説明

デジタルプラネタリウム投映装置

【課題】操作手順の記録と実行が可能な装置であって,その記録が容易であり,記録された内容の編集が可能であり,その実行時には臨機応変な演出も可能なデジタルプラネタリウム投映装置を提供すること。
【解決手段】デジタルプラネタリウム投映装置は,投映に関する操作者による操作を受け付ける操作部5と,投映に関する情報を操作者に表示する操作表示パネル28と,操作部5になされた操作手順を記録する手動プロセス記録部29と,手動プロセス記録部29に記録されている操作手順に従って投映を実行する制御部21とを有し,手動プロセス記録部29による操作手順の記録中に操作者による一時停止および再開操作を受け付ける。また,操作手順に従って投映を実行中にその投映画面に関する情報を操作表示パネル28に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,デジタル方式のプラネタリウム投映装置(以下,「デジタルプラネタリウム投映装置」とする。)に関する。さらに詳細には,操作実行手順やそのタイミング等を記録できるデジタルプラネタリウム投映装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来,プラネタリウム投映装置による演出では,ドーム型のスクリーンに天体や解説のための補助映像等を投映し,同時に音声による解説を放送する。熟練した操作者は,プラネタリウム装置を操作しつつ,音声解説を放送することにより,観客の反応等を考慮した演出を行う。しかし,熟練者の人数は限られており,熟練していない操作者によってもある程度の演出ができることが望まれる。この問題の対策として,例えば特許文献1には,プラネタリウムの自動演出方法が開示されている。この文献の方法によれば,熟練者の操作を磁気テープ等に記録し,その記録をプログラムによって部分的に修正して実行することができるとされている。
【0003】
近年,デジタル式のプラネタリウム投映装置では,従来の光学式のプラネタリウム投映装置と比較して,実行可能な演出内容がさらに多種多様なものとなっている。その一方で,操作自体は,ジョイスティックやタッチパネル等の入力装置を利用することによって,より容易なものとなっている。例えば,時刻ボリューム,時刻変化ボタン,各種機能の表示・非表示の選択ボタン,視点移動ボタン等の操作によって,日周運動,年周運動,歳差運動の表示や,恒星特有の固有運動の表示,星の光跡を残した移動経路の表示などの様々な演出ができる。さらには,記録されている天体座標と視点座標とを使用してリアルタイム演算することにより,恒星だけでなく,惑星,衛星,彗星,小惑星,銀河,星雲・星団等の天体を投映できるとともに,それらの天体へ視点移動することによる疑似宇宙旅行の演出も可能となっている。
【0004】
従来,このようなデジタルプラネタリウム投映装置において,熟練者でなくても高度な演出を可能とする機能として,所定の一連の操作を記録する,所謂「マクロ機能」を有するものがあった。マクロ機能を利用すると,操作者は記録されたマクロを適宜選択するだけでよく,熟練していない操作者であっても高度な演出が可能となる。さらには,複数の命令をプログラミングし,プログラム言語によるスクリプトとして記録する,所謂「プログラミング機能」を有する装置や,音声付きの動画を再生できる装置もあった。
【特許文献1】特開昭58−132780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記したマクロ機能を有するデジタルプラネタリウム投映装置では,一旦,マクロの記録を開始すると途中で中断することができない。そのため,記録の途中で操作を誤ると始めからやり直さなければならない。また,熟練していない操作者にとっては,スムーズに操作すること自体が難しい。そのため,そのような操作者にとっては,マクロとして一連の操作を一度に記録することは易しくない。
【0006】
また,近年,ボリュームつまみやジョイスティック等の操作によって時刻変化や視点移動等の演出が行われる。しかし,マクロ機能として登録できるのは,操作パネルによって設定可能な操作(例えば表示のオンオフ)のみとなっている。そのため,ボリュームつまみやジョイスティック等の各種入力操作については依然として操作者が行う必要があり,誰もが操作可能というものではない。
【0007】
また,マクロの再生時に操作画面の内容が切り換わらない。そのため,操作者は手動操作での経過状況を知ることができず,再生箇所の把握が困難であった。また,再生中のマクロを中断あるいは停止したとしても,操作画面が経過状況を保持していない。そのため,操作者が手動操作にスムーズに切り替えることができず,観客に不快な演出となってしまう。
【0008】
また,プログラミング機能を有するデジタルプラネタリウム投映装置では,プラネタリウム装置の操作とは全く別のスキルであるプログラミング技術を習得する必要がある。そのため,プラネタリウム装置の操作には熟練している操作者であっても,すぐにプログラミングができるものではない。
【0009】
また,ムービーとして再生する方法では,一連の演出がすべて映像として記録されており,その一部を実行時に変更,修正することは出来なかった。さらに,これらのプログラムやムービーによる実行では,その実行内容や進行速度はあらかじめ決められたものであり,一旦実行が開始されたら観客の反応等に応じて臨機応変に演出を行うことは不可能であった。
【0010】
本発明は,前記した従来のデジタルプラネタリウム投映装置が有する問題点を少なくとも1つ解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,操作手順の記録と実行が可能な装置であって,その記録が容易であり,記録された内容の編集が可能であり,その実行時には臨機応変な演出も可能なデジタルプラネタリウム投映装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題の解決を目的としてなされた本発明のデジタルプラネタリウム投映装置は基本的に,投映に関する操作者による操作を受け付ける操作受け付け部と,投映に関する情報を操作者に表示する表示画面と,操作受け付け部になされた操作手順を記録する操作順序記録部と,操作順序記録部に記録されている操作手順に従って投映を実行する再生部とを有するデジタルプラネタリウム投映装置である。すなわち,操作順序記録部によって,操作受け付け部になされた操作手順が記録され,再生部によって,その記録された操作手順が実行される。
【0012】
そして本発明では,操作順序記録部による操作手順の記録中に操作者による一時停止操作を受け付ける一時停止部と,一時停止部による一時停止中に操作者による再開操作を受け付ける再開部とを有するものである。この装置によれば,一時停止部と再開部とを有するので,操作手順の記録中に一時停止させることができ,スムーズに演出操作できなくても記録は容易である。例えば,操作者は,一時停止させることにより,次の操作の確認を行うことができる。従って,操作手順の記録と実行が可能な装置であって,その記録が容易なデジタルプラネタリウム投映装置となっている。
【0013】
本発明のデジタルプラネタリウム投映装置はまた,操作順序記録部による記録を開始するときに,開始操作の直前の投映状態からそのまま記録を開始するか,開始操作の直前の投映状態を破棄して初期投映状態から記録を開始するかを操作者に選択させる初期状態選択部とを有するものであってもよい。このようなものであれば,開始操作の直前の投映状態を記録に反映させるかどうかを選択できる。
【0014】
本発明のデジタルプラネタリウム投映装置はまた,操作順序記録部による記録を開始するときに,記録済みの操作手順があるか否かを判断する既記録判断部と,記録済みの操作手順があると判断された場合に,記録済みの操作手順を破棄して新たに記録するか,記録済みの操作手順に追加して記録するかを操作者に選択させる破棄追加選択部とを有するものであってもよい。このようなものであれば,誤操作によって既存の操作手順を変更してしまうことが抑制される。また,途中までの操作手順を記録し,さらにその操作手順に追加して続きを記録させることが選択できるため,操作手順の編集の自由度が高い。
【0015】
本発明のデジタルプラネタリウム投映装置はまた,操作順序記録部が,記録する操作手順の内容に,前操作による処理の終了から次操作による処理の開始までの待機時間をも含めるものであり,記録済みの操作手順中の待機時間を操作者の操作により変更する編集処理部を有するものであってもよい。このようなものであれば,単に操作を連続して実行させるのみでなく,操作と操作との間に適切な時間間隔を設けることができる。さらには,その待機時間の編集が可能であることから,記録時には操作と操作との間を気にする必要がなく,操作に集中することができる。
【0016】
本発明のデジタルプラネタリウム投映装置はまた,操作順序記録部の記録内容に基づく再生中に,現に投映している画面に関する情報を表示画面に表示させるとともに,再生の進行に伴って表示内容を変更させる実行時表示制御部を有するものであってもよい。このようなものであれば,記録した操作手順を再生するに際し,その操作に関する情報が表示画面に表示されるので,再生箇所の把握が容易である。また,再生とともに表示画面を切り換えることで,再生終了あるいは一時停止となった際に,最後の操作を行ったときの表示画面を維持できる。そのため,手動操作への移行をスムーズに行うことができる。
【0017】
再生の進行に伴って表示画面の表示内容を変更するためには,例えば,操作順序記録部が操作手順とともに表示画面の表示内容に関する画面情報を記録し,実行表示制御部が画面情報を基に表示画面の表示内容を決定することとするとよい。あるいは,操作順序記録部が,操作手順とは別に,操作に伴って遷移する表示画面の表示内容および待機時間を画面遷移手順として記録し,実行表示制御部が,その画面遷移手順を基に表示画面の表示内容を決定することとしてもよい。
【0018】
本発明のデジタルプラネタリウム投映装置はまた,操作順序記録部が操作手順とともにそのステップごとのナレーション内容を記録するものであり,操作順序記録部の記録内容に基づく再生中に,現に投映しているステップについてのナレーションを表示画面に表示させるとともに,再生の進行に伴って表示内容を変更させる実行時ナレーション表示部を有するものであってもよい。このようなものであれば,演出に熟練していない操作者であっても,適切なナレーションを放送できる。
【0019】
本発明のデジタルプラネタリウム投映装置はまた,操作順序記録部の記録内容に基づく再生中に,投映の実行についての操作者による変更操作を受け付けるアドリブ受け付け部を有するものであってもよい。アドリブ受け付け部としては,例えば,記録内容の再生中に一時停止および再開が選択できるようにすれば,停止期間中に操作者のアドリブを挿入することができる。このようなものであれば,記録内容のままの再生による自動演出だけでなく,操作者による変更操作が可能である。従って,観客の反応等に応じて臨機応変に演出が可能である。
【0020】
さらに本発明では,アドリブ受け付け部で受け付ける変更操作には,待機時間の伸縮,一時停止,再開,巻き戻し,早送り,スローモーション,視点の移動,視線方向の変更,個々の投映像の表示のオンオフの変更,操作飛ばし,任意操作の挿入からなる群の少なくとも1つが含まれることが望ましい。このようなものであれば,操作者は観客の反応等に応じて臨機応変に演出が可能である。
【0021】
本発明のデジタルプラネタリウム投映装置はまた,投映に関する情報を連続的に変更するボリューム調節部を有し,操作順序記録部がボリューム調節部の操作量を記録するものであってもよい。このようなものであれば,投映のオンオフ等の単純動作だけではなく,回転つまみやジョイスティック等の連続的に情報を変更する操作の記録も可能である。従って,演出に熟練していない操作者であっても,容易に操作可能となる。
【0022】
さらに本発明では,記録済みのボリューム調節部の操作量を操作者に変更させるボリューム編集処理部を有することが望ましい。このようなものであれば,記録後にボリューム調節部の操作量の微調節が可能となり,より正確な演出を行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のデジタルプラネタリウム投映装置によれば,操作手順の記録と実行が可能な装置であって,その記録が容易であり,記録された内容の編集が可能であり,その実行時には臨機応変な演出も可能となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下,本発明を具体化した最良の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,映像情報に基づいて星野等の映像をドームスクリーンに投映するデジタルプラネタリウム投映装置に本発明を適用したものである。
【0025】
本形態のプラネタリウム投映装置は,図1に示すようにドームスクリーン1と,その中央下に設置された投映装置10とを有している。さらに投映装置10は,映像制御部2と,映像投映部3と,魚眼レンズ4と,操作部5と,マイク兼スピーカ6とを備えている。映像制御部2は,ドームスクリーン1上に投映する映像およびプラネタリウム施設内に放送する音声等を制御するためのものである。映像は,映像投映部3と魚眼レンズ4とを介してドームスクリーン1の全面に投映される。また,音声は,マイク兼スピーカ6を介してプラネタリウム施設内に放送される。操作部5は,操作者が本プラネタリウム投映装置を操作するための操作パネル等を含むものである。
【0026】
図1に示したプラネタリウム投映装置の映像制御部2は,図2のブロック図に示すように,制御部21,データ格納部22,映像生成部24,音声処理部25を備えている。制御部21は,操作部5からの命令等に従って,映像制御,音声制御,照明制御等を行うものである。また,制御部21は,操作部5の操作表示パネル28の表示切換えを行うこともできる。データ格納部22は,制御に必要な各種データや投映に必要な映像・音声等のファイルを格納するものであり,例えば各天体の明るさ,固有運動の情報や各星座の名前,配列などが記憶されている。映像生成部24は,ドームスクリーン1上に投映する映像を生成するものである。生成された映像は,映像投映部3に送られてドームスクリーン1上に投映される。音声処理部25は,プラネタリウム施設内に放送される音声を生成するものである。生成された音声は,マイク兼スピーカ6を介してプラネタリウム施設内に放送される。
【0027】
また,操作部5は,入力装置26,マシンIF部27,操作表示パネル28,手動プロセス記録部29を備えている。入力装置26は,時刻/経度/緯度/方位や星の明るさ等を変化させるボリュームつまみ,さらにはジョイスティック等の3次元座標入力装置等の入力装置が該当する。マシンIF部27は,操作部5と映像制御部2とのインターフェースである。操作表示パネル28は,操作者によって操作されるタッチパネルであり,表示機能と入力機能とを兼ねる。手動プロセス記録部29は,操作者によって操作表示パネル28を操作された各プロセスを記録し,その順序を含めて手順記録として記録する。各プロセスについては後述する。なお,操作部5にはこの他に,電源スイッチ等のハードキー,各種投映表示オンオフを行うハードスイッチも備えられている。
【0028】
本プラネタリウム投映装置によれば,操作部5を操作してドームスクリーン1に星野を投映させ,プラネタリウムの演出を行うことができる。このとき操作表示パネル28には,例えば図3に示すように各種の操作ボタンが表示される。操作者は,操作表示パネル28に表示されている操作ボタンやジョイスティック等の入力装置26を操作し,投映像を適宜変化させつつナレーションを放送して演出を進行する。これらの操作は,従来のプラネタリウム投映装置の操作と同様である。
【0029】
次に,操作部5の操作(指令)とそのときの投映像の状態について,代表的なものをいくつか説明する。
【0030】
まず,“時刻設定指令”は,操作表示パネル28に図3に示すように表示された各ボタンのうちから,操作者が日時設定ボタン31を選択して押下することにより行われる。これにより,操作表示パネル28の表示は,図4に示すように変更され,日時の入力が可能となる。ここでは,2005年の10月6日午後8時の空の様子を投映するように設定している。各数値欄に設定したい数値を入力してOKボタン32を押下すると,図3の表示に戻る。図3における日時設定ボタン31の押下から,図4の各数値入力も含めてOKボタン32の押下までの一連の操作が時刻設定指令である。
【0031】
なお,図4中の「効果」欄の内容及びその上の指令名欄の表示は,指令の種類により異なるものとなる。さらに,図4のような数値入力欄では,負の数等の設定可能範囲外の数値は受け付けないようにされている。
【0032】
また,“場所設定指令”では,操作者は,図3に示す場所設定ボタン33を押下する。これにより,場所設定用の画面が操作表示パネル28に表示される。これは,図4中の「効果」欄を,場所指定用の項目に変更した画面である。この画面で所定の数値等を入力することにより,例えば,経度緯度による場所の設定等ができる。そして,投映する星空の見える場所(地上の位置,すなわち観測者の位置)が設定される。
【0033】
また,“時刻変化指令”では,操作者は,図3に示すスピード変化ボタン34のうちの1つを押下する。これにより,スピードとして+1〜+4(時刻を進める)または−1〜−4(時刻を戻す)等から選択でき,スピード変化ボタン34を押し続けるか実時間を設定することにより,投映されている設定時刻を変化させることができる。操作者がこのスピード変化ボタン34を押している間,所定のスピードで投映像の時刻が変化する。このとき,あらかじめ光跡残しボタン35が押されていれば,各星の移動の様子がその光跡によって表示される。あるいは,年月日を含む変化前の時刻と,変化前の時刻からの変化スピードと,時間変化させる実時間とにより時刻変化指令とすることもできる。
【0034】
さらには,各種投映像の“表示オン指令”あるいは“表示オフ指令”もある。例えば,星座線や各種の天体名等を星野に重ねて表示する場合に用いられる。ここで,各種投映像とは,恒星像や惑星像,光跡,星座線,星座絵,天体名,星座名,天の赤道その他の線像などが含まれる。
【0035】
また,“視点移動指令”は,視線方向を含む移動前の視点開始位置と,開始位置から移動終了までの時間と,移動速度とを含む視点の移動指令である。本指令は,所定の天体へ近づいたり,疑似宇宙旅行を体感したりする演出を行う際に利用される。
【0036】
時刻変化指令および視点移動指令は,操作表示パネル28への各数値の入力によって設定可能であるが,各種の入力装置26によっても行うことができる。すなわち,星野を見ながら,操作部5に設けられたハードスイッチ,ボリュームつまみ,ジョイスティック等によって設定することもできる。
【0037】
なお,図3の表示状態で選択できる指令としては,この他にも次のようなものがある。方位の設定(方位ボタン36),地上風景および昼・夜クロスフェードの設定(地上風景設定ボタン37),またたきの周期と振幅の設定(またたき設定ボタン38),恒星の明るさの設定(恒星調光ボタン39)などである。この他にも,外枠ボタンやタブ等の押下によって移行できる他の表示画面には各種のボタンが用意されているので,種々の指令を行ってさらに演出効果を向上させることができる。
【0038】
続いて,手順記録機能について説明する。本形態のプラネタリウム投映装置では,上記のように行われる各指令をプロセスとして設定し,一連のプロセスを手順記録として手動プロセス記録部29に記録できる。そして,記録した手順記録に従い自動実行できる。ここで,プロセスとは,プラネタリウム投映装置の操作手順である各指令と,各指令の実行から次の指令の実行までの間の時間である待機時間とが組み合わされたものである。この待機時間は,操作者によるプラネタリウム操作では,1つの指令を発令してから次の指令のボタンを押すまでの時間間隔に相当する。各プロセスは,1つの指令と,その次のプロセス開始までの待機時間と,指令の種類によっては必要な各種の数値等のデータとが組み合わされて構成されている。そして,手動プロセス記録部29に記録される手順記録は,各プロセスがその実行順序に従って並べられたものである。
【0039】
手動プロセス記録部29に記録される手順記録について説明する。プラネタリウム投映装置で所定の演出を行う場合には,その演出内容に従った手順で各プロセスが実行される必要がある。まず,手順記録の例を図5に示す。この図に示す例では,第1プロセスとして,指令が「時刻設定」でその設定時刻が[2006/1/1 0:0:0]であるものが記録されている。そして,この手順記録では,第2プロセスは場所設定,第3プロセスは時刻変化,第4プロセスおよび第5プロセスでは天体の名称表示オン,…等が設定されている。
【0040】
図6に手順記録として保存されるデータテーブルの例を示す。手順記録には,図6に示すように,実行されるプロセス順にそのプロセスの詳細情報が記録される。プロセスの詳細情報としては,指令内容とともに,次の指令までの待機時間も記録される。さらに,当該指令を指示する際の操作表示パネル28の画面情報(以下,「操作画面情報」とする)についても併せて記録される。つまり,1つのプロセスの情報として,指令内容と,待機時間と,操作画面情報とが1組で記録される。
【0041】
手順記録の各指令としては,操作者が操作部5からの操作によって入力できるすべての指令を含むことができる。例えば,上記の他にも場所設定,方位設定,高度設定,表示モードの設定(恒星の明るさの設定,またたきの周期と振幅の設定,背景光の設定等)等の各種の設定や,時刻変化,視点位置変化,視線方向移動等のリアルタイム移動,および各種投映像の表示オンオフの設定などが可能である。
【0042】
次に,手順記録を手動プロセス記録部29に記録する方法について説明する。操作部5の操作表示パネル28から,図3や図4に示すように外枠ボタンとして表示されている手順記録ボタン41を押下する。このボタンは,図3に示すように各種の操作ボタンが表示されている画面においても表示されているので,演出操作の途中であってもその時点での状態から記録開始することができる。もちろん,装置の初期化状態から手順記録ボタン41を押下して,記録開始することもできる。
【0043】
手順記録ボタン41が押下されると,図7に示すように,手順記録1〜手順記録20の各選択ボタン42と,その下段にはコピーボタン43,記録ボタン44,編集ボタン45,削除ボタン46の各ボタンが表示される。また,各選択ボタン42の左上方には実行ボタン47(右向きの黒三角)が表示される。いずれも,手順記録の番号を選択することにより選択可能となる。そして,選択された番号の手順記録の内容をコピー,記録,編集,削除,実行することが出来る。なお,手順記録の個数は20に限らない。より多い場合にはスクロールあるいはページめくり等によって表示できるようにしても良い。
【0044】
また,既に記録内容がある手順記録の選択ボタン41中の文字は,記録内容の無いものと区別されてより大きい文字で表示される。ここでは,手順記録1〜手順記録3には既に記録されている内容があるため,大きい文字で表示されている様子を示している。なお,文字の大きさに限らず,ボタンの形状やボタンの色等によって内容の有無を区別して表示しても良い。操作者は,この表示画面で,選択する手順記録番号の選択ボタン42を押下する。選択された手順記録の選択ボタン42は,反転表示される。例えば,「手順記録1」の選択ボタン42が押下されると,図7に示すように表示される。
【0045】
手順記録を記録する場合には,図7中下段の4つのソフトキーのうち,記録ボタン44を押す。このとき,図7に示すように,選択された手順記録(ここでは,手順記録1)の内容として既に記録されているプロセスがある場合には,既に記録されているプロセスに続けて追加するか,または,既に記録されているプロセスをすべて消去し新たに初めから記録するかを選択するためのウインドウが表示される。あるいは,手順記録1の選択をキャンセルして記録内容のない手順記録番号を選択し直すこともできる。
【0046】
記録が開始されると,操作表示パネル28の隅に図8に示す手順記録記録ウインドウ50が表示され,記録モード中であることが判る。この状態で,操作者は通常のプラネタリウム投映装置に対して行うのと同様の操作を行う。すると,記録動作中に操作者によって実行された各操作指令が手動プロセス記録部29に取得される。また,指令ボタンが押される時間の間隔も自動的に取得される。これらが操作画面情報とともにプロセスとして記録される。さらに,各プロセスの実行順序を含めた手順記録が作成されて手動プロセス記録部29に記録され,手順記録番号とともに登録される。
【0047】
また,ボタンによる指令に限らず,視点移動等のジョイスティックを利用して行う操作が行われた場合には,その操作量を数値化して記録する。これにより,例えば,3次元座標を持つ天体情報から生成される宇宙空間内での視点変化手順を記録することができる。また,時刻変化等のボリュームつまみを利用して行う操作が行われた場合には,その操作量も数値化して記録する。これにより,例えば,3次元座標を持つ天体情報から生成される宇宙空間内での時刻変化手順を記録することができる。
【0048】
ここで,記録モード中の操作者の操作は,基本的に一般的なプラネタリウム投映装置の操作と同じである。従って,操作表示パネル28には,操作者の操作に従って図3や図4に示したような通常の操作画面が表示される。この操作画面の左上あるいは右上等の片隅に,図8の手順記録記録ウインドウが重ねて表示される。この手順記録記録ウインドウ50は小さく表示されるので,図3に示すように各種の操作ボタン等が表示されている画面に重ねて表示されても,操作に不都合はない。あるいは,この手順記録記録ウインドウ50を操作者によって移動可能としても良い。すなわち,操作者は,手順記録の記録のために特別な操作や技術を習得する必要はなく,演出内容に合わせた通常のプラネタリウム投映操作を行えばよい。
【0049】
なお,手順記録記録ウインドウ50には,図8に示すように,一時停止ボタン51と記録終了ボタン52の各ボタンが表示されている。記録中に次の記録プロセスを考える時間がほしい場合等では,一時停止ボタン51を押下して手順記録の記録を一旦中断することができる。中断させないと,その時間間隔は待機時間として記録されることになる。また,記録したいプロセスがすべて終了し,記録を停止する場合は,記録終了ボタン52を押す。記録終了ボタン52が押されると,このウインドウ50はクローズされ,図7に示す手順記録選択画面に戻る。
【0050】
一時停止ボタン51が押下された場合,手順記録記録ウインドウ50は,図9に示すように,手順記録一時停止ウインドウ60に変更される。このウインドウには,再開ボタン61と記録終了ボタン62が備えられ,記録を再開するか,このまま記録終了するかを選択できる。再開ボタン61が押下されれば,再び記録モードとなり,手順記録記録ウインドウ50が表示される。図9の記録終了ボタン62が押下された場合も,このウインドウ60はクローズされ,図7に示す手順記録選択画面に戻る。なお,これらのウインドウ50,60に,記録中のプロセス番号や記録終了分までの合計投映時間等をも表示しても良い。
【0051】
またこの手順記録の記録と同時に,マイク兼スピーカ6を介してナレーションを録音することもできる。さらに,録音した内容を音声認識してテキストデータ化し,手順記録の各プロセスに対応させて記録させておいても良い。また,後のわかりやすさのために,記録の終了した手順記録に名前を付けられるようにしても良い。また,手順記録記録ウインドウ50ないし手順記録一時停止ウインドウ60には,記録開始からの合計時間を表示してもよい。
【0052】
次に,この手順記録の記録処理について,図10のフローチャートを参照して説明する。図7の手順記録選択画面において,手順記録番号が選択され,記録ボタン44が押されると,この処理が開始される。本処理が開始されると,システムはまず選択された番号の手順記録に既に記録されている内容の有無を確認する(S101)。記録されている内容が無い場合は(S102:No),その番号の手順記録に初めから記録すればよい。
【0053】
しかし,既に記録されている場合は(S102:Yes),既記録に追加して記録するかどうかを操作者に確認する(S103)。追加しない場合は(S103:No),既記録を削除するかどうか確認する(S104)。削除して良いのであれば(S104:Yes),その手順記録の内容を削除する(S105)。削除しない場合は(S104:No),手順記録番号の選択をし直す必要があるので,この処理を終了する。このような処理を行うことで,誤操作によって既存の手順記録を変更してしまうことが抑制される。また,途中までの記録し,さらにその手順記録に追加して続きを記録させることが選択できるため,操作手順の編集の自由度は高い。
【0054】
既記録がない(S102:No),あるいは既記録に追加する(S103:Yes),あるいは削除した(S105)場合には,初期化するかどうかを選択させる(S106)。ここでいう初期化とは,日時や場所,その他のオプション演出の設定の初期状態に戻すことである。初期化を選択することで各種の設定を元に戻す操作を行う手間を省くことができる。また,初期化を選択しないことで直前の投映状態を記録に反映することができる。なお,追加する(S104:Yes)場合には,追加箇所の選択ができるようにしても良い。そして,その手順記録に,操作者によって入力される操作手順を順に記録する(S107)。
【0055】
このとき,図8に示す手順記録記録ウインドウ50が表示される。そして,手順記録記録ウインドウ50において,一時停止ボタン51が押されたかどうかを判断する(S108)。一時停止された場合は,図9に示す再開ボタン61の押下によって再開の指示があるまで(S110:Yes)待機する。また,記録終了ボタン52が押された場合(S111:Yes)または記録終了ボタン62が押された場合(S109:Yes)には,この手順記録の記録は停止され,この処理を終了してウインドウ50または60を閉じる。これで,本処理の説明を終了する。
【0056】
次に,こうして記録された手順記録を編集する方法について説明する。図7に示したように,手順記録選択画面において文字の大きい手順記録1が選択されている状態で,編集ボタン45を押下する。このとき,この手順記録1として,図5に示した内容が記録されているとすると,操作表示パネル28には,図11に示すように手順記録編集画面が表示される。図11中の中央右欄には,各プロセスがその実行順に並べられて表示される。
【0057】
ここで,第1プロセスである時刻設定プロセス71の内容を編集する場合,このボタンを押下して図に示すような選択状態とする。続いて詳細ボタン72を押下すると,図12に示すようにその詳細な設定内容が表示される。この状態で,時刻設定やその待機時間等を詳細に設定することができる。従って,記録時には操作と操作との間を気にする必要がなく,操作に集中することができる。また,記録時には指令間にあまり間をおかずに短時間で記録し,編集によって適切な待機時間を設定することもできる。
【0058】
この他,経度,緯度,方位などについては,例えば,−100%から100%の間で移動のスピードを変更できる。設定値の変更はキーボードやテンキーなどを用いて数値入力しても良いし,スライドバーやラジオボタンなどを使用して変更できるようにしても良い。さらには,登録された地上風景,スペーストラベル,自動番組名などの一覧をプルダウンメニューなどから選択し,変更できるようにしても良い。
【0059】
また,ジョイスティック等の入力装置26については,例えば,大まかな操作量を記録しておき,正確な数値を後で設定することもできる。例えば,ジョイスティックの操作量を調節する場合には,図13に示すような詳細な設定内容が表示される。この状態で,ジョイスティックの前後,左右,捻り方向それぞれの傾きあるいは強弱具合を正確に調節することができる。また,各種ボリュームつまみの操作量を調節する場合には,図14に示すような詳細な設定内容が表示される。この状態で,各種ボリュームつまみの指定値(回転位置)を正確に調節できる。
【0060】
また,図11に示す手順記録編集画面ではさらに,各プロセスの順序を変更したり,記録されているプロセスの削除や,記録されていないプロセスの挿入等の編集が可能となっている。手順記録とともにナレーションが記録されている場合には,そのナレーションの内容も編集できる。また,別にナレーション用のテキストデータを製作して各プロセスに対応させて記録させたり,可搬メディア等からナレーションデータを取り込むこともできる。あるいは,他の手順記録に記録されているプロセスの一部をコピーして,つなぎ合わせたり挿入したりすることもできる。
【0061】
従って,基本的な演出構成を所定番号の手順記録として記録しておき,特集部分等だけを入れ替えて新たな演出を構成して,別の番号の手順記録として記録することも容易である。例えば,図7中のコピーボタン43によって既に記録されている手順記録の内容を別の番号の手順記録にコピーして,追加して記録した特集部分のみを適切な位置に挿入するだけでよい。あるいは,初期設定等の頻繁に行う操作を1つの手順記録として設定しておけば,その手順記録を選んで実行するだけで初期設定がなされるので,ルーチン作業の操作は容易である。
【0062】
また,図11に示す手順記録編集画面ではさらに,手順記録に記録されている待機時間を基に当該手順記録の実行に必要な「総時間」が表示される。総時間は,プロセスの削除,追加,ないし編集に合わせて変更される。さらに,プロセスが選択されている場合には,当該プロセスが開始されるまでの「累積時間」,すなわち手順記録の実行が開始されてから当該プロセスを開始するまでの時間が表示される。
【0063】
さらに,演出の途中に動画と音声などで構成された自動番組(短編映画のようなもの)を挿入することもできる。図15に,自動番組が挿入された手順記録の例を示す。ここでは,第2プロセスにおいて「3Dプラネタリウムへの招待」という自動番組が選択され,第3プロセスにおいてその番組がスタートされる。この番組は10分弱の長さがあるため,第3プロセスの待機時間(投映開始から次のプロセスの実行開始までの時間に相当する)は10分に設定されている。従って,この図の手順記録を実行すると,(1)さそり座の星座名を表示(1分待機),(2)自動番組選択(3秒待機),(3)自動番組投映(10分待機),(4)天の川の明るさ調整(1秒待機),(5)天の川表示(1秒待機),…の順に自動的に実行される。そして,(1)と(4)以降ではナレーションを付加して実行する。
【0064】
次に,このように記録された手順記録を実行する方法について説明する。図7に示した手順記録選択画面において大きい文字で表示されている手順記録番号を選択し,図中左上にある実行ボタン47を押す。例えば手順記録1を選択実行した場合には,操作表示パネル28の画面の隅に図16に示す手順記録実行ウインドウ80が表示され,手順記録1を実行中であることが判るようになっている。この図では,手順記録1に記録されている6プロセスのうちの1プロセス目が実行中であることを示している。
【0065】
この時,手順記録の進行に従って,実行中のプロセスの操作画面が操作表示パネル28に自動的に表示される。これは,通常のプラネタリウム操作において,各指令の操作を行う際に表示される画面と同様のものである。例えば,図11に示した手順記録が記録された手順記録を実行すると,まず時刻設定プロセスが実行される。その際,図12に示した時刻設定画面が表示され,その画面の左上あるいは右上等の片隅に図16の手順記録実行ウインドウ80が重ねて表示される。
【0066】
そして,手順記録1の実行が進行するに従って,操作表示パネル28の表示が自動的に切り換えられる。すなわち,常にその時点で実行されているプロセスの操作画面が表示されるので,操作者は実行中のプロセスの設定を常に確認できる。従って,操作者は投映表示の進行を確認しながら,解説を加えて容易に演出を進行させることができる。
【0067】
操作表示パネル28の自動切換えは,手順記録として保存される操作画面情報(図6参照)を基に行われる。すなわち,各指令を実行する際には,操作画面情報を読み出し,操作表示パネル28の表示を切り換えた後,当該指令を実行する。
【0068】
なお,操作表示パネル28の自動切換えを実現する方法としては,手順記録に操作画面情報を記録しておく方法に限るものではない。例えば,手順記録を保存する際に,操作表示パネル28の画面遷移を記録した画面記録を作成してもよい。そして,手順記録を実行する際に,その画面記録を併せて実行するとしても実現可能である。図17に画面記録として保存されるデータの例を示す。図17に示すように,画面記録はプログラム言語を利用して記録され,画面設定命令とともに次の画面切換えまでの待機時間も記録される。すなわち,この方法では,手順記録の実行と画面記録の実行とが並行して行われる。
【0069】
各プロセスに対応させてナレーションの文字データが記録されている場合には,図18に示すように,プロセスの操作画面の一部にナレーションの内容を文字表示すると良い。これにより,熟練していない操作者であっても,各プロセスの実行とともにそのプロセスで行うナレーションの内容を把握できるので,スムーズに演出を進行させることができる。
【0070】
また,手順記録の実行時には,プロセス実行後の待機中に次のプロセス用の操作画面を読み出すとよい。すなわち,図19に示すような手順記録が保存され,あらかじめ実行開始から各プロセス実行までの時間が算出され,全15秒の手順記録が実行される際,待機中にあらかじめ次の操作画面を読み出す場合(図20(A))と,待機時間経過後に次の操作画面を読み出す場合(図20(B))とでは次のような違いがある。図20(B)では,待機時間経過後に操作画面の読み出しが行われるため,その分だけ実行の開始が遅れることになる。この遅延は,通常,100msにも満たない極僅かの時間である。しかし,各プロセスで累積されることから,プロセスが多くなるほど全体の演出タイミングにずれが生じる。例えば,図20の場合,最初のプロセス(第1プロセス)および同時刻実行となるプロセス(第5プロセス)を除く,4つのプロセスで操作画面の読み出しにかかる遅延時間が蓄積される。一方,図20(A)では,待機期間中にあらかじめ次の操作画面を読み出すため,操作画面の読み出しにかかる遅延は生じない。よって,より時間に正確な演出を行うことが可能になる。
【0071】
ここで手順記録の実行中に表示される手順記録実行ウインドウ80には,図16に示すように,実行ボタン81,一時停止ボタン82,停止ボタン83等が用意されている。従って,一時停止ボタン82を押下して手順記録1の実行を途中で一時停止し,そこに手動操作による指令を挿入することもできる。あるいは,図11に示した手順記録の表示画面でプロセスを選択することにより,手順記録の途中から実行させることもできる。すなわち,所定のプロセスを飛ばして実行させたり,同じプロセスを繰り返して実行させることができるので,実行時にアドリブを挿入することが可能となる。
【0072】
また,手順記録実行ウインドウ80にさらに多くのボタンを用意して,一時停止と再開以外にも,早送り,巻き戻し,スローモーション等がさらに可能なようにしてもよい。さらには,プロセスによっては手順記録の実行に加えて,ジョイスティックを操作し,視点の移動や視線方向の変更を行うこともできる。また,手順記録の番号の選択や実行開始までの指示が終了すれば,完全に自動で演出させることもできる。この場合は,音声も記録しておき,ナレーションを自動で放送するようにすると良い。また,この場合には操作部5やジョイスティック等の入力装置26を切り離して,観客等による誤操作を防止するようにしても良い。
【0073】
また,手順記録実行ウインドウ80ではさらに,図16に示したように手順記録に記録されている待機時間を基に,演出終了までの残時間が表示される。これにより,操作者は演出中の時間管理が容易になる。また,手順記録の実行に必要な総時間や,プロセスごとに必要な時間および残時間等を表示してもよい。
【0074】
ところで,本形態によれば手順記録をプラネタリウム操作とは切り離して編集できるため,実際には実行できないような指令の順序が入ってしまう可能性がある。また,実行中にアドリブを挿入した場合でも,このようなことは起こりうる。例えば,地上モードでは実行できるが宇宙モードでは実行できない指令が,宇宙モードの実行中に入ってしまった場合などである。このような場合には,エラーとしてそのプロセスで停止するようなことはせず,その実行不可能な指令を含むプロセスを飛ばして,その次のプロセスへ移行して実行を継続する。
【0075】
以上詳細に説明したように本形態のデジタルプラネタリウム投映装置によれば,手順記録番号を選択して記録指示を入力すれば,以後の操作入力が自動的に記録されて登録される。操作者の入力方法は,通常のプラネタリウム投映装置の操作と同様であり,特別なプログラミング技術等を習得する必要はない。また,登録された手順記録の番号を指定してその内容を編集することも,操作表示パネル28を見ながら容易にできる。さらに,プロセス内容が記録されている手順記録の番号を選択して,実行を指示すれば,記録されている順序に沿って各プロセスが自動的に実行される。この場合にも,実行内容が操作表示パネル28に表示されるので,確認しながら解説を付けることができる。また,ジョイスティックやボリュームつまみによる操作も記録でき,さらにその詳細な調節も記録した後に行うことができる。従って,操作手順の記録と実行が可能な装置であって,その記録が容易であり,記録された内容の編集が可能であり,その実行時には臨機応変な演出も可能なデジタルプラネタリウム投映装置となっている。
【0076】
なお,本形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,図1には単眼式プラネタリウム投映装置を示しているが,多眼式プラネタリウムにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本形態のプラネタリウム投映装置の概略構成図である。
【図2】本形態のプラネタリウム投映装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】プラネタリウム操作画面の例を示す説明図である。
【図4】時刻設定画面の例を示す説明図である。
【図5】手順記録の例を示す説明図である。
【図6】手順記録のデータテーブルの例を示す説明図である。
【図7】手順記録記録・実行画面の例を示す説明図である。
【図8】手順記録記録中を表すウインドウの例を示す説明図である。
【図9】手順記録一時停止中を表すウインドウの例を示す説明図である。
【図10】手順記録記録処理を示すフローチャートである。
【図11】手順記録表示画面の例を示す説明図である。
【図12】手順記録詳細表示画面の例(時刻操作編集)を示す説明図である。
【図13】手順記録詳細表示画面の例(ジョイスティック操作編集)を示す説明図である。
【図14】手順記録詳細表示画面の例(ボリュームつまみ操作編集)を示す説明図である。
【図15】手順記録表示画面の例(自動番組挿入持)を示す説明図である。
【図16】手順記録実行中を表すウインドウの例を示す説明図である。
【図17】画面記録のデータの例を示す説明図である。
【図18】ナレーション表示画面の例を示す説明図である。
【図19】手順記録の例を示す図である。
【図20】手順記録実行中のタイムチャートである。
【符号の説明】
【0078】
5 操作部
21 制御部
26 入力装置
28 操作表示パネル
29 手動プロセス記録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投映に関する操作者による操作を受け付ける操作受け付け部と,投映に関する情報を操作者に表示する表示画面と,前記操作受け付け部になされた操作手順を記録する操作順序記録部と,前記操作順序記録部に記録されている操作手順に従って投映を実行する再生部とを有するデジタルプラネタリウム投映装置において,
前記操作順序記録部による操作手順の記録中に操作者による一時停止操作を受け付ける一時停止部と,
前記一時停止部による一時停止中に操作者による再開操作を受け付ける再開部とを有することを特徴とするデジタルプラネタリウム投映装置。
【請求項2】
投映に関する操作者による操作を受け付ける操作受け付け部と,投映に関する情報を操作者に表示する表示画面と,前記操作受け付け部になされた操作手順を記録する操作順序記録部と,前記操作順序記録部に記録されている操作手順に従って投映を実行する再生部とを有するデジタルプラネタリウム投映装置において,
前記操作順序記録部による記録を開始するときに,開始操作の直前の投映状態からそのまま記録を開始するか,開始操作の直前の投映状態を破棄して初期投映状態から記録を開始するかを操作者に選択させる初期状態選択部とを有することを特徴とするデジタルプラネタリウム投映装置。
【請求項3】
投映に関する操作者による操作を受け付ける操作受け付け部と,投映に関する情報を操作者に表示する表示画面と,前記操作受け付け部になされた操作手順を記録する操作順序記録部と,前記操作順序記録部に記録されている操作手順に従って投映を実行する再生部とを有するデジタルプラネタリウム投映装置において,
前記操作順序記録部による記録を開始するときに,記録済みの操作手順があるか否かを判断する既記録判断部と,
記録済みの操作手順があると判断された場合に,記録済みの操作手順を破棄して新たに記録するか,記録済みの操作手順に追加して記録するかを操作者に選択させる破棄追加選択部とを有することを特徴とするデジタルプラネタリウム投映装置。
【請求項4】
投映に関する操作者による操作を受け付ける操作受け付け部と,投映に関する情報を操作者に表示する表示画面と,前記操作受け付け部になされた操作手順を記録する操作順序記録部と,前記操作順序記録部に記録されている操作手順に従って投映を実行する再生部とを有するデジタルプラネタリウム投映装置において,
前記操作順序記録部は,記録する操作手順の内容に,前操作による処理の終了から次操作による処理の開始までの待機時間をも含めるものであり,
記録済みの操作手順中の待機時間を操作者の操作により変更する編集処理部を有することを特徴とするデジタルプラネタリウム投映装置。
【請求項5】
投映に関する操作者による操作を受け付ける操作受け付け部と,投映に関する情報を操作者に表示する表示画面と,前記操作受け付け部になされた操作手順を記録する操作順序記録部と,前記操作順序記録部に記録されている操作手順に従って投映を実行する再生部とを有するデジタルプラネタリウム投映装置において,
前記操作順序記録部の記録内容に基づく再生中に,現に投映している画面に関する情報を前記表示画面に表示させるとともに,再生の進行に伴って表示内容を変更させる実行時表示制御部を有することを特徴とするデジタルプラネタリウム投映装置。
【請求項6】
請求項5に記載するデジタルプラネタリウム投映装置において,
前記操作順序記録部は,操作手順とともに前記表示画面の表示内容に関する画面情報を記録し,
前記実行表示制御部は,前記画面情報を基に前記表示画面の表示内容を決定することを特徴とするデジタルプラネタリウム投映装置。
【請求項7】
請求項5に記載するデジタルプラネタリウム投映装置において,
前記操作順序記録部は,操作手順とは別に,操作に伴って遷移する前記表示画面の表示内容および待機時間を画面遷移手順として記録し,
前記実行表示制御部は,前記画面遷移手順を基に前記表示画面の表示内容を決定することを特徴とするデジタルプラネタリウム投映装置。
【請求項8】
投映に関する操作者による操作を受け付ける操作受け付け部と,投映に関する情報を操作者に表示する表示画面と,前記操作受け付け部になされた操作手順を記録する操作順序記録部と,前記操作順序記録部に記録されている操作手順に従って投映を実行する再生部とを有するデジタルプラネタリウム投映装置において,
前記操作順序記録部は,操作手順とともにそのステップごとのナレーション内容を記録するものであり,
前記操作順序記録部の記録内容に基づく再生中に,現に投映しているステップについてのナレーションを前記表示画面に表示させるとともに,再生の進行に伴って表示内容を変更させる実行時ナレーション表示部を有することを特徴とするデジタルプラネタリウム投映装置。
【請求項9】
投映に関する操作者による操作を受け付ける操作受け付け部と,投映に関する情報を操作者に表示する表示画面と,前記操作受け付け部になされた操作手順を記録する操作順序記録部と,前記操作順序記録部に記録されている操作手順に従って投映を実行する再生部とを有するデジタルプラネタリウム投映装置において,
前記操作順序記録部の記録内容に基づく再生中に,投映の実行についての操作者による変更操作を受け付けるアドリブ受け付け部を有することを特徴とするデジタルプラネタリウム投映装置。
【請求項10】
請求項9に記載のデジタルプラネタリウム投映装置において,
前記アドリブ受け付け部で受け付ける変更操作には,待機時間の伸縮,一時停止,再開,巻き戻し,早送り,スローモーション,視点の移動,視線方向の変更,個々の投映像の表示のオンオフの変更,操作飛ばし,任意操作の挿入からなる群の少なくとも1つが含まれることを特徴とするデジタルプラネタリウム投映装置。
【請求項11】
投映に関する操作者による操作を受け付ける操作受け付け部と,投映に関する情報を操作者に表示する表示画面と,前記操作受け付け部になされた操作手順を記録する操作順序記録部と,前記操作順序記録部に記録されている操作手順に従って投映を実行する再生部とを有するデジタルプラネタリウム投映装置において,
投映に関する情報を連続的に変更するボリューム調節部を有し,
前記操作順序記録部は,前記ボリューム調節部の操作量を記録することを特徴とするデジタルプラネタリウム装置。
【請求項12】
請求項11に記載のデジタルプラネタリウム投映装置において,
前記ボリューム調節部は,回転つまみであり,
前記操作順序記録部は,回転つまみの回転量を記録することを特徴とするデジタルプラネタリウム装置。
【請求項13】
請求項11に記載のデジタルプラネタリウム投映装置において,
前記ボリューム調節部は,ジョイスティックであり,
前記操作順序記録部は,ジョイスティックの移動方向および傾きを記録することを特徴とするデジタルプラネタリウム装置。
【請求項14】
請求項11に記載のデジタルプラネタリウム投映装置において,
記録済みの前記ボリューム調節部の操作量を操作者に変更させるボリューム編集処理部を有することを特徴とするデジタルプラネタリウム投映装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−183570(P2007−183570A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−268552(P2006−268552)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(595086410)コニカミノルタプラネタリウム株式会社 (13)
【Fターム(参考)】