説明

デジタルカメラ、外部装置、及び、デジタルカメラシステム

【課題】デジタルカメラで撮影した画像データを外部装置に無線送信し、外部装置側で当該撮影画像を記録及び表示するようにしたデジタルカメラシステムにおいて、撮影から表示までのタイムラグを短くして、撮影者の煩わしさを解消すること。
【解決手段】デジタルカメラ2における撮影時には第1の画像データと該第1の画像データよりもデータ量の多い第2の画像データを生成する。外部装置3へ画像データを送信する際には、まず第1の画像データを送信する。外部装置3は第1の画像データを受信したらそれを表示装置に表示させた後、続いて第2の画像データを受信する。2つの画像データともに受信が完了したら、その2つの画像データを所定のファイルフォーマットにて関連つけてフラッシュメモリ48に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、デジタルカメラで撮影した画像データを外部装置に無線送信し、外部装置側で当該撮影画像を表示及び記録するようにしたデジタルカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信機能をデジタルカメラに搭載し、撮像した画像データを随時外部装置に送信するシステムが注目されている。例えば、特許文献1においては、撮像した画像データを無線通信手段によって大容量の記憶媒体を有する外部装置へ転送する技術が開示されている。さらに、特許文献2には、カメラから外部装置へ撮像データを送信し、外部装置側で表示する技術が開示されている。上記特許文献に記載された技術を用いれば、離れた位置に設置したカメラをリモコン操作し、撮影した画像を手元の大画面モニタで確認するという使い方が実現できるので、動物撮影などにおいて便利である。
【特許文献1】特開平11−284894号公報
【特許文献2】特開2003−101838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的に、デジタルカメラの撮像素子の画素数が多くなれば記録画像のデータ容量が多くなり、そしてデータ容量が多いほど外部装置への送信時間が長くなる。その結果、カメラで被写体を撮影してから外部装置側でその画像を表示するまでのタイムラグが長くなるという問題が生じる。現状、画像1枚を送信するには数秒から十数秒を要するので、その間、何もせずに待っているのは撮影者にとっては非常に煩わしい。
【0004】
本願発明の目的は、デジタルカメラで撮影した画像データを外部装置に無線送信し、外部装置側で当該撮影画像を表示及び記録するようにしたデジタルカメラシステムにおいて、少なくとも撮影から表示までのタイムラグを短くして、撮影者の煩わしさを解消することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の主要な局面に係るデジタルカメラシステムは、被写体を撮像するデジタルカメラと、該デジタルカメラと無線通信可能なデジタルカメラの外部装置とを含んでおり、前記デジタルカメラは、撮影動作が実行されたら第1の画像データと該第1の画像データよりもデータ量の多い第2の画像データを生成し、前記外部装置に対して初めに前記第1の画像データ、次いで第2の画像データを無線送信することを特徴としており、前記外部装置は、前記第1の画像データを受信したら該第1の画像データを表示装置に表示させ、その後、前記第2の画像データを受信したら、前記第1及び第2の画像データを所定のファイルフォーマットにて記録するものである。
【0006】
本発明の主要な局面に係るデジタルカメラは、表示機能を有する外部装置に対して撮影画像を無線送信可能なデジタルカメラであって、1回の撮影動作に応答して、第1の画像データ、及び、該第1の画像データよりもデータ量の多い第2の画像データを生成する生成手段と、前記外部装置に対して前記第1の画像データを無線送信し、その後、前記外部装置から前記第1の画像データの表示動作が行われたことを示す信号を受信したら、次いで第2の画像データを無線送信するカメラ側無線通信手段とを具備する。
【0007】
本発明の主要な局面に係るデジタルカメラの外部装置は、デジタルカメラで撮影した画像を無線通信にて取得可能なデジタルカメラの外部装置であって、前記デジタルカメラから送信された画像データを表示可能な表示手段と、前記デジタルカメラから送信された画像データを記録するための記録手段とを具備しており、前記デジタルカメラから先に送信された第1の画像データについては前記表示装置に表示させ、その後に送信された第2の画像データについては前記第1の画像データとともに所定のフォーマットにて関連付けされたファイルを作成して前記記録手段に記録するものである。
【発明の効果】
【0008】
本願発明によれば、デジタルカメラで撮影した画像データを外部装置に無線送信し、外部装置側で当該撮影画像を表示及び記録するようにしたデジタルカメラシステムにおいて、撮影から表示までのタイムラグを短くして、撮影者の煩わしさを解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1はデジタルカメラシステムの外観図を示し、図2は同システムを構成するデジタルカメラ2の具体的な構成図を示し、図3は同システムを構成する外部装置3の具体的な構成図を示す。
【0011】
デジタルカメラシステム1は、デジタルカメラ2と外部装置3とを含む。これらデジタルカメラ2と外部装置3とは、互いに無線によりデータ通信可能である。デジタルカメラ2は、被写体を撮像するもので、カメラ本体4の正面には、交換レンズ5が着脱可能に設けられている。カメラ本体4の上面には、レリーズスイッチ6が設けられている。カメラ本体4の背面には、再生スイッチ7と、メニュースイッチ8と、送信スイッチ9と、電源レバー(パワースイッチ)10と、各選択釦11とが設けられると共に、第1の表示部としての液晶モニタ(背面液晶モニタ)12が設けられている。この液晶モニタ12は、カメラ本体4の背面に限らず、撮影者が観察可能な位置であれば、他の位置でもよい。この液晶モニタ12は、ライブビュー表示を行い、又、撮影済みの被写体像を再生表示したり、撮影情報及びメニューを表示する。
【0012】
外部装置3は、外部装置本体13に例えば液晶ディスプレイ等から成る第2の表示部(表示手段)としての大型液晶モニタ14を備える。この大型液晶モニタ14は、デジタルカメラ2の液晶モニタ12の画面サイズよりも大きなサイズの大型表示画面15を備える。又、この大型表示画面15上には、タッチパネルスイッチ16が設けられている。なお、外部装置本体13の側面には、電源レバー17が設けられている。
【0013】
デジタルカメラ2は、図2に示すように交換レンズ20とカメラ本体21とから成り、これら交換レンズ20とカメラ本体21とは、互いに着脱可能である。なお、交換レンズ20とカメラ本体21とは、一体的に構成してもよい。交換レンズ20には、焦点調節及び焦点距離調節用の撮影光学系22と、開口量を調節するため絞り等の光量調節機構23とが設けられている。これら撮影光学系22と光量調節機構23とは、同一光軸a上に配置されている。このうち撮影光学系22は、レンズ駆動機構24によって駆動される。光量調節機構23は、光量調節駆動機構25によって駆動される。
【0014】
カメラ本体21には、赤外カットフィルタ・ローパスフィルタ30と、撮像部としての撮像素子31とが設けられている。これら赤外カットフィルタ・ローパスフィルタ30と撮像素子31とは、交換レンズ20及びカメラ本体21を一体化したときに、交換レンズ20の光軸a上に設けられる。赤外カットフィルタ・ローパスフィルタ30は、被写体からの光束から赤外光成分と高調波成分とを除去する。
【0015】
撮像素子31は、撮影光学系22によって結像される被写体像を電気信号に光電変換するもので、例えばCCD(Charge Coupled Devicse)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の二次元撮像素子である。この撮像素子31には、撮像素子駆動回路32とA/D変換回路33とが接続され、撮像素子駆動回路32によって画像信号の読み出しが行われ、撮像素子31から読み出された画像信号がA/D変換回路33によってデジタル化されて画像データとなる。
【0016】
又、カメラ本体21には、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)34が設けられている。このASIC34には、カメラコントローラ35が設けられている。このカメラコントローラ35には、データバス36を介して画像処理回路37と、圧縮伸張回路38と、ビデオ信号出力回路39と、SDRAM制御回路40と、入出力回路41と、送受信回路42と、記録媒体制御回路43と、フラッシュメモリ制御回路44と、スイッチ検知回路45とが接続されている。
【0017】
カメラコントローラ35は、本デジタルカメラ2の動作を制御するもので、画像処理回路37と、圧縮伸張回路38と、ビデオ信号出力回路39と、SDRAM制御回路40と、入出力回路41と、送受信回路42と、記録媒体制御回路43と、フラッシュメモリ制御回路44と、スイッチ検知回路45とを動作制御する。
【0018】
画像処理回路37は、A/D変換回路33からの画像データを入力し、この画像データに対してデジタル的増幅(デジタルゲイン調整処理)と、色補正と、ガンマ(γ)補正と、コントラスト補正等の各種の画像処理を行う。又、画像処理回路37は、A/D変換回路33からの画像データから被写体の輝度を求める。
【0019】
この画像処理回路37は、画像データに対して上記各種の画像処理を行ない、2つの画像ファイルを作成する(生成手段)。この画像ファイルは、液晶モニタ12に表示するための第1の画像データとしての表示用の画像データD1と、この表示用の画像データD1よりもデータ量の多い第2の画像データとしての本画像データD2である。表示用画像データD1は、例えば640×640ピクセルの画像サイズを有し、本画像データD2は、例えば3200×2400ピクセルの画像サイズを有する。
【0020】
圧縮伸張回路38は、SDRAM46に記録されている画像データを例えばJPEG又はTIFF等の圧縮方式によって圧縮処理し、この圧縮された画像データを伸張処理する。圧縮方式は、JPEG又はTIFFに限らず、他の圧縮方式を用いてもよい。
【0021】
ビデオ信号出力回路39には、液晶モニタ駆動回路47を介して液晶モニタ12に接続されている。このビデオ信号出力回路39は、SDRAM46に記録されている画像データ、メモリカード等の記録媒体48に記録されている画像データ、画像処理回路37から出力されるライブビュー用の画像データ、又はその他のカメラ制御用の種々のデータを液晶モニタ12に表示するためのビデオ信号に変換する。液晶モニタ駆動回路47は、ビデオ信号出力回路39からのビデオ信号を入力してライブビュー用の画像データ等を液晶モニタ12に表示する。
【0022】
SDRAM制御回路40には、バッファメモリとしてのSDRAM46が接続されている。このSDRAM46は、例えば画像処理回路37によって画像処理された画像データ、又は圧縮伸張回路38によって圧縮処理された画像データを一時的に記憶する。SDRAM制御回路40は、SDRAM46に対して画像データの記憶、読み出し等の制御を行う。
【0023】
入出力回路41は、カメラコントローラ35から発せられた各制御信号をデータバス36を介して受け取り、これら制御信号をレンズ駆動機構24、光量調節駆動機構25又は撮像素子駆動回路32に送る。
【0024】
送受信回路42には、アンテナ49が接続されている。アンテナ49は、電波を受波して電気信号に変換し、かつ電気信号を電波に変換して送波する。この送受信回路42は、アンテナ49を介して外部装置3との間で無線通信を行う。
【0025】
記録媒体制御回路43には、メモリカード等の記録媒体48が接続される。この記録媒体48は、書き換え可能で、例えばxDピクチャーカード(登録商標)、コンパクトフラッシュ(登録商標)、SDメモリカード(登録商標)、メモリステック(登録商標)等のカメラ本体21に対して着脱可能である。記録媒体制御回路43は、記録媒体48に対して画像データ等の記録及び画像データ等の読み出しの制御を行う。
【0026】
フラッシュメモリ制御回路44には、フラッシュメモリ50が接続される。このフラッシュメモリ50は、例えば電気的に書き換え可能な不揮発性メモリである。このフラッシュメモリ50には、本デジタルカメラ2の動作を制御するためのプログラムが予め記憶されている。なお、カメラコントローラ35は、フラッシュメモリ50に記憶されているプログラムをフラッシュメモリ制御回路44を通して実行することにより本デジタルカメラ2の動作を制御する。
【0027】
スイッチ検知回路45には、各種スイッチ51が接続されている。各種スイッチ51は、例えばレリーズスイッチ6と、再生スイッチ7と、メニュースイッチ8と、送信スイッチ9と、電源レバー10と、各選択釦11とを有する。スイッチ検知回路45は、各種スイッチ51のオン・オフ状態等を検知する。
【0028】
一方、外部装置3には、図3に示すようにディスプレイコントローラ60が設けられている。このディスプレイコントローラ60には、データバス61を介して圧縮伸張回路62と、ビデオ信号出力回路63と、SDRAM制御回路64と、フラッシュメモリ制御回路65と、送受信回路66と、スイッチ検知回路67と、画像処理回路68とが接続されている。ディスプレイコントローラ60は、本外部装置3の動作を制御するもので、圧縮伸張回路62と、ビデオ信号出力回路63と、SDRAM制御回路64と、フラッシュメモリ制御回路65と、送受信回路66と、スイッチ検知回路67と、画像処理回路68とを動作制御する。
【0029】
圧縮伸張回路62は、SDRAM69に記録されている表示用画像データD1を例えばJPEG又はTIFF等の圧縮方式によって圧縮処理し、この圧縮された表示用画像データD1を伸張処理する。圧縮方式は、JPEG又はTIFFに限らず、他の圧縮方式を用いてもよい。
【0030】
ビデオ信号出力回路63は、液晶モニタ駆動回路70を介して大型液晶モニタ14に接続されている。このビデオ信号出力回路63は、SDRAM69に記録されている表示用画像データD1を大型液晶モニタ14(表示手段)に表示するためのビデオ信号に変換する。
【0031】
SDRAM制御回路64には、バッファメモリとしてのSDRAM69が接続されている。このSDRAM69は、例えば表示用画像データD1又は圧縮伸張回路62によって圧縮処理された表示用画像データD1を一時的に記憶する。SDRAM制御回路64は、SDRAM69に対して表示用画像データD1の記憶、読み出し等の制御を行う。
フラッシュメモリ制御回路65には、フラッシュメモリ84が接続される。このフラッシュメモリ84は、例えば電気的に書き換え可能な不揮発性メモリである。このフラッシュメモリ84には、本外部装置3の動作を制御するためのプログラムが予め記憶されている。なお、ディスプレイコントローラ60は、フラッシュメモリ84に記憶されているプログラムをフラッシュメモリ制御回路64を通して実行することにより本外部装置3の動作を制御する。
【0032】
記録媒体制御回路85には、メモリカード等の着脱可能な記録媒体86(記録手段)が接続される。記録媒体制御回路85は、記録媒体86に対して画像データ等の記録及び画像データ等の読み出しの制御を行う。
【0033】
送受信回路66には、アンテナ71が接続されている。アンテナ71は、電波を受波して電気信号に変換し、かつ電気信号を電波に変換して送波する。送受信回路66は、アンテナ71からの電気信号を入力し、この電気信号を検波等の処理をしてデジタルカメラ2から送られてきた表示用画像データD1の電気信号として受信する。
【0034】
スイッチ検知回路67には、タッチパネルスイッチ16と、電源レバー17とが接続されている。タッチパネルスイッチ16は、大型液晶モニタ14の大型表示画面15上に設けられており、操作者のタッチ操作を受けてタッチ部位に対応する座標信号を発生する。
【0035】
次に、上記の如く構成されたシステムにおけるデジタルカメラ2の動作について図4に示すカメラ側動作フローチャートに従って説明する。
【0036】
カメラコントローラ35は、ステップ#1において、スイッチ検知回路45を通して電源レバー(パワースイッチ)10が押し操作され、パワーオンの状態になったか否かを判断する。この判断の結果、パワーオンの状態になると、カメラコントローラ35は、ステップ#2のスリープ状態を介してステップ#3に移り、デジタルカメラ2内の回路を起動する。
【0037】
次に、カメラコントローラ35は、ステップ#4において、ライブビュー画像の動作を開始する。すなわち、撮像素子31は、撮影光学系22により結像された被写体像を光電面で受光し、この被写体像を光電変換し、画像信号として出力する。この撮像素子31から出力される画像信号は、A/D変換回路33によってデジタル画像データに変換されて画像処理回路37に送られる。
【0038】
この画像処理回路37は、A/D変換回路33からの画像データを入力し、この画像データに対してデジタル的増幅(デジタルゲイン調整処理)と、色補正と、ガンマ(γ)補正と、コントラスト補正等の各種の画像処理を行う。そして、ビデオ信号出力回路39は、画像処理回路37から出力されるライブビュー用の画像データを液晶モニタ12に表示するためのビデオ信号に変換する。液晶モニタ駆動回路47は、ビデオ信号出力回路39からのビデオ信号を入力してライブビュー用の画像データを液晶モニタ12に表示する。
【0039】
次に、スイッチ検知回路45は、ステップ#5において、各種スイッチ51の状態、すなわちレリーズスイッチ6と、再生スイッチ7と、メニュースイッチ8と、送信スイッチ9と、電源レバー(パワースイッチ)10と、各選択釦11とがオン状態又はオフ状態であるのかを読み込む。そして、カメラコントローラ35は、ステップ#6において、再生スイッチ7がオン状態又はオフ状態であるのかを判断し、この判断の結果、再生スイッチ7がオン状態であれば、ステップ#7に移って再生モードに移行する。
【0040】
次に、カメラコントローラ35は、ステップ#8において、メニュースイッチ8がオン状態又はオフ状態であるか否かを判断し、この判断の結果、メニュースイッチ8がオン状態であれば、ステップ#9に移ってメニュー設定生モードに移行する。
【0041】
次に、カメラコントローラ35は、ステップ#10において、レリーズスイッチ6がオン状態又はオフ状態であるか否かを判断し、この判断の結果、レリーズスイッチ6がオン状態であれば、ステップ#11に移って撮影モードに移行する。尚、撮影モードが終了するとステップ#12に移って通信モードに移行する。
【0042】
次に、カメラコントローラ35は、ステップ#13において、電源レバー(パワースイッチ)10がオン状態又はオフ状態であるか否かを判断し、この判断の結果、電源レバー(パワースイッチ)10がオン状態であれば、ステップ#5以降の処理を継続し、オフ状態であれば#2に異動してスリープ状態となる。
【0043】
次に、デジタルカメラ2の撮影モードについて図5に示す撮影モードフローチャートに従って説明する。
【0044】
カメラコントローラ35は、図4のステップ#11において、レリーズスイッチ6がオン状態であれば、撮影モードに移行する。撮影モードにおいては、カメラコントローラ35は、ステップ#20においてライブビュー用の画像データに基づいて露光量を演算して求める。
【0045】
次に、カメラコントローラ35は、ステップ#21において、露光条件として、露光量に応じた絞り等の光量調節機構23の絞り値データ等を求め、この絞り値データを光量調節駆動機構25に送る。この光量調節駆動機構25は、絞り値データに従って光量調節機構23の絞り径を調節する。なお、カメラコントローラ35は、フォーカス位置の調節を行うためのレンズ駆動機構24に対してフォーカス位置調節の指令を送出することにより撮影光学系22を光軸a方向に移動させ、撮影光学系22の位置を決定する。
【0046】
次に、カメラコントローラ35は、ステップ#22において、決定された露出条件に従って撮影光学系22のフォーカス位置と、撮像素子31の電子シャッター速度との設定で露光動作を行わせる。このとき、カメラコントローラ35は、ステップ#23において、光量調節駆動機構25に対して調節された絞り径で開放させる指令を送る。
【0047】
しかるに、撮像素子31は、ステップ#24において、撮影光学系22により結像された被写体像を光電面で受光し、この被写体像を光電変換し、画像信号として出力する。この撮像素子31から読み出された画像信号は、A/D変換回路33によってデジタル化されて画像データとなる。
【0048】
画像処理回路37は、ステップ#25において、A/D変換回路33からの画像データを入力し、この画像データに対してデジタル的増幅や、色補正、ガンマ(γ)補正、コントラスト補正等の各種の画像処理を行う。
【0049】
又、画像処理回路37は、ステップ#26において、液晶モニタ12に表示するための表示用画像データD1を生成すると共に、この表示用画像データD1よりもデータ量の多い本画像データD2を生成する。これら表示用画像データD1と本画像データD2とは、カメラコントローラ35の指令によってSDRAM制御部40を通してSDRAM46に一時的に記憶される。
【0050】
次に、デジタルカメラ2の通信モードについて図6に示す通信モードフローチャートに従って説明する。
【0051】
通信モードにおいて、カメラコントローラ35は、ステップ#30において、送受信回路42に対して送信指令を発する。この送受信回路42は、外部装置3との間でデータ通信を開始するための送信要求信号を送信する。この送信要求信号は、外部装置3に向けてアンテナ71から電波として発信される。
【0052】
次に、カメラコントローラ35は、ステップ#31において、送受信回路42を通して送信要求に対する外部装置3からの応答が送信要求信号を送信してから所定時間内にあるか否かを判断する。この判断の結果、外部装置3からの応答がなければ、カメラコントローラ35は、ステップ#32に移り、外部装置3との間でデータ通信が不能であるものと判断し、その旨を液晶モニタ12に表示させる。
【0053】
一方、外部装置3からデータ通信可能の応答があると、カメラコントローラ35は、ステップ#33に移り、SDRAM46に一次記憶されている表示用画像データD1を読み出す。
【0054】
次に、カメラコントローラ35は、ステップ#34において、送受信回路42に対して表示用画像データD1を送信する指令を発する。これにより、送受信回路42は、表示用画像データD1を外部装置3に向けてアンテナ71から電波として発信する。
【0055】
次に、カメラコントローラ35は、ステップ#35において、外部装置3から表示用画像データD1の受信完了の応答を待ち、完了信号の応答があればステップ#36に移り、SDRAM46に一次記憶されている本画像データD2(記録用画像データ)を読み出す。
【0056】
次に、カメラコントローラ35は、ステップ#37において、送受信回路42に対して本画像データD2を送信する指令を発する。これにより、送受信回路42は、本画像データD2を外部装置3に向けてアンテナ71から電波として発信する。
【0057】
そして、カメラコントローラ35は、ステップ#38において、外部装置3から本画像データD2の受信完了の応答を待ち、完了信号の応答があれば図4のフローチャートにリターンする。
【0058】
次に、外部装置3の動作について図7に示す表示装置動作フローチャートに基づいて説明する。
【0059】
電池等の駆動電力の供給に応答して、外部装置3のディスプレイコントローラ60が起動し、ステップ#50において、スイッチ検知回路67を通して電源レバー(パワースイッチ)17が押し操作されてパワーオン状態になったか否かを判断する。この判断の結果、パワーオフ状態であれば、ディスプレイコントローラ60は、ステップ#51に移ってスリープ状態になる。
【0060】
一方、パワーオン状態であれば、ディスプレイコントローラ60は、ステップ#52に移り、送受信回路66を通してデジタルカメラ2からの送信要求信号を受信したか否かを判断する。この判断の結果、デジタルカメラ2からの送信要求信号を受信すると、ディスプレイコントローラ60は、ステップ#53に移り、データ通信可能の応答信号を送受信回路66を通してデジタルカメラ2に返送する。
【0061】
次に、ディスプレイコントローラ60は、ステップ#54において、送受信回路66を通して表示用画像データD1を受信する。その後、ディスプレイコントローラ60は、ステップ#55において、受信した表示用画像データD1をビデオ信号出力回路63に送る。表示用画像データD1は、このビデオ信号出力回路63によってビデオ信号に変換され、大型液晶モニタ14に表示される。
【0062】
次に、ディスプレイコントローラ60は、ステップ#56において、送受信回路66を通してデジタルカメラ2へ表示動作が完了したことを示す完了信号を送信する。
【0063】
その後、ディスプレイコントローラ60は、ステップ#57において、送受信回路66を通して記録用の本画像データD2を受信する。その後、ディスプレイコントローラ60は、ステップ#58において、送受信回路66を通してデジタルカメラ2へ本画像データD2の受信が完了したことを示す完了信号を送信する。
【0064】
そして、ディスプレイコントローラ60は、ステップ#59において、表示用画像データD1と、記録用本画像データD2と、この2つの画像データの管理用データMとによって、図8に模式的その構造を示す画像ファイルを作成する。そして、その画像ファイルをフラッシュメモリ制御回路65によってフラッシュメモリ84に記録した後、再びステップ#50移行の処理に戻る。
【0065】
以上のように、上記実施形態にて示したように、本発明のデジタルカメラシステム1は、デジタルカメラ2で撮影した画像データが外部装置3に無線送信され、外部装置3の側で表示及び記録する構成であるが、その送信手順において特徴を有するものであるので、その動作について以下に説明する。
【0066】
まず、本願発明のデジタルカメラ2は、撮影時に第1の画像データと該第2の画像データよりもデータ量の多い第2の画像データを生成する。このとき、この第1及び第2の画像データの圧縮処理は行わず、SDRAM46に一時的に記録するだけである。また、デジタルカメラ2内部で画像ファイルを作成及び記録する処理も実行しない。
【0067】
次に、デジタルカメラ2は、データ量の少ない第1の画像データを外部装置3に無線送信する。外部装置3は、この第1の画像データを受信したら、それを液晶モニタ14に表示させる。
【0068】
デジタルカメラ2は、外部装置3において第1の画像データの表示がなされたら、続いて第2の画像データを外部装置3に送信する。外部装置3は、第2の画像データを受信したら、2つの画像データを所定のファイルフォーマットにて記録媒体86に記録する。
【0069】
このような手順によれば、デジタルカメラ2で撮影した画像を外部装置3で確認する際のタイムラグを短縮することができる。これは、表示用の画像データは液晶モニタ等に表示するためのものであるから、画面上で違和感無く見える程度の低解像度のデータでよいし、データ量が少なければ通信に要する時間も短くなるという理由による。
【0070】
さらに、従来のデジタルカメラでは、撮影後にデジタルカメラ内で記録用の画像ファイルを生成した後、さらには、それをいったん記録媒体に記録した後に外部装置へ記録していたため、実際の送信動作の開始までに時間がかかっていた。しかし、本願発明のデジタルカメラシステム1においては、デジタルカメラ2内で画像ファイルを生成せず、外部装置3において画像表示を行った後、外部装置3内でファイル生成と記録を行っているので、撮影から表示までの時間のうち、それに要する時間の短縮も可能になる。
【0071】
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0072】
また、「特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上、「次に、」、「その後」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明に係るデジタルカメラシステムの一実施の形態を示す外観図。
【図2】同システムにおけるデジタルカメラの具体的な構成図。
【図3】同システムにおける外部装置の具体的な構成図。
【図4】同システムにおけるデジタルカメラのカメラ側動作フローチャート。
【図5】同システムにおけるデジタルカメラの撮影モードのフローチャート。
【図6】同システムにおけるデジタルカメラの通信モードフローチャート。
【図7】同システムにおける外部装置の表示装置動作フローチャート。
【図8】同システムにおける画像ファイルの構造図。
【符号の説明】
【0074】
1:デジタルカメラシステム、2:デジタルカメラ、3:外部装置、4:カメラ本体、5:交換レンズ、6:レリーズスイッチ、7:再生スイッチ、8:メニュースイッチ、9:送信スイッチ、10:電源レバー、11:モニタ画面、12:液晶モニタ(背面液晶モニタ)、13:装置本体、14:大型液晶モニタ、15:大型表示画面、16:タッチパネルスイッチ、17:電源レバー、20:交換レンズ、21:カメラ本体、22:撮影光学系、23:光量調節機構、24:レンズ駆動機構、25:光量調節駆動機構、30:赤外カットフィルタ・ローパスフィルタ、31:撮像素子、32:撮像素子駆動回路、33:A/D変換回路、34:ASIC(特定用途向け集積回路)、35:カメラコントローラ、36:データバス、37:画像処理回路、38:圧縮伸張回路、39:ビデオ信号出力回路、40:SDRAM制御回路、41:入出力回路、42:送受信回路、43:記録媒体制御回路(カメラ側)、44:フラッシュメモリ制御回路、45:スイッチ検知回路、46:SDRAM、47:液晶モニタ駆動回路、48:記録媒体、49:アンテナ、50:フラッシュメモリ、51:各種スイッチ、60:ディスプレイコントローラ、61:データバス、62:圧縮伸張回路、63:ビデオ信号出力回路、64:SDRAM制御回路、65:フラッシュメモリ制御回路、66:送受信回路、67:スイッチ検知回路、68:画像処理回路、69:SDRAM、84:フラッシュメモリ、85:記録媒体制御回路(外部装置側)、86:記録媒体(外部装置側)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像するデジタルカメラと、該デジタルカメラと無線通信可能なデジタルカメラの外部装置とを含むデジタルカメラシステムにおいて、
前記デジタルカメラは、撮影動作が実行されたら第1の画像データと該第1の画像データよりもデータ量の多い第2の画像データを生成し、前記外部装置に対して初めに前記第1の画像データ、次いで第2の画像データを無線送信することを特徴としており、
前記外部装置は、前記第1の画像データを受信したら該第1の画像データを表示装置に表示させ、その後、前記第2の画像データを受信したら、前記第1及び第2の画像データを所定のファイルフォーマットにて記録することを特徴とするデジタルカメラシステム。
【請求項2】
表示機能を有する外部装置に対して撮影画像を無線送信可能なデジタルカメラにおいて、
1回の撮影動作に応答して、第1の画像データ、及び、該第1の画像データよりもデータ量の多い第2の画像データを生成する生成手段と、
前記外部装置に対して前記第1の画像データを無線送信し、その後、前記外部装置から前記第1の画像データの表示動作が行われたことを示す信号を受信したら、次いで第2の画像データを無線送信するカメラ側無線通信手段と、
を具備することを特徴とするデジタルカメラ。

【請求項3】
デジタルカメラで撮影した画像を無線通信にて取得可能なデジタルカメラの外部装置において、
前記デジタルカメラから送信された画像データを表示可能な表示手段と、
前記デジタルカメラから送信された画像データを記録するための記録手段と、
を具備しており、
前記デジタルカメラから先に送信された第1の画像データについては前記表示装置に表示させ、その後に送信された第2の画像データについては前記第1の画像データとともに所定のフォーマットにて関連付けされたファイルを作成して前記記録手段に記録することを特徴とするデジタルカメラの外部装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−257085(P2012−257085A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129140(P2011−129140)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】