説明

ディスク再生機のディスク案内装置

【課題】ディスクが偏って挿入されてもディスクの挿入を受入れながらその偏りを自動的に修正する、操作性の良いディスク再生機のディスク案内装置を提供する。
【解決手段】回動端部にディスク当接部を有する左右の検知レバー7L,7R間に、同期回動する左右の連動部材8L,8Rを配置し、対応する検知レバーと連動部材の一方に長溝11L,11R、他方にこの長溝に嵌合する突起22L,22Rを設け、長溝の一側面の途中にはストッパ部14L,14Rを設け、一方の検知レバーがそのディスク当接部をディスクに押されて回動すると突起がストッパ部に当接して検知レバーの回動が禁止され、ディスクがその偏りを修正しながら他方の検知レバーのディスク当接部を押すことにより、一方の検知レバーの回動禁止を解除するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクが左右いずれかに偏って挿入されても自動的にその偏りを修正するようにしたディスク再生機のディスク案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスク再生機にあっては、ディスクが左右いずれかに偏って挿入されることを防止するための工夫がなされている。
特開2003−45110号には次のような光ディスク装置が開示されている。すなわち、光ディスク装置(1)の搬送部(2)には一対のアーム(10,12)が、ディスクの挿脱方向に移動自在で、かつ、回動自在に設けられ、これらのアーム(10,12)は、各々スプリング(10c,12c)により各一端に設けたピン(10a,12a)の間隔を狭める方向に付勢されている。また、アーム(10,12)の互いに対向する位置にはそれぞれ凸状の係合部(10e)及び凹状の係合部(12d)が形成され、凸状の係合部(10e)を凹状の係合部(12d)内に位置させている。凸状の係合部(10e)はT字型をなし、凹状の係合部(12d)は係合部(10e)よりもディスクの挿脱方向に若干大きなサイズになっている。そこで、ディスク(100)を挿入する際、ディスク(100)がピン(10a,12a)に当接すると両係合部(10e,12d)が離れ、アーム(10,12)が互いに逆向きに回動してディスク(100)を受け入れる。ところが、ディスク(100)を左右いずれかに偏った状態で挿入しようとすると、ピン(10a,12a)のいずれか一方がディスク(100)に押されて一方のアームがディスク挿入方向に移動するので、両係合部(10c,12d)が離れず、アーム(10,12)の回動が禁止されて、ディスク(100)を挿入できない状態となる。これによって、ディスク(100)が偏って挿入されることを防止している。
【0003】
特開2003−45110号に開示された構成では、ディスクを真正面から挿入しないと左右いずれかに偏ってしまい易く、ディスクが僅かでも左右いずれかに偏っていると挿入が禁止されてしまうので、操作性が悪いという問題があった。
しかも、ディスク挿入時に一方のピンを極端に外方へ向けて押してしまうと、一方のアームがディスク挿入方向に移動することなく回動して両係合部が離れ、ディスクが極端に偏った状態でその挿入が許容されてしまうという重大な誤動作を起こしてしまうおそれもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−45110
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、ディスクが偏った状態で挿入されたとしてもディスクの挿入を受入れながらその偏りを修正することができる、操作性の良いディスク再生機のディスク案内装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るディスク再生機のディスク案内装置は、シャーシ上に左右一対の検知レバーを装着し、各検知レバーの回動端部に設けたディスク当接部をディスク挿入口に位置させ、かつ、両ディスク当接部を付勢手段により互いに接近する方向へ付勢し、両ディスク当接部が挿入するディスクに押されて離反するとき少なくとも一方の検知レバーの回動によりディスクの挿入を検知するようにしたものにおいて、左右一対の連動部材を同期回動自在に連結して前記シャーシ上に装着し、対応する検知レバーと連動部材とを、一方に設けた長溝と、他方に設けた突起との嵌合により連結し、各長溝の一側面の途中にストッパ部を設け、一方の検知レバーのディスク当接部が反付勢方向へ回動すると一方の突起が長溝の一側面に摺接してストッパ部に当接することにより一方の検知レバーの回動を禁止し、この状態で他方の検知レバーが反付勢方向へ回動すると、これに伴う一方の連動レバーの回動により一方の突起をストッパ部から外して、一方の検知レバーの回動禁止を解除するものとする。
【0007】
また、前記両ディスク当接部が反付勢方向へ均等に押されたときは、片側の突起のみ、対応するストッパ部に当接するものとし、この当接状態において反対側の検知レバーがそのディスク当接部をディスクに押されて反付勢方向へ回動することにより、両連動部材が回動して前記突起とストッパ部との当接を解除するようにするとよい。
【0008】
両ディスク当接部が反付勢方向へ均等に押されたとき、片側の突起のみ、対応するストッパ部に当接させるための具体策として、対応する検知レバーと連動部材との回動支点間距離、並びに検知レバーの回動支点と突起との間の距離を左右同一とし、かつ、連動部材の回動支点とストッパ部との間の距離を左右で異ならせるようにするとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のディスク案内装置によれば、ディスクを一方に偏った状態で挿入すると、ディスク当接部を押された方の検知レバーがその回動を禁止されるため、ディスクはその偏りを自動的に修正されながら他方の検知レバーのディスク当接部を押すようになる。その結果、一方の検知レバーの回動禁止が解除され、ディスクはその偏りを修正されながら所定の再生位置まで挿入されることになる。従って、ディスク挿入時の操作性が改善され、ディスクが極端に偏った状態で挿入されても誤動作を生じるおそれはない。
【0010】
また、両ディスク当接部が反付勢方向へ均等に押されたとき、両方の突起ともにストッパ部に当接しないか、当接したとしても片側の突起のみストッパ部に当接するようにすると、片側の突起がストッパに当接してその対応する側の検知レバーの回動が禁止されたとしても、直ちに他方の検知レバーのディスク当接部がディスクに押されてその回動禁止が解除されることになる。仮に、両側の突起が対応するストッパ部に同時に当接するようなことがあると、両側の検知レバーが回動を禁止されてディスクの挿入又は排出ができない事態となるが、上記の如く構成することにより、このような事態は確実に回避できる。
【0011】
連動部材の回動支点とストッパ部との間の距離を左右で異ならせると、簡単な構成で、両側の突起が同時にストッパ部に当接することを確実に回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態を示す車載用ディスク再生機の外観斜視図
【図2】ディスク案内装置の要部を示す平面図
【図3】ディスク案内装置の動作状態を示す平面図
【図4】ディスク案内装置の動作状態を示す平面図
【図5】ディスク案内装置の動作状態を示す平面図
【図6】ディスク案内装置の動作状態を示す平面図
【図7】ディスク案内装置におけるディスク排出時のディスクの動きを説明する説明図
【図8】ディスク案内装置の動作状態を示す平面図
【図9】本発明の他の実施の形態を示す要部平面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。なお、左右ほぼ対称をなす部位の符号は、左方に「L」、右方に「R」を付したものとする。
図1は本発明に係るディスク案内装置1を備えた車載用ディスク再生機2の外観斜視図である。ディスク再生機2の正面には、ディスクを挿脱するディスク挿入口3が設けられている。ディスク再生機2は、金属板よりなる箱型の固定シャーシ4内に、情報再生用のピックアップ等を装備したフローティングシャーシ5がフローティング状態に装着されている。なお、図中6は情報が記録されたディスクである。固定シャーシ4の天板上面には合成樹脂よりなる左右一対のディスク検知レバー7L,7Rが回動自在に装着されている。両検知レバー7L,7R間には、左右に長い一対の合成樹脂製連動部材8L,8Rが回動自在に装着されている。各連動部材8L,8Rはその各内方端側に互いに噛合する歯部9L,9Rを有し、互いに同期回動するようになっている。なお、図示のように、左方の歯部9Lを1歯欠き、右方の歯部9Rに幅広の歯を設けたのは、歯部9L,9R同士の組立作業が効率よく行えるようにするためである。
【0014】
図2に示すように、各連動部材8L,8Rは内方端近傍に支点軸10L,10Rを有し、略中央から外方端近傍にかけて長溝11L,11Rが設けられ、この長溝11L,11Rのディスク挿入口3側の一側面12L,12R途中には斜面13L,13R及びストッパ部14L,14Rを有する凹部15L,15Rが設けられ、長溝11L,11Rの他側面16L,16Rは全長に亘って連続面となっている。斜面13L,13Rは長溝11L,11Rの一側面12L,12Rに対し外方端方向へ略45度の角度をもって形成され、ストッパ部14L,14Rは斜面13L,13Rの終端位置に該一側面12L,12Rに対し略直交して形成されている。なお、一側面12L,12Rとストッパ部14L,14Rとの交差する角部17L,17Rには、面取りが施されている。連動部材8L,8Rの回動支点(支点軸10L,10Rの中心)とストッパ部14L,14Rとの間の距離d1,d2は、左方の距離d1を右方の距離d2よりも短く設定している。
【0015】
各連動部材8L,8Rの奥側の側面には、その回動端に近い部位に凸部18L,18Rが設けられている。前記左右の検知レバー7L,7Rは奥側端部近傍に小円形孔を有し、各小円形孔を、固定シャーシ4の天板上面に突設された軸19L,19Rに回動自在に嵌合させている。検知レバー7L,7Rの回動端はディスク挿入口3へ向けて延び、各回動端にディスク挿入口3を塞ぐように下方へ垂下するディスク当接部20L,20Rが設けられている。また、左右の検知レバー7L,7Rには、各回動支点(軸19L,19Rの中心)近傍から内方へ延出する内方延出部21L,21Rが設けられ、各内方延出部21L,21Rを同一側の連動部材8L,8Rの長溝11L,11R下方に位置させている。そして各内方延出部21L,21Rの上面に突設した断面円形の突起22L,22Rを各連動部材8L,8Rの長溝11L,11Rに、下方より嵌合させている。なお、対応する検知レバー7L,7Rと連動部材8L,8Rとの回動支点間距離、並びに検知レバー7L,7Rの回動支点と突起22L,22Rとの間の距離は、左右同一としている。そして、ディスク6の非挿入時にあっては、各突起22L,22Rが凹部15L,15Rよりも連動部材8L,8Rの支点軸10L,10R寄りに位置するようにしている。
【0016】
前記固定シャーシ4の天板上面には、左右一対のばね掛けフック23L,23Rが設けられ、各検知レバー7L,7Rにもばね掛けフック24L,24Rが設けられて、対応するばね掛けフック間に引張ばね25L,25Rを掛渡し、両検知レバー7L,7Rを、互いのディスク当接部20L,20Rの間隔を狭める方向に回動付勢するようにしている。
また、固定シャーシ4の天板上面には、左右の連動部材8L,8Rの凸部18L,18R近傍に切起し片26L,26Rが設けられ、ディスク非挿入時においては前記引張ばね25L,25Rにより各凸部18L,18Rを同一側の切起し片26L,26Rに当接させ、左右のディスク当接部20L,20Rを最接近位置に保持するようにしている。このとき各検知レバー7L,7Rの突起22L,22Rは、各連動部材8L,8Rの長溝11L,11Rの内方端近傍に位置している。
【0017】
前記左右の連動部材8L,8Rには、各ディスク当接部20L,20Rに近い部位に、図1に示すように弾性片27L,27R(図2以降では弾性片27L,27Rを省略する。)が一体形成され、各ディスク当接部20L,20Rの側面には、図2に示すように縦長な長方形状をなす補強部28L,28Rが設けられ、各補強部28L,28Rを固定シャーシ4の天板下面側に位置させている。そして、これら弾性片27L,27Rの弾性力で天板の上面を押圧することによって、補強部28L,28Rが天板の下面側を押圧するようになる。すなわち、弾性片27L,27Rと補強部28L,28Rとで天板を上下から挟みこみ、検知レバー7L,7Rの上下振動を防止するようにしている。弾性片27L,27Rと補強部28L,28Rとで挟まれる天板の縁部29L,29R(図1参照)は、各検知レバー7L,7Rの回動支点である軸19L,19Rの中心を曲率の中心とする円弧状に形成されている。
そして弾性片27L,27Rと補強部28L,28Rとで挟まれる天板の縁部29L,29R(図1参照)は、各検知レバー7L,7Rの回動支点である軸19L,19Rの中心を曲率の中心とする円弧状に形成されている。
【0018】
また、図1に示すように前記固定シャーシ4の底板には左右一対の保護片30L,30Rが設けられ、これらの保護片30L,30Rをディスク挿入口3の前方に位置させている。各保護片30L,30Rは上方より見てL字形をなし、ディスク非挿入時においては同一側のディスク当接部20L,20Rの下端部分の内側及び奥側に接近させている。
【0019】
以上の構成によれば、図1に示すようにディスク挿入口3よりディスク6を挿入すると、左右の検知レバー7L,7Rがそのディスク当接部20L,20Rをディスク6に押されて回動する。そして、いずれか一方(例えば左方)の検知レバー7Lの回動により図示しないディスク検知手段がディスク6の挿入を検知して搬送機構を起動させ、該搬送機構により、その後のディスク6の搬送を行う。そしてディスク6の中心が左右のディスク当接部20L,20R間を過ぎると、左右のディスク検知レバー7L,7Rは引張りばね25L,25Rにより回動復帰し、ディスク6は、搬送機構により所定のディスク再生位置まで搬送される。
【0020】
ところで、通常、ディスク6を挿入する際、左右いずれかに偏って挿入してしまうことが多い。例えば、ディスク6を右方へ偏った状態で挿入すると、図2に示すように右方の検知レバー7Rがそのディスク当接部20Rをディスク6に押されて(矢印a)反付勢方向(反時計方向)へ回動する(矢印b)。このとき、右方の検知レバー7Rの突起22Rが右方の連動部材8Rの長溝11Rの一側面12Rと摺接して右方の連動部材8Rを時計方向へ回動させ(矢印c)、これと同期して左方の連動部材8Lを反時計方向へ回動させる(矢印d)。左方の連動部材8Lが反時計方向へ回動すると、その長溝11Lの他側面16Lで左方の検知レバー7Lの突起22Lを押し、左方の検知レバー7Lを時計方向へ回動させる(矢印e)。要するに、右方の検知レバー7Rが反時計方向へ回動すると、これと同期して左方の検知レバー7Lが時計方向へ同期回動することになる。
【0021】
このとき、右方の検知レバー7Rの回動に伴い、その突起22Rが右方の連動部材8Rの一側面12Rから斜面13Rを経由して図3の如くストッパ部14Rに当接すると、右方の検知レバー7Rの回動が禁止される。したがって、ディスク6を更に挿入しようとすると、右方の検知レバー7Rは反時計方向への回動を禁止されているので、ディスク6は当然の如く左方へ寄せられることとなり、図3における仮想線位置から実線位置へとその偏りを修正されながら、左方のディスク当接部20Lを押すようになる(矢印f)。これによって、図4の如く左方の検知レバー7Lは時計方向へ回動し(矢印g)、今度は、左方の検知レバー7Lの突起22Lが左方の連動部材8Lの長溝11Lの一側面12Lを押して(矢印h)該連動部材8Lを反時計方向へ回動させ(矢印i)、右方の連動部材8Rがこれと同期して、図4における仮想線位置から実線位置へと時計方向へ回動することになる(矢印j)。
【0022】
その結果、右方の検知レバー7Rの突起22Rが右方の連動部材8Rのストッパ部14Rから外れ、右方の検知レバー7Rの回動禁止が解除されるので、ディスク6は偏りが修正された状態で、搬送機構により、所定の再生位置まで搬送される。なお、一側面12Rとストッパ部14Rとの交差する角部17Rに面取りが施されているので、ストッパ部14Rから外れた突起22Rは、この角部17Rを容易に通過して一側面12Rへ移動することができる。
以上、ディスクを右方へ偏った状態で挿入した場合について述べたが、左方へ偏った状態で挿入した場合についても、左右を逆にした状態で同様となる。
【0023】
なお、ディスク6を左右に偏りなく正しく挿入した場合、左右の検知レバー7L,7Rが各ディスク当接部20L,20Rをディスク6によって同時に均等に押されることになる。このとき左右の突起22L,22Rが、仮に、対応するストッパ部14L,14Rに同時に当接することになると、それ以上ディスク6を挿入できなくなるが、本実施の形態では、連動部材8L,8Rの回動支点(支点軸10L,10Rの中心)とストッパ部14L,14Rとの間の距離d1,d2を左右で異ならせ、左方が右方よりも短く(d1<d2)設定されているので、突起がストッパ部に当接するとしても、それは必ず左方の突起22Lが左方のストッパ部14Lに当接することとなる。そしてその当接は、右方のディスク当接部20Rがディスク6に押されることにより直ちに解消され、ディスク6を円滑に挿入することができる。
【0024】
ディスク6を再生位置から排出するときも、同様のことが言える。ディスク排出時の状況については、図5ないし図8を参照して説明する。
すなわち、ディスク6がディスク再生位置にある状態でディスク排出操作を行なうと、ディスク6は図示しない搬送機構により、装置内からディスク挿入口3へ向けて搬送される。そして、図5の如く左右の検知レバー7L,7Rがそのディスク当接部20L,20Rを内側からディスク6によって均等に押されて(矢印K,K)仮想線位置から実線位置へ回動することになる。このとき、仮に左右の連動部材8L,8Rのストッパ部14L,14Rがそれぞれの回動支点から等距離の位置に形成されていたとすると、左右の突起22L,22Rが同時に同一側のストッパ部14L,14Rに当接し、ディスク6の排出が阻止されてしまうことになるが、本実施の形態ではd1<d2となっているので、突起がストッパ部に当接するとしても、それは図6に示すように必ず左方の突起22Lが左方のストッパ部14Lに当接することとなり、その当接は、図7に示すように、右方のディスク当接部20Rが排出方向(矢印m)へ搬送されるディスク6に押されることにより(矢印n)、図8の如く右方の検知レバー7Rが時計方向へ回動し(矢印P)、右方の突起22Rが長溝11Rの一側面12Rを押して(矢印r)連動部材8R,8Lを順次回動させ(矢印s,t)突起22Lがストッパ部14Lから外れて直ちに解消される。したがって、常に円滑にディスク6を排出することができる。
【0025】
また、固定シャーシ4の底板に保護片30L,30Rを設けたことにより、次のような効果が得られる。例えばいたずら操作等により、右方のディスク当接部20Rの右方から、又は左方のディスク当接部20Lの左方から異物(例えばクレジットカードのような物など)をこじ入れようとした場合、保護片30L,30R(図1参照)がない場合はディスク当接部20L,20Rが折損したり異物が無理やり差し込まれてしまうおそれがあるが、保護片30L,30Rがあると、ディスク当接部20L,20Rが背後から保護片30L,30Rによって補強されるので折損を免れることができ、異物の差し込みも防止できるのである。しかも、ディスク当接部20L,20R自体、縦長な長方形状をなす補強部28L,28Rによって強化されている。
【0026】
以上の実施の形態では、検知レバー7L,7Rに突起22L,22R、連動部材8L,8Rに長溝11L,11Rを設けるものとしたが、図9に示すように、突起と長溝との関係を逆にしてもよい。
すなわち図9に示す実施の形態は、左右の検知レバーの内方延出部42L,42Rに長溝43L,43Rを設け、左右の連動部材44L,44Rの回動端部に突起45L,45Rを設けて、各突起45L,45Rを、対応する長溝43L,43Rに嵌合させた例である。前記実施の形態と同様に、各長溝43L,43Rの一側面46L,46R途中には斜面47L,47R及びストッパ部48L,48Rを有する凹部49L,49Rを設け、各長溝45L,45Rの他側面50L,50Rは全長に亘って連続面とする。
斜面47L,47Rは、長溝45L,45Rの一側面46L,46Rに対し、内方延出部42L,42Rの外方端方向へ略45度の角度をもって形成され、ストッパ部48L,48Rは斜面47L,47Rの終端位置に該一側面46L,46Rに対し略直交して形成される。そして一側面46L,46Rとストッパ部48L,48Rとの交差する角部51L,51Rには、面取りを施こす。
左右の凹部49L,49Rは各長溝45L,45Rの中央より左方寄りに設けられ、連動部材44L,44Rの回動支点(支点軸52L,52Rの中心)とストッパ部48L,48Rとの間の距離d1,d2を左右で異ならせ、左方を右方よりも短く(d1<d2)する。そしてディスクの非挿入時にあっては、各突起45L,45Rが凹部49L,49Rよりも検知レバーの軸から離反する位置に位置するようにする。
【0027】
このような構成であっても、前記実施の形態と同様の効果が得られる。
すなわち、ディスクが例えば右方に偏って挿入されると右方の突起45Rが長溝43Rの一側面46Rから斜面47Rを通過して図10中に仮想線で示す如くストッパ部48Rに当接し、右方の検知レバーがその回動を禁止されるが、ディスクがその偏りを修正しながら左方の検知レバーを回動させると、突起44Rがストッパ部48Rから外れ、検知レバーの回動禁止を解除するようになるのである。ディスクが左方に偏って挿入された場合も同様である。また、d1<d2の関係により、両側の突起45L,45Rがストッパ部48L,48Rに同時に当接することはなく、当接するとしても、そのときは必ず左方の突起45Lのみが当接するようにして(勿論、右方の突起45Rのみが当接する設計にしてもよい。)ディスクの挿入又は排出が円滑に行える点も、前記実施の形態と同様である。
【0028】
また、前記二つの実施の形態では左右の連動部材を互いの歯部同士の噛合により同期回動するようにしたが、両連動部材の連結は必ずしも噛合によるものでなくとも、要は、同期回動自在な連結であればよい。
更に、前記二つの実施の形態では連動部材の回動支点とストッパ部との間の距離を左右で異ならせることにより、両側の突起が同時にストッパ部に当接することがないようにしたが、連動部材の回動支点とストッパ部との間の距離は左右同一とし、突起の位置を左右で異ならせても、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0029】
3 ディスク挿入口
4 固定シャーシ
6 ディスク
7L,7R 検知レバー
8L,8R 連動部材
10L,10R 支点軸
11L,11R 長溝
12L,12R 一側面
14L,14R ストッパ部
19L,19R 軸
20L,20R ディスク当接部
22L,22R 突起
25L,25R 引張りばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシ(4)上に左右一対の検知レバー(7L,7R)を装着し、各検知レバーの回動端部に設けたディスク当接部(20L,20R)をディスク挿入口(3)に位置させ、かつ、両ディスク当接部を付勢手段(25L,25R)により互いに接近する方向へ付勢し、両ディスク当接部が挿入するディスク(6)に押されて離反するとき少なくとも一方の検知レバーの回動によりディスクの挿入を検知するようにしたものにおいて、
左右一対の連動部材(8L,8R)を同期回動自在に連結して前記シャーシ上に装着し、対応する検知レバーと連動部材とを、一方に設けた長溝(11L,11R)と、他方に設けた突起(22L,22R)との嵌合により連結し、各長溝の一側面(12L,12R)の途中にストッパ部(14L,14R)を設け、一方の検知レバーのディスク当接部が反付勢方向へ回動すると一方の突起が長溝の一側面に摺接してストッパ部に当接することにより一方の検知レバーの回動を禁止し、この状態で他方の検知レバーが反付勢方向へ回動すると、これに伴う一方の連動レバーの回動により一方の突起をストッパ部から外すことを特徴とするディスク再生機のディスク案内装置。
【請求項2】
前記両ディスク当接部がディスクによって反付勢方向へ均等に押されたときは、片側の突起のみ、対応するストッパ部に当接するものとし、この当接状態において反対側の検知レバーがそのディスク当接部をディスクに押されて反付勢方向へ回動することにより、両連動部材が回動して前記突起とストッパ部との当接を解除することを特徴とする請求項1に記載のディスク再生機のディスク案内装置。
【請求項3】
対応する検知レバーと連動部材との回動支点(19Lと10L,19Rと10R)間距離、並びに検知レバーの回動支点と突起との間の距離を左右同一とし、かつ、連動部材の回動支点とストッパ部との間の距離を左右で異ならせたことを特徴とする請求項2に記載のディスク再生機のディスク案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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