説明

テープ印刷装置

【課題】台上での移動の作業性を高めたテープ印刷装置を提供すること。
【解決手段】ユーザが、テープ印刷装置10の使用の仕様を終え、テープ印刷装置10を
テーブル上で移動させたい場合、ユーザは、下側ケース22前面のスライドボタン49を
例えば左側から右側に移動させてOFF状態からON状態に切り替える。これにより、図
4(b)に示す収納状態から図4(a)に示す突起状態にキャスタ装置69が変位し、下
側ケース22の下面22aからキャスタボール28が突起する。この結果、台上から下面
22aが持ち上げられ、下面22aに接着された滑り止めシート25の摩擦によるスライ
ド防止効果がなくなり、テープ印刷装置10が台上で任意の方向に移動可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力されたデータに基づいてテープに各種印刷を行うテープ印刷装置に関す
る。
【背景技術】
【0002】
従来のテープ印刷装置は、印刷機構や切断機構を筐体中に内蔵した構造を有する。この
テープ印刷装置では、ユーザが、テープカートリッジを装填した後、キーボード等を用い
て印刷情報を入力し、印刷を指示する。この指示により、テープカートリッジからテープ
Tを繰り出しつつ印刷ヘッドによりテープに所望の印刷を行う。印刷が完了すると、テー
プを適宜送り出した後にテープの適所がカットされる(特許文献1参照)。
【0003】
上記のようなテープ印刷装置は、比較的複雑で重量のある印刷機構や切断機構を内蔵す
るため重量が大きくなっており、テープ印刷装置が仮にこれを載置する台上から落下した
場合、テープ印刷装置自体が破損するだけでなく台の下にある物を破損する可能性もある
。このため、テープ印刷装置が特に滑らかな傾斜した台上に載置された場合に自重で滑っ
て落下しないように、裏面に滑り止め用のゴム系シートを貼り付けて台上での安定を図っ
た構造となっている。
【特許文献1】特開2003−122740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のテープ印刷装置は、これを台上で移動させようとした場合、ゴム系シー
トが邪魔になるので、ユーザは、テープ印刷装置を台上である程度持ち上げた状態にして
移動させている。このため、テープ印刷装置の移動がユーザにとって煩雑な作業となって
負担が生じていた。
【0005】
そこで、本発明は、台上での移動の作業性を高めたテープ印刷装置を提供することを目
的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るテープ印刷装置は、(a)カートリッジから引
き出されたテープ状部材に対して印刷を行う印刷部と、(b)テープ状部材を切断する切
断部と、(c)印刷部及び切断部を収納する装置ケースと、(d)装置ケースの載置台上
での移動を可能にする転動体と、(e)ユーザの操作に応じて、転動体による装置ケース
の移動を停止させるロック手段とを備える。
【0007】
上記テープ印刷装置においては、転動体が装置ケースの載置台上での移動を可能にする
ので、ユーザは、テープ印刷装置を台上で持ち上げることなく台上で移動させることがで
き、移動の作業性を高めることができる。また、上記テープ印刷装置では、ロック手段が
ユーザの操作に応じて転動体による装置ケースの移動を停止させるので、テープ印刷装置
が滑らかな台上に載置された場合に、何かに押されて移動して台上から落下したり、自重
で滑って台上から落下したりする事態を予め防止できる。
【0008】
本発明の具体的な態様によれば、上記テープ印刷装置において、装置ケースの底部に設
けられた滑り止め部をさらに有し、転動体は、装置ケースを滑り止め部とともに持ち上げ
るように支持した状態で装置ケースの移動を可能にする。この場合、通常は滑り止め部に
よってテープ印刷装置が台上で移動することを防止することができ、必要なタイミングで
ロック手段を解除させて転動体を可動状態とすることで、ユーザは、テープ印刷装置を台
上で自在に移動させることができる。
【0009】
また、本発明の別の態様では、ロック手段が、転動体の少なくとも一部を底部から突起
させた突起状態と、転動体を装置ケース内に収納した収納状態との間で変位させる進退機
構を含む。この場合、進退機構によって転動体を装置ケース内外に簡単に進退させること
ができる。
【0010】
また、本発明の別の態様では、進退機構が、ユーザが操作する操作部と、当該操作部の
動作を伝達することによって転動体を突起状態と収納状態とに変化させる切替部と、当該
切替機構の動作を停止させる係止部とを備える。この場合、ユーザの操作によって転動体
を装置ケース内外に移動させることができるだけでなく、係止部によって、転動体がロッ
ク状態に相当する突起状態と解除状態に相当する収納状態とのいずれか一方から他方に簡
単に切り替わってしまうことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係るテープ印刷装置について、添付図面を参照しながら詳
細に説明する。
【0012】
図1は、本実施形態におけるテープ印刷装置の全体を示した斜視図である。また、図2
(a)は、図1のテープ印刷装置の開閉蓋を開放したときの斜視図であり、図2(b)は
、テープ印刷装置に装填されるテープカートリッジを示す斜視図である。
【0013】
図1及び図2に示すように、このテープ印刷装置10は、上下2分割の装置ケース20
により外殻が形成され、開閉蓋となる上側ケース21と、テープカートリッジCが装填さ
れるポケット41等の機構部が配設された下側ケース22とにより構成されている。
【0014】
上側ケース21の上面には、その手前側にキーボード33が、後部右側にディスプレイ
34がそれぞれ配設されており、テープカートリッジCの脱着時以外は、蓋が閉じられた
状態で使用される。
【0015】
キーボード33は、下側ケース22内に内蔵された制御系であるマイコンチップ等に対
するデータ、指令等の情報を入力するためのものとなっている。このキーボード33には
、文字、記号、数字等(以下、総称して「キャラクタ」という)を含むテキスト情報を入
力するための文字キー群31の他、各種の動作モードなどを指定するための機能キー群3
2等が配列されている。また、機能キー群32には、図外の〔電源〕キー、印刷動作を指
示するための〔印刷〕キー、テキスト情報入力時のデータ確定や改行及び選択画面におけ
る各種モードの選択指示のための〔選択〕キー、並びに、カーソル移動用の〔カーソル〕
キーの他、予め装置内に記憶されていない文字や記号などを「外字」として作成するため
の〔外字〕キー等が含まれる。
【0016】
ディスプレイ34は、任意のキャラクタやイメージを画面内に適当な配列で表示可能な
表示画面36を有し、下側ケース22内に内蔵された制御系であるマイコンチップ等によ
る処理結果や指令等を表示できるようになっている。すなわち、ディスプレイ34は、処
理対象となるキャラクタ列を選択したり、ユーザがキーボード33からデータや各種指令
・指示等を入力してキャラクタ列を編集したり、その結果等を視認したりする際などに用
いられる。
【0017】
下側ケース22には、テープカートリッジCを装着するためのポケット41が設けられ
ており、テープカートリッジCは、上側ケース(開閉蓋)21を開放した状態でポケット
41に対して着脱される。テープカートリッジCには、カートリッジケース51の内部に
一定の幅のテープTとインクリボンRとが収容されている他、ポケット41に配設された
ヘッドユニット42を差し込むための貫通孔53が形成されている。
【0018】
また、テープTは、印刷対象であるテープ状部材に相当するものであり、基材の裏面に
接着面が形成され、それが剥離紙によって覆われた構造を有する。テープTとインクリボ
ンRは、貫通孔53の位置で相互に重なり合った状態で走行するとともに、テープTのみ
が外部に排出され、インクリボンRは内部で巻き取られるようになっている。
【0019】
ポケット41の適所に設けたヘッドユニット42には、サーマルヘッドから成る印刷ヘ
ッド42aが内蔵されており、テープカートリッジCがポケット41に装填された状態で
、印刷ヘッド42aが、テープカートリッジCの貫通孔53から露出しているインクリボ
ンRの裏面に当接するようになっている。そして、印刷ヘッド42aを発熱駆動すること
により、所望の文字などがテープTの表面に印刷される。以上において、ヘッドユニット
42と駆動軸47,48とは、テープTに印刷を施すための印刷部として機能する。
【0020】
また、下側ケース22の左側部には、ポケット41と装置外部とを連通するテープ排出
口44が形成され、このテープ排出口44には、送り出したテープTを切断するテープカ
ッタ45が臨んでいる。また、ポケット41には、装着されたテープカートリッジCの被
駆動部が係合する駆動軸47,48等が設けられており、内蔵された送りモータ(不図示
)を駆動源として、これらの駆動軸47,48により、テープカートリッジC内のテープ
TおよびインクリボンRの送りが行われ、かつ、これらに同期して印刷ヘッド42aを駆
動することで、印刷が行われる。また、印刷完了後、テープTの送りが続行されテープT
に設定された切断位置がテープカッタ45の位置まで送られる。以上において、テープカ
ッタ45と駆動軸47,48とは、テープTを切断するための切断部として機能する。
【0021】
下側ケース22の前側部には、転動体である4つのキャスタボール(不図示)を、下側
ケース22の底部に突起させたり下側ケース22の底部に収納したりするため、ユーザに
操作可能とした操作部であるスライドボタン49が設けられている。スライドボタン49
を操作して右側位置(図示の状態)に移動させることによって、下側ケース22の底部に
後述するキャスタボールを一括して突起させることができ、スライドボタン49を操作し
て左側位置(不図示の状態)に移動させることによって、下側ケース22中にキャスタボ
ールを一括して収納することができる。
【0022】
図3は、図1等に示す下側ケース22の底部を示す斜視図である。図からも明らかなよ
うに、下側ケース22の下面22aには、4隅に近い部分に滑り止め部として4つの滑り
止めシート25が貼り付けられている。各滑り止めシート25は、例えばゴム系の材料で
形成され表面の摩擦係数が大きくなっているので、通常、テープ印刷装置10が多少傾い
た台上に載置されていても、テープ印刷装置10が台上でスライド移動して台上から落下
することを防止できる。なお、滑り止めシート25の形状、配置、個数等は、テープ印刷
装置10の重量等に応じて適宜変更することができる。
【0023】
下側ケース22の下面22aには、滑り止めシート25に隣接して、4つの孔26が形
成されている。各孔26には、球形のキャスタボール28が埋め込むように配置されてお
り、各キャスタボール28は、孔26から部分的に突起している。キャスタボール28は
、後に詳述するが、下面22aに対して任意の方向に滑らかに回転可能になっており、下
側ケース22すなわち全体としてのテープ印刷装置10(図1参照)は、不図示の台上に
載置された場合、この台上でAB方向に関してもCD方向に関してもすなわち周囲に自在
に移動可能となっている。
【0024】
図4は、キャスタボール28を進退動作させるための進退機構の一例を示す部分拡大断
面図であり、下側ケース22に設けたスライドボタン49の役割を説明している。ここで
、図4(a)は、キャスタボール28の突起状態を示し、図4(b)は、キャスタボール
28の収納状態を示す。
【0025】
進退機構60は、ユーザが操作するスライドボタン49と、スライドボタン49に連結
されて摺動する摺動部材62と、摺動部材62の移動を部分的に制限するラッチ装置66
と、キャスタボール28を支持するキャスタ装置69を下方に付勢するバネ付勢装置68
とを備える。なお、進退機構60は、ユーザの操作に応じてキャスタ装置69による下側
ケース22の移動(すなわちテープ印刷装置10の移動)を停止させるロック手段として
の役割を有する。
【0026】
進退機構60において、摺動部材62は、バネ付勢装置68とともに切替部を構成し、
キャスタ装置69の進退状態を変化させる。この摺動部材62は、不図示のガイドに案内
されて、スライドボタン49とともに下側ケース22の底面に沿って滑らかにAB方向に
移動する。摺動部材62のAB方向の両端には、摺動部材62とともにAB方向に移動す
る遮蔽部62aが設けられている。この遮蔽部62aは、紙面左端に移動した図4(a)
の突起状態において、キャスタ装置69の先端側への移動を許容する。すなわち、遮蔽部
62aの移動によって下面22aの孔26からキャスタボール28が突起する。また、遮
蔽部62aは、紙面右端に移動した図4(b)の収納状態において、キャスタ装置69を
根元側に移動させる。すなわち、遮蔽部62aの移動によって下面22aの孔26の後方
にキャスタボール28が退避する。
【0027】
ラッチ装置66は、例えばカムやラチェットを備えて構成される機械的機構等を内蔵す
る係止部であり、スライドボタン49や摺動部材62が紙面右側に移動することを阻止す
るが、スライドボタン49の操作によって摺動部材62を一旦紙面左側に微動させた場合
、その係止を解除して摺動部材62が紙面右側に移動することを許容する。これにより、
図4(b)の収納状態が不用意に解除されて図4(a)の突起状態となることを防止でき
、テープ印刷装置10が例えば傾斜した台上で急にスライド移動を開始し、テープ印刷装
置10が台上から落下することを防止することができる。なお、図4(a)の突起状態に
おいて、キャスタ装置69の先端部によって遮蔽部62aは紙面左側への移動が制限され
ているので、ラッチ装置66自体には、摺動部材62が紙面左側に移動することを阻止す
る機能を持たせていない。ただし、ラッチ装置66に摺動部材62が紙面左側に移動する
ことを阻止する機能を持たせることもできる。
【0028】
バネ付勢装置68は、キャスタ装置69を収納する筒状の収納部68aと、収納部68
aの上部に固定されてキャスタ装置69を下方に付勢するバネ68bとを備える。つまり
、キャスタ装置69は、収納部68aに収納されてEF方向に伸縮可能になっているが、
、バネ68bによって収納部68aの下端から突出する力を受ける。ただし、図4(a)
に示す進退機構60のON状態では、下側ケース22の下面22aに形成された孔26に
よって移動が阻止され、図4(b)に示す進退機構60のOFF状態では、下面22aの
内側において適所に配置された摺動部材62に設けた遮蔽部62aによって移動が阻止さ
れた状態となる。
【0029】
なお、キャスタ装置69は、周知の機構を内蔵する軸受けであり、キャスタボール28
を保持して任意の方向に滑らかに回転させることができる。
【0030】
このように構成されたテープ印刷装置10の一般的な使用方法は、ユーザが、ポケット
41にテープカートリッジCを装填した後、ディスプレイ34により入力・編集結果を確
認しながらキーボード33を用いて所望の文字や記号等の印刷情報を入力し、印刷を指示
する。この指示により、テープカートリッジCからテープTが繰り出され、印刷ヘッド4
2aによりテープTに所望の印刷が行われた後、印刷済み部分はテープ排出口44から随
時外部に送り出される。そして、印刷が完了すると、余白分を含むテープ長さの位置まで
テープ送りが行われ、所定の位置でテープTがカットされることによりラベルが作成され
る。
【0031】
また、ユーザが、テープ印刷装置10の使用を終え、テープ印刷装置10をテーブル上
で移動させたい場合、ユーザは、下側ケース22前面のスライドボタン49を例えば左側
から右側に移動させてOFF状態からON状態に切り替える。これにより、図4(b)に
示す収納状態から図4(a)に示す突起状態にキャスタ装置69が変位し、下側ケース2
2の下面22aからキャスタボール28が突起する。この結果、台上から下側ケース22
の下面22aが持ち上げられ、下面22aに接着された滑り止めシート25の摩擦による
スライド防止効果がなくなり、テープ印刷装置10が台上で任意の方向に移動可能となる
。ユーザは、テープ印刷装置10台上で希望する位置に移動を完了すると、スライドボタ
ン49を例えば右側から左側に移動させてON状態からOFF状態に切り替える。これに
より、キャスタ装置69が突起状態から収納状態に変位し、下側ケース22内にキャスタ
ボール28が収納される。この結果、下側ケース22の下面22aが下がり、滑り止めシ
ート25の摩擦によってテープ印刷装置10が台上で移動しなくなる。
【0032】
〔第2実施形態〕
第2実施形態のテープ印刷装置は、第1実施形態のテープ印刷装置を変形したものであ
る。以下では、第1実施形態の装置と異なる点を説明し、特に説明しない部分については
は、第1実施形態の装置と同様であるものとする。
【0033】
図5は、 第2実施形態のテープ印刷装置に組み込まれる進退機構160を説明する拡
大断面図である。進退機構160は、ユーザが操作する押しボタン149と、押しボタン
149によって動作するラッチ装置166と、ラッチ装置166に支持されてキャスタ装
置69を下方に付勢するバネ68bとを備える。
【0034】
ここで、押しボタン149は、下側ケース22の上面22b(図1参照)の縁部分に形
成された段差状の凹所22cに設けられており、ユーザが下側ケース22の側面から指を
差し込んで下方に押すように操作できる。
【0035】
ラッチ装置166は、オルタネート型の押しボタンスイッチと同様の機械機構を内蔵し
ている。すなわち、上記のようにユーザが押しボタン149を押すと、ラッチ装置166
の変位部材166aがONとなって下方に移動し、バネ68bを下方に押し下げる。結果
的に、キャスタ装置69が先端側に移動して下側ケース22の下面22aの孔26からキ
ャスタボール28が突起する。この際、ユーザが押しボタン149を放しても、ラッチ装
置166に組み込まれたラチェットやカムによって押しボタン149の復帰が阻止され(
実線の状態)、キャスタボール28が下面22aの孔26から突起したままとなる。そし
て、ユーザが押しボタン149を再度押すと、押しボタン149が復帰する(一転鎖線の
状態)。つまり、ラッチ装置166がOFF状態となり、変位部材166aが上方に移動
してバネ68bを上方に引っ張る。結果的に、キャスタ装置69が根元側に移動して下側
ケース22の下面22aの孔26内にキャスタボール28が収納される。
【0036】
この場合、下側ケース22に突起させるキャスタ装置69ごとに進退機構160を設け
ているが、複数のキャスタ装置69に対して1つの進退機構160を設けることもできる

【0037】
〔第3実施形態〕
第3実施形態のテープ印刷装置は、第2実施形態のテープ印刷装置を変形したものであ
る。以下では、第2実施形態の装置と異なる点を説明し、特に説明しない部分については
は、第2実施形態の装置と同様であるものとする。
【0038】
図6は、第3実施形態のテープ印刷装置210の制御系の構成について説明するブロッ
ク図である。テープ印刷装置210は、ユーザとのインタフェースになるキーボード33
やディスプレイ34のほかに、印刷ヘッド42aや送りモータ55を駆動する印刷部駆動
回路71と、テープカッタ45に切断動作を行わせるカッタモータ56を駆動する切断部
駆動回路72と、データや演算結果等を保管するための記憶部73と、キャスタ装置69
を進退させる進退機構260を駆動する進退機構駆動回路74と、以上の回路部分を制御
しつつ適宜動作させる制御処理部77とを備える。
【0039】
なお、進退機構260は、図5の進退機構160を電動化したものであり、キャスタ装
置69を下側ケース22に形成された孔から外部に対して突起させたり内部に退避させた
りするための進退モータ57を有している。
【0040】
また、制御処理部77は、マイコンチップ等で構成される制御手段であり、記憶部73
は、ROMやRAMを備えるICで構成される。そして、制御処理部77は、上記の構成
により、記憶部73に設けたROM内の制御プログラムに従って動作し、キーボード33
等から各種検出信号、各種指令、各種データ等の入力を受け、記憶部73に設けたRAM
からの各種データ等を処理し、ディスプレイ34、印刷部駆動回路71、切断部駆動回路
72、進退機構駆動回路74等に制御信号を出力することにより、表示画面36に必要な
表示を行わせるとともに、印刷ヘッド42aを制御して所定の印刷条件でテープTに印刷
するなど、テープ印刷装置10全体を制御している。さらに、制御処理部77は、テープ
印刷装置210のキーボード33が操作され、テープ印刷装置210の移動許可が要求さ
れた場合、進退機構駆動回路74を適宜動作させてキャスタ装置69の下端を下側ケース
22外に突起させ、テープ印刷装置210が台上でキャスタ装置69によって滑らかに移
動できるようにする。また、制御処理部77は、テープ印刷装置210のキーボード33
が操作され、テープ印刷装置210の移動禁止が要求された場合、進退機構駆動回路74
を適宜動作させてキャスタ装置69の下端を下側ケース22内に収納させ、テープ印刷装
置210が台上で安定して載置されるようにする。さらに、進退機構駆動回路74の電源
スイッチがオフされた場合、制御処理部77は、進退機構駆動回路74を強制的に動作さ
せて、キャスタ装置69を下側ケース22内に収納する。
【0041】
なお、この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範
囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能
である。
【0042】
すなわち、上記実施形態で説明したキャスタ装置69や進退機構60,160,260
の構造や動作内容は、単なる一例であり同様の目的を達成する各種機構に置き換え得るこ
とは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1実施形態に係るテープ印刷装置の外観斜視図である。
【図2】(a)は、図1のテープ印刷装置の開蓋状態を示す外観斜視図であり、(b)は、テープ印刷装置に装填されるテープカートリッジを示す外観斜視図である。
【図3】図1のテープ印刷装置の裏面すなわち底面を説明する部分平面図である。
【図4】(a)、(b)は、キャスタボール用の進退機構を示す部分拡大断面図である。
【図5】第2実施形態に係るテープ印刷装置の要部を説明する部分拡大断面図である。
【図6】第3実施形態に係るテープ印刷装置の制御系のブロック図である。
【符号の説明】
【0044】
10…テープ印刷装置、 20…装置ケース、 21…上側ケース、 22…下側ケー
ス、 22a…下面、 25…滑り止めシート、 26…孔、 28…キャスタボール、
33…キーボード、 34…ディスプレイ、 41…ポケット、 42…ヘッドユニッ
ト、 44…テープ排出口、 45…テープカッタ、 49…スライドボタン、 51…
カートリッジケース、 60…進退機構、 62…摺動部材、 62a…遮蔽部、 66
…ラッチ装置、 68…バネ付勢装置、 69…キャスタ装置、 C…テープカートリッ
ジ、 T…テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジから引き出されたテープ状部材に対して印刷を行う印刷部と、
前記テープ状部材を切断する切断部と、
前記印刷部及び前記切断部を収納する装置ケースと、
前記装置ケースの載置台上での移動を可能にする転動体と、
ユーザの操作に応じて、前記転動体による前記装置ケースの移動を停止させるロック手
段と、
を備えるテープ印刷装置。
【請求項2】
前記装置ケースの底部に設けられた滑り止め部をさらに有し、前記転動体は、前記装置
ケースを前記滑り止め部とともに持ち上げるように支持した状態で前記装置ケースの移動
を可能にする請求項1記載のテープ印刷装置。
【請求項3】
前記ロック手段は、前記転動体の少なくとも一部を前記底部から突起させた突起状態と
、前記転動体を前記装置ケース内に収納した収納状態との間で変位させる進退機構を含む
請求項2記載のテープ印刷装置。
【請求項4】
前記進退機構は、ユーザが操作する操作部と、当該操作部の動作を伝達することによっ
て前記転動体を前記突起状態と前記収納状態とに変化させる切替部と、当該切替機構の動
作を停止させる係止部とを備える請求項3記載のテープ印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−223262(P2007−223262A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−49737(P2006−49737)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】