説明

テント地継ぎ合わせ構造

【課題】継ぎ合わせ部分の布地の端がほつれることのないテント地継ぎ合わせ構造を提供しようとする。
【解決手段】一のテント地及び他のテント地の辺部が折り返されて折り目が形成され、各該折り目の谷の相対する内壁面同士が挿填用のフィルム状ホットメルト接着剤を介して接合し、折り返された前記辺部同士が接着用のフィルム状ホットメルト接着剤を介して接着した、テント地継ぎ合わせ構造である。また、一のテント地及び他のテント地のそれぞれの辺部に添着用のフィルム状ホットメルト接着剤が添着され、該接着剤が添着された各該辺部が、該辺部の長手方向に延びる切り目に沿って切断されて該辺部の一部が除去され、残りの各辺部同士が接着用のフィルム状ホットメルト接着剤を介して接着した、テント地継ぎ合わせ構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一のテント地と他のテント地との継ぎ合わせ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
シートの継ぎ合わせは一般に縫合により行われるが、縫い目から漏水するという問題がある。このため、接着剤による接合が考えられる。シート同士を接着剤により接着して継ぎ合わすことは開示されている。(例えば、特許文献1参照)しかし、継ぎ合わせるシートの端部同士を単に接着剤を介して接合しただけでは、シートがテント地のような布地の場合、継ぎ合わせ部分の布地の端がほつれるという問題がある。
【特許文献1】特開昭62−48575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、継ぎ合わせ部分の布地の端がほつれることのないテント地継ぎ合わせ構造を提供しようとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の要旨とするところは、一のテント地と他のテント地との継ぎ合わせ構造であって、前記一のテント地及び他のテント地のそれぞれの辺部が折り返されて該辺部の長手方向に延びる折り目が形成され、各該折り目の谷の相対する内壁面同士が挿填用のフィルム状ホットメルト接着剤を介して接合し、折り返された前記辺部同士が接着用のフィルム状ホットメルト接着剤を介して接着した、テント地継ぎ合わせ構造であることにある。
【0005】
また、本発明の要旨とするところは、一のテント地と他のテント地との継ぎ合わせ構造であって、前記一のテント地及び他のテント地のそれぞれの辺部に添着用のフィルム状ホットメルト接着剤が添着され、該接着剤が添着された各該辺部が、該辺部の長手方向に延びる切り目に沿って切断されて該辺部の一部が除去され、残りの各辺部同士が接着用のフィルム状ホットメルト接着剤を介して接着した、テント地継ぎ合わせ構造であることにある。
【0006】
さらに、本発明の要旨とするところは、一のテント地と他のテント地との継ぎ合わせ構造であって、前記一のテント地の辺部が折り返されて該辺部の長手方向に延びる折り目が形成され、各該折り目の谷の相対する内壁面同士が挿填用のフィルム状ホットメルト接着剤を介して接合し、前記他のテント地の辺部に添着用のフィルム状ホットメルト接着剤が添着され、該接着剤が添着された該辺部が、該辺部の長手方向に延びる切り目に沿って切断されて該辺部の一部が除去され、その残りの辺部と、前記一のテント地の折り返された前記辺部とが接着用のフィルム状ホットメルト接着剤を介して接着した、テント地継ぎ合わせ構造であることにある。
【0007】
前記テント地継ぎ合わせ構造においては、前記テント地が、フッ素系樹脂を主成分とし、固形分比で0.5〜3重量%のABS系樹脂成分を含む加工剤により撥水加工された織布からなり得、前記フィルム状ホットメルト接着剤がウレタン系樹脂を主成分とし得る。
【0008】
前記テント地は、ポリエチレンテレフタレートフィラメント織布からなり得る。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、継ぎ合わせ部分の布地の端がほつれることのないテント地継ぎ合わせ構造が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のテント地継ぎ合わせ構造を説明する。なお、本明細書においては、各図にわたって記される同じ符号は同一又は同様の部材やものを示す。図1に示すように、本発明のテント地継ぎ合わせ構造2は、一のテント地4と他のテント地6との継ぎ合わせ構造であって、一のテント地4の辺部8が折り返されて辺部8の長手方向に延びる折り目12が形成され、他のテント地6の辺部10が折り返されて辺部10の長手方向に延びる折り目14が形成され、折り目12の谷の相対する内壁面同士が挿填用のフィルム状ホットメルト接着剤16を介して接合し、折り目14の谷の相対する内壁面同士が挿填用のフィルム状ホットメルト接着剤18を介して接合し、折り返された辺部8と折り返された辺部10とが接着用のフィルム状ホットメルト接着剤20を介して接着したものである。
【0011】
一のテント地4と他のテント地6は織布からなるものであり、糸つかいはスパン糸、フィラメント糸、それらの交織などが挙げられる。スパン糸の素材繊維としては綿、レーヨン等の再生繊維、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアミドイミド等の合成繊維、これらの混紡品、等が挙げられる。この織布はフィラメント織布からなるものであることが強度の点で好ましい。フィラメント糸の素材としては、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミドイミドなどが挙げられるが、ポリエチレンテレフタレートフィラメント織布からなるものであることがコスト、寸法安定性、強度のバランスの点でさらに好ましい。
【0012】
テント地継ぎ合わせ構造2を作る工程を説明する。一のテント地4及び他のテント地6を準備し、一のテント地4の辺部8を折り返して折り目12を形成し、折り返しの谷の部分にテープ状のフィルム状ホットメルト接着剤(16)を挿填する。折り返しにより辺部8にテント地が2層状に重なる部分ができるが、テープ状のフィルム状ホットメルト接着剤(16)はそのテント地の層と層の間に層状に挿填される。次いで、テープ状のフィルム状ホットメルト接着剤(16)が層状に挿填された状態の辺部8を一対の加圧面で挟んで加熱加圧してホットメルト接着剤(16)を溶融させる。これにより、辺部8において、そのテント地の層と層とがホットメルト接着剤16を介して接着された状態となる。
【0013】
他のテント地6についても辺部10を折り返して折り目14を形成し、折り返しの谷の部分にテープ状のフィルム状ホットメルト接着剤(18)を挿填する。折り返しにより辺部10にテント地が2層状に重なる部分ができるが、テープ状のフィルム状ホットメルト接着剤(18)はそのテント地の層と層の間に層状に挿填される。次いで、テープ状のフィルム状ホットメルト接着剤(18)が層状に挿填された状態の辺部10を一対の加圧面で挟んで加熱加圧してホットメルト接着剤(18)を溶融させる。これにより、辺部10において、そのテント地の層と層とがホットメルト接着剤18を介して接着された状態となる。
【0014】
次に、辺部8と辺部10とを、テープ状のフィルム状ホットメルト接着剤(20)を間にして重畳し、重畳した部分を一対の加圧面で挟んで加熱加圧してホットメルト接着剤(20)を溶融させる。これにより、テント地継ぎ合わせ構造2が得られる。なお、辺部8と辺部10との接着においては、図1(a)〜(c)に示すように両者の表裏は問わない。
【0015】
図2、図3により本発明の他の態様のテント地継ぎ合わせ構造2aを説明する。図2に示すように、一のテント地4の辺部8aに添着用のフィルム状ホットメルト接着剤22が添着され、他のテント地6の辺部10aに添着用のフィルム状ホットメルト接着剤24が添着される。
【0016】
添着用のフィルム状ホットメルト接着剤22が添着された辺部8aは、図2(a)に示す辺部8aの長手方向に延びる切り目26に沿って切断されて、切断された辺部8aの一部27が除去されて図2(b)に示す状態となる。添着用のフィルム状ホットメルト接着剤24が添着された辺部10aも、図2(c)に示す辺部10aの長手方向に延びる切り目28に沿って切断されて、切断された辺部10aの一部29が除去されて図2(d)に示す状態となる。
【0017】
図3に示すように、残りの辺部8aと辺部10aとが接着用のフィルム状ホットメルト接着剤32を介して接着し、テント地継ぎ合わせ構造2aとなる。なお、辺部8aと辺部10aとの接着においては、図3(a)〜(c)に示すように両者の表裏は問わない。
【0018】
テント地継ぎ合わせ構造2aを作る工程を説明する。一のテント地4及び他のテント地6を準備し、一のテント地4の辺部8aの長手方向に沿ってテープ状のフィルム状ホットメルト接着剤(22)を重畳する。テープ状のフィルム状ホットメルト接着剤(22)が重畳された辺部8aを一対の加圧面で挟んで加熱加圧してホットメルト接着剤(22)を溶融させる。これにより、添着用のフィルム状ホットメルト接着剤22が添着された辺部8aが得られる。次いで、辺部8aの長手方向に延びる切り目26に沿って辺部8aを切断し、切断された辺部8aの一部27を除去する。
【0019】
また、他のテント地6の辺部10aの長手方向に沿ってテープ状のフィルム状ホットメルト接着剤(24)を重畳する。テープ状のフィルム状ホットメルト接着剤(24)が重畳された辺部10aを一対の加圧面で挟んで加熱加圧してホットメルト接着剤(24)を溶融させる。これにより、添着用のフィルム状ホットメルト接着剤24が添着された辺部10aが得られる。次いで、辺部10aの長手方向に延びる切り目28に沿って辺部10aを切断し、切断された辺部10aの一部29を除去する。
【0020】
次に、残りの辺部8aと残りの辺部10aとをテープ状のフィルム状ホットメルト接着剤(32)を間にして重畳し、重畳した部分を一対の加圧面で挟んで加熱加圧してホットメルト接着剤(32)を溶融させる。これにより、テント地継ぎ合わせ構造2aが得られる。なお、辺部8aと辺部10aとの接着においては、図3(a)〜(c)に示すように両者の表裏は問わない
【0021】
図4に示す本発明のさらに他の態様のテント地継ぎ合わせ構造2bにおいては、テント地4の折り返された辺部8において、そのテント地の層と層とがホットメルト接着剤16を介して接着された状態となっている。この辺部8と、図2(d)に示す態様で得られたテント地4の辺部とがホットメルト接着剤20を介して接着された状態となっている。なお、図4に示す辺部8と図2(d)に示す態様で得られたテント地4の辺部との接着においては両者の表裏は問わない
【0022】
本発明のテント地継ぎ合わせ構造2、テント地継ぎ合わせ構造2a、テント地継ぎ合わせ構造2bのかかる構成により、継ぎ合わせ部分の布地の端30や、布地の端30aがほつれることのないテント地継ぎ合わせ構造が提供される。
【0023】
さらに、本発明のテント地継ぎ合わせ構造2、テント地継ぎ合わせ構造2a、テント地継ぎ合わせ構造2bにおいては、継ぎ目の部分に溶融したフィルム状ホットメルト接着剤の層が三層存在し、かつ、これらのホットメルト接着剤の層が、溶融し加圧されることにより、布地の糸間あるいは繊維間の間隙に浸透してその糸あるいは繊維をアンカー効果により強固にホールドしているので継ぎ目の接合が強固である。
【0024】
本発明に用いられるフィルム状ホットメルト接着剤は自己支持性のホットメルト接着剤からなるフィルムであってもよい。あるいは、離型シートに層状に塗布されたホットメルト接着剤であってもよい。フィルム状ホットメルト接着剤の厚さは20〜500μmであることが好ましい。
【0025】
また、このようにして用いられるホットメルト接着剤は、加熱により単に溶融する樹脂であってもよいが、加熱により溶融するとともに重合がさらに促進する反応型の樹脂であってもよい。ホットメルト接着剤の溶融温度あるいは流動開始温度は70〜200℃であることが好ましい。接合加工の容易さから75〜90℃であることがさらに好ましい。
【0026】
このホットメルト接着剤に用いられる樹脂としては、例えば、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエチレン系、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アタクチックポリプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニール系、ポリ酢酸ビニル系、アクリル系、ポリウレタン系、のものを挙げることができる。
【0027】
また、本発明のテント地継ぎ合わせ構造においては、ホットメルト接着剤としてポリウレタン系樹脂を主成分とするものを用いることにより充分な継ぎ目の接合強度が得られ、かつ耐久性、耐候性に優れた継ぎ目となる。
【0028】
このポリウレタン系樹脂のジイソシアネート成分としては、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−オクタメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートメチル、トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルブタンジイソシアネート、メチルペンタンジイソシアネート等が挙げられ、これらを単独又は複数種混合して用いてもよい。
【0029】
このポリウレタン系樹脂のポリオール成分としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等のジオールとアジピン酸、フタル酸等の2塩基酸との反応物やカプロラクトン等の開環重合物等のポリエステルポリオール等が挙げられ、これらを単独又は複数種混合して用いてもよい。なかでも、開環重合物等のポリエステルポリオールが継ぎ目の接合強度を高めるうえでさらに好ましい。
【0030】
このポリウレタン系樹脂は鎖延長剤を含むことができる。鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、N−フェニルジイソプロパノールアミン等が挙げられる。
【0031】
また、テント地はフッ素系の樹脂加工剤により撥水加工が施されていることが好ましい。この場合、この加工により本発明の継ぎ目構造における継ぎ目の接合強度が若干低下するが、ホットメルト接着剤としてポリウレタン系樹脂を主成分とするものを用い、フッ素系の樹脂加工剤にABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)樹脂系の樹脂加工剤を併用した加工剤で撥水加工することにより、この接合強度の低下を防止できる。ABS系の樹脂加工剤は、固形分換算でフッ素系の樹脂加工剤に対して0.5〜3重量%がフッ素系の樹脂加工剤に混合されて用いられることが好ましい。このABS系の樹脂加工剤の使用により、溶融したホットメルト接着剤の、織布の繊維表面への濡れ性が向上し、ホットメルト接着剤が織布構成繊維の間隙にくまなく浸透して、織布とホットメルト接着剤との結合が強固になり、継ぎ目の接合強度が向上する。加工剤中のABS(系)の樹脂の含有量がこの範囲をこえて小さいと、継ぎ目の接合強度向上の効果が得られない。加工剤中のABS(系)の樹脂の含有量がこの範囲をこえて大きいと、加工布の撥水性が不良となり、また布地の風合いが過度に硬くなる。
【0032】
また、テント地の基材として、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸使いの織布を用いる場合は、この基材にフッ素系の樹脂加工剤により撥水加工を施すことがテントの特性上とくに望まれるが、フッ素系の樹脂加工剤にABS樹脂系の樹脂加工剤を併用したこの加工剤で撥水加工することにより、継ぎ目の接合強度が著しく向上する。
【0033】
また、本発明で用いられるフッ素系の樹脂加工剤の主成分である樹脂としては、フッ素を含有する各種の有機系樹脂が挙げられるが、例えば、フルオロアルキル基を含有するアクリル酸エステル,メタクリル酸エステル,アルキルアクリルアミド,アルキルビニルエーテル,ビニルアルキルケトン等の不飽和モノマーの重合体、あるいは上記フルオロアルキル基含有不飽和モノマーとアクリル酸,アクリル酸エステル,メタクリル酸,メタクリル酸エステル,塩化ビニル,アクリロニトリル,マレイン酸エステル,ポリオキシエチレン基含有不飽和モノマー等のフルオロアルキル基を含有しない不飽和モノマーとの共重合体が挙げられる。かかるフッ素系の樹脂加工剤は、水性分散液としてあるいは溶液として用いる。これら水性分散液としてあるいは溶液は浸漬法、パディング法、スプレー法、塗布法等適宜の方法で織布に対して通常固形分換算で0.1〜10wt%、好ましくは0.2〜5wt%付与し、ドライヤー、ピンテンター等を用いて乾燥あるいはキュアする。
【実施例1】
【0034】
布地としてポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸(500dtex)使いの平織地(目付け200g)を用いた。
フィルム状ホットメルト接着剤としてダイセルファインケム社製ホットメルトフィルム6501(厚さ50μm)を用いた。
フッ素系撥水加工剤として大日本インキ化学工業株式会社製のディックガードF−90Nを用いた。
平織地はフッ素系撥水加工剤を用いて浸漬法で加工した。キュアはピンテンターを用いて120℃×5分で行った。加工剤の固形分換算ピックアップ量は1.0重量%であった。
【0035】
図1(a)の構成の継ぎ目構造2を作るべく、一のテント地4及び他のテント地6となるこの撥水加工後の平織地につき、辺部8、辺部10に相当する部分を3cm幅に折り返し、折り返しの谷の部分に3cm幅にスリットした帯形状のフィルム状ホットメルト接着剤を挿填した。各折り目につき高周波ウエルダーにより折り返された辺部を高周波ウエルダーの一対の加圧面で挟んで加熱加圧してホットメルト接着剤を溶融させた。加熱温度は90〜95℃であった。
【0036】
次に、辺部8と辺部10とを、3cm幅にスリットした帯形状のフィルム状ホットメルト接着剤を間にして重畳し、重畳した部分を高周波ウエルダーの一対の加圧面で挟んで加熱加圧してホットメルト接着剤を溶融させた。加熱温度は90〜95℃であった。これにより、図1(a)の構成のテント地継ぎ合わせ構造2を得た。
【0037】
継ぎ目の剥離強力は20Nであった。剥離強力は継ぎ目の辺部8と辺部10との接着界面の一部を剥がした後、それぞの辺部の剥がした端部を定速伸張引張試験機の各チャックに固定し、100mm/分の速度で5cmの距離だけ引き剥がし、その際の辺部8と辺部10とを剥離するのに要する最大の力を測定した。
継ぎ目の引っ張り強力(継ぎ目を含むテント地を、継ぎ目の長手方向と直交する方向を長手方向とし、幅3cmの帯状に切りとって、継ぎ目を中央にして両端部を定速伸張引張試験機の各チャックに固定し、100mm/分の速度で引きちぎったときの最大の力)は450Nであった。
【実施例2】
【0038】
撥水加工処理剤として大日本インキ化学工業株式会社製のディックガードF−90Nと、ABS樹脂エマルジョンとを固形分比で99:1になるとように混合したものを用いたほかは実験例1と同様にしてテント地継ぎ合わせ構造2を得た。継ぎ目の剥離強力は22Nであった。継ぎ目の引っ張り強力は500Nであった。
【0039】
その他、本発明は、主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のテント地継ぎ合わせ構造の態様の一例を示す断面模式図であり、図1(a)〜図1(c)はそれぞれ態様が細部で異なる。
【図2】本発明のテント地継ぎ合わせ構造の構成を説明するためのテント地の辺部の構成を示す断面模式図である。
【図3】本発明のテント地継ぎ合わせ構造の他の態様の一例を示す断面模式図であり、図3(a)〜図3(c)はそれぞれ態様が細部で異なる。
【図4】本発明のテント地継ぎ合わせ構造のさらに他の態様の一例を示す断面模式図である。
【符号の説明】
【0041】
2、2a、2b:テント地継ぎ合わせ構造
4:一のテント地
6:他のテント地
8、8a、10、10a:辺部
12、14:折り目
16、18、20、22、24、32:フィルム状ホットメルト接着剤
26、28:切り目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一のテント地と他のテント地との継ぎ合わせ構造であって、前記一のテント地及び他のテント地のそれぞれの辺部が折り返されて該辺部の長手方向に延びる折り目が形成され、各該折り目の谷の相対する内壁面同士が挿填用のフィルム状ホットメルト接着剤を介して接合し、折り返された前記辺部同士が接着用のフィルム状ホットメルト接着剤を介して接着した、テント地継ぎ合わせ構造。
【請求項2】
一のテント地と他のテント地との継ぎ合わせ構造であって、前記一のテント地及び他のテント地のそれぞれの辺部に添着用のフィルム状ホットメルト接着剤が添着され、該接着剤が添着された各該辺部が、該辺部の長手方向に延びる切り目に沿って切断されて該辺部の一部が除去され、残りの各辺部同士が接着用のフィルム状ホットメルト接着剤を介して接着した、テント地継ぎ合わせ構造。
【請求項3】
一のテント地と他のテント地との継ぎ合わせ構造であって、前記一のテント地の辺部が折り返されて該辺部の長手方向に延びる折り目が形成され、各該折り目の谷の相対する内壁面同士が挿填用のフィルム状ホットメルト接着剤を介して接合し、前記他のテント地の辺部に添着用のフィルム状ホットメルト接着剤が添着され、該接着剤が添着された該辺部が、該辺部の長手方向に延びる切り目に沿って切断されて該辺部の一部が除去され、その残りの辺部と、前記一のテント地の折り返された前記辺部とが接着用のフィルム状ホットメルト接着剤を介して接着した、テント地継ぎ合わせ構造。
【請求項4】
前記テント地が、フッ素系樹脂を主成分とし、固形分比で0.5〜3重量%のABS系樹脂成分を含む加工剤により撥水加工された織布からなり、前記フィルム状ホットメルト接着剤がウレタン系樹脂を主成分とする請求項1または2に記載のテント地継ぎ合わせ構造。
【請求項5】
前記テント地が、ポリエチレンテレフタレートフィラメント織布からなる請求項3に記載のテント地継ぎ合わせ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−57198(P2008−57198A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234815(P2006−234815)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(505040811)日本帆布製品販売協同組合 (2)
【出願人】(506295920)株式会社プランテック (1)
【Fターム(参考)】