説明

デジタル静電潜像の生成および回転式接合部を用いたデータ通信システム

【課題】印刷機器内で移動している画像形成部材に大量のデータを正確に提供する。
【解決手段】回転式接合部315は、コントローラ305からシリアル伝送されたデジタルデータ信号を受信し、選択信号とデジタルピクセル電圧を生成する。回転式接合部315は、コントローラ305から、操作時の電圧信号を受信する。電源は、回転式接合部315から操作時の電圧信号を受信し、低電圧信号、接地信号、高電圧信号を生成する。駆動している電子部品は、低電圧信号、接地信号、選択信号、デジタルピクセル電圧を受信し、バイアス信号、ピクセル電圧を生成する。TFTバックプレーンは、高電圧信号、バイアス信号、ピクセル電圧を受信し、次いで、バイアス信号およびピクセル電圧に応答して、正孔注入ピクセルを駆動させ、静電潜像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
今回開示されている実施形態は、直接的なデジタル式マーキング(印刷)システムで使用されるデータ通信システム、つまり、回転式電気接合部を利用し、コントローラと新規画像形成部材との間を数百万ビットのデータをシリアル伝送するデータ通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
2種類の従来のカラー印刷技術プラットフォーム(すなわち、インクジェットおよびゼログラフィー)が存在し、他の新しいカラー印刷技術プラットフォーム(すなわち、デジタルフレキソ印刷またはデジタルオフセット印刷)が存在する。これらのカラー印刷技術プラットフォームは、それぞれ、非常に複雑な印刷システムを有しており、これにより、印刷プロセスが複雑になり、本体(機器)の費用が高く、印刷のランニングコストが高い。
【0003】
ナノテクノロジーおよびディスプレイ技術における新しい進歩によって、デジタル電場は、パターン形成可能な正孔注入材料とXerox電荷(正孔)輸送層との間で、電場によって誘発される正孔注入反応を利用して作り出すことができるという開発/発見がもたらされた。例えば、出願番号第12/539,397号および第12/539,557号、整理番号20090312−US−NP 0010.0183、名称Digital Electrostatic Latent Image Generator、整理番号 20090608−381238、名称Digital Electrostatic Latent Image Generating Memberにおいて、カーボンナノチューブ(CNT)およびPEDOTが、電場の影響を受けつつ、Xerox電荷輸送層(ポリカーボネート中のCTL、TPD)に効果的に正孔を注入することがわかった。CNTおよびPEDOTは、ナノ製造技術を用いてパターン形成可能であり、これによって、ミクロン単位の寸法でピクセルを生成することができる。これらのピクセルをTPD CTLでオーバーコーティングすると、デジタル潜像を作ることができ、適切なバックプレーン技術にこれらのピクセルを組み込み、印刷システムを完全にデジタル化してもよい。
【0004】
それに加え、ゼログラフィー式現像システムでは、潜像の生成、トナーの現像は、ROS/レーザおよびチャージャーという従来の組み合わせを用いなくても行うことができ、これによって、ゼログラフィーと比較して、静電潜像の生成が単純になる。このことは、出願番号第12/869,605号、整理番号20100057−US−NP 0010.0236、名称「Direct Digital Marking Systems」に開示されている。具体的には、PEDOT正孔注入層とTPD CTLとを含む二層機器を、CRUのOPCドラムに取り付けてもよい。このドラムは、現像ニップに沿って回転し、トナー画像は、現像後領域で観察された。まず、二層部材が磁気ブラシと接すると、磁気ブラシにバイアスがかかり、正孔注入反応を誘発し、二層のCTL表面に静電潜像が作られる。その後、トナーを現像した後、二層部材は、現像ニップから出る。この2工程プロセスは、現像ニップ内で起こり、レーザ/ROS、チャージャーまたはPRを用いずに、トナーが直接印刷される。色づけされた画像を紙に転写した後、融合させることによって、永続的な画像を得てもよい。
【0005】
このナノ画像マーカーおよび直接的なデジタル式印刷プロセスを、出願番号第12/854,526号、整理番号20091495−US−NP/0010.0226、名称「Electrostatic Digital Offset/Flexo Printing」に記載されているように、フレキソインク、オフセットインク、液体トナーを用いる印刷まで拡張することもできる。したがって、新しい直接的な印刷概念は、潜在的な新規デジタル式印刷プラットフォームと呼ばれることもある。
【0006】
米国特許第6,100,909号(発明者HassおよびKubbyらに対する)は、画像形成部材を生成するための装置を記載している。この装置は、高電圧薄膜トランジスタ(TFT)およびコンデンサの配列を備えている。潜像は、高電圧電源と、帯電領域検出(CAD)型の現像を利用し、それぞれのTFTに対して直流のバイアスをかけることによって作られる。図1は、画像形成部材を生成するための装置内にある薄膜トランジスタの配列を示す。配列10は、5行5列の長方形のマトリックス内に整列している。5個の行および列のみが図示されているが、本発明のいくつかの実施形態では、600ドット/インチ(dpi)の解像度を有する8.5インチ×11インチの配列で印刷するか、または画像形成する機器に配置されており、配列10は、約3×10のトランジスタを有しており、これは、約3×10百万ピクセルのセルに対応するだろう。それに加え、解像度が1200dpiの場合、この配列は、7×10のトランジスタを有しており、7×10ピクセルのセルを有していることになる。
【0007】
配列10は、正孔輸送層でオーバーコーティングされた正孔注入ピクセルからなる二層画像形成部材と接続している場合、コンピュータ44(例えば、プリントエンジン)からコントローラ42に供給されるデジタル情報から潜像を生成する。コンピュータは、コントローラ42(またはデジタルフロントエンド(DFE))にデジタル信号を供給し、このデジタル信号を、異なる強度を有する利用する色空間(例えば、CMYK色空間またはRGB色空間)に分解し、印刷すべき画像に対応するデジタルビットが生成される。コントローラ42は、デコーダ12、リフレッシュ回路18、デジタル−アナログ(D/A)変換器16を備える多数のインターフェース機器を介して配列10の操作を命令する。
【0008】
静止している他のアクティブマトリクス方式の製品(例えば、テレビ受像機またはモニタ)とは対照的に、新しいナノ画像形成部材(ベルト一部分に接続しているか、ドラムの一部分に接続しているかにかかわらず)は、印刷プロセス中に移動していると予想される。移動する画像形成部材に伝送してデジタル電場を作るには、数百万のビットが必要であろう。移動する画像形成部材は、回転画像形成ドラムに接続している。それに加え、駆動している電子部品および移動する画像形成部材に電力を供給する必要がある。したがって、ベルト(またはドラム)が動いている間に、駆動する電子部品とバックプレーンとを連結するのは、きわめて困難な問題である。ベルトまたはドラムが動いている間、数百万のビットと、さらに電流がバックプレーンに供給される。顧客の需要を満たすために、メガヘルツ範囲でデータを転送し、受信する必要がある。
【0009】
以前出願された、名称Generation of Digital Electrostatic Latent Images Utilizing Wireless Communicationsの出願(代理人整理番号20101021−390426)では、コントローラから画像形成ドラムへと、データを無線によって伝送することが提案された。これを実施するには、さらなるハードウエアとして無線の送信器および受信器が必要になる(すなわち、無線リンク)。これにより、印刷機器の費用が上がってしまう。それに加えて、利用する無線伝送プロトコルによっては、その無線伝送の安全が保証されておらず、または暗号化されていない場合があるため、セキュリティが問題となることがある。
【0010】
それに加えて、数百万のトランジスタを配列して接触させ、これを回転ドラムに結合することは困難である。ブラシおよび通常使用される他の種類の接合部は、大量のブラシ(または接合部)が必要になるため、問題である。ブラシまたは他の接合部によって生じるノイズは、正確なデータ伝送において誤差を生じる場合がある。
【0011】
したがって、印刷機器内で移動しているナノ画像形成部材に、大量のデータを正確に、費用対効果が優れた状態で提供するシステムおよび/または方法が、満たされていない要求として存在する。データは、コントローラと回転ドラム(配列)との最低限の接合部を介して伝送される必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書に示されている実施形態によれば、プリントエンジン/コントローラおよび駆動している電子部品/ナノ画像形成部材の間でデータ交換し、通電するための回転式接合部を利用するシステムおよび方法が記載される。より詳細には、ドラム表面に回転式電気接合部が取り付けられ、コントローラを、駆動している電子部品に接続する。本発明の実施形態では、回転式接合部は、4個の接合部を含む(デジタルシリアルデータを伝送するための2個と、電気エネルギー(または電力)を、画像形成ドラム内の回路に送るための2個)。本発明の実施形態では、回転式接合部は、4個の接合部を含む(デジタルシリアルデータを伝送するための1個と、電気エネルギー(または電力)を、画像形成ドラム内の回路に送るための3個)。本発明の実施形態では、プリンタの全体的な出力量を高めるために、さらなる回転式接合部を加えてもよい。回転式接合部は、受信したデジタルシリアルデータを変換し、このデータを薄膜トランジスタ(TFT)バックプレーンのための電力に変換するデジタル−アナログ変換器に接続する。本発明の実施形態では、印刷ファイルをコントローラ(デジタルフロントエンド「DFE」)に送り、このコントローラで、印刷ファイルがCMYKデジタルビットまたはRBGデジタルビットに分解される。コントローラは、CMYKデジタルビットまたはRBGデジタルビットを、データライン(ライン)を利用する回転式接合部を介してドラムに送る。デジタルCMYKまたはデジタルRBGビットは、シリアル伝送される。回転式電気接合部は、回転画像形成ドラムに取り付けられる。駆動している電子部品は、回転画像形成ドラムの内部又は内側に位置している。駆動している電子部品は、デジタル信号を受信し、このデジタル信号をアナログ信号に変換し、次いで、このアナログ信号を、移動しているナノ画像形成部材のTFTバックプレーン内のTFTに送る。TFTバックプレーン内のTFTが受信した信号および電圧は、二層画像形成部材の正孔注入ピクセルにおける正孔注入を誘発し、デジタル電場を作り出す。デジタル電場は、潜像を作り出し、プリンタの静止部分と、移動するナノ画像形成部材との少ない数の接合部を利用して印刷を行う。次いで、潜像を、その後のマーキング技術によって、印刷する(または現像する)。
【0013】
本発明のさらなる実施形態では、回転式接合部は、3個の接合部を含む(デジタルシリアルデータを伝送するための1個と、電気エネルギー(または電力)を、ドラム内の回路に送るための2個)。2個の接合部を対称電源とともに用い、他の接合部をデータ入力チャネルのために用いる。回転式接合部を、画像形成ドラムの回転軸と同軸に取り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来技術の画像形成部材を生成するための装置における薄膜トランジスタの配列を示す図である。
【図2a】本発明の一実施形態のスタンドアロン型回転式接合部を示す図である。
【図2b】本発明の一実施形態にしたがって回転ドラムに取り付けられた回転式電気接合部を示す図である。
【図3a】ナノ画像形成部材を用いた、潜像形成装置380の操作を示す図である。
【図3b】一実施形態の直接的なナノデジタル印刷システムの一実施形態を示す図である。
【図4a】本発明の実施形態にかかる、回転画像形成ドラムに接続した回転式接合部のブロック図を示す図である。
【図4b】本発明の一実施形態の潜像形成装置または直接的な印刷のための装置における薄膜トランジスタの配列を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態では、印刷機器の静止部分と移動部分との間をデータ通信するために、回転式接合部を利用するシステムおよび方法が記載される。より詳細には、コンピュータまたはプリントエンジンは、印刷ファイルをDFE(またはコントローラ)に伝送する。DFE(またはコントローラ)は、印刷ファイルをデジタルカラービット(CMYKビットまたはRGBビット)に変換する。DFE(またはコントローラ)は、デジタルビットを伝送し、回転式電気接合部を介し、画像形成ドラム内の駆動している電子部品に操作時の電圧を与える。
【0016】
図2(a)は、本発明の一実施形態のスタンドアロン型回転式接合部を示す図である。図2(b)は、本発明の一実施形態の回転ドラムに取り付けられた回転式電気接合部を示す図である。図2(a)に示されている回転式接合部210は、回転式接合部210の両端に3個の入力端子(接合部)211、212、213を備えている。回転式接合部210は、例えば、Mercotact(登録商標)Rotary Contact 331型または任意の他の形式(例えば、331−SS、430、430−SS)であってもよい。回転式電気接合部は、少なくとも100MHzの信号伝送能力を有し、ノイズが低いだろう。回転式電気接合部は、電圧範囲が0〜250ボルトのACであり、電流が4アンペアの範囲であり、最大RPMが、毎分1200〜1800回転であり、典型的には、回転トルクが20〜100gm−cmであり、最大操作周波数が200メガヘルツであってもよい。
【0017】
図2(b)に示されるように、回転式電気接合部210は、回転ドラム220の中心軸と同軸に取り付けられていてもよい。回転式電気接合部210は、回転画像形成ドラム220の末端に取り付けられていてもよい。電圧信号(例えば、Vccおよび接地)(電力信号)は、コントローラから回転式電気接合部210に送られ、回転ドラムの内側に配置されている電源に送られる。図2(a)および2(b)において、3個の接合部(または端子)211、212、213が取り付けられている(図2(a)において、さらなる3個の接合部(または端子)221、222、223が示されている)。図2(a)および2(b)に示されている実施形態では、1個の接合部は、デジタル印刷データをシリアル伝送するためのものであり、他の2個の接合部(端子)は、電圧情報(例えば、Vccおよび接地信号)を送るためのものである。
【0018】
回転式電気接合部220は、デジタルデータ信号を、駆動している電子部品に送り、電圧信号を画像形成ドラム220の電力原に送る。駆動している電子部品および電力原は、画像形成ドラムの内側に配置されていてもよい。具体的に、画像形成ドラム220の中の電源は、電圧信号を受信し、次いで、電力信号および接地信号(例えば、+5ボルトおよび0ボルト(または接地))を、駆動している電子部品に供給し、駆動している電子部品に電力を供給する。それに加えて、電源は、薄膜トランジスタ(TFT)バックプレーンの操作時の電圧として高い電圧を送る。デジタルデータ信号は、駆動している電子部品によって変換され、TFTバックプレーンのTFTを選択し、選択されたTFTを駆動させる。これにより、ナノ画像形成部材の中にデジタル電場が作られる。このデジタル電場は、潜像を作り出す。次いで、潜像を、その後のマーキング技術によって、印刷する(または現像する)。
【0019】
図3(a)は、ナノ画像形成部材を用いる、潜像形成装置380の操作を示す。潜像形成装置は、正孔注入ピクセル385の配列を基板382の上に備えている。正孔注入ピクセルは、個々のピクセルを割り当てるために、複数のTFT384を有するTFTバックプレーンとつながっている。ナノ画像形成部材は、さらに、正孔注入ピクセルの配列の上に配置されている電荷輸送層386を備えている。電荷輸送層386は、1つ以上のピクセル385によって与えられる正孔を輸送し、印刷に必要な静電電荷のコントラストを作り出すような構成であってもよい。
【0020】
種々の実施形態では、配列の各ピクセル385は、ナノカーボン材料の層を含んでいてもよい。他の実施形態では、配列の各ピクセル385は、有機共役ポリマーの層を含んでいてもよい。さらにいくつかの他の実施形態では、配列の各ピクセル385は、ナノカーボン材料と、有機共役ポリマーとを含む混合物の層、例えば、1種類以上の有機共役ポリマーに分散したナノカーボン材料を含んでいてもよい。特定の実施形態では、1つ以上のナノカーボン材料および/または有機共役ポリマーを含む層の表面抵抗率は、約50ohm/sq〜約10,000ohm/sq、または約100ohm/sq〜約5,000ohm/sq、または約120ohm/sq〜約2,500ohm/sqであってもよい。ナノカーボン材料および有機共役ポリマーは、潜像を静電的に生成するための正孔注入材料として作用してもよい。ナノカーボン材料および有機共役ポリマーを正孔注入材料として用いることの利点の1つは、この正孔注入材料を、例えば、フォトリソグラフィー、インクジェット印刷、スクリーン印刷、転写印刷などの種々の加工技術によってパターン形成することが可能なことである。
【0021】
(ナノカーボン材料を含む正孔注入ピクセル)
本明細書で使用される場合、句「ナノカーボン材料」は、少なくとも1つの寸法がナノメートルの大きさであり、例えば、約1000nm未満である、炭素を含有する材料を指す。いくつかの実施形態では、ナノカーボン材料としては、例えば、単層カーボンナノチューブ(SWNT)、二層カーボンナノチューブ(DWNT)、多層カーボンナノチューブ(MWNT)、官能基化されたカーボンナノチューブ、および/またはグラフェンおよび官能基化されたグラフェンを含むナノチューブが挙げられ、ここで、グラフェンは、ハニカム型の結晶格子に緻密に封入された、sp混成軌道で結合した炭素原子の1枚の平らなシートであり、実際には、厚みは1原子分であり、それぞれの原子は、表面原子である。
【0022】
カーボンナノチューブは、例えば、精製後の合成されたままのカーボンナノチューブは、層の数、直径、長さ、キラリティ、および/または欠陥率という観点で構造的にカーボンナノチューブの混合物であってもよい。例えば、カーボンナノチューブが金属であるか、または半導体であるかにかかわらず、キラリティが記述されていてもよい。金属性のカーボンナノチューブは、金属が約33%であってもよい。カーボンナノチューブは、直径が、約0.1nm〜約100nm、または約0.5nm〜約50nm、または約1.0nm〜約10nmの範囲であってもよく、長さが、約10nm〜約5mm、または約200nm〜約10μm、または約500nm〜約1000nmの範囲であってもよい。ある実施形態では、1つ以上のナノカーボン材料を含む層の中のカーボンナノチューブの濃度は、約0.5重量%〜約99重量%、または約50重量%〜約99重量%、または約90重量%〜約99重量%であってもよい。いくつかの実施形態では、カーボンナノチューブをバインダー材料と混合し、1つ以上のナノカーボン材料の層を生成してもよい。バインダー材料は、当業者が知っているような任意のバインダーポリマーを含んでいてもよい。
【0023】
種々の実施形態では、ピクセル配列の各ピクセル385の中のナノカーボン材料の層は、溶媒を含有するコーティング可能なカーボンナノチューブ層を含んでいてもよい。溶媒を含有するコーティング可能なカーボンナノチューブ層は、カーボンナノチューブの水分散物またはアルコール分散物からコーティングされてもよく、カーボンナノチューブは、界面活性剤、DNAまたはポリマー材料で安定化することができる。他の実施形態では、カーボンナノチューブの層は、限定されないが、カーボンナノチューブポリマーコンポジットおよび/またはカーボンナノチューブが充填された樹脂を含む、カーボンナノチューブコンポジットを含んでいてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、ナノカーボン材料の層は、薄くてもよく、厚みが、約1nm〜約1μm、または約50nm〜約500nm、または約5nm〜約100nmの範囲であってもよい。
【0025】
(有機共役ポリマーを含む正孔注入ピクセル)
種々の実施形態では、ピクセル配列の各ピクセルの中の有機共役ポリマーの層は、任意の適切な材料を含んでいてもよく、例えば、エチレンジオキシチオフェン(EDOT)またはその誘導体に由来する共役したポリマーを含んでいてもよい。共役したポリマーとしては、限定されないが、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、アルキル置換されたEDOT、フェニル置換されたEDOT、ジメチル置換されたポリプロピレンジオキシチオフェン、シアノビフェニル置換された3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)、テトラデシル置換されたPEDOT、ジベンジル置換されたPEDOT、イオン性基で置換されたPEDOT、例えば、スルホネート置換されたPEDOT、デンドロン置換されたPEDOT、例えば、デンドロン化ポリ(パラ−フェニレン)など、およびこれらの混合物を挙げることができる。さらなる実施形態では、有機共役ポリマーは、PEDOTと、例えば、ポリスチレンスルホン酸(PSS)とを含む錯体であってもよい。PEDOT−PSS錯体の分子構造は、以下のように示すことができる。
【化1】

【0026】
例示的なPEDOT−PSS錯体は、テンプレートポリマーPSSが存在する条件下で、EDOTの重合によって得ることができる。PEDOT−PSS錯体を含む層の導電性は、2個以上の極性基を有する化合物(例えば、エチレングリコール)をPEDOT−PSS水溶液に加えることによって、制御することができる(例えば、高めることができる)。Alexander M.Nardesの表題「On the Conductivity of PEDOT−PSS Thin Films」、2007、Chapter 2、Eindhoven University of Technology(引用することでその全体が本明細書に組み込まれる)の論文に記載されているように、このような添加剤は、PEDOT−PSS錯体のPEDOT鎖の構造変化を誘発することがある。PEDOTの導電性は、酸化工程中に調節することもできる。PEDOT−PSSの水分散物は、BAYTRON P(登録商標)としてH.C.Starck,Inc.(ボストン、MA)から市販されている。MylarにコーティングされたPEDOT−PSS膜は、Orgacon (商標)膜(Agfa−Gevaert Group、モルツェル、ベルギー)で市販されている。また、PEDOTは、例えば、電子を豊富に含むEDOTに由来するモノマーを水系媒体または非水系媒体から電気化学的に酸化することによって、化学重合によって得てもよい。PEDOTの例示的な化学重合としては、Li Niuら、表題「Electrochemically Controlled Surface Morphology and Crystallinity in Poly(3,4−ethylenedioxythiophene) Films」、Synthetic Metals、2001、Vol.122、425−429、およびMark Lefebvreらによる、表題「Chemical Synthesis, Characterization,and Electrochemical Studies of Poly(3,4−ethylenedioxythiophene)/Poly(styrene−4−sulfonate)Composites」、Chemistry of Materials、1999、Vol.11、262〜268(これらは、引用することでその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されているものを挙げることができる。また、上の参考文献に記載されているように、PEDOTの電気化学的合成は、少量のモノマーを用い、短い重合時間で行ってもよく、電極に担持された膜および/または自立する膜を得ることができる。
【0027】
種々の実施形態では、ピクセル385の配列は、まず、ナノカーボン材料および/または有機共役ポリマーを含む層を基板382の上に生成することによって作られてもよい。例えば、浸漬コーティング、スプレーコーティング、スピンコーティング、ウェブコーティング、ドローダウンコーティング、フローコーティング、および/または押出ダイコーティングのような任意の適切な方法を用いて、この層を生成してもよい。次いで、基板382の上にあるナノカーボン材料および/または有機共役ポリマーを含む層を、パターン形成するか、または他の方法で処理し、ピクセル385の配列を生成してもよい。限定されないが、フォトリソグラフィーによるエッチング、または直接的なパターン形成のような適切なナノ加工技術を用い、ピクセル385の配列を生成してもよい。例えば、ナノインプリンティング、インクジェット印刷および/またはスクリーン印刷によって、材料に直接パターン形成してもよい。結果として、配列の各ピクセル385は、少なくとも1つの寸法、例えば、長さまたは幅が、約100nm〜約500μm、または約1μm〜約250μm、または約5μm〜約150μmの範囲であってもよい。
【0028】
基板382のために、限定されないが、アルミニウム、ステンレス鋼、マイラー、ポリイミド(PI)、可とう性ステンレス鋼、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、可とう性ガラスのような任意の適切な材料を用いてもよい。
【0029】
(電荷輸送層)
図3aを再び参照すると、ナノサイズで使用可能な画像形成部材380は、ピクセル配列385から1つ以上のピクセルによって、ピクセル配列の反対側にある表面388に与えられる正孔を輸送するような構成の電荷輸送層386も備えていてもよい。電荷輸送層386は、表面電荷を選択的に散逸させるために、電荷輸送層386を介して正孔または電子を輸送することが可能な材料を含んでいてもよい。特定の実施形態では、電荷輸送層386は、電気的に不活性なポリマーに溶解しているか、または分子状態で分散している、電荷を輸送する低分子を含んでいてもよい。一実施形態では、電荷を輸送する低分子を、電気的に不活性なポリマーに溶解し、ポリマーを含む均一相を生成してもよい。別の実施形態では、電荷を輸送する低分子は、分子スケールでポリマーに分散していてもよい。任意の適切な電荷を輸送する低分子または電気的に活性な低分子が、電荷輸送層386で使用されてもよい。いくつかの実施形態では、電荷を輸送する低分子は、電荷輸送層とピクセルとの界面で生成する自由正孔を、電荷輸送層386を通って表面388に輸送することが可能なモノマーを含んでいてもよい。例示的な電荷を輸送する低分子としては、限定されないが、ピラゾリン、例えば、1−フェニル−3−(4’−ジエチルアミノスチリル)−5−(4”−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、ジアミン、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)、トリフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TM−TPD)のような他のアリールアミン、ヒドラゾン、例えば、N−フェニル−N−メチル−3−(9−エチル)カルバジルヒドラゾン、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,2−ジフェニルヒドラゾン、オキサジアゾール、例えば、2,5−ビス(4−N,N’−ジエチルアミノフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール、スチルベン、アリールアミンなどが挙げられる。例示的なアリールアミンは、以下の式/構造
【化2】

を有していてもよく、式中、Xは、アルキル、アルコキシ、アリール、およびこれらの誘導体のような適切な炭化水素、ハロゲン、またはこれらの混合物、特に、ClおよびCHからなる群から選択されるこれらの置換基、以下の式を有する分子
【化3】

であり、式中、X、Y、Zは、独立して、アルキル、アルコキシ、アリール、ハロゲン、またはこれらの混合物であり、Y、Zのうち、少なくとも1つは存在する。
【0030】
アルキル基および/またはアルコキシ基は、例えば、炭素原子を1〜約25個、または1〜約18個、または1〜約12個含んでいてもよく、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、および/またはこれらの対応するアルコキシドであってもよい。アリール基は、例えば、炭素原子を約6〜約36個含んでいてもよく、例えば、フェニルなどであってもよい。ハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素および/またはフッ素を挙げることができる。置換アルキル、置換アルコキシ、置換アリールも、種々の実施形態にしたがって用いてもよい。
【0031】
電荷輸送層240に使用可能な特定のアリールアミンの例としては、限定されないが、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(アルキルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(ここで、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシルなどからなる群から選択される)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(ハロフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(ここで、ハロ置換基は、クロロ置換基である)、N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ジ−p−トリル−[p−ターフェニル]−4,4”−ジアミン、N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ジ−m−トリル−[p−ターフェニル]−4,4”−ジアミン、N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ジ−o−トリル−[p−ターフェニル]−4,4”−ジアミン、N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス−(4−イソプロピルフェニル)−[p−ターフェニル]−4,4”−ジアミン、N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス−(2−エチル−6−メチルフェニル)−[p−ターフェニル]−4,4”−ジアミン、N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス−(2,5−ジメチルフェニル)−[p−ターフェニル]−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−クロロフェニル)−[p−ターフェニル]−4,4”−ジアミンなどが挙げられる。任意の他の既知の電荷輸送層分子を選択してもよい。
【0032】
上述されるように、適切な電気的に活性な低分子である、電荷を輸送する分子または化合物を、電気的に不活性なポリマー膜を形成する材料に溶解するか、または分子状態で分散させてもよい。所望な場合、電荷輸送層386の電荷輸送材料は、ポリマー電荷輸送材料、または低分子電荷輸送材料とポリマー電荷輸送材料との組み合わせを含んでいてもよい。限定されないが、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリ(ビニルピレン)、ポリ(−ビニルテトラフェン)、ポリ(ビニルテトラセン)および/またはポリ(ビニルペリレン)のような任意の適切なポリマー電荷輸送材料を用いてもよい。
【0033】
任意の適切な電気的に不活性なポリマーを電荷輸送層386で用いてもよい。典型的な電気的に不活性なポリマーとしては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスチレン、アクリレートポリマー、ビニルポリマー、セルロースポリマー、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(シクロオレフィン)、ポリスルホン、エポキシ、これらのランダムポリマーまたは交互ポリマーを挙げることができる。しかし、任意の他の適切なポリマーを利用してもよい。
【0034】
種々の実施形態では、電荷輸送層386は、側方電荷移動(LCM)に対する耐性を高めるために、限定されないが、ヒンダードフェノール酸化防止剤、例えば、テトラキスメチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)メタン(IRGANOX(登録商標)1010(Ciba Specialty Chemical、タリータウン、NYから入手可能)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、および、SUMILIZER(商標) BHT−R、MDP−S、BBM−S、WX−R、NW、BP−76、BP−101、GA−80、GM、GS(Sumitomo Chemical America、Inc.、New York、NYから入手可能)、IRGANOX(登録商標)1035、1076、1098、1135、1141、1222、1330、1425WL、1520L、245、259、3114、3790、5057、565(Ciba Specialties Chemicals、Tarrytown、NYから入手可能)、ADEKA STAB(商標) AO−20、AO−30、AO−40、AO−50、AO−60、AO−70、AO−80、AO−330(Asahi Denka Co.,Ltd.から入手可能)を含む他のヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン酸化防止剤、例えば、SANOLTM LS−2626、LS−765、LS−770、LS−744(SANKYO CO.,Ltd.から入手可能)、TINUVIN(登録商標)144および622LD(Ciba Specialties Chemicals、Tarrytown、NYから入手可能)、MARK(商標) LA57、LA67、LA62、LA68、LA63(Amfine Chemical Corporation、Upper Saddle River、NJから入手可能)、SUMILIZER(登録商標)TPS(Sumitomo Chemical America、Inc.、New York、NYから入手可能)、チオエーテル酸化防止剤、例えば、SUMILIZER(登録商標)TP−D(Sumitomo Chemical America、Inc.、New York、NYから入手可能)、ホスファイト酸化防止剤、例えば、MARK(商標) 2112、PEP−8、PEP−24G、PEP−36、329K、HP−10(Amfine Chemical Corporation、Upper Saddle River、NJから入手可能)、他の分子、例えば、ビス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン(BDETPM)、ビス−[2−メチル−4−(N−2−ヒドロキシエチル−N−エチル−アミノフェニル)]−フェニルメタン(DHTPM)などのような、1つ以上の任意要素の材料を含んでいてもよい。電荷輸送層240は、酸化防止剤を、電荷輸送層全体を基準として約0〜約20重量%、約1〜約10重量%、または約3〜約8重量%の範囲の量で含んでいてもよい。
【0035】
電荷を輸送する分子または化合物が、電気的に不活性なポリマーに分散した電荷輸送層386は、ある程度絶縁体であってもよく、電荷輸送層386の上にある静電電荷は、その上に静電潜像を形成したり、保持したりしないように、導電性ではない。一方、電荷輸送層386は、電気的に「活性」であってもよく、正孔を注入するピクセル385の配列の各ピクセル中のナノカーボン材料および有機共役ポリマーのうち1つ以上を含む層から、正孔を注入することができ、これらの正孔を、電荷輸送層386自体を通して輸送することができ、表面388の上にある表面負電荷を選択的に放電することができる。
【0036】
任意の適切な技術および従来の技術を利用し、ピクセル385の配列を生成し、その後に、ピクセル385の配列の上に電荷輸送層386を塗布してもよい。例えば、電荷輸送層386を、1回のコーティング工程または複数回のコーティング工程で生成してもよい。これらの塗布技術としては、噴霧、浸漬コーティング、ロールコーティング、ワイヤ巻き付けロッドによるコーティング、インクジェットコーテイング、リングコーティング、グラビア印刷、ドラムコーティングなどが挙げられる。
【0037】
堆積したコーティングの乾燥は、例えば、乾燥器による乾燥、赤外線照射による乾燥、風乾などのような任意の適切な従来の技術によって行われてもよい。電荷輸送層386は、乾燥後に、厚みが約1μm〜約50μm、約5μm〜約45μm、または約15μm〜約40μmであってもよいが、この範囲からはずれた厚みを有していてもよい。
【0038】
バックプレーン中のトランジスタ配列を製造するためのアモルファスケイ素。アモルファスケイ素は、トランジスタを製造するための半導体材料として選択されてもよい。アモルファスSi TFTは、低コスト処理および成熟した製造技術のためのディスプレイ産業において、ピクセルを割り当てる要素として広範囲に用いられる。また、アモルファスSi TFTは、トランジスタの形状を変えることによって高電圧操作も適している(参考文献:K.S.Karimら、Microelectronics Journal 35(2004)、311.、H.C.Tuan、Mat.Res.Symp.Proc.70(1986))。
【0039】
TFTバックプレーンを用いる潜像形成システム380は、基板382に接続するソース電極を有する複数のTFTを備えており、電荷輸送層386(すなわち、正孔輸送層)に連結した正孔注入ピクセル385を駆動する。このシステム380は、表面の電位を減らすため、さらに、潜像を生成するための放電に、TFTコントロールを使用する。現像(印刷)電極を用い、電荷輸送層386を帯電させるか、またはこの層を通過するような電場を作り出してもよい。現像電極は、バイアスがかけられ、調整された磁気ブラシ、バイアスがかけられたインクロール、コロトロン、スコロトロン、ディスコロトロン、バイアスがかけられた帯電ロール、バイアス転写ローラーなどであってもよい。例えば、爪を形成する構造の中にあるナノ画像形成部材に、バイアスを調整した磁気ロールを加えることによって、直接的な印刷を行ってもよい。磁気ロールは、−Vの電圧で負のバイアスがかけられていてもよい。TFTが接地されている(V=0)か、またはわずかに正であるときに、印刷を行うことができる。この構造では、印刷電極と正孔注入ピクセル385との間に電場が作りだされる。この電場によって、正孔注入が誘発され、表面388に正の表面電荷が生じる。次いで、この正の電荷が現像され、印刷される。一方、TFTが、磁気ロールのようにバイアスがかけられている場合(−V)、磁場は作り出されない。その結果、表面388に表面電荷は生じず、印刷も行われない。
【0040】
図3(b)は、本発明の直接的なナノデジタル印刷システムの一実施形態を示す。直接的なナノデジタル印刷システムは、コントローラ305と、ナノ画像形成部材310と、回転式接合部315と、現像サブシステム320と、転写/フューザーサブシステム325とを備えている。コントローラ305は、参照番号306で示されているように、デジタル印刷データを、回転ドラム307に取り付けられている回転式接合部315に伝送する。本発明の一実施形態では、回転式接合部315は、回転ドラム307の末端に取り付けられていてもよい。デジタル印刷データおよび操作時の電圧を、回転ドラム307の中に配置されている、駆動している電子部品/デマルチプレクサーおよび電源に送る。
【0041】
ナノ画像形成部材310は、駆動している電子部品/デマルチプレクサーから印刷信号を受信し、電源から高電圧信号を受信する。ナノ画像形成部材310は、印刷信号を静電潜像に変換する。より詳細には、回転式接合部315は、エネルギー(または電圧信号)およびデジタルデータ信号を、ナノ画像形成部材の中の駆動している電子部品に送る。駆動している電子部品は、データ信号を受信し、このデジタルデータ信号をアナログ信号に変換する。アナログ信号は、駆動している電子部品を制御し、駆動している電子部品は、ナノ画像形成部材310のバックプレーンにある多数のTFTを駆動させる。次いで、TFTは、画像形成部材の正孔注入を個々に割り当て、これにより、現像サブシステム320と接しているときに、ナノ画像形成部材315を通過するデジタル電場が作りだされる。接触している間に静電潜像が生成され、これが現像され、印刷されてもよい。適切な印刷材料は、ゼログラフィー用乾燥粉末トナー、液体トナー、フレキソインク、オフセットインク、または他の低粘度インクである。転写/フューザーサブシステム325は、この像を受け取り、媒体の上に転写する。次いで、この像を、用いられる画像形成材料に依存して、熱、圧力および/またはUV照射によって媒体の上に定着させてもよい。
【0042】
図4(a)は、本発明の実施形態の回転画像形成ドラムに連結した回転式接合部のブロック図を示す。回転式接合部415は、回転ドラム410に連結または接続している。電源420および駆動している電子部品430は、回転ドラム410の内側に位置している。駆動している電子部品430は、薄膜トランジスタ(TFT)440の内側に連結している。本発明の実施形態では、TFTのバックプレーン440は、二次元配列で作られている。TFTのバックプレーン440は、ナノ画像形成部材の一部分であってもよい。
【0043】
図4(a)で示されている本発明の実施形態では、回転式接合部415から出た2個のライン416および417が、回転ドラムに電圧を供給している。この実施形態では、1個のライン418が、駆動している電子部品/デマルチプレクサー430にデジタルデータを供給する。これは、画像形成ドラム410(例えば、電源420および駆動している電子部品/デマルチプレクサー430)に供給し得るワイヤ/端子の最低数である。デジタルデータは、シリアル伝送される。当業者に十分に知られている任意のシリアルデータ伝送を利用してもよい。
【0044】
本発明の代替的な実施形態では、3個のラインは、回転ドラムに電圧レベルを供給してもよく、2個以上のラインは、駆動している電子部品/デマルチプレクサー430にデータを供給してもよい。電源420は、駆動している電子部品/デマルチプレクサー430およびTFTのバックプレーン440のための操作時の電圧を作り出す。例えば、駆動している電子部品/デマルチプレクサーのための操作時の電圧は、0ボルトおよび+5ボルトであってもよい。それに加えて、電源は、TFTのバックプレーン440に供給/印加される高電圧(HV)を作り出す。駆動している電子部品が受信するデジタルデータは、駆動している電子部品/デマルチプレクサー430の中のデジタル−アナログ変換器によって、アナログフォーマットに変換される。駆動している電子部品/デマルチプレクサー430の中のデマルチプレクサーは、TFTバックプレーンの一部分であるリードまたは接続に、変換データ信号を割り当てる。リードまたは接続部は、個々の割り当て可能な画像に連結している。
【0045】
図4(b)は、本発明の一実施形態にかかる、潜像を生成する装置または直接印刷するための装置の中の薄膜トランジスタの配列を示す。示されるように、図4は、バックプレーンの一部分であり、5行5列の長方形のマトリックス内に整列しているTFT配列440を示す。TFT配列440は、コンピュータ444によってコントローラ442に供給されるデジタル情報から潜像を作り出す。本発明の一実施形態では、コンピュータ444は、デジタル印刷ファイルをコントローラまたはデジタルフロントエンド(DFE)442に送る。
【0046】
コントローラ442は、デジタル信号をCMYKデジタルビットまたはRGBデジタルビットに分解し、次いで、このデジタルビットを駆動している電子部品/デマルチプレクサー440にシリアル伝送するだろう。コントローラ442は、シリアル伝送機器に連結していてもよい。データは、任意のデジタルチャネル(限定されないが、シリアルUSBケーブルまたは他のシリアルプリンタケーブルを含む)によって伝送されてもよい。
【0047】
コントローラ442は、シリアルデータを回転式接合部443に送り、次いで、回転画像形成ドラム410に送る。また、コントローラは、回転式接合部443を介し、回転画像形成ドラムの中の電源441に操作時の電圧レベルを送る。本発明の実施形態では、回転式接合部443を通って加えられるVccは、高電圧である。具体的には、Vccは、100ボルト〜400ボルトであってもよい。本発明の他の実施形態では、Vccは、10ボルト〜200ボルトであってもよい。電源は、例えば、回転式接合部443を介して、ライン446および447でVccおよび接地の信号を受信する。本発明の実施形態では、電源441は、+5ボルトの信号と、0ボルトの信号を生成する。また、電源441は、高電圧信号を生成する。高電圧信号445は、TFTトランジスタ410のバックプレーンに与えられる。
【0048】
デジタルシリアル情報には、ピクセルの位置と、ピクセル電圧が含まれている。本発明のいくつかの実施形態では、コントローラ442は、デジタル情報を、回転式接合部443を介して送り、デコーダ472、リフレッシュ回路479、デジタル−アナログ(D/A)変換器476を含む複数のインターフェース機器を駆動させることによって、回転式接合部443を介してTFT配列440の操作を制御/命令する。デコーダ472、リフレッシュ回路479、D/A変換器476は、駆動している電子部品430と呼ばれることがある。
【0049】
回転式接合部443からデジタル信号を受信した後、デコーダ472は、行および列の位置によって配列440内の個々のピクセルセルを選択して潜像を作り出す信号を生成する。具体的には、コントローラ442は、デジタルシリアルデータを回転式接合部443に送り、回転式接合部は、バス437によってデコーダ472に情報を送る。この実施形態では、コントローラ442は、ピクセル電圧と位置情報をデジタル化したものを生成し、このデジタル化されたピクセル電圧を、回転式接合部443を経由して、バス438を介してアナログ(D/A)変換器476に送る。D/A変換器476は、デジタル化されたピクセル電圧を、1つ以上の選択された列Y1〜Y5に配置されているアナログ電圧に変換する。ナノ画像形成部材をリフレッシュするために、コントローラ442は、アドレスデータを回転式接合部443にシリアル伝送し、次いで、バス439を介してリフレッシュ回路479に送り、行Z1〜Z5を選択する。リフレッシュ回路479は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)のコンデンサを再帯電させるのに用いられるメモリのリフレッシュ回路と同様の様式で動く。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態では、TFTバックプレーン440の操作時のバイアス電圧は、+20ボルト〜−200ボルトの範囲であってもよい。本発明の代替的な実施形態では、TFTバックプレーン440の操作時のバイアス電圧は、+100ボルト〜−400ボルトの範囲であってもよい。本発明の実施形態では、ピクセルの大きさは、10ミクロン×10ミクロン〜30ミクロン×30ミクロンの範囲であってもよい。本発明の他の実施形態では、ピクセルの大きさは、1ミクロン×1ミクロン〜200ミクロン×200ミクロンの範囲であってもよい。TFTバックプレーンに対する操作時のバイアス電圧の接続は、図4(b)には示されていない。
【0051】
図4(b)に示される実施形態では、各ピクセルパッド478は、薄膜トランジスタ477に接続しており、正孔注入ピクセルを有する接合部の中にコンデンサを備えている。半導体材料(例えば、アモルファスケイ素(a−Si:H))は、トランジスタの望ましい操作特性および加工特性に十分に適している。広い領域のフォーマットに及ぶアクティブ型およびパッシブ型の薄膜機器の製造コストが比較的安価であるという観点から(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ガラス、ポリイミド、または他の適切な基板)、費用対効果の高いTFT配列440を得ることが可能である。さらに、TFTバックプレーン440は、高電圧コンデンサおよびデコーダ472と同じ集積回路の上にある高電圧薄膜トランジスタに組み込まれていてもよい。
【0052】
配列410の示されている部分の操作は、以下のとおりである。プリントエンジン444は、駆動している電子部品を介し、デジタル画像情報をTFT配列410に供給する。さらに図4を参照すると、プリントエンジンは、まず、デジタルフロントエンドまたはコントローラ442によって、デジタルプリントをCMYKカラービットまたはRGBカラービットに変換する。コントローラ442は、回転式接合部443を介し、駆動している電子部品の一部であるデコーダ372に情報をシリアル伝送する。このデジタル信号は、画像の一部分を生成するために帯電されるべきピクセル位置およびバイアス電圧に関する情報(例えば、(1)X行とY列の交差点、(2)X行とY列の交差点、(3)X行とY列の交差点)を有しているだろう。具体的には、プリントエンジン444は、ピクセルを帯電させるための行を選択するために、2桁のコードX、X、Xを送る。この2桁のコードは、コントローラ442および回転式接合部443を通過し、バスライン437を介してデコーダ472を通る。図4(b)の実施形態では、デコーダ472は、伝送された2桁のコードを受信し、X行、X行、X行のトランジスタ420にゲートバイアス電圧を加える。プリントエンジンコンピュータ444は、デジタル化されたピクセル電圧をコントローラ442に送る。コントローラ442は、このデジタル化されたピクセル電圧を、回転接続部443を介し、バスライン438によってD/A変換器416に送る。D/A変換器416は、このデジタル入力値に対応するアナログ出力を行ない、Y列、Y列、Y列に接続した高電圧トランジスタのソース電極に対し、アナログ出力を行う。図4に示されているように、Xゲートバイアス電極と、Y列にかかる電圧との組み合わせによって、Xゲートバイアス電極と、Y列にかかる電圧との組み合わせによって、さらに、Xゲートバイアス電極と、Y列にかかる電圧との組み合わせによって、3個のトランジスタのみ(一般的には、参照番号460、462、464で示されている)がONに切り替わる。したがって、トランジスタ460、462、464のドレインにのみアナログ電圧が生じ、参照番号461、463、465で示されるピクセルパッドに含まれる高電圧コンデンサが帯電する。このプロセスを、望ましい潜像が作られるまで、割り当てられているそれぞれのピクセルについて繰り返す。時間経過に伴い、コンデンサは放電し始めるだろう。電荷を保存するために、各ピクセルセルは、リフレッシュ回路479によってリフレッシュされなければならず、バスライン439を介し、回転式接合部443から信号を受け取る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式電気接合部を介し、コントローラからシリアル伝送されたデジタル印刷信号を受信することと、
前記回転式電気接合部を介し、操作時の電圧を受信することと、
前記受信したデジタル印刷信号に応答して、TFTバックプレーン内の多数の薄膜トランジスタ(TFT)を個々に割り当てるための駆動信号を伝送することと、
前記受信したデジタル印刷信号に応答して、ピクセル電圧を送り、前記TFTバックプレーン内の個々のTFTにバイアスをかけ、静電潜像を生成することと、を含む、前記静電潜像を生成する方法。
【請求項2】
コントローラからシリアル伝送されたデジタルデータを受信し、選択信号と、デジタルピクセル電圧とを生成するように構成された回転式接合部であって、コントローラから操作時の電圧を受信するように構成された前記回転式接合部と、
前記回転式接合部から前記操作時の電圧信号を受信し、低電圧信号、接地信号、高電圧信号を生成する電源と、
前記低電圧信号、前記接地信号、選択信号、前記デジタルピクセル電圧を受信し、バイアス信号と、ピクセル電圧とを生成するように構成された、駆動している電子部品と、
薄膜トランジスタ(TFT)バックプレーン内に整列し、前記高電圧信号を受信し、前記バイアス信号および前記ピクセル電圧を受信し、前記バイアス信号およびピクセル電圧に応答して、正孔注入ピクセルを駆動させ、静電潜像を生成するように構成された複数のTFTと、を備える、潜像を印刷するための装置。
【請求項3】
前記回転式接合部の2個の端子が、前記操作時の電圧を受信し、前記回転式接合部の1個の端子が、前記コントローラから前記シリアル伝送されたデジタルデータ信号を受信する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記回転式接合部が、回転画像形成ドラムの片方の端に配置されており、前記駆動している電子部品が、前記回転画像形成ドラムの内側部分に存在しており、前記TFTバックプレーンが、前記回転画像形成ドラムの外側表面に位置している、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記TFTバックプレーンが、基板の上に配置されたピクセル配列と、前記ピクセル配列の上に配置された電荷輸送層とで構成されており、前記ピクセル配列のそれぞれのピクセルは、電気的に絶縁されており、個々に割り当て可能であり、1種類以上のナノカーボン材料または有機共役ポリマーの層を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記回転式接合部の2個の端子が、前記操作時の電圧を受信し、前記回転式接合部の2個の端子が、コントローラから前記シリアル伝送されたデジタルデータ信号を受信する、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
プリントエンジンからシリアル伝送されたデジタルデータ信号を受信し、選択信号およびデジタルピクセル電圧を生成するように構成された第2の回転式接合部をさらに備え、前記第2の回転式接合部は、前記プリントエンジンから操作時の電圧信号を受信するように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記TFTバックプレーンが、回転ドラムまたはベルトに接続されるように構成され、前記静電潜像を着色した画像に変換するように構成される印刷ステーションをさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記回転式接合部が、前記画像形成ドラムの回転軸と同軸に取り付けられている、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
コンピュータからデジタル画像ファイルを受信し、受信したデジタル画像ファイルに対応するデジタル信号を生成するように構成されるコントローラと、
前記生成されたデジタル信号および電圧信号を受信するように構成される回転式接合部と、
前記回転式接合部から前記伝送されたデジタル信号を受信するための駆動している電子部品であって、前記伝送されたデジタル信号には、潜像を生成するために、バックプレーン中の個々の薄膜トランジスタ(TFT)にバイアスをかける制御信号と、ピクセル電圧とが含まれている、前記駆動している電子部品と、
前記電圧信号を受信し、前記駆動している電子部品に供給される第1の電圧信号と接地信号を生成し、前記TFTのバックプレーンを駆動する高電圧信号を生成する電源とを備える、印刷機器。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【公開番号】特開2012−177916(P2012−177916A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−25528(P2012−25528)
【出願日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】