説明

デングウイルスの複数のサブタイプに対する新規ワクチン

本発明の態様は、哺乳類内でデングウイルスの2種以上のサブタイプに対する免疫反応を誘発するポリペプチドを発現させることができる核酸コンストラクト、及びその使用方法に関する。さらに、哺乳類内でデングウイルスの複数のサブタイプに対する免疫反応を生じさせることができるDNAプラスミドワクチンであって、DNAプラスミドと製薬上許容できる賦形剤とを含むDNAプラスミドワクチン、及びその使用方法が存在する。当該DNAプラスミドは、哺乳類内で免疫反応を誘発するのに有効な量の共通デング抗原を哺乳類の細胞内で発現させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2008年1月11日出願の米国仮出願第61/020,490号の利益を請求し、その全文を参照することにより本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、改善されたデングワクチン、免疫反応を誘導するための、並びに個体をデングウイルスに対して予防的に及び/又は治療的に免疫するための改善された方法に関する。
【背景技術】
【0003】
デングウイルス(DENV)は、デング熱(DF)及び重篤な生命を脅かす疾病であるデング出血熱/デング熱ショック症候群(DHF/DSS)を引き起こす新興蚊媒介病原体である。DENVは、フラビウイルス科のフラビウイルス属に属する、小さな、エンベロープを有する、プラス鎖RNAウイルスである。4種の異なるサブタイプ又は血清型のデングウイルス(DV−1〜DV−4)が、ネッタイシマカ及びヒトスジシマカ種の蚊にかまれることを通してヒトに伝染する。毎年5000万〜1億例のDF及び250,000〜500000例のDHFが発生すると推定されている。世界の人口の5分の2がデング熱の流行地で生活しており、年間5000万〜1億例のデング熱感染が発生しているため、デング熱は重要な国際的公衆衛生問題となっている。さらに、25億人が、有効な介入の存在しない、世界の亜熱帯及び熱帯地方において、感染する危険性がある。
【0004】
100を超える熱帯の国々が風土性のデングウイルス感染症を有しており、DHFは60を超えるこれらの国々で記録されている。DF/DHFのサーベイランスは大部分の国で不満足なものであり、過去において主にDHFに焦点をあてたものである;よって毎年発生するDFの数は推定でしかあり得ない。しかしながら、1998年に、アジア及びアメリカ全体で広範囲にわたって病気が流行し、120万例を超えるDF/DHFが世界保健機関(WHO)に報告された。DHFの地球的規模の報告は、過去20年間で平均して5倍増加している。21世紀の初頭には、流行の活動性に応じて、毎年5000万〜1億例のDF及び数十万例のDHFが発生すると推定される。国によって致死率(CFR)は変動するが、ある国では10〜15%と高く、他の国では1%未満である場合もある。
【0005】
デングウイルスには4種のサブタイプ:デング−1(DV−1)、デング−2(DV−2)、デング−3(DV−3)、及びデング−4(DV−4)が存在する。これらのサブタイプはそれぞれ、フラビウイルス科内で抗原性の異なるサブグループを形成する。それらは10個のタンパク質:3つの構造タンパク質と7個の非構造タンパク質をコード化している、エンベロープを有するRNAウイルスである。構造タンパク質は、カプシド(C)、エンベロープ(E)、及び前膜前駆体(preM)である。DVの細胞内ライフサイクルは、ウイルスの細胞内への受容体媒介エンドサイトーシスから始まり、続いてウイルスエンベロープタンパク質が後期エンドソーム膜と融合し、これにより複製のためにウイルスゲノムが細胞質に放出される。
【0006】
DVによる感染は、無症候性である場合もあり、又は発熱、悪寒、前頭部痛、筋肉痛、関節痛、及び発疹を特徴とする場合もある。続いて異なる血清型に感染すると、血漿漏出又は出血(デング出血熱)及びショック(デング熱ショック症候群)を伴う、より重篤な疾患の徴候が生じる場合がある。DENV感染の病原性を理解するために、長年にわたって広範囲な研究が行われてきたが、特異的抗DV化合物の開発はほとんど進展していない。現在、米国で承認されているデング感染に対する特異的抗ウイルス剤又はワクチンは存在しない。
【0007】
成熟デングウイルス粒子の表面上に存在する主な構造タンパク質である、エンベロープ(E)グリコシル化タンパク質は、I型内在性膜タンパク質である。成熟デングのEタンパク質は、逆平列方式で(頭−尾配向)ホモダイマーを形成することが実証されている。各モノマーは3つの異なるドメイン、つまりドメインI(DI、主要なN−末端ドメイン)、ドメインII(DII、二量体化ドメイン)、及びドメインIII(DIII、免疫グロブリン(Ig)様C−末端タンパク質)に折り畳まれる。Eタンパク質のDIIIドメインは、C末端の100アミノ酸(残基303〜395)から成る。このドメインは、受容体認識及び結合ドメインであることが示唆されている。DIIIタンパク質に存在するIg様折り畳みは、一般的に付着機能を有する構造に会合する。このドメインは、先端がEタンパク質の他の部分のいずれよりも、ウイルス粒子表面からさらに突出した状態で、ウイルス表面に対して垂直に延在する。加えて、組み換えDIIIタンパク質及びフラビウイルスのEタンパク質のDIIIに対して生成された抗体はともに、標的細胞内へのフラビウイルスの侵入を阻害し得ることが研究により実証されている。さらに、Eタンパク質のDIIIに突然変異を有するフラビウイルスは、弱毒性、又は免疫中和を免れる能力を示す。
【0008】
デングウイルス感染に対する安全かつ有効なワクチンの開発は、依然として主な公衆衛生の目的である。デングウイルスに対する免疫と主に関連のあるのが中和抗体の存在であると考えられるならば、ワクチン候補を比較し、最適化するための必須条件は、ワクチンにより誘発される中和抗体反応を正確に測定する能力である。4種全ての血清型に由来する弱毒化生ウイルスを含有するワクチンの組み合わせは、いくつかの合併症を生じさせることが示されている(Guy B, Almond JW, Comp Immunol Microbiol Infect Dis. 2008 Mar;31(2-3):239-52)。さらに、デング抗原のアデノウイルスに基づいた送達に関する報告がわずかしかない。それにもかかわらず、アデノウイルス系に関してよく認識されている問題は、人口の大部分がアデノウイルスの1種に対する抗体を有することが知られており、このような既存の抗体がこれらのアデノ由来ワクチンを無効にする可能性があることである。
【0009】
したがって、複数の、好ましくはデングウイルスの4種の血清型全てに対する広い免疫、又は普遍的免疫を提供するワクチン、好ましくは全ての血清型にわたる経済的かつ有効なワクチンの開発が依然として必要である。さらに、予防的に又は治療的に、デングウイルスに対する免疫を提供するために、DNAワクチン又はDNAプラスミドワクチンのようなワクチンを投与する有効な方法も依然として必要である。
【発明の概要】
【0010】
本発明の1つの態様は、デングウイルスの2種以上のサブタイプに対して、哺乳類内で免疫反応を誘発するポリペプチドを発現させることができる核酸コンストラクトを提供する。核酸コンストラクトは、コード化ヌクレオチド配列と、前記コード化ヌクレオチド配列に機能的に連結しているプロモータとを含む。該コード化ヌクレオチド配列は、少なくとも2種の異なるデングウイルスサブタイプに由来するエンベロープタンパク質のドメインIII(DIIIドメイン又はDIII)を含むポリペプチドを発現させる。該プロモータは、哺乳類内における該ポリペプチドの発現を調節する。
【0011】
本発明の別の態様は、哺乳類内でデングウイルスの複数のサブタイプに対する免疫反応を生じさせ得るDNAプラスミドワクチンを提供する。DNAプラスミドワクチンは、哺乳類内で共通デング抗原を発現させ得るDNAプラスミドと、製薬上許容できる賦形剤とを含む。DNAプラスミドは、共通デングDIII抗原をコード化するコード配列に機能的に連結しているプロモータを含む。共通デング抗原は、デングウイルス−サブタイプ1、デングウイルス−サブタイプ2、デングウイルス−サブタイプ3、又はデングウイルス−サブタイプ4の共通DIIIドメインを含む。
【0012】
本発明の別の態様は、DNAプラスミドワクチンを哺乳類の組織に送達することを含む工程であって、前記DNAプラスミドワクチンが、哺乳類内で免疫反応を誘発するために、哺乳類の細胞内でウイルスの複数のサブタイプに由来する複数の共通抗原を発現させることができるDNAプラスミドを含み、前記複数の共通抗原がウイルスの少なくとも2種の異なるサブタイプに由来する抗原ドメインを含む工程と、定電流でエネルギーのパルスを用いて組織の細胞を電気穿孔処理して、DNAプラスミドの細胞への侵入を可能にする工程と、を含む、哺乳類内でウイルスの複数のサブタイプに対する免疫反応を誘発する方法を提供する。
【0013】
本発明の多くの目的及び利点は、添付図面を参照することにより、当業者がより理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】デングウイルスエンベロープの3次元高次構造モデルとともに、デングウイルスゲノムの構成の概略図を示す。
【図2】4種のデングサブタイプ全てに由来するDIIIドメイン及びユニバーサルDIIIバンドを示すゲル写真を示す。
【図3】ヒトコドン最適化ユニバーサルデングDIII(DV−U)の構成及びDV−U−DIIIの共通アミノ酸配列を示す。
【図4a】それぞれが1種のサブタイプのDIIIドメインを有する4種のプラスミドのプラスミドマップを示す。
【図4b】DV−U−DIIIを含むプラスミドのプラスミドマップを示す。
【図5】4種のサブタイプ全てに由来する、DIIIを発現している細胞におけるDIIIのmRNA転写産物、及びpVAXにクローニングされたDV−U断片のゲル写真を示す。
【図6】RD細胞内の、FLAGGED−エピトープを有する、DV DIIIワクチンコンストラクトの発現の間接免疫蛍光分析(IFA)の写真を示す。
【図7】DIII産物のインビトロ翻訳を示すゲル写真である。
【図8】大腸菌溶菌液及びDIII産物を検出するNiカラム精製したサンプルのSDS−PAGEゲルを示す。
【図9】DVのワクチン接種スキームのタイムラインを示す。
【図10】pDV−U−DIIIを接種されたマウスに由来する抗DIII血清と、Ni−コーティングされたELISAプレート上に捕捉されたDV−1〜DV−4からのDIII抗原との間の特異的反応を示す、スペクトル値の棒グラフを示す。
【図11】pDV−U−DIIIを接種したマウスに由来する抗DIII血清を用いたウェスタンブロット分析による、DIIIタンパク質の免疫検出を示すゲル写真を示す。
【図12】pDV−U−DIIIを接種したマウスに由来する抗DIII血清を用いた、個々の及び複合DIIIドメインの特異的染色を示す写真を示す。
【図13】pDV−U−DIIIを接種したマウスに由来する血清による、DV−2に感染したVero細胞の染色を示す写真を示す。
【図14】DV−2に対する中和抗体力価を示す棒グラフを示す。
【図15】pDV−U−DIII血清による、デングウイルスに感染した細胞の染色を示す写真を示す。
【図16】4種全てのデングサブタイプに対するDV−U−DIII血清の中和効果を示すグラフを示す。
【図17】B細胞ELIスポットアッセイ:pDV−U−DIIIによる抗DIII抗体分泌細胞の誘導の結果を示すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の簡潔にした、又は短縮した定義を、本発明の好ましい実施形態の理解を助けるために提供する。本明細書に提供される簡潔した定義は、決して排他的ではなく、技術分野又は辞書の意味において理解される定義とも矛盾しない。簡潔にした定義は、当該技術分野において知られている定義を補足する又はより明確に定義するために本明細書に提供される。
【0016】
定義
本明細書で使用するとき、ヌクレオチド及びアミノ酸の配列相同性は、FASTA、BLAST、及びGapped BLAST(Altschul et al.,Nuc.Acids Res.,1997,25,3389、この全文は参照することにより本明細書に組み込まれる)、及びPAUP* 4.0b10ソフトウェア(D.L.Swofford,Sinauer Associates,Massachusetts)を用いて決定することができる。簡潔に述べると、BLASTアルゴリズム(Basic Local Alignment Search Toolの略語である)は、配列の類似性を決定するのに好適である(Altschul et al.,J.Mol.Biol.,1990,215,403−410、この全文は参照することにより本明細書に組み込まれる)。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、国立バイオテクノロジー情報センター(http://www.ncbi.nlm.nih.gov)を通して公的に入手可能である。BLASTアルゴリズムにより提供される1つの類似性の尺度は、最小合計確率(smallest sum probability)(P(N))であり、これは2つのヌクレオチド配列間の一致が偶発する可能性の指標を提供する。例えば、試験核酸と他の核酸との比較における最小合計確率が約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満である場合、核酸は別の核酸に類似しているとみなされる。「類似性の百分率」は、PAUP* 4.0b10ソフトウェア(D.L.Swofford,Sinauer Associates,Massachusetts)を用いて計算することができる。共通配列の平均類似性は、系統樹中の全ての配列を比較して計算される。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「核酸コンストラクト」は、タンパク質をコード化するヌクレオチド配列を含むDNA又はRNA分子を指す。コード配列、つまり「コード化核酸配列」は、核酸分子が投与される個体の細胞内で発現を指示することができるプロモータ及びポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントに機能的に連結した開始及び終結シグナルを含んでもよい。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「発現可能形」とは、個体の細胞内に存在するとき、コード配列が発現するように、タンパク質をコード化しているコード配列に機能的に連結している必須調節エレメントを含む核酸コンストラクトを指す。
【0019】
用語「定電流」は、組織に送出される電気パルスの持続中、同じ組織、若しくは前記組織を画定する細胞が受ける又は感じる電流を定義するために、本明細書で使用される。該電気パルスは、本明細書に記載する電気穿孔装置から送出される。この電流は、電気パルスが維持されている間、前記組織内で一定のアンペア数を保つ、なぜなら本明細書で提供する電気穿孔装置が好ましくは即時フィードバックを有するフィードバックエレメントを有するためである。該フィードバックエレメントは、パルスの持続している間中、組織(又は細胞)の抵抗を測定し、同じ組織内で電気パルスの間中(マイクロ秒の単位で)、及びパルスとパルスの間、電流を一定に保つよう、電気エネルギーの出力を変化させる(例えば、電圧を上げる)ことができる。いくつかの実施形態では、該フィードバックエレメントはコントローラを含む。
【0020】
用語「フィードバック」又は「電流フィードバック」は互換的に用いられ、提供される電気穿孔装置の能動的応答を意味し、これは電極間の組織内における電流を測定し、電流を一定水準に維持するために適宜EP装置により送出されるエネルギーの出力を変化させることを含む。この一定水準は、パルスシーケンス又は電気処理の開始前に、ユーザによって予め設定される。好ましくは、フィードバックは、電気穿孔装置の電気穿孔コンポーネント、例えば、コントローラにより達成される、なぜならその中の電気回路が電極間の組織内の電流を継続的にモニタし、モニタした電流(又は組織内の電流)と予め設定した電流とを比較し、継続的にエネルギー出力調整を行って、モニタした電流を予め設定した水準に維持するためである。いくつかの実施形態では、フィードバックループは、アナログ閉ループフィードバックであるため、即時的である。
【0021】
用語「電気穿孔」、「電気透過処理」、又は「界面動電エンハンスメント(electro-kinetic enhancement)」(「EP」)は、本明細書では互換的に用いられ、生体膜において微細経路(細孔)を生じさせるための膜貫通電場パルスの使用を指し、それらの微細経路の存在により、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬物、イオン、及び/又は水が、細胞膜の片側から他の側に通過することが可能になる。
【0022】
用語「分散電流」は、本明細書では、本明細書に記載する電気穿孔装置の種々の針電極アレイから送出される電流パターンを定義するために使用され、前記パターンは電気穿孔される組織のあらゆる領域において電気穿孔に関連する熱応力の発生を最小限に抑える、又は好ましくはなくす。
【0023】
用語「フィードバック機構」は、本明細書で使用するとき、ソフトウェア又はハードウェア(又はファームウェア)のいずれかにより実行されるプロセスを指し、このプロセスは所望の組織のインピーダンス(エネルギーのパルスの送出前、中、及び/又は後)を受け、現在の値、好ましくは電流と比較し、送出されるエネルギーのパルスを調整して、予め設定した値を得る。用語「インピーダンス」は、本明細書ではフィードバック機構について論じるとき使用され、オームの法則にしたがって電流値に変換して、それにより予め設定した電流との比較を可能にすることができる。好ましい実施形態では、「フィードバック機構」は、アナログ閉ループ回路により実行される。
【0024】
用語「免疫反応」は、本明細書で使用され、提供されるDNAプラスミドワクチンを介した、デング抗原、例えば、ユニバーサルデング抗原の導入に応答した、宿主の、例えば、哺乳類の免疫系の活性化を意味する。該免疫反応は、細胞性若しくは体液性応答の形、又はその両方であってもよい。
【0025】
用語「共通」又は「共通配列」は、本明細書で使用され、特定のデングサブタイプの複数の菌株の配列比較の分析(これによりサブタイプ−1、サブタイプ−2、サブタイプ−3、サブタイプ−4の共通デングDIII配列、及び以下に記載するユニバーサルデングが得られる)に基づいて構築された、合成核酸配列又は対応するポリペプチド配列を意味する。該共通ユニバーサルデングを用いて、デングウイルスの複数のサブタイプ又は血清型に対して広く免疫を誘導することができる。
【0026】
用語「アジュバント」は、本明細書で使用され、本明細書に記載するDNAプラスミドワクチンに添加されて、以後記載するDNAプラスミド及びコード化核酸配列によりコード化されるデング抗原の抗原性を高める任意の分子を意味する。
【0027】
用語「サブタイプ」又は「血清型」は、本明細書では互換的に用いられ、ウイルス、例えば、デングウイルスに関連し、あるサブタイプが異なるサブタイプとは別の免疫系により認識されるような、ウイルス抗原の遺伝的変異体を意味する。例えば、デングウイルスのサブタイプ1は、デングウイルスのサブタイプ2とは免疫学的に区別できる。
【0028】
本発明の1つの態様は、デングウイルスの2種以上のサブタイプに対する哺乳類の免疫反応を誘発するポリペプチドを発現させることができる核酸コンストラクトを提供する。該核酸コンストラクトは、コード化ヌクレオチド配列と、前記コード化ヌクレオチド配列に機能的に連結しているプロモータとを含む。該コード化ヌクレオチド配列は、デングウイルス少なくとも2種の異なるサブタイプのDIIIドメインを含むポリペプチドを発現させる。該プロモータは、哺乳類内における該ポリペプチドの発現を調節する。
【0029】
いくつかの実施形態では、当該核酸コンストラクトはさらに、コード配列のN−末端に機能的に連結しており、プロモータに機能的に連結しているIgEリーダー配列を含んでもよい。好ましくは、IgEリーダーは配列番号11の配列を有する。当該核酸コンストラクトはまた、コード配列のC末端に付着したポリアデニル化配列を含んでもよい。好ましくは、当該核酸コンストラクトはコドンが最適化されている。
【0030】
いくつかの実施形態では、該コード化配列は、デングウイルス−サブタイプ1、デングウイルス−サブタイプ2、デングウイルスサブタイプ−3、及びデングウイルスサブタイプ−4に由来するDIIIドメインを含むポリペプチドをコード化する。好ましい実施形態では、該コード化ヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、及び配列番号5から成る群から選択される。
【0031】
いくつかの実施形態では、該コード化ヌクレオチド配列は発現カセットの一部であり、以下のヌクレオチド配列:配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、及び配列番号16を含んでもよい。該発現カセットは(5‘末端から3’末端へ):KpnI部位、IgEリーダー、コード化配列(DIII)、2つの終止コドン、及びPstI部位を含む。利用可能な技術を備える当業者は、いずれかのスプライシング部位(KpnI又はPstI)を別のスプライシング部位に、IgEリーダー配列を別のシグナル若しくは標的リーダー配列に、及び/又は終止コドンをより多い若しくは少ない数の終止コドンに置換することによりカセットを改変することができる。
【0032】
本発明の別の態様は、哺乳類内でデングウイルスの複数のサブタイプに対する免疫反応を生じさせ得るDNAプラスミドワクチンを提供する。該DNAプラスミドワクチンは、哺乳類内で共通デング抗原を発現させることができるDNAプラスミドと、製薬上許容できる賦形剤とを含む。該DNAプラスミドは、共通デング抗原をコード化するコード配列に機能的に連結しているプロモータを含む。該共通デング抗原は、デングウイルス−サブタイプ1、デングウイルス−サブタイプ2、デングウイルス−サブタイプ3、又はデングウイルス−サブタイプ4の共通デングDIIIドメインを含む。好ましくは、該DNAプラスミドは、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10から成る群から選択される共通デングDIIIドメインをコード化する共通デング抗原を含む。配列番号10の配列を有する、共通DIIIドメインであるDV−U−DIIIは、DIIIの4種のサブタイプのそれぞれ(DV−1−DIII、DV−2−DIII、DV−3−DIII、及びDV−4−DIII)を連結しているリンカー配列(これは既知の切断部位である配列RGRKRRSを有し、DV−U−DIIIを特定のサブタイプの別個のDIII配列に切断することを可能にする)から成る。しかしながら、該リンカー配列は、類似の特徴を有する当該技術分野において利用可能な任意の他のリンカー配列であってもよく;現在利用されているRGRKRRSをこのようなリンカーに置換することは、当該技術分野の通常の技能の範囲内である。
【0033】
いくつかの実施形態では、当該DNAプラスミドは該コード配列のN−末端に結合し、プロモータに機能的に連結しているIgEリーダー配列をさらに含む。好ましくは、該IgEリーダーは配列番号11の配列を有する。当該DNAプラスミドは、該コード配列のC末端に結合したポリアデニル化配列をさらに含んでもよい。好ましくは、当該DNAプラスミドはコドンが最適化されている。
【0034】
いくつかの実施形態では、製薬上許容できる賦形剤はアジュバントである。好ましくは、該アジュバントは、IL−12及びIL−15から成る群から選択される。いくつかの実施形態では、製薬上許容できる賦形剤は、トランスフェクション促進剤である。好ましくは、該トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン、又は脂質であり、より好ましくはポリ−L−グルタミン酸である。好ましくは、ポリ−L−グルタミン酸の濃度は、6mg/mL未満である。好ましくは、当該DNAプラスミドワクチンは、1mg/mL以上の全DNAプラスミド濃度を有する。
【0035】
いくつかの実施形態では、当該DNAプラスミドは、それぞれがデングウイルス−サブタイプ1、デングウイルス−サブタイプ2、デングウイルス−サブタイプ3、又はデングウイルス−サブタイプ4に由来するDIIIドメインを含むポリペプチドをコード化する複数の独特なDNAプラスミドを含む。
【0036】
当該DNAプラスミドワクチンは、コード化ヌクレオチド配列:配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、又は配列番号5、好ましくは配列番号5を含むDNAプラスミドを含んでもよい。いくつかの実施形態では、当該DNAプラスミドは、コード化ヌクレオチド配列:配列番号1、配列番号2、配列番号3、又は配列番号4の少なくとも2つを含む。いくつかの実施形態では、当該DNAプラスミドは配列番号1及び配列番号2を含み;いくつかの実施形態では、当該DNAプラスミドは配列番号1及び配列番号3を含み;いくつかの実施形態では、当該DNAプラスミドは配列番号1及び配列番号4を含み;いくつかの実施形態では、当該DNAプラスミドは配列番号2及び配列番号3を含み;いくつかの実施形態では、当該DNAプラスミドは配列番号2及び配列番号4を含み;いくつかの実施形態では、当該DNAプラスミドは配列番号3及び配列番号4を含み、いくつかの実施形態では、当該DNAプラスミドは配列番号1、配列番号2、及び配列番号3を含み;いくつかの実施形態では、当該DNAプラスミドは配列番号1、配列番号2、及び配列番号4を含み;いくつかの実施形態では、当該DNAプラスミドは配列番号1、配列番号3、及び配列番号3を含み;いくつかの実施形態では、当該DNAプラスミドは配列番号2、配列番号3、及び配列番号4を含み;又は、いくつかの実施形態では、当該DNAプラスミドは配列番号1、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4を含む。好ましくは、当該DNAプラスミドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、当該DNAプラスミドワクチンは、デングウイルスDIIIドメインを発現する少なくとも2種の異なるDNAプラスミドを含み、前記プラスミドは、共通デングウイルス−サブタイプ1 DIIIドメインをコード化している配列を含むDNAプラスミド、共通デングウイルス−サブタイプ2 DIIIドメインをコード化している配列を含むDNAプラスミド、共通デングウイルス−サブタイプ3 DIIIドメインをコード化している配列を含むDNAプラスミド、及び共通デングウイルス−サブタイプ4 DIIIドメインをコード化している配列を含むDNAプラスミドから成る群から選択される。いくつかの実施形態では、当該DNAプラスミドワクチンは、4種の共通デングウイルスサブタイプDIIIドメイン(サブタイプ1〜4)を含んでもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、共通デングウイルス−サブタイプ1 DIIIドメインは、配列番号1を含む核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、共通デングウイルス−サブタイプ2 DIIIドメインは、配列番号2を含む核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、共通デングウイルス−サブタイプ3 DIIIドメインは、配列番号3を含む核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、共通デングウイルス−サブタイプ4 DIIIドメインは、配列番号4を含む核酸配列を有する。
【0039】
いくつかの実施形態では、当該DNAプラスミドワクチンが免疫反応を生じさせる哺乳類は、霊長類である。好ましくは、哺乳類は霊長類である。該免疫反応は、体液性応答又は細胞性応答のいずれであってもよく、好ましくは両方である。
【0040】
本発明の別の態様は、DNAプラスミドワクチンを哺乳類の組織に送達する工程と、DNAプラスミドの細胞内への侵入を可能にするのに有効な定電流でエネルギーのパルスにより組織の細胞を電気穿孔処理する工程と、を含む、哺乳類内でデングウイルスの複数のサブタイプに対する免疫反応を誘発する方法を提供する。
【0041】
いくつかの実施形態では、免疫反応の誘発方法は、当該DNAプラスミドワクチンを、皮内、皮下、又は筋肉組織に注入する、送達工程を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、免疫反応の誘発方法は、組織に送出されるのに望ましい電流を予め設定する工程と、予め設定した電流に等しい定電流でエネルギーのパルスにより細胞を電気穿孔処理する工程と、をさらに含んでもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、免疫反応の誘発方法は、電気穿孔処理された細胞のインピーダンスを測定する工程と、電気穿孔処理された細胞内において定電流を維持するために、測定されたインピーダンスに対してエネルギーのパルスのエネルギーレベルを調整する工程と、をさらに含む。測定及び調整工程は、好ましくはエネルギーのパルスの存続期間内に行う。
【0044】
いくつかの実施形態では、当該電気穿孔処理工程は、分散パターンのエネルギーのパルスを送出するパルスシーケンスパターンにしたがって、複数の電極にエネルギーのパルスを送出する工程を含む。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態では、当該DNAプラスミドワクチンはアジュバントをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、該アジュバントは、シグナル配列が欠失し、所望によりIgEからのシグナルペプチドを含むIL−15を含む、アルファ−インターフェロン、ガンマ−インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM−CSF、表皮成長因子(EGF)、皮膚T細胞誘引性ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL−12、IL−15、MHC、CD80、CD86から成る群から選択される。有用なアジュバントである可能性のある他の遺伝子としては、MCP−1、MIP−1−アルファ、MIP−1p、IL−8、RANTES、L−セレクチン、P−セレクチン、E−セレクチン、CD34、GlyCAM−1、MadCAM−1、LFA−1、VLA−1、Mac−1、p150.95、PECAM、ICAM−1、ICAM−2、ICAM−3、CD2、LFA−3、M−CSF、G−CSF、IL−4、IL−18の突然変異形、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL−7、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c−jun、Sp−1、Ap−1、Ap−2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP−1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL−R3、TRAIL−R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、及びそれらの機能的断片をコード化しているものが挙げられる。いくつかの好ましい実施形態では、アジュバントは、IL−12、IL−15、CTACK、TECK、又はMECから選択される。
【0046】
いくつかの実施形態では、製薬上許容できる賦形剤はトランスフェクション促進剤であり、これは免疫刺激複合体(ISCOMS)のような界面活性剤、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリルリピドAを含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、スクアレン及びスクアレンのような小胞、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、若しくはナノ粒子、又は他の既知のトランスフェクション促進剤を含んでもよい。好ましくは、該トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリ−L−グルタミン酸(LGS)を含むポリカチオン、又は脂質である。好ましくは、該トランスフェクション促進剤はポリ−L−グルタミン酸であり、より好ましくは、ポリ−L−グルタミン酸は6mg/mL未満の濃度でDNAプラスミドワクチン中に存在する。いくつかの実施形態では、当該DNAプラスミドワクチン中のポリ−L−グルタミン酸濃度は、4mg/mL未満、2mg/mL未満、1mg/mL未満、0.750mg/mL未満、0.500mg/mL未満、0.250mg/mL未満、0.100mg/mL未満、0.050mg/mL未満、又は0.010mg/mL未満である。
【0047】
いくつかの実施形態では、当該DNAプラスミドワクチンは哺乳類に送達されて、免疫反応を誘発することができ、好ましくは該哺乳類は、ヒト及び非ヒト霊長類を含む霊長類、ウシ、ブタ、ニワトリ、イヌ、又はフェレットである。より好ましくは、該哺乳類はヒト霊長類である。
【0048】
本発明の1つの態様は、哺乳類内でウイルスの複数のサブタイプに対する免疫反応を誘発する諸方法に関する。これらの方法は、DNAプラスミドワクチンを哺乳類の組織に送達する工程と、DNAプラスミドの細胞への侵入を可能にするのに有効な定電流でエネルギーのパルスにより組織の細胞を電気穿孔処理する工程とを含む。当該DNAプラスミドワクチンは、哺乳類内で免疫反応を誘発するために、哺乳類の細胞内でウイルスの複数のサブタイプに由来する複数の共通抗原を発現することができるDNAプラスミドを含み、前記複数の共通抗原はウイルスの少なくとも2種の異なるサブタイプに由来する抗原ドメインを含む。該ウイルスは、異なる血清型を有することが知られている多数のウイルス、好ましくは異なる血清型にわたって高度に保存されている抗原ドメインを有するウイルスのうち1種から選択することができる。好ましくは、該ウイルスは、西ナイルウイルス、ヒト免疫不全症ウイルス、インフルエンザウイルス、又はデングウイルスから選択される。
【0049】
本発明の1つの態様は、哺乳類内でデングウイルスの複数のサブタイプに対する免疫反応を誘発する諸方法に関する。これらの方法は、哺乳類の組織にDNAプラスミドワクチンを送達する工程であって、当該DNAプラスミドワクチンが、哺乳類内で免疫反応を誘発するために、哺乳類の細胞内で共通デング抗原を発現させることができるDNAプラスミドを含み、共通デング抗原が、少なくとも2種のデングサブタイプ、好ましくは4種全てのデングサブタイプに由来するエンベロープタンパク質のドメインIIIをコードする共通配列を含む工程を含む。該デングサブタイプとしては、サブタイプ−1、サブタイプ−2、サブタイプ−3、及びサブタイプ−4が挙げられる。免疫反応の誘発方法は、DNAプラスミドの細胞内への侵入を可能にするのに有効な定電流でエネルギーのパルスにより組織の細胞を電気穿孔処理する工程を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は送達工程を含み、これはDNAプラスミドワクチンを皮内、皮下、又は筋肉組織に注入することを含む。好ましくは、これらの方法は、インビボ電気穿孔装置を用いて、組織に送達されることが望ましい電流を予め設定する工程と、予め設定した電流に等しい定電流でエネルギーのパルスにより組織の細胞を電気穿孔処理する工程とを含む。いくつかの実施形態では、当該電気穿孔処理工程は、電気穿孔処理された細胞のインピーダンスを測定する工程と、測定されたインピーダンスに対してエネルギーのパルスのエネルギー水準を調整して、電気穿孔処理された細胞内で定電流を維持する工程とをさらに含み、前記測定及び調整工程はエネルギーのパルスの存続期間内に行う。
【0051】
いくつかの実施形態では、当該電気穿孔処理工程は、分散パターンでエネルギーのパルスを送出するパルスシーケンスパターンにしたがって複数の電極にエネルギーのパルスを送出することを含む。
【0052】
本発明はまた、デングウイルスの少なくとも1種のサブタイプの断片ではないものに実質的に類似する、哺乳類内で免疫反応を誘発することができるポリペプチドをコード化する複数のDNA断片を含む。これらのDNA断片は、本明細書で提供する特定のコード化核酸配列に適用するとき、配列番号1、2、3、4、及び5を含む、本発明の種々のコード化ヌクレオチド配列の少なくとも1つから選択され、以下に記載の複数のDNA断片のいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、DNA断片は、30個以上、45個以上、60個以上、75個以上、90個以上、120個以上、150個以上、180個以上、210個以上、240個以上、270個以上、300個以上、320個以上、340個以上、又は360個以上のヌクレオチドを含んでもよい。いくつかの実施形態では、DNA断片は、免疫グロブリンE(IgE)リーダー配列のコード配列を含んでもよい。いくつかの実施形態では、DNA断片は、60個未満、75個未満、90個未満、120個未満、150個未満、180個未満、210個未満、240個未満、270個未満、300個未満、320個未満、340個未満、又は360個未満のヌクレオチドを含んでもよい。好ましくは、これらのDNA断片は、配列番号1、2、3、4、又は5の断片であり、より好ましくは、配列番号1、2、3、又は4の断片である。
【0053】
本発明は、コード化ヌクレオチド配列によりコード化されるポリペプチドを含み、配列番号6、7、8、9、又は10のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含んでもよい。本発明はまた、デングの少なくとも1種のサブタイプの断片ではないものに実質的に類似する、哺乳類内で免疫反応を誘発することができるポリペプチド断片を含む。これらのポリペプチド断片は、本明細書で提供する特定のポリペプチド配列に適用するとき、配列番号5、6、7、8、9、及び10を含む、本発明の種々のポリペプチド配列の少なくとも1つから選択され、以下に記載のポリペプチド断片のいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、ポリペプチド配列は、15個以上、30個以上、45個以上、60個以上、75個以上、90個以上、100個以上、110個以上、又は120個以上のアミノ酸を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ポリペプチド断片は、30個未満、45個未満、60個未満、75個未満、90個未満、100個未満、110個未満、又は120個未満のアミノ酸を含んでもよい。好ましくは、これらのポリペプチド断片は、配列番号5、6、7、8、9、又は10の断片であり、より好ましくは、配列番号5、6、7、8、又は9の断片である。
【0054】
デングの少なくとも1種のサブタイプの断片ではないものに実質的に類似する、哺乳類内で免疫反応を誘発する機能的断片の決定は、当業者により容易に決定できる。該断片はまた、国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のような、公的に入手可能なデータベースにより提供されるように、少なくとも1つ、好ましくはさらに多い抗原エピトープを含むように分析され得る。加えて、免疫反応研究は、以下の実施例に示すように、マウス、並びに抗体力価及びELIスポット分析を用いて、日常的に評価することができる。
【0055】
ワクチン
いくつかの実施形態では、本発明は、タンパク質、及びタンパク質をそれに対して免疫反応が誘発され得る免疫原として特に有効にするエピトープを有するタンパク質をコード化する遺伝子コンストラクトを提供することにより、改善されたワクチンを提供する。したがって、ワクチンは、治療的又は予防的免疫反応を誘導するために提供できる。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態によると、本発明によるワクチンは、個体に送達されて、個体の免疫系の活性を調節し、それによって免疫反応を高める。タンパク質をコード化する核酸分子が個体の細胞に取り込まれると、ヌクレオチド配列が細胞内で発現し、それによりタンパク質が個体に送達される。本発明の態様は、プラスミドのような、核酸分子上のタンパク質のコード配列を送達する方法を提供する。
【0057】
本発明のいくつかの態様によると、予防的に及び/又は治療的に個体を免疫する組成物及び方法が提供される。
【0058】
細胞に取り込まれたとき、DNAプラスミドは、別個の遺伝物質として細胞内に留まることができる。あるいは、RNAを細胞に投与してもよい。また、セントロメア、テロメア、及び複製起点を含む直線状ミニ染色体として遺伝子コンストラクトを提供することも意図される。遺伝子コンストラクトは、核酸分子の遺伝子発現に必須である調節エレメントを含む。該エレメントとしては、プロモータ、開始コドン、終止コドン、及びポリアデニル化シグナルが挙げられる。加えて、標的タンパク質又は免疫調節タンパク質をコード化する配列の遺伝子発現にはエンハンサが必要であることが多い。これらのエレメントが、所望のタンパク質をコード化する配列に機能的に連結し、調節エレメントが投与された個体内で機能することが必要である。
【0059】
開始コドン及び終止コドンは、一般に、所望のタンパク質をコード化するヌクレオチド配列の一部であると考えられる。しかしながら、これらのエレメントは、核酸コンストラクトが投与される哺乳類内で機能することが必要である。これらの開始及び終止コドンは、コード配列とインフレームでなければならない。
【0060】
用いられるプロモータ及びポリアデニル化シグナルは、個体の細胞内で機能しなければならない。
【0061】
特にヒト用の遺伝子ワクチンの生成において、本発明の実施に有用なプロモータの例としては、シミアンウイルス40(SV40)のプロモータ、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモータ、ウシ免疫不全症ウイルス(BIV)のようなヒト免疫不全症ウイルス(HIV)末端反復配列(LTR)プロモータ、モロニーウイルス、トリ白血病ウイルス(ALV)、CMV前初期プロモータのようなサイトメガロウイルス(CMV)、エプスタインバーウイルス(EBV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、並びにヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、及びヒトメタロチオネインのようなヒト遺伝子由来のプロモータが挙げられるが、これらに限定されず、他の実施形態では、プロモータは天然又は合成の、筋肉又は皮膚特異的プロモータのような組織特異的プロモータであってもよい。このようなプロモータの例は、米国特許出願公開第20040175727号に記載され、この全文は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0062】
特にヒト用の遺伝子ワクチンの生成において、本発明の実施に有用なポリアデニル化シグナルの例としては、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、及びヒトβ−グロビンポリアデニル化シグナルが挙げられるが、これらに限定されない。具体的には、SV40ポリアデニル化シグナルと呼ばれる、pCEP4プラスミド(Invitrogen,San Diego,CA)内のSV40ポリアデニル化シグナルを用いてもよい。
【0063】
DNA発現に必要な調節エレメントに加えて、他のエレメントもDNA分子に含まれてよい。このような追加エレメントとしては、エンハンサが挙げられる。当該エンハンサは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、並びにCMV、RSV、及びEBV由来のもののようなウイルスエンハンサが挙げられるが、これらに限定されない群から選択してもよい。
【0064】
遺伝子コンストラクトは、コンストラクトを染色体外に維持し、細胞内で複数コピーのコンストラクトを生成させるために、哺乳類の複製起点を備えてもよい。Invitrogen(San Diego,CA)製のプラスミドpVAX1、pCEP4、及びpREP4は、エプスタインバーウイルスの複製起点、及び組み込み無しでハイコピーエピゾーム複製を生じさせる核抗原EBNA−1コード領域を含む。
【0065】
タンパク質の産生を最大化するために、コンストラクトが投与される細胞内における遺伝子発現に非常に適した調節配列を選択してもよい。さらに、宿主細胞内で最も効率よく転写される前記タンパク質をコード化するコドンを選択してもよい。当業者は、細胞内で機能するDNAコンストラクトを作製することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質のコード配列がIgEシグナルペプチドに連結している核酸コンストラクトを提供することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質は、IgEシグナルペプチドに連結している。
【0067】
タンパク質が用いられるいくつかの実施形態では、例えば、当業者は、周知の技術を用いて、周知の技術を用いて本発明のタンパク質を産生及び単離することができる。タンパク質が用いられるいくつかの実施形態では、例えば、当業者は、周知の技術を用いて、周知の発現系で使用するための市販の発現ベクターに、本発明のタンパク質をコード化するDNA分子を挿入することができる。例えば、市販のプラスミドpSE420(Invitrogen,San Diego,Calif.)を、大腸菌(E.coli)におけるタンパク質を産生させるために用いてもよい。市販のプラスミドpYES2(Invitrogen,San Diego,Calif.)を、例えば、酵母の出芽酵母株における産生に用いてもよい。市販のMAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen,San Diego,Calif.)を、例えば、昆虫細胞における産生に用いてもよい。市販のプラスミドpcDNA又はpcDNA3(Invitrogen,San Diego,Calif.)を、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のような哺乳類細胞における産生に用いてもよい。当業者は、これらの市販の発現ベクター及び系、又は他のものを用いて、日常的な技術及び容易に入手可能な出発物質によりタンパク質を産生させることができる(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning a Laboratory Manual,Second Ed.Cold Spring Harbor Press(1989)を参照)。よって、所望のタンパク質は、核細胞及び真核細胞系の両方において調製することができ、これによりタンパク質のプロセシングされた形態のスペクトルが生じる。
【0068】
当業者は、他の市販の発現ベクター及び系を用いてもよく、又は周知の方法及び容易に入手可能な出発物質を用いてベクターを作製してもよい。プロモータ及びポリアデニル化シグナルのような必須制御配列、好ましくはエンハンサを含む発現系は、容易に入手可能であり、種々の宿主について当該技術分野において既知である。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning a Laboratory Manual,Second Ed.Cold Spring Harbor Press(1989)を参照。遺伝子コンストラクトは、コンストラクトがトランスフェクトされる、細胞株又は標的組織の細胞内で機能するプロモータに機能的に連結しているタンパク質コード配列を含む。構成的プロモータの例としては、サイトメガロウイルス(CMV)又はSV40由来のプロモータが挙げられる。誘導性プロモータの例としては、マウス乳房白血病ウイルス又はメタロチオネインプロモータが挙げられる。当業者は、容易に入手可能な出発物質から、細胞に、本発明のタンパク質をコード化するDNAをトランスフェクトするのに有用な遺伝子コンストラクトを容易に作製することができる。タンパク質をコード化するDNAを含む発現ベクターを用いて、続いて培養され、外来DNAが発現する条件下で維持される、適合性宿主を形質転換する。
【0069】
産生されたタンパク質を、細胞を溶解させることにより培養物から、又は必要に応じて、かつ当該技術分野において既知である培養培地から回収する。当業者は、周知の技術を用いて、このような発現系を用いて産生されたタンパク質を単離することができる。上記のような特定のタンパク質に特異的に結合する抗体を用いて、天然材料由来のタンパク質を精製する方法を同様に適用して、組み換えDNA方法論により産生されたタンパク質を精製してもよい。
【0070】
組み換え技術によるタンパク質産生に加えて、自動ペプチド合成機を使用して、単離された本質的に純粋なタンパク質を作製することもできる。このような技術は当業者に周知であり、DNAがコード化しているタンパク質の産生において置換を有する誘導体が提供されない場合有用である。
【0071】
核酸分子は、インビボ電気穿孔処理、リポソームに媒介される、ナノ粒子で促進される、組み換えアデノウイルス、組み換えアデノウイルス関連ウイルス及び組換えワクチニアウイルスのような組み換えベクターを伴う又は伴わない、DNA注入(DNAワクチン接種とも呼ばれる)を含むいくつかの周知技術のどの技術を用いて送達してもよい。好ましくは、本明細書に記載するDNAプラスミドのような核酸分子は、インビボ電気穿孔処理とともに、DNA注入を介して送達される。
【0072】
投与経路としては、筋肉内、鼻腔内、腹腔内、皮内、皮下、静脈内、動脈内、眼内、及び経口、並びに局所的、経皮的、吸入若しくは坐薬により、又は膣、直腸、尿道、口腔、及び舌下組織のような粘膜組織の洗浄等による投与経路が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい投与経路としては、筋肉内、腹腔内、皮内、及び皮下注入が挙げられる。遺伝子コンストラクトは、従来の注射器、無針注射装置、「微粒子銃遺伝子銃(microprojectile bombardment gone gun)」、又は電気穿孔(EP)、「流体力学法」、若しくは超音波のような他の物理的方法が挙げられるが、これらに限定されない手段により投与できる。
【0073】
本発明のDNAワクチンの送達を促進するのに好ましい電気穿孔装置及び電気穿孔法の例としては、米国特許第7,245,963号(Draghia−Akliら)、米国特許出願公開第2005/0052630号(Smithら)に記載されているものが挙げられ、これらの全文は参照することにより本明細書に組み込まれる。また、2007年10月17日に出願された同時係属及び共同保有米国特許出願第11/874072号(米国特許法第119条(e)項に基づいて2006年10月17日出願の米国仮出願第60/852,149号、及び2007年10月10日出願の同第60/978,982号に対する利益を請求する)(これら全ての全文は参照することにより本明細書に組み込まれる)に提供されているDNAワクチンの送達を促進するための電気穿孔装置及び電気穿孔法も好ましい。
【0074】
米国特許第7,245,963号(Draghia−Akliら)は、体内又は植物内の選択された組織の細胞への生体分子の導入を促進するためのモジュール電極システム、及びその使用について記載している。当該モジュール電極システムは、複数の針電極、皮下針、プログラム可能な定電流パルスコントローラから複数の針電極に導電性連結を提供する電気コネクタ、及び電源を備える。オペレータは、支持体構造上に実装された複数の針電極を掴握し、それを体内又は植物内の選択された組織にしっかりと挿入することができる。次いで、皮下針を介して、生体分子を選択された組織に送達する。プログラム可能な定電流パルスコントローラが作動し、定電流電気パルスを複数の針電極に印加する。印加された定電流電気パルスは、複数の電極間の生体分子の細胞内への導入を促進する。米国特許第7,245,963号の全文は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0075】
米国特許出願公開第2005/0052630号(Smithら)は、体内又は植物内の選択された組織への生体分子の導入を有効に促進するために用いることができる電気穿孔装置について記載している。当該電気穿孔装置は、その操作がソフトウェア又はファームウェアにより定められる動電装置(「EKD装置」)を備える。該EKD装置は、ユーザ制御及びパルスパラメータの入力に基づいて配列された電極間に一連のプログラム可能な定電流パルスパターンを生じさせ、電流波形データの保存及び獲得を可能にする。当該電気穿孔装置はまた、一連の針電極、注射針用の中心注入チャネル、及び取り外し可能なガイドディスクを有する置換可能な電極ディスク備える。米国特許出願公開第2005/0052630号の全文は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0076】
米国特許第7,245,963号及び米国特許出願公開第2005/0052630号に記載の電極アレイ及び方法は、筋肉のような組織だけでなく、他の組織又は器官へも深く浸透するよう適応している。電極アレイの構成に起因して、注射針(選択した生体分子を送達するための)はまた、標的器官に完全に挿入され、注射は電極により予め線引きされた領域において、標的組織に垂直に投与される。米国特許第7,245,963号及び米国特許出願公開第2005/005263号に記載されている電極は、好ましくは長さ20mmの21ゲージである。
【0077】
以下は、本発明の方法の例であり、上述の参考特許でより詳細に論じられている:電気穿孔装置は、哺乳類の所望の組織に、ユーザが予め設定した電流入力に類似する定電流を生じさせるエネルギーのパルスを送出するよう構成することができる。該電気穿孔装置は、電気穿孔コンポーネント及び電極アセンブリ又はハンドルアセンブリを備える。該電気穿孔コンポーネントは、コントローラ、電流波形発生器、インピーダンス試験機、波形自動記録装置、入力エレメント、状況報告エレメント、通信ポート、記憶コンポーネント、電源、及び電源スイッチを含む、電気穿孔装置の1つもしくは複数の種々のエレメントを含んでもよく、組み込んでもよい。該電気穿孔コンポーネントは、電気穿孔装置の1つのエレメントとして機能することができ、他のエレメントは、電気穿孔コンポーネントと通信している別のエレメント(又はコンポーネント)である。いくつかの実施形態では、該電気穿孔コンポーネントは、電気穿孔装置の1つもしくは複数のエレメントとして機能することができ、これは電気穿孔コンポーネントから離れた電気穿孔装置のさらに他のエレメントと通信できる。本発明は、エレメントが1つの装置又は互いに通信する別個のエレメントとして機能することができるので、1つの電気機械的又は機械装置の一部として存在する電気穿孔装置のエレメントにより制限されない。当該電気穿孔コンポーネントは、所望の組織で定電流を生じさせるエネルギーのパルスを送出することができ、フィードバック機構を含む。該電極アセンブリは、空間的配置で複数の電極を有する電極アレイを含み、前記電極アセンブリは電気穿孔コンポーネントからエネルギーのパルスを受け取り、それを電極を通して所望の組織に送出する。複数の電極の少なくとも1つは、エネルギーのパルスの送出中中性であり、所望の組織内のインピーダンスを測定し、インピーダンスを電気穿孔コンポーネントに伝える。該フィードバック機構は、測定されたインピーダンスを受信することができ、電気穿孔コンポーネントにより送出されたエネルギーのパルスを調整して、定電流を維持することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、複数の電極は、分散パターンでエネルギーのパルスを送出することができる。いくつかの実施形態では、複数の電極は、プログラムされたシーケンス下で電極の制御を通して分散パターンでエネルギーのパルスを送出することができ、前記プログラムされたシーケンスはユーザにより電気穿孔コンポーネントに入力される。いくつかの実施形態では、プログラムされたシーケンスは、順に送出されるエネルギーのパルスを含み、前記複数のパルスの各パルスはインピーダンスを測定する1つの中性電極により少なくとも2つの活性電極により送出され、前記複数のパルスの次のパルスはインピーダンスを測定する1つの中性電極により少なくとも2つの活性電極のうち異なる1つにより送出される。
【0079】
いくつかの実施形態では、該フィードバック機構は、ハードウェア又はソフトウェアのいずれか一方により実施される。好ましくは、該フィードバック機構は、アナログ閉ループ回路により実施される。好ましくは、このフィードバックは、50μs、20μs、10μs、又は1μs毎に生じるが、好ましくはリアルタイムフィードバック又は同時(すなわち、応答時間を決定するために利用可能な技術により決定したとき、実質的に同時)である。いくつかの実施形態では、中性電極は所望の組織におけるインピーダンスを測定し、そのインピーダンスをフィードバック機構に伝え、該フィードバック機構は該インピーダンスに応答し、エネルギーのパルスを調整して、予め設定した電流に類似する値に定電流を維持する。いくつかの実施形態では、該フィードバック機構は、定電流をエネルギーのパルスの送出中継続的かつ即座に維持する。
【0080】
製薬上許容できる賦形剤は、ビヒクル、アジュバント、担体、又は希釈剤のような機能分子を含んでもよく、これらの分子は既知であり一般に容易に入手可能である。好ましくは、製薬上許容できる賦形剤は、アジュバント又はトランスフェクション促進剤である。いくつかの実施形態では、核酸分子、又はDNAプラスミドは、ポリヌクレオチド機能強化剤又は遺伝子ワクチン促進剤(つまりトランスフェクション促進剤)の投与と併せて、細胞に送達される。ポリヌクレオチド機能強化剤は、米国特許第5,593,972号、同第5,962,428号、及び国際出願第PCT/US94/00899号(1994年1月26日出願)に記載されており、これらはそれぞれ参照することにより本明細書に組み込まれる。遺伝子ワクチン促進剤は、米国出願第021,579号(1994年4月1日出願)に記載されており、これらは参照することにより本明細書に組み込まれる。トランスフェクション促進剤は、核酸分子との混合物として核酸分子と併せて投与されてもよく、又は核酸分子の投与と同時に、その前若しくは後に、別々に投与されてもよい。トランスフェクション促進剤の例としては、免疫刺激複合体(ISCOMS)のような界面活性剤、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリルリピドAを含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、並びにスクアレン及びスクアレンのような小胞が挙げられ、ヒアルロン酸を遺伝子コンストラクトと併せて投与してもよい。いくつかの実施形態では、DNAプラスミドワクチンはまた、脂質、レシチンリポソーム又はDNA−リポソーム混合物(例えば、国際公開第9324640号を参照)のような当該技術分野において既知である他のリポソームを含むリポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、若しくはナノ粒子のようなトランスフェクション促進剤、又は他の既知のトランスフェクション促進剤を含んでもよい。好ましくは、該トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリ−L−グルタミン酸(LGS)を含むポリカチオン、又は脂質である。
【0081】
いくつかの好ましい実施形態では、当該DNAプラスミドは、このような標的タンパク質に対する免疫反応をさらに高めるタンパク質の遺伝子であるアジュバントとともに送達される。このような遺伝子の例は、アルファ−インターフェロン、ガンマ−インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM−CSF、表皮成長因子(EGF)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、MHC、CD80、CD86、及びシグナル配列が欠失し、所望によりIgEからのシグナルペプチドを含むIL−15を含むIL−15のような他のサイトカイン及びリンホカインをコード化するものである。有用である可能性のある他の遺伝子としては、MCP−1、MIP−1□、MIP−1p、IL−8、RANTES、L−セレクチン、P−セレクチン、E−セレクチン、CD34、GlyCAM−1、MadCAM−1、LFA−1、VLA−1、Mac−1、pl50.95、PECAM、ICAM−1、ICAM−2、ICAM−3、CD2、LFA−3、M−CSF、G−CSF、IL−4、IL−18の突然変異形、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL−7、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c−jun、Sp−1、Ap−1、Ap−2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP−1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL−R3、TRAIL−R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、及びそれらの機能的断片をコード化しているものが挙げられる。
【0082】
本発明によるDNAプラスミドワクチンは、約1ナノグラム〜10ミリグラム、約1マイクログラム〜約10ミリグラム、又は好ましくは約0.1マイクログラム〜約10ミリグラム、又はより好ましくは約100マイクログラム〜約1ミリグラムの量のDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態では、本発明によるDNAプラスミドワクチンは、約5ナノグラム〜約1000マイクログラムのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態では、当該DNAプラスミドワクチンは、約10ナノグラム〜約800マイクログラムのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態では、当該DNAプラスミドワクチンは、約0.1〜約500マイクログラムのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態では、当該DNAプラスミドワクチンは、約1〜約350マイクログラムのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態では、当該DNAプラスミドワクチンは、約25〜約250マイクログラムのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態では、当該DNAプラスミドワクチンは、約100マイクログラム〜約1ミリグラムのDNAを含む。
【0083】
本発明によるDNAプラスミドワクチンは、用いられる投与方式に応じて製剤化される。DNAプラスミドワクチンが注入可能な組成物である場合、それらは無菌である、及び/又はピロゲンを含まない、及び/又は微粒子を含まない。等張製剤が好ましくは用いられる。一般に、等張化剤としては、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、及びラクトースを挙げることができる。いくつかの場合には、リン酸緩衝生理食塩水のような等張溶液が好ましい。安定剤としては、ゼラチン及びアルブミンが挙げられる。いくつかの実施形態では、血管収縮剤が製剤に添加される。いくつかの実施形態では、LGS若しくは他のポリカチオン、又はポリアニオンのような、製剤が室温又は周囲温度で長期間安定であることを可能にする安定剤が製剤に添加される。
【0084】
いくつかの実施形態では、哺乳類内で共通デング抗原に対する免疫反応を誘発する方法としては、粘膜の免疫反応を誘導する方法が挙げられる。このような方法としては、上記のような共通デング抗原を含むDNAプラスミドと組み込わせられた、CTACKタンパク質、TECKタンパク質、MECタンパク質、及びそれらの機能的断片、又はそれらの発現可能なコード配列のうち1種もしくは複数種を哺乳類に投与することが挙げられる。CTACKタンパク質、TECKタンパク質、MECタンパク質、及びそれらの機能的断片は、本明細書で提供するDNAプラスミドデングワクチンの投与前、投与と同時、又は投与後に投与してもよい。いくつかの実施形態では、CTACK、TECK、MEC、及びそれらの機能的断片から成る群から選択される1種もしくは複数種のタンパク質をコード化する単離核酸分子を哺乳類に投与する。
【実施例】
【0085】
本発明は、以下の実施例においてさらに説明される。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、例示のためだけに提供されることを理解すべきである。上記議論及びこれらの実施例から、当業者は本発明の本質的な特徴を解明し、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、本発明の種々の変更及び修正を行って、それを種々の用途及び条件に適合させることができる。よって、本明細書に示し、記載したものに加えて、本発明の種々の修正は、前述の記載から当業者に明らかになる。このような修正もまた、添付の特許請求の範囲の範囲内であることを意図する。
【0086】
好ましくは、本明細書に記載の筋肉又は皮膚EP装置とともに用いるためのDNA製剤は、高いDNA濃度を有し、好ましくは、皮膚への送達に最適である少容量、好ましくは小注入容量、理想的には25〜200マイクロリットル(μL)中に、1マイクログラム〜数十マイクログラムの量、好ましくはミリグラムの量のDNAを含む濃度を有する。いくつかの実施形態では、当該DNA製剤は、1mg/mL以上(mg(DNA)/製剤の容量)のような高いDNA濃度を有する。より好ましくは、当該DNA製剤は、200μLのフォーミュラ中にグラムの量のDNA、より好ましくは100μLのフォーミュラ中に1グラムの量のDNAを提供するDNA濃度を有する。
【0087】
本発明のEP装置とともに用いるためのDNAプラスミドは、既知の装置及び技術の組み込わせを用いて製剤化又は製造することができるが、好ましくは2009年1月1日に、米国特許出願公開第20090004716号として公開された、米国特許出願第12/126611号に記載されている、最適化プラスミド製造技術を用いて製造される。いくつかの例では、これらの研究で用いられたDNAプラスミドは、10mg/mL以上の濃度で製剤化してもよい。製造技術はまた、米国特許出願公開第20090004716号に記載されているもの、及び2007年7月3日に発行された、米国特許第7,238,522号に記載されているものに加えて、当業者に一般に知られている種々の装置及びプロトコルを含む、又は組み込む。本明細書に記載されているEP装置及び送達技術とともに用いられる高濃度のプラスミドにより、合理的低容量でID/SD空間にプラスミドを投与することが可能になり、発現及び免疫効果を高めるのに役立つ。刊行物、米国特許出願公開第20090004716号、及び米国特許第7,238,522号は、その全文が本明細書に組み込まれる。
【実施例1】
【0088】
デングDIII発現コンストラクト
標本抽出バイアスを避けるために、GeneBankから、異なる地理的集団のおよそ15種のサブタイプ配列を収集した。用いた配列は全て非組み換えであった。デングエンベロープ(デングE)DIII配列の多重配列比較を、アプリケーションClustal X(バージョン1.81)を用いて実行し、ここでペアワイズ配列比較パラメータは、ギャップ開始ペナルティ(gap opening penalty)として10、ギャップ伸長ペナルティ(gap extension penalty)として0.1を用いて、動的な、時間はかかるが正確なプログラミング(dynamic slow-accurate programming)に設定した。多重配列比較パラメータは、0.2に等しいギャップ伸長ペナルティを含んでいた。多重配列比較を実施し、手動でいくつかの軽微な調整を行った後、デングE共通ヌクレオチド配列を得た。推定アミノ酸配列を用いて、コドン間に挿入されるように配列比較ギャップの導入を導いた。コドンの最適化及びRNAの最適化を、GeneOptimizer(GENEART,Germany)を用いて実施した。コドンを最適化した合成配列をさらに、pVAXの哺乳類発現プラスミドのKpnI/PstI部位にクローニングした。
【0089】
図1は、デングポリペプチドの構成及びデングEの立体配座の特性を示す。デングEは、3つの異なるドメイン:I、II、及びIIIから成る。デングE DIIIドメインのアミノ酸配列を、NCBIのデータベースから選択し、整合して、共通配列:DV−1−DIII(配列番号1)、DV−2−DIII(配列番号2)、DV−3−DIII(配列番号3)、及びDV−4−DIII(配列番号4)を得た。異なる株由来のアミノ酸配列を、Lasergene7(DNA Star Inc,Madison,WI)を用いて、整合のために構築した。Kozak配列に先行するIgEリーダー配列を、コード配列のN−末端に融合させた。アミノ酸配列に基づいて、ヒトの最適化合成遺伝子配列を、Geneart Inc製のソフトウェアツールを用いて作製し、pVAXベクターにクローニングした。サブタイプ−1、−2、−3、及び−4のデングエンベロープDIIIドメインをコード化している発現ベクターを、それぞれpDV−1−DIII、pDV−2−DIII、pDV−3−DIII、及びpDV−4−DIIIと称する。プラスミドマップを図4aに提供する。
【0090】
タンパク質分解的切断配列により分離された4つのDIIIドメインを全て組み込わせたコンストラクト(ユニバーサル又はユニバーサルDIII)を構築し、DV−U−DIII(配列番号5)と称する。図3は、オープンリーディングフレームの構成の概略図、並びに合成されたヒトの最適化遺伝子に基づくアミノ酸配列を示す。DV−U−DIIIをpVAXベクターにクローニングして、ユニバーサル発現コンストラクトpDV−U−DIIIを作製した。このプラスミドマップは図4bに見ることができる。
【実施例2】
【0091】
哺乳類系におけるデングDIIIドメインの発現
ヒトスジシマカC6/36細胞、Vero、HEK293、HeLa、RD、及びBHK細胞を、American Type Culture Collection(Manassas,VA)から入手した。C6/36細胞を、10%の熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)、ペニシリンG(100U/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)、L−グルタミン、及び非必須アミノ酸を添加したイーグル最小必須培地(EMEM;Gibco BRL)中にて、5%CO2、28℃で維持した。Vero細胞を、10%の熱不活性化ウシ胎児血清、ペニシリンG(100U/ml)、ストレプトマイシン(100μg/mL)、L−グルタミン、及び非必須アミノ酸を添加した、115mMのHEPES緩衝液を含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)−F12(Gibco BRL)中にて、5%CO2、37℃で維持した。HEK293、HeLa、及びRD細胞を、10%の熱不活性化ウシ胎児血清、ペニシリンG(100U/ml)、ストレプトマイシン(100μg/mL)を添加した、DMEM培地中にて、5%CO2、37℃で維持した。
【0092】
利用したウイルスは、DENV1ウイルス、DENV2、原型DENV3(H87株)、及び原型DENV4(H241)を含んでいた。デングウイルスを用いた実験では全て、4回未満細胞培養で継代されていた臨床用ウイルス分離株及びストックを用いた。ウイルスストックは、1mLのEMEM−2% FBSで希釈した、200μLのウイルスを含む、75cm2の組織培養フラスコに、C6/36細胞を単層で植菌することにより得た。1時間後、2%のFBSを添加した14mLのEMEMを添加し、細胞を5%CO2、28℃で10日間培養した。細胞から上清を取り除き、2000×gで5分間遠心分離して、細胞残屑を沈殿させた。上清を分注し、80℃で保存した。DENV1をVero細胞中で増殖及び継代し、一方DENV4(H241)は上記のようにC6/36細胞中で増殖させ、Vero細胞で1回継代した。
【0093】
RT−PCR法を利用して、DIIIドメインをコードしているmRNA転写産物の存在を検出した、なぜならpVAXに基づくデングDIIIワクチンコンストラクトは、追加の合成エピトープを含まないためである。ヒト横紋筋肉種細胞株、RD細胞に、DIII発現コンストラクト(独立に、4種の血清型のうちそれぞれ1種及びユニバーサル)をトランスフェクトし、トランスフェクションの2日後、トランスフェクトした細胞から全RNAを調製した。各デングウイルスの血清型に特異的なプライマーを用いて、RT−PCRを実行し、それぞれのDIIIドメインを増幅した。図5は、360bpの長さの断片を表すバンドにより表される、トランスフェクトされた細胞に由来する増幅したDIII断片を示すゲルの写真である。偽の(Mock)トランスフェクトした細胞(空のpVAXベクターをトランスフェクトした)は、このような増幅産物を示さなかった。この研究により、トランスフェクトされた細胞から、DIII発現のためのmRNA転写産物の存在が確認された。よって、これらのDNAコンストラクトは、タンパク質産物の発現を示唆する。
【0094】
これらのpVAXに基づくDNAコンストラクトに加えて、類似のタンパク質産物を発現するために一組のDNAコンストラクトをさらに構築した。これらのコンストラクトは、デングウイルスDIIIドメインと免疫検出目的のための合成FLAG(Sigma Co.)エピトープとの融合物(FLAGGED−コンストラクトと称される)を含んでいた。RD細胞にFLAGGED−コンストラクトをトランスフェクトし、トランスフェクションの36時間後、細胞を抗FLAGモノクローナル抗体(Sigma Co.)を用いて免疫蛍光アッセイにより分析した。
【0095】
タンパク質の細胞質内局在パターンから証明されるように、pDV−U−DIIIの、4種のDIIIドメイン(個別に、及び複合DIIIドメイン)又はユニバーサルDIII(ユニバーサルデング抗原)の全ての発現パターンは同じであった(図6を参照)。完全長デングEの発現により、典型的な細胞質内パターンが得られることが、いくつかの報告により十分立証されている。よって、DIIIの発現パターンは、単独で、完全長デングEの発現パターンに一致する。放射性標識デングE DIIIタンパク質が、これらのFLAGGED−コンストラクトから生じ、SDS−PAGEゲルで分離された。これらのタンパク質の移動度は、図7のゲル写真に示すように、およそ16kDaの質量のタンパク質に一致する。複合DIIIドメインの分子質量は、およそ50kDaの質量であると思われた。
【実施例3】
【0096】
細菌発現及び精製系を用いた4種のサブタイプ全てからのDENV E DIIIタンパク質の合成及び産生
4種のデング血清型全てのDIIIドメインを表すエンベロープ領域(295〜415)は、コード化DIIIドメインを含むpQEベクターを用いて形質転換することにより大腸菌内で発現させた。デングE−DIIIの予測される大きさは約16kDaである。細菌溶菌液のSDS−PAGE(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)は、(イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド)IPTG−誘導性大腸菌培養物内で、予想された大きさのタンパク質が過剰発現したことを示した。IPTGは、ベータ−ラクトシダーゼの活性を誘導するために、アロラクトースの分子擬態として一般的に用いられている。さらに、Ni−カラム(ポリヒスチジンでタグ付けされた組み換えタンパク質に結合する能力を有するNiでキレート化されたカラム)で溶出された画分に見られるタンパク質のバンドの出現は、IPTG処理された溶菌液を含むカラム中に見られる目立つバンドの移動度に一致する。未処理及びIPTG処理されたサンプルの両方の、pQE−ベクターを形質転換したサンプルの溶菌液(図8、最初の2つのレーン)は、DIIIドメインに一致するタンパク質バンドを示さなかった。この結果は、精製されたタンパク質が、IPTGにより誘導したとき、pQEベクター発現コンストラクトから発現したデングDIIIドメインであることを裏付ける。
【実施例4】
【0097】
(CELLECTRAを用いる)EPによるpDV−U−DIIIワクチン候補のマウスの免疫化、及びDIIIドメインに対するDV−U−DIII血清の特異性
図9に示したスケジュールにしたがって、マウスをプラスミドDNAコンストラクト(上記実施例1に記載)で免疫した。
【0098】
4週齢のBalb/cマウスの群(n=4)を、15μgのpDV−U−DIII及び残りの個々のDIII発現ベクターで筋肉内免疫した。pVAXを対照ベクターとして用いた。免疫前に、予め免疫した血液サンプルを、眼の静脈を通して採血するための不変的プロトコルを用いて収集した。方形波パルスを全ての実験で用い(Draghia−Akli and Smith,2003)、定電流CELLECTRA(登録商標)電気穿孔機(VGX Pharmaceuticals,Blue Bell,PA)により送出した。3つの電極アレイ(3−EA)をマウスの実験で用いた。3−EAは、非導電性プラスチックで一緒に保持された、2つの長辺の長さが0.5mm、短辺の長さが0.3mmである、二等辺三角形の配置の3つの26−ゲージの固体ステンレス鋼電極から成る。マウスの実験に特異的なEP条件は、定電流、0.1Amp、3つのパルス、52msec/パルス、パルス間4秒を用いた。プラスミド注入とEPとの間の時間のずれは約20秒であった。
【0099】
プラスミド投与/EPの事象の順序は、以下のように実施した:使い捨て電極アセンブリをハンドルのレセプタクル内に置き、ハンドル上にある開始ボタンを押し、動物実験群の番号を入力し、インスリン注射器を用いて50μLのDNAコンストラクト(全DNA15μg)プラスミドを注入し、針をすぐに注入部位の周囲の領域に入れ、ハンドル上の開始ボタンを押し、4秒数えた後、パルスを送出した。電気穿孔の5秒後、該アレイを筋肉からそっと取り出した。全ての処理中、全ての電極を完全に筋肉に挿入した。全てのDNAを、エンドトキシンを含まないQiagenカラムを用いて調製した。動物を、ペンシルバニア大学の、温度管理された、光サイクル施設で飼育し、動物の世話は、国立衛生研究所及びペンシルバニア大学の指針の下で行った。
【0100】
3度目の追加免疫後に得られた個々のマウスの血清サンプルを、ELISAによりDENV抗体力価についてアッセイした。全てのマウスが抗DIII抗体を産生した。免疫されたマウスにより産生された抗DENV E DIII抗体の力価を、捕捉抗原として精製されたDIII断片を用いてELISAアッセイにより決定した。これらの抗原を、NiでコーティングされたELISAプレートに捕捉し、次いで、pDV−U−DIIIを接種されたマウスの血清に対して試験した。図10に示すように、pDV−U−DIIIで免疫されたマウスに由来する血清は、高水準のELISA反応性を示し、一方pVAXで免疫されたマウスの血清の反応性はごくわずかであった(データは示さない)。また、pDV−U−DIIIを接種する前のマウスと接種した後のマウスとの間には、抗DIIIドメイン抗体の産生に関して大きな違いがあった。個々のDIIIドメイン発現コンストラクトにより産生された抗体力価の水準は、pDV−U−DIIIワクチン候補により誘発された抗体力価より著しく低かった。このELISAデータに基づいて、以後の全ての分析では、pDV−U−DIIIワクチン候補で免疫されたマウスから採取した抗DIII血清を用いて進めることにした。
【0101】
pDV−U−DIIIコンストラクトで免疫されたマウスから収集した血清の、4種の血清型全てのDIIIドメインと反応する能力を調べた。IPTG−誘導性細菌溶菌液、並びに4種全ての血清型の精製されたDIIIドメインを、SDS−PAGEで分離し、潜在的抗デングDIII血清としてpDV−U−DIII血清を用いて、ウエスタンブロッティング分析により免疫プローブ化(immunoprobe)した。HRP−抱合抗マウス抗体を用いて、抗原−抗体複合体を検出し、化学発光系を用いて免疫反応を検出した。D−U血清は、明らかに、4種全ての血清型のIPTG−誘導性溶菌液、並びにNi−溶出サンプルの両方のDIIIタンパク質を認識した。粗溶菌液に由来する他のタンパク質サンプルに結合することなく、DIII抗原に特異的に結合することにより、血清とDIII抗原との間の特異的反応についての直接的な証拠が得られた(図11における、多量体バンドを含む、分離されたバンドを参照)。該血清は、精製されたDIII断片が示した質量に等しい、約16kDaの質量の分子を同定した。
【0102】
DV−U−DIII血清はまた、個々に4つのDIIIドメイン全てでトランスフェクトされた細胞内に発現したDIII抗原に結合できるかどうかを検証するために試験した。この目的のために、HeLa細胞に、これらのDIIIコード化pVAX発現コンストラクトを一過的にトランスフェクトし、トランスフェクションの36時間後、免疫蛍光分析のために当該細胞を固定した。
【0103】
まず、FuGENE6トランスフェクション試薬(Roche)を用いて、デングワクチンコンストラクト及びpVAX(1mg/ウェル)で当該細胞をトランスフェクトした。抗マウスデング抗体又はpDV−U−DIIIを接種したマウスの血清とともにトランスフェクトした細胞を90分間インキュベートした後、スライドを、テトラメチルローダミンイソチオシアネート抱合二次抗体(Sigma−Aldrich)とともに45分間インキュベートした。40,6−ジアミド−2−フェニルインドールヒドロクロリド(Sigma−Aldrich)を、二次抗体溶液に添加して、核を対比染色し、所与の視野で利用可能な細胞の核の総数を示した。蛍光顕微鏡(Media Cybernetics,Silver Spring,MD)用のPhase 3 Proプログラムを用いて画像を解析した。
【0104】
抗DV−U−DIII血清は、トランスフェクトされなかった及びpVAXでトランスフェクトされたHeLa細胞(ATCC,Vaから入手)の両方を全く染色しなかった。しかしながら、DV−U−DIII血清は、DIII抗原のみを高度に特異的に染色した(図12)。最も重要なことに、DIII発現細胞は、主に細胞質局在パターンを示した。この観察結果は、図6に示すようなFLAG−エピトープと融合したDIIIタンパク質を標的とする抗FLAG抗体を用いて、FLAG−エピトープでタグ付けされたDIII発現ベクターにより実行した免疫蛍光研究と一致する。
【実施例5】
【0105】
pDV−U−DIIIを接種されたマウスの抗DIII血清の、元来の立体構造のEの生ウイルス粒子のインタクトなDIIIドメインへの結合
DV−U−DIII血清を、デング−2に感染した細胞に対して、抗DIII血清がデング−2ウイルスに反応できるかどうかを見るために試験した。天然では、DIIIドメインは、該ウイルスの外表面上のデングEの三次元立体構造のピーク領域に位置すると考えられる。
【0106】
デング−2ウイルスは、BHK−21(仔ハムスター腎細胞株;ATCC,Manassas,Va)細胞内で増幅して、高い力価を獲得した。さらに、高力価のウイルスストックを用いて、Vero細胞(ATCC,Manassas,Va)を感染させた。感染の4日後、デング−2に感染した細胞を、上記実施例4に概略を示したプロトコルにしたがって、抗DV−U−DIII血清で染色し、続いてFITC−抱合抗マウス抗体で染色した。抗DV−U−DIII血清は、未感染細胞では、異なる染色パターンもまったく示さなかった。この血清は、デング−2サブタイプのウイルスに感染した細胞にのみ反応した。pVAXを接種されたマウスから採取した血清もまた、デング−2に感染したVero細胞及び感染していないVero細胞の両方に反応しなかった。よって、DV−U−DIIIを接種されたマウスのみが、デングEのDIIIドメインを認識できる抗DIII抗体を産生した(図13)。
【0107】
DV−U−DIII血清を、4種のデングサブタイプ全てに感染した細胞に対して、抗DIII血清がこれらの4種に感染した細胞全てに反応できるかどうかを見るために試験した。
【0108】
チャンバ−スライド内で一晩増殖させたVero細胞に、4種全てのサブタイプの高力価ウイルスストックを感染させた。感染の4日後、デングに感染した細胞を、既に概略を示したプロトコルにしたがって、抗DV−U−DIII血清で染色し、続いてFITC−抱合抗マウス抗体で染色した。抗DV−U−DIII血清は、未感染細胞では、異なる染色パターンもまったく示さなかった。この血清は、デングサブタイプに感染した細胞にのみ反応した。興味深いことに、pVAXを接種されたマウスから採取した血清はまた、デングに感染したVero細胞及び感染していないVero細胞とまったく反応しなかった。よって、DV−U−DIIIを接種されたマウスのみが、デングビリオンのEのDIIIドメインを認識できる抗DIII抗体を産生した(図15)。上方のパネルは、感染した細胞を示し、下方のパネルは視野内で利用可能な細胞の核内容物を示すためにDAPI染色した同じ視野を示す。この観察結果は、DV−U−DIIIを接種されたマウスに存在する抗DIII抗体と、DIII抗原との間の特異的相互作用だけでなく、この抗体が元来の立体構造でデングウイルス自体のEのインタクトなDIIIドメインに反応できることも示す。
【実施例6】
【0109】
デングウイルスの種々のサブタイプに対する抗DIII血清の中和能力
DENV1、−2、−3、及び−4感染性の、pDV−U−DIII又は予め免疫した血清(対照)に対して産生された血清の中和能力を、プラーク中和アッセイを用いて決定した。プラーク還元中和試験を、Russel et al(A Plaque Reduction Test for Dengue Virus Neutralizing Antibodies. 1967. p.285−290)、Kochel,T.J.,et al.(Effect of dengue−1 antibodies on American dengue−2 viral infection and dengue haemorrhagic fever. The Lancet, 2002. 360(9329):p.310−312)、及びWu,S.−J.L.,et al.(Detection of Dengue Viral RNA Using a Nucleic Acid Sequence−Based Amplification Assay.2001.p.2794−2798)のプロトコルを修正したものを用いて実施した。
【0110】
ウイルスストック及びpDV−U−DIIIを接種されたマウスの抗DIII血清の様々な希釈物を混合し、得られた混合物をエッペンドルフチューブ内でD10培地(10%のウシ胎児血清を添加したDMEM−培地;Invitrogen)で200マイクロリットルにした。これらの混合物をインキュベータ内で37℃で1時間維持し、次いで細胞に添加して(細胞は組織培養チャンバスライド上に一晩播種した)、Vero細胞の感染を可能にした。ウイルス混合物とともに1時間インキュベートした後、該細胞をPBSで十分に洗浄し、細胞培地とともにさらにインキュベートするために4日間インキュベートチャンバ内に放置した。このアッセイの対照は、(1)未感染Vero細胞、(2)ウイルスストックに感染し、いずれの血清でも処理されていない細胞、及び(3)ウイルスストックに感染し、pVAXを接種されたマウスの血清で処理した細胞を含んでいた。
【0111】
pDV−U−DIIIを接種したマウスの抗DIII血清は、全くあいまい性(ambiguity)なくデング−2に感染した細胞を染色した(図13)。加えて、当該血清は、未感染細胞を全く染色しなかった。染色により、感染した細胞の数が最も多く観察されたのは、いずれの血清でも処理されなかったウイルスストックであった。ウイルスに感染した細胞の数は、未処理ウイルスストックを受けた細胞より、抗DIII血清で処理されたウイルスストックに感染した細胞において減少したことが見出された。よって、抗DIII血清でウイルスストックを処理することにより、図14に示す棒グラフに見られるように、デング−2の力価が低下した。
【0112】
類似の中和結果が、上記で用いた、デング−2ウイルスストックの代わりに、デング−1、−3、及び−4サブタイプのウイルスストックを用いることにより得られた。pDV−U−DIIIを接種したマウスの抗DIII血清は、全くあいまい性なく4種のデングサブタイプ全てに感染した細胞を染色した。加えて、当該血清は、未感染細胞を全く染色しないことが観察された。染色により、感染した細胞の数が最も多く観察されたのは、いずれの血清でも処理されていないウイルスストックであった。ウイルスに感染した細胞の数は、未処理ウイルスストックを受けた細胞より、抗DIII血清で処理されたウイルスストックで処理した細胞において著しく減少したことが見出された。よって、抗DIII血清でウイルスストックを処理することにより、感染性デングウイルスの力価が低下した。それ故、pDV−U−DIIIを接種したマウスの血清は、4種全てのデングサブタイプに対して中和能力を示す抗DIII抗体を含んでいた。
【0113】
さらに、pDV−U−DIII血清の中和効果を試験して、デング感染により引き起こされる細胞変性効果に対するその影響を決定した。図16は、種々のデングサブタイプとともにDV−U−DIII血清を用いて得られた中和データを示す(データはSouthern Research Institute,Frederick,MDから得た)。この図は、DV−U−DIII血清が、最大1:1100の希釈倍率まで4種全てのデングウイルスのサブタイプを中和する能力を有することを示す。pVAXを接種されたマウスから採取した血清は、どのデングウイルスサブタイプも中和しなかった。
【実施例7】
【0114】
デングE DIII抗原に対するB細胞の活性化
DIII−DNAを接種したマウスのマウス脾臓を調製して、DIIIタンパク質に対する抗体を産生することができるB細胞の頻度を測定した。
【0115】
デングタンパク質懸濁液を解凍し、試験管をボルテックスして、細かいタンパク質微粒子を懸濁させた。再懸濁したタンパク質の少量の一定分量を、緩衝液TU(62mM Tris−HCl/8M 尿素、pH 8.0)に溶解させて、10μg/mL溶液を作製した。デングタンパク質はこの緩衝液に可溶性であった。100μL(1μg)の希釈したタンパク質の一定分量を、Pierce HisGrab銅コーティング高結合能プレートのウェルに塗布し、これらの抗原をコーティングしたNi−プレートを、日常的なプロトコル(Yan,J.,et al.,Enhanced Cellular Immune Responses Elicited by an Engineered HIV−1 Subtype B Consensus−based Envelope DNA Vaccine. Mol Ther.15(2):p.411−421)にしたがって、さらに分析した。同じプロトコルを、マウス及びサルモデルに関するさらなる研究に適用する。IFN−ガンマELIスポットアッセイでは、4種全ての血清型のDIII領域にまたがる10個の重複アミノ酸を含む15merのペプチドを抗原刺激物として用いる。これらのアッセイは、抗原に曝露されたマウス及びサル被験体の脾臓から採取した細胞を用いた。
【0116】
ELIスポットアッセイの結果は、上記DIII抗体のELISAデータと一致する。DIIIに特異的なマウス抗体分泌細胞は、個々のDIIIドメインのみを受けた群より、pDV−U−DIIIを接種されたマウスで高頻度に観察された(図17)。まとめると、ELIスポット結果は、ELISA研究により決定されたように、DIII特異的抗体の力価に対応する、高親和性抗原特異的B細胞の活性化を示した。
【実施例8】
【0117】
アカゲザルにおけるデング中和抗体の産生
アカゲザルに、pDV−U−DIIIデング発現コンストラクトを接種することができる。3度の追加免疫後、抗体力価を評価し、サルを4種全てのデングウイルス血清型を用いて抗原曝露することができる。
【0118】
アカゲザルは、実験の開始前2ヶ月間馴化させた。研究は、以下のように進めることができる:0週−最初の免疫(プラスミド用量投与)及びベースライン採血の実施;2週−採血の実施;3週−2回目の免疫(プラスミド用量投与)の実施;5週−採血の実施;6週−3回目の免疫(プラスミド用量投与)及び採血の実施;8週−採血の実施。
【0119】
被験体を、およそ1mg/mL(好ましくは約10mg/mL)の濃度のpDV−U−DIII製剤及び残りの個々のDIII発現ベクターで筋肉内免疫した。pVAXを対照ベクターとして用いてもよい。方形波パルスを全ての実験で用い(Draghia−Akli and Smith,2003)、定電流CELLECTRA(登録商標)電気穿孔機(VGX Pharmaceuticals,Blue Bell,PA)で送出した。EP条件は、以下のように選択する:0.5Amp、3パルス、52msec、パルス間1秒。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリペプチドを発現するコード化ヌクレオチド配列であって、前記ポリペプチドが少なくとも2種の異なるデングウイルスサブタイプに由来するDIIIドメインを含む配列と、
哺乳類内における前記ポリペプチドの発現を調節し、前記コード化ヌクレオチド配列に機能的に連結するプロモータと、
を含む、哺乳類内でデングウイルスの2種以上のサブタイプに対する免疫反応を誘発するポリペプチドを発現させることができる核酸コンストラクト。
【請求項2】
前記コード配列のN−末端に機能的に連結し、前記プロモータに機能的に連結するIgEリーダー配列をさらに含む、請求項1に記載の核酸コンストラクト。
【請求項3】
前記コード配列のC−末端に結合したポリアデニル化配列をさらに含む、請求項1〜2のいずれか一項に記載の核酸コンストラクト。
【請求項4】
前記核酸コンストラクトのコドンが最適化されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の核酸コンストラクト。
【請求項5】
前記コード化ヌクレオチド配列が、デングウイルス−サブタイプ1、デングウイルス−サブタイプ2、デングウイルス−サブタイプ3、若しくはデングウイルス−サブタイプ4、又はこれらの組み合わせに由来するDIIIドメインを含むポリペプチドをコード化する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の核酸コンストラクト。
【請求項6】
前記コード化ヌクレオチド配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、及び配列番号5から成る群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の核酸コンストラクト。
【請求項7】
哺乳類内で免疫反応を誘発するのに有効な量の共通デング抗原を哺乳類の細胞内で発現させることができるDNAプラスミドであって、前記共通デング抗原が、デングウイルス−サブタイプ1、デングウイルス−サブタイプ2、デングウイルス−サブタイプ3、若しくはデングウイルス−サブタイプ4、又はこれらの組み合わせの共通DIIIドメインを含むDNAプラスミドと、
製薬上許容できる賦形剤と、
を含む、哺乳類内で複数のデングウイルスサブタイプに対する免疫反応を生じさせることができるDNAプラスミドワクチンであって、
前記DNAプラスミドが、前記共通デング抗原をコード化するコード配列に機能的に連結するプロモータを含む、DNAプラスミドワクチン。
【請求項8】
前記DNAプラスミドが、前記コード配列のN−末端に結合し、プロモータに機能的に連結するIgEリーダー配列をさらに含む、請求項7に記載のDNAプラスミドワクチン。
【請求項9】
前記DNAプラスミドワクチンが、前記コード配列のC−末端に結合したポリアデニル化配列をさらに含む、請求項7〜8のいずれか一項に記載のDNAプラスミドワクチン。
【請求項10】
前記DNAプラスミドのコドンが最適化されている、請求項7〜9のいずれか一項に記載のDNAプラスミドワクチン。
【請求項11】
前記製薬上許容できる賦形剤がアジュバントである、請求項7〜10のいずれか一項に記載のDNAプラスミドワクチン。
【請求項12】
前記アジュバントが、IL−12及びIL−15から成る群から選択される、請求項11に記載のDNAプラスミドワクチン。
【請求項13】
前記製薬上許容できる賦形剤がトランスフェクション促進剤である、請求項7〜10のいずれか一項に記載のDNAプラスミドワクチン。
【請求項14】
前記トランスフェクション促進剤が、ポリアニオン、ポリカチオン、又は脂質である、請求項13に記載のDNAプラスミドワクチン。
【請求項15】
前記トランスフェクション促進剤が、6mg/mL未満の濃度のポリ−L−グルタミン酸である、請求項13に記載のDNAプラスミドワクチン。
【請求項16】
前記DNAプラスミドワクチンが、1mg/mL以上の全DNAプラスミド濃度を有する、請求項7〜15のいずれか一項に記載のDNAプラスミドワクチン。
【請求項17】
前記DNAプラスミドが複数の独特なDNAプラスミドを含み、前記複数の独特なDNAプラスミドのそれぞれが、デングウイルス−サブタイプ1、デングウイルス−サブタイプ2、デングウイルス−サブタイプ3、若しくはデングウイルス−サブタイプ4、又はこれらの組み合わせに由来するDIIIドメインを含むポリペプチドをコード化する、請求項7〜16のいずれか一項に記載のDNAプラスミドワクチン。
【請求項18】
前記コード化ヌクレオチド配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、又は配列番号5を含む、請求項7〜17のいずれか一項に記載のDNAプラスミドワクチン。
【請求項19】
デングウイルスDIIIドメインを発現する少なくとも2種の異なるDNAプラスミドを含む、請求項7〜18のいずれか一項に記載のDNAプラスミドワクチンであって、前記プラスミドが、
共通デングウイルス−サブタイプ1 DIIIドメインをコード化する配列を含むDNAプラスミド、
共通デングウイルス−サブタイプ2 DIIIドメインをコード化する配列を含むDNAプラスミド、
共通デングウイルス−サブタイプ3 DIIIドメインをコード化する配列を含むDNAプラスミド、及び
共通デングウイルス−サブタイプ4 DIIIドメインをコード化する配列を含むDNAプラスミド、
から成る群から選択される、DNAプラスミドワクチン。
【請求項20】
共通デングウイルス−サブタイプ1 DIIIドメインをコード化する配列を含むDNAプラスミド、
共通デングウイルス−サブタイプ2 DIIIドメインをコード化する配列を含むDNAプラスミド、
共通デングウイルス−サブタイプ3 DIIIドメインをコード化する配列を含むDNAプラスミド、及び
共通デングウイルス−サブタイプ4 DIIIドメインをコード化する配列を含むDNAプラスミド、
を含む、請求項7〜19のいずれか一項に記載のDNAプラスミドワクチン。
【請求項21】
前記共通デングウイルス−サブタイプ1 DIIIドメインが配列番号1である、請求項7〜20のいずれか一項に記載のDNAプラスミドワクチン。
【請求項22】
前記共通デングウイルス−サブタイプ2 DIIIドメインが配列番号2である、請求項7〜21のいずれか一項に記載のDNAプラスミドワクチン。
【請求項23】
前記共通デングウイルス−サブタイプ3 DIIIドメインが配列番号3である、請求項7〜22のいずれか一項に記載のDNAプラスミドワクチン。
【請求項24】
前記共通デングウイルス−サブタイプ4 DIIIドメインが配列番号4である、請求項7〜23のいずれか一項に記載のDNAプラスミドワクチン。
【請求項25】
前記哺乳類がヒト以外の霊長類である、請求項7〜24のいずれか一項に記載のDNAプラスミドワクチン。
【請求項26】
前記免疫反応が体液性反応である、請求項7〜25のいずれか一項に記載のDNAプラスミドワクチン。
【請求項27】
前記免疫反応が細胞性反応である、請求項7〜25のいずれか一項に記載のDNAプラスミドワクチン。
【請求項28】
前記免疫反応が、体液性反応と細胞性反応との組み合わせである、請求項7〜25のいずれか一項に記載のDNAプラスミドワクチン。
【請求項29】
DNAプラスミドワクチンを哺乳類の組織に送達する工程であって、前記DNAプラスミドワクチンが、哺乳類の細胞内でウイルスのサブタイプに由来する複数の共通抗原を発現させて、哺乳類内で免疫反応を誘発することができるDNAプラスミドを含み、前記複数の共通抗原がウイルスの少なくとも2種の異なるサブタイプに由来する抗原性ドメインを含む工程と、
前記DNAプラスミドの細胞内への侵入を可能にするのに有効な定電流でエネルギーのパルスにより組織の細胞を電気穿孔処理する工程と、
を含む、哺乳類内でウイルスの複数のサブタイプに対する免疫反応を誘発する方法。
【請求項30】
前記ウイルスが西ナイルウイルス、ヒト免疫不全症ウイルス、インフルエンザウイルス、又はデングウイルスを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記送達工程が、前記DNAプラスミドワクチンを、経皮、皮下、又は筋肉組織に注入することを含む、請求項29〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記組織に送達されるのに望ましい電流を予め設定する工程と、
予め設定した電流に等しい定電流でエネルギーのパルスにより前記組織の細胞を電気穿孔処理する工程と、
をさらに含む、請求項29〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記電気穿孔処理工程が、
前記電気穿孔処理された細胞内のインピーダンスを測定する工程と、
前記測定されたインピーダンスに対してエネルギーのパルスのエネルギーレベルを調整して、前記電気穿孔処理された細胞内で定電流を維持する工程と、
をさらに含み、
前記測定及び調整工程がエネルギーのパルスの存続期間内に行われる、請求項29〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記電気穿孔処理工程が、分散パターンでエネルギーのパルスを送出するパルスシーケンスパターンにしたがって複数の電極にエネルギーのパルスを送出する工程をさらに含む、請求項29〜33のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2011−509659(P2011−509659A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542412(P2010−542412)
【出願日】平成21年1月12日(2009.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/030776
【国際公開番号】WO2009/099716
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(510129510)ブイジーエックス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】