説明

ディスプレー、サイン、面照明等の導光パネル

【課題】 合成樹脂の導光板に生じる熱膨張によって、入射端面とLEDユニットとの相対位置が変化して、LEDユニットが損傷するのを防止する。
【解決手段】 LEDユニット4収納用の光源収納部31と、その一端の起立板34を有する断面L字状の光源ホルダー3を用い、光源収納部31を導光板1の入射端面11に臨設し、導光板1に積層した反射板2の外側に起立板34を配置して、導光板1のコーナー位置で、起立板34の長孔35からのボルト81を反射板2のばか穴21を介して導光板1のインサートナット8に螺装することにより、反射板2を除いて、導光板1の熱膨張収縮に起立板34が従動するようにする。導光板1の入射端面11と光源ホルダー3の光源収納部31の相対位置が常時不変となり、LEDユニット4の損傷要因を解消する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の入射光を導光板で導光して、導光板の表面に配置したポジフィルムを背面照明するディスプレーやサインとして、また、導光した入射光によって面照明を行なう面照明体として用いるようにした、ディスプレー、サイン、面照明等の導光パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の導光パネルとして、本発明者による下記特許文献1が知られており、これによれば、導光パネルは、光源の入射光を入射端面に供給して導光する合成樹脂製の導光板と、該導光板の裏面に配置したベース板と、導光板の入射端面に臨設して配置したLEDユニット等の光源を備えたものとされ、更には、導光板の表面に配置した光拡散板と、該光拡散板の表面に配置した透明カバーと、これらの各端部を被覆して、例えば、上記ベース板に接着、ネジ止め等の固定手段によって一体的に固定した額縁を備えることによって、上記光拡散板と透明カバー間にポジフィルムを挟持し、導光板の導光によって該ポジフィルムの背面照明を行なう上記ディスプレーやサインとして使用するものとされ、このとき、光源は、LEDチップを基板に直列配置したLEDユニットによるものとして、その基板を額縁の内側底面に接着等の固定手段によって固定することによって、該LEDユニットのLEDチップによって導光板に入射光を供給するものされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−123557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、例えば、A1版、B1版、更には1辺を1〜2mとするといった比較的大判にして、薄型としながらも高輝度の裏面照明を行なうものとすることが可能となるが、導光板は合成樹脂製、例えば、アクリル透明樹脂製のものとされるから、導光パネルを高温となる場所、例えば、太陽の直射光を受ける屋外に南面に向くように設置した場合、日中に直射熱を受けて導光板が熱膨張することに起因して、導光パネルが点灯しなくなり、導光パネルとして不可欠な背面照明が不能になるというトラブルを引き起こす可能性がある。
【0005】
即ち、光源を上記LEDユニットとした場合、該LEDユニットは、一般に30cm程度の長さのものや、これを適宜長さに切断したものを、導光板の入射端面の長さに合せて複数用いて、例えば、コネクターを用いたり、リード線をハンダ付けしたりすることによって、双方の電極を接続して上記額縁材の底面内側に固定するものされるところ、上記アクリル透明樹脂板の熱膨張係数は6.8×10−5/Kであり、10℃の温度変化によって幅方向及び高さ方向に1m当り0.7mmの熱膨張収縮を示すから、30℃の温度変化で、導光板の熱膨張収縮は各2mm強、40℃の温度変化で各3mm弱、50℃で3.5mm弱となるに至るところ、上記のように光源を配置した額縁をベース板に固定した場合、例えば、幅方向の入射端面側に向けた熱膨張によって導光板の入射端面が光源に圧接するとともに導光板の高さ方向の熱膨張によって、該入射端面に圧接したLEDユニットに対して、該LEDユニットを引き伸ばすように引張力が作用することになり、その結果、該LEDユニットの基板やその接続部位が引張力に抗しきれずに破断したり、損傷したりする可能性を生じる。
【0006】
この場合、導光板と光源との間に空隙を配置すれば、導光板の熱膨張を吸収してLEDユニットの破断や損傷を防止することが可能となるが、空隙を配置すれば光源の入射光が距離の二乗に反比例して減少し、導光パネルの照明輝度を低下するように作用するところ、照明輝度の低下を生じない空隙は1mm程度が限度であるから、該空隙を配置しても、導光板の熱膨張量がこれを超える場合には、結局、同じように引張力が作用して破断や損傷を招く可能性を回避することは困難である。
【0007】
近時、大判の導光パネルは、例えば、駅ホームにおける時刻表の表示、ビル玄関前のオープンスペースやビル壁面における案内の表示等、屋外設置のケースも見られるところ、温度変化に伴う導光板の熱膨張収縮に起因するこの種トラブルの可能性を解消する必要がある。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、その解決課題とするところは、熱膨張収縮の不可避な合成樹脂製の導光板を使用しながら、照明輝度の低下を招くことなく、可及的簡易且つ確実に該熱膨張収縮に起因するトラブルの可能性を解消したディスプレー、サイン、面照明等の導光パネルを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に沿って本発明は、光源を光源ホルダーに収納して、該光源によって導光板の入射端面に入射光を供給するようにする一方、光源ホルダーに設置した裏面側の起立板を導光板に一体的に固定するとともに該一体的な固定を、導光板と光源ホルダーの起立板をこれらの間に挟んだベース板に対して可動として、光源収納の光源ホルダーを、導光板の熱膨張収縮に応じて従動するようにすることによって、導光パネルにおける導光板と光源ホルダーを、ベース板に対して独立して同時に移動自在として、該導光板の入射端面と光源ホルダーの光源の相対位置関係を常時不変に維持するようにして、導光板の熱膨張収縮に起因するトラブルを解消したものであって、即ち、請求項1に記載の発明を、光源の入射光を入射端面に供給して導光する合成樹脂製の導光板と、該導光板の裏面に配置したベース板と、導光板の入射端面とベース板の裏面端部に亘るように該ベース板を挟んで配置した光源ホルダーを備え、該光源ホルダーを、入射端面側に光透過口を有する光源収納部と、該光源収納部からベース板の裏面に向けて起立した起立板を具備して断面L字状に一体に形成し、該光源ホルダーの上記光源収納部に光源を収納して光透過口から入射端面に入射光を供給自在とし且つ上記ベース板を挟んだ導光板と起立板を該ベース板に対して可動として上記起立板を導光板に一体的に固定することによって、該光源ホルダーを導光板の熱膨張収縮に対して追随移動自在としてなることを特徴とするディスプレー、サイン、面照明体等の導光パネルとしたものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、導光板と光源ホルダーの起立板の一体的固定を、複雑な構造とすることなく、導光パネルの生産に適した簡易な構造のものとするように、これを、上記導光板に対する起立板の一体的固定を、起立板側から導光板に対する金具固定によって行なうとともに該金具固定をベース板に配置した導光板の熱膨張方向に該金具を可動とする貫通孔乃至貫通溝を介して行なってなることを特徴とする請求項1に記載のディスプレー、サイン、面照明体等の導光パネルとしたものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記導光板と光源ホルダーの起立板の一体的固定を確実に行う好ましい形態とするように、上記導光板のコーナー近傍位置において行うときに、導光板の熱膨張収縮に対して光源ホルダーが常に確実な追随移動を行うようにして、導光板を大判としたときを含めて上記導光板の入射端面と光源ホルダーの光源の相対的位置関係を常時不変に維持し得るものとするように、これを、上記起立板の一体的固定位置を、導光板のコーナー近傍位置とするとともに該起立板を該コーナー近傍位置から斜め方向に可動とすることによって、光源ホルダーを導光板のコーナー近傍位置の熱膨張収縮に対して追随移動自在としてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のディスプレー、サイン、面照明体等の導光パネルとしたものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、該斜め方向の長孔を用いた上記導光板と光源ホルダーの起立板の一体的固定を、複雑な構造とすることなく、導光パネルの生産に適した簡易な構造のものとするように、上記導光板コーナー近傍位置の起立板の一体的固定を、起立板に斜め方向に向けた長孔を配置し、該長孔から導光板に対する金具固定によって行ってなることを特徴とする請求項3に記載のディスプレー、サイン、面照明体等の導光パネルとしたものである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記導光板と光源ホルダーの起立板の一体的固定における上記金具固定を、市販の金具を用いてなし得るようにするとともに金具固定に際しての可動を確実になし得るものとするように、これを、上記金具固定を、導光板に埋込設置したインサートナットに起立板側からのボルトを螺入して行なってなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の電食看板、サイン、面照明体等の導光パネルとしたものである。
【0014】
請求項6に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記光源ホルダーを額縁兼用のものとすることによって、可及的に少ない部材で外観の良好な導光パネルとするように、これを、上記光源ホルダーを、入射端面側において端部を被覆するように表面に向けて起立した装飾板を備えた断面U字状とすることによって額縁兼用のものとしてなることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載のディスプレー、サイン、面照明体等の導光パネルとしたものである。
【0015】
請求項7に記載の発明は、同じく上記に加えて、導光パネルが光源ホルダーとは別に額縁を備えたものとすることによって、外観の良好な導光パネルとするように、これを、上記光源ホルダーの外側に、導光パネルの入射端面側の端部を被覆する断面U字状の額縁を備え、該額縁裏面の裏面起立板を上記光源ホルダーの起立板と同時に導光板に金具固定することによって光源ホルダーとともに該額縁を導光板の熱膨張収縮に対して追随移動自在としてなることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載のディスプレー、サイン、面照明等の導光パネルとしたものである。
【0016】
請求項8に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記光源にLEDユニットを用いるとともに光源ホルダーに対するLEDユニットの収納固定と必要に応じたLEDユニットの取り外し及び交換を可及的簡易且つ確実になし得るものとするように、これを、上記光源を、LEDチップを基板長手方向に直列に配置したLEDユニットとし、上記光源ホルダーの光源収納部を、光透過口を開口溝とする断面C字状に形成し、該開口溝両端の対向突条に導光板端部を対接自在とするとともに上記LEDチップ間の基板上に該対向突条間に亘るように交差配置して該基板と対向突条間にスペーサーを保持することによって光源ホルダーの光源収納部に該LEDユニットを収納配置してなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載のディスプレー、サイン、面照明体等の導光パネルとしたものである。
【0017】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として、上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、光源を光源ホルダーに収納して、該光源によって導光板の入射端面に入射光を供給するようにする一方、光源ホルダーに設置した裏面側の起立板を導光板に一体的に固定するとともに該一体的な固定を、導光板と光源ホルダーの起立板をこれらの間に挟んだベース板に対して可動として、光源収納の光源ホルダーを、導光板の熱膨張収縮に応じて従動するようにすることによって、導光パネルにおける導光板と光源ホルダーを、ベース板に対して独立して同時に移動自在として、該導光板の入射端面と光源ホルダーの光源の相対位置関係を常時不変に維持するようにして、熱膨張収縮の不可避な合成樹脂製の導光板を使用しながら、照明輝度の低下を招くことなく、可及的簡易且つ確実に該熱膨張収縮に起因するトラブルの可能性を解消したディスプレー、サイン、面照明等の導光パネルを提供することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、導光板と光源ホルダーの起立板の一体的固定を、複雑な構造とすることなく、導光パネルの生産に適した簡易な構造のものとすることができる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記導光板と光源ホルダーの起立板の一体的固定を確実に行う好ましい形態とすることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、該斜め方向の長孔を用いた上記導光板と光源ホルダーの起立板の一体的固定を、複雑な構造とすることなく、導光パネルの生産に適した簡易な構造のものとすることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記導光板と光源ホルダーの起立板の一体的固定における上記金具固定を、市販の金具を用いてなし得るようにするとともに金具固定に際しての可動を確実になし得るものとすることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記光源ホルダーを額縁兼用のものとすることによって、可及的に少ない部材で外観の良好な導光パネルとすることができる。
【0024】
請求項7に記載の発明は、同じく上記に加えて、導光パネルが光源ホルダーとは別に額縁を備えたものとすることによって、外観の良好な導光パネルとすることができる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記光源にLEDユニットを用いるとともに光源ホルダーに対するLEDユニットの収納固定と必要に応じたLEDユニットの取り外し及び交換を可及的簡易且つ確実になし得るものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】導光パネルの正面図である。
【図2】導光パネルの横断面図である。
【図3】導光パネルの縦断面図である。
【図4】図3の部分拡大図である。
【図5】光源ホルダーの断面図である。
【図6】起立板の長孔を示す部分背面図である。
【図7】導光板、ベース板、光源ホルダーの起立板の関係を示す分解斜視図である。
【図8】他の例に係る導光パネルの部分横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、図1乃至図7においてAは、大判、例えば1m×2mよりやや大きめの縦長に形成した大判の導光パネルであり、該導光パネルAは、光源の入射光を入射端面11に供給して導光する合成樹脂製の導光板1と、該導光板1の裏面に配置したベース板2と、導光板1の入射端面11とベース板2の裏面端部に亘るように該ベース板2を挟んで配置した光源ホルダー3を備えたものとしてあり、このとき、本例にあって、該導光パネルAは、更に上記導光板1の表面に配置した光拡散板5と、該光拡散板5の表面に配置した透明カバー6とを備え且つ上記光源ホルダー3の外側に、導光パネルAの入射端面11側の端部を被覆する断面U字状の額縁7を備えたものとしてあり、光拡散板5と透明カバー6間に、文字、写真、図形等によって、例えば、駅舎の時刻表、ビル玄関前のオープンスペースやビル壁面における案内、更には宣伝広告等の適宜の表示を行なった図示省略のポジフィルムを配置し、上記光源を点灯して導光板1の入射端面11に入射光を供給し、導光板1の裏面に配置した同じく図示省略の導光パタンによって入射光を導光して、上記フィルムの背面照明を行なうディスプレーやサインとして使用するものとしてある。
【0028】
本例にあって、導光板1は、数mm、例えば5mm程度の肉厚のアクリル透明樹脂板の裏面に、光源から離隔方向に疎から密にするように密度変化を施した、成形乃至印刷の導光パタンを配置した、上記1×2mの縦長のものとしてあり、このとき、該導光板1の対向する一対の端面、本例にあっては左右両端に対向する端面をそれぞれ入射端面11とし、該入射端面11にそれぞれ光源、本例にあっては、LEDチップ42を基板41長手方向に直列に配置したLEDユニット4による光源を臨設してある。ベース板2は、高反射率を呈する白色系合成樹脂の反射シートを積層することによって、該反射シートとともに反射板をなすものとしてあり、本例にあって該ベース板2は、例えば1〜2mm程度の肉厚のアルミ板によるものとしてあり、光拡散板5は、導光パタンの照明光を拡散して照明光を均一化する、例えば1〜2mm程度の肉厚の乳白色系半透明合成樹脂のものとしてあり、透明カバー6は、該光拡散板5との間に上記ポジフィルムを挟持して、該ポジフィルムを保護する、光の高透過率を呈する透明合成樹脂のものとしてある。
【0029】
このとき、光源ホルダー3は、これを、入射端面11側に光透過口33を有する光源収納部31と、該光源収納部31からベース板2の裏面に向けて起立した起立板34を具備して断面L字状に一体に形成し、該光源ホルダー3の上記光源収納部31に光源を収納して光透過口33から入射端面11に入射光を供給自在とし且つ上記ベース板2を挟んだ導光板1と起立板34を該ベース板2に対して可動として上記起立板34を導光板1に一体的に固定することによって、該光源ホルダー3を導光板1の熱膨張収縮に対して追随移動自在としたものとしてある。
【0030】
本例にあって、上記光源ホルダー3は、その光源収納部31を、光透過口33を開口溝とする断面C字状に形成し、該開口溝両端の対向突条32に導光板1端部を対接自在とするとともに上記LEDチップ42間の基板41上に該対向突条32間に亘るように交差配置して該基板41と対向突条32間にスペーサー43を保持することによって光源ホルダー3の光源収納部31に該LEDユニット4を収納配置したものとしてあり、本例の光源ホルダー3は、断面C字状の光源収納部31と該光源収納部31の一端に起立した起立板34を備えた断面L字状とした押出成形材、例えば、1〜2mm程度の肉厚のアルミ押出材を用いて、導光板1の入射端面11の長さに合せた長尺のものとしてあり、本例にあって、上記光源収納部31は、例えば幅を1cm程度、奥行を0.5cm程度とした矩形断面にして、その起立板34の起立方向の面に、例えば1〜2mm程度の同幅の導光板端部対接面を有する上記対向突条32と該対向突条32間の、例えば数mm幅の光透過口33を配置して上記断面C字状とする一方、起立板34は鉛直面をなすように起立した、例えば起立高さを10cm程度とした断面L字状としてある。
【0031】
該光源ホルダー3に対する光源、即ちLEDユニット4の上記収納配置は、LEDチップ42を上記光透過口33に向けて、その基板41を光源収納部31の底面に載置するように、例えば長手方向端部から、光源ホルダー3の光源収納部31と同長に複数直列に接続して一体化したLEDユニット4をスライド装着し、そのLEDチップ42間の基板41を、光透過口33から所定間隔にスペーサー43、例えばクッション材を挿入し、上記対向突条32の裏面に両端を弾発的に保持することによって、その固定を行なってある。これによって、接続不良等のトラブルが生じたとき等に、該クッション材のスペーサー43を、ドライバー等で引掛状にして外すことによって容易に固定を解除して、LEDユニット4の交換を可及的容易になし得るようにしてある。
【0032】
光源ホルダー3は、その光源収納部31を、光透過口33を導光板1の幅方向両端の入射端面11に向けて、対向突条32を該入射端面11の端部に近接乃至対接配置するとともに起立板34をベース板2の裏面に重合配置して、起立板34を導光板1に一体的に固定して、導光板1と光源ホルダー3の起立板34間にベース板2を挟持して、導光板1と起立板34を該ベース板2に対して可動としてある。
【0033】
本例にあって、上記導光板1に対する起立板34の一体的固定は、これを、起立板34側から導光板1に対する金具固定によって行なうとともに該金具固定をベース板2に配置した導光板1の熱膨張方向に該金具を可動とする、例えば、ばか穴や切欠溝のような貫通孔乃至貫通溝、を介して行なったものとしてあり、本例において、該起立板34の一体的固定位置は、これを、導光板1のコーナー近傍位置とするとともに該金具を該コーナー近傍位置から斜め方向に可動とすることによって、光源ホルダー3を導光板1のコーナー近傍位置の熱膨張収縮に対して追随移動自在としたものとしてある。該導光板1コーナー近傍位置の起立板34の一体的固定は、これを、起立板34に斜め方向に向けた長孔35を配置し、該長孔35から導光板1に対する金具固定、本例にあっては、導光板1に埋込設置したインサートナット8に起立板34側からのボルト81を螺入して行なったものとしてある。該金具、即ちインサートナット8は、導光板1のコーナー近傍位置に、これを埋込固定してその設置を行うとともに該インサートナット8に起立板34、本例にあっては後述の如く額縁7から、螺入したボルト81によって、これら導光板1と、ベース板2、起立板34、即ち光源ホルダー3、本例にあっては更に額縁7を一体的に固定してある。
【0034】
ベース板2の貫通孔乃至貫通溝を介した一体的固定は、ベース板2に、例えば、インサートナット8の外径より径大のばか穴、本例にあっては上記起立板34に配置した長孔35の長径と同等な径のばか穴21を透設して、ボルト81を螺入したインサートナット8が該ばか穴21の範囲で移動し得るようにしてあり、これによって、導光板1と起立板34の間に該ベース板2を挟持したものとして、導光板1に熱膨張収縮が生じたとき、導光板1に対して該起立板34、即ち光源ホルダー3が追随移動するに際して、該ベース板2は、該挟持の状態で独立移動をするように可動としてあり、導光板1と熱膨張係数の異なる金属、本例にあってアルミ板によるベース板2の、相互の熱膨張収縮差を吸収して、その固定状態を維持することができるようにしてある。
【0035】
一方、起立板34の一体的固定は、これに上記斜め方向の長孔35を配置することによって行ってあるところ、該一体的固定を、導光板1の入射端面11側の中央位置近傍とした場合、該導光板1の熱膨張収縮は、導光板1の一方向、本例にあっては幅方向に生じるから、これに交差する起立板34には、上記インサートナット8の外径に応じてこれを挿通する円形透孔、即ち、丸穴を配置すれば、その追随移動をなし得るが、上記導光板1のコーナー近傍位置、即ち、光源ホルダー3の起立板34にあっては、その長手方向両端近傍位置において一体的固定を行う場合、導光板1におけるコーナー近傍位置の熱膨張収縮は、幅と高さの縦横双方に向かって同時的に生じるから、中央位置近傍におけると同様の丸穴を配置しても、該熱膨張収縮を吸収することができず、また、該丸穴に代えて、上記ベース板2と同様に金具を可動とする貫通孔乃至貫通溝、例えばばか穴を配置しても、導光板1に熱膨張が生じたときには、これに応じて追随移動、即ち、離隔方向への移動が可能となるが、熱収縮が生じたとき、その追随移動、即ち、引寄方向への移動をなし得ないことになるから、熱膨張によって離隔した光源ホルダー3と導光板1の入射端面11の距離を離隔前の状態に回復し得ず、従って、この場合、熱膨張後に導光パネルAの輝度低下を招き易い。
【0036】
導光板1のコーナー近傍位置における起立板34の上記斜め方向の長孔35により、該起立板34の一体的固定を行うことによって、該起立板34は、熱膨張収縮に従動して、その追随移動をなし得ることになる。即ち、導光板1に熱膨張が生じたとき、金具、即ち、インサートナット8は起立板34の長孔35に応じて斜め方向に移動することによって、光源ホルダー3は入射端面11から離隔方向に移動する一方、熱収縮が生じたとき、該インサートナット8は、同じく斜め方向に復帰するように移動することによって、光源ホルダー3は、入射端面11に向けて引寄方向に移動することが可能となり、従って、斜め方向の長孔35を配置することによって、光源ホルダー3と導光板1の入射端面11の距離を常時一定に確保して、その相対位置を不変に維持することが可能となり、従って、熱膨張収縮によって生じる導光パネルAの輝度変化を解消することができる。
【0037】
斜め方向の長孔35は、導光板1の面積に応じて、例えば、該導光板1の対角線上乃至その近傍に位置するように該対角線の角度に応じて起立板34に配置するとともにその長さを該対角線上の熱膨張収縮量に応じた長さとし、このとき該長孔35の幅は、これを金具の径、即ち、インサートナット8の外径に応じて該インサートナット8が移動可能な幅としてある。本例の1m×2mの縦長の導光板1にあって、該配置角度は、これを63.5°とし、長さを、金具、即ち、インサートナット8径の2倍〜3倍程度としてあり、導光パネルAを製作するときの常温に応じて、該インサートナット8の位置を変化して、その上記一体的固定を行うことによって、導光板1の熱膨張収縮を吸収して、上記光源ホルダー3と入射端面11の相対位置を不変とするようにしてある。
【0038】
本例にあって、該光源ホルダー3の外側には、上記断面U字状の額縁7を備えたものとしてあるところ、該額縁7裏面の裏面起立板71を上記光源ホルダー3の起立板34と同時に導光板1に金具固定することによって光源ホルダー3とともに該額縁7を導光板1の熱膨張収縮に対して追随移動自在とるようにしてあり、このとき、該額縁7の裏面起立板71は、その光源ホルダー3の起立板34との位置関係が変化することはないから、その金具固定は、光源ホルダー3とともに導光板1に対して移動するように、上記ボルト81を、該裏面起立板71に透設した丸穴72から、起立板34の長孔35、ベース板2の貫通孔乃至貫通溝、本例にあってはばか穴21を介して導光板1の上記インサートナット8に螺入して、該額縁7の固定を行ったものとしてある。このとき、額縁7は、光源ホルダー3の起立板34とともに移動するため、図1に示すような額縁7長手方向端部を留め切り対接したものにあっては、導光板1の熱膨張収縮に伴って該対接部に嗤いが生じる可能性があるところ、該対接部の一方又は双方に段差を付して留め切り部分が相互に重合するように配置することによって、該嗤いを吸収して、その露出を防止することができる。
【0039】
なお、導光板1の非入射端面、即ち、上記入射端面11に交差する対向端面においては、本例にあって、光源を配置しない光源ホルダー3の起立板34をベース板2の裏面にこれを配置し、その外側に同様に額縁7を配置してあり、このときこれら起立板34及び額縁7は、上記入射端面11側におけるトラブルの可能性がないので、その固定は、これを、直接に行うものとしてあるところ、本例にあっては導光板1に配置したインサートナット8と額縁7の丸穴からのボルト81の螺入によって、これを行ってある。
【0040】
図8は、他の例を示すもので、本例にあって導光パネルAは、上記光源ホルダー3を、入射端面11側において端部を被覆するように表面に向けて起立した装飾板36を備えた断面U字状とすることによって額縁兼用のものとした例である。
【0041】
本例にあって該光源ホルダー3は、上記断面C字状の光源収納部31の両端に、突出幅の大きな裏面の起立板34と、これより突出幅を小さくした正面側の装飾板36を備えることによって、上記断面U字状としてあり、このとき光源収納部31は、その幅を、正面側の光拡散板5及び透明カバー6の厚さ分の、例えば数mm程度大きくして、その正面側の端部から上記装飾板36を起立して、正面の入射端面11側の端部を同時に被覆してある。
【0042】
図示を省略したが、本例の入射端面11と交差する導光板1の対向端面にあっては、該光源ホルダー3と同様に断面U字状とした額縁7を、該光源ホルダー3とその長手方向両端を留め切り対接することによって、正面外観を上記例と同様に構成してある。
【0043】
その余は上記例と変わらないので、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0044】
以上の如くに構成した導光パネルAは、その導光板1の入射端面11と光源ホルダー3との相対位置関係が不変に維持されるから、導光板1に熱膨張収縮が生じても、光源の破損、例えばLEDユニット4の破断や損傷が生じる可能性を解消し、また、入射端面11と光源ホルダー3の光源収納部31が常に同じ位置関係となることによって、熱膨張収縮に伴う照明輝度の低下を招く可能性を解消することができ、特に大判の導光パネルAに、熱膨張収縮の不可避な合成樹脂製の導光板1を使用しながら、可及的簡易な構造によって確実に、その熱膨張収縮に対応してトラブルや輝度低下のない導光パネルとすることができる。
【0045】
図示した例は以上のとおりとしたが、光源ホルダーの断面C字状の光源収納部を幅広として、LEDユニットを複数並列して収納した高輝度の導光パネルとすること、導光板の対向する各一対の端面を入射端面として導光板の四周に光源を収納した光源ホルダーを配置したものとし、また、上記幅方向両端に代えて、高さ方向上下両端に光源を収納した光源ホルダーを配置したものとすること、このとき、光源ホルダーの導光板に対する一体的固定を上記の構造のものとすること、導光板に対する光源ホルダーの一体的固定を、上記インサートナットを使用することなく、ネジで直接に行い、また、例えば、導光板に起立固定したブリッジの先端の突起を、光源ホルダーの起立板に導光板の熱膨張収縮方向に向けて配置した案内溝にスライド自在に係合することによって行うようにすること、光源として冷陰極管、砲弾型LEDを直列配置したものを用いること、ベース板を高反射性の金属の反射板によるものとすること等を含めて、本発明の実施に当って、導光パネル、導光板、ベース板、光源ホルダー、光源収納部、起立板、光源、必要に応じて用いる金具、インサートナット、ボルト、光源ホルダーに付加する装飾板、額縁、LEDユニット、その保持用のスペーサー等の各具体的形状、材質、構造、これらの関係、これらに対する付加等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【符号の説明】
【0046】
A 導光パネル
1 導光板
11 入射端面
2 ベース板
21 ばか穴
3 光源ホルダー
31 光源収納部
32 対向突条
33 光透過口
34 起立板
35 長孔
36 装飾板
4 LEDユニット
41 基板
42 LEDチップ
43 スペーサー
5 光拡散板
6 透明カバー
7 額縁
71 裏面起立板
72 丸穴
8 インサートナット
81 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源の入射光を入射端面に供給して導光する合成樹脂製の導光板と、該導光板の裏面に配置したベース板と、導光板の入射端面とベース板の裏面端部に亘るように該ベース板を挟んで配置した光源ホルダーを備え、該光源ホルダーを、入射端面側に光透過口を有する光源収納部と、該光源収納部からベース板の裏面に向けて起立した起立板を具備して断面L字状に一体に形成し、該光源ホルダーの上記光源収納部に光源を収納して光透過口から入射端面に入射光を供給自在とし且つ上記ベース板を挟んだ導光板と起立板を該ベース板に対して可動として上記起立板を導光板に一体的に固定することによって、該光源ホルダーを導光板の熱膨張収縮に対して追随移動自在としてなることを特徴とするディスプレー、サイン、面照明体等の導光パネル。
【請求項2】
上記導光板に対する起立板の一体的固定を、起立板側から導光板に対する金具固定によって行なうとともに該金具固定をベース板に配置した導光板の熱膨張方向に該金具を可動とする貫通孔乃至貫通溝を介して行なってなることを特徴とする請求項1に記載のディスプレー、サイン、面照明体等の導光パネル。
【請求項3】
上記起立板の一体的固定位置を、導光板のコーナー近傍位置とするとともに該起立板を該コーナー近傍位置から斜め方向に可動とすることによって、光源ホルダーを導光板のコーナー近傍位置の熱膨張収縮に対して追随移動自在としてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のディスプレー、サイン、面照明体等の導光パネル。
【請求項4】
上記導光板コーナー近傍位置の起立板の一体的固定を、起立板に斜め方向に向けた長孔を配置し、該長孔から導光板に対する金具固定によって行ってなることを特徴とする請求項3に記載のディスプレー、サイン、面照明体等の導光パネル。
【請求項5】
上記金具固定を、導光板に埋込設置したインサートナットに起立板側からのボルトを螺入して行なってなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の電食看板、サイン、面照明体等の導光パネル。
【請求項6】
上記光源ホルダーを、入射端面側において端部を被覆するように表面に向けて起立した装飾板を備えた断面U字状とすることによって額縁兼用のものとしてなることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載のディスプレー、サイン、面照明体等の導光パネル。
【請求項7】
上記光源ホルダーの外側に、導光パネルの入射端面側の端部を被覆する断面U字状の額縁を備え、該額縁裏面の裏面起立板を上記光源ホルダーの起立板と同時に導光板に金具固定することによって光源ホルダーとともに該額縁を導光板の熱膨張収縮に対して追随移動自在としてなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載のディスプレー、サイン、面照明等の導光パネル。
【請求項8】
上記光源を、LEDチップを基板長手方向に直列に配置したLEDユニットとし、上記光源ホルダーの光源収納部を、光透過口を開口溝とする断面C字状に形成し、該開口溝両端の対向突条に導光板端部を対接自在とするとともに上記LEDチップ間の基板上に該対向突条間に亘るように交差配置して該基板と対向突条間にスペーサーを保持することによって光源ホルダーの光源収納部に該LEDユニットを収納配置してなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載のディスプレー、サイン、面照明体等の導光パネル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−96506(P2011−96506A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249143(P2009−249143)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(507148087)明拓工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】