説明

データテープ制御装置

【課題】バックアップ等を目的に、映像データ等をデータテープに記録した場合、その再生に時間がかかるという課題がある。
【解決手段】データを記録するデータトラックを複数持つデータテープ116の長手方向に対するヘッドの往復移動およびデータトラック間を跨いだ移動により、データテープ116に対してデータの記録および再生を行うデータテープ制御装置であって、データテープ116から取得したファイルインデックス114より、読み込み対象のファイルの記録位置と記録方向とを取得し、取得した記録位置と記録方向とを基に、ファイルの読み出し順序を決定するファイル復元順並び替え手段113と、ファイル復元並び替え手段113で並び替えられた順序で、読み込み対象のファイルを再生するファイル復元手段119と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データテープ等のリニアアクセス媒体にデータファイルを記録するデータテープ制御装置に関し、より詳細には、データファイルのインデックスの作成方法および記録する情報と、それらを利用してデータファイルを復元するデータテープ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データテープ等のテープ媒体に記録されたデータファイルを読み出す場合、テープ装置は、データテープの先端から終端へ、またはテープの終端から先端へデータトラックに沿った往復移動と、データトラック間を跨いだ移動を行うことで、データファイルが記録された開始位置までヘッドを移動する。
【0003】
テープ装置は、データファイルの読み出しに際して、データファイルの開始位置から、記録方向に沿ってデータファイルを読み出し、データテープの先端または終端に達すると、隣のデータトラックに移動し、ヘッドの移動方向を反転して、引き続きデータファイルを読み出す。
【0004】
データテープから複数のファイルを読み出す際、データファイルの開始位置までの移動に要するデータテープの走行時間がボトルネックとなる。テープ装置において、記録された複数のデータの読み出すに要する時間を短縮するために、様々な提案が行われている。
【0005】
データテープ上に記録されたデータを読み出す時間を短縮する技術として、例えば特許文献1に開示の技術がある。特許文献1のテープ装置は、リードライト処理が終了する毎に、次に実行可能なコマンドが対象とする全てのデータの先頭位置と、現在の磁気ヘッドの位置とを比較し、最も距離の短いものを選択することで処理の最適化を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−48549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
データテープ上のデータトラックに記録されるデータは、テープの先頭から終端に向けた方向、またはテープの終端から先頭に向けた方向のいずれかの方向で記録される。したがって、読み取りに際しても、テープ装置は、記録時と同一方向にヘッドを移動させてデータを読み取る必要がある。したがって、ヘッドの移動時間を算出するにあたって、ヘッドの移動方向を併せて考慮する必要があるところ、上記従来技術では、記録方向に関しては、考慮されておらず、複数のデータトラックからなるデータテープからデータを読み込む際には、時間がかかるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のデータテープ制御装置は、データを記録するデータトラックを複数持つデータテープの長手方向に対するヘッドの往復移動および前記データトラック間を跨いだ移動により、前記データテープに対してデータの記録および再生を行うデータテープ制御装置であって、前記データテープに記録された複数のファイルの記録位置と記録方向とを含むファイルインデックスを、前記データテープから取得するファイルインデックス復元部と、前記ファイルインデックスより読み込み対象のファイルの記録位置と記録方向とを取得し、取得した記録位置と記録方向とを基に、ファイルの読み出し順序を決定するファイル復元順並び替え手段と、前記ファイル復元並び替え手段で並び替えられた順序で、前記読み込み対象のファイルを再生するファイル復元手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
データテープ制御装置は、記録されたファイルの記録位置と記録方向から、読み出し順序を決定し、データを読み出すことにより、読み出し時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1におけるファイルインデックス項目を示す図
【図2】実施の形態1におけるファイルインデックスを示す図
【図3】実施の形態1におけるファイルとインデックスの記録位置の関係を示す図
【図4】実施の形態1における記録ファイルリストを示す図
【図5】実施の形態1におけるデータテープ制御装置の記録に関連する構成を示す図
【図6】実施の形態1におけるデータテープ制御装置の復元に関連する構成を示す図
【図7】実施の形態1におけるファイルの記録位置とデータトラックの関係を示す図
【図8】実施の形態1における順方向復元時に反転動作しないときの関係図
【図9】実施の形態1における順方向復元時に反転動作するときの関係図
【図10】実施の形態1における逆方向復元時に反転動作するときの関係図
【図11】実施の形態1における並び替えなしに復元するときのシーク時間の関係図
【図12】実施の形態1における並び替えなしに復元するときのファイルリストを示す図
【図13】実施の形態1における並び替えて復元するときのシーク時間の関係図
【図14】実施の形態1における並び替えて復元するときのファイルリストを示す図
【図15】実施の形態1における並び替えアルゴリズムのフローチャート
【図16】実施の形態1における復元ファイルリストを示す図
【図17】実施の形態1における並び替え処理の最初の入れ替えの説明図
【図18】実施の形態1における並び替え処理の最初の入れ替え後の復元リストを示す図
【図19】実施の形態1における並び替え処理の最後の入れ替えの説明図
【図20】実施の形態1における並び替え処理の最後の入れ替え後の復元リストを示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図5は、本実施の形態のデータテープ制御装置における、記録に関する構成を示すブロック図である。図3は、テープにデータを記録したときのファイルとインデックスの構成を示す。図1は、テープにデータを記録したときに作成するファイルインデックスの構成を示す。図2は、ファイルインデックスの具体例を示す。図2は、説明のため簡略化し、ファイルパスと開始ブロックアドレスと開始方向と終了ブロックアドレスと終了方向のみ示している。図4は、テープに記録するファイルを指定する記録ファイルリストを示す。
【0012】
図5において、本実施の形態のデータテープ制御装置は、記録に関する構成として、データ記録処理部108と、データ記憶媒体制御部102と、テープドライブ制御部104を有している。
【0013】
本実施の形態のデータテープ制御装置は、記録ファイルリスト101に基づき、データ記録媒体103に記録されたデータを読み出して、データテープ116に読み出したデータを記録し、データ記録媒体103のバックアップデータを作成する。
【0014】
データ記録処理部108は、記録ファイルリスト101に指定されたファイルをデータテープ116に記録して、ファイルインデックス110を作成する。データ記録処理部108は、記録方向判定手段117と、ファイルインデックス作成手段109と、ファイルインデックス110と、ファイル書き込み手段108を含む。
【0015】
記録位置方向判定手段117は、データブロックが記録されたブロックアドレスから、そのデータブロックを読み出すときに、データテープの走行方向が正方向であるか逆方向であるかを判定する。ブロックアドレス値が0の位置から読み出す方向を正方向とし、そこからEOTまで読み出して反転した方向を逆方向とする。すなわち、ブロックアドレスをブロック数/トラックで除算した商が0または偶数のときに正方向、奇数のときに逆方向と判定する。
【0016】
ファイルインデックス作成手段109は、データに対するファイルインデックス110を作成する。ファイル書き込み手段118は、テープドライブ制御部104を制御して、データテープ116にファイルを書き込む。
【0017】
データ記憶媒体制御部102は、データ記憶媒体103を読み書きする。
【0018】
テープドライブ制御部104は、データテープ116を読み書きする。テープドライブ制御部104は、シーク手段105とテープ位置取得手段106を含む。シーク手段105はデータテープ116を指定した物理ブロック位置にシークする。テープ位置取得手段106は、データテープ116の現在の物理ブロック位置を取得する。
【0019】
以下、このように構成されたデータテープ制御装置のデータ記録時の動作について説明する。図4に示す記録ファイルリストに示されたファイルをデータテープに記録する処理を例に挙げて説明する。
【0020】
データ記録処理部108は、まず、データテープをEODまでシークする。次に、データ記録処理部108は、記録ファイルリスト101に指定されたファイル数だけ、次の処理を行う。
【0021】
ファイルインデックス作成手段109は、データ記憶媒体制御部102によりデータ記憶媒体103からファイルを読み出し、ファイルの作成日時、更新日時、アクセス日時、読み取り専用属性、サイズ、作成者を取得して、ファイル名、ファイルパスと共にファイルインデックス110に新規登録する。次に、ファイルインデックス作成手段109は、位置取得手段106によりブロックアドレスを取得し、取得したブロックアドレスを開始ブロックアドレスとしてファイルインデックス110に追加する。ファイルインデックス作成手段109は、記録位置方向判定手段117により、開始ブロックアドレスの走行方向を判定し、開始方向としてファイルインデックス110に追加する。
【0022】
次にファイル書き込み手段118は、データファイルをデータブロック単位でデータテープ116に書き込む。
【0023】
次にファイルインデックス作成手段109は、位置取得手段106によりブロックアドレスを取得し、取得したブロックアドレスを終了ブロックアドレスとしてファイルインデックス110に追加する。ファイルインデックス作成手段109は、記録位置方向判定手段117により、終了ブロックアドレスの走行方向を判定し、終了方向としてファイルインデックス110に追加する。
【0024】
この作業をファイル件数分繰り返すことにより、データ記録処理部108は、同時にファイルインデックス110を作成する。すべてのデータファイルをデータテープ116に書き込んだ後に、ファイルインデックス110をデータテープ116に書き込む。
【0025】
記録ファイルリスト101を基にファイルを書き込んだデータテープ116の状態を図7に、ファイルインデックスを図2に示す。次に図2と図7の関係について、いくつかのファイルを例に挙げて説明する。ID1のファイルは、開始方向が正、終了方向が正である。ID1のファイルはファイル207が該当し、トラック201をまたがない記録状態を示す。ID3のファイルは開始方向が正、終了方向が逆である。ID3のファイルは、トラック201にあるファイルブロック208から、EOT206で折り返してトラック202にあるファイルブロック209にまたがる記録状態を示す。ID4のファイルは、開始方向が逆、終了方向が正である。ID4のファイルはトラック201にあるファイルブロック213から、BOT205で折り返しトラック203にあるファイルブロック214にまたがる記録状態を示す。ID5のファイルは、開始方向が逆、終了方向が逆である。ID5のファイルはトラック203をまたがない記録状態を示す。
【0026】
以上のようにしてファイルをデータテープに書き込めば、ファイルインデックスから、ファイルパスをキーとして、ファイルが記録された位置を開始ブロックアドレスと開始方向と終了ブロックアドレスと終了方向で詳細に知ることができる。
【0027】
次に、データテープからファイルを復元する方法を説明する。図7に示す記録済みデータテープから、図15に示した復元ファイルリストで指定したファイルを取り出す処理を例に挙げて説明する。
【0028】
図6は、本実施の形態のデータテープ制御装置のファイル復元処理に関する構成を示す図である。図5に示した構成と共通の構成については同一の符号を付与している。本実施の形態のデータテープ制御装置はファイル復元処理に関する構成として、データ復元処理部112と、データ記憶媒体制御部102と、テープドライブ制御部104を有している。
【0029】
データ復元処理部112は、復元ファイルリスト111に指定されたファイルを、ファイルインデックス114と照合して、記録位置と記録方向を判定することで、シーク距離が最短となるようにファイル復元順序を並び替えて復元する。データ復元処理部112は、ファイル復元順並び替え手段113と、並び替え復元ファイルリスト115と、ファイルインデックス114と、ファイル復元手段119を含む。
【0030】
ファイル復元順並び替え手段113は、復元ファイルリスト111を読み取り、ファイル復元時にデータテープ116をシークする時間が最短になるように順番を並び替えて、並び替え復元ファイルリスト115を作成する。ファイルインデックス114は、データテープ116に記録されたデータに関するファイルインデックスであり、テープドライブ制御部104を介して、データテープ116から取得される。ファイル復元手段119は、テープドライブ制御部104を制御して、データテープ116に記録されたデータを復元する。
【0031】
データテープ116とテープドライブ107の仕様について説明する。シークする単位はブロック数であるので、秒/ブロック数として表す。BOTとEOTの距離は物理的にすべてのトラックでほぼ同じであるが、実際のデータテープ116では、トラック間に誤差がある。ただし、その誤差は無視できるレベルである。説明のためトラックのBOTとEOT間のブロック数は150000ブロックとし、そのシーク時間は140秒とする。この場合、140÷150000≒0.00093秒/ブロックとなる。
【0032】
続いて、反転動作について説明する。テープドライブ107は機構上、反転時には停止して逆転方向に位置決めするための時間を要し、たとえばこの時間を10秒とする。先に復元するファイルの終了ブロックアドレスと次に復元するファイルの開始ブロックアドレスの差が、反転有りと反転無しで同じ値であるとき、反転有りの方が反転時間を必要とする分だけ、10秒余計にかかることになる。したがって、復元順序を決定する際は反転有無を考慮する必要がある。10秒でシークできるブロック数は、150000/140×10=10714となる。つまり、反転無しの場合、先に復元するファイルの終了ブロックアドレスと次に復元するファイルの開始ブロックアドレスの距離がこの10714未満であれば、反転有りで距離が0の組み合わせよりも時間を短縮できることになる。この値を反転補正距離と称する。
【0033】
また、データテープ116は機構上、別トラックのブロックアドレスにシークする際、現在位置とシーク先のアドレスが同じ方向であり、かつ重ならない位置であったとしても、少し戻ってからシークすることがある。すなわち反転が必要なことがある。この閾値の距離を反転閾距離と称する。
【0034】
ここで、並べ替えないで復元する場合のシーク時間について説明する。図11に、復元ファイルリスト101に指定されたファイルの順番に復元する場合のデータテープ116のシーク時間を示す。ファイル401を復元後、次のファイルであるファイルブロック402の復元開始までに79000ブロックシークし、そのシーク時間に約73秒要する。次のファイルはファイルブロック403からファイル404への移動で44500ブロックシークし、そのシーク時間に約41秒要する。このようにして、ファイルの復元完了後の位置と、次に復元するファイルの開始位置の関係を考慮せずに復元を行うと、シークする距離の合計は144000ブロックとなり、シークする時間の合計は133秒となる。
【0035】
次に、ファイルの並べ替えを行って復元する場合について説明する。
【0036】
ファイル復元順並び替え手段113は、図16に示す復元ファイルリストを読み取り、ファイル復元時にデータテープ116をシークする時間が最短になるように順番を並び替えて、並び替え復元ファイルリスト115を作成する。図15に、ファイル復元順並び替えのアルゴリズムのフローチャートを示す。図8に、順方向復元時に反転しない場合のシーク動作を示す。図9に、順方向復元時に反転する場合のシーク動作を示す。図10に、先に復元するファイルの終了方向と次に復元するファイルの開始方向が異なる場合のシーク動作を示す。図17に、復元ファイルリストの最初のファイルから次に復元するファイルへの組み合わせとその距離を示す。図18に、復元ファイルリストの最初のファイルから、最短のシーク距離で次に復元するファイルを決定した後の並び替え済みのファイルリストを示す。図19に、復元ファイルリストの最短距離を検索する最後の組み合わせとその距離を示す。図20に、復元ファイルリストの最初のファイルから、最短のシーク距離で次に復元するファイルを決定した後の並び替え済みのファイルリストを示す。以下にこれら図を使用して並び替えのアルゴリズムについて説明する。
【0037】
データ復元処理部112は、あらかじめデータテープ116に記録されたファイルインデックスを、ファイルインデックス114に読み込み、続けて、図16に示す復元ファイルリスト111を並び替え復元ファイルリスト115に読み込む。また、データテープ116の現在位置は、巻き戻し直後と仮定して0とする。
【0038】
ファイル復元順並び替え手段113は、ループ1のインデックス[i]の初期値として−1を設定して処理を開始する(S102)。続けて、ファイル復元順並び替え手段113は、インデックス[i]が0以上であるか判定する(S103)。最初は−1であるので、ファイル復元順並び替え手段113は、テープ位置取得手段106でデータテープ116の現在位置を取得し[終了ブロックアドレス]に0を設定する(S201)。ファイル復元順並び替え手段113は、記録位置方向判定手段117でデータテープ116の読み出し方向を判定して[終了方向]に正方向を設定する(S202)。ファイル復元順並び替え手段113は、BOTとEOTの距離である150000に1加算した150001を[最短シーク距離]に設定する(S105)。ファイル復元順並び替え手段113は、BOTから[終了ブロックアドレス]までの距離である0を[開始位置]に設定する(S106)。ファイル復元順並び替え手段113は、仮インデックス[s]に[i+1]の値0を設定する(S107)。
【0039】
次に、ファイル復元順並び替え手段113は、ループ2(S301)で、インデックス[k]に[i+1]の値を初期値として設定し、並び替え復元ファイルリスト115のインデックス[k]が0のファイル[C:¥DATA¥FILE1.TXT]を、ファイルインデックス114を検索して、[開始ブロックアドレス]として0を、[開始方向]として正方向を取得する(S302)。ファイル復元順並び替え手段113は、BOTから[開始ブロックアドレス]までの距離である0を[次の位置]にする(S303)。ファイル復元順並び替え手段113は、[開始位置]であるデータテープ116の現在位置から、[次の位置]である[C:¥DATA¥FILE1.TXT]までの距離である0を、[シーク距離]に設定する(S304)。
【0040】
続けて、ファイル復元順並び替え手段113は、[終了方向]と[開始方向]を比較して、いずれも正方向で同じであるので何もしない(S305)。ファイル復元順並び替え手段113は、[シーク距離]の0が[最短シーク距離]の150001未満なので(S401)、そのときのインデックス[k]の値0を、仮インデックス[s]に設定し、[シーク距離]の0を[最短シーク距離]に設定し、[開始方向]の正方向を[終了方向]に設定する(S402)。
【0041】
次に、ファイル復元順並び替え手段113は、ループ2(S301)に戻り、インデックス[k]をインクリメントして、並び替え復元ファイルリスト115のインデックス[k]が1の[C:¥DATA¥FILE3.TXT]をファイルインデックス114から検索して、[開始ブロックアドレス]として140000を[開始方向]として逆方向を取得する。ファイル復元順並び替え手段113は、BOTから[開始ブロックアドレス]までの距離である119500を[次の位置]に設定する(S303)。ファイル復元順並び替え手段113は、[開始位置]であるデータテープ116の現在位置から、[次の位置]である[C:¥DATA¥FILE3.TXT]の距離である119500を、[シーク距離]に設定する(S304)。
【0042】
続けて、ファイル復元順並び替え手段113は、[終了方向]と[開始方向]を比較し、正方向と逆方向で方向が異なるので(S305)、[シーク距離]の119500に[反転補正距離]の10714を加算して、130214を新しい[シーク距離]とする(S306)。このとき、ファイル復元順並び替え手段113は、[シーク距離]の130214が[最短シーク距離]の0より大きいので何もしない(S401)。
【0043】
再び、ファイル復元順並び替え手段113は、ループ2(S301)に戻り、並び替え復元ファイルリスト115のインデックス[k]が2から4までのファイルについて、以上に説明した処理(S301)から(S403)を繰り返す。この処理の結果、仮インデックス[s]は0となり、並び替えファイルリスト115の[i+1]が示す0番目と、仮インデックス[s]が示す0番目を入れ替えると、ファイルリスト115のインデックス0番目のファイルは[C:¥DATA¥FILE1.TXT]に決定される(S405)。
【0044】
次に、ファイル復元順並び替え手段113は、ループ1(S102)に戻り、インデックス[i]はインクリメントして0となる。インデックス[i]が0以上であるので(S103)、ファイル復元順並び替え手段113は、並び替え復元ファイルリスト115からインデックス[i]が0のファイルパス[C:¥DATA¥FILE1.TXT]を取得し、ファイルインデックス114から、[終了ブロックアドレス]として61000を、[終了方向]として正方向を取得する(S202)。ファイル復元順並び替え手段113は、BOTとEOTの距離である150000に1加算した150001を[最短シーク距離]に設定する(S105)。ファイル復元順並び替え手段113は、BOTから[終了ブロックアドレス]までの距離である61000を[開始位置]に設定する(S106)。ファイル復元順並び替え手段113は、仮インデックス[s]に[i+1]の値1を設定する(S107)。
【0045】
次に、ファイル復元順並び替え手段113は、ループ2(S301)で、インデックス[k]をインクリメントして、並び替え復元ファイルリスト115のインデックス[k]が1のファイル[C:¥DATA¥FILE3.TXT]を、ファイルインデックス114から検索して、[開始ブロックアドレス]として140000を、[開始方向]として正方向を取得する(S302)。ファイル復元順並び替え手段113は、BOTから[開始ブロックアドレス]までの距離である140000を[次の位置]に設定する(S303)。ファイル復元順並び替え手段113は、[開始位置]である61000から、[次の位置]である[C:¥DATA¥FILE1.TXT]までの距離である79000を、[シーク距離]に設定する(S304)。
【0046】
続けて、ファイル復元順並び替え手段113は、[終了方向]と[開始方向]を比較して、正方向と正方向で同じであるので何もしない(S305)。ファイル復元順並び替え手段113は、[シーク距離]の79000が[最短シーク距離]の150001未満なので(S401)、そのときのインデックス[k]の値である1を、仮インデックス[s]に設定し、[シーク距離]79000を[最短シーク距離]に設定し、[開始方向]の正方向を[終了方向]に設定する(S402)。
【0047】
次に、ファイル復元順並び替え手段113は、ループ2(S301)に戻り、インデックス[k]をインクリメントして、並び替え復元ファイルリスト115のインデックス[k]が2のファイル[C:¥DATA¥FILE5.TXT]を、ファイルインデックス114から検索して、[開始ブロックアドレス]として375000と[開始方向]として逆方向を取得する。ファイル復元順並び替え手段113は、BOTから[開始ブロックアドレス]までの距離である75000を[次の位置]に設定する(S303)。ファイル復元順並び替え手段113は、[開始位置]である61000から、[次の位置]である[C:¥DATA¥FILE5.TXT]の距離である14000を、[シーク距離]に設定する(S304)。
【0048】
続けて、ファイル復元順並び替え手段113は、[終了方向]と[開始方向]を比較して、正方向と正方向で同じであるので何もしない(S305)。ファイル復元順並び替え手段113は、[シーク距離]の14000が[最短シーク距離]の79000未満なので(S401)、そのときのインデックス[k]の値1を、仮インデックス[s]に設定し、[シーク距離]14000を[最短シーク距離]に設定し、[開始方向]の正方向を[終了方向]に設定する(S402)。
【0049】
ファイル復元順並び替え手段113は、再び、ループ2(S301)に戻り、インデックス[k]をインクリメントして、並び替え復元ファイルリスト115のインデックス[k]が3から4までのファイルについて、以上に説明した処理(S301)から(S403)を繰り返す。この処理の結果、仮インデックス[s]は2となり、並び替えファイルリスト115の[i+1]が示す1番目と仮インデックス[s]が示す2番目を入れ替えると、並び替えファイルリスト115の1番目のファイルは[C:¥DATA¥FILE5.TXT]に決定される(S405)。この入れ替えの様子を並び替え復元ファイルリスト115の最初の入れ替え510として、図18に示す。
【0050】
同様にループを継続すると、並び替えファイルリスト115の2番目のファイルは[C:¥DATA¥FILE7.TXT]に、3番目のファイルは[C:¥DATA¥FILE3.TXT]に、4番目のファイルは[C:¥DATA¥FILE9.TXT]に、決定される。図20に、ファイル復元順並び替え手段113による並び替え完了後の並び替え復元ファイルリスト115を示す。
【0051】
図13に、並び替え復元ファイルリスト115に指定されたファイルの順番に復元する場合のデータテープ116のシーク時間を示す。ファイル401を復元後、次のファイルであるファイルブロック404の復元開始までに14000ブロックシークし、そのシーク時間に約13秒要する。次のファイルはファイルブロック404からファイル405への移動で1500ブロックシークし、そのシーク時間に約2秒要する。このようにして復元を行うと、シークする距離の合計は24000ブロックとなり、シークする時間の合計は23秒となり、110秒の時間短縮ができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本実施の形態にかかるデータテープ制御装置は、記録されたファイルの記録位置と記録方向から、読み出し順序を決定し、データを読み出すことにより、読み出し時間を短縮することができ、映像データ等をバックアップする装置等に適用することでき、有用である。
【符号の説明】
【0053】
101 記録ファイルリスト
102 データ記憶媒体制御部
103 データ記憶媒体
104 テープドライブ制御部
105 シーク手段
106 テープ位置取得手段
107 テープドライブ
108 データ記録処理部
109 ファイルインデックス作成手段
110 ファイルインデックス
111 復元ファイルリスト
112 データ復元処理部
113 ファイル復元順並び替え手段
114 ファイルインデックス
115 並び替え復元ファイルリスト
116 データテープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記録するデータトラックを複数持つデータテープの長手方向に対するヘッドの往復移動および前記データトラック間を跨いだ移動により、前記データテープに対してデータの記録および再生を行うデータテープ制御装置であって、
前記データテープに記録された複数のファイルの記録位置と記録方向とを含むファイルインデックスを、前記データテープから取得するファイルインデックス復元部と、
前記ファイルインデックスより読み込み対象のファイルの記録位置と記録方向とを取得し、取得した記録位置と記録方向とを基に、ファイルの読み出し順序を決定するファイル復元順並び替え部と、
前記ファイル復元並び替え部で並び替えられた順序で、前記読み込み対象のファイルを再生するファイル復元部と、
を備えるデータテープ制御装置。
【請求項2】
前記ファイル復元順並び替え部は、
ファイルに関する記録位置と記録方向とを基に、読み込み対象のファイルのシーク時間が最短となるように、ファイルの読み出し順序を決定する
請求項1に記載のデータテープ制御装置。
【請求項3】
データを記録するデータトラックを複数持つデータテープの長手方向に対するヘッドの往復移動および前記データトラック間を跨いだ移動により、前記データテープに対してデータの記録および再生を行うデータテープ制御装置であって、
データをファイルとして前記データテープに記録するファイル書き込み部と、
前記ファイルの記録に際して、前記データテープ上の記録位置と記録方向とを含むファイルインデックスを作成するファイルインデックス作成部と、
前記ファイルインデックスを前記データテープに記録するインデックス書き込み部と、
を備えるデータテープ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−9105(P2012−9105A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143483(P2010−143483)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】