説明

ディスク装置搭載ビデオカメラ及びビデオカメラの制御方法

【課題】
本発明は、ディスク回転による振動、騒音の発生を抑えた静粛かつ安定な記録及び再生を達成するビデオカメラに適したディスク装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
ビデオカメラの状態に応じてディスクの回転数を制御する。ディスクを任意の回転数及び回転制御の下で回転させるディスク回転制御手段と、ディスクにデータを記録するための調整処理手段を備え、撮影を行なっている期間の調整処理と、撮影を行なっていない期間の前記調整処理とで、ディスクの回転数、または、回転制御方法を切り替える、あるいは、回転数及び回転方法の両方を切り替える、

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク装置搭載のビデオカメラにおける制御に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
ディスク装置では、ディスクが回転することにより振動や騒音が発生する。この振動や騒音は、静粛性を要求されるビデオカメラでは特に問題となる。ディスク装置において、ディスクが回転することにより生じる振動の問題を回避する方法の一例が、下記特許文献に記載されている。
【0003】
特許文献1には、段落〔0015〕の課題を解決するための手段に、「ディスク記録媒体が第1の回転速度で回転している状態で、ディスク識別手段によってディスク記録媒体が偏芯ディスクまたは偏重心ディスクであると識別されるとき、上記設定値を第1の回転速度より遅い第2の回転速度に変更する」との記載がある。
【0004】
また、特許文献2には、段落〔0004〕の課題を解決するための手段に、「ディスク固有の振動が発生する所定の回転数でディスクが回転しないように制御することでディスク振動が発生せず、記録もしくは再生動作を安定した状態で行なえるようにする」との記載がある。
【0005】
【特許文献1】特開平10−92090号公報
【特許文献2】特開2001−60357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ビデオカメラは、直接、手に持って使用する機器であるため、ディスク装置を搭載するビデオカメラでは、ディスクの回転に伴う振動が、ディスクからのデータの再生やディスクへのデータの記録には支障のない程度のものであっても、手に伝わる振動の度合いを尺度とすると問題となる場合がある。ディスクの回転に伴う振動、及び騒音を低減するには、ディスクの回転数を下げることが効果的である。
【0007】
ただし、ディスクの回転数を下げると、ディスクからのデータ再生速度、ディスクへのデータ記録速度が下がるため、撮影した映像をリアルタイムに保存する必要のあるビデオカメラでは問題となるため、リアルタイム動作が達成されるよう考慮する必要がある。
【0008】
また、ディスクの回転数を下げると同量の情報であっても記録に時間を要し、電力を多く消費することとなる。ビデオカメラは、通常、バッテリで稼動される、撮影可能時が短くならないよう、消費電力の低減も考慮に入れる必要がある。
【0009】
さらには、ディスクの回転伴い騒音も発生するが、騒音がビデオカメラのマイクで拾われ、ノイズとなってディスクに記録されると問題となる。ディスクの回転数を下げると、基本的には騒音は低くなるが、ピックの移動に伴いディスクの回転数を変動させた際に、回転数変動に伴い一時的に騒音が発生するので、これについても考慮する必要がある。
【0010】
本発明は、ディスク回転による振動、騒音の発生を抑えた静粛かつ安定な記録及び再生を達成するディスク装置搭載のビデオカメラを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、特許請求の範囲に記載の発明により達成される。
【発明の効果】
【0012】
ディスク回転による振動、騒音を抑えた記録及び再生をするディスク装置搭載のビデオカメラが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
まず、本発明の要点を述べ、その後、本発明を実施すための形態を示す。本発明の要点は、次の通りである。
【0014】
本発明は、上記課題の欄に述べたような問題を全て解消した上で、ディスクの回転に伴う振動、騒音の発生を抑制することができる。これを達成するために本発明では、下記条件を満足するようディスクの回転を制御する。
【0015】
(1)ディスクへのデータの記録やディスクからのデータの再生が安定に行なえることに加えて、ビデオカメラを手に持った際に伝わる振動が、許容される程度となるようディスクの回転数を設定する。
【0016】
(2)ビデオカメラにおけるリアルクスタイム動作を実現することが可能なディスクの回転数とする。
【0017】
(3)ディスク装置における消費電力が低くなるよう、さらには、ディスクの回転に伴う騒音が低くなるディスクの回転数とする。
【0018】
(4)許容値を超える振動が発生する回転数にてディスクを回転させる場合は、ビデオカメラにおいて撮影操作を許可していない期間を利用する。
【0019】
本発明を適用することにより、ビデオカメラに適したディスク装置が得られることの一例を以下に示す。本例では、記録媒体としてBlu−rayディスクであるBD−REを用い、これにデータ・ビット・レート25Mbps(25,000,000ビット/秒)の映像情報をリアルタイムに記録することを前提とする。なお、DVDディスクを記録媒体とするビデオカメラは、各社より発売されているが、現時点にBlu−rayディスクを記録媒体とするビデオカメラの発売は確認されていない。
【0020】
現在、BD−REは、2倍速、線速度9834mm/秒での記録が可能であり、この線速度でのデータ転送レートは約72Mbps(72,000,000ビット/秒)である。線速度一定のCLV(Constant Linear Velocity)制御のもとディスクを回転させると、直径80mm一層ディスクのインフォメーション・エリアの先頭あたる半径21mmの位置での回転数は約4472rpm(回転/分)であり、データ領域の終端あたる半径38mmの位置での回転数は約2471rpmである。図に表すと図2に示す通りとなる。図2は横軸をディスクの半径[mm]、左縦軸をディスクの回転数[rpm]、右縦軸をデータ転送レート[bps]としたグラフである。201をもって示す直線が回転数であり、202をもって示す直線がデータ転送レートである。
【0021】
現在、DVD−RAMを記録媒体とするビデオカメラが発売されているが、DVD−RAMは半径21mmにおけるディスクの回転数は約3240rpmである。経験上、この回転数伴う回転数が許容されるぎりぎりの回転数と考えられる。ディスク内周の半径21mmにおけるBD−REの2倍速の回転数は、これを38%ほど上回ることが分かるが、ディスク回転に伴う振動は、回転数の2乗に比例するため、この回転数のもと発生する振動は、ビデオカメラとしては許容できないものとなることは容易に推測できる。
【0022】
そこで、本発明のディスク回転制御を適用する。まず、本発明の条件(1)を満足すべく、CLV制御においてディスクの回転数が最も高くなる半径21mmにおけるDVD−RAMと同等の3240rpmとする。CLV制御では、ディスク外周に向かうに従い回転数はさらに低くなるため、ディスク最外周の半径38mmでは回転数が1791rpmとなり、ディスク全面に亘ってディスクの回転に伴い発生する振動をビデオカメラとして問題のないレベルとすることができる。
【0023】
また、線速度はディスク全面に亘って約7125mm/秒となり、データ転送レートは約52Mbpsとなる。このデータ転送レートは、現状のBD−REディスクの最高記録データ転送レートより低いレートではあるが、映像情報のデータ転送レート25Mbpsを十分に上回っているため、ビデオカメラにおけるリアルタイム動作を十分に実現することができる。したがって、本発明の条件(2)を満足していることになる。
【0024】
次に、本発明の条件(3)を満足させる。本発明のビデオカメラでは、映像情報のデータ・ビット・レートは25Mbpsであるが、ディスク装置のデータ転送レートは基本的にこれより高いレートなので、撮影中、ディスク装置は間欠的に記録を行なうこととなる。従って、ディスク装置のデータ転送レートが高くなればなるほど、実質的に記録を行なう期間を短くすることができ、消費電力を下げることができる。これを実現するために、ディスクの回転に伴う振動が問題とはならない回転数3240rpmをディスク全面に亘って維持するCAV(Constant Angular Velocity)制御を適用する。
【0025】
図に表すと図3に示す通りとなる。図3は横軸をディスクの半径[mm]、左縦軸をディスクの回転数[rpm]、右縦軸をデータ転送レート[bps]としたグラフである。301をもって示す直線が回転数であり、302をもって示す直線がデータ転送レートである。半径21mmでの線速度は7125mm/秒、データ転送レートは52Mbpsであるが、ディスク外周に向かうに従ってデータ転送レートが高まり、半径38mmでの線速度は12893mm/秒、データ転送レートは約94Mbpsとなる。つまり、ディスク外周に向かうに従って間欠記録動作における実記録期間が短くなるため、消費電力を低減することができる。
【0026】
また、消費電力の低減により、ビデオカメラ内の温度上昇を抑制することができるので、良好な温度の下、ディスク装置を稼動させることができる。さらには、CVA制御とすることで、ピックアップを移動させる都度、ディスクの回転数を調整する必要がないので、ディスクの回転数の変動に伴う騒音発生を抑止することができる。
【0027】
以上の要領で、ディスク装置におけるディスクの回転制御方法を決定すれば、ビデオカメラにとって基本的には好適なディスク装置となる。しかしながら、本例で挙げたBD−REディスクへの記録を考えると、さらに配慮が必要である。
【0028】
ディスクに記録を行なうには、記録に適したレーザーパワーを確定する必要がある。レーザーパワーは、OPC(Optimum Power Control)と呼ばれる調整処理によって求められるが、その内容は、ディスク上に設けられたOPC領域にて段階的にレーザーパワーを変えて記録を行ない、適正に記録されるパワーを見極めるというものである。また、線速度によって記録に適するレーザーパワーは異なるため、線速度ごとにOPCを実行する必要がある。
【0029】
ただし、ディスク全面に亘って線速度が変化するCAV制御では、全ての線速度においてOPCを実行するわけにはいかない。そこで、少なくとも2つの異なる線速度においてOPCを実行し、線速度と記録に必要なレーザーパワーとの関係を押さえる。これにより他の線速度におけるレーザーパワーは、OPCを実行せずとも求めることができるようになる。
【0030】
OPCを実行する線速度は、少なくとも最低線速度あるいは最低線速度に近い線速度と、最高線速度あるいは最高線速度に近い線速度の2つとすると、ディスク上の全ての線速度を網羅でき、安定にレーザーパワーを制御できるようになる。その一例を図4に示す。図4は、横軸をディスクの半径[mm]、縦軸を記録に必要なレーザーパワー[mW]とするグラフである。
【0031】
図4において401が最低線速度にて実行されたOPCから得られたレーザーパワーP01であり、402が最高線速度にて実行されたOPCから得られたレーザーパワーP10である。中間の線速度におけるレーザーパワーはレーザーパワーP01と、レーザーパワーP10との間にあることが容易に推定できる。従って、半径r[mm]において必要なレーザーパワーPrは、例えば次式によって算出することができる。
(式)Pr=P01+(R−21)×(P10−P01)/(38−21)。
【0032】
ただ、本例に挙げたBD−REディスクには、CAV制御下において最も線速度が低くなるディスク内周、半径23.5mm付近にOPC領域が存在するが、線速度が最も高くなるディスク外周にはOPC領域は存在しない。従って、OPCを実行する際は、半径23.5mm付近のOPC領域において、最高線速度あるいは最高線速度に近い線速度が得られるようにする必要がある。ディスク内周において高い線速度を得るには、ディスクの回転数を高める必要がある。
【0033】
回転数3240rpmのCAV制御下で最も線速度が高くなる半径38mmにおける線速度12893mm/秒を、半径23.5mmの位置において得るには、回転数を5200rpm以上にまで引き上げなくてはならない。OPCの所要時間はせいぜい5秒程度あるが、ビデオカメラにおいて撮影中、ディスクの回転数が一時的とは言え許容値をはるかに超える回転数となるため、振動及び騒音の観点から撮影中に5200rpmにまで引き上げることは許されない。
【0034】
この問題を解消するために、本発明の条件(4)を満足するようにする。つまり、ビデオカメラにおいて、撮影操作を許可していない期間にOPCを行なうのである。その期間の一例として、ディスクのフォーマット処理を行なう期間が挙げられる。ビデオカメラにディスクが入れられると、ディスクに対してフォーマット処理が施される。フォーマット処理では、ビデオカメラがディスクに映像情報を記録できるようにするために、種々の情報をディスクに記録する処理である。
【0035】
この処理を実行した後、初めてディスクへの映像情報の記録が可能になり、ビデオカメラにおいて撮影操作が許可された状態となる。このフォーマット処理期間中であれば、ディスク内周において最高線速でのOPCを行なっても、ディスクの回転に伴って振動、騒音が一時的には発生するが、撮影操作が許可されていない期間であるため、撮影に支障を来たすことはない。
【0036】
また、OPCを実行するための別の期間として、ビデオカメラにディスクが入れられた直後や、ディスクが入れられた状態でビデオカメラの電源が投入された直後の起動処理期間が挙げられる。起動処理では、ディスクの認識処理などが行なわれ、ディスクが使用可能な状態にあるか否かが確認される。ディスクが使用可能な状態であると判断されると撮影動作が許可された状態となる。従って、この期間にOPCを実行し、ディスクが高速回転することに伴い振動が発生しても、撮影操作が許可されていない期間であるため、撮影に支障を来たすことはない。
【0037】
上記のように、ビデオカメラにおいて、撮影許可状態か、撮影禁止状態かといった動作モードに応じてディスクの回転数を制御し、撮影許可状態におけるディスクの回転数が、撮影禁止状態におけるディスクの回転数を越えることのないよう制御することで、撮影中は、振動、騒音が低減された状態となり、良好な条件の下で撮影を行なうことができる。
【0038】
また、撮影を行なっていない期間は、高速回転を必要をとするOPCなどの調整処理を実施することができ、記録用レーザーパワーの確定など、撮影時に必要な準備を済ませておくことができる。
【0039】
なお、OPCは、温度変化が発生した場合などに再度、実行する必要に迫られる場合がある。撮影中にこのような状態になった場合は、OPCを実行せざるを得ないが、OPC処理において撮影に支障を来たすような振動、騒音を発生させることは許されない。本発明は、このことにも配慮して、撮影中は、ディスク内周のOPC領域において通常のディスク回転数で得られる線速度のみでOPCを実行することを提案する。
【0040】
これは、このOPCを実行される以前、ビデオカメラにおいて撮影操作が許可されていない期間を利用して、少なくとも、最低線速度あるいは最低線速度に近い線速度と、最高線速度あるいは最高線速度に近い線速度においてOPCが実行され、その際に求められた両線速度におけるレーザーパワーが分かっていることが前提である。以前にOPCにて得られた両線速度のレーザーパワーは、不揮発性メモリや、ディスクに設けられたディスク装置固有の情報を記録することが可能な領域に記録しておくことで後に取得することが可能である。
【0041】
例えば、以前に実施された最低線速度におけるレーザーパワーをP01、最高線速度におけるレーザーパワーをP10とする。そして、新たにOPCが実行され、その際に得られた最低線速度におけるレーザーパワーをP02とする。そして、この際に、最高線速度ではOPCが実行されないわけであるが、以前に得られたレーザーパワーP01、P10と、新たに得られたP02とをもとに新たな最高線速度におけるレーザーパワーP20を、例えば次式にて算出する。(式)P20=P10×P02/P01。
【0042】
このようにすれば、撮影中に通常のディスク回転数を維持したままOPCを実行できるので、ディスクの回転に伴う振動、騒音は発生せず、撮影に支障を来たすことはない。
【0043】
以上に示した通り、本発明によれば、ディスク装置において記録、再生が安定に行なわれることに加え、ディスクの回転に伴う振動、騒音の発生が低減され、また、これを低い消費電力のもと実現することができる。なお、上記では、ディスクの回転方法としてCAV制御を適用した例を示したが、これに限るものではない。
【0044】
本発明の実施する形態について以下説明する。
【0045】
図1は、本発明の実施形態である光ディスク装置搭載のビデオカメラの構成である。図1において101をもって示す破線で囲った部分が撮像装置であり、図1において116もって示す破線で囲った部分がディスク装置である。
【0046】
図1に示す撮像装置101は、102をもって示すレンズユニット、103をもって示す撮像センサー、104をもって示す映像入力処理手段、105をもって示すマイク、106をもって示す音声入力処理手段、107をもって示す圧縮・伸張処理手段、108をもって示す映像出力処理手段、109をもって示す映像表示モニタ、110をもって示す音声出力処理手段、111をもって示すスピーカ、112をもって示すカメラ制御手段、113をもって示すレンズユニットドライバ、114をもって示すカメラ操作手段、115をもって示すディスク装置インタフェース、以上によって構成される。
【0047】
図1に示すディスク装置116は、117をもって示すディスク(ディスクはディスク装置116から取り外し可能)、118をもって示すスピンドルモータ、119をもって示す光ピックアップ、120をもって示すアナログ信号処理手段、121をもって示すデジタル信号処理手段、122をもって示すバッファメモリ、123をもって示すカメラインタフェース、124をもって示すコースモータ、125をもって示すサーボ手段、126はディスクにデータを記録するための調整処理手段であるドライブ制御手段、127をもって示すディスク蓋開閉センサー(ディスク蓋は図示せず)、以上によって構成される。
【0048】
前述した通り、ディスクに情報を記録するためには、記録に必要なレーザーパワーを決定しておく必要がある。このレーザーパワーはOPCによって決定するわけであるが、これをディスク装置の起動処理において行なうと以下のような動作となる。なお、ディスク117は直径80mmのBD−RE、映像情報のデータ・ビット・レートは最高でも25Mbps、ディスクの通常の回転数は、ディスク全面に亘って3240rpm一定とする。また、本発明に必要のない動作については省略して説明する。
【0049】
ビデオカメラにディスクが入れられ、ディスクを覆うための蓋が閉じられると、ディスク装置は、ディスク蓋開閉センサー127を通じてドライブ制御手段126はディスクの挿入を検知する。そして、ドライブ制御手段126はサーボ手段125に指令を送り、スピンドルモータ118の回転と、光ピックアップ119からの再生パワーでレーザー発光を実行させる。なお、この時、ディスクはCVA制御のもと回転数3240rpmで回転する。
【0050】
ディスクにレーザー光線が照射されると、その反射光が光ピックアップ119において電気信号に変換され、さらにその電気信号がアナログ信号処理手段120に送られフォーカシング及びトラッキングなどのサーボ制御に必要な誤差信号が生成される。アナログ信号処理手段120において生成された誤差信号が、サーボ手段125に送られると、サーボ手段125においてフォーカシング、トラッキングといったサーボ制御が可能になる。
【0051】
サーボ手段125において、サーボ制御が可能になると、ドライブ制御手段126は、OPC処理を実行するために、OPC領域のあるディスク内周に光ピックアップを移動させるようサーボ手段125に指令を出す。
【0052】
サーボ手段125は、この指令を受けてコースモータ124駆動し、光ピックアップ119をディスク内周に移動させる。その後、ドライブ制御手段126は、光ピックアップ119、アナログ信号処理手段120、及びデジタル信号処理手段121を経由して送られてくるディスク117上のアドレス情報を取得し、OPC領域の前方に到達したかを確認し、到達していなければ、到達するまで繰り返しサーボ手段125に光ピックアップ119を移動させるよう指令を出す。
【0053】
光ピックアップ119がOPC領域の前方に到達するとドライブ制御手段126は、デジタル信号処理手段121に対して、OPC領域中のアドレスにて、レーザーパワーを段階的に変えながら記録するよう指令を出す。
【0054】
この指令を受けたデジタル信号処理手段121は、光ピックアップ119及びアナログ信号処理手段を介して得られるアドレス信号をディスク上のアドレスを取得し、ドライブ制御手段126から指示されたアドレスを検知すると、レーザーパワーを段階的に変えながら記録を行なう。
【0055】
OPC領域における記録が完了するとドライブ制御手段126は、再度、サーボ手段125に指令を出し、OPC領域の前方に光ピックアップ119を移動させ、光ピックアップ119の移動が完了すると、記録を行なったOPC領域を再生するようデジタル信号処理に指令を出す。
【0056】
この指令を受けたデジタル信号処理手段121は、光ピックアップ119及びアナログ信号処理手段を介して得られるアドレス信号をディスク上のアドレスを取得し、ドライブ制御手段126から指示されたアドレスを検知すると、その領域を再生し、その際にディスク117から得られた情報をバッファメモリ122に格納する。
【0057】
OPC領域での再生が完了するとドライブ制御手段126は、バッファメモリ122に格納された再生情報を、デジタル信号処理手段121を通じで取得し、この再生情報をもとに記録に適したレーザーパワーを決定する。これによって、最低線速度における記録のためのレーザーパワーが確定する。
【0058】
次に、ドライブ制御手段126は、最高線速度においてOPCを実行すべく、サーボ手段125に指令を出し、スピンドルモータ118を5239rpmの回転数で回転させる。そして、上記と同様にしてディスク内周のOPC領域においてOPCを実行する。これによって、最高線速度における記録用レーザーパワーが確定する。
【0059】
なお、スピンドルモータ118の回転数を引き上げた際の回転制御方法は、CAV制御に拘らず、CLV制御でもよい。また、最高線速度におけるOPCを実行すべく、スピンドルモータ118の回転数を上げる以前にディスク上のドライブ固有情報各領域を再生するなどして、過去に実施したOPCによって得られた最低および最高、少なくとも2つの線速度における記録用レーザーパワーが得られた場合は、最高線速度におけるOPCを実行することなく、前述の計算によって最高線速度における記録用レーザーパワーを算出してもよい。
【0060】
以上により、最低および最高の少なくとも2つの線速度における記録用のレーザーパワーが求まったことから、ディスク装置116は、ディスク117への情報の記録が可能な状態となる。ここで、OPCの実行によって得られた最低および最高の2つの線速度における記録用のレーザーパワーの値は、ドライブ制御手段126が、自身が保有する不揮発性メモリに格納するとともに、同レーザーパワー値をデジタル信号処理手段121に命じて、ディスク上のドライブ固有情報格納領域に記録させることで、以降、最低線速度におけるOPCのみを行なった場合であっても、前述の計算によって最高線速度における記録用レーザーパワーの算出が可能になる。
【0061】
そして、この後、ドライブ制御手段126は、サーボ手段125に指令を出し、スピンドルモータ118を再び通常の回転数である3240rpmの回転数で回転させるようにする。以降、ディスク117は、回転する際の回転数は常3240rpmとなるため、ディスクの回転に伴う振動、騒音の発生が問題になることはない。
【0062】
さて、ディスク装置116において、起動処理を行なっている間、撮像装置101から起動処理完了の確認が繰り返しなされるが、上記のOPC処理の完了を受けてドライブ制御手段126はカメラインタフェース123を通じて撮像装置101に起動処理が完了したことを伝える。撮像装置101は、ディスク装置116からの起動完了を受けて、ディスク装置116を通じてディスク117から情報を読み出した上で、使用可能なディスクであると判断すると、撮影動作可能な状態になる。
【0063】
その後、ユーザーがカメラ操作手段114の操作により撮影を開始すると、以下の動作となる。
【0064】
カメラ制御手段112はカメラ操作手段114を通じて撮影の開始を要求されたことを知るとレンズユニットドライバ113によって駆動されるレンズユニット102を介して映像の取り込みを開始する。取り込まれた映像は、撮像センサー103おいて電気信号に変換され、映像入力処理手段104において映像信号に変換される。
【0065】
同時にマイク105を介して音声が取り込まれ、取り込まれた音声は音声入力処理手段106において音声信号に変換される。映像入力処理手段104にて生成された映像信号、及び音声入力処理手段にて生成された音声信号は圧縮・伸張処理手段107にて圧縮処理が施され、記録情報となり一時的に圧縮・伸張処理手段107に蓄積される。
【0066】
カメラ制御手段112は、圧縮・伸張処理手段107に蓄積される記録情報量を監視し、その量がディスク装置へのデータ転送開始すべき第1の所定量に到達すると、ディスク装置インタフェース115を介して、記録を要求するコマンドと、及び情報を記録する位置情報であるアドレスをディスク装置116に送り、続いて、圧縮・伸張処理手段107にディスク装置インタフェース115を介してディスク装置116に蓄積している記録情報を送るよう制御する。
【0067】
なお、ディスク装置116に記録データを送っている間においても、撮像装置101においては、上記の映像の取り込み、信号の変換、信号の圧縮、記録情報の蓄積といった一連の処理は引き続き行なわれ、圧縮・伸張処理手段107に蓄積されるデータが、ディスク装置116へのデータ転送を停止すべき第2の所定量以下になると、カメラ制御手段112は、ディスク装置116へのデータ転送を停止する圧縮・伸張処理手段107に指示を出す。
【0068】
ディスク装置116では、撮像装置101から送られて来るコマンドをドライブ制御手段126がカメラインタフェース123を介して受け取り、記録を要求されていると判断すると、デジタル信号処理手段121がカメラインタフェース123を介して記録情報を受け取るよう制御する。デジタル信号処理手段121が受け取られた記録情報は、一時的にバッファメモリ122に蓄積され、蓄積される情報量は、ドライブ制御手段126によって監視される。
【0069】
ドライブ制御手段126は、蓄積される情報量が所定量に到達すると、サーボ手段125を制御して光ピックアップ119を撮像装置101が指定するアドレスの直前に移動させるよう指示を出す。サーボ手段125は指示に従い、コースモータ124を駆動することによって光ピックアップ119を指定位置まで移動させるとともに、スピンドルモータ118の回転が所定回転数となるよう制御する。
【0070】
この時、光ピックアップ119からは再生レベルのレーザービームがディスク117に照射され、ディスク117からの反射光が光ピックアップ119にて電気信号に変換され、アナログ信号処理手段120に送られる。アナログ信号処理手段120では、フォーカシング及びトラッキングなどのサーボ制御に必要な誤差信号が生成されサーボ手段125に送られると同時に、ディスク上の位置を特定するアドレス信号が生成され、デジタル信号処理手段121に送られる。
【0071】
続いて、ドライブ制御手段126は、デジタル信号処理手段121に対して撮像装置101が指定するディスク上のアドレスに記録情報を記録するよう指示する。指示を受けたデジタル信号処理手段121は、バッファメモリ122に蓄積された記録情報に対してエラー訂正符号を付加、さらに変調処理を施し、光ピックアップ119及びアナログ信号処理手段を介して得られるアドレス信号を通じてドライブ制御手段126から指示されたアドレスを検知すると、変調処理済みの記録情報を光ピックアップ119に送る。
【0072】
これにより、光ピックアップ119からは変調された情報に基づく発光パターンのレーザービームが記録レベルにてディスク117に照射され、ディスクに情報が記録される。記録中はドライブ制御手段126においてディスク上のアドレスが監視され、各アドレスにおける線速度、換言すると各半径における線速度に応じた記録用レーザーパワーを、ディスク装置116の起動処理中に実行されたOPCによって求めた最低および最高、2つの線速度のレーザーパワーに基づき決定し、随時、記録用レーザーパワーを調整することで、適正なレーザーパワーにて記録することが可能である。
【0073】
ディスク装置116は、撮像装置101から記録を要求された情報を全てディスクに記録すると、再度、記録の要求があるまでの間、実際に記録を行なうことはない。このように撮影中は、ディスク装置116では間欠的な記録が行なわれる。従って、ディスク外周になるほど記録線速度が高まり、映像情報の最高データ・ビット・レート25Mbpsに対して余裕が増す方向となるため間欠動作記録における実質的な記録期間は短くなる。これによって、ディスク装置116の稼働率を低く抑えられるため、消費電力を低減することが可能である。また、CAV制御下、ディスク117を回転させるため、光ピックアップ119を移動させる際にディスク117の回転数を変更することがないため、撮影時はディスク回転にともなう騒音も低減することができる。
【0074】
なお、上記例では、起動処理中に線速度を変えてOPCを実行することを示したが、例えば、フォーマット処理など、ビデオカメラにおいて撮影操作が許可されていない期間においても、OPC処理の手順は同様である。また、上記例で、過去のOPC実行によって得られた少なくとも2つの異なる線速度における記録用レーザーパワーを活用し、通常の回転数で得られる線速度のみでOPCを実行することを示したが、これを、撮影時に適用すれば、撮影中であってもOPCを行なったことによって、振動、騒音が発生することはない。
【0075】
以上、説明したように、本発明を適用すれば、静粛かつ安定に記録、再生を行なうことが可能なディスク装置搭載のビデオカメラを提供するこおとが可能になる。言うまでもないが、上記説明で用いたディスクの回転数ほかの数値は一例であり、これに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明によるビデオカメラの構成図
【図2】BD−REディスク2倍速におけるディスク回転数とデータ転送レート
【図3】本発明のディスク回転制御おけるBD−REディスク2倍速におけるディスク回転数とデータ転送レート
【図4】本発明のディスク回転制御におけるディスクの各半径位置における記録用レーザーパワー
【符号の説明】
【0077】
101…撮像装置、 102…レンズユニット、 103…撮像センサー、
104…映像入力処理手段、 105…マイク、 106…音声入力処理手段、
107…圧縮・伸張処理手段、 108…映像出力処理手段、 109…映像表示モニタ、
110…音声出力処理手段、 111…スピーカ、 112…カメラ制御手段、
113…レンズユニットドライバ、 114…カメラ操作手段、
115…ディスク装置インタフェース、 116…ディスク装置、 117…ディスク、
118…スピンドルモータ、 119…光ピックアップ、
120…アナログ信号処理手段、 121…デジタル信号処理手段、
122…バッファメモリ、 123…カメラインタフェース、 124…コースモータ、
125…サーボ手段、 126…ドライブ制御手段、
127…ディスク蓋開閉センサー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク装置を搭載したビデオカメラであって、
ディスクを任意の回転数及び回転制御の下で回転させるディスク回転制御手段と、
ディスクにデータを記録するための調整処理手段を備え、
撮影を行なっている期間の調整処理と、
撮影を行なっていない期間の前記調整処理とで、
ディスクの回転数、または、回転制御方法を切り替える、
あるいは、回転数及び回転方法の両方を切り替える、
ことを特徴とするディスク装置搭載ビデオカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のビデオカメラにおいて、
撮影を行なっている期間の調整処理におけるディスク回転数が、
撮影を行なっていない期間の前記調整処理におけるディスク回転数を
超えないようディスクの回転を制御する
ことを特徴とするディスク装置搭載ビデオカメラ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のビデオカメラにおいて、
撮影を行なっている期間の調整処理の処理時間が、
撮影を行なっていない期間の前記調整処理の処理時間より短い
ことを特徴とするディスク装置搭載ビデオカメラ。
【請求項4】
ディスク装置を搭載したビデオカメラの制御方法であって、
ディスクを任意の回転数及び回転制御の下で回転させるディスク回転制御工程と、
ディスクにデータを記録するための調整処理工程を備え、
撮影を行なっている期間の調整処理と、
撮影を行なっていない期間の前記調整処理とで、
ディスクの回転数、または、回転方法を切り替える、
あるいは、回転数及び回転方法の両方を切り替える、
ことを特徴とするビデオカメラの制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載のビデオカメラの制御方法において、
撮影を行なっている期間の調整処理におけるディスク回転数が、
撮影を行なっていない期間の前記調整処理におけるディスク回転数を
超えないようディスクの回転を制御する
ことを特徴とするビデオカメラの制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−140424(P2008−140424A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322770(P2006−322770)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】