説明

ディスク装置

【課題】カートリッジ位置決め基準とトラバースメカの位置決め基準が異なる場合でも、双方の相対位置ずれを最小にする。
【解決手段】筐体(10)に貫通孔(43)を有する緩衝部材(42)を介して支持されたベース部材(20)と、ディスク(2)を装着して回転させる回転手段(21,22)と、ディスク(2)に情報を記録・再生する記録再生手段(23)と、ディスク(2)を内包したカートリッジ(3)を保持して、装置外方からディスク(2)が回転手段に装着される記録・再生位置まで搬送する搬送手段(30)と、カートリッジ(3)を記録・再生位置に位置決めする位置決め部材(40)とを備える。筐体(10)に位置決め部材(40)を立設し、位置決め部材(40)を貫通孔(41)に挿通させることで緩衝部材(42)を介してベース部材(20)を位置決め部材(40)に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジを所定の記録・再生位置に位置決めした状態で、カートリッジに内包されたディスクを回転させて、ディスクに情報を記録・再生するディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なディスク装置は、図4に示すように構成されていた。すなわち、トラバースメカ120は、外装部(筐体)110から起立したスタッド150に対し、緩衝部材152を介して取り付けられている。スタッド150は少なくとも3本から構成されているが、一般的には4本のスタッド150で構成されていることが多い。
【0003】
一方、内部にディスク102を回転自在に保持するカートリッジ103を固定できるディスク装置101の一般的な形状は、トラバースベースから起立(図4では筐体110から起立)した一対のアライメントピン140の先端がカートリッジ103の位置決め穴に嵌入し、ディスク102と平行な平面上での位置が決まる。また、高さに関してはトレイ130の高さあるいは別途トラバースベースから起立した高さ位置決め部材により高さ位置が決まるようになっていた。
【特許文献1】実開昭61−76547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来のディスク装置には、次のような課題があった。
【0005】
すなわち、従来のディスク装置では、カートリッジの位置決め基準とトラバースメカの位置決め基準が別であり、その相対位置がずれると、カートリッジ内部のディスクが正規の位置からずれてしまい、ディスク外周がカートリッジ内壁に干渉するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、カートリッジの位置決め基準とトラバースメカの位置決め基準が異なる場合でも、双方の相対位置ずれを最小にすることのできるディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係るディスク装置は、筐体に、貫通孔を有する緩衝部材を介して支持されたベース部材と、前記ベース部材に取り付けられ、ディスク状媒体を装着して回転させる回転手段と、前記ベース部材に取り付けられ、前記ディスク状媒体に情報を記録・再生する記録再生手段と、前記ディスク状媒体を内包したカートリッジ部材を保持して、装置外方から前記ディスク状媒体が前記回転手段に装着される記録・再生位置まで搬送する搬送手段と、前記カートリッジ部材を前記記録・再生位置に位置決めする位置決め部材とを備えたディスク装置において、筐体に前記位置決め部材を立設し、前記位置決め部材を前記貫通孔に挿通させることで前記緩衝部材を介して前記ベース部材を前記位置決め部材に取り付けると共に、前記記録・再生位置において前記位置決め部材が前記搬送手段を貫通してこの搬送手段および前記カートリッジ部材を位置決めすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は以上のように、筐体に、貫通孔を有する緩衝部材を介して支持されたベース部材と、前記ベース部材に取り付けられ、ディスク状媒体を装着して回転させる回転手段と、前記ベース部材に取り付けられ、前記ディスク状媒体に情報を記録・再生する記録再生手段と、前記ディスク状媒体を内包したカートリッジ部材を保持して、装置外方から前記ディスク状媒体が前記回転手段に装着される記録・再生位置まで搬送する搬送手段と、前記カートリッジ部材を前記記録・再生位置に位置決めする位置決め部材とを備えたディスク装置において、筐体に前記位置決め部材を立設し、前記位置決め部材を前記貫通孔に挿通させることで前記緩衝部材を介して前記ベース部材を前記位置決め部材に取り付けると共に、前記記録・再生位置において前記位置決め部材が前記搬送手段を貫通してこの搬送手段および前記カートリッジ部材を位置決めするように構成したので、カートリッジの位置決め基準とトラバースメカの位置決め基準が異なる場合でも、双方の相対位置ずれを最小にすることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図3を参照して説明する。
図1〜図3は、本発明によるディスク装置の一実施形態を示し、図1は全体の斜視図、図2は縦断面図、図3は要部の平面図であり、他の部分は省略してある。
【0010】
このディスク装置1は、筐体(ローディングメカ)10と、筐体10に支持されたベース部材(トラバースメカ)20と、ディスク(光ディスク)2を内包したカートリッジ3を保持して搬送する搬送手段(トレイ)30と、カートリッジ3を所定位置に位置決めする位置決め部材(スタッド)40とを備えている。
【0011】
トラバースメカ20には、ディスク2を装着して回転させる回転手段(スピンドルモータ21およびターンテーブル22)と、ディスク2に情報を記録・再生する記録再生手段(光学式ピックアップ)23と、光学式ピックアップ23がディスク2の半径方向に移動する際にガイドする一対のガイドシャフト24と、ガイドシャフト24に沿って光学式ピックアップ23を移動させる移動手段(ピックアップ駆動手段)25とを備えるが、これらは公知であるため詳細な説明は省略する。
【0012】
ローディングメカ10の前方底面には、カートリッジ3の位置決め部材となる一対のスタッド40が起立して設けられている。これらのスタッド40は、所定高さに段部41を備えている。
【0013】
スタッド40は、カートリッジ3を位置決めするだけでなく、トラバースメカ20を、外部振動から絶縁するため貫通孔43を有するほぼ円筒状の緩衝部材(インシュレータ)42を介して、ローディングメカ10に取り付けるものである。
【0014】
すなわち、トラバースメカ20のスタッド40に相当する位置には、スタッド40の直径よりもひとまわり大きい穴44が形成されている。この穴44に、インシュレータ42を嵌め込んでその外周所定位置に穴44の内周縁を係合させることで、トラバースメカ20にインシュレータ42を一体に取り付ける。
【0015】
このようにしてトラバースメカ20に一体に取り付けたインシュレータ42の貫通孔43を、スタッド40にその上方から挿通させると、インシュレータ42の下面がスタッド40の段部41に当接した高さで、インシュレータ42が位置決めされる。
【0016】
図1に示すように、トラバースメカ20をローディングメカ10に対して上方から落とし込むように組み立てることで、スタッド40の段部41にインシュレータ42が位置決めされ、これにより、トラバースメカ20がインシュレータ42およびスタッド40を介してローディングメカ10に支持される。
【0017】
このようにしてトラバースメカ20は2点で高さ位置と水平位置が定められるが、トラバースメカ20は少なくとも3点、またはそれ以上で支持される必要がある。そのため、図1に示すように、ローディングメカ10の後方底面から別途起立したスタッド50にトラバースメカ20は支持される。この場合も、スタッド50とトラバースメカ20は、緩衝部材(インシュレータ)52を介して固定されることが好ましい。
【0018】
カートリッジ3を所定位置に位置決めする位置決め部材としてのスタッド40は、上記のようにローディングメカ10から起立して設ける代わりに、トラバースメカ20から起立して構成することも可能である。
【0019】
ところが、カートリッジ3のばたつきを抑えるために、カートリッジ3を上方からばねなどで付勢する場合が多い。このような場合は、カートリッジ3に付与する付勢力が原因でトラバースメカ20に直接荷重が作用するため、トラバースメカ20の変形につながり好ましくない。
【0020】
したがって、トラバースメカ20から起立したスタッド40によりカートリッジ3が位置決めされる構成に比べて、上記のようにローディングメカ10から起立したスタッド40によりカートリッジ3が位置決めされる構成の方が優れているといえる。
【0021】
一方、カートリッジ3内のディスク2の位置決めは、トラバースメカ20上のスピンドルモータ21と同軸のターンテーブル22により固定される。したがって、カートリッジ3の位置決めの基準とディスク2の位置決めの基準が異なるが、トラバースメカ20がローディングメカ10に対して、カートリッジ3の位置決めをするスタッド40を用いて位置決めをしているため、双方の位置ずれを最小限に抑えることができる。
【0022】
また、カートリッジ3をユーザが投入する位置から記録・再生を行う位置まで搬送する手段としてのトレイ30は、通常は薄い樹脂製の箱型形状のものであり、ディスク2の回転振動によりばたつくことが予想される。
【0023】
スタッド40はトレイ30に設けられた穴31を貫通し、カートリッジ3の位置決め穴にはまる。このとき、トレイ30の裏側の穴付近に緩衝部材(インシュレータ)32を貼り付けておき、トレイ30が記録・再生位置に位置決め固定されると、ローディングメカ10とトラバースメカ20を接合しているインシュレータ42と密着し、その振動を和らげることができる。
【0024】
このディスク装置1は、上記のように構成したので、カートリッジの位置決め基準とトラバースメカの位置決め基準が異なる場合でも、双方の相対位置ずれを最小にすることができる。
【0025】
また、このディスク装置1は、カートリッジ3を上方から付勢する構成と、カートリッジ3とローディングメカ10の相対の位置決めを両立することができる。
【0026】
さらに、このディスク装置1は、カートリッジ3を搬送するトレイ30の記録・再生位置での振動成分を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明によるディスク装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のディスク装置の縦断面図である。
【図3】図1のディスク装置の要部の平面図である。
【図4】従来のディスク装置の一例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 ディスク装置
2 ディスク(光ディスク)
3 カートリッジ
10 筐体(ローディングメカ)
20 ベース部材(トラバースメカ)
21 回転手段(スピンドルモータ)
22 回転手段(ターンテーブル)
23 記録再生手段(光学式ピックアップ)
24 ガイドシャフト
25 移動手段(ピックアップ駆動手段)
30 搬送手段(トレイ)
31 穴
32 緩衝部材(インシュレータ)
40 位置決め部材(スタッド)
41 段部
42 緩衝部材(インシュレータ)
43 貫通孔
44 穴
50 スタッド
52 緩衝部材(インシュレータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に、貫通孔を有する緩衝部材を介して支持されたベース部材と、前記ベース部材に取り付けられ、ディスク状媒体を装着して回転させる回転手段と、前記ベース部材に取り付けられ、前記ディスク状媒体に情報を記録・再生する記録再生手段と、前記ディスク状媒体を内包したカートリッジ部材を保持して、装置外方から前記ディスク状媒体が前記回転手段に装着される記録・再生位置まで搬送する搬送手段と、前記カートリッジ部材を前記記録・再生位置に位置決めする位置決め部材とを備えたディスク装置において、
筐体に前記位置決め部材を立設し、前記位置決め部材を前記貫通孔に挿通させることで前記緩衝部材を介して前記ベース部材を前記位置決め部材に取り付けると共に、前記記録・再生位置において前記位置決め部材が前記搬送手段を貫通してこの搬送手段および前記カートリッジ部材を位置決めすることを特徴とするディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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