説明

デシカント空気調和装置

【課題】再生器に蒸気の使用を極力少なくし、除湿能力を向上させ超低露点にすることも可能な多段のデシカント空気調和装置を提供する。
【解決手段】処理ラインとして、初段に第1冷却器41と第1デシカントロータ1、最終段に第2冷却器42を配置した第2デシカントロータ2とを直列に連通し、第1冷却器に外気を供給し、第2デシカントロータから室内側に給気し、再生ラインとして、温水と蒸気による高温再生器とを直列に配置した第1再生器61と第2デシカントロータと、第2再生器62を配置した第1デシカントロータとを直列に連通し、第1再生器に室内側の還気、又は外気の処理空気の一部を供給し、第1デシカントロータから排気する多段のデシカント空気調和装置であって、第1デシカントロータは低温雰囲気下で高湿度において吸着量が多い吸着剤を用い、第2デシカントロータは低温雰囲気下で低湿度において吸着量の多い吸着剤を用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる除湿材を用いたデシカント空気調和装置に係り、特に、再生ラインになるべく高温蒸気を使用しないようにした複数段のデシカントロータを用いたデシカント空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リチウム電池製造工場等のドライルームは露点温度マイナス40℃DP以下の超低露点が要求され空調施設としては、複数段のデシカントロータを用いたデシカント空気調和装置が、例えば、特開2008−57953(特許文献1)として知られている。
このデシカント空気調和装置は、乾燥剤によって空気を除湿し、除湿を高めるために複数段のデシカントロータを用い、その後熱交換器で冷却して空調空気を得るものであるが、これらデシカントロータは、フロン等を使用せず地球環境にとって好ましい空調方式である。しかし、超低露点が要求される空調施設のデシカントロータの再生には、高温再生型のデシカントロータを用い、超低露点にするために100度以上に加熱する必要から、蒸気や電気ヒータを用いる必要があり、特に蒸気を作るために化石燃料の燃焼によりCO2、SOxを発生し、これらを排出するという問題点があり、また、高温再生型のデシカントロータは吸着能力を確保するためには空気流路のパージサイクルが必要であり、そのためデシカントロータの構造が複雑になり、高価になるといった問題点もあった。
【0003】
一方、デシカント空気調和装置の超低露点域のデシカント除湿機として、低温再生型のデシカント除湿機が知られており、これらを多段式にして使用するのが一般的であるが、近時、高湿度領域において吸放出の特性に優れた材料、有機高分子材料を用いたデシカントロータが開発され、これを用いたデシカント空気調和装置、例えば、特開2004−177074(特許文献2)が提案されているが、超低露点が要求されデシカント空気調和装置には不向きであるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−57953号公報
【特許文献2】特開2004−177074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたもので、複数段のデシカントロータを用いたデシカント空気調和装置において、蒸気の使用度合いを極力少なくし、かつ、除湿能力及び、より小型化が可能で、超低露点にすることも可能なデシカント空気調和装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、多段デシカントロータを用いた空気調和装置であって、処理ラインとして、前段に第1冷却器を配置した第1デシカントロータの処理ゾーンと、前段に第2冷却器を配置した最終の第2デシカントロータの処理ゾーンとを直列に連通し、前記第1冷却器に外気を供給して、前記第2デシカントロータからの室内側に空調空気を供給するとともに、再生ラインとして、前段に第1再生器として温水による再生器と蒸気による高温再生器とを直列に配置した前記第2デシカントロータと、前段に温水による第2再生器を配置した前記第1デシカントロータとを直列に連通し、前記第1再生器に室内側の還気、或いは、処理ゾーンの処理空気の一部を供給し、その下流の前記第1デシカントロータから排気する多段デシカントロータを配置したデシカント空気調和装置であって、
前記第1デシカントロータは、低温雰囲気下で高湿度において吸着量が多い吸着剤を用い、前記第2デシカントロータは、低温雰囲気下で低湿度において吸着量の多い吸着剤を用いたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、主に実施例1に対応し、請求項1に記載の多段デシカントロータを用いた空気調和装置であって、前記第1デシカントロータの吸着剤として、高分子吸収剤を用いたことを特徴とする。
請求項3の発明は、主に実施例1に対応し、請求項1に記載の多段デシカントロータを用いた空気調和装置であって、前記第2デシカントロータの吸着剤として、ゼオライトまたはシリカゲルを用いたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に発明は、主に実施例2に対応し、請求項1に記載の多段デシカントロータを用いた空気調和装置であって、前記第1デシカントロータと前記第2デシカントロータとの中間に第3デシカントロータを配置し、蒸気による高温再生器を排除し、該第3デシカントロータは、低温雰囲気下で高湿度において吸着量が多い吸着剤を用い、該第3デシカントロータの再生ラインの前段に温水による第3再生器を配置したことを特徴とする。
請求項5の発明は、主に実施例2に対応し、請求項4に記載の多段デシカントロータを用いた空気調和装置であって、前記第3デシカントロータの吸着剤として、高分子吸収剤を用いたことを特徴とする。
【0009】
請求項6の発明は、主に実施例3に対応し、請求項1に記載の多段デシカントロータを用いた空気調和装置であって、前記請求項1に記載の多段デシカントロータを用いるデシカント空気調和装置において、処理ゾーンの第2デシカントロータからの処理空気の一部を第1再生器に供給して、その下流の前記第1デシカントロータから排気する多段デシカントロータを配置したデシカント空気調和装置であって、温水による前記第2再生器の上流に外気を供給して混合することを特徴とする。
請求項7の発明は、主に実施例4に対応し、請求項6に記載の多段デシカントロータを用いた空気調和装置において、第2冷却器の上流に還気を供給して混合することを特徴とする。
【0010】
請求項8の発明は、主に実施例5に対応し、請求項1に記載の多段デシカントロータを用いた空気調和装置であって、前記第1デシカントロータと前記第2デシカントロータとの中間に第3デシカントロータを配置し、該第3デシカントロータは、低温雰囲気下で高湿度において吸着量が多い吸着剤を用い、該第3デシカントロータの再生ラインの前段に温水による第3再生器を配置し、処理ゾーンの第3デシカントロータの処理空気の一部を第1再生器に供給し、前記第1デシカントロータから排気する多段デシカントロータを配置したデシカント空気調和装置であって、前記第2再生器の上流に外気を供給して混合することを特徴とする。
請求項9の発明は、主に実施例6に対応し、請求項8に記載の多段デシカントロータを用いた空気調和装置であって、前記請求項8に記載の多段デシカントロータを用いるデシカント空気調和装置において、第3冷却器の上流に還気を供給して混合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の多段デシカントロータを用いた空気調和装置によれば、従来の低温再生型の多段デシカントロータを用いた空気調和装置に比べ、除湿能力が高まり超低露点にすることも可能となり、また、装置自体も小型にでき、かつ、高温再生型の多段デシカントロータを用いた空気調和装置に比べ、蒸気を使用する度合いを極力少なくすることができ、結果としてCO2やSOxを排出を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1の多段デシカントロータを用いた空気調和装置の系統図、
【図2】デシカントロータに使用する吸着剤別による吸着量と相対湿度との関係を示すグラフ1の図、
【図3】デシカントロータに使用する吸着剤別の再生適正温度の関係を示すグラフ2の図、
【図4】本発明の実施例2の多段デシカントロータを用いた空気調和装置の系統図、
【図5】本発明の実施例3の多段デシカントロータを用いた空気調和装置の系統図、
【図6】実施例3に用いる第2第2デシカントロータ2−2の斜視図、
【図7】本発明の実施例4の多段デシカントロータを用いた空気調和装置の系統図、
【図8】本発明の実施例5の多段デシカントロータを用いた空気調和装置の系統図、
【図9】本発明の実施例6の多段デシカントロータを用いた空気調和装置の系統図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の好適な実施例1を図面に沿って説明する。
[実施例1]
図1は、実施例1の多段デシカントロータを用いたデシカント空気調和装置Aの系統図であって、初段として上流に低温再生型1段(初段)のデシカントロータを配置し、最終段として下流に高温再生型1段のデシカントロータを配置したもので、概略、処理ラインBと再生ラインCとが仕切壁9によって仕切られ、処理ラインBのゾーンと再生ラインCのゾーンを貫通して直列に配置される第1デシカントロータ1、第2デシカントロータ2から構成される。
そして、第1デシカントロータ1で除湿する処理ラインBの上流側には第1冷却器41、及び、それに続いてファン71が配置され、外気OAをファン71によって吸い込み、処理ラインBの第1デシカントロータ1で減湿された空気は、次に、第2デシカントロータ2に給気され更に減湿されるが、この第2デシカントロータ2の前段にも一時的に相対湿度を上げるための第2冷却器42が配置され、第2デシカントロータ2の下流には室内の温調用の冷温コイル5が配置され、冷温コイル5には、冷凍機45の冷熱源から冷媒若しくは温水HP65の温水が供給されている。この冷温コイル5から温調された空気である給気SAとなって室内側に供給される。これらの第1冷却器41、及び、第2冷却器42、には冷凍機45の冷熱源から冷媒が供給されている。
【0014】
また、各デシカントロータを加熱する再生ラインCの上流側には再生器が配置され、先ず、外気OA若しくは還気RAが第2デシカントロータ2に供給されるが、この第2デシカントロータ2の前段には第1再生器61、第1デシカントロータ1の上流で前段には第2再生器62がそれぞれ配置され、この順に空気が供給され、第1デシカントロータ2の下流に配置されたファン72によって戸外に排気EAされる。また、前記第1再生器61は更に前段に温水による温水再生器61−1と後段に蒸気による蒸気再生器61−2が直列に配置されている。
この第1再生器61の温水再生器61−1と第2再生器62には温水ヒートポンプ65の熱源から温水が供給され、蒸気再生器61−2には蒸気ボイラ66から100℃以上の高温の蒸気が供給されており、100℃以上の蒸気で加熱している。
【0015】
このような構成において、第1デシカントロータ1は低温雰囲気下で高湿度において吸着量が多い吸着剤を用いており、この吸着剤としてポリアクリル酸ナトリューム架橋体の高分子吸収剤を用いている。
一方、第2デシカントロータ2は、低温雰囲気下で低湿度において吸着量の多い吸着剤を用いており、この吸着剤としてゼオライト或いはシリカゲルの無機材料を用いている。
次に、実施例1の作用を説明するが、その前提である第1デシカントロータ1の高分子吸収剤であるポリアクリル酸ナトリューム架橋体と、第2デシカントロータ2の無機材料であるゼオライト或いはシリカゲルの特性を、図2のグラフ1及び図3のグラフ2を用いて説明する。
先ず、吸着量と相対湿度のグラフ1に示されるように、高分子吸収剤(実線)は、相対湿度%が湿度の増加とともに、ほぼ直線的に吸着量が増大し、相対湿度50%では吸着量は約0.4g水/g吸着剤にまでなり、相対湿度60%では吸着量は約0.5g水/g吸着剤、相対湿度80%では吸着量は約0.8g水/g吸着剤にまで達し、高湿度領域ではゼオライト或いはシリカゲルよりも大きな吸着率となる。
一方、ゼオライトは、相対湿度7%以上では相対湿度%が余り変化せず(2点鎖線)、相対湿度25%以下ではで高分子吸収剤より吸着量(g水/g吸着剤)が大きいことが判る。また、シリカゲルはその中間の特性(点線)を示している。
【0016】
次に、上記の吸着剤に対する再生適正温度も異なり、グラフ2に示されるように、高分子吸着剤は約40℃〜80℃、シリカゲルは約80℃〜140℃、吸収繊維は約100℃〜140℃、活性炭は約130℃〜180℃、ゼオライトは約140℃〜180℃であり、通常、超低露点の空気を作り出すためにデシカントロータの再生器では100℃以上に加熱するが、高分子吸着剤は吸着能力が十分あっても適さないことが判る。
【0017】
このような特性であるので、デシカント空気調和装置Aにデシカントロータとして使用した場合を、メリット及びデメリットを纏めると次のようになる。
(1)[高温再生型(ゼオライト等)デシカントロータ]
高温再生型デシカントロータは、吸着剤(除湿材)として高温再生用のゼオライトやシリカゲルなどを使用し、再生熱源は蒸気で通常100℃以上でも使用可能なロータであり、次のようなメリット及びデメリットがある。
(A)メリット
(i)吸湿した、ろ材(除湿材)を乾燥させる再生空気温度を高く設定できるため、低温再生型に比べて再生能力が高い。この場合にはコンパクト設計ができる。
(B)デメリット
(i)高温で再生するため、再生側の熱が処理(除湿)側へ移行しやすく、この移行熱は、ろ材の吸着能力を低下させる。
(ii)移行熱を少なくするためには空気流路にパージサイクル等が必要となり、ロータカセットの構造が複雑になり、価格も高くなる。
(iii)蒸気を作るための化石燃料が必要となり、これを使用することによって、環境負荷となるCO2やSOxが発生する。
【0018】
(2)[低温再生型(高分子吸着剤)デシカントロータ]
低温再生型デシカントロータは、吸着剤(除湿材)として高分子系収着材などを使用し、再生熱源はヒートポンプで生成可能な温水で約80℃以下でも使用可能なロータであり、次のようなメリット及びデメリットがある。
(A)メリット
(i)低温の温水で再生するため、再生側から処理(除湿)側への熱の移行が少ない。
(ii)ロータカセットの構造が単純で、パージサイクル不要である。
(iii)電気式ヒートポンプで生成した温水で再生が可能であり、燃焼型の熱源が不要となり、直接的なCO2やSOxの発生がない。
(B)デメリット
(i)高温再生型に比べて寸法が大きくなる。
(ii)高温再生型に比べて、ロータ段数が多くなるが、段数が後ろになればなるほど除湿量が低下する。したがって、段数を増やしても、極端には除湿量が増加するものではない。
【0019】
実施例1は以上の構成であるので、図1において、外気OAは処理ラインBの第1冷却器41に冷却して相対湿度を高め、ファン71によって低温再生型(高分子吸着剤)デシカントロータである第1デシカントロータ1に給気されるが、外気OAは冷却除湿され、低温でもあるので、グラフ1に示すように高湿度領域で効率良く除湿される。最終段であるデシカントロータとして、2段目は、相対湿度が低い雰囲気であるので、高温再生型(ゼオライト等)デシカントロータである第2デシカントロータ2としている。これは、再生器を100℃以上に蒸気で高温に加熱することが可能で、この場合にはグラフ1に示すように低湿度領域でも効率良く除湿される。
【0020】
また、再生ラインCには還気RA若しくは外気OAを利用して、第2デシカントロータ2の第1再生器61に供給されるが、第1再生器は前段に温水による温水再生器61−1と後段に蒸気による蒸気再生器61−2が直列に配置されているので、高効率で温水を生成できる温水ヒートポンプ65で80℃程度までの温水を作り、それ以上の温度帯が必要な場合は、電気ヒータもしくは、蒸気ボイラ66等を使用する。
すなわち、夏期等の高負荷時には80℃以上の電気ヒータもしくは、蒸気ボイラ66を稼働させ、冬期等の低負荷時で必要除湿量が少ない場合には、まず、エネルギー効率の悪い電気ヒータ、もしくは蒸気を全閉して稼働させないように制御し、再生温度を下げ、その後、温水のみで再生可能になった場合は、再生風量を絞る省エネ制御に移行する。
【0021】
したがって、上述した実施例1の多段デシカントロータを用いた空気調和装置は、従来の低温再生型の多段デシカントロータを用いた空気調和装置に比べ、除湿能力が高まり超低露点にすることも可能となり、また、装置自体も小型にでき、さらに、高温再生型の多段デシカントロータを用いた空気調和装置に比べ、蒸気を使用度合いを極力少なくすることができて、結果としてCO2やSOxを排出を低減することができ、簡単な構成で超低露点にすることができるのでランニングコストを大幅に削減する事が出来る。
【0022】
[実施例2]
以下、実施例1の変形を実施例を説明するが、先ず、実施例2は、図4の系統図に示すように、上流に低温再生型2段のデシカントロータと下流に高温再生型1段のデシカントロータを配置した多段デシカントロータを用いたデシカント空気調和装置Aであって、実施例1の低温再生型の第1デシカントロータ1と高温再生型の第2デシカントロータ2の中間に、低温再生型の第3デシカントロータ3を配置した3段のデシカントロータを用いている。
なお、第3デシカントロータ3の処理ラインBでの上流側の前段には第3冷却器43、再生ラインCでの上流側の前段には第3再生器63が配置されている。
この実施例2では、低温再生型のデシカントロータを2段にして除湿能力を更に高めたものであるが、第2段目の第3デシカントロータ3を低温再生型にして、蒸気を使用するデシカントロータは、最終段の第2デシカントロータ2だけとしただけであるので、実施例1と同様の作用・効果が得られるとともに、さらに除湿能力を向上し超低露点の実現が可能である。
【0023】
[実施例3]
実施例3は、図5の系統図に示すように、実施例1と同様に、上流に低温再生型1段の第1デシカントロータ1と下流に高温再生型1段の第2デシカントロータ2−2を配置した多段デシカントロータを用いたデシカント空気調和装置Aであって、実施例1と異なるのは、高温再生型1段の第2デシカントロータ2−2を、図6に示すように、再生過程と吸着過程の他にパージセクタを形成して、第2デシカントロータ2−2のパージセクタに処理ゾーンBの処理空気の一部を分岐ダクト81によって通過させ、この第2デシカントロータ2−2を通過し除湿した暖まった処理空気Bの一部をダクト82によって第1再生器に導くもので、この際、再生ラインCでの空気量が足らないために、第2再生機の上流に外気OAをダンパ83によって制御しながら補充するものである。
【0024】
[実施例4]
実施例4は、図7の系統図に示すように、実施例3と同様に、上流に低温再生型1段の第1デシカントロータ1と下流に図6に示すような高温再生型1段の第2デシカントロータ2−2を配置した多段デシカントロータを用いたデシカント空気調和装置Aであって、実施例3と異なるのは、処理ラインBの第2冷却器42の上流で第1デシカントロータ1の下流に第3ファン73を配置し、この第3ファン73の吸い込み口に室内側からの還気RAを給気して、再び、処理ラインBでのこの空気を第2デシカントロータ2−2から室内を循環させて、除湿を効率的に高めるもので、上述した各実施例の作用・効果に加えて、装置自体もより小型にでき、簡単な構成で更なる超低露点にすることができる。
【0025】
[実施例5]
実施例5は、図8の系統図に示すように、上流に低温再生型2段のデシカントロータと下流に高温再生型1段のデシカントロータを配置した多段デシカントロータを用いたデシカント空気調和装置Aであって、図4の実施例2と図5の実施例3を組み合わせたもので、低温再生型の第1デシカントロータ1と高温再生型の第2デシカントロータ2の中間に、低温再生型の第3デシカントロータ3を配置した3段のデシカントロータを用い、高温再生型1段の第2デシカントロータ2−2を、図6に示すように、再生過程と吸収過程の他にパージセクタを形成して、この第2デシカントロータ2−2のパージセクタに処理ゾーンBの処理空気の一部を分岐通路81によって通過させ、この第2デシカントロータ2−2を通過し除湿して暖まった処理空気Bの一部を第1再生器に導くもので、この際、再生ラインCでの空気量が足らないために、第2再生器の上流に外気OAをダンパ83によって制御しながら補充するものである。
なお、上記第3デシカントロータ3は、低温雰囲気下で高湿度において吸着量が多い吸着剤を用い、第3デシカントロータの処理ラインBの上流側の前段には第3冷却器43、及び、再生ラインCの上流側の前段には温水による第3再生器63を配置され、処理ゾーンBの第2デシカントロータ2−2からの処理空気の一部を第1再生器61に供給している。
したがって、実施例5のデシカント空気調和装置Aは実施例2と実施例3の利点を得るようにしたもので、多段のデシカントロータを用いているが、従来の低温再生型の多段デシカントロータを用いた空気調和装置に比べ、除湿能力が高まり超低露点にすることも可能となり、また、装置自体も小型にでき、簡単な構成で超低露点にすることができる。
【0026】
[実施例6]
実施例6は、図9の系統図に示すように、上流に低温再生型2段のデシカントロータと下流に高温再生型1段のデシカントロータを配置した多段デシカントロータを用いたデシカント空気調和装置Aであって、図8の前実施例5と異なるのは、処理ラインBの第2冷却器42の上流で第3デシカントロータ3の下流に第3ファン73を配置し、この第3ファン73の吸い込み口に室内側からの還気RAを給気して、再び、処理ラインBでのこの空気を第2デシカントロータ2−2から室内を循環させて、除湿を効率的に高めるもので、作用・効果は実施例5とほぼ同じであるが、実施例5に比べて、更に超低露点にすることができ、ランニングコストを大幅に削減する事が出来る。
【0027】
以上詳述したように、上述した各実施例の多段デシカントロータを用いた空気調和装置は、従来の低温再生型の多段デシカントロータを用いた空気調和装置に比べ、除湿能力が高まり超低露点にすることも可能となり、また、装置自体も小型にでき、さらに、高温再生型の多段デシカントロータを用いた空気調和装置に比べ、蒸気を使用度合いを極力少なくすることができて、結果としてCO2やSOxを排出を低減することができ、簡単な構成で超低露点にすることができるのでランニングコストを大幅に削減する事が出来る。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の各実施例に限定されるものでないことは勿論である。
【符号の説明】
【0028】
A・・デシカント空気調和装置、
B・・処理ライン、C・・再生ライン、
1・・第1デシカントロータ、
2,2−2・・第2デシカントロータ、
3・・第3デシカントロータ、
41・・第1冷却器、42・・第2冷却器、43・・第3冷却器、45・・冷凍機、
5・・冷温コイル、
61・・第1再生器、61−1・・温水再生器、61−2・・蒸気再生器、62・・第2再生器、63・・第3再生器、
65・・温水ヒートポンプ、66・・蒸気ボイラ、
71・・第1ファン、72・・第2ファン、73・・第3ファン、
81・・分岐ダクト、82・・ダクト、83・・・ダンパ、
9・・仕切壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理ラインとして、前段に第1冷却器を配置した第1デシカントロータの処理ゾーンと、前段に第2冷却器を配置した最終の第2デシカントロータの処理ゾーンとを直列に連通し、前記第1冷却器に外気を供給して、前記第2デシカントロータからの室内側に空調空気を供給するとともに、
再生ラインとして、前段に第1再生器として温水による再生器と蒸気による高温再生器とを直列に配置した前記第2デシカントロータと、前段に温水による第2再生器を配置した前記第1デシカントロータのとを直列に連通し、前記第1再生器に室内側の還気、又は外気の処理ゾーンの処理空気の一部を供給し、その下流の前記第1デシカントロータから排気する多段デシカントロータを配置したデシカント空気調和装置であって、
前記第1デシカントロータは、低温雰囲気下で高湿度において吸着量が多い吸着剤を用い、前記第2デシカントロータは、低温雰囲気下で低湿度において吸着量の多い吸着剤を用いたことを特徴とする多段デシカントロータを用いた空気調和装置。
【請求項2】
前記第1デシカントロータの吸着剤として、高分子吸収剤を用いたことを特徴とする請求項1に記載の多段デシカントロータを用いた空気調和装置。
【請求項3】
前記第2デシカントロータの吸着剤として、ゼオライトまたはシリカゲルを用いたことを特徴とする請求項1に記載の多段デシカントロータを用いた空気調和装置。
【請求項4】
前記第1デシカントロータと前記第2デシカントロータとの中間に第3デシカントロータを配置し、蒸気による高温再生器を排除し、該第3デシカントロータは、低温雰囲気下で高湿度において吸着量が多い吸着剤を用い、該第3デシカントロータの再生ラインの前段に温水による第3再生器を配置したことを特徴とする請求項1に記載の多段デシカントロータを用いた空気調和装置。
【請求項5】
前記第3デシカントロータの吸着剤として、高分子吸収剤を用いたことを特徴とする請求項4に記載の多段デシカントロータを用いた空気調和装置。
【請求項6】
前記請求項1に記載の多段デシカントロータを用いるデシカント空気調和装置において、処理ゾーンの第2冷却器からの処理空気の一部を第1再生器に供給して、その下流の前記第1デシカントロータから排気する多段デシカントロータを配置したデシカント空気調和装置であって、温水による前記第2再生器の上流に外気を供給して混合することを特徴とする請求項1に記載の多段デシカントロータを用いた空気調和装置。
【請求項7】
前記請求項6に記載の多段デシカントロータを用いるデシカント空気調和装置において、第2冷却器の上流に還気を供給して混合することを特徴とする請求項6に記載の多段デシカントロータを用いた空気調和装置。
【請求項8】
前記第1デシカントロータと前記第2デシカントロータとの中間に第3デシカントロータを配置し、該第3デシカントロータは、低温雰囲気下で高湿度において吸着量が多い吸着剤を用い、該第3デシカントロータの再生ラインの前段に温水による第3再生器を配置し、処理ゾーンの第2デシカントロータの処理空気の一部を第1再生器に供給し、前記第1デシカントロータから排気する多段デシカントロータを配置したデシカント空気調和装置であって、前記第3再生器の上流に外気を供給して混合することを特徴とする請求項1に記載の多段デシカントロータを用いた空気調和装置。
【請求項9】
前記請求項8に記載の多段デシカントロータを用いるデシカント空気調和装置において、第3冷却器の上流に還気を供給して混合することを特徴とする請求項8に記載の多段デシカントロータを用いた空気調和装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−96665(P2013−96665A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241356(P2011−241356)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(390003333)新晃工業株式会社 (46)