説明

ディジタルネットワークの網同期装置及びディジタルネットワークの局に設けられる網同期装置

【課題】従属同期方式による網同期のディジタルネットワークにおいて、主局に従属する局(従属局)のクロック精度を向上させると共に、該従属局のリンク数の制限を緩和することである。
【解決手段】主局10Aの主発振器11aが生成した基準クロックaは、伝送路20aを通過する際にΔfの位相変動を生じて従属局Bに伝送される。従属局Bの位相同期発振器15bは、該位相変動した基準クロックa(基準クロックa+Δf)に同期した従属クロックbを生成し、これを伝送路20aを介して主局10Aに伝送する。主局10Aの位相比較器12aは、Δfの位相変動が生じた従属クロックbと自局の主発振器11aが生成した基準クロックaとを比較し、その比較結果を基に位相変動情報aを作成し、それを従属局Bに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタルネットワークの網同期に係り、特に従属同期方式を採用したディジタルネットワークの網同期装置、及びディジタルネットワークの局に設けられる網同期装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタルネットワークでは、地理的に離れた複数の局間で相互に通信を行う為に、全ての局を統一したクロックで動作させる網同期が必要である。この網同期の方式には、独立同期方式、相互同期方式、従属同期方式などがある。
【0003】
従属同期方式は、主局の基準クロック周波数に各従属局がクロック周波数を同期させることにより、ネットワーク全体のクロック周波数を同一に保持できるため最も実用的な方式である。従属同期方式では、主局に高精度な主発振器を設置し、他の従属局にはそれよりも低精度な従属発振器を設置する。そして、主発振器のクロック信号を全ての従属発振器に伝送する。従属発振器のPLL(Phased Locked Loop)は、主発振器のクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。これにより、ネットワーク全体のクロック周波数は、主発振器のクロック信号の周波数に統一される。通信事業者内では、経済性や周波数制御の容易さから、従属同期方式が主に採用されている。
【0004】
図5は、従来の従属同期方式のディジタルネットワークの構成例を示す図である。図5において、実線の矢印はクロックパスを、破線の矢印は局内クロック分配をそれぞれ示す。
【0005】
同図に示すディジタルネットワークは、主局Aと、それに伝送路a、伝送路bを介して従属接続された従属局B、従属局Cなどから構成されている。主局Aは、網全体の基準クロックを生成する主発振器aと伝送装置aを備えている。従属局Bは、主発振器aよりも低精度な従属発振器である位相同期発振器b、周波数フィルタg及び伝送装置b、cを備えている。従属局Cも、従属局Bと同様な構成となっており、位相同期発振器c、周波数フィルタg及び伝送装置d、eを備えている。主局Aと従属局Bは伝送路aによって接続され、従属局Bと従属局Cは伝送路bによって接続されている。
【0006】
主局Aの主発振器aで生成された基準クロックは、伝送装置aと伝送路aを介して、従属局Bに伝送される。従属局Bは、前記基準クロックを伝送装置bにより受信する。従属局Bにおいて、前記基準クロックは、その低周波成分を周波数フィルタgにより除去された後、位相同期発振器bに送られる。位相同期発振器bは、入力される基準クロックに従属同期したクロックを生成し、それを自局内に同期クロックとして分配する。従属局Bで生成されたクロックは、伝送装置cにより、伝送路bを介して従属局Cにも送られる。
【0007】
従属局Cは、従属局Bから送られるクロックを伝送装置dにより受信する。従属局C内では、伝送装置d、周波数フィルタg、位相同期発振器c及び伝送装置eにより、上述した従属局Bと同様な動作が行われる。
【0008】
このように、従属局(従属局B、C)の各位相同期発振器(位相同期発振器b、c)は、主局の主発振器aが生成する基準クロックに順次従属して発振し、網全体の同期を確立する。このような従属同期網においては、従属局の各位相同期発振器が、常に、他の位相同期発振器と同一な周波数のクロックを発振(生成)しなければならない。しかしながら
、クロック(基準クロック及びその従属クロック)は,伝送路を通過する際に、温度変動等の環境要因による位相変動が発生する。これは、該クロックが伝送路を通過する間に、伝送路の周囲温度変化の影響により、該クロックに低周波のジッタが発生し、該クロックの各パルス位置がわずかに変動するためである。このため、各従属局に周波数フィルタgを設け、受信したクロックに含まれる位相変動を低周波成分として除去するようにしていた。
【0009】
図6は、クロックパスの局間伝送における位相変動の発生とその問題を示す図である。
主発振器aで生成された基準クロックfは、伝送装置aにより伝送路aに送信される。基準クロックfは、伝送路aを経由して従属局Bの伝送装置bに送信されるが、伝送路aを通過する間に、上記環境要因により位相変動Δfが生じる。このため、従属局Bの伝送装置bは、基準クロックfに位相変動Δfが加わったクロック(基準クロックf+Δf)を受信する。従属局Bは、周波数フィルタgにより、該クロックから位相変動Δfを除去しようとするが、位相変動Δfを完全には除去できず、該クロックには残留位相変動Δf’が残る。このため、従属局Bの位相同期発振器bには、基準クロックfではなく、基準クロックfに残留位相変動Δf’が加わったクロック(基準クロックf+Δf’)が入力される。
【0010】
このため、従属局Bの位相同期発振器bは、基準クロックfではなく、基準クロックfよりも残留位相変動Δf’だけ位相位置がシフトしたクロックに等しい基準クロックbを発振し、それを、伝送装置cにより伝送路bを介して従属局Cに送信する。伝送路bでも、伝送路aと同様にして、基準クロックbに位相変動Δfが発生する。このようにして、伝送路を通過する度にクロックに位相変動Δfが生じ、基準クロックfには残留位相変動Δf’が累積されていくことになる。この結果、より後段の従属局ほど、基準クロックfに対する精度が悪化するようになっていた。また、周波数フィルタgの特性により、残留位相変動Δf’が利得となってしまい、従属を行う度に位相変動量が増幅してしまっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従属同期方式のディジタルネットワークでは、基準クロックに対する位相変動が大きくなると、従属局の位相同期発振器の発振周波数がずれて局間の相互通信に支障が生じる。このため、従来の従属同期方式のディジタルネットワークは、従属リンク数(従属接続する局数)には制限があった。また、同様に理由によりシステム設計の際に、各局のクロック従属構成が従属リンク数の制限を超えない様に考慮する必要があった。
【0012】
本発明の目的は、従属同期方式による網同期のディジタルネットワークにおいて、主局に従属する局(従属局)のクロックの位相精度(主局のクロックの位相との一致度)を向上させると共に、主局に従属できる局数(従属リンク数)の制限を緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のディジタルネットワークの網同期装置は、主局のクロックを従属局に伝送し、従属局は該クロックに同期するクロックを生成することにより網同期を確立するディジタルネットワークの網同期装置を前提とする。
【0014】
本発明のディジタルネットワークの網同期装置の第一態様は、網内の各局が、下記の位相比較手段と伝送手段を備える。
前記位相比較手段は、自局のクロックと自局に従属する他局から受信するクロックとの位相を比較し、その比較結果を基に位相比較情報を作成する。前記伝送手段は、該位相比較手段によって作成された位相比較情報を前記他局に送信する。前記他局は、前記位相比
較情報に基いて自局のクロックを生成する。
【0015】
本発明のディジタルネットワークの網同期装置の第一態様によれば、従属局は前段の局(主局または従属局)から受信する位相変動情報を基に、例えば、自局のクロックと前段の他局のクロック(基準クロック等)との位相変動量(位相差)を監視して認識することができる。
【0016】
本発明のディジタルネットワークの網同期装置の第二態様は、上記本発明のディジタルネットワークの網同期装置の第一態様において、前記位相比較手段は、自局のクロックと他局のクロックの位相差が所定値を超えたとき、前記位相変動情報の代わりに演算不可情報を作成し、前記伝送手段は、前記演算不可情報を前記他局に送信する。
【0017】
本発明のディジタルネットワークの網同期装置の第二態様によれば、従属局は、演算不可情報の送信により、後段の他局のクロックが自局のクロックに対して非従属状態になったことを通知できる。
【0018】
本発明のディジタルネットワークの網同期装置の第三態様は、上記本発明のディジタルネットワークの網同期装置の第一または第二態様において、前記位相変動情報と前記演算不可情報は、例えば、ディジタル情報である。
【0019】
本発明のディジタルネットワークの網同期装置の第三態様によれば、前記位相変動情報と前記演算不可情報を、伝送路を通過する際の位相変動の影響を受けることなく、後段の他局に送信できる。
【0020】
本発明のディジタルネットワークの網同期装置方式の第四態様は、前記本発明のディジタルネットワークの網同期装置の第一または第二態様において、従属局は、さらに、前段の他局から受信するクロックと位相変動情報、及び自局の発振器が生成するクロックを入力して、それらを基に、該自局の発振器が該自局のクロックと前記他局から受信するクロックの位相差が最小となるような自局のクロックを発振するように制御するための発振制御情報を作成する演算機能手段を備える。そして、該演算機能手段により作成された発振制御情報を、前記自局の発振器に与えることにより、自局のクロックと前記他局のクロックの位相差が最小となるように制御する。
【0021】
本発明のディジタルネットワークの網同期装置の第四態様によれば、自局の発振器を制御して、自局のクロックと前段のクロックの位相差が最小となるように制御することが可能となる。
【0022】
本発明のディジタルネットワークの網同期装置の第五態様は、上記本発明のディジタルネットワークの網同期装置の第四態様において、前記演算機能手段は、入力される情報が前記位相変動情報または前記演算不可情報のいずれであるかを判別し、前記演算不可情報が入力された場合には、前記発振器に対して前記発振制御情報を与えない。
【0023】
本発明のディジタルネットワークの網同期装置の第五態様によれば、発振器の不必要な(不適切な)制御を回避することが可能となる。
本発明の網同期装置は、主局のクロックを従属局に伝送し、従属局は該クロックの周波数に同期する自局のクロックを生成することにより網同期を確立するディジタルネットワークの各局に設けられる網同期装置を前提とする。
【0024】
本発明の網同期装置の第1態様は、自局の発振器で生成されたクロックと、自局に従属する他局から受信するクロックとの位相を比較し、その比較結果に基いて、前記両クロッ
クの位相の差分に関する位相変動情報を作成する位相比較手段と、該位相比較手段によって作成された位相変動情報を前記他局に送信する伝送手段とを備える。
【0025】
本発明の網同期装置の第1態様は、例えば、従属同期方式のディジタルネットワークの主局に設置される。
本発明の網同期装置の第1態様によれば、自局の従属局に、自局の発振器が生成する第1のクロックと前記従属局の発振器が生成する第2のクロックとの位相の差分に関する情報を、位相変動情報として前記従属局に通知することができる。
【0026】
本発明の網同期装置の第2態様は、自局の発振器で生成されたクロックと、自局に従属する他局から受信するクロックとの位相を比較し、その比較結果に基いて、前記両クロックの位相の差分に関する位相変動情報を作成する位相比較手段と、該位相比較手段によって作成された位相変動情報を前記他局に送信する伝送手段と、前段の他局から受信するクロック並びに位相変動情報と、自局の発振器が生成するクロックを入力して、それらを基に、該自局の発振器が該自局のクロックと前記他局から受信するクロックの位相差が最小となるようなクロックを発振するように、前記自局の発振器を制御するための発振制御情報を作成する演算機能手段とを備える。
【0027】
本発明の網同期装置の第2態様によれば、上記本発明の網同期装置の第1態様の作用・効果に加え、自局の発振器が生成する第1のクロックを、自局が従属する(自局の前段に位置する)他局の発振器が生成する第2のクロックとの位相の差が最小となるように制御することができる。
【0028】
本発明の網同期装置の第2態様は、例えば、網同期方式のディジタルネットワークの主局と末端の局の間に設けられる従属局に設置される。
本発明の網同期装置の第3態様は、自局の発振器で生成されたクロックと、自局が従属する他局から受信するクロックとの位相の差分に関する位相変動情報を受信する位相変動情報受信手段と、該位相変動情報受信手段によって受信された位相変動情報に基いて、自局の発振器の生成するクロックの位相と前記他局のクロックの位相との差が最小となるように、自局の発振器を制御する制御手段とを備える。
【0029】
本発明の網同期装置の第3態様は、例えば、網同期方式のディジタルネットワークの末端の局に設置される。
本発明の網同期装置の第3態様によれば、自局の発振器が生成するクロックを、自局の前段に位置する局の発振器が生成するクロックとの位相差が最小となるように制御することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、網同期に従属同期方式を採用したディジタルネットワークにおいて、従属局のクロック精度を向上できると共に、主局に従属する局(従属局)の数の制限を緩和することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
[本発明の原理(その1)]
図1は、本発明の原理説明図(その1)である。図1では、本発明の原理の理解を容易にするために、主局と2つの従属局で構成されるディジタルネットワークを例示している。
同図に示すディジタルネットワーク1において、従属局10C(従属局C)は主局10A(主局A)に従属する末端の従属局(末端局)となっている。
【0032】
主局10A(主局A)は、主発振器11a(主発振器a)、第1の第1の伝送装置13a(伝送装置a)に加え、位相比較器12aを備えている。従属局10B(従属局B)は、第1の伝送装置13b(伝送装置c)、位相同期発振器15b(位相同期発振器b)、位相比較器12b及び第2の伝送装置14b(伝送装置b)を備えている。従属局10C(従属局C)は、第2の伝送装置14c(伝送装置d)と位相同期発振器15c(位相同期発振器c)を備えている。
【0033】
主局10Aの位相比較器12aは、主発振器11aが生成する基準クロックaと自局に従属している従属局10Bの位相同期発振器15bが生成するクロック(従属クロックb)の位相を比較し、その位相比較結果を位相変動情報として従属局10Bに送信する。
【0034】
上述したように、主局10Aと従属クロックbを接続する伝送路20a(伝送路a)をクロックが伝送する際に、そのクロックには位相変動Δfが生じる。したがって、従属局10Bは、主局10Aから位相がΔfだけ変動した基準クロックa(以後、位相変動基準クロックa+Δfと呼ぶ)を受信し、自局の位相同期発振器15bにより、その位相変動基準クロックa+Δfに同期する従属クロックbを生成する。そして、この従属クロックbを、第2の伝送装置14bにより、伝送路伝20aを介して主局10Aに送信する。このため、主局10Aは、位相がΔf変動した従属クロックb(以後、位相変動従属クロックb+Δfと呼ぶ)を受信することになる。
【0035】
主局10Aの位相比較器12aは、主発振器10aから入力する基準クロックaと従属局10Bから受信する位相変動従属クロックb+Δfとを比較し、その位相比較結果を、位相変動情報aとして第1の伝送装置13a(伝送装置a)に出力する。第1の伝送装置13aは、その位相変動情報aを、伝送路20aを介して従属局10Bの第2の伝送装置14bに送信する。
【0036】
従属局10Bは、主局10Aから受信する位相変動情報aを基に、網全体の基準クロックaと自局の基準クロックbとの位相変動量を監視・認識する。
ところで、位相比較器12aは、上記位相比較の結果、位相差が所定の閾値を超えた場合には、前記位相変動情報aの代わりに、演算不可情報を従属局10Bに送る。この演算不可情報を、主局10Aから従属局10Bに送信することで、主局10Aは、自局の基準クロックaと従属局10Bの基準クロックbとが非従属関係になったことを従属局10Bに通知することができる。
【0037】
従属局10Bは、主局10Aから前記位相変動情報aを受信した場合は、自局の位相同期発振器15bが生成する基準クロックbの位相と主局10Aの基準クロックaの位相との差分が最小となるように(できるだけ一致するように)制御する。一方、従属局10Bは、主局10Aから前記演算不可情報を受信した場合には、従属クロックbの位相が基準クロックaの位相とあまりにも大きくズレてしまっているので、自局の基準クロックbの位相補正を実施しない。
【0038】
上述したようにして、従属局10Bにおいて、主局10Aの基準クロックaと位相が(できるだけ)一致するように補正された基準クロックbは、第1の伝送装置13b(伝送装置c)により、伝送路20b(伝送路b)を介して従属局10C(従属局C)に送信される。従属局10Cは、伝送路20b(伝送路b)を介して送られてくる基準クロックbを第2の伝送装置14c(伝送装置d)により受信する。基準クロックbも、上記伝送路20aと同様の原因により、伝送路20bを通過する間にΔfの位相変動を生じる。したがって、従属局10Cの位相同期発振器12c(位相同期発振器c)には、位相がΔfだけ変動した基準クロックb(以後、位相変動基準クロックb+Δfと呼ぶ)が入力される。
【0039】
従属局10Cは、自局の位相同期発振器15cにより、上記位相変動基準クロックb+Δfに位相同期した従属クロックcを生成し、それを、第2の伝送装置14cと伝送路20bを介して従属局10Bに送る。
【0040】
従属局10Bは、主局10Aと同様にして、自局の位相比較器12bにより、自局の基準クロックbと従属局10から受信した従属クロックcの位相を比較し、その比較結果を位相変動情報bとして、第1の伝送装置13bと伝送路20bを介して従属局10Cに送信する。このとき、従属局10Bは、前記位相比較結果が所定の閾値を超えている場合には、主局10Aと同様に、演算不可情報を従属局10Cに送信する。従属局10Cは、従属局10Bから受信する位相変動情報bを基に、従属局10Bと同様にして自局の位相同期発振器15cを制御して、従属局10Bの基準クロックbの位相との差が最小となる基準クロックc(不図示)を位相同期発振器15cに生成させる。
【0041】
前記位相変動情報(位相変動情報a、b)と演算不可情報は、例えば、ディジタル変換されたデータ情報である。位相変動情報を、このようなディジタル情報とすることにより、位相変動情報を、伝送路の環境要因を受けることなく自局の従属局に送信することが可能となる。
【0042】
[本発明の原理(その2)]
図2は、本発明の原理(その2)を適用した従属局10B及び従属局10Cの構成例を示す図である。図2には、従属局10Bの構成のみを示しているが、従属局10Cも同様な構成を備える。
【0043】
本発明の原理(その2)では、図1の従属局10Bと従属局10Cに、位相変動情報aまたは演算不可情報を利用する手段として、演算機能部16b(演算機能部b)を追加する。尚、図2では、従属局10Bが備える位相比較器11bと第1の伝送装置13bを省略している。尚、末端局である従属局10Cは、位相比較器と第1の伝送装置は備えていない(図1参照)。
【0044】
図2に示す第2の伝送装置14b、演算機能部16b及び位相同期発振器15bは網同期装置を構成している。この網同期装置は、主局10Aから受信した前記位相変動基準クロックa+Δfと位相変動情報a及び自局の従属クロックb(位相同期発振器bの生成するクロック)を基に、位相同期発振器15bの生成する従属クロックbと主局10Aの基準クロックaの位相の差が最小となるように(なるべく一致するように)制御する。
図2の構成を詳しく説明する。
【0045】
演算機能部16bは、伝送装置bから位相変動基準クロックa+Δfと位相変動情報a(または演算不可情報)を入力すると共に、位相同期発振器15bから従属クロックbを入力する。演算機能部16bは、それらの入力情報を基に発振制御情報bを作成する。この発振制御情報bは、位相同期発振器15bが生成する従属クロックbの位相が基準クロックaの位相とできるだけ一致するように(両クロックの位相の差が最小となるように)、位相同期発振器15bを制御するための情報である。
【0046】
位相同期発振器15bは、演算機能部16bから発振制御情報bを入力すると、伝送路20aを介して入力する、主局10Aの第1の伝送装置13aが送信した位相変動基準クロックa+Δf)の位相を無視し、発振制御情報bの方を優先する。そして、発振制御情報bによる制御を受けて、基準クロックaに対する位相変動Δfが最小となるような従属クロックbを生成する。このようにして、位相同期発振器15bは、演算機能部16bから発振制御情報bを入力することで、自器が発振する従属クロックbを、基準クロックa
との位相差が最小となるように可変することが可能となる。
【0047】
以上述べたように、本発明の第2態様では、従属局10Bの位相同期発振器15bと演算機能部16b、及び主局10Aの位相比較器12aが一種のフィードバック制御回路を構成し、位相変動情報aが示す「基準クロックaと従属クロックbとの位相差」が最小となるように、従属局10Bの位相同期発振器15bをフィードバック制御する。
【0048】
また、演算機能部16bは、位相変動情報a以外の情報(例えば、演算不可情報)を受信した場合には、演算を中止して、位相同期発振器15bへの発振制御情報bの出力を停止する手段を備える。この結果、不適切な位相同期発振器15bの制御を回避することが可能となる。
【0049】
図1に示すように、従属局10Bに従属局10Cが従属している場合、従属局Bの位相同期発振器15bが生成した基準クロックbは、図1に示す第1の伝送装置13cと伝送路20bを介して従属局10Cに送信される
[実施形態]
図3は、本発明の実施形態であるディジタルネットワークのシステム構成を示す図である。
【0050】
図3に示すディジタルネットワーク30は、図1のディジタルネットワークを拡張した構成となっており、主局10A(主局A)に、従属局10S−1(従属局B)、従属局10S−2(従属局C)、・・・、従属局10S−m(従属局M)及び従属局10S−n(従属局N)が従属した、従属同期方式のディジタルネットワークとなっている。
【0051】
ディジタルネットワーク30においては、主局10Aとそれに従属する従属局10S−1は、伝送路20−1で接続されている。また、従属局10S−1とそれに従属する従属局10S−2は、伝送路20−2で接続されている。以後、同様にして、従属局10S−2以降の従属局10S−3、・・・、10S−m、10S−nが、図3に示すように、伝送路20−3(不図示)、・・・、伝送路20−m、伝送路20−nにより互いに接続されている。
【0052】
本実施形態のディジタルネットワーク30は、主局10Aの主発振器11aで生成される基準クロックaを、従属局10S−1、従属局10S−2、・・・、従属局10S−m及び従属局10S−nに分配して、ネットワーク全体で同期多重化、すなわち、網同期を確立する。
【0053】
主局10Aに従属する全ての従属局(従属局10S−1〜従属局10S−n)の位相同期発振器(位相同期発振器15s−1〜15s−n)は、主局10Aの主発振器11aが生成する基準クロックaとの位相の差が最小となるような(位相ができるだけ一致するような)同一周波数の基準クロックを生成する。
【0054】
本実施形態において、主局10Aの構成・機能は、図1の主局10Aと同様である。また、従属局10S−1、従属局10S−2、・・・、従属局10S−mの構成・機能は、図1の従属局10Bと同様である。また、従属局10S−nの構成・機能は、図1の従属局10Cと同様である。また、従属局10S−1〜10S−nは、図2に示す構成・機能を備える。
【0055】
すなわち、主局10Aは、主発振器10aと位相比較器12a及び第1の伝送装置13aを備えている。従属局10S−1〜10S−mは、位相比較器(位相比較器12s−1〜12s−m)、第1の伝送装置(第1の伝送装置13s−1〜13s−m)、第2の伝
送装置(第2の伝送装置14s−1〜14s−m)、位相同期発振器(位相同期発振器15s−1〜15s−m)を備えている。従属局10S−nは、第2の伝送装置14s−nと位相同期発振器15s−nを備えている。
【0056】
したがって、本実施形態の従属局10S−1は、図1の従属局10Bと同様に、主局10Aから受信する位相変動情報aに基づいて、自局の位相同期発振器15s−1が生成する基準クロックbと、主局10Aの位相同期発振器11aが生成する基準クロックaとの位相の差が最小となるように制御する。従属局10S−1は、この基準クロックbの位相制御を、前述した図1及び図2で説明した方法により行なう。
【0057】
従属局10S−1に従属している従属局10S−2の構成は、従属局10S−1と同様である。従属局10S−2は、従属局10S−1と主局10Aとの関係と同様にして、従属局10S−1との間で、自局の位相同期発振器15s−2が生成する基準クロックcのフィードバック制御を行い、該基準クロックcの位相と従属局Bの位相同期発振器15s−1が生成する基準クロックbの位相の差が最小となるように(位相同期がとれるように)、位相同期発振器15−sを制御する。
【0058】
以後、同様にして、従属局10S−2に後続する従属局10S−3(不図示)、・・・、従属局10S−m、従属局10S−nは、自局の前段に位置する従属局10S−2、・・・従属局10S−l(不図示)、従属局10S−mの位相同期発振器(位相同期発振器15s−2、・・・、15s−l、15s−m)が生成する基準クロックと位相同期が取れるように、自局の位相同期発振器(位相同期発振器15s−3、・・・、15s−n)が生成する基準クロックの位相を制御する。
【0059】
このようにして、主局10Aに従属する順序に従って、主局10Aに近い従属局から順番に、位相同期発振器15s−i(i=1〜n)の生成するクロックを、主局10Aの基準クロックaと位相同期がとれるように調整していく。
【0060】
このようにして、主局10Aに従属する従属局(従属局10S−1、従属局10S−2、・・・、従属局10S−m、従属局10S−n)の位相同期発振器(位相同期発振器15s−3、・・・、15s−n)が生成するクロックの位相精度(従属局の位相同期発振器が生成するクロックの位相が主局10Aの主発振器10aが生成する基準クロックaの位相と一致する度合い)は極めて高いものとなり、この結果として、各従属局は、主局10Aの基準クロックaとの位相差が極めて小さい同一周波数のクロック(自局の基準クロック)を生成することができ、この結果として、ディジタルネットワーク30の網同期が達成される。
【0061】
図4は、図1〜図3に示す位相変動情報と演算不可情報が設定されるフレームのフォーマットを示す図である。図4(a)は位相変動情報フレームを示し、図4(b)は演算不可情報フレームを示す。
【0062】
図4(a)に示す位相変動情報フレーム40は、8ビットのパルス列であるタイムスロットを複数含んでいる。位相変動情報フレーム40は、例えば、同期多重化で使用されるフレームと同様な構成である。
【0063】
位相変動情報フレーム40の各タイムスロットは、前記主局または従属局に設けられた位相比較器により、位相変動情報が設定されるようになっており、位相変動がない場合には、“01010101”のビットパターンがタイムスロットに設定される。すなわち、位相変動が発生しない場合には、位相変動情報フレーム40には“01010101”のビットパターンのタイムスロットが繰り返し配置される。位相変動が発生した場合、タイ
ムスロットには、例えば、図4(a)に示すように、“01110101”のビットパターンが設定される。この場合、第3ビットが“1”となっており、該第3ビットで位相変動が発生したことを示している。このように、本実施形態の位相変動情報フレーム40においては、“01010101”を正常なビットパターンとし、クロックに位相変動が生じた場合、つまり、自局の従属クロックのパルスと前段の局のクロックのパルスとの位相差分が所定値を超えた場合に、その位相変動が生じたクロック・パルスに対応するビットを正規な値(“1”または“0”)の反転値(“0”または“1”)に設定する。したがって、例えば、演算機能部16bにより、位相変動情報フレーム40の各タイムスロットのビットパターンを調べることにより、所定時間当たりの位相変動量を算出・監視することができる。
【0064】
図4(b)に示す演算不可情報フレーム50は、前記位相変動情報フレーム40と同様な構成となっている。
前記主局または従属局に設けられた位相比較器は、前記位相変動量が所定値を超えた場合、先頭のタイムスロットに“000000”のビットパターンが設定された演算不可情報フレーム50を従属局に送信する。該従属局の前記演算機能部16bは、前記第2の伝送装置14bから受信するフレームの先頭のタイムスロットのビットパターンが“0000000”となっているかどうかを判定することで、受信したフレームが演算不可情報フレーム50であると判断することができる。
【0065】
以上述べたように、本実施形態によれば、主局10Aの主発振器10aが生成する基準クロックaと位相同期が取れるように(位相の差が最小となるように)、主局10Aに従属する各従属局の位相同期発振器が生成するクロック(基準クロック)の位相を、従属リンクの順序に従って、順次、調整していくので、ディジタルネットワークの後段に位置する従属局の位相同期発振器の生成するクロックの位相の前記基準クロックaの位相との差分を低減できる。したがって、主局10Aに従属する従属局の数(従属リンク数)を制限を従来よりも大幅に緩和することが可能となる。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々に変形して実施することができる。
【0066】
(付記1)
主局のクロックを従属局に伝送し、従属局は該クロックの周波数に同期する自局のクロックを生成することにより網同期を確立するディジタルネットワークの網同期装置において、
網内の各局は、
自局の発振器で生成されたクロックと、自局に従属する他局から受信するクロックとの位相を比較し、その比較結果に基いて、前記両クロックの位相の差分に関する位相変動情報を作成する位相比較手段と、
該位相比較手段によって作成された位相変動情報を前記他局に送信する伝送手段を備え、
前記他局は、前記位相変動情報に基いて自局のクロックを生成することを特徴とするディジタルネットワークの網同期装置。
(付記2)
付記1記載のディジタルネットワークの網同期装置であって、
前記位相比較手段は、自局のクロックと他局のクロックの位相差が所定値を超えたとき、前記位相変動情報の代わりに演算不可情報を作成し、
前記伝送手段は、前記演算不可情報を前記他局に送信すること、
を特徴とするディジタルネットワークの網同期装置。
(付記3)
付記1または2記載のディジタルネットワークの網同期装置であって、
前記位相変動情報と前記演算不可情報は、ディジタル情報であることを特徴とするディジタルネットワークの網同期装置。
(付記4)
付記1または2記載のディジタルネットワークの網同期装置であって、
従属局は、さらに、
前段の他局から受信するクロック並びに位相変動情報と、自局の発振器が生成するクロックを入力して、それらを基に、該自局の発振器が該自局のクロックと前記他局から受信するクロックの位相差が最小となるようなクロックを発振するように、前記自局の発振器を制御するための発振制御情報を作成する演算機能手段を備え、
該演算機能手段により作成された発振制御情報を、前記自局の発振器に与えることにより、自局のクロックと前記他局のクロックの位相差が最小となるように制御することを特徴とするディジタルネットワークの網同期装置。
(付記5)
付記4記載のディジタルネットワークの網同期装置であって、
前記演算機能手段は、入力される情報が前記位相変動情報または前記演算不可情報のいずれであるかを判別し、前記演算不可情報が入力された場合には、前記クロック発振器に対して前記発振制御情報を与えないことを特徴とするディジタルネットワークの網同期装置。
(付記6)
付記1または2記載のディジタルネットワークの網同期装置であって、
末端の従属局は、前記位相比較手段を備えず、前記位相変動情報と前記演算不可情報を伝送しないことを特徴とするディジタルネットワークの網同期装置。
(付記7)
主局のクロックを従属局に伝送し、従属局は該クロックの周波数に同期する自局のクロックを生成することにより網同期を確立するディジタルネットワークの各局に設けられる網同期装置であって、
自局の発振器で生成されたクロックと、自局に従属する他局から受信するクロックとの位相を比較し、その比較結果に基いて、前記両クロックの位相の差分に関する位相変動情報を作成する位相比較手段と、
該位相比較手段によって作成された位相変動情報を前記他局に送信する伝送手段と、
を備えることを特徴とする網同期装置。
(付記8)
主局のクロックを従属局に伝送し、従属局は該クロックの周波数に同期する自局のクロックを生成することにより網同期を確立するディジタルネットワークの各局に設けられる網同期装置であって、
自局の発振器で生成されたクロックと、自局に従属する他局から受信するクロックとの位相を比較し、その比較結果に基いて、前記両クロックの位相の差分に関する位相変動情報を作成する位相比較手段と、
該位相比較手段によって作成された位相変動情報を前記他局に送信する伝送手段と、
前段の他局から受信するクロック並びに位相変動情報と、自局の発振器が生成するクロックを入力して、それらを基に、該自局の発振器が該自局のクロックと前記他局から受信するクロックの位相差が最小となるようなクロックを発振するように、前記自局の発振器を制御するための発振制御情報を作成する演算機能手段と、
を備えることを特徴とする網同期装置。
(付記9)
付記7または8記載の網同期装置であって、
前記位相比較手段は、自局のクロックと他局のクロックの位相差が所定値を超えたとき、前記位相変動情報の代わりに演算不可情報を作成し、
前記伝送手段は、前記演算不可情報を前記他局に送信すること、
を特徴とする網同期装置。
(付記10)
付記9記載の網同期装置であって、
前記演算機能手段は、入力される情報が前記位相変動情報または前記演算不可情報のいずれであるかを判別し、前記演算不可情報が入力された場合には、前記クロック発振器に対して前記発振制御情報を与えないことを特徴とする網同期装置。
(付記11)
主局のクロックを従属局に伝送し、従属局は該クロックの周波数に同期する自局のクロックを生成することにより網同期を確立するディジタルネットワークの末端の局に設けられる網同期装置であって、
自局の発振器で生成されたクロックと、自局が従属する他局から受信するクロックとの位相の差分に関する位相変動情報を受信する位相変動情報受信手段と、
該位相変動情報受信手段によって受信された位相変動情報に基いて、自局の発振器の生成するクロックの位相と前記他局のクロックの位相との差が最小となるように、自局の発振器を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする網同期装置。
(付記12)
付記7乃至11のいずれか1項に記載の網同期装置であって、
前記位相変動情報と前記演算不可情報は、ディジタル情報であることを特徴とする網同期装置。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明のディジタルネットワークにおける網同期の原理(その1)を示す図である。
【図2】本発明のディジタルネットワークにおける網同期の原理(その2)を示す図である。
【図3】本発明の実施形態であるディジタルネットワークのシステム構成を示す図である。
【図4】図1〜図3に示す位相変動情報と演算不可情報が設定されるフレームのフォーマットを示す図である。
【図5】従来の従属同期方式のディジタルネットワークの構成例を示す図である。
【図6】従来の従属同期方式のディジタルネットワークの問題を説明する図である。
【符号の説明】
【0068】
10A 主局A
11a 主発振器
12a 位相比較器
13a 第1の伝送装置
10B 従属局B
12b 位相比較器
13b 第1の伝送装置
14b 第2の伝送装置
15b 位相同期発振器
16b 演算機能部
10C 従属局C
14c 第2の伝送装置
15c 位相同期発振器
20a、20b、20−1〜20−n 伝送路
10S−1〜10S−n 従属局
12s−1〜12s−m 位相比較器
13s−1〜13s−m 第1の伝送装置
14s−1〜14s−n 第2の伝送装置
15s−1〜15s−n 位相同期発振器
40 位相変動情報フレーム
50 演算不可情報フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主局のクロックを従属局に伝送し、従属局は該クロックに同期するクロックを生成することにより網同期を確立するディジタルネットワークの網同期装置において、
網内の各局は、
自局のクロックと自局に従属する他局から受信するクロックとの位相を比較し、その比較結果を基に位相比較情報を作成する位相比較手段と、
該位相比較手段によって作成された位相比較情報を前記他局に送信する伝送手段を備え、
前記他局は、前記位相比較情報に基いて自局のクロックを生成することを特徴とするディジタルネットワークの網同期装置。
【請求項2】
請求項1記載のディジタルネットワークの網同期装置であって、
前記位相比較手段は、自局のクロックと他局のクロックの位相差が所定値を超えたとき、前記位相変動情報の代わりに演算不可情報を作成し、
前記伝送手段は、前記演算不可情報を前記他局に送信すること、
を特徴とするディジタルネットワークの網同期装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のディジタルネットワークの網同期装置であって、
前記位相変動情報と前記演算不可情報は、ディジタル情報であることを特徴とするディジタルネットワークの網同期装置。
【請求項4】
請求項1または2記載のディジタルネットワークの網同期装置であって、
従属局は、さらに、
前段の他局から受信するクロックと位相変動情報、及び自局の発振器が生成するクロックを入力して、それらを基に、該自局の発振器が該自局のクロックと前記他局から受信するクロックの位相差が最小となるような自局のクロックを発振するように制御するための発振制御情報を作成する演算機能手段を備え、
該演算機能手段により作成された発振制御情報を、前記自局の発振器に与えることにより、自局のクロックと前記他局のクロックの位相差が最小となるように制御することを特徴とするディジタルネットワークの網同期装置。
【請求項5】
請求項4記載のディジタルネットワークの網同期装置であって、
前記演算機能手段は、入力される情報が前記位相変動情報または前記演算不可情報のいずれであるかを判別し、前記演算不可情報が入力された場合には、前記発振器に対して前記発振制御情報を与えないことを特徴とするディジタルネットワークの網同期装置。
【請求項6】
主局のクロックを従属局に伝送し、従属局は該クロックの周波数に同期する自局のクロックを生成することにより網同期を確立するディジタルネットワークの各局に設けられる網同期装置であって、
自局の発振器で生成されたクロックと、自局に従属する他局から受信するクロックとの位相を比較し、その比較結果に基いて、前記両クロックの位相の差分に関する位相変動情報を作成する位相比較手段と、
該位相比較手段によって作成された位相変動情報を前記他局に送信する伝送手段と、
を備えることを特徴とする網同期装置。
【請求項7】
主局のクロックを従属局に伝送し、従属局は該クロックの周波数に同期する自局のクロックを生成することにより網同期を確立するディジタルネットワークの各局に設けられる網同期装置であって、
自局の発振器で生成されたクロックと、自局に従属する他局から受信するクロックとの
位相を比較し、その比較結果に基いて、前記両クロックの位相の差分に関する位相変動情報を作成する位相比較手段と、
該位相比較手段によって作成された位相変動情報を前記他局に送信する伝送手段と、
前段の他局から受信するクロック並びに位相変動情報と、自局の発振器が生成するクロックを入力して、それらを基に、該自局の発振器が該自局のクロックと前記他局から受信するクロックの位相差が最小となるようなクロックを発振するように、前記自局の発振器を制御するための発振制御情報を作成する演算機能手段と、
を備えることを特徴とする網同期装置。
【請求項8】
主局のクロックを従属局に伝送し、従属局は該クロックの周波数に同期する自局のクロックを生成することにより網同期を確立するディジタルネットワークの末端の局に設けられる網同期装置であって、
自局の発振器で生成されたクロックと、自局が従属する他局から受信するクロックとの位相の差分に関する位相変動情報を受信する位相変動情報受信手段と、
該位相変動情報受信手段によって受信された位相変動情報に基いて、自局の発振器の生成するクロックの位相と前記他局のクロックの位相との差が最小となるように、自局の発振器を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする網同期装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−252824(P2008−252824A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94955(P2007−94955)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】