説明

テント

【課題】 岩地、コンクリート面等のペグを打ち込むことができない場所であっても、テントの設置道具を必要とせず、婦女子、老人等であっても容易に設置できるテントを提供する。
【解決手段】 テントシート2をポール3によって支持することにより構成されているテント1であって、テントシート2の下辺に通水性のある袋部材7が取り付けられているとともに、該袋部材7には水吸収材8が収納されているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テントに係り、特に、岩地、コンクリート面等のペグを打ち込むことができない場所であっても簡単に設置できるテントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
テントは複数本のペグを地中に打ち込み、各ペグにテントの固定用ロープの先端を連結して地表面に設置するのが一般的である。しかるに、岩地、コンクリート面等の場所では、ペグを打ち込むことができないため、ペグを使用してのテントの設置は困難である。
【0003】
そこで、ペグを使用しないで設置できるテントとして、袋状部材と、該袋状部材の開口部略中央に配置され前記袋状部材とテントとを連結する帯状の連結帯材とからなり、該連結帯材に係止部材を取り付けると共に前記袋状部材の前記連結帯材と対応する位置に係合部材を取り付けたテント用固定部を有するテントが知られている。
【0004】
このテントは、設置場所の周囲が砂地や小さな石が主である場合には、袋状部材に砂を詰め込み、袋状部材の重量を確保し、また周囲が比較的大きな石が主である場合には、袋状部材の表面に岩を載置し、これを袋状部材によって巻き込んで係止部材と係合部材の係合によりペグの打ち込みにくい砂地や岩場においてのテントの各隅を固定することができるものである。
【特許文献1】特開平11−62324号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、地震や豪雨などの災害時に、避難勧告によりやむを得ず住居を離れて指定された岩地、コンクリート面等のペグを打ち込むことができない場所を避難場所としてテントを設置しなければならないような場合には、必要な数のテントの設置道具を準備することは難しく、また、被災者の多くは婦女子、老人等であって、前記テントを設置するために、袋状部材に詰め込む砂や小さな石を掘り出すことや、袋状部材に巻き込む大きな石を設置場所まで運ぶための過大な労力が必要であるから、テントの改善が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたもので、岩地、コンクリート面等のペグを打ち込むことができない場所であっても、テントの設置道具を必要としないで、婦女子、老人等であっても容易に設置できるテントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために請求項1記載の発明は、テントシートをポールによって支持することにより構成されているテントであって、テントシートの下辺に通水性のある袋部材が取り付けられているとともに、該袋部材には水吸収材が収納されていることを特徴とするテントである。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、前記水吸収材は水吸収性高分子樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のテントである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のテントによれば、岩地、コンクリート面等のペグを打ち込むことができない場所であっても、袋部材を水で濡らすことにより水吸収材を重くして、水吸収材を収納している袋部材を設置用の重錘とすることにより、テントの設置道具を必要としないで、容易に設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0011】
図1は本発明に係るテントの斜視図、図2は図1の要部の拡大断面図である。
【0012】
図1において、テント1は、テントシート2を2本のポール3によって支持されて構成されている。そして、前記テントシート2で囲まれたテント1内の底部には、ウレタン、その他の材質からなる比較的厚手の底部シート4が配置されている。また、テントシート2の各下辺5には、一方のスライドファスナ6aが取り付けられている。
【0013】
そして、通水性のある袋部材7の側端部には、前記一方のスライドファスナ6aと係合する他方のスライドファスナ6bが取り付けられている。したがって、スライドファスナ6a,6bをスライダーにより係合または開放することで、テントシート2の各下辺5に、袋部材7を着脱可能に取り付けることができる。
【0014】
前記袋部材7は、一部にスライドファスナその他の開閉手段を設けてあって内部を開放したり密封することができ、水吸収材8を収納してある。
前記水吸収材8は、例えばカチオン性ポリマーのような水吸収性高分子樹脂で、この水吸収性高分子樹脂は、わずかに架橋された親水性ポリマーであり、自体の何倍にもなる量の液体を穏和な圧力下でさえも吸収して保持することができる特性を有する水膨張可能な水不溶性であって、例えば、自体の重量の100倍までの又はそれを越える量の水さえも吸収することができる。
【0015】
前記水吸収材8は、水を吸収していない状態では、数10〜数100g程度の重さであり、体積も数100ミリリットル程度で小さくて、袋部材7に収納されていてもコンパクトで嵩張らない。したがって、袋部材7は、水吸収材8が収納されていても嵩張ったり、重くなることがない。
【0016】
次に、上記した構成のテント1を、岩地、コンクリート面等のペグを打ち込むことができない場所に設置する場合について説明する。
前記した場所にテント1を設置するには、テントシート2を複数本のポール3によって支持させ、同時にテント1内の底部にウレタンなどの底部シート4を設置する。また、テントシート2の各下辺に取り付けられている一方のスライドファスナ6aに他方のスライドファスナ6bをスライダーにより係合して、水吸収材8が収納されている袋部材7を取り付ける。
【0017】
そして、袋部材7に表面から水をかけて水吸収材8に水を接触させることにより、水吸収材8に吸水させるとともに大きく膨張させ、1つの袋部材7を、例えば2〜3Kg程度の重量にする。したがって、水吸収材8を収納している各袋部材7は、テントシート2の各辺に設けてあるので、重錘としての機能があるため安定してテント1を支えることができ、風雨に耐えることができる。
【0018】
このようにして本発明のテントによれば、岩地、コンクリート面等のペグを打ち込むことができない場所であっても、袋部材7を水で濡らすことにより水吸収材8を重くして、水吸収材8を収納している袋部材7を設置用の重錘とすることにより、テント1の設置道具を必要としないで、容易に設置することができる。
そして、使用後にテント1を取り外す場合、各ファスナ6a、6bをスライダーにより離脱して各袋部材7をテントシートから外し、テント1を折り畳めばよい。そして、必要であれば、吸水している水吸収材8を袋部材7から取り出して乾燥させたり、荷重を加えて水を除去すればよい。
【0019】
なお、前記実施例では、テントシート2と底部シート4が別体のものを説明したが、テントシート2の各下辺と底部シート4の各辺が、一体に縫い合わされていてもよいことはもちろんである。
【0020】
また前記実施例では、スライドファスナ6a,6bを使用して、テントシート2の下辺に通気、通水性のある袋部材7を着脱可能に取付けている構成を説明したが、スライドファスナ6a,6bの係合構造に代えて雌雄の面ファスナ、雌雄のホック、釦と釦穴等の他の係合構造、或いは、紐と紐の結び合わせ構造等を採用することもできるし、また袋部材7をテントシート2の各下辺に縫い合わせて、テントシート2の各下辺に一体に形成することもできる。
【0021】
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することがなければ、種々の設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は本発明に係るテントの斜視図である。
【図2】図1の要部の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 テント
2 テントシート
3 ポール
4 底部シート
5 テントシートの下辺
6a 一方のスライドファスナ
6b 他方のスライドファスナ
7 袋部材
8 水吸収材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テントシートをポールによって支持することにより構成されているテントであって、テントシートの下辺に通水性のある袋部材が取り付けられているとともに、該袋部材には水吸収材が収納されていることを特徴とするテント。
【請求項2】
前記水吸収材は水吸収性高分子樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のテント。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−342535(P2006−342535A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−167689(P2005−167689)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(505215464)
【Fターム(参考)】