説明

テープ切断装置

【課題】テープの余白部分の切断とテープの角部の切断とを行うことが可能なテープ切断装置を提供する。
【解決手段】切断手段3は、固定された第一刃31と可動である第二刃32とを備えている。第一刃端部311と第二刃端部321とは、左方向に屈曲している。切断手段3が離間状態にある場合に、ユーザはテープ配置通路13にテープ50を配置する。切断手段3が離間状態から重なり状態に変化すると、テープ50の余白部分が切断され、一の角部が切断される。次いで切断手段3が中間状態に変化する。中間状態では、第二刃胴部322がテープ配置通路13と交差する。ユーザはテープ50を裏返してテープ配置通路13に配置する。テープ50の右端は第二刃胴部322に当接する。切断手段3が中間状態から重なり状態に変化すると、テープ50の他の角部が切断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープの角部を切断するテープ切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テープの角部を切断するテープ切断装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のテープのトリミング装置は、固定刃部材と、折り曲げられた一対の刃部を有する可動刃部材とを備えている。そして、トリミング装置は、固定刃部材と可動刃部材とを使用して、テープの一対の角部を同時に切断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−146792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テーププリンタ等によってテープに印字が行われた場合、テープの端部に余白部分が存在する。しかしながら、特許文献1に記載のテープのトリミング装置は、角部を丸形状又は直線状に切断するのみであり、テープの余白部分まで切断することができない。このため、ユーザは、テープの余白部分を手作業で切断した後、トリミング装置を使ってテープの角部を切断する必要がある。よって、ユーザが同じ装置を使って、余白部分とテープの角部との両方を切断することができないという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、テープの余白部分の切断とテープの角部の切断とを行うことが可能なテープ切断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るテープ切断装置は、板状の第一刃と板状の第二刃との間でテープを挟んで切断可能であり、少なくとも前記第二刃が可動である切断手段と、少なくとも前記第二刃の1つの端部である第二刃端部の可動範囲と交差し、前記第一刃と前記第二刃との摺動面に略直交する方向と平行に延びる、前記テープが配置される通路であるテープ配置通路と、少なくとも前記第二刃を駆動する駆動手段と、前記駆動手段を使用して、前記第二刃端部に対応する前記第一刃の端部である第一刃端部と前記第二刃端部とが前記テープ配置通路を挟んで互いに離間し、且つ前記第一刃端部以外の前記第一刃の部分である第一刃胴部と前記二刃端部以外の前記第二刃の部分である第二刃胴部とが前記テープ配置通路から離間した状態である離間状態から、前記第一刃端部と前記第二刃端部とが重なり、且つ前記第一刃胴部と前記第二刃胴部とが重なった状態である重なり状態に、前記切断手段を変化させる第一駆動制御手段と、前記第一駆動制御手段が前記切断手段を前記重なり状態に変化させた後、前記駆動手段を使用して、前記第一刃端部と前記第二刃端部とが前記テープ配置通路を挟んで互いに離間し、且つ前記第二刃胴部が前記テープ配置通路と交差する状態である中間状態に、前記切断手段を変化させる第二駆動制御手段と、前記第二駆動制御手段が、前記切断手段を前記中間状態に変化させた後、前記駆動手段を使用して、前記切断手段を前記中間状態から前記重なり状態に変化させる第三駆動制御手段とを備え、前記第一刃端部と前記第二刃端部とは、前記重なり状態にある前記第二刃胴部から前記第一刃胴部に向かう方向である第一方向に屈曲し、前記切断手段は、前記重なり状態から前記離間状態に変化する場合に、前記第一刃端部と前記第二刃端部とが離間を開始するタイミングが、前記第一刃胴部と前記第二刃胴部とが離間を開始するタイミングより前となるように構成されている。
【0007】
切断手段が離間状態にある場合、第一刃と第二刃とがテープ配置通路から離間している。このため、ユーザは、テープの端部の余白部分が切断手段よりも第一方向とは反対方向側に位置し、余白部分以外の部分が切断手段の第一方向側に位置するように、テープをテープ配置通路に配置することができる。この場合、第一駆動制御手段が切断手段を離間状態から重なり状態に変化させると、第一刃と第二刃との間にテープが挟まれ、テープの余白部分が切断される。また、このとき、第一刃端部と第二刃端部とが第一方向に屈曲しているので、第一刃端部と第二刃端部との形状に合わせて、テープの一の角部が切断される。その後、第二駆動制御手段が切断手段を重なり状態から中間状態に変化させる。ユーザは、テープを裏返して、テープ配置通路にテープを配置する。中間状態では、第二刃胴部がテープ配置通路の少なくとも一部と交差しているので、切断手段より第一方向とは反対側には、テープを配置できない。よって、テープにおける余白部分が切断された後の端部を、第二刃胴部に当接させることで、テープを位置決めすることができる。また、中間状態では第一刃端部と第二刃端部とがテープ配置通路を挟んで離間しているので、位置決めされたテープの他の角部(切断されていない角部)は、第一刃端部と第二刃端部との間に位置する。そして、第三駆動制御手段が切断手段を中間状態から重なり状態に変化させると、第一方向に屈曲した第一刃端部と第二刃端部とによって、前記他の角部が第一刃端部と第二刃端部との形状に合わせて切断される。以上のように、テープ切断装置は、テープの余白部分の切断とテープの角部の切断とを行うことができる。
【0008】
前記テープ切断装置において、前記第一刃は固定された刃であり、前記第二刃は、前記第二刃端部から前記第二刃胴部を挟んで反対側の一支点を中心に回動可能であり、前記中間状態は、前記第一刃端部と前記第二刃端部とが前記テープ配置通路を挟んで離間した状態、且つ、前記第二刃端部と接触する前記第一刃端部の面である第一面と、前記第一面に対向する前記第一刃端部の面である第二面との間の厚み領域を、前記テープ配置通路における前記テープを支持する面に直交する方向である第二方向に向けて延ばした領域に、前記第二刃端部が位置する状態であってもよい。中間状態は、第一刃端部と第二刃端部とがテープ配置通路を挟んで離間している状態、且つ第一面と第二面との間の厚み領域を第二方向に向けて延ばした領域に、第二刃端部が位置する状態である。この場合、第一刃端部と第二刃端部とがテープ配置通路を挟んでわずかに離間している。よって、第二駆動制御手段が切断手段を中間状態にした後、ユーザがテープをテープ配置通路に配置した場合、テープの端部は第二刃胴部で位置決めされ、且つテープの角部は第一刃端部と第二刃端部との間に位置する。よって、第三駆動制御手段は、テープの角部を切断することができる。
【0009】
前記テープ切断装置は、前記切断手段の前記第一方向とは反対の第三方向側に、前記テープ配置通路に配置された前記テープの前記第三方向への移動量を規制する規制部を備えてもよい。この場合において、切断手段が離間状態にある場合、テープ配置通路に配置されたテープの端部を、切断手段の第三方向側に配置して、規制部に当接させることで、テープを位置決めすることができる。このため、第一駆動制御手段は、切断手段と規制部との間の長さ分だけ、テープの余白部分を切断することができる。
【0010】
前記テープ切断装置において、前記規制部は、前記第一方向又は前記第三方向に移動可能であってもよい。この場合、規制部は、第一方向又は第三方向に移動させることで、第一駆動制御手段によって切断されるテープの余白部分の長さを調整することができる。よって、ユーザの利便性が向上する。
【0011】
前記テープ切断装置は、前記駆動手段を使用して、前記切断手段を前記中間状態に変化させる第四駆動制御手段と、前記第四駆動手段が前記切断手段を前記中間状態に変化させた後、前記駆動手段を使用して、前記切断手段を前記重なり状態に変化させる第五駆動制御手段と、前記第五駆動手段が前記切断手段を前記重なり状態に変化させた後、前記駆動手段を使用して、前記切断手段を前記中間状態に変化させる第六駆動制御手段と、前記第六駆動制御手段が前記切断手段を前記中間状態に変化させた後、前記駆動手段を使用して、前記切断手段を前記重なり状態に変化させる第七駆動制御手段とを備えてもよい。
【0012】
この場合、第四駆動制御手段は、切断手段を中間状態に変化させる。切断手段が中間状態にある場合、切断手段より第一方向とは反対側には、テープを設置できない。そして、テープを第二刃胴部に当接させることでテープの位置決めをすることができ、位置決めされたテープの角部は、第一刃端部と第二刃端部との間に位置する。第五駆動制御手段が、切断手段を重なり状態に変化させると、テープの角部のみが切断される。その後、第六駆動制御手段が切断手段を中間状態に変化させる。ユーザはテープを裏返して、テープ配置通路にテープを配置する。この場合、テープの他の角部(切断されていない角部)は、第一刃端部と第二刃端部との間に位置する。そして、第七駆動制御手段が切断手段を重なり状態に変化させると、テープの他の角部が切断される。このように、テープ切断装置は、テープの余白部分の切断を行わず、テープの角部のみの切断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】テープ切断装置1の斜視図である。
【図2】切断手段3が重なり状態にある場合のテープ切断装置1の内部構成を上方から見た図である。
【図3】テープ50が配置され、切断手段3が重なり状態にある場合のテープ切断装置1の内部構成を上方から見た図である。
【図4】図3の重なり状態の切断手段3を右方から見た図である。
【図5】テープ50が配置され、切断手段3が離間状態にある場合のテープ切断装置1の内部構成を上方から見た図である。
【図6】図5の離間状態の切断手段3を右方からみた図である。
【図7】テープ50を示す平面図である。
【図8】テープ切断装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【図9】メイン処理を示すフローチャートである。
【図10】図7に示すテープ50の余白部分52と角部55とが切断された状態を示す平面図である。
【図11】テープ50が配置され、切断手段3が中間状態にある場合のテープ切断装置1の内部構成を上方から見た図である。
【図12】図11の第一刃端部311と第二刃端部321との周辺の要部拡大図である。
【図13】図11の中間状態の切断手段3を右方から見た図である。
【図14】図10に示すテープ50の角部56が切断された状態における裏面を示す平面図である。
【図15】図14に示すテープ50の余白部分53と角部が切断された状態を示す平面図である。
【図16】テープ50が配置され、切断手段3が離間状態にある場合のテープ切断装置1の内部構成を上方から見た図である。
【図17】図7に示すテープ50の余白部分52が切断された状態を示す平面図である。
【図18】図7に示すテープ50の2つの角部が切断された状態を示す平面図である。
【図19】図5に示す操作部16と規制部161とをやや右側に移動させた状態のテープ切断装置1の内部構成を上方から見た図である。
【図20】テープ50が配置され、切断手段90が離間状態にある場合のテープ切断装置1の内部構成を上方から見た図である。
【図21】離間状態にある切断手段90を右方から見た図である。
【図22】重なり状態にある切断手段90を右方から見た図である。
【図23】中間状態にある切断手段90を右方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具現化した実施の形態について、図面を参照して説明する。図1及び図2を参照し、第一実施形態に係るテープ切断装置1の概略構成について説明する。テープ切断装置1は、テーププリンタ等によってキャラクタ(文字、記号、及び数字等)が印字されたテープ状の印字媒体50(図7参照。以下、テープ50という。)の余白部分や、角部を切断可能な装置である。本実施形態の説明では、図1の紙面右上側、左下側、右下側、左上側、上側、下側を、それぞれテープ切断装置1の後側、前側、右側、左側、上側、下側とする。
【0015】
図1に示すように、テープ切断装置1は、前後方向にやや長い略直方体状の外観をしている。テープ切断装置1の上面11の中央部からテープ切断装置1の後端側に向けて、上面11から側面視略弧状に上方に突出する突出部14が設けられている。突出部14の内部では、後述する切断手段3の第二刃32(図2参照)が移動する。突出部14の左側には、テープ50が配置される通路であるテープ配置通路13(詳細は後述)の第一テープ配置面131が左方に延びている。第一テープ配置面131の前側には、スイッチ12が設けられている。
【0016】
突出部14の右側には、矩形状の開口部15が設けられている。開口部15の内側には、操作部16が設けられている。図2に示すように、操作部16は、開口部15の内側を下方に延び、テープ切断装置1の内部で左方向に屈曲している。テープ切断装置1の内部で左方向に屈曲した部位の左端の面は規制部161である。規制部161は、平面視で、切断手段3の右方向(本発明の「第三方向」に相当。)側に位置している。規制部161は、テープ配置通路13に配置されたテープ50の右方向への移動量を規制する。操作部16は、開口部15内を左右方向に移動可能である。操作部16の移動に伴って規制部161が左右方向に移動する。
【0017】
図2、図4、及び図6を参照して、テープ切断装置1の内部の構成について説明する。テープ切断装置1の内部には、切断手段3が設けられている。切断手段3は、前後方向に延びる固定板29と、固定板29より前後方向に長い可動板30とを備えている。固定板29は、第一刃31を有する。可動板30は、第二刃32を有する。切断手段3は、第一刃31と第二刃32との間でテープ50を挟んで切断する。可動板30は固定板29の右側に位置している。固定板29と可動板30とは、固定板29の前端部と可動板30の前後方向の略中央とにおいて、互いに対向する面が接触した状態で、軸支部34によって軸支されている。可動板30は軸支部34を中心に回動可能である。
【0018】
第一刃31は、軸支部34の後側から後方に向かって延びている。第一刃31の上端は、上方に向けて尖っている。第一刃31の後側の端部(後述する第二刃端部321に対応する端部)を第一刃端部311という。また、第一刃端部311以外の第一刃31の部分を第一刃胴部312という。
【0019】
第二刃32は、軸支部34の後側から後方に向かって延びている。第二刃32の下端は、下方に向けて尖っている。第一刃端部311に対応する第二刃32の後側の端部を第二刃端部321という。第二刃端部321以外の第二刃32の部分を第二刃胴部322という。図2では、説明のため、第一刃端部311と第一刃胴部312との境目38を図示している。また、第二刃端部321と第二刃胴部322との境目39を図示している。
【0020】
以下の説明では、図2から図4に示すように、第一刃端部311と第二刃端部321とが重なり、且つ第一刃胴部312と第二刃胴部322とが重なった状態を「重なり状態」という。また、図5及び図6に示すように、第一刃端部311と第二刃端部321とが離間し、且つ第一刃胴部312と第二刃胴部322とがテープ配置通路13(後述)から離間した状態を「離間状態」という。
【0021】
図2に示すように、第一刃端部311と第二刃端部321とは、重なり状態にある第二刃胴部322から第一刃胴部312に向かう方向(つまり、左方向。本発明の「第一方向」に相当。)に屈曲している。より詳細には、第一刃端部311と第二刃端部321とは、それぞれ、第一刃胴部312と第二刃胴部322とから円弧状に屈曲し、第一刃端部311と第二刃端部321との先端は、左方向に向いている。
【0022】
可動板30において、軸支部34より前側を、板部37という。図4に示すように、板部37の前後方向の略中央から、前端にかけて、前後方向に長い孔である孔部371が設けられている。孔部371の内側には、後述する係合部45が係合している。
【0023】
次に、切断手段3を駆動するモータ40等について説明する。図2及び図4に示すように、板部37の左方には、モータ40が設けられている。モータ40から右側に向けて、回転軸41が突出している。回転軸41の先端には、ギア42が固着されている。ギア42は、側面視で円形のギア43に噛合されている。ギア43の円形の右側面には、ギア43から右方に突出する円柱部44が設けられている。円柱部44の径は、ギア43の径より小さい。円柱部44の右面の外周近傍には、右方に突出する円柱状の係合部45が設けられている。係合部45は、切断手段3の孔部371を貫通して孔部371の右方に突出している。これによって、係合部45と孔部371とは互いに係合している。
【0024】
モータ40が駆動すると、ギア42が回転する。ギア42が回転すると、ギア43が回転し、円柱部44が回転する。円柱部44が回転すると係合部45が円弧を描くように移動する。移動する係合部45は、切断手段3の孔部371を上方又は下方に押下する。これによって、板部37が軸支部34を中心に上下に回動する。板部37が上下に回動すると、第二刃32が軸支部34を中心に上下に回動する。言い換えると、第二刃32は、第二刃端部321から第二刃胴部322を挟んで反対側の一支点(軸支部34)を中心に回動する。これによって、切断手段3が離間状態(図5及び図6参照)と重なり状態(図2から図4参照)との間で変化する。また、切断手段3が重なり状態から離間状態に変化する場合に、第一刃端部311と第二刃端部321とが離間を開始するタイミングが、第一刃胴部312と第二刃胴部322とが離間を開始するタイミングより前になる。
【0025】
図2及び図6を参照してテープ配置通路13について説明する。テープ配置通路13は、テープ50を配置するための通路である。テープ配置通路13は、第一刃31と第二刃32との摺動面36に直交する方向(つまり、左右方向)と平行に延びる。また、テープ配置通路13は、図6の矢印80の方向に動く第二刃端部321の可動範囲と交差する。
【0026】
より詳細には、テープ配置通路13は、上下方向において、第一刃31のやや上側に位置する(図6参照)。図2に示すように、テープ配置通路13のうち、平面視で切断手段3から左方に延びる部分の前後方向の長さは、軸支部34のやや後方から、重なり状態における第一刃端部311と第二刃端部321と境目までの長さである。テープ配置通路13において、切断手段3の左側の底面を形成する面が、第一テープ配置面131である。第一テープ配置面131は、テープ切断装置1の切断手段3のやや左側から左方に延びる。また、第一テープ配置面131の後端には、上方に向けて立設された壁部である後端壁133が設けられている。第一テープ配置面131の前端には、上方向けて立設された壁部である前端壁134が設けられている。
【0027】
テープ配置通路13のうち、平面視で切断手段3から右方に延びる部分の前後方向の長さは、軸支部34のやや後方から、第二刃端部321のやや後方までの長さである。テープ配置通路13において、切断手段3の右側の底面を形成する面が、第二テープ配置面132である。第二テープ配置面132は、切断手段3のやや右側から右方に延びる。
【0028】
第一テープ配置面131と第二テープ配置面132とは、切断手段3を挟んで離間している。第一テープ配置面131と第二テープ配置面132との間には、切断手段3を配置するための孔部135が形成されている。孔部135の上側にテープ50が配置され、第二刃32が移動することによって、テープ50が切断される(図3参照)。なお、規制部161は、第二テープ配置面132上に位置しており、第二テープ配置面132上を左右方向に移動する。
【0029】
図7を参照して、テープ50の一例について説明する。テープ50は、例えば、裏面に剥離紙57(図14参照)が貼り付けされた粘着テープである。テープ50の表面51には、テーププリンタ(図示外)等によってキャラクタ「ABC」が印刷されている。テープ50に右側には、キャラクタ「ABC」が印刷されていない余白部分52が形成されている。同様に、テープ50の左側には余白部分53が形成されている。ユーザは、剥離紙57をテープ50から剥離することで、キャラクタ「ABC」が印字されたテープ50を、他の物体に貼り付けることができる。
【0030】
図8を参照して、テープ切断装置1の電気的構成について説明する。図8に示すように、テープ切断装置1は、各機器を制御するCPU101、ROM102、RAM103、スイッチ12、モータ40、及び駆動回路104を少なくとも備えている。これらの電気的構成は、テープ切断装置1の内部に設けられた電池(図示外)から電源回路(図示外)を介して供給される電力によって駆動する。CPU101は、ROM102とRAM103とに電気的に接続されている。ROM102には、CPU101がテープ切断装置1を制御するために実行する各種プログラム(後述するメイン処理のプログラム等)が記憶されている。RAM103には、種々のデータが一時的に記憶される。
【0031】
CPU101は、スイッチ12と電気的に接続されている。CPU101は、ユーザによってスイッチ12が押下されたことを検出できる。CPU104は駆動回路104と電気的に接続され、駆動回路104はモータ40と電気的に接続されている。CPU101は、駆動回路を介してモータ40を制御することができる。
【0032】
図9を参照し、テープ切断装置1のCPU101によって実行されるメイン処理について説明する。メイン処理が実行されることによって、テープ50の余白部分52,53の切断と、角部の切断とが実行される。以下の説明では、各処理のステップを「S」と略記する。
【0033】
図7に示すテープ50の余白部分52と角部とを切断する場合を例示しながら説明する。メイン処理では、まず、スイッチ12が押下されたか否かが判断される(S1)。なお、S1が実行される場合、切断手段3の状態は、常に離間状態(図5及び図6参照)となっている。ユーザは、操作部16を操作して規制部161を左右方向に移動させて、規制部161と切断手段3(より詳細には、摺動面36)との間の長さを調整して、テープ50を切断する長さを調整する。以下の説明では、ユーザは、余白部分52を切断するために、規制部161をその可動範囲の最も左側に位置するように調整したとする。図5及び図6に示すように、ユーザは、切断手段3が離間状態にある間に、テープ50をテープ配置通路13に配置する。このとき、ユーザはテープ50を切断手段3の左側から右方に向けて挿入する。切断手段3は離間状態にあるので、第一刃31と第二刃32とがテープ配置通路13を挟んで離間している。このため、テープ50は、離間した第一刃31と第二刃32との間を通過し、規制部161に当接して左右方向の位置決めがされる。よって、ユーザは、テープの余白部分52が切断手段3(摺動面36)の右側に位置し、余白部分52以外の部分が切断手段3(摺動面36)の左側に位置するように、テープ50をテープ配置通路13に配置することができる。また、ユーザは、テープ50の後側の端部をテープ配置通路13の後端壁133に当接させる。これによって、テープ50の前後方向の位置決めがされる。
【0034】
図9に示すように、スイッチ12が押下されていない場合(S1:NO)、処理はS1に戻る。スイッチ12が押下された場合(S1:YES)、時間Tの測定が0秒から開始される(S2)。時間Tは、ユーザがスイッチ12を継続して押下した時間を測定するための変数である。測定された時間TはRAM103に記憶される。CPU101は、図示しない振動子が発生させるクロック信号を使用して時間を計測する。なお、別途タイマを設けて、CPU101が当該タイマを使用して時間を測定するように構成してもよい。
【0035】
次いで、スイッチ12の押下が終了されたか否かが判断される(S3)。スイッチ12の押下が終了されていない場合(S3:NO)、処理はS3に戻る。スイッチ12の押下が終了された場合(S3:YES)、時間Tの測定が終了される(S4)。次いで、時間Tが所定時間(2秒)以上となったか否かが判断される(S5)。言い換えると、ユーザがスイッチ12を2秒以上継続して押下したか否かが判断される。なお、スイッチ12が2秒より短く押下された場合、CPU101は、切断手段3を離間状態から重なり状態に変化させた後、中間状態(後述)に変化させ、再び重なり状態に変化させる処理を行う。この場合、ユーザは、テープ50の余白部分52の切断と角部の切断とを行うことができる。スイッチ12が2秒以上且つ5秒より短い時間継続して押下された場合(後述するS11:NO)、CPU101は、切断手段3を中間状態にすることなく、離間状態から重なり状態に変化させた後、離間状態に変化させる処理を行う。この場合、ユーザは、テープ50の余白部分52の切断を行うことができる。また、スイッチ12が5秒以上継続して押下された場合(後述するS11:YES)、CPU101は、切断手段3を離間状態から中間状態に変化させた後、重なり状態に変化させ、再び中間状態に変化させ、再び重なり状態に変化させる処理を行う。この場合、ユーザは、テープ50の余白部分52の切断を行うことなく、テープ50の角部の切断を行うことができる。
【0036】
時間Tが2秒以上でない場合(S5:NO)、CPU101は、モータ40を制御して第二刃32を駆動させ、切断手段3を離間状態(図5及び図6参照)から、重なり状態(図3及び図4参照)に変化させる(S6)。この状態の変化の過程で、テープ50が第一刃31と第二刃32との間に挟まれ、図10に示すように、テープ50の余白部分52が切断される。また、第一刃端部311と第二刃端部321とが左方向に円弧状に屈曲しているので、図10に示すように、第一刃端部311と第二刃端部321とによって、テープ50の角部が円弧状に切断される。図10では、切断された余白部分52を点線で示している。以下の説明では、S6で円弧状に切断された角部を角部55といい、角部55と同じ側(図10の紙面右側)の端部にある切断されていない角部を角部56という。
【0037】
なお、S6において切断手段3を離間状態から重なり状態に変化させる場合の処理は、種々の処理によって行うことができる。例えば、CPU101は、予め設定された時間(例えば、1秒間)継続してモータを駆動させることで状態を変化させてもよい。また、第二刃32の位置を検出するセンサ(例えば、光学式センサ)を設けて、重なり状態に変化したことを検出して、モータ40の駆動を停止させることで、重なり状態に変化させてもよい(後述するS7、S9、S10、S12、S13、S14、S16、S17、S19及びS20において切断手段3の状態を変化させる場合も同様)。次いで、CPU101は、モータ40を制御して第二刃32を駆動させ、切断手段3を重なり状態(図3及び図4参照)から、中間状態(図11から図13参照)に変化させる(S7)。
【0038】
ここで、図11から図13を参照し、中間状態について説明する。図12に示すように、重なり状態(図3参照)において、第二刃端部321と接触する第一刃端部311の面を第一面314という。また、第一刃端部311において、第一面314と対向する面を第二面315という。第一面314と第二面315との間の厚みの領域(図12の斜線部の領域)を厚み領域316という。図11から図13に示すように、中間状態とは、第一刃端部311と第二刃端部321とが、テープ配置通路13を挟んで離間した状態、且つ、厚み領域316を第一テープ配置面131に直交する方向(つまり、上下方向。本発明の「第二方向」に相当。)に延ばした領域に第二刃端部321が位置する状態である。言い換えると、第一刃端部311と第二刃端部321とが離間した状態において、上方から見たときに(つまり、平面視)、第二刃端部321の少なくとも一部が厚み領域316と重なる状態である(図12参照)。この場合、図13に示すように、第一刃端部311と第二刃端部321とは、わずかに離間し、第二刃胴部322は、テープ配置通路13と交差する。
【0039】
ユーザは、テープ50を裏返して、切断手段3が中間状態にある間に、テープ50をテープ配置通路13に配置する。このとき、ユーザは、テープ50を切断手段3の左側から右方に向けて挿入する。中間状態では、第二刃胴部322がテープ配置通路13の少なくとも一部と交差しているので、切断手段3より右方向にはテープ50を配置できない。よって、テープ50における余白部分52が切断された後の右側の端部を、第二刃胴部322に当接させることで、テープ50を位置決めすることができる。(図11及び図12参照)。また、中間状態では、第一刃端部311と第二刃端部321とがテープ配置通路13を挟んで離間しているので、位置決めされたテープ50の切断されていない角部56は、第一刃端部311と第二刃端部321との間に位置する(図12及び図13参照)。
【0040】
図9に示すメイン処理の説明に戻る。S7で重なり状態から中間状態に変化された後、スイッチ12が押下されたか否かが判断される(S8)。スイッチ12が押下されていない場合(S8:NO)、処理はS8に戻る。スイッチ12が押下された場合(S8:YES)、CPU101は、モータ40を制御して第二刃32を駆動させ、切断手段3を中間状態(図11から図13参照)から、重なり状態(図3及び図4参照)に変化させる(S9)。この状態の変化の過程で、テープ50の角部56が、左方向に屈曲した第一刃端部311と第二刃端部321とに挟まれ、切断される。これによって、図14に示すように、角部56は、第一刃端部311と第二刃端部321との形状に合わせて円弧状に切断される。以上の2段階の処理で、テープ切断装置1は、テープ50の余白部分52の切断と、テープ50の角部55,56の切断とを行うことができる。
【0041】
S9が実行された後、CPU101は、モータ40を制御して第二刃32を駆動させ、切断手段3を重なり状態(図3及び図4参照)から離間状態(図5及び図6参照)に変化させる(S10)。次いで、処理はS1に戻る。テープ50の余白部分53についても、余白部分52と同様にS1〜S10を実行して切断することによって、図15に示すように、ユーザは、余白部分52,53が切断され、且つ円弧状の4つの角部が形成されたテープ50を得ることができる。
【0042】
次に、角部の切断は行わず、余白部分52(図7参照)のみを切断する場合について説明する。この場合、図16に示すように、ユーザは、切断手段3が離間状態にある間に、テープ50をテープ配置通路13に配置する。このとき、前述したように、テープ50は、規制部161に当接して左右方向の位置決めがされる。この場合、テープ50の余白部分52が切断手段3(摺動面36)の右側に位置する。また、ユーザは、テープ50の前側の端部をテープ配置通路13の前端壁134に当接させる。これによって、テープ50の前後方向の位置決めがされる。このとき、テープ50の後側の端部は、第一刃端部311と第二刃端部321とに対応した位置には存在しない。言い換えると、第二刃端部321の可動範囲に存在しない。テープ50をテープ配置通路13に配置した後、ユーザはスイッチ12を2秒以上且つ5秒より短い時間継続して押下する。
【0043】
この場合、図9に示すように、スイッチ12が押下されたと判断され(S1:YES)、時間Tが2秒以上であると判断される(S5:YES)。次いで、時間Tが所定時間(5秒)以上であるか否かが判断される(S11)。5秒より短い時間押下されているので、時間Tが5秒以上でないと判断され(S11:NO)、S6と同様に、CPU101は、切断手段3を離間状態(図16参照)から、重なり状態に変化させる(S12)。この変化の過程で、テープ50は第一刃胴部312と第二刃胴部322との間に挟まれて切断される。このとき、テープ50は、第一刃端部311と第二刃端部321とには切断されないので、角部の切断は行われない。よって、図17に示すように、テープ50の余白部分52のみが切断されたテープ50が得られる。次いで、S10と同様に、CPU101は、切断手段3を重なり状態から、離間状態に変化させる(S13)。次いで、処理は、S1に戻る。テープ50の余白部分53についても、余白部分52と同様に、S12及びS13を実行して切断することができる。よって、ユーザは、余白部分52,53が切断され、4つの角部が切断されていないテープ50を得ることができる。
【0044】
次に、余白部分52の切断を行わず、角部のみを切断する場合について説明する。この場合、ユーザは、テープ50をテープ配置通路13に配置する前に、スイッチ12を5秒以上継続して押下する。この場合、図9に示すように、スイッチ12が押下されたと判断され(S1:YES)、時間Tが5秒以上であると判断される(S11:YES)。次いで、CPU101は、モータ40を制御して、切断手段3を中間状態に変化させる(S14)。次いで、スイッチ12が押下されたか否かが判断される(S15)。ユーザは、テープ50をテープ配置通路13に配置する。この場合、テープ50の余白部分52が設けられている側の端部(図7の紙面右側の端部)が、第二刃胴部322に当接され、位置決めされる。そして、テープ50の一の角部(図7の紙面右上の角部)が第一刃端部311と第二刃端部321との間に位置する。
【0045】
スイッチ12が押下されていない場合(S15:NO)、処理はS15に戻る。スイッチ12が押下されると(S15:YES)、CPU101は、モータ40を制御して、切断手段3を中間状態から重なり状態に変化させる(S16)。これによって、テープ50の一の角部が切断される。次いで、CPU101は、モータ40を制御して、切断手段3を重なり状態から中間状態に変化させる(S17)。次いで、スイッチ12が押下されたか否かが判断される(S18)。ユーザはテープ50を裏返してテープ配置通路13に配置する。この場合、テープ50の他の角部(切断されていない角部)が第一刃端部311と第二刃端部321との間に位置する。
【0046】
スイッチ12が押下されていない場合(S18:NO)、処理はS18に戻る。スイッチ12が押下された場合(S18)、CPU101は、モータ40を制御して、切断手段3を中間状態から重なり状態に変化させる(S19)。これによって、テープ50の他の角部が切断される。これによって、図18に示すように、余白部分52は切断されず、角部のみが切断されたテープ50を得ることができる。次いで、S10と同様に、CPU101は、切断手段3を重なり状態から、離間状態に変化させる(S20)。テープ50の図18の紙面左側の2つの角部についても同様に、S14〜S20を実行して切断することができる。よって、ユーザは、余白部分52,53が切断されず、4つの角部が切断されたテープ50を得ることができる。
【0047】
以上のように、本実施形態における処理が行われる。本実施形態では、1台のテープ切断装置1を使用して、テープの余白部分52,53の切断と角部の切断とを行うことができる。このため、ユーザが手作業で余白部分52,53の切断を行う必要がなく、ユーザの利便性が向上する。
【0048】
また、テープ切断装置1は、角部の切断を行わず、テープ50の余白部分52,53を切断することができる。よって、ユーザの利便性がさらに向上する。
【0049】
また、テープ切断装置1は、テープ50の余白部分52,53の切断を行わず、角部のみの切断を行うことができる。よって、ユーザの利便性がさらに向上する。
【0050】
また、本実施形態では、規制部161によってテープ50が位置決めされる。このため、切断手段3と規制部161との間の長さ分だけ、テープ50の余白部分52を切断することができる。なお、ユーザは、開口部15の左右方向の長さ分だけ、操作部16を左右方向に移動させることができる。これによって、ユーザは、規制部161の位置を左右方向に移動させることができる。例えば、図19に示すように、切断手段3が離間状態にある場合に、操作部16を図5の場合よりやや右側に移動させた場合、切断手段3から規制部161までの長さが長くなる。このため、切断する余白部分52の長さが長くなる。つまり、ユーザは、テープ50の余白部分52を切断する長さを調整することができる。よって、ユーザの利便性が向上する。
【0051】
また、本実施形態では、角部が円弧状に切断される。このため、角部が直角に形成されている場合と比較して、テープ50を他の物体に貼り付けた場合に、角部が剥がれ難くなる。
【0052】
上記実施形態において、モータ40が本発明の「駆動手段」に相当し、図9のS6の処理を行うCPU101が本発明の「第一駆動制御手段」に相当する。S7の処理を行うCPU101が本発明の「第二駆動制御手段」に相当し、S9の処理を行うCPU101が本発明の「第三駆動制御手段」に相当する。S14の処理を行うCPU101が本発明の「第四駆動制御手段」に相当し、S16の処理を行うCPU101が本発明の「第五駆動制御手段」に相当する。S17の処理を行うCPU101が本発明の「第六駆動制御手段」に相当し、S19の処理を行うCPU101が本発明の「第七駆動制御手段」に相当する。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の変更が可能である。例えば、第一刃31が固定されていたが、これに限定されない。例えば、第一刃31及び第二刃32の両方を可動に構成してもよい。
【0054】
また、第一刃端部311と第二刃端部321とは、平面視で、左方向に円弧状に屈曲していたが、これに限定されない。例えば、平面視で、左方向に斜めの直線(例えば、第一刃胴部312と第二刃胴部322とが延びる方向に対して、左斜め後方向に45度の角度で延びる直線)を描くように屈曲してもよい。
【0055】
また、テープ切断装置1に発光ダイオード(LED)等を複数設けたり、点滅させたりすることによって、切断手段3が離間状態、重なり状態、及び中間状態のいずれの状態にあるかをユーザに報知するようにしてもよい。この場合、ユーザは、切断手段3の状態を確認することができるので、ユーザの利便性が向上する。
【0056】
また、テープ配置通路13は、左右方向に水平に延びていたが、これに限定されない。例えば、テープ配置通路13は、左右方向に延びつつ、上下方向にやや傾いていてもよい。また、テープ配置通路13は、左右方向に延びつつ、前後方向にやや傾いていてもよい。
【0057】
また、第二テープ配置面132が設けられていたが、これに限定されない。例えば、第二テープ配置面132の代わりに孔を設けてもよい。この場合、当該孔から切断後のテープの切れ端(余白部分52等)が落下するため、孔の下に切れ端の収容部を設けることで、効率的に切れ端を回収することができる。
【0058】
また、中間状態は、第一刃端部311と第二刃端部321とが、テープ配置通路13を挟んで離間した状態、且つ、厚み領域316を上下方向に延ばした領域に第二刃端部321が位置する状態であったが、これに限定されない。例えば、中間状態は、厚み領域316を上下方向に延ばした領域に第二刃端部321が位置せず、第二刃胴部322が、テープ配置通路13と交差する状態であってもよい。この場合でも、第二刃胴部322が、テープ配置通路13と交差しているので、ユーザは切断手段3より右方向にはテープ50を配置できない。よって、ユーザは、テープ50の右側の端部を第二刃胴部322に当接させることで、テープ50を位置決めすることができる。
【0059】
また、第二刃32が軸支部34を中心に回動するように切断手段3を構成していたが、これに限定されない。例えば、第一刃31と第二刃32とが、いわゆる押切式で構成されていてもよい。以下、切断手段3の変形例である、押切式の切断手段90について詳細に説明する。本実施形態を第二実施形態という。なお、以下の説明では、テープ切断装置1におけるテープ配置通路13、規制部161、操作部16、及びモータ40等の構成、テープ切断装置1の電気的構成、及び、テープ切断装置1の外観形状は、第一実施形態と同一であるので、詳細の説明は省略する。
【0060】
図20及び図21に示すように、切断手段90は、板状の第一刃91と板状の第二刃92とを備えている。切断手段90は、第一刃91と第二刃92との間でテープ50を挟んで切断する。第一刃91は固定されている。第二刃92は、モータ40の駆動によって上下方向に移動する。第二刃92を上下方向に駆動させるギア等については図示を省略している。テープ配置通路13は、第一刃91と第二刃92との摺動面96(図20参照)に直交する方向(つまり、左右方向)に延びる。
【0061】
第一刃91と第二刃92とは、共に平面視で前後方向に延びる。第一刃91の上端の上下方向の位置は、テープ配置通路13のやや下側である。第一刃91の上端は上方に向けて尖っている。第一刃91の後側の端部(後述する第二刃端部921に対応する端部)を第一刃端部911という。また、第一刃端部911以外の第一刃91の部分を第一刃胴部912という。
【0062】
第二刃92は、側面視で、前側の下端よりも後側の下端の方が上方に位置するように、下端部が後方に向かって斜めに延びている(図21参照)。第二刃92の前後方向に亘る下端は下方に向けて尖っている。第一刃端部911に対応する第二刃92の後側の端部を第二刃端部921という。第二刃端部921以外の第二刃92の部分を第二刃胴部922という。第一刃端部911と第二刃端部921とは、第一実施形態と同様に、左方向に円弧状に屈曲している。
【0063】
第二実施形態では、図21に示すように、第一刃端部911と第二刃端部921とが離間し、且つ第一刃胴部912と第二刃胴部922とがテープ配置通路13から離間した状態を「離間状態」という。図22に示すように、第一刃端部911と第二刃端部921が重なり、且つ第一刃胴部912と第二刃胴部922とが重なった状態を「重なり状態」という。また、図23に示すように、第一刃端部911と第二刃端部921とが離間し、第二刃胴部922がテープ配置通路13と交差する状態を中間状態という。なお、図20は、離間状態を表しているとする。
【0064】
本実施形態では、第二刃92は、前側の下端よりも後側の下端の方が上方に位置するように、下端部が斜めに延びており、上下方向に移動する。このため、切断手段90が重なり状態(図22参照)から離間状態(図21参照)に変化する場合に、第一刃端部911と第二刃端部921とが離間を開始するタイミングが、第一刃胴部912と第二刃胴部922とが離間を開始するタイミングより前になる。
【0065】
次に、図9に示すフローチャートを参照して、本実施形態におけるメイン処理について説明する。メイン処理におけるテープ50の切断態様は、第一実施形態の場合と同様なので、簡単に説明する。以下の説明では、図7に示すテープ50の余白部分52と角部とを切断する場合を例示しながら説明する。
【0066】
図20に示すように、切断手段90が離間状態にある間に、ユーザは、テープ50をテープ配置通路13に配置する。このとき、規制部161によってテープ50の左右方向の位置決めがされ、テープ配置通路13の後端壁133によってテープ50の前後方向の位置決めがされる。
【0067】
そして、スイッチ12が2秒より短い時間押下されると(S5:YES)、第二刃92が駆動され、切断手段90が離間状態(図21参照)から重なり状態(図22参照)に変化する。この変化の過程で、テープ50が第一刃91と第二刃92との間に挟まれ、テープ50の余白部分52が切断される。また、第一刃端部911と第二刃端部921によって、テープ50の角部55が切断される(図10参照)。
【0068】
そして、CPU101は、切断手段90を重なり状態(図22参照)から中間状態(21参照)に変化させる(S7)。ユーザがテープ50を裏返して、テープ配置通路13に配置する。第二刃胴部922がテープ配置通路13と交差しているので、ユーザは切断手段3より右方向にはテープ50を配置できない。よって、テープ50の右端は、第二刃胴部922に当接して位置決めされる。また、位置決めされたテープの切断されていない角部56(図10参照)は、第一刃端部911と第二刃端部921との間に位置する(図23参照)。
【0069】
そして、S9が実行されると、第二刃92が駆動され、切断手段90が中間状態(図23参照)から重なり状態(図22参照)に変化する(S9)。この変化の過程で、テープ50の角部56が第一刃端部911と第二刃端部921との形状に合わせて円弧状に切断される(図14参照)。
【0070】
以上のようにして、テープ切断装置1は、テープ50の余白部分52の切断と、テープ50の角部55,56の切断とを行うことができる。第二実施形態では、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、テープ50の前側の端部をテープ配置通路13の前端壁134に当接させて配置した場合、第一実施形態の場合と同様に、S12において、テープ50の角部の切断を行わず、余白部分52のみの切断を行うことができる。また、第一実施形態の場合と同様に、S14〜S20を実行し、テープ50の余白部分52の切断を行わず、角部のみの切断を行うことができる。
【符号の説明】
【0071】
1 テープ切断装置
3,90 切断手段
12 スイッチ
13 テープ配置通路
16 操作部
29 固定板
30 可動板
31,91 第一刃
32,92 第二刃
34 軸支部
36,96 摺動面
40 モータ
50 テープ
52,53 余白部分
55,56 角部
131 第一テープ配置面
132 第二テープ配置面
161 規制部
311,911 第一刃端部
312,912 第一刃胴部
314 第一面
315 第二面
316 厚み領域
321,921 第二刃端部
322,922 第二刃胴部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の第一刃と板状の第二刃との間でテープを挟んで切断可能であり、少なくとも前記第二刃が可動である切断手段と、
少なくとも前記第二刃の1つの端部である第二刃端部の可動範囲と交差し、前記第一刃と前記第二刃との摺動面に略直交する方向と平行に延びる、前記テープが配置される通路であるテープ配置通路と、
少なくとも前記第二刃を駆動する駆動手段と、
前記駆動手段を使用して、前記第二刃端部に対応する前記第一刃の端部である第一刃端部と前記第二刃端部とが前記テープ配置通路を挟んで互いに離間し、且つ前記第一刃端部以外の前記第一刃の部分である第一刃胴部と前記二刃端部以外の前記第二刃の部分である第二刃胴部とが前記テープ配置通路から離間した状態である離間状態から、前記第一刃端部と前記第二刃端部とが重なり、且つ前記第一刃胴部と前記第二刃胴部とが重なった状態である重なり状態に、前記切断手段を変化させる第一駆動制御手段と、
前記第一駆動制御手段が前記切断手段を前記重なり状態に変化させた後、前記駆動手段を使用して、前記第一刃端部と前記第二刃端部とが前記テープ配置通路を挟んで互いに離間し、且つ前記第二刃胴部が前記テープ配置通路と交差する状態である中間状態に、前記切断手段を変化させる第二駆動制御手段と、
前記第二駆動制御手段が、前記切断手段を前記中間状態に変化させた後、前記駆動手段を使用して、前記切断手段を前記中間状態から前記重なり状態に変化させる第三駆動制御手段と
を備え、
前記第一刃端部と前記第二刃端部とは、前記重なり状態にある前記第二刃胴部から前記第一刃胴部に向かう方向である第一方向に屈曲し、
前記切断手段は、前記重なり状態から前記離間状態に変化する場合に、前記第一刃端部と前記第二刃端部とが離間を開始するタイミングが、前記第一刃胴部と前記第二刃胴部とが離間を開始するタイミングより前となるように構成されていることを特徴とするテープ切断装置。
【請求項2】
前記第一刃は固定された刃であり、
前記第二刃は、前記第二刃端部から前記第二刃胴部を挟んで反対側の一支点を中心に回動可能であり、
前記中間状態は、前記第一刃端部と前記第二刃端部とが前記テープ配置通路を挟んで離間した状態、且つ、前記第二刃端部と接触する前記第一刃端部の面である第一面と、前記第一面に対向する前記第一刃端部の面である第二面との間の厚み領域を、前記テープ配置通路における前記テープを支持する面に直交する方向である第二方向に向けて延ばした領域に、前記第二刃端部が位置する状態であることを特徴とする請求項1に記載のテープ切断装置。
【請求項3】
前記切断手段の前記第一方向とは反対の第三方向側に、前記テープ配置通路に配置された前記テープの前記第三方向への移動量を規制する規制部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のテープ切断装置。
【請求項4】
前記規制部は、前記第一方向又は前記第三方向に移動可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のテープ切断装置。
【請求項5】
前記駆動手段を使用して、前記切断手段を前記中間状態に変化させる第四駆動制御手段と、
前記第四駆動手段が前記切断手段を前記中間状態に変化させた後、前記駆動手段を使用して、前記切断手段を前記重なり状態に変化させる第五駆動制御手段と、
前記第五駆動手段が前記切断手段を前記重なり状態に変化させた後、前記駆動手段を使用して、前記切断手段を前記中間状態に変化させる第六駆動制御手段と、
前記第六駆動制御手段が前記切断手段を前記中間状態に変化させた後、前記駆動手段を使用して、前記切断手段を前記重なり状態に変化させる第七駆動制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のテープ切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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