説明

テーブルリフト

【課題】簡単な構造で、複数のテーブルをそれぞれ単独で昇降させることが可能であるとともに、複数のテーブルを連動して水平を保ちながら昇降させることができるテーブルリフトを提供する。
【解決手段】複数の作業用のテーブルと、前記複数のテーブルそれぞれにテーブルを昇降可能な駆動源を有し、車両下部の点検整備用にフロアに設けられたピット内に設置されるテーブルリフトにおいて、前記複数のテーブルの少なくとも1つに光を反射する反射板を設けるとともに、前記反射板を取り付けたテーブルと隣接するテーブルの前記反射板と対向する位置に前記反射板に光を発するとともに前記反射板によって反射された反射光を受ける投受光器を上下方向に複数個配置し、前記投受光器の受光状態に基づいて、前記複数のテーブルの昇降時に水平位置を保つように前記駆動源の作動を制御する制御手段を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルリフトに関するものであり、詳しくは複数の作業テーブルを有し、自動車整備工場等において車両の点検や整備等の作業を行うピット内に設置され、前記複数の作業テーブルを水平に昇降させることができるテーブルリフトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車整備工場等において車両下部の点検や整備等を行うため、自動車整備工場等の床面に作業用のピットが設けられており、該ピットには作業効率と作業者の安全性の向上のためテーブルリフトが設置されている。テーブルリフトは一般に昇降可能な構成となっている。また、例えばバス、トラック等の大型車の点検や整備にも対応できるような大型ピットとよばれるピットは全長約12mと非常に大きなものである。
【0003】
また、前記ピットは自動車整備工場等の床面に開口部を有するため、車両の点検や整備等を行わずピットを使用しないときには、歩行者が前記ピットの開口部に転落することを防止するために前記テーブルリフトを床面まで上昇させてピット開口部を全面塞ぎ、テーブルリフトを床面の一部として使用する。
【0004】
このようなピット及びテーブルリフトを用いて車両下部の点検や整備を行う際は、ピット上部に車両下部が位置するように車両を自動車整備工場等の床面に駐車し、前記テーブルリフト上に作業者が乗り、作業者の身長や作業姿勢に合わせてテーブルを昇降させることで、作業効率と作業者の安全性の高い作業を行うことができる。
【0005】
車両の点検や整備等の作業は、例えば車両の前部と後部等の離れた部分を別の作業者が同時に行う場合もある。このような場合、作業者ごとに身長や作業姿勢が異なり適切なテーブルの高さが異なるため、作業者ごとにテーブルを適切な高さに合わせることができるようにテーブルを複数に分割し、それぞれの作業に合わせて分割したそれぞれテーブルの高さ位置を調整して使用することができるようにしている。
【0006】
しかしながら、車両の点検や整備等の作業において、車両前部から後部にかけて移動しながら点検整備を行う場合等には、テーブルリフト上を作業工具等を入れた台車を走行移動させる必要がある。この時、前記分割したテーブルを水平に保ち、テーブルを分割したことが台車の走行の障害にならないようにしなくてはならない。
そのため、従来はテーブルを目視で確認しながら分割したそれぞれのテーブルの高さを調整していたが、目視でテーブルを水平に保つためには熟練の技術が必要であり、テーブルを水平に保つ作業に従事することができる人員は制限されてしまう。また、テーブルが水平に保つことができず、テーブル間に段差ができた場合には前記台車の走行が不安定になることに加え、作業員が段差がある箇所を歩行するため、段差につまづいて転倒する可能性がある。
【0007】
そこで、作業性を追及したテーブルリフトとして例えば特許文献1には、ピットにテーブルリフトを設け、該テーブルをピットの床面より400mm程度高い位置から400mm程度低い位置にまで昇降可能とし、さらに前記テーブルを主テーブルと副テーブルによって構成し、副テーブルを主テーブルとは独立に作業場の床面と同一の高さにまで上昇させることができるようにしたテーブルリフトが開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開平6−199495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されたテーブルリフトでは、ピット全体にわたってテーブルリフトが存在しないため、車両の下部の自由な位置でテーブルリフトの高さ調整をすることができない。また、主テーブルと副テーブルを連動して水平に移動させるためにはやはり目視による調整が必要である。さらに、主テーブルと副テーブルをそれぞれ単独に昇降させる単動と連動を機械的に構成するためには装置が大きくなり、多大な製作コストがかかる。
【0010】
従って、本発明はかかる従来技術の問題に鑑み、簡単な構造で、複数のテーブルをそれぞれ単独で昇降させることが可能であるとともに、複数のテーブルを連動して水平を保ちながら昇降させることができるテーブルリフトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため本発明においては、複数の作業用のテーブルと、前記複数のテーブルそれぞれにテーブルを昇降可能な駆動源を有し、車両下部の点検整備用にフロアに設けられたピット内に設置されるテーブルリフトにおいて、前記複数のテーブルの少なくとも1つに光を反射する反射板を設けるとともに、前記反射板を取り付けたテーブルと隣接するテーブルの前記反射板と対向する位置に前記反射板に光を発するとともに前記反射板によって反射された反射光を受ける投受光器を上下方向に複数個配置し、前記投受光器の受光状態に基づいて、前記複数のテーブルの昇降時に水平位置を保つように前記駆動源の作動を制御する制御手段を設けたことを特徴とする。
【0012】
複数のテーブルの少なくとも1つに光を反射する反射板を設けるとともに、前記反射板を取り付けたテーブルと隣接するテーブルの前記反射板と対向する位置に前記反射板に光を発するとともに前記反射板によって反射された反射光を受ける投受光器を設けることで、前記反射板と前記投受光器の高さの位置関係によって、投受光器から投光された光の受光状態が変化する。例えば投受光器が反射板より高い位置にある場合は投受光器から投光された光が反射板に到達せず従って反射もしないため投受光器で受光を検知することができないが、投受光器が反射板の一部と同じ高さに位置する場合には投受光器から投光された光が反射板で反射されて投受光器で受光を検知することができる。
【0013】
さらに、前記投受光器を上下方向に複数個配置することで、いくつの投受光器が受光を検知しているか、どの投受光器が受光を検知しているかによって隣接しているテーブルの上下関係が分かる。
例えば2つの投受光器を上下方向に配置した場合においては、上側の投受光器が受光を検知し、下側の投受光器が受光を検知していないときには、反射板を設けたテーブルが投受光器を設けたテーブルより上側にあることが分かる。逆に上側の投受光器が受光を検知しておらず、下側の投受光器が受光を検知しているときには、投受光器を設けたテーブルが反射板を設けたテーブルよりも上側にあることがわかる。
また、投受光器が1つである場合には投受光器と反射板の上下位置がずれて受光を検知しなくなった場合には制御不能となるが、投受光器を複数設けることで1つの投受光器が反射板との上下位置がずれて受光を検知しなくなっても他の投受光器が受光を検知するため制御可能であり、投受光器と反射板のずれの範囲が複数設けた投受光器のうち最上部の投受光器と最下部の投受光器の間の距離以内であれば制御が可能である。
【0014】
このようにして、反射板と投受光器を用いて隣接するテーブル同士の上下関係がわかるため、該上下関係に基づいて隣接するテーブル同士が水平を保つように制御手段によって駆動源の作動を制御することで、隣接するテーブル同士が水平を保ったままテーブルリフトの昇降が可能となる。
【0015】
また、前記投受光器は上下方向に2つ配置されるとともに、前記制御手段は、前記2つの投受光器の少なくとも1つが前記反射光を受光している場合にのみ前記駆動源の制御を行うことを特徴とする。
【0016】
このことにより、投受光器を2つ設ければよいため、3つ以上設ける場合と比較して低コストである。また上下何れの投受光器も反射光を受光しない場合には、反射板を設けたテーブルと投受光器を設けたテーブルのどちらが上側に位置しているか判断できないため、前記2つの投受光器の少なくとも1つが前記反射光を受光している場合にのみ前記駆動源の制御を行うことで制御手段の誤作動を防ぐことができる。
【0017】
また、前記駆動源は油圧シリンダーであるとともに、前記油圧シリンダーへのオイル供給系統は、オイル供給ポンプと、前記オイル供給ポンプによって供給されるオイルを前記油圧シリンダーへ送る油路と、オリフィスと開閉可能な弁を介して前記油路中のオイルを油路外に排出可能な第1の排出路と、前記第1の排出路とは別に設けられ開閉可能な弁を介して前記油路中のオイルを油路外に排出可能な第2の排出路を有することを特徴とする。
【0018】
このことにより、テーブルリフトを昇降させるためにインバータ制御を行う必要がなく、小型のオイル供給ポンプで制御を行うことができ、省スペース化及びイニシャルコストとランニングコストの省コスト化が可能となる。
【0019】
また、前記制御手段は、前記テーブル上昇時には、前記オイル供給ポンプを駆動させて前記油圧シリンダーにオイルを供給し、油圧シリンダーによってテーブルを上昇させるとともに、前記投受光器の受光状態に基づき、隣接するテーブルと比べて上昇の早いテーブルを上昇させる油圧シリンダーへオイルを送る油路に設けた第2の排出路に設けた弁を開放し、上昇速度を下げることを特徴とする。
【0020】
このことにより、テーブルリフト上昇時には、隣接したテーブルそれぞれを上昇させるための駆動源である油圧シリンダーにオイルを供給するオイル供給ポンプは常時駆動しておくことができるため、ポンプ駆動及び停止に伴ってテーブルリフトが上昇及び停止を繰り返すことがなく、従ってテーブルリフト上の作業者や台車に衝撃を与えずに複数のテーブルリフトを水平に保ったまま上昇させることができる。
【0021】
また、前記制御手段は、前記テーブル下降時には、前記第1の排出路に設けた弁を開放させ、油圧シリンダーのオイルを排出することでテーブルを下降させるとともに、前記投受光器の受光状態に基づき、隣接するテーブルと比べて下降の遅いテーブルを下降させる油路に設けた第2の排出路に設けた弁を開放し、下降速度を上げることを特徴とする。
【0022】
このことにより、テーブルリフト下降時には、隣接したテーブルそれぞれの油圧シリンダーから常時オイルを排出しているため、テーブルリフトが下降及び停止を繰り返すことがなく、従ってテーブルリフト上の作業者や台車に衝撃を与えずに複数のテーブルリフトを水平に保ったまま下降させることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上記載のごとく本発明によれば、簡単な構造で、複数のテーブルをそれぞれ単独で昇降させることが可能であるとともに、複数のテーブルを連動して水平を保ちながら昇降させることができるテーブルリフトを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【実施例1】
【0025】
図1は、実施例1に係るピット及びテーブルリフトを示す縦断側面図であり、図2は実施例1に係るピット及びテーブルリフトを示す縦断正面図である。以下図1及び図2に基づいてピット及びテーブルリフトの構成について説明する。図1及び図2おいて、30は自動車工場等の作業場の床面、10は該床面30に形成されたピットを示しており、ピット10内にテーブルリフト1a及び1bが設けられている。また12a及び12bはそれぞれ前記テーブルリフト1a及び1bを上昇させる油圧シリンダーであり、11a及び11bはそれぞれ前記油圧シリンダー12a及び12bへオイルを供給する油圧ユニットである。油圧ユニット11a及び11bから油圧シリンダー12a及び12bにオイルを供給することでテーブルリフト1a及び1bは上昇し、油圧シリンダー12a及び12bからオイルを排出することでテーブルリフト11a及び11bは下降する。13は車両であり、整備や点検時には図2に示したように車両下部がピット10上部に位置するように、タイヤ13a及び13bの位置を調整して駐車する。
なお、本実施例1においては2つのテーブルリフト1a及び1bを用いているが、テーブルリフトは2つに限定されるものではなく、複数であればいくつでもよい。
【0026】
このように図1及び図2に示したピット10及びテーブルリフト1a及び1bを用い、車両の整備や点検を行う際には、作業者がテーブルリフト1a又は1b上に乗り作業者の身長、作業姿勢にあわせてテーブルリフト1a又は1bの高さを調整して車両13下部の整備や点検を行う。
【0027】
図3はテーブルリフト1a及び1bの上平面図である。以下図1、図2及び図3に基づいて車両の整備や点検時のテーブルリフトの昇降動作について説明する。テーブルリフト1aには単動・連動選択フットスイッチ2、上昇フットスイッチ3及び下降フットスイッチ4が設けられている。なお、前記各スイッチ2、3、4は作業者の利便性を考慮し、車両下部の整備や点検を行いながら操作できるように、足で踏むことで作動するフットスイッチとしている。
【0028】
単動・連動選択フットスイッチ2はテーブルリフト1a又は1bを単独で昇降させるか、テーブルリフト1a及び1bを連動して昇降させるか選択するスイッチである。単動・連動選択フットスイッチ2を押すことでテーブルリフト1aを単独で昇降させるか、テーブルリフト1bを単独で昇降させるか、テーブルリフト1a及び1bを連動して水平を保ちながら昇降させるか何れかの動作が選択され、選択状態は表示灯6に表示される。なお、5は制御盤である。
【0029】
上昇フットスイッチ3はテーブルリフトを上昇させるためのスイッチであり、上昇フットスイッチ3を押すと、前記単動・連動選択フットスイッチ2で選択された動作に従って、油圧ユニットから油圧シリンダーへオイルが供給されテーブルリフトが上昇する。
また、下降フットスイッチ4はテーブルリフトを下降させるためのスイッチであり、下降フットスイッチ4を押すと、前記単動・連動選択フットスイッチ2で選択された動作に従って、油圧シリンダーからオイルが排出されテーブルリフトが下降する。
なお、連動時にテーブルリフト1a及び1bが水平を保つための機構、オイルの供給排出系統については後述する。
【0030】
さらに、図示はしないが、前記単動・連動選択フットスイッチ2、上昇フットスイッチ3及び下降フットスイッチ4と同じ機能をもった無線によるリモコンスイッチを用いると、作業者が前記単動・連動選択フットスイッチ2、上昇フットスイッチ3及び下降フットスイッチ4から離れた場所で作業をしている場合にも、作業者が移動することなくテーブルリフトの昇降が可能となるため、無線によるリモコンスイッチを併用することが非常に好ましい。
【0031】
図4は隣接するテーブルリフト1a及び1bの隣接部の拡大概略図である。テーブルリフト1aの側面に反射板37を取り付けている。また、テーブルリフト1aと隣接するテーブルリフト1bに前記反射板37と対向する位置に上下方向に2つの投受光器38及び39を取り付けている。投受光器38及び39は投光及び受光が可能な装置であり、投受光器38及び39は何れも対向するテーブルリフト1a方向、即ち反射板37方向に投光するように設置する。このように反射板37、投受光器38及び39を設けることで、テーブルリフト1a及び1bが同じ高さ位置にある場合には投受光器38及び39から投光された光は何れも反射板37で反射され元の投光器で反射板を受光する。
【0032】
前記単動・連動選択フットスイッチ2で連動が選択され、さらに上昇フットスイッチ3を押して上昇の動作が始まると、テーブルリフト1a及び1bは上昇する。このとき、テーブルリフト1a及び1bを同じ油圧で油圧シリンダー12a及び12bを用いて上昇していても、テーブルリフト1a及び1bの自重、テーブルリフト1a及び1b上の作業員の体重、その他テーブルリフト1a及び1b上に置かれた物の重量によってテーブルリフト1a及び1bの上昇速度は異なる。
【0033】
例えば、テーブルリフト1aの上昇速度がテーブルリフト1bの上昇速度よりも速い場合、上昇開始時は投受光器38及び39の何れも反射板37からの反射光を受光するが、上昇を続けるうちに反射板37と投受光器38及び39の高さ位置関係がずれ、下側の投受光器39が反射板37最下部よりも下方に位置するようになると、投受光器39が反射光を検知できなくなる。このようにテーブルリフト1a及び1bの上昇速度が異なった場合においても、高さの位置関係を反射板37及び投受光器38、39によって検知することができ、上昇速度の速いテーブルリフト1aの上昇速度を減速して水平を保つ。なお、減速するための構成については後述する。
また、投受光器が1つである場合には投受光器と反射板の上下位置がずれて受光を検知しなくなった場合には制御不能となるが、投受光器を2つ(38、39)設けることで投受光器39が受光を検知しなくなっても投受光器38が受光を検知するため制御可能であり、投受光器38が反射板37最下部よりも下方になるまでずれる前に前記テーブルリフト1aの上昇速度の減速を行えばよく、制御不能となる可能性が非常に低い。
【0034】
また、テーブルリフト1bの上昇速度がテーブルリフト1aの上昇速度よりも速い場合、上昇開始時は投受光器38及び39の何れも反射板37からの反射光を受光するが、上昇を続けるうちに反射板37と投受光器38及び39の高さ位置がずれ、上側の投受光器38が反射板37最上部よりも上方に位置するようになると、投受光器38が反射光を検知できなくなる。このようにテーブルリフト1a及び1bの上昇速度が異なった場合においても、高さの位置関係を反射板37及び投受光器38、39によって検知することができ、上昇速度の速いテーブルリフト1bの上昇速度を減速して水平を保つ。なお、減速するための構成については後述する。
また、投受光器が1つである場合には投受光器と反射板の上下位置がずれて受光を検知しなくなった場合には制御不能となるが、投受光器を2つ(38、39)設けることで投受光器38が受光を検知しなくなっても投受光器39が受光を検知するため制御可能であり、投受光器39が反射板37最上部よりも上方になるまでずれる前に前記テーブルリフト1bの上昇速度の減速を行えばよく、制御不能となる可能性が非常に低い。
【0035】
一方、前記単動・連動スイッチ2で連動が選択され、さらに下降フットスイッチ4を押して下降の動作が始まると、テーブルリフト1a及び1bは下降する。このとき、テーブルリフト1a及び1bから同じ量だけオイルを排出して下降していても、テーブルリフト1a及び1bの自重、テーブルリフト1a及び1b上の作業員の体重、その他テーブルリフト1a及び1b上に置かれた物の重量によってテーブルリフト1a及び1bの下降速度は異なる。
【0036】
例えば、テーブルリフト1aの下降速度がテーブルリフト1bの下降速度よりも速い場合、下降開始時は投受光器38及び39の何れも反射板37からの反射光を受光するが、下降を続けるうちに反射板37と投受光器38及び39の高さ位置関係がずれ、上側の投受光器38が反射板37最上部よりも上方に位置するようになると、投受光器38が反射光を検知できなくなる。このようにテーブルリフト1a及び1bの下降速度が異なった場合においても、高さの位置関係を反射板37及び投受光器38、39によって検知することができ、下降速度の遅いテーブルリフト1bの下降速度を増速して水平を保つ。なお、増速するための構成については後述する。
また、投受光器が1つである場合には投受光器と反射板の上下位置がずれて受光を検知しなくなった場合には制御不能となるが、投受光器を2つ(38、39)設けることで投受光器38が受光を検知しなくなっても投受光器39が受光を検知するため制御可能であり、投受光器39が反射板37最上部よりも上方になるまでずれる前に前記テーブルリフト1bの下降速度の増速を行えばよく、制御不能となる可能性が非常に低い。
【0037】
また、テーブルリフト1bの下降速度がテーブルリフト1aの下降速度よりも速い場合、下降開始時は投受光器38及び39の何れも反射板37からの反射光を受光するが、下降を続けるうちに反射板37と投受光器38及び39の高さ位置がずれ、下側の投受光器39が反射板37最下部よりも下方に位置するようになると、投受光器39が反射光を検知できなくなる。このようにテーブルリフト1a及び1bの下降速度が異なった場合においても、高さの位置関係を反射板37及び投受光器38、39によって検知することができ、下降速度の遅いテーブルリフト1aの下降速度を増速して水平を保つ。なお、増速するための構成については後述する。
また、投受光器が1つである場合には投受光器と反射板の上下位置がずれて受光を検知しなくなった場合には制御不能となるが、投受光器を2つ(38、39)設けることで投受光器39が受光を検知しなくなっても投受光器38が受光を検知するため制御可能であり、投受光器38が反射板37最下部よりも下方になるまでずれる前に前記テーブルリフト1aの下降速度の増速を行えばよく、制御不能となる可能性が非常に低い。
【0038】
図5(a)は、テーブルリフト1aを昇降する油圧シリンダー12aの油圧回路を示し、図5(b)はテーブルリフト1bを昇降する油圧シリンダー12bの油圧回路を示す。まず図5(a)に基づいて油圧回路の構成について説明する。テーブルリフト1aを上昇する際、図5(a)において、油圧ユニット11aに作動油が貯留されているオイルタンク21aから、モータ22aによって作動されるオイルポンプ23aによって汲み上げられてチックバルブ27a及び落下防止バルブ25aを介して、油圧シリンダー12aに供給される。また、オイルポンプ23aの出力側にはリミッタバルブ28aが設置されてオイルタンク21aに戻すようになっており、油圧シリンダー12aに供給される油圧を一定値に保持している。
【0039】
落下防止バルブ25aは、連通状態と遮断状態とを切替えるようになっていて、テーブルリフト1aが所定の昇降速度であるときには連通しているが、例えば配管洩れなどで急速下降した場合に、油圧シリンダー12aへの連通油路を遮断することで、油圧シリンダー12aに供給される作動油の排出を停止して、該油圧シリンダー12a内に作動油を保持してテーブルリフト1aが不要に下降することを防止している。
【0040】
また、落下防止バルブ25aの下流側にはオリフィス29aおよびリフトバルブ24aが直列に配置されている。このリフトバルブ24aは連通状態とチェックバルブを介しての遮断状態とを切替えるようになっていて、テーブルリフト1aの下降時に、リフトバルブ24aを開いて、油圧シリンダー12aに供給される作動油を、オイルタンク21aへ戻すようになっている。
図5(b)に示すテーブルリフト1bを昇降する油圧シリンダー12bの油圧回路も同様に構成されている。
【0041】
次に油圧回路の動作について説明する。テーブルリフト1a上昇時にはモータ22aをONにして一定回転でモータを駆動することによってポンプ23aを作動して、ポンプ23aの吐出圧油を油圧シリンダー12aに供給する。テーブルリフト1b上昇時も同様である。
さらに、前記単動・連動選択フットスイッチ2で連動を選択している場合、テーブルリフト1a及び1bは連動して上昇する。テーブルリフト1aと1bの上昇速度が異なり、高さ位置がずれたことを前記反射板37及び投受光器38、39で検知すると、上昇速度の速い方の油圧ユニット11a又は11bに設けた制御油圧バルブ26a又は26bを開放して、油圧シリンダー12a又は12bの油圧を調整して上昇速度を減速し、水平を保つことができる。
従って、テーブルリフト1a及び1bの上昇を何れも止めることなく水平を保って上昇させることができるため、テーブルリフト上への衝撃もない。
【0042】
また、テーブルリフト1a下降時にはモータ22aをOFFにしてポンプ23aを停止し、リフトバルブ24aを開放して油圧シリンダー12aの油圧をオイルタンク21aに戻している。テーブルリフト1b下降時も同様である。
さらに、前記単動・連動選択フットスイッチ2で連動を選択している場合、テーブルリフト1a及び1bは連動して下降する。テーブルリフト1aと1bの下降速度が異なり、高さ位置がずれたことを前記反射板37及び投受光器38、39で検知すると、下降速度の遅い方の油圧ユニット11a又は11bに設けた制御油圧バルブ26a又は26bを開放して、油圧シリンダー12a又は12bの油圧を調整して下降速度を増速し、水平を保つことができる。
従って、テーブルリフト1a及び1bの下降を何れも止めることなく水平を保って下降させることができるため、テーブルリフト上への衝撃もない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
簡単な構造で、複数のテーブルをそれぞれ単独で昇降させることが可能であるとともに、複数のテーブルを連動して水平を保ちながら昇降させることができるテーブルリフトとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施例1に係るピット及びテーブルリフトを示す縦断側面図である。
【図2】実施例1に係るピット及びテーブルリフトを示す縦断正面図である。
【図3】テーブルリフト1a及び1bの上平面図である。
【図4】隣接するテーブルリフト1a及び1bの隣接部の拡大概略図である。
【図5】図5(a)は、テーブルリフト1aを昇降する油圧シリンダー12aの油圧回路であり、図5(b)はテーブルリフト1bを昇降する油圧シリンダー12bの油圧回路である。
【符号の説明】
【0045】
1a、1b テーブルリフト
2 単動・連動選択フットスイッチ
3 上昇フットスイッチ
4 下降フットスイッチ
10 ピット
11a、11b 油圧ユニット
12a、12b 油圧シリンダー(駆動手段)
13 車両
23a、23b オイルポンプ
24a、24b リフトバルブ
26a、26b 制御油圧バルブ
29a、29b オリフィス
30 床面
37 反射板
38、39 投受光器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業用のテーブルと、前記複数のテーブルそれぞれにテーブルを昇降可能な駆動源を有し、車両下部の点検整備用にフロアに設けられたピット内に設置されるテーブルリフトにおいて、
前記複数のテーブルの少なくとも1つに光を反射する反射板を設けるとともに、前記反射板を取り付けたテーブルと隣接するテーブルの前記反射板と対向する位置に前記反射板に光を発するとともに前記反射板によって反射された反射光を受ける投受光器を上下方向に複数個配置し、
前記投受光器の受光状態に基づいて、前記複数のテーブルの昇降時に水平位置を保つように前記駆動源の作動を制御する制御手段を設けたことを特徴とするテーブルリフト。
【請求項2】
前記投受光器は上下方向に2つ配置されるとともに、
前記制御手段は、前記2つの投受光器の少なくとも1つが前記反射光を受光している場合にのみ前記駆動源の制御を行うことを特徴とする請求項1記載のテーブルリフト。
【請求項3】
前記駆動源は油圧シリンダーであるとともに、
前記油圧シリンダーへのオイル供給系統は、オイル供給ポンプと、前記オイル供給ポンプによって供給されるオイルを前記油圧シリンダーへ送る油路と、オリフィスと開閉可能な弁を介して前記油路中のオイルを油路外に排出可能な第1の排出路と、前記第1の排出路とは別に設けられ開閉可能な弁を介して前記油路中のオイルを油路外に排出可能な第2の排出路を有することを特徴とする請求項1又は2記載のテーブルリフト。
【請求項4】
前記制御手段は、前記テーブル上昇時には、
前記オイル供給ポンプを駆動させて前記油圧シリンダーにオイルを供給し、油圧シリンダーによってテーブルを上昇させるとともに、
前記投受光器の受光状態に基づき、隣接するテーブルと比べて上昇の早いテーブルを上昇させる油圧シリンダーへオイルを送る油路に設けた第2の排出路に設けた弁を開放し、上昇速度を下げることを特徴とする請求項3記載のテーブルリフト。
【請求項5】
前記制御手段は、前記テーブル下降時には、
前記第1の排出路に設けた弁を開放させ、油圧シリンダーのオイルを排出することでテーブルを下降させるとともに、
前記投受光器の受光状態に基づき、隣接するテーブルと比べて下降の遅いテーブルを下降させる油路に設けた第2の排出路に設けた弁を開放し、下降速度を上げることを特徴とする請求項3又は4記載のテーブルリフト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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