説明

テープ処理方法およびテープ処理装置

【課題】 本発明は、晴眼者にも点字打刻の終了を認識させることができるテープ処理方法およびテープ処理装置を提供することを課題としている。
【解決手段】 本発明のシート処理方法は、短冊状の処理テープTに、予め設定された打刻領域72に亘って点字42を打刻すると共に、打刻領域72に後続する処理テープTのマーク領域74に、点字打刻が終了したことを表すエンドマーク73を打刻する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短冊状の処理テープに点字を打刻すると共に打刻完了のエンドマークを打刻するテープ処理方法およびテープ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、手差しで導入した短冊状の打刻テープに点字を打刻する点字打刻機構を搭載したテープ処理装置が知られている(特許文献1参照)。この点字打刻機構では、ソレノイドを駆動源として、縦列3点の打刻凸部を形成する3本の打刻ピンと、導入した打刻テープを一方向に送るテープ送りローラと、を備え、テープ送りローラにより点字テープを送りながら、ソレノイドにより3本の打刻ピンを選択的に駆動して、点字テープにいわゆる6点点字を行うようにしている。
【特許文献1】登録実用新案公報第3054580号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来のテープ処理装置では、短冊状の打刻テープが本来の寸法以内であった場合、或いはテープ送りローラの周面にごみ等が付着して打刻タイミングに対しテープの送り量が多くなってしまう場合に、点字列の後端が打刻テープからはみ出してしまうおそれがある。かかる場合に、点字が判読できない晴眼者には、点字列が最後まで完全に打刻されているか否かを判読できず、不完全な点字ラベルを作成してしまう問題があった。
【0004】
本発明は、晴眼者にも点字打刻の終了を認識させることができるテープ処理方法およびテープ処理装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のテープ処理方法は、短冊状の処理テープに、予め設定された打刻領域に亘って点字を打刻すると共に、打刻領域に後続する処理テープのマーク領域に、点字打刻が終了したことを表すエンドマークを打刻することを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、処理テープの打刻領域には点字が打刻され、これに後続するマーク領域にはエンドマークが打刻される。このエンドマークにより、点字を理解することができない晴眼者であっても、点字の打刻が完全に終了したか否かを確認することができる。したがって、不完全な点字ラベルを作成してしまうことがない。なお、晴眼者において、点字とエンドマークとを区別できるようにしておくことは、いうまでもない。
【0007】
この場合、処理テープは、記録テープの裏面に剥離テープを貼着したものであり、打刻領域とマーク領域との境界に、記録テープのみを切断したハーフカット線を形成することが、好ましい。
【0008】
この構成によれば、記録テープに設けられたハーフカット線により打刻領域とマーク領域とを明確に識別することができる。また、打刻領域とマーク領域とが切り離されるため、所望の点字を打刻した記録テープの打刻領域のみを対象物に貼着することができる。さらに、記録テープにエンドマークが残らないため、触読の際に違和感が生ずることがない。
【0009】
本発明のテープ処理装置は、入力された点字情報に基づいて、短冊状の処理テープに点字を打刻する点字打刻手段と、処理テープに点字打刻のための打刻領域を設定する領域設定手段と、点字打刻手段を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、点字打刻手段を制御し、打刻領域に点字を打刻させると共に、打刻領域に後続する処理テープのマーク領域に、点字打刻が終了したことを表すエンドマークを打刻させることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、入力された点字情報に基づき領域設定手段が点字の打刻領域を設定する。そして、制御手段の制御を受けた点字打刻手段は、処理テープの打刻領域に点字を打刻すると共に、これに続くマーク領域にエンドマークを打刻する。このエンドマークにより、点字を理解することができない晴眼者であっても、点字の打刻が完全に終了したか否かを確認することができる。したがって、不完全な点字ラベルを作成してしまうことがない。
【0011】
この場合、処理テープは、記録テープの裏面に剥離テープを貼着したものであり、処理テープの記録テープのみを切断するハーフカット手段を更に備え、制御手段は、ハーフカット手段を制御し、打刻領域とマーク領域との境界にハーフカット線を形成することが、好ましい。
【0012】
この構成によれば、制御手段の制御を受けたハーフカット手段により、処理テープの記録テープにのみハーフカット線が形成される。このハーフカット線により打刻領域とマーク領域とを明確に識別することができる。また、打刻領域とマーク領域とが切り離されるため、所望の点字を打刻した記録テープの打刻領域のみを対象物に貼着することができる。さらに、記録テープにエンドマークが残らないため、触読の際に違和感が生ずることがない。
【0013】
この場合、エンドマークは、点字を表現する打刻パターン以外の打刻パターンで構成されていることが、好ましい。
【0014】
この構成によれば、晴眼者がマーク領域に点字が打刻されていると誤認するのを防止することができる。また、点字の打刻終了を正確に認識することができる。
【0015】
この場合、点字の打刻パターンは、点字マスの6点の打刻点に選択的に打刻した打刻凸部で構成され、エンドマークの打刻パターンは、マスを点字マスより狭幅とし且つ6点の打刻点全てに打刻した打刻凸部で構成されていることが、好ましい。
【0016】
この構成によれば、エンドマークは通常の点字とは異なるマス(間隔)で、6点の打刻点全てに配置した打刻凸部(打刻パターン)で構成されているため、晴眼者が容易にこれを認識することができる。また、点字の打刻手段を用いた簡単な制御により、エンドマークを形成することができる。
【0017】
この場合、ロール状に巻回した長尺の処理テープを収容したテープカートリッジが着脱自在に装着されるカートリッジ装着部と、装着したテープカートリッジから繰り出された長尺の処理テープを切断して、短冊状の処理テープを作成するフルカット手段と、を更に備えたことが、好ましい。
【0018】
この構成によれば、テープカートリッジに収容した長尺の処理テープをフルカット手段により切断(フルカット)して、任意の大きさの短冊状の処理テープを作成し、これに点字を打刻することができる。また、点字(点字列)+エンドマークの長さに応じた長さの点字ラベルを作成することができる。
【0019】
この場合、フルカット手段によるテープ切断に先立ち、長尺の処理テープを送りながらこれに墨字印刷を行う印刷手段を、更に備えたことが、好ましい。
【0020】
この構成によれば、点字に墨字を併記させた処理テープを作製することができる。これにより、例えば、点字の意味内容を表した墨字を印刷手段で印刷することができ、晴眼者にも分かりやすい処理テープを作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施に係るテープ処理方法およびテープ処理装置について説明する。
【0022】
図1の外観斜視図に示すように、テープ処理装置1は、処理テープTに墨字印刷を行う印刷部3と点字打刻を行う打刻部4とを有し、印刷部3において処理テープTに墨字印刷を行った後、排出された処理テープTを打刻部4に手差しし、打刻部4において点字打刻を行うようになっている。一方、処理テープTは、テープカートリッジ5に収容され、テープ処理装置1に着脱自在に装着される。
【0023】
テープ処理装置1は、装置ケース6により外郭が形成され、装置ケース6の内部には上記した印刷部3および打刻部4の主装置が内蔵されている。印刷部3は、テープ処理装置1の主要部を構成し、打刻部4は、テープ処理装置1の右後部に組み込まれている。
【0024】
印刷部3の前部上面には各種入力キーを備えたキーボード2が配設され、後部上面には開閉蓋9が取り付けられると共にこの開閉蓋の表面にディスプレイ10(図5参照)が配設されている。開閉蓋9の内側にはテープカートリッジ5が装着されるカートリッジ装着部7が窪入形成されている。また、開閉蓋9の左部にはこれを閉止した状態でテープカートリッジ5の装着/非装着を視認するための覗き窓19が形成されている。なお、装置ケース6の右側面には、電源供給のための電源供給口(図示省略)が設けられている。
【0025】
また、装置ケース6の左側面には、カートリッジ装着部7と装置外部とを連通するテープ排出口8が形成され、これにケース内部から切断部11が臨んでいる(図5参照)。この切断部11には、フルカッタモータ12の駆動で処理テープTをフルカットするフルカッタ13(フルカット手段)と、同じくハーフカッタモータ14の駆動で処理テープTをハーフカットするハーフカッタ15(ハーフカット手段)と、が組み込まれている(図5参照)。
【0026】
フルカッタ13は、詳細は図示しないが、はさみ形式のもので構成され、これが切断動作すると、これに臨む処理テープTの後述する記録テープTaおよび剥離テープTbの両方を切断、すなわち処理テープTをフルカットできるようになっている。
同様に、ハーフカッタ15は、ストッパ付きのはさみ形式のもので構成されている。ハーフカッタ15が切断動作すると、これに臨む処理テープT(処理テープT)の記録テープTaのみを切断、すなわち処理テープTをハーフカットするようになっている。そして、このハーフカットにより、記録テープTaにハーフカット線18が形成される(図6参照)。
【0027】
カートリッジ装着部7には、ヘッドカバー21内にサーマルヘッドである印刷ヘッド22(図4参照)を収容したヘッドユニット23(印刷手段)と、印刷ヘッド22に対峙するプラテン駆動軸(図示省略)と、後述のインクリボンR(図4参照)を巻き取る巻取り駆動軸(図示省略)と、テープリール24(図4参照)の位置決め突起25と、が突設されている。また、カートリッジ装着部7の下側空間には、プラテン駆動軸および巻取り駆動軸を回転させる印刷送りモータ26(図5参照)および動力伝達機構(図示省略)が内蔵されている。
【0028】
カートリッジ装着部7にテープカートリッジ5が装着されると、テープカートリッジ5の後述する貫通開口27にヘッドユニット23が、テープリール24に位置決め突起25が、リボン巻取りリール28に巻取り駆動軸が、プラテンローラ31にプラテン駆動軸が、それぞれ差し込まれ、処理テープTおよびインクリボンRを挟み込んで印刷ヘッド22がプラテンローラ31に当接して墨字印刷が可能になる(いずれも図4参照)。そして、プラテンローラ31により送られる処理テープTに対し、入力した墨字データに基づき印刷ヘッド22が印刷駆動することにより、墨字の印刷処理が行われる。印刷処理後の処理テープTは、上記の切断部11によって切断処理(フルカット、ハーフカット)され、テープ排出口8から装置外部に送り出される。なお、点字打刻を行う場合には、この切断された処理テープTを手差しで打刻部4に送り込むようにする。
【0029】
打刻部4には、図2に示すように装置フレーム(図示省略)に打刻ユニット32(点字打刻手段)およびテープ送り機構33を組み込んだ主装置を構成する点字打刻アッセンブリ34が内蔵されている。打刻ユニット32は、3個のソレノイド35を駆動源として打刻動作する3個の打刻ピン36を有している。そして、打刻ユニット32は、テープ送り機構33によりテープ導入口37からテープ導出口38に至るテープ走行路41上を送られていく処理テープTに対し、3個の打刻ピン36を選択的に駆動し、点字42(複数の打刻凸部)を打刻形成する。この場合、各ソレノイド35とこれに対応する打刻ピン36との間には、回動リンク43が連結されている。すなわち、ソレノイド35が吸引動作(励磁)し回動リンク43が回動すると、これにより打刻ピン36が突き上げられて処理テープTに点字が打刻される。なお、3個のソレノイド35は、時間差をおいて駆動するようになっている。
【0030】
図3は、打刻ユニット32により処理テープT上に打刻した6点点字42と、これに隣接する6点点字44との位置関係とを表したものである。同図に示す点字42は、平仮名「し」を意味している。通常、点字は、縦3個×横2個の6個の点で1マスの点字マス49が構成され、この点字マス49により、1文字の他、濁点等の属性が表現されている。また、6点点字42は、縦方向のピッチが略2.4mm、横方向のピッチが略2.1mm、隣接マスの点までの(マス間)ピッチは略3.3mmとなっている。
本実施形態では、点字「し」42は、上記した打刻ピン36の駆動により打刻された4個の打刻凸部45として構成されている。なお、打刻凸部45は、黒丸で表示している。
【0031】
なお、点字42には、仮名文字や数字等を表す6点点字の他、縦4個×横2個の8個のビットパターンの点で漢字を表す8点点字も使用されている。本実施形態のテープ処理装置1は、6点点字を打刻するものであるが、もちろん8点点字を打刻可能な構成であってもよい。
【0032】
同図(b)は、打刻凸部45の断面形状である。同図に示すように、打刻凸部45の形状は、半球形である。なお、打刻凸部45の形状は、角の丸まった円筒形のものであれば良い(触感が良く好ましい)とされているが、他の形状、例えば円錐形、四角錐形等であってもよい。
【0033】
次に図4を参照して、テープカートリッジ5について説明する。テープカートリッジ5は、カートリッジケース46に処理テープTを繰出し自在に収容すると共に、インクリボンRを繰出し且つ巻取り自在に収容している。処理テープTは、裏面に粘着剤層(図示省略)が設けられた記録テープTaと、この粘着剤層により記録テープTaの裏面に貼付された剥離テープTbとで構成されている(図1参照)。なお、処理テープTには、12mm、および24mmのテープ幅を有するものの他、テープ種別(テープ色、墨字インク色など)が異なる複数種のものが用意されている。
【0034】
図4は、テープカートリッジ5の内部構造を示す断面図である。同図に示すように、テープカートリッジ5は、外郭を構成するカートリッジケース46の内部に、処理テープTを巻回したテープリール24と、右下部に処理テープTと略同幅のインクリボンRを巻回したリボン繰出しリール47およびリボン巻取りリール28とを収容し、且つ左下部にプラテンローラ31を収容して構成されている。なお、テープリール24に巻回した処理テープTは、その先端をテープ送出スリット48からわずかに突出させたままカートリッジケース46に保持されている。
【0035】
テープリール24の左下部には上記したヘッドユニット23に差し込むための貫通開口27が形成されており、処理テープTとインクリボンRとが重なる部分に対応して、装置側のプラテン駆動軸に嵌合するプラテンローラ31が配置されている。リボン繰出しリール47から繰り出されたインクリボンRは、貫通開口27を構成する開口部壁51を周回するように送られリボン巻取りリール28に巻き取られる。そして、テープリール24から繰り出された処理テープTは、リボン繰出しリール47から繰り出されたインクリボンRとプラテンローラ31の位置で重合し、印刷ヘッド22の熱転写による印刷を受ける。印刷後の処理テープTは、テープ送出スリット48から送り出され、インクリボンRは、リボン巻取りリール28に巻き取られる。
【0036】
次に、本実施形態のテープ処理装置1の制御構成について、図5を参照して説明する。テープ処理装置1は、キーボード2およびディスプレイ10を有する操作部52と、テープカートリッジ5が装着されるカートリッジ装着部7と、フルカッタ13およびハーフカッタ15を有する切断部11と、点字打刻を行う上記の打刻部4と、各部を駆動する駆動部53と、各部と接続されテープ処理装置1全体を制御する制御部54(制御手段)と、によって構成されている。
【0037】
駆動部53は、ディスプレイ10を駆動するディスプレイドライバ55、印刷ヘッド22を駆動するヘッドドライバ56、および印刷送りモータ26を駆動する印刷送りモータドライバ57に加え、切断部11のフルカッタモータ12およびハーフカッタモータ14を駆動するカッタモータドライバ58、打刻部4内のソレノイド35および打刻ピン36を駆動する打刻ドライバ61、打刻部4内の打刻送りモータ62を駆動する打刻送りモータドライバ63をさらに有し、これら各種のアクチュエータ(ソレノイドおよびモータ)を駆動する。
【0038】
制御部54は、CPU64、ROM65、RAM66および入出力制御装置67(以下、「IOC:Input Output Controller」という)を備え、互いに内部バス68により接続されている。ROM65は、印刷処理や点字打刻処理等の各種処理をCPU64で制御するための制御プログラムを記憶する制御プログラムブロック65aと、墨字印刷を行うための文字フォントデータ、文字サイズデータ、点字打刻を行うための点字フォントデータ等を記憶するデータブロック65bと、墨字で入力された点字情報を点字の点字データに翻訳する点訳プログラムを記憶する点訳プログラムブロック65cと、入力編集画面(図示省略)を表示する入力編集プログラムを記憶する入力編集プログラムブロック65dと、処理テープTに打刻領域を設定する領域設定プログラム(領域設定手段)を記憶する領域設定プログラムブロック65eと、を有している。
【0039】
入力編集プログラムは、各種の処理モード(第1処理モード:墨字のみ、第2処理モード:点字のみ、第3処理モード:墨字・点字併記)を有している。入力編集プログラムは、ディスプレイ10に表示した入力編集画面において、ユーザに上記処理モードを選択させ、所定の手順でユーザにデータ入力をさせることにより、テープ処理装置1におけるテープ処理の元となる墨字データおよび点字データ(点字情報)を生成する。
【0040】
領域設定プログラムは、上記の墨字データおよび点字データに基づいて、処理テープT(処理テープT)上に墨字の印刷領域71および点字の打刻領域72のうち少なくとも一方を設定する。設定された墨字の印刷領域71および点字の打刻領域72の領域データは、RAM66に一時的に記憶され、印刷処理および点字打刻処理の際に用いられる。
【0041】
RAM66は、フラグ等として使用される各種ワークエリアブロック66aの他、生成された墨字データを記憶する墨字データブロック66bと、生成された点字データを記憶する点字データブロック66cと、上記の墨字の印刷領域71および点字の打刻領域72の領域データを記憶する領域データブロック66dと、を有し、制御処理のための作業領域として使用される。また、RAM66は電源が切断されても記憶したデータを保持しておくように常にバックアップされている。
【0042】
IOC67には、CPU64の機能を補うと共に各種周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSIなどにより構成されて組み込まれている。これにより、IOC67は、キーボード2からの入力データや制御データをそのまま或いは加工して内部バス68に取り込むと共に、CPU64と連動して、CPU64から内部バス68に出力されたデータや制御信号を、そのまま或いは加工して駆動部53に出力する。
【0043】
そして、CPU64において起動した入力編集プログラムに従い、ユーザがキーボード2を介してデータ入力すると、墨字データおよび点字データが生成される。これら生成された墨字データおよび点字データは、RAM66の墨字データブロック65bおよび点字データブロック65bにそれぞれ保存される。その後ユーザが、各種処理モードのうちいずれかの処理開始を指示すると、CPU64においてROM65から読み出した領域設定プログラムが起動し、処理テープT(処理テープT)に印刷領域71および打刻領域72を設定する(図7(d)参照)。続いて制御プログラムが起動し、制御プログラムは、上記の墨字データおよび点字データに基づいて、制御信号をIOC67を介して駆動部53に出力する。制御信号を受けた駆動部53のヘッドドライバ56および打刻ドライバ61は、それぞれ印刷ヘッド22およびソレノイド35を直接駆動し、処理テープTの印刷領域71および打刻領域72に対して印刷処理および点字打刻処理を行う。
【0044】
次に、図6を参照して、本実施形態のテープ処理装置1を用いた、実際のテープ処理手順(テープ処理方法)について説明する。この処理手順では、入力編集プログラムに従って、ユーザがテープ処理装置1にデータ入力を行い、所望の点字(墨字)を打刻(印刷)した処理テープTの作成を行う。
【0045】
テープ処理装置1においては、入力編集画プログラムおよび点訳プログラムが起動しており、ディスプレイ10には、入力編集画面が表示されている。ここで、ユーザが、第2処理モード(点字のみ)を選択し、所望の点字情報(この場合「あ」「い」「う」)を墨字で入力すると、CPU64では、点訳プログラムにより、墨字による点字情報を点字による点字データに翻訳する。更に、CPU64においては領域設定プログラムが起動し、領域設定プログラムは、点字データから算出した点字文字列の長さを元に処理テープT上に打刻領域72を設定する。併せて、領域設定プログラムは、エンドマーク73の長さに基づきマーク領域74を設定する(実際には、打刻領域72およびマーク領域74の領域データがRAM66の領域データブロック65bに保持されている)。
【0046】
そして、ユーザが点字の打刻開始を指示すると、印刷部3においては、プラテンローラ31が駆動し、図6(a)に示すように、長尺の処理テープTが装置外部に送り出される。そして、処理テープTが送出される際には、切断部11のフルカッタ13が駆動し、図6(b)に示すように、切断部11に臨んだ処理テープTを短冊状に切断する。更に、この送られる処理テープTに対しては、ハーフカッタ15が駆動し、その打刻領域72とマーク領域74との境界に、記録テープTaのみカットしたハーフカット線18を形成する。
【0047】
続いて、ユーザがこの短冊状に切断された処理テープTを手差しで打刻部4に送り込むと、テープ送り機構33により処理テープTが送られると共に、図6(c)に示すように、打刻ユニット32により処理テープTの打刻領域72に「あ」「い」「う」からなる点字列75が打刻される。また、打刻領域72に後続するマーク領域74には、打刻ユニット32によりエンドマーク73が打刻される。
【0048】
エンドマーク73は、6点点字でいうところの6個の打刻点全てを打刻した6個(複数)の打刻凸部45で構成されているが、右側の3個の打刻凸部45を打刻するタイミングを、通常の点字より若干早めて打刻するようにしている。このため、エンドマーク73は、縦方向の打刻点のピッチが点字のものと同じ間隔で構成される一方、横方向においては、マス77の幅が(点字マス49に比して)狭くなるように、その打刻点のピッチが狭幅(2.1mm以下)に構成されている。これにより、ユーザは点字列75とエンドマーク73とを明確に区別でき、点字の打刻終了を確認することができる。また、エンドマーク73は、打刻タイミングを早めるだけで打刻形成できるため、打刻部4の構造を複雑にすることなく、点字列75と識別可能なエンドマーク73を簡単に形成することができる。
【0049】
なお、本発明では、エンドマーク73を打刻するようにしているが、実際には、処理テープTの打刻領域72とマーク領域74との境界にハーフカット線18を設けることのみでも対応できる。すなわち、ハーフカット線18を跨いでマーク領域74まで点字列75が打刻された場合には、点字列75が正しく打刻終了していないことをユーザが認識できるからである。しかしながら、図示省略したが、2個の独立した点字列を長めの余白部分を挟んで1枚の処理テープTに打刻しようとする場合に、余白部分の途中でテープカートリッジ5の処理テープTが終了(テープ切れ)してしまったときには、ユーザが打刻完了したものと誤認してしまうおそれがある。エンドマーク73を打刻するようにすれば、上記のような誤認は生じない。
【0050】
以上が本発明のテープ処理方法およびテープ処理装置1の実施形態である。本実施形態によれば、エンドマーク73により、点字を理解することができない晴眼者であっても、処理テープTに対して正確に点字打刻が行われたことを確認することができる。また、エンドマーク73の打刻には、点字の打刻ユニット32を用いるため、新たな装置を必要とせずテープ処理装置1の構造を複雑化することがない。更に、上記のように打刻部4側のテープ送り機構33の送り速度がゴミ等により速まって点字列75が処理シートTからはみ出した場合の他、テープ切れ等により設定値より短い処理テープTであるにもかかわらず点字打刻を行い点字列75がはみ出してしまった場合にも、エンドマーク73が形成されないため、ユーザは不完全な処理テープTであることを認識することができる。
【0051】
なお、その他の実施形態として、エンドマーク73は、他の打刻パターンであってもよい。すなわち、図7(a)に示すように、エンドマーク73Aを、マーク領域74の中央部に、通常の点字42の横方向のピッチより狭幅で打刻した2個の打刻凸部45で構成するようにしてもよい。これにより、エンドマーク73をより一層簡単に構成することができる。この場合も、エンドマーク73を点字列75と明確に区別することができる。
【0052】
また、図7(b)に示すように、点字の横方向のピッチより狭幅で打刻した9個の打刻凸部45により、エンドマーク73Bを構成するようにしてもよい。この場合、エンドマーク73Bは、より一層強調され、点字列75と明確に区別されるようになっている。
【0053】
更に、図7(c)に示すように、図形的に配置された複数の打刻凸部45で構成したエンドマーク73Cを構成してもよい。このようにしても、エンドマーク73を点字列75と明確に区別することができる。上記各エンドマーク73A〜Cは、いずれも打刻ユニット32を利用して打刻できるようになっている。なお、上記したこれらのエンドマーク73、73A〜Cを、テープ処理装置1の取扱説明書に記載しておき、ユーザがこれらを点字列75と区別して認識できるようにしておくことは、いうまでもない。
【0054】
また、図7(d)に示すように、点字列75に墨字列76を併記した処理テープTに対してエンドマーク73を打刻するようにしてもよい。この場合、処理テープTの印刷領域71には、墨字データに基づいて印刷ヘッド22が墨字列76を印刷する。また、処理テープTの点字の打刻領域72には、点字データに基づいて打刻ユニット32が点字列75を打刻する。更に、処理テープTのマーク領域74には、打刻ユニット32がエンドマーク73を打刻する。このようにして、点字列75と墨字列76とを併記した処理テープTが形成されるが、このような処理テープTであっても、エンドマーク73により点字の打刻終了を認識することができる。
【0055】
なお、図示省略したが、墨字列を漢字表記した場合には、墨字列が短く表記され、墨字列の各墨字と点字列の各点字とが1対1で対応しない状況が起こり得る。この場合、点字列が打刻終了しているか否かは、晴眼者には分かりにくいものとなっているが、この実施形態のようにエンドマーク73を打刻するようにすれば、点字列の打刻終了を容易に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】テープ処理装置の外観斜視図である。
【図2】(a)点字打刻アッセンブリの平面図、(b)点字打刻アッセンブリの側面図である。
【図3】(a)6点点字を説明する図、(b)点字の断面図である。
【図4】(a)テープカートリッジの内部構造を示す断面図である。
【図5】テープ処理装置の制御構成を示すブロック図である。
【図6】実施形態のテープ処理方法の手順に従い、(a)テープカートリッジから繰り出される処理テープ、(b)ハーフカット線を形成した処理テープ、(c)点字およびエンドマークを打刻した処理テープ、を表した説明図である。
【図7】他の実施形態の処理テープを表した説明図である。
【符号の説明】
【0057】
T 処理テープ Ta 記録テープ
Tb 剥離テープ 1 テープ処理装置
5 テープカートリッジ 7 カートリッジ装着部
13 フルカッタ 15 ハーフカッタ
18 ハーフカット線 22 印刷ヘッド
45 打刻凸部 49 点字マス
72 打刻領域 73 エンドマーク
74 マーク領域 77 マス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
短冊状の処理テープに、予め設定された打刻領域に亘って点字を打刻すると共に、前記打刻領域に後続する前記処理テープのマーク領域に、点字打刻が終了したことを表すエンドマークを打刻することを特徴とするテープ処理方法。
【請求項2】
前記処理テープは、記録テープの裏面に剥離テープを貼着したものであり、
前記打刻領域と前記マーク領域との境界に、前記記録テープのみを切断したハーフカット線を形成することを特徴とする請求項1に記載のテープ処理方法。
【請求項3】
入力された点字情報に基づいて、短冊状の処理テープに点字を打刻する点字打刻手段と、
前記処理テープに点字打刻のための打刻領域を設定する領域設定手段と、
前記点字打刻手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記点字打刻手段を制御し、前記打刻領域に点字を打刻させると共に、前記打刻領域に後続する前記処理テープのマーク領域に、点字打刻が終了したことを表すエンドマークを打刻させることを特徴とするテープ処理装置。
【請求項4】
前記処理テープは、記録テープの裏面に剥離テープを貼着したものであり、
前記処理テープの前記記録テープのみを切断するハーフカット手段を更に備え、
前記制御手段は、前記ハーフカット手段を制御し、前記打刻領域と前記マーク領域との境界にハーフカット線を形成することを特徴とする請求項3に記載のテープ処理装置。
【請求項5】
前記エンドマークは、点字を表現する打刻パターン以外の打刻パターンで構成されていることを特徴とする請求項3または4に記載のテープ処理装置。
【請求項6】
前記点字の打刻パターンは、点字マスの6点の打刻点に選択的に打刻した打刻凸部で構成され、
前記エンドマークの打刻パターンは、マスを前記点字マスより狭幅とし且つ前記6点の打刻点全てに打刻した打刻凸部で構成されていることを特徴とする請求項5に記載のテープ処理装置。
【請求項7】
ロール状に巻回した長尺の前記処理テープを収容したテープカートリッジが着脱自在に装着されるカートリッジ装着部と、
装着した前記テープカートリッジから繰り出された長尺の前記処理テープを切断して、短冊状の前記処理テープを作成するフルカット手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載のテープ処理装置。
【請求項8】
前記フルカット手段によるテープ切断に先立ち、長尺の前記処理テープを送りながらこれに墨字印刷を行う印刷手段を、更に備えたことを特徴とする請求項7に記載のテープ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−159641(P2006−159641A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−354527(P2004−354527)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】