デルマトーム刺激の装置及び方法
神経刺激装置が、デルマトーム内の神経を刺激できる第1の周波数を有する第1の波形を発生するように適合された第1の波形発生器と、哺乳類の組織を通過できる第2の周波数を有する第1の搬送波形を発生するように適合された第2の波形発生器と、第2の周波数とは異なるものでありかつ哺乳類の組織を通過できる第3の周波数を有する第2の搬送波形を発生するように適合された第3の波形発生器と、を含む。この装置は、第1、第2、及び第3の波形発生器に電気的に結合された変調器を含み、この変調器は第1の波形、第1の搬送波形、及び第2の搬送波形を変調して、デルマトーム内の様々な深さで神経を刺激できる変調信号パッケージを発生するように適合される。この装置はまた、変調波形をデルマトーム領域に印加するために変調器に電気的に結合された電極を有する。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
〔発明の分野〕
本発明は一般に、神経及び体部位を刺激することに関する。より具体的には、本発明は、治療効果を達成するように標的の神経及び体部位を刺激するために使用される神経刺激装置に関する。
【0002】
〔関連技術の説明〕
個人の健康及び幸福に影響を与え得る様々な医学的状態があり、そのような状態を医師が治療するのを助けるために多数の治療選択肢が開発されてきた。治療選択肢の数は増加しているが、そのような選択肢は多くの場合、単に対症療法的なものであり、すなわち、根本的な状態を実際に治癒させるのではなく症状を緩和するものである。実際に、状態の根本的な原因を効果的に対象とする治療プロトコルは極めて希である。
【0003】
1つの一般的な医学的状態が肥満症であり、肥満症は多くの場合、食物摂取とエネルギー消費との不均衡の結果として生じる。重篤な体重減少及び異常な食欲不振は、苦痛及び死に至り得る、同様に重大な状態である。最も知られている例は神経性食欲不振症であり、これは、古典的に若い女性に影響を与え、視床下部及び下垂体機能の病理的な変質に関連付けられる状態である。
【0004】
もう1つの不都合な医学的状態が大便失禁であり、これは、大便を直腸に保持する随意的な調節の損失に関わるものである。大便失禁は、高齢、疾病、心的外傷など、多数の原因から生じ得る。更にもう1つの状態が尿失禁である。尿失禁の一種が切迫性尿失禁であり、これは、神経学的なものに基づいており、概して排尿筋の不安定性又は「膀胱痙攣」として現れると考えられている。
【0005】
上記の医学的状態を治療するための多種多様な療法が存在する。ある療法は、食物摂取量を減らすこと及び運動を増やすことなど、行動変容を伴う。もう1つの選択肢は、例えば食欲を抑制しエネルギー消費を増加させるために、薬剤を使用することを伴う。第3の選択肢は、胃バイパス手術及び胃バンディング術などの手術を伴う。これらの治療選択肢は、上述の状態のうちの1つ以上を治療する上で非常に効果的となり得るが、これらは、大いに侵襲的となり、相当な生活様式の変更を必要とし、結果として重大な合併症をもたらすことがある。
【0006】
一般にTENSと呼ばれる経皮的電気神経刺激システムを用いて上記の状態を治療する多数の試みがなされてきた。TENS装置は、標的の神経(例えば仙骨神経)に近接して患者の体内に埋め込まれなければならない電極リード線を有するため、極めて侵襲的である。TENSに伴うもう1つの欠点は、組織のインピーダンス及びその結果として生じる信号の散逸が原因で、患者に相当な不快感を生じることなく低周波の刺激信号(陰部神経及び/又は仙骨神経を刺激するのに必要な刺激信号など)を送り込むことができる深さに制限があることである。TENSに伴う更にもう1つの欠点は、神経を刺激する上で、より高周波の信号の有効性が制限されることである。その結果として、TENS装置は、たとえ患者が耐えるとしても長期間は耐えられない非常に高度な電流強度を印加せずには、深い神経刺激を達成することができない。これらの理由により、TENSは25年間にもわたって利用されてきたにもかかわらず、より深い神経刺激において、TENSの適用はかつて商業的に成功したことがない。
【0007】
いくつかの神経刺激装置において、発生した電界は広範囲に広がり、標的の神経に加えて、標的でない筋肉及び神経に影響を与えることが観測されている。電界が広範囲に広がることにより、標的の神経における電気信号の強度が相当に低下する。標的の神経を適切に刺激するために、電気信号の強度は相当に増加されなければならない。これにより、装置はより大きな電力を電池から引き出すことが必要となる。
【0008】
他の神経刺激装置において、組織インピーダンスにより、発生した電界が組織の中に深く進むことが妨げられることが観測されている。その結果として、発生した電界は、表皮の表層にしか浸透することができず、組織の中に深く進んで、組織のより深いところに位置する神経を刺激することができない。
【0009】
したがって、体部位及び神経を刺激する、改善された装置及び方法が依然として求められている。特に、標的の神経及び体部位を効果的に刺激する一方で、標的でない神経及び体部位は刺激しない、改善された神経刺激装置が依然として求められている。更に、より侵襲性が低く、より小さな電力で効果的に動作し、それによって電力源を交換及び/又は再充電する必要を最小限にする神経刺激装置が依然として求められている。また、電力及び寸法の要件を最小限にする一方で、体組織のより深いところに位置する神経を刺激できる神経刺激装置が依然として求められている。加えて、より小さな電力を用いて神経を効果的に刺激することが可能な装置及び方法が依然として求められている。
【0010】
〔発明の概要〕
一実施形態において、本発明は、その開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる、本発明の譲受人に譲渡された2005年6月7日出願の米国特許公報第2005/0277998号(「第‘998号公報」)及び2006年1月31日出願の同第2006/0195153号(「第‘153号公報」)に開示されている装置及び方法など、より有効でかつ非侵襲的な方式で神経を刺激する神経刺激装置に関する。それらの1つ以上の実施形態において、第‘998号及び同第‘153号公報は、非侵襲的な経皮的神経刺激装置を教示しており、その経皮的神経刺激装置は、搬送波信号とパルス包絡線とを含んだ、制御された振幅変調波形を発生し伝送する。搬送波形は、組織のインピーダンスに起因する減衰を克服するのに十分な周波数のものとなるように設計される。パルス包絡線は、特定の神経を刺激するように設計された特定のパルス幅、振幅、及び形状の情報を含んでいる。第‘998号及び同第‘153号公報において開示されている装置及び方法は、標的の神経は効果的に刺激するが標的でない末梢神経及び体部位は刺激しない変調波形を発生することができる。更に、第‘998号及び同第‘153号公報において開示されている装置及び方法は、体組織内のより深いところに位置する神経を効果的に刺激することができる。
【0011】
一実施形態において、本発明は、哺乳類の皮膚内の特定のデルマトーム内に存在する所定の神経終末又は知覚神経線維を刺激するための装置及び方法を開示する。この装置は、哺乳類の所定の神経を刺激できる周波数を有する第1の波形と、哺乳類の組織を通過できる周波数を有する搬送波形を発生するように適合された第2の波形発生器と、哺乳類の組織を通過できる周波数を有する別の搬送波形を発生するように適合された第3の波形発生器と、第1、第2、及び第3の波形発生器に電気的に結合された変調装置であって、第1の波形及び搬送波形を変調して変調波形を生成するように適合された、変調装置と、変調装置に電気的に結合された電極であって、哺乳類の皮膚に実質的に隣接して配置され、変調波形をその皮膚に印加するように適合された、電極と、を含む。搬送波形は、単一のパルス包絡線に含められて同時に伝送される。第1の波形は、実質的に10Hz〜40Hzの範囲内の周波数を有しており、方形波であってもよいが、他の形状が用いられてもよい。搬送波形は、実質的に約10KHz〜400KHzの範囲内の周波数を有してもよく、また正弦波形であってもよい。搬送波形は好ましくは、互いに異なる周波数を有する。他の実施形態において、3つ以上の深さに位置する神経又は神経終末を刺激するために、神経刺激信号をデルマトーム内の様々な組織深さに搬送する3つ以上の搬送波形が発生されてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、神経刺激装置は、デルマトーム内の神経を刺激できる第1の周波数を有する第1の波形を発生するように適合された第1の波形発生器と、哺乳類の組織を通過できる第2の周波数を有する第1の搬送波形を発生するように適合された第2の波形発生器と、第2の周波数とは異なるものでありかつ哺乳類の組織を通過できる第3の周波数を有する第2の搬送波形を発生するように適合された第3の波形発生器と、を含む。この装置は望ましくは、第1、第2、及び第3の波形発生器に電気的に結合された変調器であって、第1の波形、第1の搬送波形、及び第2の搬送波形を変調して、デルマトーム内の様々な深さで神経を刺激できる変調信号パッケージを発生するように適合された、変調器を含む。この装置はまた、望ましくは、変調波形をデルマトームに印加するために、変調器に電気的に結合された電極を含む。一実施形態において、この装置は、哺乳類の組織を通過できる第4の周波数を有する第3の搬送波形を発生するように適合された第4の波形発生器を含んでもよい。この実施形態において、変調器は、変調信号パッケージを発生するために第4の波形発生器に電気的に結合されている。
【0013】
一実施形態において、第1の波形の第1の周波数は約10Hz〜200Hzである。一実施形態において、第1の搬送波形の第2の周波数は約10KHz〜400KHz、より好ましくは約200KHzである。一実施形態において、第2の搬送波形の第3の周波数は約10KHz〜400KHz、より好ましくは約300KHzである。第1及び第2の搬送波形は好ましくは、異なる周波数を有しており、その結果、第1及び第2の搬送波形は、第1の神経刺激波形をデルマトーム内の異なる深さに搬送する。
【0014】
神経刺激装置は、ヒトなどの哺乳類の皮膚の上に固定可能な経皮的神経刺激パッチを含んでもよい。一実施形態において、神経刺激装置は、哺乳類に埋込み可能な電極を含んでもよい。一実施形態において、神経刺激装置は、埋込み型ハウジングを含む埋込み型パルス発生器を含んでもよい。ハウジングは好ましくは、波形発生器と、変調器と、電力供給源と、を収容する。
【0015】
本発明の一実施形態において、神経刺激装置は第1のシステムを含み、その第1のシステムは、デルマトーム内の神経を刺激できる第1の周波数を有する第1の波形を発生するように適合された第1の波形発生器と、哺乳類の組織を通過できる第2の周波数を有する第1の搬送波形を発生するように適合された第2の波形発生器と、第1及び第2の波形発生器に電気的に結合された第1の変調器であって、第1の波形及び第1の搬送波形を変調して第1の変調波形を発生するように適合された、第1の変調器と、を有する。装置は好ましくは、第2のシステムを含み、その第2のシステムは、第1の波形の第1の周波数に等しいものでありかつデルマトーム内の神経を刺激できる第3の周波数を含む第2の波形を発生するように適合された第3の波形発生器と、第2の周波数とは異なるものでありかつ哺乳類の組織を通過できる第4の周波数を有する第2の搬送波形を発生するように適合された第4の波形発生器と、第3及び第4の波形発生器に電気的に結合された第2の変調器であって、第2の波形及び第2の搬送波形を変調して第2の変調波形を発生するように適合された、第2の変調器と、を含む。この装置はまた、望ましくは、第1及び第2の変調波形を印加するために、変調器に電気的に結合された電極を含み、その電極により、第1及び第2の変調波形は、組織内の様々な深さで組織を刺激するために、様々な深さで組織を通過するように適合される。
【0016】
本発明の一実施形態において、デルマトーム内の神経を様々な深さまで刺激する方法が、デルマトーム内の神経を刺激できる第1の周波数を有する第1の波形を発生することと、デルマトーム内の組織を通過できる第2の周波数を有する第1の搬送波形を発生することと、第2の周波数と異なるものでありかつデルマトーム内の組織を通過できる第3の周波数を有する第2の搬送波形を発生することと、を含む。その方法は望ましくは、第1の波形、第1の搬送波形、及び第2の搬送波形を組み合わせて、デルマトーム内の2つの異なる深さで神経を刺激できる変調信号パッケージを発生することと、デルマトーム内の神経を刺激するために、変調波形をデルマトームに印加することと、を含む。
【0017】
一実施形態において、方法は、第2及び第3の周波数と異なるものでありかつデルマトーム内の組織を通過できる第4の周波数を有する第3の搬送波形を発生することと、第3の搬送波形を、第1の波形、第1の搬送波形、及び第2の搬送波形と組み合わせて、デルマトーム内の3つの異なる深さで神経を刺激できる第2の変調信号パッケージを発生することと、を含むことができる。一実施形態において、第1の波形、第1の搬送波形、及び第2の搬送波形は同時に発生される。別の実施形態において、第1の搬送波形と第2の搬送波形は、互いに排他的に発生される。
【0018】
一実施形態において、第1の波形の第1の周波数は約10Hz〜200Hzであり、第1の搬送波形の第2の周波数は約10KHz〜400KHzであり、第2の搬送波形の第3の周波数は約10KHz〜400KHzである。第1の搬送波形は、第1の波形をデルマトーム内の第1の深さに搬送し、第2の搬送波形は、第1の波形をデルマトーム内の第2の深さに搬送する。
【0019】
一実施形態において、波形発生器及び電極は、パッチを皮膚に固定するために接着剤を有するパッチ装置内に配置されてもよい。一実施形態において、所定の神経終末は、T5〜T9デルマトームの交感求心性神経であってもよく、パッチは、交感神経系の腹腔神経節を刺激するために、実質的に、哺乳類の身体の胸部領域に配置されてもよい。この神経刺激技法は、肥満症の治療に用いられてもよい。別の実施形態において、所定の神経は、脊髄へのS1、S2、及びS3求心性副交感神経路であり、パッチは、実質的に、哺乳類の身体の仙骨領域に配置される。この神経刺激技法は、大便失禁及び/又は尿失禁の治療に用いられてもよい。
【0020】
本発明はまた、哺乳類のデルマトームを刺激するための方法を提供する。一実施形態において、その方法は、デルマトームを刺激できる周波数を有する波形を発生することと、信号を哺乳類の皮膚に印加することと、を含む。別の実施形態において、この方法は、デルマトームを刺激できる周波数を有する第1の波形を発生することと、哺乳類の組織を通過できる個別の周波数を有する一対の搬送波形を発生することと、第1の波形を2つの搬送波形で変調して変調信号を生成することと、変調信号を哺乳類の組織に印加することと、を含む。
【0021】
本発明のこれらの及び他の好ましい実施形態について、以下でより詳しく説明することにする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】人体に存在するデルマトーム領域を示している図。
【図1B】人体に存在するデルマトーム領域を示している図。
【図2】哺乳類の組織を通じて延びる神経終末を有する神経を示している図。
【図3A】本発明の一実施形態による神経刺激パッチの拡大図。
【図3B】組立て後の図3Aの神経刺激パッチを示している図。
【図4】本発明の別の実施形態による神経刺激パッチの拡大図。
【図5】本発明の一実施形態による、様々な深さで神経を刺激できる神経刺激装置の模式図。
【図6A】図5の装置によって発生された例示的な波形を示している図。
【図6B】図5の装置によって発生された例示的な波形を示している図。
【図7】図5の装置によって発生された例示的な波形を示している図。
【図8】本発明の一実施形態による、哺乳類の皮膚に取り付けられた神経刺激装置を示している図。
【図9】本発明の別の好ましい実施形態による神経刺激装置の模式図。
【図10】本発明の一実施形態による、哺乳類の皮膚に取り付けられた神経刺激装置を示している図。
【図11】本発明の一実施形態による神経刺激装置の模式図。
【図12】本発明の別の実施形態による神経刺激装置の模式図。
【0023】
〔詳細な説明〕
本明細書で使用する見出しは、単に編集を目的としたものであり、説明又は特許請求の範囲を限定するために使用することを意図したものではない。本願の全体を通じて使用されるとき、「してもよい(may)」という語は、義務の意味(すなわち必須を意味する)ではなく、許可の意味で使用されている(すなわち、あることを行う可能性を有することを意味する)。同様に、「含む(include、including、及びincludes)」という語は、あるものを含むが、それらに限定はされないことを意味する。理解を容易にするために、各図に共通する同様の要素を示すために、可能な限り、同様の参照符号が使用されている。
【0024】
図1A及び1Bを参照すると、デルマトーム領域は、単一の後根から発する知覚求心性神経線維を有する身体領域である。図1A及び1Bは、人体の皮膚表面に連続的な帯を形成するデルマトームを表している。図1Aは人体の前面像を示しており、図1Bは人体の後面像を示している。図2を参照すると、後根22は、脊髄神経の求心性知覚根である。後根22の遠位端部24に後根神経節26A、26Bがあり、後根神経節26A、26Bは、根22によって運ばれる神経線維のニューロン細胞体を含んでいる。これらの線維はデルマトーム領域28をなしている。特定のデルマトーム領域28内の神経終末26A、26Bを刺激すると、結果として、知覚情報が求心性神経を通じて脊髄及び脳に伝達される。この知覚情報の伝達は、肥満症及び失禁など、特定の状態を治療するために用いられてもよい。
【0025】
図3A及び3Bは、本発明の一実施形態による神経刺激装置30を示している。神経刺激装置30は、頂面34と底面36とを有する第1の層32を含む。第1の層32の底面36は、開口部40A、40Bを有する接着層38によって被覆されており、開口部40A、40Bは、接着層38を貫いて延び、活性集積電極42A及び帰還集積電極42Bを収容する。接着層38は、電極42A、42Bの形状に適合しかつ電極を患者の皮膚の表面に直接接触させる孔を含む。装置30は、対応する電極42A、42Bを被覆する電解質パッド44A、44Bを含む。電極42A、42Bは第1の層32に直接固定されてもよく、あるいは、プラスチックなどの任意の好適な材料から構成された第2の層によって適所に保持されてもよい。集積電極は、金メッキされてもよく、あるいは他の耐腐食性の金属で作られてもよい。この装置30は、可撓性の電子基板又はフレキシブル基板の第3の層46を含み、この第3の層46は、第‘998号公報に記載された電子要素のすべてを収容しており、電極42A、42Bに電気的に結合されている。フレキシブル基板46は、電池の接続を完全なものにするように、かつ電子構成部品をより小さな空間に入れるように、電池の上で折り重ねられる部分を有している。第4の層は、電池シール又はリング50によって定位置に保持され得る、任意の好適な寸法及び形状の薄膜電池48であり、上部カバー52は、絆創膏に広く使用されているプラスチック被覆などの任意の好適な被覆である。
【0026】
図3Bを参照すると、神経刺激装置30は、最上層の一部分の下にあるフォトダイオード54を含み、このフォトダイオード54は、消費電力の極めて低い通信受信器として使用され得る。このフォトダイオードは、小型で、廉価であり、非活動時の電力消費がゼロであり、REリンク(RE link)と比べてエネルギー及び空間効率の大いに高いものである。他の実施形態において、しかしながら、REリンクが使用されてもよい。装置30は、電池48A、48Bによって給電される電極42A、42Bを含み、電池48A、48Bは電池シール50A、50Bで囲まれている。2つの刺激電極42A、42Bは方側に片寄っており、結果として、装置は幾分かD字形状となっている。上部カバー52は、洗濯、入浴、及びシャワーなどの通常の活動の間に内部の構成部品を保護するために、防水性となっている。
【0027】
本発明の一実施形態において、神経刺激パッチは、2007年11月16日に出願され「Nerve Stimulation Patches and Methods for Stimulating Selected Nerves」と題された、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第11/941,508号にて開示された要素のうちの1つ以上を含んでもよく、この米国特許出願第11/941,508号の開示内容は参照によって本明細書に組み込まれる。図4を参照すると、神経刺激パッチ100は、頂面104と底面106とを有する、回路基板などの基板102を有している。回路基板102は、電気信号を発生するように適合された構成部品を装着されており、その電気信号は、身体に加えられて、1つ以上の選択された神経を刺激し得る。一実施形態において、回路基板102は、能動的構成部品及び受動的構成部品を有しており、それらの構成部品は、選択された神経を刺激するために、電気信号を発生させ、その信号を変調し、その信号を身体に加える。
【0028】
選択的神経刺激パッチ100は、パッチのエネルギー源を提供する、電池などの電力源108を含む。一実施形態において、電力源108は、好ましくは、基板の頂面104の上に固定されており、導体110の下にある。パッチ100は望ましくは、導体110と電力源108の頂面との間に設けられた導電性接着剤(図示せず)を含む。一実施形態において、導体110は、作動されると回路基板102上の構成部品に電力源108を持続的に接続する使い捨ての又は一回使用型のスイッチの一部である。最初に、導体110は好ましくは、電力源108から離間され分離されている。導体110が電力源の頂面に向かって押し付けられると、導体は電力源に(導電性接着剤を介して)接着して、回路基板及び回路基板に取り付けられた構成部品に電力を供給する。導体110は、好ましくは可撓性である。一実施形態において、この導体はスパイラル導体である。
【0029】
選択的神経刺激パッチ100は、好ましくは、回路基板102の上に組み付けられる成形上部キャップ112を含む。成形上部キャップ112は、以下でより詳細に説明するように、好ましくは透明であり、そのため、光信号が成形上部キャップを通過することができる。成形上部キャップ112の一方の端部は、成形上部キャップ112の中に形成された弱化領域114を有するのが望ましく、この弱化領域114は、電池108の上部に導体110を押し付けるために、押し下げが可能となっている。他の実施形態において、成形上部キャップ112は、上部キャップの長さ全体にわたって、均一な厚さを有していてもよい。成形上部キャップ112は、好ましくは、下にある回路基板102の形状に適合する。一実施形態において、上部キャップ112は、射出成形技法を用いて基板102の上に形成される。成形上部キャップは、硬化性の封入材料を含んでいてもよい。別の実施形態において、成形上部キャップ112は、回路基板に組み付けられる別個の部品として形成されてもよい。
【0030】
選択的神経刺激パッチ100はまた、上部キャップ112及び回路基板102の上にある上部カバー116を有している。一実施形態において、上部カバー116は、商標ゴアテックスとして販売されている材料などの防水通気性材料でできている。上部カバー116は望ましくは、導体110と位置合わせされる第1の開口部118と、基板上に設けられたLEDと位置合わせされる第2の開口部120と、パッチ100によって発生される出力信号又は波形のパラメータを調節するためのフォトダイオードなどの光スイッチと位置合わせされる第3の開口部122と、を有している。
【0031】
選択的神経刺激パッチ100はまた、回路基板102の底面106にてアクセス可能な電極(図示せず)と、それぞれの電極の上にある接着性導電性パッド124A、124Bと、を含む。一実施形態において、電極は基板に配置され、基板の底面にてアクセス可能である。回路基板の底面に電極を設けることにより、パッチ100の寸法及び/又は設置面積が最小限となっている。また、この構造により、神経刺激パッチを作るのに必要な部品の数が減少している。
【0032】
図5を参照すると、本発明の一実施形態において、神経刺激パッチなどの神経刺激装置200が回路基板202を含み、この回路基板202は、標的の神経を刺激するための電気信号を発生させる構成部品を設けられている。神経刺激パッチ200は、リチウムイオン電池などの好適な電力源204と、標的の神経又は神経終末を刺激できる比較的低い周波数を有する第1の波形208を生成する第1の波形発生器206と、哺乳類の組織を通過できる比較的高い周波数を有する第2の波形212を生成する第2の波形発生器210と、哺乳類の組織を通過できる比較的高い周波数を有する第3の波形216を生成する第3の波形発生器214と、を含む。第2及び第3の波形は好ましくは、組織の異なる深さに進むように、異なる周波数を有する搬送波形を発生する。第1、第2、及び第3の波形発生器206、210、及び214は好ましくは、電池204に電気的に結合され、電池204により給電される。これらの波形発生器は、テキサス州ダラスのTexas Instrumentsによってモデル番号NE555として販売されているものなど、任意の好適なタイプであってよい。それぞれ第1の波形発生器206、第2の波形発生器210、及び第3の波形発生器214の出力は、振幅変調器218に加えられ、振幅変調器218は、これら3つの波形を変調信号パッケージ220へと変調する。「信号パッケージ」という用語は、本明細書において、任意の方式で互いに変調された2つ以上の個々の信号からなる単一の出力信号を表すために使用されている。一実施形態において、2つの搬送波形212、216が組み合わされ(図6Bを参照)、この組み合わされた波形が、低周波の第1の波形208によって更に変調されて、哺乳類の組織の様々な深さに到達できる神経刺激信号220(図7を参照)が生成される。
【0033】
図5、6A、及び6Bを参照すると、本発明の一実施形態において、第1の波形発生器206は、第1の波形208、又は、特定のデルマトーム内の遠位側の後根神経線維などの第1の選択された体部位を刺激することが既知である周波数を有する信号を発生する。一実施形態において、第1の波形208は、約10Hz〜200Hzの周波数、より好ましくは約10Hz〜30Hzの周波数を有してもよく、これらは神経を刺激するのに好適な周波数範囲である。上記のように、これらの比較的低い周波数の信号を、標的の神経を刺激するのに十分な電流密度で特定の標的の神経に到達するように身体組織に通すことは困難であることが観測されている。この問題に対処するために、第2の波形発生器210は、約10KHz〜400KHz、より好ましくは約200KHzの、より周波数の高い第1の搬送波形212を発生し、第3の波形発生器214は、第1の搬送波形212とは異なる、別の高周波の第2の搬送波形214を発生する。例えば、一実施形態において、第2の搬送波形216は、約10KHz〜400KHz、より好ましくは約300KHzの周波数を有する。様々な周波数を有する比較的高い周波数の搬送波形を供給することにより、好ましくは、様々な深さで神経を刺激できる神経刺激信号が生成される。第1及び第2の搬送波形212、216は、Texas Instrumentsによって販売されているOn-Semi MC1496変調器などの振幅変調器218に、第1の神経刺激波形208と共に加えられる。
【0034】
一実施形態において、第1の波形208は好ましくは、約10Hz〜30Hzの周波数を有する方形波であり、第1の搬送波形212は好ましくは、約200KHzの範囲の周波数を有する正弦波信号であり、第2の搬送波形216は好ましくは、約300KHzの範囲の周波数を有する正弦波信号である。他の実施形態において、他の範囲が波形に使用されてもよい。好ましくは、第1及び第2の搬送波形212、216は、異なる周波数を有している。図6A、6B、及び7に示す信号は、単に説明を目的としたものであり、本明細書に記載する例示的な信号を忠実に表現することを意図したものではない。他の周波数が使用されてもよく、また本発明の範囲内に依然として含まれることが企図される。
【0035】
図5を参照すると、動作中、変調器218によって発生された変調信号220は電極222に伝送され、電極222は、その変調信号220をデルマトーム領域内の標的の神経に加える。当業者には容易に理解されるように、変調信号220を使用すると、搬送波形の高周波性によって低周波信号が標的の神経に感知され(かつ反応され)得るので、標的の神経が効率的に刺激される。更に、搬送波形212、216は異なる周波数を発生し、それによって、異なる深さで組織を通過する。
【0036】
図8は、哺乳類の皮膚224に張り付けられた、図5の神経刺激装置200を示している。神経刺激装置200は、図7に示す神経刺激波形220を発生する。神経刺激波形220は第1の部分を含み、その第1の部分は、第1の波形208と第1の搬送波形212との組み合わせたものであり、神経線維の第1の分岐点226Aを刺激するために、哺乳類の組織225を通過して、「A」で記された深さに到達することができる。神経刺激波形220はまた、第2の部分を有しており、その第2の部分は、第1の波形208と第2の搬送波形216との組み合わせたものであり、神経線維の第2の分岐点226Bを刺激するために、哺乳類の組織を通過して、「B」で記された深さに到達することができる。組織内の他の深さで神経を刺激するために、他の周波数を有する他の搬送波形が加えられてもよい。
【0037】
本発明は、動作のいかなる特定の理論にも限定されるものではないが、デルマトーム領域の上方における皮膚表面上の電気刺激により、後根神経節に、また最終的には後根自体に帰還する活動電位が、神経線維内に発生すると考えられる。通常のTENS装置に見受けられるものなどの、低周波(10Hz〜200Hz)及び比較的低いエネルギーレベル(10〜30マイクロアンペアの信号)のみを用いた刺激は、皮膚及び組織の電気インピーダンスがエネルギーの流れに抗するので、遠位側の後根線維のより深い分岐点に浸透することがない。皮膚は、表皮、真皮、及び皮下層を含めて様々な層でできているので、低周波信号による皮膚の電気刺激(TENS)は、結果として、周知の容量効果が原因で相当なエネルギー散逸を皮膚の上部表皮層内に生じる。インピーダンスを克服し、より深い層における神経に到達するために、より大きなエネルギーが用いられると、皮膚表面の振動など、重大な不利な状況が生じる。
【0038】
これらの組織のインピーダンスの問題を克服するため、また、より深い遠位側の後根神経線維を刺激するためには、信号の振幅が増加しなければならず、あるいは周波数が調整されてもよい。本明細書で説明するように、高周波信号は、身体の組織の中へより深く進行するが、神経を刺激することはない。しかしながら、高周波信号を低周波パルス包絡線で変調すると、神経が効果的に刺激される。つまり、変調信号を高周波搬送波と共に使用すると、電極/皮膚の境界面及び表皮の容量性層が効果的に通り抜けられ、それによって、真皮内の知覚神経終末を直接刺激することが可能となる。更に、異なる周波数(例えば200KHzと200KHz)を有する高周波搬送波形を使用すると、異なる深さで神経を刺激することが可能となる。付随する表皮効果、及び真皮内の神経終末を刺激するのに必要なエネルギーは、最小化される。
【0039】
本発明の一実施形態において、搬送波形の周波数は、デルマトーム領域の遠位側の後根神経線維の活動電位を扇動するのに十分な深さに、ただし他の末梢神経を刺激しない深さに、刺激波形を送達するように調節されてもよい。つまり、神経刺激信号の搬送周波数を変更すると、様々な深さで測定され得る様々な波形が生成される。更に、複数の重なり合う信号が、深さを増して神経根に注がれる(bathe)、特定的に規定された波形の場を生成してもよい。本発明の一実施形態において、神経刺激装置は、単一のパルス包絡線内に2つの搬送波形を発生し、一方は200KHzで、もう一方は300KHzで伝送する。これらの波形を同時に伝送することにより、波形は本質的には加算され、結果として単一の波形となる。組み合わされた新たな波形は、2つの別々の搬送波形のスペクトル成分を200KHz及び300KHzに有する。更に、低周波成分、例えば10Hzの周波数で複合波形を振幅変調することにより、結果として、パルス化された複合波形が生じる。したがって、これらの搬送波形を様々な周波数で、ただし同時に伝送して使用することにより、デルマトーム内の様々な深さで神経が刺激されてもよい。これらの波形は、皮膚表面にある後根神経線維だけでなく、様々な深さに至る、特定のデルマトーム内のすべての遠位側の後根神経線維を刺激する場を生成する。更に、搬送波形の周波数を制御することにより、神経刺激信号は、標的の神経に搬送される一方で、標的でない神経は刺激しない。本明細書で説明する変調信号を使用することにより、皮膚の中に波形を伝達することができ、また、特定のデルマトーム内の所定の神経終末によって、その波形を検出する(またその波形に反応する)ことが可能となる。
【0040】
本発明の一実施形態において、第3の搬送波形が使用されてもよい。第3の搬送波形は、上述のように最初の2つの搬送波形に加えられ、3つの別々の搬送波形のスペクトル成分を有する複合波形を生成してもよい。更に別の実施形態において、変調波形の形状は変更されてもよい。例えば、変調波形は、上述のように複数の搬送波形を有する三角波形であってもよい。
【0041】
これまでに1つの特定の実施形態について説明してきたが、好適な変調信号及び/又は信号パッケージが得られるように、適切な信号が多数の様々な方式で操作され得ることが、当業者には明らかとなろう。例えば、図9を参照すると、本発明の一実施形態において、経皮パッチ302などの神経刺激装置300が、電池304によって給電される。神経刺激装置300は、哺乳類の所定の神経を刺激できる周波数を有する第1の波形308を発生するように適合された第1の波形発生器306と、哺乳類の組織を通過できる周波数を有する第1の搬送波形312を発生するように適合された第2の波形発生器310と、哺乳類の組織を通過できる周波数を有する第2の搬送波形316を発生するように適合された第3の波形発生器314と、哺乳類の組織を通過できる周波数を有する第3の搬送波形337を発生するように適合された第4の波形発生器335とを、有している。この装置は好ましくは、第1、第2、第3、及び第4の波形発生器306、310、314、及び335に電気的に結合された変調装置318であって、第1の波形308、並びに、搬送波形312、316、及び337を変調して変調波形320を生成するように適合された、変調装置318と、変調装置318に電気的に結合された電極322であって、哺乳類の皮膚に変調波形320を加えるためにその皮膚に実質的に隣接して配置される、電極322と、を有している。
【0042】
図9及び10を参照すると、本発明の一実施形態において、神経刺激装置300は、第1の波形308と第1の搬送波形312とを組み合わせた第1の信号部分を発生しており、この第1の搬送波形312は、神経線維の第1の分岐点326Aを刺激するために、哺乳類の組織325を通過して「A」で記す深さに到達することができる。神経刺激装置300はまた、第1の波形308を第2の搬送波形316と組み合わせた第2の信号部分を発生しており、その第2の信号部分は、神経線維の第2の分岐点326Bを刺激するために、哺乳類の組織を通過して、「B」で記された深さに到達することが可能である。加えて、神経刺激装置300は、第1の波形308を第3の搬送波形337と組み合わせた第3の信号部分を発生しており、その第3の信号部分は、後根の遠位側の終末327を刺激するために、哺乳類の組織を通過して、「C」で記された深さに到達することができる。したがって、図9及び10に示す装置は、様々な深さで神経の様々な部分を刺激することができ、このことは、神経刺激治療の有効性を向上させると考えられる。一実施形態において、神経刺激信号は、様々な神経分岐点を同時に刺激するために、様々な深さに同時に伝達される。一実施形態において、神経刺激信号は、順次式又は交代式のパターンで様々な深さに伝達されてよい。別の実施形態において、各神経分岐点が様々な深さにある神経分岐点の群が、順次式又は交代式のパターンで刺激されてよい。例えば、神経分岐点の第2の群が刺激されていない間に、神経分岐点の第1の群が刺激されてもよく、次いで、第1の群が刺激されていない間に、第2の群が刺激されてもよい。刺激のこのパターンは、2つの群の間で前後に交代されてもよい。他の実施形態は、順次式又は交代式のパターンのために、神経分岐点の第3、第4、又はそれ以上の群を取り入れてもよい。
【0043】
本発明は、動作のいかなる特定の理論にも限定されるものではないが、根神経の外側の分岐点を様々な深さで刺激することにより、根神経自体を刺激するのに通常必要となる刺激閾値が低下すると考えられる。換言すれば、本発明の装置及び方法は、根神経を刺激するのに必要な電流を減少させる、神経の深さ全体に「注ぐ(bathing)」ための技法を提供すると考えられる。これは、外側の神経分岐点(例えば求心性神経)を様々な深さで刺激することの総合的な効果により、根神経を刺激するのに必要な閾値が効果的に低下するからである。結果として、従来技術の装置及び方法を使用して通常必要となるよりも少ない電力を使用しながらも、効果的な根神経の刺激を達成することができる。更に、より高い電力消費、皮膚の振動、痛み、並びに、標的でない神経及び体部位の不必要な刺激など、従来技術の神経刺激装置に伴う不利な結果が回避され得る。更に、本発明により電力の必要量が減じられることで、電力源を交換及び/又は再充電するまで装置を使用し得る時間の長さが増すことになる。
【0044】
図11を参照すると、本発明の一実施形態において、神経刺激装置が2つのシステム450A、450Bを有している。第1のシステム450Aは、哺乳類の所定の神経を刺激できる周波数を有する第1の神経刺激波形408を発生するように適合された第1の波形発生器406と、哺乳類の組織を通過できる周波数を有する第1の搬送波形412を発生するように適合された第2の波形発生器410と、を含む。第1のシステム450Aは、第1及び第2の波形発生器406、410に電気的に結合された変調装置418であって、第1の波形408及び第1の搬送波形412を変調して変調波形420を生成するように適合された、変調装置418を含む。第2のシステム450Bは、哺乳類の所定の神経を刺激できる周波数を有する第2の神経刺激波形416を発生するように適合された第3の波形発生器414と、哺乳類の組織を通過できる周波数を有する第2の搬送波形437を発生するように適合された第4の波形発生器435と、を含む。第2のシステム450Bは、第3及び第4の波形発生器414、437に電気的に結合された第2の変調装置452であって、第2の神経刺激波形416及び第2の搬送波形437を変調して変調波形454を生成するように適合された、第2の変調装置452を含む。電極460は、2つの変調装置418、452に電気的に結合されており、変調波形を哺乳類の皮膚に印加するために、その皮膚に実質的に隣接して配置される。搬送波形412、437は好ましくは、異なる周波数を有しており、それによって、異なる深さまで組織を通過する。一実施形態において、第1のシステム450Aは200KHzの搬送波形を発生し、この搬送波形は10Hzの低周波成分によって変調される。同時に、第2のシステム450Bは300KHzの搬送波形を発生し、この搬送波形は10Hzの低周波成分によって変調される。この組み合わせの結果、異なる搬送周波数を有する2つの変調波形が生じ、それらの搬送周波数は、異なる深さで神経を刺激する。他の実施形態において、低周波波形が様々な周波数を有してもよい。
【0045】
本発明の一実施形態において、S2又はS3デルマトームの刺激は、脊髄へのS2及びS3求心性副交感神経路の活性化によって大便失禁及び/又は尿失禁を抑制するために利用され得る。S2及びS3求心性神経路を活性化すると、結果として、下腹神経の活動を促進することにより、下行結腸及び膀胱を神経支配する、遠心性の骨盤の運動神経が抑制されることが認められている。下腹神経の活動が高まると、結腸及び膀胱の弛緩が生じる。一実施形態において、神経刺激装置は、下腹神経及び陰部神経を刺激するために、それらの神経が脊柱を出る仙骨部内など、脊髄の下方のある箇所にて、S2又はS3デルマトームの上に置かれてもよい。
【0046】
一実施形態において、大便/肛門失禁の治療は、2つの電極を有する比較的小さな装置を皮膚の表面に置くことを含む。電極は、それぞれ約1cm2の表面積を有するものであり、S2〜S3の高さにて、脊椎の正中線から2cm側方の部位において中心に置かれる。組み合わされた200KHzと300KHzの正弦搬送波を10Hzの方形パルス波形で変調したものが、その部位にて伝達されて、S2〜S3の後根神経線維につながる求心性知覚神経線維を刺激する。他の実施形態において、10KHz〜400KHzの範囲内の周波数を有する搬送波など、他の周波数を有する搬送波が使用されてもよい。
【0047】
一実施形態において、神経刺激装置は、T5〜T9デルマトームのうちの1つ以上を刺激して満腹感の知覚を高めるために使用される。この場合、パッチは好ましくは、交感神経系の腹腔神経節を刺激するために、T5〜T9デルマトームを標的とするようにT5〜T9椎骨の近傍にて背中の上に置かれる。
【0048】
一実施形態において、皮膚の表面に置かれる2つの電極を有する神経刺激装置を使用して、肥満症を治療することができる。電極は、それぞれ約1cm2の表面積を有するものであり、T5〜T9の高さにて脊椎の正中線に対して約6cm側方の部位において中心に置かれ、肋骨の間に延びる。組み合わされた200KHzと300KHzの正弦搬送波を10Hzの方形パルス波形で変調したものが、その部位にて伝達されて、T5〜T9の後根神経線維につながる求心性知覚神経線維を刺激する。
【0049】
本発明の一実施形態において、神経刺激装置は、不活発な食欲障害を治療するために使用されてもよい。これは、腹腔神経節を刺激して(本明細書で開示する装置のいずれかを使用して)、胃内容排出及び食欲の原因となる副交感神経の変化を誘発することによって達成されてもよい。本発明は、動作のいかなる特定の理論にも限定されるものではないが、胃を直接神経支配する腹腔神経叢を刺激すると、空腹感を生じさせる神経インパルスを脳に発生できると考えられる。次に、神経刺激により、胃の歩調取りの活動を高め、蠕動を加速することができる。したがって、胃は迅速に空になり、そのため、空腹感を生じさせる正常な神経インパルスが発生される。
【0050】
特定の患者に対し、より強い食欲を誘発する電流強度と、パルス周波数と、パルス持続時間との組み合わせは、食欲の抑制を誘発する電流強度と、パルス周波数と、パルス持続時間との組み合わせとは異なる。所望の結果をもたらすのに必要な厳密な組み合わせは、患者ごとに異なり得るが、一般に、より長期間にわたってより強く刺激すると、腸の活動が低下して、食欲が減退し抑制される。したがって、所望の効果が食欲の抑制である場合、より高い電流強度、パルス周波数、及び/又はより長期のパルス持続時間で刺激期間をより長期にすることにより、この効果がもたらされる傾向がある。逆に、所望の効果が食欲の増進である場合、より低い電流強度、パルス周波数、及び/又はより短期のパルス持続時間にて刺激期間をより短期にすることにより、この効果がもたらされる傾向があり得る。
【0051】
図12を参照すると、本発明の一実施形態において、神経刺激装置は、埋込み型パルス発生器500を含んでもよく、埋込み型パルス発生器500は、哺乳類(例えばヒト)の身体に埋込み可能なハウジング502を有している。埋込み型パルス発生器(IPG)500は、リチウムイオン電池などの好適な電力源504と、第1の波形508を生成する第1の波形発生器506と、第1の搬送波形512を生成する第2の波形発生器510と、第2の搬送波形516を生成する第3の波形発生器514と、を含む。第1、第2、及び第3の波形発生器506、510、及び514は好ましくは、電池504に電気的に結合されており、電池504によって給電される。これらの波形発生器は、テキサス州ダラスのTexas Instrumentsによってモデル番号NE555として販売されているものなど、任意の好適なタイプであってよい。それぞれ第1の波形発生器506、第2の波形発生器510、及び第3の波形発生器514の出力は、振幅変調器518に加えられ、振幅変調器518は、これら3つの波形を変調信号パッケージ520へと変調する。「信号パッケージ」という用語は、本明細書において、任意の方式で互いに変調された2つ以上の個々の信号からなる単一の出力信号を表すために使用されている。
【0052】
第1の波形発生器506は、第1の波形508、又は、神経線維の遠位端部などの第1の選択された体部位を刺激することが既知である周波数を有する信号を発生する。一実施形態において、この周波数は、約10Hz〜400Hzであり、より好ましくは約10Hz〜30Hzの範囲内にある。上記のように、そのような低周波信号を、標的の神経を刺激するのに十分な電流密度で特定の標的の神経に到達するように身体組織に通すことは困難であることが判明している。この問題に対処するために、第2の波形発生器510は、より周波数の高い第1の搬送波形512(例えば、約10KHz〜400KHz、より好ましくは約200KHz)を発生し、第3の波形発生器514は、別の高周波の第2の搬送波形516(例えば、10KHz〜400KHz、より好ましくは約300KHz)を発生する。高周波の搬送波形512、516は、Texas Instrumentsによって販売されているOn-Semi MC1496変調器などの振幅変調器518に、第1の波形508と共に加えられる。2つの別個の搬送波形512、516は、デルマトーム領域内の異なる組織深さに神経刺激信号508を搬送する。神経刺激波形を他の深さに搬送するために、1つ以上の更なる搬送波形が加えられてもよい。
【0053】
動作中、変調器518によって発生された変調信号520は、リード線575を通じて電極522に伝送される。次に、電極522は変調信号520を標的の神経線維526A、526Bに加える。当業者には容易に理解されるように、変調信号216を使用すると、1つには搬送波形の高周波性によって低周波信号が標的の神経に感知され(かつ反応され)得ることが原因で、標的の神経線維が様々な組織深さで効率的に刺激される。他の実施形態において、埋込み型パルス発生器が、本明細書で開示する特徴又は要素ののうちのいずれかを含んでよい。
【0054】
本発明の1つ以上の実施形態において、変調信号パッケージの個々の成分は、様々な神経、様々な神経分岐点、様々な筋肉、又は選択された他の体部位を選択的に標的とするように使用されてもよい。したがって、疼痛管理、過活動膀胱、大便失禁、間質性膀胱炎、及び他の任意の骨盤底障害に伴う症状など、様々な症状を緩和するように設計された刺激信号を、単一の神経刺激装置で提供してもよい。神経刺激装置はまた、哺乳類の組織内の様々な深さで神経分岐点を標的とするように使用されてもよい。
【0055】
本明細書にて開示する本発明は、その用途又は使用法において、添付の図面及び説明に示す部品の構造及び構成の細部に限定されるものではない。本発明の例示的な実施形態は、他の実施形態、変形形態、及び修正形態に実装されても、あるいは組み込まれてもよく、また、様々な方式で遂行されても、あるいは実行されてもよい。例えば、本発明の一実施形態は、女性の神経刺激に関連して説明するが、この実施形態が男性及び小児への使用に容易に適合され得ることは理解されよう。また、本明細書で説明する本発明の原理、機器、及び方法は、分娩及び出産の間の神経の刺激など、様々な他の神経を独立に若しくは同時に刺激すること、又は、所与の神経束の分岐点を選択的に刺激して種々の患者の状態に選択的に対処することへの応用性を有し得るものである。したがって、本発明は、例えば、腹圧性尿失禁、肛門及び大便失禁、疼痛、性的機能不全、間質性膀胱炎、限定するものではないが骨盤痛などの慢性疼痛、夜尿症、並びに、限定するものではないが胃ペーシングなどの胃腸障害の状態うちの1つ以上に同時に、選択的に治療を施すか、あるいは影響を与えるために使用され得る。最終的に、本明細書で説明する本発明はまた、ホルモンを分泌する腺、物理療法に伴う二頭筋刺激などの大きな筋群など、神経以外の体部位を刺激するためにも使用され得る。
【0056】
本発明について本明細書において特定の実施形態を参照して説明してきたが、これらの実施形態は、本発明の原理及び用途を説明するものに過ぎないことが理解されよう。したがって、例示的な実施形態に対して多数の修正がなされ得ること、並びに、他の構成が本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく考案され得ることが理解されよう。
【0057】
〔実施の態様〕
(1) 神経刺激装置において、
デルマトーム内の神経を刺激できる第1の周波数を有する第1の波形を発生するように適合された第1の波形発生器と、
哺乳類の組織を通過できる第2の周波数を有する第1の搬送波形を発生するように適合された第2の波形発生器と、
前記第2の周波数とは異なるものでありかつ前記哺乳類の前記組織を通過できる第3の周波数を有する第2の搬送波形を発生するように適合された第3の波形発生器と、
前記第1、第2、及び第3の波形発生器に電気的に結合された変調器であって、前記第1の波形、前記第1の搬送波形、及び前記第2の搬送波形を変調して、前記デルマトーム内の様々な深さで前記神経を刺激できる変調信号パッケージを発生するように適合された、変調器と、
前記変調波形を前記デルマトームに印加するために前記変調器に電気的に結合された電極と、
を備える、神経刺激装置。
(2) 前記哺乳類の前記組織を通過できる第4の周波数を有する第3の搬送波形を発生するように適合された第4の波形発生器を更に備える、実施態様1に記載の神経刺激装置。
(3) 前記変調器が、前記第4の波形発生器に電気的に結合されて前記変調信号パッケージを発生する、実施態様2に記載の神経刺激装置。
(4) 前記第1の波形の前記第1の周波数が約10Hz〜約200Hzである、実施態様1に記載の神経刺激装置。
(5) 前記第1の搬送波形の前記第2の周波数が約10KHz〜約400KHzである、実施態様1に記載の神経刺激装置。
(6) 前記第1の搬送波形の前記第2の周波数が約200KHzである、実施態様5に記載の神経刺激装置。
(7) 前記第2の搬送波形の前記第3の周波数が約10KHz〜約400KHzである、実施態様1に記載の神経刺激装置。
(8) 前記第2の搬送波形の前記第3の周波数が約300KHzである、実施態様7に記載の神経刺激装置。
(9) 皮膚の上に固定可能な経皮的神経刺激パッチを備える、実施態様1に記載の神経刺激装置。
(10) 前記哺乳類に埋込み可能な電極を備える、実施態様1に記載の神経刺激装置。
【0058】
(11) 埋込み型ハウジングを含む埋込み型パルス発生器を備える、実施態様1に記載の神経刺激装置。
(12) 神経刺激装置において、
第1のシステムであって、
デルマトーム内の神経を刺激できる第1の周波数を有する第1の波形を発生するように適合された第1の波形発生器と、
哺乳類の組織を通過できる第2の周波数を有する第1の搬送波形を発生するように適合された第2の波形発生器と、
前記第1及び第2の波形発生器に電気的に結合された第1の変調器であって、前記第1の波形及び前記第1の搬送波形を変調して第1の変調波形を発生するように適合された、第1の変調器と
を含む、第1のシステムと、
第2のシステムであって、
前記第1の波形の前記第1の周波数に等しいものでありかつ前記デルマトーム内の前記神経を刺激できる第3の周波数を有する第2の波形を発生するように適合された第3の波形発生器と、
前記第2の周波数とは異なるものでありかつ前記哺乳類の前記組織を通過できる第4の周波数を有する第2の搬送波形を発生するように適合された第4の波形発生器と、
前記第3及び第4の波形発生器に電気的に結合された第2の変調器であって、前記第2の波形及び前記第2の搬送波形を変調して第2の変調波形を発生するように適合された、第2の変調器と、
を含む、第2のシステムと、
前記第1及び第2の変調波形を印加するために前記変調器に電気的に結合された電極であって、前記第1及び第2の変調波形が、前記組織内の様々な深さで前記神経を刺激するために、様々な深さで前記組織を通過するように適合される、電極と、
を備える、神経刺激装置。
(13) 前記第1の波形の前記第1の周波数が約10Hz〜約200Hzである、実施態様12に記載の神経刺激装置。
(14) 前記第1の搬送波形の前記第2の周波数が約10KHz〜約400KHzである、実施態様12に記載の神経刺激装置。
(15) 前記第2の波形の前記第3の周波数が約10Hz〜約200Hzである、実施態様12に記載の神経刺激装置。
(16) 前記第2の搬送波形の前記第4の周波数が約10KHz〜約400KHzである、実施態様12に記載の神経刺激装置。
(17) 皮膚の上に固定可能な経皮的神経刺激パッチを備える、実施態様12に記載の神経刺激装置。
(18) 埋込み型ハウジングを含む埋込み型パルス発生器を備える、実施態様12に記載の神経刺激装置。
(19) デルマトーム内の神経を様々な深さまで刺激する方法において、
前記デルマトーム内の前記神経を刺激できる第1の周波数を有する第1の波形を発生することと、
前記デルマトーム内の組織を通過できる第2の周波数を有する第1の搬送波形を発生することと、
前記第2の周波数とは異なるものでありかつ前記デルマトーム内の前記組織を通過できる第3の周波数を有する第2の搬送波形を発生することと、
前記第1の波形、前記第1の搬送波形、及び前記第2の搬送波形を組み合わせて、前記デルマトーム内の2つの異なる深さにて前記神経を刺激できる変調信号パッケージを発生することと、
前記デルマトーム内の前記神経を刺激するために前記変調波形を前記デルマトームに印加することと、
を含む、方法。
(20) 前記第2及び第3の周波数と異なるものでありかつ前記デルマトーム内の前記組織を通過できる第4の周波数を有する第3の搬送波形を発生することと、
前記第3の搬送波形を、前記第1の波形、前記第1の搬送波形、及び前記第2の搬送波形と組み合わせて、前記デルマトーム内の3つの異なる深さにて前記神経を刺激できる第2の変調信号パッケージを発生することと、を更に含む、実施態様19に記載の方法。
【0059】
(21) 前記第1の波形、前記第1の搬送波形、及び前記第2の搬送波形が同時に発生される、実施態様19に記載の方法。
(22) 前記第1の搬送波形及び前記第2の搬送波形が互いに排他的に発生される、実施態様19に記載の方法。
(23) 前記第1の波形の前記第1の周波数が約10Hz〜約200Hzであり、前記第1の搬送波形の前記第2の周波数が約10KHz〜約400KHzであり、前記第2の搬送波形の前記第3の周波数が約10KHz〜約400KHzである、実施態様19に記載の方法。
(24) 前記第1の搬送波形が前記第1の波形を前記デルマトーム内の第1の深さに搬送し、前記第2の搬送波形が前記第1の波形を前記デルマトーム内の第2の深さに搬送する、実施態様19に記載の方法。
(25) 前記変調波形を印加するために経皮的パッチ又は埋込み型装置を使用することを更に含む、実施態様19に記載の方法。
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
〔発明の分野〕
本発明は一般に、神経及び体部位を刺激することに関する。より具体的には、本発明は、治療効果を達成するように標的の神経及び体部位を刺激するために使用される神経刺激装置に関する。
【0002】
〔関連技術の説明〕
個人の健康及び幸福に影響を与え得る様々な医学的状態があり、そのような状態を医師が治療するのを助けるために多数の治療選択肢が開発されてきた。治療選択肢の数は増加しているが、そのような選択肢は多くの場合、単に対症療法的なものであり、すなわち、根本的な状態を実際に治癒させるのではなく症状を緩和するものである。実際に、状態の根本的な原因を効果的に対象とする治療プロトコルは極めて希である。
【0003】
1つの一般的な医学的状態が肥満症であり、肥満症は多くの場合、食物摂取とエネルギー消費との不均衡の結果として生じる。重篤な体重減少及び異常な食欲不振は、苦痛及び死に至り得る、同様に重大な状態である。最も知られている例は神経性食欲不振症であり、これは、古典的に若い女性に影響を与え、視床下部及び下垂体機能の病理的な変質に関連付けられる状態である。
【0004】
もう1つの不都合な医学的状態が大便失禁であり、これは、大便を直腸に保持する随意的な調節の損失に関わるものである。大便失禁は、高齢、疾病、心的外傷など、多数の原因から生じ得る。更にもう1つの状態が尿失禁である。尿失禁の一種が切迫性尿失禁であり、これは、神経学的なものに基づいており、概して排尿筋の不安定性又は「膀胱痙攣」として現れると考えられている。
【0005】
上記の医学的状態を治療するための多種多様な療法が存在する。ある療法は、食物摂取量を減らすこと及び運動を増やすことなど、行動変容を伴う。もう1つの選択肢は、例えば食欲を抑制しエネルギー消費を増加させるために、薬剤を使用することを伴う。第3の選択肢は、胃バイパス手術及び胃バンディング術などの手術を伴う。これらの治療選択肢は、上述の状態のうちの1つ以上を治療する上で非常に効果的となり得るが、これらは、大いに侵襲的となり、相当な生活様式の変更を必要とし、結果として重大な合併症をもたらすことがある。
【0006】
一般にTENSと呼ばれる経皮的電気神経刺激システムを用いて上記の状態を治療する多数の試みがなされてきた。TENS装置は、標的の神経(例えば仙骨神経)に近接して患者の体内に埋め込まれなければならない電極リード線を有するため、極めて侵襲的である。TENSに伴うもう1つの欠点は、組織のインピーダンス及びその結果として生じる信号の散逸が原因で、患者に相当な不快感を生じることなく低周波の刺激信号(陰部神経及び/又は仙骨神経を刺激するのに必要な刺激信号など)を送り込むことができる深さに制限があることである。TENSに伴う更にもう1つの欠点は、神経を刺激する上で、より高周波の信号の有効性が制限されることである。その結果として、TENS装置は、たとえ患者が耐えるとしても長期間は耐えられない非常に高度な電流強度を印加せずには、深い神経刺激を達成することができない。これらの理由により、TENSは25年間にもわたって利用されてきたにもかかわらず、より深い神経刺激において、TENSの適用はかつて商業的に成功したことがない。
【0007】
いくつかの神経刺激装置において、発生した電界は広範囲に広がり、標的の神経に加えて、標的でない筋肉及び神経に影響を与えることが観測されている。電界が広範囲に広がることにより、標的の神経における電気信号の強度が相当に低下する。標的の神経を適切に刺激するために、電気信号の強度は相当に増加されなければならない。これにより、装置はより大きな電力を電池から引き出すことが必要となる。
【0008】
他の神経刺激装置において、組織インピーダンスにより、発生した電界が組織の中に深く進むことが妨げられることが観測されている。その結果として、発生した電界は、表皮の表層にしか浸透することができず、組織の中に深く進んで、組織のより深いところに位置する神経を刺激することができない。
【0009】
したがって、体部位及び神経を刺激する、改善された装置及び方法が依然として求められている。特に、標的の神経及び体部位を効果的に刺激する一方で、標的でない神経及び体部位は刺激しない、改善された神経刺激装置が依然として求められている。更に、より侵襲性が低く、より小さな電力で効果的に動作し、それによって電力源を交換及び/又は再充電する必要を最小限にする神経刺激装置が依然として求められている。また、電力及び寸法の要件を最小限にする一方で、体組織のより深いところに位置する神経を刺激できる神経刺激装置が依然として求められている。加えて、より小さな電力を用いて神経を効果的に刺激することが可能な装置及び方法が依然として求められている。
【0010】
〔発明の概要〕
一実施形態において、本発明は、その開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる、本発明の譲受人に譲渡された2005年6月7日出願の米国特許公報第2005/0277998号(「第‘998号公報」)及び2006年1月31日出願の同第2006/0195153号(「第‘153号公報」)に開示されている装置及び方法など、より有効でかつ非侵襲的な方式で神経を刺激する神経刺激装置に関する。それらの1つ以上の実施形態において、第‘998号及び同第‘153号公報は、非侵襲的な経皮的神経刺激装置を教示しており、その経皮的神経刺激装置は、搬送波信号とパルス包絡線とを含んだ、制御された振幅変調波形を発生し伝送する。搬送波形は、組織のインピーダンスに起因する減衰を克服するのに十分な周波数のものとなるように設計される。パルス包絡線は、特定の神経を刺激するように設計された特定のパルス幅、振幅、及び形状の情報を含んでいる。第‘998号及び同第‘153号公報において開示されている装置及び方法は、標的の神経は効果的に刺激するが標的でない末梢神経及び体部位は刺激しない変調波形を発生することができる。更に、第‘998号及び同第‘153号公報において開示されている装置及び方法は、体組織内のより深いところに位置する神経を効果的に刺激することができる。
【0011】
一実施形態において、本発明は、哺乳類の皮膚内の特定のデルマトーム内に存在する所定の神経終末又は知覚神経線維を刺激するための装置及び方法を開示する。この装置は、哺乳類の所定の神経を刺激できる周波数を有する第1の波形と、哺乳類の組織を通過できる周波数を有する搬送波形を発生するように適合された第2の波形発生器と、哺乳類の組織を通過できる周波数を有する別の搬送波形を発生するように適合された第3の波形発生器と、第1、第2、及び第3の波形発生器に電気的に結合された変調装置であって、第1の波形及び搬送波形を変調して変調波形を生成するように適合された、変調装置と、変調装置に電気的に結合された電極であって、哺乳類の皮膚に実質的に隣接して配置され、変調波形をその皮膚に印加するように適合された、電極と、を含む。搬送波形は、単一のパルス包絡線に含められて同時に伝送される。第1の波形は、実質的に10Hz〜40Hzの範囲内の周波数を有しており、方形波であってもよいが、他の形状が用いられてもよい。搬送波形は、実質的に約10KHz〜400KHzの範囲内の周波数を有してもよく、また正弦波形であってもよい。搬送波形は好ましくは、互いに異なる周波数を有する。他の実施形態において、3つ以上の深さに位置する神経又は神経終末を刺激するために、神経刺激信号をデルマトーム内の様々な組織深さに搬送する3つ以上の搬送波形が発生されてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、神経刺激装置は、デルマトーム内の神経を刺激できる第1の周波数を有する第1の波形を発生するように適合された第1の波形発生器と、哺乳類の組織を通過できる第2の周波数を有する第1の搬送波形を発生するように適合された第2の波形発生器と、第2の周波数とは異なるものでありかつ哺乳類の組織を通過できる第3の周波数を有する第2の搬送波形を発生するように適合された第3の波形発生器と、を含む。この装置は望ましくは、第1、第2、及び第3の波形発生器に電気的に結合された変調器であって、第1の波形、第1の搬送波形、及び第2の搬送波形を変調して、デルマトーム内の様々な深さで神経を刺激できる変調信号パッケージを発生するように適合された、変調器を含む。この装置はまた、望ましくは、変調波形をデルマトームに印加するために、変調器に電気的に結合された電極を含む。一実施形態において、この装置は、哺乳類の組織を通過できる第4の周波数を有する第3の搬送波形を発生するように適合された第4の波形発生器を含んでもよい。この実施形態において、変調器は、変調信号パッケージを発生するために第4の波形発生器に電気的に結合されている。
【0013】
一実施形態において、第1の波形の第1の周波数は約10Hz〜200Hzである。一実施形態において、第1の搬送波形の第2の周波数は約10KHz〜400KHz、より好ましくは約200KHzである。一実施形態において、第2の搬送波形の第3の周波数は約10KHz〜400KHz、より好ましくは約300KHzである。第1及び第2の搬送波形は好ましくは、異なる周波数を有しており、その結果、第1及び第2の搬送波形は、第1の神経刺激波形をデルマトーム内の異なる深さに搬送する。
【0014】
神経刺激装置は、ヒトなどの哺乳類の皮膚の上に固定可能な経皮的神経刺激パッチを含んでもよい。一実施形態において、神経刺激装置は、哺乳類に埋込み可能な電極を含んでもよい。一実施形態において、神経刺激装置は、埋込み型ハウジングを含む埋込み型パルス発生器を含んでもよい。ハウジングは好ましくは、波形発生器と、変調器と、電力供給源と、を収容する。
【0015】
本発明の一実施形態において、神経刺激装置は第1のシステムを含み、その第1のシステムは、デルマトーム内の神経を刺激できる第1の周波数を有する第1の波形を発生するように適合された第1の波形発生器と、哺乳類の組織を通過できる第2の周波数を有する第1の搬送波形を発生するように適合された第2の波形発生器と、第1及び第2の波形発生器に電気的に結合された第1の変調器であって、第1の波形及び第1の搬送波形を変調して第1の変調波形を発生するように適合された、第1の変調器と、を有する。装置は好ましくは、第2のシステムを含み、その第2のシステムは、第1の波形の第1の周波数に等しいものでありかつデルマトーム内の神経を刺激できる第3の周波数を含む第2の波形を発生するように適合された第3の波形発生器と、第2の周波数とは異なるものでありかつ哺乳類の組織を通過できる第4の周波数を有する第2の搬送波形を発生するように適合された第4の波形発生器と、第3及び第4の波形発生器に電気的に結合された第2の変調器であって、第2の波形及び第2の搬送波形を変調して第2の変調波形を発生するように適合された、第2の変調器と、を含む。この装置はまた、望ましくは、第1及び第2の変調波形を印加するために、変調器に電気的に結合された電極を含み、その電極により、第1及び第2の変調波形は、組織内の様々な深さで組織を刺激するために、様々な深さで組織を通過するように適合される。
【0016】
本発明の一実施形態において、デルマトーム内の神経を様々な深さまで刺激する方法が、デルマトーム内の神経を刺激できる第1の周波数を有する第1の波形を発生することと、デルマトーム内の組織を通過できる第2の周波数を有する第1の搬送波形を発生することと、第2の周波数と異なるものでありかつデルマトーム内の組織を通過できる第3の周波数を有する第2の搬送波形を発生することと、を含む。その方法は望ましくは、第1の波形、第1の搬送波形、及び第2の搬送波形を組み合わせて、デルマトーム内の2つの異なる深さで神経を刺激できる変調信号パッケージを発生することと、デルマトーム内の神経を刺激するために、変調波形をデルマトームに印加することと、を含む。
【0017】
一実施形態において、方法は、第2及び第3の周波数と異なるものでありかつデルマトーム内の組織を通過できる第4の周波数を有する第3の搬送波形を発生することと、第3の搬送波形を、第1の波形、第1の搬送波形、及び第2の搬送波形と組み合わせて、デルマトーム内の3つの異なる深さで神経を刺激できる第2の変調信号パッケージを発生することと、を含むことができる。一実施形態において、第1の波形、第1の搬送波形、及び第2の搬送波形は同時に発生される。別の実施形態において、第1の搬送波形と第2の搬送波形は、互いに排他的に発生される。
【0018】
一実施形態において、第1の波形の第1の周波数は約10Hz〜200Hzであり、第1の搬送波形の第2の周波数は約10KHz〜400KHzであり、第2の搬送波形の第3の周波数は約10KHz〜400KHzである。第1の搬送波形は、第1の波形をデルマトーム内の第1の深さに搬送し、第2の搬送波形は、第1の波形をデルマトーム内の第2の深さに搬送する。
【0019】
一実施形態において、波形発生器及び電極は、パッチを皮膚に固定するために接着剤を有するパッチ装置内に配置されてもよい。一実施形態において、所定の神経終末は、T5〜T9デルマトームの交感求心性神経であってもよく、パッチは、交感神経系の腹腔神経節を刺激するために、実質的に、哺乳類の身体の胸部領域に配置されてもよい。この神経刺激技法は、肥満症の治療に用いられてもよい。別の実施形態において、所定の神経は、脊髄へのS1、S2、及びS3求心性副交感神経路であり、パッチは、実質的に、哺乳類の身体の仙骨領域に配置される。この神経刺激技法は、大便失禁及び/又は尿失禁の治療に用いられてもよい。
【0020】
本発明はまた、哺乳類のデルマトームを刺激するための方法を提供する。一実施形態において、その方法は、デルマトームを刺激できる周波数を有する波形を発生することと、信号を哺乳類の皮膚に印加することと、を含む。別の実施形態において、この方法は、デルマトームを刺激できる周波数を有する第1の波形を発生することと、哺乳類の組織を通過できる個別の周波数を有する一対の搬送波形を発生することと、第1の波形を2つの搬送波形で変調して変調信号を生成することと、変調信号を哺乳類の組織に印加することと、を含む。
【0021】
本発明のこれらの及び他の好ましい実施形態について、以下でより詳しく説明することにする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】人体に存在するデルマトーム領域を示している図。
【図1B】人体に存在するデルマトーム領域を示している図。
【図2】哺乳類の組織を通じて延びる神経終末を有する神経を示している図。
【図3A】本発明の一実施形態による神経刺激パッチの拡大図。
【図3B】組立て後の図3Aの神経刺激パッチを示している図。
【図4】本発明の別の実施形態による神経刺激パッチの拡大図。
【図5】本発明の一実施形態による、様々な深さで神経を刺激できる神経刺激装置の模式図。
【図6A】図5の装置によって発生された例示的な波形を示している図。
【図6B】図5の装置によって発生された例示的な波形を示している図。
【図7】図5の装置によって発生された例示的な波形を示している図。
【図8】本発明の一実施形態による、哺乳類の皮膚に取り付けられた神経刺激装置を示している図。
【図9】本発明の別の好ましい実施形態による神経刺激装置の模式図。
【図10】本発明の一実施形態による、哺乳類の皮膚に取り付けられた神経刺激装置を示している図。
【図11】本発明の一実施形態による神経刺激装置の模式図。
【図12】本発明の別の実施形態による神経刺激装置の模式図。
【0023】
〔詳細な説明〕
本明細書で使用する見出しは、単に編集を目的としたものであり、説明又は特許請求の範囲を限定するために使用することを意図したものではない。本願の全体を通じて使用されるとき、「してもよい(may)」という語は、義務の意味(すなわち必須を意味する)ではなく、許可の意味で使用されている(すなわち、あることを行う可能性を有することを意味する)。同様に、「含む(include、including、及びincludes)」という語は、あるものを含むが、それらに限定はされないことを意味する。理解を容易にするために、各図に共通する同様の要素を示すために、可能な限り、同様の参照符号が使用されている。
【0024】
図1A及び1Bを参照すると、デルマトーム領域は、単一の後根から発する知覚求心性神経線維を有する身体領域である。図1A及び1Bは、人体の皮膚表面に連続的な帯を形成するデルマトームを表している。図1Aは人体の前面像を示しており、図1Bは人体の後面像を示している。図2を参照すると、後根22は、脊髄神経の求心性知覚根である。後根22の遠位端部24に後根神経節26A、26Bがあり、後根神経節26A、26Bは、根22によって運ばれる神経線維のニューロン細胞体を含んでいる。これらの線維はデルマトーム領域28をなしている。特定のデルマトーム領域28内の神経終末26A、26Bを刺激すると、結果として、知覚情報が求心性神経を通じて脊髄及び脳に伝達される。この知覚情報の伝達は、肥満症及び失禁など、特定の状態を治療するために用いられてもよい。
【0025】
図3A及び3Bは、本発明の一実施形態による神経刺激装置30を示している。神経刺激装置30は、頂面34と底面36とを有する第1の層32を含む。第1の層32の底面36は、開口部40A、40Bを有する接着層38によって被覆されており、開口部40A、40Bは、接着層38を貫いて延び、活性集積電極42A及び帰還集積電極42Bを収容する。接着層38は、電極42A、42Bの形状に適合しかつ電極を患者の皮膚の表面に直接接触させる孔を含む。装置30は、対応する電極42A、42Bを被覆する電解質パッド44A、44Bを含む。電極42A、42Bは第1の層32に直接固定されてもよく、あるいは、プラスチックなどの任意の好適な材料から構成された第2の層によって適所に保持されてもよい。集積電極は、金メッキされてもよく、あるいは他の耐腐食性の金属で作られてもよい。この装置30は、可撓性の電子基板又はフレキシブル基板の第3の層46を含み、この第3の層46は、第‘998号公報に記載された電子要素のすべてを収容しており、電極42A、42Bに電気的に結合されている。フレキシブル基板46は、電池の接続を完全なものにするように、かつ電子構成部品をより小さな空間に入れるように、電池の上で折り重ねられる部分を有している。第4の層は、電池シール又はリング50によって定位置に保持され得る、任意の好適な寸法及び形状の薄膜電池48であり、上部カバー52は、絆創膏に広く使用されているプラスチック被覆などの任意の好適な被覆である。
【0026】
図3Bを参照すると、神経刺激装置30は、最上層の一部分の下にあるフォトダイオード54を含み、このフォトダイオード54は、消費電力の極めて低い通信受信器として使用され得る。このフォトダイオードは、小型で、廉価であり、非活動時の電力消費がゼロであり、REリンク(RE link)と比べてエネルギー及び空間効率の大いに高いものである。他の実施形態において、しかしながら、REリンクが使用されてもよい。装置30は、電池48A、48Bによって給電される電極42A、42Bを含み、電池48A、48Bは電池シール50A、50Bで囲まれている。2つの刺激電極42A、42Bは方側に片寄っており、結果として、装置は幾分かD字形状となっている。上部カバー52は、洗濯、入浴、及びシャワーなどの通常の活動の間に内部の構成部品を保護するために、防水性となっている。
【0027】
本発明の一実施形態において、神経刺激パッチは、2007年11月16日に出願され「Nerve Stimulation Patches and Methods for Stimulating Selected Nerves」と題された、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第11/941,508号にて開示された要素のうちの1つ以上を含んでもよく、この米国特許出願第11/941,508号の開示内容は参照によって本明細書に組み込まれる。図4を参照すると、神経刺激パッチ100は、頂面104と底面106とを有する、回路基板などの基板102を有している。回路基板102は、電気信号を発生するように適合された構成部品を装着されており、その電気信号は、身体に加えられて、1つ以上の選択された神経を刺激し得る。一実施形態において、回路基板102は、能動的構成部品及び受動的構成部品を有しており、それらの構成部品は、選択された神経を刺激するために、電気信号を発生させ、その信号を変調し、その信号を身体に加える。
【0028】
選択的神経刺激パッチ100は、パッチのエネルギー源を提供する、電池などの電力源108を含む。一実施形態において、電力源108は、好ましくは、基板の頂面104の上に固定されており、導体110の下にある。パッチ100は望ましくは、導体110と電力源108の頂面との間に設けられた導電性接着剤(図示せず)を含む。一実施形態において、導体110は、作動されると回路基板102上の構成部品に電力源108を持続的に接続する使い捨ての又は一回使用型のスイッチの一部である。最初に、導体110は好ましくは、電力源108から離間され分離されている。導体110が電力源の頂面に向かって押し付けられると、導体は電力源に(導電性接着剤を介して)接着して、回路基板及び回路基板に取り付けられた構成部品に電力を供給する。導体110は、好ましくは可撓性である。一実施形態において、この導体はスパイラル導体である。
【0029】
選択的神経刺激パッチ100は、好ましくは、回路基板102の上に組み付けられる成形上部キャップ112を含む。成形上部キャップ112は、以下でより詳細に説明するように、好ましくは透明であり、そのため、光信号が成形上部キャップを通過することができる。成形上部キャップ112の一方の端部は、成形上部キャップ112の中に形成された弱化領域114を有するのが望ましく、この弱化領域114は、電池108の上部に導体110を押し付けるために、押し下げが可能となっている。他の実施形態において、成形上部キャップ112は、上部キャップの長さ全体にわたって、均一な厚さを有していてもよい。成形上部キャップ112は、好ましくは、下にある回路基板102の形状に適合する。一実施形態において、上部キャップ112は、射出成形技法を用いて基板102の上に形成される。成形上部キャップは、硬化性の封入材料を含んでいてもよい。別の実施形態において、成形上部キャップ112は、回路基板に組み付けられる別個の部品として形成されてもよい。
【0030】
選択的神経刺激パッチ100はまた、上部キャップ112及び回路基板102の上にある上部カバー116を有している。一実施形態において、上部カバー116は、商標ゴアテックスとして販売されている材料などの防水通気性材料でできている。上部カバー116は望ましくは、導体110と位置合わせされる第1の開口部118と、基板上に設けられたLEDと位置合わせされる第2の開口部120と、パッチ100によって発生される出力信号又は波形のパラメータを調節するためのフォトダイオードなどの光スイッチと位置合わせされる第3の開口部122と、を有している。
【0031】
選択的神経刺激パッチ100はまた、回路基板102の底面106にてアクセス可能な電極(図示せず)と、それぞれの電極の上にある接着性導電性パッド124A、124Bと、を含む。一実施形態において、電極は基板に配置され、基板の底面にてアクセス可能である。回路基板の底面に電極を設けることにより、パッチ100の寸法及び/又は設置面積が最小限となっている。また、この構造により、神経刺激パッチを作るのに必要な部品の数が減少している。
【0032】
図5を参照すると、本発明の一実施形態において、神経刺激パッチなどの神経刺激装置200が回路基板202を含み、この回路基板202は、標的の神経を刺激するための電気信号を発生させる構成部品を設けられている。神経刺激パッチ200は、リチウムイオン電池などの好適な電力源204と、標的の神経又は神経終末を刺激できる比較的低い周波数を有する第1の波形208を生成する第1の波形発生器206と、哺乳類の組織を通過できる比較的高い周波数を有する第2の波形212を生成する第2の波形発生器210と、哺乳類の組織を通過できる比較的高い周波数を有する第3の波形216を生成する第3の波形発生器214と、を含む。第2及び第3の波形は好ましくは、組織の異なる深さに進むように、異なる周波数を有する搬送波形を発生する。第1、第2、及び第3の波形発生器206、210、及び214は好ましくは、電池204に電気的に結合され、電池204により給電される。これらの波形発生器は、テキサス州ダラスのTexas Instrumentsによってモデル番号NE555として販売されているものなど、任意の好適なタイプであってよい。それぞれ第1の波形発生器206、第2の波形発生器210、及び第3の波形発生器214の出力は、振幅変調器218に加えられ、振幅変調器218は、これら3つの波形を変調信号パッケージ220へと変調する。「信号パッケージ」という用語は、本明細書において、任意の方式で互いに変調された2つ以上の個々の信号からなる単一の出力信号を表すために使用されている。一実施形態において、2つの搬送波形212、216が組み合わされ(図6Bを参照)、この組み合わされた波形が、低周波の第1の波形208によって更に変調されて、哺乳類の組織の様々な深さに到達できる神経刺激信号220(図7を参照)が生成される。
【0033】
図5、6A、及び6Bを参照すると、本発明の一実施形態において、第1の波形発生器206は、第1の波形208、又は、特定のデルマトーム内の遠位側の後根神経線維などの第1の選択された体部位を刺激することが既知である周波数を有する信号を発生する。一実施形態において、第1の波形208は、約10Hz〜200Hzの周波数、より好ましくは約10Hz〜30Hzの周波数を有してもよく、これらは神経を刺激するのに好適な周波数範囲である。上記のように、これらの比較的低い周波数の信号を、標的の神経を刺激するのに十分な電流密度で特定の標的の神経に到達するように身体組織に通すことは困難であることが観測されている。この問題に対処するために、第2の波形発生器210は、約10KHz〜400KHz、より好ましくは約200KHzの、より周波数の高い第1の搬送波形212を発生し、第3の波形発生器214は、第1の搬送波形212とは異なる、別の高周波の第2の搬送波形214を発生する。例えば、一実施形態において、第2の搬送波形216は、約10KHz〜400KHz、より好ましくは約300KHzの周波数を有する。様々な周波数を有する比較的高い周波数の搬送波形を供給することにより、好ましくは、様々な深さで神経を刺激できる神経刺激信号が生成される。第1及び第2の搬送波形212、216は、Texas Instrumentsによって販売されているOn-Semi MC1496変調器などの振幅変調器218に、第1の神経刺激波形208と共に加えられる。
【0034】
一実施形態において、第1の波形208は好ましくは、約10Hz〜30Hzの周波数を有する方形波であり、第1の搬送波形212は好ましくは、約200KHzの範囲の周波数を有する正弦波信号であり、第2の搬送波形216は好ましくは、約300KHzの範囲の周波数を有する正弦波信号である。他の実施形態において、他の範囲が波形に使用されてもよい。好ましくは、第1及び第2の搬送波形212、216は、異なる周波数を有している。図6A、6B、及び7に示す信号は、単に説明を目的としたものであり、本明細書に記載する例示的な信号を忠実に表現することを意図したものではない。他の周波数が使用されてもよく、また本発明の範囲内に依然として含まれることが企図される。
【0035】
図5を参照すると、動作中、変調器218によって発生された変調信号220は電極222に伝送され、電極222は、その変調信号220をデルマトーム領域内の標的の神経に加える。当業者には容易に理解されるように、変調信号220を使用すると、搬送波形の高周波性によって低周波信号が標的の神経に感知され(かつ反応され)得るので、標的の神経が効率的に刺激される。更に、搬送波形212、216は異なる周波数を発生し、それによって、異なる深さで組織を通過する。
【0036】
図8は、哺乳類の皮膚224に張り付けられた、図5の神経刺激装置200を示している。神経刺激装置200は、図7に示す神経刺激波形220を発生する。神経刺激波形220は第1の部分を含み、その第1の部分は、第1の波形208と第1の搬送波形212との組み合わせたものであり、神経線維の第1の分岐点226Aを刺激するために、哺乳類の組織225を通過して、「A」で記された深さに到達することができる。神経刺激波形220はまた、第2の部分を有しており、その第2の部分は、第1の波形208と第2の搬送波形216との組み合わせたものであり、神経線維の第2の分岐点226Bを刺激するために、哺乳類の組織を通過して、「B」で記された深さに到達することができる。組織内の他の深さで神経を刺激するために、他の周波数を有する他の搬送波形が加えられてもよい。
【0037】
本発明は、動作のいかなる特定の理論にも限定されるものではないが、デルマトーム領域の上方における皮膚表面上の電気刺激により、後根神経節に、また最終的には後根自体に帰還する活動電位が、神経線維内に発生すると考えられる。通常のTENS装置に見受けられるものなどの、低周波(10Hz〜200Hz)及び比較的低いエネルギーレベル(10〜30マイクロアンペアの信号)のみを用いた刺激は、皮膚及び組織の電気インピーダンスがエネルギーの流れに抗するので、遠位側の後根線維のより深い分岐点に浸透することがない。皮膚は、表皮、真皮、及び皮下層を含めて様々な層でできているので、低周波信号による皮膚の電気刺激(TENS)は、結果として、周知の容量効果が原因で相当なエネルギー散逸を皮膚の上部表皮層内に生じる。インピーダンスを克服し、より深い層における神経に到達するために、より大きなエネルギーが用いられると、皮膚表面の振動など、重大な不利な状況が生じる。
【0038】
これらの組織のインピーダンスの問題を克服するため、また、より深い遠位側の後根神経線維を刺激するためには、信号の振幅が増加しなければならず、あるいは周波数が調整されてもよい。本明細書で説明するように、高周波信号は、身体の組織の中へより深く進行するが、神経を刺激することはない。しかしながら、高周波信号を低周波パルス包絡線で変調すると、神経が効果的に刺激される。つまり、変調信号を高周波搬送波と共に使用すると、電極/皮膚の境界面及び表皮の容量性層が効果的に通り抜けられ、それによって、真皮内の知覚神経終末を直接刺激することが可能となる。更に、異なる周波数(例えば200KHzと200KHz)を有する高周波搬送波形を使用すると、異なる深さで神経を刺激することが可能となる。付随する表皮効果、及び真皮内の神経終末を刺激するのに必要なエネルギーは、最小化される。
【0039】
本発明の一実施形態において、搬送波形の周波数は、デルマトーム領域の遠位側の後根神経線維の活動電位を扇動するのに十分な深さに、ただし他の末梢神経を刺激しない深さに、刺激波形を送達するように調節されてもよい。つまり、神経刺激信号の搬送周波数を変更すると、様々な深さで測定され得る様々な波形が生成される。更に、複数の重なり合う信号が、深さを増して神経根に注がれる(bathe)、特定的に規定された波形の場を生成してもよい。本発明の一実施形態において、神経刺激装置は、単一のパルス包絡線内に2つの搬送波形を発生し、一方は200KHzで、もう一方は300KHzで伝送する。これらの波形を同時に伝送することにより、波形は本質的には加算され、結果として単一の波形となる。組み合わされた新たな波形は、2つの別々の搬送波形のスペクトル成分を200KHz及び300KHzに有する。更に、低周波成分、例えば10Hzの周波数で複合波形を振幅変調することにより、結果として、パルス化された複合波形が生じる。したがって、これらの搬送波形を様々な周波数で、ただし同時に伝送して使用することにより、デルマトーム内の様々な深さで神経が刺激されてもよい。これらの波形は、皮膚表面にある後根神経線維だけでなく、様々な深さに至る、特定のデルマトーム内のすべての遠位側の後根神経線維を刺激する場を生成する。更に、搬送波形の周波数を制御することにより、神経刺激信号は、標的の神経に搬送される一方で、標的でない神経は刺激しない。本明細書で説明する変調信号を使用することにより、皮膚の中に波形を伝達することができ、また、特定のデルマトーム内の所定の神経終末によって、その波形を検出する(またその波形に反応する)ことが可能となる。
【0040】
本発明の一実施形態において、第3の搬送波形が使用されてもよい。第3の搬送波形は、上述のように最初の2つの搬送波形に加えられ、3つの別々の搬送波形のスペクトル成分を有する複合波形を生成してもよい。更に別の実施形態において、変調波形の形状は変更されてもよい。例えば、変調波形は、上述のように複数の搬送波形を有する三角波形であってもよい。
【0041】
これまでに1つの特定の実施形態について説明してきたが、好適な変調信号及び/又は信号パッケージが得られるように、適切な信号が多数の様々な方式で操作され得ることが、当業者には明らかとなろう。例えば、図9を参照すると、本発明の一実施形態において、経皮パッチ302などの神経刺激装置300が、電池304によって給電される。神経刺激装置300は、哺乳類の所定の神経を刺激できる周波数を有する第1の波形308を発生するように適合された第1の波形発生器306と、哺乳類の組織を通過できる周波数を有する第1の搬送波形312を発生するように適合された第2の波形発生器310と、哺乳類の組織を通過できる周波数を有する第2の搬送波形316を発生するように適合された第3の波形発生器314と、哺乳類の組織を通過できる周波数を有する第3の搬送波形337を発生するように適合された第4の波形発生器335とを、有している。この装置は好ましくは、第1、第2、第3、及び第4の波形発生器306、310、314、及び335に電気的に結合された変調装置318であって、第1の波形308、並びに、搬送波形312、316、及び337を変調して変調波形320を生成するように適合された、変調装置318と、変調装置318に電気的に結合された電極322であって、哺乳類の皮膚に変調波形320を加えるためにその皮膚に実質的に隣接して配置される、電極322と、を有している。
【0042】
図9及び10を参照すると、本発明の一実施形態において、神経刺激装置300は、第1の波形308と第1の搬送波形312とを組み合わせた第1の信号部分を発生しており、この第1の搬送波形312は、神経線維の第1の分岐点326Aを刺激するために、哺乳類の組織325を通過して「A」で記す深さに到達することができる。神経刺激装置300はまた、第1の波形308を第2の搬送波形316と組み合わせた第2の信号部分を発生しており、その第2の信号部分は、神経線維の第2の分岐点326Bを刺激するために、哺乳類の組織を通過して、「B」で記された深さに到達することが可能である。加えて、神経刺激装置300は、第1の波形308を第3の搬送波形337と組み合わせた第3の信号部分を発生しており、その第3の信号部分は、後根の遠位側の終末327を刺激するために、哺乳類の組織を通過して、「C」で記された深さに到達することができる。したがって、図9及び10に示す装置は、様々な深さで神経の様々な部分を刺激することができ、このことは、神経刺激治療の有効性を向上させると考えられる。一実施形態において、神経刺激信号は、様々な神経分岐点を同時に刺激するために、様々な深さに同時に伝達される。一実施形態において、神経刺激信号は、順次式又は交代式のパターンで様々な深さに伝達されてよい。別の実施形態において、各神経分岐点が様々な深さにある神経分岐点の群が、順次式又は交代式のパターンで刺激されてよい。例えば、神経分岐点の第2の群が刺激されていない間に、神経分岐点の第1の群が刺激されてもよく、次いで、第1の群が刺激されていない間に、第2の群が刺激されてもよい。刺激のこのパターンは、2つの群の間で前後に交代されてもよい。他の実施形態は、順次式又は交代式のパターンのために、神経分岐点の第3、第4、又はそれ以上の群を取り入れてもよい。
【0043】
本発明は、動作のいかなる特定の理論にも限定されるものではないが、根神経の外側の分岐点を様々な深さで刺激することにより、根神経自体を刺激するのに通常必要となる刺激閾値が低下すると考えられる。換言すれば、本発明の装置及び方法は、根神経を刺激するのに必要な電流を減少させる、神経の深さ全体に「注ぐ(bathing)」ための技法を提供すると考えられる。これは、外側の神経分岐点(例えば求心性神経)を様々な深さで刺激することの総合的な効果により、根神経を刺激するのに必要な閾値が効果的に低下するからである。結果として、従来技術の装置及び方法を使用して通常必要となるよりも少ない電力を使用しながらも、効果的な根神経の刺激を達成することができる。更に、より高い電力消費、皮膚の振動、痛み、並びに、標的でない神経及び体部位の不必要な刺激など、従来技術の神経刺激装置に伴う不利な結果が回避され得る。更に、本発明により電力の必要量が減じられることで、電力源を交換及び/又は再充電するまで装置を使用し得る時間の長さが増すことになる。
【0044】
図11を参照すると、本発明の一実施形態において、神経刺激装置が2つのシステム450A、450Bを有している。第1のシステム450Aは、哺乳類の所定の神経を刺激できる周波数を有する第1の神経刺激波形408を発生するように適合された第1の波形発生器406と、哺乳類の組織を通過できる周波数を有する第1の搬送波形412を発生するように適合された第2の波形発生器410と、を含む。第1のシステム450Aは、第1及び第2の波形発生器406、410に電気的に結合された変調装置418であって、第1の波形408及び第1の搬送波形412を変調して変調波形420を生成するように適合された、変調装置418を含む。第2のシステム450Bは、哺乳類の所定の神経を刺激できる周波数を有する第2の神経刺激波形416を発生するように適合された第3の波形発生器414と、哺乳類の組織を通過できる周波数を有する第2の搬送波形437を発生するように適合された第4の波形発生器435と、を含む。第2のシステム450Bは、第3及び第4の波形発生器414、437に電気的に結合された第2の変調装置452であって、第2の神経刺激波形416及び第2の搬送波形437を変調して変調波形454を生成するように適合された、第2の変調装置452を含む。電極460は、2つの変調装置418、452に電気的に結合されており、変調波形を哺乳類の皮膚に印加するために、その皮膚に実質的に隣接して配置される。搬送波形412、437は好ましくは、異なる周波数を有しており、それによって、異なる深さまで組織を通過する。一実施形態において、第1のシステム450Aは200KHzの搬送波形を発生し、この搬送波形は10Hzの低周波成分によって変調される。同時に、第2のシステム450Bは300KHzの搬送波形を発生し、この搬送波形は10Hzの低周波成分によって変調される。この組み合わせの結果、異なる搬送周波数を有する2つの変調波形が生じ、それらの搬送周波数は、異なる深さで神経を刺激する。他の実施形態において、低周波波形が様々な周波数を有してもよい。
【0045】
本発明の一実施形態において、S2又はS3デルマトームの刺激は、脊髄へのS2及びS3求心性副交感神経路の活性化によって大便失禁及び/又は尿失禁を抑制するために利用され得る。S2及びS3求心性神経路を活性化すると、結果として、下腹神経の活動を促進することにより、下行結腸及び膀胱を神経支配する、遠心性の骨盤の運動神経が抑制されることが認められている。下腹神経の活動が高まると、結腸及び膀胱の弛緩が生じる。一実施形態において、神経刺激装置は、下腹神経及び陰部神経を刺激するために、それらの神経が脊柱を出る仙骨部内など、脊髄の下方のある箇所にて、S2又はS3デルマトームの上に置かれてもよい。
【0046】
一実施形態において、大便/肛門失禁の治療は、2つの電極を有する比較的小さな装置を皮膚の表面に置くことを含む。電極は、それぞれ約1cm2の表面積を有するものであり、S2〜S3の高さにて、脊椎の正中線から2cm側方の部位において中心に置かれる。組み合わされた200KHzと300KHzの正弦搬送波を10Hzの方形パルス波形で変調したものが、その部位にて伝達されて、S2〜S3の後根神経線維につながる求心性知覚神経線維を刺激する。他の実施形態において、10KHz〜400KHzの範囲内の周波数を有する搬送波など、他の周波数を有する搬送波が使用されてもよい。
【0047】
一実施形態において、神経刺激装置は、T5〜T9デルマトームのうちの1つ以上を刺激して満腹感の知覚を高めるために使用される。この場合、パッチは好ましくは、交感神経系の腹腔神経節を刺激するために、T5〜T9デルマトームを標的とするようにT5〜T9椎骨の近傍にて背中の上に置かれる。
【0048】
一実施形態において、皮膚の表面に置かれる2つの電極を有する神経刺激装置を使用して、肥満症を治療することができる。電極は、それぞれ約1cm2の表面積を有するものであり、T5〜T9の高さにて脊椎の正中線に対して約6cm側方の部位において中心に置かれ、肋骨の間に延びる。組み合わされた200KHzと300KHzの正弦搬送波を10Hzの方形パルス波形で変調したものが、その部位にて伝達されて、T5〜T9の後根神経線維につながる求心性知覚神経線維を刺激する。
【0049】
本発明の一実施形態において、神経刺激装置は、不活発な食欲障害を治療するために使用されてもよい。これは、腹腔神経節を刺激して(本明細書で開示する装置のいずれかを使用して)、胃内容排出及び食欲の原因となる副交感神経の変化を誘発することによって達成されてもよい。本発明は、動作のいかなる特定の理論にも限定されるものではないが、胃を直接神経支配する腹腔神経叢を刺激すると、空腹感を生じさせる神経インパルスを脳に発生できると考えられる。次に、神経刺激により、胃の歩調取りの活動を高め、蠕動を加速することができる。したがって、胃は迅速に空になり、そのため、空腹感を生じさせる正常な神経インパルスが発生される。
【0050】
特定の患者に対し、より強い食欲を誘発する電流強度と、パルス周波数と、パルス持続時間との組み合わせは、食欲の抑制を誘発する電流強度と、パルス周波数と、パルス持続時間との組み合わせとは異なる。所望の結果をもたらすのに必要な厳密な組み合わせは、患者ごとに異なり得るが、一般に、より長期間にわたってより強く刺激すると、腸の活動が低下して、食欲が減退し抑制される。したがって、所望の効果が食欲の抑制である場合、より高い電流強度、パルス周波数、及び/又はより長期のパルス持続時間で刺激期間をより長期にすることにより、この効果がもたらされる傾向がある。逆に、所望の効果が食欲の増進である場合、より低い電流強度、パルス周波数、及び/又はより短期のパルス持続時間にて刺激期間をより短期にすることにより、この効果がもたらされる傾向があり得る。
【0051】
図12を参照すると、本発明の一実施形態において、神経刺激装置は、埋込み型パルス発生器500を含んでもよく、埋込み型パルス発生器500は、哺乳類(例えばヒト)の身体に埋込み可能なハウジング502を有している。埋込み型パルス発生器(IPG)500は、リチウムイオン電池などの好適な電力源504と、第1の波形508を生成する第1の波形発生器506と、第1の搬送波形512を生成する第2の波形発生器510と、第2の搬送波形516を生成する第3の波形発生器514と、を含む。第1、第2、及び第3の波形発生器506、510、及び514は好ましくは、電池504に電気的に結合されており、電池504によって給電される。これらの波形発生器は、テキサス州ダラスのTexas Instrumentsによってモデル番号NE555として販売されているものなど、任意の好適なタイプであってよい。それぞれ第1の波形発生器506、第2の波形発生器510、及び第3の波形発生器514の出力は、振幅変調器518に加えられ、振幅変調器518は、これら3つの波形を変調信号パッケージ520へと変調する。「信号パッケージ」という用語は、本明細書において、任意の方式で互いに変調された2つ以上の個々の信号からなる単一の出力信号を表すために使用されている。
【0052】
第1の波形発生器506は、第1の波形508、又は、神経線維の遠位端部などの第1の選択された体部位を刺激することが既知である周波数を有する信号を発生する。一実施形態において、この周波数は、約10Hz〜400Hzであり、より好ましくは約10Hz〜30Hzの範囲内にある。上記のように、そのような低周波信号を、標的の神経を刺激するのに十分な電流密度で特定の標的の神経に到達するように身体組織に通すことは困難であることが判明している。この問題に対処するために、第2の波形発生器510は、より周波数の高い第1の搬送波形512(例えば、約10KHz〜400KHz、より好ましくは約200KHz)を発生し、第3の波形発生器514は、別の高周波の第2の搬送波形516(例えば、10KHz〜400KHz、より好ましくは約300KHz)を発生する。高周波の搬送波形512、516は、Texas Instrumentsによって販売されているOn-Semi MC1496変調器などの振幅変調器518に、第1の波形508と共に加えられる。2つの別個の搬送波形512、516は、デルマトーム領域内の異なる組織深さに神経刺激信号508を搬送する。神経刺激波形を他の深さに搬送するために、1つ以上の更なる搬送波形が加えられてもよい。
【0053】
動作中、変調器518によって発生された変調信号520は、リード線575を通じて電極522に伝送される。次に、電極522は変調信号520を標的の神経線維526A、526Bに加える。当業者には容易に理解されるように、変調信号216を使用すると、1つには搬送波形の高周波性によって低周波信号が標的の神経に感知され(かつ反応され)得ることが原因で、標的の神経線維が様々な組織深さで効率的に刺激される。他の実施形態において、埋込み型パルス発生器が、本明細書で開示する特徴又は要素ののうちのいずれかを含んでよい。
【0054】
本発明の1つ以上の実施形態において、変調信号パッケージの個々の成分は、様々な神経、様々な神経分岐点、様々な筋肉、又は選択された他の体部位を選択的に標的とするように使用されてもよい。したがって、疼痛管理、過活動膀胱、大便失禁、間質性膀胱炎、及び他の任意の骨盤底障害に伴う症状など、様々な症状を緩和するように設計された刺激信号を、単一の神経刺激装置で提供してもよい。神経刺激装置はまた、哺乳類の組織内の様々な深さで神経分岐点を標的とするように使用されてもよい。
【0055】
本明細書にて開示する本発明は、その用途又は使用法において、添付の図面及び説明に示す部品の構造及び構成の細部に限定されるものではない。本発明の例示的な実施形態は、他の実施形態、変形形態、及び修正形態に実装されても、あるいは組み込まれてもよく、また、様々な方式で遂行されても、あるいは実行されてもよい。例えば、本発明の一実施形態は、女性の神経刺激に関連して説明するが、この実施形態が男性及び小児への使用に容易に適合され得ることは理解されよう。また、本明細書で説明する本発明の原理、機器、及び方法は、分娩及び出産の間の神経の刺激など、様々な他の神経を独立に若しくは同時に刺激すること、又は、所与の神経束の分岐点を選択的に刺激して種々の患者の状態に選択的に対処することへの応用性を有し得るものである。したがって、本発明は、例えば、腹圧性尿失禁、肛門及び大便失禁、疼痛、性的機能不全、間質性膀胱炎、限定するものではないが骨盤痛などの慢性疼痛、夜尿症、並びに、限定するものではないが胃ペーシングなどの胃腸障害の状態うちの1つ以上に同時に、選択的に治療を施すか、あるいは影響を与えるために使用され得る。最終的に、本明細書で説明する本発明はまた、ホルモンを分泌する腺、物理療法に伴う二頭筋刺激などの大きな筋群など、神経以外の体部位を刺激するためにも使用され得る。
【0056】
本発明について本明細書において特定の実施形態を参照して説明してきたが、これらの実施形態は、本発明の原理及び用途を説明するものに過ぎないことが理解されよう。したがって、例示的な実施形態に対して多数の修正がなされ得ること、並びに、他の構成が本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく考案され得ることが理解されよう。
【0057】
〔実施の態様〕
(1) 神経刺激装置において、
デルマトーム内の神経を刺激できる第1の周波数を有する第1の波形を発生するように適合された第1の波形発生器と、
哺乳類の組織を通過できる第2の周波数を有する第1の搬送波形を発生するように適合された第2の波形発生器と、
前記第2の周波数とは異なるものでありかつ前記哺乳類の前記組織を通過できる第3の周波数を有する第2の搬送波形を発生するように適合された第3の波形発生器と、
前記第1、第2、及び第3の波形発生器に電気的に結合された変調器であって、前記第1の波形、前記第1の搬送波形、及び前記第2の搬送波形を変調して、前記デルマトーム内の様々な深さで前記神経を刺激できる変調信号パッケージを発生するように適合された、変調器と、
前記変調波形を前記デルマトームに印加するために前記変調器に電気的に結合された電極と、
を備える、神経刺激装置。
(2) 前記哺乳類の前記組織を通過できる第4の周波数を有する第3の搬送波形を発生するように適合された第4の波形発生器を更に備える、実施態様1に記載の神経刺激装置。
(3) 前記変調器が、前記第4の波形発生器に電気的に結合されて前記変調信号パッケージを発生する、実施態様2に記載の神経刺激装置。
(4) 前記第1の波形の前記第1の周波数が約10Hz〜約200Hzである、実施態様1に記載の神経刺激装置。
(5) 前記第1の搬送波形の前記第2の周波数が約10KHz〜約400KHzである、実施態様1に記載の神経刺激装置。
(6) 前記第1の搬送波形の前記第2の周波数が約200KHzである、実施態様5に記載の神経刺激装置。
(7) 前記第2の搬送波形の前記第3の周波数が約10KHz〜約400KHzである、実施態様1に記載の神経刺激装置。
(8) 前記第2の搬送波形の前記第3の周波数が約300KHzである、実施態様7に記載の神経刺激装置。
(9) 皮膚の上に固定可能な経皮的神経刺激パッチを備える、実施態様1に記載の神経刺激装置。
(10) 前記哺乳類に埋込み可能な電極を備える、実施態様1に記載の神経刺激装置。
【0058】
(11) 埋込み型ハウジングを含む埋込み型パルス発生器を備える、実施態様1に記載の神経刺激装置。
(12) 神経刺激装置において、
第1のシステムであって、
デルマトーム内の神経を刺激できる第1の周波数を有する第1の波形を発生するように適合された第1の波形発生器と、
哺乳類の組織を通過できる第2の周波数を有する第1の搬送波形を発生するように適合された第2の波形発生器と、
前記第1及び第2の波形発生器に電気的に結合された第1の変調器であって、前記第1の波形及び前記第1の搬送波形を変調して第1の変調波形を発生するように適合された、第1の変調器と
を含む、第1のシステムと、
第2のシステムであって、
前記第1の波形の前記第1の周波数に等しいものでありかつ前記デルマトーム内の前記神経を刺激できる第3の周波数を有する第2の波形を発生するように適合された第3の波形発生器と、
前記第2の周波数とは異なるものでありかつ前記哺乳類の前記組織を通過できる第4の周波数を有する第2の搬送波形を発生するように適合された第4の波形発生器と、
前記第3及び第4の波形発生器に電気的に結合された第2の変調器であって、前記第2の波形及び前記第2の搬送波形を変調して第2の変調波形を発生するように適合された、第2の変調器と、
を含む、第2のシステムと、
前記第1及び第2の変調波形を印加するために前記変調器に電気的に結合された電極であって、前記第1及び第2の変調波形が、前記組織内の様々な深さで前記神経を刺激するために、様々な深さで前記組織を通過するように適合される、電極と、
を備える、神経刺激装置。
(13) 前記第1の波形の前記第1の周波数が約10Hz〜約200Hzである、実施態様12に記載の神経刺激装置。
(14) 前記第1の搬送波形の前記第2の周波数が約10KHz〜約400KHzである、実施態様12に記載の神経刺激装置。
(15) 前記第2の波形の前記第3の周波数が約10Hz〜約200Hzである、実施態様12に記載の神経刺激装置。
(16) 前記第2の搬送波形の前記第4の周波数が約10KHz〜約400KHzである、実施態様12に記載の神経刺激装置。
(17) 皮膚の上に固定可能な経皮的神経刺激パッチを備える、実施態様12に記載の神経刺激装置。
(18) 埋込み型ハウジングを含む埋込み型パルス発生器を備える、実施態様12に記載の神経刺激装置。
(19) デルマトーム内の神経を様々な深さまで刺激する方法において、
前記デルマトーム内の前記神経を刺激できる第1の周波数を有する第1の波形を発生することと、
前記デルマトーム内の組織を通過できる第2の周波数を有する第1の搬送波形を発生することと、
前記第2の周波数とは異なるものでありかつ前記デルマトーム内の前記組織を通過できる第3の周波数を有する第2の搬送波形を発生することと、
前記第1の波形、前記第1の搬送波形、及び前記第2の搬送波形を組み合わせて、前記デルマトーム内の2つの異なる深さにて前記神経を刺激できる変調信号パッケージを発生することと、
前記デルマトーム内の前記神経を刺激するために前記変調波形を前記デルマトームに印加することと、
を含む、方法。
(20) 前記第2及び第3の周波数と異なるものでありかつ前記デルマトーム内の前記組織を通過できる第4の周波数を有する第3の搬送波形を発生することと、
前記第3の搬送波形を、前記第1の波形、前記第1の搬送波形、及び前記第2の搬送波形と組み合わせて、前記デルマトーム内の3つの異なる深さにて前記神経を刺激できる第2の変調信号パッケージを発生することと、を更に含む、実施態様19に記載の方法。
【0059】
(21) 前記第1の波形、前記第1の搬送波形、及び前記第2の搬送波形が同時に発生される、実施態様19に記載の方法。
(22) 前記第1の搬送波形及び前記第2の搬送波形が互いに排他的に発生される、実施態様19に記載の方法。
(23) 前記第1の波形の前記第1の周波数が約10Hz〜約200Hzであり、前記第1の搬送波形の前記第2の周波数が約10KHz〜約400KHzであり、前記第2の搬送波形の前記第3の周波数が約10KHz〜約400KHzである、実施態様19に記載の方法。
(24) 前記第1の搬送波形が前記第1の波形を前記デルマトーム内の第1の深さに搬送し、前記第2の搬送波形が前記第1の波形を前記デルマトーム内の第2の深さに搬送する、実施態様19に記載の方法。
(25) 前記変調波形を印加するために経皮的パッチ又は埋込み型装置を使用することを更に含む、実施態様19に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経刺激装置において、
デルマトーム内の神経を刺激できる第1の周波数を有する第1の波形を発生するように適合された第1の波形発生器と、
哺乳類の組織を通過できる第2の周波数を有する第1の搬送波形を発生するように適合された第2の波形発生器と、
前記第2の周波数とは異なるものでありかつ前記哺乳類の前記組織を通過できる第3の周波数を有する第2の搬送波形を発生するように適合された第3の波形発生器と、
前記第1、第2、及び第3の波形発生器に電気的に結合された変調器であって、前記第1の波形、前記第1の搬送波形、及び前記第2の搬送波形を変調して、前記デルマトーム内の様々な深さで前記神経を刺激できる変調信号パッケージを発生するように適合された、変調器と、
前記変調波形を前記デルマトームに印加するために前記変調器に電気的に結合された電極と、
を備える、神経刺激装置。
【請求項2】
前記哺乳類の前記組織を通過できる第4の周波数を有する第3の搬送波形を発生するように適合された第4の波形発生器を更に備える、請求項1に記載の神経刺激装置。
【請求項3】
前記変調器が、前記第4の波形発生器に電気的に結合されて前記変調信号パッケージを発生する、請求項2に記載の神経刺激装置。
【請求項4】
前記第1の波形の前記第1の周波数が約10Hz〜約200Hzである、請求項1に記載の神経刺激装置。
【請求項5】
前記第1の搬送波形の前記第2の周波数が約10KHz〜約400KHzである、請求項1に記載の神経刺激装置。
【請求項6】
前記第1の搬送波形の前記第2の周波数が約200KHzである、請求項5に記載の神経刺激装置。
【請求項7】
前記第2の搬送波形の前記第3の周波数が約10KHz〜約400KHzである、請求項1に記載の神経刺激装置。
【請求項8】
前記第2の搬送波形の前記第3の周波数が約300KHzである、請求項7に記載の神経刺激装置。
【請求項9】
皮膚の上に固定可能な経皮的神経刺激パッチを備える、請求項1に記載の神経刺激装置。
【請求項10】
前記哺乳類に埋込み可能な電極を備える、請求項1に記載の神経刺激装置。
【請求項11】
埋込み型ハウジングを含む埋込み型パルス発生器を備える、請求項1に記載の神経刺激装置。
【請求項12】
神経刺激装置において、
第1のシステムであって、
デルマトーム内の神経を刺激できる第1の周波数を有する第1の波形を発生するように適合された第1の波形発生器と、
哺乳類の組織を通過できる第2の周波数を有する第1の搬送波形を発生するように適合された第2の波形発生器と、
前記第1及び第2の波形発生器に電気的に結合された第1の変調器であって、前記第1の波形及び前記第1の搬送波形を変調して第1の変調波形を発生するように適合された、第1の変調器と
を含む、第1のシステムと、
第2のシステムであって、
前記第1の波形の前記第1の周波数に等しいものでありかつ前記デルマトーム内の前記神経を刺激できる第3の周波数を有する第2の波形を発生するように適合された第3の波形発生器と、
前記第2の周波数とは異なるものでありかつ前記哺乳類の前記組織を通過できる第4の周波数を有する第2の搬送波形を発生するように適合された第4の波形発生器と、
前記第3及び第4の波形発生器に電気的に結合された第2の変調器であって、前記第2の波形及び前記第2の搬送波形を変調して第2の変調波形を発生するように適合された、第2の変調器と、
を含む、第2のシステムと、
前記第1及び第2の変調波形を印加するために前記変調器に電気的に結合された電極であって、前記第1及び第2の変調波形が、前記組織内の様々な深さで前記神経を刺激するために、様々な深さで前記組織を通過するように適合される、電極と、
を備える、神経刺激装置。
【請求項13】
前記第1の波形の前記第1の周波数が約10Hz〜約200Hzである、請求項12に記載の神経刺激装置。
【請求項14】
前記第1の搬送波形の前記第2の周波数が約10KHz〜約400KHzである、請求項12に記載の神経刺激装置。
【請求項15】
前記第2の波形の前記第3の周波数が約10Hz〜約200Hzである、請求項12に記載の神経刺激装置。
【請求項16】
前記第2の搬送波形の前記第4の周波数が約10KHz〜約400KHzである、請求項12に記載の神経刺激装置。
【請求項17】
皮膚の上に固定可能な経皮的神経刺激パッチを備える、請求項12に記載の神経刺激装置。
【請求項18】
埋込み型ハウジングを含む埋込み型パルス発生器を備える、請求項12に記載の神経刺激装置。
【請求項1】
神経刺激装置において、
デルマトーム内の神経を刺激できる第1の周波数を有する第1の波形を発生するように適合された第1の波形発生器と、
哺乳類の組織を通過できる第2の周波数を有する第1の搬送波形を発生するように適合された第2の波形発生器と、
前記第2の周波数とは異なるものでありかつ前記哺乳類の前記組織を通過できる第3の周波数を有する第2の搬送波形を発生するように適合された第3の波形発生器と、
前記第1、第2、及び第3の波形発生器に電気的に結合された変調器であって、前記第1の波形、前記第1の搬送波形、及び前記第2の搬送波形を変調して、前記デルマトーム内の様々な深さで前記神経を刺激できる変調信号パッケージを発生するように適合された、変調器と、
前記変調波形を前記デルマトームに印加するために前記変調器に電気的に結合された電極と、
を備える、神経刺激装置。
【請求項2】
前記哺乳類の前記組織を通過できる第4の周波数を有する第3の搬送波形を発生するように適合された第4の波形発生器を更に備える、請求項1に記載の神経刺激装置。
【請求項3】
前記変調器が、前記第4の波形発生器に電気的に結合されて前記変調信号パッケージを発生する、請求項2に記載の神経刺激装置。
【請求項4】
前記第1の波形の前記第1の周波数が約10Hz〜約200Hzである、請求項1に記載の神経刺激装置。
【請求項5】
前記第1の搬送波形の前記第2の周波数が約10KHz〜約400KHzである、請求項1に記載の神経刺激装置。
【請求項6】
前記第1の搬送波形の前記第2の周波数が約200KHzである、請求項5に記載の神経刺激装置。
【請求項7】
前記第2の搬送波形の前記第3の周波数が約10KHz〜約400KHzである、請求項1に記載の神経刺激装置。
【請求項8】
前記第2の搬送波形の前記第3の周波数が約300KHzである、請求項7に記載の神経刺激装置。
【請求項9】
皮膚の上に固定可能な経皮的神経刺激パッチを備える、請求項1に記載の神経刺激装置。
【請求項10】
前記哺乳類に埋込み可能な電極を備える、請求項1に記載の神経刺激装置。
【請求項11】
埋込み型ハウジングを含む埋込み型パルス発生器を備える、請求項1に記載の神経刺激装置。
【請求項12】
神経刺激装置において、
第1のシステムであって、
デルマトーム内の神経を刺激できる第1の周波数を有する第1の波形を発生するように適合された第1の波形発生器と、
哺乳類の組織を通過できる第2の周波数を有する第1の搬送波形を発生するように適合された第2の波形発生器と、
前記第1及び第2の波形発生器に電気的に結合された第1の変調器であって、前記第1の波形及び前記第1の搬送波形を変調して第1の変調波形を発生するように適合された、第1の変調器と
を含む、第1のシステムと、
第2のシステムであって、
前記第1の波形の前記第1の周波数に等しいものでありかつ前記デルマトーム内の前記神経を刺激できる第3の周波数を有する第2の波形を発生するように適合された第3の波形発生器と、
前記第2の周波数とは異なるものでありかつ前記哺乳類の前記組織を通過できる第4の周波数を有する第2の搬送波形を発生するように適合された第4の波形発生器と、
前記第3及び第4の波形発生器に電気的に結合された第2の変調器であって、前記第2の波形及び前記第2の搬送波形を変調して第2の変調波形を発生するように適合された、第2の変調器と、
を含む、第2のシステムと、
前記第1及び第2の変調波形を印加するために前記変調器に電気的に結合された電極であって、前記第1及び第2の変調波形が、前記組織内の様々な深さで前記神経を刺激するために、様々な深さで前記組織を通過するように適合される、電極と、
を備える、神経刺激装置。
【請求項13】
前記第1の波形の前記第1の周波数が約10Hz〜約200Hzである、請求項12に記載の神経刺激装置。
【請求項14】
前記第1の搬送波形の前記第2の周波数が約10KHz〜約400KHzである、請求項12に記載の神経刺激装置。
【請求項15】
前記第2の波形の前記第3の周波数が約10Hz〜約200Hzである、請求項12に記載の神経刺激装置。
【請求項16】
前記第2の搬送波形の前記第4の周波数が約10KHz〜約400KHzである、請求項12に記載の神経刺激装置。
【請求項17】
皮膚の上に固定可能な経皮的神経刺激パッチを備える、請求項12に記載の神経刺激装置。
【請求項18】
埋込み型ハウジングを含む埋込み型パルス発生器を備える、請求項12に記載の神経刺激装置。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2011−505981(P2011−505981A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538089(P2010−538089)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/086031
【国際公開番号】WO2009/079270
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/086031
【国際公開番号】WO2009/079270
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]