説明

テールライト構造

【課題】車体の取付面との間で屈曲するパーティングラインを形成する場合であっても外観品質に与える影響を最小限にできるテールライト構造を提供する
【解決手段】第1前部取付面13を備えた第1取付部11と、第1取付面13に対してある角度で傾斜している第2前部取付面14を有する第2取付部12と、第1取付部11に取り付けられるテールライトアッパ7と、第2取付部12に取り付けられるテールライトロア8とを備え、テールライトアッパ7とテールライトロア8の少なくとも一つは、バルブ23,24,25を覆うものであり、テールライトアッパ7とテールライトロア8との境界は、第1前部取付面13と第2前部取付面14との折れ部15に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、テールライト構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の中には、車体後部にテールライトを備えたものがある。ところで車体後部のテールライトは車体後部の外観品質上大きなウエイトを占めているため、デザイン上様々な形状のものが提案されている。
例えば、車体後部のコーナ部分に渡ってテールライトが取り付けられているものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−57447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車体の後部外面に設けたテールライトは、車体に取り付けられた状態では車体外面とほぼ同一高さになるように取り付けられ、車体の取付面との境界部分では一定のパーティングライン幅が設定されている。
【0005】
ところで、テールライトのパーティングラインが折れ曲がっている場合に、テールライトの車体に対する取付位置がわずかでもずれると、このズレがパーティングラインの幅にダイレクトに影響を与えてしまい外観品質を損ねてしまう問題がある。
つまり、テールライトが、折れ曲がり点を境にして一方のパーティングライン側にズレを起こすと一方のパーティングラインの幅が狭くなると同時に他方のパーティングラインの幅が広くなってしまう。したがって、一方のパーティングラインのズレが他方のパーティングラインのズレをも引き起こし、外観品質を維持するためにはテールライトの正確な位置決めが必要となり組み付け精度を高めなければならない。
【0006】
そこで、この発明は、車体の取付面との間で屈曲するパーティングラインを形成する場合であっても外観品質に与える影響を最小限にすることができるテールライト構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、第1取付面(例えば、実施形態における第1前部取付面13)を備えた第1取付部(例えば、実施形態における第1取付部11)と、前記第1取付面に対してある角度で傾斜している第2取付面(例えば、実施形態における第2前部取付面14)を有する第2取付部(例えば、実施形態における第2取付部12)と、前記第1取付部に取り付けられる第1カバー(例えば、実施形態におけるテールライトアッパ7)と、前記第2取付部に取り付けられる第2カバー(例えば、実施形態におけるテールライトロア8)とを備え、前記第1カバーと前記第2カバーの少なくとも一つは、発光体(例えば、実施形態におけるバルブ23,24,25或いはバルブ21)を覆うものであり、前記第1カバーと前記第2カバーとの境界は、前記第1取付面と前記第2取付面との接続部(例えば、実施形態における折れ部15)に設定されていることを特徴とする。
【0008】
このように構成することで、第1カバーと第1取付部の第1取付面との間に形成されるパーティングラインを一定の幅にした状態で第1カバーを第1取付部に取り付けた後に、第2カバーと第2取付部の第2取付面との間に形成されるパーティングラインをパーティングラインに合わせて一定の幅にして第2カバーを第2取付部に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載した発明によれば、第1カバーと第1取付部の第1取付面との間に形成されるパーティングラインを一定の幅にした状態で第1カバーを第1取付部に取り付けた後に、第2カバーと第2取付部の第2取付面との間に形成されるパーティングラインをパーティングラインに合わせて一定の幅にして第2カバーを第2取付部に取り付けることができる。よって、第1カバーと第2カバーとを別々に位置調整できるのでテールライトの組み付けが簡単となり、パーティングラインの幅を一定に維持して外観品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施形態の自動車の部分側面図である。
【図2】テールライトの取付前の状態を示す斜視図である。
【図3】テールライトの取付状態を示す図2に相当する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すワンボックスタイプの車両には車体1の後部開口部2にテールゲート3が開閉可能に設けられている。リヤフェンダパネル4の後部には上下方向中央部付近からルーフパネル5に至る範囲にテールライト6が取り付けられている。
【0012】
テールライト6は上部に設けたテールライトアッパ7と下部に設けたテールライトロア8とで分割構成されている。テールライトアッパ7の上辺はルーフパネル5に沿って形成され、テールライトアッパ7の前辺は斜め後方下側に延出され、テールライトアッパ7の下辺は水平に形成されている。また、テールライトロア8の下辺は水平に形成され、テールライトロア8の前辺は斜め前方下側に延出され、テールライトロア8の上辺はテールライトアッパ7と同幅でテールライトアッパ7と同様に水平に形成されている。
【0013】
図2に示すように、テールライト6が取り付けられるリヤフェンダパネル4には車体外表面から車室内側に下がる位置にテールライト取付部10が形成されている。テールライト取付部10は、テールライトアッパ7に対応する上半部の第1取付部11とテールライトロア8に対応する下半部の第2取付部12とが連続して形成されている。
【0014】
第1取付部11及び第2取付部12はテールライトアッパ7とテールライトロア8の前辺に対応する位置にリヤフェンダパネル4の外表面から車室内側に向かって下がり、各々連続して上下に形成される第1前部取付面13と第2前部取付面14とを備えている。第1前部取付面13はテールライトアッパ7の前辺に対向して斜め後方上側に指向する面であり、第2前部取付面14はテールライトロア8の前辺に対向して斜め後方下側に指向する面である。これら第1前部取付面13と第2前部取付面14とは鈍角をなしている。
【0015】
したがって、第1前部取付面13と第2前部取付面14との接続部は折れ部15となっており、テールライトアッパ7とテールライトロア8との境界はこの折れ部15に合わせてある。これらテールライトアッパ7と第1前部取付面13との間にはパーティングラインP1が形成され、テールライトロア8と第2前部取付面14との間にはパーティングラインP2が形成されている(図1参照)。
【0016】
第1前部取付面13には上下2箇所にクリップ16,16(1つのみを記載)の取付孔17が形成され、第2前部取付面14には上側にクリップ16の取付孔18が、下側には後方に延びるガイドバー19とガイドバー19の外側面から突出する矩形の係止部20が一体形成されている。
第2取付部12にはテールライトアッパ7に内装されたバルブ21に給電を行う1つのコネクタ22と、テールライトロア8に装着された3つのバルブ23,24,25に給電を行うための3つのコネクタ22,22,22を備えたテールライトケーブル26が取り付けられている。
【0017】
第1取付部11と第2取付部12の後縁部は車室内側に向かって折れ曲がり、テールゲート3が取り付けられる車体1の後部開口部2の周縁の一部を構成し、ここにテールライトアッパ7に対応する第1後部取付面27とテールライトロア8に対応する第2後部取付面28とが各々後側に指向して形成されている。
第1後部取付面27には上部にビス29(1つのみを記載)の締結孔30が設けられている。第2後部取付面28には、上下2箇所にビス29の締結孔31,31が形成されている。
【0018】
テールライトアッパ7はリヤフェンダパネル4面に沿う側壁レンズ部33とテールゲート3に沿う後壁レンズ部34を備えている。側壁レンズ部33の前縁には車室内側に指向し第1取付部11の第1前部取付面13に重合される前フランジ部35が形成され、この前フランジ部35の上下に前側に向かって係止される2つのクリップ16の係止孔36,36が形成されている。
【0019】
後壁レンズ部34の内側縁には車体前側に延びる内壁部37の前縁に車室内側に指向し第1取付部11の第1後部取付面27に重合される後フランジ部38が形成され、この後フランジ部38の上部に、前側に向かって挿通されるビス29の挿通孔39が形成されている。後フランジ部38の下部には後側からテールライトロア8を受け入れる係合凹部40が開口部を後方に向けて形成されている。ここで、係合凹部40はテールライトロア8の上下の移動を許容している。
テールライトアッパ7の下部には側壁レンズ部33と後壁レンズ部34とに段差をもって連設され下方に延びる取付片41が形成されている。この取付片41はテールライトロア8の上部開口42に挿入されるものである。テールライトアッパ7には1つのバルブ21が内装されている。
【0020】
テールライトロア8はリヤフェンダパネル4面に沿う側壁レンズ部44とテールゲート3に沿う後壁レンズ部45を備えている。側壁レンズ部44の前縁は車室内側に指向し、第2取付部12の第2前部取付面14に重合される前フランジ部46が形成され、この前フランジ部46の上部に前側に向かって係止されるクリップ16の係止孔47が形成されている。側壁レンズ部44の裏側には、第2取付部12に設けられた係止部20に後方からスライドして係止するC字形状の係合部48と、この係合部48に一体で形成され第2取付部12に設けられたガイドバー19を受け入れる係合筒49が形成されている。
【0021】
後壁レンズ部45の内側縁には車体前側に向かって延びる内壁50が設けられ、この内壁50の前縁には第2取付部12の第2後部取付面28に重合され車室内側に指向する後フランジ部51が形成されている。
後フランジ部51の上下に前側に向かって挿通される2つのビス29の挿通孔52、52が形成されている。また、後フランジ部51の上端部付近には、テールライトアッパ7の係合凹部40に重ね合わせられる係止縁53が設けられている。
【0022】
ここで、テールライトロア8の上部開口42はテールライトアッパ7の取付片41を相対的に前側から受け入れるようになっている。テールライトロア8には3つのバルブ23,24,25が内装されている。
ここで、係止孔36,47、挿通孔39,52は後述するテールライトアッパ7とテールライトロア8の位置調整のために必要な余裕をもって形成されている。同様に係合部48は係止部20に対してテールライトロア8の位置調整のために必要な余裕をもって形成されている。
【0023】
上記実施形態によれば、車体1のテールライト取付部10にテールライト6を取り付ける場合は、テールライトアッパ7の前フランジ部35の上側の係止孔36にクリップ16を取り付け、このクリップ16を第1取付部11の第1前部取付面13の上側の取付孔17に固定してテールライトアッパ7の車体前後方向、車体幅方向の位置決めを行う。
【0024】
次に、テールライトアッパ7の前フランジ部35の下側の係止孔36に取り付けられたクリップ16を車体1の第1取付部11の第1前部取付面13の下側の取付孔17に固定してテールライトアッパ7の車体前後方向、車体幅方向、車体上下方向の位置決めを行う。よって、パーティングラインP1を設定された幅にすることができる。
その後、テールライトアッパ7の後フランジ部38の挿通孔39に挿通したビス29を、第1取付部11の第1後部取付面27の締結孔30に締め付けて固定する。これによりテールライトアッパ7の固定を終了する。
【0025】
そして、テールライトロア8の係合筒49を車体の第2取付部12のガイドバー19に嵌め込み、テールライトロア8の係合部48を第2取付部12の係止部20に係止してテールライトロア8の車体前後方向、車体幅方向の位置決めを行う。
次に、テールライトロア8の前フランジ部46の上側の係止孔47に取り付けられたクリップ16を車体1の第2取付部12の第1前部取付面13の上側の取付孔17に固定してテールライトロア8の車体前後方向、車体幅方向、車体上下方向の位置決めを行う。よって、パーティングラインP1に合わせてパーティングラインP2を一定の幅にすることができる。このとき、テールライトロア8の係止縁53はテールライトアッパ7の係合凹部40に上側に被さるように係止する。
【0026】
その後、テールライトロア8の後フランジ部51の上下の挿通孔52に挿通したビス29を、第2取付部12の第2後部取付面28の締結孔31に締め付けて固定する。これによりテールライトロア8の固定を終了する。ここで、上側のビス29の締め付けによりテールライトロア8の後フランジ部51によりテールライトアッパ7を後フランジ部38を介して押さえ付ける。
【0027】
したがって、テールライトアッパ7と第1取付部11の第1前部取付面13との間に形成されるパーティングラインP1を一定の幅にした状態でテールライトアッパ7を第1取付部11に取り付けた後に、テールライトロア8と第2取付部12の第2前部取付面14との間に形成されるパーティングラインP2をパーティングラインP1に合わせて一定の幅にした状態でテールライトロア8をテールライトアッパ7とは別に第2取付部12に取り付けることができるため、テールライト6の組み付けが簡単となり、各パーティングラインP1,P2の幅を一定にして外観品質を高めることができる。
【0028】
尚、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、第2取付部12に設けられたガイドバー19と係止部20をテールライトロア8に設け、テールライトロア8に設けられた係合部48と係合筒49を第2取付部12に設けてもよい。また、バルブ21、23〜25はテールライトアッパ7あるいはテールライトロア8の何れかに内装されていればよい。
【符号の説明】
【0029】
13 第1前部取付面(第1取付面)
11 第1取付部
14 第2前部取付面(第2取付面)
12 第2取付部
7 テールライトアッパ(第1カバー)
8 テールライトロア(第2カバー)
21,23,24,25 バルブ(発光体)
15 折れ部(接続部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1取付面を備えた第1取付部と、前記第1取付面に対してある角度で傾斜している第2取付面を有する第2取付部と、前記第1取付部に取り付けられる第1カバーと、前記第2取付部に取り付けられる第2カバーとを備え、前記第1カバーと前記第2カバーの少なくとも一つは、発光体を覆うものであり、前記第1カバーと前記第2カバーとの境界は、前記第1取付面と前記第2取付面との接続部に設定されていることを特徴とするテールライト構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−143755(P2011−143755A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4192(P2010−4192)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】