説明

ディジタル・カメラおよびその制御方法

【目的】アナログ/ディジタル変換の省電力を図る。
【構成】被写体を撮像して被写体像を表すアナログ映像信号が得られる。得られたアナログ映像信号は量子化ビット数判定用アナログ/ディジタル変換回路17に入力し,アナログ映像信号のピーク・レベルに応じたデータが出力される。出力されたデータから表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18の量子化ビット数が決定される。決定された量子化ビット数が表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18に設定される。設定された量子化ビット数によってアナログ映像信号がディジタル画像データに変換される。無駄に高い分解能でA/D変換しないので,省電力を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,ディジタル・カメラおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタル・スチル・カメラ,ディジタル・ビデオ・カメラなどのディジタル・カメラにおいては,固体電子撮像素子から出力されたアナログ映像信号がアナログ/ディジタル変換回路においてディジタル画像データに変換される。固体電子撮像素子の高画素化に伴い,アナログ/ディジタル変換された画像データのデータ量が増加し,アナログ/ディジタル変換に要する処理時間の長時間化,アナログ/ディジタル変換の消費電力の増加などが問題となることがある。
【0003】
このために,撮影者が選択した画質モードに応じてアナログ/ディジタル変換およびディジタル変換処理の量子化ビット数を変更して消費電力を削減する撮像装置(特許文献1),高解像度で撮像が行われる場合には,上位ビットを用いて1画素あたりのビット数を削減して出力されるデータ量を削減する撮像装置(特許文献2),設定された動作モードに応じて,アナログ/ディジタル変換およびディジタル変換処理の量子化ビット数を変更して消費電力を削減する撮像装置(特許文献3)などがある。
【特許文献1】特開2001-285700号公報
【特許文献2】特開平9-46578号公報
【特許文献3】特開2001-136420号公報
【0004】
しかしながら,未だ改善の余地がある。
【発明の開示】
【0005】
この発明は,アナログ/ディジタル変換に要する時間を短縮するとともに消費電力を削減することを目的とする。
【0006】
第1の発明は,被写体を撮像し,被写体像を表すアナログ映像信号を出力する固体電子撮像素子を備えたディジタル・カメラ(携帯型情報装置にディジタル・カメラの機能を持たせたものを含む)において,量子化ビット数を変更可能であり,かつ上記固体電子撮像素子から出力されるアナログ映像信号をディジタル画像データに変換するアナログ/ディジタル変換装置,上記固体電子撮像素子から出力されるアナログ映像信号のピーク・レベルにもとづいて,上記アナログ/ディジタル変換装置における量子化ビット数を決定する量子化ビット数決定手段,および上記量子化ビット数決定手段によって決定された量子化ビット数によってアナログ/ディジタル変換を行うように上記アナログ/ディジタル変換装置を制御する制御手段を備えていることを特徴とする。
【0007】
第1の発明は,上記ディジタル・カメラの制御方法も提供している。すなわち,この方法は,被写体を撮像し,被写体像を表すアナログ映像信号を出力する固体電子撮像素子を備えたディジタル・カメラの制御方法において,量子化ビット数を変更可能なアナログ/ディジタル変換装置が,上記固体電子撮像素子から出力されるアナログ映像信号をディジタル画像データに変換し,量子化ビット数決定手段が,上記固体電子撮像素子から出力されるアナログ映像信号のピーク・レベルにもとづいて,上記アナログ/ディジタル変換装置における量子化ビット数を決定し,制御手段が,上記量子化ビット数決定手段によって決定された量子化ビット数によってアナログ/ディジタル変換を行うように上記アナログ/ディジタル変換装置を制御するものである。
【0008】
第1の発明によると,アナログ/ディジタル変換装置は量子化ビット数が変更可能なものである。固体電子撮像素子から出力されるアナログ映像信号のピーク・レベルにもとづいて,アナログ/ディジタル変換回路の量子化ビット数が決定される。決定された量子化ビット数によってアナログ/ディジタル変換が行われるようにアナログ/ディジタル変換装置が制御される。固体電子撮像素子から出力されるアナログ映像信号のピーク・レベルが低い場合には,少ない量子化ビット数を用いてアナログ/ディジタル変換を行わせることができ,消費電力の削減,アナログ/ディジタル変換の高速化を達成できる。しかも,アナログ映像信号には高いピーク・レベルが存在しないので,高いレベルのアナログ映像信号部分がカットされることがない。固体電子撮像素子を用いて得られる被写体像の画質の低下を未然に防止できる。
【0009】
第2の発明は,被写体を撮像し,被写体像を表すアナログ映像信号を出力する固体電子撮像素子を備えたディジタル・カメラにおいて,量子化ビット数を変更可能であり,かつ上記固体電子撮像素子から出力されるアナログ映像信号をディジタル画像データに変換するアナログ/ディジタル変換装置,ISO(International Organization for Standardization)感度を設定するISO感度設定手段,上記ISO感度設定手段によって設定されたISO感度にもとづいて,上記アナログ/ディジタル変換装置における量子化ビット数を決定する量子化ビット数決定手段,および上記量子化ビット数決定手段によって決定された量子化ビット数によってアナログ/ディジタル変換を行うように上記アナログ/ディジタル変換装置を制御する制御手段を備えていることを特徴とする。
【0010】
第2の発明は,上記ディジタル・カメラに適した制御方法も提供している。すなわち,この方法は,被写体を撮像し,被写体像を表すアナログ映像信号を出力する固体電子撮像素子を備えたディジタル・カメラの制御方法において,量子化ビット数を変更可能なアナログ/ディジタル変換装置が,上記固体電子撮像素子から出力されるアナログ映像信号をディジタル画像データに変換し,量子化ビット数決定手段が,ISO感度を設定するISO感度設定手段によって設定されたISO感度にもとづいて,上記アナログ/ディジタル変換装置における量子化ビット数を決定し,制御手段が,上記量子化ビット数決定手段によって決定された量子化ビット数によってアナログ/ディジタル変換を行うように上記アナログ/ディジタル変換装置を制御するものである。
【0011】
第2の発明によると,ISO感度を設定可能である。ISO感度が設定されると,設定されたISO感度に応じて量子化ビット数が決定される。決定された量子化ビット数によってアナログ/ディジタル変換が行われるようにアナログ/ディジタル変換装置が制御される。ISO感度が高く設定される場合には,固体電子撮像素子から出力されるアナログ映像信号のレベルが低い。このため,少ない量子化ビット数を用いてアナログ/ディジタル変換を行わせることができ,消費電力の削減,アナログ/ディジタル変換の高速化を達成できる。この場合も,アナログ映像信号には高いピーク・レベルが存在しないので,高いレベルのアナログ映像信号部分がカットされることがない。固体電子撮像素子を用いて得られる被写体像の画質の低下を未然に防止できる。
【0012】
第3の発明は,被写体を撮像し,被写体像を表すアナログ映像信号を出力する固体電子撮像素子を備えたディジタル・カメラにおいて,量子化ビット数を変更可能であり,かつ上記固体電子撮像素子から出力されるアナログ映像信号をディジタル画像データに変換するアナログ/ディジタル変換装置,ディジタル・カメラの露出量を算出する露出量算出手段,上記露出量算出手段によって算出された露出量にもとづいて,上記アナログ/ディジタル変換装置における量子化ビット数を決定する量子化ビット数決定手段,および上記量子化ビット数決定手段によって決定された量子化ビット数によってアナログ/ディジタル変換を行うように上記アナログ/ディジタル変換装置を制御する制御手段を備えていることを特徴とする。
【0013】
第3の発明は,上記ディジタル・カメラに適した制御方法も提供している。すなわち,被写体を撮像し,被写体像を表すアナログ映像信号を出力する固体電子撮像素子を備えたディジタル・カメラの制御方法において,アナログ/ディジタル変換装置が,量子化ビット数を変更可能であり,かつ上記固体電子撮像素子から出力されるアナログ映像信号をディジタル画像データに変換し,露出量算出手段が,ディジタル・カメラの露出量を算出し,量子化ビット数決定手段が,上記露出量算出手段によって算出された露出量にもとづいて,上記アナログ/ディジタル変換装置における量子化ビット数を決定し,制御手段が,上記量子化ビット数決定手段によって決定された量子化ビット数によってアナログ/ディジタル変換を行うように上記アナログ/ディジタル変換装置を制御するものである。
【0014】
第3の発明によると,露出量が算出される。算出された露出量にもとづいてアナログ/ディジタル変換装置の量子化ビット数が決定される。決定された量子化ビット数によってアナログ/ディジタル変換が行われる。露出量が少ない場合には,固体電子撮像素子から出力される映像信号のレベルが低いと考えられる。少ない量子化ビット数を用いてアナログ/ディジタル変換を行わせることができ,消費電力の削減,アナログ/ディジタル変換の高速化を達成できる。この場合もアナログ映像信号には高いピーク・レベルが存在しないので,高いレベルのアナログ映像信号部分がカットされることがない。固体電子撮像素子を用いて得られる被写体像の画質の低下を未然に防止できる。
【実施例】
【0015】
図1は,この発明の実施例を示すもので,ディジタル・スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。ディジタル・スチル・カメラに限らず,ディジタル・ムービ・ビデオ・カメラにも,この発明の実施例を適用できるのはいうまでもない。
【0016】
ディジタル・スチル・カメラの全体の動作は,CPU1によって統括される。
【0017】
ディジタル・スチル・カメラには,操作器2が含まれている。この操作器2には,電源ボタン,モード設定ダイアル,二段ストローク・タイプのシャッタ・レリーズ・ボタンなどが含まれている。操作器2から出力される操作信号は,CPU1に入力する。モード設定ダイアルによって設定されるモードには撮像モード,再生モードなどがある。
【0018】
ディジタル・スチル・カメラには,ストロボ撮像のための発光装置6および発光装置6からの出射光の反射光を受光するための受光装置7が設けられている。
【0019】
CCD15の前方には,撮像レンズ11,絞り12,赤外線カット・フィルタ13および光学的ロウ・パス・フィルタ14が設けられている。レンズ駆動回路5によって撮像レンズ5が位置決めされ,絞り駆動回路4によって絞り12の開口が制御される。
【0020】
撮像モードが設定されると,被写体像を表す光線束は,撮像レンズ11によって集光され,絞り12,赤外線カット・フィルタ13および光学的ロウ・パス・フィルタ15を介してCCD15の受光面上に入射する。CCD15の受光面上に被写体像が結像し,被写体像を表すアナログ映像信号がCCD15から出力する。
【0021】
アナログ信号処理装置16には,相関二重サンプリング回路,信号増幅回路などが含まれている。CCD15から出力されたアナログ映像信号は,アナログ信号処理装置16に入力し,相関二重サンプリング,信号増幅などが行われる。アナログ信号処理回路16から出力されたアナログ映像信号は,量子化ビット数判定用アナログ/ディジタル変換回路17および表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18に入力する。
【0022】
表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18は,量子化ビットを変更できるもので公知の回路を利用できる。この実施例によるディジタル・スチル・カメラは,被写体像を表すアナログ映像信号のレベルに応じて,表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18の量子化ビット数が変更させられる。アナログ映像信号のレベルを検出する回路が量子化ビット数判定用アナログ/ディジタル変換回路17である。この量子化ビット数判定用アナログ/ディジタル変換回路17は,4種類のディジタル・データを出力する低分解能のアナログ/ディジタル変換回路である。
【0023】
図2は,量子化ビット数判定用アナログ/ディジタル変換回路17の出力と表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18の量子化ビット数との対応関係を示すテーブルである。
【0024】
量子化ビット数判定用アナログ/ディジタル変換回路17は,入力したアナログ映像信号レベルに応じて,0から3までの4種類(4段階)の画像データを出力する。入力した一駒分のアナログ映像信号のピーク・レベルが4つのレベルのうちのどのレベルにあるかに応じて0から3までの4種類のうちのいずれかの画像データが出力される。出力される0から3までの4種類の画像データのうち,アナログ映像信号のピーク・レベルが高いものを表しているものほど,表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路12の量子化ビット数が多くなり,ピーク・レベルが低いものを表しているものほど,表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路12の量子化ビット数が少なくなる。たとえば,アナログ映像信号のピーク・レベルがもっとも小さい場合には,量子化ビット判定用アナログ/ディジタル変換回路17の出力は0となり,表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18の量子化ビット数は,8となる。同様に,アナログ映像信号のピーク・レベルが次に大きい場合,さらに次に大きい場合,もっとも大きい場合には,それぞれ量子化ビット判定用アナログ/ディジタル変換回路17の出力は,それぞれ1,2,3となり,表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18の量子化ビット数は,10,12,14となる。アナログ映像信号のピーク・レベルに応じて表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18の量子化ビット数が決定し,無駄に高い分解能でアナログ/ディジタル変換することが無くなる。アナログ/ディジタル変換の高速化を図りつつ,省電力を実現できる。
【0025】
量子化ビット数判定用アナログ/ディジタル変換回路17は,選択できる量子化ビット数が2つの場合にはコンパレータを用いることもできる。
【0026】
図3および図4は,量子化ビット判定用アナログ/ディジタル変換回路17に入力するアナログ映像信号と出力との関係を示している。これらの図において,アナログ映像信号は,アナログ映像信号によって表される一駒の画像の水平方向と垂直方向とが分かるように,三次元的に表されている。
【0027】
図3を参照して,アナログ映像信号S1のピーク・レベルは高く,量子化ビット数判定用アナログ/ディジタル変換回路17の出力には3の部分が含まれている。このために,アナログ映像信号をディジタル画像データに変換するには高い分解能が必要と考えられる。表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18の量子化ビット数は14とされる。
【0028】
図4を参照して,アナログ映像信号S2のピーク・レベルは比較的高いが量子化ビット判定用アナログ/ディジタル変換回路17の出力には3は無く,2がもっとも大きいものとする。アナログ映像信号をディジタル画像データに変換するために極めて高い分解能が必要では無いと考えられる。表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18の量子化ビット数は12とされる。
【0029】
図1に戻って,量子化ビット数判定用アナログ/ディジタル変換回路17の出力は,CPU1に与えられる。CPU1に与えられた出力にもとづいて,表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18の量子化ビット数がCPU1において決定される。決定された量子化ビット数となるように,表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18がCPU1によって制御される。
【0030】
表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18に設定された量子化ビット数によって,表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18に入力したアナログ映像信号がディジタル画像データに変換される。変換されたディジタル画像データは,メモリ制御回路19の制御のもとにメイン・メモリ20に一時的に記憶される。
【0031】
画像データは,メイン・メモリ20から読み出されてディジタル信号処理回路21に入力する。ディジタル信号処理回路21おいて白バランス調整,ガンマ補正などの所定のディジタル信号処理が行われる。ディジタル信号処理回路21においてディジタル信号処理が行われた画像データは,表示制御回路26に与えられる。表示制御回路26によって表示装置27が制御されることにより,表示装置27の表示画面上に撮像により得られた被写体像が表示される。
【0032】
シャッタ・レリーズ・ボタンの第一段階の押下があると,上述のようにして表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18から出力された画像データは,メイン・メモリ20に記録される。メイン・メモリ20から読み出された画像データは,ディジタル信号処理回路21において輝度データに変換される。変換された輝度データが積算回路23に入力し,積算される。積算値を表すデータがCPU1に与えられ,露出量が算出される。算出された露出量となるように,絞り12の開口およびCCD15のシャッタ速度が制御される。
【0033】
シャッタ・レリーズ・ボタンの第二段階の押下があると,同様にして表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18から出力された画像データは,メイン・メモリ20に記録される。メイン・メモリ20から読み出された画像データは,上述したのと同様に,ディジタル信号処理回路21において所定のディジタル信号処理が行われる。ディジタル信号処理回路21から出力された画像データは,圧縮伸長処理回路22においてデータ圧縮が行われる。データ圧縮された画像データが外部メモリ制御回路24の制御によりメモリ・カード25に記録される。
【0034】
再生モードが設定されると,メモリ・カード25に記録されている圧縮画像データが読み取られる。読み取られた圧縮画像データは,圧縮伸長処理回路22において伸長される。伸長された画像データが表示制御回路26に与えられることにより,表示装置27の表示画面上に,再生画像が表示される。
【0035】
上述の実施例においては,撮像モードが設定されると,表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18における量子化ビット数の判定処理が行われているが,シャッタ・レリーズ・ボタンの押し下げなど,画像データがメモリ・カード25に記録されるときに(ディジタル・ムービ・ビデオ・カメラであれば,記録モード中に)量子化ビット数の判定処理が行われ,表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18における量子化ビット数が設定されるようにしてもよい。
【0036】
図5は,ディジタル・スチル・カメラの処理手順を示すフローチャートである。
【0037】
被写体が撮像され,被写体像を表すアナログ映像信号が得られる(ステップ31)。得られたアナログ映像信号に所定のアナログ信号処理が行われ(ステップ32),上述のように量子化ビット数判定用アナログ/ディジタル変換回路17において量子化ビット数判定用アナログ/ディジタル変換が行われる(ステップ33)。量子化ビット数判定用アナログ/ディジタル変換により得られたデータにもとづいて,表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18に必要な量子化ビット数が決定される(ステップ34)。決定された量子化ビット数となるように表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18が設定される(ステップ35)。
【0038】
設定された量子化ビット数の分解能によって,表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18を用いてアナログ映像信号がディジタル画像データに変換される(ステップ36)。その後,上述したように,ディジタル信号処理が行われる(ステップ37)。
【0039】
図6および図7は,変形例を示すものである。
【0040】
図6は,ディジタル・スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。この図において,図1に示すものと同一物については同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
上述した実施例では,表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18は量子化ビット数の変更が可能な回路であったが,図6に示すディジタル・スチル・カメラに含まれている表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路44は,量子化ビット数の異なる3つの(3つでなくともよいのはいうまでもない)アナログ/ディジタル変換器41,42,43が含まれている。アナログ/ディジタル変換器41,42,43の前段には,CPU1によって切り換えられる切換スイッチ40が設けられている。
【0042】
量子化ビット数判定用アナログ/ディジタル変換回路17からの出力にもとづいて,表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路40の量子化ビット数が決定される。アナログ/ディジタル変換器41,42,43のうち,決定された量子化ビット数をもつアナログ/ディジタル変換器にアナログ映像信号が入力するように切換スイッチ40が切り換えられる。このようにしても,無駄に高い分解能を用いてアナログ/ディジタル変換を行わせる必要がないので省電力を図ることができる。
【0043】
図7は,ディジタル・スチル・カメラの処理手順を示すフローチャートである。この図において,図5に示す処理と同一の処理については同一符号を付して説明を省略する。
【0044】
上述のようにして,表示/記録用アナログ/ディジタル変換に必要な量子化ビット数が決定されると(ステップ34),異なる量子化ビット数をもつ複数のアナログ/ディジタル変換器のうち,決定された量子化ビット数をもつアナログ/ディジタル変換器が選択される(ステップ35A)。選択された表示/記録用アナログ/ディジタル変換器を用いてアナログ映像信号がディジタル画像データに変換される(ステップ36)。
【0045】
図8から図10は他の実施例を示している。
【0046】
図8は,ディジタル・スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。この図においても図1に示すものと同一物については同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
上述した実施例においては,量子化ビット数判定用アナログ/ディジタル変換回路17がディジタル・スチル・カメラに設けられており,その回路17の出力にもとづいて表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路の量子化ビット数が決定されているが,この実施例においてはユーザが設定するISO感度にもとづいて量子化ビット数が決定される。
【0048】
この実施例によるディジタル・スチル・カメラにおいては,量子化ビット数判定用アナログ/ディジタル変換回路17は設けられていない。アナログ信号処理回路16から出力されたアナログ映像信号は,表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18に入力する。操作器2を用いてユーザによってISO感度が設定される。設定されたISO感度にもとづいて量子化ビット数が決定される。決定された量子化ビット数となるように表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18が制御される。
【0049】
図9は,ISO感度と量子化ビット数との関係を示すテーブルである。
【0050】
設定できるISO感度は100,400,1600の3種類とする。他のISO感度が設定できるようにしてもよい。設定されたISO感度が100,400または1600の場合には,量子化ビット数は14,12または10に決定される。ISO感度が大きいほど,量子化ビット数が小さくなるように規定されている。ISO感度が大きいほど,得られるアナログ映像信号のレベルは小さいと考えられ,小さな量子化ビット数でアナログ/ディジタル変換できるからである。この実施例においても無駄な分解能を使わずに済み,省電力を達成できる。
【0051】
図10は,ディジタル・スチル・カメラの処理手順を示すフローチャートである。
【0052】
まず,ユーザによってISO感度が設定される(ステップ51)。すると,設定されたISO感度にもとづいて上述したように量子化ビット数が決定される(ステップ52)。決定された量子化ビット数となるように,表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18が設定される(ステップ53)。
【0053】
被写体が撮像され,被写体像を表すアナログ映像信号が得られる(ステップ54)。得られたアナログ映像信号に所定のアナログ信号処理が行われる(ステップ55)。設定された量子化ビット数によって,表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18を用いてアナログ/ディジタル変換が行われる(ステップ56)。その後,画像データについて所定のディジタル変換処理が行われる(ステップ57)。
【0054】
図11および図12は,変形例を示している。
【0055】
図11は,ディジタル・スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。この図においても図1に示すものと同一物については同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
図11に示すディジタル・スチル・カメラにおいては,上述したように量子化ビット数の異なる3つのアナログ/ディジタル変換器41,42および43を含むディジタル/アナログ変換回路44が含まれている。変換器41,42および43の前段には切換スイッチ40が設けられている。上述したのと同様に,ユーザによって設定されたISO感度に応じて量子化ビット数が決定される。決定された量子化ビット数をもつアナログ/ディジタル変換器41,42または43によってアナログ/ディジタル変換されるように切換スイッチ40が制御される。
【0057】
図12は,ディジタル・スチル・カメラの処理手順を示すフローチャートである。この図において図10に示す処理と同一の処理については同一符号を付して説明を省略する。
【0058】
上述のように,ユーザによって設定されたISO感度に応じて量子化ビット数が決定される(ステップ52)。すると,複数のアナログ/ディジタル変換器のなかから,決定された量子化ビット数をもつアナログ/ディジタル変換器が選択される(ステップ53A)。選択されたアナログ/ディジタル変換器を用いてアナログ映像信号がディジタル画像データに変換される(ステップ56)。
【0059】
図13から図15は,さらに他の実施例を示すものである。
【0060】
この実施例は,算出された露出量に応じて量子化ビット数が決定されるものである。
【0061】
図13は,SV(Sensitivity Value)等と量子化ビット数との関係を示すテーブルである。
【0062】
上述のように,シャッタ・レリーズ・ボタンの第一段階の押下があると露出量が算出される。露出量が算出されると,SV値が得られる。このSV値にもとづいて量子化ビット数が決定する。SV値が大きいほど(露出量が多いほど),得られるアナログ映像信号のレベルは小さいと考えられる。このために,量子化ビット数は少なくなる。SV値が5,7,または9であれば,量子化ビット数は14,12または10に決定される。
【0063】
図13に示すテーブルにおいては,量子化ビット数と上述したISO感度およびアナログ信号処理装置16において行われる信号増幅に用いられるゲインとの関係も示されている。信号増幅に用いられるゲインが決定することにより,決定されたゲインに応じて量子化ビット数を決定できるのは理解できよう。
【0064】
図14は,ディジタル・スチル・カメラの処理手順を示すフローチャートである。ディジタル・スチル・カメラは,図8に示すものを用いることができる。
【0065】
上述のように,シャッタ・レリーズ・ボタンの第一段階の押下があると自動露光制御が行われ露出量が決定される(ステップ61)。アナログ信号処理回路16に含まれているゲイン・コントロール・アンプリファイアのゲインが露出量に応じて設定される(ステップ62)。設定されたゲインに応じた量子化ビット数が決定される(ステップ63)。SV値に応じて量子化ビット数が決定されてもよいのはいうまでもない。決定された量子化ビット数となるように,表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路18が設定される(ステップ64)。
【0066】
つづいて,被写体が撮像され,アナログ映像信号が得られる(ステップ65)。得られたアナログ映像信号に所定のアナログ信号処理が行われる(上述のように設定されたゲインで信号増幅処理が行われる)(ステップ66)。アナログ信号処理が行われたアナログ映像信号について,表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路を用いてアナログ/ディジタル変換が行われる(ステップ67)。その後,変換されたディジタル画像データについてディジタル信号処理が行われる(ステップ68)。
【0067】
このように,露出量(SV値,ゲイン量)に応じて量子化ビット数を決定することもできる。
【0068】
図15は,変形例を示すもので,ディジタル・スチル・カメラの処理手順を示すフローチャートである。図11に示すディジタル・スチル・カメラを用いることができる。この図において図14に示す処理と同一の処理については同一符号を付して説明を省略する。
【0069】
上述のように,露出量が決定され,露出量に応じたゲインが設定される(ステップ61,62)。ゲインに応じて量子化ビット数が決定され(ステップ63),複数のアナログ/ディジタル変換器のなかから決定された量子化ビット数をもつディジタル/アナログ変換回路が選択される(ステップ64A)。選択されたディジタル/アナログ変換回路を用いてアナログ映像信号がディジタル画像データに変換される(ステップ67)。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】ディジタル・スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】量子化ビット数判定用アナログ/ディジタル変換回路の出力と量子化ビット数との対応関係を示している。
【図3】アナログ映像信号と量子化ビット数判定用アナログ/ディジタル変換回路の出力との関係を示している。
【図4】アナログ映像信号と量子化ビット数判定用アナログ/ディジタル変換回路の出力との関係を示している。
【図5】ディジタル・スチル・カメラの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】ディジタル・スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図7】ディジタル・スチル・カメラの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】ディジタル・スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図9】ISO感度と量子化ビット数との対応関係を示している。
【図10】ディジタル・スチル・カメラの処理手順を示すフローチャートである。
【図11】ディジタル・スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図12】ディジタル・スチル・カメラの処理手順を示すフローチャートである。
【図13】SV値等と量子化ビット数との関係を示している。
【図14】ディジタル・スチル・カメラの処理手順を示すフローチャートである。
【図15】ディジタル・スチル・カメラの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
1 CPU
15 CCD
17 量子化ビット数判定用アナログ/ディジタル変換回路
18,44 表示/記録用アナログ/ディジタル変換回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像し,被写体像を表すアナログ映像信号を出力する固体電子撮像素子を備えたディジタル・カメラにおいて,
量子化ビット数を変更可能であり,かつ上記固体電子撮像素子から出力されるアナログ映像信号をディジタル画像データに変換するアナログ/ディジタル変換装置,
上記固体電子撮像素子から出力されるアナログ映像信号のピーク・レベルにもとづいて,上記アナログ/ディジタル変換装置における量子化ビット数を決定する量子化ビット数決定手段,および
上記量子化ビット数決定手段によって決定された量子化ビット数によってアナログ/ディジタル変換を行うように上記アナログ/ディジタル変換装置を制御する制御手段,
を備えたディジタル・カメラ。
【請求項2】
被写体を撮像し,被写体像を表すアナログ映像信号を出力する固体電子撮像素子を備えたディジタル・カメラにおいて,
量子化ビット数を変更可能であり,かつ上記固体電子撮像素子から出力されるアナログ映像信号をディジタル画像データに変換するアナログ/ディジタル変換装置,
ISO感度を設定するISO感度設定手段,
上記ISO感度設定手段によって設定されたISO感度にもとづいて,上記アナログ/ディジタル変換装置における量子化ビット数を決定する量子化ビット数決定手段,および
上記量子化ビット数決定手段によって決定された量子化ビット数によってアナログ/ディジタル変換を行うように上記アナログ/ディジタル変換装置を制御する制御手段,
を備えたディジタル・カメラ。
【請求項3】
被写体を撮像し,被写体像を表すアナログ映像信号を出力する固体電子撮像素子を備えたディジタル・カメラにおいて,
量子化ビット数を変更可能であり,かつ上記固体電子撮像素子から出力されるアナログ映像信号をディジタル画像データに変換するアナログ/ディジタル変換装置,
ディジタル・カメラの露出量を算出する露出量算出手段,
上記露出量算出手段によって算出された露出量にもとづいて,上記アナログ/ディジタル変換装置における量子化ビット数を決定する量子化ビット数決定手段,および
上記量子化ビット数決定手段によって決定された量子化ビット数によってアナログ/ディジタル変換を行うように上記アナログ/ディジタル変換装置を制御する制御手段,
を備えたディジタル・カメラ。
【請求項4】
上記アナログ/ディジタル変換装置は,量子化ビット数が異なる複数のアナログ/ディジタル変換回路を含み,それぞれのアナログ/ディジタル変換回路が上記固体電子撮像素子から出力されたアナログ映像信号をディジタル画像データに変換するものであり,
上記制御手段は,複数のアナログ/ディジタル変換回路のうち,上記量子化ビット数決定手段によって決定された量子化ビット数をもつアナログ/ディジタル変換回路を用いてアナログ変換を行うように上記アナログ/ディジタル変換装置を制御するものである,
請求項1,2または3に記載のディジタル・カメラ。
【請求項5】
被写体を撮像し,被写体像を表すアナログ映像信号を出力する固体電子撮像素子を備えたディジタル・カメラの制御方法において,
量子化ビット数を変更可能なアナログ/ディジタル変換装置が,上記固体電子撮像素子から出力されるアナログ映像信号をディジタル画像データに変換し,
量子化ビット数決定手段が,上記固体電子撮像素子から出力されるアナログ映像信号のピーク・レベルにもとづいて,上記アナログ/ディジタル変換装置における量子化ビット数を決定し,
制御手段が,上記量子化ビット数決定手段によって決定された量子化ビット数によってアナログ/ディジタル変換を行うように上記アナログ/ディジタル変換装置を制御する,
ディジタル・カメラの制御方法。
【請求項6】
被写体を撮像し,被写体像を表すアナログ映像信号を出力する固体電子撮像素子を備えたディジタル・カメラの制御方法において,
量子化ビット数を変更可能なアナログ/ディジタル変換装置が,上記固体電子撮像素子から出力されるアナログ映像信号をディジタル画像データに変換し,
量子化ビット数決定手段が,ISO感度を設定するISO感度設定手段によって設定されたISO感度にもとづいて,上記アナログ/ディジタル変換装置における量子化ビット数を決定し,
制御手段が,上記量子化ビット数決定手段によって決定された量子化ビット数によってアナログ/ディジタル変換を行うように上記アナログ/ディジタル変換装置を制御する,
ディジタル・カメラの制御方法。
【請求項7】
被写体を撮像し,被写体像を表すアナログ映像信号を出力する固体電子撮像素子を備えたディジタル・カメラの制御方法において,
アナログ/ディジタル変換装置が,量子化ビット数を変更可能であり,かつ上記固体電子撮像素子から出力されるアナログ映像信号をディジタル画像データに変換し,
露出量算出手段が,ディジタル・カメラの露出量を算出し,
量子化ビット数決定手段が,上記露出量算出手段によって算出された露出量にもとづいて,上記アナログ/ディジタル変換装置における量子化ビット数を決定し,
制御手段が,上記量子化ビット数決定手段によって決定された量子化ビット数によってアナログ/ディジタル変換を行うように上記アナログ/ディジタル変換装置を制御する,
ディジタル・カメラの制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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