説明

デジタル放送受信装置及びデジタル放送受信方法

【課題】ダイバーシティ受信機能を維持しつつも、複数のチューナ部の消費電力を最小限にとどめることを可能とするデジタル放送受信装置を提供する。
【解決手段】N個の内蔵アンテナ100(1)〜100(N)と、N個のチューナ部130(1)〜130(N)と、N個の電源スイッチ部160(1)〜160(N)と、複数の個別キャリア信号を合成するキャリア合成部201と、キャリア信号から映像音声信号を復調する復調部202とを備え、CPU205は個別キャリアC/N検出部150(1)〜150(N)と合成キャリアC/N検出部204の検出結果に基づいて復調に使用するチューナ部を選択し、選択されたチューナ部に電源を供給し、選択されなかったチューナ部への電源供給を停止するようにN個の電源スイッチ部160(1)〜160(N)を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアンテナを使ったダイバーシティ受信機能によって安定な放送信号受信を行うことのできる可搬型のデジタル放送受信装置及びデジタル放送受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可搬型の小型テレビジョン放送受信装置は従来から広く使用されているが、受信装置に取り付けられたロッドアンテナにより放送電波を受信するために、屋外に設置された固定アンテナによって受信する場合に比べ、十分な受信信号強度が得られにくい。そのため、再生画面も雑音が多かったり、反射波の影響でいわゆるゴースト画面になりやすく、再生映像品質に課題があった。しかし、近年、放送のデジタル化によりその課題の解消が図られている。
【0003】
地上波デジタル放送では、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)と呼ばれる変調方式が使用されているが、この変調方式は、多重反射伝播(いわゆるマルチパス)の環境に強く、伝送誤り率を低く抑えられるという特長がある。
【0004】
また電波の受信強度を改善できるダイバーシティ受信という技術がある。ダイバーシティ受信とは受信条件を変えた複数のアンテナで放送電波を受信し、それらのなかから最も受信状態のよいアンテナを選択したり、複数のアンテナによる受信電波を合成することにより、1つのアンテナで受信する場合に比較して受信品質を上げる技術である。このダイバーシティ受信とOFDMを組み合わせて使用することにより、一層効果的に受信品質を上げることができる。すなわち、ダイバーシティ受信によって単に最大受信電力のアンテナを選択するのではなく、各アンテナから受信される受信レベルも遅延特性も異なる複数の電波を最適合成することによって、受信品質を大きく改善できることが知られている。実際、極めて劣悪な受信環境が想定される車載用のデジタル放送受信装置では、ダイバーシティ受信が実用的に多用されている。
【0005】
前述したようにOFDM変調を用いるデジタル放送の受信では、ダイバーシティ受信は大変効果が大きく、さらにその効果を高めるための多くの改善提案がなされている。例えば特許文献1では、単に各アンテナからの受信電波をそのまま合成するのではなく、アンテナの直後に設置された各チューナの特性を個別に調整することによって、合成効果を一層高めるような構成が提案されている。チューナ特性の調整とは、例えば利得の調整や、自動利得制御に用いるレベル検出の時定数の設定が上げられている。
【特許文献1】特開2006−319608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、ダイバーシティ受信は、可搬型のデジタル放送受信装置には極めて有効な受信方法であるが、受信装置の消費電力の観点では不利となる。複数アンテナからの受信電波を同時に入力し合成するために、各アンテナからの電波を増幅、及び希望チャンネルを選択するための複数のチューナ部を同時に動作させなければならず、そのために消費電力が増大する。周知の通り、テレビジョン放送受信装置におけるチューナ部は、最高770MHzまでのUHF帯を増幅する必要があるため、使用半導体素子に流す電流量が多くなる上に、通常はアナログ回路で構成されるため省電力が難しい。
【0007】
近年、環境保護の立場から電気製品の消費電力低減が強く求められるなかで、ダイバーシティ受信のための消費電力増加は好ましくない。また可搬型、携帯型である製品として、電池駆動が可能であればユーザの利便性はさらに向上するが、ダイバーシティ受信のために消費電力が増加することになれば、この電池駆動とも相反することになる。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、ダイバーシティ受信機能を維持しつつも、複数のチューナ部の消費電力を最小限にとどめることを可能とするデジタル放送受信装置及びデジタル放送受信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明の請求項1に係るデジタル放送受信装置は、デジタル放送波を受信するN個(Nは2以上の自然数)の内蔵アンテナと、デジタル放送波を受信する外部アンテナと、N個の内蔵アンテナのうちいずれか1個の内蔵アンテナからの入力と外部アンテナからの入力とを切り替えるアンテナ入力切替部と、内蔵アンテナ及びアンテナ入力切替部に接続されて所定の放送チャンネルに対応した周波数の個別キャリア信号を出力するN個のチューナユニットと、N個のチューナユニットそれぞれに電源を供給するN個の電源スイッチ部と、N個のチューナユニットのうちの2個以上のチューナユニットから出力された個別キャリア信号を合成した合成キャリア信号を出力するキャリア合成部と、個別キャリア信号または合成キャリア信号から映像音声信号を復調する復調部と、個別キャリア信号または合成キャリア信号の品質評価値を検出するキャリア品質評価値検出部と、キャリア品質評価値検出部の検出結果及び/またはアンテナ入力切替部のアンテナ入力切替情報に基づいて、復調に使用する所定数のチューナユニットを選択し、電源スイッチ部に選択された所定数のチューナユニットのみに電源供給を行わせる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
このような構成により、通常のダイバーシティ受信のように、すべてのアンテナを使用するのではなく、キャリア信号の品質に応じて、使用するアンテナを決定し、このアンテナに接続された所定数のチューナユニットにのみ電源を供給するようにしたので、通常のダイバーシティ受信に比較して消費電力の削減が可能となる。
【0011】
また本発明の請求項2に係るデジタル放送受信装置は、請求項1に係るデジタル放送受信装置において、制御部は、N個のいずれかのチューナユニットから出力される個別キャリア信号の品質評価値が所定の基準値以上である場合には、品質評価値が最大となる個別キャリア信号を出力するチューナユニットを復調に使用するチューナユニットとして選択することを特徴とする。
【0012】
このような構成により、通常のダイバーシティ受信を行うのは外部アンテナ及びすべての内蔵アンテナのうち個別キャリアC/Nの検出値が基準値を満たすものが1つもない場合のみである。1つでも基準値を満たすものがある場合には、そのアンテナに接続されたチューナユニットのみに電源を供給してその出力キャリアを復調に使用し、他のアンテナに接続されたチューナユニットの電源はすべてオフとするので、通常のダイバーシティ受信に比較して消費電力の削減が可能となる。
【0013】
また本発明の請求項3に係るデジタル放送受信装置は、請求項1に係るデジタル放送受信装置において、制御部は、N個のチューナユニットのうちM個(Mは2以上、N未満の自然数)のチューナユニットからの合成キャリア信号の品質評価値を検出し、いずれかM個の組み合わせで、品質評価値が所定の基準値以上の場合には、M個のチューナユニットの組み合わせのなかで、合成キャリア信号の品質評価値が最大となる組み合わせのM個のチューナユニットを復調に使用するチューナユニットとして選択することを特徴とする。
【0014】
このような構成により、N個の内蔵アンテナのキャリアC/Nがいずれも基準値を満たさない場合に、N個すべての内蔵アンテナのキャリアを合成するのではなく、M個のアンテナの組み合わせでキャリアを合成し、いずれかの組み合わせの合成キャリアC/Nが基準値を満たせば、その組み合わせの合成キャリアで放送受信を行い、その他の内蔵アンテナに接続されたチューナユニットの電源をオフする。これにより、N個全部のアンテナを使う通常のダイバーシティ受信に比較して消費電力の削減が可能となる。
【0015】
また本発明の請求項4に係るデジタル放送受信装置は、請求項1に係るデジタル放送受信装置において、制御部は、アンテナ入力切替部が外部アンテナからの入力に切り替えられている場合には、アンテナ入力切替部に接続されているチューナユニットを復調に使用するチューナユニットとして選択することを特徴とする。
【0016】
このような構成により、外部アンテナ接続が有る場合には、内蔵アンテナによるダイバーシティ受信を行わず、外部アンテナからの外部RF入力信号のみが復調に使用される。したがって、外部アンテナに接続されたチューナユニット以外のチューナユニットの電源をオフにすることができるので消費電力を下げることができるとともに、外部RF入力信号を使用するので安定な受信が可能となる。
【0017】
また本発明の請求項5に係るデジタル放送受信装置は、請求項1に係るデジタル放送受信装置において、アンテナ入力切替部は、外部アンテナからの入力信号を検出する信号検出機能をさらに備え、外部アンテナからの入力信号を検出した場合には外部アンテナからの入力に切り替え、外部アンテナからの入力信号を検出しない場合には内蔵アンテナからの入力に切り替えることを特徴とする。
【0018】
このような構成により、外部RF入力信号を検出して外部RF入力信号がある場合のみ自動的に外部アンテナを選択するようにしたので、ユーザが入力切り替え操作を行う必要がない。また、外部RF入力信号がないのに誤って外部アンテナを選択することもない。
【0019】
また本発明の請求項6に係るデジタル放送受信装置は、請求項1〜5のいずれか1項に係るデジタル放送受信装置において、制御部は、放送受信中に定期的に品質評価値を監視し、品質評価値が所定の基準値を下回った場合には、改めてN個の電源スイッチ部の制御を行うことを特徴とする。
【0020】
このような構成により、放送電波の受信中にダイバーシティ受信のキャリアC/Nを定期的に評価しているので、デジタル放送受信装置の放送電波の受信状況が変化した場合でも、消費電力を削減しつつ受信品質を確保することができる。
【0021】
また本発明の請求項7に係るデジタル放送受信装置は、請求項1〜6のいずれか1項に係るデジタル放送受信装置において、N個の電源スイッチ部の制御情報を放送チャンネルごとに記憶する記憶部を備え、制御部は、放送チャンネル選局時に記憶部から読み出した当該放送チャンネルの制御情報を用いてN個の電源スイッチ部を制御することを特徴とする。
【0022】
このような構成により、放送電波の受信中に受信チャンネルを変更した場合でも、ダイバーシティ受信制御の過去の制御情報を利用するので確実、迅速に最適なダイバーシティ受信の設定が可能となる。また、制御情報はRAM等の揮発性メモリに記憶するようにすれば、ユーザが主電源を切ってデジタル放送受信装置を他の場所へ移動させた場合にも、不適切な制御情報を使用することがない。
【0023】
また本発明の請求項8に係るデジタル放送受信装置は、請求項1〜7のいずれか1項に係るデジタル放送受信装置において、品質評価値は個別キャリア信号または合成キャリア信号のC/N値であることを特徴とする。このような構成により、キャリア信号の品質を正確に評価することができる。
【0024】
本発明の請求項9に係るデジタル放送受信方法は、デジタル放送波を受信するN個(Nは2以上の自然数)の内蔵アンテナと、デジタル放送波を受信する外部アンテナとを具備するデジタル放送受信装置におけるデジタル放送受信方法であって、外部アンテナに接続されたチューナユニットのみに電源供給を行うステップと、外部アンテナに接続されたチューナユニットの個別キャリア信号の品質評価値を検出するステップと、検出された外部アンテナに接続されたチューナユニットの個別キャリア信号の品質評価値が所定の基準値以上の場合は、外部アンテナに接続されたチューナユニットでの選局動作を実施し、所定の基準値未満の場合は、内蔵アンテナに接続されたチューナユニットに電源供給を行うステップと、内蔵アンテナに接続されたチューナユニットの個別キャリア信号の品質評価値を検出するステップと、検出された内蔵アンテナに接続されたチューナユニットの個別キャリア信号の品質評価値が所定の基準値以上の場合は、当該品質評価値のうち最大品質評価値を有するチューナユニットのみで選局動作を実施するとともに当該チューナユニット以外のチューナユニットへの電源供給を停止し、所定の基準値未満の場合は、所定数のチューナユニットでの選局動作を実施するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ダイバーシティ受信機能を維持しつつも、複数のチューナ部の消費電力を最小限にとどめることを可能とするデジタル放送受信装置及びデジタル放送受信方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態におけるデジタル放送受信装置について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
(第1の実施の形態)
図1は本発明におけるデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、デジタル放送受信装置はN個の内蔵アンテナ100(1)〜100(N)と、N個のチューナユニット170(1)〜170(N)と、キャリア合成部201と、復調部202と、映像音声デコーダ部203と、合成キャリア品質評価値検出部としての合成キャリアC/N検出部204と、制御部としてのCPU205と、システムバス206と、記憶部としてのRAM207と、外部アンテナ接続端子121と、アンテナ入力切替部122を備えている。またチューナユニット170(1)は、チューナ部130(1)と、キャリアスイッチ部140(1)と、個別キャリア品質評価値検出部としての個別キャリアC/N検出部150(1)と、電源スイッチ部160(1)とから構成されている。その他のチューナユニット170(2)〜170(N)も同様の構成である。
【0028】
N個の内蔵アンテナ100(1)〜100(N)で受信された放送電波は、それぞれチューナ部130(1)〜130(N)に入力される。内蔵アンテナ100(1)〜100(N)はダイバーシティ受信のために用意されたものであるので、デジタル放送受信装置内で、適当な間隔をあけて配置され、しばしば指向性も変えて設置される。チューナ部130(1)〜130(N)は、受信した放送電波を増幅するとともに、ユーザが選局した結果に基づいて希望の放送チャンネルを選択的に取り出し、選局後の所定の周波数のキャリア信号(以下、単に「キャリア」ともいう)として出力する。後段での処理のしやすさ等を考慮して、いわゆる中間周波数に変換して出力するのが一般的である。また、Nの具体的な値は製品の価格等を考慮して決定されるが、実用的には2〜4個程度が好ましい。
【0029】
ここでN番目のチューナ部130(N)には内蔵アンテナ100(N)に加えて、外部アンテナ110を接続できるように外部アンテナ接続端子121が用意されている。内蔵アンテナ100(N)と外部アンテナ110のいずれをチューナ部130(N)の入力として用いるかは、アンテナ入力切替部122によって切り替えられる。この切り替えは、ユーザがデジタル放送受信装置に対してリモコンや本体操作部で電子的に行ってもよいし、簡易的にはアンテナ入力切替部122に機械的なスイッチ機構を設けて、ユーザが手動で機械的に切り替えてもよい。
【0030】
外部アンテナ110は通常、家屋の屋根やビルの屋上に設置されるので、受信環境に優れ、内蔵アンテナ100(1)〜100(N)に比べると安定した放送電波の受信を行うことができる。ユーザがCATVに加入していれば、外部アンテナ接続端子121にCATVの引き込み信号を接続することも可能である。
【0031】
チューナ部130(1)〜130(N)の出力キャリアは、それぞれキャリアスイッチ部140(1)〜140(N)に入力される。キャリアスイッチ部140(1)〜140(N)は各チューナ部からの出力キャリアを、ダイバーシティ合成に用いるかどうかを制御するために設けられており、機能的にはキャリアの導通、遮断を行う高周波スイッチである。
【0032】
またチューナ部130(1)〜130(N)の出力キャリアは、それぞれ個別キャリアC/N検出部150(1)〜150(N)にも入力される。個別キャリアC/N検出部150(1)〜150(N)では、それぞれのチューナ部130(1)〜130(N)からの出力キャリアが、デジタル放送の受信に十分な品質を有しているかどうかをキャリアのCNR(Carrier to Noise Ratio:以下、「C/N」と表記する)を検出して評価する。具体的には、あらかじめ定めた所定の基準値と比較して判定する。なお、このキャリア品質を評価するパラメータとしては簡易的には各キャリアの信号強度等でもよい。N個のキャリアスイッチ部140(1)〜140(N)の出力キャリアはキャリア合成部201に入力され、キャリア合成(キャリア加算)される。合成されたキャリアは復調部202、映像音声デコーダ部203を経由して映像出力、音声出力として取り出される。
【0033】
復調部202は、デジタル変調された放送信号のキャリアを復調する動作を行うものであり、デジタル放送に利用されているデジタル変調、例えば多値のQAM(Quadrature Amplitude Modulation)やOFDMの復調を行う。
【0034】
また映像音声デコーダ部203は、復調部202で復調されビットストリームとなった復調データを映像、音声信号に再生する処理を行う。映像音声デコーダ部203の具体的な構成例を図2に示す。図2に示すように、入力されたビットストリームは、まず誤り訂正部231で放送受信時の伝送誤りが訂正された後、TS(Transport Stream)デコーダ部232でTS信号中から必要な映像、音声情報が抽出される。最後にAVデコーダ部233において、MPEG(Moving Picture Experts Group)2等の圧縮データの復号及び必要に応じてD/A変換が施され、外部で利用可能な信号形態に変換されて出力される。
【0035】
キャリア合成部201で合成された合成キャリアは合成キャリアC/N検出部204にも入力され、合成キャリアのC/Nが検出され、検出された合成キャリアC/NはCPU205に取り込まれてデジタル放送の受信に十分な品質を有しているかどうかが評価される。評価は個別キャリアC/N検出部150(1)〜150(N)と同じで、合成キャリアC/Nを、あらかじめ定めた所定の基準値と比較して行われる。
【0036】
CPU205は、個別キャリアC/N検出部150(1)〜150(N)及び合成キャリアC/N検出部204の検出結果を取得し、ダイバーシティ受信に使用するアンテナ及びチューナ部を決定し、各チューナユニット170(1)〜170(N)への電源供給を制御する。各チューナユニット170(1)〜170(N)にはそれぞれ電源スイッチ部160(1)〜160(N)が設置されており、CPU205からの制御をシステムバス206経由で受取り、該当するチューナユニットへの電源を供給(オン)または停止(オフ)する。この仕組みによって、必要なチューナユニットのみに電源が供給されるので、デジタル放送受信装置の消費電力の低減が可能となる。
【0037】
なお、各チューナユニット170(1)〜170(N)内のチューナ部130(1)〜130(N)、キャリアスイッチ部140(1)〜140(N)、個別キャリアC/N検出部150(1)〜150(N)、電源スイッチ部160(1)〜160(N)には、いずれもシステムバス206から制御信号が与えられ、また逆にシステムバス206に内部情報を送出するが、図1では便宜上それぞれに対して個別に制御線を記載せず、チューナユニット全体に対して1本の制御線を記載している。
【0038】
次に、本実施の形態におけるデジタル放送受信装置の動作について図3を用いて説明する。図3は本実施の形態のデジタル放送受信装置におけるダイバーシティ受信制御の処理の流れを示すフローチャートである。まずステップS101でユーザの選局操作による選局や予約実行による選局及び番組情報蓄積のための選局等、デジタル放送受信機の一連の選局動作において、CPU205はユーザによる、アンテナ入力切替部122の設定状態を読み取る。ユーザがデジタル放送受信装置に対してリモコンや本体操作部で電子的に設定を行った場合は、設定値が記憶された不揮発性メモリ等の記憶部(図示せず)の内容を読み取ることになり、アンテナ入力切替部122に機械的なスイッチ機構を取り付けて、ユーザが手動で機械的に切り替え操作をする場合には、その機械的な位置を検出することによってアンテナ選択の設定を検出できる。
【0039】
ステップS101で外部アンテナ110が設定されていることを検出した場合は、ステップS102でアンテナ入力切替部122によって外部アンテナ110からの外部RF(Radio Frequency)入力を選択する。外部アンテナ110が接続されている場合には、必ず外部アンテナ110を使用するという条件にすれば、N番目のチューナユニット170(N)のみが動作すればよいので、ステップS103でN番目以外のチューナユニット170(1)〜170(N−1)の電源をオフし、引き続きステップS104でN番目のチューナユニット170(N)の電源をオンする。これらの動作はCPU205からの指示を受けて、電源スイッチ部160(1)〜160(N)が実行する。
【0040】
次に、ステップS105で、N番目のチューナユニット170(N)のキャリアスイッチ部140(N)のみオンしてキャリア合成部201を非合成の設定にする。この場合には、チューナユニット170(N)からの出力キャリアのみが復調部202で復調に使用される。この動作はCPU205からの指示を受けて、キャリアスイッチ部140(1)〜140(N)が実行する。
【0041】
電源スイッチ部160(1)〜160(N)及びキャリアスイッチ部140(1)〜140(N)が所定の制御を受けると、ステップS106で選局処理が実施され所望の放送チャンネルの受信処理が開始される。具体的には、復調部202、及び映像音声デコーダ部203の動作が開始される。なお、ここでいう選局処理とは、単に選局のみでなくチューナ部130(1)〜130(N)の各種パラメータ(フィルタ定数等)の変更処理も含むものとする。
【0042】
一方、ステップS101で内蔵アンテナが設定されていることを検出すると、ステップS112でアンテナ入力切替部122によって内蔵アンテナ100(N)からの入力を選択する。
【0043】
内蔵アンテナのみで受信する場合には、通常のダイバーシティ受信(すべての内蔵アンテナを使用した受信)を行わせるので、ステップS113ですべてのチューナユニット170(1)〜170(N)の電源をオンにする。その後ステップS114で、すべてのキャリアスイッチ部140(1)〜140(N)をオンにしてキャリア合成部201が全キャリアを合成する設定にする。以上の制御が終了した後に、ステップS106で選局処理が実施され所望の放送チャンネルの受信処理が開始されて処理が終了する。
【0044】
以上の処理フローとほぼ同様であるが、アンテナ入力選択の設定をユーザの設定情報で行うのではなく、外部アンテナ接続端子121に外部アンテナ110が接続されたかどうか、すなわち外部RF信号が入力されたかどうかを自動検出して、その検出結果を用いてダイバーシティ受信制御を行うのが図4に示す方法である。図4においてステップS121で、外部アンテナ接続端子121に外部アンテナ接続が有る場合はステップ102に移り、外部アンテナ接続がない場合はステップS112に移る。以降の処理フローは図3と同じである。
【0045】
このように本実施の形態におけるデジタル放送受信装置によれば、外部アンテナ接続が有る場合には、内蔵アンテナによるダイバーシティ受信を行わず、外部アンテナからの外部RF入力信号のみが復調に使用される。したがって、外部アンテナに接続されたチューナユニット以外のチューナユニットの電源をオフにすることができるので消費電力を下げることができるとともに、外部RF入力信号を使用するので安定な受信が可能となる。さらに、外部RF入力信号を検出して外部RF入力信号がある場合のみ自動的に外部アンテナを選択するようにしたので、ユーザが入力切り替え操作を行う必要がない。また、外部RF入力信号がないのに誤って外部アンテナを選択することもない。
【0046】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態におけるデジタル放送受信装置について、図5を用いて説明する。図5は本実施の形態のデジタル放送受信装置におけるダイバーシティ受信制御の処理の流れを示すフローチャートである。本実施の形態のデジタル放送受信装置は、まず外部アンテナのみで十分な受信品質が得られないかを調べ、十分な受信品質が得られれば外部アンテナで受信し、もしそれが不十分ならいずれか1個の内蔵アンテナで十分な品質が得られないかを調べ、これで十分な受信品質が得られればこの内蔵アンテナで受信し、そしてそれも不十分なら最後に通常の全内蔵アンテナによるダイバーシティ受信を行うものである。
【0047】
まずステップS202でアンテナ入力切替部122を外部アンテナ入力側に切り替えて、N番目のチューナユニット170(N)の入力として外部アンテナ110からの外部RF入力信号を選択する。続いてステップS203で1〜(N−1)番目のチューナユニット170(1)〜170(N−1)の電源をオフし、ステップS204でN番目のチューナユニット170(N)の電源をオンした後、ステップS205でN番目のチューナユニット170(N)のキャリアスイッチ部140(N)のみをオンにしてキャリア合成部201を非合成に設定し、チューナユニット170(N)からの出力キャリアを復調部202で使用するようにする。
【0048】
ステップS206で、選局処理を行った後、ステップS207でN番目のチューナユニット170(N)の個別キャリアC/N検出部150(N)で個別キャリアC/Nを検出し、検出した個別キャリアC/Nが基準値以上であれば、放送受信を開始し、処理を終了する。
【0049】
ステップS207で検出した個別キャリアC/Nが基準値に達していなければ、ステップS211でN番目のチューナユニット170(N)のアンテナ入力として内蔵アンテナ100(N)を選択し、ステップS212ですべてのチューナユニット170(1)〜170(N−1)の電源をオンする(チューナユニット170(N)の電源はすでにステップS104でオンになっている)。次にステップS213で選局処理を行った後に、ステップS214で、各チューナユニット170(1)〜170(N)の個別キャリアC/N検出部150(1)〜150(N)で個別キャリアC/Nを検出し、1つでも基準値を満足するものがあるかどうかを調査する。基準値を満足するものが1つでもあれば、ステップS215に移り、最大のC/Nを得るチューナユニット以外のチューナユニットは電源をオフするように電源スイッチ部160(1)〜160(N)を制御した後、ステップS216で最大のC/Nを得るチューナユニットのキャリアスイッチのみをオンするようにキャリアスイッチ部140(1)〜140(N)を制御し、キャリア合成部201を非合成に設定する。その後に、放送受信を開始し処理を終了する。
【0050】
一方、ステップS214で個別キャリアC/Nがいずれも基準値未満であれば、ステップS221に移り、キャリアスイッチ部140(1)〜140(N)をオンにし、キャリア合成部201をすべてのチューナユニット170(1)〜170(N)の出力キャリアを合成するように設定する。その後ステップS222に移り、再度選局処理を実行して、チューナ部130(1)〜130(N)の各種パラメータをチューニングした後に、放送受信を開始し処理を終了する。なお、複数の個別キャリアC/Nのなかから最大のものを選ぶためには、検出した複数の個別キャリアC/Nを一旦保存する必要があるが、このためにRAM207が用いられる。
【0051】
このように本実施の形態におけるデジタル放送受信装置によれば、通常のダイバーシティ受信を行うのは外部アンテナ及びすべての内蔵アンテナのうち個別キャリアC/Nの検出値が基準値を満たすものが1つもない場合のみである。1つでも基準値を満たすものがある場合には、そのアンテナに接続されたチューナユニットのみに電源を供給してその出力キャリアを復調に使用し、他のアンテナに接続されたチューナユニットの電源はすべてオフとするので、通常のダイバーシティ受信に比較して消費電力の削減が可能となる。
【0052】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態におけるデジタル放送受信装置について、図6及び図7を用いて説明する。図6及び図7は本実施の形態のデジタル放送受信装置におけるダイバーシティ受信制御の処理の流れを示すフローチャートである。本実施の形態では、説明の都合上、N=4としている。本実施の形態のデジタル放送受信装置は、4個の内蔵アンテナのなかから2個の内蔵アンテナを選択してダイバーシティ受信するものであり、第2の実施の形態と同様に、検出した合成キャリアC/Nのなかから最大のものを選ぶために、検出した複数の合成キャリアC/NをRAM207に一旦保存する。
【0053】
図6におけるステップS202〜S216は、図5と同じ処理である。すなわち、ステップS202〜S207では、外部アンテナ110で十分な受信品質が得られるかどうかを調べ、個別キャリアC/Nが基準値以上であれば外部アンテナ110に接続したチューナユニット170(4)のみに電源を供給して放送受信を開始する。また外部アンテナ110で十分な受信品質が得られなかった場合(個別キャリアC/Nが基準値未満の場合)は、ステップS211〜S216で、いずれかの内蔵アンテナ1個で十分な受信品質が得られるかどうかを調べ、内蔵アンテナ1個でもその個別キャリアC/Nが基準値を満足していれば、そのなかで個別キャリアC/Nが最大の内蔵アンテナに接続したチューナユニットのみに電源を供給して放送受信を開始する。そして、それ以外のチューナユニットの電源はすべてオフする。
【0054】
ステップS214において、いずれのチューナユニットでも個別キャリアC/Nが基準値を上回らなければ、図7のステップS301に移る。ステップS301〜S321は、4個の内蔵アンテナのうちの2個の内蔵アンテナの合成キャリアC/Nが基準値を上回るかどうかを調べ、上回るものがあれば、該当するチューナユニットにのみ電源を供給する動作を実現している。4個の内蔵アンテナから2個の内蔵アンテナを選択する組み合わせは、6通り存在するが、説明の簡略化のために、内蔵アンテナ100(1)、100(2)の組み合わせを選ぶ場合と、内蔵アンテナ100(3)、100(4)の組み合わせを選ぶ場合の2通りを候補とする。
【0055】
ステップS301でチューナユニット170(3)、170(4)の電源をオフする。ステップS301に入る前にすべてのチューナユニット170(1)〜170(4)は電源オンされているので、チューナユニット170(1)、170(2)が電源オン状態で残っている。ステップS302でキャリアスイッチ部140(1)、140(2)をオンにしステップS303で選局処理をした後に、キャリア合成部201でチューナユニット170(1)、170(2)の出力キャリアのみを合成し、ステップS304で合成キャリアC/N検出部204は、その合成キャリアC/Nを検出する。この結果、合成キャリアC/Nが基準値を上回っていれば、ステップS305でその検出した合成キャリアC/Nの数値をRAM207に保存する。
【0056】
次にS306〜S311では、今度はチューナユニット170(3)、170(4)について同様のことを行う。ステップS310でチューナユニット170(3)、170(4)の合成キャリアC/Nも基準値を上回ったと判定された場合は、ステップS311で合成キャリアC/NがRAM207に保存される。次にステップS312でRAM207に保存された2種類の合成キャリアC/Nが読み出されて比較され、合成キャリアC/Nの大きい方の組み合わせが選ばれる。チューナユニット170(3)、170(4)の合成キャリアC/Nの方が大きい場合には、その時点ですでにチューナユニット170(3)、170(4)に電源が供給されており選局処理も終わっているので、すぐに放送受信を開始して処理を終了する。逆にチューナユニット170(1)、170(2)の合成キャリアC/Nの方が大きい場合には、ステップS313〜S316で、電源スイッチ及びキャリアスイッチの制御が行われた後、選局処理を行って、放送受信を開始し処理を終了する。
【0057】
一方、ステップS304で、チューナユニット170(1)、170(2)の合成キャリアC/Nが基準値を下回った場合は、ステップS317〜S321で、チューナユニット170(3)、170(4)の合成キャリアC/Nが基準値を上回るかどうかを調べる。上回った場合は、そのままチューナユニット170(3)、170(4)の合成キャリアを用いて放送受信を開始し処理を終了する。チューナユニット170(3)、170(4)の合成キャリアC/Nも基準値を下回った場合は、ステップS401〜S403により全チューナユニット170(1)〜170(4)に電源を供給し、それらの合成キャリアで放送受信を開始し処理を終了する。
【0058】
このように本実施の形態のデジタル放送受信装置によれば、4個の内蔵アンテナのキャリアC/Nがいずれも基準値を満たさない場合に、4個すべての内蔵アンテナのキャリアを合成するのではなく、まず2個のアンテナの組み合わせでキャリアを合成し、いずれかの組み合わせの合成キャリアC/Nが基準値を満たせば、その組み合わせの合成キャリアで放送受信を行い、他の2個の内蔵アンテナに接続されたチューナユニットの電源をオフする。これにより、4個全部のアンテナを使う通常のダイバーシティ受信に比較して消費電力の削減が可能となる。
【0059】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態におけるデジタル放送受信装置について、図8を用いて説明する。図8は本実施の形態のデジタル放送受信装置におけるダイバーシティ受信制御の処理の流れを示すフローチャートである。本実施の形態のデジタル放送受信装置は、例えば放送受信中に電波環境が変化して受信電波の状況が変化した場合でも、ダイバーシティ受信制御をその受信電波の状況に追随させて変化させ、常に安定に放送を受信するものである。
【0060】
図8において、まずステップS501でアンテナ入力切替部122のユーザ設定状態を調べて、外部アンテナ110が選択されている場合はステップS502で外部アンテナ110が接続されているチューナユニット170(N)の個別キャリアC/N検出部150(N)が個別キャリアC/Nを検出する。また内蔵アンテナが選択されている場合はステップS503で単一のチューナユニットにのみ電源が供給されているか、全チューナユニット170(1)〜170(N)に電源が供給されているかを検出し、電源供給されているのが単一チューナユニットであればステップS504で該当するチューナユニットの個別キャリアC/Nを、また電源供給されているのが全チューナユニット170(1)〜170(N)の場合にはステップS505で合成キャリアC/Nを検出する。そして、それらが基準値を上回っていれば、何も処理を行わずそのまま処理を終了し、ステップS507で一定時間待機した後に、また最初に戻って、次の機会の確認に移る。
【0061】
一方、現時点で選択されているチューナユニットのキャリアC/Nまたは合成キャリアC/Nが、ステップS502、S504あるいはステップS505で基準値を下回っていれば、ステップS506に移り、アンテナ選択を改めて行う。ステップS506は図5のフローチャートに従った処理フローである。前述したように、図5の処理フローを通すことにより、外部アンテナの使用、内蔵アンテナのいずれか1個の使用、内蔵アンテナすべての使用、の順にキャリア品質を保てる選択結果を再度選べるので、電波状況が変わった場合でも受信品質を回復することができる。
【0062】
図8のフローチャートの一部変形フローが図9のフローチャートである。図8のフローチャートと異なる点を述べる。ステップS601は図8におけるステップS503同様に、電源がオンされているチューナユニットの数を検出する処理であるが、図8の場合は、1個か全部(N個)であったが、図9では、1個か2個以上の複数個となる。図7のフローチャートにおいて述べたように、1個か全部(N個)かの間にM個(Mは2以上、N未満)の場合も想定している。したがって、ステップS603も図8でのステップS505のようにすべてのチューナユニット170(1)〜170(N)による合成キャリアの評価だけでなく、M個の場合も想定した処理としている。
【0063】
また当然ながら、電波状況が変わった場合の受信品質回復のステップS604も、図6、図7に示したように細分化した回復処理となる。すなわち、外部アンテナの場合、内蔵アンテナ1個の場合、内蔵アンテナM個の場合(図7では2個で説明)、そして内蔵アンテナすべての場合(図7では4個で説明)に対応している。
【0064】
このように本実施の形態のデジタル放送受信装置によれば、放送電波の受信中にダイバーシティ受信の品質評価値(キャリアC/N)を定期的に評価しているので、デジタル放送受信装置の放送電波の受信状況が変化した場合でも、消費電力を削減しつつ受信品質を確保することができる。
【0065】
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施の形態におけるデジタル放送受信装置について、図10及び図11を用いて説明する。図10は本実施の形態のデジタル放送受信装置におけるダイバーシティ受信制御の処理の流れを示すフローチャートである。本実施の形態のデジタル放送受信装置は、例えば一旦決定したダイバーシティ受信制御の制御情報を受信チャンネルとともにRAM207に保存しておき、次回から同じ放送チャンネルを受信した時にはRAM207に保存された制御情報を読み出して利用することにより、制御応答性を高めるものである。
【0066】
一般的には、希望する放送チャンネルごとに使用するアンテナの組み合わせが異なり、受信チャンネルと使用アンテナ(使用チューナユニット)の制御結果の組み合わせは、例えば図11のようになる。1〜10チャンネルの各放送チャンネルに対して、受信するアンテナが定まり、その結果、電源をオンするチューナユニットが定まる。図11の例では、6チャンネルと8チャンネルでは全内蔵アンテナ100(1)〜100(N)を使用、1チャンネルと4チャンネルと9チャンネルでは2個の内蔵アンテナを使用、3チャンネルと10チャンネルでは1個の内蔵アンテナを使用、2チャンネルと5チャンネルでは外部アンテナ110を使用する。このような放送チャンネルとダイバーシティ受信に使用する受信アンテナの関係をテーブルとしてRAM207に保存しておけば、次回から同じチャンネルを受信する際には、この保存テーブルをそのまま利用することにより、図3〜図9に示したような処理フローを実施することなく、最適のアンテナ選択を短時間で設定することが可能となる。
【0067】
ただし、デジタル放送受信装置本体の主電源操作が行われた場合には、デジタル放送受信装置の位置や向きが変えられた可能性が高いので、RAM207のデータを使用せず、また保存データも一旦削除することが適切である。データ記憶用にRAMのような揮発性メモリを利用することにより、主電源停止時には保存データが確実に消去されるので誤って不適切な制御情報を使うことがない。
【0068】
図10に示すフローチャートは、このようにRAM207に保存した制御情報を利用したダイバーシティ受信制御の処理フローを示している。まずステップS701で、ユーザ操作による選局チャンネル情報を読み込む。このチャンネル情報で、図11に示したテーブルをRAM207から読み出す。ステップS702で、アンテナ切替情報が外部アンテナ110であった場合には、ステップS703〜S706によって、外部アンテナ110に接続されたチューナユニット170(N)の電源をオンするとともに、キャリアスイッチ部140(N)をオンし、ステップS707で選局処理を実施して放送受信を開始し処理を終了する。
【0069】
ステップS702で読み出したRAM情報で、内蔵アンテナが選択されている場合は、ステップS711で内蔵アンテナに接続切替した後、ステップS712でRAM情報に基づき電源スイッチ部160(1)〜160(N)を制御するとともに、ステップS713でキャリアスイッチ部140(1)〜140(N)の制御を行い、ステップ714で選局処理後に放送受信を開始し処理を終了する。例えば、3チャンネルが選択された場合は、チューナユニット170(3)のみに電源を供給し、キャリアスイッチ部140(3)をオンにし、この出力キャリアのみを使用して復調を行うことになる。また、例えば4チャンネルが選択されると、チューナユニット170(3)、170(4)に電源が供給され、キャリアスイッチ部140(3)、140(4)がオンとなり、キャリア合成部201でこれら2つの出力キャリアが合成され、この合成キャリアで復調が行われる。
【0070】
このように本実施の形態のデジタル放送受信装置によれば、放送電波の受信中に受信チャンネルを変更した場合でも、ダイバーシティ受信制御の過去の制御情報を利用するので確実、迅速に最適なダイバーシティ受信の設定が可能となる。また、制御情報はRAM等の揮発性メモリに記憶されているので、ユーザが主電源を切ってデジタル放送受信装置を他の場所へ移動させた場合にも、不適切な制御情報を使用することがない。
【0071】
以上説明したように、本発明によれば、ダイバーシティ受信による安定な受信性能を維持しながら、必要最小限のチューナユニットのみに電源を供給することにより、消費電力を効果的に低減したデジタル放送受信装置を提供することができる。
【0072】
なお、上記実施の形態では、個別キャリアや合成キャリアの品質評価パラメータとしてキャリアC/Nを利用したが、キャリアレベルを使えば検出回路等をより簡素化できる。また、品質評価パラメータとして復調部202で取得される受信誤り率等のパラメータを使用してもよい。この場合は、さらに信頼性の高いキャリア品質の評価が可能となる。
【0073】
また、上記実施の形態では、キャリア品質評価のために個別キャリアC/N検出部と合成キャリアC/N検出部の2種類のキャリアC/N検出部を設けたが、合成キャリアC/N検出部を個別キャリアC/N検出に使用することも可能である。すなわち、各チューナユニットのキャリアスイッチ部を所定時間で切り替えて一巡させ、時分割で個別キャリアC/Nを検出するようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態では、ダイバーシティ受信中に加えて、ダイバーシティ受信制御のためのキャリアC/Nの評価中も必要に応じてチューナユニットの電源制御を行うとして説明したが、この期間は比較的短時間であるので、キャリアC/Nの評価中は全チューナユニットに電源を供給しておき、ダイバーシティ受信のための制御情報を取得できた時点で電源を制御する(不要なチューナユニットの電源をオフする)ようにしてもよい。これにより、チューナユニットの電源スイッチを頻繁に切り替える必要がなく、制御を単純化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、アンテナ内蔵の可搬型のデジタル放送受信装置にとどまらずデジタル放送を受信する携帯型端末装置にも幅広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明のデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の映像音声デコーダ部の具体的な構成図
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるダイバーシティ受信制御の処理手順を示すフローチャート
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるダイバーシティ受信制御の処理手順の他の例を示すフローチャート
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるダイバーシティ受信制御の処理手順を示すフローチャート
【図6】本発明の第3の実施の形態におけるダイバーシティ受信制御の処理手順を示すフローチャート
【図7】本発明の第3の実施の形態におけるダイバーシティ受信制御の処理手順を示すフローチャート
【図8】本発明の第4の実施の形態におけるダイバーシティ受信制御の処理手順を示すフローチャート
【図9】本発明の第4の実施の形態におけるダイバーシティ受信制御の処理手順の他の例を示すフローチャート
【図10】本発明の第5の実施の形態におけるダイバーシティ受信制御の処理手順を示すフローチャート
【図11】本発明の第5の実施の形態における制御テーブルの例を示す図
【符号の説明】
【0077】
100(1)〜100(N) 内蔵アンテナ
110 外部アンテナ
121 外部アンテナ接続端子
122 アンテナ入力切替部
130(1)〜130(N) チューナ部
140(1)〜140(N) キャリアスイッチ部
150(1)〜150(N) 個別キャリアC/N検出部
160(1)〜160(N) 電源スイッチ部
170(1)〜170(N) チューナユニット
201 キャリア合成部
202 復調部
203 映像音声デコーダ部
204 合成キャリアC/N検出部
205 CPU
206 システムバス
207 RAM
231 誤り訂正部
232 TSデコーダ部
233 AVデコーダ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送波を受信するN個(Nは2以上の自然数)の内蔵アンテナと、
デジタル放送波を受信する外部アンテナと、
前記N個の内蔵アンテナのうちいずれか1個の内蔵アンテナからの入力と前記外部アンテナからの入力とを切り替えるアンテナ入力切替部と、
前記内蔵アンテナ及び前記アンテナ入力切替部に接続されて所定の放送チャンネルに対応した周波数の個別キャリア信号を出力するN個のチューナユニットと、
前記N個のチューナユニットそれぞれに電源を供給するN個の電源スイッチ部と、
前記N個のチューナユニットのうちの2個以上のチューナユニットから出力された個別キャリア信号を合成した合成キャリア信号を出力するキャリア合成部と、
前記個別キャリア信号または前記合成キャリア信号から映像音声信号を復調する復調部と、
前記個別キャリア信号または前記合成キャリア信号の品質評価値を検出するキャリア品質評価値検出部と、
前記キャリア品質評価値検出部の検出結果及び/または前記アンテナ入力切替部のアンテナ入力切替情報に基づいて、復調に使用する所定数のチューナユニットを選択し、前記電源スイッチ部に前記選択された所定数のチューナユニットのみに電源供給を行わせる制御部と、
を備えたことを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記N個のいずれかのチューナユニットから出力される個別キャリア信号の品質評価値が所定の基準値以上である場合には、前記品質評価値が最大となる個別キャリア信号を出力するチューナユニットを復調に使用するチューナユニットとして選択することを特徴とする請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記N個のチューナユニットのうちM個(Mは2以上、N未満の自然数)のチューナユニットからの合成キャリア信号の品質評価値を検出し、いずれかM個の組み合わせで、前記品質評価値が所定の基準値以上の場合には、前記M個のチューナユニットの組み合わせのなかで、前記合成キャリア信号の品質評価値が最大となる組み合わせのM個のチューナユニットを復調に使用するチューナユニットとして選択することを特徴とする請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記アンテナ入力切替部が前記外部アンテナからの入力に切り替えられている場合には、前記アンテナ入力切替部に接続されているチューナユニットを復調に使用するチューナユニットとして選択することを特徴とする請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項5】
前記アンテナ入力切替部は、外部アンテナからの入力信号を検出する信号検出機能をさらに備え、前記外部アンテナからの入力信号を検出した場合には前記外部アンテナからの入力に切り替え、前記外部アンテナからの入力信号を検出しない場合には前記内蔵アンテナからの入力に切り替えることを特徴とする請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項6】
前記制御部は、放送受信中に定期的に前記品質評価値を監視し、前記品質評価値が所定の基準値を下回った場合には、改めて前記N個の電源スイッチ部の制御を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項7】
前記N個の電源スイッチ部の制御情報を放送チャンネルごとに記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、放送チャンネル選局時に前記記憶部から読み出した当該放送チャンネルの前記制御情報を用いて前記N個の電源スイッチ部を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項8】
前記品質評価値は前記個別キャリア信号または前記合成キャリア信号のC/N値であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項9】
デジタル放送波を受信するN個(Nは2以上の自然数)の内蔵アンテナと、デジタル放送波を受信する外部アンテナとを具備するデジタル放送受信装置におけるデジタル放送受信方法であって、
前記外部アンテナに接続されたチューナユニットのみに電源供給を行うステップと、
前記外部アンテナに接続されたチューナユニットの個別キャリア信号の品質評価値を検出するステップと、
検出された前記外部アンテナに接続されたチューナユニットの個別キャリア信号の品質評価値が所定の基準値以上の場合は、前記外部アンテナに接続されたチューナユニットでの選局動作を実施し、所定の基準値未満の場合は、前記内蔵アンテナに接続されたチューナユニットに電源供給を行うステップと、
前記内蔵アンテナに接続されたチューナユニットの個別キャリア信号の品質評価値を検出するステップと、
検出された前記内蔵アンテナに接続されたチューナユニットの個別キャリア信号の品質評価値が所定の基準値以上の場合は、当該品質評価値のうち最大品質評価値を有するチューナユニットのみで選局動作を実施するとともに当該チューナユニット以外のチューナユニットへの電源供給を停止し、所定の基準値未満の場合は、所定数のチューナユニットでの選局動作を実施するステップと、
を有することを特徴とするデジタル放送受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−104863(P2012−104863A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48778(P2009−48778)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】