説明

ディスク装置

【課題】外形が小さくても大きなヘッド開口部を設けることが可能なディスクカートリッジに対応した光ディスク装置の提供。
【解決手段】カートリッジホルダと、一対のガイド壁と、ディスクモータ等を備えるディスク装置に、第1および第2の開閉スライダーをカートリッジホルダに設ける。 第1および第2の開閉スライダーは、ディスクカートリッジの挿入時において、第1および第2の係合部の間隔が一対のガイド壁の間隔より狭い状態でディスクカートリッジと係合し、ディスクカートリッジが装填された状態において、第1および第2の係合部の間隔が一対のガイド壁の間隔より広くなるように、第1および第2の開閉スライダーがスライドすることによって、ヘッドがディスクカートリッジ内のディスクにアクセスし、ディスクモータがディスクを載置することができるように、ディスクカートリッジに開口を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクあるいは磁気ディスクなどのディスク状のデータ記録媒体がカートリッジに収納されたディスクカートリッジにデータ記録することおよび/またはディスクカートリッジからデータを再生することを行うディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ビームを用いて記録あるいは再生を行うCDやDVD等、また、磁気を用いて記録あるいは再生を行うフレキシブルディスク等、さらに光ビームと磁気を用いて記録あるいは再生を行うMOやMD等の、ディスク状の記録/再生媒体がすでに広く世の中に普及している。そして特に、DVD−RAM、MOなどの記録型の媒体においては、その記録された信号の保護の観点より、例えば特許文献1に開示されるようなカートリッジに収納されている。以下、本願明細書において、ディスクカートリッジとは、ディスク状の記録/再生媒体を収納したカートリッジを言う。
【0003】
図24は、特許文献1に開示されたディスクカートリッジの構造を模式的に表す図である。図24において、ディスクカートリッジ100は、記録および/または再生可能なディスク10を収納し、ディスクカートリッジ100の外殻をなす支持ベース部材101を備える。
【0004】
支持ベース部材101は、ディスクモータなどのディスク10を回転させる手段および記録および/または再生する手段が支持ベース部材101に侵入し、ディスク10に接近するための開口101wを支持ベース部材101の上面および下面に有する。
【0005】
また、支持ベース部材101は、ディスク10中心の位置決めを行い、かつディスク10に対してクリアランスを確保してディスク10を回転可能に保持する内壁を有する。
【0006】
また、ディスクカートリッジ100は、支持ベース部材101の上面および下面に設けられた開口101wを覆い、開口101wより露出したディスク10の面を保護するために、支持ベース部材101を挟持するよう、C字形に折り曲げられたシャッタ103を備えている。
【0007】
シャッタ103は、図24に示す矢印T方向へ平行移動可能であり、また、バネにより開口101wが閉じられた状態に戻るように付勢されている。これにより、特に外力が加わらない時にはディスク10が露出しないようにディスクカートリッジ100が構成されている。
【0008】
ディスクカートリッジ100に対して、ディスク装置(図示せず)にて記録および/または再生する際には、ディスク10をクランプし、記録および/または再生する手段をディスク10に接近させるため、カートリッジシャッタ103を矢印P方向へ移動させてディスク10を露出させる。この際、ディスクカートリッジ100をディスク装置へ挿入する矢印Q方向への移動を利用し、シャッタ103のノッチ部103aにシャッタオープナ104の突起104aを係合させ、移動に伴うシャッタオープナ104の回動中心104bを中心とした矢印R方向への回動により、シャッタ103を矢印T方向へ移動させる。
【特許文献1】特開平9−153264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示されるディスクカートリッジのように、従来のディスクカートリッジでは、ディスクをチャッキングしたり、ディスクの情報記録面全体に光ヘッドがアクセスしたりするためには、こうした目的のための開口をカートリッジの中央から端部にかけて設ける必要がある。また、この構造のディスクカートリッジの場合、シャッタがカートリッジのケースに対して直線的に移動し、シャッタ開放時にシャッタが退避する領域が必要となる。これらのことから、開口部の大きさは、カートリッジの外形のサイズに依存することになり、小型カートリッジに大きな開口部を設けることは設計上困難となる。その結果、小型カートリッジが使用される小型機器やディスクビデオカメラにおいては、光ヘッドの大きさに制限を与えてしまうという問題点があった。
【0010】
本発明はこのような従来の課題を解決し、外形が小さくても大きなヘッド開口部を設けることが可能なディスクカートリッジに対応したディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のディスク装置は、ディスクが収納されたディスクカートリッジを装填することが可能なディスク装置であって、前記ディスクカートリッジを支持するカートリッジホルダであって、前記ディスクカートリッジを外部から前記カートリッジホルダ内へ挿入し、前記カートリッジホルダ内の前記ディスカートリッジを前記外部へ排出するためのホルダ開口部を有するカートリッジホルダと、前記カートリッジホルダの前記ホルダ開口部近傍に配置されており、前記ディスクカートリッジの挿入方向を規定する一対のガイド壁と、前記ディスクを載置し、回転するディスクモータと、前記ディスクに情報を記録することおよび前記ディスクに記録された情報を再生することの少なくとも一方を行うヘッドと、前記ヘッドおよび前記ディスクモータを支持するベースと、前記カートリッジホルダに設けられた第1および第2のスライダーガイド部と、前記ディスクカートリッジの一部と係合する第1の係合部を有し、前記カートリッジホルダの第1のスライダーガイド部に沿ってスライド動作する第1の開閉スライダーと、前記ディスクカートリッジの他の一部と係合する第2の係合部を有し、前記カートリッジホルダの第2のスライダーガイド部に沿ってスライド動作する第2の開閉スライダーとを備え、前記第1および第2の開閉スライダーは、前記ディスクカートリッジの挿入時において、前記第1および第2の係合部の間隔が前記一対のガイド壁の間隔より狭い状態で前記ディスクカートリッジと係合し、前記ディスクカートリッジが装填された状態において、前記第1および第2の係合部の間隔が前記一対のガイド壁の間隔より広くなるように、前記第1および第2の開閉スライダーがスライドすることによって、前記ヘッドが前記ディスクにアクセスし、前記ディスクモータが前記ディスクを載置することができるように、前記ディスクカートリッジに開口を形成する。
【0012】
ある好ましい実施形態において、前記第1および第2の開閉スライダーは、前記ディスクカートリッジの挿入方向に対して直交する方向にスライド動作する。
【0013】
ある好ましい実施形態において、前記第1および第2の開閉スライダーは、前記ディスクカートリッジの挿入方向に対して非平行かつ非直交する方向にスライド動作する。
【0014】
ある好ましい実施形態において、前記第1および第2の係合部は、前記ディスクカートリッジを挿入する際、前記ディスクカートリッジが装填された状態における位置よりもホルダ開口部側において、前記ディスクカートリッジと係合を開始する。
【0015】
ある好ましい実施形態において、前記ディスクカートリッジは、前記ディスクの一部を収納する空間をそれぞれ有し、互いに接合させることにより、ディスク全体を収納する第1および第2のディスク収納部と、前記第1および第2のディスク収納部をそれぞれ回動軸回りに回動可能に支持する支持ベース部材とを備え、前記第1および第2の開閉スライダーの前記第1および第2の係合部が、前記第1および第2のディスク収納部と係合することにより、前記ディスクカートリッジの挿入の際、前記開口を形成するよう前記第1および第2のディスク収納部が回動する。
【0016】
ある好ましい実施形態において、前記ディスクカートリッジの前記第1および第2のディスク収納部は、前記第1および第2の開閉スライダーの前記第1および第2の係合部が回転可能に係合する切り欠き部と、逆方向に同期して前記回動軸回りに回動するように互いに係合する連動部とをそれぞれ有する。
【0017】
ある好ましい実施形態において、前記ディスクカートリッジが挿入または排出される際、前記第1の係合部と前記第1のディスク収納部の切り欠き部とが回転可能に係合することによって、前記第1の係合部と切り欠き部との係合と前記第1のディスク収納部の回動軸とを節とし、前記2つの節を連結する前記第1のディスク収納部によって第1のリンク機構が構成され、かつ、前記第2の係合部と前記第2のディスク収納部の切り欠き部とが回転可能に係合することによって、前記第2の係合部と切り欠き部との係合と前記第2のディスク収納部の回動軸とを節とし、前記2つの節を連結する前記第2のディスク収納部によって第2のリンク機構が構成され、前記第1および第2のディスク収納部が回動軸回りに互いに逆方向に同期して回転することにより、前記第1および第2のリンク機構が、前記ディスクカートリッジの挿入方向を一定に保ち、前記ディスクカートリッジの挿入または排出における位置決めを行う。
【0018】
ある好ましい実施形態において、前記一対のガイド壁は前記ホルダ開口部近傍にのみ設けられている。
【0019】
ある好ましい実施形態において、前記第1および第2の開閉スライダーのスライド動作する方向は、前記第1および第2のディスク収納部の回転軸に対して直交する方向である。
【0020】
ある好ましい実施形態において、ディスク装置は、前記ディスクカートリッジが装填された状態において、前記ディスクの外側面と当接し得る位置決め部材をさらに備え、前記位置決め部材と前記ディスクが当接することによって前記ディスクモータに対して前記ディスクの中心の位置決めを行う。
【0021】
ある好ましい実施形態において、前記第1および第2の開閉スライダーは、前記ディスクカートリッジを挿入または排出動作中、前記第1および第2のディスク収納部の底面に当接するガイド面を前記第1および第2の係合部の近傍に有する。
【0022】
ある好ましい実施形態において、前記位置決め部材が前記カートリッジホルダに設けられている。
【0023】
ある好ましい実施形態において、前記位置決め部材が前記ベースに設けられている。
【発明の効果】
【0024】
本発明のディスク装置によれば、ディスクカートリッジの挿入時には、第1および第2の開閉スライダーの第1および第2の係合部の間隔が一対のガイド壁の間隔よりも狭くなっている。このため、第1および第2の係合部は挿入されたディスクカートリッジと確実に当接し、係合する。また、第1および第2の開閉スライダーは、ディスクカートリッジが装填された状態において、第1および第2の係合部の間隔が一対のガイド壁の間隔よりも広くなるように回動する。このため、ディス収納部が閉塞した状態のディスクカートリッジの投影面積よりも外側にディスクカートリッジのシャッタや収納部をはみ出すように開放させ、大きな開口部を形成することができる。したがって、外形が小さくても大きなヘッド開口部を設けることが可能なディスクカートリッジに対応することができる。
【0025】
また、第1および第2の開閉スライダーのスライド方向をディスクカートリッジの挿入/排出方向に対して略直交させ、または、非直交かつ非平行な方向に傾斜させることにより、ディスクカートリッジを前後逆向きに挿入した場合には、挿入動作によって第1および第2の開閉スライダーがスライドしない、または、実質的にスライドしないようにすることができる。したがって、このような場合にはディスクカートリッジがディスク装置へディスクが挿入できないようにすることができる。また、第1および第2の開閉スライダーにこのような誤挿入防止機能を持たせることによって、部品点数の大幅な削減を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本願の出願人は、外形が小さく、大きなヘッド開口部を設けることが可能なディスクカートリッジを未公開の国際特許出願PCT/JP2007/059444において提案している。本発明のディスク装置は、このディスクカートリッジに対応している。以下、このディスクカートリッジの構造を説明する。
【0027】
図19(a)および図19(b)は、本発明のディスク装置に装填をすることのできるディスクカートリッジ200の全体を上面側からみた斜視図であり、図19(a)は開口部を閉じた状態を示し、図19(b)は開口部を開放し、ディスク10の一部を露出させた状態を示している。図20(a)および図20(b)は、ディスクカートリッジ200の全体を底面側からみた斜視図であり、図20(a)は開口部を閉じた状態を示し、図20(b)は開口部を開放し、ディスク10の一部を露出させた状態を示している。また、図21は、ディスクカートリッジ200の構成部品を示す分解斜視図である。
【0028】
ディスクカートリッジ200は、第1のディスク収納部221および第2のディスク収納部222と、支持ベース部材210とを備える。
【0029】
第1のディスク収納部221および第2のディスク収納部222は、それぞれディスク10の一部を収納する空間をそれぞれ有しており、互いに接合することによって、ディスク10の全体を収納するディスク収納部220を形成する。より具体的には、第1および第2のディスク収納部221、222のそれぞれは、ディスク10の一部を収納する扁平な袋状の空間を有し、それぞれの空間の開口の縁部分を合わせるように第1および第2のディスク収納部221、222が閉塞することによって、ディスク10全体を収納する空間が形成される。以下、第1のディスク収納部221および第2のディスク収納部222の両方を参照する場合、これらをディスク収納部220と呼ぶことがある。
【0030】
支持ベース部材210は、第1および第2のディスク収納部221、222をそれぞれ回動軸回りに回転可能に支持しており、支持ベース部材210の少なくとも一部は、第1および第2のディスク収納部221、222がディスク10と垂直な方向へ移動するのを抑制するように第1および第2のディスク収納部221、222と重なっている。
【0031】
図19(b)および図20(b)に示すように、第1および第2のディスク収納部221、222を開放した状態では、ディスクカートリッジ200の外部から、ディスクモータ、クランプ部材などのディスク10を回転させる手段、および、記録および/または再生を行うヘッドがディスク10に接近し、アクセスするための略扇形領域の開口部220wが形成される。
【0032】
したがって、第1および第2のディスク収納部221、222は、ディスクカートリッジ200の外殻をなすハウジングの機能と、開口部220wを開放および閉塞するシャッタの機能の2つの機能を兼ね備えている。
【0033】
図19(a)および図20(a)に示すように、ディスクカートリッジ200を上面あるいは底面から見た場合、開口部220wが形成される側は円弧状に形成されている。このため、第1のディスク収納部221および第2のディスク収納部222の開口部220wが形成される領域の側面は曲面になっている。
【0034】
支持ベース部材210は、上部支持ベース部材211および下部支持ベース部材212を含む。図21に示すように、下部支持ベース部材212には、ディスク装置(図示せず)内におけるディスク10と平行な面内におけるディスクカートリッジ200の位置を決定するための位置決め穴215aおよび215bが設けられている。また下部支持ベース部材212の両側面部には、切り欠き部212tが左右に設けられており、例えばトレイ方式のローディングにおけるディスクカートリッジ200の表裏を逆に装填することの防止に使用されたり、スロットローディング方式におけるディスクカートリッジ200を保持するための係合などに使用されたりする。
【0035】
第1のディスク収納部221および第2のディスク収納部222は、それぞれ、回動中心穴221aおよび回動中心穴222aを有し、下部支持ベース部材212に設けられた回転支軸212aおよび212bが回動中心穴221aおよび回動中心穴222aに挿入されることによって、第1のディスク収納部221および第2のディスク収納部222は、回転支軸212aおよび212bを回動軸として、回転可能に支持される。
【0036】
また、第1のディスク収納部221および第2のディスク収納部222は、互いに噛み合って係合する連動部221bおよび222bを有し、この連動部221bおよび222bの係合によって第1のディスク収納部221および第2のディスク収納部222は回転支軸212aおよび212bの回りに互いに逆方向へ連動して回転することができる。
【0037】
第1および第2のディスク収納部221、222には、切り欠き部221dおよび222dが設けられており、外部から第1および第2のディスク収納部221、222の開放および閉塞の動作を行うために使用される。
【0038】
第1のロック部材231および第2のロック部材232は、それぞれ回動中心穴231aおよび回動中心穴232aを有し、下部支持ベース部材212に設けられている回転支軸212cおよび212dに、挿入されることによって、下部支持ベース部材212回動自在に取り付けられる。
【0039】
第1のロック部材231は、第1および第2のディスク収納部221、222が閉塞した状態で、第1のディスク収納部221の係止部221cに係合し、第1のディスク収納部221が開放状態へ回動するのを抑制する係止レバー部231bと、外部から第1のロック部材231を操作する操作部231cと、外部からの操作に抗して弾性変形することで機能する弾性部231dとを含む。
【0040】
同様に、第2のロック部材232は、ディスク収納部220が閉塞した状態で、第2のディスク収納部222の係止部222cに係合し、第2のディスク収納部222が開放状態へ回動するのを抑制する係止レバー部232bと、外部から第2のロック部材232を操作する操作部232cと、外部からの操作に抗して弾性変形することで機能する弾性部232dとを含む。
【0041】
また、ディスクカートリッジ200には、第1および第2のロック部材231、232を操作するための、ロック解除用スリット200a、200bが、ディスクカートリッジ200の両側面に設けられている。第1および第2のロック部材231、232の操作部231c、232cは、スリット200a、200b内において突出しているが、ディスクカートリッジ200の外形より突出しないように構成されている。これにより、ディスクカートリッジ200を扱う者が、手指で操作部231c、232cを押下しにくくなっており、外部からの意図的な操作を防止している。
【0042】
次に、ディスクカートリッジ200のディスク収納部220の開放または閉塞動作について説明する。図22(a)および図22(b)は、第1および第2のディスク収納部221、222が閉塞した状態および開放した状態のディスクカートリッジ200の部分断面図を示している。
【0043】
図22(a)に示すように、第1および第2のディスク収納部221、222が閉塞した状態では、第1および第2のロック部材231、232の係止レバー部231b、232bが、第1および第2のディスク収納部221、222に設けられた係止部221c、222cと当接する。これにより、第1および第2のディスク収納部221、222は矢印221A方向および矢印222A方向への回転がロックされる。このとき弾性部231d、232dは弾性変形しない。また、ディスクカートリッジ200の内部で、ディスク10がガタつくのを防止するために、第1および第2のディスク収納部221、222の内壁には、閉塞している状態で、ディスク10の外周面または外側面端部に当接する部位を設けて、ディスク収納部220の閉塞時にディスク10を保持している。
【0044】
図22(a)の状態から、後述するように第1および第2のロック部材231、232を同時に押し下げることによりロックを解除し、第1および第2のディスク収納部221、222をそれぞれ矢印221A方向、矢印222A方向に回転させると、図21(b)に示すように、第1および第2のディスク収納部221、222が開放した状態になる。この状態では、第1および第2ディスク収納部221、222の内壁が、ディスク10より離間するため、ディスク10は、支持ベース部材210に対して、離間している範囲内において任意の位置を取り得る。このため、下部支持ベース部材212に設けられた位置規制部213a、213b、213cおよびディスク装置に設けられた位置決め部材65によって、ディスク10の位置を制限している。
【0045】
第1および第2ディスク収納部221、222を閉塞するためには、開放動作と逆動作、すなわち第1および第2のディスク収納部221、222を矢印221B、矢印222B方向に回転させる。このとき、第1および第2のロック部材231、232は、第1および第2のディスク収納部221、222の係止部221c、222cの当接により、それぞれ矢印231A、232A方向に回動される。そして、図22(a)に示すように、ディスク収納部220が閉塞すると、第1および第2のロック部材231、232は、それぞれの弾性部231d、232dの弾性力によって、それぞれ矢印231B、矢印232B方向に回動する。これにより、第1および第2のロック部材231、232の係止レバー部231b、232bが、第1および第2のディスク収納部221、222の係止部221c、222cと当接して、ディスク収納部220の回転をロックする。このようにして、第1および第2のディスク収納部221、222の閉塞動作が完了する。
【0046】
なお、ディスクカートリッジ200は、図22(b)に示すように、第1および第2のディスク収納部221、222が開放した状態では、ディスク10、第1および第2のディスク収納部221、222および支持ベース部材210のディスク10の回転軸方向への投影領域が、図22(a)に示す閉塞している状態に比べ大きくなる。しかし、開口部220wを大きくすることができ、ヘッドの設計自由度が大幅に向上するという利点がある。
【0047】
次にロック解除の動作を説明する。図23(a)は、第1および第2のディスク収納部221、222が第1および第2のロック部材231、232でロックされた状態から、第2のロック部材232のみをロック解除した状態を示し、図23(b)は、第1および第2のディスク収納部221、222が第1および第2のロック部材231、232でロックされた状態から第1および第2のロック部材231、232を同時にロック解除した状態を示している。第1および第2のディスク収納部221、222を閉塞した状態では、図23(a)に示すように、第1および第2のロック部材231、232によって、第1および第2のディスク収納部221、222は、それぞれ矢印221A方向および矢印222A方向への回転をロックされている。
【0048】
図23(a)に示すように、外部から第2のロック部材232の操作部232cを押圧すると、弾性部232dを変形させながら、第2のロック部材232は矢印232Aの方向に回転する。この状態において、第2のロック部材232の係止レバー部232bは、第2のディスク収納部222に設けられた係止部222cと離間して係止状態は解除される。しかしながら、第1および第2のディスク収納部221、222は連動部221b、222bで連動され、かつ第1のディスク収納部221は第1のロック部材231によってロックされている。このため、第2のディスク収納部222の回転がロックされた第1のディスク収納部221によって抑制され、第1および第2のディスク収納部221、222を開放させることはできない。つまり、第1および第2のロック部材231、232のいずれか一つが外部よりロック解除される場合は、第1および第2のディスク収納部221、222を開放することはできない。
【0049】
次に、図23(b)に示すように、外部から第1および第2のロック部材231、232の操作部231c、232cを同時に押圧すると、弾性部231d、232dを同時に変形させながら、第1および第2のロック部材231、232はそれぞれ矢印231A方向および矢印232A方向に回転する。この状態において、第1および第2のロック部材231、232の係止レバー部231b、232bは第1および第2のディスク収納部221、222に設けられた係止部221c、222cとそれぞれが離間し、係止状態が解除される。その結果、第1および第2のディスク収納部221、222はそれぞれ矢印221A方向および222A方向に回転可能となり、第1および第2のディスク収納部221、222を開放させることができる。このように、第1および第2のロック部材231、232を同時に解除する場合には、第1および第2のディスク収納部221、222を開放させることができる。
【0050】
本発明のディスク装置は、上述したディスクカートリッジ200を装填し、ディスクカートリッジ200に収納されたディスク10に情報を記録したり、ディスク10に記録された情報を再生したりすることができる。なお、本願明細書において装填とは、ディスクカートリッジをディスク装置内に挿入し、ディスクカートリッジのディスクがディスクモータに載置され、ディスクに対して記録再生が可能な状態になることをいう。ディスクカートリッジ200の構造はすでに説明したので、以下のディスク装置の実施形態では、ディスク装置の構造を中心に説明する。
【0051】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明によるディスク装置の第1の実施形態を詳細に説明する。
【0052】
図1および図2は、本発明によるディスク装置の第1の実施形態であって、ディスクカートリッジ200を装填することが可能なディスク装置501の分解斜視および平面図である。また、図3(a)および(b)は、ディスクカートリッジ200を挿入/排出する状態およびディスク10に対して記録または再生を行う状態のディスク装置501の側面図を示している。
【0053】
図1および図2に示すように、ディスク装置501は、トラバースベース20と、ディスクモータ30と、光ヘッド40とを備える。
【0054】
ディスクモータ30は、ディスクカートリッジ200に収納されたディスク10を載置するためのディスク載置面30aを有し、トラバースベース20に固定されている。光ヘッド40は、ガイド軸41および42に沿って移動可能なように、トラバースベース20上に支持されている。また、光ヘッド40は、トラバースベース20上に構成される駆動源(図示せず)によって、ガイド軸41および42に沿って、ディスクモータ30のディスク載置面30aに載置されたディスク10の半径方向へ移動自在に駆動される。
【0055】
光ヘッド40は、ディスク10に情報を記録し、ディスク10に記録された情報を再生する。ディスク装置501は、記録および再生が可能な装置であってもよいし、記録または再生のいずれか一方のみを行う装置であっても良い。
【0056】
トラバースベース20上には、カートリッジ位置決めピン21、22が設けられている。カートリッジ位置決めピン21、22には、座面21a、22aが設けられており、ディスクカートリッジ200の下部支持ベース部材212の底面と当接する。カートリッジ位置決めピン21、22は、ディスクモータ30に対するディスクカートリッジ200の位置決めを行う。トラバースベース20には、さらに、ディスクカートリッジ200の第1のディスク収納部221の底面に当接する座面23aを有する固定ピン23と、ディスクカートリッジ200の第2のディスク収納部222の底面に当接する座面24aを有する固定ピン24が設けられている。これらの座面23a、24aは、カートリッジ位置決めピン21、22の座面21a、22aとともに、ディスクカートリッジ200の高さ方向の位置決めを行う。
【0057】
また、トラバースベース20には、後述する第1および第2の開閉スライダー151、152の位置決め穴151d、152dに係合して、ディスクモータ30に対する第1および第2の開閉レバー151、152の位置決めをするスライダー位置決めピン25、26が設けられている。
【0058】
ディスク装置501は、クランパ50およびディスクカートリッジ200を装填するカートリッジホルダ60をさらに備える。
【0059】
クランパ50は、ディスク10をディスクモータ30のディスク載置面30aとで挟持し、ディスク10をディスクモータ30で回転可能にクランプする。クランパ50は、クランパ支持部材(図示せず)によって保持され、カートリッジホルダ60に支持される。
【0060】
カートリッジホルダ60は、ディスクカートリッジ200を支持する。カートリッジホルダ60は、ディスクカートリッジ200を外部から矢印60A方向に移動させ、カートリッジホルダ60の内部へ挿入し、また、カートリッジホルダ60内のカートリッジホルダ60を矢印60B方向に移動させて、外部へ排出するためのホルダ開口部60sを有する。ホルダ開口部60sはカートリッジホルダ60に設けられた開口である。ディスク装置501はこのほかに、ディスク装置501全体を覆う筐体に、ディスクカートリッジ200を挿入排出する別な開口部を備えていてもよい。
【0061】
カートリッジホルダ60のホルダ開口部60s近傍には、一対のガイド壁61a、61bが設けられている。ガイド壁61a、61bは、ディスクカートリッジ200の挿入および排出の方向を規定し、ディスクカートリッジ200をカートリッジホルダ60へ挿入する際、および、カートリッジホルダ60から外部へ排出する際、ディスクカートリッジ200の側面と当接し得ることにより、ディスクカートリッジ200が矢印60A方向および矢印60B方向に挿入あるいは排出されるようにディスクカートリッジ200をガイドする。ガイド壁61a、61bは、ホルダ開口部60s近傍にのみ設けられている。
【0062】
また、ガイド壁61aおよび61bには、ディスクカートリッジ200を矢印60A方向および矢印60B方向へ挿入および排出する際に、ディスクカートリッジ200のロック解除用スリット200aおよび200bを通過して、ディスクカートリッジ200の第1および第2のロック部材231、232の操作部231cおよび232cを押下するロック解除部62aおよび62bが設けられている。
【0063】
カートリッジホルダ60の底部には、ディスクモータ30および光ヘッド40がディスク10に接近するための開口部60wが設けられている。また、カートリッジ位置決めピン21、22およびスライダー位置決めピン25、26がカートリッジホルダ60と干渉しないように、カートリッジホルダ60の底部には、孔63a、63bおよび切り欠き部64a、64bが設けられている。さらに、カートリッジホルダ60には、ディスクカートリッジ200が装填された際に、ディスク10をディスクモータ30のセンターに対して位置決めするための位置決め部材65が設けられている。
【0064】
カートリッジホルダ60に装填されたディスクカートリッジ200を取り出しやすくするために、ディスクカートリッジ200の支持ベース部材の一部を露出させるための切り欠き62sをカートリッジホルダ60のホルダ開口部60s側に設けても良い。
【0065】
カートリッジホルダ60には、トラバースベース20に設けられた回動中心孔20a、20bに挿入された軸付きネジ81、82が取り付けられている。これにより、カートリッジホルダ60は、トラバースベース20によって、矢印80A方向および矢印80B方向に回動自在に支持される。
【0066】
図3(a)において矢印60Aおよび矢印60Bで示すように、カートリッジホルダ60にディスクカートリッジ200を挿入し、また、カートリッジホルダ60からディスクカートリッジ200を排出する際には、カートリッジホルダ60をトラバースベース20に対して、矢印80A方向に角度θだけ回動させる。これにより、トラバースベース20に設けられた、ディスクモータ30、光ヘッド40および各種位置決めピンと干渉せずに、ディスクカートリッジ200の挿入および排出を行うことができる。
【0067】
また、ディスクカートリッジ200がカートリッジホルダ60の内部に挿入され、ディスクカートリッジ200の開口部220wが開放された状態において、カートリッジホルダ60をトラバースベース20に対して、矢印80B方向に回動させることにより、図3(b)に示すように、トラバースベース20に設けられたディスクモータ30および光ヘッド40が、ディスクカートリッジ200の開口部220wに侵入し、各種の位置決めピンが、各々の位置決め穴と係合してディスクカートリッジ200の位置決めを行う。これにより、ディスク10への記録あるいはディスク10からの再生が可能なようにディスクカートリッジ200が装填される。
【0068】
図1に示すようにディスク装置501は、カートリッジ開閉機構150をさらに備える。カートリッジ開閉機構150は、ディスクカートリッジ200の一部と係合し、ディスクカートリッジ200が矢印60Aおよび矢印60Bで示す方向に挿入および排出される際に、挿入排出動作にともなって第1および第2のディスク収納部221、222を開放および閉塞する。カートリッジ開閉機構150は、具体的には、第1の開閉スライダー151と、第2の開閉スライダー152と、スライダー付勢バネ153とを含み、カートリッジホルダ60に設けられている。より具体的には、カートリッジ開閉機構150は、挿入されるディスクカートリッジ200の下方に平面的に構成されている。
【0069】
第1および第2の開閉スライダー151、152は、カートリッジホルダ60に設けられた第1および第2のスライダーガイド部60a、60bにと係合し、ディスクカートリッジ200を挿入/排出する方向(矢印60A/矢印60B方向)に直交する方向にスライド可能にカートリッジホルダ60に取り付けられる。本実施形態では、第1および第2のスライダーガイド部60a、60bは溝であり、溝に係合するガイド凸部151a、152aが第1および第2の開閉スライダー151、152に設けられている。しかし、スライド可能なように第1および第2の開閉スライダー151、152がカートリッジホルダ60に設けられておれば、他の機械要素によってこれらが係合していてもよい。例えば、第1および第2のスライダーガイド部60a、60bが凸部であり、第1および第2の開閉スライダー151、152に溝が設けられていてもよい。
【0070】
スライダー付勢バネ153は、引張りバネにより構成される。スライダー付勢バネ153の一端は、第1の開閉スライダー151に設けられた取付部151bに取り付けられ、他端は、第2の開閉スライダー152に設けられた取付部152bに取り付けられている。これにより、図2に示すように、第1の開閉スライダー151を矢印151A方向へ、第2の開閉スライダー152を矢印152A方向へそれぞれ互いに付勢し、第1および第2の開閉スライダー151、152の両方に均等な付勢力を与える。第1の開閉スライダー151を矢印151A方向へ、第2の開閉スライダー152を矢印152A方向へそれぞれ互いに付勢することが可能であれば、ばね以外の弾性体をスライダー付勢バネ153の代わりに用いてもよい。
【0071】
第1の開閉スライダー151は、第1のディスク収納部221に設けられた切り欠き部221dに回転可能に係合する第1の係合部151cと、トラバースベース20に設けられたスライダー位置決めピン25に係合する位置決め穴151dを備える。位置決め穴151dは、第1の開閉スライダー151が矢印151A方向にスライドした際に、ディスクモータ30に対する第1の開閉スライダー151の位置決めを行う。
【0072】
同様に、第2の開閉スライダー152は、第2のディスク収納部222に設けられて切り欠き部222dに係合する第2の係合部152cと、トラバースベース20に設けられたスライダー位置決めピン26に係合する位置決め穴152dを備える。位置決め穴152dは、第2の開閉スライダー152が矢印152A方向にスライドした際に、ディスクモータ30に対する第2の開閉スライダー152の位置決めを行う。
【0073】
図2に示すように、第1および第2のスライダーガイド部60a、60bは、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cに対して、ホルダ開口部60s側に設けられている。また、ディスクカートリッジ200を矢印60A方向および矢印60B方向に挿入/排出する方向に平行であり、ディスク10の回転軸を含む平面に対して、対称に構成される。
【0074】
同様に、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cは、ディスクカートリッジ200を矢印60A方向および矢印60B方向に挿入/排出する方向と平行であり、ディスク10の回転軸を含む平面に対して、対称に構成される。
【0075】
したがって、対をなす第1および第2の開閉スライダー151、152は、ディスクカートリッジ200を矢印60A方向および矢印60B方向に挿入/排出する方向に平行でありディスク10の回転軸を含む平面に対して、対称に構成されている。
【0076】
また、カートリッジホルダ60には、図2に示すように、スライダー付勢バネ153による第1および第2の開閉スライダー151、152の矢印151Aおよび152A方向のスライド動作に抗したストッパ部60cが設けられている。このストッパ部60cにより、第1の開閉スライダー151および第2の開閉スライダー152は、所定の待機位置に保持される。
【0077】
なお、第1および第2の開閉スライダー151、152は、図2に示すように、カートリッジホルダ60のストッパ部60cに当接している時は、トラバースベース20のスライダー位置決めピン25、26と干渉しない。このため、ディスクカートリッジ200をカートリッジホルダ60に装填していない場合でも、図3(b)に示すホルダ60を下降させた状態となるようにカートリッジホルダ60を回動させても問題はない。
【0078】
次に、カートリッジ開閉機構150の動作を説明する。ディスク装置501のカートリッジ開閉機構150は、ディスクカートリッジ200をカートリッジホルダ60内へ矢印60Aで示すように挿入する動作に応じて、ディスクカートリッジ200のディスク収納部220を開放する動作を行い、矢印60Bで示すように排出する動作に応じて、ディスク収納部220を閉塞する動作を行う。
【0079】
なお、本実施形態のディスク装置501は、ディスクカートリッジ200を搬送する駆動源を備えていないため、矢印60Aで示すディスクカートリッジ200の挿入動作は、操作者の操作によって行われ、矢印60B方向への排出動作は、スライダー付勢バネ153の付勢力と、操作者の操作によって行われる。
【0080】
まず、図4から図8を参照しながら、ディスクカートリッジ200をカートリッジホルダ60に挿入する場合のカートリッジ開閉機構150の動作を説明する。なお、ディスクカートリッジ200が挿入または排出される際、カートリッジホルダ60は、図3(a)に示すように、トラバースベース20に対して傾斜している。しかし、ディスクカートリッジ200の挿入または排出動作には、トラバースベース20は関係せず、カートリッジホルダ60のみが関係するため、図4から図7では、便宜上、カートリッジホルダ60と、トラバースベース20とを同一平面上に示している。図8は、ディスクカートリッジ200の装填が完了した状態を示している。この状態では、ディスクカートリッジ200のディスク10がディスクモータ30の載置面30a上に載置されるように、カートリッジホルダ60は、図3(b)に示すように下降し、カートリッジホルダ60とトラバースベース20とは同一平面にある。
【0081】
図4に示すように、操作者がディスクカートリッジ200をホルダ開口部60sから、矢印60Aで示すようにカートリッジホルダ60の内部へ挿入する。ディスクカートリッジ200は、挿入方向(矢印60A)に直交するディスクカートリッジ200の幅方向をカートリッジホルダ60のガイド壁61a、61bによってガイドされながら、カートリッジホルダ60内部へ挿入される。
【0082】
第1および第2の開閉スライダー151、152は、カートリッジホルダ60のストッパ部60cに当接することにより、所定の待機位置で保持されている。このとき、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cの間隔はガイド壁61a、61bの間隔より狭くなっている。このため、ディスクカートリッジ200の挿入が進むと、第1および第2の係合部151c、152cがディスクカートリッジ200の第1および第2のディスク収納部221、222の外形側面と当接する。
【0083】
このとき、ガイド壁61a、61bの設けられたロック解除部62a、62bは、ディスクカートリッジ200のロック解除用スリット200a、200bを通過する。
【0084】
図4に示す状態から、さらにディスクカートリッジ200を矢印60A方向に挿入すると、図5に示すように、第1の開閉スライダー151は、第1の開閉スライダー151の第1の係合部151cと、第1のディスク収納部221の外形側面との当接によって、スライダー付勢バネ153のバネ力に抗して、第1のスライダーガイド部60aに沿って矢印151B方向にスライドする。その後、第1のスライダー151は再びスライダー付勢バネ153のバネ力によって矢印151A方向にスライドし、第1の係合部151cは、第1のディスク収納部221の切り欠き部221dに設けられた係止用当接面221fと当接する位置へ移動する。
【0085】
同様に、第2の開閉スライダー152は、第2の開閉スライダー152の第1および第2の係合部152cと、第2のディスク収納部222の外形側面との当接によって、スライダー付勢バネ154のバネ力に抗して、第2のスライダーガイド部60bに沿って矢印152B方向にスライドする。その後、第2の開閉スライダー152は再びスライダー付勢バネ153のバネ力によって、矢印152A方向にスライドし、第2の係合部152cは、第2のディスク収納部222の切り欠き部222dに設けられた係止用当接面222fと当接する位置へ移動する。
【0086】
図5の状態から、さらにディスクカートリッジ200を矢印60A方向に挿入すると、図6に示すように、第1の開閉スライダー151の第1の係合部151cは、スライダー付勢バネ153の付勢力により、第1のディスク収納部221の切り欠き部221dの内壁に当接しながら移動し、切り欠き部221dに設けられた半円弧上の係合部221eに到達し、係合部221eと係合する。これにより、第1の開閉スライダー151と第1のディスク収納部221によって、第1のリンク機構が構成される。
【0087】
同様に、第2の開閉スライダー152の第2の係合部152cは、スライダー付勢バネ153の付勢力により、第2のディスク収納部222の切り欠き部222dの内壁に当接しながら移動し、切り欠き部222dに設けられた半円弧上の係合部222eに到達し、係合部222eと係合する。これにより、第2の開閉レバー152と第2のディスク収納部222によって、第2のリンク機構が構成される。第1のリンク機構および第2のリンク機構については以下において詳細に説明する。
【0088】
このとき、ロック解除部62aおよび62bが、第1および第2のロック部材231、232の操作部231c、232cを同時に押圧して、弾性部231d、232dを同時に変形させながら、第1および第2のロック部材231、232をそれぞれ矢印231A方向および矢印232A方向に回転させる。これにより、第1および第2のロック部材231、232の係止レバー部231b、232bは、第1および第2のディスク収納部221、222に設けられた係止部221c、222cからそれぞれ離間し、ロック状態が解除される。その結果、第1および第2のディスク収納部221、222が、それぞれ矢印221A方向および222A方向に回転可能となる。
【0089】
図6の状態から、さらにディスクカートリッジ200を矢印60A方向に挿入すると、図7に示すように、第1の開閉スライダー151と第1のディスク収納部221で構成される第1のリンク機構、および、第2の開閉スライダー152と第2のディスク収納部222で構成される第2のリンク機構によって、第1および第2の開閉スライダー151、152は、それぞれ第1および第2のスライダーガイド部60a、60bに沿って矢印151B方向、矢印152B方向へスライド動作を開始する。これに連動して、第1および第2のディスク収納部221、222は、回転支軸212a、212bを中心にそれぞれ矢印221A方向、矢印222A方向に回転を開始する。
【0090】
具体的には、ディスクカートリッジ200の下部支持ベース部材212が、ガイド壁61a、61bによって、矢印60A方向および矢印60B方向にガイドされているため、第1のディスク収納部221の回転支軸212aは、矢印60A方向および矢印60B方向への移動する自由度のみを持つスライダーとして機能する。一方、第1の開閉スライダー151は第1のスライダーガイド部60aに沿ってスライドし得る。2つのスライド動作を行うスライダーを第1のディスク収納部221が連結し、第1のリンク機構を構成している。
【0091】
操作者の操作によってディスクカートリッジ200を矢印60Aの方向に挿入すると、第1のディスク収納部221の回転支軸212aが矢印60A方向へスライドする。このため、第1のリンク機構によって、第1の開閉スライダー151が矢印151Bの方向へスライドする。これにより、第1のディスク収納部221は矢印221A方向に回動する。
【0092】
同様に、ディスクカートリッジ200の下部支持ベース部材212が、ガイド壁61a、61bによって、矢印60A方向および矢印60B方向にガイドされているため、第2のディスク収納部222の回転支軸212bは、矢印60A方向および矢印60B方向への移動する自由度のみを持つスライダーとして機能する。一方、第2の開閉スライダー152は第2のスライダーガイド部60bに沿ってスライドし得る。2つのスライド動作を行うスライダーを第2のディスク収納部222が連結し、第2のリンク機構を構成している。
【0093】
操作者の操作によってディスクカートリッジ200を矢印60Aの方向に挿入すると、第2のディスク収納部222の回転支軸212bが矢印60A方向へスライドする。このため、第2のリンク機構によって、第2の開閉スライダー152が矢印152Bの方向へスライドする。これにより、第2のディスク収納部222は矢印222A方向に回動する。
【0094】
したがって、一対のリンク機構によって、ディスクカートリッジ200を矢印60A方向へ挿入する挿入量に応じて、第1および第2の開閉スライダー151、152が矢印151B方向、矢印152B方向にスライドし、このスライド量に応じて第1および第2のディスク収納部221、222がそれぞれ矢印221A方向、矢印222A方向へ回転する。これにより、第1および第2のディスク収納部221、222の開放動作を行う。
【0095】
このとき、第1および第2のディスク収納部221、222が、互いに噛み合う連動部221b、222bによって、互いに逆方向に連動して回転するため、第1および第2の開閉スライダー151、152は、第1および第2のディスク収納部221、222を介して、互いに逆方向に連動して回動する。
【0096】
一方、第1および第2の開閉スライダー151、152は、ディスクカートリッジ200の挿入方向(矢印60A)に対して、対称に構成されているため、第1の開閉スライダー151と第1のディスク収納部221で構成される第1のリンク機構と、第2の開閉スライダー152と第2のディスク収納部222で構成される第2のリンク機構は、ディスクカートリッジ200の挿入方向(矢印60A)に対して、対称的に動作する。したがって、挿入動作時におけるディスクカートリッジ200の挿入方向への移動直進性を確保することができる。
【0097】
また、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cの近傍部分が、第1および第2のディスク収納部221、222の底面に当接することにより、第1および第2のディスク収納部221、222の底面を支持して、ディスクカートリッジ200を矢印60A方向に挿入する動作中における、第1および第2のディスク収納部221、222の高さ方向のガイドを行う。
【0098】
したがって、ディスクカートリッジ200を矢印60A方向に挿入している途中において、ディスクカートリッジ200は、対称に構成された第1および第2の開閉スライダー151、152によって、動作直進性を確保し、かつ、高さ方向にもガイドされる。その結果、安定なディスク収納部220の開放動作が実現する。
【0099】
図7の状態から、さらにディスクカートリッジ200を矢印60A方向に挿入すると、図8に示すように、ディスクカートリッジ200はカートリッジホルダ60の内部に挿入され、第1および第2のディスク収納部221、222が所定の角度まで回動する。その結果、ディスクカートリッジ200に開口部220wが形成される。
【0100】
このとき、カートリッジホルダ60に設けられた位置決め部材65が、開口部220wに侵入する。下部支持ベース部材212に設けられた位置規制部213a、213b、213cと位置決め部材65により、ディスク10の位置が制限され、開口部220wが開放した時のディスク10の中心位置の位置決めが行われる。
【0101】
操作者によって、カートリッジホルダ60を、図3(a)に示すようにトラバースベース20に対して所定の角度θだけ傾いた状態から、図3(b)に示すようにディスク10に対して記録・再生が可能な状態へ、矢印80B方向に回動すると、下部支持ベース部材212に設けられた位置決め穴215a、215bとトラバースベース20に設けられたカートリッジ位置決めピン21、22とが係合する。これにより、下部支持ベース部材212が、トラバースベース20に対して位置決めされる。同時に、第1および第2のディスク収納部221、222の回動軸である回転支軸212a、212bも、トラバースベース20に対して位置決めされる。
【0102】
これにより、60A方向および矢印60B方向に移動可能であった第1のディスク収納部221の回転支軸212aが位置決めされ、拘束される。このため、第1のスライダーガイド部60aに沿って矢印151Aおよび矢印151B方向にスライド可能であった第1の開閉スライダー151のスライド動作も拘束される。したがって、第1の開閉スライダー151の第1の係合部151cと係合する第1のディスク収納部221の係合部221eがトラバースベース20に対して一義的に位置決めされる。
【0103】
同様に、60A方向および矢印60B方向に移動可能であった第2のディスク収納部222の回転支軸212bが位置決めされ、拘束される。このため、第2のスライダーガイド部60bに沿って矢印152Aおよび矢印152B方向にスライド可能であった第2の開閉スライダー152のスライド動作も拘束される。したがって、第2の開閉スライダー152の第2の係合部152cと係合する第2のディスク収納部222の係合部222eがトラバースベース20に対して一義的に位置決めされる。
【0104】
つまり、下部支持ベース部材212をトラバースベース20に対して位置決めすることによって、第1および第2の開閉スライダー151、152と第1および第2のディスク収納部221、222とが第1および第2のリンク機構によりトラバースベース20に対して一意的に位置決めされる。よって、第1および第2のディスク収納部221、222の回動軸の位置および回転角度が一義的に決定され、開口部220wが完全に開放される。
【0105】
ただし、第1および第2の開閉スライダー151、152は、スライダー付勢バネ153によって、矢印151A方向、矢印152A方向に付勢されるため、第1および第2のディスク収納部221、222は閉塞される方向に付勢されて位置決めされる。その結果、構成部品の精度ばらつきや、位置決めピンの勘合ガタなどを考慮すると、開口部220wの開放領域が狭まる方向にばらついてしまい、開口部220wが十分に開放されない可能性がある。
【0106】
そこで、本実施形態では、第1および第2の開閉スライダー151、152に設けられた位置決め穴151d、152dとトラバースベース20に設けられたスライダー位置決めピン25、26を係合させ、第1および第2の開閉スライダー151、152の位置決めを行う。これにより、第1および第2のディスク収納部221、222をさらに精度良く開放させ、所定の大きさの開口部220wを確実に形成できるようにしている。
【0107】
このとき、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cの間隔はガイド壁61a、61bの間隔よりも広くなっている。これにより、ディスク収納部220が閉塞した状態のディスクカートリッジ200の投影面積よりも外側に第1および第2のディス収納部221、222をはみ出すように開放させ、大きな開口部220wをディスクカートリッジ200に形成することができる。
【0108】
また、第1および第2のディスク収納部221、222の係合部221e、222eには、第1および第2の開閉スライダー151、152が矢印151B方向、152B方向にスライド移動する際、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cと当接する規制用当接面が設けられている。このため、第1および第2の開閉スライダー151、152がトラバースベース20に対して位置決めされると、第1および第2のディスク収納部221、222は、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cと規制用当接面との当接によって、矢印221B方向、矢印222B方向への回動を第1および第2の開閉スライダー151、152によって規制される。その結果、第1および第2のディスク収納部221、222を精度良く位置決めし、開口部220wが狭くなるのを抑制することができる。
【0109】
また、第1および第2の開閉スライダー151、152がトラバースベース20のスライダー位置決めピン25、26と係合することによって、第1および第2のディスク収納部221、222は第1および第2の開閉スライダー151、152を介してトラバースベース20に保持されることになる。このため、振動や衝撃などの外乱条件下においても、開口部220wの領域を確実に確保できる。
【0110】
また、ディスク10は、ディスクモータ30のディスク載置面30aと、クランパ50(図示せず)により、クランプされ回転が可能となる。このとき、下部支持ベース部材212に設けられた位置規制部213a、213b、213cも同様に、トラバースベース20に対して位置決めされるので、位置規制部213a、213b、213cはディスク10に対して必要なクリアランスを確保することができる。カートリッジホルダ60に設けられた位置決め部65は、トラバースベース20に対して、軸付きネジ81、82によって、軸支持されているので、トラバースベース20に対して、精度良く位置決めされている。
【0111】
また、下部支持ベース部材212の底面は、カートリッジ位置決めピン21、22に設けられた座面21a、22aにより支持され、第1および第2のディスク収納部221、222の底面は、トラバースベース20に設けられた固定ピン23、24の座面23a、24aにより支持される。このとき、第1および第2のディスク収納部221、222の底面に当接し、第1および第2のディスク収納部221、222の高さ方向のガイドをしていた第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152c近傍部分は、第1および第2のディスク収納部221、222の底面から離間する。
【0112】
したがって、ディスク10の記録または再生状態では、ディスクカートリッジ200は、前述した4つの座面のみで高さ方向に支持される。よって、トラバースベース20に対して、精度良く高さ方向の位置決めがなされ、ディスク10に対して必要なクリアランスが確保される。なお、ディスクカートリッジ200を、前述した4つの座面に押圧する付勢バネ(図示せず)を設ければさらに、高さ方向の位置決め精度を向上させることができる。
【0113】
また、図8に示すように、ディスク10の記録または再生状態では、ロック解除部62aおよび62bは、第1および第2のロック部材231、232の操作部231c、232cから離間している。このため、第1および第2のロック部材231、232の弾性部231d、232dは、弾性変形しない状態にある。これにより、第1および第2のロック部材231、232を樹脂で一体的に構成した場合に、弾性部231d、232dのクリープを防止することができる。
【0114】
なお、ディスク装置501内にディスクカートリッジ200を挿入(矢印60A方向)する場合、矢印60A方向に若干のオーバーストロークを持たせるのが、このようなディスク装置では一般的である。このため、図24に示す従来のディスクカートリッジ100のように、支持ベース部材101だけで、ディスク10の中心位置決めを行うと、このオーバーストローク分、挿入時にディスク10が後方側に位置決めされ、挿入状態によって、位置決め精度がばらつく可能性がある。
【0115】
これに対し、本実施形態のディスク装置501では、後方側にディスク10の中心位置決めを行う位置決め部材65をカートリッジホルダ60、言い換えればディスク装置501側に設けている。このため、ディスクカートリッジ200の挿入の程度が矢印60A方向にばらついたとしても、ディスク10は、ディスク装置501に対して、精度良く位置決めされる。
【0116】
以上のように、ディスクカートリッジ200を矢印60A方向に挿入し、図4に示す状態から図8に示す状態になることによって、ディスクカートリッジ200の開口部220wが完全に開放され、カートリッジ開閉機構150の開放動作が完了する。また、ディスクカートリッジ200がディスク装置501内に正しく装填され、ディスク10に対する記録・再生が可能な状態となる。
【0117】
次に、ディスクカートリッジ200をカートリッジホルダ60から排出する場合のカートリッジ開閉機構150の動作を説明する。
【0118】
カートリッジ開閉機構150の閉塞動作は、前述した、カートリッジ開閉機構150の開放動作の逆手順で行われる。つまり、図8の状態から動作を開始し、ディスクカートリッジ200を矢印60B方向へ排出する動作により、図4の状態となり、ディスク収納部220を完全に閉塞し、ディスクカートリッジ200を装置外部へ排出する。
【0119】
以下、図4から図8を参照しながら具体的に、カートリッジ開閉機構150の閉塞動作を説明する。
【0120】
図8に示すように、ディスクカートリッジ200がディスク装置501内に正しく装填された状態において、図3(b)に示す状態から、図3(a)に示すディスクカートリッジ200の挿入/排出を行う位置へ、操作者によってカートリッジホルダ60を矢印80A方向に回動する。これにより、下部支持ベース部材212に設けられた位置決め穴215a、215bに係合していたカートリッジ位置決めピン21、22と、第1および第2の開閉スライダー151、152に設けられた位置決め穴151d、152dに係合していたスライダー位置決めピン25、26の係合が外れる。その結果、前述した第1および第2のリンク機構を構成している各スライダー要素(第1および第2の開閉スライダー151、151と第1および第2のディスク収納部221、222の回転支軸212a、212b)の拘束状態が解除され、ディスクカートリッジ200は、カートリッジホルダ60のガイド壁61a、61bに沿って、矢印60A方向および矢印60B方向に移動可能になる。第1および第2の開閉スライダー151、152は、スライダー付勢バネ153の付勢力によって、それぞれ矢印151A方向、矢印152A方向にスライドを開始する。
【0121】
開放動作の場合とは逆に、第1および第2の開閉スライダー151、152の矢印151A方向、矢印152A方向への移動に応じて、第1および第2のディスク収納部221、222は、第1および第2の開閉スライダー151、152とのリンク機構によって、それぞれが矢印221B方向、矢印222B方向に回動し、ディスク収納部220の閉塞動作が開始される。
【0122】
図8の状態から、スライダー付勢バネ153の付勢力によって、第1および第2の開閉スライダー151、152が矢印151A方向、矢印152Aにスライド移動すると、図7に示すように、ディスクカートリッジ200は、第1および第2の開閉スライダー151、152と第1および第2のディスク収納部221、222によるリンク機構の働きによって、ディスク収納部220を閉塞するとともに、ガイド壁61a、61bにガイドされながら矢印60B方向へ排出される。
【0123】
このとき、前述した開放動作の場合と同様に、第1および第2のディスク収納部221、222は、連動部221b、222bによって、互いに逆方向に連動して回転する。また、第1および第2の開閉スライダー151、152は、ディスクカートリッジ200の排出方向(矢印60B)に対して、対称に構成されている。このため、ディスクカートリッジ200の移動直進性が排出時においても確保される。
【0124】
また、前述した開放動作の場合と同様に、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152c近傍部分が、第1および第2のディスク収納部221、222の底面に当接することにより、第1および第2のディスク収納部221、222の底面を支持する。これにより、ディスクカートリッジ200を矢印60B方向に排出する動作中における、第1および第2のディスク収納部221、222の高さ方向のガイドを行う。
【0125】
このとき、ディスクカートリッジ200の第1および第2のロック部材231、232は、ロック解除部62a、62bと当接していない。しかし、第1および第2のディスク収納部221、222が矢印221B方向、222B方向に回動することにより、第1および第2のディスク収納部221、222の係止部221c、222cが、第1および第2のロック部材231、232の係止レバー部231b、232bと当接して、第1および第2のロック部材231、232を矢印231A方向、矢印232A方向に回動させる。
【0126】
図7に示す状態から、第1および第2のレバー付勢バネ153、154の付勢力によって、さらにディスクカートリッジ200が矢印60B方向に排出されると、第1および第2の開閉スライダー151、152は、矢印151A方向、矢印152A方向へのスライド動作を続ける。これにより、第1および第2のディスク収納部221、222は矢印221B方向、矢印222B方向に回動し、図6に示すように、開口部220wがディスク収納部220によって完全に閉塞される。
【0127】
このとき、ロック解除部62aおよび62bは、第1および第2のロック部材231、232の操作部231c、232cと当接し、第1および第2のロック部材231、232をそれぞれ矢印231A方向および矢印232A方向に回動させる。このため、第1および第2のディスク収納部221、222の係止部221c、222cと、第1および第2のロック部材231、232の係止レバー部231b、232bとは離間した状態にあり、第1および第2のディスク収納部221、222はロックされていない。
【0128】
図6に示す状態から、第1および第2の開閉スライダー151、152が、スライダー付勢バネ153の付勢力によって、それぞれ矢印151A方向、矢印152A方向へ移動し続けると、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cが、第1および第2のディスク収納部221、222の切り欠き部221d、222dの内壁に当接しながら、ディスクカートリッジ200を矢印60B方向へ排出する。
【0129】
そして、図5に示すように、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cが、第1および第2のディスク収納部221、222の切り欠き部221d、222dに設けられた係止用当接面221f、222fに当接することで、スライダー付勢バネ153の付勢力によるディスクカートリッジ200の矢印60B方向への排出が終了する。
【0130】
この係止用当接面221f、222fの当接により、スライダー付勢バネ153の付勢力よる矢印60B方向へのディスクカートリッジ200の飛び出しを押さえ、ディスク装置501からディスクカートリッジ200が脱落するのを防止する。
【0131】
このとき、第1および第2のロック部材231、232の操作部231c、232cはロック解除部62aおよび62bと離間するため、第1および第2のロック部材231、232は、弾性部231d、232dの弾性力により、それぞれ矢印231B方向および矢印232B方向に回動する。このため第1および第2のディスク収納部221、222の係止部221c、222cと、第1および第2のロック部材231、232の係止レバー部231b、232bが係合し、第1および第2のディスク収納部221、222は、矢印221A方向、222A方向へ回転しないようロックされる。
【0132】
図5に示す状態から、操作者によって、ディスクカートリッジ200が矢印60B方向に引き出されると、第1および第2の開閉スライダー151、152は、スライダー付勢バネ153の付勢力に抗して、それぞれ矢印151B方向、矢印152B方向にスライドし、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cが、第1および第2のディスク収納部221、222の係止用当接面221f、222fを滑りながら移動する。
【0133】
そして、図4に示すように、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cは、第1および第2のディスク収納部221、222の外形側面に当接し、第1および第2のディスク収納部221、222の係止用当接面221f、222fの係合が外れ、ディスクカートリッジ200の保持が解除される。これにより、ディスクカートリッジ200をカートリッジホルダ60から取り出すことができるようになる。
【0134】
さらに、操作者によって、ディスクカートリッジ200を矢印60B方向に取り出すことで、ディスクカートリッジ200がカートリッジホルダ60から完全に排出されて、カートリッジ開閉機構150の閉塞動作が完了する。
【0135】
なお、スライダー付勢バネ153の付勢力が十分に大きい場合、上述したように、第1および第2の開閉スライダー151、152が、それぞれ矢印151A方向、矢印152A方向へスライドすることにより、ディスクカートリッジ200を図6に示す状態から図5に示す状態へ移動させることができる。しかし、スライダー付勢バネ153の付勢力に対して、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cと第1および第2のディスク収納部221、222の切り欠き部221d、222dの内壁のとの摩擦力が大きい場合には、図6に示す状態でスライダー付勢バネ153の付勢力によるディスクカートリッジ200の矢印60B方向への排出が終了する可能性がある。このような場合、カートリッジホルダ60からのディスクカートリッジ200の排出量は減少するが、操作者によって、ディスクカートリッジ200を矢印60B方向に取り出すことにより、図5の状態を経由して図4に示す状態をとる。したがって、なんら問題なくディスクカートリッジ200をカートリッジホルダ60から取り出すことができる。
【0136】
以上のように、本実施形態のディスク装置では、リンク機構を利用することにより、ディスクカートリッジ200の挿入/排出動作に同期して、第1および第2のディスク収納部221、222の開放および閉塞を行っている。このリンク機構の動作をさらに説明する。
【0137】
図9は、本発明のディスク装置におけるカートリッジ開閉機構150の動作原理を示すリンク機構の模式図である。なお、図9において、図4から図8に示す構成要素と同じ構成要素には同一の参照符号を付している。ただし、各構成要素は模式的に示されている。また、図9において、第1および第2の開閉スライダー151、152と、第1および第2のディスク収納部221、222が、実線で示された状態は、図6に示す状態と対応しており、破線で示された状態は、図8に示す状態と対応している。さらに、151’などの「’」が付された参照番号は、破線で示された状態(図8の状態)となったときの各要素を示す。線分Lは、矢印60A方向および矢印60B方向に平行でディスク10の回転軸を含む平面を示す。
【0138】
図9において実線で示すように、第1の開閉スライダー151の第1の係合部151cと第1のディスク収納部221の係合部221eとが係合することにより、第1の開閉スライダー151と第1のディスク収納部221とによる第1のリンク機構が構成される。同様に、第2の開閉スライダー152の第2の係合部152cと第2のディスク収納部222の係合部222eとが係合することにより、第2の開閉スライダー152と第2のディスク収納部222とによる第2のリンク機構が構成される。第1および第2の開閉スライダー151、152と、第1および第2のディスク収納部221、222は、線分Lに対して、対称に構成されているので、第1および第2のリンク機構も線分Lに対して対称に構成される。
【0139】
第1および第2のリンク機構において、第1および第2の開閉スライダー151、152は、第1および第2のスライダーガイド部60a、60bに沿ってスライド動作するスライダーである。第1および第2のディスク収納部221、222の回転支軸212a、212bは、下部支持ベース部材212がガイド壁61a、61bによって、矢印60A方向および矢印60B方向にガイドされることにより、矢印60A方向および矢印60B方向への移動する自由度を持つスライダーとして機能するリンク機構の支軸である。したがって、第1および第2のリンク機構は、2つのスライダーを連接リンクによって連結したリンク機構(両スライダークランク機構)として動作することになる。
【0140】
ディスクカートリッジ200の挿入動作により、回転支軸212a、212bは、矢印60A方向へ移動し、回転支軸212a’、212b’の位置に到達する。回転支軸212aが、回転支軸212a’の位置へ移動すると、第1の開閉スライダー151は第1のスライダーガイド部60aに沿って矢印151B方向にスライド動作する。その結果、係合部151c(係合部221e)が、係合部151c’(係合部221e’)の位置へ移動する。これに伴って、連接リンクとして機能する第1のディスク収納部221は矢印221A方向に回動しながら矢印60A方向に移動する。このようにして、第1のリンク機構は破線で示す状態に移動する。
【0141】
同様に、矢印60Aにしたがって、回転支軸212bが、回転支軸212b’の位置へ移動すると、第2の開閉スライダー152は第2のスライダーガイド部60bに沿って矢印152B方向にスライド動作する。その結果、第2の係合部152c(係合部222e)が、第2の係合部152c’(係合部222e’)の位置へ移動する。これに伴って、連接リンクとして機能する第2のディスク収納部222は矢印222A方向に回動しながら矢印60A方向に移動する。このようにして、第2のリンク機構は破線で示す状態に移動する。
【0142】
このとき、第1および第2のディスク収納部221、222が、互いに噛み合う連動部221b、222bによって、互いに逆方向に連動して回転する。このため、図9における第1および第2のディスク収納部221、222と挿入/排出方向とのなす角度の関係は、実線で示す状態において、α1=α2となり、破線で示す状態においてα1’=α2’となる。第1および第2のリンク機構は線分Lに対して対称に構成されているため、第1および第2のディスク収納部221、222と第1および第2のスライダーガイド部60a、60bとなす角度の関係も同様に、実線で示す状態において、β1=β2となり、破線で示す状態においてβ1’=β2’となる。
【0143】
したがって、第1の開閉スライダー151および第1のディスク収納部221で構成される第1のリンク機構と、第2の開閉スライダー152および第2のディスク収納部222で構成される第2のリンク機構とは、ディスクカートリッジ200の挿入方向(矢印60A方向)に対して対称的に動作する。これにより、挿入動作時におけるディスクカートリッジ200の挿入方向への動作直進性を確保することができる。
【0144】
ディスクカートリッジ200の排出動作では、スライダー付勢バネ153の付勢力によって、第1および第2の開閉スライダー151、152が第1および第2のスライダーガイド部60a、60bに沿ってスライド動作する。このため、係合部151c’、152’(係合部221e’、222’)は、それぞれ挿入時と逆方向である矢印151A方向、矢印152A方向に移動し、第1および第2の係合部151c、152c(係合部221e、222e)の位置に到達する。
【0145】
係合部151c’(係合部221e’)が、矢印151A方向に移動し、係合部151c(係合部221e)の位置へ到達すると、回転支軸212aは、矢印60B方向へ移動する。これに伴って、連接リンクとして機能する第1のディスク収納部221は矢印221B方向に回動しながら矢印60B方向に移動し、第1のリンク機構は実線で示す状態に移動する。
【0146】
同様に、第2の係合部152c’(係合部222e’)が矢印152A方向に移動し、第2の係合部152c(係合部222e)の位置へ到達すると、回転支軸212bは、矢印60B方向へ移動する。これに伴って、連接リンクとして機能する第2のディスク収納部222は矢印222B方向に回動しながら矢印60B方向に移動し、第2のリンク機構は実線で示す状態に移動する。
【0147】
このとき、挿入時と同様に、図9における第1および第2のディスク収納部221、222と挿入/排出方向とがなす角度の関係は、実線で示す状態においてα1=α2となり、破線で示す状態においてα1’=α2’となる。第1および第2のリンク機構が線分Lに対して対称に構成されているため、第1および第2のディスク収納部221、222と第1および第2のスライダーガイド部60a、60bとなす角度の関係も同様に、実線で示す状態においてβ1=β2となり、破線で示す状態においてβ1’=β2’のとなる。
【0148】
したがって、第1の開閉スライダー151および第1のディスク収納部221で構成される第1のリンク機構と、第2の開閉スライダー152および第2のディスク収納部222で構成される第2のリンク機構とは、ディスクカートリッジ200の排出方向(矢印60B方向)に対して、対称的に動作する。これにより、排出動作時におけるディスクカートリッジ200の排出方向への動作直進性を確保することができる。
【0149】
以上のように、第1および第2のリンク機構が、ディスクカートリッジ200の挿入/排出方向(線分L)に対して、対称に構成され、かつ、ディスク収納部220を介して同期して駆動されることにより、ディスクカートリッジ200は、安定して挿入/排出される。また、同時にディスク収納部220の開放/閉塞を行うことができる。
【0150】
なお、ディスクカートリッジ200は、第1および第2のディスク収納部221、222に設けられた連動部221b、222bによって、互いに逆方向へ連動して回動をすることができる。このためため、カートリッジ開閉機構150が1つの開閉スライダーしか備えていなくても、原理的にはディスクカートリッジ200のディスク収納部220を開閉することが可能である。
【0151】
しかしながら、ディスクカートリッジ200は、開口部220wを開放すると、ハウジング機能を有するディスク収納部220が回動し、ディスクカートリッジ200の投影面積が大きくなる。このため、ディスクカートリッジ200の外形側面を使った挿入/排出のガイド壁61a、61bは、ディスク装置501のホルダ開口部60s近傍にしか設けることができない。したがって、後述するように、ディスクカートリッジ200の挿入/排出動作を安定に行うには、ディスクカートリッジ200の先端部であるディスク収納部220をガイドすることが好ましい。
【0152】
図10は、本実施形態のディスク装置501において、第1の開閉スライダー151を除去し、第2の開閉スライダー152のみでカートリッジ開閉機構を構成した場合の動作を示している。
【0153】
図10に示すように、操作者によってディスクカートリッジ200を矢印60A方向に挿入する。この場合、第2の開閉スライダー152の第2の係合部152cと、第2のディスク収納部222の係合部222eの係合により、第2の開閉スライダー152が矢印152B方向にスライドして、第2のディスク収納部222を矢印222A方向に回動する。これに伴い、連動部221b、222bのかみ合いによって、第1のディスク収納部221も矢印212A方向に回動を行う。
【0154】
しかしながら、ディスクカートリッジ200は、カートリッジホルダ60のガイド壁61a、61bでしか、矢印60A方向へ移動可能にガイドされていない。このため、ディスクカートリッジ200のディスク装置501の後方側では、第2の開閉スライダー152によって、片側の第2のディスク収納部222のみが支持されている。
【0155】
操作者の矢印60A方向への挿入動作によって、第2のディスク収納部222は、第2の開閉スライダー152とリンク機構を構成する。このため、第2のディスク収納部222が安定して支持され、矢印222A方向へ回動する。一方、第1のディスク収納部221は、連結部221b、222bのかみ合いにより、矢印212A方向へ回動する。しかし、第1の開閉スライダー151がないため、ガイドが不十分となり、第1のディスク収納部221と第2のディスク収納部222とに作用する負荷が不均衡になる。
【0156】
その結果、矢印200Aで示すように、負荷の重い第2のディスク収納部222側にディスクカートリッジ200は傾きながら挿入され、ディスクカートリッジ200を正しく挿入することが困難となる。また、ディスク収納部220を正しく開放することも困難となる。
【0157】
また、仮に正しくディスクカートリッジ200を挿入できたとしても、第2のディスク収納部222は、第2の開閉スライダー152との係合によって前述したとおり、トラバースベース20に対して正しく位置決めされるのに対し、第1のディスク収納部221は、連動部221bと222bとのかみ合いによってのみ、開放時の位置が決まる。その結果、開口部220wの開口精度が大きく低下してしまう。
【0158】
これは、連動部221bが回動軸212a近傍に位置しているため、かみ合い時のわずかな勘合ガタによる誤差が、第1のディスク収納部221の先端では非常に大きく拡大されるからである。また、第1のディスク収納部221は、開放時は連動部221bと222bのかみ合いでのみ保持されているため、外乱に対して、矢印221A方向または221B方向に回転しやすいことも開口精度を低下させる原因となる。
【0159】
したがって、1つの開閉スライダーのみで、ディスク収納部220の開閉を行うことは、ディスクカートリッジ200の挿入/排出動作を不安定にし、さらに、開口部220wの開放の精度を劣化させる。よって、シャッタ機能とハウジング機能を兼ねた第1および第2のディスク収納部221、222により、開口部220wを開放および閉塞するディスクカートリッジ200のカートリッジ開閉機構150としては好ましくない。
【0160】
なお、ディスクカートリッジ200では、図8に示すように、開口部220wを開放した状態では、ハウジング機能を有するディスク収納部220が回動して、閉塞した状態のディスクカートリッジ200に対して投影面積が大きくなる。このため、ディスク装置501のホルダ開口部60sに設けたガイド壁61a、61bのガイド幅は、開放した状態の第1および第2のディスク収納部221、222で構成されるディスクカートリッジ200の幅よりも狭い。
【0161】
その結果、仮に何らかの原因(例えば、ばらつきや部品故障など)により、第1および第2の開閉スライダー151、152によって、ディスクカートリッジ200を所定の位置まで排出できず、操作者によって外部から強制的にディスクカートリッジ200を矢印60B方向に取り出す場合においても、開放していた第1および第2のディスク収納部221、222がホルダ開口部60sに設けられたガイド壁61a、61bによって閉じるように駆動される。このため、第1および第2のディスク収納部221、222は閉塞した状態で取り出すことができる。
【0162】
また、本実施形態では、第1および第2の開閉スライダー151、152を、第1および第2のスライダーガイド部60a、60bに沿って、ディスクカートリッジ200の挿入/排出方向(矢印60A方向/矢印60B方向)に対して、略直交する方向にスライド動作するように構成している。
【0163】
このため、図11に示すように、ディスク装置501に対して、ディスクカートリッジ200を前後を逆向きに挿入した場合、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cが、ディスクカートリッジ200の挿入/排出方向(矢印60A方向/矢印60B方向)に対して直交する平ら外形側面に当接する。これにより、第1および第2の係合部151c、152cには、ディスクカートリッジ200の挿入方向への力のみが加わる。
【0164】
しかし、第1および第2の開閉スライダー151、152は、第1および第2のスライダーガイド部60a、60bによって挿入方向(矢印60A方向)に対して略直交する方向にのみスライド動作する。このため、第1および第2の係合部151c、152cに挿入方向(矢印60A方向)へのみ外力が加わっても、第1および第2の開閉スライダー151、152が矢印151B方向、矢印152B方向へスライド動作しない。このため、ディスクカートリッジ200を前後逆向きで挿入しようとしても、ディスク装置501の内部へ挿入することはできない。
【0165】
したがって、カートリッジ開閉機構150を構成する第1および第2の開閉スライダー151、152をディスクカートリッジ200の挿入/排出方向(矢印60A方向/矢印60B方向)に対して、略直交する方向にスライド動作させることにより、操作者によって逆向きに挿入されたディスクカートリッジ200の誤挿入を防止することができる。また、第1および第2の開閉スライダー151、152が、ディスクカートリッジ200の誤挿入防止機構を兼ねるため、部品点数の削減を行うことができる。
【0166】
また、本実施形態では、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cが、第1および第2のディスク収納部221、222に設けられた係止用当接面221f、222fにそれぞれ当接することにより、第1および第2の開閉スライダー151、152が第1および第2のディスク収納部221、222から脱落するのを防止しているが、どちらか一方のみが当接する場合でも同様な効果を得ることができる。
【0167】
また、本実施形態では、トラバースベース20上にカートリッジ位置決めピン21、22を設け、ディスクカートリッジ200の位置決めを行っているが、トラバースベース20以外にピンを設け、ディスクカートリッジ200の位置決めを行ってもよい。また、スライダー位置決めピン25、26は、トラバースベース20に設けられているが、他の部材に設けてもよい。
【0168】
また、本実施形態では、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cが、第1および第2のディスク収納部221、222の係止用当接面221f、222fと係合することにより、排出時のディスクカートリッジ200の飛び出しを防止している。しかし、飛び出し防止のための別の機構をディスク装置501に設けてもよいし、ゴムシートなどの摩擦部材によって、ディスクカートリッジ200の飛び出しを防止してもよい。
【0169】
また、本実施形態では、カートリッジホルダ60をトラバースベース20に対して、傾斜させることにより、ディスクモータ30および光ヘッド40との干渉を避けて、ディスクカートリッジ200の挿入/排出動作を実現しているが、公知の機構を利用して、ディスクモータ30および光ヘッド40との干渉を防止してもよい。例えば、カートリッジホルダ60をトラバースベース20に対して、略平行に上昇させたり、カートリッジホルダ60に対して、トラバースベース20を傾斜させることにより、ディスクカートリッジ200の挿入/排出を行っても同様の効果を得ることができる。
【0170】
また、本実施形態では、カートリッジホルダ60にディスクカートリッジ200を直接挿入/排出することで、ディスク収納部220の開放/閉塞を行っている。しかし、例えば、新たに駆動源を追加して、トレイやホルダなどの搬送部材にディスクカートリッジ200を載置または保持して、この搬送部材をディスク装置に対して挿入/排出するローディング方式を用いても同様の効果を得ることができる。
【0171】
また、本実施形態では、トラバースベース20上のスライダー位置決めピン25、26により、第1および第2の開閉スライダー151、152の位置決めを行い、開口部220wの開放領域の精度を高めている。しかし、各構成部品の加工精度を高めたり、構成部品の精度ばらつきや、位置決めピンの勘合ガタなどを考慮して、第1および第2の開閉スライダー151、152と、第1および第2のディスク収納部221、222との一対のリンク機構によって決まる開口部220wの開放領域を、ばらつきの下限でも十分確保できるように、大きめに設定すれば、スライダー位置決めピン25、26を省くことが可能である。
【0172】
このように、本実施形態のディスク装置は、シャッタ機能とハウジング機能を兼ね備えた第1および第2のディスク収納部221、222により、開口部220wを開放および閉塞するディスクカートリッジ200に好適に適合する。
【0173】
具体的には、第1のディスク収納部221に設けられた切り欠き部221dおよび第2のディスク収納部222に設けられた切り欠き部222dの各々に係合する第1および第2の開閉スライダー151、152を、ディスクカートリッジ200の挿入/排出方向(矢印60A方向/矢印60B方向)に対して対称に配置し、ディスクカートリッジ200の挿入/排出動作に同期して回動させることにより、第1および第2のディスク収納部221、222の開放または閉塞を行うことができる。また、ディスクカートリッジ200の動作直進性を確保でき、極めて安定した挿入/排出動作を実現できる。
【0174】
また、ディスクカートリッジ200の挿入または排出動作中、第1および第2のディスク収納部221、222のそれぞれの保持を第1および第2の開閉スライダー151、152によって行うため、振動や衝撃などの外乱がある場合いても、安定した挿入/排出動作を行うことができる。
【0175】
また、第1および第2の開閉スライダー151、152を第1および第2のディスク収納部221、222を閉塞する方向に付勢する付勢バネの付勢力を利用するため、操作者によるディスクカートリッジ200の挿入動作時には、第1および第2の開閉スライダー151、152の回動に適度な動作負荷を与え、第1および第2の開閉スライダー151、152が第1および第2のディスク収納部221、222と確実に係合し、ディスク収納部の開放動作を行うことができる。排出動作時には、付勢バネの付勢力によってディスクカートリッジ200を自動的に排出させることができ、かつ、第1および第2のディスク収納部221、222の閉塞動作を確実に行うことができる。
【0176】
これにより、ディスクカートリッジ200の挿入/排出動作における操作性(マンマシーンインターフェースにおける操作感)を付勢バネの付勢力によって、一義的にコントロールできるとともに、ディスクカートリッジ200の挿入/排出動作に必要な駆動源および駆動機構を省くことができる。したがって、ディスク装置を構成する部品の点数を大幅に削減でき、ディスク装置の軽量化と低コスト化を実現できる。
【0177】
また、カートリッジホルダ60に設けられたガイド壁61a、61bの一部にロック解除部62a、62bを構成することにより、ディスクカートリッジ200の外形形状に対するロック解除部62a、62bの位置精度が向上するため、第1および第2のロック部材231、232を確実に押圧することができ、一連の挿入/排出動作時におけるディスカートリッジ200に設けられた第1および第2のロック部材231、232のロック解除動作を最適なタイミングで確実に行うことができる。
【0178】
また、カートリッジ開閉機構150を、ディスク装置501のホルダ開口部60s側に設けることにより、光ヘッド40と第1および第2の開閉スライダー151、152との干渉を避け、光ヘッド40の設計自由度の拡大を図るともに、光ヘッド40と第1および第2の開閉スライダー151、152の重畳を避けディスク装置の薄型化を実現することができる。
【0179】
また、第1および第2の開閉スライダー151、152ならびにスライダー付勢バネ153で構成されるカートリッジ開閉機構150をディスクカートリッジ200の下方に平面的に配置することにより、ディスク10の回転軸方向におけるディスクカートリッジ200の投影領域外のスペースを他の構成要素の配置に利用することができる。たとえは、カートリッジホルダ60の強度を向上させたり、新たな機構を配置したりするなど、ディスク装置の設計自由度が高められる。
【0180】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明によるディスク装置の第2の実施形態を詳細に説明する。
【0181】
図12は、本発明によるディスク装置の第2の実施形態であって、ディスクカートリッジ200を装填することが可能なディスク装置502の平面図である。図12に示すように、ディスク装置502において、カートリッジ開閉機構150の第1および第2の開閉スライダー151、152をガイドする第1および第2のスライダーガイド部60a’、60b’は、ディスクカートリッジ200を挿入/排出する方向に対して、非平行かつ非直交する方向に傾斜している。つまり、第1の実施形態と第1および第2のスライダーガイド部の伸びる方向が異なっているだけであり、その他の構造は第1の実施形態と同じである。したがって、ディスク装置502において第1の実施形態と同じ構成要素には同一または相当する参照符号を付し、繰り返しを避けるため詳細な説明を省略する。
【0182】
図12に示すように、第1および第2のスライダーガイド部60a’、60b’は挿入/排出する方向(60A/60B)と直交する方向に対しβの角度で傾斜する方向に伸びている。このため、第1および第2のスライダーガイド部60a’、60b’と係合第1および第2の開閉スライダー151、152も挿入/排出する方向(60A/60B)と直交する方向に対しβの角度を有する方向にスライド動作する。その結果、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cは、ディスクカートリッジ200の挿入の際、ディスクカートリッジ200が装填された状態における位置よりもホルダ開口部60s側において、ディスクカートリッジ200と係合を開始する。つまり、第1および第2のディスク収納部221、222が閉塞した状態における第1および第2の係合部151c、152cの位置は、ディスクカートリッジ200が装填され、第1および第2のディスク収納部221、222が開放した状態における第1および第2の係合部151c、152cの位置よりもホルダ開口部60s側である。 まず、図13を参照しながら、本実施形態においてディスクカートリッジ200がディスク装置502に挿入される場合に第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cに作用する力を説明する。
【0183】
前述したとおり、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cと、第1および第2のディスク収納部221、222とにより構成される第1および第2のリンク機構は線分Lに対して対称に構成されている。このため、図13に示すように、ディスクカートリッジ200を矢印60A方向に挿入する力をPとすると、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cには、挿入方向と同じ方向にP/2の力がそれぞれ作用する。
【0184】
第1および第2の係合部151c、152cが、図13に示すように切り欠き部221d、222dと係合している状態では、第1および第2のロック部材231、232のロック解除動作が完了しており、第1および第2のディスク収納部221、222は回転支軸212a、212bを中心に回動可能な状態にある。このため、第1および第2の係合部151c、152cにP/2の力がそれぞれ作用すると、第1および第2のディスク収納部221、222は第1および第2の係合部151c、152cから抗力を受け、この抗力による回転支軸212a、212b回りのモーメントが生じる。
【0185】
その結果、第1および第2の係合部151c、152cには第1および第2のディスク収納部221、222が回転支軸212a、212bを中心として回転する場合の接線方向に力が働く。接線方向の力と、挿入方向に働くP/2の力の合力は挿入/排出方向と角度αをなす方向に働き、その大きさは、(P/2)cosαとなる。この合力のうち、第1および第2の開閉スライダー151、152をスライド動作させるための力は、第1および第2のスライダーガイド部60a、60b(60a’、60b’)と第1および第2のディスク収納部221、222とでなす角度によって決まる。
【0186】
第1の実施形態の場合、第1および第2のスライダーガイド部60a、60bと第1および第2のディスク収納部221、222とがなす角度γは、第1および第2のスライダーガイド部60a、60bが挿入/排出方向に対して直交していることから、角度γ=(90°−α)となる。したがって、図13に示すように、第1および第2のスライダーガイド部60a、60bに沿って第1および第2の開閉スライダー151、152をスライド動作させるために働く力F1は、F1=(P/2)cosα・cosγとなる。
【0187】
一方、第2の実施形態の場合、第1および第2のスライダーガイド部60a’、60b’は挿入/排出方向と直交する方向に対して角度βだけ傾斜していることから、第1および第2のスライダーガイド部60a’、60b’と第1および第2のディスク収納部221、222とがなす角度は(γ−β)となる。したがって、図13に示すように、第1および第2のスライダーガイド部60a’、60b’に沿って第1および第2の開閉スライダー151、152をスライド動作させるために働く力F2は、F2=(P/2)cosα・cos(γ−β)となる。
【0188】
図13に示すように、角度βが0°<β<γの範囲では、cosγ<cos(γ−β)の関係を満たすため、力F1より力F2が大きくなる(F1<F2)。したがって、第1および第2のスライダーガイド部60a’、60b’の方向を挿入/排出方向と直交する方向に対して角度β傾斜させることによって、同じ力でディスクカートリッジ200を挿入しても、第1の実施形態に比べて第2の実施形態のほうが第1および第2の開閉スライダー151、152をスライド動作させやすくなる。言い換えると、スライド動作の負荷が第1の実施形態とび第2の実施形態とで同じであれば、第2の実施形態のほうがより小さな力でディスクカートリッジ200の挿入することができ、操作者の操作性の向上を図ることができる。
【0189】
なお、上述したcosγ<cos(γ−β)の関係を満足するのは、角度βが0°<β<2γの関係を満たす場合である。たとえば、本実施形態におけるカートリッジ開閉機構150の開放動作開始位置である図6と図16に示す場合とを比較すると、α=30°、β=15°である。それぞれの値を上述した関係式に代入すると、F1=0.217×P、F2=0.306×Pとなる。したがって、F1とF2とは、F2=1.4×F1の関係を満たす。したがって、第1および第2の実施形態において、スライド動作の負荷が同じ程度である場合、ディスク装置502へディスクカートリッジ200を挿入する際に要する力は、第1の実施形態のディスク装置501の場合に比べ1/1.4倍となる。つまり、ディスクカートリッジ200を挿入する力は第1の実施形態よりも小さくてすむ。したがって、第1および第2のスライダーガイド部60’、60b’を傾斜させることにより、第1および第2の開閉スライダー151、152のスライド動作を改善し、操作者の操作性の向上が図れる。
【0190】
次に、ディスク装置502におけるカートリッジ開閉機構150の動作を説明する。前述したように、本実施形態は、第1の実施形態と第1および第2のスライダーガイド部60a’、60b’の方向が異なるだけであり、第1および第2の開閉スライダー151、152が第1および第2のスライダーガイド部60a’、60b’に沿ってスライドし、第1および第2のディスク収納部221、222を開閉する動作は、基本的に第1の実施形態と同じである。
【0191】
まず、図14から図18を参照しながら、ディスクカートリッジ200をディスク装置502のカートリッジホルダ60に挿入した場合のカートリッジ開閉機構150の開放動作を説明する。図14から図18に示すディスク装置502の状態は、第1の実施形態のディスク装置501の図4から図8に示す状態に対応する。
【0192】
図14に示すように、操作者がディスクカートリッジ200をホルダ開口部60sから、矢印60Aで示すようにカートリッジホルダ60の内部へ挿入する。ディスクカートリッジ200は、挿入方向(矢印60A)に直交するディスクカートリッジ200の幅方向をカートリッジホルダ60のガイド壁61a、61bによってガイドされながら、カートリッジホルダ60内部へ挿入される。
【0193】
第1および第2の開閉スライダー151、152は、カートリッジホルダ60のストッパ部60cに当接することにより、所定の待機位置で保持されている。このとき、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cの間隔はガイド壁61a、61bの間隔より狭くなっている。このため、ディスクカートリッジ200の挿入が進むと、第1および第2の係合部151c、152cがディスクカートリッジ200の第1および第2のディスク収納部221、222の外形側面と当接する。
【0194】
このとき、ガイド壁61a、61bの設けられたロック解除部62a、62bは、ディスクカートリッジ200のロック解除用スリット200a、200bを通過する。
【0195】
図14に示す状態から、さらにディスクカートリッジ200を矢印60A方向に挿入すると、図15に示すように、第1の開閉スライダー151は、第1の開閉スライダー151の第1の係合部151cと、第1のディスク収納部221の外形側面との当接によって、スライダー付勢バネ153のバネ力に抗して、第1のスライダーガイド部60a’に沿って矢印151B方向にスライドする。その後、第1の開閉スライダー151は再びスライダー付勢バネ153のバネ力によって矢印151A方向にスライドし、第1の係合部151cは、第1のディスク収納部221の切り欠き部221dに設けられた係止用当接面221fと当接する位置へ移動する。
【0196】
同様に、第2の開閉スライダー152は、第2の開閉スライダー152の第2の係合部152cと、第2のディスク収納部222の外形側面との当接によって、スライダー付勢バネ153のバネ力に抗して、第2のスライダーガイド部60b’に沿って矢印152B方向にスライドする。その後、第2の開閉スライダー152は再びスライダー付勢バネ153のバネ力によって、矢印152A方向にスライドし、第2の係合部152cは、第2のディスク収納部222の切り欠き部222dに設けられた係止用当接面222fと当接する位置へ移動する。
【0197】
図15の状態から、さらにディスクカートリッジ200を矢印60A方向に挿入すると、図16に示すように、第1の開閉スライダー151の第1の係合部151cは、スライダー付勢バネ153の付勢力により、第1のディスク収納部221の切り欠き部221dの内壁に当接しながら移動し、切り欠き部221dに設けられた半円弧上の係合部221eに到達し、係合部221eと係合する。これにより、第1の開閉スライダー151と第1のディスク収納部221によって、第1のリンク機構が構成される。
【0198】
同様に、第2の開閉スライダー152の第2の係合部152cは、スライダー付勢バネ153の付勢力により、第2のディスク収納部222の切り欠き部222dの内壁に当接しながら移動し、切り欠き部222dに設けられた半円弧上の係合部222eに到達し、係合部222eと係合する。これにより、第2の開閉レバー152と第2のディスク収納部222によって、第2のリンク機構が構成される。
【0199】
このとき、ロック解除部62aおよび62bが、第1および第2のロック部材231、232の操作部231c、232cを同時に押圧して、弾性部231d、232dを同時に変形させながら、第1および第2のロック部材231、232をそれぞれ矢印231A方向および矢印232A方向に回転させる。これにより、第1および第2のロック部材231、232の係止レバー部231b、232bは、第1および第2のディスク収納部221、222に設けられた係止部221c、222cからそれぞれ離間し、ロック状態が解除される。その結果、第1および第2のディスク収納部221、222が、それぞれ矢印221A方向および222A方向に回転可能となる。
【0200】
図16の状態から、さらにディスクカートリッジ200を矢印60A方向に挿入すると、図17に示すように、第1の開閉スライダー151と第1のディスク収納部221で構成される第1のリンク機構、および、第2の開閉スライダー152と第2のディスク収納部222で構成される第2のリンク機構によって、第1および第2の開閉スライダー151、152は、それぞれ第1および第2のスライダーガイド部60a’、60b’に沿って矢印151B方向、矢印152B方向へスライド動作を開始する。これに連動して、第1および第2のディスク収納部221、222は、回転支軸212a、212bを中心にそれぞれ矢印221A方向、矢印222A方向に回転を開始する。
【0201】
このとき、第1および第2のディスク収納部221、222が、互いに噛み合う連動部221b、222bによって、互いに逆方向に連動して回転するため、第1および第2の開閉スライダー151、152は、第1および第2のディスク収納部221、222を介して、互いに逆方向に連動して回動する。
【0202】
第1の実施形態で説明したように、ディスクカートリッジ200を矢印60A方向に挿入している途中において、ディスクカートリッジ200は、対称に構成された第1および第2の開閉スライダー151、152によって、動作直進性を確保し、かつ、高さ方向にもガイドされる。その結果、安定にディスク収納部220の開放動作が行われる。
【0203】
図17の状態から、さらにディスクカートリッジ200を矢印60A方向に挿入すると、図18に示すように、ディスクカートリッジ200はカートリッジホルダ60の内部に挿入され、第1および第2のディスク収納部221、222が所定の角度まで回動する。その結果、ディスクカートリッジ200に開口部220wが形成される。
【0204】
このとき、カートリッジホルダ60に設けられた位置決め部材65が、開口部220wに侵入する。下部支持ベース部材212に設けられた位置規制部213a、213b、213cと位置決め部材65により、ディスク10の位置が制限され、開口部220wが開放した時のディスク10の中心位置の位置決めが行われる。
【0205】
操作者によって、カートリッジホルダ60を、図3(a)に示すようにトラバースベース20に対して所定の角度θだけ傾いた状態から、図3(b)に示すようにディスク10に対して記録・再生が可能な状態へ、矢印80B方向に回動すると、下部支持ベース部材212に設けられた位置決め穴215a、215bとトラバースベース20に設けられたカートリッジ位置決めピン21、22とが係合する。これにより、下部支持ベース部材212が、トラバースベース20に対して位置決めされる。同時に、第1および第2のディスク収納部221、222の回動軸である回転支軸212a、212bも、トラバースベース20に対して位置決めされる。
【0206】
さらに、第1および第2の開閉スライダー151、152に設けられた位置決め穴151d、152dにトラバースベース20に設けられたスライダー位置決めピン25、26が係合することによって、第1および第2の開閉スライダー151、152の位置決めが行なわれる。これにより、第1および第2のディスク収納部221、222をさらに精度良く開放し、開口部220wが完全に開放される。
【0207】
このとき、ディスク10は、ディスクモータ30のディスク載置面30aと、クランパ50(図示せず)とにより、クランプされ、回転可能な状態となる。また、下部カートリッジ本体212に設けられた位置規制部213a、213b、213cも同様に、トラバースベース20に対して位置決めされる。したがって、ディスク10に対して必要なクリアランスも確保される。
【0208】
また、図18に示すように、ディスク10の記録または再生状態では、ロック解除部62aおよび62bは、第1および第2のロック部材231、232の操作部231c、232cから離間している。このため、第1および第2のロック部材231、232の弾性部231d、232dは、弾性変形しない状態にある。これにより、第1および第2のロック部材231、232を樹脂で一体的に構成した場合に、弾性部231d、232dのクリープを防止することができる。
【0209】
以上のように、ディスクカートリッジ200を矢印60A方向に挿入し、図14に示す状態から図18に示す状態になることにより、第1の実施形態と同様にディスクカートリッジ200の開口部220wが完全に開放され、カートリッジ開閉機構150の開放動作が完了する。
【0210】
次に、ディスクカートリッジ200をカートリッジホルダ60から排出する場合のカートリッジ開閉機構150の閉塞動作を説明する。カートリッジ開閉機構150の閉塞動作は、前述した、カートリッジ開閉機構150の開放動作の逆手順で行われる。つまり、図18の状態から動作を開始し、ディスクカートリッジ200を矢印60B方向へ排出する動作によって、図14の状態となり、ディスク収納部220が完全に閉塞する。その後、ディスクカートリッジ200が装置外部へ排出される。図14から図18を参照しながら、カートリッジ開閉機構150の閉塞動作を説明する。
【0211】
図18に示すように、ディスクカートリッジ200がディスク装置502内に正しく装填された状態において、図3(b)に示す状態から、図3(a)に示すディスクカートリッジ200の挿入/排出を行う位置へ、操作者によってカートリッジホルダ60を矢印80A方向に回動する。これにより、下部支持ベース部材212に設けられた位置決め穴215a、215bに係合していたカートリッジ位置決めピン21、22と、第1および第2の開閉スライダー151、152に設けられた位置決め穴151d、152dに係合していたスライダー位置決めピン25、26の係合が外れる。その結果、前述した第1および第2のリンク機構を構成している各スライダー要素(第1および第2の開閉スライダー151、151と第1および第2のディスク収納部221、222の回転支軸212a、212b)の拘束状態が解除され、ディスクカートリッジ200は、カートリッジホルダ60のガイド壁61a、61bに沿って、矢印60A方向および矢印60B方向に移動可能になる。第1および第2の開閉スライダー151、152は、スライダー付勢バネ153の付勢力によって、それぞれ矢印151A方向、矢印152A方向にスライドを開始する。
【0212】
開放動作の場合とは逆に、第1および第2の開閉スライダー151、152の矢印151A方向、矢印152A方向への移動に応じて、第1および第2のディスク収納部221、222は、第1および第2の開閉スライダー151、152とのリンク機構によって、それぞれが矢印221B方向、矢印222B方向に回動し、ディスク収納部220の閉塞動作が開始される。
【0213】
図18の状態から、スライダー付勢バネ153の付勢力によって、第1および第2の開閉スライダー151、152が矢印151A方向、矢印152Aにスライド移動すると、図17に示すように、ディスクカートリッジ200は、第1および第2の開閉スライダー151、152と第1および第2のディスク収納部221、222によるリンク機構の働きによって、ディスク収納部220を閉塞するとともに、ガイド壁61a、61bにガイドされながら矢印60B方向へ排出される。
【0214】
このとき、前述した開放動作の場合と同様に、第1および第2のディスク収納部221、222は、連動部221b、222bによって、互いに逆方向に連動して回転する。また、第1および第2の開閉スライダー151、152は、ディスクカートリッジ200の排出方向(矢印60B)に対して、対称に構成されている。このため、ディスクカートリッジ200の移動直進性が排出時においても確保される。
【0215】
また、前述した開放動作の場合と同様に、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152c近傍部分が、第1および第2のディスク収納部221、222の底面に当接することにより、第1および第2のディスク収納部221、222の底面を支持する。これにより、ディスクカートリッジ200を矢印60B方向に排出する動作中における、第1および第2のディスク収納部221、222の高さ方向のガイドを行う。
【0216】
図17に示す状態から、スライダー付勢バネ153の付勢力によって、さらにディスクカートリッジ200が矢印60B方向に排出されると、第1および第2の開閉スライダー151、152は、矢印151A方向、矢印152A方向へのスライド動作を続ける。これにより、第1および第2のディスク収納部221、222は矢印221B方向、矢印222B方向に回動し、図16に示すように、開口部220wがディスク収納部220によって完全に閉塞される。
【0217】
このとき、ロック解除部62aおよび62bは、第1および第2のロック部材231、232の操作部231c、232cと当接し、第1および第2のロック部材231、232をそれぞれ矢印231A方向および矢印232A方向に回動させる。このため、第1および第2のディスク収納部221、222の係止部221c、222cと、第1および第2のロック部材231、232の係止レバー部231b、232bとは離間した状態にあり、第1および第2のディスク収納部221、222はロックされていない。
【0218】
図16に示す状態から、第1および第2の開閉スライダー151、152が、スライダー付勢バネ153の付勢力によって、それぞれ矢印151A方向、矢印152A方向へ移動し続けると、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cが、第1および第2のディスク収納部221、222の切り欠き部221d、222dの内壁に当接しながら、ディスクカートリッジ200を矢印60B方向へ排出する。
【0219】
そして、図15に示すように、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cが、第1および第2のディスク収納部221、222の切り欠き部221d、222dに設けられた係止用当接面221f、222fに当接することで、スライダー付勢バネ153の付勢力によるディスクカートリッジ200の矢印60B方向への排出が終了する。
【0220】
この係止用当接面221f、222fの当接により、スライダー付勢バネ153の付勢力よる矢印60B方向へのディスクカートリッジ200の飛び出しを押さえ、ディスク装置501からディスクカートリッジ200が脱落するのを防止する。
【0221】
このとき、第1および第2のロック部材231、232の操作部231c、232cはロック解除部62aおよび62bと離間するため、第1および第2のロック部材231、232は、弾性部231d、232dの弾性力により、それぞれ矢印231B方向および矢印232B方向に回動する。このため第1および第2のディスク収納部221、222の係止部221c、222cと、第1および第2のロック部材231、232の係止レバー部231b、232bが係合し、第1および第2のディスク収納部221、222は、矢印221A方向、222A方向へ回転しないようロックされる。
【0222】
なお、図15において、ディスクカートリッジ200の排出量D2は、第1の実施形態の図5における排出量D1に比べ、大きい(D2>D1)。これは、ディスクカートリッジ200が装填された状態における第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cの位置が第1および第2の実施形態において同じであるのに対して、第1および第2のスライダーガイド部60a’、60b’が角度βだけ傾斜しているからである。このため、第1および第2のディスク収納部221、222が閉塞した状態では、第1の実施形態に比べて、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cがホルダ開口部60s側(ドライブ前方側)に位置し、ディスクカートリッジ200の排出量が大きくなる。したがって、本実施形態によれば、操作者によって、ディスクカートリッジ200をディスク装置502から取り出す際の操作性が向上する。
【0223】
図15に示す状態から、操作者によって、ディスクカートリッジ200が矢印60B方向に引き出されると、第1および第2の開閉スライダー151、152は、スライダー付勢バネ153の付勢力に抗して、それぞれ矢印151B方向、矢印152B方向にスライドし、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cが、第1および第2のディスク収納部221、222の係止用当接面221f、222fを滑りながら移動する。
【0224】
そして、図14に示すように、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cは、第1および第2のディスク収納部221、222の外形側面に当接し、第1および第2のディスク収納部221、222の係止用当接面221f、222fの係合が外れ、ディスクカートリッジ200の保持が解除される。これにより、ディスクカートリッジ200をカートリッジホルダ60から取り出すことができるようになる。
【0225】
さらに、操作者によって、ディスクカートリッジ200を矢印60B方向に取り出すことで、ディスクカートリッジ200がカートリッジホルダ60から完全に排出されて、カートリッジ開閉機構150の閉塞動作が完了する。
【0226】
なお、本実施形態では、第1および第2のスライダーガイド部60a’、60b’がディスクカートリッジ200の挿入/排出方向と直交する方向に対して角度βで傾いている。このため、ディスクカートリッジ200が前後逆向きに挿入され、第1および第2の開閉スライダー151、152の第1および第2の係合部151c、152cにディスクカートリッジ200の平らな外形側面に当接した場合、第1および第2の開閉スライダー151、152は、第1および第2のスライダーガイド部60a’、60b’に沿ってスライド動作する。その結果、挿入方向(矢印60A方向)の外力が分散され、第1および第2の開閉スライダー151、152を矢印151B方向、矢印152B方向へスライド動作させる力は挿入方向の力よりも小さくなる。このため、逆向きに挿入されたディスクカートリッジ200をディスク装置502の内部へ挿入することが困難となり、実質的にディスクカートリッジ200の誤挿入を防止することできる。また、第1および第2の開閉スライダー151、152が、ディスクカートリッジ200の誤挿入防止機構を兼ねるため、部品点数を削減することもできる。なお、第1および第2の開閉スライダー151、152がスライド動作するのを抑制するためには、角度βは小さい方がより好ましく、これにより、誤挿入をより確実に防止することが可能となる。
【0227】
このように、本実施形態のディスク装置は、シャッタ機能とハウジング機能を兼ね備えた第1および第2のディスク収納部221、222により、開口部220wを開放および閉塞するディスクカートリッジ200に好適に適合する。
【0228】
具体的には、第1のディスク収納部221に設けられた切り欠き部221dおよび第2のディスク収納部222に設けられた切り欠き部222dの各々に係合する第1および第2の開閉スライダー151、152を、ディスクカートリッジ200の挿入/排出方向(矢印60A方向/矢印60B方向)に対して対称に配置し、ディスクカートリッジ200の挿入/排出動作に同期して回動させることにより、第1および第2のディスク収納部221、222の開放または閉塞を行うことができる。また、ディスクカートリッジ200の動作直進性を確保でき、極めて安定した挿入/排出動作を実現できる。
【0229】
また、第1および第2のスライダーガイド部60a’、60b’をディスクカートリッジ200の挿入/排出方向に対して傾斜させることにより、ディスクカートリッジ200の挿入時の負荷を低減するとともに、排出時のディスクカートリッジ200の排出量を大きくできる。これにより、ディスクカートリッジ200を挿入排出する際の操作性のより向上させることができる。
【0230】
以上、第1および第2の実施形態として説明したように、本発明のディスク装置によれば、ディスクカートリッジの挿入時には、第1および第2の開閉スライダーの第1および第2の係合部の間隔が一対のガイド壁の間隔よりも狭くなっている。このため、第1および第2の係合部は挿入されたディスクカートリッジと確実に当接し、係合する。また、第1および第2の開閉スライダーは、ディスクカートリッジが装填された状態において、第1および第2の係合部の間隔が一対のガイド壁の間隔よりも広くなるように回動する。このため、ディス収納部が閉塞した状態のディスクカートリッジの投影面積よりも外側にディスクカートリッジのシャッタや収納部をはみ出すように開放させ、大きな開口部を形成することができる。したがって、外形が小さくても大きなヘッド開口部を設けることが可能なディスクカートリッジに対応することができる。
【0231】
特に、本発明のディスク装置は、シャッタ機能とハウジング機能とを兼ね備えた第1および第2のディスク収納部を備えたディスクカートリッジに好適に適合する。具体的には、ディスクカートリッジの第1および第2のディスク収納部に設けられた切り欠き部にそれぞれ係合する第1および第2の開閉スライダーを、ディスクカートリッジの挿入/排出方向およびディスクの回転軸を含む平面に対して対称に配置し、ディスクカートリッジの挿入/排出動作に同期してスライドさせることによって、第1および第2のディスク収納部の開放または閉塞を行うことができる。加えて、第1の開閉スライダーと第1のディスク収納部および第2の開閉スライダーと第2のディスク収納部によるリンク機構を対称配置することにより、ディスクカートリッジの動作直進性を確保できる極めて安定した挿入/排出動作を実現できる。また、第1および第2のディスク収納部のそれぞれの保持を第1および第2の開閉スライダーにより確実に行うことでき、振動や衝撃などの外乱条件下においても同様に、安定した挿入/排出動作を行うことができる。
【0232】
また、第1および第2の開閉スライダーを含むカートリッジ開閉機構を、第1および第2のディスク収納部を開放した状態におけるディスクカートリッジの最大幅で規定される領域以内に効率よく最適に構成することで、ディスク装置の省スペース化を図り、小型化を実現できるとともに、ヘッドがアクセスを行う開口部を大きくし、ディスク装置におけるヘッドの設計自由度を高めることができる。
【0233】
また、第1の開閉スライダーと第1のディスク収納部および第2の開閉スライダーと第2のディスク収納部によってそれぞれリンク機構を構成する。このため、第1および第2のディスク収納部を開放した状態において、支持ベース部材をベースに設けられた一対の位置決めピンにより位置決めをすると、第1および第2のディスク収納部の回動支持部と、第1および第2の開閉スライダーのスライド動作が拘束される。したがって、支持ベース部材をベースに対して位置決めすることにより、第1および第2の開閉スライダーを含むすべての構成要素が、第1および第2のリンク機構によって、一義的に位置決めされ、最終的には、第1および第2のディスク収納部が開放した状態に自動的に設定される。これにより、位置決めに必要な部品点数の削減と、位置決め信頼性を向上することができる。加えて、第1および第2の開閉スライダーを、ベースに設けられた位置決めピンによって、直接位置決めすることで、開放した状態の第1および第2のディスク収納部をさらに精度よく位置決めすることができる。
【0234】
また、第1および第2の開閉スライダーをベースに設けられた位置決めピンと係合させることによって、振動や衝撃などの外乱条件下においても、第1および第2の開閉スライダーを所定の角度で維持することができる。このため、このような条件下でも、開口部の開放領域を確実に確保し、ヘッドやディスクモータとの衝突などを防ぐことができる。
【0235】
また、ハウジング機能を備えた第1および第2のディスク収納部の底面とそれぞれ接触する支持部、および、支持ベース部材の底面と接触する座面を、ディスクモータを支持するベースに設けることより、第1および第2のディスク収納部の高さ方向の位置決めを行い、ディスクを回転するのに必要不可欠な最小のクリアランスを精度良く確保することができる。したがって、不用な空間を設けることなくディスク装置の薄型化に寄与することができる。また、開放時における第1および第2のディスク収納部の保持を確実に行うことにより、開放時におけるディスクカートリッジの堅牢性を高めることができる。
【0236】
また、第1および第2の開閉スライダーには、第1および第2のディスク収納部を閉塞する方向に付勢する付勢バネを設けている。これにより、操作者によるディスクカートリッジの挿入動作時には、適度な動作負荷を与え、第1および第2のディスク収納部の開放動作を行う。また、排出動作時には、付勢バネの付勢力により自動的にディスクカートリッジの排出を行い、かつ、第1および第2のディスク収納部の閉塞動作を確実に行うことができる。これにより、ディスクカートリッジの挿入/排出動作における操作性を付勢バネの付勢力によって、一義的にコントロールできる。また、ディスクカートリッジの挿入/排出動作に駆動源および駆動機構を設ける必要がなくなる。したがって、部品点数の大幅な削減ができ、ディスク装置の軽量化と低コスト化を実現できる。
【0237】
また、第1および第2のディスク収納部の閉塞完了時には、第1および第2の開閉スライダーの第1および第2の係合部が、ディスクカートリッジの第1および第2のディスク収納部の切り欠き部に設けられた係止用当接面に当接する。これにより、前述した付勢バネの付勢力による自動排出時におけるディスクカートリッジの装置からの脱落を防止する。したがって、排出時において、ディスクカートリッジをディスク装置から安全に取り出すことができ、またディスクカートリッジ単体の不慮の落下を未然に防止することができる。
【0238】
また、ガイド壁によって規定されるディスクカートリッジを挿入する際の挿入口の幅は、ディスクカートリッジのディスクの回転軸方向における投影領域の最小幅部分の寸法とほぼ等しい。これにより、万が一に何らかの原因で、ディスクカートリッジを付勢バネの付勢力によって排出ができず、外部から強制的にディスクカートリッジを取り出す必要が生じた場合においても、開放していた第1および第2のディスク収納部がガイド壁を通過することにより、第1および第2のディスク収納部を閉塞させ、取り出すことができる。これにより、自動排出ができない不慮の緊急状態になっても、ディスクカートリッジ内部のディスクに傷つけることなく、安全にディスクカートリッジを強制排出させることができる。
【0239】
また、ガイド壁の一部にロック解除部を構成することにより、ディスクカートリッジの挿入/排出動作中、ディスカートリッジのロック部材を最適なタイミングでかつ確実に解除することができる。これにより、強制排出時においても、ロック部材を破壊することなく、確実に第1および第2のディスク収納部のロックを行うことができる。
【0240】
また、ディスクカートリッジを装填した状態では、ロック部材は押下されないため、ロック部材を樹脂によって構成した場合でもクリープによる劣化を防止することができる。
【0241】
また、第1および第2の開閉スライダーをディスク装置のホルダ開口部側(装置前方側)に設けることによって、ヘッドの構成スペースと第1および第2の開閉スライダーとの干渉を避け、ヘッドの設計自由度の拡大を図るともに、ヘッドと第1および第2の開閉スライダーの重畳を避けディスク装置の薄型化を実現することができる。さらに、第1および第2の開閉スライダーとスライダー付勢バネとで構成されるカートリッジ開閉機構をディスクカートリッジの下方に平面的に配置することにより、ディスクの回転軸方向におけるディスクカートリッジの投影領域外のスペースを有効利用することができる。したがって、ディスクカートリッジの投影領域外において、カートリッジホルダの強度を高める構造やその他の新たな機構を設けることが可能となり、ディスク装置の設計自由度を大きくすることができる。
【0242】
また、第1および第2の開閉スライダーと係合する第1および第2のスライダーガイド部を、ディスクカートリッジの挿入/排出方向に対して略直交させ、または、非直交かつ非平行な方向に傾斜させることにより、ディスクカートリッジを前後逆向きに挿入した場合には、挿入動作によって第1および第2の開閉スライダーがスライドしない、または、実質的にスライドしないようにすることができる。したがって、このような場合にはディスクカートリッジがディスク装置へディスクが挿入できないようにすることができる。また、第1および第2の開閉スライダーにこのような誤挿入防止機能を持たせることによって、部品点数の大幅な削減を実現することができる。
【0243】
また、第1および第2の開閉スライダーを、ディスクカートリッジの挿入方向に対して直交しない方向にスライドさせ、かつ、ディスクカートリッジ挿入の際、第1および第2の係合部を、ディスクカートリッジが装填された状態における位置よりもホルダ開口部側において、ディスクカートリッジと係合を開始させることにより、ディスクカートリッジを挿入した際の挿入力を効率よく第1および第2のスライダーの動作力に変換でき、挿入力の低減を図ることができる。また、第1および第2の係合部の待機位置をホルダ開口部側にすることができるため、ディスクカートリッジの排出量を増加することができ、ディスク装置からのディスクカートリッジ取り出しの操作性を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0244】
本発明のディスク装置は、光や光磁気、磁気など、種々の記録方式によって情報の記録再生を行うディスクを収納したディスクカートリッジに適合し、情報の記録および再生の少なくとも一方を行うディスク装置に好適に用いられる。特に小径のディスクを収納するディスクカートリッジに適合したディスク装置に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0245】
【図1】本発明によるディスク装置の第1の実施形態の構造を示す分解斜視図である。
【図2】第1の実施形態の構造を示す平面図である。
【図3】第1の実施形態の構造を示す側面図で、(a)はディスクカートリッジを挿入/排出する時のカートリッジホルダの状態を示し、(b)はディスクを記録および/または再生する時のカートリッジホルダの状態を示す。
【図4】第1の実施形態におけるカートリッジ開閉機構の開放動作中および閉塞動作中の一状態を示す平面図である。
【図5】第1の実施形態におけるカートリッジ開閉機構の開放動作中および閉塞動作中の一状態を示す平面図である。
【図6】第1の実施形態におけるカートリッジ開閉機構の開放動作中および閉塞動作中の一状態を示す平面図である。
【図7】第1の実施形態におけるカートリッジ開閉機構の開放動作中および閉塞動作中の一状態を示す平面図である。
【図8】第1の実施形態におけるカートリッジ開閉機構の開放動作中および閉塞動作中の一状態を示す平面図である。
【図9】第1の実施形態におけるカートリッジ開閉機構の動作原理を示すリンク機構の模式図である。
【図10】第1の実施形態においてカートリッジ開閉機構を、第2の開閉スライダーのみで構成した場合の開放動作中の一状態を示す平面図である。
【図11】第1の実施形態においてディスクカートリッジを前後逆にして挿入した状態を示す平面図である。
【図12】本発明によるディスク装置の第2の実施形態の構造を示す平面図である。
【図13】ディスクカートリッジを挿入する際に第1および第2の開閉スライダーの係合部が受ける力の向きを説明する図である。
【図14】第2の実施形態におけるカートリッジ開閉機構の開放動作中および閉塞動作中の一状態を示す平面図である。
【図15】第2の実施形態におけるカートリッジ開閉機構の開放動作中および閉塞動作中の一状態を示す平面図である。
【図16】第2の実施形態におけるカートリッジ開閉機構の開放動作中および閉塞動作中の一状態を示す平面図である。
【図17】第2の実施形態におけるカートリッジ開閉機構の開放動作中および閉塞動作中の一状態を示す平面図である。
【図18】第2の実施形態におけるカートリッジ開閉機構の開放動作中および閉塞動作中の一状態を示す平面図である。
【図19】ディスク収納部を両方向に回動することにより、開口部の開閉を行うディスクカートリッジの全体を示す斜視図で、(a)はディスク収納部が閉塞した状態を示し、(b)はディスク収納部が開放した状態を示す。
【図20】ディスク収納部を両方向に回動することにより、開口部の開閉を行うディスクカートリッジ全体の裏面側を示す斜視図で、(a)はディスク収納部が閉塞した状態を示し、(b)はディスク収納部が開放した状態を示す。
【図21】ディスク収納部を両方向に回動することにより、開口部の開閉を行うディスクカートリッジの構成を示す分解斜視図である。
【図22】図19に示すディスクカートリッジの部分断面図で、(a)はディスク収納部が閉塞した状態を示し、(b)はディスク収納部が開放した状態を示す。
【図23】図19に示すディスクカートリッジの部分断面図で、(a)は第2のロック部材のみをロック解除した状態を示し、(b)は第1および第2のロック部材を同時にロック解除した状態を示す。
【図24】従来のディスクカートリッジの概略構成およびカートリッジシャッタの開閉動作中における一状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0246】
10 ディスク
20 トラバースベース
21,22 カートリッジ位置決めピン
25,26 スライダー位置決めピン
30 ディスクモータ
40 光ヘッド
50 クランパ
60 カートリッジホルダ
65 位置決め部材
150 カートリッジ開閉機構
151 第1の開閉スライダー
152 第2の開閉スライダー
153 スライダー付勢バネ
200 ディスクカートリッジ
211 上部支持ベース部材
212 下部支持ベース部材
220 ディスク収納部
220w 開口部
221 第1のディスク収納部
222 第2のディスク収納部
231 第1のロック部材
232 第2のロック部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクが収納されたディスクカートリッジを装填することが可能なディスク装置であって、
前記ディスクカートリッジを支持するカートリッジホルダであって、前記ディスクカートリッジを外部から前記カートリッジホルダ内へ挿入し、前記カートリッジホルダ内の前記ディスカートリッジを前記外部へ排出するためのホルダ開口部を有するカートリッジホルダと、
前記カートリッジホルダの前記ホルダ開口部近傍に配置されており、前記ディスクカートリッジの挿入方向を規定する一対のガイド壁と、
前記ディスクを載置し、回転するディスクモータと、
前記ディスクに情報を記録することおよび前記ディスクに記録された情報を再生することの少なくとも一方を行うヘッドと、
前記ヘッドおよび前記ディスクモータを支持するベースと、
前記カートリッジホルダに設けられた第1および第2のスライダーガイド部と、
前記ディスクカートリッジの一部と係合する第1の係合部を有し、前記カートリッジホルダの第1のスライダーガイド部に沿ってスライド動作する第1の開閉スライダーと、
前記ディスクカートリッジの他の一部と係合する第2の係合部を有し、前記カートリッジホルダの第2のスライダーガイド部に沿ってスライド動作する第2の開閉スライダーと、
を備え、
前記第1および第2の開閉スライダーは、前記ディスクカートリッジの挿入時において、前記第1および第2の係合部の間隔が前記一対のガイド壁の間隔より狭い状態で前記ディスクカートリッジと係合し、前記ディスクカートリッジが装填された状態において、前記第1および第2の係合部の間隔が前記一対のガイド壁の間隔より広くなるように、前記第1および第2の開閉スライダーがスライドすることによって、前記ヘッドが前記ディスクにアクセスし、前記ディスクモータが前記ディスクを載置することができるように、前記ディスクカートリッジに開口を形成するディスク装置。
【請求項2】
前記第1および第2の開閉スライダーは、前記ディスクカートリッジの挿入方向に対して直交する方向にスライド動作する請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
前記第1および第2の開閉スライダーは、前記ディスクカートリッジの挿入方向に対して非平行かつ非直交する方向にスライド動作する請求項1に記載のディスク装置。
【請求項4】
前記第1および第2の係合部は、前記ディスクカートリッジを挿入する際、前記ディスクカートリッジが装填された状態における位置よりもホルダ開口部側において、前記ディスクカートリッジと係合を開始する請求項3に記載のディスク装置。
【請求項5】
前記ディスクカートリッジは、前記ディスクの一部を収納する空間をそれぞれ有し、互いに接合させることにより、ディスク全体を収納する第1および第2のディスク収納部と、前記第1および第2のディスク収納部をそれぞれ回動軸回りに回動可能に支持する支持ベース部材とを備え、
前記第1および第2の開閉スライダーの前記第1および第2の係合部が、前記第1および第2のディスク収納部と係合することにより、前記ディスクカートリッジの挿入の際、前記開口を形成するよう前記第1および第2のディスク収納部が回動する請求項2または3に記載のディスク装置。
【請求項6】
前記ディスクカートリッジの前記第1および第2のディスク収納部は、
前記第1および第2の開閉スライダーの前記第1および第2の係合部が回転可能に係合する切り欠き部と、
逆方向に同期して前記回動軸回りに回動するように互いに係合する連動部と、
をそれぞれ有する請求項5に記載のディスク装置。
【請求項7】
前記ディスクカートリッジが挿入または排出される際、前記第1の係合部と前記第1のディスク収納部の切り欠き部とが回転可能に係合することによって、前記第1の係合部と切り欠き部との係合と前記第1のディスク収納部の回動軸とを節とし、前記2つの節を連結する前記第1のディスク収納部によって第1のリンク機構が構成され、かつ、前記第2の係合部と前記第2のディスク収納部の切り欠き部とが回転可能に係合することによって、前記第2の係合部と切り欠き部との係合と前記第2のディスク収納部の回動軸とを節とし、前記2つの節を連結する前記第2のディスク収納部によって第2のリンク機構が構成され、
前記第1および第2のディスク収納部が回動軸回りに互いに逆方向に同期して回転することにより、前記第1および第2のリンク機構が、前記ディスクカートリッジの挿入方向を一定に保ち、前記ディスクカートリッジの挿入または排出における位置決めを行う請求項6に記載のディスク装置。
【請求項8】
前記一対のガイド壁は前記ホルダ開口部近傍にのみ設けられている請求項7に記載のディスク装置。
【請求項9】
前記第1および第2の開閉スライダーのスライド動作する方向は、前記第1および第2のディスク収納部の回転軸に対して直交する方向である請求項6に記載のディスク装置。
【請求項10】
前記ディスクカートリッジが装填された状態において、前記ディスクの外側面と当接し得る位置決め部材をさらに備え、前記位置決め部材と前記ディスクが当接することによって前記ディスクモータに対して前記ディスクの中心の位置決めを行う請求項8に記載のディスク装置。
【請求項11】
前記第1および第2の開閉スライダーは、前記ディスクカートリッジを挿入または排出動作中、前記第1および第2のディスク収納部の底面に当接するガイド面を前記第1および第2の係合部の近傍に有する請求項10に記載のディスク装置。
【請求項12】
前記位置決め部材が前記カートリッジホルダに設けられた請求項10に記載のディスク装置。
【請求項13】
前記位置決め部材が前記ベースに設けられた請求項10に記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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