説明

ディスククランパ及びディスク駆動装置

【課題】装置内にディスクを常備しながら、その盗難を防止することのできるディスククランパ、及びディスク駆動装置の提供。
【解決手段】ディスククランパ5、ターンテーブル21、及び光ピックアップ22を備えたディスク駆動装置である。ディスククランパ5は、ターンテーブル21のボス部21aを覆う中心凹部51と、中心凹部51の外周に連なる円板部52とを有する。円板部52には、ターンテーブル21との対向面52tにディスクD1が同心状に固着されている。又、円板部52にディスクD1を貫通する複数の凸部55が設けられ、フランジ部21bには凸部55に対応する環状溝21dが形成される。ターンテーブル21とディスククランパ5とによりディスクD1を挟持するとき、凸部55の先端が環状溝21d内に入り込み、ディスクD1にフランジ部21bと円板部52が接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDやDVDといったディスクに所定の情報を記録したり、記録された情報を再生したりするとき、回転駆動するターンテーブルと協同してディスクを回転可能に挟持するのに用いられるディスククランパと、これを備えたディスク駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスク駆動装置として、CDプレーヤ、DVDプレーヤ、DVDレコーダなどが知られ、一般に広く利用されている。その種の装置は、一方向に回転されるディスクの半径方向に移動するピックアップを備え、そのピックアップにより情報をディスクに記録したり、記録された情報を読み出したりできるようになっている。
【0003】
ディスクを回転させる手段としては、一方向に回転駆動するターンテーブルと、クランパと呼ばれる回転自在な円板状の部材とが用いられ、その両者によりディスクの中心部を挟持するようにしている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−309856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のディスク駆動装置によれば、例えば音楽を聴くに際し所望の音楽が記録されたディスクが必要である。
【0006】
又、装置内に装填されたディスクは、操作部に設けられるスイッチを操作するだけで外部に自動的に搬出され、あるいはクランパを備える蓋を開くことによりターンテーブル上に単に載置された状態で外部に現れるので、ディスクを装置内に残したままにした場合、これが持ち去られる虞があった。例えば、店頭などでのデモンストレーション用に、特定のオーディオ情報を記録したディスクの再生駆動を行う場合、同ディスクが盗難されてしまうことがあった。
【0007】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その主たる目的は装置内にディスクを常備しながら、その盗難を防止できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するため、
ボス部21aの外周に円形のフランジ部21bを有するターンテーブル21と協同して、所定の情報が記録されているか若しくは所定の情報を記録可能なディスクD1を一体的に回転可能に挟持するディスククランパ5であり、
前記ターンテーブル21のボス部21aが前記ディスクD1の中心孔hcに挿入された時そのボス部21aを覆う中心凹部51と、この中心凹部51の外周に連なる円板部52とを有し、
前記円板部52における前記ターンテーブル21との対向面52tに、前記ディスクD1が前記円板部52と同心状に固着されていることを特徴とするディスククランパ5を提供するものである。
【0009】
又、ボス部21aの外周に円形のフランジ部21bを有するターンテーブル21と協同して、所定の情報が記録されているか若しくは所定の情報を記録可能なディスクD1を一体的に回転可能に挟持するディスククランパ5であり、
前記ターンテーブル21のボス部21aが前記ディスクD1の中心孔hcに挿入された時そのボス部21aを覆う中心凹部51と、
前記中心凹部51の外周に連なる円板部52と、
前記円板部52の外周にあってこの円板部52における前記ターンテーブル21との対向面52tに前記ディスクD1を同心状にして着脱可能に保持する弾性爪56と、
を有することを特徴とするディスククランパ5を提供する。
【0010】
又、上記ディスククランパ5に関し、前記円板部52には、前記ターンテーブル21のフランジ部21bに対向する位置において前記ディスクD1を貫通する複数の凸部55が設けられていることを特徴とする。
【0011】
更に、前記円板部52の外周には、前記ディスクD1の厚さよりも大きな高さを有して前記ターンテーブル21側に突出する壁部53が設けられていることを特徴とする。
【0012】
一方、本発明は、前記ディスクD1を挟持するディスククランパ5とターンテーブル21、及び前記ディスククランパ5と前記ターンテーブル21とにより挟持された前記ディスクD1における前記ターンテーブル21側の面frに光を照射する光ピックアップ22を備えたディスク駆動装置を提供する。
【0013】
特に、係るディスク駆動装置は、前記ディスクD1を第1ディスクとして、そのディスクD1とは別の第2ディスクD2を前記第1ディスクD1と重なるように前記ディスククランパ5と前記ターンテーブル21とにより挟持したとき、前記光ピックアップ22から前記第2ディスクD2における前記ターンテーブル21側の面fr2までの距離L2と、前記第1ディスクD1のみを挟持した場合の前記光ピックアップ22から前記第1ディスクD1における前記ターンテーブル21側の面frまでの距離L1と、が同じ(L1=L2)になる構成とされている。
【0014】
又、前記ディスクD1を挟持するディスククランパ5とターンテーブル21、及び前記ディスククランパ5と前記ターンテーブル21とにより挟持された前記ディスクD1における前記ターンテーブル21側の面frに光を照射する光ピックアップ22を備えたディスク駆動装置であり、
前記ターンテーブル21のフランジ部21bに前記ディスククランパ5の凸部55に対応する環状溝21dが形成され、
前記ターンテーブル21と前記ディスククランパ5とにより前記ディスクD1を挟持するとき、前記凸部55の先端が前記環状溝21d内に入り込み、前記ディスクD1の内周側両面fr,fnに前記フランジ部21bと前記円板部52が接触する一方、
前記ディスクD1を第1ディスクとして、その第1ディスクD1よりも大きな直径を有する第2ディスクD2を前記ターンテーブル21と前記ディスククランパ5とにより挟持するときには、前記第2ディスクD2が前記ターンテーブル21のフランジ部21bで支持されながら、前記第2ディスクD2の他面fn2側に前記凸部55の先端が接触し、両ディスクD1,D2の間に隙間Gが形成されることを特徴とする。
【0015】
更に、ディスクD1を挟持するディスククランパ5とターンテーブル21、及び前記ディスククランパ5と前記ターンテーブル21とにより挟持された前記ディスクD1における前記ターンテーブル21側の面frに光を照射する光ピックアップ22を備えたディスク駆動装置であり、
前記ターンテーブル21と前記ディスククランパ5とにより前記ディスクD1を挟持するとき、前記ディスクD1の内周側両面fr,fnに前記フランジ部21bと前記円板部52が接触する一方、
前記ディスクD1を第1ディスクとして、その第1ディスクD1よりも大きな直径を有する第2ディスクD2を前記ターンテーブル21と前記ディスククランパ5とにより挟持するときには、前記第2ディスクD2が前記ターンテーブル21のフランジ部21bで支持されながら、前記第2ディスクD2の他面fn2側に前記壁部53が接触し、両ディスクD1,D2の間に隙間Gが形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るディスククランパによれば、中心凹部の外周に連なる円板部に対してディスク(第1ディスク)が固着もしくは着脱可能に設けられることから、そのディスクとは別のディスク(第2ディスク)を用意する必要の無いディスク常備型のディスク駆動装置を構成し、常備された第1ディスクを利用して情報を記録したり、その記録情報を読み取って再生したりすることができる。
【0017】
又、ディスククランパが開閉蓋に設けられるディスク駆動装置でも、第1ディスクはディスククランパにより覆われて目立たず、ディスク搬送機構を備えるディスク駆動装置では、第1ディスクがディスク搬送機構により外部に自動搬出されず、ディスククランパと一体のまま装置内に残存するので、いずれの場合も第1ディスクを常備しながらその紛失、盗難を防止することができる。
【0018】
特に、第1ディスクが着脱自在とされるものでは、同ディスクを必要に応じて交換することができる。
【0019】
加えて、ディスククランパの円板部に第1ディスクを貫通する凸部が設けられるものでは、第1ディスクとは別の第2ディスクを第1ディスクに接触させること無くターンテーブルとの間に挟み込み、その第2ディスクに対して第1ディスクと共通の光ピックアップで情報を記録したり、その記録情報を読み取って再生したりすることができ、しかも両ディスクの間に隙間が形成されるので第1ディスクに傷が付くことを防止して、その記録情報を長期に亘り好適に読み取ることが可能となる。
【0020】
又、円板部の外周に第1ディスクを囲む壁部が設けられるものでは、第1ディスクよりも直径が大きい第2ディスクの記録情報を読み取るなどするとき、第2ディスクがディスククランパ側に反っていても、その反りを矯正して第2ディスクの記録情報を好適に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るディスククランパを備えたディスク駆動装置を示す概略図
【図2】ディスククランパを部分的に破断して示した斜視分解図
【図3】ディスククランパをターンテーブルに近接させた状態を示す部分断面図
【図4】ディスククランパの使用態様を示す説明図
【図5】ディスククランパの変更例を示す底面図
【図6】図5のX−X線における拡大断面図
【図7】図5、図6に示したディスククランパの使用態様を示す部分断面図
【図8】ディスククランパの他の変更例を示す断面図
【図9】図8に示したディスククランパの使用態様を示す部分断面図
【図10】弾性爪の変形例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づき本発明を詳しく説明する。先ず、図1において、1はディスク駆動装置の本体部であり、この本体部1にはドライブユニット2が内蔵されている。ドライブユニット2は、ターンテーブル21と光ピックアップ22とを備えるユニット構造物であり、これを構成するターンテーブル21は変速制御が可能なモータ23の駆動軸に取り付けられて一方向に回転駆動する。又、光ピックアップ22は対物レンズや受光素子などを備える公知の光学部品であり、これは図示せぬピックアップ移送機構により図1の左右方向に移動可能とされている。
【0023】
一方、本体部1にはヒンジ3を介して開閉蓋4が開閉自在に取り付けられ、その開閉蓋4にはターンテーブル21に対応する位置においてディスククランパ5が回転自在に取り付けられている。尚、6はディスククランパ5を支持する支軸であり、ディスククランパ5はその支軸6に遊嵌されて同支軸6の軸方向に移動可能とされており、開閉蓋4とディスククランパ5の間には図示せぬ板バネが介在されてディスククランパ5をターンテーブル21側に付勢している。ディスククランパ5は、ターンテーブル21よりも大きな直径を有する円形状の部材であり、これには光ピックアップ22により情報の読み書きが可能とされる後述のディスク(第1ディスク)が一体的に設けられる。
【0024】
そして、係るディスク駆動装置によれば、ディスククランパ5に装備される第1ディスクのほか、その第1ディスクとは別のディスク(第2ディスク)をターンテーブル21とディスククランパ5とにより挟持(クランプ)し、これをターンテーブル21の回転駆動により一方向に回転させながら、それらディスクの半径方向に光ピックアップ22を移動させ、その光ピックアップ22により近接するディスクに情報を記録したり、記録された情報を読み取って再生したりすることができる。
【0025】
図2において、D1はディスククランパ5に装備される上記第1ディスク(以下、第1を省略してディスクD1とする)である。本例において、係るディスクD1は中心孔hcを有する直径8cmの光ディスクであり、中心孔hcの周囲にはそれよりも直径の小さい複数(図示例において4つ)の小径孔hsが周方向に等間隔に穿設されている。尚、ディスククランパ5に対向するディスクの片面は非記録面fn、その反対側は光ピックアップ22による情報の読み書きが可能な記録面frとされ、記録面frには小径孔hsよりも外周の領域において予め所定の情報が記録されており、その記録情報が光ピックアップ22により読取可能とされている。
【0026】
一方、ディスククランパ5は、その中心に設けられる中心凹部51の外周に、ディスクD1と同径若しくはそれより若干大径の円板部52が一体的に連なる形態であり、円板部52の外周にはディスクD1を囲むよう上記ターンテーブル21側に突出する環状の壁部53が形成されている。又、図2から明らかなように、中心凹部51内には中空状の軸部54が形成され、円板部52の内周側にはディスクD1の小径孔hsに対応する複数の凸部55が設けられている。
【0027】
そして、本例によれば、ディスクD1の各小径孔hsに凸部55が貫通状態に挿入され、壁部53の内側においてディスクD1が円板部52に対し同心状に固着される。ここに、凸部55はディスクD1の芯出しとして機能するほか、ディスクD1とは別にディスククランパ5に対して固定保持されない第2ディスク(以下、第2を省略してディスクD2とする)を上記ターンテーブル21に押し付ける働きをする。尚、偏平円形の円板部52に対するディスクD1の固着には接着剤が用いられるが、これに両面粘着テープを用いるか、あるいは小径孔hsに対して凸部55が圧入する方式としてもよい。
【0028】
次に、図3はディスクD1が固着されたディスククランパ5の断面を示す。この図で明らかなように、ディスクD1は円板部52におけるターンテーブル21との対向面52tに固着され、その記録面frがターンテーブル21及び光ピックアップ22に向けて全面的に露出されており、壁部53はディスクD1の直径(外径)と同一の内径を有してディスクD1を囲んでいる。又、凸部55と壁部53はターンテーブル21の対向面52tから同一の高さhを有し、その高さhがディスクD1の厚さtよりも大きく、その差(h−t)だけ凸部55と壁部53がディスクD1よりもターンテーブル21側に突出する構成とされている。尚、本例において、上記の差(h−t)は0.1〜0.3mmとされている。
【0029】
一方、ターンテーブル21は、モータ23の駆動軸に固着されるテーパ状のボス部21aの外周に円形のフランジ部21bを一体に設けた構成で、ボス部21aの中心にはディスククランパ5の軸部54に対応する穴部21cが設けられ、フランジ部21bにはディスククランパ5の凸部55に対応して環状溝21dが形成されている。
【0030】
ここに、上記のようなディスククランパ5を備えたディスク駆動装置によれば、ディスククランパ5とドライブユニット2を寄り合う方向に相対移動させ(本例において図1に示される開閉蓋4を閉めてディスククランパ5を押し下げ)、ディスククランパ5とターンテーブル21を閉じることにより、その両者5,21の間にディスクD1が挟み込まれることになる。このとき、図4(a)のように、ターンテーブル21の環状溝21dにディスククランパ5の凸部55の先端が入り込み、ディスクD1の内周側両面に対して円板部52とフランジ部21bとが隙間なく接触し、ターンテーブル21のボス部21aはディスクD1の中心孔hcに挿入してディスククランパ5の中心凹部51で覆われ、穴部21c内には軸部54が嵌合する。
【0031】
しかして、モータ23を駆動すると、ターンテーブル21、及びディスクD1を備えたディスククランパ5が一体となって一方向に回転する。そこで、光ピックアップ22を回転中のディスクD1の盤面(記録面fr)に沿ってその半径方向に移動させることにより、ディスクD1に記録された情報を読み取って再生することができ、しかもディスクD1及び光ピックアップ22が書き込み可能なものであれば、回転中のディスクD1に所望の情報を適宜書き込んで記録することができる。
【0032】
ここに、ディスクD1に対する壁部53の突出量(h−t)が0.1〜0.3mmに設定されていることから、壁部53の先端が光ピックアップ22に干渉して光ピックアップ22の移動を阻害してしまうことはない。又、ディスクD1は、ディスククランパ5により覆われるので目立たず、仮にディスクD1を発見されたとしても、これがディスククランパ5の円板部52に固着されているので容易に取り出すことはできず、結果的に大きな盗難防止効果を得られる。
【0033】
一方、ディスクD1とは別に、光ピックアップ22により記録された情報の読み取りが可能とされる他のディスクD2(第2ディスク)をターンテーブル21に載せ、図4(b)のようにターンテーブル21とディスククランパ5を閉じると、フランジ部21bによりディスクD2が支持されたまま、図示せぬ板バネ(磁力の利用も可)の作用により同ディスクD2の他面側(非記録面fn2)に凸部55の先端が接触する。尚、本例において、ディスクD2はオーディオ情報などが記録された市販の光ディスク(直径12cm)であり、その記録面fr2はターンテーブル21側に向けられ、非記録面fn2には凸部55のみならず壁部53の先端も接触する。
【0034】
しかして、モータ23を駆動すると、ターンテーブル21、ディスクD1を備えたディスククランパ5、及びディスクD2が一体となって一方向に回転する。そこで、光ピックアップ22を回転中のディスクD2の盤面(記録面fr2)に沿ってその半径方向に移動させることにより、ディスクD2の記録情報を読み取って再生することができ、しかもディスクD2及び光ピックアップ22が書き込み可能なものであれば、回転中のディスクD2に所望の情報を適宜書き込んで記録することができる。
【0035】
ここに、2つのディスクD1,D2の間には、ディスクD1に対する凸部55及び壁部53の突出量(h−t)に相当する隙間Gが形成されるので、ディスクD1の記録面frに傷が付き難く、しかもディスクD1よりも大きな直径を有するディスクD2であれば、その非記録面fn2の外周側に壁部53が接触するので、ディスクD2が非記録面fn2側に反っている場合でも、その反りを矯正して情報の読み取り/書き込みを良好に行うことができる。
【0036】
このように、本発明によれば、円板部52にディスクD1を固定しながら、そのディスクD1を介して別のディスクD2をディスククランパ5とターンテーブル21とにより挟持することができ、この場合における光ピックアップ22からディスクD2の面fr2までの距離L2が、ディスクD1のみを挟持した場合の光ピックアップ22からディスクD1の面frまでの距離L1と同じ(L1=L2)になる構成とされているから、従来通りディスクD2を用いて情報の記録や再生を行うことができ、ディスクD2を持ち合わせていない場合でも、ディスククランパ5に常備されるディスクD1により、音楽などを試聴、鑑賞することができるという効果が得られる。
【0037】
以上、本発明の具体的好例を説明したが、係るディスク駆動装置は図1のように開閉蓋4を有してディスクチャッキング動作が手動で行われるものに限らず、例えばドライブユニット2を昇降可動式にして、ディスク搬送機構により装置内に搬入されたディスクD2が自動的にクランプ(ディスククランパ5とターンテーブル21とにより挟持)される態様でもよい。又、ディスクD1の中心孔hcはターンテーブル21のボス部21aの外径に合致することに限らず、その直径を凸部55の外側まで広げ、その中心孔hcの内側において凸部55がディスクD1を貫通するようにしてもよい。更に、凸部55および壁部53を省略してもよい。凸部55および壁部53が無ければ、ディスクD2を回転させるときにディスクD1,D2同士が密着状態に重なってディスクD1の記録面frに傷が付く可能性があるものの、ディスクD1の紛失、盗難を防止しながらディスクD1,D2を併用して情報の記録/再生を行うことが可能となる。
【0038】
一方、上記例のように、ディスククランパ5の円板部52に対してディスクD1を固着するのでなく、そのディスクD1をディスククランパ5に対して着脱可能としてもよい。例えば、図5及び図6のように円板部52の外周部にバネ性を有する複数の弾性爪56を設け、その各弾性爪56によりディスクD1が片面(非記録面fn)を円板部52に密着させた状態で外周縁を保持される構成とすることができる。ここに、本例では円板部52に中心凹部51を挟んで2つの貫通孔57を穿設し、その貫通孔57を利用してディスクD1を指先などで押圧することにより、円板部52に宛がわれたディスクD1を弾性爪56のバネ力に抗してディスククランパ5から取り外すことが可能とされている。そして、本例のディスククランパ5でも、図7(a)のように、ターンテーブル21との間にディスクD1を挟持して回転させながら、その記録情報を光ピックアップ22で読み取って再生できるほか、ディスクD1をディスククランパ5に装着した状態のまま、図7(b)のようにディスクD2をターンテーブル21とディスククランパ5(凸部55及び弾性爪56を含む壁部53)とにより挟持して回転させながら、その記録情報を光ピックアップ22で読み取って再生することができる。
【0039】
又、他の変更例として、図5〜図7に示したディスククランパ5の凸部55を省略して図8のようなディスククランパ5とすることもできる。ここに、図8のようなディスククランパ5によれば、ディスクD1として図2のような小径孔hsの穿設されていない市販の光ディスクをディスククランパ5に装着し、これを図9(a)のように、ターンテーブル21との間に挟持して回転させながら、その記録情報を光ピックアップ22で読み取って再生できるほか、ディスクD1をディスククランパ5に装着した状態のまま、図9(b)のようにディスクD2をターンテーブル21とディスククランパ5(弾性爪56を含む壁部53)とにより挟持して回転させながら、その記録情報を光ピックアップ22で読み取って再生することができる。
【0040】
尚、上記各例のディスククランパ5において、ディスクD1は8cmの光ディスクに限らず、少なくとも直径46mmよりも外周に一定幅の情報記録エリアが設けられているものであればよく、例えば円板部52の直径を大きくしてこれに12cmの光ディスクを固着、装着することもできる。又、図5〜図9において、弾性爪56は壁部53の内周を部分的に突出させて成るが、壁部53を省略し、弾性爪56を図10のようなL字形として形成しても良い。更に、壁部53は連続する環状に限らず、複数が弧状に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 ディスク駆動装置の本体部
2 ドライブユニット
21 ターンテーブル
21a ボス部
21b フランジ部
21d 環状溝
22 光ピックアップ
23 モータ
4 開閉蓋
5 ディスククランパ
51 中心凹部
52 円板部
53 壁部
55 凸部
56 弾性爪
D1 ディスク(第1ディスク)
fn 非記録面
fr 記録面
D2 ディスク(第2ディスク)
fn2 非記録面
fr2 記録面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボス部の外周に円形のフランジ部を有するターンテーブルと協同して、所定の情報が記録されているか若しくは所定の情報を記録可能なディスクを一体的に回転可能に挟持するディスククランパであり、
前記ターンテーブルのボス部が前記ディスクの中心孔に挿入された時そのボス部を覆う中心凹部と、この中心凹部の外周に連なる円板部とを有し、
前記円板部における前記ターンテーブルとの対向面に、前記ディスクが前記円板部と同心状に固着されていることを特徴とするディスククランパ。
【請求項2】
ボス部の外周に円形のフランジ部を有するターンテーブルと協同して、所定の情報が記録されているか若しくは所定の情報を記録可能なディスクを一体的に回転可能に挟持するディスククランパであり、
前記ターンテーブルのボス部が前記ディスクの中心孔に挿入された時そのボス部を覆う中心凹部と、
前記中心凹部の外周に連なる円板部と、
前記円板部の外周にあってこの円板部における前記ターンテーブルとの対向面に前記ディスクを同心状にして着脱可能に保持する弾性爪と、
を有することを特徴とするディスククランパ。
【請求項3】
前記円板部には、前記ターンテーブルのフランジ部に対向する位置において前記ディスクを貫通する複数の凸部が設けられていることを特徴とする請求項1、又は2記載のディスククランパ。
【請求項4】
前記円板部の外周には、前記ディスクの厚さよりも大きな高さを有して前記ターンテーブル側に突出する壁部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のディスククランパ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のディスクを挟持するディスククランパとターンテーブル、及び前記ディスククランパと前記ターンテーブルとにより挟持された前記ディスクにおける前記ターンテーブル側の面に光を照射する光ピックアップを備えたディスク駆動装置。
【請求項6】
前記ディスクを第1ディスクとして、そのディスクとは別の第2ディスクを前記第1ディスクと重なるように前記ディスククランパと前記ターンテーブルとにより挟持したとき、前記光ピックアップから前記第2ディスクにおける前記ターンテーブル側の面までの距離と、前記第1ディスクのみを挟持した場合の前記光ピックアップから前記第1ディスクにおける前記ターンテーブル側の面までの距離と、が同じになる構成とされていることを特徴とする請求項5記載のディスク駆動装置。
【請求項7】
請求項3記載のディスクを挟持するディスククランパとターンテーブル、及び前記ディスククランパと前記ターンテーブルとにより挟持された前記ディスクにおける前記ターンテーブル側の面に光を照射する光ピックアップを備えたディスク駆動装置であり、
前記ターンテーブルのフランジ部に前記ディスククランパの凸部に対応する環状溝が形成され、
前記ターンテーブルと前記ディスククランパとにより前記ディスクを挟持するとき、前記凸部の先端が前記環状溝内に入り込み、前記ディスクの内周側両面に前記フランジ部と前記円板部が接触する一方、
前記ディスクを第1ディスクとして、その第1ディスクよりも大きな直径を有する第2ディスクを前記ターンテーブルと前記ディスククランパとにより挟持するときには、前記第2ディスクが前記ターンテーブルのフランジ部で支持されながら、前記第2ディスクの他面側に前記凸部の先端が接触し、前記第1ディスクと第2ディスクとの間に隙間が形成されることを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項8】
請求項4記載のディスクを挟持するディスククランパとターンテーブル、及び前記ディスククランパと前記ターンテーブルとにより挟持された前記ディスクにおける前記ターンテーブル側の面に光を照射する光ピックアップを備えたディスク駆動装置であり、
前記ターンテーブルと前記ディスククランパとにより前記ディスクを挟持するとき、前記ディスクの内周側両面に前記フランジ部と前記円板部が接触する一方、
前記ディスクを第1ディスクとして、その第1ディスクよりも大きな直径を有する第2ディスクを前記ターンテーブルと前記ディスククランパとにより挟持するときには、前記第2ディスクが前記ターンテーブルのフランジ部で支持されながら、前記第2ディスクの他面側に前記壁部が接触し、前記第1ディスクと第2ディスクとの間に隙間が形成されることを特徴とするディスク駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−218607(P2010−218607A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62216(P2009−62216)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】