説明

デュアルチャンバ血液槽

【課題】バイパス術などの手術に用いることができる体外血液回路を形成するために、人工心肺(HLM)、酸素供給器、熱交換器、動脈フィルタ等などの他の要素と組み合わせて使用することができる血液槽を提供すること。
【解決手段】
血液槽は、(心臓内からの)ベント血液、(主要な静脈からの)静脈血、(サンプリングラインからの)パージ血液、および(手術野からの)心内血液または吸入血液を含むいくつかの源からの血液を受け取り、濾過し、貯蔵するように構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2011年7月12日に出願された欧州特許出願11173655.9の優先権を主張するものであり、その内容は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
技術分野
[0002]本発明は、全体的に、血液灌流システムに使用される酸素供給器用の血液槽に関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]血液灌流は、血液を身体の血管を通して促すことを含む。そのために、典型的には、血液灌流システムは、患者の血管系と相互接続される体外回路内に1つまたは複数のポンプを使用することを含む。多くの外科手術は、さらなる手術野を作り出すために一時的な心臓停止を必要とし、またはそうすることが好ましい。したがって、そのような手術は、心臓および肺の機能を一時的に置き換える心肺バイパス法(CPB)灌流システムに頼るものであり得る。そのような手術の例には、血管狭窄、弁膜症、および先天性心臓欠陥の外科的矯正が含まれる。心肺バイパス法手術に用いられる灌流システムでは、心臓および肺の機能をそれぞれ置き換えるために、少なくとも1つのポンプ、および酸素供給装置を含む体外血液回路が確立される。
【0003】
[0004]より具体的には、心臓バイパス術では、酸素の少ない血液(すなわち、静脈血)は、心臓に入る大静脈または体内の別の主要な静脈(例えば、大腿静脈)から重力排出または真空吸引され、体外回路内の静脈ラインを通して伝達される。静脈血は、血液への酸素の伝達を行う酸素供給器へ送り出される。酸素は、例えば、膜を通して伝達によって血液に導くことができる。同時に、二酸化炭素が、膜を通して除去される。酸素を多く含む血液は濾過され、次いで、動脈ラインを介して大動脈、大腿動脈、または他の動脈へ戻される。
【0004】
[0005]多くの場合、体外血液回路は、様々な異なる源から血液を収集、濾過、脱気するのに使用できる血液槽を含む。例えば、血液槽は、大静脈からの静脈血、心臓内に集められるベント血液(vent blood)、および心臓の外側から集められるが手術野内で集められる心内血液または吸入血液のうちの1つまたは複数を受け取ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0006]本発明は、体外血液回路を形成するために人工心肺(HLM)、酸素供給器、熱交換器、動脈フィルタ等などの他の要素と組み合わせて使用できる血液槽に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書中でより詳細に説明することになる血液槽は、(心臓内からの)ベント血液、(主要な静脈からの)静脈血、(サンプリングラインからの)パージ血液、および(手術野内からの)心内血液または吸入血液を含むいくつかの源からの血液を受け取り、濾過し、貯蔵するように構成することができる。例1は、活性部分および非活性部分を備えるデュアルチャンバ血液槽である。この非活性部分、すなわち清浄な部分は、細長いフィルタと、細長いフィルタの上領域のまわりに配置される消泡材とを備える。パージ漏斗は、円筒形消泡材を通って下方に延び、円錐形上部、円筒形下部、および介在する中央部を含む。静脈入口管は、パージ漏斗の円筒形下部を通って細長いフィルタの底面に近接した位置まで下方に延びる。ベント入口管は、パージ漏斗の中央部内に形成された開口部を通って細長いフィルタの底面に近接した位置まで下方に延びる。
【0007】
[0007]例2は、パージ漏斗の円筒形下部から出る血液が、静脈入口管の外側面を滑り落ちることができる、例1のデュアルチャンバ血液槽である。
[0008]例3は、パージ漏斗の中央部が、内部を貫通するベント入口管を収容するように構成される第1の開口部を含む、例1または2のデュアルチャンバ血液槽である。
【0008】
[0009]例4は、細長いフィルタの底部に近接した位置まで下向きに延びる第2のベント入口管をさらに備える、例1、2または3のいずれかのデュアルチャンバ血液槽である。
[0010]例5は、パージ漏斗の中央部が、第2のベント入口管を収容するように構成される第2の開口部を含み、第1の開口部および第2の開口部が、放射状に約180度間隔をおいて離れて配置される、例4のデュアルチャンバ血液槽である。
【0009】
[0011]例6は、パージ漏斗の円錐形上部と流体連通する複数のパージポートをさらに備える、例1〜5のいずれかのデュアルチャンバ血液槽である。
[0012]例7は、活性部分が、円筒形吸入血液フィルタと、この円筒形吸入血液フィルタのまわりに配置される消泡材層とを含む吸入血液フィルタ組立体を備える、例1〜6のいずれかのデュアルチャンバ血液槽である。
【0010】
[0013]例8は、解除可能な障壁を活性部分と非活性部分の間にさらに備え、この解除可能な障壁は、追加の血液を必要とする状況において、活性部分内の血液が非活性部分に入ることを可能にするように解除されるように構成される、例1〜7のいずれかのデュアルチャンバ血液槽である。
【0011】
[0014]例9は、活性部分から非活性部分へ流れる血液の速度を失わせるように配置される多孔質媒体をさらに備える、例8のデュアルチャンバ血液槽である。
[0015]例10は、ハウジングと、ハウジングに架かる蓋部とを有するデュアルチャンバ血液槽である。第1のベントポートおよび第2のベントポートがそれぞれ、蓋部を通って延びる。静脈ポートが、蓋部を通って延びる。パージポートが、蓋部を通って延びる。血液槽は、上部、下部、および介在する中央部を有するパージ漏斗を含む。この上部は、パージポートと流体連通する。第1のベント管が、第1のベントポートと流体連通し、パージ漏斗の下部の外部にハウジングの下面の近くの位置まで延びる。第2のベント管が、第2のベントポートと流体連通し、パージ漏斗の下部の外部にハウジングの下面の近くの位置まで延びる。静脈管は、静脈ポートと流体連通し、パージ漏斗内でハウジングの下面の近くの位置まで延びる。
【0012】
[0016]例11は、第1のベント管が、パージ漏斗の上部内で下方に延び、パージ漏斗の中央部に形成される第1の開口部を通ってパージ漏斗の外側へ延びる、例10のデュアルチャンバ血液槽である。
【0013】
[0017]例12は、第1のベント管が、パージ漏斗の上部内で下方に延び、パージ漏斗の中央部に形成される第1の開口部を通ってパージ漏斗の外側へ延びる、例10または11のデュアルチャンバ血液槽である。
【0014】
[0018]例13は、ハウジング内に配置される細長いフィルタをさらに備え、ベント管および静脈管が、細長いフィルタを通って下方に延びるようになっている、例10〜12のいずれかのデュアルチャンバ血液槽である。
【0015】
[0019]例14は、細長いフィルタが、ハウジングの下面の近くに配置される下面を有する、例13のデュアルチャンバ血液槽である。
[0020]例15は、蓋部を貫通し、パージ漏斗の上部と流体連通する複数のパージポートをさらに備える、例10〜14のいずれかのデュアルチャンバ血液槽である。
【0016】
[0021]例16は、ハウジングと、このハウジング内に配置されるフィルタリング組立体とを有する血液槽である。ハウジングは、頂部、底部、静脈入口、ベント入口、およびパージ入口を有する。フィルタリング組立体は、ハウジングの頂部の近くからハウジングの底部の近くまで延びる。フィルタリング組立体は、支持構造、この支持構造のまわりに配置されるフィルタ膜、およびフィルタ膜のまわりに配置される消泡材を備える。フィルタリング組立体は、パージ入口と流体連通し、フィルタ膜内で下方に延びるパージ漏斗を含む。フィルタリング組立体は、静脈入口と流体連通し、パージ漏斗の内部を通ってフィルタリング組立体の底面の近くの位置まで延びる静脈管を含む。フィルタリング組立体は、ベント入口と流体連通し、パージ漏斗の内部を通って部分的に延び、パージ漏斗の外側へフィルタリング組立体の底面の近くの位置まで部分的に延びるベント管も含む。
【0017】
[0022]例17は、静脈管およびベント管が、フィルタ膜の内部空間内で下方に延びる、例16の血液槽である。
[0023]例18は、パージ入口が、複数のパージポートを含む、例16または17の血液槽である。
【0018】
[0024]例19は、人工心肺と、酸素供給器と、酸素供給器の下流のサンプリングラインと、血液槽とを備える体外血液回路である。血液槽は、ベント血液入口、静脈血入口、およびサンプリングラインからの血液を受け入れるように構成されるパージポートを含む。血液槽は、サンプリングラインからの血液内で過度のガス状微小塞栓作用を引き起こすことなく、サンプリングラインからの血液を収容するように構成される。
【0019】
[0025]例20は、血液槽は、パージポートと流体連通するパージ漏斗を備え、静脈血入口が、パージ漏斗の内部を通って下向きに延び、サンプリングラインからの血液が、静脈血入口の外側面に沿って下方に流れることが可能にされる、例19の体外血液回路である。
【0020】
[0026]複数の実施形態が開示されたが、当業者には、本発明の例示的な実施形態を図示および説明する以下の詳細な説明から本発明のさらに他の実施形態が明らかになろう。したがって、図面および詳細な説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】[0027]本発明の一実施形態による体外血液回路の概略説明図である。
【図2】[0028]本発明の一実施形態による血液槽の部分断面斜視図である。
【図3A】[0029]図2の血液槽の断面図である。
【図3B】[0030]本発明の一実施形態による血液槽の部分断面斜視図である。
【図3C】[0031]図3Bの血液槽の断面図である。
【図4】[0032]本発明の一実施形態によるパージ漏斗の斜視図である。
【図5】[0033]本発明の一実施形態によるフィルタリング組立体の斜視図である。
【図6】[0034]図5のフィルタリング組立体の断面図である。
【図7】[0035]図5のフィルタリング組立体の一部の斜視図である。
【図8】[0036]本発明の一実施形態によるフィルタリング組立体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0037]図1は、体外血液回路10の概略説明図である。図示されるように、体外血液回路10は、HLM12、酸素供給器14、サンプリング装置16、および血液槽18を備える。HLM12は、患者20と流体連通しており、そのため、患者20からの血液を受け取り、その上、血液および他の流体を患者20へ戻すことができる。サンプリング装置16は、臨床検査および/または手術室(surgical arena)内で行われる追加の試験のために体外血液回路10から血液を回収することを可能にするポートまたは同様の構造であり得る。サンプリング装置16中の血液は、サンプリングライン22を介して血液槽18に流れ込むことができる。
【0023】
[0038]図2は、図1の体外血液回路10において血液槽18として使用できる血液槽24の部分断面斜視図である。血液槽24は、清浄な(すなわち、非活性)部分26、および汚染された(すなわち、活性)部分28を含む。ここにおいて、「清浄な」および「汚染された」は、各部分に入る血液内の固体粒子または気泡の期待レベルに関連する相対的な用語である。例えば、通常かなり清浄であるベント血液および静脈血は、非活性部分26内で処理することができ、一方、比較的多くのデブリを含む傾向がある吸入血液は、活性部分28内で処理することができる。
【0024】
[0039]図2に示されるように、血液槽24は、ハウジング30、および蓋部32を含む。説明することになるように、いくつかの血液入口は、蓋部32を通って延び、または蓋部32内に他の方法で配置される。ハウジング30は、血液出口34を含み、血液出口34は、いくつかの実施形態では、HLM12と流体連通してもよい。ハウジング30は、底部46に向かってテーパする(換言すれば、先が細くなる)。蓋部32は、静脈入口ポート36、1つまたは複数のベント入口ポート38(この図では1つだけが見える)、および1つまたは複数のパージポート42を有するパージ入口40を収容する。蓋部32は、吸引入口44も収容する。いくつかの実施形態では、静脈入口ポート36、(1つまたは複数の)ベント入口ポート38、パージ入口40、または吸引入口44のうちの1つまたは複数は、それらが蓋部32に対して回転することができるように、蓋部32を貫通することができる。
【0025】
[0040]図示されるように、非活性部分26は、フィルタリング組立体48を含み、一方、活性部分28は、濾過/消泡組立体50を含む。図3Aは、図2の線3−3に沿った断面図であり、フィルタリング組立体48および濾過/消泡組立体50に関するさらなる詳細を与える。血液槽24は、可動式または解除可能な弁52を含み、可動式または解除可能な弁52は、図示されるように所定の位置にあるとき、活性部分28内の血液が、非活性部分26に入らないようにする。場合によっては、非活性部分26から利用できるものより多くの血液が必要となる可能性があり、したがって、活性部分28から非活性部分26へ血液が移ることを可能にするために、弁52が、持ち上げられ、回転され、または他の方法で動かされてもよい。
【0026】
[0041]いくつかの実施形態では、ハウジング30は、シールド54を含んでもよく、シールド54は、活性部分28からの血液を底部46に向かって差し向ける。シールド54は、血流内の乱流を最小にするように形成および配置されてもよい。相対血液レベルは、非活性部分26および活性部分28において使用中に変わり得るが(弁52の閉鎖時)、いくつかの実施形態では、線56によって示される非活性部分26内の血液レベルは、線58によって示される活性部分28内の血液レベルより比較的低いものであり得る。いくつかの実施形態では、非活性部分26内の血液レベルは、代わりに、活性部分28内の血液レベルより高いものであり得る。
【0027】
[0042]活性部分28では、吸入濾過/消泡組立体50は、いくつかの構成部分を含む。吸引入口44からの血液は、収集漏斗60の中に通すことができ、次いで、血流中の乱流を最小にするように構成されるダイバータ62を滑り落ちるまたは他の方法で流れ落ちることができる。次いで、血液は、円筒形フィルタ64と、円筒形フィルタ64のまわりに配置される消泡材66とを貫通する。このようにして、濾過された血液は、次いで活性部分28内に集まり、そこで、濾過された血液は、濾過された血液が必要とされるまで、またはその後で出口ポート68を通して廃棄されるまで貯蔵される。
【0028】
[0043]非活性部分26では、フィルタリング組立体48は、いくつかの構成部分を含み、図3Aには、その全てが見えるわけではない。フィルタリング組立体48は、下面72を有する細長い円筒形フィルタ70を含む。静脈入口ポート36と流体連通する静脈入口管74は、細長い円筒形フィルタ70の内部を通って下方に延び、細長い円筒形フィルタ70の下面72に近い位置で終端する。円筒形消泡材76は、細長い円筒形フィルタ70の上領域のまわりに配置される。
【0029】
[0044]フィルタリング組立体48は、パージ漏斗78も含み、パージ漏斗78は、円筒形消泡材76を通って、細長い円筒形フィルタ70の中に下方に延びる。パージ漏斗78は、パージ入口40と流体連通する。静脈入口管74は、パージ漏斗78を通って下方に延びる。いくつかの実施形態では、静脈入口管74は、パージ漏斗78の内径未満である外径を有し、パージ漏斗78内に集められるパージ血液(purgers blood)が、静脈入口管74の外側を滑り落ちることによってパージ漏斗78から出ることができるようになっている。いくつかの実施形態では、これによってパージ血液の流れの中の乱流を減少させ、それによって、パージ血液中のガス状微小塞栓作用の形成を低減させるまたは無くしさえもする。いくつかの実施形態では、パージ漏斗78は、静脈入口管74の外側と締まりばめを形成しながらも、血液が静脈入口管74の外側を流れ落ちることを可能にする指片(図示せず)を備えてもよい。いくつかの実施形態では、非活性部分26における血液内の混入空気が、円筒形消泡材76の中に上へ移動することができる。
【0030】
[0045]図3Bは、図1の体外血液回路10において血液槽18として使用できる血液槽25の部分断面斜視図である。いくつかの実施形態では、血液槽25は、少なくともいくつかの構成態様において、血液槽24と同様であり、したがって、それらの間で、同様の要素は、参照符号を共有する。血液槽25は、清浄な(すなわち、非活性)部分26、および汚染された(すなわち、活性)部分28を含む。ここおいて、「清浄な」および「汚染された」は、各部分に入る血液内の固体粒子または気泡の期待レベルに関連する相対的な用語である。例えば、通常かなり清浄であるベント血液および静脈血は、非活性部分26内で処理することができ、一方、比較的多くのデブリを含む傾向がある吸入血液は、活性部分28内で処理することができる。
【0031】
[0046]図3Bに示されるように、血液槽25は、ハウジング30、および蓋部32を含む。説明することになるように、いくつかの血液入口は、蓋部32を通って延び、または蓋部32内に他の方法で配置される。ハウジング30は、血液出口34を含み、血液出口34は、いくつかの実施形態では、HLM12と流体連通してもよい。ハウジング30は、底部46に向かって先が細くなる。蓋部32は、静脈入口ポート36、1つまたは複数のベント入口ポート38(この図では1つだけが見える)、および1つまたは複数のパージポート42を有するパージ入口40を収容する。蓋部32は、吸引入口44も収容する。いくつかの実施形態では、静脈入口ポート36、(1つまたは複数の)ベント入口ポート38、パージ入口40、もしくは吸引入口44のうちの1つまたは複数は、それらが蓋部32に対して回転することができるように、蓋部32を貫通することができる。図示されるように、非活性部分26は、フィルタリング組立体48を含み、一方、活性部分28は、濾過/消泡組立体50を含む。
【0032】
[0047]図3Cは、図3Bの線3’−3’に沿った断面図であり、フィルタリング組立体48および濾過/消泡組立体50に関するさらなる詳細を与える。血液槽25は、可動式または解除可能な弁52を含み、可動式または解除可能な弁52は、図示されるように所定の位置にあるとき、活性部分28内の血液が、非活性部分26に入らないようにする。場合によっては、非活性部分26から利用できるものより多くの血液が必要となる可能性があり、したがって、活性部分28から非活性部分26へ血液が移ることを可能にするために、弁52が、持ち上げられ、回転され、または他の方法で動かされてもよい。
【0033】
[0048]いくつかの実施形態では、ハウジング30は、シールド55を含んでもよく、シールド55は、活性部分28からの血液を底部46に向かって差し向ける。シールド55は、血流内の乱流を最小にするように形成および配置されてもよい。いくつかの実施形態では、図示されるように、シールド55は、フレーム部分57および多孔質媒体部分59を含んでもよい。フレーム部分57は、多孔質媒体部分59を支持し、シールド55をハウジング30内で固定するのを助ける。多孔質媒体部分59は、シールド55を通過する血液を遅くする。
【0034】
[0049]相対血液レベルは、非活性部分26および活性部分28において使用中に変わり得るが(障壁52の閉鎖時)、いくつかの実施形態では、線56によって示される非活性部分26内の血液レベルは、線58によって示される活性部分28内の血液レベルより比較的低いものであり得る。いくつかの実施形態では、非活性部分26内の血液レベルは、代わりに、活性部分28内の血液レベルより高いものであり得る。
【0035】
[0050]活性部分28では、吸入濾過/消泡組立体50は、いくつかの構成部分を含む。吸引入口44からの血液は、収集漏斗60の中に通すことができ、次いで、血流中の乱流を最小にするように構成されるダイバータ62を滑り落ちるまたは他の方法で流れ落ちることができる。次いで、血液は、円筒形フィルタ64と、円筒形フィルタ64のまわりに配置される消泡材66とを貫通する。このようにして、濾過された血液は、次いで活性部分28内に集まり、そこで、濾過された血液は、濾過された血液が必要とされるまで、またはその後で出口ポート68を通して廃棄されるまで貯蔵される。いくつかの実施形態では、活性部分28内に貯蔵された血液は、弁52を開放することによって非活性部分26の中に放出することができる。
【0036】
[0051]非活性部分26では、フィルタリング組立体48は、いくつかの構成部分を含むが、図3Aには、その全てが見えるわけではない。フィルタリング組立体48は、下面72を有する細長い円筒形フィルタ70を含む。静脈入口ポート36と流体連通する静脈入口管74は、細長い円筒形フィルタ70の内部を通って下方に延び、細長い円筒形フィルタ70の下面72に近い位置で終端する。円筒形消泡材76は、細長い円筒形フィルタ70の上領域のまわりに配置される。
【0037】
[0052]フィルタリング組立体48は、パージ漏斗78も含み、パージ漏斗78は、円筒形消泡材76を通って、細長い円筒形フィルタ70の中に下方に延びる。パージ漏斗78は、パージ入口40と流体連通する。静脈入口管74は、パージ漏斗78を通って下方に延びる。いくつかの実施形態では、静脈入口管74は、パージ漏斗78の内径未満である外径を有し、パージ漏斗78内に集められるパージ血液が、静脈入口管74の外側を滑り落ちることによってパージ漏斗78から出ることができるようになっている。いくつかの実施形態では、これによってパージ血液の流れの中の乱流を減少させ、それによって、パージ血液中のガス状微小塞栓作用の形成を低減させるまたは無くしさえもする。いくつかの実施形態では、パージ漏斗78は、静脈入口管74の外側と締まりばめを形成しながらも、血液が静脈入口管74の外側を流れ落ちることを可能にする指片(図示せず)を備えてもよい。いくつかの実施形態では、非活性部分26における血液内の混入空気が、円筒形消泡材76の中に上へ移動することができる。
【0038】
[0053]図4は、パージ漏斗78の一実施形態の斜視図である。例示的な実施形態では、パージ漏斗78は、上部80、下部82、およびこの上部80と下部82の間のテーパ状(換言すれば、先細り状)の中央部84を含む。いくつかの実施形態では、上部80は、形状が円錐形または他の先細り状であってもよい。場合によっては、下部82は、形状が円筒形であってもよい。例示的な実施形態では、パージ漏斗78の中央部84は、第1の開口部86、および第2の開口部88を含む。第1の開口部86、および第2の開口部88は、(続く図に示される)第1および第2のベント管が、内部を通過することを可能にするように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の開口部86、および第2の開口部88は、約180度離れて間隔をおいて放射状に配置されてもよい。
【0039】
[0054]図5は、フィルタリング組立体48の斜視図である。フィルタリング組立体48は、図3Aに示されるように、細長い円筒形フィルタ70と、円筒形消泡材76とを含む。細長い円筒形フィルタ70は、フィルタ膜90および支持構造92を含む。図示されるように、フィルタ膜90は、支持構造92の内部に配置される。いくつかの実施形態では、フィルタ膜90が、代わりに、支持構造92のまわりに配置されてもよい。支持構造92は、血液槽24の動作中にフィルタ膜90が曝され得る液圧に対して所望の形態にフィルタ膜90を保持するのに十分なフィルタ膜90の支持を与えることができる。
【0040】
[0055]図6は、図5の線6−6に沿った断面図であり、パージ血液用の血流路を示す。矢印94によって示されるように、パージ血液は、パージポート42を通って血液槽24に入ることができる。次いで、パージ血液は、矢印96によって示されるように、パージ漏斗78を通って下って進み、パージ漏斗78の底部98を通って出る。矢印100によって示されるように、次いで血液は、静脈入口管74の外側面を滑り落ちるまたは他の方法で流れ落ちる。
【0041】
[0056]図7は、静脈入口管74、第1のベント管102、および第2のベント管104を説明するフィルタリング組立体48の一部の斜視図である。静脈入口管74、第1のベント管102、および第2のベント管104は、細長い円筒形フィルタ70の内部を通って蓋部32から下方に延びる。図4に示されるように、第1のベント管102は、第1の開口部86を貫通することができ、第2のベント管104は、第2の開口部88を貫通することができる。第1のベント管102は、第1の開口部86より上でパージ漏斗78内を延びるが、第1の開口部86より下でパージ漏斗78の外側を延びると考えることができる。同様に、第2のベント管104は、第2の開口部88より上でパージ漏斗78内を延びるが、第2の開口部88より下でパージ漏斗78の外側を延びると考えることができる。いくつかの実施形態では、静脈入口管74、第1のベント管102、および第2のベント管104は、細長い円筒形フィルタ70の下面72に近接するまたはその近傍にある位置まで下方にそれぞれ延びる。結果として、いくつかの実施形態では、乱流および結果として生じる血球の損傷は、低減または解消され得る。
【0042】
[0057]図8は、濾過/消泡組立体50の一実施形態の斜視図である。いくつかの実施形態では、濾過/消泡組立体50は、プラスチックフレーム150を含み、このプラスチックフレーム150が、濾過/消泡組立体50を支持し、濾過/消泡組立体50に環状形または卵形を与える。ポリウレタンフォーム円筒152などの発泡体円筒は、プラスチックフレーム150内に配置され、少なくとも部分的に内側摺動面154を画定する。このフォーム円筒152の外面は、少なくとも部分的にポリエステルフェルト156に包まれる。いくつかの実施形態では、ポリエステルフェルト156は、孔径が約40ミクロンである。
【0043】
[0058]本発明の範囲から逸脱することなく、上述の例示的な実施形態に様々な修正および追加がなされてもよい。例えば、上記の実施形態は、特定の特徴に言及するが、本発明の範囲は、上記の特徴の全てを含まない特徴および実施形態の異なる組合せを有する実施形態も含む。
【符号の説明】
【0044】
10 体外血液回路
12 HLM
14 酸素供給器
16 サンプリング装置
18 血液槽
20 患者
22 サンプリングライン
24 血液槽
25 血液槽
26 清浄な(すなわち、非活性)部分、非活性部分
28 汚染された(すなわち、活性)部分、活性部分
30 ハウジング
32 蓋部
34 血液出口
36 静脈入口ポート
38 ベント入口ポート
40 パージ入口
42 パージポート
44 吸引入口
46 底部
48 フィルタリング組立体
50 濾過/消泡組立体、吸入濾過/消泡組立体
52 可動式または解除可能な弁、弁
54 シールド
55 シールド
56 線
57 フレーム部分
58 線
59 多孔質媒体部分
60 収集漏斗
62 ダイバータ
64 円筒形フィルタ
66 消泡材
68 出口ポート
70 細長い円筒形フィルタ
72 下面
74 静脈入口管
76 円筒形消泡材
78 パージ漏斗
80 上部
82 下部
84 中央部
86 第1の開口部
88 第2の開口部
90 フィルタ膜
92 支持構造
94 矢印
96 矢印
98 底部
100 矢印
102 第1のベント管
104 第2のベント管
150 プラスチックフレーム
152 ポリウレタンフォーム円筒、フォーム円筒
154 内側摺動面
156 ポリエステルフェルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性部分および非活性部分を備えるデュアルチャンバ血液槽であって、前記非活性部分が、
上領域および底面を有する細長いフィルタと、
前記細長いフィルタの前記上領域のまわりに配置される消泡材と、
前記消泡材を通って下方に延び、円錐形上部、円筒形下部、および介在する中央部を有するパージ漏斗と、
前記パージ漏斗の前記円筒形下部を通って前記細長いフィルタの前記底面に近接する位置まで下方に延びる静脈入口管であって、外側面を備える静脈入口管と、
前記パージ漏斗の前記中央部内に形成された開口部を通って前記細長いフィルタの前記底面に近接する位置まで下方に延びるベント入口管と
を備え、
前記パージ漏斗に入る血液が、前記静脈入口管の前記外側面と、前記パージ漏斗の前記円筒形下部の内面との間を通ることができる、デュアルチャンバ血液槽。
【請求項2】
前記パージ漏斗の前記円筒形下部から出る血液が、前記静脈入口管の前記外側面を滑り落ちることができる、請求項1に記載のデュアルチャンバ血液槽。
【請求項3】
前記パージ漏斗の前記中央部が第1の開口部を含み、前記第1の開口部は、前記第1の開口部の内部を貫通する前記ベント入口管を収容するように構成される、請求項1に記載のデュアルチャンバ血液槽。
【請求項4】
前記細長いフィルタの底部に近接する位置まで下向きに延びる第2のベント入口管をさらに備える、請求項3に記載のデュアルチャンバ血液槽。
【請求項5】
前記パージ漏斗の前記中央部が、前記第2のベント入口管を収容するように構成される第2の開口部を含み、前記第2の開口部が、前記第1の開口部から約180度間隔をおいて放射状に配置される、請求項4に記載のデュアルチャンバ血液槽。
【請求項6】
前記パージ漏斗の前記円錐形上部と流体連通する複数のパージポートをさらに備える、請求項1に記載のデュアルチャンバ血液槽。
【請求項7】
前記活性部分が、吸入血液フィルタと、前記吸入血液フィルタのまわりに配置される消泡材層とを含む吸入血液フィルタ組立体を備える、請求項1に記載のデュアルチャンバ血液槽。
【請求項8】
追加の血液を必要とする状況において、前記活性部分内の血液が前記非活性部分に入ることを可能にするように解除することができる解除可能な障壁を前記活性部分と前記非活性部分の間にさらに備える、請求項1に記載のデュアルチャンバ血液槽。
【請求項9】
前記活性部分から前記非活性部分へ流れる血液の速度を失わせるように配置される多孔質媒体をさらに備える、請求項8に記載のデュアルチャンバ血液槽。
【請求項10】
下面および上部穴を含むハウジングと、
前記上部穴を跨って延びる蓋部と、
前記蓋部を通って延びる第1のベントポートと、
前記蓋部を通って延びる第2のベントポートと、
前記蓋部を通って延びる静脈ポートと、
前記蓋部を通って延びるパージポートと、
上部、下部、および介在する中央部を有するパージ漏斗であって、前記パージ漏斗の前記上部が、前記パージポートと流体連通する、パージ漏斗と、
前記第1のベントポートと流体連通し、前記パージ漏斗の前記下部の外部に前記ハウジングの前記下面の近くの位置まで延びる第1のベント管と、
前記第2のベントポートと流体連通し、前記パージ漏斗の前記下部の外部に前記ハウジングの前記下面の近くの位置まで延びる第2のベント管と、
前記静脈ポートと流体連通し、前記パージ漏斗内で前記ハウジングの前記下面の近くの位置まで延びる静脈管と
を備えるデュアルチャンバ血液槽。
【請求項11】
前記第1のベント管が、前記パージ漏斗の前記上部内で下方に延び、前記パージ漏斗の前記中央部に形成される第1の開口部を通って前記パージ漏斗の外側へ延びる、請求項10に記載のデュアルチャンバ血液槽。
【請求項12】
前記第2のベント管が、前記パージ漏斗の前記上部内で下方に延び、前記パージ漏斗の前記中央部に形成される第2の開口部を通って前記パージ漏斗の外側へ延びる、請求項10に記載のデュアルチャンバ血液槽。
【請求項13】
前記ハウジング内に配置される細長いフィルタをさらに備え、前記ベント管および前記静脈管が、前記細長いフィルタを通って下方に延びるようになっている、請求項10に記載のデュアルチャンバ血液槽。
【請求項14】
前記細長いフィルタが、前記ハウジングの前記下面の近くまで延びる、請求項13に記載のデュアルチャンバ血液槽。
【請求項15】
前記蓋部を貫通し、前記パージ漏斗の前記上部と流体連通する複数のパージポートをさらに備える、請求項10に記載のデュアルチャンバ血液槽。
【請求項16】
頂部、底部、静脈入口、ベント入口、およびパージ入口を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記頂部の近くから前記ハウジングの前記底部の近くまで延びるフィルタリング組立体と
を備える血液槽であって、前記フィルタリング組立体が、
支持構造、
前記支持構造のまわりに配置されるフィルタ膜、
前記フィルタ膜のまわりに配置される消泡材、
前記フィルタ膜内で下方に延び、前記パージ入口と流体連通するパージ漏斗、
前記静脈入口と流体連通し、前記パージ漏斗の内部を通って前記フィルタリング組立体の底面の近くの位置まで延びる静脈管、および
前記ベント入口と流体連通し、前記パージ漏斗の内部を通って部分的に延び、前記パージ漏斗の外側へ前記フィルタリング組立体の底面の近くの位置まで部分的に延びるベント管
を含む、血液槽。
【請求項17】
前記静脈管および前記ベント管が、前記フィルタ膜の内部空間内で下方に延びる、請求項16に記載の血液槽。
【請求項18】
前記パージ入口が、複数のパージポートを含む、請求項16に記載の血液槽。
【請求項19】
人工心肺と、
酸素供給器と、
前記酸素供給器の下流のサンプリングラインと、
ベント血液入口、静脈血入口、および前記サンプリングラインからの血液を受け入れるパージポートを含む血液槽と
を備える体外血液回路であって、
前記血液槽が、前記サンプリングラインからの血液内で過度のガス状微小塞栓作用を引き起こすことなく、前記サンプリングラインからの前記血液を収容するように構成される体外血液回路。
【請求項20】
前記血液槽が、前記パージポートと流体連通するパージ漏斗を備え、前記静脈血入口が、前記パージ漏斗の内部を通って下向きに延び、前記パージ漏斗が、前記サンプリングラインからの前記血液が、前記静脈血入口の外側面に沿って下方に流れることを可能にするように構成される、請求項19に記載の体外血液回路。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−17806(P2013−17806A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−277867(P2011−277867)
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【出願人】(506161186)ソリン・グループ・イタリア・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (6)
【Fターム(参考)】