説明

テーブルタップの受刃金具

【課題】高価な金属である銅又は銅合金の使用量を半減して資源の節約とコストダウンを図ったテーブルタップの受刃金具を提供する。
【解決手段】プラグ栓刃を挟持するために先端傾斜面1aを有して対峙させた一対の挟持片1bを備えた複数の受刃部1と、一端にコードを接続するためのコード接続部3と、複数の受刃部1とコード接続部3とを接続する複数の接続部2を一体に形成したテーブルタップの受刃金具であって、コード接続部3には湾曲した内側に膨出する複数のビード4を膨出させる共に、複数の受刃部1にはプラグ栓刃の挿通方向の外側に複数のビード4を膨出させ、接続部2の長さを有する部位の長手方向の外側又は内側にビード4を膨出させたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルタップの受刃金具に関するものであり、更に詳細には、高価な金属である銅又は銅合金の使用量を半減して資源の節約とコストダウンを図ったテーブルタップの受刃金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のテーブルタップの受刃金具は、一般的に0.8mmの厚みの銅板又は銅合金板をプレス加工により切断すると共に、屈曲させることで成形しているが、プラグから突出させたプラグ栓刃を受刃部で挟持する弾性が必要なために0.8mm以上の厚みを有する銅板又は銅合金板から成形するものであった。
【0003】
現在、OA機器や家庭用電器具の目覚ましい普及から、テーブルタップも汎用されており、膨大な量の高価な銅資源が使用されており、これらの銅資源の高騰及び枯渇から経年にわたり提供できるか懸念されている現状である。
【0004】
その為に、先に開示されているものは、端子金具7と端子バネ11とを対向して設けた火災感知器において、該端子金具11がビ−ド8を備えており、また、前記端子バネ11が折曲基部15を介して底部12に連続する一対の鎖錠バネ部13と、該折曲基部15に設けられたビ−ド20と、を備えているもの(特許文献1参照)や、接触子の弾性部にリブを入れて弾性を高める。板厚を減らすことに依って接触子の材料費が低減したもの(特許文献2参照)等が開示されている。
【特許文献1】特開平6−150168号公報
【特許文献2】実開平6−13062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
然し乍ら、前述の開示されている特許文献1は、端子金具7と端子バネ11とを対向して設けた火災感知器において、端子金具7と端子バネ11とにビ−ド8を備えているものであるが、一体のものでなく、かつ、ビードは挟持部のみに形成されており、接続する電線に食い込ませるようにビードにより挟持させるもので、更に、特許文献2は、接触子の弾性部にリブを入れて弾性を高めているものであるが、リブは膨出部であるので、テーブルタップの受刃金具のような複雑な構造を有するものには加工が出来ないもので、抜本的な課題は解決しないものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記課題に鑑み、鋭意研鑽の結果、これらの課題を解決するもので、プラグ栓刃を挟持するために先端傾斜面を有して対峙させた挟持片を備えた複数の受刃部と、一端にコードを接続するためのコード接続部と、複数の受刃部とコード接続部とを接続する複数の接続部を一体に形成したテーブルタップの受刃金具であって、コード接続部には湾曲した内側に膨出する複数のビードを膨出させる共に、又は、コード接続部は両端に折曲部を設けて二重に積層させる共に、複数の受刃部にはプラグ栓刃の挿通方向の外側に複数のビードを膨出させ、接続部の長さを有する部位の長手方向の外側又は内側にビードを膨出させたものであり、更に、テーブルタップの受刃金具は厚みは0.4mm以下の銅板又は銅合金板を用いるものである。
【発明の効果】
【0007】
前述の如く構成した本発明のテーブルタップの受刃金具は、コード接続部には湾曲した内側に膨出する複数のビードを膨出させる共に、又は、コード接続部を二重に積層させる共に、受刃部にはプラグ栓刃の挿通方向の外側に複数のビードを膨出させ、接続部の長さを有する部位には長手方向に外側又は内側にビードを膨出させたことにより、使用する銅板又は銅合金板の厚みを薄くしても充分な電気的接続強度が得られるもので、更には、従来、0.8mmの厚みの銅板又は銅合金板を用いていたものを、厚み0.4mm以下の銅板又は銅合金板で形成できることから、貴重で高価な銅資源の大幅な節約と軽量化を可能としたもので、画期的で実用性の高い有効な発明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明のテーブルタップの受刃金具の実施の形態を図面によって具体的に説明すると、図1は本発明のテーブルタップの受刃金具の実施例の概要斜視図であり、図2は本発明のテーブルタップの受刃金具の次実施例の概要斜視図である。
【0009】
本発明は、テーブルタップの受刃金具に関するものであり、更に詳細には、高価な金属である銅又は銅合金の使用量を半減して資源の節約とコストダウンを図ったテーブルタップの受刃金具に関するものであり、請求項1に記載のテーブルタップの受刃金具は、プラグ栓刃(図示しない)を挟持するために先端傾斜面1aを有して対峙させた夫々一対の挟持片1bを備えた複数の受刃部1と、一端にコード(図示しない)を接続するためのコード接続部3と、前記複数の受刃部1と前記コード接続部3とを夫々接続する複数の接続部2を一体に形成したテーブルタップの受刃金具であって、前記コード接続部3には湾曲した内側に膨出する複数のビード4を膨出させる共に、前記複数の受刃部1には夫々プラグ栓刃の挿通方向の外側に複数のビード4を膨出させ、前記夫々の接続部2の長さを有する部位の長手方向の外側又は内側にビード4を膨出させたことを特徴とするものである。
【0010】
更に、請求項2に記載のテーブルタップの受刃金具は、プラグ栓刃(図示しない)を挟持するために先端傾斜面1aを有して対峙させた夫々一対の挟持片1bを備えた複数の受刃部1と、一端にコード(図示しない)を接続するためのコード接続部3と、前記複数の受刃部1と前記コード接続部3とを夫々接続する複数の接続部2を一体に形成したテーブルタップの受刃金具であって、前記コード接続部3は両端に折曲部3aを設けて二重に積層させる共に、前記複数の受刃部1には夫々プラグ栓刃の挿通方向の外側に複数のビード4を膨出させ、前記夫々の接続部2の長さを有する部位の長手方向の外側又は内側にビード4を膨出させたことを特徴とするものである。
【0011】
更には、請求項1又は請求項2に記載のテーブルタップの受刃金具において、前記テーブルタップの受刃金具は厚みは0.4mm以下の銅板又は銅合金板を用いることを特徴とするものである。
【実施例】
【0012】
即ち、本発明のテーブルタップの受刃金具を内装するテーブルタップは、各家庭やオフィス等で汎用されており、受刃金具を対として内装するもので、図1に図示する実施例では、テーブルタップの前端面に一組と上面に二組のプラグ栓刃の挿通孔を有し、基端面には商業電源への接続用コードを延設させたタイプのものであるが、そのプラグ栓刃の挿通孔の数や位置は任意なものである。
【0013】
そして、図1に図示するように、実施例の複数の受刃部1は、後述する接続部2から一体に延設させた一対の挟持片1bであり、夫々基端を接続部2に接続し、先端はプラグ栓刃を挿通させるように外方向に開く先端傾斜面1aを有し、基端と先端との間の中間部位の挟持片1bにはプラグ栓刃を弾性を付与して挟持するために近接させた平板状として対峙させているものである。
【0014】
次に、コード接続部3は、商業電源と接続される電源コードをかしめることにより接続するものであり、受刃金具の一端にU字状に形成しているものである。
【0015】
次いで、複数の接続部2は、複数の受刃部1の間及び受刃部1とコード接続部3とを夫々接続して一体にテーブルタップの受刃金具を形成するためのもので、受刃部1の一対の挟持片1bを延設させるために一定間隔を有して対峙させコ字状に接続しているもので、図示する実施例では、先端の受刃部1と近接した受刃部1の間と、基端のコード接続部3と近接した受刃部1の間と、夫々の近接した受刃部1の間に中間部材2aを介装した両側に備えているものである。
【0016】
更に、前述のテーブルタップの受刃金具のコード接続部3は、接続部2からT字状に延設され巾方向に長い帯状を上方が開口したU字状に湾曲させ、湾曲させた内側面に膨出する複数のビード4を形成しているもので、試行錯誤を繰り返し試作実験したところ、コード接続部3に少なくとも3つのビード4を内側面に膨出させることで、電気的接続上、支障のない強度にカシメられているものである。
【0017】
更には、ビード4は、強度を補強するもので横断面が半円形状に膨出させており、複数の受刃部1にはプラグ栓刃の挿通させる方向の外側に複数膨出させ、挟持片1bの内側を平坦状としてプラグ栓刃と受刃部1との電気的接続を安定させているものである。
【0018】
加えて、ビード4は、夫々の接続部2にも形成しているもので、接続部2の長さを有する部位の長手方向に形成して強度を補強しているものであり、接続部2のビード4は外側に膨出しても、内側に膨出させても構わないもので、テーブルタップの受刃金具の機能上支障の無い面に膨出させるものである。
【0019】
また、本発明の次実施例のテーブルタップの受刃金具は、図2に図示するように、コード接続部3は接続部2からT字状に延設され巾方向に長い帯状を有するものであり、帯状の金属片を折曲させて両端に折曲部3aを設けて二重に積層させているもので、上方が開口したU字状に湾曲させているものである。
【0020】
次実施例は、コード接続部3の他の構成は実施例と重複するので省略するものである。
【0021】
そして、テーブルタップの受刃金具の厚みは、0.4mm以下の銅板又は銅合金板を用いるものであり、従来は、0.8mmの板厚の銅板又は銅合金板を用いていたものであり、つまり、受刃金具の板厚を半分以下にしたものである。
【0022】
なお、前述のテーブルタップの受刃金具は、図示する実施例又は次実施例に基づいて詳述したもので、その受刃部1の数及び位置は別に限定するものでないものである。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、コード接続部には湾曲した内側に膨出する複数のビードを膨出させる共に、又は、コード接続部を二重に積層させる共に、受刃部にはプラグ栓刃の挿通方向の外側に複数のビードを膨出させ、接続部の長さを有する部位には長手方向に外側又は内側にビードを膨出させたことにより、使用する銅板又は銅合金板の厚みを薄くしても充分な電気的接続強度が得られるもので、更には、従来、0.8mmの厚みの銅板又は銅合金板を用いていたものを、厚みが0.4mm以下の銅板又は銅合金板で形成できることから、貴重で高価な銅資源の大幅な節約と軽量化を可能としたテーブルタップの受刃金具の提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は本発明のテーブルタップの受刃金具の実施例の概要斜視図である。
【図2】図2は本発明のテーブルタップの受刃金具の次実施例の概要斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 受刃部
1a 先端傾斜面
1b 挟持片
2 接続部
2a 中間部材
3 コード接続部
3a 折曲部
4 ビード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグ栓刃を挟持するために先端傾斜面を有して対峙させた夫々一対の挟持片を備えた複数の受刃部と、一端にコードを接続するためのコード接続部と、前記複数の受刃部と前記コード接続部とを夫々接続する複数の接続部を一体に形成したテーブルタップの受刃金具であって、前記コード接続部には湾曲した内側に膨出する複数のビードを膨出させる共に、前記複数の受刃部には夫々プラグ栓刃の挿通方向の外側に複数のビードを膨出させ、前記夫々の接続部の長さを有する部位の長手方向の外側又は内側にビードを膨出させたことを特徴とするテーブルタップの受刃金具。
【請求項2】
プラグ栓刃を挟持するために先端傾斜面を有して対峙させた夫々一対の挟持片を備えた複数の受刃部と、一端にコードを接続するためのコード接続部と、前記複数の受刃部と前記コード接続部とを夫々接続する複数の接続部を一体に形成したテーブルタップの受刃金具であって、前記コード接続部は両端に折曲部を設けて二重に積層させる共に、前記複数の受刃部には夫々プラグ栓刃の挿通方向の外側に複数のビードを膨出させ、前記夫々の接続部の長さを有する部位の長手方向の外側又は内側にビードを膨出させたことを特徴とするテーブルタップの受刃金具。
【請求項3】
前記テーブルタップの受刃金具は厚みは0.4mm以下の銅板又は銅合金板を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のテーブルタップの受刃金具。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−198773(P2010−198773A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39494(P2009−39494)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000208477)大和電器株式会社 (8)