データベース管理装置およびデータベース管理方法
【課題】輸入した属性の詳細な内容を参照元辞書側で得ることができ、かつ、辞書間のデータ通信を効率的に行なうことができるデータベース管理装置およびデータベース管理方法を提供する。
【解決手段】下位の分類が上位の分類の属性を継承する階層構造を持つ参照元辞書と参照関係を持つ少なくとも1以上の参照先辞書から、参照している分類や属性に係る情報を抽出し、参照元辞書に追加して再構成し、抽出した詳細情報を参照元辞書に付与して辞書データとして出力する。これにより、輸入した属性の詳細な内容を参照元辞書側で得ることができる。また、参照先辞書から参照している分類や属性に係る情報だけを分割して抽出しているので、辞書データの通信量を削減することができ、辞書間のデータ通信を効率的に行なうことができる。
【解決手段】下位の分類が上位の分類の属性を継承する階層構造を持つ参照元辞書と参照関係を持つ少なくとも1以上の参照先辞書から、参照している分類や属性に係る情報を抽出し、参照元辞書に追加して再構成し、抽出した詳細情報を参照元辞書に付与して辞書データとして出力する。これにより、輸入した属性の詳細な内容を参照元辞書側で得ることができる。また、参照先辞書から参照している分類や属性に係る情報だけを分割して抽出しているので、辞書データの通信量を削減することができ、辞書間のデータ通信を効率的に行なうことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下位の分類が上位の分類の属性を継承する階層構造を持ち、分類と属性はそれぞれを一意に識別する識別子を持ち、既存の参照先辞書で定義されている属性を識別子により取り込むことが可能な参照元辞書を有しているデータベース管理装置およびデータベース管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オブジェクト指向データベース(OODB)やオブジェクト・リレーショナル型データベース(ORDB)を代表とする階層型データベースでは、下位が上位分類の属性を継承する階層構造を持つ。この階層型データベースにおいては、継承に従って下位の分類では属性が累増する。この上位分類の属性を下位に継承することは、通常「インヘリタンス」と呼ばれており、このような技術は非特許文献1などの多くの文献に記載されている。
【0003】
また、オブジェクト指向データベースにおいては、階層中の分類は「クラス」と呼ばれることが多い。一方、オブジェクト・リレーショナル型データベース(ORDB)においては、継承を許したテーブルがこれに相当し、上下関係をもつテーブル間において、上位のテーブルから下位のテーブルへ属性、すなわち上位テーブルを構成するコラムのヘッダ情報が下位テーブルへ継承される。各階層の分類に属する同じ属性種を持つデータを「インスタンス」と呼び、その集合をデータの「ポピュレーション」と呼ぶ。データのポピュレーションは、関係データベース(RDB)あるいはORDBにおいては、テーブルと呼ばれる構造に格納されるのが普通である。テーブルにおいてそれを構成する属性の並びをテーブルのヘッダと呼ぶ。
【0004】
階層型データベースの一つとしては、製品情報を電子的に提供する電子カタログシステムを実装するための国際規格であるISO13584 Parts Library規格(以下、「PLIB」規格という)がある。この「PLIB」規格は、複数の“Part"(通常、「分冊」と訳される)からなる製品あるいは部品ライブラリデータに関するオブジェクト指向的な記述の方法とその交換ファイル形式のセマンティックス、すなわち、どのような用語や記述方式およびデータ型を用いるかを定める国際規格である。「PLIB」規格のPart42(分冊第42)はIEC61360-2(分冊第2)と内容が共通している。この規格は、オブジェクト指向的に製品を分類し、個々の分類を特徴付ける属性群を明らかにし、分類に対するコンテンツをファイル交換する仕組みであるので、勿論、属性の継承の概念はこの中に含まれている。また、この規格はISO6523"Structure for Identification of organizations and organization parts"を引用して作られており、特に、ISO6523の定めるICD(International Code Designator)を活用して属性に対して世界的に一意な識別子を割り振ることが可能である。
【0005】
近年においては、「PLIB」規格に準拠したシステムがいくつか提案されている(特許文献1,2)。
【0006】
【非特許文献1】Object-Oriented Concepts, Databases, and Applications, Edited by Won Kim, 1989, ACM Press
【特許文献1】特開2004−177996号公報
【特許文献2】特開2004−178015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、「PLIB」規格では、製品の技術情報を“辞書”と“コンテンツ”によって表現することを基本概念としたデータ変換形式を規定している。この“辞書”は、階層関係および各階層が持つ属性が継承されたものであり、通常、既存の辞書を参照するようにしている。
【0008】
また、「PLIB」規格では、“辞書”間の参照関係を表すために、“CaseOf”という仕組みが提供されている。この参照関係を表すための仕組み“CaseOf”を利用することにより、既に別の“辞書(参照先辞書)”で定義されている属性(プロパティ)を自分の“辞書(参照元辞書)”に取り込んで利用することができる。この“CaseOf”を利用することにより、クラス間で部分継承が可能となる。この“CaseOf”を利用して多くの属性(プロパティ)を輸入・輸出することにより、異なる辞書で同じ属性(プロパティ)を使うことができ、実際の製品データの交換が容易になること、また、辞書作成の手間が省けることなどの利点がある。
【0009】
この参照関係は、参照元辞書に、参照先辞書で定義されているクラスや属性の識別子であるBSU(Basic Semantic Unit)をポインタとして記述することによって実現される。したがって、参照元辞書単独では、輸入している属性(プロパティ)の名称が何であるのか、定義がどのようなものなのか、データ型は何であるか、単位は何であるのか等の属性(プロパティ)を特徴づける詳細な情報は、全く分からない。そのため、参照元辞書で輸入した属性(プロパティ)の詳細な内容を得るためには、参照先辞書から輸入した属性(プロパティ)を探して、そこから情報を得なければならない。
【0010】
また、参照先辞書は、膨大なクラスや属性(プロパティ)を定義している国際規格等であることが多く、かつ、参照する属性(プロパティ)はその一部に過ぎない場合が多いため、効率的な辞書間のデータ通信も望まれている。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、輸入した属性の詳細な内容を参照元辞書側で得ることができ、かつ、辞書間のデータ通信を効率的に行なうことができるデータベース管理装置およびデータベース管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、下位の分類が上位の分類の属性を継承する階層構造を持ち、分類と属性はそれぞれを一意に識別する識別子を持ち、既存の参照元辞書で定義されている属性を識別子により取り込むことが可能なデータベース管理装置において、前記参照元辞書と参照関係を持つ少なくとも1以上の参照先辞書から参照している分類や属性に係る詳細情報を抽出し、前記抽出した詳細情報を前記参照元辞書に追加して再構成する辞書データ構成手段と、前記抽出した詳細情報を前記参照元辞書に付与して辞書データとして出力する出力手段と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、下位の分類が上位の分類の属性を継承する階層構造を持つ参照元辞書と参照関係を持つ少なくとも1以上の参照先辞書から、参照している分類や属性に係る詳細情報を抽出して参照元辞書に追加し、参照元辞書を再構成し、抽出した詳細情報を参照元辞書に付与して辞書データとして出力することにより、輸入した属性の詳細な内容を参照元辞書側で得ることができるようになる。また、参照先辞書から参照している分類や属性に係る情報だけを分割して抽出しているので、辞書データの通信量を削減することができ、辞書間のデータ通信を効率的に行なうことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るデータベース管理装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
最初に、本実施の形態の前提となる、製品情報を電子的に提供する電子カタログシステムを実装するための国際規格であるISO13584 Parts Library規格(以下、「PLIB」規格という)の概要について図1を参照して説明する。
【0016】
図1に示すように、「PLIB」規格は、継承に従って下位の分類では属性が累増する階層型データベースの一つである。このような「PLIB」規格では、電子カタログを“スキーマ”と“コンテンツ”とで構成し、これらに統一したデータ構造を与えることで、製品情報の共有・再利用を目指している。「PLIB」規格で定義している“スキーマ”では、製品分類は、「製品クラス」を単一木構造で階層的に表現することで表されている。各「製品クラス」はそれぞれ「属性項目(プロパティ)」を持つようになっており、ある「製品クラス」の「属性項目(プロパティ)」は下位の「製品クラス」に継承される。階層関係および各階層が持つ属性が継承されたものを“辞書”と呼ぶ。言い換えれば、「PLIB」規格は、階層型データベースで表現される“辞書”を記述するためのデータモデルを定めた規格である。また、「製品クラス」および「属性項目(プロパティ)」は一意に特定できるようそれぞれ「BSU(Basic Semantic Unit)コード」とよばれるユニークなIDをつけるようになっている。一方、“コンテンツ”の部分はこの“スキーマ”に定義された「属性項目(プロパティ)」にそれぞれの製品固有の属性値を埋め込んだテーブルとして表現される。
【0017】
「PLIB」規格が電子カタログとしてのフレームワークを提供している一方で、実際の“スキーマ”についての国際標準化も進められており、IEC61360では電気・電子分野でのスキーマの上位階層部分、つまり「製品クラス」と「属性項目」についての一般的な部分の標準化を推進している。これにより、各社の製品カタログ作成者は、IEC 61360からの下位展開として独自の詳細な「製品クラス」と「属性項目(プロパティ)」を決め、各自のコンテンツを作成することができる。このように作成されたコンテンツを電子カタログの利用者は「製品クラス」の分類階層を辿り、属性値を参照して自分に必要な製品を絞り込んでいき、所望の製品を検索することが可能となる。
【0018】
以上が、「PLIB」規格の概要である。
【0019】
続いて、本発明の実施の一形態について詳細に説明する。図2は、本発明の実施の一形態に係るデータベース管理装置を含むシステムの概略構成を示すブロック図である。
【0020】
本システムは、製品情報を記述するための各種情報(製品分類の階層関係、製品分類の名称や定義等の詳細情報および属性情報を含んだ「辞書情報」、「コンテンツ(インスタンス)情報」など)を格納し、要求があった場合にはそれをユーザに提示するサーバ装置Sと、このサーバ装置Sへ製品情報を要求するクライアント装置Cとから構成されている。サーバ装置Sとクライアント装置Cとは、ネットワークNを介して接続され、互いにデータを送受信できる構成をなす。データベース管理装置に相当するのは、サーバ装置Sである。なお、このようなネットワーク通信を伴うクライアント・サーバ方式のみに本発明は限定されないことはいうまでもない。
【0021】
クライアント装置Cは、各部を制御するCPU(Central Processing Unit)やHDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などの記憶部で構成される制御部1と、キーボードやマウスなどの入力部2と、ディスプレイ装置などの出力部3とを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。そして、CPUは、HDD内に格納された制御プログラムに従い、GUI(Graphical User Interface)4を提供する。なお、出力に関しては、ディスプレイ装置上の表示だけではなく、ファイルへの出力なども含まれる。
【0022】
クライアント装置Cは、サーバ装置Sから受信したデータを、GUI4を介して出力部3に出力し、ユーザにより入力部2から入力されたデータやコマンドを、GUI4を介して受け取り、サーバ装置Sへ送信する。
【0023】
サーバ装置Sは、クライアント装置Cと同様に、各部を制御するCPUやHDD、ROM及びRAMなどの記憶部で構成される制御部5と、キーボードやマウスなどの入力部6と、ディスプレイ装置などの出力部7とを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。そして、CPUは、HDD内に格納された制御プログラムに従い、GUI8を提供する。さらに、サーバ装置Sは、“辞書”と別称されるクラス分類とクラス分類を構成する属性の辞書データベース10、“コンテンツ”と別称される個々のクラスの属性の値の組、すなわちインスタンスのデータベース11を備える。また、CPUは、HDD内に格納された制御プログラムに従い、これらデータベース10,11へのデータの入出力および検索等の実行を管理するデータベース・マネージメント・システム9を提供する。
【0024】
ここで、このシステムの代表的な処理動作を簡単に説明する。クライアント装置Cの入力部2から入力された処理要求を受けて、クライアント装置Cの制御部1はネットワークNを介してサーバ装置Sに処理要求を送信する。サーバ装置Sの制御部5は、受信した処理要求に基づき必要な処理をデータベース・マネージメント・システム9に実行させる。データベース・マネージメント・システム9は、例えばデータベース10,11のいずれかから必要となるデータを読み出し、あるいはネットワークNを介してクライアント装置Cから受信したデータに基づき必要な処理を行う。処理結果は、データベース10,11のいずれかに格納してもよいし、クライアント装置Cに送信してもよい。クライアント装置Cに送信された処理結果は、出力部3に表示される。
【0025】
“辞書”、すなわちクラス分類とクラス分類を構成する属性の辞書データベース10について詳述する。辞書データベース10は、クラス相互間についての情報が記録されており、1つのクラス分類を選んだときその上位分類クラスとその下位分類クラスが分かるようになっている。また、この辞書データベース10にはクラス分類に所属する属性に関する情報が記録されており、1つのクラス分類を選んだときそのクラスに付属する全ての属性に関する情報が分かるようになっている。
【0026】
図3は、クラスの階層構造と各クラスの属性の一例を示す概念図である。上位クラスの属性は下位クラスへ継承される。したがって、図3に示すように各クラスが属性を持つ場合、例えば、クラス「T05:デスクトップPC」では、クラス「T02:オフィス/家庭用製品」が持つ属性である「PRP001:品名」,「PRP002:メーカ名」,「PRP003:製品コード」,「PRP004:標準価格」と、クラス「T03:デジタル製品」が持つ属性である「PRP005:電圧」と、クラス「T04:パソコン」が持つ属性である「PRP006:標準メモリ容量」と、「PRP007:HDD容量」とを継承する。さらに、クラス「T05:デスクトップPC」自身が持つ属性である「PRP008:ディスプレイ」を加えた8つの属性を利用することが可能となる。
【0027】
「PLIB」規格で定義できる“辞書”は単純木である。すなわち、クラスは一つの上位クラスしか持たない単純継承関係をなす。しかしながら、「PLIB」規格では、“辞書”間の参照関係を表すために、“CaseOf”という仕組みが提供されている。この参照関係を表すための仕組み“CaseOf”を利用することにより、既に別の“辞書(参照先辞書)”で定義されている属性(プロパティ)を自分の“辞書(参照元辞書)”に取り込んで利用することができる。この“CaseOf”を利用することにより、クラス間で一部の属性だけを参照することができる部分継承が可能となる。この“CaseOf”を利用して多くの属性(プロパティ)を輸入・輸出することにより、異なる辞書で同じ属性(プロパティ)を使うことができ、実際の製品データの交換が容易になること、また、辞書作成の手間が省けることなどの利点がある。
【0028】
図4は、“CaseOf”を利用したクラスツリーの一例を示す概念図である。図4では、クラス1、クラス2、クラス3の関係は単純木であり、単純継承の階層関係で結ばれている。クラス11、クラス12の関係も単純木であり、単純継承の階層関係で結ばれており、それぞれ上位クラスの属性を継承している。図4中、ドットプリントが背景模様となっている属性は、上位階層から継承されたものをあらわしている。すなわち、クラス2では、クラス1から継承された属性1と属性2を属性として持つ。クラス2は“CaseOf”クラスで定義されており、別の辞書のクラス11から属性11をインポートしている。属性をインポートすることにより、クラス2では、それ以降、属性11を自身の属性として利用することが可能となる。このような方法で、子クラスが複数の親クラスからの属性を継承する多重継承関係を模擬することができる。
【0029】
辞書データベース10は、下位の分類が上位の分類の属性を継承する階層構造を持つ通常辞書(参照先辞書も含まれる)と、既存の参照先辞書で定義されている属性を取り込む部分継承が可能な参照元辞書を記憶する記憶手段としても機能する。
【0030】
次いで、データベース・マネージメント・システム9が発揮する特徴的な機能について説明する。なお、従来のデータベース・マネージメント・システム9が発揮する機能についての説明は省略する。
【0031】
図5に示すように、従来の“CaseOf”では、参照元辞書には、参照先プロパティのBSUコード(ポインタ)だけが記述される形をとっており、実際の情報については、参照先の辞書を参照するのが、通常の方式となっている。そのため、参照元辞書単独では、輸入しているプロパティの名称や定義、データ型などの詳細な情報については、全く分からない。そのため、参照元辞書で輸入したプロパティの詳細な内容を得るためには、参照先辞書から輸入したプロパティを探して、そこから情報を得なければならない。また、参照先の辞書は、通常、一つ一つの辞書が膨大なクラスやプロパティを定義している国際規格や業界団体辞書であることが多く、且つ、参照するプロパティは、その中のほんの一部に過ぎない例が多いため、効率的な辞書間のデータ通信も望まれている。
【0032】
そこで、本実施の形態のデータベース管理装置であるサーバ装置Sのデータベース・マネージメント・システム9においては、この“CaseOf”という概念を拡張するようにした。より具体的には、本実施の形態のデータベース管理装置であるサーバ装置Sのデータベース・マネージメント・システム9においては、“CaseOf”によって、輸入したプロパティのBSUコード(ポインタ)だけでなく、一部の情報も参照元辞書に取り込むことによって、効率的に参照元辞書を取り扱うことを可能とした。この点について、以下において詳細に説明する。
【0033】
図6は、データベース・マネージメント・システム9の構成を示す機能ブロック図である。図6に示すように、データベース・マネージメント・システム9は、辞書データ構成方式指定手段として機能する辞書データ構成方式指定部21、辞書データ構成手段として機能する辞書データ構成部22、辞書データ構成方式付与手段として機能する辞書データ構成方式付与部23、辞書データ構成方式判断手段として機能する辞書データ構成方式判断部24、重複データ処理指定手段として機能する重複データ処理指定部25、辞書データ構成方式表示手段として機能する辞書データ構成方式表示部26、辞書表示手段として機能する辞書表示部27、辞書データベース構成手段として機能する辞書データベース構成部28を備えている。
【0034】
辞書データ構成方式指定部21は、辞書データベース10に保持されている参照先辞書からどの範囲で情報を抽出して、参照元辞書に追加して再構成するかをユーザが選択する機能を発揮する。参照元辞書が参照する複数の参照先辞書について、一括あるいは個別に抽出範囲の指定方式(構成方式)を指定することが可能である。なお、抽出範囲の指定方式(構成方式)の例は、後述する。
【0035】
辞書データ構成部22は、辞書データ構成方式指定部21の指定に従い、参照先辞書から情報を抽出して、参照元辞書に追加して再構成する機能を発揮する。抽出範囲の指定方式(構成方式)により、以下の例のように処理する。
【0036】
<構成方式の種類例1(プロパティの詳細情報まで含める)>
図7は、構成方式の一例を示す説明図である。“CaseOf”の際には、輸入するプロパティ、そのプロパティの定義クラス(name_scope)、その定義クラスのサプライヤ(defined_by)などがBSUコードとして参照元辞書(辞書データベース10)に含まれる。これに加えて、輸入するプロパティの詳細情報も参照元辞書に追加して、再構成を行う。再構成をした辞書データは、辞書データベース10に保存され、ユーザの要求に応じてクライアントに送られる。
【0037】
<構成方式の種類例2(プロパティの詳細情報及びクラスの情報まで含める)>
図8は、構成方式の一例を示す説明図である。“CaseOf”の際には、輸入するプロパティ、そのプロパティの定義クラス(name_scope)、その定義クラスのサプライヤ(defined_by)などがBSUとして参照元辞書(辞書データベース10)に含まれる。これに加えて、輸入するプロパティの詳細情報、およびそのプロパティの定義クラスの詳細情報を参照元辞書(辞書データベース10)に追加に追加して、再構成を行う。再構成をした辞書データは、辞書データベース10に保存され、ユーザの要求に応じてクライアントに送られる。クラスの詳細情報には、そのクラスの上位クラスのBSUが含まれるため、上位クラスのBSUまで追加する必要がある。クラスの詳細情報の追加については、さらにその範囲を広げ、
(1)すぐ上の上位クラスのクラス情報+さらにその上のクラスのBSU
(2)すぐ上の上位クラスのクラス情報+ルートまでのクラスBSUとクラス情報
(3)すぐ上の上位クラスのクラス情報+ルートまでのクラスBSUとクラス情報+それらのクラスに付随するプロパティなどのBSUとプロパティ情報などが考えられる。
【0038】
<構成方式の種類例3(プロパティの詳細情報、クラスの情報及びサプライヤの情報までを含める)>
図9は、構成方式の一例を示す説明図である。“CaseOf”の際には、輸入するプロパティ、そのプロパティの定義クラス(name_scope)、その定義クラスのサプライヤ(defined_by)などがBSUとして参照元辞書(辞書データベース10)に含まれる。これに加えて、輸入するプロパティの詳細情報、およびそのプロパティの定義クラスの詳細情報、サプライヤの詳細情報を追加して、再構成を行う。再構成をした辞書データは、辞書データベース10に保存され、ユーザの要求に応じてクライアントに送られる。
【0039】
辞書データ構成方式付与部23では、辞書データ構成方式指定部21で指定された構成方式が何かを、辞書データに何らかの形で付与する機能である。以下、付与の方法の例を示す。
【0040】
<構成方式の付与の形態例1>
Part21ファイルのヘッダ部分あるいは、「PLIB」規格の情報モデルをラップした外に構成方式情報を付与して送る。図10は、辞書データに構成方式を付与した例を示す説明図である。図10は、Part21ファイルをラップしてその外に構成方式を付与した例である。図10に示す例では、Part21ファイル記述部分202をタグ<PART21>とタグ</PART21>で囲んで、ラップしている。構成方式の情報は、タグ<CASEOF></CASEOF>で囲まれた部分201に記述されている。この例では、202の内容の補助として、サプライヤ“140/E-Commerce”、クラス“E_C0001”で定義されたプロパティ“E_P0001”および“E_P0002”は、プロパティの詳細情報までが含まれていることを示している。加えて、別のサプライヤ“140/AAA”、クラス“A_C001”で定義されたプロパティ“A_P001”については、クラスの詳細情報とプロパティの詳細情報が含まれていることを示している。
Part21ファイルのヘッダ部分を利用する方法としては、Part21ファイル中のヘッダにあるエンティティ“FILE_NAME”のアトリビュートの一つを用いて、例えば、前述構成方式記述にしたがって記述する方法が考えられる。
図11に示す例は、エンティティFILE_NAMEのアトリビュートorganizationを利用して記述したものである。受け取り側では、特殊なタグ<caseof></caseof>を解釈することによって、参照クラスやプロパティの情報が、Part21ファイル中にどこまでの範囲で含まれているかを簡単に解釈することが可能となる。
なお、ここでいうエンティティとは、データモデルを表現するスキーマを、EXPRESS言語に従って記述する基本単位である。エンティティは、アトリビュートを持つ。アトリビュートが更に別のエンティティを指すこともある。
【0041】
<構成方式の付与の形態例2>
データモデル内のエンティティを利用して記述する。辞書データの形態は、Part21、XML、あるいは他の形態でも可能である。
参照元辞書において、参照元となるクラスは、CASE_OFクラスで表現される。これをエンティティで表現すると、“ITEM_CLASS_CASE_OF"などで記述される。例えば、スキーマを拡張して、このITEM_CLASS_CASE_OFの下位エンティティ
”EXTENSION_ITEM_CLASS_CASE_OF"
を作り、構成方式の情報を付与するためのアトリビュートを追加して、そこに構成方式を記述する方法も考えられる。上記のような例の場合のスキーマ拡張例は、図12のようになる。また、Part21ファイル記述例は、図13のようになる。
アトリビュートimported_areasの記述については、上記のような記述や、同エンティティ中のimported_propertiesと対応付けて、範囲だけ(“PROPERTY”、“CLASS_PROPERTY")だけをリストにするなど、様々な方法が考えられる。
【0042】
<構成方式の付与の形態例3>
別ファイルに情報を記述する。辞書データがPart21、XMLあるいは他の形態でも可能である。
【0043】
辞書データ構成方式判断部24は、入力部6から辞書データ(参照元辞書)を受け取り、辞書データ構成方式付与部23で付与された構成方式を読み取り、判断し、辞書データベース構成部28に渡す。構成方式が付与されていない場合には、入力部6から受け取った辞書データ(参照元辞書)の状況からそれを読み取り判断する。
【0044】
辞書データ構成方式表示部26は、参照元辞書がどのような構成方式で構成されているのかを表示するための機能である。
【0045】
辞書表示部27は、辞書データ構成部22で構成された辞書データを表示する。より詳細には、辞書データベース10から複数の辞書データを読み取り、参照関係を含めた形での階層型構造として表示するための機能である。図14は、GUI4,8の一例を示す正面図である。この図14は、階層木(クラスツリー)、分類(クラス)及び属性を表示するためのGUIの例である。クラスツリー表示部101からクラスを選択すると、クラス情報表示部102に、例えば、クラスを識別するクラスコード、定義、注記、バージョンなどのクラス情報が表示される。また、同時にそのクラスで利用できる属性の一覧が、プロパティリスト表示部103に表示される。図14に示す例では、クラスツリー表示部101でクラスコード「T05:デスクトップPC」を選択した場合、クラス情報表示部102には「T05:デスクトップPC」のクラス情報が表示され、プロパティリスト表示部103には、上記の8つのプロパティ(属性)がリストアップされる。
【0046】
クラスがCaseOfクラスの場合、クラスツリー表示部101でそのクラスを選択すると、クラス情報表示領域画面102には、クラス情報に加えて、参照先クラスの識別子、参照先クラスへ移動するためのジャンプボタン(リンク)が表示される。また、プロパティ表示領域103には、参照先クラスから輸入されたプロパティが、輸入されたことを示すマーク付きで表示される。
【0047】
辞書データベース構成部28では、辞書データベース10に含まれる参照先辞書の内容と、入力部6から送られてきた参照先辞書の内容に矛盾がある場合、ユーザあるいは辞書管理者等に、どちらを優先させるかを指定させ、指定された内容を辞書データベース10(参照元辞書)として構成する。
【0048】
なお、優先順位については、その都度指定しなくても、システムで予め設定しておいても良い。ここで、重複データ処理指定部25について説明する。例えば、図7のような状態で、参照先辞書と参照元辞書が構成されていたとする。プロパティP1は、参照先辞書と参照元辞書の両方に実体が存在する。実体は、双方のプロパティP1のBSUコード、バージョンが同じであれば、必ず同じはずであるが、リビジョンが異なれば、実体が異なってしまうことがある。重複データ処理指定部25は、このように両方に実体がある場合に、どちらを優先させるかを指定し、辞書データを構成することが可能な機能を発揮するものである。また、辞書データベース10の構成時には両方の情報を保持しておき、辞書を表示あるいは出力する段階で指定しても良い。
【0049】
続いて、上述したような構成のデータベース・マネージメント・システム9における代表的な処理の流れについて説明する。
【0050】
まず、データベース・マネージメント・システム9における辞書の出力処理について説明する。この辞書の出力処理は、ユーザからの要求に応じて辞書データベース10から主に参照元辞書を出力する場合における処理である。
【0051】
図15は、辞書の出力処理の流れを示すフローチャートである。図15に示すように、辞書の出力処理は、まず、出力要求があった辞書が、“CaseOf”によって他の辞書を参照しているか否かを判断する(ステップS1)。出力要求があった辞書が他の辞書を参照していると判断した場合であって(ステップS1のY)、構成方式の指定をユーザが行わない場合には(ステップS2のN)、予め設定されている構成方式を決定し(ステップS3)、参照している各クラス又は各プロパティについて決定した構成方式によって、参照先辞書から必要な情報を切り出し、辞書データ(参照元辞書)を再構成する(ステップS4:辞書データ構成部22)。一方、構成方式の指定をユーザが行う場合には(ステップS2のY)、参照している各クラス又は各プロパティについてどのような出力を行うかを指定した後(ステップS5:辞書データ構成方式指定部21)、参照している各クラス又は各プロパティについて決定した構成方式によって、参照先辞書から必要な情報を切り出し、辞書データ(参照元辞書)を再構成する(ステップS4:辞書データ構成部22)。そして、構成方式を辞書データ(参照元辞書)に付与する場合には(ステップS6のY)、参照している各クラスについて決定した構成方式を辞書データ(参照元辞書)に情報として付与した後(ステップS7:辞書データ構成方式付与部23)、辞書データ(参照元辞書)を出力する(ステップS8:出力手段)。ここで、出力に関しては、ディスプレイ装置上の表示だけではなく、ファイルへの出力なども含まれる。一方、構成方式を辞書データ(参照元辞書)に付与しない場合には(ステップS6のN)、そのまま辞書データ(参照元辞書)を出力する(ステップS8)。また、出力要求があった辞書が他の辞書を参照していないと判断した場合にも(ステップS1のN)、そのまま辞書データを出力する(ステップS8)。
【0052】
ここで、PART21ファイル形式を利用した「PLIB」規格における辞書データベース10(参照元辞書)の記述例を示す。
【0053】
図16は、インポートプロパティの詳細情報を追加した参照元辞書の記述例を示す図である。図16に示す網掛け部分が、追加されたインポートプロパティの詳細情報である。これらを参照元辞書に含めることにより、単独で、インポートプロパティの名称、定義、データ型、単位を読み取ることが可能となる。
【0054】
図17は、インポートプロパティの詳細情報、およびそのプロパティの定義クラスの詳細情報を追加した参照元辞書の記述例を示す図である。図17に示す網掛け部分が、図16に加えて、参照先のクラス情報まで参照元辞書に含めた例である。この例では、参照先クラス“E_C0001”の情報に加えて、E_C0001の上位クラスのクラスBSUコード“E_C0000”も含まれている。
【0055】
図18は、インポートプロパティの詳細情報、そのプロパティの定義クラスの詳細情報、およびサプライヤの詳細情報を追加した参照元辞書の記述例を示す図である。図18に示す網掛け部分が、図17に加えて、参照先サプライヤ“140/E-Commere”の詳細情報まで含めた参照元辞書である。
【0056】
以上のように“CaseOf”によって、輸入したプロパティのBSUコード(ポインタ)だけでなく、一部の詳細情報も参照元辞書に取り込むことによって、効率的に参照元辞書を取り扱うことが可能となっている。
【0057】
なお、図16〜図18においては、PART21ファイルでの記述を例にあげているが、XMLやその他の方式での記述についても同様である。
【0058】
次に、データベース・マネージメント・システム9における辞書の入力処理について説明する。この辞書の入力処理は、ユーザが入力した辞書データ(参照元辞書)を再構成する場合における処理である。
【0059】
図19は、辞書の入力処理の流れを示すフローチャートである。図19に示すように、辞書の入力処理は、まず、入力部6から受け取った辞書データ(参照元辞書)に付与されている構成方式を読み取る(ステップS11:辞書データ構成方式判断部24)。より詳細には、図20に示すように、入力部6から受け取った辞書データ(参照元辞書)に、辞書の構成方式が別に記述されているか否かを判断する(ステップS21)。辞書の構成方式が別に記述されていると判断した場合には(ステップS21のY)、別途辞書構成方式に記述されている内容から辞書の構成方式を判断し、辞書データベース構成部28に渡す(ステップS22)。一方、辞書の構成方式が別に記述されていないと判断した場合には(ステップS21のN)、入力部6から受け取った辞書データ(参照元辞書)の状況からそれを読み取り判断し、辞書データベース構成部28に渡す(ステップS23)。
【0060】
次いで、図19に示すように、ステップS11で辞書の構成方式が判断された辞書データ(参照元辞書)から辞書データベース10(参照元辞書)を構成する(ステップS12:辞書データベース構成部28)。より詳細には、図21に示すように、まず、入力された参照元辞書に含まれる参照先辞書の情報と、辞書データベース10に保持している参照先辞書の内容に矛盾がないか否かを判断する(ステップS31)。参照元辞書に含まれる参照先辞書の情報と、辞書データベース10に保持している参照先辞書の内容に矛盾がないと判断した場合には(ステップS31のY)、そのままステップS32に進み、辞書データベース10(参照元辞書)を構成する。一方、参照元辞書に含まれる参照先辞書の情報と、辞書データベース10に保持している参照先辞書の内容に矛盾があると判断した場合であって(ステップS31のN)、どちらを優先させるかをユーザに指定させる場合には(ステップS33のY)、ユーザに重複かつ矛盾する辞書データのどちらを優先させるかを指定させ(ステップS34)、指定された情報を優先させた辞書データベース10(参照元辞書)を再構成する(ステップS35)。また、どちらを優先させるかをユーザに指定させない場合には(ステップS33のN)、重複データ処理指定部25に予め設定されている優先順位に従って指定させ(ステップS36)、指定された情報を優先させた辞書データベース10(参照元辞書)を構成する(ステップS35)。なお、辞書データベース10に参照先辞書がない場合には、矛盾がないものとして、ステップS31、ステップS32の順で処理を行う。
【0061】
次に、データベース・マネージメント・システム9における辞書の表示処理について説明する。この辞書の表示処理は、ユーザからの要求に応じて辞書データベース10(参照元辞書)を表示する場合における処理である。
【0062】
図22は、辞書の表示処理の流れを示すフローチャートである。図22に示すように、辞書の表示処理は、まず、表示要求があった辞書が、“CaseOf”によって他の辞書を参照しているか否かを判断する(ステップS41)。表示要求があった辞書が他の辞書を参照していると判断した場合であって(ステップS41のY)、構成方式の指定をユーザが行わない場合には(ステップS42のN)、予め設定されている構成方式を決定し(ステップS43)、参照している各クラスについて決定した構成方式によって、参照先辞書から必要な情報を切り出し、辞書データ(参照元辞書)を再構成する(ステップS44:辞書データ構成部22)。一方、構成方式の指定をユーザが行う場合には(ステップS42のY)、参照している各クラス又は各プロパティについてどのような表示を行うかを指定した後(ステップS45:辞書データ構成方式指定部21)、参照している各クラス又は各プロパティについて決定した構成方式によって、参照先辞書から必要な情報を切り出し、辞書データ(参照元辞書)を再構成する(ステップS44:辞書データ構成部22)。そして、構成方式を表示する場合には(ステップS46のY)、参照している各クラス又は各プロパティについて決定した構成方式を表示した後(ステップS47:辞書データ構成方式表示部26)、辞書データ(参照元辞書)を出力部7に表示する(ステップS48:辞書表示部27)。この場においては、辞書表示部27は、参照関係を含めた形で、階層型構造を有する辞書として表示する。一方、構成方式を表示しない場合には(ステップS46のN)、そのまま辞書データ(参照元辞書)を出力部7に表示する(ステップS48:辞書表示部27)。また、表示要求があった辞書が他の辞書を参照していないと判断した場合にも(ステップS41のN)、そのまま辞書データを出力部7に表示する(ステップS48:辞書表示部27)。これらの場合においては、辞書表示部27は、辞書データ構成部22で構成された辞書データ(参照元辞書)を階層型構造を有する辞書として表示する。
【0063】
このように本実施の形態によれば、下位のクラスが上位のクラスの属性を継承する階層構造を持つ参照元辞書と参照関係を持つ少なくとも1以上の参照先辞書から、参照しているクラスや属性に係る情報を抽出して参照元辞書に追加し、参照元辞書を再構成し、抽出した詳細情報を参照元辞書に付与して辞書データとして出力することにより、輸入した属性の詳細な内容を参照元辞書側で得ることができるようになる。また、参照先辞書から参照しているクラスや属性に係る情報だけを分割して抽出しているので、辞書データの通信量を削減することができ、辞書間のデータ通信を効率的に行なうことができる。
【0064】
また、参照元辞書が参照する少なくとも1以上の参照先辞書についての抽出範囲の指定方式の情報を参照元辞書に付与することにより、どの方式で記述した辞書データなのかをデータをやり取りする双方で簡単に識別することができるので、辞書データの取扱い効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施の形態の前提となるISO13584 Parts Library規格の概要を示す説明図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係るデータベース管理装置を含むシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】クラスの階層構造と各クラスの属性の一例を示す概念図である。
【図4】“CaseOf”を利用したクラスツリーの一例を示す概念図である。
【図5】従来の“CaseOf”の関係を示す説明図である。
【図6】データベース・マネージメント・システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図7】構成方式の一例を示す説明図である。
【図8】構成方式の一例を示す説明図である。
【図9】構成方式の一例を示す説明図である。
【図10】辞書データに構成方式を付与した記述例を示す図である。
【図11】Part21ファイルのヘッダ部分を利用した記述例を示す図である。
【図12】構成方式の情報を付与するためのアトリビュートを追加した記述例を示す図である。
【図13】Part21ファイル記述例を示す図である。
【図14】階層型データベースにおけるGUIの一例を示す正面図である。
【図15】辞書の出力処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】インポートプロパティの詳細情報を追加した参照元辞書の記述例を示す図である。
【図17】インポートプロパティの詳細情報、およびそのプロパティの定義クラスの詳細情報を追加した参照元辞書の記述例を示す図である。
【図18】インポートプロパティの詳細情報、そのプロパティの定義クラスの詳細情報、およびサプライヤの詳細情報を追加した参照元辞書の記述例を示す図である。
【図19】辞書の入力処理の流れを示すフローチャートである。
【図20】辞書データ構成方式判断部における処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】辞書データベース構成部における処理の流れを示すフローチャートである。
【図22】辞書の表示処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
6 入力部
10 記憶手段、辞書データ
21 辞書データ構成方式指定手段
22 辞書データ構成手段
23 辞書データ構成方式付与手段
24 辞書データ構成方式判断手段
25 重複データ処理指定手段
26 辞書データ構成方式表示手段
27 辞書表示手段
28 辞書データベース構成手段
S データベース管理装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、下位の分類が上位の分類の属性を継承する階層構造を持ち、分類と属性はそれぞれを一意に識別する識別子を持ち、既存の参照先辞書で定義されている属性を識別子により取り込むことが可能な参照元辞書を有しているデータベース管理装置およびデータベース管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オブジェクト指向データベース(OODB)やオブジェクト・リレーショナル型データベース(ORDB)を代表とする階層型データベースでは、下位が上位分類の属性を継承する階層構造を持つ。この階層型データベースにおいては、継承に従って下位の分類では属性が累増する。この上位分類の属性を下位に継承することは、通常「インヘリタンス」と呼ばれており、このような技術は非特許文献1などの多くの文献に記載されている。
【0003】
また、オブジェクト指向データベースにおいては、階層中の分類は「クラス」と呼ばれることが多い。一方、オブジェクト・リレーショナル型データベース(ORDB)においては、継承を許したテーブルがこれに相当し、上下関係をもつテーブル間において、上位のテーブルから下位のテーブルへ属性、すなわち上位テーブルを構成するコラムのヘッダ情報が下位テーブルへ継承される。各階層の分類に属する同じ属性種を持つデータを「インスタンス」と呼び、その集合をデータの「ポピュレーション」と呼ぶ。データのポピュレーションは、関係データベース(RDB)あるいはORDBにおいては、テーブルと呼ばれる構造に格納されるのが普通である。テーブルにおいてそれを構成する属性の並びをテーブルのヘッダと呼ぶ。
【0004】
階層型データベースの一つとしては、製品情報を電子的に提供する電子カタログシステムを実装するための国際規格であるISO13584 Parts Library規格(以下、「PLIB」規格という)がある。この「PLIB」規格は、複数の“Part"(通常、「分冊」と訳される)からなる製品あるいは部品ライブラリデータに関するオブジェクト指向的な記述の方法とその交換ファイル形式のセマンティックス、すなわち、どのような用語や記述方式およびデータ型を用いるかを定める国際規格である。「PLIB」規格のPart42(分冊第42)はIEC61360-2(分冊第2)と内容が共通している。この規格は、オブジェクト指向的に製品を分類し、個々の分類を特徴付ける属性群を明らかにし、分類に対するコンテンツをファイル交換する仕組みであるので、勿論、属性の継承の概念はこの中に含まれている。また、この規格はISO6523"Structure for Identification of organizations and organization parts"を引用して作られており、特に、ISO6523の定めるICD(International Code Designator)を活用して属性に対して世界的に一意な識別子を割り振ることが可能である。
【0005】
近年においては、「PLIB」規格に準拠したシステムがいくつか提案されている(特許文献1,2)。
【0006】
【非特許文献1】Object-Oriented Concepts, Databases, and Applications, Edited by Won Kim, 1989, ACM Press
【特許文献1】特開2004−177996号公報
【特許文献2】特開2004−178015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、「PLIB」規格では、製品の技術情報を“辞書”と“コンテンツ”によって表現することを基本概念としたデータ変換形式を規定している。この“辞書”は、階層関係および各階層が持つ属性が継承されたものであり、通常、既存の辞書を参照するようにしている。
【0008】
また、「PLIB」規格では、“辞書”間の参照関係を表すために、“CaseOf”という仕組みが提供されている。この参照関係を表すための仕組み“CaseOf”を利用することにより、既に別の“辞書(参照先辞書)”で定義されている属性(プロパティ)を自分の“辞書(参照元辞書)”に取り込んで利用することができる。この“CaseOf”を利用することにより、クラス間で部分継承が可能となる。この“CaseOf”を利用して多くの属性(プロパティ)を輸入・輸出することにより、異なる辞書で同じ属性(プロパティ)を使うことができ、実際の製品データの交換が容易になること、また、辞書作成の手間が省けることなどの利点がある。
【0009】
この参照関係は、参照元辞書に、参照先辞書で定義されているクラスや属性の識別子であるBSU(Basic Semantic Unit)をポインタとして記述することによって実現される。したがって、参照元辞書単独では、輸入している属性(プロパティ)の名称が何であるのか、定義がどのようなものなのか、データ型は何であるか、単位は何であるのか等の属性(プロパティ)を特徴づける詳細な情報は、全く分からない。そのため、参照元辞書で輸入した属性(プロパティ)の詳細な内容を得るためには、参照先辞書から輸入した属性(プロパティ)を探して、そこから情報を得なければならない。
【0010】
また、参照先辞書は、膨大なクラスや属性(プロパティ)を定義している国際規格等であることが多く、かつ、参照する属性(プロパティ)はその一部に過ぎない場合が多いため、効率的な辞書間のデータ通信も望まれている。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、輸入した属性の詳細な内容を参照元辞書側で得ることができ、かつ、辞書間のデータ通信を効率的に行なうことができるデータベース管理装置およびデータベース管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、下位の分類が上位の分類の属性を継承する階層構造を持ち、分類と属性はそれぞれを一意に識別する識別子を持ち、既存の参照元辞書で定義されている属性を識別子により取り込むことが可能なデータベース管理装置において、前記参照元辞書と参照関係を持つ少なくとも1以上の参照先辞書から参照している分類や属性に係る詳細情報を抽出し、前記抽出した詳細情報を前記参照元辞書に追加して再構成する辞書データ構成手段と、前記抽出した詳細情報を前記参照元辞書に付与して辞書データとして出力する出力手段と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、下位の分類が上位の分類の属性を継承する階層構造を持つ参照元辞書と参照関係を持つ少なくとも1以上の参照先辞書から、参照している分類や属性に係る詳細情報を抽出して参照元辞書に追加し、参照元辞書を再構成し、抽出した詳細情報を参照元辞書に付与して辞書データとして出力することにより、輸入した属性の詳細な内容を参照元辞書側で得ることができるようになる。また、参照先辞書から参照している分類や属性に係る情報だけを分割して抽出しているので、辞書データの通信量を削減することができ、辞書間のデータ通信を効率的に行なうことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るデータベース管理装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
最初に、本実施の形態の前提となる、製品情報を電子的に提供する電子カタログシステムを実装するための国際規格であるISO13584 Parts Library規格(以下、「PLIB」規格という)の概要について図1を参照して説明する。
【0016】
図1に示すように、「PLIB」規格は、継承に従って下位の分類では属性が累増する階層型データベースの一つである。このような「PLIB」規格では、電子カタログを“スキーマ”と“コンテンツ”とで構成し、これらに統一したデータ構造を与えることで、製品情報の共有・再利用を目指している。「PLIB」規格で定義している“スキーマ”では、製品分類は、「製品クラス」を単一木構造で階層的に表現することで表されている。各「製品クラス」はそれぞれ「属性項目(プロパティ)」を持つようになっており、ある「製品クラス」の「属性項目(プロパティ)」は下位の「製品クラス」に継承される。階層関係および各階層が持つ属性が継承されたものを“辞書”と呼ぶ。言い換えれば、「PLIB」規格は、階層型データベースで表現される“辞書”を記述するためのデータモデルを定めた規格である。また、「製品クラス」および「属性項目(プロパティ)」は一意に特定できるようそれぞれ「BSU(Basic Semantic Unit)コード」とよばれるユニークなIDをつけるようになっている。一方、“コンテンツ”の部分はこの“スキーマ”に定義された「属性項目(プロパティ)」にそれぞれの製品固有の属性値を埋め込んだテーブルとして表現される。
【0017】
「PLIB」規格が電子カタログとしてのフレームワークを提供している一方で、実際の“スキーマ”についての国際標準化も進められており、IEC61360では電気・電子分野でのスキーマの上位階層部分、つまり「製品クラス」と「属性項目」についての一般的な部分の標準化を推進している。これにより、各社の製品カタログ作成者は、IEC 61360からの下位展開として独自の詳細な「製品クラス」と「属性項目(プロパティ)」を決め、各自のコンテンツを作成することができる。このように作成されたコンテンツを電子カタログの利用者は「製品クラス」の分類階層を辿り、属性値を参照して自分に必要な製品を絞り込んでいき、所望の製品を検索することが可能となる。
【0018】
以上が、「PLIB」規格の概要である。
【0019】
続いて、本発明の実施の一形態について詳細に説明する。図2は、本発明の実施の一形態に係るデータベース管理装置を含むシステムの概略構成を示すブロック図である。
【0020】
本システムは、製品情報を記述するための各種情報(製品分類の階層関係、製品分類の名称や定義等の詳細情報および属性情報を含んだ「辞書情報」、「コンテンツ(インスタンス)情報」など)を格納し、要求があった場合にはそれをユーザに提示するサーバ装置Sと、このサーバ装置Sへ製品情報を要求するクライアント装置Cとから構成されている。サーバ装置Sとクライアント装置Cとは、ネットワークNを介して接続され、互いにデータを送受信できる構成をなす。データベース管理装置に相当するのは、サーバ装置Sである。なお、このようなネットワーク通信を伴うクライアント・サーバ方式のみに本発明は限定されないことはいうまでもない。
【0021】
クライアント装置Cは、各部を制御するCPU(Central Processing Unit)やHDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などの記憶部で構成される制御部1と、キーボードやマウスなどの入力部2と、ディスプレイ装置などの出力部3とを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。そして、CPUは、HDD内に格納された制御プログラムに従い、GUI(Graphical User Interface)4を提供する。なお、出力に関しては、ディスプレイ装置上の表示だけではなく、ファイルへの出力なども含まれる。
【0022】
クライアント装置Cは、サーバ装置Sから受信したデータを、GUI4を介して出力部3に出力し、ユーザにより入力部2から入力されたデータやコマンドを、GUI4を介して受け取り、サーバ装置Sへ送信する。
【0023】
サーバ装置Sは、クライアント装置Cと同様に、各部を制御するCPUやHDD、ROM及びRAMなどの記憶部で構成される制御部5と、キーボードやマウスなどの入力部6と、ディスプレイ装置などの出力部7とを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。そして、CPUは、HDD内に格納された制御プログラムに従い、GUI8を提供する。さらに、サーバ装置Sは、“辞書”と別称されるクラス分類とクラス分類を構成する属性の辞書データベース10、“コンテンツ”と別称される個々のクラスの属性の値の組、すなわちインスタンスのデータベース11を備える。また、CPUは、HDD内に格納された制御プログラムに従い、これらデータベース10,11へのデータの入出力および検索等の実行を管理するデータベース・マネージメント・システム9を提供する。
【0024】
ここで、このシステムの代表的な処理動作を簡単に説明する。クライアント装置Cの入力部2から入力された処理要求を受けて、クライアント装置Cの制御部1はネットワークNを介してサーバ装置Sに処理要求を送信する。サーバ装置Sの制御部5は、受信した処理要求に基づき必要な処理をデータベース・マネージメント・システム9に実行させる。データベース・マネージメント・システム9は、例えばデータベース10,11のいずれかから必要となるデータを読み出し、あるいはネットワークNを介してクライアント装置Cから受信したデータに基づき必要な処理を行う。処理結果は、データベース10,11のいずれかに格納してもよいし、クライアント装置Cに送信してもよい。クライアント装置Cに送信された処理結果は、出力部3に表示される。
【0025】
“辞書”、すなわちクラス分類とクラス分類を構成する属性の辞書データベース10について詳述する。辞書データベース10は、クラス相互間についての情報が記録されており、1つのクラス分類を選んだときその上位分類クラスとその下位分類クラスが分かるようになっている。また、この辞書データベース10にはクラス分類に所属する属性に関する情報が記録されており、1つのクラス分類を選んだときそのクラスに付属する全ての属性に関する情報が分かるようになっている。
【0026】
図3は、クラスの階層構造と各クラスの属性の一例を示す概念図である。上位クラスの属性は下位クラスへ継承される。したがって、図3に示すように各クラスが属性を持つ場合、例えば、クラス「T05:デスクトップPC」では、クラス「T02:オフィス/家庭用製品」が持つ属性である「PRP001:品名」,「PRP002:メーカ名」,「PRP003:製品コード」,「PRP004:標準価格」と、クラス「T03:デジタル製品」が持つ属性である「PRP005:電圧」と、クラス「T04:パソコン」が持つ属性である「PRP006:標準メモリ容量」と、「PRP007:HDD容量」とを継承する。さらに、クラス「T05:デスクトップPC」自身が持つ属性である「PRP008:ディスプレイ」を加えた8つの属性を利用することが可能となる。
【0027】
「PLIB」規格で定義できる“辞書”は単純木である。すなわち、クラスは一つの上位クラスしか持たない単純継承関係をなす。しかしながら、「PLIB」規格では、“辞書”間の参照関係を表すために、“CaseOf”という仕組みが提供されている。この参照関係を表すための仕組み“CaseOf”を利用することにより、既に別の“辞書(参照先辞書)”で定義されている属性(プロパティ)を自分の“辞書(参照元辞書)”に取り込んで利用することができる。この“CaseOf”を利用することにより、クラス間で一部の属性だけを参照することができる部分継承が可能となる。この“CaseOf”を利用して多くの属性(プロパティ)を輸入・輸出することにより、異なる辞書で同じ属性(プロパティ)を使うことができ、実際の製品データの交換が容易になること、また、辞書作成の手間が省けることなどの利点がある。
【0028】
図4は、“CaseOf”を利用したクラスツリーの一例を示す概念図である。図4では、クラス1、クラス2、クラス3の関係は単純木であり、単純継承の階層関係で結ばれている。クラス11、クラス12の関係も単純木であり、単純継承の階層関係で結ばれており、それぞれ上位クラスの属性を継承している。図4中、ドットプリントが背景模様となっている属性は、上位階層から継承されたものをあらわしている。すなわち、クラス2では、クラス1から継承された属性1と属性2を属性として持つ。クラス2は“CaseOf”クラスで定義されており、別の辞書のクラス11から属性11をインポートしている。属性をインポートすることにより、クラス2では、それ以降、属性11を自身の属性として利用することが可能となる。このような方法で、子クラスが複数の親クラスからの属性を継承する多重継承関係を模擬することができる。
【0029】
辞書データベース10は、下位の分類が上位の分類の属性を継承する階層構造を持つ通常辞書(参照先辞書も含まれる)と、既存の参照先辞書で定義されている属性を取り込む部分継承が可能な参照元辞書を記憶する記憶手段としても機能する。
【0030】
次いで、データベース・マネージメント・システム9が発揮する特徴的な機能について説明する。なお、従来のデータベース・マネージメント・システム9が発揮する機能についての説明は省略する。
【0031】
図5に示すように、従来の“CaseOf”では、参照元辞書には、参照先プロパティのBSUコード(ポインタ)だけが記述される形をとっており、実際の情報については、参照先の辞書を参照するのが、通常の方式となっている。そのため、参照元辞書単独では、輸入しているプロパティの名称や定義、データ型などの詳細な情報については、全く分からない。そのため、参照元辞書で輸入したプロパティの詳細な内容を得るためには、参照先辞書から輸入したプロパティを探して、そこから情報を得なければならない。また、参照先の辞書は、通常、一つ一つの辞書が膨大なクラスやプロパティを定義している国際規格や業界団体辞書であることが多く、且つ、参照するプロパティは、その中のほんの一部に過ぎない例が多いため、効率的な辞書間のデータ通信も望まれている。
【0032】
そこで、本実施の形態のデータベース管理装置であるサーバ装置Sのデータベース・マネージメント・システム9においては、この“CaseOf”という概念を拡張するようにした。より具体的には、本実施の形態のデータベース管理装置であるサーバ装置Sのデータベース・マネージメント・システム9においては、“CaseOf”によって、輸入したプロパティのBSUコード(ポインタ)だけでなく、一部の情報も参照元辞書に取り込むことによって、効率的に参照元辞書を取り扱うことを可能とした。この点について、以下において詳細に説明する。
【0033】
図6は、データベース・マネージメント・システム9の構成を示す機能ブロック図である。図6に示すように、データベース・マネージメント・システム9は、辞書データ構成方式指定手段として機能する辞書データ構成方式指定部21、辞書データ構成手段として機能する辞書データ構成部22、辞書データ構成方式付与手段として機能する辞書データ構成方式付与部23、辞書データ構成方式判断手段として機能する辞書データ構成方式判断部24、重複データ処理指定手段として機能する重複データ処理指定部25、辞書データ構成方式表示手段として機能する辞書データ構成方式表示部26、辞書表示手段として機能する辞書表示部27、辞書データベース構成手段として機能する辞書データベース構成部28を備えている。
【0034】
辞書データ構成方式指定部21は、辞書データベース10に保持されている参照先辞書からどの範囲で情報を抽出して、参照元辞書に追加して再構成するかをユーザが選択する機能を発揮する。参照元辞書が参照する複数の参照先辞書について、一括あるいは個別に抽出範囲の指定方式(構成方式)を指定することが可能である。なお、抽出範囲の指定方式(構成方式)の例は、後述する。
【0035】
辞書データ構成部22は、辞書データ構成方式指定部21の指定に従い、参照先辞書から情報を抽出して、参照元辞書に追加して再構成する機能を発揮する。抽出範囲の指定方式(構成方式)により、以下の例のように処理する。
【0036】
<構成方式の種類例1(プロパティの詳細情報まで含める)>
図7は、構成方式の一例を示す説明図である。“CaseOf”の際には、輸入するプロパティ、そのプロパティの定義クラス(name_scope)、その定義クラスのサプライヤ(defined_by)などがBSUコードとして参照元辞書(辞書データベース10)に含まれる。これに加えて、輸入するプロパティの詳細情報も参照元辞書に追加して、再構成を行う。再構成をした辞書データは、辞書データベース10に保存され、ユーザの要求に応じてクライアントに送られる。
【0037】
<構成方式の種類例2(プロパティの詳細情報及びクラスの情報まで含める)>
図8は、構成方式の一例を示す説明図である。“CaseOf”の際には、輸入するプロパティ、そのプロパティの定義クラス(name_scope)、その定義クラスのサプライヤ(defined_by)などがBSUとして参照元辞書(辞書データベース10)に含まれる。これに加えて、輸入するプロパティの詳細情報、およびそのプロパティの定義クラスの詳細情報を参照元辞書(辞書データベース10)に追加に追加して、再構成を行う。再構成をした辞書データは、辞書データベース10に保存され、ユーザの要求に応じてクライアントに送られる。クラスの詳細情報には、そのクラスの上位クラスのBSUが含まれるため、上位クラスのBSUまで追加する必要がある。クラスの詳細情報の追加については、さらにその範囲を広げ、
(1)すぐ上の上位クラスのクラス情報+さらにその上のクラスのBSU
(2)すぐ上の上位クラスのクラス情報+ルートまでのクラスBSUとクラス情報
(3)すぐ上の上位クラスのクラス情報+ルートまでのクラスBSUとクラス情報+それらのクラスに付随するプロパティなどのBSUとプロパティ情報などが考えられる。
【0038】
<構成方式の種類例3(プロパティの詳細情報、クラスの情報及びサプライヤの情報までを含める)>
図9は、構成方式の一例を示す説明図である。“CaseOf”の際には、輸入するプロパティ、そのプロパティの定義クラス(name_scope)、その定義クラスのサプライヤ(defined_by)などがBSUとして参照元辞書(辞書データベース10)に含まれる。これに加えて、輸入するプロパティの詳細情報、およびそのプロパティの定義クラスの詳細情報、サプライヤの詳細情報を追加して、再構成を行う。再構成をした辞書データは、辞書データベース10に保存され、ユーザの要求に応じてクライアントに送られる。
【0039】
辞書データ構成方式付与部23では、辞書データ構成方式指定部21で指定された構成方式が何かを、辞書データに何らかの形で付与する機能である。以下、付与の方法の例を示す。
【0040】
<構成方式の付与の形態例1>
Part21ファイルのヘッダ部分あるいは、「PLIB」規格の情報モデルをラップした外に構成方式情報を付与して送る。図10は、辞書データに構成方式を付与した例を示す説明図である。図10は、Part21ファイルをラップしてその外に構成方式を付与した例である。図10に示す例では、Part21ファイル記述部分202をタグ<PART21>とタグ</PART21>で囲んで、ラップしている。構成方式の情報は、タグ<CASEOF></CASEOF>で囲まれた部分201に記述されている。この例では、202の内容の補助として、サプライヤ“140/E-Commerce”、クラス“E_C0001”で定義されたプロパティ“E_P0001”および“E_P0002”は、プロパティの詳細情報までが含まれていることを示している。加えて、別のサプライヤ“140/AAA”、クラス“A_C001”で定義されたプロパティ“A_P001”については、クラスの詳細情報とプロパティの詳細情報が含まれていることを示している。
Part21ファイルのヘッダ部分を利用する方法としては、Part21ファイル中のヘッダにあるエンティティ“FILE_NAME”のアトリビュートの一つを用いて、例えば、前述構成方式記述にしたがって記述する方法が考えられる。
図11に示す例は、エンティティFILE_NAMEのアトリビュートorganizationを利用して記述したものである。受け取り側では、特殊なタグ<caseof></caseof>を解釈することによって、参照クラスやプロパティの情報が、Part21ファイル中にどこまでの範囲で含まれているかを簡単に解釈することが可能となる。
なお、ここでいうエンティティとは、データモデルを表現するスキーマを、EXPRESS言語に従って記述する基本単位である。エンティティは、アトリビュートを持つ。アトリビュートが更に別のエンティティを指すこともある。
【0041】
<構成方式の付与の形態例2>
データモデル内のエンティティを利用して記述する。辞書データの形態は、Part21、XML、あるいは他の形態でも可能である。
参照元辞書において、参照元となるクラスは、CASE_OFクラスで表現される。これをエンティティで表現すると、“ITEM_CLASS_CASE_OF"などで記述される。例えば、スキーマを拡張して、このITEM_CLASS_CASE_OFの下位エンティティ
”EXTENSION_ITEM_CLASS_CASE_OF"
を作り、構成方式の情報を付与するためのアトリビュートを追加して、そこに構成方式を記述する方法も考えられる。上記のような例の場合のスキーマ拡張例は、図12のようになる。また、Part21ファイル記述例は、図13のようになる。
アトリビュートimported_areasの記述については、上記のような記述や、同エンティティ中のimported_propertiesと対応付けて、範囲だけ(“PROPERTY”、“CLASS_PROPERTY")だけをリストにするなど、様々な方法が考えられる。
【0042】
<構成方式の付与の形態例3>
別ファイルに情報を記述する。辞書データがPart21、XMLあるいは他の形態でも可能である。
【0043】
辞書データ構成方式判断部24は、入力部6から辞書データ(参照元辞書)を受け取り、辞書データ構成方式付与部23で付与された構成方式を読み取り、判断し、辞書データベース構成部28に渡す。構成方式が付与されていない場合には、入力部6から受け取った辞書データ(参照元辞書)の状況からそれを読み取り判断する。
【0044】
辞書データ構成方式表示部26は、参照元辞書がどのような構成方式で構成されているのかを表示するための機能である。
【0045】
辞書表示部27は、辞書データ構成部22で構成された辞書データを表示する。より詳細には、辞書データベース10から複数の辞書データを読み取り、参照関係を含めた形での階層型構造として表示するための機能である。図14は、GUI4,8の一例を示す正面図である。この図14は、階層木(クラスツリー)、分類(クラス)及び属性を表示するためのGUIの例である。クラスツリー表示部101からクラスを選択すると、クラス情報表示部102に、例えば、クラスを識別するクラスコード、定義、注記、バージョンなどのクラス情報が表示される。また、同時にそのクラスで利用できる属性の一覧が、プロパティリスト表示部103に表示される。図14に示す例では、クラスツリー表示部101でクラスコード「T05:デスクトップPC」を選択した場合、クラス情報表示部102には「T05:デスクトップPC」のクラス情報が表示され、プロパティリスト表示部103には、上記の8つのプロパティ(属性)がリストアップされる。
【0046】
クラスがCaseOfクラスの場合、クラスツリー表示部101でそのクラスを選択すると、クラス情報表示領域画面102には、クラス情報に加えて、参照先クラスの識別子、参照先クラスへ移動するためのジャンプボタン(リンク)が表示される。また、プロパティ表示領域103には、参照先クラスから輸入されたプロパティが、輸入されたことを示すマーク付きで表示される。
【0047】
辞書データベース構成部28では、辞書データベース10に含まれる参照先辞書の内容と、入力部6から送られてきた参照先辞書の内容に矛盾がある場合、ユーザあるいは辞書管理者等に、どちらを優先させるかを指定させ、指定された内容を辞書データベース10(参照元辞書)として構成する。
【0048】
なお、優先順位については、その都度指定しなくても、システムで予め設定しておいても良い。ここで、重複データ処理指定部25について説明する。例えば、図7のような状態で、参照先辞書と参照元辞書が構成されていたとする。プロパティP1は、参照先辞書と参照元辞書の両方に実体が存在する。実体は、双方のプロパティP1のBSUコード、バージョンが同じであれば、必ず同じはずであるが、リビジョンが異なれば、実体が異なってしまうことがある。重複データ処理指定部25は、このように両方に実体がある場合に、どちらを優先させるかを指定し、辞書データを構成することが可能な機能を発揮するものである。また、辞書データベース10の構成時には両方の情報を保持しておき、辞書を表示あるいは出力する段階で指定しても良い。
【0049】
続いて、上述したような構成のデータベース・マネージメント・システム9における代表的な処理の流れについて説明する。
【0050】
まず、データベース・マネージメント・システム9における辞書の出力処理について説明する。この辞書の出力処理は、ユーザからの要求に応じて辞書データベース10から主に参照元辞書を出力する場合における処理である。
【0051】
図15は、辞書の出力処理の流れを示すフローチャートである。図15に示すように、辞書の出力処理は、まず、出力要求があった辞書が、“CaseOf”によって他の辞書を参照しているか否かを判断する(ステップS1)。出力要求があった辞書が他の辞書を参照していると判断した場合であって(ステップS1のY)、構成方式の指定をユーザが行わない場合には(ステップS2のN)、予め設定されている構成方式を決定し(ステップS3)、参照している各クラス又は各プロパティについて決定した構成方式によって、参照先辞書から必要な情報を切り出し、辞書データ(参照元辞書)を再構成する(ステップS4:辞書データ構成部22)。一方、構成方式の指定をユーザが行う場合には(ステップS2のY)、参照している各クラス又は各プロパティについてどのような出力を行うかを指定した後(ステップS5:辞書データ構成方式指定部21)、参照している各クラス又は各プロパティについて決定した構成方式によって、参照先辞書から必要な情報を切り出し、辞書データ(参照元辞書)を再構成する(ステップS4:辞書データ構成部22)。そして、構成方式を辞書データ(参照元辞書)に付与する場合には(ステップS6のY)、参照している各クラスについて決定した構成方式を辞書データ(参照元辞書)に情報として付与した後(ステップS7:辞書データ構成方式付与部23)、辞書データ(参照元辞書)を出力する(ステップS8:出力手段)。ここで、出力に関しては、ディスプレイ装置上の表示だけではなく、ファイルへの出力なども含まれる。一方、構成方式を辞書データ(参照元辞書)に付与しない場合には(ステップS6のN)、そのまま辞書データ(参照元辞書)を出力する(ステップS8)。また、出力要求があった辞書が他の辞書を参照していないと判断した場合にも(ステップS1のN)、そのまま辞書データを出力する(ステップS8)。
【0052】
ここで、PART21ファイル形式を利用した「PLIB」規格における辞書データベース10(参照元辞書)の記述例を示す。
【0053】
図16は、インポートプロパティの詳細情報を追加した参照元辞書の記述例を示す図である。図16に示す網掛け部分が、追加されたインポートプロパティの詳細情報である。これらを参照元辞書に含めることにより、単独で、インポートプロパティの名称、定義、データ型、単位を読み取ることが可能となる。
【0054】
図17は、インポートプロパティの詳細情報、およびそのプロパティの定義クラスの詳細情報を追加した参照元辞書の記述例を示す図である。図17に示す網掛け部分が、図16に加えて、参照先のクラス情報まで参照元辞書に含めた例である。この例では、参照先クラス“E_C0001”の情報に加えて、E_C0001の上位クラスのクラスBSUコード“E_C0000”も含まれている。
【0055】
図18は、インポートプロパティの詳細情報、そのプロパティの定義クラスの詳細情報、およびサプライヤの詳細情報を追加した参照元辞書の記述例を示す図である。図18に示す網掛け部分が、図17に加えて、参照先サプライヤ“140/E-Commere”の詳細情報まで含めた参照元辞書である。
【0056】
以上のように“CaseOf”によって、輸入したプロパティのBSUコード(ポインタ)だけでなく、一部の詳細情報も参照元辞書に取り込むことによって、効率的に参照元辞書を取り扱うことが可能となっている。
【0057】
なお、図16〜図18においては、PART21ファイルでの記述を例にあげているが、XMLやその他の方式での記述についても同様である。
【0058】
次に、データベース・マネージメント・システム9における辞書の入力処理について説明する。この辞書の入力処理は、ユーザが入力した辞書データ(参照元辞書)を再構成する場合における処理である。
【0059】
図19は、辞書の入力処理の流れを示すフローチャートである。図19に示すように、辞書の入力処理は、まず、入力部6から受け取った辞書データ(参照元辞書)に付与されている構成方式を読み取る(ステップS11:辞書データ構成方式判断部24)。より詳細には、図20に示すように、入力部6から受け取った辞書データ(参照元辞書)に、辞書の構成方式が別に記述されているか否かを判断する(ステップS21)。辞書の構成方式が別に記述されていると判断した場合には(ステップS21のY)、別途辞書構成方式に記述されている内容から辞書の構成方式を判断し、辞書データベース構成部28に渡す(ステップS22)。一方、辞書の構成方式が別に記述されていないと判断した場合には(ステップS21のN)、入力部6から受け取った辞書データ(参照元辞書)の状況からそれを読み取り判断し、辞書データベース構成部28に渡す(ステップS23)。
【0060】
次いで、図19に示すように、ステップS11で辞書の構成方式が判断された辞書データ(参照元辞書)から辞書データベース10(参照元辞書)を構成する(ステップS12:辞書データベース構成部28)。より詳細には、図21に示すように、まず、入力された参照元辞書に含まれる参照先辞書の情報と、辞書データベース10に保持している参照先辞書の内容に矛盾がないか否かを判断する(ステップS31)。参照元辞書に含まれる参照先辞書の情報と、辞書データベース10に保持している参照先辞書の内容に矛盾がないと判断した場合には(ステップS31のY)、そのままステップS32に進み、辞書データベース10(参照元辞書)を構成する。一方、参照元辞書に含まれる参照先辞書の情報と、辞書データベース10に保持している参照先辞書の内容に矛盾があると判断した場合であって(ステップS31のN)、どちらを優先させるかをユーザに指定させる場合には(ステップS33のY)、ユーザに重複かつ矛盾する辞書データのどちらを優先させるかを指定させ(ステップS34)、指定された情報を優先させた辞書データベース10(参照元辞書)を再構成する(ステップS35)。また、どちらを優先させるかをユーザに指定させない場合には(ステップS33のN)、重複データ処理指定部25に予め設定されている優先順位に従って指定させ(ステップS36)、指定された情報を優先させた辞書データベース10(参照元辞書)を構成する(ステップS35)。なお、辞書データベース10に参照先辞書がない場合には、矛盾がないものとして、ステップS31、ステップS32の順で処理を行う。
【0061】
次に、データベース・マネージメント・システム9における辞書の表示処理について説明する。この辞書の表示処理は、ユーザからの要求に応じて辞書データベース10(参照元辞書)を表示する場合における処理である。
【0062】
図22は、辞書の表示処理の流れを示すフローチャートである。図22に示すように、辞書の表示処理は、まず、表示要求があった辞書が、“CaseOf”によって他の辞書を参照しているか否かを判断する(ステップS41)。表示要求があった辞書が他の辞書を参照していると判断した場合であって(ステップS41のY)、構成方式の指定をユーザが行わない場合には(ステップS42のN)、予め設定されている構成方式を決定し(ステップS43)、参照している各クラスについて決定した構成方式によって、参照先辞書から必要な情報を切り出し、辞書データ(参照元辞書)を再構成する(ステップS44:辞書データ構成部22)。一方、構成方式の指定をユーザが行う場合には(ステップS42のY)、参照している各クラス又は各プロパティについてどのような表示を行うかを指定した後(ステップS45:辞書データ構成方式指定部21)、参照している各クラス又は各プロパティについて決定した構成方式によって、参照先辞書から必要な情報を切り出し、辞書データ(参照元辞書)を再構成する(ステップS44:辞書データ構成部22)。そして、構成方式を表示する場合には(ステップS46のY)、参照している各クラス又は各プロパティについて決定した構成方式を表示した後(ステップS47:辞書データ構成方式表示部26)、辞書データ(参照元辞書)を出力部7に表示する(ステップS48:辞書表示部27)。この場においては、辞書表示部27は、参照関係を含めた形で、階層型構造を有する辞書として表示する。一方、構成方式を表示しない場合には(ステップS46のN)、そのまま辞書データ(参照元辞書)を出力部7に表示する(ステップS48:辞書表示部27)。また、表示要求があった辞書が他の辞書を参照していないと判断した場合にも(ステップS41のN)、そのまま辞書データを出力部7に表示する(ステップS48:辞書表示部27)。これらの場合においては、辞書表示部27は、辞書データ構成部22で構成された辞書データ(参照元辞書)を階層型構造を有する辞書として表示する。
【0063】
このように本実施の形態によれば、下位のクラスが上位のクラスの属性を継承する階層構造を持つ参照元辞書と参照関係を持つ少なくとも1以上の参照先辞書から、参照しているクラスや属性に係る情報を抽出して参照元辞書に追加し、参照元辞書を再構成し、抽出した詳細情報を参照元辞書に付与して辞書データとして出力することにより、輸入した属性の詳細な内容を参照元辞書側で得ることができるようになる。また、参照先辞書から参照しているクラスや属性に係る情報だけを分割して抽出しているので、辞書データの通信量を削減することができ、辞書間のデータ通信を効率的に行なうことができる。
【0064】
また、参照元辞書が参照する少なくとも1以上の参照先辞書についての抽出範囲の指定方式の情報を参照元辞書に付与することにより、どの方式で記述した辞書データなのかをデータをやり取りする双方で簡単に識別することができるので、辞書データの取扱い効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施の形態の前提となるISO13584 Parts Library規格の概要を示す説明図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係るデータベース管理装置を含むシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】クラスの階層構造と各クラスの属性の一例を示す概念図である。
【図4】“CaseOf”を利用したクラスツリーの一例を示す概念図である。
【図5】従来の“CaseOf”の関係を示す説明図である。
【図6】データベース・マネージメント・システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図7】構成方式の一例を示す説明図である。
【図8】構成方式の一例を示す説明図である。
【図9】構成方式の一例を示す説明図である。
【図10】辞書データに構成方式を付与した記述例を示す図である。
【図11】Part21ファイルのヘッダ部分を利用した記述例を示す図である。
【図12】構成方式の情報を付与するためのアトリビュートを追加した記述例を示す図である。
【図13】Part21ファイル記述例を示す図である。
【図14】階層型データベースにおけるGUIの一例を示す正面図である。
【図15】辞書の出力処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】インポートプロパティの詳細情報を追加した参照元辞書の記述例を示す図である。
【図17】インポートプロパティの詳細情報、およびそのプロパティの定義クラスの詳細情報を追加した参照元辞書の記述例を示す図である。
【図18】インポートプロパティの詳細情報、そのプロパティの定義クラスの詳細情報、およびサプライヤの詳細情報を追加した参照元辞書の記述例を示す図である。
【図19】辞書の入力処理の流れを示すフローチャートである。
【図20】辞書データ構成方式判断部における処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】辞書データベース構成部における処理の流れを示すフローチャートである。
【図22】辞書の表示処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
6 入力部
10 記憶手段、辞書データ
21 辞書データ構成方式指定手段
22 辞書データ構成手段
23 辞書データ構成方式付与手段
24 辞書データ構成方式判断手段
25 重複データ処理指定手段
26 辞書データ構成方式表示手段
27 辞書表示手段
28 辞書データベース構成手段
S データベース管理装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下位の分類が上位の分類の属性を継承する階層構造を持ち、分類と属性はそれぞれを一意に識別する識別子を持ち、既存の参照元辞書で定義されている属性を識別子により取り込むことが可能なデータベース管理装置において、
前記参照元辞書と参照関係を持つ少なくとも1以上の参照先辞書から参照している分類や属性に係る詳細情報を抽出し、前記抽出した詳細情報を前記参照元辞書に追加して再構成する辞書データ構成手段と、
前記抽出した詳細情報を前記参照元辞書に付与して辞書データとして出力する出力手段と、
を備えることを特徴とするデータベース管理装置。
【請求項2】
前記詳細情報は、分類や属性に係る名称や定義である、
ことを特徴とする請求項1記載のデータベース管理装置。
【請求項3】
前記辞書データ構成手段は、前記参照先辞書から参照している属性の詳細情報を前記参照元辞書に追加して再構成する、
ことを特徴とする請求項1または2記載のデータベース管理装置。
【請求項4】
前記辞書データ構成手段は、前記参照先辞書から参照している属性の詳細情報およびその属性が定義されている分類の詳細情報を前記参照元辞書に追加して再構成する、
ことを特徴とする請求項1または2記載のデータベース管理装置。
【請求項5】
前記辞書データ構成手段は、前記参照先辞書から参照している属性の詳細情報、その属性が定義されている分類の詳細情報およびサプライヤの詳細情報を前記参照元辞書に追加して再構成する、
ことを特徴とする請求項1または2記載のデータベース管理装置。
【請求項6】
前記辞書データ構成手段で再構成された前記参照元辞書の内容を、参照関係を含めた形での階層型構造で表示する辞書表示手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載のデータベース管理装置。
【請求項7】
前記参照先辞書の一部を抽出して前記参照元辞書を再構成する際に、前記参照元辞書が参照する少なくとも1以上の前記参照先辞書についての抽出範囲の指定方式の情報を前記参照元辞書に付与する辞書データ構成方式付与手段を更に備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一記載のデータベース管理装置。
【請求項8】
前記辞書データ構成方式付与手段により前記参照元辞書に付与される前記参照先辞書の抽出範囲の指定方式の情報を指定させる辞書データ構成方式指定手段を更に備えることを特徴とする請求項7記載のデータベース管理装置。
【請求項9】
前記辞書データ構成手段で再構成された前記参照元辞書の入力を受け付ける入力部と、
この入力部により受け付けた前記参照元辞書に含まれる前記参照先辞書についての抽出範囲の指定方式の情報を判断する辞書データ構成方式判断手段と、
この辞書データ構成方式判断手段における判断結果と予め保持している前記参照先辞書についての抽出範囲の指定方式の情報との何れか一方を前記参照元辞書として構成する辞書データベース構成手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1ないし8いずれか一記載のデータベース管理装置。
【請求項10】
前記辞書データ構成方式判断手段は、前記辞書データ構成方式付与手段により前記参照元辞書に付与される前記参照先辞書の抽出範囲の指定方式の情報を読み取り、判断することを特徴とする請求項9記載のデータベース管理装置。
【請求項11】
前記辞書データ構成方式判断手段における判断結果と予め保持している前記参照先辞書についての抽出範囲の指定方式の情報との重複データに矛盾がある場合、どちらを優先するかを予め指定する重複データ処理指定手段を備えることを特徴とする請求項9または10記載のデータベース管理装置。
【請求項12】
前記参照元辞書が参照する少なくとも1以上の前記参照先辞書についての抽出範囲の指定方式の情報を表示する辞書データ構成方式表示手段を備えることを特徴とする請求項7ないし11のいずれか一記載のデータベース管理装置。
【請求項13】
下位の分類が上位の分類の属性を継承する階層構造を持ち、分類と属性はそれぞれを一意に識別する識別子を持ち、既存の参照元辞書で定義されている属性を識別子により取り込むことが可能なデータベース管理方法において、
前記参照元辞書と参照関係を持つ少なくとも1以上の参照先辞書から参照している分類や属性に係る詳細情報を抽出し、前記抽出した詳細情報を前記参照元辞書に追加して再構成する辞書データ構成工程と、
前記抽出した詳細情報を前記参照元辞書に付与して辞書データとして出力する出力工程と、
を含むことを特徴とするデータベース管理方法。
【請求項1】
下位の分類が上位の分類の属性を継承する階層構造を持ち、分類と属性はそれぞれを一意に識別する識別子を持ち、既存の参照元辞書で定義されている属性を識別子により取り込むことが可能なデータベース管理装置において、
前記参照元辞書と参照関係を持つ少なくとも1以上の参照先辞書から参照している分類や属性に係る詳細情報を抽出し、前記抽出した詳細情報を前記参照元辞書に追加して再構成する辞書データ構成手段と、
前記抽出した詳細情報を前記参照元辞書に付与して辞書データとして出力する出力手段と、
を備えることを特徴とするデータベース管理装置。
【請求項2】
前記詳細情報は、分類や属性に係る名称や定義である、
ことを特徴とする請求項1記載のデータベース管理装置。
【請求項3】
前記辞書データ構成手段は、前記参照先辞書から参照している属性の詳細情報を前記参照元辞書に追加して再構成する、
ことを特徴とする請求項1または2記載のデータベース管理装置。
【請求項4】
前記辞書データ構成手段は、前記参照先辞書から参照している属性の詳細情報およびその属性が定義されている分類の詳細情報を前記参照元辞書に追加して再構成する、
ことを特徴とする請求項1または2記載のデータベース管理装置。
【請求項5】
前記辞書データ構成手段は、前記参照先辞書から参照している属性の詳細情報、その属性が定義されている分類の詳細情報およびサプライヤの詳細情報を前記参照元辞書に追加して再構成する、
ことを特徴とする請求項1または2記載のデータベース管理装置。
【請求項6】
前記辞書データ構成手段で再構成された前記参照元辞書の内容を、参照関係を含めた形での階層型構造で表示する辞書表示手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載のデータベース管理装置。
【請求項7】
前記参照先辞書の一部を抽出して前記参照元辞書を再構成する際に、前記参照元辞書が参照する少なくとも1以上の前記参照先辞書についての抽出範囲の指定方式の情報を前記参照元辞書に付与する辞書データ構成方式付与手段を更に備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一記載のデータベース管理装置。
【請求項8】
前記辞書データ構成方式付与手段により前記参照元辞書に付与される前記参照先辞書の抽出範囲の指定方式の情報を指定させる辞書データ構成方式指定手段を更に備えることを特徴とする請求項7記載のデータベース管理装置。
【請求項9】
前記辞書データ構成手段で再構成された前記参照元辞書の入力を受け付ける入力部と、
この入力部により受け付けた前記参照元辞書に含まれる前記参照先辞書についての抽出範囲の指定方式の情報を判断する辞書データ構成方式判断手段と、
この辞書データ構成方式判断手段における判断結果と予め保持している前記参照先辞書についての抽出範囲の指定方式の情報との何れか一方を前記参照元辞書として構成する辞書データベース構成手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1ないし8いずれか一記載のデータベース管理装置。
【請求項10】
前記辞書データ構成方式判断手段は、前記辞書データ構成方式付与手段により前記参照元辞書に付与される前記参照先辞書の抽出範囲の指定方式の情報を読み取り、判断することを特徴とする請求項9記載のデータベース管理装置。
【請求項11】
前記辞書データ構成方式判断手段における判断結果と予め保持している前記参照先辞書についての抽出範囲の指定方式の情報との重複データに矛盾がある場合、どちらを優先するかを予め指定する重複データ処理指定手段を備えることを特徴とする請求項9または10記載のデータベース管理装置。
【請求項12】
前記参照元辞書が参照する少なくとも1以上の前記参照先辞書についての抽出範囲の指定方式の情報を表示する辞書データ構成方式表示手段を備えることを特徴とする請求項7ないし11のいずれか一記載のデータベース管理装置。
【請求項13】
下位の分類が上位の分類の属性を継承する階層構造を持ち、分類と属性はそれぞれを一意に識別する識別子を持ち、既存の参照元辞書で定義されている属性を識別子により取り込むことが可能なデータベース管理方法において、
前記参照元辞書と参照関係を持つ少なくとも1以上の参照先辞書から参照している分類や属性に係る詳細情報を抽出し、前記抽出した詳細情報を前記参照元辞書に追加して再構成する辞書データ構成工程と、
前記抽出した詳細情報を前記参照元辞書に付与して辞書データとして出力する出力工程と、
を含むことを特徴とするデータベース管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2006−244283(P2006−244283A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−61121(P2005−61121)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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