説明

ディスク記憶装置及びデータ記録再生方法

【課題】DTRディスクを使用する場合に、ヘッドの記録幅に多少のばらつきが存在する場合でも、ヘッドの歩留まりを向上できるディスク記憶装置を提供することにある。
【解決手段】DTRディスク11を使用するディスク記憶装置において、DTRディスク11上に形成された物理的トラックにおいて、データ記録が有効となる有効記録部とデータ記録が無効となる無効記録部を一定の比率で設定し、無効記録部を除き有効記録部に対してデータの記録又は再生を実行する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクリート・トラック型ディスクを使用するディスク記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスクドライブを代表とするディスク記憶装置(以下、ディスクドライブと表記する場合がある)の分野では、ディスクリート・トラック(discrete track)型ディスクを使用するDTR(discrete track recording)方式のディスクドライブの開発が推進されている。以下、ディスクリート・トラック型ディスクをDTRディスクと表記する場合がある。
【0003】
このようなDTRディスクは、磁性層からなるデータトラック(磁気記録可能なデータ記録領域)と、各データトラック間に配置される非磁性層からなる非記録部が形成されている。非記録部は、空隙又はガードバンドに相当する磁気記録が不可能な領域である。DTRディスクは、各データトラックが物理的に分離して構成されるため、隣接トラック間の磁気的干渉を抑制できる。従って、DTR方式は、高記録密度化を実現できる有効な技術である。
【0004】
しかしながら、DTRディスクは、半径方向のトラック密度が予め規定される媒体固有の値となる。このため、ディスクドライブの製造工程において、ディスクと磁気ヘッド(以下単にヘッドと表記する)をドライブ内に組み込む工程時に、ヘッドの品質のばらつきにより、ヘッドの記録磁界の範囲(記録幅又はトラック幅)がデータトラックの半径方向の想定した幅より広くなる可能性がある。DTRディスクでは、各データトラックは物理的に構成されているため、ヘッドの記録幅に応じてトラック密度を調整することはできない。
【0005】
なお、全面に磁性層が形成されている連続膜構成のディスクの場合において、隣接トラックに対する漏れ磁界の影響を抑制するために、物理的な間隔で1本おきのデータトラックにデータを書き込む方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。但し、この方法は、データ記録領域として使用するトラック本数が全体の半分程度の場合には有効であるが、ディスク上の全トラック本数をデータ記録領域として使用する場合には効果は殆どない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−273060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
DTRディスクを使用するディスクドライブでは、ディスクとヘッドをドライブ内に組み込む製造工程時に、ヘッドの記録幅がデータトラックの半径方向の想定した幅より大きくなるような場合に、ヘッドの記録幅に応じてトラック密度を調整することはできない。このため、従来では、そのようなヘッドは不良品として破棄することが行なわれている。
【0008】
そこで、本発明の目的は、DTRディスクを使用する場合に、ヘッドの記録幅に多少のばらつきが存在する場合でも、ヘッドの歩留まりを向上できるディスク記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の観点に従ったディスク記憶装置は、ディスク基板上に磁性層からなる記録部を含むトラックと非磁性層からなる非記録部とが半径方向に形成されて、隣接トラック間に前記非記録部が配置されており、各トラックにおいて、データ記録が有効となる有効記録部とデータ記録が無効となる無効記録部が一定の比率で設定されているディスクと、前記無効記録部を除き、前記有効記録部に対してデータの記録又は再生を実行するデータ記録再生手段とを備えた構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ヘッドの記録幅に多少のばらつきが存在する場合でも、DTRディスク上のトラック密度の調整が可能であるため、ヘッドの歩留まりを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に関するディスクドライブの要部を示すブロック図。
【図2】本実施形態に関するDTRディスクの構成を説明するための図。
【図3】本実施形態に関するDTRディスクの要部を説明するための図。
【図4】本実施形態に関するサーボ領域の構成を説明するための図。
【図5】本実施形態に関する第1のデータ記録方法を説明するための図。
【図6】本実施形態に関する第2のデータ記録方法を説明するための図。
【図7】本実施形態に関する第3のデータ記録方法を説明するための図。
【図8】本実施形態に関する有効記録部に対するデータ再生方法を説明するための図。
【図9】本実施形態に関するデータ記録再生方法を説明するためのフローチャート。
【図10】本実施形態に関するディスクドライブの製造工程におけるトラック幅TWの検査結果を示す図。
【図11】本実施形態に関するディスクドライブの製造工程におけるトラック幅TWの検査結果を示す図。
【図12】本実施形態に関するディスクドライブの製造工程におけるトラック幅TWの検査結果を示す図。
【図13】本実施形態に関するディスクドライブの製造工程の概略を説明するためのフローチャート。
【図14】本実施形態に関するディスクドライブの製造工程におけるトラック密度設定方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0013】
(ディスクドライブの構成)
図1は本実施形態のディスクドライブの構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、ディスクドライブは大別して、ヘッド・ディスクアセンブリ(HDA)10とも呼ばれるドライブ機構部と、プリント回路基板(PCB)20上に実装されている回路部とから構成されている。HDA10は、両面がDTR(discrete track recording)用媒体面として加工されたディスクリート・トラック型ディスク(以下、DTRディスクと表記する)11と、スピンドルモータ(SPM)12と、ヘッド13と、ヘッドアンプ集積回路17とを有する。
【0015】
スピンドルモータ12は、DTRディスク11を回転させる。ヘッド13は、ヘッド本体であるスライダに、リードヘッド素子(TMR素子)とライトヘッド素子とが分離して実装されている。ここで、スライダは、例えば、ディスク11の面に対向する領域の形状として1辺が1mmの矩形である。本実施形態では、便宜的に1本のヘッド13を示す。但し、通常のディスクドライブでは、少なくともDTRディスク11の両面に対応する2本のヘッドが設けられている。
【0016】
ヘッド13は、ヘッド移動機構であるアクチュエータに搭載されている。アクチュエータは、ヘッド13を保持するサスペンションを有するアーム14と、ピボット軸15と、ボイスコイルモータ(VCM)16とを有する。ピボット軸15は、アーム14を回転自在に支持する部材である。VCM16は、アーム14に回転トルクを発生させて、ヘッドをディスクの半径方向に移動させる。
【0017】
ヘッドアンプ集積回路17は、ヘッド13の入出力信号を増幅し、PCB20とヘッド13間で伝送する。入出力信号は、ヘッド13のリードヘッド素子から読み出されるリード信号(再生データ)と、ヘッド13のライトヘッド素子に供給するライト信号(記録データ)である。ヘッドアンプ集積回路17は、図示しないフレキシブルケーブル(FPC)に実装されており、PCB20と電気的に接続されている。通常では、ヘッドアンプ集積回路17は、入出力信号のノイズ低減のためにアーム14に固定されているが、HDA10の別の箇所に固定されている構成でもよい。
【0018】
PCB20には、リード/ライト(R/W)チャネル21、マイクロプロセッサユニット(MPU)22、モータドライバ23、及びディスクコントローラ(HDC)24の各集積回路が実装されている。なお、これらの集積回路は、1チップのLSIに統合されている構成でもよい。
【0019】
R/Wチャネル21は、リード/ライトに関連するヘッド信号処理回路であり、ヘッドアンプ17のチャネル切替えや、リード/ライト信号を処理する。具体的には、R/Wチャネル21は、ヘッドアンプ17から伝送されるリード信号を元の記録データに復調する。また、R/Wチャネル21は、HDC24から転送される記録データをライト信号に変調してヘッドアンプ17に伝送する。
【0020】
MPU22は、ドライブ駆動システムのコントローラであり、本実施形態に関するヘッド位置決め制御システム(サーボ制御システム)を実現する。MPU22は、中央処理ユニット(CPU)、ROMやRAMを含むメモリ、及び各種ロジック回路を含む構成である。各種ロジック回路には、ハードウェア回路で構成されて、高速演算処理を実行する演算処回路などが含まれる。ROMにはCPUが実行するファームウェアが保存されている。
【0021】
モータドライバ23は、SPM12及びVCM16の駆動制御ユニットであり、MPU22の制御に応じてSPM12及びVCM16を駆動制御するための駆動電流を供給する。
【0022】
HDC24は、ディスクドライブ内のインターフェースであり、例えばSATAなどのインターフェース25によりホストシステム(例えばパーソナルコンピュータなど)と接続する。HDC24は、ドライブとホストシステム間のデータ転送制御や、MPU22、R/Wチャネル21、モータドライバ23のそれぞれとのデータ交換を実行するドライブ管理ユニットである。
【0023】
(DTRディスクの構成)
図2及び図3は、本実施形態のDTRディスク11の構成を示す図である。
【0024】
図2に示すように、DTRディスク11は大別して、データ記録領域100とサーボ領域110からなる。データ記録領域100は、ユーザデータを記録する領域であり、同心円状に形成されたトラック120に含まれる。
【0025】
図3に示すように、各トラック120は、サーボ領域110、データ記録領域100、及び各トラック間に配置される非記録部130から構成されている。データ記録領域100は、磁性層からなる物理的パターンであり、ユーザデータを記録する記録部(以下、データトラックと表記する場合がある)である。一方、非記録部130は、非磁性層からなり、空隙またはガードバンドに相当する磁気記録が不可能なパターンである。即ち、トラック120は、多数のデータトラック100が、非記録部130を介在して半径方向に一定周期(トラックピッチ)で配列された物理的トラックパターンである。なお、データトラック100は記録トラックとも呼ばれる。
【0026】
サーボ領域110は、ヘッド位置決め制御に必要なサーボ情報を記録部(磁性層)と非記録部(非磁性層)とで構成される物理的パターンにより形成された領域である。図2に示すように、サーボ領域110の形状は、ヘッド13のアクセス軌跡となる円弧状で、かつ周方向の長さが中心からの半径に比例して長くなる様なパターンからなる。
【0027】
なお、本実施形態のDTRディスク11は、データ記録領域100及びサーボ領域110のいずれにおいても、磁性層である記録部と非磁性層である非記録部の物理的パターンにより形成される。この2つの記録部と非記録部の違いは、磁気記録層の厚みの違いにより形成されても良いし、磁気記録層の特性変化、例えば結晶状態の違いにより形成されても良い。パターンが磁気記録層の厚みの違いで形成される場合には、磁性層の凹部を非記録部として磁気記録の不可能な材料で埋め込むことで、ディスク11の表面を平坦化しても良い。
【0028】
また、通常では、DTRディスク11は、両面にデータ記録領域100及びサーボ領域110が形成されている。この場合、DTRディスク11は、ヘッド13の移動軌跡とサーボ領域110の円弧形状が両面で略一致するように、ドライブ内に組み込まれる。さらに、DTRディスク11の仕様として、サーボ領域110の円弧形状として、ディスク11の回転中心からピボッド15の中心までの距離を半径位置として持つ円周上に円弧中心を持ち、円弧半径がピボッド15からヘッド13までの距離として形成されたもので与えられている。
【0029】
図4は、サーボ領域110のパターン構成を示す図である。ここで、図4(C)に示すように、データ記録領域100は、サーボ領域110により周方向に複数のセクタに分割されている。サーボ領域110は、例えば100個以上のサーボセクタとして分割されている。
【0030】
図4(A)に示すように、サーボ領域110は、プリアンブル110A、サーボマーク110B、アドレスデータ110C、及びサーボバースト信号110Dの各領域を含む。プリアンブル110Aは、サーボ情報の再生に必要なクロックを同期させるPLL処理や、再生信号振幅を適正に保つAGC処理を行うための同期クロック信号領域である。プリアンブル110Aは、半径方向に分断されていない略円弧放射状に連続する磁性/非磁性の周方向に繰返すパターンから形成されている。
【0031】
サーボマーク110Bは、アドレスデータ110C及びサーボバースト信号110Dからなるサーボ情報の領域を認識するためのコードである。アドレスデータ110Cは、サーボセクタアドレス及びトラック(シリンダ)アドレスを有する。サーボバースト信号110Dは、ヘッド13がトラックアドレスで指定されるトラック上に位置するオントラック状態からのオフトラック量(偏差)を検出するための領域である。サーボバースト信号110Dは、一般にA〜Dバーストと呼び、異なる径方向の位相を示す4パターンから構成されている。MPU22からなるサーボ制御システムは、図4(B)に示すように、ディスク11の回転方向(矢印400)に対して相対的に走行するヘッド13のオフトラック量を、各A〜Dバーストの再生信号の平均振幅値を演算処理して算出する。
【0032】
(データ記録方法)
以下、図5から図8を参照して、本実施形態のDTRディスク11に対するデータ記録方法を説明するための図である。
【0033】
まず、図5を参照して、DTRディスク11に対する第1の記録方法を説明する。
【0034】
本実施形態では、図5に示すように、ディスク11上に、一定ピッチ(配置周期)P1で形成された物理的パターンであるデータトラック(記録部)100の中で、実際にデータを記録するデータトラックを便宜的に有効記録部100Aと表記する。一方、記録は可能であるが、データ記録領域としては無効とするデータトラックを便宜的に無効記録部100Bと表記する。
【0035】
また、データ記録時に、ヘッド13のライトヘッド素子からディスク11上に印加される記録磁界200の印加周期をP2とする。このとき、半径方向に記録磁界200が及ぼす範囲を、漏れ磁界を含めた記録幅としてトラック幅TWとする。このトラック幅TWは、情報が変調された記録磁界200を半径位置rで線方向に印加したときに、隣接のデータトラックの記録データが消失しないような最小の幅(範囲)として定義する。なお、トラック幅TWは、個々のヘッド13の設計精度に依存する物理的長さであることを前提とする。これらの表記は、図6から図8に示す場合にも適用される。
【0036】
本実施形態のディスクドライブは、「P1<P2」と「P1<TW」の条件を前提として、図5に示すように、データトラック100にデータを記録する。「P1<P2」の条件では、記録磁界200は複数のデータトラック100を跨ぐことから、全てのデータトラックに対して有効なデータを記録することができない。そこで、本実施形態のディスクドライブは、データトラック100の中で、有効記録部100Aと、データ記録領域として使用しない無効記録部100Bを設定する。具体的には、MPU22は、有効記録部100Aと無効記録部100Bとを識別できるテーブル情報などをメモリに格納する。
【0037】
第1の記録方法として、図5に示すように、例えば、有効記録部100Aの数N1(=4)と無効記録部100Bの数N2(=4)とからなる8本のデータトラック100を想定する。即ち、「数(N1+N2)=8」である。ヘッド13からの記録磁界200は、半径方向の周期P2で印加される。なお、有効記録部100Aと無効記録部100Bとの間は、非記録部130により分断されている。
【0038】
ここで、「P1<P2」であるため、データトラック100の配置周期P1は記録磁界200の印加周期P2よりも狭い。また、「P1<TW」であるため、配置周期P1は、ヘッド13の半径方向のトラック幅TWより狭い。さらに、「P1/P2=1/2」、即ちP1とP2の比を1/2で、「P1<TW<P2」の関係から、「N1/(N1+N2)≦P1/TW」の関係となる。ここで、「N1>0かつN2>0」である。
【0039】
以上のように本実施形態の第1の記録方法であれば、有効記録部100Aに隣接して無効記録部100Bを設定する構成により、全てのデータトラック100を有効記録部100Aにする場合と比較して、記録可能なデータ量は1/2に低減する。しかしながら、ヘッド13のトラック幅TWが配置周期P1より大きい場合でも、無効記録部100Bを配置して冗長化することで、DTRディスク11に対してデータ記録を確実に行なうことができる。従って、ヘッド13を破棄することを回避し、当該ヘッド13を搭載したディスクドライブを製品化することを実現できる。これにより、製造工程でのディスクドライブ又はヘッド13の歩留まりを向上することができる。
【0040】
図6は、DTRディスク11に対する第2の記録方法を説明するための図である。
【0041】
図6に示すように、例えば、有効記録部100Aの数N1(=6)と無効記録部100Bの数N2(=3)とからなる9本のデータトラック100を想定する。即ち、「数(N1+N2)=9」である。即ち、「P1/P2=2/3」、P1とP2の比を2/3とする。また、「P1<TW<P2」の関係から、「N1/(N1+N2)≦P1/TW」の関係となる。ここで、「N1>0かつN2>0」である。
【0042】
以上のように本実施形態の第2の記録方法であれば、有効記録部100Aに隣接して無効記録部100Bを設定する構成により、全てのデータトラック100を有効記録部100Aにする場合と比較して、記録可能なデータ量は2/3に低減する。しかしながら、ヘッド13のトラック幅TWが配置周期P1より大きい場合でも、無効記録部100Bを配置して冗長化することで、DTRディスク11に対してデータ記録を確実に行なうことができる。従って、ヘッド13を破棄することを回避し、当該ヘッド13を搭載したディスクドライブを製品化することを実現できる。これにより、製造工程でのディスクドライブ又はヘッド13の歩留まりを向上することができる。
【0043】
図7は、DTRディスク11に対する第3の記録方法を説明するための図である。
【0044】
図7に示すように、例えば、有効記録部100Aの数N1(=6)と無効記録部100Bの数N2(=2)とからなる8本のデータトラック100を想定する。即ち、「数(N1+N2)=8」である。即ち、「P1/P2=3/4」、P1とP2の比を3/4とする。また、「P1<TW<P2」の関係から、「N1/(N1+N2)≦P1/TW」の関係となる。ここで、「N1>0かつN2>0」である。
【0045】
以上のように本実施形態の第3の記録方法であれば、有効記録部100Aに隣接して無効記録部100Bを設定する構成により、全てのデータトラック100を有効記録部100Aにする場合と比較して、記録可能なデータ量は3/4に低減する。しかしながら、ヘッド13のトラック幅TWが配置周期P1より大きい場合でも、無効記録部100Bを配置して冗長化することで、DTRディスク11に対してデータ記録を確実に行なうことができる。従って、ヘッド13を破棄することを回避し、当該ヘッド13を搭載したディスクドライブを製品化することを実現できる。これにより、製造工程でのディスクドライブ又はヘッド13の歩留まりを向上することができる。
【0046】
図8は、DTRディスク11に対する第2の記録方法を適用した場合に、有効記録部100Aに記録されたデータ(磁気信号)を再生するための条件を規定する場合の具体例を示す図である。
【0047】
図8に示すように、例えば、有効記録部100Aの数N1(=6)と無効記録部100Bの数N2(=3)とからなる9本のデータトラック100を想定する。即ち、「数(N1+N2)=9」である。即ち、「P1/P2=2/3」、P1とP2の比を2/3とする。また、「P1<TW<P2」の関係から、「N1/(N1+N2)≦P1/TW」の関係となる。ここで、「N1>0かつN2>0」である。
【0048】
次に、任意の有効記録部100Aの再生半径位置を、記録半径位置800(r2)と有効記録部100Aの半径位置820(r1)とを用いて定義する。半径位置820(r1)の有効記録部100Aに対して、「P1<P2」の関係から、記録半径位置800(r2)は必ずしも同一の半径位置とはならない。
【0049】
したがって、本実施形態のディスクドライブでは、任意の有効記録部100Aからの記録データの再生は、有効記録部100Aの半径位置820(r1)と記録半径位置800(r2)との間で実行される必要がある。即ち、「r1≧r2」の場合には、任意の有効記録部100Aから記録データを再生する再生半径位置810(r3)は、「r1≧r3≧r2」の関係となる。これ以外の場合は、「r1≦r3≦r2」の位置関係をとるように設定することで、任意の有効記録部100Aから記録データを再生することが可能となる。
【0050】
以上のように本実施形態のDTRディスク11に対するデータ記録方法において、有効記録部100Aの数N1と無効記録部100Bの数N2との組み合わせ[N1,N2]として、[4,4]、[6,3]、[6,2]の形態について例示した。但し、実際には、データトラックの総数(N1+N2)は例えば1万以上となる。従って、当然ながら、N1とN2の組み合わせは、本実施形態で例示した組み合わせ以外にも適用できる。また、N1とN2の比率は、トラック幅TWの制約の範囲内で最大となるように設定されることが望ましい。即ち、「N1/(N1+N2)≦P1/TW」の関係に基づいて、最大のN1と最小のN2の比率を設定することが望ましい。
【0051】
図9は、本実施形態のデータ記録再生の具体例を示すフローチャートであり、特に図8に示す例示に適用した場合を示す。
【0052】
ここでは便宜的に、全てのデータトラック100とその中心半径位置820(r1)が、序数の列であるトラック(シリンダ)アドレスAにより1対1対応で管理されており、かつ、半径の小さい、最内周側のデータトラック100から順にトラックアドレスが割り当てられているディスクドライブを前提とする。
【0053】
本実施形態のディスクドライブは、実際のデータ記録再生の際に、指定のトラックアドレスA(n)に対応するデータトラック100が有効記録部100Aまたは無効記録部100のいずれであるかを設定または判定する。指定のトラックアドレスA(n)が有効記録部100Aの場合に、MPU22は、データ記録再生の実行時に、有効記録部100Aの中心半径位置r1(n)に対する記録半径r2(n)または再生半径位置r3(n)のオフセット量を算出する。以下、図9のフローチャートを参照して、データ記録再生方法を具体的に説明する。
【0054】
データ記録再生のアクセス要求があると、MPU22は、アクセス要求のトラックアドレスA(n)が無効記録部100Bであるか否かを判定する(ブロック900)。ここで、有効記録部100Aの数N1が「6」で無効記録部100Bの数N2が「3」である場合を想定すると、有効記録部100Aに対する無効記録部100Bの設定数は、「N2:N1=2:1」となる。よって、MPU22は、有効記録部100Aが2本現れる毎に、無効記録部100Bを1本ずつ設定する。具体例としては、MPU22は、データ記録再生の要求アドレスに対応するトラックアドレスA(n)に対して数3による剰余が「1」であるか否かを判定し、「1」の場合に無効記録部100Bの物理アドレスを設定する(ブロック901)。
【0055】
次に、データ記録再生時のヘッド13のオフセット量について説明する。図9において、D(n)は、データ記録再生時のヘッド13のオフセット方向を示す符号(−1または+1)を示す。Δrは、記録時のオフセット量の絶対値を示す。Δrは、再生時のオフセット量の絶対値を示す。
【0056】
MPU22は、トラックアドレスA(n)が数3による剰余が「0」の場合には、有効記録部100Aの物理アドレスを設定し、D(n)を「+1」に設定する(ブロック902)。一方、MPU22は、トラックアドレスA(n)が数3による剰余が「2」の場合には、有効記録部100Aの物理アドレスを設定し、D(n)を「−1」に設定する(ブロック903)。
【0057】
ここで、図8に示す具体例では、「P1/P2=2/3」の関係となる。従って、データ記録時には、記録半径位置r2は、記録対象の有効記録部100Aの中心半径位置r1に対して、それぞれが隣接する無効記録部100Bの方向にオフセット量の絶対値「Δr=(P1−P2)/2 = (P1−2/3・P1)/2=1/6・P1」の一定の量だけオフセットさせる。即ち、MPU22は、「r2=r1+Δrw」または「r2=r1−Δrw」の計算を実行する(ブロック905)。ここで、絶対値[r2−r1]は[1/6・P1]となる。MPU22は、記録要求のトラックアドレスA(n)で示す有効記録部100Aの記録半径位置r2にデータを記録する(ブロック906)。
【0058】
一方、データ再生時には、有効記録部100Aの中心半径位置r1に対して、再生半径位置r3は、それぞれが隣接する無効記録部100Bの方向にオフセット量の絶対値「Δr=0≦Δr」の一定の量だけオフセットさせる。即ち、MPU22は、「r3=r1+Δr」または「r3=r1−Δr」の計算を実行する(ブロック907)。MPU22は、再生要求のトラックアドレスA(n)で示す有効記録部100Aの再生半径位置r3からデータを再生する(ブロック908)。なお、Δrの値は、「0≦Δr」の範囲で再生信号品質が最も高くなる量で決定する。ここでは、仮に「Δr=1/12・P1」とする。
【0059】
ここで、前記ブロック902,903に示す処理、即ち、隣接する無効記録部100Bの方向の判断について具体的に説明する。
【0060】
トラックアドレスの番号が大きいデータトラック100ほど、半径の大きい位置に配置されていることから、数3による剰余が「1」であるトラックアドレスに対応する無効記録部100Bは、数3による剰余が「0」であるトラックアドレスに対応する有効記録部100Aに対して、常に半径の大きい側、ディスク11上の外周側に隣接して配置されている。
【0061】
従って、数3による剰余が「0」であるトラックアドレスに対応する有効記録部100Aの記録半径位置r1は、有効記録部100Aの中心半径位置に対して「+Δr」だけオフセットする。逆に、数3による剰余が「2」であるトラックアドレスに対応する有効記録部100Aは、無効記録部100Bが内周側に隣接して配置されているので、「−Δr」だけオフセットして記録する。データ再生時にも、数3による剰余が「0」であるトラックアドレスに対応する有効記録部100Aは、「+Δr」だけオフセットする。また、数3による剰余が「2」であるトラックアドレスに対応する有効記録部100Aは、「−Δr」だけオフセットする。
【0062】
以上要するに、本実施形態のディスクドライブでは、データ記録再生時に、データトラックのアドレスA(n)に対する記録再生要求に対して、アドレスA(n)の3による剰余の分岐で、要求対象が有効記録部100Aまたは無効記録部100Bのいずれであるかを判定する。要求対象が無効記録部100Bであれば、MPU22は、データ記録再生を中止とする(ブロック901)。
【0063】
一方、要求対象が有効記録部100Aである場合には、MPU22は、隣接する無効記録部100Bの方向の判定を実行し、符号D(n)としてメモリに記憶する。そして、データ記録または再生のいずれかの動作に応じて、MPU22は、記録半径位置r2または再生半径位置r3を導出し、各半径位置でデータ記録またはデータ再生処理を実行する。
【0064】
なお、本実施形態の具体例では、ランダムなデータトラック100に対するデータ記録再生要求に対して、無効記録部100Bの設定確率は「N1/(N1+N2)=1/3」となり、データ記録再生が中止されることになる。実際のディスクドライブでは、無効記録部100Bを含む全てのデータトラック100に割り当てるトラックアドレスに対して、直接的にデータ記録再生要求が実行されるわけではない。即ち、例えばトラックアドレスAnaに対する要求に対して、An=(N1+N2)/N2・Anaの切り上げで定義されるアドレス変換処理が実行される。MPU22は、当該アドレス変換処理を無効記録部100B野判定処理(ブロック900)の直前に実行することにより、無効記録部100Bへのアクセスを回避し、データ記録再生の中止を回避することが可能である。
【0065】
(ディスクドライブの製造方法)
以下、図10から図14を参照して、本実施形態のディスクドライブの製造方法に関して具体的に説明する。
【0066】
図13は、本実施形態のディスクドライブを製品として出荷するまでの製造工程の概略を説明するためのフローチャートである。
【0067】
まず、ディスクドライブの本体内に、本実施形態に関するDTRディスク11及びヘッド13を組み込む(ブロック1300)。ここで、DTRディスク11のサーボ領域110には、サーボ情報が記録されている。但し、ディスクドライブに組み込んだ後に、SSW(self servo write)方法により、DTRディスク11のサーボ領域110にサーボ情報を記録する方法でもよい。
【0068】
このようなDTRディスク11及びヘッド13が組み込まれたドライブの仕掛品に対して、前述したように、DTRディスク11上に形成されている物理的データトラック100において、有効記録部100Aの数N1が最大に、無効記録部100Bの数N2が最小になるように、有効記録部100Aと無効記録部100Bを設定する工程を実行する(ブロック1301)。具体的には、有効記録部100Aと無効記録部100Bを識別するトラックアドレスをドライブ内のメモリに保存する。この設定工程では、ヘッド13のトラック幅TWの測定処理が事前に実行されている(ブロック1302)。また、データトラック100の配置周期P1が事前に実行されている(ブロック1303)。
【0069】
次に、最終検査工程として、実際の組み付け状態でのトラック幅TWの測定を実行する(ブロック1307)。さらに、記録磁界200の印加周期P2が最終検査のトラック幅TWの測定結果を超えているか否かを検査する工程を実行する(ブロック1308)。この検査工程の結果が超えていれば、最終検査工程は完了し、ディスクドライブを製品として出荷可能となる(ブロック1309)。
【0070】
一方、この検査工程の結果がNGであれば、有効記録部100Aと無効記録部100Bを再設定する工程を実行する(ブロック1304)。この再設定工程では、最終検査工程で測定されたトラック幅TWが使用される(ブロック1305)。また、事前に測定された配置周期P1が使用される(ブロック1306)。
【0071】
以上のような製造工程により、DTRディスク11上の物理的データトラック100の中で、有効記録部100Aの数N1が最大に、無効記録部100Bの数N2が最小になるように設定されたディスクドライブを製品として出荷できる。ここで、記録磁界の印加周期P2が最終検査でのトラック幅TWを超えるか否かの検査工程は、単に印加周期P2で隣接領域への記録を実行した際に、記録データの保持品質の下限仕様値に基づいて検査する。具体的には、一定の隣接領域のデータ記録後に、信号対雑音比または誤り率等を測定することにより検査する。なお、再設定工程は、印加周期P2が最終検査のトラック幅TWを超えるまで繰り返し実行する(ブロック1304、1307、1308)。
【0072】
図10は、ディスクドライブに組み込む前のヘッド13において、検査装置で測定したトラック幅TWの分布を示す図である。図10において、ロット1000は設計されたトラック幅TW95nmで製造され、製造ばらつきをもって80nm〜110nmの範囲で製造されたものを示す。ロット1010も同じく、設計されたトラック幅TW95nmで製造されたが、製造ばらつきをもって85nm〜115nmの範囲で製造されたものを示す。
【0073】
ヘッド13の製造工程は、最先端の半導体製造工程と同様の複雑かつ精密な工程を経て製造されるため、一定の製造ばらつきは不可避であることがよく知られている。したがって、本実施形態のディスクドライブであれば、そのようなヘッド13の製造ばらつきを吸収して、ヘッドの廃棄率の低減化を図ることが可能となる。
【0074】
図11は、検査装置で測定したトラック幅TWの分布を有するヘッド13と、ドライブ内で組み込まれるDTRディスク11との関係を示す図。一般的には、ヘッド13の記録磁界の印加周期P2が、予め形成されたディスクリートトラックの密度、即ちデータトラック100の配置周期P1とは同一であることが前提である。しかしながら、ヘッド13の品質ばらつき、特に想定よりも半径方向に広いトラック幅TWがある場合には、当該ヘッド13に対応したDTRディスク11のトラック密度調整を実行できない。
【0075】
ここで、予め複数種類のトラック密度である配置周期P1で製造された複数種類のDTRディスクを用意し、かつ複数のヘッドを一定のトラックTWの間隔で分類する。そして、ヘッド13とディスク11とを組み付けた際に、ドライブの記録容量が最大となるような組み合わせを選択する方法を採用した。具体的には、図11に示すように、配置周期P1が95nmのディスクと、配置周期P1が110nmのディスクの2種類を予め準備する。そして、トラック幅TWが95nmを境に分類したヘッドの小集団に対して、トラックTWが95nm未満のヘッド群に対しては、P1が95nm(267kTPI)のディスクを組み合わせる。また、トラックTWが95nmを超えるヘッド群に対しては、P1が110nm(231kTPI)のディスクを組み合わせる。これらの組み合わせからなるディスクドライブを仕掛品として、検査工程に入る。
【0076】
しかしながら、このような方法では、第1に2種のディスクを予め用意したことから、ディスクのコストが増加した。第2に、P1が95nmのディスクと、トラック幅TWが95nmを超えるヘッドとを組み合わせたドライブの仕掛品において、特にトラック幅TWが95nm近傍のヘッドを組み付けたドライブでは、トラック幅TWに対する配置周期P1の余裕が逼迫することから、最終検査での不良が頻発した。予め測定したトラック幅TWと、事前測定のトラック幅TWは、測定条件の仔細や媒体特性のロット差により変化しうることから、最終検査におけるTWに対して若干量の誤差を含んでいたことが原因であった。当然ながら、事前測定のトラック幅TWに対して、最終検査におけるトラック幅TWによってドライブの性能の保証がなされるため、最終検査で不良となったドライブは出荷を中止することとなった。第3に、ヘッドのロット1010を用いてドライブを製造した際、トラック幅TWが110nmを超えるヘッドに対して、予め用意したP1が110nmのディスクを用いることができず、トラック幅TWが110nmを超えるヘッドは廃棄することとなった。
【0077】
図12は、本実施形態のディスクドライブにおいて、ヘッドの分類と組み付けたディスクに設定した記録磁界の印加周期P2との関係を示す図である。
【0078】
予め用意したディスクはP1が90nmの唯一種類である。ヘッドのロット1000は、トラック幅TWが90nmとトラック幅TWが112.5nmを境に分類された。トラック幅TWが90nm未満のヘッドに対しては、記録磁界の印加周期P2を記配置周期P1と同じにしたディスクを組み合わせ、282kTPIのトラック密度のドライブの仕掛品を製造した。トラック幅TWが「90nm<TW<112.5nm」のヘッドに対しては、記録磁界の印加周期P2を112.5nmとして、226kTPIのトラック密度のドライブの仕掛品とした。
【0079】
このような本実施形態の方法で製造したディスクドライブであれば、予め用意したディスクは唯一種類で十分であり、ディスクの製造コストが抑制された。また、ヘッドのロット1010を用いたディスクドライブの製造では、トラック幅TWが112.5nmを超えるヘッドに対して、記録磁界の印加周期P2を120nmとし、212kTPIのトラック密度のドライブを仕掛品とすることで、ヘッドの廃棄を行なうことなく、製品としてのディスクドライブの製造が可能となる。
【0080】
図14(B)は、本実施形態において、本土トラック幅TWの範囲が75nm〜130nmのヘッド群に対して、10nm程度のトラック幅でのヘッドの分類およびトラック密度設定に対する調整方法を示す図である。ここで、事前に準備するディスクは2種類で、半径方向の記録部周期P1と記録磁界周期P2との比は、「P1/P2={1, 0.8, 0.75, 0.67}となるように、有効記録部100Aの数N1と無効記録部100Bの数N2を適宜設定する。なお、図14(A)は、従来方法において、トラック密度ごとに適宜、周期P1を個別に設計したディスクを用意し、ヘッド分類毎に適用する場合を示す図である。結果として、6種類のディスクを事前に準備する必要があった。
【0081】
なお、本実施形態において、1.8インチのディスクで、配置間隔P1が90nm(282kTPI)、データトラック100の記録幅が60nm、及び隣接する非記録部130の幅が30nmとする仕様のDTRディスク11を想定した。
【0082】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0083】
10…ヘッド・ディスクアセンブリ(HDA)、11…DTRディスク、
12…スピンドルモータ(SPM)、13…ヘッド、14…アーム、
15…ピボット軸、16…ボイスコイルモータ(VCM)、
17…ヘッドアンプ集積回路、20…プリント回路基板(PCB)、
21…リード/ライト(R/W)チャネル、
22…マイクロプロセッサユニット(MPU)、23…モータドライバ、
24…ディスクコントローラ(HDC)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク基板上に磁性層からなる記録部を含むトラックと非磁性層からなる非記録部とが半径方向に形成されて、隣接トラック間に前記非記録部が配置されており、各トラックにおいて、データ記録が有効となる有効記録部とデータ記録が無効となる無効記録部が一定の比率で設定されているディスクと、
前記無効記録部を除き、前記有効記録部に対してデータの記録又は再生を実行するデータ記録再生手段と
を具備したことを特徴とするディスク記憶装置。
【請求項2】
データの記録時に、前記データ記録再生手段に含まれるヘッドからの記録磁界の前記ディスクの半径方向に対する印加周期に対して、
前記ディスクは、前記トラックの半径方向の配置周期が前記印加周期より小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のディスク記憶装置。
【請求項3】
データの記録時に、前記データ記録再生手段に含まれるヘッドのトラック幅は、前記印加周期より狭いことを特徴とする請求項2に記載のディスク記憶装置。
【請求項4】
前記ディスクは、前記配置周期が前記ヘッドのトラック幅より狭いことを特徴とする請求項2または請求項3のいずれか1項に記載のディスク記憶装置。
【請求項5】
データの記録時に、前記データ記録再生手段に含まれるヘッドからの記録磁界の前記ディスクの半径方向に対する印加周期及び前記ヘッドのトラック幅に対して、
前記ディスクは、前記トラックの半径方向の配置周期が前記トラック幅より狭く、前記印加周期が前記トラック幅より広くなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のディスク記憶装置。
【請求項6】
データの記録時に、前記データ記録再生手段に含まれるヘッドからの記録磁界の前記ディスクの半径方向に対する印加周期及び前記ヘッドのトラック幅に対して、
前記ディスクは、前記トラックの半径方向の配置周期が前記トラック幅より狭く、前記印加周期が前記トラック幅より広く、かつ前記有効記録部の半径方向の個数が前記無効記録部の個数以上であるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のディスク記憶装置。
【請求項7】
前記有効記録部の個数N1、前記無効記録部の個数N2、前記トラック幅をTW、及び前記配置周期をP1として、条件式「「N1/(N1+N2)≦P1/TW」を満たすように、前記有効記録部の個数が前記無効記録部の個数以上となるように設定することを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか1項に記載のディスク記憶装置。
【請求項8】
前記ディスク上の前記有効記録部において、物理的半径位置をr1、データ記録時の記録半径位置をr2、及びデータ再生時の再生半径位置をr3とした場合に、前提条件「r1≧r2」に対して条件「r1≧r3≧r2」を満たし、それ以外の場合には条件「r1≦r3≦r2」を満たすように構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のディスク記憶装置。
【請求項9】
前記データ記録再生手段は、
前記ディスク上でアクセス要求されたトラックアドレスのトラックが前記無効記録部であるか否かを判定し、当該判定結果が前記無効記録部の場合にはデータ記録再生を中止するように構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のディスク記憶装置。
【請求項10】
ディスク基板上に磁性層からなる記録部を含むトラックと非磁性層からなる非記録部とが半径方向に形成されて、隣接トラック間に前記非記録部が配置されており、各トラックにおいて、データ記録が有効となる有効記録部とデータ記録が無効となる無効記録部が一定の比率で設定されているディスクを有するディスク記憶装置に適用するデータ記録再生方法であって、
前記ディスク上でアクセス要求されたトラックアドレスのトラックが前記無効記録部であるか否かを判定する処理と、
当該判定結果が前記無効記録部の場合にはデータ記録再生を中止する処理と、
当該判定結果に基づいて前記有効記録部に対してデータ記録再生を実行する処理と
を有することを特徴とするデータ記録再生方法。
【請求項11】
DTRディスクとヘッドとを組み込んだディスク記憶装置において、
前記ヘッドのトラック幅の測定値と前記DTRディスクのデータトラックの配置周期に基づいて、前記DTRディスク上に形成されたデータトラックでのデータ記録が有効となる有効記録部とデータ記録が無効となる無効記録部の比率を設定する工程と、
最終検査として、前記ヘッドの記録磁界の印加周期が前記トラック幅より広いか否かを判定する工程と、
前記判定結果が前記印加周期の方が狭い場合には、前記有効記録部と前記無効記録部の比率を再設定する工程と
を有するディスク記憶装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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