説明

デジタル全地球航法衛星システム受信機におけるエネルギー潜在力(信号対ノイズ比)の測定

航行衛星からの信号を受信する受信機のエネルギー潜在力は、相関信号の平均の推定値および分散の推定値の関数であるアルゴリズムに従って計算される。エネルギー潜在力を測定する確度を改善することは、分散推定値を改善することによって達成される。分散推定値は、受信機の動作中の長い時間間隔にわたる相関信号の測定から決定される。分散推定値はまた、較正手順中、または受信機の数学的モデリングによって決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に衛星航法システムに関し、より詳細には、衛星航法受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
全地球航法衛星システム(GNSS)は、航法受信機を用いて位置を正確に決定するために広く使用されている。GNSSの例としては、全地球測位システム(GPS)[米国]および全地球軌道航法衛星システム(GLONASS)[ロシア]がある。ガリレオ[ヨーロッパ]など、他のGNSSが計画されている。
【0003】
GPSでは、衛星のコンステレーションにより固定の搬送周波数で無線信号を送信する。2つの主要な搬送周波数は、1.57542GHz(L1搬送波)および1.22760GHz(L2搬送波)である。L1搬送波は、粗捕捉(C/A)擬似ランダム(PR)コードで変調され、2進情報シンボルによって逆変調される。特定の衛星から送信されるPRコードは、その特定の衛星を一意に識別する。無線信号中で搬送される情報は、衛星の軌道位置を含む。単一の衛星チャネルは、(搬送波、PRコード)対を指す。地球上のGPS受信機は、衛星チャネルを受信し、情報を復号する。無線信号の速度が知られている場合、衛星によるPRコードの送信の時間と受信機によるPRコードの受信の時間との間の遅延時間から、受信機と衛星との間の距離を計算することができる。受信機と、位置が知られているいくつかの(一般に4つの)衛星との間の距離を計算することによって、受信機の位置を計算することができる。
【0004】
搬送波はまた、高精度暗号化されたP(Y)コード(本明細書ではPコードと呼ぶ)によって変調される。L1搬送波は、P1コードによって変調される。L2搬送波は、P2コードによって変調される。C/Aコードは、どんなユーザによっても復号できる。しかしながら、Pコードは、高セキュリティ・コードであり、米国防機関など、選ばれた組織によってのみ復号できる。
【0005】
PRコードの送信時間は衛星中のクロックを基準にしており、PRコードの受信時間は受信機中のクロックを基準にしていることに留意されたい。2つのクロックは同期していないので、受信時間と送信時間との間の単純な差から計算される遅延時間が擬似遅延時間をもたらし、擬似遅延時間から計算される距離は擬似距離と呼ばれる。遅延時間のより精密な測定は、衛星から送信された信号と受信機によって受信された信号との間の全位相差から計算できる。全位相差は、衛星から受信機への信号の伝搬中に送信された搬送波の全サイクル+部分サイクルの総整数として計算される。部分サイクルの測定は簡単な方法で行えるが、全サイクルの総数のトラッキングはより難しい。全サイクルの総数の誤ったトラッキングから生じるエラーは、整数値アンビギュイティと呼ばれる。
【0006】
したがって、GPSシステムでは、信号の送信時間と受信時間との間の遅延時間は、PRコードから導出される、明瞭であるが比較的低い確度の遅延時間と、搬送波の全位相から導出される、比較的正確であるが不明瞭な遅延時間とによって特徴付けられる。どちらの遅延時間も信号処理ループを用いて測定される。PRコードから導出される遅延時間(コード遅延)をトラッキングするためには遅延ロック・ループ(DLL)が使用される。搬送波位相をトラッキングするためには位相ロック・ループ(PLL)が使用される。各タイプの複数の信号処理ループを使用して、確度および信頼性を改善することができる。
【0007】
受信機では、まず受信(入力)信号が、統合された(共通の)単一の高周波経路において一連の線形動作によって処理される。線形動作は、増幅、周波数変換、およびフィルタ処理を含む。次いで、処理された信号がアナログ・デジタル変換器(ADC)によってサンプリングされる。ADCでは、量子化レベルへの非線形信号変換が行われる。受信機の異なる実施形態では、2レベルまたは3レベル量子化を使用する。一般に、単一のADCを使用して、複数の入力チャネルをサンプリングする。各サンプルには基準搬送波および参照コードが乗算され、連続した乗算積が蓄積される。基準搬送波および参照コードは、受信機によって生成される。基準搬送波は、一般にデジタル形式で生成され、受信したチャネルの搬送波に対応する。参照コードは、受信したチャネルのPRコードに対応する。乗算および蓄積を行う処理ユニットは、相関器と呼ばれる。本明細書では、相関器によって行われるプロセスを、2つの信号(入力信号と基準信号)の相関と呼ぶ。
【0008】
チャネルを処理するためのいくつかの方式がある。たとえば、チャネルを3つの相関器によって処理し、基準搬送波(相関器ごとに1つ)はコヒーレントに生成される。第1の相関器は、同相相関信号Iを計算する。この信号は、第1の基準搬送波が入力信号搬送波と同相である場合に得られる。参照コードは、入力信号を変調するPRコードのコピーである。基準搬送波φの整相エラーおよび参照コードεの時間オフセットがある場合、信号Iは次のように表される。
=μU(ε)cosφ (式1)
ここで、
μは、2進情報シンボルであり、
は、受信信号の振幅であり、
(ε)は、(受信機フィルタを通過した後の)PRコードと(入力信号用のPRコードのローカルに生成された複製である)基準コードとの相互相関関数である。
信号Iは、情報シンボルを抽出し、PLLおよびDLL弁別器を正規化するために使用される。
【0009】
第2の相関器は、直交相関信号Qを計算する。この信号は、第2の基準搬送波が第1の基準搬送波からπ/2だけシフトされる場合に得られる。参照コードは、第1の相関器で使用されるものと同じである。したがって、信号Qは、次のように計算される。
=μU(ε)sinφ (式2)
直交信号Qは、PLL弁別器中で使用される。信号QおよびIは、受信チャネルのエネルギー潜在力(下記参照)を推定するためにも使用される。
【0010】
第3の相関器は、DLLを制御するために使用される相関信号dIを計算する。この信号を得るために、(入力搬送波と同相の)第1の基準搬送波が使用される。参照コードは、入力PRコード成分(チップ)の符号の変化に対応する短いストローブ・パルスからなる。ストローブ・パルスの符号は、次のストローブ・パルスに従うチップの符号に一致することに留意されたい。
【0011】
受信機中の各チャネルのDLLおよびPLLを信号にロックオンさせるために、遅延および周波数を探索するシステム・モジュールがある。遅延探索システム・モジュールは、入力PRコード遅延にできるだけ近い参照コードの初期遅延を設定する。初期遅延の設定エラーがDLLロックイン範囲の限界を超えなければ、DLLは一定の平衡点に落ち着く。周波数探索システム・モジュールは、エラーがPLLロックイン範囲(キャプチャレンジ)を超えない基準搬送波の初期周波数を設定する。DLLおよびPLLがトラッキング・モードで動作しているとき、対応するエラーは小さく、次の近似が成り立つ。
【数1】

ここで、NおよびNは、対応する相関器の出力におけるノイズである。
【0012】
トラッキング・システム(DLLおよびPLL)は、チャネルごとにPRコード遅延測定値、搬送波位相測定値、およびナビゲーション・パラメータを出力する。たとえば、各GPS衛星は、L1搬送波上のC/A(粗/捕捉)PRコードと、L1搬送波上のP1 PRコードと、L2搬送波上のP2 PRコードの、3つの信号を送信する。これらの信号の各々に関連する擬似距離および全位相の測定値がある。したがって、衛星ごとに、擬似距離および全位相の合計6つの測定値の組がある。異なる衛星からの擬似距離および全位相の測定値は、情報シンボルμによって運搬される情報とともに、ユーザ(本明細書では、ユーザは、受信機を保持する人、または受信機が取り付けられている車両などの物体を指す)の座標および速度を決定するために、ナビゲーション・プロセッサ中で処理される。基準時間ベースもナビゲーション・プロセッサによって確定される。擬似距離および全位相に加えて、受信機はエネルギー潜在力を測定する。エネルギー潜在力は、比C/Nであり、ここで、Cは搬送波の信号電力であり、Nは、広帯域ガウスノイズの片側スペクトル密度(すなわち、1Hz帯域幅におけるノイズ電力)である。値C/Nは、Hzで測定される。信号対ノイズ比(SNR)は、dB−Hzで測定され、次のようになる。
SNR=10log10[C/N] dB−Hz (式4)
【0013】
上述のように、出力相関器信号は2進情報シンボルμ(t)=±1で変調される。シンボルの持続時間は、T=20Tであり、ここで、Tは相関器中の蓄積時間である。GPS受信機の場合、TはC/A信号周期(元期)と同様であり、したがって、T=10−3sである。各シンボルの境界は、元期の1つの境界と一致する。信号振幅(U)、およびその対応する電力は、C/Nを決定するために必要である。シンボル変調を最初に取り除く場合、(式3)から平均化によって値C/Nを得ることができる。受信機中のμが厳密に知られている場合、次の演算を使用して、乗算によって変調を取り除くことができる。
【数2】

【0014】
しかしながら、受信機中のμの値はアプリオリに知られていないので、真のμの代わりに推定値
【数3】

を使用する。その場合、推定エラーの可能性、すなわち、
【数4】

となる可能性がある。その場合、(式5)の代わりに、次の演算を使用する。
【数5】

最も簡単な推定は、
【数6】

であり、ここで、sgnIはIの符号(−1,+1)である。2進シンボルの境界は決定されなかったが、PRコード同期は達成された場合でも、この推定を捕捉モードで使用することができる。しかしながら、受信機が2進シンボルの境界をすでに定義している場合、(エラー確率がより小さい)より確実な推定は次のようになる。
【数7】

ここで、各シンボルの持続時間(すなわち、20ms)内のIのすべての成分が合計される。
【0015】
SNRを決定するための方法のパフォーマンスに影響を及ぼす主要なファクタは、相関信号を生成するためのデジタル処理、特に低レベル量子化である。直交成分IおよびQを表すための2つのモデルが開発されている。第1のモデル(A.J. Van Dierendonck、G.McGraw、R.Coker、「Determination of C/A Code Self-Interference Using Cross-Correlation Simulations and Receiver Bench Tests」、ION GPS 2002、24〜27頁、2002年9月に記載)は、これらの成分の期待値が信号によってのみ定義され、それらの分散はノイズによってのみ定義される線形チャネルに対応する。第2のモデル(「GLONASS, Design and operation concepts」、第3版、F. Perov、V. Kharistov、Moscow、Radiotechnika、2005年(ロシア)に記載)は、相関器入力における電力が固定であると考えられる「正規化チャネル」について説明している。ノイズ電力は受信機中の信号電力を常に超えるので、ノイズ電力は固定であると考えることができる。その場合、相関成分の期待値は信号対ノイズ比に依存し、それらの分散は特定の処理アルゴリズムのパラメータによって決定される。
【0016】
トラッキング・モードではどちらのモデルも、次の典型的なアルゴリズムを時間間隔Tにわたって実行する。最初に値Iの期待値(MI)を計算する。次いで、値Iの分散(DI)を計算する。次いで、エネルギー潜在力を次のように計算する。
【数8】

ここで、Tは、相関器中の蓄積時間である(GPSにおけるC/A信号の場合、T=10−3s)。その場合、次のようになる。
【数9】

【0017】
C/Nの他の推定では、同相相関信号Iと直交相関信号Qの両方を使用して、トラッキング・エラーの影響を低減する。上述のアルゴリズムは頑強であり、任意の受信機に適用できる。その計算パラメータは、高周波(RF)経路のパフォーマンスに依存しない。特に、計算パラメータは、RF帯域幅BRFおよびサンプリング周波数fに依存しない。しかしながら、アルゴリズムは、短い時間間隔TにわたるMIおよびDIの確実な推定値を必要とする。実際の受信機では、エネルギー潜在力は、線形受信機経路においてではなく、ADCおよびデジタル相関器の直後に測定されることに留意されたい。したがって、等価エネルギー潜在力(C/Nは、実際は(式8)および(式9)に従ってデジタル受信機中で推定される。したがって、(式8)および(式9)の代わりに、次の関係が成り立つ。
【数10】

SNR=10log10(C/N dB−Hz (式11)
ここで、Iは、時間間隔Tにわたる相関器出力におけるn個のIサンプル(読出し)の選択を使用して得られる算術平均であり、Dはサンプルの分散である。サンプル平均は、真の平均の推定値として使用される。サンプル分散は、真の分散の推定値として使用される。本明細書では、Dを分散推定値と呼ぶ。
【0018】
相関器はデジタル信号を使用するので、測定された(C/N値は、値が信号をサンプリングするための量子化条件と他の処理パラメータとに依存する比例係数によって(C/N)とは異なることになる。さらに、限定された数のサンプルから計算された値Iおよび値Dは、真の期待値および分散とは異なることになる。信号電力の変化が速いために長い時間間隔Tが得られない場合、IおよびDの値の計算におけるエラーは重大になる。
【0019】
衛星チャネルの等価エネルギー潜在力の推定値は、現在の座標測定値とともに、様々な実際の問題を解決するために使用できる。たとえば、(ハンドブック「Digital radio-receiving systems」、M.Zhodzishsky、Moscow、「Radio and Svyaz」1990年(ロシア)で論じられているように、)PLLノイズ・エラーおよびDLLノイズ・エラーを推定するとき、アナログ・デジタル変換中の量子化による損失を考慮に入れるために等価エネルギー潜在力の推定値を使用することができる。等価エネルギー潜在力の推定値はまた、PLLおよびDLLにおける同期の損失を検出するため、および受信中に2進情報シンボルの損失または破損を検出するために使用できる。別の例として、航法情報の統計処理では、(C/Nの値が十分に低いチャネルの重みの検出および対応する低減により、いくつかの状況において座標測定の確度を実質的に改善することができる。
【0020】
C/Nの測定は、衛星航法システム外の適用例にとっても重要である。たとえば、C/Nの測定は、大気中の電波伝搬を分析するために使用される。動作上の条件および受信機チャネル構造に応じて、アルゴリズムごとに異なる方法でC/Nを定義することに留意されたい。これらの測定の推定値の確度も、特定の適用例に応じて変化する。たとえば、測定信号電力Cは、波伝搬中の信号減衰によるだけでなく、反射信号との干渉の結果によっても変化する。測定プロセスを使用して電波伝搬の状態を調査する場合、マルチパスを、分析結果を歪める干渉として扱うことがある。ただし、SNRのしきい値を、損失をトラッキングするための警報条件として使用する場合、測定プロセスは、干渉/ハッシングによるエネルギー潜在力の低下を検査することによって、そのタスクを実行することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】A.J. Van Dierendonck、G.McGraw、R.Coker、「Determination of C/A Code Self-Interference Using Cross-Correlation Simulations and Receiver Bench Tests」、ION GPS 2002、24〜27頁、2002年9月
【非特許文献2】「GLONASS, Design and operation concepts」、第3版、F. Perov、V. Kharistov、Moscow、Radiotechnika、2005年(ロシア)
【非特許文献3】ハンドブック「Digital radio-receiving systems」、M.Zhodzishsky、Moscow、「Radio and Svyaz」1990年(ロシア)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
座標測定値と同時に受信機のSNRを決定するための方法および装置が必要である。短い観測時間内でSNRを測定する方法が有利である。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の一実施形態では、航行衛星からの信号を受信する受信機におけるエネルギー潜在力は、次のアルゴリズムに従って決定される。
SNR=20log10(I)−K−η dB−Hz
ただし、SNRはエネルギー潜在力の推定値であり、Kは、受信機設計の関数である特性定数であり、ηは、デジタル処理に基づくエネルギー損失である。まず受信信号がデジタル化され、情報シンボルが取り除かれる。相関信号Iが第1の時間間隔にわたって計算され、平均化され、期待値MIの推定値Iを得る。特性定数は、第2の時間間隔にわたって相関信号Iの分散推定値Dから計算される。分散推定値は受信機の動作中に計算され、第2の時間間隔は第1の時間間隔を大幅に超える。分散推定値はまた、受信機の較正手順中に測定されるか、または受信機の数学的モデリングによって計算される。
【0024】
本発明のこれらおよび他の利点は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照することによって当業者には明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】受信機の等価概略図を示す。
【図2】航法受信機における計算システムの高レベル概略図を示す。
【図3】本発明の一実施形態による、エネルギー潜在力を計算するためのステップの流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の説明では、全地球測位システム(GPS)を全地球航法衛星システム(GNSS)の一例として使用する。全地球軌道航法衛星システム(GLONASS)など、他のGNSSに適用される本発明の実施形態を、当業者なら開発することができる。本発明の一実施形態では、トラッキング・モードにおける等価エネルギー潜在力SNRを計算するために以下の新たなアルゴリズムを使用する。
SNR=20log10(I)−K dB−Hz (式12)
ただし、Iは、限定された時間間隔Tの間に集められたn個のIサンプル全部の算術平均値として計算され、Kは、特定の受信機設計の一定の特性である。
【0027】
特性定数Kは、Iの分散の関数であり、分散推定値Dを使用して推定できる。特性定数Kは、事前に受信機の較正中に決定するか、または受信機の動作中に決定することができる。本明細書では、動作中の時間間隔は、受信機が座標の実際の現場測定のために使用されている間の時間間隔を指す。本明細書では、較正中の時間間隔は、受信機が座標の実際の現場測定のために使用されていない間の時間間隔を指す。本明細書では、「事前に」行われるプロセス(計算または測定など)は、受信機を動作させるより前に行われる動作を指す。
【0028】
が動作中に計算される場合、Dを計算するための時間間隔はIを計算するための時間間隔をかなり超えることがある。Dは、信号振幅に依存するIよりもはるかにゆっくり変化するので、このより長い時間間隔が必要になる。一般に、関数が時間とともに急速に変化する場合、短い測定間隔を使用して動的な挙動を捕捉する。長い測定間隔を使用した場合、変動が平滑化され、短期間変動は失われる。ただし、時間とともにゆっくり変化する関数の場合、関数の値は短い測定間隔にわたってほぼ一定になる。この例では、変動を捕捉するために長い測定間隔が使用される。
【0029】
たとえば、様々な航法受信機では、Iの短期間変動は約300〜1000msの時間間隔Tにわたって捕捉でき、Dの長期変化は約5〜10sの時間間隔Tにわたって捕捉できることが実験的に決定されている。時間間隔Tおよび時間間隔Tは、ユーザ指定の値である。概して、T>Tであり、一般に、T>>Tである。特定の範囲は、受信機設計と、許容できる測定エラーに対するユーザ指定の値とに依存する。
【0030】
(特定の受信機設計のための)特性定数Kを決定するための様々な方法がある。本発明の一実施形態では、受信機の詳細な測定を行うことができる。本発明の別の実施形態では、受信機構造の十分に詳細な数学的モデルがある場合、数学的解析を行うことができる。その場合、結果を同じ設計のすべての受信機に適用することができる。これらの2つの手法について、以下でさらに詳細に説明する。
【0031】
受信機の詳細な数学的モデル(等価概略図)が知られている場合、Dの代わりに、受信機特性の関数である計算定数を使用する。これらの特性は、無線経路の帯域幅、受信機ADC、基準発振の量子化レベルの数、および離散化(サンプリング)周波数を含む。特定の受信機設計の場合、これらの特性は同様で、ほぼ一定である。したがって、値Kは、事前に決定され、動作中に使用するために受信機メモリ中に記憶される。受信機の等価概略図が知られている場合、Kは次の条件の下で計算される。
・デジタル受信機への入力は、信号+ホワイトノイズである。
・トラッキング・モードにおける搬送波位相およびコード遅延トラッキング・エラーが無視できるほど小さい。
・情報シンボルが理想的に補償される。
・相関器において、矩形パルス形状をもつ高調波基準搬送波および参照コードが使用される。
・RF経路の振幅周波数特性は、低い周波数に対して帯域幅BLF、中間周波数に対して帯域幅BIF=2BLFである矩形形状を有する。
・RF経路を介した送信によって生じる変調PRコード・パルスの縁部の歪みが無視できる。
・サンプリング周波数f=BIF=2BLFである。
・デジタル化のために2進ADCが使用される。
【0032】
その場合、図1に示す概略図に従って、I成分の統計的特性を計算することができる。衛星信号101および加法性ホワイトノイズ103は、基準搬送波107を使用する同期/同相検出器102に供給される。同期/同相検出器102の出力は、矩形の振幅周波数特性(AFC)を有するフィルタ104に供給される。フィルタ104の出力は、PRNコードを復調するオペレータ106に供給される。参照コードは、図1に参照コード113として示されている。オペレータ106の出力は、サンプリング周波数f121とともに、2進アナログ・デジタル変換器(ADC)108に供給される。ADC108の出力は、値+1または−1を有するサンプルZ123である。次いで、サンプルZ123はサンプル・アキュムレータ110に供給され、サンプル・アキュムレータ110の出力125は、式(式10)中の値に対応する記憶された(蓄積された)値Iである。
【0033】
したがって、図1にモデル化した受信機では、次のようになる。
【数11】

(式12)および(式13)から、MIをその推定値Iによって置き換えると、次のようになる。
【数12】

ここで、Nは、特定のIのために記憶されるサンプル数である。
の式の項は、受信機のパラメータであり、事前に定義される。
【0034】
別の実施形態では、特性定数Kは、航法信号に好適なソースを使用して受信機較正手順によって実験的に決定される。衛星が、開けた空で容易に受信される高い高度を有し、反射信号がない場合、実際の航行衛星からの信号を使用することができる。SNR測定アルゴリズムでは、まずI成分の値IおよびDが計算される。次いで、Kが(式9)〜(式12)から計算され、次の結果を得る。
【数13】

良好な確度を得るためには、真の値MIおよびDIにできるだけ近い推定値IおよびDを得るために十分に長い時間間隔Tにわたってエネルギー潜在力がほぼ一定である、正しい実験条件を選択することが重要である。有利な実施形態では、時間間隔Tが10〜30分の範囲から選択される。いくつかの例では、衛星信号のソースとして標準の衛星信号シミュレータを使用することが好都合である。
【0035】
特性定数Kを決定する(数学的解析から導出される、または実験的測定から導出される)どちらの実施形態をも適用することができ、数学的モデルおよび実験的測定の継続的な改善によって結果の良好な相関がもたらされることに留意されたい。
【0036】
GPS C/A信号の受信機入力における実際のSNRはSNR+ηとして表され、ここで、SNRは直接測定された値であり、ηはデジタル処理によるエネルギー損失である。一般に、η=1〜3dBである。2進量子化を用いるADC(図1)の場合、η=1.96dBである。したがって、次のようになる。
SNR=20log10(I)−K−η dB−Hz (式16)
【0037】
図3は、本発明の一実施形態による、エネルギー潜在力を計算するためのステップの概略を示す流れ図である。ステップ302で、航行衛星からの信号を受信機によって受信する。ステップ304で、受信信号をデジタル化する。ステップ306で、情報信号を取り除く。ステップ308で、n個の値の測定サンプルから相関信号の平均の推定値Iを計算する。ステップ310で、サンプルから分散推定値Dを計算する。ステップ312で、エネルギー潜在力を(式16)に従って計算する。
【0038】
別の実施形態では、3レベルADCのSNRを測定する。ADCパラメータをしきい値Πによって決定する。その場合、出力値Zは、考えられる次の3つの値、すなわち、入力値がΠを超える場合は+1、入力値が−Πよりも小さい場合は−1、その他の場合は0を有する。中間周波増幅器の帯域中の高いノイズでの出力の期待/平均値は、主に信号対しきい値比によって定義され、分散は、主にノイズ対しきい値比によって定義されることに留意されたい。I成分の期待値および分散についても同じことが言える。したがって、定数Kが決定される実験条件のノイズ対しきい値比は、実際の動作条件下でのノイズ対しきい値比と同じでなければならない。
【0039】
この条件を満たすために、ノイズ・スタビライザが受信機中で使用される。一実施形態では、増幅を変化させることによってユーザ指定のしきい値に従ってノイズ電力の調整を行う。このスタビライザの動作原理は、アナログ・デジタル設計用の自動利得制御(AGC)と同様である。別の実施形態では、実際のノイズ電力に従ってしきい値を調整する。ADCしきい値の自動同調は、一般にデジタル処理によって実施される。このトラッキング・システムの核心は、ノイズ対しきい値比(より正確には、2乗平均平方根(RMS)ノイズ対しきい値Πの比)Rがユーザ指定の確率値Rから外れると、エラー信号を生成する弁別器である。(デジタル成分を使用して実施される)弁別器は、絶対値がユーザ指定の時間間隔Tにわたってしきい値Πを超えないZサンプルのカウンタ(q)を含む。サンプルの総数Tに対するqの比は、測定値がしきい値よりも小さい確率の推定値(したがって、測定値がしきい値を超えない確率の推定値)である。本明細書では、測定値がしきい値を超えない確率を非超過確率と呼ぶ。ユーザ指定の値R(たとえば、R=0.5)を割り当て、実際の値R=(q/T)を測定することによって、(R−R)に比例するエラー信号を得ることができる。このエラー信号は、ノイズ電力の変化に応じて、トラッキング・システムにおけるしきい値Πを変更し、それによってそれらの比を安定させる。有利な実施形態では、Rが0.4〜0.6の範囲から選択され、サンプリング周波数fが40〜50MHzの範囲から選択される。
【0040】
上記の考察はすべて、PLLトラッキング・エラーが無視できるほど小さい場合に当てはまる。ただし、上記の考察は、捕捉モード(周波数引き込み)の間、および大きい動的な影響に遭遇し、位相トラッキング・エラーφが大きいイベントの間、有効でないことがある。この場合、SNRの計算中のI成分の代わりに、一実施形態では、φに依存しない
【数14】

を使用する。
【0041】
(式16)中のIにSを代入すると、次のようになる。
SNR=20log10(S)−K−η dB−Hz (式17)
ここで、Sは、時間間隔Tにわたる相関器出力におけるIサンプルおよびQサンプルから得られる算術平均であり、Kは、特定の受信機設計の一定の特性である。
(式15)中のIにSを代入すると、次のようになる。
【数15】

ここで、DはSの分散推定値である。
【0042】
当業者は、(式12)が有効のままであるように動作条件を維持することによって、本発明の実施形態を他のタイプのデジタル受信機に適応させることができる。値Kは、特定の受信機設計に対して一定である。上述のように、Kは、特定の受信機設計に対して数学的に導出されるか、または実験的に測定される。
【0043】
(式12)で表されるアルゴリズムは、短いサンプリング間隔にわたる分散の計算における統計誤差を低減するので有利である。エネルギー潜在力が十分に高い場合、達成される確度利得は数10dB程度である。さらに、外部干渉(および分散に影響を及ぼす他の望ましくない信号)に対するアルゴリズムの感度は低下する。Kの暫定推定値を用いたSNRの決定は、分散Dを推定する際の外部干渉の影響を分析する必要をなくすが、受信機設計ごとに較正を必要とする。動作の過程における十分に長い時間間隔にわたる分散の計算を用いたSNRの決定は、RFおよびデジタル経路の任意の構成をもつ受信機に使用でき、暫定較正を必要としない。ただし、この場合、SNRアルゴリズムは、いくつかのタイプの外部干渉に対しては、より感度が高くなるようである。
【0044】
エネルギー潜在力を計算するための計算システムの一実施形態は、図2の高レベル概略図に示すように、航法受信機内に実装できる。図3の流れ図に示すステップは、計算システムによって行われる。図2では、受信RF信号201はまず、統合された(共通の)単一のRF経路202において一連の線形動作によって処理される。線形動作は、増幅、周波数変換、およびフィルタ処理を含む。いくつかの実施形態では、ノイズ・スタビライザをRF経路202中に含めることができる。
【0045】
次いで、処理された信号は、アナログ・デジタル変換器(ADC)204によってサンプリングされる。ADC204では、量子化レベルへの非線形信号変換が行われる。受信機の異なる実施形態では、2レベルまたは3レベル量子化を使用することができる。ADC204の出力は、特定用途向け集積回路ASIC206に供給される。いくつかの実施形態では、ASIC206は超大規模集積回路(VLSIC)とすることができる。ASIC206で、ADC204の出力は1組のナビゲーション・デジタル・チャネル(NDC)中で処理される。図2には、M個のチャネル、NDC1 203A〜NDCM 203Mが示されている。M個のチャネルの出力は、対応する相関成分IおよびQであり、それらは、ランダム・アクセス・メモリRAM210および不揮発性読取り専用メモリROM212(たとえば、フラッシュ・メモリ)にバスを介して接続される中央処理装置(CPU)208によって処理される。CPU208は、計算システムの全体的な動作を定義するソフトウェアの制御下で動作する。一実施形態では、ソフトウェアは、ROM212中に記憶されたファームウェアを備えることができる。
【0046】
CPU208は、全体的な動作およびアプリケーションを定義するプログラム命令を実行する。プログラム命令は、ROM212中に記憶され、プログラム命令の実行が望ましいとき、RAM210にロードされる。図3の流れ図に示す方法ステップは、RAM210またはROM212(あるいはRAM210とROM212の組合せ)中に記憶されるプログラム命令によって定義され、プログラム命令を実行するCPU208によって制御される。たとえば、プログラム命令は、図3の流れ図に方法ステップを実装するアルゴリズムを実行するように当業者によってプログラムされた実行可能コードとして実装できる。したがって、プログラム命令を実行することによって、CPU208は、図3の流れ図に示す方法ステップを実装するアルゴリズムを実行する。
【0047】
計算システムは、たとえば、直列インターフェースまたはネットワーク・インターフェースなど、(1つまたは複数の)ユーザ・インターフェース214のセットをさらに備えることができる。SNRの計算値は、ユーザ・インターフェース214を介してユーザ216に出力される。
【0048】
上記の発明を実施するための形態は、あらゆる点で説明的および例示的であって、限定的なものではないと理解されるべきであり、本明細書で開示する発明の範囲は、発明を実施するための形態から決定されるべきではなく、特許法によって許容される全幅に従って解釈される特許請求の範囲から決定されるべきである。本明細書で図示し説明する実施形態は本発明の原理を例示するものにすぎず、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく様々な変更を当業者が実施することができることを理解されたい。当業者は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく様々な他の特徴の組合せを実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の航行衛星からの信号を受信する受信機におけるエネルギー潜在力を測定するための方法であって、
前記受信信号をデジタル化するステップと、
前記デジタル化された受信信号から情報シンボルを取り除くステップと、
相関信号Iを計算するステップと、
期待値MIの推定値Iを得るために、時間間隔Tにわたって前記相関信号Iを平均化するステップと、
時間間隔Tにわたって前記相関信号Iの分散推定値Dを計算するステップと、
次のアルゴリズムに従ってエネルギー潜在力の推定値SNRを計算するステップとを含み、
SNR=20log10(I)−K−η dB−Hz
ここで、
は、前記分散推定値Dに少なくとも一部は基づく特性定数であり、ηは、デジタル処理に基づくエネルギー損失である、方法。
【請求項2】
前記受信機の動作中に前記分散推定値Dを測定するステップをさらに含み、TがTよりも大きく、
前記測定された分散推定値Dに少なくとも一部は基づいて前記特性定数Kを計算するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記時間間隔Tが、300〜1000ミリ秒の範囲から選択され、
前記時間間隔Tが、5〜10秒の範囲から選択される、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記受信機の等価概略図の数学的モデルを生成するステップと、
前記数学的モデルに少なくとも一部は基づいて前記特性定数Kを計算するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記受信機の較正中に前記分散推定値Dを測定するステップと、
前記測定された分散推定値Dに少なくとも一部は基づいて前記特性定数Kを計算するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記較正が時間間隔Tの間に前記受信信号を用いて行われ、反射信号および干渉がなく、前記エネルギー潜在力が一定である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記時間間隔Tが、10〜30分の範囲から選択される、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
航行衛星シミュレータを用いてテスト信号を生成するステップと、
前記受信機において前記テスト信号を受信するステップと、
前記時間間隔Tの間に、前記受信したテスト信号に少なくとも一部は基づいて前記推定値Iおよび前記分散推定値Dを計算するステップと
をさらに備える、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記時間間隔Tが、10〜30分の範囲から選択される、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
次のアルゴリズムに従って前記特性定数Kを計算するステップをさらに含み、
【数1】

ここで、Tは相関器中の蓄積時間である、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記受信信号をデジタル化する前記ステップが、
しきい値Πを有する3レベル・アナログ・デジタル変換器を用いて前記受信信号をデジタル化するステップを含み、統合された高周波経路中の前記3レベル・アナログ・デジタル変換器の前にノイズ・スタビライザがある、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
高周波経路利得を制御することによって2乗平均平方根(RMS)ノイズ対しきい値Π比の定常度を維持するステップ
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
RMSノイズ対しきい値Π比の定常度を維持する前記ステップが、
前記しきい値Πを調節するステップ
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ノイズ・スタビライザが、ユーザ指定の確率値Rと前記しきい値Πの非超過確率の推定値との間の差に比例するエラー信号を生成する弁別器を用いるトラッキング・システムに共通の動作原理に従って動作する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記しきい値Πの非超過確率の前記推定値が、総サンプル数(T)に対する、前記しきい値Πを超えない前記3レベル・アナログ・デジタル変換器のサンプル数の比として決定され、Tはユーザ指定の時間間隔であり、fは前記3レベル・アナログ・デジタル変換器のサンプリング周波数である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記時間間隔Tが、前記受信機の動作中の前記時間間隔Tにほぼ等しく、
前記サンプリング周波数fが、40〜50MHzの範囲から選択され、
前記値Rが、0.4〜0.6の範囲から選択される、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記時間間隔Tが、前記受信機の較正中の時間間隔Tにほぼ等しく、反射信号および干渉がなく、前記エネルギー潜在力が一定であり、
前記サンプリング周波数fが、40〜50MHzの範囲から選択され、
前記値Rが、0.4〜0.6の範囲から選択される、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
複数の航行衛星からの信号を受信する受信機におけるエネルギー潜在力を測定するための方法であって、
前記受信信号をデジタル化するステップと、
前記デジタル化された受信信号から情報信号を取り除くステップと、
相関信号Iを計算するステップと、
期待値MIの推定値Iを得るために、時間間隔Tにわたって前記相関信号Iを平均化するステップと、
相関信号Qを計算するステップと、
期待値MQの推定値Qを得るために、前記時間間隔Tにわたって前記相関信号Qを平均化するステップと、
推定値S=[(I+(Q1/2を計算するステップと、
時間間隔TにわたってS=(I+Q1/2の分散推定値Dを計算するステップと、
次のアルゴリズムに従ってエネルギー潜在力の推定値SNRを計算するステップとを含み、
SNR=20log10(S)−K−η dB−Hz
ここで、
は、前記分散推定値Dに少なくとも一部は基づく特性定数であり、ηは、デジタル処理に基づくエネルギー損失である、方法。
【請求項19】
前記受信機の動作中に前記分散推定値Dを測定するステップをさらに含み、TがTよりも大きく、
前記測定された分散推定値Dに少なくとも一部は基づいて前記特性定数Kを計算するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記時間間隔Tが、300〜1000ミリ秒の範囲から選択され、
前記時間間隔Tが、5〜10秒の範囲から選択される、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記受信機の等価概略図の数学的モデルを生成するステップと、
前記数学的モデルに少なくとも一部は基づいて前記特性定数Kを計算するステップと
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記受信機の較正中に前記分散推定値Dを測定するステップと、
前記測定された分散推定値Dに少なくとも一部は基づいて前記特性定数Kを計算するステップと
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記較正が時間間隔Tの間に前記受信信号を用いて行われ、反射信号および干渉がなく、前記エネルギー潜在力が一定である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記時間間隔Tが、10〜30分の範囲から選択される、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
航行衛星シミュレータを用いてテスト信号を生成するステップと、
前記受信機において前記テスト信号を受信するステップと、
前記時間間隔Tの間に前記受信したテスト信号に少なくとも一部は基づいて前記推定値Iおよび前記分散推定値Dを計算するステップと
をさらに備える、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記時間間隔Tが、10〜30分の範囲から選択される、
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
次のアルゴリズムに従って前記特性定数Kを計算するステップをさらに含み、
【数2】

ここで、Tは相関器中の蓄積時間である、
請求項18に記載の方法。
【請求項28】
前記受信信号をデジタル化する前記ステップが、
しきい値Πを有する3レベル・アナログ・デジタル変換器を用いて前記受信信号をデジタル化するステップを含み、統合された高周波経路中の前記3レベル・アナログ・デジタル変換器の前にノイズ・スタビライザがある、
請求項18に記載の方法。
【請求項29】
高周波経路利得を制御することによって2乗平均平方根(RMS)ノイズ対しきい値Π比の定常度を維持するステップ
をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
RMSノイズ対しきい値Π比の定常度を維持する前記ステップが、
前記しきい値Πを調節するステップ
をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ノイズ・スタビライザが、ユーザ指定の確率値Rと前記しきい値Πの非超過確率の推定値との間の差に比例するエラー信号を生成する弁別器を用いるトラッキング・システムに共通の動作原理に従って動作する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記しきい値Πの非超過確率の前記推定値が、総サンプル数(T)に対する、前記しきい値Πを超えない前記3レベル・アナログ・デジタル変換器のサンプル数の比として決定され、Tはユーザ指定の時間間隔であり、fは前記3レベル・アナログ・デジタル変換器のサンプリング周波数である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記時間間隔Tが、前記受信機の動作中の前記間隔Tにほぼ等しく、
前記サンプリング周波数fが、40〜50MHzの範囲から選択され、
前記値Rが、0.4〜0.6の範囲から選択される、
請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記時間間隔Tが前記受信機の較正中の時間間隔Tにほぼ等しく、反射信号および干渉がなく、前記エネルギー潜在力が一定であり、
前記サンプリング周波数fが、40〜50MHzの範囲から選択され、
前記値Rが、0.4〜0.6の範囲から選択される、
請求項32に記載の方法。
【請求項35】
複数の航行衛星からの信号を受信する受信機におけるエネルギー潜在力を測定するための装置であって、
前記受信信号をデジタル化するための手段と、
前記デジタル化された受信信号から情報シンボルを取り除くための手段と、
相関信号Iを計算するための手段と、
期待値MIの推定値Iを得るために、時間間隔Tにわたって前記相関信号Iを平均化するための手段と、
時間間隔Tにわたって前記相関信号Iの分散推定値Dを計算するための手段と、
次のアルゴリズムに従ってエネルギー潜在力の推定値SNRを計算するための手段と、
SNR=20log10(I)−K−η dB−Hz
ここで、
は、前記分散推定値Dに少なくとも一部は基づく特性定数であり、ηは、デジタル処理に基づくエネルギー損失である、装置。
【請求項36】
複数の航行衛星からの信号を受信する受信機におけるエネルギー潜在力を測定するための装置であって、
前記受信信号をデジタル化するための手段と、
前記デジタル化された受信信号から情報信号を取り除くための手段と、
相関信号Iを計算するための手段と、
期待値MIの推定値Iを得るために、時間間隔Tにわたって前記相関信号Iを平均化するための手段と、
相関信号Qを計算するための手段と、
期待値MQの推定値Qを得るために、前記時間間隔Tにわたって前記相関信号Qを平均化するための手段と、
推定値S=[(I+(Q1/2を計算するための手段と、
時間間隔TにわたってS=(I+Q1/2の分散推定値Dを計算するための手段と、
次のアルゴリズムに従ってエネルギー潜在力の推定値SNRを計算するための手段と、
SNR=20log10(S)−K−η dB−Hz
ここで、
は、前記分散推定値Dに少なくとも一部は基づく特性定数であり、ηは、デジタル処理に基づくエネルギー損失である、装置。
【請求項37】
複数の航行衛星からの信号を受信する受信機におけるエネルギー潜在力を測定するためのコンピュータ命令を記憶するコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ命令が、
前記受信信号をデジタル化するステップと、
前記デジタル化された受信信号から情報シンボルを取り除くステップと、
相関信号Iを計算するステップと、
期待値MIの推定値Iを得るために、時間間隔Tにわたって前記相関信号Iを平均化するステップと、
時間間隔Tにわたって前記相関信号Iの分散推定値Dを計算するステップと、
次のアルゴリズムに従ってエネルギー潜在力の推定値SNRを計算するステップとを定義し、
SNR=20log10(I)−K−η dB−Hz
ここで、
は、前記分散推定値Dに少なくとも一部は基づく特性定数であり、ηは、デジタル処理に基づくエネルギー損失である、コンピュータ可読媒体。
【請求項38】
複数の航行衛星からの信号を受信する受信機におけるエネルギー潜在力を測定するためのコンピュータ命令を記憶するコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ命令が、
前記受信信号をデジタル化するステップと、
前記デジタル化された受信信号から情報信号を取り除くステップと、
相関信号Iを計算するステップと、
期待値MIの推定値Iを得るために、時間間隔Tにわたって前記相関信号Iを平均化するステップと、
相関信号Qを計算するステップと、
期待値MQの推定値Qを得るために、前記時間間隔Tにわたって前記相関信号Qを平均化するステップと、
推定値S=[(I+(Q1/2を計算するステップと、
時間間隔TにわたってS=(I+Q1/2の分散推定値Dを計算するステップと、
次のアルゴリズムに従ってエネルギー潜在力の推定値SNRを計算するステップとを定義し、
SNR=20log10(S)−K−η dB−Hz
ここで、
は、前記分散推定値Dに少なくとも一部は基づく特性定数であり、ηは、デジタル処理に基づくエネルギー損失である、コンピュータ可読媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−510295(P2011−510295A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543122(P2010−543122)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/000149
【国際公開番号】WO2009/091516
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(505093552)トップコン ジーピーエス,エルエルシー (11)
【Fターム(参考)】