説明

ディジタルテレビジョン放送信号受信装置

【課題】ディジタルテレビジョン放送信号受信装置において、現在とは別のチャンネルが
選局されたときに、そのチャンネルのSI情報を表示してユーザに視認させ、そのSI情
報表示が放送番組表示の視覚的な邪魔とならないようにする。
【解決手段】ディジタルテレビジョン放送信号受信装置の制御回路は、現在とは別のチャ
ンネルの選局をリモコンから指示されたとき(S1)、その選局されたチャンネルのSI
情報(番組名)を黒画面に合成し、合成後の黒画面を所定の黒画面表示期間だけディスプ
レイに表示させる(S2〜S9)。その後、制御回路は、選局されたチャンネルの番組を
ディスプレイに表示させる(S10)。これにより、選局されたチャンネルのSI情報を
ユーザに視認させることができ、SI情報表示が放送番組表示の視覚的な邪魔にならない
ようにすることができ、しかも、チャンネル切替選局時に生じ得るディスプレイの画面の
乱れを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送局から送信されるディジタルテレビジョン放送信号を受信可能なディジ
タルテレビジョン放送信号受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ディジタルテレビジョン放送信号(以下、放送信号という)をチューナによ
り選局して受信し、その受信チャンネルの放送信号に基づく放送番組をディスプレイに表
示するディジタルテレビジョン放送信号受信装置(以下、受信装置という)が知られてい
る。この受信装置は、ユーザによるリモコンへの操作に基づいて受信チャンネルを選局す
る。
【0003】
この種の受信装置において、受信チャンネルが切り替えられたとき、切替後の受信チャ
ンネルにおいて放送中又は次に放送予定である番組情報を、放送信号に含まれるSI情報
から抽出してディスプレイに表示する受信装置が知られている(例えば、特許文献1乃至
特許文献3参照)。上記ディスプレイは、放送番組の映像に上記番組情報を合成するか、
又は放送番組の映像表示領域を小さくして映像表示領域とは別に番組情報表示用の領域を
設けることにより、上記番組情報を表示する。しかしながら、上記受信装置においては、
放送番組が見難くなるという問題が生じる。
【0004】
ところで、放送信号に含まれる映像等の各種情報は符号化されており、それらの各種情
報を用いるためには放送信号の復号化が必要である。従って、受信チャンネル切替時には
、次の受信チャンネルの放送信号について、放送信号の復号化に必要なパラメータを取得
し、かつ、その取得したパラメータを用いて放送信号を復号化する必要があり、これらに
数秒程度の時間を要することがある。このため、その時間中は、放送番組がディスプレイ
に表示されず、ディスプレイの表示画面が乱れることがある。
【0005】
そこで、ユーザにより受信チャンネルの切替操作が行われたときに、所定期間だけディ
スプレイに黒画面を表示するか(例えば、特許文献4参照)、又は、切替処理が完了する
まで切替前の受信チャンネルの静止画像を表示する受信装置が知られている(例えば、特
許文献5参照)。しかしながら、特許文献4又は特許文献5に記載の受信装置では上記の
問題を解決することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2007−520916号公報
【特許文献2】特表平10−501936号公報
【特許文献3】特開2008−160525号公報
【特許文献4】特開2008−109426号公報
【特許文献5】特開2003−333446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の従来の問題を解決するためになされたものであり、現在表示中の放送
番組のチャンネルとは別のチャンネルが選局されたときに、そのチャンネルのSI情報を
表示してユーザに視認させることができ、しかも、そのSI情報表示が放送番組表示の視
覚的な邪魔とならないようにすることができるディジタルテレビジョン放送信号受信装置
を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、ディジタルテレビジョン放送信号(以下
、放送信号という)を受信するチューナと、前記チューナにより受信される放送信号のチ
ャンネル選局を指示するための操作手段と、前記操作手段により選局指示されたチャンネ
ルを選局する選局手段と、前記選局手段により選局されたチャンネルの放送信号からSI
情報を分離して復号化するSI復号化手段と、前記選局手段により選局されたチャンネル
の放送信号から映像信号を分離して復号化する映像復号化手段と、前記映像復号化手段に
より復号化された映像信号に基づく放送番組と、前記SI復号化手段により復号化された
SI(Service Information)情報とを表示し得る表示手段と、を備えたディジタルテレ
ビジョン放送信号受信装置において、前記表示手段による前記放送番組の表示中に、前記
操作手段により該表示中の放送番組のチャンネルとは別のチャンネルを選局するように指
示されたとき、前記SI復号化手段により復号化される前記別のチャンネルのSI情報を
黒画面に合成して合成後の黒画面を前記表示手段に表示させ、所定期間経過後、前記合成
後の黒画面の表示を消して、前記別のチャンネルの放送番組を前記表示手段に表示させる
ように該表示手段を制御する表示制御手段をさらに備えるものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のディジタルテレビジョン放送信号受信装置におい
て、前記操作手段によりチャンネル選局が指示されてから、前記表示制御手段が該操作手
段により選局指示されたチャンネルの放送番組を前記表示手段に表示可能な状態になるま
での期間に応じて予め設定された一定期間である。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のディジタルテレビジョン放送信号受
信装置において、前記SI復号化手段により復号化されたSI情報の中から放送中の放送
番組名情報を抽出する番組名抽出手段をさらに備え、前記表示制御手段は、前記番組名抽
出手段により抽出された放送番組名情報を前記黒画面に合成して、合成後の黒画面を前記
表示手段に表示させるものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、現在表示中の放送番組のチャンネルとは別のチャンネルが選
局されたとき、所定期間だけ、この別のチャンネルのSI情報を合成した黒画面が表示手
段に表示され、その後、この別のチャンネルの放送番組が表示されるので、選局されたチ
ャンネルのSI情報をユーザに視認させることができ、しかも、SI情報表示が放送番組
表示の視覚的な邪魔にならないようにすることができる。さらに、チャンネル切替選局時
に生じ得る表示手段の表示画面の乱れを防ぐこともできる。
【0012】
請求項2の発明によれば、現在表示中の放送番組のチャンネルとは別のチャンネルが選
局されたとき、その選局されたチャンネルの放送番組が表示可能な状態となる前に黒画面
が消えることがないので、表示手段の表示画面の乱れを確実に防止することができる。し
かも、簡単な構成により表示画面の乱れを防止することができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、チャンネルを選局されたとき、その選局されたチャンネルで
放送中の放送番組名をユーザに通知させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るディジタルテレビジョン放送信号受信装置の電気的ブロック図。
【図2】上記受信装置の制御回路によるディスプレイの表示制御処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係るディジタルテレビジョン放送信号受信装置(以下、受
信装置という)について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の受信装置の構成
を示す。この受信装置1は、アンテナ2を介してディジタルテレビジョン放送信号(以下
、放送信号という)を受信するチューナ3と、チューナ3により受信された放送信号を復
調する復調回路4と、復調回路4により復調された放送信号を映像信号、音声信号及びデ
ータ信号に分離する分離回路5(SI復号化手段及び映像復号化手段を構成)と、分離回
路5により分離された映像信号、音声信号、データ信号をそれぞれ復号化する映像デコー
ダ6(映像復号化手段を構成)と、音声デコーダ7と、データデコーダ8(SI復号化手
段を構成)とを備える。
【0016】
また、受信装置1は、ディスプレイ9(表示手段)と、ディスプレイ9を駆動するディ
スプレイ駆動回路10と、スピーカ11と、スピーカ11を駆動するスピーカ駆動回路1
2と、上記各回路を制御する制御回路13(選局手段、表示制御手段、番組名抽出手段)
と、制御回路13の動作に必要な情報を記憶するメモリ14と、制御回路13に各種の動
作を赤外線信号により遠隔的に指示するためのリモートコントローラ(以下、リモコンと
いう)15(操作手段)と、リモコン15から送信される赤外線信号を受信し電気信号に
変換して制御回路13に出力する赤外線受信回路16と、時間を計数するタイマ17とを
備える。制御回路13は、リモコン15からの指示に基づき、チューナ3により受信され
る放送信号のチャンネル(以下、CHという)を選局する。リモコン15は、上記受信C
Hの選局を指示するための選局キー15aを有し、選局キー15aの操作内容に応じた選
局信号を送信する。
【0017】
放送信号は、放送番組(以下、番組という)の映像信号、音声信号及びデータ信号がT
S(Transport Stream)形式で多重化されている。データ信号は、番組情報であるSI(
Service Information)情報を有する。SI情報は、放送番組名(以下、番組名という)
情報を含み、CH毎に独自に作成されている。各CHのSI情報は、それぞれ、各CHの
放送信号に重畳されて各CHの放送局から配信されるか、又は、SI集配システムにより
集められて纏められ、その纏められた全CHのSI情報が各CHの放送信号に重畳されて
各CHの放送局から配信されている。ここに、上記の各配信方式を、それぞれ、各局SI
配信方式、全局SI配信方式という。
【0018】
チューナ3は、チューナ3の受信周波数を、制御回路13により選局されるCHに対応
した周波数に同調させることにより、そのCHの放送信号を選局する。分離回路5は、復
調回路4により復調された放送信号に対して誤り訂正処理を行い、その訂正処理を行った
放送信号から映像信号、音声信号及びデータ信号のTSパケットをそれぞれ抽出する。
【0019】
映像デコーダ6、音声デコーダ7及びデータデコーダ8は、分離回路5により分離・抽
出された映像信号、音声信号及びデータ信号のTSパケットをそれぞれ復号化する。デー
タデコーダ8は、復号化したデータ信号を制御回路13に送出する。ディスプレイ9は、
映像デコーダ6により復号化された映像信号に基づく番組と、データデコーダ8により復
号化されたSI情報とを表示し得る液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等により
構成される。スピーカ11は、音声デコーダ7により復号化された音声信号に基づく音声
を出力する。
【0020】
制御回路13は、ディスプレイ駆動回路10とスピーカ駆動回路12とをそれぞれ制御
することにより、ディスプレイ9の表示制御とスピーカ11の音声出力制御を行う。また
、制御回路13は、データデコーダ8により送出されたデータ信号からSI情報を選出し
てメモリ14に格納し、その選出したSI情報の中から放送中の番組名情報を抽出する。
制御回路13は、マイクロプロセッサ等により構成される。
【0021】
選局キー15aは、複数CHにそれぞれ対応する複数のCHキー、又はCHを昇順若し
くは降順に選局するためのCHアップキー及びCHダウンキー等により構成される。
【0022】
図2は、制御回路13によるディスプレイ9の表示制御処理の手順を示す。ディスプレ
イ9による番組の表示中に、制御回路13が、その表示中の番組のCHとは別のCHを選
局するように指示する選局信号をリモコン15から受信したとする(S1でYes)。こ
のとき、制御回路13は、ディスプレイ9に黒画面を表示させ(S2)、所定の黒画面表
示期間(所定時間)のカウントダウンをタイマ17を用いて開始する(S3)。
【0023】
黒画面の表示開始後、制御回路13は、上記の別のCH、すなわち、次に選局されたC
H(以下、次のCHという)のSI情報が取得済みであるかどうかをメモリ14を参照し
て確認し、未取得の場合には(S4でNo)、データデコーダ8からSI情報を取得し(
S5)、メモリ14に記憶させる。
【0024】
次のCHのSI情報が、S4の処理時に取得済みである場合(S4でYes)、又は、
S5の処理により取得されたとき、制御回路13は、そのSI情報に含まれる現在放送中
の番組名を抽出し(S6)、その番組名を黒画面に合成して、その合成後の黒画面をディ
スプレイ9に表示させる(S7)。S4の処理時に次のCHのSI情報が取得済みである
場合としては、各局SI配信方式において装置の電源オン後にチューナ3がそのCHの放
送信号を1度以上受信した場合と、チューナ3が全局SI配信方式の放送信号を受信した
場合とが挙げられる。
【0025】
黒画面の表示開始後、タイマ17により黒画面表示期間の経過が検出されたとき(S8
でYes)、制御回路13は、番組名を合成した黒画面の表示を解除する(消す)(S9
)。上記黒画面表示期間は、予め設定された一定期間である。この一定期間は、制御回路
13が上記選局信号を受信してから(上記S1参照)、ディスプレイ9に次のCHの番組
を表示可能な状態になるまでの期間(以下、表示準備期間という)に応じて設定されてお
り、この表示準備期間以上に長い。表示準備期間には、番組表示のため、少なくとも、映
像デコーダ6による映像信号の復号化に必要なパラメータが取得され、かつ、その取得さ
れたパラメータを用いて映像信号が復号化される。黒画面表示期間の設定は、予め測定又
は算出された表示準備期間を基に工場出荷前に行われる。黒画面の表示開始後、黒画面表
示期間が経過するまでは(S8でNo)、番組名を合成した黒画面は表示され続ける。制
御回路13は、黒画面の表示解除後、次のCHの番組をディスプレイ9に表示させる(S
10)。
【0026】
上記のように構成された受信装置1においては、リモコン15の操作により現在表示中
の番組のCHとは別のCHが選局されたとき、所定期間だけ、この別のCHのSI情報を
合成した黒画面がディスプレイ9に表示され、その後、上記別のCHの番組が表示される
ので、上記別のCHのSI情報をユーザに視認させることができ、しかも、SI情報表示
が番組表示の視覚的な邪魔にならないようにすることができる。さらに、CH切替選局時
に次のCHの番組表示が整うまでに生じ得るディスプレイ9の表示画面の乱れを防ぐこと
もできる。
【0027】
また、現在表示中の番組のCHとは別のCHが選局されたとき、上記黒画面表示期間だ
けディスプレイ9に黒画面が表示されるので、選局されたCHの放送番組が表示可能な状
態となる前に黒画面が消えることがない。従って、ディスプレイ9の表示画面の乱れを確
実に防止することができる。しかも、黒画面表示期間は一定期間なので、簡単な構成によ
り表示画面の乱れを防ぐことができる。
【0028】
また、CHを選局されたとき、その選局されたCHで放送中の番組名をユーザに通知さ
せることができる。
【0029】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、使用目的に応じて、
様々な変形が可能である。例えば、CH選局を指示するための操作手段は、装置本体に設
けられた操作キー又は操作パネル等であってもよい。また、制御回路13は、SI情報か
ら現在放送中の番組の終了時刻情報又は現在放送中の番組の次の番組名情報を抽出して、
それらを黒画面に合成表示しても構わない。
【符号の説明】
【0030】
1 ディジタルテレビジョン信号受信装置
3 チューナ
5 分離回路(SI復号化手段及び映像復号化手段を構成)
6 映像デコーダ(映像復号化手段を構成)
8 データデコーダ(SI復号化手段を構成)
9 ディスプレイ(表示手段)
13 制御回路(選局手段、表示制御手段、番組名抽出手段)
15 リモコン(操作手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディジタルテレビジョン放送信号(以下、放送信号という)を受信するチューナと、
前記チューナにより受信される放送信号のチャンネル選局を指示するための操作手段と

前記操作手段により選局指示されたチャンネルを選局する選局手段と、
前記選局手段により選局されたチャンネルの放送信号からSI情報を分離して復号化す
るSI復号化手段と、
前記選局手段により選局されたチャンネルの放送信号から映像信号を分離して復号化す
る映像復号化手段と、
前記映像復号化手段により復号化された映像信号に基づく放送番組と、前記SI復号化
手段により復号化されたSI(Service Information)情報とを表示し得る表示手段と、
を備えたディジタルテレビジョン放送信号受信装置において、
前記表示手段による前記放送番組の表示中に、前記操作手段により該表示中の放送番組
のチャンネルとは別のチャンネルを選局するように指示されたとき、前記SI復号化手段
により復号化される前記別のチャンネルのSI情報を黒画面に合成して合成後の黒画面を
前記表示手段に表示させ、所定期間経過後、前記合成後の黒画面の表示を消して、前記別
のチャンネルの放送番組を前記表示手段に表示させるように該表示手段を制御する表示制
御手段をさらに備えることを特徴とするディジタルテレビジョン放送信号受信装置。
【請求項2】
前記所定期間は、前記操作手段によりチャンネル選局が指示されてから、前記表示制御
手段が該操作手段により選局指示されたチャンネルの放送番組を前記表示手段に表示可能
な状態になるまでの期間に応じて予め設定された一定期間であることを特徴とする請求項
1に記載のディジタルテレビジョン放送信号受信装置。
【請求項3】
前記SI復号化手段により復号化されたSI情報の中から放送中の放送番組名情報を抽
出する番組名抽出手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記番組名抽出手段により抽出された放送番組名情報を前記黒画
面に合成して、合成後の黒画面を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1又
は請求項2に記載のディジタルテレビジョン放送信号受信装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−4752(P2012−4752A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136610(P2010−136610)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】