説明

ディスク再生装置及びディスク再生方法

【課題】車載用機器のような小型モニタであってもメニュー画像の視認性及び操作性の向上を図ったディスク再生装置及びディスク再生方法を提供する。
【解決手段】ディスク型記録媒体に記録された情報を再生して第1,第2の表示装置に表示するディスク再生装置であって、記録媒体に記録された情報から映像情報を復号化するとともにグラフィックデータを抽出するデコーダ部と、グラフィックデータを処理してメニュー画像信号を含む第1の画像信号を第1の表示装置に供給し、映像情報を処理して第2の画像信号を第2の表示装置に供給する信号処理部とを具備し、第1の表示装置にメニュー画像を表示して操作を行い、第2の表示装置に再生された映像情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクであるDVD(Digital Versatile Disk)に記録された情報を再生するディスク再生装置に係り、特に車載用に適し、操作性を改善したディスク再生装置及びディスク再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DVD−Video規格に準拠した光ディスク(DVD)に対して音声信号や映像信号等の情報を記録し、それを再生するディスク再生装置が普及している。また、近年では大画面・高解像度の家庭用テレビの普及に伴い、大画面テレビに映し出す映像コンテンツの供給源として、高解像度映像を記録した次世代光ディスクが開発され、市場での販売が開始されている。
【0003】
このような次世代光ディスクの一例としてHD DVDがあげられる。HD DVDは、基本的には従来のDVDを元に映像信号の高解像度化、音声信号の高品質化を図って拡張されたものである。また再生対象や再生方法等を指定するため、所謂メニュー情報の表示方法も拡張されている。
【0004】
メニュー選択を行う場合、一般的には画面に表示されたメニュー画像の中からユーザが希望するアイテムをリモコン操作等により選択するようにしている。例えば、従来のDVDでは、本編映像を再生中にリモコンのメニューボタンを押すと、本編の再生が停止されて、メニュー専用の画面に遷移する。さらにこのメニュー画像中のサブアイテムを指定すると、現在のメニュー画像は消え別のサブメニュー画像が新たに映し出されるようになっている。また、HD DVDでは、本編映像を再生中にリモコンのメニューボタンを押すと、本編の再生を継続したまま、画面の一部にメニューアイテムが表示されるようになっている。
【0005】
HD DVDの場合、コンテンツ作成者は、これらコンテンツが大画面・高解像度のテレビモニタに映出されるという前提のもとにメニュー画像を構成しているので、1画面内に表示されるメニューアイテムの数は増加する傾向にある。このため、1つのメニューアイテムの表示サイズは、画面サイズに対して小さくなっている。
【0006】
ところで、上記したメニュー画像の表示方法は、家庭用テレビの大画面化・高解像度化に即したものであり、そのような大型ディスブレイでHD DVD等を再生するには問題はないが、同じHD DVDを車に搭載したモニタで再生する場合には、いくつかの問題が発生する。
【0007】
即ち、車の中という限られた空間では、モニタの極端な大型化・高解像度化は難しい。そのため、上記のようにして作成されたコンテンツを、車載用モニタ(例えば10インチ程度)に表示した場合は、メニュー画像及びメニュー文字が小さくなり、メニューアイテムを認識することが非常に困難になる。
【0008】
また車載用機器は、家庭用機器と異なり機器の操作をリモコンで行うのではなく、タッチパネルで行う方法が主流である。このため、メニューアイテムのサイズが小さくなると、タッチパネルの操作時に指先よりも小さい文字を押す状況になり、操作が難しく誤操作する可能性もあった。
【0009】
また、従来のディスク再生装置を車載用に適用した場合、フロントシート側、リアシート側(サードシート側を含む)に対して、それぞれモニタが配置されるケースがある。その際は同一信号を分岐することで、1種類の映像コンテンツを複数のモニタに出力することができる。
【0010】
一方、車載用のディスク再生装置では、不慣れなユーザ(例えば子供)がディスク再生装置を操作する場合があり、運転者が操作手順を教えながら運転すると安全上好ましくない。したがって、簡単な操作でメニュー選択や本編の再生ができるようにしたディスク再生装置の実現を望むユーザも多い。
【0011】
特許文献1には、操作性の向上を図ったディスク再生装置の一例が記載されているが、車載用機器についてのメニュー操作については、考慮されていない。
【特許文献1】特開2007−172763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
車載用機器においてHD DVD等の再生を行う場合、メニュー画像が小さいため、メニューアイテムを認識することが困難になり誤操作する可能性がある。またフロントシート側とリアシート側にモニタを配置した場合、リアシート側の不慣れなユーザに対して、運転者が操作手順を教えながら運転するのは安全上好ましくない。したがって、簡単な操作でメニュー選択や本編の再生ができるようにしたディスク再生装置の実現が望まれている。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みて、車載用機器のような小型モニタであってもメニュー画像の視認性及び操作性の向上を図ったディスク再生装置及びディスク再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1記載の本発明は、ディスク型記録媒体に記録された情報を再生して第1,第2の表示装置に表示するディスク再生装置であって、前記記録媒体に記録された情報から映像情報を復号化するとともに、前記記録媒体に記録されたグラフィックデータを抽出するデコーダ部と、前記グラフィックデータを処理してメニュー画像信号を含む第1の画像信号を前記第1の表示装置に供給し、前記映像情報を処理して第2の画像信号を前記第2の表示装置に供給する信号処理部とを具備し、前記第1の表示装置に前記メニュー画像を表示して操作を行い、前記第2の表示装置に再生された映像情報を表示することを特徴とする。
【0015】
また、請求項5記載の本発明は、ディスク型記録媒体に記録された情報を再生して表示装置に表示可能な車載用のディスク再生装置であって、前記記録媒体に記録された情報から映像情報を復号化するとともに、前記記録媒体に記録されたグラフィックデータを抽出するデコーダ部と、前記グラフィックデータを処理してメニュー画像信号を含む第1の画像信号をフロント側に配置した第1の表示装置に供給し、前記映像情報を処理して第2の画像信号をリア側に配置した第2の表示装置に供給する信号処理部とを具備し、前記第1の表示装置に前記メニュー画像を表示して操作を行い、前記第2の表示装置に再生された映像情報を表示することを特徴とする。
【0016】
さらに、請求項9記載の本発明は、ディスク型記録媒体に記録された情報を再生して第1,第2の表示装置に表示するディスク再生方法であって、前記記録媒体に記録された情報から映像情報を復号化するとともに、前記記録媒体に記録されたグラフィックデータを抽出し、前記グラフィックデータを処理してメニュー画像信号を含む第1の画像信号を前記第1の表示装置に供給し、前記映像情報を処理して第2の画像信号を前記第2の表示装置に供給し、前記第1の表示装置に前記メニュー画像を表示して操作を行い、前記第2の表示装置に再生された映像情報を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明のディスク再生装置では、モニタをフロントシート側とリアシート側に配置し、フロントシート側でメニュー操作を行い、リアシート側では本編の再生映像を表示するため、運転への支障を低減することができる。また小画面のモニタにHD DVD等のコンテンツを表示した場合でもメニュー画像を大きく表示することができ、メニュー表示の認識とメニュー操作が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明のディスク再生装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は本発明の一実施形態に係るディスク再生装置の全体構成を示すブロック図である。図1において、11はディスク型記録媒体である光ディスクである。本発明では、HD DVDや、DVD−Video等の大画面化・高解像度化に即した光ディスクを想定しており、以下、単にディスク11と呼ぶ。
【0020】
ディスク11は、スピンドルモータ12によって一定の線速度で回転される。ディスク11からの情報の再生は、光ピックアップ13によって行われ、ディスク11にレーザ光を照射し、その反射光によってディスク11に記録されているデータを読み出す。
【0021】
光ピックアップ13は、送りモータ14によってディスク11の半径方向に移動制御され、再生位置を決定する。15はサーボ制御部であり、後述するシステムコントローラ30等から供給される制御信号に応じて、スピンドルモータ12の回転を制御するとともに、光ピックアップ13のトラッキング制御、フォーカス制御、及び送りモータ14の駆動制御を行う。
【0022】
16はRFアンプであり、光ピックアップ13によって読み出したデータに対応するRF信号を増幅して次段に伝達する。又、このRFアンプ16は、RF信号からフォーカス制御用の信号及びトラッキング制御用の信号を分離して、これらの制御信号をサーボ制御部15に送る。
【0023】
サーボ制御部15は、フォーカス制御用の信号に基づいて光ピックアップ13のアクチュエータ(図示せず)を制御し、光ビームが、ディスク11上に常時ジャストフォーカスとなるように制御する。また、トラッキング制御用の信号に基づいてアクチュエーを制御し、光ピックアップ13のトラッキング方向の移動を制御する。これにより、データの再生を正確に行うようにしている。
【0024】
17はデジタル信号処理部であり、RFアンプ16からのRF信号をデジタル化し、デジタル化された信号の復調処理と誤り訂正処理を行い、デジタル信号処理部17による信号処理の過程で得られたデータをRAM18に格納する。またデジタル信号から制御信号が分離され、分離された制御信号がサーボ制御部15及び後述するシステムコントローラ30に送られる。
【0025】
19はストリーム分離部であり、デジタル信号処理部17から出力された信号を、オーディオビットストリーム、メインピクチャビットストリーム及びサブピクチャビットストリームに分離し、オーディオ・ビデオ処理部20に供給する。メインピクチャビットストリームはMPEG2のフォーマットに従って圧縮された信号であり、この中には映像信号が含まれる。また、サブピクチャビットストリームはランレングス圧縮方式に従って圧縮された信号であり、この中には字幕情報等が含まれる。
【0026】
21は、オーディオデコーダ部であり、ストリーム分離部19で分離されたオーディオビットストリームを復号化処理して、デジタルオーディオ信号を出力する。オーディオデコーダ部21から出力されたデジタルオーディオ信号は、D/A変換器22によってアナログオーディオ信号に変換され、アナログオーディオ信号は、パワーアンプ(図示せず)を介してスピーカ23から出力される。
【0027】
24はビデオデコーダ部であり、ストリーム分離部19で分離されたメインピクチャビットストリームを復号化処理する。25はサブピクチャデコーダ部であり、ストリーム分離部19で分離されたサブピクチャビットストリームを復号化処理する。
【0028】
26は、グラフィックデコーダ部であり、デジタル信号処理部17からメニュー表示等に用いられるグラフィックデータを抽出する。グラフィックデコーダ部26は、ファイルキャッシュ用のバッファを含む。尚、オーディオ・ビデオ処理部20には、そのほかにサブビデオデコーダ部等が含まれる場合もある。
【0029】
また27はビデオプロセッサであり、ビデオデコーダ部24から出力されたメインピクチャと、サブピクチャデコーダ部25から出力されたサブピクチャ、及びグラフィックデコーダ部26からのグラフィックデータをデジタル合成する。
【0030】
28はビデオエンコーダであり、ビデオプロセッサ27から出力された合成データを表示用のビデオ信号に変換する。このビデオエンコーダ28から出力されたビデオ信号は、液晶パネルなどの表示装置29に供給され、画像が表示される。本発明では車載用機器を想定しており、表示装置29は、フロントシート側の表示装置291とリアシート側の表示装置292を有する。以下、表示装置291,292をモニタ291,292と呼ぶことにする。
【0031】
31は、操作部であり、例えばモニタ291,292の周辺に設けたキー入力部311や、モニタ291と一体のタッチパネル312、或いはリモートコントローラ(リモコン)313である。
【0032】
操作部31は、再生、停止、早送り、ボリューム設定などの基本操作のほかに、メニュー表示や、メニュー選択を行う。また操作部31は、モニタ291に表示されたカーソルを移動する際にも使用される。尚、操作部31としては、キー入力部311、タッチパネル312、リモコン313を全て備える必要は無い。
【0033】
システムコントローラ30は、CPU及びROM等を含み、ROMに格納されたプログラムに従ってディスク再生装置の全体的な動作を制御する。システムコントローラ30は、操作部31からの各種の指示信号、デジタル信号処理部17からの信号及びストリーム分離部19からの信号を受けて、サーボ制御部15、デジタル信号処理部17、ストリーム分離部19及びビデオプロセッサ27を制御する。またシステムコントローラ30には、RAM32が接続され、システムコントローラ30の制御のもとに行われる各種の処理によって得られるデータを一時的に格納する。
【0034】
図2は、本発明の主要部であるデコーダエンジン33とビデオプロセッサ27の構成を示すブロック図である。
【0035】
デコーダエンジン33は、ビデオデコーダ部24と、サブピクチャデコーダ部25と、グラフィックデコーダ部26を含む。ビデオデコーダ部24からは、本編の映像信号(主映像信号)が出力され、サブピクチャデコーダ部25からは、例えば字幕信号が出力される。
【0036】
またグラフィックデコーダ部26からはグラフィックデータが出力される。グラフィックデータには、グラフィック画像を表示するためのグラフィック信号(RGB信号)と、グラフィック画像の透明度を表すアルファ値のデータが含まれる。以下の説明では、グラフィック画像としてメニュー画像を表示する例を述べる。
【0037】
ビデオデコーダ部24はスケーラ241を含み、またグラフィックデコーダ部26はスケーラ261を含む。スケーラ241,261は主映像のサイズ、及びメニュー画像のサイズを調整するものである。
【0038】
例えば、デコーダエンジン33にサブビデオデコーダ部(図示せず)が含まれる場合、サブビデオデコーダ部からの副映像と、ビデオデコーダ部24からの主映像を同時に表示することがあるため、スケーラ241で主映像の表示サイズを調整できるようにしている。
【0039】
また、グラフィックデコーダ部26からのメニュー画像を拡大して表示する場合に、スケーラ261で拡大処理する。表示装置29にメニュー画像を表示した場合、メニュー画像にはカーソル(後述)が表示され、そのカーソルで示される座標位置を中心にした所定領域のメニュー画像が拡大表示される。
【0040】
一方、ビデオプロセッサ27は、オーバレイコントローラ34を含み、ビデオデコーダ部2からの主映像信号、サブピクチャデコーダ部25からの字幕信号、及びグラフィックデコーダ部26からのグラフィック信号(メニュー画像信号)がそれぞれオーバレイコントローラ34に入力される。
【0041】
オーバレイコントローラ34は、入力された主映像信号、字幕信号、及びメニュー画像信号を選択的にオーバレイして(重ね合わせて)出力するものであり、主映像信号、字幕信号、及びメニュー画像信号を合成処理する第1の処理部341と、主映像信号と字幕信号を合成処理する第2の処理部342を有する。
【0042】
オーバレイコントローラ34からは、主映像信号、字幕信号、及びメニュー画像信号を合成処理した第1の出力aと、グラフィック信号(メニュー画像)のみの第2の出力bと、主映像信号と字幕信号を合成処理した第3の出力cを得ることができる。
【0043】
そして、第1の出力a又は第2の出力bは、第1の画像信号として第1の表示装置(フロントシート側に設けたモニタ291)に供給され、また第3の出力cは、第2の画像信号として第2の表示装置(リアシート側のモニタ292)に供給される。
【0044】
尚、第1の処理部341において、主映像信号とグラフィック信号を合成処理する場合は、グラフィックデータに含まれるアルファ値のデータに基いて合成処理が行われる。即ち、グラフィック画像(メニュー画像)はアルファ値によって透明度が規定されているため、透明領域では主映像信号のレベルを大きくし、不透明領域ではグラフィック信号のレベルを大きくして合成するようにしている。
【0045】
かくして、ビデオプロセッサ27は、デコーダエンジン33とともにグラフィックデータを処理してメニュー画像信号を含む第1の画像信号を第1のモニタ291に供給し、かつ映像情報を処理して第2の画像信号を第2のモニタ292に供給する信号処理部を構成する。尚、オーバレイコントローラ34からの出力は、実際にはビデオエンコーダ28(図1)を介してモニタ291,292に供給されるが、説明を分かりやすくするためビデオエンコーダ28の図示は省略している。
【0046】
次に図3〜図4を参照して本発明の実施形態に係るディスク再生装置の動作を説明する。
【0047】
図3は、フロントシート側のモニタ291に表示される画像を説明する説明図である。操作部31によりメニュー表示の操作が行われると、モニタ291にはメニュー画像が表示される。このときオーバレイコントローラ34からは、第1の出力a又は第2の出力bがモニタ291に供給される。
【0048】
図3(a)は、第1の出力aによる表示画像の一例を示し、主映像信号とそれに関連する字幕信号とを含む映像情報41(字幕信号が無い場合は主映像信号だけの映像情報41)が表示され、その上にメニュー画像42が重畳表示される。図3(b)は、第2の出力bによる表示画像を示し、メニュー画像42のみが表示される。メニュー表示の操作時に、図3(a)の画像を表示するか、図3(b)の画像を表示するかは、ユーザが任意に設定することができる。
【0049】
こうして、フロントシート側のユーザは、図3(a)又は図3(b)のメニュー画像42を見ながら各種の操作を行うことができる(メニュー画像を利用した各種の操作をメニュー操作と呼ぶことにする)。メニュー選択は、モニタ291に表示されたメニュー画像42にタッチすることで行われるが、モニタ291の周辺に設けたキー311を操作して行うようにしても良い。
【0050】
図3(b)のメニュー画像42を用いて、メニュー操作を行う場合の動作を説明する。メニュー画像42には複数のメニューアイテム43が含まれており、例えばチャプターサーチや、セットアップ等のメニューアイテムが表示される。ユーザがメニューアイテム43の中のいずれかを選択(タッチ)すると、そのアイテムに関する下位層のサブメニュー44が表示される。例えば、チャプターサーチを選択した場合、サブメニュー44としてチャプターのサーチ方向を選択するための画像が表示され、ユーザは、サブメニュー44を用いてチャプターサーチを行うことができる。
【0051】
尚、メニューアイテムとしては、図示した例に限らず、音声・字幕の言語選択のアイテム等、そのほかにも幾つかのアイテムがある。
【0052】
ところで、図3(a),(b)では、説明のためにメニュー画像42を大きく表示しているが、実際の車載用モニタ(例えば10インチ程度)におけるメニュー画像の表示サイズは、全体の画面サイズに対して非常に小さくなる。このため、メニュー文字が小さくなり、メニューアイテムを認識することが困難になる。
【0053】
そこで、本発明ではメニュー画像のサイズを拡大して表示できるようにしている。即ち、メニュー画像42の中心部にはカーソル45が表示されており、操作部29を操作(例えばズームキーを操作)することにより、カーソル45の座標位置を中心にした所定領域46のメニュー画像が拡大表示される。図3(c)では、図3(b)のメニュー画像42の内、領域46の画像が拡大表示された状態を示している。
【0054】
したがって、ユーザは拡大されたメニュー画像42によって操作を実行することができる。尚、図3(c)では、一部のメニュー画像42しか表示されないため、ユーザが希望するアイテムが表示されない場合もある。このような場合、ユーザは操作部31を操作することで、カーソル45の位置を移動できるようにしている。これにより、拡大する領域46を変更することができ、操作したいメニューアイテム43を拡大して表示することができる。
【0055】
こうしてフロントシート側のユーザはモニタ291に表示されたメニュー画像42を見ながら各種の選択、設定といった操作を行うことができる。
【0056】
次に図4を参照して、リアシート側のモニタ292の表示画像について説明する。図4(a)は、オーバレイコントローラ34からの第1の出力aによる表示画像を示しているが、モニタ292には、オーバレイコントローラ34からの第3の出力cが供給されるため、メニュー画像42は表示されない。したがって、モニタ292には、図4(b)で示すように、主映像信号と字幕信号を含む映像情報41のみが表示される。
【0057】
これにより、リアシート側のユーザは、モニタ292に表示された映像情報41に集中して鑑賞をすることができる。一般的に、車載用機器においては、親が運転し、子供がリアシートに座るケースが多いため、DVDの再生操作に不慣れな子供に対して、親(運転者)が画像を見ながら操作手順を教えるのは安全上好ましくない。したがって、メニュー画像を利用した各種の操作は、フロントシート側で(親が)行い、本編の映像はリアシート側で鑑賞できるようにすることで、リア側のユーザはメニュー操作を行う必要がなくなる。運転者も操作手順を教える必要がないため、安全性が向上する。
【0058】
尚、リアシート側のモニタ292の周辺に、再生、停止、早送りなどの基本操作を行うキー311を設けておけば、簡単な基本操作はリア側で行うことができ、フロント側のユーザの手を煩わせることはない。或いは、簡単な基本操作はリモコン313を用いて行うようにしても良い。
【0059】
こうして本発明の実施形態では、表示装置を複数に分けて配置し、フロント側の表示装置にはメニュー画像を表示し、リア側の表示装置には映像情報のみを表示することで、操作に慣れたユーザ(運転者)がメニュー操作を行い、不慣れなユーザは面倒な操作を行う必要がなくなる。
【0060】
また、メニュー画像を車載用途のように比較的小画面・低解像度のモニタに表示する場合であっても、メニュー画像を拡大することができるため、メニュー情報の視認性が良好になる。またタッチパネルによりメニュー操作を行う場合も、誤って別のアイテムを選択するといった誤操作を低減することができる。
【0061】
尚、以上の説明では、HD DVDの再生について述べたが、これに限らず、Blu−Rayディスクの再生においても適用することができる。また以上の説明に限定されることなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態に係るディスク再生装置の構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態の主要部の構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態に係るディスク再生装置の動作を説明する動作説明図。
【図4】同実施形態に係るディスク再生装置の動作を説明する他の動作説明図。
【符号の説明】
【0063】
11…ディスク
12…モータ
13…光ピックアップ
14…送りモータ
15…サーボ制御部
16…RFアンプ
17…デジタル信号処理部
18…RAM
19…ストリーム分離部
20…オーディオ・ビデオ処理部
24…ビデオデコーダ部
26…グラフィックデコーダ部
27…ビデオプロセッサ
28…ビデオエンコーダ
29(291,292)…表示装置
30…システムコントローラ
31…操作部
32…RAM
33…デコーダエンジン
34…オーバレイコントローラ
41…映像情報
42…メニュー画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク型記録媒体に記録された情報を再生して第1,第2の表示装置に表示するディスク再生装置であって、
前記記録媒体に記録された情報から映像情報を復号化するとともに、前記記録媒体に記録されたグラフィックデータを抽出するデコーダ部と、
前記グラフィックデータを処理してメニュー画像信号を含む第1の画像信号を前記第1の表示装置に供給し、前記映像情報を処理して第2の画像信号を前記第2の表示装置に供給する信号処理部と、を具備し、
前記第1の表示装置に前記メニュー画像を表示して操作を行い、前記第2の表示装置に再生された映像情報を表示することを特徴とするディスク再生装置。
【請求項2】
前記第1の表示装置には、前記映像情報と前記メニュー画像が合成された画像、又は前記メニュー画像のみが表示されることを特徴とする請求項1記載のディスク再生装置。
【請求項3】
前記信号処理部は、ユーザの操作に応答して前記メニュー画像を前記第1の表示装置に表示し、かつユーザ操作に応答してメニュー画像の一部を拡大して表示可能にしたことを特徴とする請求項1記載のディスク再生装置。
【請求項4】
前記信号処理部は、ユーザ操作に応答して前記メニュー画像を拡大表示する領域を変更可能にしたことを特徴とする請求項3記載のディスク再生装置。
【請求項5】
ディスク型記録媒体に記録された情報を再生して表示装置に表示可能な車載用のディスク再生装置であって、
前記記録媒体に記録された情報から映像情報を復号化するとともに、前記記録媒体に記録されたグラフィックデータを抽出するデコーダ部と、
前記グラフィックデータを処理してメニュー画像信号を含む第1の画像信号をフロント側に配置した第1の表示装置に供給し、前記映像情報を処理して第2の画像信号をリア側に配置した第2の表示装置に供給する信号処理部と、を具備し、
前記第1の表示装置に前記メニュー画像を表示して操作を行い、前記第2の表示装置に再生された映像情報を表示することを特徴とするディスク再生装置。
【請求項6】
前記フロント側の第1の表示装置には、前記映像情報と前記メニュー画像が合成された画像、又は前記メニュー画像のみが表示されることを特徴とする請求項5記載のディスク再生装置。
【請求項7】
前記信号処理部は、ユーザの操作に応答して前記メニュー画像を前記フロント側の第1の表示装置に表示し、かつユーザ操作に応答してメニュー画像の一部を拡大して表示可能にしたことを特徴とする請求項5記載のディスク再生装置。
【請求項8】
前記信号処理部は、ユーザ操作に応答して前記メニュー画像を拡大表示する領域を変更可能にしたことを特徴とする請求項7記載のディスク再生装置。
【請求項9】
ディスク型記録媒体に記録された情報を再生して第1,第2の表示装置に表示するディスク再生方法であって、
前記記録媒体に記録された情報から映像情報を復号化するとともに、前記記録媒体に記録されたグラフィックデータを抽出し、
前記グラフィックデータを処理してメニュー画像信号を含む第1の画像信号を前記第1の表示装置に供給し、
前記映像情報を処理して第2の画像信号を前記第2の表示装置に供給し、
前記第1の表示装置に前記メニュー画像を表示して操作を行い、前記第2の表示装置に再生された映像情報を表示することを特徴とするディスク再生方法。
【請求項10】
前記メニュー画像を、ユーザの操作に応答して前記第1の表示装置に表示し、かつユーザ操作に応答してメニュー画像の一部を拡大して表示することを特徴とする請求項9記載のディスク再生方法。
【請求項11】
前記メニュー画像を拡大して表示する領域をユーザ操作に応答して変更可能にしたことを特徴とする請求項10記載のディスク再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−159460(P2009−159460A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337206(P2007−337206)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(504113008)東芝アルパイン・オートモティブテクノロジー株式会社 (110)
【Fターム(参考)】