説明

ディスク搬送装置

【課題】
ベルト、チェーンおよびスクリュのいずれをも使用せずに構成できるディスク搬送装置を提供する。
【解決手段】
1つずつ送り出されたディスクを入口102から出口104へ向けて搬送するディスク搬送装置であって、ディスクの周面を案内する左右の案内面112、114と、ディスクの表裏面を夫々案内する表裏の案内面116、118とを有し、入口102から出口104に向かって延在するディスク案内通路110と、ディスク案内通路内110に突出し、かつ、表裏案内面116、118に対しほぼ直角な複数の回転軸線221〜228の回りを回転運動することによりディスクを押動せしめる複数のディスク押動体411a〜418a、411b〜418bとを備えるディスク搬送装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク搬送装置に関し、詳しくは、硬貨やメダル等のディスクを処理するディスク処理装置とともに好適に使用されるディスク搬送装置に関する。
【0002】
なお、本明細書で使用する「ディスク」は、通貨であるコイン、ゲーム機のメダルやトークン等の代用貨幣、及び、それらと類似のものを包含する。
【背景技術】
【0003】
従来より、ディスク搬送装置に関しては、ベルト、チェーン、スクリュなどを利用した各種方式のものが提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1および特許文献2には、ベルトを利用したものが開示されている。特許文献1の円板状媒体揚送装置は、円板状媒体を揚送する揚送ベルトと、この揚送ベルトに揚送する円板状媒体を押圧する押圧ベルトとを具備し、揚送ベルトと押圧ベルトとの間に円板状媒体を挟み込んだ状態で揚送するように構成されている。揚送ベルトは上側および下側に配置された一対のプーリ間に掛け回されて配設され、押圧ベルトは上側および下側に配置された他の一対のプーリ間に掛け回されて配設されている。
【0005】
特許文献2のコインリフトは、駆動プーリと受動プーリとの両プーリ間を循環する無端ベルトのベルト面に、ベルト走行方向に沿って適宜間隔を開けて突状受け座を設け、その突状受け座でコインを受け止めて揚送するものである。
【0006】
また、特許文献3には、チェーンを利用したものが開示されている。特許文献3の硬貨搬送手段は、支持面の上方に硬貨搬送方向に延びるように配置されて一定間隔おきに硬貨送り用のピンを備えたチェーンにより構成されている。
【0007】
さらに、特許文献4には、スクリュを利用した硬貨揚送装置が開示されている。特許文献4の硬貨揚送装置は、螺旋棒が垂直な回転軸に取り付けられ、これを軸線として、その回りに硬貨の直径を超えるピッチの螺旋として成形され、その回転とともに、そのピッチごとの各部分が順次各ガイドの対向空間を直角に貫通するように位置決めされ、この貫通箇所に位置する各部分が螺旋棒の回転とともに上昇して、これに押し上げられる形で硬貨が垂直上方に移送されるようにしたものである。
【0008】
これらの従来のディスク搬送装置では、次の問題がある。
【0009】
特許文献1および特許文献2に開示されるようなベルト式のディスク搬送装置では、搬送距離を延ばし難いという問題がある。すなわち、搬送距離を延ばすためにベルト長を長くすると、ベルト上に載置される最大ディスク数が増加することになり、それに応じてベルトにかかる負荷も増大する。ベルトへの動力伝達はプーリからの摩擦力によるため、ベルトへの負荷が大きいとプーリとベルトとの間でスリップが生じてしまうので、ベルト長の延長には限界がある。歯付きベルトを使用すればスリップを抑制できるが、コストアップとなり容易に採用できない。
【0010】
また、プーリの回転速度を高めた場合にも、プーリとベルトとの間でスリップが生じてしまい、回転速度を十分に高めることができず、所望の搬送速度を得られないという問題がある。
【0011】
さらに、ベルトを利用する場合には、一般に、所定長さの既製のベルトの中から選択して使用するので、ベルト長は段階的にしか設定できない。これは、搬送距離を自在に設定できないことを意味する。所望のベルト長のものを使用するには、特別に作製されたものを使用しなければならず、その場合にはコストアップになってしまう。したがって、コストを抑制しながら搬送距離を自在に設定することが困難であるという問題がある。
【0012】
特許文献3に開示されるようなチェーン式のディスク搬送装置では、構造が複雑であるためチェーンの小型化が難しく、装置全体が大きくなるという問題がある。
【0013】
特許文献4に開示されるようなスクリュ式の場合には、螺旋の上をディスクを滑らせながら搬送するので、摩擦に伴う発熱や磨耗が生じ、耐久性が低下するという問題がある。
【0014】
また、スクリュ式の場合には、回転軸が長くなるとねじれが発生し易くなり、ディスクを正常に搬送できなくなってしまう。この回転軸のねじれは、回転軸長が長い程大きくなる。したがって、回転軸長を十分に長くすることができず、所望の搬送距離が得られないという問題がある。さらには、ねじれの状態で長期間使用した場合には破損する虞もあり、やはり耐久性が低下する。
【0015】
剛性の高い金属材料を回転軸や螺旋に採用して機械的強度を高めれば、回転軸のねじれを抑制でき搬送距離を延長し易くなり耐久性も向上するが、コストアップや重量の増加を伴うので容易に採用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2009−93557(図1、段落番号0007、0033〜0035)
【特許文献2】特開2000−72212(図2、段落番号0007、0018)
【特許文献3】特開平6−119527(図1、段落番号0007、0011)
【特許文献4】特開平6−103439(図1、段落番号0006、0020)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上述した従来技術の問題を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、ベルト、チェーンおよびスクリュのいずれをも使用せずに構成できるディスク搬送装置を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、搬送距離を容易に延長できるディスク搬送装置を提供することにある。
【0019】
本発明のさらに他の目的は、コストを抑制しながら搬送距離を延長できるディスク搬送装置を提供することにある。
【0020】
本発明のさらに他の目的は、重量の増加や大型化を伴うことなく搬送距離を延長できるディスク搬送装置を提供することにある。
【0021】
本発明のさらに他の目的は、所望の搬送速度が容易に得られるディスク搬送装置を提供することにある。
【0022】
本発明のさらに他の目的は、耐久性に優れたディスク搬送装置を提供することにある。
【0023】
ここに明記しない本発明の他の目的は、以下の説明および添付図面から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
この目的を達成するため、本発明にかかるディスク搬送装置は以下のように構成される。
【0025】
(1)本発明のディスク搬送装置は、1つずつ送り出されたディスクを入口から出口へ向けて搬送するディスク搬送装置であって、前記ディスクの周面を案内する左右の案内面と、前記ディスクの表裏面を夫々案内する表裏の案内面とを有し、前記入口から前記出口に向かって延在するディスク案内通路と、前記ディスク案内通路内に突出し、かつ、前記表裏案内面に対しほぼ直角な複数の回転軸線の回りを回転運動することにより前記ディスクを押動せしめる複数のディスク押動体とを備えるディスク搬送装置である。
【0026】
本発明のディスク案内装置では、前記入口から前記出口に向かって延在する前記ディスク案内通路と、前記表裏案内面に対しほぼ直角な前記複数の回転軸線の回りを回転運動する前記複数のディスク押動体とを備える。前記ディスク案内通路は、前記ディスクの周面を案内する前記左右の案内面と、前記ディスクの表裏面を夫々案内する前記表裏の案内面とを有する。前記複数のディスク押動体は、前記ディスク案内通路内に突出して回転運動し、前記ディスクを押動せしめる。そのため、一つずつ送り出された前記ディスクが前記案内通路内に導入されると、前記ディスクは前記左右および表裏の案内面に案内されながら、回転運動する前記複数の押動体により順次押動されて、前記ディスク案内通路内を搬送される。
【0027】
このように、本発明のディスク案内装置では、前記ディスク案内通路内に突出する前記複数のディスク押動体を回転運動させることにより前記ディスクを搬送する機能を有する。これは、前記複数のディスク押動体を回転運動させる機構さえあれば実現でき、ベルト、チェーンおよびスクリュを使用せずに構成できることを意味する。したがって、ベルト、チェーンおよびスクリュを使用した方式の従来のディスク搬送装置に生じる様々な問題が解決される。
【0028】
すなわち、従来のベルト方式のディスク搬送装置のように、ベルトのスリップが生じないので、搬送距離を容易に延長でき、所望の搬送速度が容易に得られる。しかも、前記ディスク案内通路を形成する部材を加工すれば、前記ディスク案内通路の長さを比較的自由に設定できる。したがって、特別に作製されたベルトを用意する必要もないので、コストを抑制しながら搬送距離を延長できる。
【0029】
また、従来のチェーン方式のディスク搬送装置に比べ、構造が複雑でないため、装置全体が相対的に小さくできる。したがって、装置全体の大型化を伴うことなく搬送距離を延長できる。
【0030】
従来のスクリュ方式のディスク搬送装置のように、スクリュの回転軸に生じるねじれを考慮する必要がないので、耐久性に優れ、所望の搬送距離が容易に得られる。しかも、剛性の高い金属材料を採用する必要もほとんどないため、重量の増加を伴うことなく搬送距離を延長できる。
【0031】
(2)本発明のディスク搬送装置の好ましい例では、前記複数の回転軸線が、前記ディスク案内通路において、前記ディスク案内通路に沿って互いに平行に位置する第1および第2の軸配列線上に交互に所定の間隔で配置されると共に、前記ディスク案内通路の延在方向に沿ってジグザグ状に配置される。
【0032】
換言すれば、前記第1の軸配列線上に前記回転軸線が配置された複数のディスク押動体(以下、第1グループのディスク押動体という)と、前記第2の軸配列線上に前記回転軸線が配置された複数のディスク押動体(以下、第2グループのディスク押動体という)とを備え、それら第1および第2のグループのディスク押動体の夫々に対応する回転軸線がジグザグ状に配置される。そして、第1および第2のグループのディスク押動体は、ジグザグ状に配置された回転軸線の回りを回転運動することになる。
【0033】
そのため、第1および第2のグループのディスク押動体の回転方向を相反させ、かつ、回転運動に適宜の位相差を持たせれば、第1および第2のグループのディスク押動体が所定の周期で、かつ、時間差を持って前記ディスクの周面に接触し、もって前記ディスクを交互に押動せしめることが可能となる。そして、一つずつ送り出された前記ディスクが前記入口から前記ディスク案内通路内に導入されると、前記左右および表裏の案内面に案内されながら、回転運動する第1および第2のグループのディスク押動体により前記ディスクが交互に押動されて、前記ディスク案内通路内を前記ディスクが搬送される。
【0034】
この場合、前記複数のディスク押動体が第1および第2のグループのディスク押動体として2列に配置されるので、前記ディスクの搬送速度を高めることができる。すなわち、回転運動する前記ディスク押動体の移動速度は搬送方向に沿った速度成分と搬送方向に直角な速度成分とから成り、これらの速度成分は前記ディスク押動体の回転角度に応じて変化する。そして、搬送方向に沿った速度成分が大きい程、前記ディスクの搬送速度が速くなる。前記複数のディスク押動体を2列に配置した場合、前記ディスク押動体の回転角度の範囲のうち、搬送方向に沿った速度成分が相対的に大きい回転角度の範囲を容易に利用することが可能となり、前記ディスクの搬送速度を高めることができるのである。
【0035】
(3)本発明のディスク搬送装置の他の好ましい例では、前記複数の回転軸線が、前記ディスク案内通路において、前記ディスク案内通路の延在方向に沿った一つの軸配列線上に所定の間隔で配置される。
【0036】
換言すれば、前記複数のディスク押動体の前記回転軸線が前記軸配列線上に1列に配置される。さらに換言すれば、前記軸配列線上に奇数番目に配置された前記回転軸線に対応する複数のディスク押動体(以下、第1グループのディスク押動体という)と、前記軸配列線上に偶数番目に配置された前記回転軸線に対応する複数のディスク押動体(以下、第2グループのディスク押動体という)とを備え、第1および第2のグループのディスク押動体は、前記軸配列線上において回転軸線の回りを回転運動することになる。
【0037】
そのため、第1および第2のグループのディスク押動体の回転方向を相反させ、かつ、回転運動に適宜の位相差を持たせれば、第1および第2のグループのディスク押動体が所定の周期で、かつ、時間差を持って前記ディスクの周面に接触し、もって前記ディスクを交互に押動せしめることが可能となる。そして、一つずつ送り出された前記ディスクが前記入口から前記ディスク案内通路内に導入されると、前記左右および表裏の案内面に案内されながら、回転運動する第1および第2のグループのディスク押動体により前記ディスクが交互に押動されて、前記ディスク案内通路内を前記ディスクが搬送される。
【0038】
この場合、前記複数のディスク押動体を2列に配置するよりも、前記ディスクの搬送速度は低くなるものの、所定の搬送距離を得るために必要とされる前記ディスク押動体の数を少なくできる利点がある。
【0039】
(4)本発明のディスク搬送装置のさらに他の好ましい例では、前記複数の回転軸線の夫々に対して少なくとも2以上の前記ディスク押動体が設けられる。この場合、2以上の前記ディスク押動体の夫々が前記ディスクを押動せしめるので、1回転運動あたりに移動できる前記ディスクの数を増やすことができる利点がある。換言すれば、前記ディスクの搬送効率を高めることができるという利点がある。
【0040】
(5)本発明のディスク搬送装置のさらに他の好ましい例では、前記左右案内面が前記複数の回転軸線の夫々を中心とする複数の円弧を接続した曲線に沿って形成される。この場合、回転運動する前記ディスク押動体の円形軌跡と前記左右案内面の平面形状とが同軸となるので、前記ディスク押動体が前記ディスクを円滑に押動せしめることができる利点がある。換言すれば、前記ディスク押動体を回転運動させる際の負荷を軽減できるという利点がある。
【0041】
(6)本発明のディスク搬送装置のさらに他の好ましい例では、前記複数の回転軸線の夫々に対応する複数の回転盤が前記ディスク案内通路の前記裏の案内面側に配置され、前記複数のディスク押動体が対応する前記回転盤の周辺部に設けられている。この場合、前記ディスク押動体の回転運動を簡単な構造で容易に実現できる利点がある。また、前記回転盤の外径を変更すれば前記ディスクの外径の違いにも対応でき、設計変更が容易であるという利点もある。
【0042】
(7)本発明のディスク搬送装置のさらに他の好ましい例では、前記複数の回転盤の夫々が裏面側に歯車を有し、前記歯車の隣接するもの同士が噛み合っている。この場合、両端に位置する歯車のいずれかを駆動歯車とし、それ以外の歯車を従動歯車とすることで、第1および第2のディスク押動体の回転方向が自動的に相反し、しかも、全ての前記ディスク押動体が同期して回転運動する。したがって、簡単な構造でありながら、第1および第2のグループのディスク押動体の回転方向が相反し、かつ、回転運動に適宜の位相差を持つという機能を容易に実現できる利点がある。
【0043】
(8)本発明のディスク搬送装置のさらに他の好ましい例では、前記複数の回転盤の夫々の表面(422)と前記ディスク案内通路の前記裏の案内面とがほぼ面一である。この場合、前記回転盤の表面が前記裏の案内面と協働して前記ディスクを案内するので、より円滑に前記ディスクを搬送できる利点がある。
【発明の効果】
【0044】
本発明のディスク搬送装置では、(a)ベルト、チェーンおよびスクリュのいずれをも使用せずに構成でき、(b)搬送距離を容易に延長でき、(c)コストを抑制しながら搬送距離を延長でき、(d)重量の増加や大型化を伴うことなく搬送距離を延長でき、(e)所望の搬送速度が容易に得られ、(f)耐久性に優れる、といった効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施例1のディスク搬送装置が適用されるディスク送出装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例1のディスク搬送装置を示す要部斜視図である。
【図3】図2のディスク搬送装置を表面側から見た要部分解斜視図である。
【図4】図2のディスク搬送装置を裏面側から見た要部分解斜視図である。
【図5】図2のディスク搬送装置を構成するトッププレートの裏面側から見た平面図である。
【図6】図2のディスク搬送装置を構成するベース部の平面図である。
【図7】図2のA−A線に沿った断面図である。
【図8】図2のディスク搬送装置の動作を説明するためのトッププレートを取り除いた状態の平面図である。
【図9】図2のディスク搬送装置の動作を説明するためのトッププレートを取り除いた状態の平面図で、図8の続きである。
【図10】図2のディスク搬送装置の動作を説明するためのトッププレートを取り除いた状態の平面図で、図9の続きである。
【図11】図2のディスク搬送装置の動作を説明するためのトッププレートを取り除いた状態の平面図で、図10の続きである。
【図12】図2のディスク搬送装置の動作を説明するためのトッププレートを取り除いた状態の平面図で、図11の続きである。
【図13】図2のディスク搬送装置の動作を説明するためのトッププレートを取り除いた状態の平面図で、図12の続きである。
【図14】図2のディスク搬送装置の動作を説明するためのトッププレートを取り除いた状態の平面図で、図13の続きである。
【図15】図2のディスク搬送装置の動作を説明するためのトッププレートを取り除いた状態の平面図で、図14の続きである。
【図16】本発明の実施例2のディスク搬送装置を構成するトッププレートの裏面側から見た平面図である。
【図17】本発明の実施例2のディスク搬送装置を構成するベース部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0047】
図1は、本発明の実施例1のディスク搬送装置が適用されるディスク送出装置1を示す。このディスク送出装置1は、ボウルにバラ積みされたディスクを一枚ずつ出口から送り出す機能を有するもので、大まかにはホッパ装置2とディスク搬送装置3とを含んでいる。
【0048】
ホッパ装置2は、公知のものが使用でき、例えば、本願出願人が平成12年2月2日に出願し公開された特開2001−216553公報のホッパ装置が使用できる。
【0049】
ディスク搬送装置3は、図2〜7に示すように、入口102から出口104に向かって延在するディスク案内通路110を有するディスク案内部100と、第1ディスク押動体411a〜418aおよび第2ディスク押動体411b〜418bが夫々設けられた第1〜第8の回転盤401〜408を有するディスク押動機構400と、ディスク押動機構400を回転駆動するための回転駆動装置500とを含んでいる。
【0050】
(ディスク案内部)
図2および図3に示すように、ディスク案内部100は、ベース部200と、ベース部200の上に設けられたトッププレート300とで構成される。
【0051】
ベース部200は平板状の第1部材206の上に第2部材208を積み重ねた構造体からなり、第2部材208には貫通孔215が形成されている。貫通孔215は8つの円形孔がジグザグ状に接続された平面形状を有し、ベース部200の表面202の側にディスク押動機構400を収納可能な凹部216を形成している。
【0052】
凹部216の底面218には、ベース部200の表面202に対してほぼ直角な回転軸線221〜228を有する第1〜第8の回転軸231〜238が設けられている。第1〜第8の回転軸231〜238は、図4および図7に示すように、ベース部200の裏面204の側から第1部材206を介してネジ穴240に挿入された固定ネジ210により、ベース部200に固定されている。
【0053】
図4、図5および図7に示すように、トッププレート300は、互いに平行な表面302および裏面304を有しており、裏面304がベース部200の表面202に重ねられた状態でベース部200に固定されている。トッププレート300の表面302および裏面304は、第1〜第8の回転軸線221〜228に対してほぼ直角である。
【0054】
トッププレート300の裏面304の側には、入口102から出口104に向けて延在するディスク案内溝306が形成されている。ディスク案内溝306は底面310と第1および第2の側面312、314とを有しており、底面310は第1〜第8の回転軸線221〜228に対してほぼ直角である。
【0055】
ディスク案内溝306の幅wgおよび深さdgは搬送対象のディスクの幅および厚さより僅かに大きくなるように設定されている。換言すれば、搬送対象のディスクが、底面310と第1および第2の側面312、314とによって案内されながら、ディスク案内溝306の内部を通過可能となるように、ディスク案内溝306の幅wgおよび深さdgが設定される。なお、直径および厚さの異なる複数金種のディスクを搬送する場合、ディスク案内溝306の幅wgおよび深さdgはディスクの最大径および最大厚に応じて設定される。
【0056】
第1の側面312は、第2、第4、第6および第8の回転軸線222、224、226、228を中心とする複数の円弧が接続されてなる曲線318に沿って形成されている。第2の側面314は、第1、第3、第5および第7の回転軸線221、223、225、227を中心とする複数の円弧が接続されてなる曲線316に沿って形成されている。
【0057】
さらに、トッププレート300の裏面304には、後述する第1ディスク押動体411a〜418aおよび第2ディスク押動体411b〜418bが回転運動する際に、トッププレート300への接触を防止する円環状の溝322が第1〜第8の回転軸線221〜228の夫々に対応して形成されている。
【0058】
ベース部200の上面202と、トッププレート300のディスク案内溝306の底面310と、第1および第2の側面312、314とにより、ディスク案内通路110が構成される。換言すれば、ベース部200の上面202がディスク案内通路110の裏の案内面118として機能し、トッププレート300のディスク案内溝306の底面310がディスク案内通路110の表の案内面116として機能し、トッププレート300のディスク案内溝306の第1および第2の側面312、314がディスク案内通路110の左右の案内面112、114として機能する。そして、ディスク案内通路110において、入口102から導入されたディスクの周面は、ディスク案内通路110の左右の案内面112、114(すなわち、ディスク案内溝306の第1および第2の側面312、314)により案内される。また、ディスクの表面および裏面は、ディスク案内通路110の表裏の案内面116、118(すなわち、ディスク案内溝306の底面310およびベース部200の上面202)により案内される。
【0059】
(ディスク押動機構)
図3、図4、図6および図7に示すように、ディスク押動機構400は、第1〜第8の回転軸231〜238の夫々が挿入された第1〜第8の回転盤401〜408を有している。第1〜第8の回転盤401〜408は、平面視略円形の外形状を有しており、対応する第1〜第8の回転軸231〜238において、正逆両方向に回転自在に支持されている。換言すれば、第1〜第8の回転盤401〜408は、対応する第1〜第8の回転軸線221〜228の回りを回転可能である。
【0060】
第1〜第8の回転盤401〜408には、円柱状の外形状を夫々有する一対の第1および第2のディスク押動体411a〜418a、411b〜418bが夫々設けられている。すなわち、第1回転盤401の周辺部424において、回転盤401の表面422から突出する第1および第2のディスク押動体411a、411bが設けられている。第1および第2のディスク押動体411a、411bは第1回転軸231を挟んで対向して配置されており、換言すれば、第1および第2のディスク押動体411a、411bは、第1回転盤401において第1回転軸線221を通る直線上に配置されている。
【0061】
第2〜第8の回転盤402〜408についても、第1回転盤401と同様に、第2〜第8の回転盤402〜408の周辺部424において、第2〜第8の回転盤402〜408の表面422から突出する第1および第2のディスク押動体412a〜418a、412b〜418bが夫々設けられている。第1および第2のディスク押動体412a〜418a、412b〜418bは回転軸232〜238を挟んで対向して配置されており、換言すれば、第1および第2のディスク押動体412a〜418a、412b〜418bは、第2〜第8の回転盤402〜408において回転軸線222〜228を通る直線上に配置されている。
【0062】
そして、第1〜第8の回転盤401〜408が回転すると、第1および第2のディスク押動体411a〜418a、411b〜418bが第1〜第8の回転軸線221〜228の回りを回転運動する。
【0063】
なお、図6に示すように、第1および第2のディスク押動体411a〜418a、411b〜418bの中心軸(円筒の中心軸)から対応する第1〜第8の回転軸線221〜228までの距離(すなわち、第1および第2のディスク押動体411a〜418a、411b〜418bの回転運動の半径)をrとすると、ディスク案内溝306の幅(すなわち、ディスク案内通路110の幅)wgと半径rとの間に、
r<wg≦2r
の関係が成立することが好ましい。すなわち、r≧wgであると有効なディスク案内通路110を形成することが困難となり、wg>2rであると、ディスクを円滑に搬送することが困難となるからである。特に、ディスク搬送装置3をリフタとして機能させる場合には、ディスクとディスク案内通路110との間に生じる摩擦力のみならず重力にも抗する必要があり、そのためにはwg≦2rとすることが有効である。したがって、上記関係が成立するように半径rおよび幅wgを設定することで、ディスクを容易かつ円滑に搬送することが可能となる。
【0064】
図6に示すように、第1、第3、第5および第7の回転軸線221、223、225、227は、第1の軸配列線212の上に、所定の間隔dを置いて一列に配置される。第2、第4、第6および第8の回転軸線222、224、226、228は、第1の軸配列線212に平行で、かつ、所定の間隔wを置いて位置する第2の軸配列線214の上に、所定の間隔dを置いて一列に配置される。そして、第2、第4、第6および第8の回転軸線222、224、226、228は、第1、第3、第5および第7の回転軸線221、223、225、227に対して、所定の距離sだけオフセットしている。換言すれば、第1〜第8の回転軸線221〜228は、ディスク案内通路110の延在方向に沿ってジグザク状(すなわち、千鳥状)に配置される。
【0065】
第1、第3、第5および第7の回転軸線221、223、225、227に対応する第1および第2のディスク押動体411a、413a、415a、417a、411b、413b、415b、417bは、第1の押動体グループを構成する。第2、第4、第6および第8の回転軸線222、224、226、228に対応する第1および第2のディスク押動体412a、414a、416a、418a、412b、414b、416b、418bは、第2の押動体グループを構成する。
【0066】
第1、第3、第5および第7の回転軸線221、223、225、227に対応する第1、第3、第5および第7の回転盤401、403、405、407は、第1の回転盤グループを構成する。第2、第4、第6および第8の回転軸線222、224、226、228に対応する第2、第4、第6および第8の回転盤402、404、406、408は第2の回転盤グループを構成する。
【0067】
第1〜第8の回転盤401〜408の裏面には、第1〜第8の歯車431〜438が夫々設けられている。第1〜第8の歯車431〜438の軸挿入孔(図示せず)には、第1〜第8の回転軸231〜238が夫々挿入されている。第1〜第8の歯車431〜438は第1〜第8の回転盤401〜408に対して固定されており、第1〜第8の歯車431〜438は対応する第1〜第8の回転盤401〜408と共に回転する。
【0068】
この実施例においては、ディスク押動機構400の作製コストを低減するために、第1〜第8の回転盤401〜408に対して、対応する第1〜第8の歯車431〜438と対応する第1および第2のディスク押動体411a〜418a、411b〜418bとが一体で形成されている。しかしながら、第1〜第8の回転盤401〜408と、第1〜第8の歯車431〜438と、第1および第2のディスク押動体411a〜418a、411b〜418bとを別に作製し、それらを適宜の方法でアセンブリしたものを使用することも可能である。
【0069】
第1〜第8の歯車431〜438は、互いに隣接するもの同士が噛み合っている。すなわち、第2歯車432は第1および第3の歯車431、433と噛み合っている。同様に、第4歯車434は第3および第5の歯車433、435と噛み合い、第6歯車436は第5および第7の歯車435、437と噛み合っている。第8歯車408は第7歯車437と噛み合っている。そのため、第1の回転盤グループに属する第1、第3、第5および第7の回転盤401、403、405、407と、第2の回転盤グループに属する第2、第4、第6および第8の回転盤402、404、406、408とが、図6の矢印R1、R2に示すように、互いに相反する方向に回転する。換言すれば、第1の押動体グループに属する第1および第2のディスク押動体411a、411b、413a、413b、415a、415b、417a、417bと、第2の押動体グループに属する第1および第2のディスク押動体412a、412b、414a、414b、416a、416b、418a、418bとが互いに相反する方向R1、R2に回転運動する。
【0070】
第1〜第8の回転盤401〜408のうちの隣接する一対において、第1および第2のディスク押動体411a〜418a、411b〜418bが所定の回転位相差を保つように配置される。
【0071】
例えば、隣接する第1および第2の回転盤401、402において、第1ディスク押動体411aと412aおよび第2ディスク押動体411bと412bとが所定の回転位相差を保つように配置される。具体的には、回転運動する第1ディスク押動体411aが第1および第2の回転軸線421、422を含む平面Pに到達した際に、回転運動する第1ディスク押動体412aが平面Pに対して歯車ピッチの1/2だけ手前の位置に到達するように、第1ディスク押動体411aと412aとが配置される。同様に、回転運動する第2ディスク押動体411bが第1および第2の回転軸線421、422を含む平面Pに到達した際に、回転運動する第2ディスク押動体412bが平面Pに対して歯車ピッチの1/2だけ手前の位置に到達するように、第2ディスク押動体411bと412bとが配置される。
【0072】
第2および第3の回転盤402、403、第3および第4の回転盤403、404、第4および第5の回転盤404、405、第5および第6の回転盤405、406、第6および第7の回転盤406,407、第7および第8の回転盤407、408の夫々においても同様である。
【0073】
上記の構成を有するディスク押動機構400は、ベース部200の凹部216の内部に収納される。すなわち、第1〜第8の回転盤401〜408および第1〜第8の歯車431〜438が凹部216に収納される。第1および第8の回転盤401〜408の夫々の表面422は、ベース部200の表面202とほぼ面一になるよう配置される。そのため、第1〜第8の回転盤401〜408の夫々の表面422に設けられた第1および第2のディスク押動体411a〜418a、411b〜418bは、ベース部200の表面202の上方に突出する。換言すれば、第1および第2のディスク押動体411a〜418a、411b〜418bは、ディスク案内通路110内に夫々突出する。
【0074】
したがって、第1および第2のディスク押動体411a〜418a、411b〜418bが回転運動すると、ディスク案内通路110において、第1および第2のディスク押動体411a〜418a、411b〜418bがディスクの周面に接触しながら回転方向に沿って移動し、それによりディスクが押し動かされる。
【0075】
なお、上述したように、第1および第8の回転盤401〜408の夫々の表面422がベース部200の表面202とほぼ面一になるよう配置されるので、表面422がディスク案内通路110の裏の案内面118と協働してディスクを案内するので、より円滑にディスクを搬送できる。
【0076】
(回転駆動装置)
回転駆動装置500は、電気モータ502と、電気モータ502の駆動軸(図示せず)が接続された減速機構503とを有している。減速機構503の出力軸(図示せず)は、第1回転軸231に接続されている。第1回転盤401および第1歯車431は、第1回転軸231を介して減速機構503の出力軸に接続されている。
【0077】
第1歯車431を駆動歯車として機能させるため、第1回転盤401および第1歯車431は第1回転軸231に固定されている。そのため、電気モータ502が作動すると、電気モータ502の駆動軸の回転が減速機構503を介して第1回転軸231に伝達され、第1回転盤401および第1歯車431が回転する。第1〜第8の歯車431〜438は隣接するもの同士が噛み合っているので、第1歯車431の回転が第2〜第8の歯車432〜438に順次伝達される。すなわち、第2〜第8の歯車432〜438が従動歯車として機能する。こうして、ディスク押動機構400が駆動され、第1〜第8の回転盤401〜408が回転すると共に、第1および第2のディスク押動体411a〜418a、411b〜418bが回転運動する。
【0078】
(ディスク搬送装置の動作)
図8は、電気モータ502が作動し、ディスク押動機構400が駆動された状態で、入口102からディスク案内通路110内にコインD1が導入された状態を示す。図8において、第1回転盤401が半時計方向(すなわち、R1方向)に回転し、第2回転盤402が時計方向(すなわち、R2方向)に回転する。第1回転盤401の回転に伴って、第1ディスク押動体411aがR1方向に回転運動し、ディスクD1の周面に接触する。第1ディスク押動体411aがR1方向にさらに移動すると、ディスクD1が第1ディスク押動体411aに図8の右上方向に押動され、ディスクD1の周面がディスク案内通路110の右の案内面114に押し付けられる。
【0079】
さらに、第1ディスク押動体411aがディスクD1を押動し続けると、図9に示すように、ディスクD1は右の案内面114に周面を案内されて、ディスク案内通路110の延在方向(すなわち、図9の上側方向)に移動する。
【0080】
第1ディスク押動体411aが時計の3時の位置を過ぎると、図10に示すように、ディスクD1は第1ディスク押動体411aに左上方向に押動され、ディスクD1の周面がディスク案内通路110の左の案内面112に押し付けられる。そして、ディスクD1は左の案内面112に周面を案内されて、ディスク案内通路110を上側方向に移動する。また、第2回転盤402のR2方向への回転に伴って、第1ディスク押動体412aがディスクD1に接近する。
【0081】
次に、図11に示すように、第1回転盤401の第1ディスク押動体411aがディスクD1の周面に接触したまま、さらに第2回転盤402の第1ディスク押動体412aがディスクD1の周面に接触する。この状態では、第1ディスク押動体411a、412aの双方が左上方向にディスクD1を押動するので、ディスクD1は左の案内面112に周面を案内されて、ディスク案内通路110を上側方向に移動する。また、入口102からは次のディスクD2がディスク案内通路110に導入される。
【0082】
次に、図12に示すように、第1回転盤401のさらなる回転によって、第1ディスク押動体411aのディスクD1の周面への接触が解除されると共に、第2ディスク押動体411bがディスクD2の周面に接触する。そのため、ディスクD1は第2回転盤402の第1ディスク押動体412aによって押動され、ディスクD2は第1回転盤401の第2ディスク押動体411bにより押動される。ディスクD2はディスクD1の場合と同様に、ディスク案内通路110の右の案内面114に案内されて上側方向に移動する。
【0083】
さらに、図13に示すように、第3回転盤403の第1ディスク押動体413aがディスクD1の周面と接触し、第1ディスク押動体412a、413aの双方がディスクD1を右上方向に押動する。ディスクD1は、ディスク案内通路110の右の案内面114に周面を案内されて上側方向へ移動する。また、ディスクD2は第1回転盤401の第2ディスク押動体411bに押動され、ディスク案内通路110の右の案内面114に周面を案内されて上側方向へ移動する。
【0084】
次に、図14に示すように、第2回転盤402のさらなる回転によって、第1ディスク押動体412aのディスクD1の周面への接触が解除される。そのため、ディスクD1は第3回転盤403の第1ディスク押動体413aによって押動され、ディスク案内通路110の右の案内面114に周面を案内されて上側方向へ移動する。また、ディスクD2は第1回転盤401の第2ディスク押動体411bにより押動され、ディスク案内通路110の左の案内面112に周面を案内されて上側方向へ移動する。さらに、入口102からは次のディスクD3がディスク案内通路110に導入される。
【0085】
上記のディスク押動機構400の動作が繰り返されることにより、図15に示すように、ディスクD1、D2、D3はディスク案内通路110内を入口102から出口104に向けて搬送される。そして、出口104からディスクD1、D2、D3が順次排出される。なお、ディスクD1、D2、D3の排出時において、排出されたディスク数が出口104の近傍に設けられたディスク数計数器120により計数される。
【0086】
以上述べたように、本発明の実施例1のディスク搬送装置3では、第1〜第8の回転軸線221〜228が、第1および第2の軸配列線212、214上に間隔dで交互に配置され、かつ、ディスク案内通路110の延在方向に沿ってジグザグ状に配置される。第1〜第8の回転軸231〜238に回転自在に支持された第1〜第8の回転盤401〜408の夫々に、第1および第2のディスク押動体411a〜418a、411b〜418bがディスク案内通路110内に突出して設けられる。第1の軸配列線212上に配置された第1、第3、第5および第7の回転軸線221、223、225、227に対応する第1および第2のディスク押動体411a、413a、415a、417a、411b、413b、415b、417bが第1の押動体グループを構成し、第2の軸配列線214上に配置された第2、第4、第6および第8の回転軸線222、224、226、228に対応する第1および第2のディスク押動体412a、414a、416a、418a、412b、414b、416b、418bが第2の押動体グループを構成する。
【0087】
第1および第2のディスク押動体411a〜418a、411b〜418bは、回転駆動される第1〜第8の回転盤401〜408の回転により、第1〜第8の回転軸線221〜228の回りを回転運動する。第1の押動体グループに属する第1および第2のディスク押動体411a、413a、415a、417a、411b、413b、415b、417bは第1の方向に回転運動し、第2の押動体グループに属する第1および第2のディスク押動体412a、414a、416a、418a、412b、414b、416b、418bは第1の方向と相反する第2の方向に回転運動する。
【0088】
第1〜第8の回転盤401〜408のうちの隣接する一対において、第1および第2のディスク押動体411a〜418a、411b〜418bが所定の回転位相差を保つように配置される。換言すれば、第1の押動体グループに属する第1および第2のディスク押動体411a、413a、415a、417a、411b、413b、415b、417bの夫々に対して、第2の押動体グループに属する第1および第2のディスク押動体412a、414a、416a、418a、412b、414b、416b、418bの夫々が、所定の時間差を持って回転運動するように配置される。
【0089】
そのため、一つずつ送り出されたディスクD1〜D3が入口102からディスク案内通路110内に導入されると、回転運動する第1の押動体グループに属する第1および第2のディスク押動体411a、413a、415a、417a、411b、413b、415b、417bと、回転運動する第2の押動体グループに属する第1および第2のディスク押動体412a、414a、416a、418a、412b、414b、416b、418bとが、恰もリレーの如く次々とディスクD1〜D3に作用する。そして、左右の案内面112、114および表裏の案内面116、118に案内されながら、ディスクD1〜D3が押動されて、ディスク案内通路110内を搬送される。
【0090】
このように、ディスク案内装置3では、ディスク案内通路110内に突出する第1および第2のディスク押動体411a〜418a、411b〜418bを回転運動させることによりディスクD1〜D3を搬送する機能を有するので、回転運動させる機構として、第1〜第8の回転盤401〜408に第1〜第8の歯車431〜438を使用することができ、ベルト、チェーンおよびスクリュを使用せずに構成できる。したがって、ベルト、チェーンおよびスクリュを使用した方式の従来のディスク搬送装置に生じる様々な問題が解決される。
【実施例2】
【0091】
図16および図17は、本発明の実施例2のディスク搬送装置3Aを構成するトッププレート300Aおよびベース部200A示す。
【0092】
実施例2のディスク搬送装置3Aは、一つの軸配列線212A上に全ての回転軸線が配置されている点において、実施例1のディスク搬送装置3と異なっている。それ以外は実施例1のディスク搬送装置3とほぼ同一の構成を有しているので、図16および図17において、実施例1のディスク搬送装置3と同じ要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0093】
(ディスク押動機構)
ディスク搬送装置3Aにおいて、図17に示すように、ベース部200Aのディスク押動機構400Aは、第1〜第6の回転盤401A〜406Aを有している。第1〜第6の回転盤401A〜406Aには、実施例1のディスク搬送装置3と同様に、第1〜第6の回転軸231A〜236Aが挿入されると共に、夫々の周辺部424において第1および第2のディスク押動体411Aa〜416Aa、411Ab〜416Abが設けられている。第1および第2のディスク押動体411Aa〜416Aa、411Ab〜416Abは、対応する第1〜第6の回転軸線221A〜226Aの回りを回転可能である。
【0094】
第1〜第6の回転軸線221A〜226Aは、一つの軸配列線212A上に所定の間隔d1で配置されている。換言すれば、第1〜第6の回転軸線221A〜226Aは一列に配置され、第1〜第6の回転盤401A〜406Aもまた軸配列線212A上に一列に配置される。
【0095】
第1および第2のディスク押動体411Aa〜416Aa、411Ab〜416Abのうち、軸配列線212A上の奇数番目の回転軸線、すなわち、第1、第3および第5の回転軸線221A、223A、225Aに対応する第1および第2のディスク押動体221Aa、223Aa、225Aa、221Ab、223Ab、225Abが第1の押動体グループを構成する。他方、軸配列線212A上の偶数番目の回転軸線、すなわち、第2、第4および第6の回転軸線222A、224A、226Aに対応する第1および第2のディスク押動体222Aa、224Aa、226Aa、222Ab、224Ab、226Abが第2の押動体グループを構成する。そして、実施例1のディスク搬送装置3の場合と同様に、第1の押動体グループに属する第1および第2のディスク押動体221Aa、223Aa、225Aa、221Ab、223Ab、225Abと、第2の押動体グループに属する第1および第2のディスク押動体222Aa、224Aa、226Aa、222Ab、224Ab、226Abとが、図17の矢印R1、R2に示すように、互いに相反する方向に回転運動する。
【0096】
第1〜第6の回転盤401A〜406Aのうちの隣接する一対において、第1および第2のディスク押動体411Aa〜416Aa、411Ab〜416Abが所定の回転位相差を保つように配置される。換言すれば、第1の押動体グループに属する第1および第2のディスク押動体221Aa、223Aa、225Aa、221Ab、223Ab、225Abの夫々に対して、第2の押動体グループに属する第1および第2のディスク押動体222Aa、224Aa、226Aa、222Ab、224Ab、226Abの夫々が、所定の時間差を持って回転運動するように配置される。
【0097】
(ディスク案内部)
図16に示すように、トッププレート300Aに形成されたディスク案内溝306Aは、第1および第2の側面312A、314Aを有している。第1の側面312Aは、軸配列線212A上の偶数番目の回転軸線、すなわち、第2、第4および第6の回転軸線222A、224A、226Aを中心とする複数の円弧が接続されてなる曲線318Aに沿って形成されている。第2の側面314Aは、軸配列線212A上の奇数番目の回転軸線、すなわち、第1、第3および第5の回転軸線221A、223A、225Aを中心とする複数の円弧が接続されてなる曲線316Aに沿って形成されている。そして、実施例1のディスク搬送装置3の場合と同様に、第1および第2の側面312A、314Aが左右の案内面112A、114Aとして機能し、表裏の案内面116、118と共にディスク案内通路110Aを構成する。
【0098】
(ディスク搬送装置の動作)
上記の構成を有するディスク搬送装置3Aにおいても、実施例1のディスク搬送装置3と同様に動作する。
【0099】
すなわち、一つずつ送り出されたディスクが入口102からディスク案内通路110A内に導入されると、回転運動する第1の押動体グループに属する第1および第2のディスク押動体411Aa、413Aa、415Aa、411Ab、413Ab、415Abと、回転運動する第2の押動体グループに属する第1および第2のディスク押動体412Aa、414Aa、416Aa、412Ab、414Ab、416Abとが、恰もリレーの如く次々とディスクに作用する。そして、左右の案内面112A、114Aおよび表裏の案内面116、118に案内されながら、ディスクが押動されて、ディスク案内通路110A内を搬送される。
【0100】
したがって、実施例1のディスク搬送装置3の場合と同様に、回転運動させる機構として、第1〜第6の回転盤(図示せず)に第1〜第6の歯車(図示せず)を使用することができ、ベルト、チェーンおよびスクリュを使用せずに構成できる。
【0101】
図16に示すように、実施例2のディスク搬送装置3Aのディスク案内通路110Aは、図5に示す実施例1のディスク案内通路110と比較して、より蛇行している。そのため、実施例2のディスク搬送装置3Aは、実施例1のディスク搬送装置3に比べ、ディスクの搬送速度は低くなる。しかしながら、所定の搬送距離を得るために必要とされる回転盤401A〜406Aの数量、ひいては、ディスク押動体411Aa〜416Aa、411Ab〜416Abの数量を少なくできる利点がある。
【0102】
なお、上記の実施例1および実施例2では、回転盤401〜408、401A〜406Aの夫々に第1および第2のディスク押動体411a〜418a、411b〜418b、411Aa〜416Aa、411Ab〜416Abを設けているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、回転盤401〜408、401A〜406Aの夫々に1個のディスク押動体を設けることもできる。しかし、回転盤401〜408、401A〜406Aの夫々に2以上のディスク押動体を設けることが、搬送効率を高める上で好ましい。
【0103】
また、ディスク押動機構400、400Aは8個または6個の回転盤401〜408401A〜406Aを有しているが、回転盤の数はこれに限定されるものではなく、適宜の数を選択できる。
【0104】
さらに、ベース部200を第1および第2の部材206、208により構成しているが、第1および第2の部材206、208を一体で形成することにより1つの部材とすることができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、硬貨やメダル等のディスクを処理するディスク処理装置とともに好適に利用でき、例えば、ディスクホッパ装置との組み合わせで好適に利用できる。
【符号の説明】
【0106】
D1、D2、D3 ディスク
1 ディスク送出装置
2 ホッパ装置
3、3A ディスク搬送装置
100 ディスク案内部
102 入口
104 出口
110、110A ディスク案内通路
112、112A 左の案内面
114、114A 右の案内面
116 表の案内面
118 裏の案内面
120 ディスク数計数器
200、200A ベース部
202 表面
204 裏面
206 第1部材
208 第2部材
210 固定ネジ
212 第1の軸配列線
212A 配列軸線
214 第2の軸配列線
216 凹部
218 凹部の底面
221、222、223、224、225、226、227、228 第1〜第8の回転軸線
221A、222A、223A、224A、225A、226A 第1〜第6の回転軸線
231、232、233、234、235、236、237、238 第1〜第8の回転軸
231A、232A、233A、234A、235A、236A 第1〜第6の回転軸
240 ネジ穴
300、300A トッププレート
302 表面
304 裏面
306、306A ディスク案内溝
310 ディスク案内溝の底面
312、312A ディスク案内溝の第1側面
314、314A ディスク案内溝の第2側面
316、316A、318、318A 曲線
322 円環状溝
400、400A ディスク押動機構
401、402、403、404、405、406、407、408 第1〜第8の回転盤
401A、402A、403A、404A、405A、406A 第1〜第6の回転盤
411a、412a、413a、414a、415a、416a、417a、418a 第1ディスク押動体
411b、412b、413b、414b、415b、416b、417b、418b 第2ディスク押動体
411Aa、412Aa、413Aa、414Aa、415Aa、416Aa 第1ディスク押動体
411Ab、412Ab、413Ab、414Ab、415Ab、416Ab 第2ディスク押動体
422 表面
424 周辺部
431、432、433、434、435、436、437、438 第1〜第8の歯車
500 回転駆動装置
502 電気モータ
504 減速機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つずつ送り出されたディスクを入口(102)から出口(104)へ向けて搬送するディスク搬送装置であって、
前記ディスクの周面を案内する左右の案内面(112、114)と、前記ディスクの表裏面を夫々案内する表裏の案内面(116、118)とを有し、前記入口から前記出口に向かって延在するディスク案内通路(110)と、
前記ディスク案内通路内に突出し、かつ、前記表裏案内面に対しほぼ直角な複数の回転軸線(221〜228)の回りを回転運動することにより前記ディスクを押動せしめる複数のディスク押動体(411a〜418a、411b〜418b)と
を備えるディスク搬送装置。
【請求項2】
前記複数の回転軸線が、前記ディスク案内通路において、前記ディスク案内通路に沿って互いに平行に位置する第1および第2の軸配列線(212、214)上に交互に所定の間隔で配置されると共に、前記ディスク案内通路の延在方向に沿ってジグザグ状に配置される請求項1に記載のディスク搬送装置。
【請求項3】
前記複数の回転軸線が、前記ディスク案内通路において、前記ディスク案内通路の延在方向に沿った一つの軸配列線(212A)上に所定の間隔で配置される請求項1に記載のディスク搬送装置。
【請求項4】
前記複数の回転軸線の夫々に対して少なくとも2以上の前記ディスク押動体が設けられる請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスク搬送装置。
【請求項5】
前記左右案内面が前記複数の回転軸線の夫々を中心とする複数の円弧を接続した曲線(318)に沿って形成される請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスク搬送装置。
【請求項6】
前記複数の回転軸線の夫々に対応する複数の回転盤(401〜408)が前記ディスク案内通路の前記裏の案内面側に配置され、前記複数のディスク押動体が対応する前記回転盤の周辺部(424)に設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスク搬送装置。
【請求項7】
前記複数の回転盤の夫々が裏面側に歯車(431〜438)を有し、前記歯車の隣接するもの同士が噛み合っている請求項6に記載のディスク搬送装置。
【請求項8】
前記複数の回転盤の夫々の表面(422)と前記ディスク案内通路の前記裏の案内面とがほぼ面一である請求項6に記載のディスク搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−123712(P2012−123712A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275570(P2010−275570)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000116987)旭精工株式会社 (210)
【Fターム(参考)】