説明

デブリー除去方法及びデブリー除去装置

【課題】高品質な印刷版が得られるデブリー除去方法及びデブリー除去装置を提供する。
【解決手段】樹脂硬化物層表面にレーザ彫刻により凹凸パターンの形成がなされた印刷層を具備する印刷版に残存するデブリーの除去方法であって、
(1)前記印刷版を洗浄槽内にセットする工程と、
(2)pH11以上の強アルカリ性電解水である洗浄水により、前記印刷版表面を洗浄する工程と、を有するデブリーの除去方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ彫刻された印刷版のデブリー除去方法及び除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ彫刻印刷版は、製造工程がシンプルで、高精細レーザを用いた彫刻が可能で、ディジタル処理によって画像品質の安定性を高く保つことができるという利点を有している。
また、近年においては、シート状印刷版に替わってスリーブ印刷版に代表される円筒状印刷版が用いられるようになってきているが、円筒状印刷版は印刷機への装着が容易であること、印刷速度の高速化が可能で高生産性を図ることができること、高精度なレジストレーションが容易に得られる等の特徴を有している。
さらに、スリーブ印刷版に対応する印刷機が増加している現状や、薄いFRP(繊維強化プラスチック)スリーブの表面に印刷層を形成した構成の安価なブランクスリーブの普及に伴い、円筒状印刷版は、今後さらに比率を高めるものと予想されている。
【0003】
円筒状印刷版の印刷層材料としては、一般的に感光性樹脂組成物や熱硬化性樹脂組成物の硬化物が用いられており、これらの樹脂組成物、円筒状印刷版の製造方法、及びこれに用いる製造装置に関しては、従来から多くの技術提案がなされている。
【0004】
しかし、樹脂硬化物層の表面を、例えばCO2レーザ、YAGレーザ、ファイバーレーザ等の、コヒーレントな光線を用いて凹凸パターンを彫刻すると、いわゆるデブリーと呼ばれるレーザ溶融カス(融除滓)が残るため、高品質印刷を行うためには、これを除去する必要がある。
【0005】
このようなデブリーの除去装置としては、感光性樹脂版の現像装置や印刷機で使用されている版洗浄装置等をベースにしたものが知られている。
例えば、印刷版に洗浄液を一定圧力でスプレーし、デブリーを洗い出す装置や、スチームジェットや高温高圧水で洗い出す装置等が知られている。
例えば、特許文献1においては、0.2MPa以上30MPa以下の圧力で、かつ40℃以上140℃以下の温度の洗浄液を、ウォータージェット態様又はスチーム態様で吹き付けることにより、レリーフ画像表面、ショルダー、底部等に残存するデブリーを洗い落とす方法が提案されている。
また、テーパーコーンにより円筒状印刷版の両端を保持し、回転させながら洗浄を行う方法(FLEXO WASH社のスリーブ洗浄機等)や、一対の弾性ローラーにより円筒状印刷版を保持・回転させながら洗浄する方法(DEGRAF社のスリーブ洗浄機)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2005/005147号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術や、市販されている上記洗浄機においては、高温高圧の水又は洗浄液を用いるため、円筒状印刷版表面の印刷層が破壊されたり、熱変形したりし、最終的に得られる印刷版の品質劣化を招来するおそれがある。
【0008】
そこで本発明においては、低コストかつ作業効率が高く、高品質な印刷版が得られるデブリー除去方法及びデブリー除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するべく鋭意検討をした結果、強アルカリ性電解水をデブリー除去用の洗浄液として使用することにより上記課題を解決することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0010】
請求項1の発明としては、樹脂硬化物層表面にレーザ彫刻により凹凸パターンの形成がなされた印刷層を具備する印刷版に残存するデブリーの除去方法であって、
(1)前記印刷版を洗浄槽内にセットする工程と、
(2)pH11以上の強アルカリ性電解水である洗浄水により、前記印刷版表面を洗浄する工程と、を有するデブリーの除去方法を提供する。
【0011】
請求項2の発明としては、前記印刷版が円筒状印刷版である請求項1に記載のデブリー除去方法を提供する。
【0012】
請求項3の発明としては、前記(2)の工程が、前記円筒状印刷版を周方向に回転させながら、前記洗浄水により前記印刷版表面を洗浄する工程である請求項2に記載のデブリー除去方法を提供する。
【0013】
請求項4の発明としては、前記洗浄水が、下記(3)〜(5)の工程により得られるpH11以上の強アルカリ性電解水を含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載のデブリーの除去方法を提供する。
(3)前記(2)の工程で用いた洗浄水に含まれているデブリーを濾過する濾過工程。
(4)前記(3)の工程により得られた濾過後の洗浄水のイオン成分を除去し、純水にする純水化工程。
(5)前記(4)の工程により得られる純水のpHを調整し、pH11以上の強アルカリ性電解水にするpH調整工程。
【0014】
請求項5の発明としては、前記(1)の工程においては前記円筒状印刷版の外周面に接する2以上の回転ロールにより保持し、前記(2)の工程においては、前記回転ロールにより前記円筒状印刷版を周方向に回転させる、請求項2乃至4のいずれか一項に記載のデブリー除去方法を提供する。
【0015】
請求項6の発明としては、前記(2)の工程においては、浴槽浸漬洗浄法、スプレー洗浄法及びブラシ洗浄法からなる群より選ばれる少なくとも一の方法により、前記印刷版表面の洗浄を行う請求項1乃至5のいずれか一項に記載のデブリー除去方法を提供する。
【0016】
請求項7の発明としては、前記(2)の工程後に、下記工程(6)〜(8)をさらに行う請求項1乃至6のいずれか一項に記載のデブリー除去方法を提供する。
(6)前記(2)の工程で用いた洗浄水に含まれているデブリーを濾過する濾過工程。
(7)前記(6)の工程により濾過した後の洗浄水をリンス水として前記印刷版表面の洗浄を行い、前記印刷版表面に付着している洗浄水を洗い流すリンス工程。
(8)前記(7)の工程後のリンス水を前記工程(6)により濾過し、リンス水を得るリンス水再生工程。
【0017】
請求項8の発明としては、前記樹脂硬化物層が、光硬化性樹脂硬化物層又は熱硬化性樹脂硬化物層である請求項1乃至7のいずれか一項に記載のデブリー除去方法を提供する。
【0018】
請求項9の発明としては、前記円筒状印刷版は、円筒状支持体の外周面に光硬化性樹脂硬化物層又は熱硬化性樹脂硬化物層を有している請求項2乃至8のいずれか一項に記載のデブリー除去方法を提供する。
【0019】
請求項10の発明としては、前記円筒状支持体が、繊維強化樹脂製スリーブ又は金属製スリーブである請求項9に記載のデブリー除去方法を提供する。
【0020】
請求項11の発明としては、レーザ彫刻された円筒状印刷版のデブリー除去装置であって、レーザ彫刻により凹凸パターンが形成された印刷層を具備する円筒状印刷版をセットする洗浄槽と、前記円筒状印刷版を周方向に回転させる回転機構と、前記印刷層表面を、pH11以上の強アルカリ性電解水による洗浄水で洗浄する洗浄機構と、洗浄水が付着した印刷層表面をリンス水により洗浄するリンス機構と、前記印刷層を洗浄した後の洗浄水を濾過し、イオン成分を除去し、pH調整してpH11以上の強アルカリ性電解水よりなる洗浄水を再生産する洗浄水循環機構と、前記印刷層表面を洗浄した後のリンス水を濾過し、リンス液を再生産するリンス水循環機構と、を具備している円筒状印刷版のデブリー除去装置を提供する。
【0021】
請求項12の発明としては、前記回転機構が、前記円筒状印刷版の外周面に接し、円筒状印刷版を周方向に回転させる、少なくとも2個の回転ロールを具備し、前記洗浄機構は、洗浄水噴射ノズルを具備し、前記リンス機構は、リンス水噴射ノズルを具備する請求項11に記載のデブリー除去装置を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、レーザ彫刻方式により表面に凹凸パターンを形成した印刷版表面に残存するデブリーを効率的に除去でき、高い除去効果が得られ、品質の高い印刷版が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のデブリー除去装置(一例)の概略構成図を示す。
【図2】本発明の洗浄工程での洗浄水のフロー示す模式図である。
【図3】本発明のリンス工程でのリンス水のフロー示す模式図である。
【図4】本発明の洗浄性能が低下した洗浄水を新しい強アルカリ性電解水に入れ替える交換フロー示す模式図である。
【図5】本発明の洗浄排水の強アルカリ性電解水への再生フローを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施の形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0025】
〔デブリー除去方法〕
本実施の形態のデブリー除去方法は、樹脂硬化物層表面にレーザ彫刻により凹凸パターンを形成した印刷層を具備する印刷版の表面に残存するデブリーを、下記(1)、(2)の工程により除去するものである。
(1)前記印刷版を洗浄槽内にセットする工程。
(2)pH11以上の強アルカリ性電解水である洗浄水により前記印刷版表面を洗浄する工程。
【0026】
レーザ彫刻方式による凹凸パターン形成を行った印刷版は、表面に樹脂硬化物層の分解物であるデブリーが発生する。
なお、デブリーとは、レーザが照射されることにより樹脂硬化物層中の分子が切断して発生した低分子のモノマー、オリゴマー類等の、粘稠性の液状彫刻残渣や、該液状彫刻残渣を吸収した後述する無機多孔質体(e)による粉末状の固体彫刻残渣である。
本実施の形態におけるデブリー除去方法は、液状彫刻残渣及び固体彫刻残渣のいずれに対しても優れた除去効果を発揮する。
【0027】
本実施の形態において、印刷版は円筒状印刷版であることが好ましい。円筒状印刷版であると、周方向に回転させながら洗浄でき、高い洗浄効率が得られる。
【0028】
前記洗浄水は、下記(3)〜(5)の工程により得られる、pH11以上の強アルカリ性電解水を含むものであることが好ましい。
(3)前記(2)の工程で用いた洗浄水に含まれるデブリーをフィルター等で濾過する濾過工程。
(4)前記(3)の工程により得られた濾過後の洗浄水のイオン成分を除去し、純水にする純水工程。
(5)前記(4)の工程により得られる純水を、pH調整し、pH11以上の強アルカリ性電解水にするpH調整工程。
上記(3)〜(5)の循環系で再生される洗浄水を使用することにより、洗浄廃液の発生を効果的に低減化できる。
【0029】
また、前記(2)のデブリー洗浄工程後には、下記(6)〜(8)の工程をさらに行うことが好ましい。
(6)前記(2)の工程で用いた洗浄水に含有しているデブリーをフィルター等により濾過する濾過工程。
(7)前記(6)の工程により濾過した後の洗浄水をリンス水として前記印刷版表面の洗浄を行い、前記印刷版表面に付着している洗浄水を洗い流すリンス工程。
(8)前記(7)の工程後のリンス水を前記工程(6)により濾過し、リンス水を再生する工程。
上記(6)〜(8)の循環系で再生されるリンス水を使用することにより、洗浄廃液の発生を効果的に低減化できる。
【0030】
次に、本実施の形態におけるデブリー除去方法の各工程(1)〜(8)について説明する。
<(1)の工程:印刷版をセットする工程>
印刷版のセット工程においては、所定の洗浄槽内の洗浄位置に印刷版を保持する。
印刷版が円筒状印刷版である場合には、下方向から当該印刷版の外周面に接する2以上の回転ロールによって保持するようにし、この回転ロールにより円筒状印刷版を周方向に回転可能にすることが好ましい。
印刷版の下方向から外周面に接する回転ロールを用いることにより、種々の内径を有する円筒状印刷版を扱う場合にも、特別な操作や作業を追加することなく、同一の洗浄装置による洗浄処理やリンス処理が可能となる。
【0031】
<(2)の工程:洗浄工程>
この洗浄工程においては、pH11以上の強アルカリ性電解水である洗浄水を用いて前記印刷版表面の洗浄を行う。
特に、円筒状印刷版の場合には、周方向に回転させながら印刷版表面を洗浄することにより、洗いムラを防止でき、全周面に亘って確実に洗浄でき高品質な印刷版が得られる。
【0032】
洗浄方式としては、浴槽浸漬洗浄法、スプレー洗浄法、ブラシ洗浄法からなる群より選択される少なくとも一の方法が好適な例として挙げられる。
浴槽浸漬洗浄法とは、洗浄槽を温調された洗浄水で満たし、印刷版を洗浄槽に浸漬した状態で洗浄を行う方法である。この浴槽浸漬洗浄法においては、洗浄槽内の洗浄水を強制的に流動させるようにすることが好ましい。
スプレー洗浄法とは、温調された洗浄水を洗浄ポンプにより例えば0.1MPa以上に昇圧してスプレーノズルから印刷版に吹き付けて行う洗浄方法である。
ブラシ洗浄法とは、温調された洗浄水をブラシに供給し、ブラシで印刷版表面を擦ることにより行う洗浄方法である。ブラシの接触圧力は、印刷版の動作、例えば円筒状印刷版の回転動作、及び洗浄性を確保するのに十分なキスタッチ程度の圧力で行うことが好ましい。また、ブラシを左右に揺動させて洗浄を行うことにより、全面に亘って均一に洗浄効果が得られる。
洗浄工程における洗浄水の温調温度は、デブリー洗浄性の観点から30〜90℃が好ましく、更に環境性や、後述する濾過機構及び純水機構の耐温特性を考慮して30〜50℃の範囲がより好ましい。
【0033】
洗浄水であるpH11以上の強アルカリ性電解水は、純水に電解助剤(炭酸カリウム等)を加えた水を電気分解することにより生成できる。
強アルカリ性電解水の水素イオン濃度指数(pH)は、デブリー洗浄性能に大きく影響するため、高品質で安定したデブリー洗浄効果を得るために、デブリーの性状に応じたpH値に管理することが好ましい。
また、強アルカリ性電解水は、空気中の炭酸ガスを吸収してpH値が低下し、これにより洗浄性能も低下する。さらには、加温やスプレー噴霧等によりpH値はさらに低下してしまうため、洗浄工程中は洗浄液のpHを管理し、適宜強アルカリ性電解水を交換することが必要となる。
【0034】
洗浄水である強アルカリ性電解水は、pH値が11以上であるものとし、11.5以上であることがより好ましい。
樹脂硬化物のデブリーは、pH値が11以上の洗浄水を用いることにより効果的に除去でき、これにより得られた印刷版を用いることにより実用上十分な印刷品質が得られる。
【0035】
<(3)の工程:濾過工程>
この濾過工程においては、印刷版洗浄後の洗浄水のデブリー濾過を行う。
濾過方式については、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を適用できる。例えば、不織布、オイル吸着マット、濾紙、メッシュフィルター等の安価な材料によるフィルターリングを行い、デブリー凝集体を捕集し、続いて、活性炭吸着方式等により洗浄水に溶け込んだデブリーを除去する細密なフィルターリングを行う多段方式が好ましい。これにより、濾過工程全体としてのコストの低減化が図られる。
この濾過工程により、濁りの無い中性〜弱アルカリ性の、水道水程度の品質(CODが10mg/L以下)の液体を得ることが好ましい。
ここでCOD(Chemical Oxygen Demand)は、試料を硫酸酸性として酸化剤として過マンガン酸カリウムを加え沸騰水浴中で30分反応させ、そのとき消費された過マンガン酸の量を求め、相当する酸素の量で算出される。
【0036】
<(4)の工程:純水化工程>
この純水化工程においては、前記(3)の工程により得られた濾過後の洗浄液のイオン成分の除去を行う。
イオン成分の除去方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、イオン交換樹脂膜法や、逆浸透(RO)膜法が挙げられる。
【0037】
<(5)の工程:pH調整工程>
このpH調整工程においては、前記(4)の工程により得られた純水をpH調整し、pH11以上の強アルカリ性電解水とする。
例えば、純水に電解助剤(炭酸カリウム等)を加え、電気分解することにより、強アルカリ性電解水が生成できる。
【0038】
<(6)の工程:濾過工程>
この濾過工程においては、前記(2)の工程で用いた洗浄水に含まれているデブリーを濾過し、印刷版面に付着している洗浄水を洗い流すためのリンス水を得る。
濾過方式については特に限定されるものではなく、従来公知の方法を適用できる。例えば、不織布、オイル吸着マット、濾紙、メッシュフィルター等の安価な材料によるフィルターリングを行い、デブリー凝集体を捕集し、続いて、活性炭吸着方式等により洗浄水に溶け込んだデブリーを除去する細密なフィルターリングを行う多段方式が好ましい。これにより、濾過工程全体としてのコストの低減化が図られる。
当該濾過工程により、濁りの無い中性〜弱アルカリ性の、水道水程度の品質(CODが10mg/L以下)の液体を得ることが好ましい。
【0039】
<(7)の工程:リンス工程>
このリンス工程においては、前記(6)の工程で得られたリンス水を用いて、前記(2)の工程後の印刷版表面に付着している洗浄水を洗い落とす。
【0040】
<(8)の工程:リンス水再生工程>
このリンス水再濾過工程においては、前記(7)の工程により得られる、印刷版面から洗い落とした汚れた洗浄水を含むリンス水を、上記(6)の工程と同様の工程により濾過する。
(6)〜(8)の工程により、リンス水の循環が可能になり廃液の低減化が図られる。
【0041】
〔印刷版〕
次に、本実施の形態のデブリー除去方法を行う対象である印刷版について説明する。
印刷版は、後述する所定の樹脂硬化物層の表面に、レーザ彫刻方式によって所定の凹凸パターンが形成された印刷層を具備している。
印刷版の構成としては、例えば、支持体/接着剤層/印刷層、支持体/クッション層/印刷層、支持体/接着剤層/クッション層/印刷層等の構成が挙げられるが、これらの限定されるものではない。
印刷版の構成は、適用する印刷方式に応じて構成を選択することが好ましい。例えば、フレキソ印刷等においては、支持体と印刷層との間に所定のクッション層を介在させた構成が好ましく、ドライオフセット印刷においては、印刷層のみの構成とすることが好ましい。
支持体とクッション層との間、支持体と印刷層との間、クッション層と印刷層との間には、所定の接着剤層や粘着剤層(以下、単に「接着剤層」という)を設けてもよい。
また、支持体上に両面粘着テープやクッションテープを用いて、凹凸パターン形成前状態である樹脂硬化物層又は凹凸パターン形成後状態である印刷層を貼り付けた構成としてもよい。
円筒状印刷版である場合、印刷層は、予め円筒状に形成した感光性樹脂組成物を光硬化した樹脂硬化物層表面に対し、レーザ彫刻を行うことにより形成してもよいし、予め円筒状に形成した熱硬化性樹脂組成物を熱硬化した樹脂硬化物層表面に対し、レーザ彫刻を行うことにより形成してもよいし、シート状樹脂硬化物層を円筒状支持体に配置した後にレーザ彫刻によりパターン形成をしてもよいし、シート状樹脂硬化物層をレーザ彫刻した後に円筒状支持体上に貼り付けてもよい。
【0042】
(樹脂硬化物層)
樹脂硬化物層は、レーザ彫刻方式により凹凸パターンを形成して印刷層とする層である。
樹脂硬化物層の形態は、限定されるものではなく、シート状、円筒状等、いずれであってもよい。
印刷版の製造効率の観点からは、円筒状支持体の外周面に樹脂硬化物層を設け、レーザ彫刻により凹凸パターンを形成可能な円筒状樹脂硬化物層であることが好ましい。
また、感光性樹脂組成物又は熱硬化性樹脂組成物の硬化物層であることが好ましく、さらには、円筒状に形成された感光性樹脂組成物を光硬化して得られた樹脂硬化物層又は円筒状に形成された熱硬化性樹脂組成物を熱硬化して得られた樹脂硬化物層であることが好ましい。
【0043】
<感光性樹脂組成物>
前記樹脂硬化物層を構成する一例である感光性樹脂組成物は、後述する樹脂(a)、有機化合物(b)、及び光重合開始剤(c)を含有するものであることが好ましい。
<熱硬化性樹脂組成物>
前記樹脂硬化物層を構成する一例である熱硬化性樹脂組成物は、後述する樹脂(a)、有機化合物(b)、及び熱重合開始剤(d)を含有するものであることが好ましい。
【0044】
硬化前の樹脂組成物は、20℃の温度条件下で固体状又は液状のいずれであってもよいが、成形性の容易さを確保する観点から、液状であることが好ましい。
ここで、液状の樹脂組成物とは、容易に流動変形し、かつ冷却することにより変形された形状に固化可能な性質を有する高分子体を意味し、外力を加えたときに、その外力に応じて瞬時に変形し、かつ外力を除いたときには、短時間に元の形状を回復する性質を有するエラストマーに対する言葉である。
液状の樹脂組成物を、シート状、円筒状等、所望の形状に成形する際、良好な厚み精度及び寸法精度を得るためには、樹脂組成物の20℃における粘度は、10Pa・s以上10kPa・s以下であることが好ましく、50Pa・s以上5kPa・s以下であることがさらに好ましい。
樹脂組成物の粘度が10Pa・s以上であれば、樹脂硬化物層は機械的強度が十分に高く、円筒状に成形する場合においても形状を保持し易く、加工し易い。
樹脂組成物の粘度が10kPa・s以下であれば、常温でも変形し易く、所望の形状に加工が容易であり、シート状又は円筒状等に成形し易く、成形工程も簡便なものとなる。
特に、良好な厚み精度を有する円筒状樹脂硬化物層を得るためには、円筒状支持体上に液状樹脂組成物層を形成する際に、液状樹脂組成物の液ダレ等を防止するために、粘度は100Pa・s以上とすることが好ましく、200Pa・s以上とすることがより好ましく、500Pa・s以上とすることがさらに好ましい。
【0045】
樹脂組成物を構成する樹脂(a)について説明する。
上述した樹脂組成物を20℃の温度条件下で液状であるものとするためには、樹脂(a)も20℃で液状であるものを選択する。
樹脂(a)は、数平均分子量が1000以上30万以下であることが好ましく、2000以上15万以下であることがより好ましく、5000以上5万以下であることがさらに好ましい。樹脂(a)の数平均分子量が1000以上であれば、硬化後の樹脂硬化物層において十分な強度が得られ、印刷層として用いる場合、繰り返しの使用にも耐えられるようになるため好ましい。
また、樹脂(a)の数平均分子量は30万以下であれば、樹脂組成物の粘度の過度の上昇を抑制でき、シート状、円筒状に加工する際に、簡易な加工方法を選択できるため好ましい。
なお、数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定し、分子量既知のポリスチレンで検量し換算した値であるものとする。
【0046】
樹脂(a)の具体例としては、下記ポリマーを骨格とするものが挙げられる。
骨格となるポリマーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類;ポリブタジエン、ポリイソプレン等のポリジエン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリハロオレフィン類;ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、ポリイミド等の主鎖にヘテロ原子を有する高分子化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
複数のポリマーを用いる場合、これらは共重合体としてもよく、ブレンド体としてもよい。
特に、フレキソ印刷版用途のように、柔軟なレリーフ画像を必要とする場合には、樹脂(a)として、一部、ガラス転移温度が20℃以下の液状樹脂、さらにはガラス転移温度0℃以下の液状樹脂を添加することが好ましい。
このような液状樹脂として、例えば、ポリエチレン、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポイソプレン等の炭化水素類;アジペート、ポリカプロラクトン等のポリエステル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル類;脂肪族ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン類;(メタ)アクリル酸及び/又はその誘導体の重合体、及びこれらの混合物やコポリマー類が挙げられる。
このような液状樹脂の含有量は、樹脂(a)全体に対して30質量%以上100質量%以下とすることが好ましい。特に、耐候性を確保する観点からポリカーボネート構造を有する不飽和ポリウレタン類が好ましい。
【0047】
樹脂(a)は、分子内に重合性不飽和基を有していてもよく、1分子あたり平均で0.7以上の重合性不飽和基を有していることが好ましい。これにより、樹脂硬化物層は優れた機械的強度を有し、耐久性が良好となり、最終的に得られる印刷版が繰り返しの使用にも耐えられるものとなるため好ましい。
樹脂(a)の重合性不飽和基は、1分子あたり1を越える量とすることが更に好ましい。
1分子あたりの重合性不飽和基数の上限は、特に限定されるものではないが、20以下であることが好ましい。1分子あたりの重合性不飽和基数が20以下であれば、樹脂組成物を硬化させる際の収縮を抑制でき、表面近傍でのクラック等の発生も防止できる。
ここで言う分子内とは高分子主鎖の末端、高分子側鎖の末端や高分子主鎖中や側鎖中に直接、重合性不飽和基が付いている場合等も含まれる。
【0048】
樹脂(a)を構成する化合物に重合性不飽和基を導入する方法としては、例えば、直接、重合性の不飽和基をその分子末端又は分子鎖中に導入したものを用いる方法、その他の方法としては、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基等の反応性基を複数有する化合物に、前記反応性基と結合しうる官能基を複数有する結合剤(例えば水酸基やアミノ基の場合のポリイソシアネート等)を反応させ、分子量の調節、及び末端の結合性基への変換を行った後に、反応によって得られた化合物と、この化合物の末端結合性基と反応する官能基及び重合性不飽和基を有する化合物とを反応させることにより、末端に重合性不飽和基を導入する方法等が挙げられる。
【0049】
また、樹脂硬化物層に対する良好なレーザ彫刻を確保する観点から、樹脂(a)としては、熱分解性の高い化合物を用いることが好ましい。
このような化合物としては、例えば、α−メチルスチレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、カーボネート結合、カルバメート結合等を分子内に有する化合物が挙げられる。
熱分解性の指標として、不活性ガス雰囲気中で、サンプルを加熱した際の重量減少を測定した熱重量分析法のデータが適用できる。具体的には、重量が半減する時点の温度が150℃以上450℃以下の範囲であることが好ましく、250℃以上400℃以下の範囲であることがより好ましく、250℃以上380℃以下の範囲であることがさらに好ましい。
また、熱分解が狭い温度範囲で起こる化合物であることが好ましい。その指標として、前記熱重量分析において、重量が初期重量の80%に減少する温度と、重量が初期重量の20%に減少する温度との差が100℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましく、60℃以下であることがさらに好ましい。
【0050】
樹脂組成物を構成する有機化合物(b)について説明する。
有機化合物(b)は、ラジカル重合反応又は開環重合反応に関与する不飽和結合を有している化合物である。
上述した樹脂(a)との希釈のし易さを確保するため、数平均分子量は1000以下であることが好ましい。
有機化合物(b)としては、例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン等のオレフィン類;アセチレン類、(メタ)アクリル酸及びその誘導体、ハロオレフィン類、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、アリルアルコール、アリルイソシアネート等のアリル化合物;無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸及びそれらの誘導体;酢酸ビニル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、シアネートエステル類等が挙げられる。特に、種類の豊富さ、価格等の観点から(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステル等の誘導体が好ましい。
(メタ)アクリル酸の誘導体は、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、シクロアルケン基、ビシクロアルケン基等の官能基を有する脂環族化合物、ベンジル基、フェニル基、フェノキシ基、メチルスチリル基、スチリル基等の官能基を有する芳香族化合物、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、テトラヒドロフルフリル基、グリシジル基等の官能基を有する化合物、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、(アルキル/アリルオキシ)ポリアルキレングリコールやトリメチロールプロパン等の多価アルコールのエステル化合物等が挙げられる。
【0051】
有機化合物(b)は、目的に応じて、1種又は2種以上のものを選択できる。
例えば、印刷インキの溶剤であるアルコールやエステル等の有機溶剤に対する膨潤を抑制するためには、長鎖脂肪族、脂環族又は芳香族の誘導体を、少なくとも1種類以上用いることが好ましい。
また、樹脂硬化物層及び印刷版の機械強度を高めるためには、脂環族又は芳香族置換基を有する化合物を、少なくとも1種類以上用いることが好ましい。
【0052】
樹脂組成物(感光性樹脂組成物及び熱硬化性樹脂組成物)には、無機系微粒子、有機系微粒子、有機無機複合微粒子等の微粒子を添加してもよい。
樹脂組成物に微粒子を添加することにより、樹脂硬化物層及び印刷版の機械的物性の向上効果が得られ、樹脂硬化物層及び印刷版表面の濡れ性が改善する。
また、樹脂組成物の粘度を調整でき、樹脂硬化物層及び印刷版の粘弾性特性の調整等が容易になる。無機系微粒子及び有機系微粒子の材質は、特に限定するものではなく、公知の材料を用いることができる。
有機無機複合微粒子としては、無機系微粒子の表面に有機物層又は有機系微粒子を付着させた微粒子や、有機系微粒子表面に無機物層又は無機微粒子を付着させた微粒子等が挙げられる。
【0053】
前記微粒子に関して、樹脂硬化物層及び印刷版の機械的物性の向上を図るためには、窒化珪素、窒化ホウ素、炭化珪素等の剛性の高い無機系微粒子、ポリイミド等の有機系微粒子が好ましい。
また、樹脂硬化物層及び印刷版の耐溶剤特性の向上を図るためには、無機系微粒子や、使用する溶剤への膨潤特性の良好な材質の有機系微粒子が好ましい。
さらに、樹脂硬化物層に対するレーザ彫刻によりパターン形成を行う際に発生する粘稠性液状残渣に対する高い吸着除去特性を得るためには、無機多孔質微粒子が好ましい。例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ−ジルコニア多孔質ゲル、ポーラスアルミナ、多孔質ガラス等が挙げられる。
【0054】
前記微粒子は、数平均粒径が0.01〜100μmであることが好ましく、0.1〜20μmの範囲がより好ましく、1〜10μmの範囲がさらに好ましい。
微粒子の平均粒子径は、レーザ散乱式粒子径分布測定装置を用いることにより測定できる。
この数平均粒径の範囲の微粒子を用いた場合、樹脂(a)及び有機化合物(b)との混合を行う際に、粘度の上昇、気泡の巻き込み、粉塵の大量発生等の不都合の発生を回避でき、樹脂硬化物層及び印刷版の表面の凹凸の発生を防止できる。
【0055】
前記微粒子の形状は、特に限定されるものではなく、球状、扁平状、針状、無定形、表面に突起のある粒子等のいずれであってもよい。特に耐磨耗性の観点からは、球状粒子が好ましい。
【0056】
前記微粒子は、例えばシランカップリング剤、チタンカップリング剤、その他の有機化合物により被覆することにより表面改質処理を施してもよい。これにより親水性化又は疎水性化した微粒子が得られる。
なお、表面改質処理を施した微粒子は、単独で用いてもよく、2種以上のものを用いてもよい。
【0057】
上述した樹脂組成物を構成する樹脂(a)、有機化合物(b)、微粒子の割合は、樹脂(a)100質量部に対して、有機化合物(b)が5〜200質量部が好ましく、20〜100質量部がより好ましい。微粒子は1〜100質量部が好ましく、2〜50質量部がより好ましく、2〜20質量部がさらに好ましい。
【0058】
次に、樹脂組成物(感光性樹脂組成物)を構成する光重合開始剤(c)について説明する。
感光性樹脂組成物を光硬化させて樹脂硬化物層を形成する場合、紫外線、可視光線の他、電子線、X線等の高エネルギー線が適用できる。
特に、紫外線、可視光線を用いて光硬化を行う場合には、感光性樹脂組成物に光重合開始剤を添加することが好ましい。
【0059】
光重合開始剤(c)としては、水素引き抜き型光重合開始剤(c−1)及び/又は崩壊型光重合開始剤(c−2)を用いられる。
【0060】
水素引き抜き型光重合開始剤(c−1)は、特に限定されるものではないが、例えば芳香族ケトンが挙げられる。
芳香族ケトンは、光励起により励起三重項状態になり、この励起三重項状態については、周囲の媒体から水素を引き抜いてラジカルを生成する化学反応機構が知られている。
このようにして生成したラジカルが光架橋反応に関与する。
水素引き抜き型光重合開始剤(c−1)は、励起三重項状態を経て周囲の媒体から水素を引き抜いてラジカルを生成する化合物であればいずれでもよく、芳香族ケトンとしては、例えば、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、キサンテン類、チオキサントン類、アントラキノン類が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。
ベンゾフェノン類とは、ベンゾフェノン又はその誘導体であり、具体的には3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−テトラメトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ミヒラーケトン類とは、ミヒラーケトン又はその誘導体である。
キサンテン類とは、キサンテン及びキサンテンがアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体である。
チオキサントン類とは、チオキサントン及びチオキサントンがアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体であり、例えば、エチルチオキサントン、メチルチオキサントン、クロロチオキサントン等が挙げられる。
アントラキノン類とは、アントラキノン及びアントラキノンがアルキル基、フェニル基、ハロゲン基等で置換された誘導体である。
水素引き抜き型光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.3質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましい。添加量を前記範囲とすることにより、液状感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合、樹脂硬化物層表面の硬化性は充分に確保でき、また、長期保存時に表面にクラック等が発生せず、良好な耐候性が確保できる。
【0061】
崩壊型光重合開始剤(c−2)とは、光吸収後に分子内で開裂反応が発生し、活性なラジカルが生成する化合物であり、特に限定されるものではない。
例えば、ベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類、アセトフェノン類、アシルオキシムエステル類、アゾ化合物類、有機イオウ化合物類、アシルホスフィンオキシド類、ジケトン類等が挙げられる。これらの群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。
ベンゾインアルキルエーテル類としては、例えば、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類としては、例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン等が挙げられる。
アセトフェノン類としては、例えば、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等が挙げられる。
アシルオキシムエステル類としては、例えば、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム等が挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾニウム化合物、テトラゼン化合物等が挙げられる。
ジケトン類としては、例えば、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート等が挙げられる。
崩壊型光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.3質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量以上5質量%以下がより好ましい。添加量を前記範囲とすることにより、液状感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合、樹脂硬化物層内部の硬化性を充分に確保できる。
【0062】
光重合開始剤としては、水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位とを同一分子内に有する化合物を用いてもよい。
例えば、α−アミノアセトフェノン類が挙げられ、具体的には、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン等の化合物が挙げられる。
水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位とを同一分子内に有する光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.3質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上3質量%以下がより好ましい。添加量を前記範囲とすることにより、感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合、樹脂硬化物層の機械的物性が実用上良好な値に確保できる。
【0063】
次に、樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を構成する熱重合開始剤(d)について説明する。
熱重合開始剤としては、ラジカル重合反応系の場合には、例えば、有機過酸化物、無機過酸化物、チオール化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂等の化合物が挙げられる。
また、開環重合反応系の場合には、例えば、マイクロカプセル中に塩基性化合物や酸性化合物を含有する潜在性熱重合開始剤が挙げられる。
熱重合開始剤の添加量は、熱硬化性樹脂組成物全体量の0.3質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上3質量%以下がより好ましい。添加量を前記範囲とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の実用上十分に良好な機械的物性が確保可能な温度の範囲内における熱硬化が可能となる。
【0064】
(支持体)
支持体は、上述した樹脂硬化物層や、後述するクッション層を安定保持する層である。
支持体は、シート状支持体、円筒状支持体のいずれであってもよい。
円筒状支持体とは、中空の円筒状支持体(以下、スリーブと称することがある)であり、肉厚や弾性率によって、外力に応じて容易に形状が変化するもの(フレキシブル型)や、変化し難いもの(剛体型)がある。
スリーブの材質が、ニッケル、鉄等の金属である場合、フレキシブル性を確保するため、0.2mm以下の厚みとすることが好ましい。
スリーブの材質が、ガラス繊維、炭素繊維、プラスチック繊維等で強化された繊維強化樹脂である場合、スリーブの厚みは0.2mm以上であることが好ましい。
支持体がスリーブである場合、最終的に得られた印刷版を用いて印刷工程を行う際、エアーシリンダに装着した状態で行うことができる。ここでエアーシリンダとは、通常エアーマンドレルと称される、中空の金属芯棒に圧気を供給して外周面から圧気を吹き出す構成を有しており、これによりスリーブを膨張させて、エアーマンドレル外周面とスリーブ内周面との間に空気層を介在させ、摩擦抵抗を減らしながらスリーブの装脱着が可能となるシステムである。
また、支持体が円筒状支持体である場合、再利用を容易にするため、上述した樹脂硬化物層を円筒状支持体上に所定のベースフィルムを介して形成してもよい。ベースフィルムの材料としては特に限定されないが、例えばPETフィルムが挙げられる。
【0065】
(クッション層)
クッション層は、印刷版に弾力を与え、印刷機能を向上させる層であり、上述した樹脂硬化物層の下部層として任意に形成する層である。
クッション層は、例えば0.05〜50mm程度の厚さに形成する。
クッション層としては、ショアA硬度が10度以上70度以下、又はASKER−C型硬度計で測定したASKER−C硬度が20度以上85度以下のエラストマー層であることが好ましい。
ショアA硬度が10度以上又はASKER−C硬度が20度以上であると、適度に変形するため、高品質印刷が可能となる。
また、ショアA硬度が70度以下又はASKER−C硬度が85度以下であれば、クッション層としての役割を果たすことができる。
より好ましいショアA硬度は20〜60度の範囲であり、ASKER−C硬度では45〜75度の範囲である。
ショアA硬度、ASKER−C硬度は、形成するクッション層の材質により適宜使い分けることが好ましい。2種類の硬度の違いは、測定用の硬度計の押針形状に由来するものである。クッション層が均一な樹脂組成により形成されている場合には、ショアA硬度を用いることが好ましく、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン等の発泡性基材等のように、不均一な樹脂組成により形成されている場合には、ASKER−C硬度を用いることが好ましい。
ASKER−C硬度は、JIS K7312規格に準拠する測定法である。
ショアA硬度は、JIS K6253規格に準拠する測定法である。
【0066】
クッション層の材料については特に限定されるものではなく、熱可塑性エラストマー、光硬化型エラストマー、熱硬化型エラストマー等、ゴム弾性を有する材料であれば、いずれであってもよい。
特に、シート状又は円筒状印刷版への加工性を確保する観点から、液状の光硬化型樹脂組成物を用い、光硬化後にエラストマー化する材料が好ましい。
【0067】
クッション層には気泡又は有機系微粒子が含有されていることが好ましい。
有機系微粒子の平均粒子径は、1μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上300μm以下がより好ましく、80μm以上200μm以下がさらに好ましい。
クッション層の密度は、0.1g/cm3以上0.9g/cm3以下が好ましく、0.3g/cm3以上0.7g/cm3以下がより好ましく、0.4g/cm3以上0.6g/cm3以下がさらに好ましい。
クッション層の密度を上記範囲とすることにより、印刷工程において、印刷層にかかる衝撃を充分に吸収できる。
【0068】
クッション層形成用の熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマーであるSBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコン系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
光硬化型エラストマーとしては、前記熱可塑性エラストマーに、光重合性モノマー、可塑剤及び光重合開始剤等を混合したもの、液状樹脂に光重合性モノマー、光重合開始剤等を混合した液状光硬化型樹脂組成物等が挙げられる。
クッション層は、全面露光により硬化させ、必要な機械的強度を確保できればよく、材料選定の自由度が極めて高い。
【0069】
また、クッション層形成用の材料としては、硫黄架橋型ゴム、有機過酸化物、フェノール樹脂初期縮合物、キノンジオキシム、金属酸化物、チオ尿素等の化合物を架橋剤として用いる非硫黄架橋型ゴムも適用できる。
また、テレケリック液状ゴムを、反応する硬化剤を用いて3次元架橋させてエラストマー化したものも使用できる。
また、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン等、層内に、独立又は連続する気泡を有するものであってもよく、市販品として入手可能なクッション材、クッションテープを使用でき、クッション層の片面あるいは両面に接着剤あるいは粘着剤が塗布されたものであってもよい。
【0070】
〔印刷版の製造方法〕
本実施の形態のデブリー除去方法に適用する印刷版の製造方法としては、下記の方法が挙げられる。
なお、下記においては、円筒状印刷版の製造方法を例に挙げて説明する。
【0071】
印刷層を形成する樹脂が感光性樹脂組成物である場合には、例えば、シート状に成形し、かつ光硬化させることにより得られたシート状の樹脂硬化物層を、円筒状支持体上に積層し、さらにこの樹脂硬化物層の表面に後述するレーザ彫刻法により所定の印刷パターンを形成することにより、円筒状印刷版が得られる。
また、例えば、シート状に成形し、光硬化させることにより得られたシート状の樹脂硬化物層に対し、後述するレーザ彫刻法により所定の印刷パターンを形成し、これを円筒状支持体上に積層することにより、円筒状印刷版が得られる。
また、円筒状支持体上に感光性樹脂組成物層を形成し、光硬化させ、樹脂硬化物層とした後、表面に後述するレーザ彫刻法により所定の印刷パターンを形成することにより、円筒状印刷版が得られる。
さらに、印刷層を形成する樹脂が、室温で液状の感光性樹脂組成物である場合は、円筒状支持体を回転させながら樹脂塗布平滑化ユニットを用いて、円筒状支持体の外周面に液状感光性樹脂を塗布し、均一厚とし、続いて、円筒状支持体を回転させながら高強度な紫外線で露光し光硬化させ円筒状樹脂硬化物層とした後、表面にレーザ彫刻により所定の印刷パターンを形成することにより、円筒状印刷版が得られる。
【0072】
印刷層を形成する樹脂が熱硬化性樹脂組成物である場合には、例えば、シート状に成形し、かつ熱硬化させることにより得られたシート状の樹脂硬化物層を円筒状支持体上に積層し、さらにこの樹脂硬化物層の表面にレーザ彫刻により所定の印刷パターンを形成することにより円筒状印刷版が得られる。
また、例えば、シート状に成形し、熱硬化させることにより得られたシート状の樹脂硬化物層に対し、レーザ彫刻により所定の印刷パターンを形成し、これを円筒状支持体上に積層することにより円筒状印刷版が得られる。
また、円筒状支持体上に熱硬化性樹脂組成物層を形成し、熱硬化させ、樹脂硬化物層とした後に、表面にレーザ彫刻により所定の印刷パターンを形成することにより円筒状印刷版が得られる。
さらに、印刷層を形成する樹脂が、室温で液状の熱硬化性樹脂組成物である場合は、円筒状支持体を回転させながら樹脂塗布平滑化ユニットを用いて、円筒状支持体の外周面に液状熱硬化性樹脂を塗布し、均一厚とし、続いて、円筒状支持体を回転させながら熱硬化させ円筒状樹脂硬化物層とした後、表面にレーザ彫刻により所定の印刷パターンを形成することにより、円筒状印刷版が得られる。
【0073】
次に、樹脂硬化物層に対するレーザ彫刻を行う方法について説明する。
レーザ彫刻を行う方法においては、所望の形成画像をディジタル型のデータとし、コンピューターを利用してレーザ装置を操作し、レリーフ画像を形成する。
レーザ彫刻用のレーザは、樹脂硬化物層が吸収を有する波長の光を発振するものであればよいが、高速で彫刻を行うためには、出力の高いものが望まし。例えば、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、ファイバーレーザ、半導体レーザ等の赤外線又は赤外線放出固体レーザが好ましい。
また、可視光線領域に発振波長を有するYAGレーザの第2高調波、銅蒸気レーザ、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザ、例えばエキシマレーザ、第3又は第4高調波へ波長変換したYAGレーザは、有機分子の結合を切断するアブレージョン加工が可能であり、微細加工に好適である。
上記レーザは、連続照射、パルス照射のいずれでもよい。
印刷層のレリーフ深度を、0.1mm以上とする場合には、レーザ彫刻による印刷版の生産性の観点から、炭酸ガスレーザを用いることが好ましい。
レーザ彫刻は、酸素含有ガス下、一般には空気存在下又は気流下に実施するが、炭酸ガス、窒素ガス下でも実施できる。
【0074】
〔デブリー除去装置〕
本実施の形態のデブリー除去装置について、図1に概略構成図を示して説明する。
本実施の形態のデブリー除去装置は、レーザ彫刻により凹凸パターンが形成された印刷層を具備する円筒状印刷版500をセットする洗浄槽100と、円筒状印刷版500に下方から接して支持し、摩擦力で円筒状印刷版500を周方向に回転させる、少なくとも2以上の回転ロール等の回転機構120と、印刷層表面をpH11以上の強アルカリ性電解水による洗浄水で洗浄する洗浄水噴射ノズル150を含む洗浄機構と、洗浄水が付着した印刷層表面をリンス水により洗浄するリンス水噴射ノズル240を含むリンス機構と、印刷層を洗浄した後の洗浄水を濾過し、イオン成分を除去し、pH調整してpH11以上の強アルカリ性電解水よりなる洗浄水を再生産する、少なくとも濾過装置220、純水装置300、強アルカリ性電解水生成装置310を具備する洗浄水循環機構と、前記印刷層表面を洗浄した後のリンス水を濾過し、リンス液を再生産する、少なくとも濾過装置220を具備するリンス水循環機構とを有している。
【0075】
デブリー除去装置は、洗浄工程(2)で使用する洗浄水を貯めておきながら、洗浄槽100から排出される洗浄水を収容する洗浄水タンク130を具備している。
また、リンス行程(7)後、洗浄槽100から排出されるリンス水や、洗浄水タンクから排出された洗浄水(廃水)を収容するリンス水タンク200を具備している。
また、強アルカリ性電解水生成装置310により生成される強アルカリ性電解水を貯める貯蔵タンク320を具備している。
これらのタンクは、所定の配管、切替弁、濾過装置、ポンプを介して接続されている。
【0076】
回転機構を構成する回転ロール120は、少なくとも1個がモーター等の駆動機関により、ロール自身が能動的に回転する機能を有しているものとし、その他のロールは、能動回転するものであっても受動回転するものであってもよい。
【0077】
洗浄水噴射ノズル150の位置は、円筒状印刷版500の外周面に対して洗浄水を噴射できる位置であれば特に制限されないが、円筒状印刷版が軽量である場合、洗浄水を噴射することにより円筒状印刷版500が押圧されることにより回転を補助できるため、円筒状印刷版500の上方に設置することが好ましい。
また、洗浄水噴射ノズル150の位置は、円筒状印刷版の外周面からの距離が5cm以上50cm以下であることが好ましく、5cm以上20cm以下であることがより好ましい。
【0078】
上述した構成の洗浄装置により、任意の内径を有する円筒状印刷版を下方から少なくとも2個の回転ロール120で支持し、周方向に回転させながら、洗浄水を噴射することにより、デブリーの除去がムラなく効率的に行うことができ、高品質な印刷版が得られる。
【0079】
円筒状印刷版の外周部には、リンス水を噴射するリンス水噴射ノズル240を含むリンス機構を更に有することにより、円筒状印刷版の印刷層に付着しうるデブリーを含んだ汚れた洗浄水を容易に洗い流すことができる。
リンス水噴射ノズル240の位置は、円筒状印刷版500の外周面に対してリンス水を噴射できる位置であれば特に制限されないが、円筒状印刷版が軽量である場合、リンス水を噴射することにより円筒状印刷版500が押圧されることにより回転できるため、円筒状印刷版500の上方に設置することが好ましい。
また、リンス水噴射ノズル240の位置は、円筒状印刷版の外周面からの距離が5cm以上50cm以下であることが好ましく、5cm以上20cm以下であることがより好ましい。
【0080】
また、円筒状印刷版500が、剛性が低く軽量なフレキシブルな材料により形成されている場合、両端にOリング付きフランジを装着して円筒状印刷版の重量を増加させたり、フランジから圧気を円筒状印刷版に導入し、0.1MPa以下の内圧をかけて円筒状印刷版を膨張させ、剛性を高めたりすることが好ましい。
【実施例】
【0081】
以下、具体的な実施例と比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0082】
〔デブリー除去装置〕
図1は、円筒状印刷版のデブリー除去装置の一例の概略構成図を示す。
このデブリー除去装置は、レーザ彫刻により凹凸パターンが形成された円筒状印刷版500を、周方向に回転させながらスプレー洗浄方式により洗浄し、円筒状印刷版に付着している洗浄水をスプレー洗浄方式によりリンス水で洗い落として、一連のデブリー除去工程が行うものである。
【0083】
洗浄槽100の浴槽内部には、円筒状印刷版500の外周面を下方から保持し摩擦力で回転させる2個の回転ロール120と、円筒状印刷版500の搬入と搬出を行うための開閉可能な安全カバー110とが設けられている。
【0084】
洗浄槽100の下方には、洗浄水600の温調制御を行う加熱ヒータ170を備える洗浄水タンク130と、洗浄水ポンプ140とが設けられており、これらと接続して洗浄水噴射ノズル150と、洗浄と排水の切替えを行う三方切替弁160とが設けられている。
【0085】
洗浄槽100内部には、洗浄後の洗浄水600に含まれるデブリーを捕集するオイルマットと濾紙からなるフィルター180が設けられている。
また、洗浄槽100の底部から設けられている配管には、洗浄槽100から排出される液体(洗浄水、リンス水)を、それぞれ洗浄水タンク130、リンス水タンク200へと切り替えて収容するための三方切替弁190が設けられている。
【0086】
リンス水タンク200は、リンス水と、洗浄水タンク130から送出された洗浄廃水(後記説明)の両方が貯蔵されるようになされており、このリンス液タンク200から設けられている配管は、濾過ポンプ210と、濾過装置220とに接続している。
【0087】
さらに、濾過装置220を通過した液体は、三方切替弁230によって、リンス水噴射ノズル240側と、純水装置300側とに分けられるようになされている。
純水装置300は、強アルカリ性電解水生成装置310と、強アルカリ性電解水貯蔵タンク320と、強アルカリ性電解水送液ポンプ330に接続しており、これらにより構成される洗浄水循環機構により再生された洗浄水は、洗浄水タンク130、ポンプ140を経て洗浄水噴射ノズル150へと送り込まれる。
【0088】
次に、上述したデブリー除去装置を用いた円筒状印刷版の洗浄方法の一例を説明する。
Eプラン社製の強アルカリ性電解水生成装置「UNICORN」により強アルカリ性電解水(PH初期値:約12.5)を製造し、これを洗浄水とした。
また、濾過装置としては、栗田工業製の活性炭吸着型の濾過装置カーボナー「CF−25」を使用し、純水装置としては栗田工業製のイオン交換樹脂型の純水装置デミエース「DX−25A」を使用した。
【0089】
円筒状印刷版500を洗浄槽100に収容し、2個の回転ロール120で円筒状印刷版500を支持し、安全カバー110を閉じて、洗浄処理を開始した。
回転ロール120の回転により円筒状印刷版500を回転させ、同時に、洗浄ポンプ140から温調された洗浄水600を円筒状印刷版500に向けて洗浄水噴射ノズル150から噴射して洗浄を行った。
【0090】
洗浄終了後、三方切替弁230をリンス側に開いた。
濾過ポンプ210によりリンス水タンク200から汲み出したリンス水700を、リンス水噴射ノズル240に送り込み、円筒状印刷版500に向けて噴射してリンス処理を行った。
洗浄処理及びリンス処理が終了した後、安全カバー110を開けて円筒状印刷版500を洗浄槽100から搬出した。
【0091】
デブリー洗浄装置においては、上記洗浄処理、リンス処理と平行して、洗浄水とリンス水の循環が行われる。この循環経路について、図2〜図5に示して説明する。
図2においては、上記<(2)の工程:洗浄工程>における洗浄水フローの状態を矢印に示す。
三方切替弁160により、洗浄水600の進行方向を円筒状印刷版500に噴射する洗浄側に開いた。
洗浄ポンプ140により洗浄水タンク130から洗浄水600を汲み上げ、洗浄水噴射ノズル150から円筒状印刷版500に噴射して洗浄を行った。
洗浄後の廃水は、フィルター180を経由して、洗浄槽100外に排出した。
三方切替弁190を洗浄水タンク130側に開いておき、洗浄後の廃水は、洗浄水タンク130に戻した。
【0092】
図3に、上記<(7)の工程:リンス工程>におけるリンス水フローの状態を矢印に示す。
三方切替弁230により、リンス水700の進行方向を、円筒状印刷版500に噴射する側、又は純水装置300に送り出す側に開いた。
先ず、三方切替弁230をリンス側に開き、濾過ポンプ210によりリンス水タンク200からリンス水700を汲み上げ、濾過装置220を経由して、リンス水噴射ノズル240により円筒状印刷版500にリンス水700を噴射してリンスした。
リンス後の廃水は、フィルター180を経由して、洗浄槽100外に排出した。
三方切替弁190をリンス水タンク200側に開き、リンス後の廃水はリンス水タンク200に戻した。
【0093】
図4に、洗浄処理により洗浄性能が低下した洗浄水600を、新しい洗浄水である強アルカリ性電解水800に入れ替える交換フローの状態を矢印に示す。
洗浄ポンプ140により、洗浄水タンク130から洗浄水600を汲み上げ、同時に、三方切替弁160を、リンス水タンク200側に開き、洗浄水600をリンス水タンク200に移送した。これにより、洗浄水タンク130は空の状態となった。
次に、強アルカリ性電解水送液ポンプ330により、強アルカリ性電解水貯蔵タンク320から強アルカリ性電解水800を汲み上げて、洗浄水タンク130に送水して洗浄水タンク130を強アルカリ性電解水により満水としたら、強アルカリ性電解水送液ポンプ330を停止した。
次に、洗浄水600を加熱ヒータ170により所定温度に温調し、上述した<(2)の工程:洗浄工程>を行った。
【0094】
図5に、上記図4に示して説明したように、リンス水タンク200に移送された洗浄後の洗浄水600を、強アルカリ性電解水800へ再生するフローの状態を矢印に示す。
濾過ポンプ210がリンス水タンク200から洗浄後の廃水を汲み出し、強アルカリ性電解水生成装置310側に送水した。洗浄後の廃水は、濾過装置220で濾過され、デブリーが完全に除去された濁りのない中性〜弱アルカリ性液体となり、これは水道水と同等の水質を有していた。
次に、上述のようにして濾過された中性〜弱アルカリ性液体は、イオン交換樹脂装置300に送り込まれ、ここでイオン成分が除去され純水とされた。
純水は、強アルカリ性電解水生成装置310に送り込まれ、ここで強アルカリ性電解水に再生された。
この強アルカリ性電解水は、強アルカリ性電解水貯蔵タンク320に貯蔵され、強アルカリ性電解水貯蔵タンク320が所定レベルに到達したことを確認し、濾過ポンプ210を停止した。
【0095】
但し、上述したように、強アルカリ性電解水800を再生させるフローが完了する前に、洗浄工程が再開され、さらにリンス工程も始まると、強アルカリ性電解水800を再生させるフローは一時中断させ、三方切替弁230がリンス側、すなわちノズル240側に開き、リンス工程に移行する。
リンス行程が完了したら、三方切替弁230が純水装置300送出側に開き、強アルカリ性電解水800を再生させるフローを再開させる。
【0096】
〔製造例1〕 円筒状印刷版の製造
温度計、攪拌機、還流器を具備する1Lのセパラブルフラスコに、旭化成株式会社製ポリカーボネートジオールである、商標「PCDL L4672」(数平均分子量1990、OH価56.4)447.24gとトリレンジイソシアナート30.83gとを加え、80℃に加温し、約3時間反応させた後、2−メタクリロイルオキシイソシアネート14.83gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2個)である数平均分子量約10000の樹脂(a−1)を作製した。
この樹脂(a−1)は、20℃で水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
【0097】
樹脂(a):上記により作製した樹脂(a−1)70質量部
有機化合物(b):フェノキシエチルメタクリレート(分子量190)10質量部、及び
ポリピレングリコールモノメタクリレート(分子量400)10質量部
富士シリシア化学株式会社製、多孔質性微粉末シリカ、「サイロスフェアC−1504」(以下略してC−1504、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m2/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5mL/g、灼熱減量2.5質量%、吸油量290mL/100g)(商標):5質量部
光重合開始剤(c):ベンゾフェノン0.5質量部、及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6質量部
これらを混合し、感光性樹脂組成物を調製した。
得られた感光性樹脂組成物は、20℃において液状であった。
また、B型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において1200Pa・sであった。
【0098】
上記のようにして得られた感光性樹脂組成物を、光硬化性接着剤を厚さ0.1mmで塗布した厚さ0.6mm、内径226.12mm、幅200mmのガラスクロスで強化された中空円筒状支持体上に、厚さ1.14mmに成形した。
その後、メタルハライドランプ(フュージョン社製、商標「F450V型UVランプ」)の光を350nmにおいて4000mJ/cm2の条件で露光し、円筒状の樹脂硬化物層を作製した。
上記のようにして得られた円筒状の樹脂硬化物層の表面に、炭酸ガスレーザ彫刻機を用いて凹凸パターンを形成し円筒状印刷版を得た。
円筒状印刷版の表面には、粘稠性の液状彫刻残渣及び粉末状の固体彫刻残渣が存在していた。
【0099】
〔製造例2〕円筒状印刷版の製造
多孔質性微粉末シリカ「サイロスフェアC−1504」を添加しなかった。その他の条件は、製造例1と同様にして、感光性樹脂組成物、円筒状樹脂硬化物層、円筒状印刷版を作製した。
円筒状印刷版の表面には、粉末状の固体彫刻残渣は存在していなかったが、粘稠性の液状彫刻残渣が、製造例1よりも多く存在していた。
【0100】
〔製造例3〕熱硬化性樹脂組成物 円筒状印刷版の製造
上記光重合開始剤であるベンゾフェノン及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを添加せず、これに替えて、熱重合開始剤であるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(日本油脂株式会社製 商標「パーブチルE」)を1質量部加えた。その他の条件は、製造例と同様にして熱硬化性樹脂組成物を得た。
このようにして得られた熱硬化性樹脂組成物を、熱硬化性接着剤を厚さ0.1mmで塗布した厚さ0.6mm、内径226.12mm、幅200mmのガラスクロスで強化されたプラスチックからなる中空円筒状支持体上に、厚さが1mmになるようにプレス成形した。プレス温度は130℃とし、30分間加熱し熱硬化させ、円筒状の樹脂硬化物層を形成した。
この樹脂硬化物層の表面に、炭酸ガスレーザ彫刻機を用いて凹凸パターンを形成し円筒状印刷版を得た。
円筒状印刷版の表面には、粘稠性の液状彫刻残渣及び粉末状の固体彫刻残渣が存在していた。
【0101】
〔製造例4〕
中空円筒状支持体として、光硬化性接着剤を厚さ0.1mmで塗布した厚さ0.125mm、内径226.12mm、幅200mmのニッケルメッキスリーブを用いた。
その他の条件は製造例1と同様にして、感光性樹脂組成物、円筒状の樹脂硬化物層、円筒状印刷版を作製した。
円筒状印刷版の表面には粘稠性の液状彫刻残渣及び粉末状の固体彫刻残渣が存在していた。
【0102】
〔実施例1〕
図1に示すデブリー除去装置を用いて、回転ロール120に、上記製造例1により作製した円筒状印刷版をセットした。
回転ロール120を回転させ、円筒状印刷版500を周方向に回転させた。
次に、約50℃に温調したpH値が約12である洗浄水600(洗浄前のpH値:12.03)を、洗浄ポンプ140により0.28MPaに昇圧して、円筒状印刷版500の表面に向けて約20分間噴射して洗浄処理を行った。
洗浄処理終了後、リンス水噴射ノズル240から、濾過されたリンス水を円筒状印刷版500に向けて約30秒噴射してリンス処理を行った。
以上の工程により、洗浄及びリンス処理が行われた円筒状印刷版500を、洗浄槽100の安全カバー開けて取り出し、印刷版表面の観察を目視により行った。
なお、洗浄水である強アルカリ性電解水は、印刷版の洗浄処理や、その後のリンス処理により、印刷版から除去されたデブリーや、弱アルカリ性電解水が溶け込み、pH値が低下していく。さらには、洗浄水は、噴射ノズル150から吐出されることにより、また、ヒータにより加温されることによって空気中の炭酸ガスを吸収するため、一層pH値が低下して洗浄性能が低下していく。そこで、先ず、ポンプ運転及びスプレー噴射だけの空運転を途中にはさみながら、合計10回の連続洗浄テストを行うことにより、pH値を11未満に下げた。
その後、洗浄水を栗田工業製の濾過装置カーボナー「CF−25」及び純水装置デミエース「DX−25A」を通過させて洗浄水の再生処理を行い、pH11以上の強アルカリ性電解水を得て、これを洗浄水として5回の連続洗浄を行った。
pH値と洗浄性能の関係を、下記表1に示す。
表1に示すように、pH11以上の強アルカリ性電解水で印刷層の洗浄を行ったことにより、いずれも液状彫刻残渣及び固体彫刻残渣を効果的に除去でき、また、印刷版の版欠けも認められず、凹凸パターンは実用上良好な状態であることが確認され、得られた印刷版により印刷を行ったところ、実用上良好な印刷品質が得られた。
洗浄水がpH11未満となった後に、上記のようにpH11以上の強アルカリ性電解水に再生し、連続して洗浄処理を行ったところ、いずれも優れた洗浄効果が得られ、印刷版の版欠けも認められず、凹凸パターンは実用上良好な状態であることが確認され、得られた印刷版により印刷を行ったところ、実用上良好な印刷品質が得られた。
【0103】
【表1】

【0104】
〔実施例2〕
洗浄前のpH値が12.05の洗浄水を使用した。
その他の条件は実施例1と同様として円筒状印刷版の洗浄を行った。
洗浄前は版表面に存在していた液状彫刻残渣及び固体彫刻残渣は、洗浄処理後、いずれも印刷版表面には存在が認められず、優れた洗浄効果が得られたことがわかった。
また、印刷版の版欠けは認められず、凹凸パターンは実用上良好な状態であることが確認された。
【0105】
〔実施例3〕
洗浄前のpH値が12.05の洗浄水を使用した。
その他の条件は実施例1と同様として円筒状印刷版の洗浄を行った。
洗浄前は版表面に存在していた液状彫刻残渣及び固体彫刻残渣は、洗浄処理後、いずれも印刷版表面には存在が認められず、優れた洗浄効果が得られたことがわかった。
また、印刷版の版欠けは認められず、凹凸パターンは実用上良好な状態であることが確認された。
【0106】
〔実施例4〕
洗浄前のpH値が12.05の洗浄水を使用した。上記製造例2により作製した円筒状印刷版を用いた。
その他の条件は実施例1と同様として円筒状印刷版の洗浄を行った。
洗浄前は版表面に存在していた液状彫刻残渣は、洗浄処理後、印刷版表面に存在が認められず、優れた洗浄効果が得られたことが分かった。
また、印刷版の版欠けは認められず、凹凸パターンは実用上良好な状態であることが確認された。
【0107】
〔実施例5〕
洗浄前のpH値が12.05の洗浄水を使用した。上記製造例3により作製した円筒状印刷版を用いた。
その他の条件は、実施例1と同様として円筒状印刷版の洗浄を行った。
洗浄前は版表面に存在していた液状彫刻残渣及び固体彫刻残渣は、洗浄処理後、版表面に存在が認められず、優れた洗浄効果が得られたことが分かった。
また、印刷版の版欠けは認められず、凹凸パターンは実用上良好な状態であることが確認された。
【0108】
〔実施例6〕
洗浄前のpH値が12.05の洗浄水を使用した。上記製造例4により作製した円筒状印刷版を用いた。
その他の条件は、実施例1と同様として円筒状印刷版の洗浄を行った。
洗浄前は版表面に存在していた液状彫刻残渣及び固体彫刻残渣は、洗浄処置後、版表面に存在が認められず、優れた洗浄効果が得られたことが分かった。
また、印刷版の版欠けは認められず、凹凸パターンは実用上良好な状態であることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、フレキソ印刷版用レリーフ画像の形成、缶印刷等のドライオフセット印刷用レリーフ画像の形成、液晶配光膜や有機ELバンク等のPrintable Electronicsパターンの形成、エンボス加工等の表面加工用パターンの形成、タイル等の印刷用レリーフ画像の形成等に用いられる円筒状印刷版のデブリー除去方法及び除去装置として産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0110】
100 洗浄槽
110 安全カバー
120 回転ロール
130 洗浄水タンク
140 洗浄ポンプ
150 洗浄水噴射ノズル
160 三方切替弁
170 加熱ヒータ
180 フィルター
190 三方切替弁
200 リンス水タンク
210 濾過ポンプ
220 濾過装置
230 三方切替弁
240 リンス水噴射ノズル
300 純水装置
310 強アルカリ性電解水生成装置
320 強アルカリ性電解水貯蔵タンク
330 強アルカリ性電解水送液ポンプ
500 円筒状印刷版
600 洗浄水
700 リンス水
800 強アルカリ性電解水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂硬化物層表面にレーザ彫刻により凹凸パターンの形成がなされた印刷層を具備する印刷版に残存するデブリーの除去方法であって、
(1)前記印刷版を洗浄槽内にセットする工程と、
(2)pH11以上の強アルカリ性電解水である洗浄水により、前記印刷版表面を洗浄する工程と、
を有するデブリーの除去方法。
【請求項2】
前記印刷版が、円筒状印刷版である請求項1に記載のデブリー除去方法。
【請求項3】
前記(2)の工程が、前記円筒状印刷版を周方向に回転させながら、前記洗浄水により前記印刷版表面を洗浄する工程である請求項2に記載のデブリー除去方法。
【請求項4】
前記洗浄水が、下記(3)〜(5)の工程により得られるpH11以上の強アルカリ性電解水を含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載のデブリーの除去方法。
(3)前記(2)の工程で用いた洗浄水に含まれているデブリーを濾過する濾過工程。
(4)前記(3)の工程により得られた濾過後の洗浄水のイオン成分を除去し、純水にする純水化工程。
(5)前記(4)の工程により得られる純水のpHを調整し、pH11以上の強アルカリ性電解水にするpH調整工程。
【請求項5】
前記(1)の工程においては、
前記円筒状印刷版の外周面に接する2以上の回転ロールにより保持し、
前記(2)の工程においては、当該回転ロールにより前記円筒状印刷版を周方向に回転させる請求項2乃至4のいずれか一項に記載のデブリー除去方法。
【請求項6】
前記(2)の工程においては、浴槽浸漬洗浄法、スプレー洗浄法及びブラシ洗浄法からなる群より選ばれる少なくとも1つの方法により、前記印刷版表面の洗浄を行う請求項1乃至5のいずれか一項に記載のデブリー除去方法。
【請求項7】
前記(2)の工程後に、下記工程(6)〜(8)をさらに行う請求項1乃至6のいずれか一項に記載のデブリー除去方法。
(6)前記(2)の工程で用いた洗浄水に含まれているデブリーを濾過する濾過工程。
(7)前記(6)の工程により濾過した後の洗浄水をリンス水として前記印刷版表面の洗浄を行い、前記印刷版表面に付着している洗浄水を洗い流すリンス工程。
(8)前記(7)の工程後のリンス水を前記工程(6)により濾過し、リンス水を得るリンス水再生工程。
【請求項8】
前記樹脂硬化物層が、光硬化性樹脂硬化物層又は熱硬化性樹脂硬化物層である請求項1乃至7のいずれか一項に記載のデブリー除去方法。
【請求項9】
前記円筒状印刷版は、円筒状支持体の外周面に、光硬化性樹脂硬化物層又は熱硬化性樹脂硬化物層を有している請求項2乃至8のいずれか一項に記載のデブリー除去方法。
【請求項10】
前記円筒状支持体が、繊維強化樹脂製スリーブ又は金属製スリーブである請求項9に記載のデブリー除去方法。
【請求項11】
レーザ彫刻された円筒状印刷版のデブリー除去装置であって、
レーザ彫刻により凹凸パターンが形成された印刷層を具備する円筒状印刷版をセットする洗浄槽と、
前記円筒状印刷版を周方向に回転させる回転機構と、
前記印刷層表面を、pH11以上の強アルカリ性電解水による洗浄水で洗浄する洗浄機構と、
洗浄水が付着した印刷層表面をリンス水により洗浄するリンス機構と、
前記印刷層を洗浄した後の洗浄水を濾過し、イオン成分を除去し、pH調整して、pH11以上の強アルカリ性電解水よりなる洗浄水を再生産する洗浄水循環機構と、
前記印刷層表面を洗浄した後のリンス水を濾過し、リンス液を再生産するリンス水循環機構と、
を具備している円筒状印刷版のデブリー除去装置。
【請求項12】
前記回転機構が、前記円筒状印刷版の外周面に接し、円筒状印刷版を周方向に回転させる、少なくとも2個の回転ロールを具備し、
前記洗浄機構は、洗浄水噴射ノズルを具備し、
前記リンス機構は、リンス水噴射ノズルを具備する請求項11に記載のデブリー除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−155435(P2010−155435A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297(P2009−297)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】