検出器入力手段120に記憶された張力校正値データがバックアップされているが、本体110と張力検出器入力手段120が未調整であることを警告して、交換時の張力校正を簡略化するためには、本体110と各箇所の張力検出器入力手段120がどのような状態であるかを判断する必要がある。この判断を行うために本体110と張力検出器入力手段120に記憶されている調整実施判別データと校正値データを使用する。
【0032】
図6は本体110と張力検出器入力手段120の張力校正値転送判断のフローチャートである。まず本体110の記憶手段に記憶されているデータの設定読出しを行う(S1001)。次に読み出した調整実施判別データにて本体110が調整済かを判別する(S1002)。本体110が調整済でない場合は各箇所の張力検出器入力手段120の記憶手段に記憶されているデータの設定読出しを行う(S1003)。次に読み出した各箇所の調整実施判別データにて全ての張力検出器入力手段が調整済かを判別する(S1004)。全ての張力検出器入力手段が調整済みの場合は本体のみ交換されたと判断できる(S1005)。この場合は本体未調整という警告を表示して張力検出器入力手段に記憶されている各箇所の張力校正値データを本体110に転送することで、本体110にそれぞれの張力検出器入力手段120に記憶されている張力校正値データをバックアップすることが出来る。
【0033】
全ての張力検出器入力手段120が調整済でない場合は、全ての張力検出器入力手段120が未調整かを判別する(S1006)。全ての張力検出器入力手段120が未調整の場合は、本体110と全ての張力検出器入力手段120が交換された、つまり初期設定の状態であると判断できる(S1007)。この場合は、全ての箇所に対して張力校正を行う必要があるため、初期調整状態の警告を表示して全ての箇所の張力校正を行うように促す。但し、外部メモリカセット9で以前の張力校正値データをバックアップしている場合は、そのメモリカセット9の張力校正値データを本体110に転送することで、張力校正を行うことなく使用することが出来る。
【0034】
全ての張力検出器入力手段120が未調整ではない場合は、本体110が交換されて且つ何台かの張力検出器入力手段120の交換か増設が行われたと判断できる(S1008)。この場合は、本体110の未調整という警告と、張力校正が行われていない箇所に対しては張力校正未実施の警告を表示して張力校正を実施するように促し、張力校正が行われている箇所に対しては、張力検出器入力手段120に記憶されている張力校正値データを本体110に転送することで、張力校正値データを本体110でバックアップすることが出来る。また、張力検出器入力手段120が交換された場合は、外部メモリカセット9でバックアップしている以前の張力校正値データを転送することで張力校正を行うことなく使用することが出来る。
【0035】
本体110の設定読出しを行い本体110が調整済の場合は、本体110に接続されている張力検出器入力手段120の台数を確認する(S1009)。次に、本体110に接続されている張力検出器入力手段120の台数と本体110に記憶されている前回の記憶台数が一致しているか判別する(S1010)。これらの台数が一致してない場合は、張力検出器入力手段120が増設されたと判断出来る(S1011)。この場合は増設された箇所に対して張力校正未実施の警告を出して張力校正を実施するように促す。
【0036】
接続されている台数と本体110に記憶されている台数が一致した場合は、張力検出器入力手段120の記憶手段に記憶されているデータの設定読出しを行う(S1012)。次に、全ての張力検出器入力手段120が調整済かを判別する(S1013)。全ての張力検出器入力手段120が調整済でない場合は、張力検出器入力手段120が交換されたと判断できる(S1014)。この場合は、交換された張力検出器入力手段120に対して張力校正未実施の警告を表示して、本体110にバックアップされている張力校正値データを張力検出器入力手段120に転送する。
【0037】
張力検出器入力手段120が全て調整済の場合は、本体110と張力検出器入力手段120の設定値が一致しているかを判別する(S1015)。これらの設定値が一致していない場合は、一度張力校正を実施した本体110か張力検出器入力手段120を別の箇所で使用していると判断できる(S1016)。この場合は、本体110と張力検出器入力手段120の張力校正値データが不一致であると警告を表示して、その警告をもとにした操作指令で一方の校正値データをもう一方に転送する。但し、この場合の転送方向は操作者が判断して実施する。
【0038】
本体110と張力検出器入力手段120の設定値が一致している場合は、全ての箇所に対して張力校正が実施されており、張力検出器入力手段120の設定値が本体110にバックアップされていると判断できるので、通常運転状態に移行する(S1017)。
【0039】
この様に本体110と張力検出器入力手段120の調整実施判別データと校正値データを用いて図6のフローチャートで本体110と張力検出器入力手段120の使用状況判断を行い、この状況判断結果に合わせて未調整であるということを警告して、本体110又は張力検出器入力手段120の校正値データを、本体110と張力検出器入力手段120のいずれかの方向に選択して転送し、それぞれに記憶された校正値データを一致させることで張力校正の再実施を簡略化することが出来る。
【0040】
図7−A、図7−Bはこの発明のテンションメータのプログラマブル表示器と通信可能なモニタ設定項目一覧であり、この表のデバイス番号とはプログラマブル表示器とのやりとりを行う時のプログラマブルコントローラのデータ要素に対応したデータ番号である。例えば、プログラマブル表示器でD0のデータをモニタするとテンションメータのチャンネル1のトータル張力モニタが行え、プログラマブル表示器からD16にデータを書込むとテンションメータのチャンネル1のセンサ入力タイプにデータが設定される。また、チャンネルごとにモニタ設定が必要な項目に関してはそれぞれのチャンネルごとに各モニタ項目と各設定項目のデータデバイスが割り振られており、全チャンネル共通のモニタ設定項目に関しては全チャンネル一括してモニタ項目と設定項目が割り振られている。これは内部接点デバイスに関しても同様である。
【0041】
この発明のテンションメータでは、張力校正の際に必要となる張力フルスケール設定、スパン目標値設定、ゼロ調整実行、スパン調整実行の張力校正設定項目などがデータデバイスに割り振られており、プログラマブル表示器を使用して各箇所の張力校正を実施することが出来る。
まず、プログラマブル表示器からD16のセンサ入力タイプに張力検出器のセンサタイプを設定し、D17の張力フルスケールに張力検出を行う箇所のフルスケール張力値を設定する。ゼロ調整はM8のゼロ調整実行をオンとすることでゼロ調整を開始し、M3のゼロ調整実行中の信号がオンの間はゼロ調整中であり、オフになったらゼロ調整完了となる。スパン調整は張力検出を行う箇所に錘を吊るし、D18のスパン目標値に錘の重量を設定し、M9のスパン調整実行をオンするとスパン調整を実行し、M4のスパン調整実行中の信号がオンの間はスパン調整中であり、オフになったらスパン調整完了となる。ゼロ調整時、スパン調整時にエラーが発生した場合は、M5のエラー発生がオンとなり、エラー内容はD6〜13のアラーム履歴0〜7で確認出来る。チャンネル2〜4に対してもそれぞれのチャンネルに対応したデータデバイスで同様の処理を行うことで張力校正を行うことが出来る。
【0042】
また、プログラマブル表示器を使用して、図6で判断した本体110と張力検出器入力手段120の未調整箇所の警告と、本体110と張力検出器入力手段120に記憶されている校正値データをいずれかの方向に選択し転送することが出来る。張力検出器入力手段120のチャンネル1が未調整の場合、M70のチャンネル1未調整がオンすることでチャンネル1が未調整であると警告を表示することが可能で、その警告によりM82の本体からチャンネル1データ転送指令をオンさせると、本体110の校正値データをチャンネル1に転送することが出来る。本体110や他のチャンネルが未調整の場合はそれぞれに対応した接点デバイスを使用することで警告の表示とデータの転送を行うことが出来る。
【0043】
更に、パソコンなどにインストールされた表示画面作成編集ソフトを使用して、この表を元にプログラマブル表示器のモニタ設定画面を設計デザインすることで、ユーザが自由にプログラマブル表示器のモニタ設定画面を作成することが出来る。またテンションメータメーカがあらかじめモニタ設定用のプログラマブル表示器のデザインデータを用意し、ユーザがそれをプログラマブル表示器へインストールして利用することも可能である。さらにこのテンションメータ用にメーカが用意したプログラマブル表示器のデザインデータをユーザが表示画面作成編集ソフトで編集することも可能である。
【0044】
次に、この発明のテンションメータのネットワーク通信機能について説明する。この発明のテンションメータではネットワーク通信機能を内蔵しており、プログラマブルコントローラやパソコンをマスタとし、この発明のテンションメータはスレイブとして動作することが出来る。なお、このテンションメータ100がマスタとして動作することはない。この発明のテンションメータの占有局数は張力検出器入力手段120の接続チャンネル数と同じ数だけ使用して、各チャンネル共通の本体110の設定データは開始局番のみに割り当てられる。
【0045】
図8−A、図8−B、図8−Cはネットワーク通信機能でマスタとのやりとりを行うときの要求コマンド、接点指令、要求コード、アラームコードの一覧表である。この発明のテンションメータのネットワーク通信機能のマスタとの通信手順として、まずマスタのセットデータに要求コマンドと要求コードと実際に書込むデータを設定する。要求コマンドでデータの読出し又は書込み方法を選択し、要求コードで要求コマンドの要求するデータのデータ番号を決定する。要求コマンドがデータモニタの場合には書込むデータは無視される。
【0046】
次に、マスタからテンションメータに接点指令RY0Fの要求コマンド実効要求オンが送信されると、テンションメータがマスタの要求コマンド実行要求オンを受信し、セットデータ内の要求を処理し、テンションメータからマスタに接点指令RX0Fの要求コマンド完了返答オンを送信する。マスタがRX0Fの要求コマンド完了返答オンを受信すると、マスタからテンションメータに接点指令RY0Fの要求コマンド実行要求オフを送信する。テンションメータが接点指令RY0Fの要求コマンド実行要求オフを受信すると、テンションメータが接点指令RX0Fの要求コマンド完了返答オフを送信する。マスタが接点指令RX0Fの要求コマンド完了返答オフを受信することで通信完了となる。
【0047】
このネットワーク通信機能では、プログラマブル表示器通信と同様に張力校正に必要なモニタや設定が割り振られているので、マスタから張力校正指令を送ることが出来る。まず、マスタからテンションメータにH10のセンサ入力タイプに張力検出器のセンサタイプの設定をし、H11の張力フルスケールに張力検出を行う箇所のフルスケール張力値を設定するよう送信する。ゼロ調整はマスタからテンションメータへRY0Bのゼロ調整実行をオンするように送信することでゼロ調整を開始し、テンションメータからマスタへRX08Bのゼロ調整実行中の信号を送信し、この信号がオンの間はゼロ調整中であり、オフになったらゼロ調整完了となる。スパン調整は張力検出を行う箇所に錘を吊るし、マスタからテンションメータへH12のスパン目標値に錘の重量を設定するよう送信する。マスタからテンションメータへRY0Cのスパン調整実行をオンするように送信することでスパン調整を実行し、テンションメータからマスタへRX0Cのスパン調整実行中の信号がオンの間はスパン調整中であり、オフになったらスパン調整完了となる。
【0048】
また、プログラマブル表示器通信と同様にネットワーク通信機能で本体110と張力検出器入力手段120の未調整箇所の警告と、本体110と張力検出器入力手段120に記憶されている校正値データをいずれかの方向に選択し転送することが出来る。張力検出器入力手段120のチャンネル1が未調整の場合、RY12のチャンネル1未調整がオンすることでマスタでチャンネル1が未調整であると警告を表示することが可能で、この警告によりRX11の本体からチャンネル1データ転送がオンすると本体の校正値データをチャンネル1に転送させることが出来る。本体や他のチャンネルが未調整の場合はそれぞれに対応した接点指令を使用することで警告の表示とデータの転送を行うことが出来る。
【0049】
また、アラームコードにゼロ調整やスパン調整時のエラーが割り振られているので、張力校正時のエラー内容をプログラマブルコントローラやパソコンで確認することが出来る。更に、アラームコードに過大入力アラームや左右モニタアンバランスなどの運転動作中のエラーだけでなく、ネットワーク通信のエラー、メモリカセットやバスのテンションメータ内部のデータ通信のエラーが割り振られており、各機能が正常に動作しているかプログラマブルコントローラやパソコンで確認することが出来る。
【0050】
次に、この発明のテンションメータの機械の運転又は停止状態を判断する接点入力について説明する。この発明のテンションメータは、この接点入力がオンの時には機械を運転状態と認識して、オフの時には停止状態と認識する。接点入力がオンの時には張力フルスケール、スパン目標値などの張力校正の設定や張力出力設定などの張力出力設定の値が変更出来ないようにし、接点入力がオフの時には全ての設定変更が出来るようにする。これはプログラマブル表示器やネットワーク通信からの設定変更に対しても同様である。
【0051】
実施の形態2.
この発明に係るテンションメータを用いた複数箇所のテンションコントロールシステム例について図9を用いて説明する。
図9では張力検出を行う各箇所に設置された張力検出器51からの出力信号をテンションメータ100の張力検出器入力手段120に入力して本体110を通して各箇所の張力データ、校正値データ、設定値データなどをプログラマブルコントローラ130で集中管理する。
【0052】
また、図9に示すこの発明のテンションメータ100が故障した際には、図6のフローチャートで述べたように、調整実施判別データと張力校正値データを使用して張力校正値データ転送判断を行い、本体110や張力検出器入力手段120の交換時の張力校正を簡略することが出来る。
仮に箇所Aで使用している張力検出器入力手段120が故障してしまった場合、張力検出器入力手段120の予備があれば新しい張力検出器入力手段120を接続すれば、本体110で記憶されている箇所Aの張力校正値データを転送することで張力校正を再実施することなく箇所Aの張力モニタを行うことが出来る。また、張力検出器入力手段120の予備が無い場合には、箇所B〜Dの中で箇所Aより張力モニタの重要度の低い箇所で使用している張力検出器入力手段120を箇所Aの張力検出器51と配線して本体110に接続すれば、本体110で記憶されている箇所Aの張力校正値データを別の箇所で使用していた張力検出器入力手段120に転送することで張力校正を再実施することなく箇所Aの張力モニタを行うことが出来る。
【0053】
この発明のテンションメータの表示や設定変更の操作は、従来のテンションメータと同様に本体110の7セグメント表示とキースイッチで行うことが出来るが、小型プログラマブル表示器140を使用することで、このテンションメータ用にメーカが用意した画面データかユーザが作成した画面データで設定することが可能となり、7セグメント表示とキースイッチだけでは表示出来ない分かり易い画面で設定を行うことが出来る。また、小型プログラマブル表示器140を使用することでテンションメータ100から離れたところからの設定変更の操作が可能で、張力検出を行う箇所とテンションメータが離れた場所にあっても張力検出を行う箇所の側で調整を行うことが可能となり、一人で張力校正を行うときでもスパン調整の錘を吊るすために張力検出を行う箇所とテンションメータの間を移動する必要がなくなる。
【0054】
また、ネットワーク通信を用いることでプログラマブルコントローラやパソコンにて張力データ、張力校正値データ、張力表示及び出力設定データのモニタ設定を行うことが可能となり、アナログ/デジタル変換を通すことなくデータの集中管理を行うことが出来る。また、張力データや各設定データの管理以外にも張力校正の実施を行うことが可能で、大形プログラマブル表示器150からテンションメータ100のゼロ調整やスパン調整を実施することが出来る。更に、ネットワーク通信では各状態でのアラームコードを確認することが可能で、張力モニタのエラー、張力校正時のエラー、ネットワークのエラー、本体内部のエラーをモニタすることが出来る。これにより、大形プログラマブル表示器150を使用して各軸の張力一括モニタを行うだけでなく、各状態でのエラーを表示してテンションメータ100の動作状態を大形プログラマブルコントローラ130で全て管理することが可能となる。
【0055】
また、この発明のテンションメータは運転又は停止状態を判断する接点入力端子を有しており、この信号がオン状態の時には、キースイッチからの設定変更だけでなく小型プログラマブル表示器やネットワーク通信からの張力校正や張力出力の設定の制限を行うことが出来る。これによりテンションメータの張力出力信号を使用してサーボモータに制御指令信号を送信していた場合でも、運転中に張力校正や張力出力設定を変更して張力出力信号が急に変化することは無くなり、機械の安全性を向上させることが出来る。
【0056】
この発明で提供するテンションメータは外部に専用の表示設定器を接続することが可能で、汎用プログラマブルコントローラ設定表示用のプログラマブル表示器を接続できる様にするためにプログラマブルコントローラ通信模擬機能を内蔵し、これによりプログラマブル表示器からは接続相手がプログラマブルコントローラであると認識させて通信を行う。
【0057】
この発明で提供するテンションメータはプログラマブルコントローラやパソコンとの通信ネットワーク機能を内蔵する。
【0058】
この発明で提供するテンションメータは機械の運転又は停止信号を入力する機能を有し、運転又は停止状態に合わせて表示や設定項目を制限することが出来る。
【符号の説明】
【0059】
1 7セグメント表示、 2 確認用モニタランプ、 3 キースイッチ、 4 外部接続用端子台、 5 ネットワーク通信接続用端子台、 6 通信確認用モニタランプ、 7 外部コネクタ、 8 プログラマブル表示器接続用コネクタ、 9 メモリカセット、 10 外部接続用端子台、 11 外部コネクタ、 12 外部コネクタ、 13 マイクロコンピュータ、 14 RAM、 15 EPROM、 16 アナログ/デジタル変換器、 17 マイクロコンピュータ、 18 RAM、 19 EPROM、 20 デジタル/アナログ変換器、 51 張力検出器、100 テンションメータ、110 本体、112 記憶手段、 113 演算手段、 114 他の記憶手段、 120 張力検出器入力手段、121 張力検出器入力機能、122 記憶手段、 123 演算手段、130 プログラマブルコントローラ、 140 小形プログラマブル表示器、 150 大形プログラマブル表示器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
張力検出器からの信号により長尺材の張力を表示して、長尺材の張力に比例した張力信号を出力するテンションメータにおいて、張力演算データ処理が行われる本体と分離可能な張力検出器の張力校正処理を行う複数の張力検出器入力手段を設け、上記張力検出器入力手段にはそれぞれの入力手段に接続される張力検出器の校正値を記憶する記憶手段を備えるとともに、張力演算データ処理が行われる本体にも接続されるすべての張力検出器入力手段の張力検出器の校正値を同時に記憶する記憶手段を備え、かつ、上記張力検出器入力手段と上記本体それぞれには張力校正や設定が実施されたことを判別する調整実施判別手段を備え、それぞれの調整実施判別手段の判別結果はそれぞれの記憶手段に記憶され、上記張力検出器入力手段に記憶された調整実施判別結果と上記本体に記憶された調整実施判別結果を照合する事により、それぞれの張力検出器入力手段または本体が未調整であることを警告するとともに、その警告によって上記張力検出器入力手段または上記本体のいずれかの調整実施後の記憶データを上記張力検出器入力手段と上記本体のいずれかの方向に選択して転送し、上記張力検出器入力手段と上記本体の記憶手段に記憶されたデータを一致させるようにしたことを特徴とするテンションメータ。
【請求項2】
上記張力検出器入力手段に記憶された記憶データと上記本体の記憶手段に記憶された記憶データとを照合実施指令により照合し、その照合結果によって上記張力検出器入力手段と上記本体の記憶手段のデータが不一致であることを警告する警告手段を設け、この警告手段の警告によって上記張力検出器入力手段または上記本体のいずれかの記憶データを上記張力検出器入力手段と上記本体のいずれかの方向に選択して転送し、上記張力検出器入力手段と上記本体の記憶手段に記憶されたデータを一致させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のテンションメータ。
【請求項3】
上記本体と切離しが可能で、上記本体の記憶手段に記憶された記憶データからの書込みや上記本体の記憶手段への読出しを行うことが出来る他の記憶手段を備え、記憶手段同士の書込みや読出しを行う実行指令により、上記本体の記憶手段と上記他の記憶手段との間で書込みや読出しを行うようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のテンションメータ。
【請求項4】
上記張力検出器入力手段や上記本体とは分離されており、上記張力検出器入力手段と上記本体の記憶手段に記憶されたデータや演算結果データを表示し、かつテンションメータの操作やそれぞれの記憶手段に対して設定が行える外部表示設定器を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のテンションメータ。
【請求項5】
上記本体にプログラマブルコントローラ通信模擬機能を備え、上記外部表示設定器としてプログラマブルコントローラ用表示設定パネルとの通信を行えるようにしたことを特徴とする請求項4記載のテンションメータ。
【請求項6】
プログラマブルコントローラやパソコンとの通信ネットワーク機能を備え、上記プログラマブルコントローラやパソコンからネットワークを通して上記張力検出器入力手段と上記本体それぞれの記憶手段の記憶値または上記本体の演算値を通信ネットワークを用いて上記プログラマブルコントローラやパソコンからモニタしたり、上記プログラマブルコントローラやパソコンから上記張力検出器入力手段と上記本体の記憶手段へ設定を書込んだり、通信ネットワークを通して上記張力検出器入力手段や上記本体の操作を行えたりするようにしたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のテンションメータ。
【請求項7】
機械が運転中か停止中かの判断信号入力を備え、上記本体の操作手段からの操作や上記張力検出器入力手段や上記本体の記憶手段のそれぞれのデータの読出し、書込みの実行を、運転中と停止中のそれぞれの機械の状態に必要な実行項目だけに制限できるようにしたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のテンションメータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−A】
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【図7−B】
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【図8−A】
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【図8−B】
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【図8−C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−226828(P2011−226828A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94634(P2010−94634)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】