説明

テープドライブ装置において使用するための媒体

【課題】 機械的に検知される認識穴パターンを用いずにテープ媒体を識別できるようにする。
【解決手段】 情報を磁気的に記憶する磁気セグメント102と、識別セグメント104とを備え、識別セグメント104が、媒体識別パターン108と識別セグメント104を検出するためのセグメント識別パターン110とを有するものである、テープドライブ装置用媒体100を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に磁気テープ媒体の分野に関し、より詳細にはテープ媒体の識別に関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
数十年間にわたり、情報はテープドライブを使用して磁気テープ媒体に記憶されてきた。当初より、磁気テープは、初期のフィルムプロジェクタのフィルムと同様に大型のリールに巻き取られている。さらに近年になると、通常、磁気テープはカートリッジまたはカセット内に収容されるようになり、カートリッジ内において供給リールから巻き取りリールまで内部的に延びる。このようなカートリッジの用途においては、通常、リーダテープ(leader tape)がリールに取り付けられている。そして、スプライシングテープ(splicing tape)によってリーダが磁気テープに接合され、磁気テープがリールに巻き付けられている。カートリッジには、供給リールのみを収容するものもあれば、供給リールおよび巻き取りリールを収容するものもある。
【0003】
システムによっては、磁気テープに長さ方向のトラック(たとえば、テープが主に延びている方向に沿って延びるトラック)が記録されるものもあれば、テープが、磁気テープのパスが磁気テープ上のヘリカルストライプまたはトラックを変換するようにドラムに少なくとも一部巻かれているようなものもある。カートリッジによっては、カートリッジをテープドライブに挿入すると変位されて、(たとえば、テープガイドやテープ搬送機構や変換要素などの)テープドライブの動作要素に磁気テープを露出させる蓋などを有するものもあれば、カートリッジがテープドライブに装填されるとテープドライブの動作要素を延出させる窓などが作られているものもある。
【0004】
テープドライブに挿入されると、テープ/カートリッジが特定のタイプのものであると識別されるいくつかの従来技術による技法が開発されている。
【0005】
米国特許第6,385,001号明細書には、透明な識別ウィンドウセグメントを有するテープ媒体が示されている。識別ウィンドウセグメントは、媒体が選択された線形速度で走行するときに、所定の媒体またはカートリッジ署名情報(cartridge signature)を提供するように選択された長さを有する。
【0006】
たとえば、デジタル・オーディオ・テープ(以下、「DAT」とよぶ)およびデジタル・データ・ストレージ(以下、「DDS」とよぶ)テープを自動的に識別する技法が知られている。
【0007】
DATおよびDDSの各テープカートリッジは、同じフォームファクタを有する。DDSテープ媒体は、主に、テープ媒体上のデータストレージの信頼性を高めた、テープ上の磁気コーティングの品質の点においてDATオーディオテープ媒体と異なる。DATオーディオテープカセットは、DDSドライブへと物理的に収まり、DATオーディオテープカセットに対してデータを読み書きすることが可能ではあるが、その信頼性はかなり低く、データが失われる可能性が高い。
【0008】
英国特許出願第2266402号には、透明なスプライスまたはスプライシングテープを有し、リーダテープ上の透明なスプライスまたはスプライシングテープ上に配置された少なくとも1つの不透明ストライプを有することによりDDSテープを自動的に認識して、DDSカートリッジを同一サイズのDATカートリッジと区別するテープ媒体が開示されている。このテープドライブは、光学センサの出力信号を監視することにより、テープ媒体のデータ記憶部分とリーダテープとの接合部を見つける回路を有する。センサ出力信号の状態の切り替わりが検出された場合には、このことは、不透明なストライプが存在し、カセットがDDSタイプであることを示す。状態の切り替わりがない場合には、カセットがDDSタイプではないことを示し、この場合には、テープドライブの書き込み禁止機構がアクティブ化されて、データがテープ媒体に書き込まれないようにしてそのデータが失われる可能性を低減する。
【0009】
http://www.ecma.chから入手可能な規格ECMA−288(1999年6月)には、対応媒体認識システム(MRS)が第9章第16節に示されている。この規格によれば、透明ストライプと不透明ストライプとが交互になったパターンが、テープが物理的に始まる箇所、すなわち、リーダテープが磁気テープに接合する箇所において、スプライシングテープの全長に長手方向に沿って存在すべきである。不透明ストライプとリーダテープとを組み合わせた部分の光透過率は、最大で5%であるべきである。透明ストライプとリーダテープとを組み合わせた部分の光透過率は、最小で60%であるべきである。規格ECMA−288の付録Bには、テープの光透過率を測定する測定機器および測定方法についての一般原理が示されている。
【0010】
DDSテープ媒体とDATテープ媒体とを区別することに加えて、DDSテープ媒体の様々なフォーマット世代を自動的に検出する必要がある。前世代のDDSカートリッジを区別することについての問題は、認識穴と呼ばれる、カートリッジシェルの4つの穴のパターンを検出することによって対処される。ECMA−288規格の付録Kには、認識穴パターンおよび関連するDDSフォーマット世代1〜5と、各認識穴パターンにより表されるDATフォーマット(IEC1119−1)とが規定されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このような認識穴の欠点は、提供される情報量が限られているため、テープ媒体フォーマットしかエンコードすることができないことと、認識穴パターンを機械的に感知するのは信頼性が比較的低く、機械的な故障の対象となり得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、テープドライブ装置用の媒体を提供する。この媒体は、情報を磁気的に記憶する磁気セグメントと、識別セグメントとを有する。識別セグメントは、媒体識別パターンと、識別セグメントを検出するためのセグメント識別パターンとを伝達する。
【0013】
媒体識別パターンは、テープ媒体および/またはテープカートリッジのフォーマット世代、製造業者、テープ媒体シリアルナンバー、グローバルに一意な識別子(globally unique identifier:GUID)、および/または、コードワードなどの様々な媒体識別情報のエンコードに使用することができる。たとえば、媒体識別パターンは、特定の機能、たとえば製造業者またはフォーマットに特有の機能をテープドライブ装置がイネーブルまたはディスエーブルするために使用されるコードワードを伝達することができる。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、識別セグメントは、テープ媒体の端部セグメントに配置される。端部セグメントは、テープ媒体のトレーラセグメントまたはリーダセグメント(leader segment)でありうる。媒体識別パターンはトレーラセグメントとリーダセグメントとの両方に配置することができるが、識別セグメントは少なくともリーダセグメントに配置されることが好ましい。これにより、テープ媒体がテープドライブ装置に装填されたときに、識別セグメントの検出および読み出しが容易になる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、識別セグメントが配置される端部セグメントは透明である。媒体識別パターンおよびセグメント識別パターンは、少なくとも1つの不透明部分を有する。好ましくは、媒体識別パターンおよびセグメント識別パターンの不透明部分は、ストライプの形態を有する。
【0016】
本発明のさらなる実施形態によれば、媒体識別情報は、テープの厚さ、テープコーティングの形成、および/または、テープ媒体に事前に記録されているか否かなどのテープ媒体の属性を示す。
【0017】
別の態様では、本発明はテープドライブ装置に関する。テープドライブ装置は、装填されたテープ媒体とテープドライブ装置との間でデータを転送するデータ転送装置を有する。さらに、テープドライブ装置は、テープ媒体の識別セグメントを表す信号を提供する読み取り装置を有する。好ましくは、読み取り装置は、フォトダイオードと組み合わせられた光源等の光学読み取り装置である。読み取り装置によって提供される信号は、セグメント識別パターンの検出に使用される。セグメント識別パターンの検出に応答して媒体識別パターンがデコードされ、媒体識別情報が得られる。
【0018】
本発明のさらなる実施形態によれば、テープドライブ装置は、予め規定されたセグメント識別パターンの検出に使用される参照パターンを記憶する不揮発性記憶装置を有する。マッチングするテープ媒体上のセグメント識別パターンを検出するために、読み取り装置の出力が参照パターンと比較される。
【0019】
本発明のさらなる一実施形態によれば、テープドライブ装置は、媒体識別パターンから得られた媒体識別情報を記憶する記憶装置を有する。好ましくは、様々なテープ媒体から得られた媒体識別情報は、後の解析のためにログに記録される。
【0020】
特定の維持時間間隔の後に、テープ媒体の品質監視および/または品質保証のために、ログを読み出して解析ツールに入力することができる。
【0021】
本発明のさらなる実施形態によれば、テープドライブ装置は、予め規定されたコードワードが媒体識別パターンから得られたことに応答して、テープドライブ装置の機能をイネーブルまたはディスエーブルするコントローラを有する。たとえば、コードワードにより、テープ媒体が優れた品質であることを示すことができるため、テープドライブ装置の対応する動作モードが選択される。
【0022】
さらに別の態様では、本発明は、情報を磁気的に記憶する磁気部分および光学的に読み取り可能なパターンを有するテープ媒体に関する。このパターンは、少なくとも2ビットの情報を伝達する。光学的に読み取り可能なパターンは、テープ媒体および/またはテープ媒体を収容したテープカートリッジに関連する各種の情報をエンコードするために使用することができる。たとえば、このパターンは、テープ媒体および/またはテープカートリッジの製造業者、テープフォーマット世代、一意の識別子、および/または、テープ媒体および/またはテープカートリッジの物理的もしくは機能的な属性を識別することができる。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、テープ媒体は、光学的に読み取り可能なパターンを配置することができる透明なリーダ部分およびトレーラ部分を有する。たとえば、パターンはリーダ部分、トレーラ部分、または、リーダ部分とトレーラ部分との両方に配置される。異なる種類の情報を伝達する異なるパターンをリーダ部分およびトレーラ部分に配置することも可能であり、および/または、同じパターンを1回もしくは数回繰り返して、パターンのうちの1つが破損したか読み出し不能である場合であっても、各情報を確実に読み出せるようにすることもできる。
【0024】
さらに別の態様では、本発明は、複数の光学的可読パターンを指定するテープフォーマットに関する。読み取り可能なパターンのそれぞれは、少なくとも2ビットの情報を伝達する。さらに、テープフォーマットは、テープ媒体上の1以上の光学的に読み取り可能なパターンに許容される位置を指定することができる。
【0025】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら単に例として説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1に、テープ媒体100の一部を示す。テープ媒体100は、情報を磁気的に記憶する磁気テープコーティングを有する磁気セグメント102を備える。テープ媒体100は、長さ104を有する識別セグメントを有する。本明細書において考える好ましい実施形態では、識別セグメントは、テープ媒体100の光学的に透明なリーダセグメント106上に配置される。
【0027】
識別セグメントは、媒体識別パターン108およびセグメント識別パターン110を有する。
【0028】
媒体識別パターンは、透明なリーダセグメント上で光学的に検出することができる。たとえば、媒体識別パターン108は、媒体識別情報を伝達する不透明部分のパターンからなる。たとえば、媒体識別情報は、テープ媒体100のフォーマット世代、テープ媒体100の製造業者、シリアルナンバー、もしくはグローバルに一意な識別子、および/または、テープの厚さ、磁気テープコーティングの形成、もしくはテープ媒体100に事前に記録されているか否かなどのテープ媒体100の別の属性を示す。これに代えて、またはこれに加えて、媒体識別パターンが伝達する情報は、テープカートリッジフォーマット世代などのテープカートリッジに関連し、および/または、テープ媒体に加えてテープ媒体の収容に使用されるリールおよびシェルを含むカートリッジアセンブリの属性に関連する。
【0029】
これに代えて、またはこれに加えて、1以上のコードワードを、様々な目的で媒体識別パターン108にエンコードすることができる。
【0030】
セグメント識別パターン110は、透明リーダセグメント106上で光学的に検出可能な不透明部分のパターンからもなり得る。セグメント識別パターン110は、磁気セグメント102と媒体識別パターン108との間に配置される。セグメント識別パターン110は、媒体識別パターン108に対して所定の空間的関係を有しているので、セグメント識別パターン110の検出により、媒体識別パターン108の読み出しが容易になる。たとえば、セグメント識別パターン110は、媒体識別パターン108が後続することを示す同期ワードを伝達する。
【0031】
図2に、テープ媒体のより詳細な実施形態を示す。図1の要素に対応する、図2の一実施形態の要素には、同様の参照番号が付されている。テープ媒体200は、磁気セグメント202とリーダセグメント206とを接合するスプライシングテープ212を有する。リーダセグメント206は端部214を有し、スプライシングテープ212はこの端部214へと延びる。好ましくは、リーダセグメント206の端部214は不透明である。これには、様々な透明度のスプライシングテープを使用することができるという利点がある。特に、このことは、従来技術のように、スプライシングテープ212の透明度を規定の範囲内に制御する必要があるという品質の問題が解決される。
【0032】
本明細書では、考えられる好ましい実施形態では、識別セグメントは、11ビットをビット位置1〜11において伝達する。図2に示すように、ビット位置1〜4は、セグメント識別パターン210の同期ワードを構成し、ビット位置5〜11は、媒体識別パターン208が伝達するコードワードを構成する。ビット値「0」は、各ビット位置上の透明ストライプによって表され、ビット値論理「1」は、各ビット位置上の不透明ストライプによって表される。図2に示す例では、同期ワードは「0001」であり、一意の鍵「000」を含み、この一意の鍵の両端は不透明部分で括られている。コードワードは「0110101」である。
【0033】
同期ワード内の一意の鍵は予め規定され、媒体識別パターン208では見られない。同期ワードは、リーダセグメント206上で検出されると、後続する媒体識別パターン208の位置を示す。さらに、同期ワードは、リーダセグメント206上の同期ワードが磁気セグメント202の冒頭に対して所定の空間的関係をも有する場合には、テープの物理的な開始(physical beginning of the tape:以下、「PBOT」とよぶ)の検出に使用することもできる。
【0034】
テープ媒体200が、リーダセグメント206に対応する透明トレーラセグメントを有する場合には、トレーラセグメントは完全に透明であってもよく、またはリーダセグメント206が伝達するものと同一の識別セグメントを伝達してもよいが、この場合には、順序は逆になる。すなわち、同期ワードはコードワードの右側になる。テープ媒体200の走行方向に対して識別セグメントの向きが逆であることは、PBOTフラグおよびPEOT(physical ending of the tape、つまり、テープの物理的な端部)フラグとして同期ワードをそれぞれ使用することに役立つ。テープ媒体200のトレーラセグメントは、異なる情報を示す異なるコードを有する同じパターンまたは同様のパターンを含みうる。
【0035】
図3に、媒体識別パターン208の81個の異なるコードワードを含むコード表を示す。図2にはコードワード「0110101」、すなわち図3の表中のコードワード番号28を示すが、図2に示すタイプの別のテープ媒体200は、図3の表に示すその他のコードワードのうちの任意の1つを有することがある。たとえば、各コードワードを製造業者に割り当てることや、テープ媒体200、またはテープ媒体が収容されているカートリッジ筐体の別の属性を示すこともできる。識別セグメントを構成する透明ストライプおよび不透明ストライプの厚さが薄い場合、および/または、テープ媒体のリーダセグメントもしくはトレーラセグメントの長さが長い場合には、より長いコードワードが可能である。
【0036】
図4に、コンピュータ418に結合されたテープドライブ装置416のブロック図を示す。テープドライブ装置416は、テープカートリッジ422の装填および取り出しを行い、リール424を回転させることによってデータを読み書きするために必要に応じてテープ媒体400(図1のテープ媒体100および図2のテープ媒体200参照)を先送りする、または巻き戻すテープドライブ機構420を有する。DDSテープドライブでは、読み出し/書き込みヘッド426がヘリカルスキャンドラムに搭載され、ドラムが回転してヘッド426を掃引し、テープ媒体400が、走行方向に対して斜めの動きでそのヘッド426を通過する。
【0037】
さらに、テープドライブ機構420は、テープ媒体400の光透過性を示す信号を送る光学センサ428を有する。たとえば、光学センサ428は、発光ダイオードと、テープ媒体400を透過した光に対応する信号を測定する光検出器とを有する。光学センサ428の設計は、ECMA−288仕様の付録Bに準拠することができる。
【0038】
テープドライブ装置416は、ファームウェア432を実行するプロセッサ430を有する。ファームウェア432は、テープ媒体400の磁気的に符号化されたデータ記憶部分から/へのデータの読み出し/書き込みを行う命令434を含む(図1および図2の実施形態における磁気セグメント102および磁気セグメント202のそれぞれを参照のこと)。
【0039】
命令436は、センサ428によって送られた信号内のセグメント識別パターン(図1および図2を参照)を検出するように機能する。命令438は、セグメント識別パターン後に続く媒体識別パターン(図1および図2参照)から得られたコードワードをデコードするデコーダを実施する。命令440は、所定のコードワードをセンサ428から受け取った場合にイネーブルされる、製造業者またはフォーマットに特有のソフトウェア機能を実施する。
【0040】
テープドライブ装置416は、テープ媒体400の識別セグメントの予め規定されたセグメント識別パターンと同一の、またはマッチングする参照パターン444を記憶する不揮発性記憶装置442を有する。さらに、記憶装置442は、ログ446の記憶装置としての役割も果たす。テープカートリッジがテープドライブ装置416に装填されるときに、ログエントリがログ446に作成される。
【0041】
テープドライブ装置416は、ネットワーク450を介してテープドライブ装置416をコンピュータ418に結合するインターフェース448を有する。コンピュータ418は、バックアップアプリケーションプログラム454および解析ツール456を実行するプロセッサ452を有する。コンピュータ418には、モニタ458が結合される。
【0042】
バックアップデータを記憶するには、またはそれまでに記憶したバックアップデータを復元するには、テープカートリッジ422がテープドライブ装置416に装填される。テープドライブ装置416の駆動スピンドル(図4に図示せず)がアクティブ化され、テープ媒体400がヘッド426およびセンサ428を経て搬送される。
【0043】
センサ428によって送られた信号は、命令436の実行により、記憶装置442に記憶されている参照パターン444と比較される。マッチングが検出される場合には、これは、セグメント識別パターンが見つかったことを意味する。媒体識別パターンが、予め規定された空間的関係をセグメント識別パターンに対して有する場合にも、媒体識別パターンを、センサ428によって提供された信号内で識別し、命令438によってデコードすることができる。
【0044】
デコードされた媒体情報パターンは、ログ446に入力される。さらに、デコードされた情報パターンに含まれるコードワードは、予め規定されたコードワードと比較される。コードワードがマッチングする場合には、命令440が実行される。
【0045】
好ましくは、テープドライブ装置416は、いわゆるリアルタイムクロック(RTC)として実施することができる時間基準460を有する。ログ446に入力されるログエントリには、時間基準460によって提供される実時間値によってタイムスタンプが付けられる。
【0046】
品質監視および/または品質保証のために、記憶装置442からログ446を読み出す要求を解析ツール456から受け取ったことに応答して、記憶装置442からログ446を読み出すことができる。解析ツール456により、ユーザが様々なテープカートリッジの過去の使用をレビューするために、ログ446の内容をモニタ458上に視覚化することができる。
【0047】
図5に、図4のログ446の構造の実施形態を示す。表形式ログの各行が1つのログエントリに対応する。各ログエントリにはタイムスタンプが付けられ、各ログエントリは、各媒体識別パターンをデコードすることによって得られたテープシリアルナンバーおよび製造業者の名称を含む。
【0048】
図6に、図4のテープドライブ装置416の動作を示すフローチャートを示す。ステップ600において、テープカートリッジがテープドライブ装置に装填される。これに応答して、テープドライブ装置の駆動スピンドルがアクティブ化され、光学センサを経てテープ媒体を搬送する。ステップ602において、センサ出力が参照パターンと永続的に比較される。
【0049】
センサ出力が参照パターンとマッチングされる場合には、制御はステップ604に進み、光学センサによって送られた信号から媒体識別パターンを読み出す。ステップ606において、媒体識別パターンを伝達する信号部分がデコードされる。ステップ608において、デコードされた媒体識別パターンをログに記憶する。これに代えて、またはこれに加えて、ステップ610において、デコードされた媒体識別パターンに含まれる媒体識別情報に応じて、製造業者に特有の機能がイネーブルまたはディスエーブルされる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】テープ媒体の第1の実施形態の部分図である。
【図2】テープ媒体のより詳細な第2の実施形態の部分図である。
【図3】図2のテープ媒体によって伝達されるコードワードを例示的に符号化したものである。
【図4】コンピュータに結合されたテープドライブ装置のブロック図である。
【図5】図4のテープドライブのログを示す概略図である。
【図6】テープ媒体からの媒体識別情報の読み出しに関わるステップを示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を磁気的に記憶する磁気セグメントと、識別セグメントとを備え、
該識別セグメントが、媒体識別パターンと該識別セグメントを検出するためのセグメント識別パターンとを有するものである、テープドライブ装置用媒体。
【請求項2】
端部セグメントを備え、前記識別セグメントは該端部セグメントに配置されている請求項1に記載の媒体。
【請求項3】
前記端部セグメントはリーダセグメントである請求項2に記載の媒体。
【請求項4】
前記端部セグメントは透明であり、前記媒体識別パターンおよび前記セグメント識別パターンのそれぞれは、少なくとも1つの不透明部分を備えている請求項2に記載の媒体。
【請求項5】
前記少なくとも1つの不透明部分はストライプの形態を有している請求項4に記載の媒体。
【請求項6】
前記媒体識別パターンの各ストライプは、1ビットの媒体識別情報を表している請求項5に記載の媒体。
【請求項7】
前記媒体識別パターンは該媒体のタイプを示している請求項1に記載の媒体。
【請求項8】
前記媒体識別パターンは該媒体の製造業者を示している請求項1に記載の媒体。
【請求項9】
前記媒体識別パターンは該媒体のシリアルナンバーを示している請求項1に記載の媒体。
【請求項10】
前記媒体識別パターンは該媒体のグローバルに一意な識別子を示している請求項1に記載の媒体。
【請求項11】
前記媒体識別パターンは、イネーブルまたはディスエーブルすべき前記テープドライブの機能を示している請求項1に記載の媒体。
【請求項12】
前記媒体識別パターンは、該媒体の物理的な属性を示している請求項1に記載の媒体。
【請求項13】
前記セグメント識別パターンは、前記媒体識別パターンと前記磁気セグメントとの間に配置されている請求項1に記載の媒体。
【請求項14】
前記セグメント識別パターンは、同期ワードを伝達するものである請求項1に記載の媒体。
【請求項15】
該媒体の前記磁気セグメントおよび端部セグメントは、スプライシングテープによって接続され、該スプライシングテープは、前記端部セグメントの端部上に延出し、前記セグメント識別パターンは前記端部セグメント上の前記端部外に配置されている請求項1に記載の媒体。
【請求項16】
前記端部は不透明である請求項15に記載の媒体。
【請求項17】
第1のリールおよび第2のリールと、
データ記憶部分および端末部分を有しており、該端末部分は識別セグメントを有し該識別セグメントは媒体タイプ識別パターンおよび前記識別セグメントを検出するためのセグメント識別パターンを伝達する、前記第1のリールおよび前記第2のリールに巻き取られるテープ媒体と
を含んでなる、テープドライブ用テープカートリッジ。
【請求項18】
前記セグメント識別パターンは、同期パターンである請求項17に記載のテープカートリッジ。
【請求項19】
前記媒体タイプ識別パターンは、該テープカートリッジの製造業者を示すものである請求項17に記載のテープカートリッジ。
【請求項20】
前記セグメント識別パターンは、前記データ記憶部分と前記媒体タイプ識別パターンとの間に配置されている請求項17に記載のテープカートリッジ。
【請求項21】
テープ媒体のためのテープドライブ装置であって、該テープ媒体は、情報を磁気的に変換する磁気セグメントおよび識別セグメントを有し、該識別セグメントは、媒体識別パターンおよびセグメント識別パターンを伝達するものであり、
装填された前記テープ媒体と該テープドライブ装置との間でデータを転送するデータ転送装置と、
前記識別セグメントを表す信号を提供する読み取り器と、
前記信号中の前記セグメント識別パターンを検出する検出器と、
前記セグメント識別パターンの前記検出に応答して、前記媒体識別パターンをデコードするデコーダと
を含んでなる、テープ媒体のためのテープドライブ装置。
【請求項22】
前記セグメント識別パターンを検出するための参照パターンを記憶する不揮発性メモリをさらに含む請求項21に記載のテープドライブ装置。
【請求項23】
前記媒体識別パターンに符号化された前記媒体識別情報を記憶する記憶装置をさらに含む請求項21に記載のテープドライブ装置。
【請求項24】
ログを記憶する記憶装置をさらに含み、前記ログは、識別されたテープ媒体のそれぞれにログエントリを有し、該ログエントリは、少なくとも、前記媒体識別パターンをデコードすることによって前記デコーダにより提供される媒体識別情報を含んでいる請求項21に記載のテープドライブ装置。
【請求項25】
前記媒体識別情報は、前記テープ媒体の製造業者の識別子、前記テープ媒体のシリアルナンバー、および/または、前記テープ媒体のグローバルに一意な識別子を含むものである請求項24記載のテープ媒体のためのテープドライブ装置。
【請求項26】
時間基準をさらに含み、前記ログエントリは、前記時間基準から得られるタイムスタンプをさらに含んでいる請求項24に記載のテープドライブ装置。
【請求項27】
コントローラをさらに含み、該コントローラは、前記媒体識別パターンをデコードすることによって前記デコーダにより提供される予め規定されたコードワードに応答して、前記テープドライブの機能をイネーブルまたはディスエーブルするように適合されている請求項21に記載のテープドライブ装置。
【請求項28】
テープ媒体から媒体識別情報を読み出すための方法であって、該テープ媒体は、情報を磁気的に変換する磁気セグメントおよび識別セグメントを有し、該識別セグメントは、媒体識別パターンおよび前記識別セグメントの検出のためのセグメント識別パターンを伝達するものであり、
前記セグメント識別パターンを検出するステップと、
前記媒体識別パターンを読み出すステップと、
前記媒体識別パターンをデコードして、前記媒体識別情報を得るステップと
を含んでなる、テープ媒体から媒体識別情報を読み出すための方法。
【請求項29】
前記セグメント識別パターンおよび前記媒体識別パターンは所定の空間的関係を有しており、前記所定の空間的関係を用いて前記媒体識別パターンを読み出すための読み出し位置を選択するステップをさらに含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記媒体識別情報をログに記録することをさらに含む請求項28に記載の方法。
【請求項31】
テープ媒体の品質保証および/または品質監視のために、前記ログを解析することをさらに含む請求項28に記載の方法。
【請求項32】
請求項28に記載のテープ媒体から媒体識別情報を読み出す方法を実行するように動作可能なコンピュータプログラム製品。
【請求項33】
一連の記憶媒体からデータを読み出すための装置であって、該一連の記憶媒体はデータ記憶部分および端末部分を有し、該端末部分は識別セグメントを有し、該識別セグメントは記憶媒体識別パターンおよび前記識別セグメントを検出するためのセグメント識別パターンを伝達するものであり、
装填された補助記憶媒体の前記データ記憶部分に対して情報を磁気的に変換する手段と、
前記識別セグメントを表す信号を提供する手段と、
前記信号中の前記セグメント識別パターンを検出する手段と、
前記セグメント識別パターンの検出に応答して、前記記憶媒体識別パターンをデコードする手段と
を含んでなる、一連の記憶媒体からデータを読み出すための装置。
【請求項34】
前記信号中の前記セグメント識別パターンを検出するための参照パターンを記憶する不揮発性記憶方法をさらに含む請求項33に記載の装置。
【請求項35】
情報を磁気的に記憶する磁気部分と、
少なくとも2ビットの情報を伝達する光学的可読パターンと
を備えたテープ媒体。
【請求項36】
透明部分を有し、前記パターンが該透明部分に配置されている請求項35に記載のテープ媒体。
【請求項37】
前記透明部分はテープリーダ部分である請求項36に記載のテープ媒体。
【請求項38】
前記透明部分はテープトレーラ部分である請求項36記載のテープ媒体。
【請求項39】
少なくとも2つの前記パターンを備えた請求項35に記載のテープ媒体。
【請求項40】
テープ媒体のテープカートリッジであって、該テープ媒体は、情報を磁気的に記憶する磁気部分と、少なくとも2ビットの情報を伝達する光学的可読パターンとを備えている、テープ媒体のテープカートリッジ。
【請求項41】
前記情報は、前記テープ媒体および/または該テープカートリッジに関連するものである請求項40に記載のテープカートリッジ。
【請求項42】
複数の光学的に読み取り可能なパターンを指定するテープフォーマットであって、読み取り可能なパターンのそれぞれは少なくとも2ビットの情報を伝達するものであるテープフォーマット。
【請求項43】
1以上の前記パターンを配置することができるテープ媒体の少なくとも一部をさらに指定するものである請求項42に記載のテープフォーマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−48912(P2006−48912A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222576(P2005−222576)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】