説明

デニム生地およびこれを用いたジーンズ

【課題】 従来とは全く異なる発想のデザインが施されたデニム生地およびこれを用いたジーンズを得るようにする。
【解決手段】 デニム生地で構成されたジーンズ1に定着剤3を塗布して乾燥させ、その上に銀箔6等の金属箔を展着させた後、硫化鉄溶液等の薬剤を介して前記金属箔を加熱することにより、前記金属箔がジーンズ1に焼き付けれている。焼き付けられた金属箔によって、ジーンズに艶やかな光沢が付与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金箔や銀箔等の金属箔が付着されたデニム生地およびこれを用いたジーンズに関する。
【背景技術】
【0002】
デニム生地は、通常、濃紺色等に染色した経糸に対して漂白した緯糸を織り込まれ、全体として経三枚綾か経四枚綾とした厚地の綿織物であり、インディゴ染料を用いて前記濃紺等に染色されたものである。そして、前記デニム生地は一般的にはジーンズに広く用いられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】ジーンズカジュアルリーダー 2008版 アルブランド
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ジーンズは、前述したように、そのデザインが定型化しており、ファッション的に斬新性や個性を演出し難い面がある。
【0005】
そのため、新品のジーンズを何度も洗濯したり、漂白剤で色落ちさせたり、ヤスリ等で傷を付けたり、破いたりという所謂、ダメージ加工が施されたり、アクセサリーとして種々の金具類が取り付けられているが、近年では、このようなダメージ加工や金具装飾も一般化してきており、斬新なデザイン性が求められている。
【0006】
本発明の目的には、従来とは全く異なる発想のデザインが施されたデニム生地およびこれを用いたジーンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明は、金属箔が付着されたデニム生地である。金属箔としては、銀箔の他、金箔やアルミニウム箔等が挙げられる。また、金属箔の付着方法としては、後述する焼付けの他、接着剤等よる接着やラッカー等による塗着が挙げられる。
【0008】
請求項2記載の本発明は、金属箔が銀箔であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載のデニム生地が、生地に定着剤を塗布する工程と、塗布した定着剤を乾かす工程と、乾かされた定着剤上に金属箔を展着させる工程と、展着された金属箔を薬剤を介在させつつ、加熱する工程とによって得られることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4記載の本発明は、前記請求項3記載のデニム生地について、薬剤が硫黄または硫黄化合物であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5記載の本発明は、前記請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項記載のデニム生地で構成されたジーンズである。
【0012】
なお、本発明に係るデニムは、前述したジーンズの他、かばんや袋物、或いは財布等といった種々の物品の構成材料としても用いることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のデニム生地は、金属箔が付着されたものであるため、デニムの持つ自然な風合いと金属箔が奏する無機的で艶やかな外観とが相俟って従来とは全く異なる斬新なデザイン性が得られる。
【0014】
金属箔として銀箔を用いた請求項2記載のデニム生地によれば、前記デザイン性に加えてシャープな美感が得られるという利点がある。
【0015】
請求項3および請求項4記載の各工程によって得られるデニム生地は、金属箔が簡単且つ確実に焼き付けられ、またこの効果は特に銀箔について顕著である。
【0016】
請求項5記載のジーンズは、これまでのジーンズのデザインの枠を超える斬新なものとなり得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係るジーンズにおいて、定着剤を塗布する工程を示す斜視図である。
【図2】実施形態に係るジーンズにおいて、定着剤の乾燥工程を示す斜視図である。
【図3】定着剤の乾燥後における銀箔の載置工程を示す斜視図である。
【図4】ジーンズ上に載置した銀箔を押える工程を示す斜視図である。
【図5】ジーンズ上に銀箔が展着された状態を示す斜視図である。
【図6】銀箔をジーンズ上に焼き付ける工程を示す斜視図である。
【図7】銀箔が焼き付けられたジーンズの筒部分の拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係るジーンズの実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1に示すように、予め表面或いは更に裏面にも目止め処理を行ったジーンズ1の表面にヘラ2を用いて定着剤3を薄く均等に塗布し、次に図2に示すように、ドライヤー4で前記定着剤3を乾かす。
【0020】
その後、図3に示すように、前記ジーンズ1の表面にピンセット5を使って銀箔6をジーンズ1の長さ方向に一列に載置し、次に図4に示すように、厚紙7を前記銀箔6の上に載せて手で押えることにより、図5に示すように、ジーンズ1上に銀箔6が展着された状態となる。そして、展着された銀箔6上に硫黄が含浸または付着された紙8を載置し、該紙8にアイロン9を押し当てることにより、前記銀箔6を加熱する。その結果、図7に示すように、ジーンズ1の表面全面に銀箔6がまだら模様に焼き付けられる。
【0021】
なお、本実施形態では、銀箔6はジーンズ1の全面に焼き付けられているが、筒部分やポケット付近のみといった一部にアクセントとして焼き付けるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明によれば、デニム生地に銀箔等の金属箔が焼き付けられているため、従来のデニム生地とは全く異なる美感が得られることから、アパレル業界等において幅広い利用が期待できる。
【符号の説明】
【0023】
1 ジーンズ
2 ヘラ
3 定着剤
6 銀箔
7 厚紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属箔が焼き付けられたデニム生地。
【請求項2】
金属箔が銀箔である請求項1記載のデニム生地。
【請求項3】
生地に定着剤を塗布する工程と、塗布した定着剤を乾かす工程と、乾かされた定着剤上に金属箔を展着させる工程と、展着された金属箔を薬剤を介在させつつ、加熱する工程とによって得られる請求項1または請求項2記載のデニム生地。
【請求項4】
薬剤が硫黄または硫黄化合物である、請求項3記載のデニム生地。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項記載のデニム生地で構成されたジーンズ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−77425(P2012−77425A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226208(P2010−226208)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(510266859)
【Fターム(参考)】